法令・告示・通達

水質汚濁防止法等の一部を改正する法律の運用について

公布日:平成2年08月01日
環水規217号

(各都道府県知事あて環境庁水質保全局長通知)
 水質汚濁防止法等の一部を改正する法律の施行については、平成二年八月一日付け環水規第二一六号をもつて環境事務次官より通知したところであるが、同改正法に基づく生活排水対策重点地域の指定、生活排水対策推進計画の策定等に関しては、左記により運用することとされたいので、御了知の上、改正法の施行に万全を期されるとともに、貴管下市町村に対する周知方にも遺漏なきを期されたい。

一 生活排水対策重点地域の指定について

  水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号。以下「法」という。)第一四条の六第一項に規定する生活排水対策重点地域は、水質環境基準が現に確保されていないか又は確保されないおそれが著しい公共用水域で生活系の汚濁負荷が産業系に比べ相対的に大きいもの、国立公園等の自然公園内の水域、各水等で特に水質の保全が図られてきた水域で生活系排水による汚濁が危惧されるもの等に関して、都道府県知事が生活排水対策の実施が特に必要であるか否かを判断するものである。
  都道府県知事が生活排水対策重点地域の指定又は変更を行うに際しては、関係市町村の意見を十分に尊重するとともに、生活排水対策の推進に関係する都道府県内の部局、関係都道府県、関係行政機関等と必要な連携を図るものとする。
  また、都道府県知事が生活排水対策重点地域の指定又は変更を行つたときは環境庁に通知するものとする。
  さらに、法第一四条の六第四項の規定に基づき都道府県知事が生活排水対策推進市町村に通知を行う場合には、施行通知又は運用通知に定める計画策定に係る留意事項も併せて通知することとされたい。
  なお、公共下水道により生活排水の処理がなされている下水道の処理区域は生活排水対策重点地域には指定しないものとし、また、下水道の処理区域として公示された区域については、生活排水対策重点地域から除くように変更を行うものとする。

二 生活排水対策推進計画の策定等について

 (一) 生活排水対策推進計画の策定手続き等について

   法第一四条の七第二項に規定する生活排水対策推進計画の策定に際しては、生活排水対策の推進に関する他の計画の内容を十分に了知の上、生活排水による公共用水域の汚濁を防止する観点から必要な調整を行い、その整合性が図られるように留意するものとする。また、既に生活排水処理施設の整備に関する計画が整備されている場合は、既存の調査結果、データ等についてその活用を図ることは差し支えないものである。なお、生活排水対策の推進に関係する市町村内の部局、関係市町村、関係行政機関等と必要な連携を図つて計画を定めるものとする。
   法第一四条の七第四項の規定により、生活排水対策推進市町村から計画案が通知されたときは、都道府県内の生活排水対策の推進に関係する部局に連絡し、必要な連携を図つた上で、同条第五項の規定に基づく都道府県知事の助言又は勧告を行うものとし、同項の規定に基づく助言又は勧告は、市町村から通知のあつた計画案では、生活排水による公共用水域の水質の改善効果が乏しいことが明白であつたり、複数の市町村にまたがる水域等において関係市町村の足並みが揃わない等公共用水域の水質保全の観点からみて著しく不適切な場合に限つて行うものであり、生活排水処理施設の整備の事業間調整を目的とするものではないことに留意するものとする。

 (二) 生活排水処理施設の整備に関する事項について

   法第一四条の七第二項の規定に基づき生活排水対策推進計画において定める生活排水処理施設の整備に関する事項については、公共用水域の水質の保全の観点から生活排水処理施設の整備の基本的考え方を示すものであり、中長期的視点に立つて、直ちに整備されるべき施設及び将来的に整備されるべき施設について定めるものとするが、それぞれの生活排水処理施設の具体的な整備は、各事業計画の内容に基づき実施されるものである。
   なお、生活排水対策推進計画に定められる生活排水処理施設には河川区域内に設置されるものは含めないので留意されたい。

 (三) 生活排水対策推進市町村の長の指導、助言及び勧告について

   生活排水対策推進市町村の長が法第一四条の九に基づく指導、助言及び勧告を行う場合は、必要に応じ、市町村内の関係部局と連携を図ることとし、また、生活排水を排出するものに過重な負担とならないように配慮を行うものとする。

三 その他の留意事項

 (一) 生活排水対策の推進に係る規定の適用範囲

   法第二章の二の規定は、法第二条第七項に規定する生活排水に関して適用されるものであり、工場、事業場から生活排水と事業活動に伴う水とがともに排出される場合は、事業活動に伴う排水については同章の規定の適用はないものである。
   また、移動発生源、海洋施設からの排水についても第二章の二の規定の適用はないものである。

 (二) 条例との関係

   生活排水対策に関しては、工場又は事業場から排出される水に関する法第二九条に相当する入念規定は設けられていないが、これは第二章の二に規定する生活排水対策の推進に関する措置が規制的措置を含まないことから、法による規制措置が設けられている工場又は事業場からの排水の場合のような疑念が生じる余地がないからである。
   したがつて、生活排水対策に関して、地方自治体が、法第二章の二に定める措置以外の事項に関して、条例で必要な規制その他の措置を定めることは当然にできるものである。

 (三) 地域の環境保全に関する基金の活用

   生活排水対策に係る啓発事業を進めるに当たつては、平成元年度に設置された地域の環境保全に関する基金の活用についても考慮されたい。