法令・告示・通達

瀬戸内海環境保全臨時措置法施行規則第四条第一項の事前評価について

  • 公布日:昭和49年4月9日
  • 環水規76号

(各瀬戸内海関係府県知事・各政令市長あて環境庁水質保全局瀬戸内海対策室長通達)
 瀬戸内海環境保全臨時措置法施行規則(昭和四八年総理府令第六一号。以下「規則」という。)第四条第一項に規定する事前評価に関する事項について、左記のとおり暫定的にとりまとめたので、今後の瀬戸内海環境保全臨時措置法(昭和四八年法律第一一〇号)第五条第一項または第八条第一項の規定に基づく特定施設の設置または構造等の変更の許可にあたつてとりあえず参考とされたい。

1 排水口の位置について

  規則第四条第一項第一号の排水口の位置については、当該特定事業場のすべての排水口について図示するとともに、当該許可申請に係る特定施設の排水口の位置を明示すること。

2 周辺公共用水域の範囲について

  規則第四条第一項第二号の周辺公共用水域の範囲については、次のように取扱うとともに、その範囲及びその周辺の状況を図示すること。

  1.  (1) 海域(河川感潮域は河川域とみなす。以下同じ。)に排出する場合
    •   ア 新設部分(変更の場合は変更部分、以下同じ。)に係る排水口ごとに、その排水量(一日当り最大量。以下同じ。)を用いて、次式により求められる各排水口を中心とする半径rの円内水域とする。ただしある円内水域が他の円内水域に完全に重複する場合あるいは隣り合う円内水域が部分的に重複し、かつ重複部分に一以上の排水口がある場合及びその様な状態で円内水域が相連らなる場合は、それらの各円内水域の各排出水を一体の排出水(排水口はそれらの加重平均位置にあるものとし、排水量はそれらの合計量とする。)とみなして算出される統合円内水域とする。
          なお、前記により求められた円内水域(統合されたものは統合円内水域とする。以下同じ。)に当該特定事業場の他の排水口がある場合には、更に一回を限度として、それらの排水口からの各排出水を一体の排出水(当該他の排出口が複数の円内水域に含まれる場合は、その排水口は排水量の大きい方の円内水域に属させるものとし、排水口はそれらの加重平均位置にあるものとし、排水量はそれらの合計量とする。)とみなして算出される統合円内水域とする。
          log(12θ/2)=1,226 logQ+0.086(新田式)
         (/r:排水口より周辺公共用水域の外縁までの距離(m)。/Q:拡散角度(例、半円に一様に拡散する場合はQ=π)。/a:排水口よりの一日当りの最大排水量(m3/日)。/)
    •   イ アにかかわらず新設部分に係る排水口(一体とみなすものを含む。)からの新規に増大する排水量が一〇、〇〇〇m3/日以上である場合には、アで求められたrの二倍を半径にした円内水域とする。
    •   ウ ア及びイにかかわらず汚濁負荷量が減少(現状維持を含む。以下同じ。)する排水口(一体とみなすものを含む)に関しては、範囲の決定を省略できるものとする。
  2.  (2) 河川域(河口までとする。以下同じ。)に排出する場合、当該特定事業場の最下流側にある排水口から、その事業場の全排水量(新設部分に係る排出水を含む。)が排出されるものとみなし、河川の流況により次のように定める。ただし、汚濁負荷量が減少する場合は範囲の決定を省略することができる。
    •   ア 排水口直下の河川低水流量(不明な場合には、低水時に近い流量とする。以下同じ。)が排水量の一〇〇倍以上である場合(河口に至つても河川水と排出水とが十分に混合して一様な水質に達すると予想されない場合を除き、排水口直下の河川の低水流量が排水量の一〇〇倍未満であつて、排水口から河口までの間のある地点における低水流量が排水量の一〇〇倍以上となり、かつ当該地点から河口までの間において河川水と排出水とが十分に混合して一様な水質に達すると予想されるときを含む。)
          当該特定事業場の最上流の排水口の位置から、河川水と排出水とが十分に混合して一様な水質に達すると予想される地点までの河川水域とする。
    •   イ ア以外の場合
          当該特定事業場の最上流の排水口の位置から河口までの河川水域、及び河口での流心を中心として(1)のアの式により全排水量を用いて求められる半径rの円内海域(新規に増大する排水量が一〇、〇〇〇m3/日以上である場合には、当該rの二倍を半径とする円内海域)とする。

3 周辺公共用水域の水質の現況等について

  規則第四条第一項第三号の周辺公共用水域の水質の現況等については、当該周辺公共用水域内の環境基準点等における水質の測定資料があれば、その環境基準点等ごとの各測定値を記載するほか環境基準その他の環境目標、排水基準等に定められている物質または項目のうち、当該特定事業場の排出水に関係ある物質または項目に関し、次の測定点における測定値、測定時期及び測定機関名を記載するとともに測定点の位置及びその周辺の状況を図示すること。
  ただし、汚濁負荷量が減少する場合は、周辺公共用水域に相当する水域内の環境基準点等における水質の測定資料があればその各測定値を記載し、ない場合には当該水域内の代表地点を一点設定し、その各測定値及び測定時期、測定機関名を記載するとともに、測定点の位置及びその周辺の状況を図示すること。

  1.  (1) 海域
       次の測定点における表層(水面下〇・五米)及び中層(水面下二・〇米)における一時期一日以上、各一日について三回以上採水分析した測定値の各平均値を記載すること。
    •   ア 新設部分に係る排水口(一体とみなすものを含む。以下(1)において同じ。)からの新規に増大する排水量が一、〇〇〇m3/日未満の場合(排水量が減少するも汚濁負荷量が増大する場合を含む。)
          排水口から周辺公共用水域の外縁へ一方向に直線距離のr/3、2r/3及びrの直近の外側の地点を含む三測定点以上
    •   イ 新設部分に係る排水口からの新規に増大する排水量が一、〇〇〇m3/日以上一〇、〇〇〇m3/日未満の場合
          排水口から、周辺公共用水域の外縁へ三方向に直線距離のr/3、2r/3及びrの直近の外側の地点を含む九測定点以上
    •   ウ 新設部分に係る排水口からの新規に増大する排水量が一〇、〇〇〇m3/日以上五〇、〇〇〇m3/日未満の場合
          排水口から周辺公共用水域の外縁へ三方向に直線距離のr/3、2r/3、r、4r/3、5r/3及び2rの直近の外側の地点を含む一八測定点以上
    •   エ 新設部分に係る排水口からの新規に増大する排水量が五〇、〇〇〇m3/日以上の場合
          周辺公共用水域を二〇〇米~五〇〇米メツシユに区分し、排水口の存する区域の中心を起点に周辺公共用水域の外縁へ三方向に測線を想定し、その各測線と交わる各メツシユの中心部の地点を含む一四測定点以上、及び周辺公共用水域外の、排水口を中心とする半径5rの円内水域で算式検定用、その他、として六測定点以上
  2.  (2) 河川域
       周辺公共用水域の直上流、周辺公共用水域内で支川等により流量が変化するすべての地点、及び周辺公共用水域の下流端における水面下水深の二割の水深における一時期一日以上、各一日について、三回以上採水分析した測定値の各平均値のほか、各地点における採水時の推定流量及び低水流量を記載すること。

4 排出水の汚染状態等について

  規則第四条第一項第四号の排出水の汚染状態については、環境基準その他の環境目標、排水基準等に定められている物質または項目のうち、当該特定事業場の排出水に関係ある物質または項目について記載すること。

5 将来水質の変化予測について

  規則第四条第一項第五号の水質の変化の予測については、三の各測定点のうち、周辺公共用水域内のものにおいて行うものとし、その測定項目のうち、水質に及ぼす排出水の影響を排出水が拡散希釈される状態をもつて推定することが妥当である測定項目については次式により予測すること。

  1.  (1) 海域
    •   ア 次式により予測すること。
         S′=S1+(So-S1)・C
         C=1-exp{-(Qo/θdp)((1/x)-(1/l))}(ヨーゼフ・ゼンドナー式)
          注) exp{a}la
        (S′:測定点付近の将来水質(ppm)
         S1:周辺公共用水域の外縁直近の外測の測定点の現況水質(ppm)
         So:周辺公共用水域の範囲の決定に用いた排出水質の平均値(ppm)。ただし一体とみなされる場合には、各排水口における平均値の加重平均値とする。
         C:希釈率
         Qo:周辺公共用水域の範囲の決定に用いた排水量(m3/日)
         Q:拡散角度(例半円に一様に拡散する場合は、θ=π)。
         a:排出水の混合層厚(m)。原則として2mとする。
         P:拡散速度(m/日)。原則として864m/日とする。
         x:排水口より測定点までの距離(m)。
         l:排水口より周辺公共用水域外縁までの距離(m)。)
    •   イ アにかかわらず、新設部分に係る排水口(一体とみなすものを含む。)の新規に増大する排水量が五〇、〇〇〇m3/日以上の場合には、電算機により次の基本式を用いた数値解法により算定するものとし、塩分の現状濃度分布等の計算を実施するなど再現性を十分検討するとともに、当該特定事業場以外から排出される汚濁負荷量の資料が入手できる場合には絶対濃度で、入手できない場合には相対濃度を計算し、希釈率を求めて、将来水質を推定する。また計算対象範囲は二〇KMを限度として周辺公共用水域の二・五倍の範囲とし、その境界値としては、絶対濃度計算の場合には周辺公共用水域の二・五倍以上の沖合の水質を、相対濃度計算の場合には0をそれぞれ用い、拡散係数は最大流速が0~0.3m/secの場合には104cm2/sec、0.31~3.0m/secの場合には105cm2/sec′3.01m/sec以上の場合には106cm2/secをそれぞれ採用するものとする。
          (∂s/∂t)+(∂(Us)/∂x)+(∂(Vs)/∂y)=Kx×(∂2s/∂x2)+Ky×(∂2s/∂y2+g
         (/S:点(x、y)における時刻tにおける濃度。/Uv:それぞれx方向、y方向への流速。/)
        (Kx、Ky:それぞれx方向、y方向への拡散係数。
         g:単位時間、単位体積あたりの平均汚濁負荷量。
         なお、U、Vについては原則として境界値の強制振動値としてM2潮を用いて次式の数値解法により求めるものとする。
         (∂M/∂t)=-g(H+h)(∂h/∂x)
         (∂N/∂t)=-g(H+h)(∂h/∂y)
         (∂h/∂t)=-((∂M/∂x)+(∂N/∂y))
         (H:水深
          h:潮汐による水位変動量
          M:M=U(H+h)
          N:N=V(H+h)
          g:重力の加速度))
    •   ウ ア及びイにもかかわらず、汚濁負荷量が減少する排水口(一体とみなすものを含む。)に関しては汚濁負荷量の減少する旨を記載すれば足りることとする。
  2.  (2) 河川域
       次式により予測すること。ただし、汚濁負荷量が減少する場合は、汚濁負荷量が減少する旨を記載すれば足りることとする。
       S′=((So+(SoQo-S′oQ′o))/(Q+(Qo-Q′)))
     (S′:測定点附近で排水と河川水が十分に混合したと仮定したときの将来水質(ppm)
      S:測定点附近の現況水質(低水量時)(ppm)。
      Q:測定点附近の流量(低水量時)(m3/日)。
      So:新規に増大する排出水を含む、当該特定事業場よりの全排出水の水質の平均値(ppm)。
      Qo:新規に増大する排水量を含む、当該特定事業場よりの全排水量(m3/日)。
      S′o:現状での当該特定事業場よりの全排出水の水質の平均値(ppm)。
      Q′o:現状での当該特定事業場よりの全排水量(m3/日))

6 その他参考となるべき事項について

  必要に応じ、スラツジの処理方法、あるいは低質等の調査結果
  上水道その他の取水源位置との関係、漁業権との関係、自然環境保全地域との関係等を記載すること。

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