TEMM17 開催報告

4月29~30日、中国上海市において第17回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM17)が開催され、我が国から望月義夫環境大臣、小林正明総合環境政策局局長、中国から陳吉寧(チン・キツネイ)環境保護部長、韓国から尹成奎(ユン・ソンギュ)環境部長官が参加しました。
会合では、中国の陳部長が議長を務め、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題及び環境協力に係る三カ国共同行動計画の進捗状況等について意見交換を行うとともに、今後5年間 (2015年-2019年)の「環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画」(以下、「共同行動計画」)及び共同コミュニケが採択されました。
また、中国、韓国とそれぞれ二国間会談が行われました。

開催概要

開催日程/開催地

平成27年4月29日(水) 30日(木)、中国上海

主な出席者

日本:望月義夫環境大臣
中国: 陳吉寧(チン・キツネイ)環境保護部長
韓国:尹成奎(ユン・ソンギュ)環境部長官
(写真:左から順に)


今回のTEMMのポイント

これまでの「共同行動計画」 (2010年-2014年)に基づく三カ国の環境協力の進展について確認するとともに、新たな「共同行動計画」 (2015年-2019年)を採択し、三カ国が着実に実施していく旨を確認しました。

[ 主要分野における協力について ]

大気環境改善について、

・大気汚染に関する三カ国政策対話の下に、 対策に関する科学的な研究、 大気のモニタリング技術及び予測手法、に関する2つのワーキンググループが新たに設置されることを承認しました。
・黄砂について、共同研究の進展を評価し、関連するデータの交換、発生源対策が黄砂の発生抑制に及ぼす効果の適切な評価等に関する重要性について言及しました

生物多様性について、

・生物多様性に関する政策対話の実施を歓迎しました。
・名古屋議定書の実施に向けた準備のための情報交換の重要性に言及し、遺伝資源へのアクセスとその利益配分(ABS)に関する協力の強化に合意しました。

化学物質管理と環境に係る緊急時対応について、

・化学物質に関する政策ダイアローグの実施を歓迎するとともに、この分野における化学物質の継続的協力を奨励しました。
・環境に係る事故のリスク評価に関する三カ国の研究機関において実施される調査研究の結果を含む、経験及び技術の共有に合意しました。

資源循環利用、3R、電気電子機器廃棄物の越境移動について、

・循環型社会・循環経済・3Rセミナーの実施を評価。電気電子機器廃棄物(E-waste)の越境移動に関して合同のセミナーを開催しつつ、活動を継続することに合意しました。
・E-wasteの違法な越境移動に関し、情報交換により、電気電子廃棄物の越境移動を管理する協力等に合意しました。

気候変動対応について、

・気候変動に対する適応の重要性を認識。政策と経験についての情報、知識及び優良な経験の共有を通じて、適応の取組に関する協力を強化することに合意しました。

水及び海洋環境の保全について、

・海洋ごみの問題に関して、合同ワークショップを開催し、各国沿岸地域の状況把握と海洋ごみの内容を把握するための活動を促進する協力に合意しました。

環境教育、人々の意識向上及び企業の社会的責任について、

・「環境教育ネットワーク(TEEN)」のワークショップの成果、三カ国合同研修、持続可能な教育(ESD)に関する世界会議が成功裏に開催されたことを歓迎しました。
・環境教育についての交流と協力に関する三カ国協力が15周年を迎えることを祝福。三カ国の子供のための環境教育読本の成果を歓迎し、進展と継続的活用に合意しました。

地方環境管理について、

・地方の環境を改善する重要性を認識し、地方環境管理に関する三カ国政策対話の開催に合意しました。

グリーン経済への移行について、

・グリーン経済への移行に向け、環境産業及び技術の分野での協力が重要な役割を果たすことを再確認。日中韓環境ビジネス円卓会議の将来の役割への強い期待を表明しました。
・環境/グリーン産業及びグリーン・サプライチェーンに関する情報共有及び協力を更に強化することを決定しました。

次回の開催

次回TEMMは日本で開催されることが決定されました。

その他

日中韓の環境協力に係る功労者の表彰が行われ、日本からは立教大学社会学部・大学院異文化コミュニケーション研究科教授 阿部治氏が受賞しました。
また、サ イドイベントとして開催されたユースフォーラムでは「自然との関係の樹立」、三カ国環境ビジネス円卓会議では「環境技術・産業に関する交流・協力の強化、地域のグリーン経済の推進・発展」をそれぞれテーマに、活発な議論が行われ、本会合で発表されました。

報道発表・配布資料

TEMMに関する報道発表・配布資料は、こちらからダウンロードして頂けます。また、今までに開催した TEMMに関する資料やTEMMプロジェクトに関する資料は、関連資料でご紹介しています。