法令・告示・通達

化学的酸素要求量に係る総量規制基準の設定について

公布日:昭和54年10月09日
環水規149号

(各都道府県知事・各政令市長あて環境庁水質保全局長通達)

 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律(昭和五三年法律第六八号)の施行については、昭和五四年七月九日付け環水規第九九号をもつて貴職あて環境事務次官名により通達したところであるが、化学的酸素要求量に係る総量規制基準の規定については、左記の事項に留意のうえ改正後の水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号。以下「法」という。)の施行に遺憾のなきを期されたい。

第一 指定地域内事業場

  指定地域内事業場は指定地域内の特定事業場で一日当たりの平均的な排出水の量が五〇立方メートル以上のものとされるが、この場合一日当たりの平均的な排出水の量の算定は、水質汚濁防止法の施行について(昭和四六年九月二〇日環水管第二四号)一の二の規定による。

第二 総量規制基準の設定方法

  1.  一 総量規制基準は、指定地域内事業場につき当該指定地域内事業場から排出される排出水の汚濁負荷量について定める許容限度であるが、法第三条の排水基準は従来どおり適用されるものである。
  2.  二 総量規制基準は、化学的酸素要求量については水質汚濁防止法施行規則(昭和四六年総理府、通商産業省令第二号。以下「施行規則」という。)第一条の四第一項に掲げる算式により定められるものである。
  3.  三 法第四条の五第二項の総量規制基準(以下「特別の総量規制基準」という。)は化学的酸素要求量については施行規則第一条の四第二項に掲げる算式により定められるものである。(第三参照)
  4.  四 一の指定地域内事業場に係る総量規制基準は、当該指定地域内事業場に係る化学的酸素要求量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲(昭和五四年五月環境庁告示第一九号。以下「告示」という。)別表第二欄に掲げる業種その他の区分(都道府県知事がこれを更に区分した場合にあつては、その区分。以下「業種等」という。)ごとに算定した値を合計した汚濁負荷量として定めるものとする。
  5.  五 都道府県知事は、総量規制基準の算式におけるC、Ci及びCoの値(以下「C等の値」という。)を定めなければならないが、C及びCoの値に係るものにあつては告示別表第三欄(1)の(イ)に掲げる値以上(ロ)に掲げる値以下の範囲内(総量削減基本方針において中間目標としての削減目標量が定められている場合の目標年度までの間は、告示別表第三欄(2)の(イ)に掲げる値以上(ロ)に掲げる値以下の範囲内)において、Ciの値に係るものにあつては告示別表第三欄(3)の(イ)に掲げる値以上(ロ)に掲げる値以下の範囲内において、それぞれ業種等ごとに定めなければならない。
  6.  六
    1. (一) 告示別表の業種その他の区分は、原則として、日本標準産業分類の分類によつているが、必要に応じ排水量、生産工程等により区分され、更に特殊な生産工程等については備考欄に特掲されている。
         業種その他の区分の解釈に当たつては、原則として日本標準産業分類における例示又は説明を参考とされたい。
          なお、告示別表における業の概念は、原則として当該業に密接な関連を有する一連の生産工程を含むものであり、例えば自動車を製造する工場における電気メツキ工程は告示別表一九三の項ではなく、告示別表一九八の項に属するものとして取り扱われるものである。
    2.   (二) 都道府県知事は、環境庁長官が定める業種その他の区分を更に区分する場合には、指定地域内事業場の規模別(排水量別等)、水域別、一定の施設の有無別、一定の生産工程の有無別等により区分されたい。
  7.  七
    1.   (一) C等の値を定めるに当たつては、用水原単位の向上等水使用合理化に伴う排水の化学的酸素要求量に関する汚染状態の値の増加、取水中の化学的酸素要求量に関する汚濁負荷、原材料製造方法等の相違による排水性状の相違、従来の生物化学的酸素要求量に関する規制に対する対応方法、中小企業等に配慮の上実態に即した適切なC等の値を定められたい。
    2.   (二) 海域及び湖沼以外の公共用水域に排出水を排出する指定地域内事業場が存する地域であつて、総量規制基準の公示以前に法第三条に基づく化学的酸素要求量に係る規制が行われていない地域において次の三要件を満たす業種等に限り都道府県知事は、業種等ごとに環境庁長官が定める範囲を超えたC等の値を定めることができる。
      1.    ① 排水処理後の化学的酸素要求量に関する汚染状態が一般的に生物化学的酸素要求量に関する汚染状態より高いこと。
      2.    ② 生物化学的酸素要求量に係る規制に対する対応方法(原材料、生産工程による対応を含む。)と化学的酸素要求量に係る規制に対する対応方法(原材料、生産工程による対応を含む。)が異なること。
      3.    ③ 環境庁長官が定める範囲の化学的酸素要求量に関する汚染状態を遵守することが著しく困難であること。
      これらの要件を満たす業種等としては、例えば地示別表一〇の項、五八の項等に掲げる業種等が考えられるが、同一の業種等内においても化学的酸素要求量と生物化学的酸素要求量の対応関係が異なる場合には、その実態に留意する必要がある。
  8.  八
    1.   (一) 指定地域内業事場の生活排水に係るC等の値は旅館、病院等主にし尿浄化槽により汚水又は廃液の処理を行う工場又は事業場に係る場合にあつては告示別表二〇二の項、二〇八の項等はそれぞれの業種等のC等の値にその他の工場又は事業場に係る場合にあつては告示別表二一七の項の細区分によるC等の値によることとする。また告示別表二一七項の細区分による場合にあつては、C等の値は告示別表二〇九の項のC等の範囲を参考にして定められたい。
    2.   (二) 告示別表一の項から二一六の項までの業種等以外の業種については、告示別表二一七の項の細区分により行われたい。
  9.  九 工場又は事業場に係る汚水又は廃液を処理する事業場(以下「共同処理施設等」という。)の業種の区分については、当該工場又は事業場の属する業種等に属するものとし、C等の値についても当該工場又は事業場の属する業種等に属するものとして取り扱う。(図一参照)
       ただし、当該共同処理施設等の処理する汚水又は廃液が当該工場又は事業場から排出される排出水の一部であつて、かつ、その汚染状態が当該共同処理施設等以外で処理する汚水又は廃液の汚染状態に比し著しく異なる場合であつて告示別表第三欄に掲げる値の範囲内においてC等の値を定めることが適当でないと認められるときは、都道府県知事は当該工場又は事業場及び当該共同処理施設等につき告示別表第三欄に掲げる範囲を超えたC等の値を求めることができる。
  10.  一〇 Q、Qi及びQoの値は原則として施行規則第三条第三項第六号イに規定する特定排出水の最大の量、すなわち通常の操業状態における最大の量とされたい。

第三 特別の総量規制基準

  1.  一 都道府県知事は、新増設の施設については既設の施設に比し、より高度の汚水等の処理技術の導入が可能であることにかんがみ、新たに特定施設が設置された指定地域内事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに指定地域内事業場となつたものを含む。)及び新たに設置された指定地域内事業場について、特別の総量規制基準を定めることができることとされている。
  2.  二 Qiは都道府県知事が定める日以後に特定施設の設置又は構造等の変更により増加する特定排出水の量とする。
  3.  三 指定地域内事業場の一の業種において新たに特定施設が設置され、これに伴い当該新たに設置された特定施設と原則として同種類の特定施設が廃止され、かつ、この設置及び廃止が当該特定施設を含む作業工程の施設の設置及び廃止を伴わない場合にあつては、当該新たに設置された特定施設に係るQのうち当該廃止された特定施設に係るQに相当する部分については、都道府県知事はこれをQoとして取り扱うことができる。
  4.  四 都道府県知事が定める日の前日までに、特定地域の設置又は構造等の変更の届出がされている特定施設は、既設の特定施設として取り扱われたい。
  5.  五 特別の総量規制基準の適用となる日は、都道府県知事の定める日以後に指定地域内事業場を設置し、又は特定施設の設置若しくは構造等の変更をし、それらが稼動する日とする。
       なお、試運転期間は、それらが稼動しているとみなし、特別の総量規制基準は適用される。
  6.  六 都道府県知事が定める日は、別途指示する日とされたい。

第四 総量規制基準の公示

  総量規制基準の公示に当たつては、総量規制基準の算式のほか業種等の区分、業種等の区分ごとのC等の値、適用年月日等総量規制基準適用のため必要な事項について公示しなければならない。

図 略