法令・告示・通達

酸性雨等調査マニュアル実施細則

  • 公布日:平成3年1月1日
  • 環境庁大気保全局大気規制課)

   はじめに

 体系的な酸性雨等モニタリングの実施は、酸性雨問題への取り組みを進めるうえで不可欠な課題となっており、統一的な手法による酸性雨等の監視に資するため、昭和六三年三月、「酸性雨等調査マニュアル」としてモニタリングを実施するうえで基礎となる事項をとりまとめた。その後新しい知見も得られたことから、平成二年三月に同マニュアルの改訂を行った。(この改訂版を、以下「マニュアル」とする)
 この間地方公共団体においても酸性雨調査が数多く行われ、その中で調査期間、試料採取単位などを含む具体的な調査方法の統一が望まれるようになった。本細則は「マニュアル」を補完するものであり、当面、この細則に基づき調査手法の統一を図ることとする。

一 目的
  酸性雨モニタリングの基本的な考え方は、地域モニタリングと広域モニタリングとして「マニュアル」に示してあるが、本細則により実施するモニタリングの目的は、地域における酸性雨の実態の継続的監視を基本としつつ、調査を統一的な手法で行うことにより、地域ごとのデータの比較ならびに広域的な酸性雨の実態の把握を可能とするものである。
二 調査対象地域、地点の選定
  調査対象地域、地点は、前記の目的、即ち地域における酸性雨の実態の継続的監視の見地から、地域の状況に応じて選定するものとする。
  この場合、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域といった地域特性や、人為的汚染の影響を受ける地域と受けない地域、さらには酸性雨による生態系等各種の影響に配慮した配置など、複数の地域で広域にわたり測定することが望ましい。
  地点の選定については、「マニュアル」に示した基準に沿って行うものとする。
三 調査期間
  調査期間は原則として四月一日から翌年三月三一日(採取方法によっては三月三一日以前になることもある)までの通年における全ての降水について、採取・分析を行うものとする。具体的な期間については、別表に目安を示す。
  このような通年調査が不可能な場合は、梅雨期、秋期および降雪調査のような季節別の調査を実施することが望ましい。季節別調査時期の目安は次のとおりとする。
  1.  (一) 梅雨期調査:六~七月の二カ月。
  2.  (二) 秋期調査:一〇月の一カ月。
  3.  (三) 降雪調査:一~二月の二カ月。
四 試料の採取方法
四 一 採取方法と採取装置
  採取装置は「マニュアル」ならびに「酸性雨測定法に関する資料集」(平成二年三月、酸性雨対策検討会大気分科会、以下「資料集」とする)に記載されているものを用いることが望ましい。このうち霧採取装置、その調査方法、ならびに雪採取装置、その調査方法については別途示す。
  ここでは採取装置として、簡易採取装置であるろ過式採取装置、自動採取装置ならびに自動測定機を取り上げ、その使用における調査手法を記述する。これらの装置は次の機能を有するものとする。
  1.  (一) ろ過式採取装置:所定のろ紙による不溶性物質の分別機能以外に、遮光、密閉(ガス交換の低減)機構を有する。
  2.  (二) 自動採取装置:センサーを用いる感雨器で蓋を自動閉開することにより、降水のみを採取する。
  3.  (三) 自動測定機:感雨器で蓋を自動閉開し、降水のみを採取する。採取した試料を二分し、一方はpH、導電率などの連続測定用試料とし、他方は化学成分手分析用試料とする。後者の安定性保持のために、密閉、ろ過、遮光ならびに冷却機能を有することが望ましい。
   なお、(二)および(三)において、乾性降下物の採取は「マニュアル」ならびに「資料集」の?酸性雨測定機の使用のめやす?に準ずる。
四 二 試料の採取期間
  採取方法と採取期間の関係を表一に示す。採取方法により、採取単位は一降水内の分割から一カ月にまで使い分けられる。採取においては、月別変動も知るため月単位でデータ整理できる採取単位とする。
  1.  (一) ろ過式採取装置:原則として一週間単位の採取とする。それ以外に二週間単位の採取も可とする。基本は月曜日取り替えとし、一カ月が三週間または六週間にならないこと、ならびにその判断がつかないときは月末の月曜日とする、などである。採取した試料については、変質などが起きてないか(例:藻の発生、異物の混入、蒸発など)を確認した後に検体とする。具体的な月割りについては、別表に目安を示す。
  2.  (二) 自動採取装置:一降水ごとの採取を基本とする。降水量一mmごとの分割採取などにおいても、降水全体についてのデータが得られるよう、最後に大容量の採取びんを設置するなどの工夫をすることが望ましい。一降水以上の採取単位の試料については(一)に準ずる。また、乾性降下物の採取は、その採取単位を一カ月とする。
  3.  (三) 自動測定機:化学分析用の採取試料(保存試料)については、一降水ごとに採取することが望ましいが、それが不可能な場合は、最大二週間(二回/月を含む)以内の採取とする。その際、連続測定のpH、導電率などのデータと比較して、採取試料の変質がないかを確認する。二週間を超える長期採取となるときには、離島局仕様(密閉、ろ過、冷却、「資料集」参照)の装置の使用が望ましい。また、乾性降下物の採取は、その採取単位を一カ月とする。
   なお、国設大気測定所では、毎日一二日および二六日に試料を回収し、当該日が休日に相当する場合はその前後の日に実施している。
四 三 装置の洗浄方法
  1.  (一) ろ過式採取装置:一カ月ごとに装置の内部を蒸溜水で洗浄する。採取方法ならびに採取装置の機構から、洗浄溶液中の成分濃度が高いため、洗浄溶液の可溶性成分ならびに不溶性成分を測定する。装置のプラスチック部分(ロート、採取びんなど)は、一年ごとに交換する。
  2.  (二) 自動採取装置:一定期間ごとに装置の内部を洗浄液などで洗浄する。その目安は六カ月ごととする。
  3.  (三) 自動測定機:「資料集」ならびにメーカーの取扱説明書に準ずる。
四 四 不溶性成分の分析
  1.  (一) ろ過式採取装置:分析する。
  2.  (二) 自動採取装置:分析する。
  3.  (三) 自動測定機:降水(湿性降下物)については分析しない。
  なお、乾性降下物については不溶性成分も分析する。
四 五 降雪の採取
  地域の実情に応じ、冬期は雪採取装置を用いる。使用時期は、その地域の実情ならびに気象条件を考慮して定める。
  なお、降水採取装置と採取部の口径が異なるときは、必ず口径補正(単位面積換算)を行うこととする。
四 六 データの整理、表示方法
  データは一カ月単位で比較するようにする。採取方法別の記載様式は表二、三に示す。
  1.  (一) ろ過式採取装置:基本は一カ月単位とする。その際、必ず洗浄液分を加算する。
  2.  (二) 自動採取装置:一降水ごとのデータを表示する。一カ月ごとのデータも表示する。
  3.  (三) 自動測定機:連続測定のデータも一降水ごとに整理する。一カ月ごとのデータも表示する。
四 七 その他
  これらをまとめて表四に示す。
五 分析法
「マニュアル」に準じて行う。

別表

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