法令・告示・通達

地球温暖化問題に関する検討会分科会第一回中間報告

  • 公布日:平成元年6月1日
  • 地球温暖化問題に関する検討会(影響評価分科会対策分科会))

 目次

  1.  一 はじめに
  2.  二 背景
  3.  三 分科会における検討の経過
  4.  四 検討事項の概要
    1.   四―一 影響評価分科会
      1.    (一) 二酸化炭素の循環(田中(正))
      2.    (二) 地球規模の炭素循環に係る諸問題(北野)
      3.    (三) 地球温暖化と海洋炭素循環(杉村)
      4.    (四) 影響評価の前提としての気候変化シナリオ(松野)
      5.    (五) 陸生生物の生産力、分布に対する影響(古川)
      6.    (六) 我が国の農業への影響(内嶋)
      7.    (七) 森林への影響(井上)
      8.    (八) 大気質への影響(大喜多、鷲田)
      9.    (九) 大気科学反応に関する実験的考察(鷲田)
      10.    (一〇) 土木・環境工学分野への影響(花木)
      11.    (一一) 産業への影響(西岡)
      12.    (一二) 健康への影響(佐々木)
  5.   四―二 対策分科会
    1.    (一) 地球温暖化抑制策とエネルギー需給に係る諸問題(鈴木)
    2.    (二) 超長期エネルギーシナリオ(山地)
    3.    (三) エネルギーシナリオに関する若干の考察(茅)
    4.    (四) 地球温暖化に係わるトレースガスとその対策(秋元)
    5.    (五) 地球温暖化に対する農業のかかわりと対応(宇田川)
    6.    (六) 自動車の省エネルギー等(紫藤)
    7.    (七) 地球温暖化対策と建築技術(田中(授))
    8.    (八) 二酸化炭素の固定化・利用技術(小宮山)
    9.    (九) 既存の公害対策における温室効果ガス及び温暖化関連ガスの排出抑制効果(秋元)
    10.    (一〇) 開発途上国と地球温暖化問題(佐々波)
    11.    (一一) 対策オプション(米国EPA報告書から)(西岡)
  6.  五 今後の課題

一 はじめに

  本報告書は、地球温暖化問題検討会の第一回中間報告書(昭和六三年一一月)までの検討に引き続いて、平成元年一月から六月までに行われた分科会(影響評価・対策)における検討の内容を取りまとめたものである。本編は、分科会における各委員からの報告の概要を取りまとめたものである。
  地球温暖化問題に関する関心は、この一年間に飛躍的に高まつた。しかし、広範かつ専門的な事項にわたつてこの問題を正確に理解することは、専門家においてすらなかなか難しいものとなつている。さらに、現在、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)において行われている①科学的知見、②環境的社会経済的影響、③対策についての検討も、末だその成果が明らかとなつていない段階にある。こうした中で、当検討会の分科会においては、IPCCと同様の項目に関する重要事項の整理を当面の目標として検討を進めてきた。この結果、今回の報告書は、現時点における知見の集積を意図して準備してきたものではあるものの、内外の全ての考え方を網羅し尽くしたものとはなつていないことをお断りしておきたい。
  地球温暖化問題に関しては、今後より一層具体的な検討が必要とされている。このような必要に鑑み、本中間報告書は、必ずしも網羅的なものではないが、環境庁はもとより、広く各方面において検討の参考としていただくことを意図してとりあえず公表することとしたものである。

二 背景

  環境庁「地球温暖化問題に関する検討会」は、地球温暖化問題に関する現状の科学的知見を整理し、我が国としての対応の在り方等の検討に資するため、昭和六三年五月三〇日に設置された。その後、①諸外国及び我が国における取り組みの状況、②科学的知見の現状評価、③今後調査研究を要する分野の特定、④我が国として取るべき具体的対応の方向のそれぞれについて、同年一〇月までに五回の会議と三回の小委員会を開催して検討を行い、同年一一月二日第一回中間報告書を公表した。特に、その中では、対応の方向として、科学的知見の充実と並行して、長期的視点に立つて、国際的及び国内的対応を講じることが必要であるとの認識の下、我が国としての当面の対応として、①行動のための指針設定に関する検討の推進、②温暖化問題に関する国際的コンセンサスづくりへの貢献、③研究プロジェクトの重点的推進、④啓発活動の推進、⑤国内における対策及び研究の推進に関する統一的な体制の確立等を提言した。この中間報告書の内容は、結果的には、同年一一月に行われたUNEP/WMO主催による「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第一回会議への日本政府対処方針に反映され、我が国が世界の諸国と歩調を合わせて地球温暖化問題に取組むために大きな貢献を果たした。
  その後、IPCCにおいては、地球温暖化問題に関する一層具体的な検討を行うため、①科学的知見、②環境的、社会経済的影響評価、③対策ストラテジーの三つの分科会(ワーキンググループ)を発足させることが決定され、我が国は、これらのすべてに参画し、特に第二ワーキンググループでは、副議長を勤めることとなつた。こうした新たな動きに対応するため、地球温暖化問題に関する検討会では、平成元年一月、①影響評価及び②対策の二つの分科会を設置し、IPCCへの貢献のための具体的検討とIPCCにおける検討事項のフォローを行うこととした。同年一月末から二月にかけて行われたIPCCの各ワーキンググループ会合には、環境庁からも代表者が派遣され、今後の検討における日本の積極的貢献を表明した。このような方針を踏まえて、第二ワーキンググループにおいてはDグループ(その後「第五セクション」と改称。エネルギー、産業、交通、大気質、UV―B、健康、人間居住の七項目への影響を評価。)、第三ワーキンググループにおいては、エネルギー・産業サブグループについて日本が共同議長となつて世界の報告書を取りまとめることとなつた。
  また、IPCCにおける地球温暖化問題に関する検討の対象が、幅広い行政分野に及ぶようになつてきたため(表―一)、外務省を中心に国内の体制の整備が図られた結果、環境庁では、第二ワーキンググループの「Bグループ」(その後「第三セクション」と改称。自然生態系への影響を評価。)と第三ワーキンググループの「資源の利用と管理」サブグループの国内取りまとめの窓口を担当する(自然保護局)とともに、日本が取りまとめの責任を負うこととなつた第二ワーキンググループの「Dグループ」(その後「第五セクション」と改称。)については、外務省が総合調整を行い、環境庁(大気保全局)が事務局となつて、また、第三ワーキンググループの「エネルギー・産業サブグループ」については、外務省が総合調整を行い、通産省が事務局となつて、各省庁が協力し、国際的な報告書作成への本格的な取り組みが開始されている。
  さらに、地球温暖化問題の制度的側面については、フランス、オランダ、ノルウェーの三ケ国の首脳が提唱して平成元年三月にオランダのハーグで開催された「環境首脳会議」を機に政治的な場における国際的な検討の気運が高まつている。同会議には、竹下総理(当時)の代理として環境庁の青木長官が我が国を代表して参加したが、この会議の結果まとめられた「ハーグ宣言」においては、①地球温暖化対策には、新たな、かつ一層効果的な意志決定と執行のメカニズムが必要である、②地球温暖化対策の実行のために有効な決定を行い得るような強力な権威を作り出すことが必要である、③その際、情報交換、取り極めの作成、基準の設定、基準の遵守状況の監視などを実施することが必要である、④地球的な対策によつて特別の負担を課される途上国に対し、特別の負担を埋め合わせるための援助の仕組みを開発することが必要である、⑤これらの諸対策実施のための基本的な条約等を検討することが必要である等といつた考え方が打ち出されるところとなつた。
  この流れを受けて、地球温暖化問題に関する枠組み条約を検討すべきとする国際的気運が一層高まり、同年五月一〇日から一二日にジュネーブで開催されたIPCC第三ワーキンググループのステアリングコミッティでは、対策の実施メカニズムについて、①法的手段及びプロセス、②技術移転、開発の手段、③財政的措置、④公共教育と情報手段、⑤経済的(市場的)手段の各項目ごとに同年秋までに具体的な検討を行うことが決定された。更に、こうした流れを受けて、同年五月二五日、ナイロビにおけるUNEP管理理事会では、参加一〇三ケ国等の全会一致で「気候変化に関する決議」が採択され、この中で、一九九〇年一〇月頃に予定されているIPCCの中間取りまとめを受けて、UNEPにおいて「気候変動に関する枠組み条約」に関する外交交渉を開始するとのスケジュールが合意された。
  このように、地球温暖化問題に関する国際的検討は、この一年間に飛躍的な進展を見せ、一九九〇年秋に向けてIPCCの場において科学的、技術的な検討を進めるのみならず、その後に引き続いて「枠組み条約」の検討を行うことまでが既に国際的な合意となつてきている。したがつて、この問題に関して国際的な貢献を国際的公約としている我が国としては、更に一層検討を促進する必要がある。

  表―一 IPCCにおける検討分野等

 
サブグループ等
議長等
担当分野等
第一ワーキンググループ
 議長国 英国
副議長国 ブラジル、セネガル
第一節
米、スウエーデン
気候影響要因の変化
第二節
米、仏
気候影響要因の相対的重要性
第三節
米、英、ソ
地球の気候‥気候変化と気候変動
第四節
米、仏
諸過程とモデル化
第五節
米、英
過去及び現在の気候のモデル・シミュレーション
第六節
英、西独、米、日
モデルによる気候変化の予測とその不確かさ
第七節
オランダ、英
海面水位上昇
第八節
米、ブラジル、英
生態系の動的挙動と大気との相互作用
第九節
 
今後の課題
第二ワーキンググループ
 議長国 ソ連
副議長国 日本 豪
第一セクション
米国、ソ連
将来の気候予測
第二セクション
英、ソ連、インド
農業、林業、土地利用
第三セクション
カナダ、ソ連
陸上自然生態系
第四セクション
米国、ソ連、アルジェリア
水理、水資源
第五セクション
日本、ソ連
エネルギー、産業、交通、大気質、紫外線、健康、人間居住
第六セクション
米国、ソ連
世界の海洋と沿岸域
第七セクション
カナダ、ソ連
気候変動と氷域
ステアリング
米国、ソ連、IIASA
全体統轄、連絡促進、他のWGとの調整
第三ワーキンググループ
 議長国 米国
副議長国 カナダ、中国、マルタ、オランダ、ジンバブエ
エネルギーと産業
日本、中国
温室効果ガスの排出予測、対策オプション等
農業、林業その他の人間活動
西独、ジンバブエ
農業(家畜、稲作、施肥)からのメタン、亜酸化窒素の排出、廃棄物からのメタン排出、森林対策戦略等
海岸地域管理
ニュージーランド、オランダ
海面上昇の時期、程度、影響、対応策等
資源の利用と管理
フランス、インド
水資源、森林、農業、漁業、牧畜、塩水化、砂漠化、自然生態系、土地利用管理
ステアリング
米国
Task―Aエミッションシナリオ
Task―B実施メカニズム


 注) 第一分科会のサブグループ欄は報告書の節構成、議長等は執筆責任者の出身国を示す。

三 分科会における検討の経過

  影響評価分科会及び対策分科会は、これまでにそれぞれ五回の会議を開催した。それぞれの分科会の活動目標は、①IPCCへの貢献のための具体的検討、②IPCCにおける検討事項のフォロー、③関係分野の重要事項の整理に置かれ、それぞれの会議における検討項目は、左記のとおりであつた。なお、本報告書では、これらのうち各委員からの報告の主なものを中心にその内容を取りまとめることとしたものである。

 (一) 影響評価分科会

  第一回 平成元年一月一二日

  •    分科会設立に関する趣旨説明
  •    今後の進め方等について
  •   委員発表
    1.    ① EPA影響評価報告書における検討の枠組み 花木委員

  第二回 平成元年三月三日

  •    IPCCワーキンググループ会合の報告
  •    委員発表
    1.    ① 地球温暖化と海洋炭素循環について 杉村委員
    2.    ② 気候変化シナリオの考え方 松野委員
    3.    ③ 陸生生物の生産力、分布に対する影響 古川委員

  第三回 平成元年四月二〇日

  •    環境首脳会議(ハーグ会合)の結果について
  •    委員発表
    1.    ① 我が国の農業への影響 内嶋委員
    2.    ② 大気質への影響 大喜多委員、鷲田委員
    3.    ③ 影響評価の前提としての気候変化シナリオ 松野委員
    4.    ④ 米国EPA「地球気候の安定化に向けた政策オプション」報告書 西岡委員

  第四回 平成元年五月二二日

  •    IPCCワーキンググループ会合の報告
  •    委員発表
    1.    ① 土木・環境工学の分野への影響 花木委員
            建築・環境工学の分野への影響 (対策分科会)田中委員
    2.    ② 地球規模の炭素循環に係る諸問題 北野委員
    3.    ③ 産業への影響 西岡委員

  第五回 平成元年六月一六日

  •    委員発表
    1.    ① 健康への影響 参考人 佐々木 隆 前熊本大学医学部教授
    2.    ② 大気科学反応に関する実験的考察 鷲田委員
    3.    ③ 森林への影響 井上委員
    4.    ④ 影響評価の前提としての気候変化シナリオ 松野委員
    5.    ⑤ 二酸化炭素の循環 田中委員

 (二) 対策分科会

  第一回 平成元年一月一二日

  •    分科会設立に関する趣旨説明
  •    今後の進め方等について

  第二回 平成元年三月八日

  •    IPCCワーキンググループの報告
  •    委員発表
    1.    ① 超長期エネルギーシナリオ 山地委員
    2.    ② 地球温暖化に係わるトレースガスとその対策 秋元委員

  第三回 平成元年四月一四日

  •    環境首脳会議(ハーグ会合)の結果について
  •    委員発表
    1.    ① 地球温暖化に対する農業のかかわりと対応 宇田川委員
    2.    ② 自動車の省エネルギー等 柴藤委員
    3.    ③ 地球温暖化対策と建築技術 田中委員
           土木・環境工学分野への影響と対策 (影響分科会)花木委員

  第四回 平成元年五月二五日

  •    IPCCワーキンググループ会合の報告
  •    委員発表
    1.    ① エネルギーシナリオに関する若干の考察 茅委員
    2.    ② 二酸化炭素の固定化・利用技術 小宮山委員
    3.    ③ 対策オプション(米国EPA報告書から) 西岡委員

  第五回 平成元年六月一九日

  •    委員発表
    1.    ① 既存の公害対策における温室効果ガス等の排出抑制効果 秋元委員
    2.    ② 地球温暖化抑制策とそのエネルギー需給に係る諸問題 鈴木委員
    3.    ③ 開発途上国と地球温暖化問題 佐々波委員
  影響評価分科会

4 検討事項の概要

 4―1 影響評価分科会 略

  対策分科会

 4―2 対策分科会 略

5 今後の課題

  1.   (1) 地球温暖化問題に関する国際的な検討は、現在IPCCを中心として進められているところであり、1990年秋に予定されている中間報告書の取りまとめに向けて、既に国際的に決められているスケジュールに合わせて、我が国としても一層積極的な検討を進めてこれに貢献していかなければならない。
  2.   (2) また、国際的な検討の方向を見極めながら、できる限り問題を先取りして検討を進めていく必要がある。
  3.   (3) 本検討会は、既に昨年11月に公表した第1回中間報告書において地球温暖化に関して今後調査研究を要する分野、我が国としてとるべき具体的対応の方向等に関して提言したところであるが、これに加えて、その後の本分科会における検討結果について上記4でまとめているところである。
  4.   (4) 今後は、これらの未解明な分野に関して、両分科会における一層の検討あるいは関連する調査研究等を積極的に進めていく必要があるが、その際には来年10月ごろに予定されているIPCCの中間報告書が出された後に本格化する国際的な取り組みに的確に対応できるよう現段階から必要な予算の確保、調査研究推進体制の整備、関係研究機関及び関係省庁における連携の強化等に関して、十分な措置を講ずることを行政当局に対して強く要望するものである。
  5.   (5) なお、上記(4)に関して当面重点的に対応が必要と考えられる事項について、特記すると次のとおりである。

       ① 地球温暖化のメカニズム等に関する科学的知見等の一層の充実

    1.     (ア) 気候変化の幅、地域的・局地的な気候変化の予測、気候変化の発生時期等に関して、より詳細で精度の高い予測を行うための手法の開発を含めた調査研究の一層の推進を図る。
    2.     (イ) 地球規模の炭素循環に関して、調査研究の一層の推進を図る。特に、海洋における炭素循環の調査研究を重視する必要がある。
    3.     (ウ) 二酸化炭素のみならず、他の温室効果ガスの発生源の特定、排出量の把握及び将来予測等に関する調査研究の一層の推進を図るとともに、地球温暖化対策の実施状況を適切に評価する観点を含めてモニタリング体制を整備する。
            なお、これらに関しては、我が国に対して間接的に影響するアジア地域諸国と連携し、アジア地域全体を考慮した排出量の予測、モニタリングネットワークの形成等を行うことが肝要であり、このためにアジア諸国に対して科学的知見や技術的な面での援助等に努める必要がある。

       ② 地球温暖化が及ぼす環境的、社会経済的影響の一層の解明

         これらに関しては、未解明な分野(陸生生物、海洋生物、農業、森林、水産・漁業、土木環境、産業、大気質、健康等及び社会経済への影響等)が多く残されており、地球温暖化対策を具体化するための科学的基盤を確立するべく調査研究の一層の推進を図る。
         この場合、我が国自身に対する影響はもとより、我が国に対して間接的に影響するアジア諸国におけるこれらの影響についても、アジア諸国と連携しながら調査研究を進める必要があり、このためにアジア諸国に対して技術援助等に努める必要がある。

       ③ 実行可能な対策の具体化

         地球温暖化問題に対する対策は、現在IPCCにおいて検討が進められている途上にあるが、既に「ショッピングリスト方式」として各種の対策オプションの中から各国が実情に即して取捨選択する方式が提案されている。また、1989年5月のUNEP第15回管理理事会においては、IPCCの報告を受けてUNEPが「枠組み条約」の外交交渉に入ること等を決議したが、同時にその成果が得られるまでの間において、気候変動に対処する各種の可能な政策選択肢を検討し、各国のニーズに照らして適切な措置を実行するため、とりわけ次表のような施策を発展させるよう求めている。我が国としても、これらに関し、いかなる対策が選択可能であるかについて、その技術的及び社会経済的な実行可能性について、その実施時期も含めて総合的観点から評価するとともに、個々の対策の具体的実施方策について明らかにし、実行可能な対策を順次実施していく必要がある。

       ④ 対策技術開発の推進

         地球温暖化に対応する技術開発として、固定・移動発生源からの温室効果ガス排出抑制技術やバイオマスの増加技術等の防止技術開発、排煙からの二酸化炭素の吸収・固定技術等の防除技術開発、海面上昇に備えた海岸保全技術や温暖化環境下における農林業システムの開発等の適応技術開発を積極的に進める。

       ⑤ 実施メカニズムの検討促進

         IPCC第3ワーキンググループのステアリングコミッティにおいて、対策の実施メカニズムについて、①法的手段及びプロセス、②技術移転、開発の手段、③財政的措置、④公共教育と情報手段、⑤経済的(市場的)手段の各項目ごとに具体的な検討を行うことが決定されており、更に先に述べたように、IPCCの報告を受けてUNEPが「枠組み条約」の外交交渉に入ること等が決議されており、地球温暖化問題の国際的展開の方向が具体化してきている。従つて、これに併せて我が国として国際的議論に対応できるような検討を緊急に進める必要がある。

       ⑥ 体制の整備

         対策の推進にあたつては、既存の行政のそれぞれの分野において実施可能な方策を検討するとともに、これらの体系の枠組みにとらわれず横断的あるいは総合的に施策を評価し、その実施を推進していくことが必要であり、現在の体制を更に強化し、地球環境保全行政の総合的な推進体制を確立していく必要がある。
      (第15回UNEP管理理事会決議11(抄))

  1. (a) オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書について、これを批准等していない場合は、これを批准し、また、オゾン層保護に関するヘルシンキ宣言に沿いつつ、気候やオゾン層を一層適切に保護するため、可能であり限りにおいて、規制対象物質の放出を完全に廃止することを究極的な目標として、可能であればモントリオール議定書に規定されるところよりも一層厳しい対策をできる限り短い期間で採用し実行するとの規制的政策に関し、できる限り早急に同意すること。
  2. (b) 地上の生態系における大気中炭素の自然の貯蔵庫を確保すべく、森林減少を防ぎ、植林や造林を一層推進すること。
  3. (c) 適切であれば目標を設定しつつエネルギー供給及び消費の両面におけるエネルギー効率及びエネルギー節約を改善するための施策を推進すること。
  4. (d) 適切な場合には、最初の段階として、二酸化炭素及び他の温室効果ガスの排出量を一定にすること並びに地球の気候に脅威をもたらす温室効果ガスを排出しないエネルギー源を発展させることに関する目標を設定しつつ、適切な場合には、一国の経済における生産及び消費の両部門における一層効率的なエネルギー使用を通じて温室効果ガスの一国の排出量を制限し、一定にし及び削減するように設定された規制や技術の適用を含め、先進国において対策戦略を採用すること。
  5. (e) 自らの発展を妨げない範囲で、開発途上国は、安全、実現可能で、効果的であるとともに、地球の気候を脅かす温室効果ガスの排出を最小限にするようなエネルギーの生産・消費システムを最大限活用するという類似の戦略を採用すること。
  6. (f) 気候変動に関連を有する既存の国際的な法的手段を洗い出し、可能な限り増強すること。

委員名簿((*)は検討会委員)

影響評価分科会

  •  井上 敞雄 農林水産省森林総合研究所森林環境部植物生態科長
  •  内嶋 善兵衛 お茶の水女子大学理学部環境科学教授(*)
  •  大喜多 敏一 桜美林大学国際学部教授(*)
  •  北野 康 椙山女学園大学学長(*)(座長)
  •  杉村 行勇 気象庁気象研究所地球化学研究部長(*)
  •  田中 正之 東北大学理学部超高層物理研究施設教授(*)
  •  西岡 秀三 国立公害研究所総合解析部環境管理室長(*)
  •  橋本 道夫 環境庁参与、元筑波大学教授(*)
  •  花木 啓祐 東京大学工学部都市工学科助教授
  •  古川 昭雄 国立公害研究所生物環境部陸生生物生態研究室長
  •  松野 太郎 東京大学理学部地球物理学科教授
  •  室田 武 一橋大学経済学部教授(*)
  •  鷲田 伸明 国立公害研究所大気環境部大気化学研究室長

対策分科会

  •  秋元 肇 国立公害研究所大気環境部長(*)
  •  宇田川 武俊 農林水産省農業環境技術研究所環境管理部長
  •  茅 陽一 東京大学工学部電気工学科教授(*)(座長)
  •  小林 料 東京電力(株)立地環境本部副本部長
  •  小宮山 宏 東京大学工学部化学工学科教授
  •  佐々波 秀彦 国際連合地域開発センター所長
  •  紫藤 良知 (社)日本自動車工業会技術部長
  •  鈴木 利治 名古屋経済大学経済学部教授
  •  田中 授 鹿島建設(株)技術研究所企画調査部長
  •  西岡 秀三 国立公害研究所総合解析部環境管理室長(*)
  •  森嶌 昭夫 名古屋大学法学部教授
  •  山地 憲治 (財)電力中央研究所経済研究所経済部エネルギー研究室長

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