法令・告示・通達

海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を変更した件

  • 公布日:令和元年6月13日
  • 環境省告示4号

 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(平成二十一年法律第八十二号)第十三条第一項に規定する海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を次のように変更したので、同条第六項において準用する同条第五項の規定により公表する。

海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針

第1 海岸漂着物対策の推進に関する基本的方向

1.我が国における海岸漂着物対策の経緯

 国土の四方を海に囲まれた我が国において、海岸は、身近な存在であり、古来より我が国の人々の生活と生産活動を支えてきたかけがえのない国民共有の財産である。

 我が国の海岸には白砂青松の美しい浜辺に代表される良好な景観を有するものが数多く存在するほか、海岸は陸と海が接し、砂浜、岩礁、干潟等多種多様な生物が相互に関係しながら生息・生育する貴重な場ともなっている。また、海岸は漁業活動の場や港として利用がなされるとともに、干拓による農地の開発等も行われ、生産や交通輸送のための空間としての重要な役割も果たしている。さらに、海水浴場等のようにレジャーやスポーツ等のレクリエーション活動の場としての役割も担っている。このように、今日我々は、日々の生活において海岸がもたらす有形又は無形の多大な恵沢を享受している。

 しかしながら、近年、我が国の海岸に、我が国の国内や周辺の国又は地域(以下「周辺国」という。)から大量の漂着物が押し寄せ、生態系を含む海岸の環境の悪化、白砂青松に代表される美しい浜辺の喪失、海岸機能の低下、漁業への影響等の被害が生じている。

 こうした状況を踏まえ、平成21年7月に、海岸漂着物対策の推進を図ることを目的として、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」(平成21年法律第82号。以下「海岸漂着物処理推進法」という。)が議員立法により全会一致で可決・成立し、公布・施行された。

海岸漂着物処理推進法に基づき、国は、海岸漂着物等の実態把握調査を行うほか、都道府県等が実施する海岸漂着物等の処理やその発生抑制のための取組に対して財政的な支援を行ってきた。また、漂流又は漂着した流木の回収、漁業者等による海域環境保全のための取組への支援などを行ってきており、これらの取組は、海岸漂着物等の円滑な処理やその発生の抑制に寄与してきた。

 しかしながら、海岸漂着物処理推進法施行後約10年が経過した現在においても、我が国の海岸には、国内外から流れてきた多くの海岸漂着物(海岸に漂着したごみその他の汚物又は不要物をいう。以下同じ。)が存在し、また我が国の沿岸海域において漂流し、又はその海底に存するごみその他の汚物又は不要物(以下「漂流ごみ等」という。)が船舶の航行の障害や漁業操業の支障となっており、海洋の環境に深刻な影響を及ぼしている。

 さらに近年では、海洋に流出する廃プラスチック類(以下「海洋プラスチックごみ」という。)や微細なプラスチック類であるマイクロプラスチック1が、生態系に与え得る影響等について国際的に関心が高まり、世界全体で取り組まなければならない地球規模の課題となっている。

 平成27年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では「2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減すること」が持続可能な開発目標(SDGs)2のターゲットの一つして掲げられるとともに、G7やG20においても海洋ごみが議題とされ、平成29年のG20ハンブルク・サミットでは「海洋ごみに対するG20行動計画3」が合意された。また、国連環境計画(UNEP)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)等の場で海洋ごみについて議論されており、国際連携・協力の必要性の認識が高まっている。

 このような状況を受け、海岸における良好な景観及び環境の保全並びに海洋環境の保全を図るとともに、国際的な課題に取り組むため、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」(平成30年法律第64号)が議員立法により全会一致で可決・成立し、平成30年6月22日に公布・施行された。

2.海岸漂着物対策の基本的方向性

 海岸漂着物対策は、海岸漂着物等(海岸漂着物及び海岸に散乱しているごみその他の汚物又は不要物並びに漂流ごみ等をいう。以下同じ。)の円滑な処理を図るための施策とその効果的な発生抑制を図るための施策の推進を通じて、海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全を図ることを目的としてなされるものである。

 海岸漂着物対策の実施に際しては、海岸が国民共有の財産として国民の健康で文化的な生活の確保に重要な役割を果たしていることに鑑み、現在及び将来の国民が海岸のもたらす恵沢を享受することができるよう、良好な景観、岩礁や干潟等における生物の多様性、公衆の衛生等の海岸の総合的な環境について、その良好な状態を保全するとともに、海岸漂着物等によって損なわれる環境を再生することを旨として行われることが肝要である。

 また、国内に由来して発生する海岸漂着物等は、山、川、海へとつながる水の流れを通じて海岸に漂着等したものであって、海岸を有する地域にとどまらず我々の日頃の行動や社会の有り様を映し出す鏡であるとも言える。このため、我が国の美しい山河と豊かな海を守っていくためには、海岸漂着物等の問題に対して、海岸を有する地域だけでなく、流域圏の内陸地域と沿岸地域が一体となり、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)等の施策と相まって海岸漂着物等の発生を効果的に抑制するなど、広範な関係主体による取組が必要である。

 さらに、海岸漂着物等はアジアを始めとする世界各国から流出し、周辺国から我が国の海岸に漂着する物がある一方で、我が国から周辺国の海岸に漂着し、又は海域を漂流する物があることに鑑み、海岸漂着物対策は、世界全体の共通の課題であるとの認識に立って、国際社会と連携して取り組む必要がある。

 これを踏まえ、今後、我が国における海岸漂着物対策を推進するための枠組みとして、

  • 海岸漂着物等の円滑な処理を一層推進するとともに、流域圏にある地方公共団体が連携して一体となって海岸漂着物等の発生抑制対策に取り組み、その円滑な処理や発生抑制を施策の両輪として講ずること
  • 関係者の相互協力が可能な体制づくりや、非営利組織その他の民間団体(以下「民間団体等」という。)、事業者、研究者等との連携、協力、支援を通じて、多様な主体の適切な役割分担と連携の確保を図ること
  • 地球規模や東アジア・東南アジアなどの周辺国における多国間の枠組みや、二国間協力を通じて、国際的な連携の確保、国際協力の推進を図ること
を対策の3つの柱とし、これを軸として施策を展開していくことが必要である。

 また、昨今国際的な課題となっているマイクロプラスチックについては、含有・吸着する化学物質が食物連鎖中に取り込まれることによる生態系への影響など、海洋環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあること、及び微細であるためその回収・処分が困難であることから、プラスチック資源循環を徹底し、海洋プラスチックごみ問題の正しい理解を促しつつ、国民的機運を醸成し、違法行為である不法投棄・ポイ捨ての撲滅を徹底するとともに、海岸漂着物等であるプラスチック類をマイクロプラスチックとなる前に円滑に処理すること、廃プラスチック類の排出の抑制、経済的・技術的に回避可能なプラスチック類の使用の削減、分別回収・リサイクルの促進等による廃プラスチック類の減量、廃プラスチック類の適正な処理を図ることが必要である。マイクロプラスチックを始めとする海洋ごみに関する様々な調査研究が進められているが、マイクロプラスチックはその分布の実態、生態系や人の健康への影響等科学的に未解明の部分が多い。そのため、最新の科学的知見や国際的な動向を勘案し、海域における発生抑制のための施策の在り方を速やかに検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる必要がある。

 本基本方針に基づき、国内における海岸漂着物等の円滑な処理やその効果的な発生抑制に関する施策の実効性を確保するとともに、国際的な海岸漂着物対策を協力して推進していくことが必要である。

  1. (1)海岸漂着物等の円滑な処理
  2.  大量の海岸漂着物等によって現に海岸の清潔の保持や海洋環境の保全に支障が生じている地域においては、まず、海岸漂着物等の処理を進めることが必要である。

     このような観点から海岸漂着物処理推進法において、海岸漂着物及び海岸に散乱しているごみその他の汚物又は不要物の処理に関し、海岸管理者等の処理の責任と市町村の協力義務が規定されるとともに、地域外からの海岸漂着物等への対応や漂流ごみ等の円滑な処理の推進等について規定されており、以下の基本的事項に留意して、海岸漂着物等の円滑な処理が図られなければならない。

    1.  [1] 海岸管理者等の処理の責任等
      1.   ア 海岸管理者等の処理の責任

         海岸管理者等は、管理する海岸の土地において、その清潔が保たれるよう、海岸漂着物等(漂流ごみ等を除く。[1]及び[2]において同じ。)の処理のため必要な措置を講じなければならない。このため、海岸管理者等は、海岸の地形、景観、生態系等の自然的条件や海岸の利用の状況、経済活動等の社会的条件に応じて、海岸漂着物等の量及び質に即し、海岸漂着物等の処理のため必要な措置を講ずることが求められる。その際には、海岸漂着物対策の経緯や体制等、地域の実情を踏まえ、海岸漂着物等の回収や処分等に関して地域の関係者間で適切な役割分担に努めるものとする。

        また、海岸管理者等でない海岸の土地の占有者(占有者がない場合には管理者とする。)は、その占有し、又は管理する海岸の土地の清潔が保たれるよう努めなければならない。

      2.   イ 市町村の協力義務

         市町村は、海岸漂着物等の処理に関し、必要に応じ、海岸管理者等又は海岸の土地の占有者(占有者がない場合には管理者とする。)に協力しなければならない。このため、海岸漂着物等の円滑な処理に係る市町村の協力の在り方に関し、海岸漂着物対策の経緯や体制、海岸漂着物等の実態等、地域の実情を踏まえ、関係者間で合意形成に努める。市町村の協力としては、例えば、海岸管理者等と連携して市町村が海岸漂着物等の回収を行うこと、回収された海岸漂着物等を市町村の廃棄物処理施設に受け入れて処分すること等が挙げられる。

    2.  [2] 市町村の要請
    3.  市町村は、海岸管理者等が管理する海岸の土地に海岸漂着物等が存することに起因して地域住民の生活や漁業等の経済活動に支障が生じていると認めるときは、海岸漂着物処理推進法第18条に基づき、当該海岸管理者等に対し、海岸漂着物等の処理のため必要な措置を講ずるよう要請することができる。

       市町村から海岸管理者等に対して海岸漂着物等の処理に関し要請があった場合において、要請を受けた海岸管理者等は、当該要請の趣旨を踏まえてその内容を検討し、必要があると判断する場合には、海岸漂着物等の処理のため所要の措置を講ずるものとする。

    4.  [3] 地域外からの海岸漂着物等に対する連携
      1.   ア 都道府県知事による協力の求め

         国内に由来して発生する海岸漂着物等は、山、川、海へとつながる水の流れを通じて海岸に漂着するものや、潮流や波浪の影響などを受けて、他の都道府県から漂着するものもあることから、流域圏で内陸から沿岸に渡る関係主体が一体となって海岸漂着物対策を行うことが不可欠である。このため、都道府県知事は、海岸漂着物処理推進法第19条第1項に基づき、海岸漂着物等の発生状況を把握し、海岸漂着物等の多くが他の都道府県の区域から流出したものであることが明らかであると認めるときは、海岸管理者等の要請に基づき、当該他の都道府県の知事に対して、海岸漂着物等の処理やその発生抑制等に関して積極的に協力するよう求めることが望まれる。

         都道府県知事は、海岸管理者等の要請に基づく場合のほか、他の都道府県知事の協力を必要とする状況が生じていると判断する場合には、同項に基づき、海岸管理者等の意見を聴いた上で、他の都道府県知事に協力を求めることができる。

         また、協力の求めを受けた当該他の都道府県知事は、その協力依頼の趣旨を踏まえて、協力を求めた都道府県知事と情報を共有し、海岸漂着物等の処理及びその発生抑制等のために、積極的に所要の措置を講ずるよう努めるものとする。

      2.   イ 環境大臣のあっせん

         環境大臣は、海岸漂着物処理推進法第19条第1項に基づき、都道府県知事から他の都道府県知事に対して協力の求めがあった場合において、都道府県間における協力を円滑に行うため必要があると認めるときは、同条第2項に基づき、当該協力に関し、あっせんを行うことができる。この場合において環境大臣は、都道府県知事による協力の求めの趣旨を踏まえて、あっせんのための所要の措置を講ずるよう努めるものとする。

    5.  [4] その他海岸漂着物等の円滑な処理に関する事項
      1.   ア 漂流ごみ等の円滑な処理の推進

         漂流ごみ等は、海洋環境に影響を及ぼすとともに、船舶の航行の障害や漁場環境の支障ともなっている。このため、我が国の陸域に隣接する海域である沿岸海域において、漂流ごみ等が、地域住民の生活に影響を及ぼす場合や、漁業や観光業などの経済活動に支障を及ぼしている場合には、国や地方公共団体等が連携・協力を図りつつ、日常的に海域を利用する漁業者等の協力を得るなどして、処理の推進を図るよう努める。また、国では、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海及び有明海・八代海等において船舶航行の安全を確保し、海域環境の保全を図るため、海域に浮遊する流木等の漂流ごみの回収に取り組む。

      2.   イ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律その他の関係法令の適用関係

         回収された海岸漂着物等については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)の規定に基づいて適正に収集、運搬及び処分がなされることが必要である。

         また、海岸漂着物等が不法投棄等によって生じたものであって原因者の特定が可能な場合については、海岸漂着物処理推進法の規定にかかわらず、引き続き、廃棄物処理法その他の関係法令の規定に基づいて当該原因者の責任においてその処理を図るものとする。また、船舶から流出した油や有害液体物質については、引き続き、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号。以下「海洋汚染防止法」という。)等に基づいて防除措置等の適切な実施を図るものとする。

      3.   ウ 大量の海岸漂着物等が存する地域における処理の推進等

         国は、海岸漂着物等による被害が著しい地域において海岸管理者等が地域計画に基づき実施する海岸漂着物等の処理に対する支援を行う等、大量の海岸漂着物等が存する地域において地方公共団体が行う海岸漂着物等の処理の推進に努める。

         洪水や台風等の自然災害により海岸に漂着した流木等が異常に堆積し、海岸保全施設の機能を阻害することとなる場合、地方公共団体がその処理を緊急的に実施する際に利用可能な災害関連制度が設けられている。また、大規模な災害により生じた廃棄物に係る対策については、廃棄物処理法等において、災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を行うための法整備等がなされている。国は、地方公共団体と連携しつつ、これらの災害関連制度の活用の推進に努める。

         都道府県知事は、海岸漂着物等が存することに起因して地域の環境の保全上著しい支障が生ずるおそれがあると認める場合において、特に必要があると認めるときは、環境大臣その他の関係行政機関の長に対し、当該海岸漂着物等の処理に関する協力を求めることができる。都道府県知事から協力の求めがあった場合において、当該関係行政機関の長は、その趣旨を踏まえ、著しい支障を避けるため特に必要があると判断する場合には、海岸漂着物等の処理を的確かつ安全に実施するために必要な資料及び情報の提供、意見の表明、技術的助言その他の協力を行うものとする。

      4.   エ 都道府県による援助

         都道府県は、地域における広域かつ詳細な自然的社会的条件に係る情報を有することから、海岸管理者等や海岸の土地の占有者(占有者がない場合には管理者とする。)による海岸漂着物等の円滑な処理が推進されるよう、これらの者に対し、海岸漂着物等の処理に必要な資料及び情報の提供、意見の表明、技術的支援その他の援助をすることができる。

         市町村が海岸漂着物等の処理に関して海岸管理者等に協力する場合には、都道府県は、海岸管理者等への援助の一環として、当該市町村に対してもこれを行うことができる。

      5.   オ 廃棄物処理施設の整備の推進

         海岸漂着物等の円滑かつ適正な処分を確保するためには、国や地方公共団体は、特に離島地域を始めとして、海岸漂着物等を含む廃棄物を適正に収集、運搬及び処分するために必要な廃棄物処理施設の整備を推進することが必要である。

         このため、国においては、離島地域を始めとして、市町村が海岸漂着物等を含む廃棄物の収集、運搬及び処分を行うために必要な廃棄物処理施設の整備を推進するための支援に努める。

  1. (2)海岸漂着物等の効果的な発生抑制
  2.  我が国の海岸漂着物等は、地域によっては周辺国から大量に漂着等する場合がみられるが、全国的にみれば、国内に由来して、山、川、海へとつながる水の流れを通じて海岸等に漂着等するものである。我が国の国内に由来して発生する海岸漂着物等には、洪水や台風等の災害によって流木等が大規模に漂着等する場合もあるものの、国民生活に伴って発生するごみ等が海岸等に漂着等することによって生ずるものが多く含まれており、その発生の状況は環境の保全に対する国民の意識を反映した一面を有するものであると言える。このため、海岸漂着物等の問題の解決を図るためには、海岸を有する地域のみならず、すべての地域において共通の課題であるとの認識に立って、海岸漂着物等の処理の推進に加え、その効果的な発生抑制が図られることが必要である。

    1.  [1] 3Rの推進による循環型社会の形成
    2.  我が国の国内に由来して発生する海岸漂着物等の発生抑制を図るためには、まず、国民生活に伴って発生した海岸漂着物等となり得るごみ等の発生抑制に努めることが重要である。

       このため、国や地方公共団体は、循環型社会形成推進基本法に規定する基本原則に基づき、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)などの各種リサイクル法の適切な実施を始め、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進を図ることを通じて国内における廃棄物の発生抑制と廃棄物の適正な処分を確保することにより、我が国における大量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造を見直し、循環型社会4の実現を図るよう努める。

       特に海洋プラスチックごみ対策としては、陸域で発生したごみが河川その他の公共の水域を経由する等して海域に流出又は飛散することに鑑み、海洋プラスチックごみ問題の正しい理解を促しつつ、国民的気運を醸成し、違法行為である不法投棄・ポイ捨ての撲滅を徹底するとともに、ワンウェイのプラスチック製容器包装・製品のリデュースなどによる経済的・技術的に回避可能なプラスチック類の使用の削減、リユース容器・製品の利用促進等により、廃プラスチック類の排出の抑制に努める。さらに、経済性及び技術可能性を考慮し、容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、効果的・効率的で持続可能なリサイクル、生分解性プラスチック5・再生材の利用の促進、廃プラスチック類の適正な処理の徹底等に努める。また、漁具等の海域で使用されるプラスチック製品について、陸域での回収を徹底しつつ、可能な限り、分別、リサイクル等が行われるよう取組を推進する。

    3.  [2] マイクロプラスチックの海域への排出の抑制
    4.  微細なプラスチック類であるマイクロプラスチックは、含有・吸着する化学物質が食物連鎖中に取り込まれることによる生態系への影響など、海洋環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあり、また微細であるためその回収・処分が困難となることから、海域に流出しないよう、通常の用法に従った使用の後に河川その他の公共の水域又は海域に排出される製品への使用や廃プラスチック類の排出を抑制することが対策の要である。

       マイクロプラスチック対策については、洗い流しのスクラブ製品6におけるマイクロビーズ7の使用中止の呼びかけや樹脂ペレットの漏出防止の取組等、我が国の産業界による自主的な取組が進められているところであるが、我が国沿岸海域において多くのマイクロプラスチックが確認されており、引き続き、関係主体との連携協力の下、取組を一層推進することが不可欠である。

       このため、事業者は、マイクロプラスチックの海域への流出が抑制されるよう、洗い流しのスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減を徹底するなど、通常の用法に従った使用の後に河川その他の公共の水域又は海域に排出される製品へのマイクロプラスチックの使用の抑制に努める。また、プラスチック原料・製品の製造、輸入、流通工程を始め、サプライチェーン全体を通じて、ペレット8等の飛散・流出防止の徹底を図るとともに、輸入されたマイクロビーズが含まれる洗い流しのスクラブ製品などの流通及び販売の抑制に努める。また、事業活動においてプラスチック原料等が廃棄物等となることを抑制すること、循環的な利用が行われていない循環資源について自らの責任において適正に処分すること等により、廃プラスチック類の排出が抑制されるよう努める。

       国は、マイクロプラスチックの使用の抑制、飛散・流出防止の措置及びマイクロプラスチックを含有する製品の流通の状況等について調査を実施し、その実態を把握する。

    5.  [3] 発生の状況及び原因等に関する実態把握
      1.   ア 我が国の海岸漂着物等に関する調査

         我が国における海岸漂着物等の発生過程の実態はまだ未解明の部分が多く残されており、海岸漂着物等の効果的な発生抑制のための施策を的確に企画し、実施するためには、まず、海岸漂着物等の発生の状況や原因について可能な限り把握することが必要である。

         このため、国や地方公共団体は、海岸漂着物等の性状、発生の状況や原因、経年的な量の推移等を把握するため定期的に調査を行う。

      2.   イ 我が国から周辺国に漂着する物に関する実態把握

         海岸漂着物等には周辺国から我が国の海岸に漂着するものも多くみられるが、一方で、我が国に由来するごみ等であって周辺国の海岸に漂着するものもある。良好な海洋環境の保全や周辺国との国際協力の推進を図る観点から、我が国から周辺国に漂着する物の発生抑制を図ることも重要であり、国は、我が国から周辺国に漂着する物について可能な限り実態の把握に努める。

      3.   ウ マイクロプラスチックに係る実態把握等

         マイクロプラスチックについては、その発生の状況や分布実態、生態系や人の健康への影響について未解明の部分が多い。

         このため、国は、海域、河川や湖沼等の公共の水域における分布実態や、生態系等への影響の把握に係る調査研究を推進する。また、得られた最新の科学的知見や国際的な動向を勘案し、発生抑制のための施策の在り方を検討し、必要な措置を講ずるものとする。

      4.   エ 情報の共有

         ア、イ及びウで明らかになった結果を受け、実態に即した、海岸漂着物等の発生抑制のための取組を推進することが肝要である。そのため、国や地方公共団体は、我が国における海岸漂着物等に関する調査の結果について、関係者間で情報を共有するよう努めるとともに、インターネット等を活用してわかりやすく国民に広報し、海洋プラスチックごみを含む海岸漂着物等の問題に関する普及啓発を図るとともに、様々な主体が参画する場で共有し、リスクコミュニケーション9を図る。

         また、海岸漂着物等の実態については、民間団体等や学識経験者によって自主的に各種の調査活動がなされているところであり、国は、調査や研究の結果や、今後の課題を各主体間で共有し、我が国の海岸漂着物等の研究の底上げを促すことができる場を提供する。

    6.  [4] ごみ等の適正な処理等の推進
    7.  我が国の国内に起因する海岸漂着物等には、陸域で生じた廃プラスチック類等の生活系ごみが多く含まれ、また、事業活動に利用され不要となった用具等が適正に処理されないために海岸等に漂着等しているものも散見される。このように、我々の日常生活に伴って排出される生活系ごみや、事業活動に利用され不要となった用具等が適正に処理されなければ、その一部が水域を経る等して海域に流出し、海岸漂着物等となるおそれがある。特に、廃プラスチック類の海域への流出や、それらによるマイクロプラスチックの排出が海洋環境に深刻な影響を与えるおそれがあることから、これらを海域に流出させないよう生活系ごみや事業活動に利用され不要となった用具等の廃棄物の適正な処理を徹底することが必要である。

       このような観点から、海岸漂着物等の発生抑制を図るため、国民は、生活系ごみの減量化や再生品の使用等の取組によって、日常生活に伴うごみ等の発生抑制に努めるとともに、日常生活において生じたごみ等をなるべく自ら処理することやリサイクルのための分別収集への協力等の取組を通じ、海岸漂着物等の発生抑制に努めなければならない。また、事業者は、事業活動に伴って生じる廃棄物を適正に処理すること等により、海岸漂着物等の発生抑制に努めなければならない。国や地方公共団体は、海岸漂着物等の状況に応じ、各種の事業活動において用いられる資材の使用・廃棄等の実態を調査し、これらの資材の海洋環境中への排出の抑制に向けた方策を検討する。

    8.  [5] ごみ等の投棄の防止
      1.   ア 不法投棄・ポイ捨てに関する規制措置の実施

         海岸漂着物等の発生抑制を図るためには、我が国の陸域や海域におけるごみ等の不法投棄・ポイ捨ての防止を図ることが重要である。ごみ等の不法投棄・ポイ捨てについては廃棄物処理法や海洋汚染防止法等に基づき規制されており、国や地方公共団体は、不法投棄・ポイ捨てに関する規制措置の適切かつ着実な実施に努め、不法投棄・ポイ捨ての撲滅を徹底する。

      2.   イ 国民の意識の高揚とモラルの向上

         海岸漂着物等には、生活系ごみを始め身近なごみ等に起因するものが多く含まれており、これらは市街地を始め、森林、農地、河川、海岸等の土地から河川その他の公共の水域を経由する等して海岸等に漂着等するものであるため、海岸漂着物等の発生抑制を図るためには、我々の日常生活に伴って身近に発生するごみ等の散乱を防止することが重要である。特に、海洋プラスチックごみは、陸域で発生したごみが河川その他の公共の水域を経由する等して海域に流出又は飛散することに鑑み、海洋プラスチックごみ問題の正しい理解を促しつつ、国民的気運を醸成することが重要である。なお、生分解性プラスチックに関しては、海洋プラスチックごみ問題の改善に寄与する可能性がある一方で、土壌中に比べて微生物の数や種類が少ない海中では、微生物による分解に時間を要し、その間、マイクロプラスチックとなって残存する可能性が指摘されている。そのため、生分解性プラスチックにおいても、廃棄物としての適正な処理が重要であることなど、国民に正しい理解を促す必要がある。また、身近なごみ等の散乱の防止を図るためには、廃棄物処理法や海洋汚染防止法等に基づく不法投棄・ポイ捨てに関する規制措置の実施と相まって、海岸を有する地域だけではなく広く各界各層の国民が海岸漂着物等の問題への認識を深め、一人ひとりが当事者意識をもって陸域や海域においてごみ等の投棄を行わないことが必要である。

         このため、国や地方公共団体は、環境教育及び消費者教育の推進やインターネットやパンフレット等の広報手段の活用を通じて、海岸漂着物等の実態や不法投棄・ポイ捨てが海洋汚染を引き起こすこと、特に廃プラスチック類がマイクロプラスチックとなって海洋に流出した場合に、生態系に影響を及ぼすおそれがあること等を国民に周知することなどにより、発生抑制の呼びかけを効果的に進め、広く国民の環境保全に対する意識の高揚とモラルの向上を図るよう努める。

      3.   ウ 陸域等における投棄の防止

         国や地方公共団体は、廃棄物処理法その他の関係法令に基づく不法投棄・ポイ捨てに関する規制措置の実施と相まって、ごみ等の投棄の防止を図るため、陸域等においてそれぞれの発生原因の特性に応じて必要な措置を講ずるよう努めなければならない。投棄の防止対策を講ずべき場所としては森林、農地、河川、海岸等様々な場所が挙げられるが、海岸漂着物等には我々の日常生活に伴って生じる廃プラスチック類等の生活系ごみが多く含まれることから、市街地を始めとする我々の日常の暮らしに関わる場所でのごみ等の投棄の防止を図るという視点が重要である。

         また、国内の陸域に起因する海岸漂着物等は河川その他の公共の水域を経由する等して、海域に流出又は飛散することから、国や地方公共団体は、流域圏におけるごみ等の投棄の防止を図るため、普及啓発活動のほか、パトロール等の監視活動の実施による不法投棄・ポイ捨ての抑制や早期発見、警告看板の設置、地域における継続的な清掃活動の実施によるごみ等の投棄がしにくい地域環境の創出等に努める。また、地方公共団体においては環境美化条例の制定等により市街地等におけるごみ等の投棄の防止に努めることが必要である。

    9.  [6] ごみ等の水域等への流出又は飛散の防止
    10.  海岸漂着物等には、市街地を始め、森林、農地、河川、海岸等の土地から河川その他の公共の水域を経由する等して海域に流出又は飛散するものが含まれるため、海岸漂着物等の発生抑制のためには、内陸から沿岸に渡る流域圏の関係主体が一体となって、土地から水域等へのごみ等の流出又は飛散を防止することが重要である。これらの海岸漂着物等の中には、廃プラスチック類等の生活系ごみ等のほかに、流木等の自然由来のものもみられる。

       このため、国民や事業者は、その所持する物が水域等へ流出又は飛散することのないよう、また船舶等を放置することにより海域に流出しないよう、その所持する物や管理する土地を適正に維持・管理すること等によって、海岸漂着物等の発生抑制に努めなければならない。また、国や地方公共団体は、河川その他の公共の水域を経由する等して海域に流出又は飛散することの防止を図るため、地域の住民との連携による清掃活動の実施等に取り組むほか、土地の占有者又は管理者に対し、土地の適正な管理に関し必要な助言及び指導を行うよう努めなければならない。

       また、海岸漂着物等の中にはイベントの開催や露店の営業等、一時的に行われる事業活動によって生じたごみ等が土地から水域等に流出又は飛散し海岸に漂着したものが散見されることから、一時的に行われる事業活動に伴ってごみ等が土地から水域等に流出又は飛散することのないように努めることが重要である。このため、これらの一時的な事業活動が行われる土地の占有者又は管理者は、当該事業活動を行う事業者に対して、事業活動に用いる器材等の適切な管理やごみ等の適正な処分に関し必要な要請を行うことにより、これらの事業活動に伴うごみ等の流出又は飛散の防止に努めることが必要である。

       さらに、漁具等の海域で使用される資材については、厳しい海況等に起因する非意図的な流出が可能な限り発生しないよう、事業者はこれらの資材の点検等、日頃からの流出防止対策に取り組む。国、地方公共団体及び事業者団体は、これらの事業者の取組について、必要な助言及び指導を行うよう努める。

  3. (3)多様な主体の適切な役割分担と連携の確保
  4.  海岸漂着物対策がより大きな成果を得るためには、国民各層が問題意識を共有するとともに、国や地方公共団体のほか、意欲ある国民や民間団体等、事業者、研究者等の多様な主体が、適切な役割分担の下でそれぞれの立場から積極的に取組を進めるとともに、各主体が相互に情報を交換しつつ連携・協力することが必要である。

    1.  [1] 全国規模での行政、国民、民間団体等、事業者、研究者等の連携強化
    2.  これまで、行政、国民、民間団体等、事業者、研究者等様々な主体が、海岸漂着物対策を行い、成果を収めてきた。こうした動きをさらに拡大、効率化し、加速化させるためには、国民各層に問題意識を共有し、個々人が自らの生活スタイルを見直すとともに、科学的なデータに基づき施策を行うこと、施策の成功事例を別の場所や分野で取り入れること、河川の上流に位置する地域から沿岸の地域までが連携し一体となって取組を進めること、複数主体の取組を有機的に組み合わせること、などが必要であり、広く情報を共有し、関係者間での連携・協力を図ることが重要である。

       このため、国は、国民が問題意識を共有し、個々人が自らの生活スタイルを見直す機会を創出するとともに、全国の海岸漂着物対策関係者が参画できる場を設置し、関係主体の取組及び成果の共有や主体間の連携・協力を継続的に推進する。

    3.  [2] 国民、民間団体等、事業者等の積極的な参画の促進
    4.  海岸漂着物等は山、川、海へとつながる水の流れを通じて発生するものであることから、海岸漂着物等の問題は海岸を有する地域のみならず広範な国民による協力が不可欠であり、海岸漂着物等の処理等に対する国民の意識の高揚が図られ、国民や民間団体等、事業者等による自主的かつ積極的な取組が促進されることが重要である。

       このため、国は、海岸漂着物等の問題に関する知識の普及を図るほか、ボランティアに関する情報の提供や積極的な取組事例の表彰等を通じて、国民や民間団体等、事業者等の積極的な参画を促す。また、地方公共団体においても、地域の関係者の連携・協力が進められるよう、海岸漂着物等の問題に関する知識の普及、ボランティアに関する情報の提供、表彰等の施策を講ずるとともに、地域の関係者からの相談や照会を受けるための窓口を設置すること等を通じて、地域の民間団体等や事業者等も含めた幅広い関係者の取組の円滑な展開を促すことが望まれる。

      1.  (a) 自発的な意思の尊重と公正性・透明性の確保
      2.  国民や民間団体等は、それぞれの問題意識や関心等に応じて自発的な意思のもとで海岸漂着物等への取組に参加するものである。このような自発的な意思は活動を始めるきっかけや活動を継続していく動機となるものであり、国や地方公共団体は、国民や民間団体等との連携に際し、その自発性や主体性を尊重するよう留意する必要がある。

         また、様々な主体が相互理解や信頼関係の下に自発的な意欲をもって活動に参画し相互に連携していくためには、当事者間において公正性や透明性の確保が図られることが必要である。多様な主体が自発性や主体性をもって継続的に活動に参画していくためにも、国や地方公共団体は、連携する各主体間における公正性や透明性の確保に配意しつつ施策を進めることが重要である。

      3.  (b) 民間団体等との緊密な連携と活動の支援
        1.   ア 民間団体等との緊密な連携

           海岸漂着物等の問題に関しては、民間団体等によってその解決に向けた様々な活動が行われており、重要な役割を果たしている。民間団体等は地域に根付いて海岸の清掃活動等を展開し、各地の海岸における海岸漂着物等の実態や回収手法等に関して豊富な知見を有しているほか、民間団体等の中には、各地に幅広いネットワークを構築して有機的に連携を図りながら組織的な活動を行っている全国的組織もあり、海岸漂着物対策の推進を図る上で重要な役割を果たしている。

           このように、民間団体等は、海岸漂着物等の処理やその発生抑制において自ら主体となって活動を行うことに加え、国民による活動の促進のための環境教育や普及啓発等への参画を通じ、地域の各主体の連携、協働のつなぎ手として重要な役割を担うことが期待される。

           このため、国や地方公共団体は、民間団体等との緊密な連携を確保することが必要であり、地域に貢献している民間団体等による活動の充実に向けて、広報活動、調査研究等の結果の提供及び技術的助言による情報面での支援のほか、海岸漂着物等の処理やその発生抑制の推進に寄与した民間団体等や個人を表彰することにより望ましい活動の推奨等を行うよう努めるとともに、その活動の促進を図るための財政上の配慮や各種の助成制度等に関する情報の提供を通じ、民間団体等の活動の支援に努める。

        2.   イ 民間団体等の知見等の活用

           民間団体等との連携に際しては、行政から民間団体等への支援という方向だけではなく、民間団体等の協力を得て、その有する豊富な知見や幅広いネットワークを行政の施策に活用することによって、行政と民間団体等が相互に連携を図るという視点に立つことも重要である。このため、国や地方公共団体は、海岸漂着物対策専門家会議10(以下「専門家会議」という。)や海岸漂着物対策推進協議会11(以下「協議会」という。)の機会を活用する等により、民間団体等との連携を図り、これらが有する知見やネットワークを施策に活用するよう努める。

        3.   ウ 民間団体等の活動における安全性の確保

           海岸漂着物等の中には、使用済みの注射器等の医療廃棄物やガスボンベ等の危険物が含まれる場合があるため、民間団体等が海岸漂着物等の回収を行うに際し、その活動における安全性の確保を図ることが必要である。このため、国や地方公共団体は、民間団体等への支援に際し、海岸漂着物等の回収を的確かつ安全に実施するために必要な情報の提供、危険物管理等に関する知識の普及や助言を行うこと等により、その活動における安全性の確保に十分な配慮を行うよう努める。

    5.  [3] 研究者間の連携強化
    6.  効果的な海岸漂着物対策に取り組むためには、客観的な科学的知見を集積するための調査研究及び技術開発等が必要不可欠である。これまでも、海岸漂着物等の分布状況等の一定の研究成果があげられているが、生態系や人の健康への影響等科学的に未解明の部分が多く、幅広い観点からの知見の集積及び海岸漂着物等の効率的な処理、再生利用、発生の原因の究明等に関する技術開発等が急務である。

       このため、国は、海岸漂着物等に関する研究の裾野の拡大・加速・連携強化を図るため、大学や研究所等の研究機関が参画し、研究の全体像や課題を研究者間で共有することができる場を提供する。

  5. (4)国際連携の確保及び国際協力の推進
  6.  海岸漂着物対策の実施に当たっては、国による外交上の適切な対応が図られるようにするとともに、とりわけ海洋プラスチックごみ問題は、海洋に流出したごみが分解されにくく潮流にのって世界中の海洋を漂流等することから、一か国や先進国だけの努力に委ねるのではなく世界全体の喫緊の課題として対処する。海洋プラスチックごみの削減のためには、世界各国で3Rや、廃棄物処理に関する能力の向上等を推進していくことが不可欠であり、我が国は、国内での廃棄物処理の実績や海洋プラスチックごみに関するこれまでの研究成果を基に、G7、G20、更には国連の場を活用して、問題解決に向けた国際的な取組を牽引する。

    1.  [1] 世界的な取組への積極的な関与
    2.  海洋プラスチックごみ問題については、G7やG20、UNEP等の会合で取り上げられるなど、国際的な議論が行われている。我が国は、地球規模で海洋プラスチックごみを削減させるという観点から、我が国の知見・経験・技術・ノウハウを基に、世界規模で行われる海洋プラスチックごみ問題に関する議論に積極的に貢献する。

    3.  [2] 関係国との連携、協力の推進
      1.   ア アジアの国々を始めとする関係国との政策対話等

         東アジアや東南アジアの国又は地域からは、大量の廃プラスチック類が海洋に排出されていると言われており、地球規模で海洋プラスチックごみを減少させるためには、重点的にこれらの国等と連携強化を図る必要がある。

         このため、国は、日中韓三カ国環境大臣会合や北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)12、ASEAN+313などの枠組みや二国間協議等を活用し、関係国間での海洋プラスチックごみに関する理解の促進、各国施策の情報交換、科学的知見の共有等を行い、また国際的な連携を推進する。

      2.   イ 周辺国への要請の実施等

         周辺国から大量に漂着した廃ポリタンクや医療廃棄物等については、漂着状況の把握に努めるとともに、当該国に対して申し入れ、防止対策を進めることが重要である。このため、国は、周辺国から大量の廃ポリタンクや医療廃棄物等の漂着が確認された場合には、必要に応じて関係地方公共団体等と連携して漂着状況の把握を行うとともに、当該国に対して原因究明や対策の実施を強く要請する。

         加えて、これまで原因究明や対策の実施について政府間等で協議や協力が進められている国については、協力関係をより一層強化する。

    4.  [3] 途上国の発生抑制対策の支援
    5.  アジアの国々を含む途上国の多くで、廃棄物処理やリサイクルに係る国民の意識、法制度、人材、施設等が未成熟であり、海洋プラスチックごみの大量発生の要因となっている。

       我が国は、これまでに廃棄物処理やリサイクルのための制度、人材、施設等を整備するとともに、廃棄物発電等にも先進的に取り組み、循環型社会の構築を進めてきた。

       このため、国は、国際協力に係る関係機関とも連携し、途上国に対し、廃棄物の収集から処理に至るまでの廃棄物処理・3R推進のための能力構築や制度構築、海洋ごみに関する国別行動計画の策定、廃棄物発電などの質の高い環境インフラの導入や関連する人材育成に関する支援、地方公共団体、国民、事業者、民間団体等の意識啓発の支援を行い、途上国からの廃プラスチック類の海洋への排出量の削減に寄与する。

    6.  [4] 地球規模のモニタリング・研究ネットワークの構築
    7.  地球規模で海洋プラスチックごみを削減するためには、海洋プラスチックごみの分布状況などの科学的な知見を世界各国で共有することが必要である。

       また、マイクロプラスチックについては、世界各国のモニタリング手法に差異があることから、実態把握のためには、各国のモニタリング結果が比較可能となるよう調和を図りつつ、世界の海域での分布状況について知見を集積する必要がある。

       このため、国は、マイクロプラスチックについて、国際機関等とも連携して、モニタリング手法の国際調和・標準化を行うとともに、アジアの国々と協力し、我が国を含むアジア海域での汚染状況を把握する。また、マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみの調査研究、科学的知見の共有を推進する国際的な取組に積極的に貢献する。

    8.  [5] 民間団体等や学識経験者による国際的活動との連携
    9.  我が国では、民間団体等や学識経験者によって、海岸漂着物等の調査や清掃活動等、民間レベルでの国際的な活動が展開されている。国は、国際協力の推進に際し、これらの民間団体等や学識経験者による国際的な活動との連携を図るよう努める。

  7. (5)その他海岸漂着物対策の実施に必要な事項
    1.  [1] 環境教育及び消費者教育並びに普及啓発
    2.  海岸漂着物等は国民生活に起因するところが多いことから、海岸漂着物等の円滑な処理やその発生抑制について、広く各界各層の国民が当事者意識をもって自主的かつ積極的に取組を行うよう促すことが重要である。

      1.   ア 環境教育及び消費者教育の推進

         国や地方公共団体は、国民一人ひとりが海岸漂着物等の問題についての理解を深め、その自覚を高めるとともに、消費行動において適切な商品選択や廃棄物処理を実践するよう、海岸の環境保全等に関する教育や学習の振興等の環境教育や消費者教育の推進に必要な施策を講ずるよう努める。特に国民に対する環境教育を行う上では、海岸での清掃活動等、海岸漂着物対策の一連の取組に実際に各人が参加する体験活動を通じて環境教育の効果を高めるという視点が大切である。

         また、事業者は、それぞれの消費者が具体的な商品選択の際に、海岸漂着物等の発生抑制を考慮した製品等を選択することが可能となるよう、消費者への普及啓発を含め、適切な情報発信を行うことが望ましい。

      2.   イ 普及啓発

         行政、国民、民間団体等、事業者、研究者等様々な主体が連携して海岸漂着物対策に取り組むためには、環境教育及び消費者教育とともに、普及啓発や広報を通じて、取組への機運を高めることが必要である。このため、国は、海岸漂着物等の発生状況や原因に関する調査の結果や、不法投棄・ポイ捨てが海洋汚染につながるおそれがあること、また、自らが行う施策等について、国民にわかりやすく情報提供等を行い、適切な行動を促す。また、様々な主体が参画する場を設けることにより、関係主体間の取組等に関する情報共有や主体間の連携・協力を推進するとともに、海岸漂着物等に関する科学的知見を共有しリスクコミュニケーションを行うことによって、国民各層の意識の向上や具体的な行動を促す。地方公共団体は、地域住民や民間団体等に対し、地域における海岸漂着物等の実態や海岸漂着物対策の実施状況等に関して積極的かつ効果的な周知を図る等、普及啓発に努める。

      3.   ウ 環境教育等及び普及啓発における民間団体等の知見等の活用

         環境教育及び消費者教育並びに普及啓発に関しては、民間団体等が自主的に清掃キャンペーンその他の活動を行っており、国や地方公共団体は環境教育等や普及啓発に際して、これらの活動を行う民間団体等との連携を図ることにより、その有する知見やネットワークの活用に努めることが有益である。

    3.  [2] 海岸漂着物対策活動推進員等の活用
    4.  海岸漂着物対策活動推進員及び海岸漂着物対策活動推進団体(以下「海岸漂着物対策活動推進員等」という。)は、海岸漂着物対策の重要性に関する住民の理解の深化、住民や民間団体等に対する助言や情報提供その他の協力の実施、国や地方公共団体が行う海岸漂着物対策への協力を担う主体であり、地域のパートナーシップづくりの中核的主体の一つとしての役割が期待される。また、海岸漂着物対策の推進に当たっては、海岸を有する地域だけでなく、流域圏の内陸地域と沿岸地域が一体となり、海岸漂着物等の発生を効果的に抑制するなど、広範な関係主体による取組が重要であり、海岸漂着物対策活動推進員等は、こうした流域圏での一体的な取組を推進する際の中核的役割も期待される。

       このため、都道府県は、住民や民間団体等への情報提供や海岸漂着物等の処理等に関する助言の実施、普及啓発等に当たって、海岸漂着物対策活動推進員等を委嘱等し、積極的に活用することが望まれる。国は、都道府県による海岸漂着物対策活動推進員等について、流域圏での海岸漂着物対策の推進に関する検討等を通じて、その効果的な活用の在り方を提示し、委嘱等の促進と活動の推進に努める。

       海岸漂着物対策活動推進員等の候補としては、地域に根付いて活動し豊富な知見やネットワークを有する民間団体等及びその代表者、学識経験者等が挙げられる。

    5.  [3] 技術開発、調査研究等の推進等
      1.   ア 効率的・効果的な回収方法

         海岸漂着物等の処理の推進を図るためには、まず、海岸漂着物等の効率的かつ効果的な回収を行うことが必要であるが、海岸には砂浜、礫浜、磯浜等様々な形状や地理的特性があり、このような地域の自然的条件に即した回収方法を用いることが求められる。また、離島地域を始め、回収に用いる機材等を海岸に搬入することが困難な場合や、回収された海岸漂着物等を運搬することが困難な場合も多くみられる。

         このため、国は、離島等において海岸へのアクセスが困難な場所での回収を始め、海岸漂着物等の効率的かつ効果的な回収に向けた手法の調査研究を推進するよう努める。また、国は、漂流ごみ等の回収についても効率的かつ効果的な回収に向けた手法の技術開発や調査研究を推進するよう努める。

      2.   イ 海岸漂着物等の処分等に関する技術

         多様な種類の物質からなる海岸漂着物等の円滑な処理を図るためには、海岸漂着物等の多様な性質や態様等に即した適切な方法で海岸漂着物等の処分がなされることが必要であり、技術開発の果たす役割は大きい。また、漁業系資材等の廃棄物の効率的な処分や再生利用等によって廃棄物の減量化を進めることは海岸漂着物等の発生抑制に資する。

         このため、国は、多種類の物質を含む海岸漂着物等について適正かつ効率的に処分できるようにするための処理技術の研究や技術開発、循環型社会にふさわしい最適な処理やリサイクル技術に関する調査研究の推進に努める。

      3.   ウ 発生の状況の調査、発生の原因の究明に関する手法

         海岸漂着物等の効果的な発生抑制のために適切な施策を講ずるためには、まず、海岸漂着物等の状況を適切に把握するとともに、その発生原因の究明を通じて問題となっている海岸漂着物等がどのように発生するのかを解明し、その結果を踏まえて施策を企画することが必要である。

         このため、国は、海岸漂着物等の状況の実態把握や発生原因の究明に関する手法について調査研究の推進に努める。

         マイクロプラスチックについては、その発生の状況や分布実態、生態系や人の健康への影響について十分に解明されていない。また、国際的にも、世界共通のモニタリング手法が確立されておらず、地球規模での分布状況も実測による把握は進んでいない。

         国は、マイクロプラスチックの効率的な把握手法の開発を進め、海域、河川や湖沼等の公共の水域における分布実態、生態系等への影響の把握に係る調査研究を推進するとともに、マイクロプラスチックに関する各国の調査結果が比較可能となるよう調和を図り、さらにモニタリング手法の調和・標準化に向けた調査研究を進める。

      4.   エ 成果の普及等

         国は、行政、国民、民間団体等、事業者、研究者等様々な主体が参画する場等を活用し、各主体に対して、これらの技術開発や調査研究の成果の普及に努める。また、大学や研究所等の研究機関で研究成果を共有することができる機会を設ける。技術開発や調査研究で得られた成果は、国内にとどまらず、海外の海洋ごみ対策にも応用する。

         国は、この成果を生かした途上国への環境インフラ支援やマイクロプラスチックに関するモニタリング手法の調和を進め、国際的な海洋ごみに関する取組に貢献する。

第2 地域計画の作成に関する基本的事項

1.地域計画の作成に当たっての基本的考え方

  1. (1)地域計画の意義
  2.  地域計画は、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するため必要があると認められる場合に、都道府県が作成する計画である。

     地域計画では、本基本方針に基づき、海岸漂着物対策を重点的に推進する区域及びその内容、関係者の役割分担と相互協力に関する事項並びに海岸漂着物対策の実施に当たって配慮すべき事項その他海岸漂着物対策の推進に必要な事項を定めることとされており、地域の海岸漂着物対策の基本的な方向性を示すとともに、それぞれの対策の内容を明らかにするものである。このように、地域計画は地域の海岸漂着物対策の核として重要な機能を有するものであり、都道府県は積極的に地域計画の作成又は変更を検討することが望まれる。

  3. (2)事前調査の実施等
  4.  地域計画の作成又は変更に際し、都道府県は、地域の海岸及び海洋の環境や海岸漂着物対策に関し専門的知識を有する者の協力を得るよう努めるとともに、可能な限り、海岸漂着物等の発生の状況や原因、海岸及び海洋に関わる自然的社会的条件に関し、事前調査の実施やデータの収集に努め、その結果を基に対策の検討を行うことが望まれる。

  5. (3)意見の反映等
  6.  都道府県は、地域計画を作成又は変更しようとするときは、あらかじめ地域住民その他利害関係者の意見を反映させるためパブリックコメントの実施等必要な措置を講ずるものとする。

     また、都道府県は、地域計画を作成又は変更しようとするときは、あらかじめ、沿岸市町村等の関係地方公共団体や海岸管理者等の意見を聴かなければならない。

  7. (4)海岸漂着物対策推進協議会での協議
  8.  都道府県は、協議会が設置されている場合には、協議会における十分な協議の結果を踏まえて地域計画の作成又は変更を行う。

  9. (5)その他地域計画の作成に当たっての基本的事項
    1.  [1] 都道府県間の情報交換
    2.  国内に由来して発生する海岸漂着物等は、山、川、海へとつながる水の流れを通じて海岸に漂着したものや、潮流や波浪の影響等を受けて、他の都道府県から漂着するものもあることから、海岸漂着物等の発生抑制を効果的に進めるためには、内陸から沿岸に渡る流域圏の関係主体が一体となって海岸漂着物対策を行うことが必要不可欠である。このため、都道府県は、近隣の都道府県との間で地域計画の作成状況、計画の内容、その実施状況等について情報の交換に努め、地域計画を共同して作成又は変更することを含め、相互に連携しながら取り組むことが望まれる。

      1.  [2] 全国的、広域的な視点に基づく取組の推進
      2.  都道府県が地域計画を作成又は変更する際には、内陸地域と沿岸地域が一体となった広範な関係主体による取組が重要であるほか、全国的、広域的な視点で検討することも大切であり、国はそのための環境整備に努めることが必要である。このため、国は、自ら実施する我が国の海岸漂着物等の実態に係る調査や、流域圏の関係主体が一体となった海岸漂着物対策の効果的な推進に関する調査等の結果を都道府県と共有するほか、当該調査結果や各地域での海岸漂着物対策の進捗状況等を踏まえ、全国的、広域的な視点に立った目標設定の在り方や、海岸漂着物対策を重点的に推進する必要性がある地域の考え方について検討を進める。また、国は、都道府県により作成又は変更される地域計画について、その内容、進捗状況、成果等について情報の収集等を行うよう努める。

    2.作成に当たって留意すべき基本的事項

    1. (1)海岸漂着物対策を重点的に推進する区域及びその内容
      1.  [1] 海岸漂着物対策を重点的に推進する区域
        1.   ア 海岸漂着物対策を重点的に推進する区域(以下「重点区域」という。)の設定に際しては、海岸漂着物対策を重点的に推進する背景や目的を整理した上で、対策の推進に係る基本的な方針や課題解決の方向性等を明確にすることが望まれる。
        2.   イ 重点区域は、大量の海岸漂着物等が海岸及び海底等に集積することにより海岸における良好な景観、清潔の保持、海洋環境の保全、船舶の航行、観光、漁業に特に支障が生じており、重点的に対策を講ずることが必要とされる地域及び海域について設定することが望まれる。

           重点区域の設定に際しては、地域でみられる海岸漂着物等の量及び質のほか、海岸や海底の地形、景観、生態系等の自然的条件や海岸の利用の状況、経済活動等の社会的条件について総合的に検討することが望まれる。

        3.   ウ 重点区域の範囲は、その一体性に配慮しつつ、重点的な対策の必要性に照らして過大又は過小とならないよう、必要かつ合理的なものとするよう努める。

            また、重点区域の範囲の検討に際しては、河川その他の公共の水域を経由する等して海域にごみ等が流出又は飛散することの防止を図る観点等から、海岸漂着物等の発生抑制を図るために広域的な取組の実施が可能となるよう配慮することが望まれる。

            海岸漂着物等の発生抑制を図る観点から広域的な取組を図るべき地域は、特定の都道府県の区域を越えて広がっている場合も想定される。この場合には複数の都道府県が共同で地域計画を作成することが可能である。

        4.   エ 重点区域の設定に際しては、国外や、他の地方公共団体の区域から流出した大量の海岸漂着物等が存する離島等の地域について配慮するよう努める。
      2.  [2] 重点区域に関する海岸漂着物対策の内容
      3.   重点区域に関する海岸漂着物対策の内容として、海岸漂着物等の処理に関する施策、発生抑制に関する施策、普及啓発、環境教育又は消費者教育に関する施策等について検討を行うよう努め、必要な施策について記載するに際しては、以下の事項に留意することが望まれる。

        1.  (a) 海岸漂着物等の処理に関する事項
          1.   ア 海岸等の自然的社会的条件等を勘案し、地域における海岸漂着物等の処理の主体、処理の方法、時期や頻度等について具体的に記載する。なお、地域の状況に応じ、ボランティアを積極的に活用するなど、効率的な処理となるよう配慮する。
          2.   イ 処理に関する事項の検討に際しては、海岸管理、海岸及び海洋の利用等に支障を生じないよう配慮する。
        2.  (b) 海岸漂着物等の発生抑制に関する事項
          1.   ア 重点区域における海岸漂着物等の発生抑制のために地域の関係者が実施する施策について、実施主体、施策の内容(3Rの推進、マイクロプラスチックの発生抑制、発生の状況及び原因等に関する実態把握、ごみ等の適正な処理等の推進、ごみ等の投棄の防止、ごみ等の水域等への流出又は飛散の防止)、時期等を具体的に記載する。
          2.   イ 内陸地域と沿岸地域が一体となった複数地方公共団体連携による発生抑制対策の実施に当たっては、効果的かつ定量的な対策を具体的に記載するよう努める。
          3.   ウ 施策の検討に際しては、河川管理や農林水産業等に支障を生じないよう配慮するとともに、土地の所有者等の理解を得ながら実施するよう努める。
        3.  (c) 普及啓発、環境教育又は消費者教育に関する方策
          1.   ア 重点区域における海岸漂着物等の処理や発生抑制のための地域住民等に対する広報等の普及啓発、環境教育又は消費者教育の推進のための施策について、実施主体、施策の内容、時期等を具体的に記載する。
      1. (2)関係者の役割分担と相互協力に関する事項
        1.   ア 海岸漂着物対策に取り組む主体がそれぞれの特性や立場を理解した上で、適切な役割分担の下、連携・協力できるよう関係者の役割分担と相互協力の在り方について具体的に記載するとともに、海岸漂着物対策活動推進員等の活用に努める。
        2.   イ 相互協力に関して、海岸漂着物等の問題では民間団体等が重要な役割を果たしていることに鑑み、民間団体等との連携について特に十分な検討がなされることが望まれる。

           また、都道府県は、地域で活動を行っている民間団体等に関する情報を収集、整理し、地域計画の作成に際して参考にするとともに、インターネット等を活用した情報提供等を通じて地域におけるネットワークづくりに資することが望まれる。

      1. (3)海岸漂着物対策の実施に当たって配慮すべき事項その他海岸漂着物対策の推進に関し必要な事項
        1.  [1] モニタリングの実施
          1.   ア 地域計画の実施による効果を確認するため、計画期間中又は計画終了後のモニタリングの実施について検討を行うことが望まれる。
          2.   イ モニタリングの実施について地域計画に位置付ける場合、実施主体、モニタリングの内容、時期・頻度等を記載することが望まれる。
        2.  [2] 災害等の緊急時における対応
        3.    都道府県は、地域計画の作成に際し、必要に応じて、災害により大量の海岸漂着物等が発生した場合や危険物の漂着等がみられる場合の緊急時における連絡体制等の検討を行い、地域計画に記載することが望まれる。

        4.  [3] 他の計画等との整合等
        5.    地域計画の作成に際し、都道府県は、関係法令に基づく各種の計画等と調整し、調和を保つことが必要である。特に、国土の利用・開発・保全に関する計画や環境保全に関する計画、廃棄物処理法に基づく廃棄物処理計画等との整合性を十分に確保することが重要である。その際、協議会等を活用し、関係機関と十分な連絡調整を図ることが必要である。

        6.  [4] 地域住民、民間団体等の参画と情報提供
        7.    地域計画の円滑かつ効果的な実施を通じて地域の特性に柔軟に対応できるよう、地域計画の作成に当たっては地域住民や民間団体等の参画を得ることが重要である。このため、都道府県は、地域計画の作成に際して、地域住民や民間団体等の自発的参画を促す上で必要な情報提供を行い、透明性の確保に努める。

        8.  [5] 地域計画の変更
        9.    都道府県は、計画作成後、計画の事項を定期的に点検するとともに、海岸や地域の状況の変化や計画の実施状況等に応じて地域計画の変更を検討し、必要があると認める場合は、速やかに、地域計画の変更を行うことが望まれる。

      第3 海岸漂着物対策推進協議会に関する基本的事項

      1.協議会の意義

       地域における海岸漂着物対策の推進を図るためには、都道府県、地域住民、民間団体等、関係地方公共団体、関係行政機関等地域の多様な主体が参加・連携して、相互に情報を共有し、十分な意思疎通を図りながら取組を進めていくことが重要である。このためには、様々な意見を取り込みながら、関係者の連絡調整を図るための共通の場が必要である。また、海岸漂着物等の発生抑制を効果的に進めるためには、流域圏で、内陸から沿岸に渡る関係主体が一体となって海岸漂着物対策を行うことが必要である。

       協議会は、地域においてこのような機能を果たすものとして設けられるものであり、都道府県は、地域の関係者が円滑な意思疎通や連絡調整を図るため、積極的に協議会の設置を行うことが望まれる。そして、協議会を活用して関係者が相互の取組状況を定期的に点検するとともに、その結果に沿って、取組の見直しを行うことが望まれる。

      2.協議会の組織

      1. (1)幅広い主体の参加
        1.   ア 海岸漂着物対策の推進に当たっては、地域の様々な主体の連携が必要である。このため、都道府県は、協議会の効率的な運営に配慮しつつ、可能な限り、内陸地域から沿岸地域までの多様な主体の参加の機会を確保するよう努める。
        2.   イ 協議会には、都道府県のほか、地域住民、民間団体等、関係地方公共団体、関係行政機関の関係者が広く参加することが望まれる。加えて、必要に応じ、地域の海岸漂着物対策に関し専門的知識を有する者や事業者等の協議会への参加を確保することも重要である。
        3.   ウ 海岸漂着物対策について幅広い主体が連携・協力して取り組むべき地域は、特定の都道府県の区域を越えて広がっている場合も想定される。こうした場合には複数の都道府県が協力して共同で協議会を設置することが可能である。
      2. (2)協議会の体制
        1.   ア 協議会の体制については、効率的な運営に留意し、団体を含む場合はその代表等から構成することによって、適切なものとすることが望まれる。
        2.   イ 協議会の円滑な運営を確保するため、協議会の事務処理体制を整えておくことが望まれる。

      3.協議会の運営

      1.   ア 協議会の運営に際しては、協議会における総意の下、公正かつ適正な運営に留意する。
      2.   イ 協議会の議事は原則公開とし、協議会の運営に係る透明性を確保する。また、協議会の運営に際して、地域内の専門家だけでなく、必要に応じて、外部の専門家や学識経験者等からの意見聴取を行う。
      3.   ウ 協議会については、運営規則に基づく適切な運営の確保が望まれる。
      4.   エ 協議会は、地域計画の進捗状況の確認や必要に応じた見直し等を適時に行うため継続的な運営が求められることから、定期的に開催されることが望まれる。

      第4 海岸漂着物対策の実施に当たって配慮すべき事項その他海岸漂着物対策の推進に関する重要事項

      1.推進体制

      1. (1)政府の推進体制
      2.  海岸漂着物対策に関連する施策を関係省庁が連携して実施するため、関係各省庁相互間の緊密な連携の確保を図ることが重要である。

         このため、環境省その他の関係行政機関は、海岸漂着物対策推進会議での円滑かつ適切な連絡調整等を通じて相互に連携の強化を図ることが必要である。

         また、海岸漂着物対策推進会議は、対策に関する事項について専門家会議による進言を得て、適切に運営されるよう留意されなければならない。

      3. (2)政府・地方公共団体間の推進体制
      4.  政府は、地方公共団体の担当者会議等を活用し、地方公共団体と緊密な情報交換を行う等、地方公共団体との連携を図るものとする。

         その際には、地方公共団体内で環境部局と海岸部局を始め関係部局間の横断的な連携が図られるよう、関係府省が連携して適切な配慮を行う。

      5. (3)政府・地方公共団体間の推進体制
        1.  [1] 都道府県内部での連携
        2.  都道府県の内部では、環境部局と海岸部局を始め、農林水産、土木、教育等関連部局間の横断的な連携が図られることが重要であり、関係部局間の連絡調整のための体制の整備が図られることが望まれる。

        3.  [2] 都道府県・市町村間の連携
        4.  海岸漂着物対策の推進に際し、都道府県と関係市町村との連携が図られるよう、協議会の活用を始め、相互の連絡調整等を円滑に図るために必要な体制を整備することが望まれる。

        5.  [3] 都道府県間の連携
        6.  都道府県は、地域外から流入する海岸漂着物等への対応や、海岸漂着物等の発生抑制での連携・協力が円滑に図られるよう、近隣の都道府県と必要な体制を整備することが望まれる。

        7.  [4] 民間団体等、事業者等との連携
        8.  都道府県や市町村においては、それぞれの地域ごとに活動する民間団体等、事業者等が異なる場合があるため、都道府県・市町村間又は都道府県間の連携と併せて、各地域の民間団体等、事業者等の連携も図られるよう配慮することが重要である。その際には、広域的なネットワークを構築して活動している民間団体等がコーディネーターとしての役割を果たし得ることから、このような主体との連携を図ることが有益である。

           また、これまで、地域において様々な主体の連携により実施されてきた海岸漂着物対策をさらに拡大、効率化し、加速化させるためには、科学的なデータに基づき、他の地域や分野での施策の成功事例を取り入れながら、内陸地域から沿岸地域までの各主体が連携し一体となって複数主体の取組を有機的に組み合わせて進めることが必要であることから、協議会等を活用しつつ、関係主体間で広く情報を共有し、連携・協力を図ることが重要である。

      6. (4)海岸漂着物対策活動推進員等の活用
      7.  海岸漂着物対策活動推進員等は、地域の海岸漂着物対策の重要性に関する住民の理解の深化、流域圏の内陸地域から沿岸地域までの各主体が一体となった取組、住民や民間団体等に対する助言や情報提供その他の協力の実施等、地域の海岸漂着物対策に係るパートナーシップづくりの中核的役割を担うことが期待される。

         このため、都道府県は、住民や民間団体等への情報提供や海岸漂着物等の処理等に関する助言の実施、普及啓発等に当たって、海岸漂着物対策活動推進員等を委嘱等し、積極的に活用することが望まれる。

      2.各種施策の点検

       政府は、海岸漂着物対策に関する各種施策について、毎年の実施状況等を把握し、公表するよう努める。また、施策の実施状況等を勘案し、施策の改善又は新たな施策の検討等必要な措置を講ずる。

      別紙 注釈

      1 マイクロプラスチック:微細なプラスチック類のこと。一般に5㎜以下のものをいう。含有・吸着する化学物質が食物連鎖中に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が懸念されている。

      2 持続可能な開発目標(SDGs):2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。17の重要項目ごとの到達先を示した地球規模レベルでの目標(ゴール)が設定されている。

      3 海洋ごみに対するG20行動計画:2017年7月のG20ハンブルク・サミット(ドイツ)において、G20では初めて海洋ごみ問題が取り上げられ、合意された行動計画。海洋ごみを防止するための政策策定の促進、廃棄物防止及び資源効率の促進、持続可能な廃棄物管理の促進、意識向上、教育及び調査の促進等の取組を盛り込む。

      4 循環型社会:製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会。

      5 生分解性プラスチック:プラスチックとしての機能や物性に加えて、ある一定の条件の下で自然界に豊富に存在する微生物などの動きによって分解し、最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つプラスチック。

      6 スクラブ製品:角質除去や清浄の目的で、研磨剤(スクラブ剤)が配合された洗顔料等の製品。

      7 マイクロビーズ:人為的に製造された粒子状のマイクロプラスチック。

      8 ペレット:球形又は円柱形に固めた造粒物。プラスチックなどの工業原料を加工しやすいように3~5㎜程度の粒子状にしたもの。

      9 リスクコミュニケーション:国民、国、地方公共団体、NPO・NGO、事業者等の関係する全ての者が、化学物質などによる環境リスクの程度、環境リスクに対する感じ方・考え方、対策などについて、情報を共有しつつ、意見の交換を図り、相互の信頼を築き理解を促進するため、対話を進めていくもの。

      10 海岸漂着物対策専門家会議:海岸漂着物処理推進法第30条第2項に基づき、海岸漂着物対策に関し専門的知識を有する者によって構成される会議。海岸漂着物対策の推進に係る事項について、海岸漂着物対策推進会議に進言する。

      11 海岸漂着物対策推進協議会:海岸漂着物処理推進法第15条第1項に基づき、都道府県が、都道府県の地域計画の作成又は変更に関する協議や海岸漂着物対策の推進に係る連絡調整を行うために、単独で又は共同して組織する協議会。

      12 北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP):北西太平洋地域における海洋及び沿岸の環境保全・管理・開発のための行動計画。1994年9月、日本、韓国、中国及びロシアが出席して第1回政府間会合(韓国・ソウル)を開催し、関係国が協同してNOWPAPに取り組むことを承認した。同行動計画を踏まえたプロジェクトが進められている。

      13 ASEAN+3:ASEAN加盟10か国に、日本・中国・韓国が加わった13か国の会議。1997年から首脳会議等が開催されている。

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