法令・告示・通達

水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令等の施行について

公布日:平成1年04月03日
環水管52・環水規64

[改定]

平成5年3月8日 環水管21号

(各都道府県知事・政令市市長あて環境庁水質保全局長通知)
 水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第七六号)が、平成元年三月二九日に公布され、また、排水基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令(平成元年総理府令第一九号)及び排水基準に係る検定方法を定める等の件の一部を改正する件(平成元年四月環境庁告示第一八号)が本日公布された。
 これらの政令等の改正は、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる水質の汚濁を防止するための排水規制に関するものであり、その実施に当たつては、「水質汚濁防止法の施行について(昭和四六年七月三一日付け環水管第一二号環境事務次官通達)」によるほか、左記の事項に留意のうえ、水質汚濁防止法の円滑かつ適切な運用を図られたい。

  1. 一 水質汚濁防止法施行令等の改正の趣旨
      トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについては、水環境の汚染を通じ、人の健康に影響を及ぼすおそれがあることから、国民の健康保護の観点に立ち、両物質を水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号。以下「法」という。)の有害物質に指定し、排水基準を設定するものである。
  2. 二 水質汚濁防止法施行令等の改正内容
    1.  (一) 水質汚濁防止法施行令の改正
         法第二条第二項第一号の「人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質」(有害物質)として、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンを加える。
    2.  (二) 排水基準を定める総理府令の改正
         トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの排水基準については、次の値とする。
          トリクロロエチレン 〇・三ミリグラム/リットル
          テトラクロロエチレン 〇・一ミリグラム/リットル
    3.  (三) 排水基準に係る検定方法を定める件の改正
         トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの測定方法については、日本工業規格「用水・排水中の低分子量ハロゲン化炭化水素試験方法JIS K 〇一二五」の五とする。
  3. 三 水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令等の施行日
      水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令、排水基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令及び排水基準に係る検定方法を定める等の件の一部を改正する件の施行日は、いずれも平成元年一〇月一日とされた。
      これは、関係事業者に対して政令等の改正の趣旨、内容を十分に周知徹底し、排水処理施設の整備等を指導するための準備期間を見込み、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの排水規制の円滑な実施を図ろうとするものである。
  4. 四 その他の留意事項
    1.  (一) 上乗せ排水基準の設定
         トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの排水基準については、他の有害物質と同様、上乗せ排水基準を設定できるが、水質汚濁防止法施行令(昭和四六年政令第一八八号)第四条の趣旨を踏まえ、水質汚濁に係る環境基準が維持されるため必要かつ十分な程度の許容限度を定めるものとする。
    2.  (二) 届出事務
         法第五条等の届出がなされる場合には、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンが有害物質に指定されたことに伴い、排出水の汚染状態等の届出事項としてトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンに係る事項が必要となる。
         なお、排水規制の実施前において受理された届出に係る事業場については、法第二二条の報告聴取等を行うことにより、これらの物質に係る排出水の汚染状態の把握に努められたい。
    3.  (三) 排水処理における留意事項
         排水処理において、曝気処理によりトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの大気中への相当量の放出が想定される場合には、吸着処理等の他の手法を用いるか、他の手法により前処理を行った後に曝気処理を用いるなど大気環境への影響に配慮を行うものとする。
    4.  (四) 測定方法における留意事項
         トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの測定に当たっては、次の点に十分留意する必要がある。
      1.   ア 溶媒抽出・ガスクロマトグラフ法及びヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法の各々の特徴に十分留意して、試料に応じた方法を用いること。
      2.   イ トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンは揮発性が極めて高いので、操作中の揮散に十分留意するとともに、分析室内汚染、器具汚染等に十分注意を払うこと。