法令・告示・通達

浮遊粒子状物質に係る環境基準の設定について

  • 公布日:昭和47年2月14日
  • 環大企27号

環境事務次官から各都道府県知事・政令市長あて

 浮遊粒子状物質に係る環境基準(以下「環境基準」という。)は、昭和47年1月、環境庁告示第1号をもつて公布された。
 浮遊粒子状物質は、いおう酸化物とともにわが国における最も代表的な汚染物質の一つであり、人の健康および快適な生活環境を阻害するものとしてその対策の徹底が緊急の課題となつている。
 この環境基準は、公害対策基本法第9条第1項の規定に基づき、浮遊粒子状物質に係る環境上の条件について、人の健康を保護するうえで維持されることが望ましい基準を定めたものであり、大気汚染防止に関する施策の目標となるものである。
 上記の趣旨にかんがみ貴職におかれても、この環境基準が可及的速やかに達成され、その維持が図られるよう、下記事項に十分御留意のうえ、格段の努力を煩わしたく、通知する。
 なお、この環境基準の維持達成のため関係各省庁が行なうべき施策については、別添のとおり関係各省庁あて通知しているので了知されたい。

第1 浮遊粒子状物質について

  この環境基準は、大気中に浮遊する粒子状物質であつて、その粒径が10ミクロン(μ)以下のものについて適用される。これは、次の2つの理由によるものである。

  1.  (1) 粒径10μ以下の粒子は、沈降速度が小さいため大気中に比較的長期間滞留すること。
  2.  (2) 粒径10μ以下の粒子は、そのほとんどが気道又は肺胞に沈着し、人の健康上有害な影響を与えること。

第2 環境基準の設定の根拠について

  この環境基準は、現在までに得られた知見をもとに、呼吸器系器官に対する長期的影響および短期的影響を考慮し、次の2つの値のいずれをも満すものとしたものである。

  1.  (1) 連続する24時間における1時間値の平均値
            0.10mg/m3
  2.  (2) 1時間値
            0.20mg/m3

第3 測定方法について

  1.  (1) 浮遊粒子状物質の測定は、標準粒子により所定の方法で較正された測定器を用いて行なうものとし、測定器の種類、較正方法および測定値の評価については、別途具体的に通知する。
       なお、この環境基準は、「第3 測定方法について」に定める測定器により捕集される粒子状物質について測定するものとし、個々の粒子状物質の粒径を厳密に計測し、分離捕集して測定する必要はないものとする。
  2.  (2) 測定にあたつては、特定の汚染源による影響を受けることなく、かつ、地域の大気汚染の状況を的確に把握しうると認められる地点を選ぶものとする。
  3.  (3) 採気口については、地上からの土砂の巻上げ等による影響を排除するため、原則として地上3~10mの高さに置くものとする。
  4.  (4) なお、大気中に存在する金属その他の汚染物質による汚染状況については、今後とも継続して把握することが必要である。このため、濾過捕集による重量濃度測定法により、その捕集、成分分析の実施にも努められたい。

第4 環境基準の適用範囲について

  この環境基準は、住民の健康の保護の見地から設定されたものであるので、工業専用地域には適用しないこととされている。したがつて、この環境基準は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第9条第8項に規定する工業専用地域(旧・都市計画法(大正8年法律第36号)による工業専用地区を含む。)、港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第4項に規定する臨港地区については適用されないほか、道路の車道の部分、埋立地、原野等住民の生活実態のない地域についても、運用上適用しないものとして取扱うものとする。

第5 達成の方途について

  1.  (1) この環境基準をすみやかに維持達成するために貴職におかれては、当面下記事項の実施について特段の配慮をお願いする。
    1.   イ ばいじんに係るばい煙発生施設等浮遊粒子状物質の発生源となる施設に対する排出規制および監視を厳格に実施すること。
    2.   ロ 浮遊粒子状物質による大気汚染の状況を的確に測定評価するため、監視測定体制を整備すること。
    3.   ハ 浮遊粒子状物質の発生源に対し生産工程の改善燃焼管理の適正化および原燃料の選択等に関し技術上の指導を行なうこと。
    4.   ニ 集じん機の設置等事業者の公害防止投資を促進するため各種の助成措置を講ずること。
  2.  (2) この環境基準の設定に伴う排出規制の強化については、大気汚染防止法施行規則(昭和46年6月厚生・通商産業省令第1号)第4条の規定に基づくばいじんの排出基準値においてすでに織り込みずみであるので、当面改定する必要はないが、都道府県の区域のうち特に規制を強める必要があると認められる区域については、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第4条の規定に基づくいわゆる上乗せ基準を定めることにより対処されたい。

   なお、自動車の運行に伴い発生する浮遊粒子状物質については、同法第11条に規定する許容限度の設定をも含め、自動車排出ガス対策の一環として鋭意検討することとしている。

第6 その他

  公害対策基本法第19条の規定に基づく公害防止計画の策定地域(計画策定を指示された地域を含む。)にあつては、当該計画に係る浮遊粉じんの目標値は、この環境基準における値に変更されることとなるので、念のため申し添える。

(別添)
  浮遊粒子状物質に係る環境基準の設定について(昭和47年環大企第28号)〔後掲参照〕

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