法令・告示・通達

建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について

  • 公布日:昭和63年2月1日
  • 環大規26・衛企9

(都道府県・指定都市衛生・環境主管部(局)長・保健所政令市・特別区衛生主管部(局)長あて環境庁大気保全局大気規制課長・厚生省生活衛生局企画課長通知)
 昨年初めより、学校等において吸音・断熱用等に使用されている吹付けアスベストの存在に大きな関心がもたれ、一部で除去工事等が進められているが、一方、不適切な除去工事等が安易に行われた場合、かえつてアスベスト粉じんによる室内汚染や環境汚染の発生が懸念されるところである。
 このような状況に鑑み、今般、別紙のとおり「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」をとりまとめたので通知する。
 ついては、貴職におかれても関係部局と連携の上、本通知の趣旨を十分いかしつつ、実情に応じた対策の推進に努められたい。
 なお、都道府県においては貴管下の市町村についてもこの通知の内容の周知徹底方、よろしくお願いする。

別表

「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」

Ⅰ 基本的認識

  建築物内に使用されているアスベストに関しては、当面次のような基本的認識に立つて、対処する必要がある。

  1.  一 アスベストは、建築物内では、壁・天井・床等各種の建築材料として、また、耐火材、吸音材、断熱材等として用いられているが、それらの中の多くのものは、セメント板、プラスティック材等の原料の一部として固定されているので、空中に飛散する可能性のあるものは、吹付け材、板状材の表面の破損部分や磨耗部分等である。従つて、良好な状態にある材料では、加工などの操作を行わない限り、飛散のおそれはないと考えられる。
       また、アスベストの吹付けは、昭和五〇年労働安全衛生法に基づき規制されたため、主として昭和三〇年代初頭から昭和五〇年代初頭までに建てられた建築物を中心に使用されていると考えられる。
  2.  二 アスベストは、繊維として空気中に浮遊した状態にあると、人が吸入した場合、肺がん等の原因になりうるが、固定され、空気中に浮遊しない状態では、健康障害をおこすことはないと考えられる。
  3.  三 現在の我が国における一般環境大気中のアスベスト濃度は、これまでの調査結果からすれば、作業環境の評価基準である管理濃度の二桁から四桁程度低いレベルである。
  4.  四 建築物内の空気中に浮遊しているアスベスト繊維の濃度は、既存の調査結果によると一般的にいつて、一般環境大気中の濃度とほぼ同程度であり、WHOの報告によれば、一般居住者に対するリスクは極めて小さく、直ちに問題となるレベルではないと考えられる。
  5.  五 建築物内でアスベストを含有する建材からアスベスト繊維が浮離していなければ、建築物内の空気は一般環境大気と同じ程度の濃度と考えられる。

Ⅱ 当面の対策における基本的事項

  建築物内に使用されているアスベストについては、次の点に留意した適切な対策がとられることが望ましいこと。

  1.  一 アスベストを含有する建材で、アスベスト繊維を遊離する可能性が大きく、当面の対策の第一とすべきものは、経年変化で劣化したり、ひつかくなどにより損傷のある吹付け材であること。これが存在する場合、建築物内のアスベスト繊維の濃度が周辺環境大気中の濃度より高くなつている可能性があり、その際は、適切な処置を検討する必要があること。
  2.  二 アスベスト繊維の遊離を防止する処置としては、特殊な塗料を塗ること等による封じ込め、シートや板等でおおう囲い込み及び除去の三つの方法があり、状況に応じた適切な方法を選択のうえ工事を行う必要があること。
  3.  三 処置の検討にあたつては、浮遊するアスベスト繊維の濃度を測定するのが原則であるが、必ずしも容易に実施できるものではない。従つて、処置の決定にあたつては、研究班の報告書(注一)に示された別添のフロチャートを参考にしつつ、状況に応じ対処すること。
  4.  四 除去工事等が不適切に実施されれば、建築物内の空気及び周辺環境大気を汚染するおそれが大きいことに留意し、工事の実施にあたつては昭和六二年一〇月二六日付け環大規第二二五号環境庁大気保全局大気規制課長通知「建築物の改修・解体に伴うアスベスト(石綿)による大気汚染の防止について」の趣旨を踏まえて適切に行うとともに関係法令等(注二)を遵守すること。
  5.  五 アスベスト繊維の濃度測定等によりアスベスト繊維が遊離していないと判定される場合及び修理、囲い込み、封じ込め等の処置を施した場合等適切な管理が必要と判定される場合には、メンテナンス等の際誤つて損傷を与えないよう留意すること。また、定期的に状況の判定を行い、アスベスト繊維が遊離する状態ではないことを確認するとともに記録すること。

Ⅲ 当面の対策における留意事項

  1.  一 アスベストを含有する建材に除去等の処置を施した場合には耐火や防音等その建材が有していた機能が損われるので、必要に応じて失われた機能を補う必要があること。
  2.  二 除去工事等によつて発生したアスベストを含有する廃棄物については、関係法令並びに環境庁水質保全局長、厚生省生活衛生局水道環境部長通知(注三)及び厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長通知(注四)を遵守して処理すること。

Ⅳ 都道府県等の役割

  1.  一 都道府県、指定都市、保健所政令市及び特別区(都道府県等という。以下同じ。)は、上記Ⅱ及びⅢに従つて、管下建築物の所有者等の指導に努めること。
  2.  二 都道府県等は、アスベストの処置が円滑に行えるよう、管下におけるアスベスト粉じん濃度測定が行える機関及び吹付けアスベストの処置について十分な資格経験を有する業者の把握に努めること。
  3.  三 都道府県等は、建築物の所有者等に適切な指導が行えるよう保健所等を含め体制づくりに努めること。

Ⅴ その他

  1.  一 建築物内のアスベストの濃度測定については、環境庁が作成した環境大気のアスベストモニタリングマニュアル(注五)を参考にすること。
  2.  二 封じ込め、囲い込み、除去の方法については、建設省及び通商産業省の関連団体である日本石綿製品工業会によるマニュアル(注六)並びに労働者の関連団体である建設業労働災害防止協会によるマニュアル(注七)があること。
    1.   (注一) 当面の建築物内アスベスト対策について(中間報告)(六三・一・二〇建築物内における健康に影響を及ぼす粉じんの実態とその抑制に関する研究班)
    2.   (注二)
         ・特定化学物質等障害予防規則(四七・九・三〇労働省令三九)
         ・建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止等について(労働省労働基準局安全衛生部長通達 六一・九・六基安発三四)
    3.   (注三) アスベスト(石綿)廃棄物の処理について(環境庁水質保全局長、厚生省生活衛生局水道環境部長通知 六二・一〇・二六環水企 三一七、衛産三四)
    4.   (注四) アスベスト(石綿)廃棄物の処理について(厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長通知 六二・一〇・二六衛産三五)
    5.   (注五) アスベストモニタリングマニュアル(環境庁 六〇・三)
    6.   (注六) 吹付け石綿への対応について(日本石綿製品工業会 六二・九)
    7.   (注七) 建築物の解体又は改修工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止対策の進め方(建築業労働災害防止協会 六二・七)

 略

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