法令・告示・通達

環水管第93号について

  • 公布日:平成5年6月28日
  • 事務連絡

(水質管理課)

標記課長通知は、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物による汚染地下水対策として実施されている揚水曝気処理法の運用について通知したものである。

1.通知の背景

 トリクロロエチレン等の有機塩素化合物等による地下水汚染対策は、汚染源となっている汚染土壌を発見し、除去対策を講ずることが重要であるものの、汚染の状況によっては汚染土壌対策を講ずることが困発な場合も多く、このような場合、汚染地下水の揚水処理が有効な汚染対策として選択されている実情にある。
 揚水処理法は、以下のような場合には特に有効である。

  1.    ①汚染が大深度の場合
  2.    ②汚染源を取り除いたあとのクリーンアップを行う場合
  3.    ③汚染が広範囲で低農度の場合
  4.    ④汚染の拡大を防止するため

 ところが、水質環境基準を確保する程度までには浄化されたといっても、なお、有害物質が測定される水を地下に浸透させる行為は、水質汚濁防止法に違反するのではないかといった疑義があり、実際に自治体や企業はそのような理解のもとに浄化された地下水を河川等に放流している。
 このため、揚水処理法は、次のような問題が懸念されている。

  1.    ① 地下水量の乏しい地区では、汚染地域の地下水を完全に汲み上げてしまい、処理が絶続できなくなる。
  2.    ② 汚染地下水を汲み上げることによって汚染地域以外の地下水の利用に悪影響を与える。
  3.    ③ 工業団地のように複数の汚染者がいる地域では、一社が揚水処理をすることによって他社の汚染源を引き込むことになり、事実上、地下水浄化をあきらめてしまう。
  4.    ④ 過剰な汚染地下水の汲み上げは、地盤沈下を引さ起こす恐れがある。

 以上のような問題があるために、現在、揚水処理法は、効率的な運転が行われにくい状況にある。

2.本間題の水質汚濁防止法上の取扱い

(1)問題の所在

  事業者Aは水質汚濁防止法(以下「法」という。)第2条第2項第1号に規定する物質(以下「有害物質」という)で汚染された地下水を汲み上げ、浄化している。しかし水質環境基準を確保する程度まで浄化することはできるものの、有害物質が検出されない程度まで浄化することは、経済的に相当程度困発である。
  Aが浄化した水を地下浸透させる行為は、法第12条の3に違反するか。
 ・汚染地下水の浄化施設は法第2条第6項に規定する「有害物質使用特定施設」に該当するか。法施行令別表第一第74号に規定する「特定事業場から排出される水(公共用水域に排出されるものを除く。)の処理施設(前二号に掲げるものを除く。)」に該当するか。

(2)解釈

  法施行令別表第一第74号に「特定事業場から排出される水・・・の処理施設」と規定されていることから、汚染地下水が特定事業場から排出される場合は、当該浄化施設は法に規定する特定施設に該当し、また、「有害物質を処理する特定施設」に該当するため、Aの行為は法第12条の3に違反する。
  具体的に、以下の4通りの例を示しておく。

  1.    ①特定事業場外で汲み上げ、浄化、地下浸透させる場合。
  2.    ②特定事業場外で汲み上げ、特定事業場内で浄化、地下浸透させる場合。
  3.    ③特定事業場内で汲み上げ、当該特定事業場内で浄化、地下浸透させる場合。
  4.    ④特定事業場内で汲み上げ、当該特定事業場外で浄化、地下浸透させる場合。

  ①,②,③の場合にあっては、「特定事業場から排出される水」を処理する施設とは解せられず、従って当該汚染地下水の浄化施設は法施行令別表第一第74号に規定する施設に該当しない。故に法第2条第6項に規定する「有害物質使用特定施設」に該当しない。結果、Aの行為は法第12条の3に違反しない。
  ④の場合にあっては、当該汚染地下水の浄化施設は特定事業場から排出される水の処理施設であるため、法施行令別表第一第74号に規定する施設に該当する。また、「有害物質を処理する特定施設」に該当する。よって、Aの行為は法第12条の3に違反する。

3.今後の運用

 揚水曝気処理法によって汚染地下水を処理し、その処理水を地下に浸透することが法的に可能で、技術的にも有利な場合には、そのような措置を取ることも可能であるが、実施に当たっては、処理地下水のかん養等に伴う環境影響にも充分配慮されたい。

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