法令・告示・通達

水質汚濁に係る環境基準の一部を改正する件の施行等について

  • 公布日:平成5年9月10日
  • 環水管121号

環境庁水質保全局長から各都道府県知事・政令市長あて
 水質汚濁に係る環境基準の一部を改正する件(平成5年8月27日付け環境庁告示第65号。以下「告示」という。)の施行については、別途平成5年9月10日付け環水管第120号をもって貴職あて環境事務次官より通達されたところであるが、同通達において別途通知することとされている事項については、下記により運用することとされたい。

1 利用目的について

  今回告示された環境基準における水域の利用目的のうち、水産及び生物生息環境保全の解釈については次の点に留意されたい。

 (1) 水産について

   水産については、窒素及び燐の濃度と漁獲形態及び生態系の状況との関係から水産1種、2種及び3種の区分がなされた。これは、窒素及び燐の濃度が下がると、魚種組成が多様化し生態系のバランスが良くなる方向に変化することを考慮したものである。区分ごとの利用目的の考え方は以下のとおりである。

  1.   ア Ⅰ類型及びⅡ類型に該当する水産1種の海域では、底魚類(クロダイ、ハモ等)、甲殻類(エビ類、カニ類)、頭足類(タコ類、イカ類)、貝類(ハマグリ、アカガイ等)等の底生魚介類が豊富であり、特に、他の海域と比較して、エビ類、カニ類等の底層の貧酸素化の影響を受けやすい水産生物種の漁獲が多い。
        このことは、漁獲物組成が特定の種類に著しく片寄ることなく均衡化しており、このような場では多様な水産生物がバランス良く安定して生息していると考えられる。また、ベントス食性のエビ類やカニ類を含む底生魚介類等の栄養段階の高い水産生物が多く漁獲されることは、食物連鎖を通じて海域の生物生産が有効に利用されていることを示し、正常な内湾生態系を呈する量も望ましい海域環境といえる。
  2.   イ Ⅲ類型に該当する水産2種の海域では、イワシ類、コノシロ、スズキ、カレイ類といった浮魚から底魚までの魚類、水産動物のシャコ、ナマコ等の漁獲がみられ、魚類を中心とした水産生物が多獲される。しかしながら、エビ類、カニ類等の底層の貧酸素化の影響を受けやすい種類の漁獲量は少なく、このような一部の底生魚介類にとって当該海域の水質環境は好ましくない。
  3.   ウ Ⅳ類型に該当する水産3種の海域では、イワシ類、コノシロ、スズキ等の魚類、アサリ等の貝類の漁獲がみられるが、プランクトン食性のイワシ類、懸濁物食性のアサリ等の特定種の漁獲が大部分を占め、底生魚介類の漁獲量はかなり減少している。

    このように、ここではイワシ類やアサリのような低栄養段階に属する特定種が卓越するため生態系としてのバランスは良いとはいえず、不安定な内湾生態系を呈する。
   なお、上記以外の水産生物のうち、カキについては概ねⅡ類型に相当する濃度が好適とされ、ノリについては概ねⅢ類型又はⅣ類型に相当する濃度が平均的とされているので留意されたい。

 (2) 生物生息環境保全について

   水域の富栄養化が進行すると、いわゆる内部生産により有機物が増加して底層の貧酸素化が進行することにより、水生生物、特に底生生物の生息環境に悪影響を及ぼし、ひいては海域全体の生態系への影響をもたらす。このため、生物生息環境保全として、底生生物が生息可能な溶存酸素量を、底層水において年間を通して最低限の濃度で確保するための窒素及び燐の濃度が定められた。

2 水域類型の指定について

  海域の窒素及び燐に係る環境基準の水域類型の指定に関する手続き等は従来と同様であり、環境基準に係る水域及び地域の指定権限の委任に関する政令(昭和46年政令第159号)の別表に掲げる公共用水域以外の公共用水域については、同政令の定めるところにより都道府県知事が水域類型の指定を行うこととされているので、該当水域が属する区域を管轄する都道府県におかれてはその推進を図られたい。その際、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年12月環境庁告示第59号)の第1の2によるほか、以下に掲げる事項に留意されたい。

  1.  (1) 水域類型の指定は、告示別表2の2のイの備考の2において示されたとおり、海洋植物プランクトンの著しい増殖を生ずるおそれがある海域について行うものとするが、その海域の要件は平成5年8月27日総理府令第39号をもって改正された水質汚濁防止法施行規則第1条の3第1項第2号及び同条第2項第2号と同様であること。
  2.  (2) 水域類型の指定は、富栄養化の防止を図る必要がある海域のすべてにつき行う必要があるが、富栄養化が著しく進行しているか、又は進行するおそれがある海域を優先すること。
  3.  (3) 当該水域の将来の利用目的については、現在の利水状況だけでなく過去の利水状況も参考としつつ、各地域の関係者の意見等を踏まえて設定すること。
  4.  (4) 環境基準の達成期間は、当該水域における水質の現状、人口及び産業の動向、達成の方途等を踏まえ、将来の水質の見通しを明らかにしつつ設定すること。その際、富栄養化の進行が著しく、総合的な富栄養化対策を講じてもなお、環境基準を速やかに達成することが困難と考えられる水域については、当面、施策実施上の暫定的な改善目標値を適宜設定することにより、段階的に当該水域の水質の改善を図ること。
  5.  (5) 以上のほか、以下の点に留意すること。
    1.   ア 窒素及び燐は一次生産者である植物プランクトンの栄養として海域の生態系の維持に必要であり、極端に濃度を低くする必要はないが、逆に窒素及び燐の濃度が低い海域であってもその海域固有の生態系が維持されているので、濃度を増加させることがよいというわけでもない。このようなことを勘案すると、Ⅰ類型の環境基準については、自然環境保全の利水を優先させる必要がある水域や、現在の低濃度の窒素及び燐のレベルを維持することで現在の水産としての利用や生態系の維持を図る必要があると考えられる水域を対象に設定すること。
    2.   イ 富栄養化が進んだ海域では、特に湾奥部等で流入河川、気象、海象等の影響を受け空間的・季節的な濃度変動が大きくなりやすい。したがって、水域類型の指定に当たっては、水域区分ごとの窒素及び燐の濃度レベルを総体として適切に把握するため、類似した特性を持つ水域ごとに区分するとともに、区分された水域を代表する地点を環境基準点として設定すること。
    3.   ウ 窒素及び燐は、現行の環境基準対象項目であるCODの濃度レベルとも関係があるため、窒素及び燐の水域類型の指定を行う際には、現行のCODの環境基準の類型及び水域区分との関連を踏まえて類型及び水域区分を設定すること。その際、利水及び水質の状況の変化等を勘案し、必要に応じ現行のCODの環境基準の水域区分を併せて見直すこと。

  なお、「公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定についての環境庁長官に対する通知の様式について」(昭和46年12月23日付け環水管第46号当職通知)の前文中「昭和45年4月21日閣議決定」を「昭和46年12月環境庁告示第59号」に、「都道府県水質審議会」を「都道府県公害対策審議会」に改め、別記様式を別紙のように改める。

3 水質調査及び評価の方法について

  1.  (1) 環境基準の水域類型の指定及び設定された環境基準の監視のための水質調査については、「水質調査方法」(昭和46年9月30日付け環水管第30号当職通知)に基づいて行うこととされたい。
  2.  (2) 水質測定結果の評価は、表層の年間平均値により行うものとする。なお、複数の環境基準点を有する水域における評価の方法については、改めて通知する。

4 測定方法について

  全窒素の測定に当たっては、廃液中のカドミウムの処理に留意されたい。また、全燐の測定において、硝酸―過塩素酸分解法により燐化合物の分解を行う場合には、試料の種類によっては爆発の危険性があるので、過塩素酸を加える前に有機物を十分分解する等の点に留意して実施されたい。
別紙〔略〕

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