法令・告示・通達

水質調査方法

  • 公布日:昭和46年9月30日
  • 環水管30号

各都道府県知事・政令市長あて環境庁水質保全局長通達

一 目的

  この水質調査方法は、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号。以下「法」という。)に基づき都道府県知事が行なう公共用水域の水質の汚濁の状況の常時監視のための水質調査「水質汚濁に係る環境基準について(昭和四十五年四月二十一日閣議決定。以下「環境基準」という。)」に基づく水域類型へのあてはめに必要な水質調査および法第三条第三項の上乗せ排水基準設定のための水質調査ならびに工場事業場の排出水(法第二条第三項の排出水をいう。以下同じ。)の水質調査および公共用水域の底質調査につき、準拠すべき原則的方法を示したものである。従つて、これらの調査の実施にあたつては、この調査方法を原則としつつ、当該水域の具体的な状況を考慮し、実効ある調査を行なうものとする。

二 水質調査の種類

  水質調査の種類は、次のとおりとする。

 (1) 監視測定調査

   監視測定調査とは、環境水質監視調査および排水水質監視調査をいい、その内容は次のとおりとする。

  ア 環境水質監視測定調査

    環境基準の維持達成状況を把握するために実施する公共用水域の水質調査とする。

  イ 排水水質監視測定調査

    工場、事業場の排出水の汚染状態について、法第三条第一項および第三項の排水基準(以下単に「排水基準」という。)の遵守状況を把握するために実施する調査とする。

 (2) 基準設定調査

   基準設定調査とは、環境基準設定調査および排水基準設定調査をいい、その内容は次のとおりとする。

  ア 環境基準設定調査

    公共用水域について、環境基準の水域類型へのあてはめに必要な資料を得るために実施する水質調査とする。

  イ 排水基準設定調査

    上乗せ排水基準の設定に必要な資料を得るために実施する工場、事業場の排出水の汚染状態についての調査とする。

 (3) 底質調査

   公共用水域の底質の悪化の状況の調査とする。

三 調査項目および回数

  公共用水域および工場、事業場の排水口において調査すべき項目および調査回数は、次のとおりとする。

 (1) 環境水質監視調査および環境基準設定調査

  ア 環境基準項目

  1.    (ア) 環境基準で定めている人の健康の保護に係る項目(以下「健康項目」という。)については、毎月一日以上各一日について四回程度採水分析することを原則とする。このうち一日以上は全項目について実施し、その他の日にあつては、水質の汚濁の状況、排出水の汚染状態の状況等からみて必要と思われる項目について適宜実施することとする。
  2.    (イ) 環境基準で定めている生活環境の保全に係る項目(以下「生活環境項目」という。)については、次による。
    1.     a 通年調査
            環境基準の水域類型へのあてはめが行なわれた水域につきその維持達成状況を把握するための地点(以下「基準点」という。)、利水上重要な地点等で実施する調査にあつては、年間を通じ、月一日以上、各一日について四回程度採水分析することを原則とする。ただし、河川の上流部、海域における沖合等水質変動が少ない地点においては、状況に応じ適宜回数を減じてもよいものとする。
    2.     b 通日調査
            aの通年調査地点のうち、日間水質変動が大きい地点にあつては、年間二日程度は各一日につき二時間間隔で十三回採水分析することとする。
    3.     c 一般調査
            上記以外の地点で補完的に実施する調査にあつては、年間四日以上採水分析することとする。

  イ 環境基準項目以外の項目

    排水基準が定められている項目その他水域の特性把握に必要な項目等について、利水との関連に留意しつつ、アに準じて適宜実施する。

 (2) 排水水質監視調査および排水基準設定調査

   排水水質監視調査にあつては、排水基準に定められている項目について、工場事業場における排水基準の遵守状況を把握するとともに、排水基準の違反のおそれがある工場、事業場および当該公共用水域の水質の汚濁に大きな影響を及ぼす工場、事業場については、調査頻度を高めて重点的に採水分析を行なうものとする。
   排水基準設定調査にあつては、工場、事業場の排水の実態に着目し、排水基準設定に必要な項目について年間四日以上採水分析を行なうこととする。

四 調査時期、採水地点、採水方法等

  調査時期、採水地点、採水方法等については、河川、湖沼、海域および排水口の区分ごとにそれぞれ次の要領によることとする。

 (1) 河川

  ア 調査の時期

    低水流量時および水利用が行なわれている時期を含めるものとする。
    採水日は、採水日前において比較的晴天が続き水質が安定している日を選ぶこととする。

  イ 採水地点

    採水地点は、次の地点を考慮して選定する。ただし、環境、水質監視調査においては、必ず基準点を含むこととする。

  1.    ① 利水地点
  2.    ② 主要な汚濁水が河川に流入した後十分混合する地点および流入前の地点
  3.    ③ 支川が合流後十分混合する地点および合流前の本川または支川の地点
  4.    ④ 流水の分流地点
  5.    ⑤ その他必要に応じ設定する地点

    なお、各採水地点は原則として流心とするが、汚濁水の偏流が著しい場合、川幅が広い場合等においては、状況によつては右岸部と左岸部を別々の採水地点として設定する。これらの試料は、原則として相互に混合しないこととする。

  ウ 採水方法

    採水の部位は、水面から原則として水深の二割程度の深さとする。
    採水時刻は、人間の活動時、工場、事業場の操業時および汚濁物質の流達時間を考慮して決定する。なお、感潮域では潮時を考慮し、水質の最も悪くなる時刻を含むよう採水時刻を決定する。

  エ 採水量

    健康項目(全項目の場合)については4~5l、生活環境項目については500ml~1lとし、その他の場合については必要に応じ採水量を増加する。採水後ただちに分析できない場合は、工場排水試験方法(JISK0102°以下「規格」という。)に定める保存法により試料を保存する。

  オ 採水時に実施すべき事項

    採水日時、水面幅、採水地点の右岸または左岸からの距離、水深、流量、流向、降雨状況、採水地点付近の地形および利水状況、主要な汚濁源など記録する。また、一部試料の酸素固定を行なうほか、水温、気温、色相、濁り、臭気、生物相などについても現地で測定または観測するのを原則とする。

  カ 流量測定方法

    流量は、水質と不可分のものであり、汚濁負荷量の推算に必要であるから、できるだけ正確で、水質測定時と時間的ずれがないことが必要である。流量は、一般に横断面を適宜に分割し、それぞれの断面の平均流速を測定し、それぞれの断面の流速と深浅測量により求めた断面積を乗じて和したものとする(図参照)。水位流量曲線などにより、流量が別に得られる場合は、これによる。
  図 流量測定方法
図:流量測定方法
    Q:流量
    An:断面積
    Vn:平均流速
     Q=図:流量測定方法AnVn=A1V1+A2V2+・・・・・・・・+AnVn
   (注) 平均流速の測定方法には種々の方法があるが、ここでは原則として次の方法による。
    水深が1m以上の場合 流速計による二点法(水面より水深の二割および八割の深さの流速を平均した値)
    水深が1m未満の場合 流速計による一点法(水面より水深の六割の深さの流速)
     ただし、水深が極端に浅く、流速計による測定が不可能な場合は浮木測定などによることができる。

 (2) 湖沼

  ア 調査の時期

    湖沼においては、停滞期と循環期の水質は著しく異なるので、その両期の水質を測定するよう考慮する。また、水質が水利用に悪影響を及ぼす時期を含めるものとする。
    採水日は、採水日前において比較的晴天が続き、水質が安定している日を選ぶこととする。

  イ 採水地点

    湖沼の汚濁状況を総合的に把握できるように、次の地点を考慮して選定する。ただし、環境水質監視調査においては必ず基準点を含むこととする。

  1.    ① 湖心
  2.    ② 利水地点
  3.    ③ 汚濁水が湖沼に流入した後十分混合する地点
  4.    ④ 河川が流入した後十分混合する地点および流入河川の流入前の地点
  5.    ⑤ 湖沼水の流出地点

  ウ 採水方法

    循環期には、表層から採水する。停滞期には、深度別に多層採水を行なう。深度の区分は、5~10mごとを標準とする。採水時は、河川の場合に準じる。

  エ 採水量および採水時に実施すべき事項

    河川の場合に準じる。

 (3) 海域

  ア 調査の時期

    水質が水利用に悪影響を及ぼす時期を含めるものとする。流入河川の調査があれば、この時期とあわせるのが望ましい。なお、採水日は、原則として大潮期の風や雨の影響の少ない日を選ぶ。

  イ 採水地点

    採水地点は、水域の地形、海潮流、利水状況、主要な汚濁源の位置、河川水の流入状況等を考慮し、水域の汚濁状況を総合的に把握できるようにして選定する。採水地点間の最短距離は500m~1km程度を標準とする。ただし、環境水質監視調査においては、必ず基準点を含むものとする。

  ウ 採水方法

    原則として表層および中層から採水する。表層とは、海面下0.5m、中層とは海面下2mの水位置とする。水深が5m以浅の地点では表層のみから採水する。ただし、水深が10mをこえる地点では、必要に応じ下層(海面下10m)からも採水する。
    採水時は、昼間の干潮時を含める。なお、採水にあたつては、一斉採水が望ましい。
    また、各層の試料を別々に採水分析するのを原則とするが、環境水監視調査にあつては、各層から等量づつ採取した試料を混合し、分析してもよい。

  エ 採水量

    採水量は、河川の場合に準ずる。ただし、生活環境項目のうち、n―ヘキサン抽出物質については別に10lの試料をとることとする。採水後ただちに分析できない場合は、規格に定める保存方法により試料を保存する。

  オ 採水時に実施すべき事項

    採水日時、採水地点の位置、水深、干満潮の時刻および潮位、潮流、降雨状況、風向、風速または風力、採水地点付近の利水状況、主要な汚濁源等を記録する。また、一部試料の酸素固定を行なうほか、水温、気温、色相、濁り、臭気、透明度、塩分等についても、現地で測定または観測するのを原則とする。

 (4) 工場事業場排水

  ア 調査の時期

    工場、事業場の業種、操業の状態、季節的な変動等を考慮し調査することとするが、排水水質調査にあつては、本調査が環境水質監視調査と不可分の関係にあることを考慮し、環境水質監視調査の時期とあわせて行なうことを原則とする。

  イ 採水地点

    採水地点は、排水口とする。なお、排水口で採水出来ない場合は、排水口と同質の排水が採水可能な最終の排水処理施設等の排出口とする。また、排水基準設定調査においては、汚水等の処理施設のある場合、必要に応じてその施設への流入前の地点も追加するものとする。

  ウ 採水方法

    採水は、工場事業場の一日の操業時間内に三回以上行なうことを原則とし、水質変動が少ないものについては適宜回数を減じてもよいものとする。分析用試料は、各採水時毎に分析するのを原則とするが、排水基準設定調査にあつては、一日の試料を混合分析してもよいものとし、一日のコンポジツトサンプルが自動的に得られる場合は、この試料について分析してもよいものとする。

  エ 採水量

    採水量等は、測定項目に応じ、それぞれ規格に定める方法による。

  オ 採水時に実施すべき事項

    採水日時、排水量、排水口付近の生物相等を記録する。また、水温、色相、臭気、透視度などについて現地で測定または観測するのを原則とする。

五 底質調査

 (1) 採泥の対象水域

   底質が悪化し、そこに含まれる物質が公共用水域の水質や環境に影響を及ぼしているものと考えられる水域について採泥を行なう。

 (2) 採泥の時期

   底質中に含まれる物質が、水利用に悪影響を及ぼす時期を含めることとし、当該水域につき水質調査を実施することとされている場合は、水質調査の実施時期にあわせる。

 (3) 採泥地点

   主要な汚濁源の近傍・河口部のほか、地形や潮流により堆積泥が多く、底質の悪化が考えられる地点を選定する。なお、対象地点として堆積泥の少ないと思われる地点も選定する。
   堆積泥の分布状況が未知の場合は、採泥地点は均等に設けることとし、河口部等の堆積泥の分布状況が変化しやすい場所では、適宜地点を密にする必要がある。

 (4) 採泥の方法

   採泥試料は、同一場所で少しずつ位置をかえ採取することを原則とする。表泥採取は、全地点で行なうこととし、必要と認められる地点では、柱状採泥を行なう。

 (5) 採泥時に実施すべき事項

   採泥日時、採泥地点、採泥地点付近の地形地質、流速、流向、採泥方法(使用した採泥器の型名)、底質の状態(堆積物、砂、泥などの別)の記録の他、泥温、色、臭、外観(特に底泥表面の酸化膜の有無と厚さ)大型生物、PH(PHメーターによる。)Eh(酸化還元電位 Ehメーターによる。)はただちに観測測定し、試料はできるだけすみやかに分析する。分析までやむをえず長時間を要する場合は、温度を低く保つておくこととする。

 (6) 測定項目

   健康項目のほか、PH,Eh COD、強熱減量、硫化物含有量および含水量とする。測定値は、試料の乾燥重量および湿重量のそれぞれ1g当りのmg数(mg/g)を併記するのを原則とするが、mg/kgで表わしてもよいこととする。

六 分析方法

  環境水質監視調査および環境基準設定調査における採水試料の分析方法は、環境基準項目については環境基準に掲げられた検定方法によることとし、その他の項目については、昭和四十六年六月二十一日経済企画庁告示第二十一号(以下「告示」という。)に掲げる方法によることを原則とする。また、排水水質監視調査および排水基準設定調査における採水試料の分析方法は、告示によることとする。
  環境基準および告示に掲げられた項目以外の項目について分析を行なう場合は、日本工業規格、上水試験方法、下水試験方法等、科学的に確立された分析方法によることとする。
  なお、分析結果の記録に際しては、項目別に分析方法も付記することとする。

ページ先頭へ