法令・告示・通達

今後の土壌環境モニタリングの考え方について(土壌環境モニタリングプランの送付)

  • 公布日:平成17年6月29日
  • 環水土第50629001号 

(環境省環境管理局水環境部長から都道府県知事・政令市市長あて)

 三位一体補助金改革に伴う環境監視に係る国の補助制度の廃止等の状況を受け、平成17年6月24日に開催された中央環境審議会土壌農薬部会において、今後の土壌環境モニタリングの考え方について御議論いただいたところ、土壌環境モニタリングのうち、農用地土壌環境モニタリング及びダイオキシン類汚染土壌モニタリングについては、おおむね従来のモニタリングの考え方どおりに都道府県等が法定受託事務としてモニタリングすればよいこととされ、市街地土壌汚染については、都道府県等にのみ任せるのではなく、環境基準設定等の国としての役割を果たすための基礎となるモニタリングデータを国が整備すべきことを中核とする「土壌環境モニタリングプラン」(別紙)を策定することとされた。
 環境省は、この「土壌環境モニタリングプラン」に基づき、今年度から市街地土壌汚染に係るモニタリングを実施することとしており、各地方公共団体におかれては、環境省が行うモニタリング地点の選定等に関して、格別の御協力をお願いしたい。
 なお、都道府県等は、環境基本法において「国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされ、また、地方自治法においては「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とされている。このことを踏まえ、「土壌環境モニタリングプラン」においては、都道府県等が行う環境モニタリングについて、技術的な提言を行い、地方公共団体の参考に供する内容も盛り込まれていることから、御参考とされたい。



土壌環境モニタリングプラン



平成17年6月



環境省環境管理局水環境部

1. はじめに

 環境の状況のモニタリングは、環境の変化及び環境の変化による影響を予測し、環境の現状や予測される将来に応じた環境施策を講ずるうえで欠くことのできない基礎的な施策である。
 これまで土壌環境の監視については、環境省は、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(以下「農用地土壌汚染防止法」という。)、ダイオキシン類対策特別措置法及び土壌汚染対策法のそれぞれの法施行体系において、都道府県及び政令で定める市(以下「政令市」という。)に対する国庫補助制度を設け実施を担保し又は奨励してきた。
 これらの法のうち、農用地土壌汚染防止法及びダイオキシン類対策特別措置法には都道府県等に環境の常時監視義務が法定受託事務として定められ、環境省がその事務の処理基準を定めて必要な環境監視の実施を確保してきている。なお、土壌汚染対策法においては常時監視義務の規定はないものの、国庫補助の要綱などにより、奨励したい環境監視の内容を示して環境監視を促進してきた。
 ところで、環境監視補助金はこのたびの三位一体改革により税源移譲の対象として廃止することとなった。このことが環境監視データの整備に与える影響は、上記のような法制度上の差異に起因して、農用地土壌汚染防止法及びダイオキシン類対策特別措置法に関するものよりも土壌汚染対策法に関するものの方が大きい。すなわち法に定めた常時監視義務に基づく環境監視と、補助金により実施を奨励してきた環境監視の差である。実施義務が法定されている常時監視事務は、補助金の有無にかかわらず、これまでどおり都道府県等に対して処理基準を示してその質と量を担保することになる。一方、国庫補助の要綱等に基づき、土壌汚染対策法に関する環境監視として、国と都道府県等により共同の作業として行われてきた土壌の状況の把握は、今後は、環境基本法に定める国と地方公共団体の役割分担に立ち返って、それぞれの立場で必要とする環境情報を収集するために行われることになる。
 そのため、今般、農用地以外の土地に係るダイオキシン類以外の土壌汚染状況の監視について、環境基本法に照らして国として行うべきものである事務の内容をレビューして再整理し、今後の環境政策の展開に活用すべく、土壌環境モニタリングプランとしてとりまとめることとした。

2.  環境監視における国(環境省)の役割

  国は、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する(環境基本法第6条)。
  この責務を果たすため、国は(I)環境基準の策定(同法第16条)、(II)環境保全のための様々な施策の立案のために行う、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査(同法第28条)等の施策を講じている。
  国は、これまで人の健康保護のため、飲料水経由の曝露(地下水の保全の観点)を考慮した土壌環境基準と農用地の土壌環境基準を設定しているところであるが、他の暴露経路による健康影響を防止するための基準及び海面埋立地、住宅、工場等の市街地や農用地、山林等といった土地の利用目的に応じた「生活環境保全上望ましい基準」の設定並びにそれらの基準を維持達成するための施策の検討及び実施が課題となっている。
  この課題に対応するためには、まず土壌の汚染状況を正しく把握したうえで、その状況が人の健康に与えるリスクはどの程度であるか、その状況をもたらした原因は何であるか、生活環境の保全上生じうるリスクはあるかなどの検討を土地の利用目的を踏まえつつ行うことが必要となる。
  この検討は、土壌汚染が人の健康に与える影響については、大気経由(土壌からの揮発)、汚染物質が蓄積した食物の摂食、表土流出により汚染物質が蓄積した水産物の摂取等様々な曝露の経路の考慮、また、生活環境保全の観点については、植物の生育阻害、水産物への生育阻害、水道の取水障害、土壌中生物や自然生態系全体への影響などの考慮が必要となるが、これらの事項の中には、現時点では必ずしも科学的知見が十分であるとは言えないものもある。
  以上のことから、国として汚染状況を把握し監視するにあたっては、科学的知見の集積の程度を勘案しつつ、可能なものから順次その後の施策の企画立案に係る上記検討を円滑に行えるよう、①人や動植物への暴露経路とそれぞれの程度を推定できるようになっていること、②人為的な汚染と自然的要因による有害物質の存在との区別を可能とすること、③他の環境媒体を経由した周辺からの土壌汚染とその土地の所有者等により生じた土壌汚染との区別を可能とすること、それらのことを踏まえたデータ収集を行う時に、④土地の利用状況と相関させたデータ解析を可能とすること、といった観点を踏まえて行うことが必要である。

3.  これまでの土壌環境の把握方法と今後の展開

  環境省はこれまで都道府県等に対して補助金を交付することにより、市街地の土壌汚染状況の監視を奨励してきた。ところがこの補助金は、三位一体改革に伴い地方に税源移譲することとして廃止した。そのため、今後は環境省と都道府県等がそれぞれの役割に応じて必要な環境監視・調査を行うことになる。
  環境省は、上記2に記したように、環境基準等の基準を策定するとともに、それを維持達成するための施策を検討し実施しなければならず、そのためには土壌汚染状況の把握と監視が必要不可欠である。
  これまで、環境基準に定めてある項目についての環境監視データは補助金により、また環境基準項目の充実や暴露経路の見直しのための情報整備などは調査費により、それぞれ行ってきている。また、過去の調査結果をもとにして、人為的な土壌汚染と自然的要因による有害物質の存在とを区別するための目安を通知により示している。
  今回の税源移譲に伴い、環境基準の達成状況把握や見直しのための実態把握は、国本来の事務として国が行わなければならないことが明確になったが、同時に、このことにより、国が行う環境監視の内容を、国としての新たな政策展開のための調査・検討とあらかじめ関連づけて行うことが容易になった。
  しかしながら、例えば飲料水以外の暴露経路の検討や、生活環境保全のための基準の設定などの新たな政策展開については、いまだ基礎的な調査・検討の段階であり、全国的な環境監視事業の対象として経常的機械的にデータを集積する段階には至っていない。そのため、これらの調査・検討に必要な情報については、当面環境監視とは区別して、比較的狭い地域を念頭に置きつつ、必要があれば実験を行うことも含めて詳細な情報として収集することになる。
  一方、現行の環境基準の達成状況を把握することは、これまでのデータ整理と解析に関する知見をもとにして、把握したデータによる自然汚濁レベルの整理・解析及び様々な人間活動と土壌汚染の程度との相関の解析、並びに環境基準の達成状況が土地利用の内容にどのような影響を及ぼすかに関する解析などに活用しうる。従って、あらかじめ情報の活用方法を念頭に置いて、環境監視の対象土壌の選び方、監視の地点数や頻度、監視項目等の監視内容を工夫することが効率的効果的である。
  そのため、今後の様々な施策の展開を念頭に置きつつ、かつ土壌監視によって得る情報についての必要な量と質を確保しつつ、経常的に環境監視を行うことが可能となっている事項とその段階に至っていない事項を区分した、今後の環境監視の具体的手法と内容について「土壌環境モニタリングプラン」にとりまとめることにした。
この基本的な考え方は次の通りである。

  1.  ①土壌汚染対策法が適用されるか否かの判断のメルクマールでありながら、必ずしも十分なデータによって設定されたとはいえない「自然汚濁レベル」についての整理解析が可能となる環境監視データの取得を第一優先とする。
  2.  ②土壌汚染がある土地について、他の環境媒体を通じて生じた汚染の程度(自然汚濁ではない「もらい汚染」の程度)や、汚染土壌が周辺の環境に与える汚染の影響についての整理解析が可能となる環境監視データの取得を第二優先とする。
  3.  ③上記①及び②のデータを得る際に、環境基準の達成状況が土地利用の内容にどのような影響を及ぼすかに関する解析における基礎的な資料としても活用できるようにするため、可能な限り資料採取地点の土地利用の種類に変化を持たせることとする。
  4.  ④③については特に水面埋立地、造成地などのうち、造成時には土壌環境基準が存在しなかった土地についても含めることとする。
  5.  ⑤①についての環境監視を当初の3年間で行い、次に②についての環境監視を3年間行い、それらの結果が得られた時点で中間的な政策評価を行い、それまでこれらの環境監視と平行して行われることになる新たな暴露経路などの基礎的な調査・検討の成果とあわせてプランの見直しを行う。

4.  土壌環境モニタリングプラン

(1)対象

  農用地以外の土地に係るダイオキシン類以外の土壌汚染状況の監視

(2)年次計画

  第一期(平成17年度―19年度)
   「自然汚濁レベル」についての整理解析が可能となる環境監視データの取得平成20年度にデータを整理解析して、市街地土壌汚染状況調査・対策に関して、平野や盆地を基本的な単位として市街地等の「自然汚濁レベル」をとりまとめる。
  第二期(平成20年度―22年度)
   「もらい汚染」による土壌汚染レベルと、汚染土壌による周辺環境への影響についての整理解析が可能となる環境監視データを取得する。
   平成22年度にデータを整理解析して「汚染土壌と他の環境媒体との間の移動の評価手法」をとりまとめる。
   中間的な政策評価(平成23年度)
 【注】 第二期の調査については、第一期期間中に別途調査データの整理解析方法を整理して実施。この調査は、大気からの降下物等による土壌汚染の状況の監視・調査や、逆に大気環境や公共用水域・底質等へ影響を与える可能性のある土壌汚染の監視・調査(どのような大気汚染物質が土壌に影響を与えるか、またどのような土壌汚染物質が大気環境や底質に影響を与えるか整理が必要。)を行い、大気汚染防止対策や土壌汚染対策等の評価やみなおしの検討に活用できるものとすることを目的とする。

(3)第一期の事業内容

   ある土地の土壌が含んでいる重金属類には、その土地で行われた事業活動に伴って排出されたもののみならず、その土地固有の地質に含まれていたもの、河川の上流から流出してきた土砂等に含まれていたもの、降下した火山灰に含まれていたもの、海進・海退により底質が陸化した土壌に含まれていたもの、土地造成の際に他所から搬入された土等に含まれていたものなどがある。この調査では、全国的な河川堆積物データを解析してとりまとめた「日本の地球化学図」により得られる知見を踏まえつつ、土壌汚染対策法の実務において自然汚濁レベルの目安として利用しうる精度を確保した重金属等のデータを収集し、整理・解析する。
   現在、土壌汚染対策法の施行実務においては、我が国全体の自然汚濁レベルの上限値の目安を一律に定めて法の適用の要否を判断するために用いている。一方、地球化学図の作成によって、土壌中の重金属類の存在状況に地域的な差異があることが明らかにされた。このことを踏まえ、河川上流から運ばれた土砂で形成されていることからおおむね同程度に上流からの自然汚濁の影響を受けているとみられる平野や盆地、又はそれらのうち同一水系にある部分を単位として、土壌汚染対策上の目安となる自然汚濁レベルを示すことを目的とした土壌環境モニタリングを行う。
   また、平野や盆地の中には、上流から運ばれた土砂により影響を受けたとは考えにくくその土地固有の地質に由来する性状を持つと考えられる台地等の土地や、新たに造成されて一定の広がりを持つ地質が新規に形成されたとみることができる埋め立て地等の土地もあるため、上流からの影響による自然汚濁レベルのモニタリングのみならず、地質等に由来するその土地固有の重金属による自然汚濁レベルのモニタリングを行う。
   この場合、国土の5%弱をしめる市街地を中心としてモニタリングすることになるが、特に自然汚濁レベルの目安を必要とするのは、人為的な汚染との区別が必要となった場合であるから、モニタリングに当たっては、平野等のうちある程度の人口や産業が存在する場所を優先して行う。
   なお、上に述べたように、自然汚濁レベルに係るモニタリングにおいては、サンプリングを行う場所についてのみならず、河川の上流も含めて地質や鉱床等についての既存のデータや知見をもとに、サンプリング対象とする地質及び採取場所の妥当性を平野、台地等ごとに各々検討しながら行う。また、公共用水域のモニタリング結果において、自然由来により比較的高い濃度が検出されている地点の情報もサンプリング場所の検討において参考となる。この検討の妥当性を確認する上では、モニタリング対象の重金属類のほかに、その地域の土壌の特性を示す成分があれば、それも分析しておくと役立つ。

 1)上流地質による影響に係る自然汚濁レベル
  (考え方)
  1.   ①河川から運ばれる土砂等によって長い年月をかけて形成されたと考えられる平野、盆地を基礎的な単位として自然汚濁レベルを目安として定めるためのモニタリング。
  2.   ②このモニタリングにあたっては、結果を地球化学図や地質図などの地図情報とあわせて解析することができるように、サンプリング位置の緯度・経度を明確にしておく必要がある。
  3.   ③このモニタリングによって得られるデータと、地球化学図作成に用いられた河川堆積物データとを合わせて数値解析することができるよう、地球化学図に用いられた全含有量の試験方法と、土壌汚染対策法の含有量試験方法とを両方用いてデータ整備を行う。
  4.   ④地球化学図によって上流地質による影響の程度が概略的にわかる物質については、地球化学図ではその地理的な影響範囲の広がりが極めて広いと見なされているために土壌汚染対策法の施行に用いることが特に難しい場合、調査密度を高めるためのモニタリングを行う。
  5.   ⑤地球化学図や地質図をもとにした考察では自然由来による高濃度の存在が説明できない物質(例えば、関東では水銀、鉛)について、上流域の工場排水等の影響が下流域に広域的に及んでいるか否か、及んでいるとすればその程度がどれほどかをモニタリングする。
  6.   ⑥また、地球化学図では調査対象物質となっていないセレン、ほう素及びふっ素についてモニタリングする。
      ⑦なお、地球化学図によって上流域の鉱床や鉱脈の存在による下流への影響の程度や概要がかなり推定できるようになっているが、さらに、現在その精査が進められようとしているので、その結果が得られたときは今後の解析の参考となることが期待される。
 (サンプリング手法等)
  1.   ①平野等を基礎的な単位として、大まかな重金属等の存在状況が把握できる程度の地点数を確保して土壌サンプルを採取する。
  2.   ②具体的なサンプル数は平野等の規模に応じて、また個々の平野等の土地利用の状況に応じて決定する。
  3.   ③具体的なサンプリング場所は、その場所又はその近隣において行われている事業活動の影響が及んでいることが明確であるところを避ける。また、サンプリングの深度についても、そのような影響がモニタリング結果に及ばないように表層を避けて比較的浅い地層(地表下5~50cm程度)とする。ただし、造成地については、盛土の下の地層を対象とする。
 2)当該地の地質等に由来する自然汚濁レベル
  (考え方)
  1.   ①平野や盆地に存在する台地や丘陵地において、河川上流からの影響ではなく当該地の地質等に由来すると考えられる重金属等の存在状況のモニタリングを行う。
  2.   ②①のモニタリングの対象物質は、当該地の地質図などにより推定されるその地質固有の重金属等とする。また、地球化学図では調査対象物質となっていないセレン、ほう素及びふっ素についてモニタリングする。
  3.   ③また、ある程度まとまった地域を構成する程度に広域的な造成が行われた埋め立て地等について、新しい地質が形成されたととらえて重金属等の存在状況のモニタリングを行う。
  4.   ④③のモニタリングの対象物質は、海水由来の砒素、ふっ素及びほう素並びに当該地において広く存在が認められている物質とする。
 (サンプリング手法等)
  1.   ①1)の平野等を基礎的な単位として結果をとりまとめる際に、台地等についての大まかな重金属等の存在状況が把握できる程度の地点数を確保して土壌サンプルを採取する。
  2.   ②サンプル数は台地や埋め立て地等の規模に応じて決定する。
  3.   ③具体的なサンプリング場所は、その場所又はその近隣において行われている事業活動の影響が及んでいることが明確であるところを避ける。また、サンプリングの深度についても、そのような影響がモニタリング結果に及ばないように表層を避けて比較的浅い地層(地表下5~50cm程度)とする。ただし、造成地については、盛土の下の自然地層を対象とする。

5.  自治体が行う環境監視

  地方公共団体は、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。(環境基本法第7条)。この責務を果たすため、地方公共団体は環境基本法第21条(環境の保全上の支障を防止するための規制)及び第28条(調査の実施)等に定められる国の講じる施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を講じている。(環境基本法第36条)
  また、地方公共団体は、地方自治法第1条の2においては、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とされている。
  土壌環境行政においては、都道府県、政令市は、土壌汚染対策法第4条に基づく調査命令を発出し、調査結果を基にして、同法第5条の区域指定をし、第7条の措置命令を発出する等の措置を講ずる。一方、土壌汚染対策法においては、自然的要因により有害物質が存在する土地については法に基づく措置の対象外である。そのため、都道府県等は土壌汚染対策法に定めた基準を超えて有害物質が存在する土地が見つかったときに自然的要因により有害物質が存在しているのか、人為的な汚染であるのかについて判断しなければ命令等の権限を行使できず、この場合の自然由来による寄与率がどの程度かなどの最終的な判断は、①近隣(数百メートルの範囲等)の土壌中の自然由来物質の存在状況を把握して行うこととされている。このような調査は、日頃から土壌汚染対策法を施行するために現場の状況に即して行う必要のある調査であり、都道府県等が行うべきものである。
  また、土壌汚染対策法第3条及び第4条を適切に施行するためには、②過去の土地利用履歴等をもとに汚染が懸念される地域の汚染状況の把握や、③地下水等で環境基準を超える地域あるいは土壌汚染が見つかった土地の周辺地域での汚染土壌の有無の把握を行う必要があるが、これらは土壌汚染問題が生じたときに適切かつ迅速に調査できるように日頃から備えておくべきことである。
  一方、地方公共団体が環境の保全に関し、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた条例、要綱等を策定して、地域の実情を反映して上乗せ、横だし的な規制を行うために必要な環境監視データの取得は地方公共団体が各々実施すべきである。
  以上の考え方により地方公共団体が行う環境監視について次のような技術的な提言を行い、地方公共団体の参考に供する。

(1)管轄内の土壌の環境基準の適合状況の把握や地域における重金属類のバックグラウンドレベルの把握(①等の調査)

 (目的)管轄内の土壌の環境基準への適合状況を把握し、地域の環境政策の企画立案を行う。また、このデータを地域のバックグラウンドレベルとして整理し、土壌汚染対策法第4条に基づく命令を発出する必要性があるか否か、あるいは土壌汚染対策法の指定基準を超える土地における自然由来の寄与度の算定に必要なデータとしても活用を図る。
 (実施方法)管轄内での市街地にある公園等の公有地において調査を実施し、当該地域での土壌環境の現況を把握する。

(2)過去の土地利用履歴等により汚染が懸念される地域の汚染状況の把握(②の調査)

 (目的)土壌汚染対策法第3条調査関連の指導、同法第4条調査の命令発動に活用
 (実施方法)土地履歴等を勘案して必要と認められる事業場内外の調査を実施。

(3)公共用水域及び地下水モニタリングで現に地下水環境基準値を超える地域あるいは汚染土壌の見つかった土地周辺での土壌調査(③の調査)

 (目的)土壌汚染対策法第4条調査の命令発動に活用
 (実施方法)地下水モニタリング等の結果、飲用井戸等の情報をもとに優先順位をつけ順次調査を実施。

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