法令・告示・通達

大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について

  • 公布日:平成17年6月17日
  • 環管大050617001号

(環境省環境管理局長から都道府県知事・指定市市長・中核市市長あて)

 昨年の第159 回国会において大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成16 年5 月26日法律第56号。以下「改正法」という。)が可決、成立し、平成17年6月1日から施行された(ただし、同日から施行されるのは定義等に係る一部の規定のみであり、揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)の排出の規制(届出、排出基準の遵守及び測定の義務付け)に係る規定の施行期日は平成18 年4月1日である。大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成17年5月27 日政令第188号))。
 これに伴い、大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成17 年5月27 日政令第189号及 び平成17 年6月10 日政令第207 号)、大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(平成17年6月10 日環境省令第14 号)及び揮発性有機化合物濃度の測定法(平成17 年6月10日環境省告示 第 61号)が制定、公布されたところである。
 改正法は、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染を防止するため、その原因物質の一つであるVOCの排出及び飛散の抑制を図ることを目的に制定されたものであり、これに基づき、平成 18年4月1日からVOCの排出の規制が開始される。貴職におかれては、改正法の厳正かつ実効性のある施行について、下記の事項に十分御留意の上、格段の御協力をお願いする。

第1 改正の趣旨

 1 改正の背景

   浮遊粒子状物質や光化学オキシダントに係る大気汚染の状況はいまだ深刻であり、現在においても、浮遊粒子状物質による人の健康への影響が懸念され、また、光化学オキシダントによる健康被害が数多く届出されており、これに緊急に対処することが必要となっている。
 浮遊粒子状物質の対策としては、自動車排出ガス単体規制の強化や低公害車の普及促進措置に加え、平成 13年の改正により粒子状物質対策が位置づけられた自動車NOx・PM法に基づく車種規制等を実施してきたところであるが、大都市地域を中心として環境基準の達成率が低く、依然として厳しい状況にある。
   光化学オキシダントの対策としては、工場・事業場及び自動車に対して、その原因物質の一つである窒素酸化物の排出規制を実施してきたところであるが、光化学オキシダント注意報等がしばしば発令されており、これを改善することが当面の課題となっている。
   これまでの研究により、VOCは、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成の原因となる物質(前駆物質)の一つであることが明らかになっている。VOCは工場・事業場及び自動車から排出されるが、自動車排出ガスについては、炭化水素(VOCの一種)の排出規制を数次にわたって強化してきたため、現在の我が国全体のVOC排出量の9割が工場等の固定発生源からのものとなっている。
   政府においては、自動車NOx・PM法に基づき粒子状物質総量削減基本方針を決定し(平成14年4月閣議決定)、平成22年度までに粒子状物質対策地域(3大都市圏)において浮遊粒子状物質に係る環境基準をおおむね達成することを目標としている。この目標の達成のためには、平成22 年度までに、工場等の固定発生源からのVOC排出総量を平成12年度比で3割 程度抑制することが必要と見込んでいる。また、光化学オキシダントについても、工場等の固定発生源からのVOC排出総量を3割程度抑制すれば、光化学オキシダント注意報発令レベルを超えない測定局数の割合は約9割まで向上すると見込まれる。
   このような状況を踏まえ、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダント対策の一環として、VOCの工場・事業場からの排出を規制することとしたものである。

 2 改正の基本的考え方

   VOCについては、物質数が非常に多く、発生源の業種、業態も多様であること、また、VOCによる浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成に不確実性が避けられないこと等を考慮して、事業の実態を踏まえた事業者の創意工夫と自発性が最大限発揮される自主的取組により効果的な排出抑制を図ることが重要である。一方で、一施設当たりのVOCの排出量(排出ガス処理装置を設置していない場合等における潜在的な排出量)が多い施設については、大気環境への影響が大きく、社会的責任も重いことから、法規制により確実に排出抑制を進めることが適当である。
   したがって、VOCの排出抑制に当たっては、自主的取組を評価し、促進することを基本とし、法規制は限定的に適用するという、従来の公害対策にない新しい考え方に基づいて、双方を適切に組み合わせて相乗的な効果を発揮させる(政策のベスト・ミックス)こととした。

 3 改正の主な内容

   法規制については、VOCの排出量が多い施設を揮発性有機化合物排出施設(以下「VOC排出施設」という。)とした上で、工場・事業場の排出口における排出濃度を規制することとした。具体的には、VOC排出施設の設置等の届出、届出に係る計画変更命令等、排出基準の遵守義務、改善命令等及びVOC濃度の測定等の規定を設けたところである。
このような規制を導入することによって、VOCの排出量を削減し、浮遊粒子状物質に係る環境基準の達成及び光化学オキシダント注意報発令日数の低減等に資するものと見込んでいる。

第2 定義

 1 VOC

  (1)VOC

   規制の対象となるVOCについては、改正後の大気汚染防止法(以下「法」という。)において、「大気中に排出され、又は飛散した時に気体である有機化合物(浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除く。)」と定義している(法第2条第4項)。
   気体の状態で大気中に排出され、又は飛散する有機化合物は、一部の物質を除き、大気中における光化学反応の結果、オキシダント(オゾン等)を生成する。また、光化学反応の結果、VOCが低揮発性の有機化合物を生成し、それが凝縮等により、浮遊粒子状物質を生成する。したがって、特に規制対象物質の名称を限定列挙せず、多種多様な物質をVOCとして包括的に規制することとした。我が国の工場等においては、現在、約 200種類のVOCに該当する物質が広く使用されていると推計しているが、関係者の理解を容易にするため、VOCに該当する主な物質の名称を別紙1に掲げた。

  (2)VOCから除く物質

   VOC規制の目的が浮遊粒子状物質及びオキシダントによる大気汚染の防止であることから、法第2条第4項において、浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質(以下「除外物質」という。)については、規制対象とはしないこととした。具体的には、改正後の大気汚染防止法施行令(以下「令」という。)第2条の2において、メタン等8種類の物質を定めている。
   除外物質の選定の考え方としては、第一に、我が国のVOC年間排出量に占める割合が極めて少ない物質( 0.01%以下)又は生産中止になっている物質については、除外物質の対象とはしないこととしている。これは、当該物質の光化学反応性を調査し、及びその測定法を定める実益に乏しいからである。
   第二に、従来から行われている大気中の炭化水素濃度の抑制対策において、光化学オキシダントの生成能が低い物質としてメタンを対象物質から除いていることを踏まえ(昭和 51年8月 13日中央公害対策審議会答申)、メタンと同等以下の光化学反応性を有するものとされた物質を除外物質の対象としている。メタンとの比較に用いる指標については特に定めていないが、今回の検討の際には、MIR(Maximum Incremental Reactivity)という指標等を用いてオゾン生成能の評価を行っている。
   除外物質の追加については、メタンと同等以下の光化学反応性を有する物質が新たに開発された場合若しくは生産量が増加した場合又は既に大量に生産され使用されている物質について、当該物質がメタンと同等以下の光化学反応性を有するという科学的知見が得られた場合には、当該物質を生産する事業者等から当該物質の光化学反応性や測定方法に係る情報提供を受け、適宜、検討することとしている。

 2 VOC排出施設

   工場又は事業場に設置される施設でVOCを排出するもののうち、その施設から排出されるVOCが大気の汚染の原因となるものであって、VOCの排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要なものについて、規制の対象となるVOC排出施設とした(法第2条第5項)。具体的には、令第2条の3及び令別表第1の2において定めている。
   その他VOC排出施設の定義等について留意すべき点を別紙2に掲げた。

第3 施策等の実施の指針

   第1の2に記述した基本的考え方に基づき、VOCの排出及び飛散の抑制に関する施策等は、法規制と事業者の自主的取組とを適切に組み合わせて、効果的なVOCの排出及び飛散の抑制を図ることを旨として、実施されなければならないこととした(法第17条の2)。

第4 排出基準

 1 排出基準

   VOCの規制基準としては、施設の種類ごとに、排出口におけるVOC濃度の許容限度(以下「排出基準」という。)として定めることとした(法第17条の3)。ここでいう「VOC濃度」とは、環境大臣が定める測定法(「揮発性有機化合物濃度の測定法」として告示されている。以下「告示」という。)により測定されたVOC濃度のことをいう。具体的には、改正後の大気汚染防止法施行規則(以下「規則」という。)第15条の2及び規則別表第5の2において定めている。

 2 排出口

   VOCの多くは施設の排出口から排出されるため、VOCの排出規制は、排出口におけるVOC濃度を対象とした。ここでいう「排出口」とは、VOCを大気中に排出するために設けられた煙突その他の施設の開口部をいう(法第2条第7項)。VOCを大気中に排出することを主たる目的としていない窓や扉等の開口部及び施設の安全弁等の非常時においてのみVOCを放出するためのものは含まれない。

 3 排出基準の適用の猶予

   規制の施行の日(平成18年4月1日)において現に設置されている(設置の工事が着手されているものを含む。以下「既設の」という。)VOC排出施設については、排出ガス処理装置の導入や対策工事の実施等を早期に行うことが困難であること等から、VOCの排出抑制の目標が平成22年度とされていることに留意しつつ最大限の猶予、すなわち、平成21年度末(平成22 年3月31日)までは排出基準の適用を猶予することとした(大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(以下「改正規則」という。)附則第2項)。この4年間の適用猶予期間中に計画的に所要の措置を講ずるよう、VOC排出者に助言又は指導をされたい。
   ただし、既設のVOC排出施設であっても、法第17条の5及び第17条の6等に規定するVOC排出施設の届出義務並びに法第17条の11に規定するVOC濃度の測定義務等についてまで、適用が猶予されているものではないことに留意されたい。
   しかしながら、排出基準の適用が猶予されている期間においては、法第17条の9に基づき遵守すべき排出基準が存在していないことになるため、当該期間中に、既設のVOC排出施設に対して法第17 条の10に規定する改善命令等は行う必要がないことに留意されたい。

 4 排出基準の適用の特例

  (1)自動車の製造に係る塗装施設関係

   自動車の製造に係る塗装施設の排出基準は、平成18年4月1日以降に設置の工事に着手した塗装施設の場合には、水性化等の対策技術の導入が可能であることから、400ppmC(炭素数が1の揮発性有機化合物の容量に換算した容量比百万分率のことをいう。以下同じ。)としている(規則別表第5の2の2の項)。ただし、既設の塗装施設の場合には、水性化等の対策技術の導入が困難であることから、他の種類の塗装施設と同様に、700ppmCとした(改正規則附則第3項)。

  (2)貯蔵タンク関係

   貯蔵タンクの規制対象となる規模は、容量が1,000キロリットル以上のものである(令別表第1の2の9の項)。ただし、既設の貯蔵タンクについては、排出基準の適用に当たっては、容量が2,000キロリットル以上のものを対象とすることとした(改正規則附則第4項)。
   ただし、既設の貯蔵タンクであって容量が2,000キロリットル未満のものであっても、容量が1,000キロリットル以上のものについては、法第17 条の5及び第17条の6等に規定するVOC排出施設の届出義務並びに法第17条の11に規定するVOC濃度の測定義務等についまで、適用が猶予されているものではないことに留意されたい。
   しかしながら、既設の貯蔵タンクであって容量が2,000キロリットル未満のものについては、法第17条の9に基づき遵守すべき排出基準が存在していないことになるため、当該期間中に、当該タンクに対して法第17条の10に規定する改善命令等は行う必要がないこと留意されたい。

第5 VOC排出施設の設置等の届出

 1 VOC排出施設の設置又は変更の届出

   VOCを大気中に排出する者は、VOC排出施設を設置しようとするときは、都道府県知事に届け出ることを義務付けた(法第 17条の4第1項)。
   VOC排出施設の構造等に変更があった場合にも、届け出ることを義務付けた(法第 17条の6第1項)。

 2 VOC排出施設の使用の届出

   既設のVOC排出施設を設置している者であってVOCを大気中に排出するものについては、規制の施行の日(平成18年4月1日)から30日以内に届け出ることを義務付けた(法第17条の5第1項)。
   なお、VOC排出施設を設置していても、その使用を廃止している場合には当該届出は必要ないが、使用を休止している場合には当該届出は必要であるので、留意されたい。

 3 届出書の添付書類

   届出書には規則で定める書類を添付することとした(法第17条の4第2項等、規則第9条の2第2項)。規則で定める書類は、ばい煙発生施設の届出に係る添付書類と同様の趣旨のものである。

 4 氏名の変更等の届出

   氏名の変更等及び地位の承継の際にも届け出ることを義務付けた(法第17条の12第2項において準用する法第11条及び第12条)。

 5 届出書の提出部数

   種類(令別表第1の2の項ごとの区分をいう。)が同じVOC排出施設が、同一の工場又は事業場に複数設置されている場合には、届出書は一つで足りることとした(規則第13条第2項)。この場合に、各施設の構造及び主要寸法も同じであれば、届出書に添付する概要図については、一つの施設のものを添付すればよい。

 6 その他届出書の記載事項について留意すべき点を別紙3に掲げた。

第6 計画変更命令等

   ばい煙発生施設と同様、都道府県知事は、VOC排出施設の設置又は変更の届出があった場合において、その届出に係る施設に係るVOC濃度が排出基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、以下の事項について命ずることができることとした(法第17条の7)。

  •    ・VOC排出施設の構造又は使用の方法に関する計画の変更
  •    ・VOCの処理の方法に関する計画の変更
  •    ・VOC排出施設の設置に関する計画の廃止

   本規定は、排出基準に適合しない濃度のVOCが排出されることによる大気汚染を未然に防止するためのものである。

第7 実施の制限

   ばい煙発生施設と同様、VOC排出施設の設置等について届出をした者は、届出が受理された日から60日を経過した後でなければ、VOC排出施設の設置等をしてはならないこととした(法第17条の8)。
   届出が受理された日を確定するため、都道府県知事は、受理書を届出者に交付しなければならないこととした(規則第9条の3)。
   都道府県知事は、届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、実施の制限期間を短縮することができることとした(法第17条の12第1項において準用する法第10条2項)。    規制の施行の日(平成18年4月1日)前に届出を行うことができないため、6日間の実施の制限を原則どおり適用すると、平成18 年4月1日から60日間は、いっさいの工事に着手で きないこととなる。したがって、届出者が、事前に都道府県と十分に調整を行っていた場合には、実施制限の期間を短縮し、平成18 年4月1日から60日間の期間中も工事の着手が可能と なるよう配慮されたい。

第8 排出基準の遵守義務

   VOC排出施設からVOCを大気中に排出する者(VOC排出者)は、そのVOC排出施設に係る排出基準を遵守しなければならないこととした(法第17条の9)。排出基準の適否は、告示に基づき測定されたVOC濃度によって判断する。
   排出基準違反に対する罰則(直罰)は、特定粉じん発生施設の場合と同様に設けておらず、排出基準違反の防止又は是正は、第17条の10の改善命令等によって担保している。

第9 改善命令等

   ばい煙発生施設と同様、都道府県知事は、VOC排出者が排出するVOCの排出口におけるVOC濃度が排出基準に適合しないと認めるときは、当該VOC排出者に対し、期限を定めて、以下の事項について命ずることができることとした(法第17条の10)。

  •    ・VOC排出施設の構造又は使用の方法の改善
  •    ・VOCの処理の方法の改善
  •    ・VOC排出施設の使用の一時停止

   改善命令等の発動に当たっては、ばい煙の排出の規制の場合と異なり、排出基準違反が継続すること(継続性の要件)及び人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあること(被害要件)を必要とせず、都道府県知事が排出基準に適合しないと認めれば改善命令等を発動することが可能である。
   また、改善命令とVOC排出施設の使用の一時停止命令とは、選択的に又は同時並行的に適用することが可能である。

第10 VOC濃度の測定

 1 測定法

   VOC排出者は、当該VOC排出施設に係るVOC濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならないこととした(法第17条の11)。
   VOC濃度の測定は、告示に定めるところによる(規則第15条の3)。告示においては、個々の物質を測定するのではなく、VOCの炭素数を捉えて包括的に測定することとし、分析計としては、「触媒酸化-非分散形赤外線分析計(NDIR)」又は「水素炎イオン化形析計(FID)」を使用することとした(告示別表第1の第1の2)。

 2 測定の回数

   測定の回数は、年2回以上とした。ただし、1年間につき継続して休止する期間(前年から引き続き休止し、かつ、その期間のうち前年に属する期間が6ヶ月未満である場合は、当該前年に属する期間を含む。)が6ヶ月以上のVOC排出施設に係る測定については、年1回以上とした(規則第15条の3)。
   本規定は、規制の施行の日(平成18年4月1日)から施行されるものであるが、同日時点で継続して休止しているVOC排出施設については、同日以前の継続休止期間を合算して、平成18年の測定回数を定めて差し支えない。
   本規定は、継続休止期間が6ヶ月以上であれば、残余の稼働期間の長短にかかわらず、少なくとも年1回はVOC濃度の測定を務づけるものであるが、1年を通して休止し、VOCを大気中に排出していないVOC排出施設については、VOC濃度の測定は必要ない

 3 測定の結果の記録

   測定の結果は、所定の事項を記録し、これを3年間保存する必要があることとした。記録する様式は特に定めないこととした(規則第15条の3)。なお、測定の結果について都道府県知事への報告義務はないが、法第26条の規定に基づき、都道府県知事は報告を求めることができる。

 4 測定を行う時間及び時期

  (1)測定を行う時間

   VOCが排出される工程では、バッチ式の操業が行われる等、常に平均的な濃度でVOCが排出されるとは限らない状況が多いため、捕集バッグによる試料採取は、20分間行うこととした(告示別表第1の第4の1(3))。

  (2)測定を行う時期

   試料の採取は、一工程でVOCの排出が安定した時期とすることとした(告示別表第1の備考1)。ここでいう「一工程」としては、使用するVOCや施設の操業状況等を勘案して排出濃度が最も高くなると考えられる工程を選定することとする。    ただし、排出ガス処理装置の運転の開始時又は切り替え時等における、ごく短時間に限り特異的に高濃度の排出が生じる場合のVOC濃度については測定値から除外することとした(告示別表第1の備考2)。

 5 一施設で複数の排出口を有する場合の測定

   一施設で複数の排出口を有する場合、全ての排出口において測定する方法の他、以下のいずれかの方法をとることも可能とした(告示別表第1の備考3)。

  •    ① 施設の構造等から最高濃度のVOCを排出している排出口が特定できる場合は、当該排出口において測定する。
  •    ② 各排出口からのVOC濃度を測定し、その値を以下の式のように排出ガス量で加重平均する。この場合、排出ガス量の測定は、JIS Z 8808(排ガス中のダスト濃度の測定方法)に定める方法による。なお、施設の構造等から、VOC濃度を一部の排出口で代表させることができる場合には、当該排出口におけるVOC濃度を測定すればよい。

   図:VOC濃度の加重平均値の計算式

 6 フレアスタック処理に係る特例

   フレアスタック(グランドフレアを含む。)により排出ガスを燃焼処理している場合には、測定が不可能であるため、VOC濃度を測定する必要はなく、排出基準に適合しているものとみなすこととした(告示別表第1の備考4)。排出ガスをボイラー等で燃焼処理している等、測定が可能なものについては、測定が必要となるので留意されたい。

 7 貯蔵タンクに係る特例

   貯蔵タンク(排出ガス処理装置を設置しているものを除く。)にあっては、非常に高濃度のVOCが排出されるため、災害を防止する観点から、計算により求めたVOC濃度をもって測定に代えることができることとした(告示別表第1の備考5)。

 8 複数のVOC排出施設に係る測定

  1.   (1)複数のVOC排出施設から集合煙突を通じて排出されるVOC濃度は、集合煙突単位ではなく、個々の施設ごとに測定することが原則であるが、測定対象施設以外の施設を停止させて集合煙突におけるVOC濃度を測定してもよい。
  2.   (2)複数のVOC排出施設のVOCを集合して排出ガス処理装置で処理している場合のVOC濃度は、各施設の出口におけるVOC濃度を測定し(測定が著しく困難な場合には計算により算定することも可。)、それに以下の係数を乗じたものとする。
        係数=1-処理効率=処理装置出口のVOC濃度/処理装置入口のVOC濃度

 9 自主測定に係る取扱い

   上記の義務的な測定以外に、VOC排出者が自主的に検査をする場合や、都道府県がVOC排出施設の概況を把握するために検査をする場合には、告示に定める測定法以外の簡便な測定法を用いることを妨げるものではない。

第11 事業者の責務

   規制の対象となるVOC排出施設の排出口からの排出の抑制のみならず、VOCの排出又は飛散の抑制のために必要な措置を幅広く講じることを事業者の責務とした(法第17条の13)。
   VOCは、屋外塗装などの屋外作業に伴って飛散するもの、排出口以外の窓等の開口部から排出されるもの及びVOC排出施設以外の施設から排出されるものも多くある。これらについては、本条及び法第17条の2に規定する施策等の実施の指針を受けて、事業者の自主的取組で対応することとしている。
   地方公共団体におかれても、事業者の自主的取組を促進するため、適切な支援等の措置を講ずるよう努められたい。

第12 国民の努力

   VOCの多くは、塗料・インキ等の溶剤として使用されているが、近年、VOCを含有しない、又はVOCの含有量が少ない塗料・インキ等(以下「低VOC塗料等」という。)が開発されている。このことにかんがみ、国民が塗料等を使用するに当たっては、低VOC塗料等を選択することにより、日常生活に伴うVOCの大気中への排出又は飛散を抑制することに努めなければならないこととした(法第17条の14前段)。
   また、製品製造時における低VOC塗料等への転換は、これを用いて製造される製品の外観等に影響を及ぼすため、国民からの厳しい要求に耐えられないことがある。また、排出ガス処理装置の導入は、事業者にとって多額の環境投資を必要とし、製品の価格を上昇させる可能性がある。このことにかんがみ、国民が製品を購入するに当たっては、これらのVOC排出抑制対策に取り組んでいる事業者が提供する製品(以下「低VOC製品」という。)を選択すること等により、VOCの大気中への排出又は飛散の抑制を促進することに努めなければならないこととした(法第17条の14後段)。
   地方公共団体におかれても、国民の理解を深め、低VOC製品を優先的に購入・調達する動きが拡大するよう、適切な措置を講ずるよう努められたい。

第13 緊急時の措置

 1 協力要請

   都道府県知事は、大気の汚染が著しくなり、人の健康等に係る被害が生ずるおそれがあると認める場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、VOCを排出し、又は飛散させる者であって、当該大気の汚染をさらに著しくするおそれがあると認められるものに対し、VOCの排出量又は飛散量の減少について協力を求めなければならないこととした(法第23条第1項)。
   これは、大気汚染物質を排出する者に対して広く協力を求める趣旨であり、従来より、ばい煙規制に関して規制対象者以外にも適用させていたことから、VOC規制に関しても、規制対象となるVOC排出者のみならず、広くVOCを排出し、又は飛散させる者を対象とすることとした。

 2 命令

   都道府県知事は、気象状況の影響により大気の汚染が急激に著しくなり、人の健康等に重大な被害が生ずる場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、当該事態がVOCに起因する場合にあっては、VOC排出者に対し、VOC濃度の減少、VOC排出施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じることとした(法第23条第2項)。
   これは、人の健康等に重大な被害が生ずる場合に施設の使用制限等を命ずる趣旨であり、従来より、ばい煙規制に関して、規制対象者に対してのみ適用させていたことから、VOC規制に関しても、規制対象となるVOC排出者のみに対し、規制対象物質であるVOC濃度の減少、VOC排出施設の使用の制限等に限って適用することとした。

第14 報告及び検査

 1 報告徴収

   VOC排出規制の実効性を確保するため、環境大臣又は都道府県知事は、VOC排出施設を設置している者に対し、VOC排出施設の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、VOC排出施設を設置している者の工場若しくは事業場に立ち入り、VOC排出施設その他の物件を検査させることができることとした(法第26条)。
   報告徴収の対象である「VOC排出施設の状況その他必要な事項」の具体的事項としては、以下のとおりである(令第12条第4項)。

  •    ・VOC排出施設の構造
  •    ・VOC排出施設の使用の方法
  •    ・VOCの処理の方法
  •    ・VOC濃度
  •    ・法17条の4第2項の環境省令で定める事項(VOCの排出の方法等)

 2 立入検査

   立入検査の対象は、VOC排出施設及びその関連施設並びに関係帳簿書類である(令第12条第4項)。「その関連施設」とは、VOC排出施設を含む製造又は加工工程において用いられるVOC排出施設以外の機械若しくは装置又はVOCを処理し若しくはその飛散を防止するための施設等をいう。

第15 適用除外

   従来から電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第16号に規定する電気工作物、ガス事業法(昭和29年法律第51号)第2条第13項に規定するガス工作物及び鉱山保安法(昭和24年法律第70号)第13条第1項の施設については、ばい煙発生施設、特定粉じん発生施設等に関する以下の規定が適用除外とされ、これらの法律の相当規定の定めるところによるとされてきたことから、VOC排出施設についても同様の適用除外を設けることとした(法第27条)。

  •    ・VOC排出施設の設置、変更又は使用の届出
  •    ・VOC排出施設の設置又は変更に係る計画変更命令等
  •    ・届出後60日間における実施の制限
  •    ・氏名の変更及び承継の届出

   改善命令等(法第17条の10)及び緊急時の措置(法第23条)については、適用除外とはされていないので留意されたい。

第16 資料の送付等の協力要請等

   都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、VOC排出施設の状況等に関する資料の送付その他の協力を求め、VOCによる大気の汚染の防止に関し意見を述べることができることとした(法第28条第2項)。

第17 環境大臣の指示

   ばい煙発生施設等に係る計画変更命令等及び改善命令等と同様、環境大臣は、大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事又は法第31条第1項の政令で定める市の長に対し、VOC排出施設に係る計画変更命令等及び改善命令等に関し必要な指示をすることができることとした(法第28条の2)。

第18 政令で定める市の長による事務の処理

   VOCに係る規制事務を行う市については、ばい煙及び粉じんに係る規制事務とは異なり、地方自治法第252条の19第1項の指定都市及び同法第252条の22第1項の中核市のみとした(法第31条第1項、令第13条第2項)。これは、実態として、VOCの規制対象施設は、一部の油槽所を除き、工場しか想定されないからである。
   ただし、VOCの常時監視及びその結果の環境省への報告(法第22条)並びにVOCによる大気汚染状況の公表(法第24条)については、他の大気汚染物質と同様に、令第13条第1項で定める市も行うこととした。

第19 条例との関係

   法は、VOCに係る以下の事項に関して、地方公共団体が条例で規制を設けることを妨げるものではないこととした(法第32条)。

  •    ・VOC排出施設について、そのVOC排出施設に係るVOC以外の物質の大気中への排出
  •    ・VOC排出施設以外のVOCを排出する施設について、その施設に係るVOCの大気中への排出

   これは、従来からのばい煙及び粉じんに係る規制の場合と同様に、条例によるいわゆる「横出し規制」を妨げるものではないと入念的に規定したものである。
   ただし、条例を制定する場合にあっても、法第17条の2に規定する施策等の実施の指針を勘案し、規制と事業者の自主的取組とを適切に組み合わせて、効果的なVOCの排出及び飛散の抑制を図ることを旨とされたい。

第20 罰則

   VOC排出施設に係る各種の違反については、特定粉じん発生施設に係る違反と同じ水準の罰則を科することとした(法第33条等)。
   ばい煙規制とは異なり、排出基準違反を直ちに罰する(直罰)のではなく、改善命令等違反をした場合に罰する(間接罰)こととしている。これは、VOC規制が、VOCの人の健康への直接の有害性に着目したものではなく、大気中において浮遊粒子状物質及びオキシダントを生成する反応を経て人の健康等に影響することを防止する趣旨であり、人の健康への直接の有害性に着目したばい煙規制とは趣旨が異なるためである。

第21 施行期日等

 1 定義関係

   法第2条に規定する定義に係る規定等については、平成17年6月1日から施行する(大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令)。
   これを受け、法第2条に基づき定めた大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成17年5月27日政令第189号)についても同日から施行する。
   定義に係る規定をいち早く施行したのは、平成17年度よりVOC排出抑制設備に対する税制優遇措置が開始されるところ、当該VOC排出抑制設備は、法第2条第5項に規定するVOC排出施設から排出される法第2条第4項に規定するVOCの排出を抑制する設備に限定されており、これらの範囲を早期に有効にする必要があったからである。

 2 規制関係

   VOCの排出の規制に係る規定については、平成18年4月1日から施行する(大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令)。
   これを受け、VOCの排出の規制の細目について定めた大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成17年6月10日政令第207号)、改正規則及び告示についても同日から施行する。

 3 既設のVOC排出施設関係

   規制の施行の日(平成18年4月1日)時点で既設のVOC排出施設については、排出基準は、平成22年4月1日から適用する(改正規則附則第2項)。
   ただし、既設のVOC排出施設であっても、VOC排出施設の届出及びVOC濃度の測定等の規定については、平成18年4月1日から適用するので留意されたい。

第22 関係機関との連絡

 1 警察等との連絡

   法第17条の7の規定に基づく計画変更命令等、法第17条の10の規定に基づく改善命令等及び法第23条第2項に基づく命令(以下「命令」という。)を発するに当たっては、関係都道府県警察その他の関係機関に事前に連絡されたい。

 2 労働局との連絡

   労働安全衛生法に基づく有機溶剤中毒予防規則等に基づく局所排気装置、発散源を密閉する設備、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置(以下「局所排気装置等」という。)は、労働者の健康確保の観点から性能等が定められていることから、局所排気装置等に関し命令を発するに当たっては、当該局所排気装置等に係る措置を除いては排出基準に適合させること等が困難と判断される場合に行うよう配慮されたい。また、命令を発するときは、対象となる局所排気装置等を設置している工場又は事業場を所管する都道府県労働局に事前に連絡されたい。

第23 指定物質との関係

   VOCに該当する物質の中には、法第2条第13項に規定する有害大気汚染物質に該当するものも含まれる。例えば、法附則第9項に規定する指定物質として、現在、ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンが指定されているが、これらはVOCにも該当する。しかしながら、VOCと有害大気汚染物質は、それぞれ対策を講じる目的が異なるので、両制度を併存させることとした。

第24 制度の見直し

   規制の施行の日(平成18年4月1日)後5年を経過した場合において、法の施行状況を勘案し、必要に応じて制度の再検討及び見直しを行うこととした(改正法附則第2条)。
   仮に、第1の1に記述した排出抑制の目標に照らしてVOCの排出抑制が十分でない事態が生じた場合等には、取組状況を評価し、法規制と自主的取組の組合せの仕方を見直すことで対応することとしている。また、規制以上の取組が継続的に行われている事業者が存在することが明らかになった場合には、測定頻度の軽減等の事業者の負担軽減について検討することとしている。

第25 VOC排出施設に係る届出状況の報告

   平成18年5月1日におけるVOC排出施設の届出状況を別添の様式により、同年5月末日までに環境省に報告をお願いしたい。
   なお、毎年定期的に報告をお願いする事項については、別途通知する。

   その他この通知に定めのないものについては、ばい煙又は粉じんの規制等に係る従来の通知に定めるものを参考にして判断されたい。

別紙1
揮発性有機化合物(VOC)に該当する主な物質

物質名
1
トルエン
2
キシレン
3
1,3,5-トリメチルベンゼン
4
酢酸エチル
5
デカン
6
メタノール
7
ジクロロメタン
8
メチルエチルケトン
9
n-ブタン
10
イソブタン
11
トリクロロエチレン
12
イソプロピルアルコール
13
酢酸ブチル
14
アセトン
15
メチルイソブチルケトン
16
ブチルセロソルブ
17
n-ヘキサン
18
n-ブタノール
19
n-ペンタン
20
cis-2-ブテン
21
イソブタノール
22
プロピレングリコールモノメチルエーテル
23
テトラクロロエチレン
24
シクロヘキサン
25
酢酸プロピル
26
trans-2-ブテン
27
エチルセロソルブ
28
ウンデカン
29
ノナン
30
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
31
2-メチルペンタン
32
エチレングリコール
33
2-メチル-2-ブテン
34
エチルシクロヘキサン
35
テトラリン
36
メチルアミルケトン
37
メチルn-ブチルケトン
38
クロロメタン
39
ベンジルアルコール
40
シクロペンタノン
41
2-メチル-1-ブテン
42
n-ヘプタン
43
ビシクロヘキシル
44
N,N-ジメチルホルムアミド
45
trans-2-ペンテン
46
cis-2-ペンテン
47
スチレン
48
N-メチル-2-ピロリドン
49
エチルセロソルブアセテート
50
ベンゼン
51
イソホロン
52
シクロヘキサノン
53
エタノール
54
メチルシクロペンタン
55
酢酸ビニル
56
3-メチルヘキサン
57
2,3-ジメチルブタン
58
2,2-ジメチルブタン
59
メチルシクロヘキサン
60
イソプロピルセロソルブ
61
1,2-ジクロロエタン
62
塩化ビニル
63
テトラフルオロエチレン
64
エチルベンゼン
65
クメン
66
クロロエタン
67
トリクロロエタン
68
アクリロニトリル
69
テトラヒドロフラン
70
エチレングリコールモノメチルエーテル
71
n-プロピルブロマイド
72
メタクリル酸メチル
73
1,3-ブタジエン
74
1,1-ジクロロエチレン
75
2,4-ジメチルペンタン
76
酸化プロピレン
77
クロロホルム
78
臭化メチル
79
ジペンテン
80
1-ヘプテン
81
1,4-ジオキサン
82
アセトニトリル
83
塩化アリル
84
アクリル酸
85
イソプレン
86
アセトアルデヒド
87
1,2-ジクロロプロパン
88
メチルセロソルブアセテート
89
エチレンオキシド
90
o-ジクロロベンゼン
91
クロロベンゼン
92
ギ酸メチル
93
トリエチルアミン
94
3-メチルヘプタン
95
フェノール
96
ナフタレン
97
アクリル酸メチル
98
シクロヘキシルアミン
99
ホルムアルデヒド
100
エピクロロヒドリン
  1. 注1:本表は平成12年度における排出量推計結果に基づき排出量の多い順に配列した。
  2. 注2:物質名には通称を含む。

別紙2
VOC排出施設の定義について

第1 総則

  工場又は事業場に設置される施設でVOCを排出するもののうち、その施設から排出されるVOCが大気の汚染の原因となるものであって、VOCの排出量(排出ガス処理装置を設置していない場合等における潜在的な排出量)が多いためにその規制を行うことが特に必要なものについて、規制の対象となるVOC排出施設とした。
   したがって、VOCを排出しないことが外形上明らかな施設は、VOC排出施設には該当しない。「VOCを排出しない施設」とは、VOCが潜在的に排出し得ない施設のことをいい、排出ガス処理装置の設置により排出を抑制している施設は含まれない。VOC又はVOCを溶剤として含有する製品を使用しない施設については、「VOCを排出しない施設」と解して差し支えない。「VOCを溶剤として含有する製品」とは、当該製品使用時(希釈剤を使用する場合にはその混入後)において、VOCの含有率が1%を超えるものを目安に判断されたい。

第2 VOC排出施設の種類

 1 VOCを溶剤として使用する化学製品の製造の用に供する乾燥施設(VOCを蒸発させるためのものに限る。以下同じ。)(令別表第1の2の1の項)

  1.   (1)「化学製品」とは、有機化学工業製品、化学繊維、塗料等、日本標準産業分類上の「化学工業」において化学反応により製造される製品をいう。化学反応を用いず加圧・加熱等のみにより製造される製品は含まれない。
  2.   (2)排出量の多い施設を規制対象とするため、VOCを溶剤(化学反応を進めるため、原材料等を溶かすのに用いる液体のことをいう。)として使用する施設のみを規制対象とした。VOCを原材料として使用するのみの施設は規制対象外となる。これは、溶剤としてのVOCの排出量と比べて、未反応原料及び副生成物としてのVOCの排出量は少ないからである。
  3.   (3)VOCを蒸発させるための乾燥施設のみを規制対象とした化学反応に伴う各種工程から、VOCが漏出し得るが、VOCを積極的・意図的に排出するのは、最終的にVOCを蒸発させるための乾燥工程のみであるからである。水分その他のVOC以外の物質のみを蒸発させるための乾燥施設は規制対象とならない。令別表第1の2に規定する他の乾燥施設についても同様である。

 2 塗装施設(吹付塗装を行うものに限る。)(令別表第1の2の2の項)

  1.   (1)「塗装」とは、物体の表面に塗料を用いて保護的、装飾的又は特殊性能を持った塗膜を作る作業のことをいう。したがって、顔料を含有し装飾的機能を有する一般通念上の塗料に限らず、以下のような特殊性能を有する塗料の塗布も「塗装」に該当する(次項についても同じ。)。
       さび止め塗料、防汚塗料、発光塗料、電気絶縁塗料(絶縁ワニスともいう。エナメル線用ワニス、基板の防湿用ワニス等)、半導体用塗料、導電塗料、フォトレジスト用塗料、磁気塗料(磁気テープの製造のために塗布する磁性体)、耐熱塗料、防火塗料、非粘着塗料、防音塗料
  2.   (2)VOCである溶剤(希釈剤を含む。)を含有しない塗料(使用時にVOC含有率1%以下のもの)のみを塗布することが明らかな塗装施設は、規制対象とはならない。粉体塗料、紫外線硬化型塗料及び電子線硬化型塗料は、これに該当することが多い。なお、一般に、水性塗料やハイソリッド塗料は、VOCを含有しているので留意されたい(次項についても同じ。)。
  3.   (3)「吹付塗装」とは、スプレーガンで塗料を微粒化して、吹き付けながら塗る方法である。VOCを含む塗料が霧散するので、コーター塗装(二以上のロール等の間に被塗物を通過させ、ロール等から被塗物に塗料を移行させる塗り方)及び浸せき塗装(塗料を入れた槽の中に被塗物を浸した後引き上げる塗り方)と比べて、VOCの排出量が多いことから規制対象とした。
  4.   (4)自動車の製造に係る塗装施設の排出基準は、新設の塗装施設の場合には、水性化等の対策技術の導入が可能であることから、400ppmCとしている(規則別表第5の2の2の項)。ただし、既設の塗装施設の場合には、水性化等の対策技術の導入が困難であることから、他の種類の塗装施設と同様に、700ppmCとした(改正規則附則第3項)。
       原動機付自転車は、ここでいう「自動車」に当たらないため、原動機付自転車の製造に係る塗装施設は、規則別表第5の2の2の項の適用は受けないが、同表の3の項の適用は受け、他の塗装施設と同様の取扱いとなる。
       自動車部品のみの製造は、「自動車の製造」に当たらないため、自動車部品のみの製造に係る塗装施設は、別表第5の2の2の項の適用は受けないが、同表の3の項の適用は受け、他の塗装施設と同様の取扱いとなる。

 3 塗装の用に供する乾燥施設(吹付塗装及び電着塗装に係るものを除く。)(令別表第1の2の3の項関係)

  1.   (1)塗装した後の、塗料に溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設は、塗装施設とはVOCの排出形態が異なるので、両者を区分して規制する。
  2.   (2)乾燥施設には、焼付施設も含まれる(以下同じ。)。
  3.   (3)吹付塗装に係る乾燥施設については、前段の塗装施設で大部分のVOCが揮発しているので、乾燥施設からの排出量は少ないことから、規制対象外とした。したがって、コーター塗装及び浸せき塗装等に係る乾燥施設が規制対象となる。
  4.   (4)「電着塗装」とは、導電性のある物体を水に分散した塗料の中に入れ、物体と他の金属体とが両極になるようにして電流を通して塗着させる塗り方である。浸せき塗装であっても電着塗装に係る乾燥施設は、VOC排出量が極めて少なく、かつ専用の塗装装置を用いるため外形的な確認が可能であることから、規制対象施設から除外した。
  5.   (5)塗装の用に供する乾燥施設の排出基準値は600ppmCとしたが、木材又は木製品(家具を含む。)の塗装の用に供する乾燥施設については、排出ガス中に木材由来の天然VOCが無視できない量含まれていることから、他の乾燥施設よりも木材由来の天然VOC分だけ高い排出基準値を採用することとし、1,000ppmCとした(規則別表第5の2の4の項及び5の項 )。

 4 印刷回路用銅張積層板の製造に係る接着の用に供する乾燥施設(令別表第1の2の4の項)

  1.   (1)「印刷回路用銅張積層板」とは、日本標準産業分類に規定する「工業用プラスチック製品」の一種である、片面又は両面を銅はくで覆ったプリント配線板用の積層板である。積層板とは、ガラス布(ガラスクロス)、紙などに樹脂を含浸したものを、積層、接着して得られる絶縁基板である。絶縁基板とは、表面に導体パターンを形成できる絶縁材料のことをいう。これを用いて印刷回路板(プリント配線板)が作られ、電気製品に使用される。
  2.   (2)印刷回路用銅張積層板の製造工程は、ワニスの塗布工程と銅箔の接着工程とに区分できるが、このうち、ワニスを塗布した後の、当該ワニスに溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設が規制対象となる。

 5 粘着テープ若しくは粘着シート又ははく離紙の製造に係る接着の用に供する乾燥施設(令別表第1の2の4の項)

  1.   (1)「粘着テープ・粘着シート」とは、紙、布等の片面又は両面に粘着剤を塗工し、ロール状 に巻いた比較的幅の狭いもの(テープ)又は比較的幅の広いもの若しくは板状のもの(シート)の総称である(粘着剤とは、接着剤の一種で、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけで接着する性質をもつ材料のことをいう。)。
  2.   (2)「はく離紙」とは、紙又はプラスチックフィルムの片面又は両面にはく離処理した材料である。粘着テープ又は粘着シートの粘着面に貼り付けて、使用時にはがして用いる。
  3.   (3)紙、布、プラスチックフィルム等に粘着剤又ははく離剤を塗布した後の、当該粘着剤又ははく離剤に溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設が規制対象となる。

 6 包装材料(合成樹脂を積層するものに限る。)の製造に係る接着の用に供する乾燥施設(令別表第1の2の4の項)

  1.   (1)本項の対象は、基材(合成樹脂、金属箔、紙、布等)に合成樹脂を一体化接着することによって作られる包装材料である。基材と合成樹脂の間に接着剤又は接着助剤(アンカー剤)が介在し、両者を貼り付けるので、接着に該当する。
  2.   (2)プラスチックフィルムに印刷したものを基材とし、ポリエチレン等の樹脂フィルム等を積層する「ポリエチレンラミネート製品」と呼ばれるものが一般的である。「ポリエチレンラミネート製品」は、さらに「ドライラミネート製品」と「押出ラミネート製品」とに分類されるが、いずれに係るものも規制対象となる。スナック菓子、レトルト食品、詰め替え用洗剤等の包装に使用されている。
  3.   (3)接着剤等を塗布した後の、当該接着剤等に溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設が規制対象となる。

 7 接着の用に供する乾燥施設(前項に掲げるもの及び木材又は木製品(家具を含む。)の製造の用に供するものを除く。)(令別表第1の2の5の項)

  1.   (1)「接着」とは、同種又は異種の固体の面と面とを貼り合わせて一体化した状態にすることをいう。
  2.   (2)「接着」には、接着剤により行うものの他、以下の業務についても含む。
    1.    ①染色整理業における以下の業務(コンバーティング)
      •     ・ラミネート(布地とフィルムとを接着剤で貼り合わせること)
      •     ・コーティング(布地の表面に樹脂を塗布すること)
      •     ・ボンディング(樹脂材料の両面に布地を貼り付けること)
      •     ・ディップ(含浸。布地に樹脂を染み込ませること)
    2.    ②ゴム引き(ゴム糊を布等に被覆又は含浸すること)
  3.   (3)接着剤等を塗布した後の、当該接着剤等に溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設が規制対象となる。
  4.   (4)VOCである溶剤(希釈剤を含む。)を含有しない接着剤(使用時にVOC含有率1%以下のもの)のみを使用することが明らかな接着施設は、規制対象とはならない。ホットメルト型接着剤及び紫外線硬化型接着剤は、これに該当することが多い。
  5.   (5)「木材又は木製品(家具を含む。)」の製造の用に供するものについては、規制対象から除くこととした。これは、シックハウス対策のため、接着剤の水性化(溶剤としてVOCを使用しない。)が著しく進展しており、その面からのVOCの排出量が少ない一方で、木材に起因する自然由来のVOC(テルペン類)の排出があり、これの削減を求めることが困難であるためである。
  6.   (6)「木材又は木製品(家具を含む。)」とは、単板、合板、集成材、パーティクルボード、繊維板等の木製基礎資材及びこれらの木製基礎資材等を主要材料として作られる製品(木製の家具その他の装備品を含む。)のことをいう。

 8 印刷の用に供する乾燥施設(オフセット輪転印刷に係るものに限る。)(令別表第1の2の6の項)

  1.   (1)「印刷」とは、原稿をもとに印刷版を作り、印刷機を用いて、インキを被印刷物に転移させる行為である。このうち、印刷後の、インキに溶剤として含まれるVOCを蒸発させるための乾燥施設が規制対象となる(次項についても同じ。)。
  2.   (2)VOCである溶剤(希釈剤を含む。)を含有しないインキ(使用時にVOC含有率1%以下のもの)のみを使用することが明らかな施設は、規制対象とはならない。紫外線硬化型インキ及び電子線硬化型インキは、これに該当することが多い。なお、一般に、水性インキは、VOCを含有しているので留意されたい(次項についても同じ。)。
  3.   (3)「オフセット印刷機」とは、印刷版の印刷インキをブランケット(表面がゴム層のシート)などの転写体に転移し、さらにこれを紙などに再転移する平版印刷方式の印刷機である。オフセット輪転印刷機は、現在の印刷機の主流であり、雑誌、ポスター、パンフレット、紙包装材料等の印刷に幅広く用いられている。
  4.   (4)「輪転印刷機」とは、円筒状の印刷版を、円筒形の圧胴で押圧する構造の印刷機である。給紙装置が巻取式のものと枚葉式のものがある。
  5.   (5)枚葉式のオフセット輪転印刷のうち、紙に印刷するものについては、一般に乾燥施設がないので規制対象にならないが、金属に印刷するものについては、乾燥施設があるので規制対象になり得る。

 9 印刷の用に供する乾燥施設(グラビア印刷に係るものに限る。)(令別表第1の2の7の項)

  1.   (1)「グラビア印刷機」とは、写真製版又は機械彫刻による印刷版を用い、非画像部のインキをドクターブレードというナイフによってかき落として、くぼんだ画像部に残っているインキに印圧をかけてプラスチックフィルムや紙等に転移させる凹版印刷方式の印刷機である。食料品等のプラスチックフィルム包装材料の印刷(以下「軟包装グラビア」という。)をはじめ、紙器、建材、出版物等の印刷に用いられている。
  2.   (2)軟包装グラビアによる印刷物を基材として、令別表第1の2の4の項に規定する「包装材料(合成樹脂を積層するものに限る。)」を製造することが多い。したがって、同一の工場内に、本項の施設と「包装材料(合成樹脂を積層するものに限る。)の製造に係る接着の用に供する乾燥施設」とが両方設置されている場合があるので留意されたい。

 10 工業の用に供するVOCによる洗浄施設(当該洗浄施設において洗浄の用に供したVOCを蒸発させるための乾燥施設を含む。)(令別表第1の2の8の項関係)

  1.   (1)VOCを洗浄剤として用いて、機械器具や金属板等を脱脂・洗浄する施設である。浸せき洗浄、リンス(すすぎ)、蒸気洗浄、乾燥等の工程を経るが、これらは一体不可分のものが多いため、洗浄施設に乾燥施設を含めて規制対象施設とした。
  2.   (2)VOCを含有しない洗浄剤(使用時にVOC含有率1%以下のもの)のみを使用することが明らかな洗浄施設(及びそれに係る乾燥施設)は規制対象とはならない。また、界面活性剤は、VOCに該当しない。
  3.   (3)工業製品そのものを洗浄するのみならず、当該工業製品を製造するために使用した器具を洗浄するものも含まれる。
  4.   (4)洗浄施設としては、工業用のものに限定されており、クリーニング業において用いる洗浄施設は規制対象とならない。

 11 ガソリン、原油、ナフサその他の温度37.8度において蒸気圧が20キロパスカルを超えるVOCの貯蔵タンク(密閉式及び浮屋根式(内部浮屋根式を含む。)のものを除く。)(令別表第1の2の9の項関係)

  1.   (1)VOCの貯蔵タンクにおいては、VOCを受け入れる時に通気口(ベント口)よりVOC蒸気が放出される。また、貯蔵中に外気温の変化によりタンク内の気相部分が膨張・収縮し、気温上昇とともに通気口よりVOC蒸気が放出される。しかしながら、密閉式及び浮屋根式(内部浮屋根式を含む。)のタンクは、VOCの排出がほとんどない。したがって、これらを除いたVOCの貯蔵タンク(固定屋根式のタンク)を規制対象とする。
  2.   (2)密閉式のタンクとは、常温・常圧において極めて揮発性が高い物質を貯蔵するため、通常時においては常時密閉されているタンクのことをいう。これには、非常時にタンク内の圧力を抜く目的で安全弁を設けているものも含まれる。
  3.   (3)浮屋根式のタンクとは、屋根が液面に密着して内溶液の出し入れに伴って上下し、液面の上部にVOCが蒸発する空間ができず、VOCの排出が抑制されるタンクのことをいう。内部浮屋根式のタンクとは、浮屋根の上にさらに固定屋根を取り付けたものをいう。
  4.   (4)VOC排出施設である固定屋根式の貯蔵タンクを改造し、その構造を密閉式又は浮屋根式(内部浮屋根式を含む。)に変更した場合には、当該貯蔵タンクについては、VOC排出施設の使用廃止届出をすることになる。
  5.   (5)貯蔵タンクは、他の施設と異なり、VOCを使用し揮発させることを目的とした施設ではなく、低揮発性のVOCの貯蔵タンクからの排出量は少ないことが明らかであるため、高揮発性のVOCの貯蔵タンクのみ規制対象とした。具体的には以下のとおりである。
    1.    ① 揮発性の高さを示す指標としては、蒸気圧を用いることとした。原油及び燃料油の蒸気圧は、摂氏37.8度(華氏100度)で測る方法が国内外で標準となっている。単一のVOCの蒸気圧についても同様に、摂氏37.8度における蒸気圧の値で判断することとする。これは、文献値から換算して求めることができる。
    2.    ② 高揮発性のVOCとしては、摂氏37.8度における蒸気圧で20キロパスカルを超えるものとした(以下「高揮発性VOC」という。)。これにより、石油類のうち、ガソリン、原油及びナフサの貯蔵タンクは規制対象となり、重油、軽油、灯油及びジェット燃料の貯蔵タンクは規制対象外となる。また、高揮発性VOCに該当する単一物質(ベンゼン等)の貯蔵タンクも規制対象となる。
    3.    ③ 原油については、高揮発性VOCに該当しないものも存在するので、その旨を、届出者が当該原油の蒸気圧を測定して立証すれば、それは規制対象物質とはならないが、高揮発性VOCに該当する原油と該当しない原油とをともに貯蔵することを目的としたタンクは、VOC排出施設に該当するので留意されたい。
    4.    ④ 高揮発性VOC(ガソリン等)と高揮発性VOC以外の物質(軽油、灯油等)とをともに貯蔵することを目的としたタンクについては、VOC排出施設に該当する。ただし、令においては、高揮発性VOC以外の貯蔵タンクからはVOCの排出はないものとみなしていることから、高揮発性VOC以外の物質を貯蔵しているときは、当該施設が休止状態に等しいものとみなし、測定は行わないこととする。

第3 VOC排出施設の規模要件

 1 乾燥施設の規模要件

  1.   (1)乾燥施設の規模を判断するための指標としては、乾燥のための送風機の送風能力とした(この送風能力とは、外形的な確認が可能な定格能力のことをいう。)。これは、一般的に、乾燥のための送風能力とVOC排出量とに相関性があるためである。ただし、送風機がない施設であっても、排風機により強制排気をしていれば、VOCを積極的に排出していることには変わりないので、排風機の排風能力を規模の指標とした。
  2.   (2)「送風機」とはVOC排出施設の外から中へ、「排風機」とはVOC排出施設の中から外へ空気を流す機械装置をいう。
  3.   (3)送風機と排風機がともに設置されている場合には、送風機の能力を対象とする。ただし、プッシュプル型換気装置(送風機と排風機とをともに有する。)については、乾燥のためではなく排気のための装置であるので、排風機の能力を対象とする。
  4.   (4)1施設に送風機が複数ある場合には、その能力を合算する。
  5.   (5)施設内循環のみを目的とする送風についてはVOCの排出との相関性が小さいため、このような送風機のみを設置する施設については、送風機はないものとして判断する。この場合、排風機があればその能力を規模の指標とし、排風機もない場合は規制対象外となる。
  6.   (6)ただし、送風機からの送風が施設内で循環するものを含んでいても、ダンパー(空気調節器)の切り替え等により潜在的に吸気も可能で、施設外へVOCが排出され得る設計になっている場合には、最大の吸気可能量で規模を判断する。
  7.   (7)専ら非常時において用いられる送風機の送風能力については、規制対象施設の規模要件である送風能力には合算しないこととする。

 2 塗装施設の規模要件

  1.   (1)塗装施設の規模を判断するための指標としては、排風機の排風能力とした(この排風能力とは、外形的に判断が可能な定格能力のことをいう。)。これは、一般的に、VOCを屋外に排出するための排風能力とVOC排出量とに相関性があるためである。排風機がない施設は規制対象とならない。
  2.   (2)1施設に排風機が複数ある場合には、その能力を合算する。
  3.   (3)ここでいう「排風機」とは、VOCを屋外に排出することを目的とした排気装置に備えられたものをいう。したがって、建屋内にVOCを排出する施設以外の様々な施設が混在しており、かつ、全体換気用の換気扇しか設置されていない場合には、当該換気扇はVOCを屋外に排出することが目的とは認められないので、当該換気扇は「排風機」に含まれない。
  4.   (4)ただし、建屋全体が塗装施設とみなせる場合(例:造船所における塗装用の建屋)に、換気扇のみが設置されている場合には、当該換気扇はVOCを屋外に排出することを主たる目的としていると考えられるので、当該換気扇は「排風機」に含まれる。
  5.   (5)複数の施設からの排出ガスが、1つの排風機により1つの排出口から排出される場合には、当該排風機の排風能力が、各施設にどのように割り振られているかを設計図等により確認し、その設計上の定格能力をもって排風機の排風能力とする。

 3 洗浄施設の規模要件

  1.   (1)洗浄施設の規模を示す指標としては、洗浄施設内において、洗浄剤であるVOCが空気に接する面(液面又は蒸気空気境界面)の面積とした。これは、当該面と当該面から揮発するVOCの量とに相関関係があると考えられるからである。
  2.   (2)三槽式の洗浄施設等、各槽が一体的に使用されるものについては、各槽の面の面積を合算する。
  3.   (3)水平部の断面積が場所によって異なる洗浄施設における「空気に接する面の面積」は、当該洗浄施設において洗浄の用に供することのできる範囲内で最も大きい面の面積とする。
  4.   (4)蒸気洗浄等により、洗浄剤が霧状となる施設の場合の「空気に接する面の面積」は、洗浄施設の水平部の断面積と等しい。
  5.   (5)シャワー洗浄等により、洗浄剤の液滴を当てて洗浄する施設の場合の「空気に接する面の面積」は、当該洗浄剤による被洗浄物の濡れ面の面積と等しい。
  6.   (6)洗浄施設と乾燥施設は概念上は別のものであるが、一体となっているものが多い。ただし、洗浄施設と乾燥施設が一体となっていない場合にあっても、当該乾燥施設の規模を示す指標としては、乾燥前の洗浄施設おけるVOCが空気に接する面の面積によることとする。

 4 貯蔵タンクの規模要件

    貯蔵タンクに係る規模の指標としては、当該タンクの容量とした。なお、ここでいう「容量」とは、消防法に基づく危険物規制において採用されているタンクの「容量」と同義である。    規模要件は、容量が1,000キロリットル以上のものであるが(令別表第1の2の9の項)、既設の貯蔵タンクについては、排出基準の適用に当たっては、容量が2,000キロリットル以上のものを対象とすることとした(改正規則附則第4項)。

第4 施設の範囲

   VOC排出施設は、独立の単位として認められるもので1施設となる。構造的に一体となっている施設は全体として1施設となる。特に留意すべき事例としては、以下のとおりである。

  1.  1 塗装施設は、塗装ブースごとに1施設とみなす。
  2.  2 乾燥施設は、乾燥機ごとに1施設とみなす。ただし、複数の乾燥機が構造的に一体となり、1つの乾燥ゾーンを形成している場合には、それを1施設とみなす。
  3.  3 振り分け式グラビア印刷機(一つのグラビア印刷機で複数の給紙・排紙装置を有するもの)は、全体で1施設とみなす。
  4.  4 洗浄施設は、洗浄機ごとに1施設とみなす。三槽式の洗浄機等、各槽が一体的に使用されるものについては、全体で1施設とみなす。
  5.  5 容易に可動できる仕切り板等を用いて、1つの施設を区分けしたとしても、当該施設は1つのものとみなす。

第5 その他留意点

 1 VOCの使用量等との関係

   大気汚染防止法の規制の枠組みにおいては、規制対象となる施設の種類や規模は、第三者が外形上から客観的に確認できる指標により判断することとしている。
   したがって、景気や操業計画等の影響で変動し、外形上の判断が容易でないVOCの使用量、排出量、排出濃度等の多寡によって、当該施設が規制対象となるか否か判断しない。
   (ただし、第1で記述したとおり、VOC又はVOCを溶剤として含有する製品を使用しない施設は、VOCを潜在的に排出し得ないため、規制対象外である。)

 2 施設の稼働日数との関係

   外形上VOC排出施設に該当するものであれば、それが試験研究用又は特殊製品製造用等の稼働日数が少ない施設であったとしても、稼働日数の多寡を外形から判断することは困難であり、潜在的には通年で稼働する可能性があるので、規制対象外とはしない。
   ただし、1年間につき継続して休止する期間(前年から引き続き休止し、かつ、その期間のうち前年に属する期間が6ヶ月未満である場合は、当該前年に属する期間を含む。)が6ヶ月以上のVOC排出施設については、年1回、稼働しているときに測定すれば足りることとしている(規則第15条の3)。
   また、一時的(3ヶ月以内程度)に据え置かれた施設については、規制対象とはせず、届出は必要ないものとする。

別紙3
VOC排出施設の届出書の記載事項について

1 「設置年月日」の欄

  「設置」とは、設置の工事に着手することをいう。

2 「規模」の欄

  届出施設が該当する令別表第1の2の中欄の施設の下欄に掲げる規模についてのみ記載すればよい。

3 「排出ガス量」の欄

  1.   (1)「最大のもの」を記載する。「最大のもの」とは、届出の際に予定されている使用条件に従い、当該施設を定格能力で運転するときの排出ガス量のことをいう。
  2.   (2)「湿りガス濃度」を記載する。VOC排出施設からの排出ガス中の水分濃度は一般に低く、湿りガスにおける濃度と乾きガスにおける濃度にはほとんど差がない。このため、測定法を簡略化する観点から水分測定は行わず、湿りガスにおける濃度をVOC濃度とした。

4 「1日の使用時間及び月使用日数等」

  1.   (1)当該施設を最も多く使用する期間(月)における平均使用状況を記載する。
  2.   (2)貯蔵タンクについては、常時貯蔵していない場合や、高揮発性VOCを貯蔵しているときとそれ以外の物質を貯蔵しているときの両方がある場合がある。したがって、「一日の使用時間及び月使用日数等」の欄には、高揮発性VOCを貯蔵している日数を記載する。

5 「使用する主な揮発性有機化合物の種類」

  1.   (1)トルエン、キシレン等の物質名を記載する。
  2.   (2)「主な種類」のものとそうでない種類のものとを区分けする判断基準を設ける予定はないので、事業者の申告により都道府県知事が判断されたい。
  3.   (3)当該VOCが石油類である場合は、物質名ではなく、ガソリン、原油、ナフサ等の製品名を記載すればよい。

6 「揮発性有機化合物濃度」の欄

  1.   (1)一施設で複数の排出口を有する場合のVOC濃度については、それぞれについて記載するのが原則であるが、以下のいずれかでもよい。
    •    ・施設の構造等から最高濃度のVOCを排出している排出口が特定できる場合は、当該排出口におけるVOC濃度。
    •    ・各排出口からのVOC濃度を排出ガス量で加重平均した濃度。
  2.   (2)複数のVOC排出施設等から集合煙突を経て排出される場合であっても、各施設が単独に稼働し、当該集合煙突から排出する場合のものを測定又は計算して記載する。現行のばい煙規制と同様の取扱いである。
  3.   (3)新たに設置する施設の場合には、計算により求めた濃度を記載する。
  4.   (4)貯蔵タンク(排出ガス処理装置を設置しているものを除く。)の場合には、計算により求めたVOC濃度を記載すればよい。

7 「参考事項」の欄

  1.   (1)環境大臣が定める測定法においては、試料の採取は、一工程でVOCの排出が不安定な時期には行わないこと、また、ごく短時間に限り特異的に高濃度の排出が生じる場合のVOCの濃度については、測定値から除外すること等を規定している。VOC排出施設において、このような事態が想定されている場合には、参考事項の欄に記載させることとする。
  2.   (2)VOCの処理施設を設置しない場合には、様式第2の2の別紙2の届出は必要ない。ただし、処理施設を設置しなくとも排出基準に適合できる旨を説明するため、VOCの含有量が少ない塗料等を使用する等のVOCの排出の抑制のために採っている方法を参考事項の欄に記載させることとする。

様式
揮発性有機化合物排出施設の種類別届出件数

令別表第1の2の項番号
施設の名称
平成18年5月1日現在の届出施設数
設置届出(法第17条の4)
使用届出(法第17条の5)
揮発性有機化合物を溶剤として使用する化学製品の製造の用に供する乾燥施設
( )
( )
塗装施設
( )
( )
塗装の用に供する乾燥施設
( )
( )
印刷回路用銅張積層板、粘着テープ若しくは粘着シート、はく離紙又は包装材料の製造に係る接着の用に供する乾燥施設
( )
( )
接着の用に供する乾燥施設
( )
( )
印刷の用に供する乾燥施設(オフセット輪転印刷に係るものに限る。)
( )
( )
印刷の用に供する乾燥施設(グラビア印刷に係るものに限る。)
( )
( )
工業の用に供する揮発性有機化合物による洗浄施設
( )
( )
ガソリン、原油、ナフサその他温度37.8度において蒸気圧が20キロパスカルを超える揮発性有機化合物の貯蔵タンク
( )
( )
合計
( )
( )
  1. 備考1:表中の( )内には、工場・事業場の数を記入すること。
  2.   2:合計の欄の( )内には、のべ数ではなく実数を記入すること。
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