法令・告示・通達

一酸化炭素に係る環境基準について

  • 公布日:昭和45年2月20日
  • 閣議決定

 公害対策基本法第9条の規定による大気汚染に係る環境上の条件のうち、人の健康に関する一酸化炭素に係る基準を大気汚染防止の目標として次のように定め、その達成に努めることとする。

第1 環境基準

  人の健康に関する一酸化炭素の環境基準は、一酸化炭素による影響の特性にかんがみ年間を通じて常に次の1および2の条件が維持されるものとする。

  1.  1 連続する8時間における1時間値の平均は、20ppm以下であること。
  2.  2 連続する24時間における1時間値の平均は、10ppm以下であること。
  •   (注) 1および2の条件は、一酸化炭素の人体等に対する影響についての知見の進展、一酸化炭素に係る測定技術の進歩等のほか、一酸化炭素濃度の時間的変動に関するパターンの推移の実態等に照らして、今後も定期的に科学的な検討が加えられ、必要に応じて改訂されるべきものとする。

第2 環境基準の適用範囲

  環境基準は、一般公衆が常時生活し、活動しているいずれの地域、いずれの場所をも適用の対象とする。
  ただし、車道等もつぱら自動車の走行の用または滞留の用に供されている場所については、この基準は適用しない。

第3 測定方法

  一酸化炭素濃度の測定方法および測定場所は、次のとおりとする。

  1.  1 一酸化炭素濃度の標準的測定方法としては、非分散形赤外分析計を用いる方法を採用するものとすること。
       ただし、前述の方法と同等の測定結果がえられることを示しうる他の方法を用いることを妨げるものではない。
  2.  2 一酸化炭素濃度の測定は、連続測定がのぞましく、また、データの整理にあたつては、1時間を単位として測定結果を整理するものとすること。
  3.  3 測定の場所については、局地汚染のみならず、地域汚染をも対象として一酸化炭素による汚染傾向の把握、人への影響の判定、一酸化炭素汚染防止対策の樹立とその効果の評価に測定結果が有効に利用されるような場所を選定すること。

第4 環境基準達成のための対策

 1 基本方針

   環境基準を達成するためには、次の基本方針にのつとり、自動車排出ガス中の一酸化炭素対策(以下「自動車排出ガス対策」という。)を中心とした諸施策を強力に推進する必要がある。なお、一酸化炭素による大気汚染は局地的には自動車排出ガスによるもののみならず、一部工場施設等から発生するものによる影響もみられるので、これらの発生源も無視してはならない。
   また、自動車排出ガス中の一酸化炭素の濃度の低減は、他方窒素酸化物の濃度の増大を招くことも指摘されているので、これらの点に留意して、他の汚染物質との関連を総合的に検討し、一酸化炭素を自動車排出ガス全体の中で正しく位置づけることが必要である。

  (一) 自動車排出ガス対策の重要性

    一酸化炭素による大気汚染は、近年におけるモータリゼーシヨンの進展とともに進行したものであり、一酸化炭素による大気汚染に対し自動車排出ガスの占める割合がきわめて大きいことはこの際強く認識されなければならないこと。

  (二) 自動車排気ガス対策の総合性

    自動車排出ガスによる大気汚染は、

  1.    ① 自動車の台数、構造、整備状況、燃料等自動車自体に係る諸条件
  2.    ② 道路構造、道路の整備状況等道路に関する諸条件
  3.    ③ 交通量、渋滞度、交通規制等運行に関する諸条件
  4.    ④ 都市気象、局地気象等気象に関する諸条件等によつて左右される。したがつて、一酸化炭素による大気汚染の防止にあたつてはわが国の国土条件からくるきびしい制約を前提として、これらの諸条件を考慮した総合的対策を有機的かつ計画的に推進しなければならないこと。

 2 自動車排出ガス対策等の総合的実施

   自動車排出ガス対策については、前記基本方針にのつとり、環境基準を達成するため次のような諸施策を総合的に進めることが必要である。

  (一) 排出規制の強化

    自動車排出ガスによる汚染増加の実態と、自動車台数、燃料使用量、交通量の増加率を考慮にいれて、新車、使用過程中の自動車を問わず、排出ガス中の一酸化炭素の許容限度の段階的な強化目標を明らかにするとともに、実施に移すこと。この場合において、排出規制の強化に必要な自動車の検査等の実施体制を整備すること。

  (二) 点検整備体制の充実強化

    自動車使用者に対しては、自動車排出ガス中の一酸化炭素に関する点検整備の実施を徹底するとともに、自動車整備工場に対しては、整備用機器の設置、整備技術の向上等自動車排出ガス中の一酸化炭素に関する点検整備の実施体制の充実をはかること。

  (三) 運転操作に関する知識技能の普及等

    自動車排出ガス中の一酸化炭素による大気汚染は、自動車の運転操作によつて相当程度左右されるので、自動車排出ガス中の一酸化炭素による大気汚染に関する認識を運転者に浸透させるとともに、自動車排出ガスを少なくするための運転操作に関する知識技能の普及をはかること。

  (四) 交通規制制度の検討

    自動車排出ガス中の一酸化炭素による汚染が、人の健康を著しくそこなうおそれがある場合における対策を推進するため、汚染の著しい道路に係る交通規制制度の確立を検討すること。

  (五) 監視測定体制の整備の推進

    自動車排出ガス中の一酸化炭素による大気汚染の状況を把握するため、監視測定体制の整備を推進すること。とくに主要都市における監視網の整備をはかるとともに、交通規制体制に応じたテレメーター網を整備すること。
    なお、一酸化炭素による大気汚染の監視測定体制について道路、交通事情等の諸条件による類型化を行なうものとすること。

  (六) 調査研究および技術開発の推進

    自動車排出ガスの人および生活環境に及ぼす影響等を調査し、健康な者と病弱者、自動車運転者等に対する影響等を分析する等実態の把握に努めるとともに、環境管理や健康管理の体制を確立するために必要な基礎的研究体制の整備をはかること。さらに全国における汚染の高い等の問題地点や地域を類型別に把握して長期対策の基礎資料を整えること。
    また、自動車構造、燃料、道路構造等に関する自動車排出ガス防止のための技術開発、動力源に関する新しい角度からの開発ならびに自動車等の交通運輸機関、道路、気象、都市構造、都市機能、保健等の各専門分野における科学の総合的な結集による必要な技術開発等を強力に推進するため、とくに総合的かつ大規模な研究開発をすみやかに実施にうつすこと。

  (七) 都市対策等における自動車排出ガス対策の確立

    都市対策の中に一酸化炭素による自動車排出ガス対策を正しく位置づけるとともに、交通運輸体系の整備計画においても同様に十分配慮すること。とくに交通の円滑化を促進するように道路環境の整備を強力に進めること。
   〇一酸化炭素に係る環境基準に対する附帯意見
昭和45年2月16日
中央公害対策審議会
 自動車排出ガスによる公害防止のための技術開発の推進にあたつては、各方面の努力を助長するに必要な財政、税制、金融上の措置の強化を図ること。

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