第12回 環境省国立研究開発法人審議会 会議録

日時

令和元年8月1日(木)10:00-12:15

場所

環境省第1会議室

議題

(1)平成30年度に係る業務実績等報告及び評価(素案)について
(2)その他

配付資料

資料1.環境省国立研究開発法人審議会委員名簿
資料2.国立環境研究所の概要
資料3.国立環境研究所平成30年度 業務実績等報告
資料4.平成30年度 業務実績等報告書
資料5.平成30年度 業務実績等報告書 資料編
資料6.平成30年度 決算関係書類
資料7.平成30年度 監査報告書
資料8-1.平成30年度に係る業務実績評価書(素案)項目別評定総括表
資料8-2 平成30年度に係る業務実績評価書(素案)(抜粋)
資料9.平成29年度業務実績評価書(平成30年8月31日)における指摘事項への対応状況
資料10.平成30年度に係る業務実績評価(素案)に対する意見シート
資料11.今後の予定

参考資料1.環境省国立研究開発法人審議会委員名簿
参考資料2.環境省国立研究開発法人審議会運営規則
参考資料3.独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)
参考資料4.国立研究開発法人国立環境研究所法(平成11年法律第216号)
参考資料5.環境省国立研究開発法人審議会令(平成27年政令第1918号)
参考資料6.独立行政法人の評価に関する指針(平成26年9月2日総務大臣決定)
参考資料7.環境省所管独立行政法人の業務実績評価規準(平成29年7月14日総合環境政策統括官決定)
参考資料8.平成29年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果(平成30年11月30日独立行政法人評価制度委員会)
参考資料9.国立研究開発法人国立環境研究所第4期中長期計画(H28~R2)(中長期目標を含む。)
参考資料10.平成31年度国立研究開発法人国立環境研究所年度計画
参考資料11.平成31年度国立研究開発法人国立環境研究所調達等合理化計画
参考資料12.国立環境研究所パンフレット、福島支部パンフレット、琵琶湖分室パンフレット
参考資料13.国立環境研究所 環境報告書2019

出席者

委員

花木啓祐委員長、衛藤 隆委員、大久保規子委員、木本昌秀委員、高橋隆行委員

環境省

大臣官房 

         中井総合環境政策統括官

         関根大臣官房総合政策課環境研究技術室長

国立環境研究所  

         渡辺理事長

         森口理事

         立川理事

         天野監事

         吉口企画部長

         高見総務部長

         山本環境情報部長

議事録

【関根環境研究技術室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回環境省国立研究開発法人審議会を開会いたします。

 私、大臣官房総合政策課環境研究技術室長の関根でございます。よろしくお願いいたします。着座にて説明させていただきます。

 本日は、委員改選後、最初の審議会となります。今期は、お配りしております資料1の環境省国立研究開発法人審議会委員名簿にございます皆様にご就任をいただいております。皆様、前期から引き続きご就任いただいたところでございます。

 ただ、前期の委員のうち中静委員におかれましては、前期限りでご退任とのご意向を賜ったところでございます。中静委員のご退任に伴いまして、今回、北海道大学大学院農学研究院教授の中村太士先生に委員就任のご依頼をしたところ、ご内諾をいただき、現在、委嘱の手続を行わせていただいているところでございますので、ご報告申し上げます。

 環境省国立研究開発法人審議会令第1条第1項におきまして、当審議会は委員7名以内で組織することとされております。中村先生は委嘱手続中でございますので、本日は6名の構成での開催とさせていただきます。

 なお、本日は、沖委員におかれましては、所用によりご欠席との連絡をいただいておりますので、委員6名のうち5名の皆様に出席をいただいております。これは、審議会令第5条の規定により、定足数を満たしておりますので、本審議会は成立することをご報告申し上げます。

 また、本日の会議は公開で開催させていただいております。

 それでは、議事に入ります前に、総合環境政策統括官の中井よりご挨拶を申し上げます。

【中井総合環境政策統括官】 おはようございます。

 総合環境政策統括官の中井でございます。本日は、大変ご多忙の中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 第12回環境省国立研究開発法人審議会の開会に当たりまして、一言、ご挨拶させていただきます。

 初めに、この度の改選におきまして本審議会の委員をお引き受けくださいました先生方に厚く御礼申し上げます。先生方には2年間の任期としてご就任いただいておりますので、来年度予定してございます国立環境研究所の最重要事項でございます第5期中期目標、令和3年度からの第5期の策定に当たりまして、貴重なご意見を賜れますこと、大変心強く思っております。

 なお、今年度の審議におきましては、平成30年度の業務実績についてご審議いただきたいと思っております。平成28年度から始まりました第4期中長期目標期間も3年が経過いたしましたけれども、この間、国立環境研究所では、平成28年度に福島支部、29年度に琵琶湖分室を開設いたしまして、さらに昨年度には気候変動適応法に関する業務の追加に伴い気候変動適応センターが新設されましたので、毎年度、組織の拡大が図られたこととなります。これは、国立環境研究所に対する社会からの要請の高まりに応じたものでございまして、大変喜ばしいことではございますが、一方で、組織運営におきましては、規模拡大に伴う業務量の増加や地方組織も含めました研究所内での連携体制の構築など、新たな課題も生じているものと考えてございます。

 こうした状況も踏まえまして、本日は、国立環境研究所が研究成果の最大化に向けて着実に成果を上げられているか、また、適正、効果的かつ効率的な業務運営ができているかなどにつきましてご審議いただき、どうぞ忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。冒頭、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

【関根環境研究技術室長】 続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。

 資料を積み上げておりますけれども、上から順番に議事次第、座席表、それから第12回及び第13回審議会の審議事項と題した資料、それから議事次第に記載しております資料が1から11までございます。さらに、参考資料の1から13につきましては、紙ファイルにとじて席上に配付させていただいております。資料に過不足がございましたら、事務局にお申しつけください。

 本日は、審議会委員の改選後、最初の会合となりますので、会長が選任されるまでの間、事務局において議事の進行を務めさせていただきます。

 それでは、会長の選出を行わせていただきます。環境省国立研究開発法人審議会令第4条第1項の規定により、審議会に会長を置き、委員のうちから委員が選挙することとされております。どなたか、立候補される方はいらっしゃいますでしょうか。あるいは、候補者について、ご意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いします。

【大久保委員】 平成27年度より、本審議会の会長として国環研の業績評価及び中長期目標の取りまとめ等に大変ご尽力いただきました花木先生に引き続き会長をお引き受けいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【関根環境研究技術室長】 ご推薦、ありがとうございます。

 ほかに、ご意見はございませんでしょうか。

(なし)

【関根環境研究技術室長】 それでは、前期に引き続き、花木委員に会長をお願いすることでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【関根環境研究技術室長】 ありがとうございます。

 ご異議ございませんので、花木委員が会長に選出されました。

 花木委員には、会長席にお移りいただきたいと思います。

 それでは、これ以降の進行は花木委員にお願いしたいと思います。花木会長、どうぞよろしくお願いいたします。

【花木会長】 皆さん、おはようございます。

 本日は、審議会の委員の皆様、あるいは一方の今回の評価の対象となる国立環境研の方々、大勢お越しいただきまして誠にありがとうございます。

 冒頭に中井統括官のほうからお話がありましたけれども、国立環境研のこの間の組織の充実、業務の拡大、それとともに行われている質の向上というものについては、私個人としては非常に目覚ましいものがあると思っております。今や国立環境研究所は、当然、環境省にとって、日本にとって、世界にとって非常に重要な環境研究の拠点となっているというふうに考えております。

 とはいえ、私がそう思っていても、それは世の中に説得力がないということでありますので、本日は、ぜひ、さまざまな立場から客観的にご意見をいただき、これを参考にして環境省のほうで評価書をおつくりになるということでございますので、ぜひ、本日は忌憚のないご意見を委員の方々からいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、それでは、最初にやらなければいけないことは、会長代理を定めるというのがありまして、これは環境省国立研究開発法人審議会令第4条第3項というところにございまして、会長に事故があるときは、委員のうちから会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとなっております。これにつきまして、私が指名するということになっていますので、大久保委員、さっき指名されたお返しではございませんが、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、今日は非常にさまざまなことがありますので、議事に入る前に、今年度及び本日の審議事項について事務局から説明をお願いいたします。

【関根環境研究技術室長】 それでは、今年度の審議事項と審議の進め方につきまして、ご説明させていただきます。

 お手元の第12回及び第13回審議会の審議事項と題した資料をご覧ください。

 本審議会における審議事項は、この資料の1ページ目、右下にございますとおり、環境省が国立研究開発法人である国立環境研究所の中長期目標の策定・変更、それから業務実績の評価、さらに組織・業務全般の見直しを行う際に助言をいただくことになってございます。その中で、今回及び次回、次回は第13回になりますが、この2回の審議会においては、赤字に示しております平成30年度の年度評価について、ご審議いただくことを予定してございます。

 1枚めくっていただきまして、2ページ目に参りまして、年度評価でございますけれども、総務大臣決定の独立行政法人の評価に関する指針に基づき実施することとなっております。年度評価は、国立研究開発法人の「研究開発成果の最大化」に資することを第一の目的としております。あわせて、適正、効果的かつ効率的な業務運営の確保のために、評価対象年度以降の業務運営の改善などにも資するということも目的となってございます。

 実施方法につきましては、国立研究開発法人の自己評価の結果や法人が個別に実施しております外部評価の結果なども踏まえまして、中長期計画の実施状況等を留意しつつ法人の業務の実施状況を調査・分析し、その結果を考慮して、業務の実績の全体について総合的な評価を行うこととなっております。評定につきましては、SからDの5段階で行うこととなってございまして、Bが標準的なレベルということになってございます。

 なお、本年3月に評価指針の改定がございまして、各評定の基準の見直しがございましたが、同一の中長期期間内に基準が異なる評定が混在するということを避けるために、新基準の適用は次期の中長期期間、これは第5期中長期期間となりまして、令和3年度からということでございますので、この次期の期間に適用するということになってございまして、今回は、これまでと同じ基準に基づきご審議いただくことになりますので、新基準についての説明は割愛させていただきます。

 また、留意事項といたしまして、中長期目標・計画の実施状況を踏まえつつ、中長期目標で設定した評価軸等に留意して実施するということ。それから、研究開発の特性、これは、例えば、長期性でございますとか不確実性、予見不可能性、専門性といったことでございますが、こういった特性を踏まえて評価を実施することとなってございます。また、法人のマネジメントの状況にも留意して行うということとされてございます。

 続きまして、3ページ目をご覧いただければと思います。

 平成28年度から開始をいたしました第4期中長期目標の構成でございます。第1から第6までの構成となってございまして、このうち点線で囲んだ部分でございますが、第3から第6について評価軸及び評価手法を設定してございますので、ここについて評価をしていただくということになってございます。

 なお、このうち第3の1.2.につきましては、昨年度追加となりました3番目の気候変動適応に関する業務を含めました第3全体につきまして重要度「高」、さらに第3 1.(1)、(3)及び3.適応業務は、難易度「高」と設定されてございます。

 続きまして、4ページ目をご覧ください。

 今年度の審議の進め方でございます。本日、第12回審議会におきましては、まず、国立環境研究所から業務実績などの報告、自己評価について説明させていただいた後、環境省の評価素案を説明させていただきまして、それに対して質疑応答をさせていただきます。二つの部分について、分けて実施をさせていただきたいと思っております。先に研究内容などに関する第3の1の(1)から(4)までの部分を行いまして、その後で第3の2以降について、ご審議いただきたいと考えてございます。

 なお、本日の審議会の後、8月8日(木)を目処に委員の皆様から昨年度と同様に意見シートにより意見をご提出いただいた後、8月16日(金)ごろに事務局から委員の皆様に評価書(案)を送付させていただく予定でございます。それらを踏まえまして、8月22日(木)に開催予定の第13回審議会におきまして、最終的に評価書をまとめさせていただきたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。

【花木会長】 ありがとうございます。

 今、ご説明いただいたとおりの内容を本日、審議するわけでございますが、何かご質問等はございますでしょうか。

 私から1点、ちゃんと確認しておいたほうがいいと思うのは、先ほどのご説明の中の評価のS、A、B、Cの中で、横長の3ページの資料に重要度「高」、難易度「高」と定めたものがありますよね。そういった重要度が高いもの、難易度が高いものが、どういうふうに評価に反映されるかということが、この規則の中に書いてあると思うのですが、あまりにも資料が膨大で、どれかわからないので、ちょっと確認していただいたほうがよろしいかと思います。

【事務局】 ありがとうございます。

 では、資料の該当箇所を説明させていただきます。

 お手元にあります参考資料のほうになります。これのインデックスの6番が、先ほどお話ししたとおり、独立行政法人の評価に関する指針、こちらが新しく3月に改定がされたのですが、間にピンクの紙を挟んで手前のほうに古い指針、要は今回適用いただく指針のほうを入れさせていただいて、後半のほうに新しい指針を挟み込ませていただいております。

 ご覧いただきたいのが前のほうの指針で、25ページ目です。24ページの一番最後の7(1)年度評価というところから始まりますが、ここの1の評定区分というところでイというのがございまして、今回の評定においてBを標準とするとありまして、それぞれSからDまでの評定の内容が書いてございます。その下の2のイというところで、目標を設定された難易度の高い項目に……。

【花木会長】 下から3行目辺りのところですね。

【事務局】 そうです。下から3行目のところです。そこで、目標で設定された難易度の高い項目に限り、設定を一段階引き上げることを考慮するということの記載がございまして、特に、国立環境研究所に関しましては、研究関係、概ね難易度が高いと設定がされておりますので、評価においても一段階上げるという前提で検討して、今回、今までもA評価というものをしてございます。

【花木会長】 重要度というのは、どこに反映していくことになるんですか。

【事務局】 ごめんなさい。重要度自体は……。

【花木会長】 それは、評定そのもののところには反映されない。

【事務局】 重要度は、29ページをご覧いただいて、29ページに3の総合評定の留意事項というところがございまして、それのオというのが中段ちょっと下のほうにございます。

【花木会長】 真ん中のちょっと下ですね。

【事務局】 ええ。ここに、あらかじめ重要度の高い業務とされた項目については、総合評定において十分考慮するというふうにされておりますので、こちらも踏まえて評定のほうをさせていただいております。

【花木会長】 そうすると、こんなふうに考えていいですか。先ほどの難易度のほうは、どちらかというと、もう自動的じゃないけど、そもそも基準が一つ上がるというのがあって、重要度は中身を考えつつAなりBなりを議論すると、そういう意味ですね。

【事務局】 はい、お願いいたします。

【花木会長】 皆さん、昨年度も経験がおありと思いますが、念のため確認させていただきました。

 それでは、今の進め方について、よろしいでしょうか。

(はい)

【花木会長】 それでは、早速、議事に入ってまいります。

 議題が平成30年度に係る業務実績等報告及び評価(素案)についてという議題でございます。

 最初に、国立環境研究所のご説明について、概要から。これは理事長からご説明いただけるようですね。お願いいたします。

【渡辺国立環境研究所理事長】 おはようございます。理事長の渡辺です。よろしくお願いいたします。

 10分間ということですので、あまり変わらない部分については、割に簡単にご説明申し上げるということにしたいと思います。

 ちょっと見えにくいですけれども、私たちのつくばの、いわゆる本構、本部と言っているところでございますけれども、こんな環境の中にあって、これは憲章を抜き出したんですけれども、憲章の中で黄色く出ているところには、環境研でやっている研究というのは、最終的には人々が健やかに暮らせるような環境を守り育むための、そういう研究をやっているんだということが書いてございます。

 研究所のこれまでですけれども、74年に公害研としてできて45年が経過しているというところで、90年に現在の名前になったということです。ちなみに、英語の名前はずっと最初から今のNIESを保っているということでございます。先ほど統括官と、それから花木先生のほうからもちょっとご紹介がございましたように、今期、第4期中長期ですけれども、福島、次いで琵琶湖の分室、昨年度は気候変動適応の法制化を受けてセンターを開設したという、そういう形で、広がってきているというか、そういう状況にございます。

 人と予算ですけれども、これは今年度について示しております。運営交付金が170億円、受託収入が36億円ということで、昨年度、今日の評価対象になるところに関しては、運営交付金はこれより大分少ないです。と申し上げますのは、今年度になってエコチル調査の、ユニットセンターと呼んでいた地方の部分が、予算として今まで環境省のほうでお受けいただいていたのを、今度はこちらがお受けするという形に移りましたので、運営交付金の見かけは、今年度は非常に増えておりますけれども、実際に環境研で使っているというか、そういう状況にあるお金に関しては、あまり変わっていないということになります。

 人員としては、職員が275名、契約職員を含めて全部で900名余りが勤めておりまして、研究系の契約職員が大体その3分の1と、およそ、その2倍の人数が研究を支える立場にある方ということになります。

 分野として、九つの分野がございます。分野の名称というのはいろいろな軸で書いてあるわけですけれども、例えば、地球、地域のように対象の広さによって分類した分野と、それから青く示してあるところのように対象の特性によって分類したところ、あるいは社会環境システム研究センター、一番最後の災害環境のように非常に新しい要請に対してできてきた研究センター、最後にありますけれども環境計測という、もとから、ある意味で全ての研究分野を支えているような、そういう研究センターという形で、今、九つの研究分野があるということになります。

 その分野をもとにして、今、環境研で進んでいる研究所の活動としては、ちょっと複雑な図なんですけれども、これは、後でもう一度、研究担当理事のほうからも説明があると思いますけれども、このように幾つかのカテゴリーに私たちの活動というものを分類してございます。その中で大きく赤く丸をしたところについて、これから三つ、四つのスライドでお示ししたいと思います。

 最初に、一番上に出ておりました研究プログラムというものですけれども、これは喫緊の環境課題に関して複数分野の研究者が連携して取り組むということを特徴としておりまして、これが人員あるいは予算の面でも一番大きな活動ということになります。課題解決型研究プログラムというカテゴリーの中で5個、それから福島支部を中心にしてやっております災害環境研究プログラムの中で3個、それだけのプログラムが走っておりまして、名前としては、ここに上げてあるとおりでございますけれども、それぞれ多くの研究センターが、「ctr」と書いてあるのは研究センターですけれども、多くの研究センターが連携する形で課題解決に取り組んでいるということになります。

 その課題解決型研究プログラムから出てきた主な成果のさわりだけ、ちょっとご紹介いたしますと、低炭素のほう、左上ですけれども、低炭素のプログラムでは、このような温度目標、それとゼロ排出目標と、この二つの整合性についての研究というものが行われております。

 2℃目標、それから1.5℃目標と、昨年、報告書が出ましたけれども、そういうのに照らして、どのような温室効果ガスの排出の経路といいますか、それを示さなければいけないかという、その両方の関連について示しているわけですけれども、これらの関係から見られることは、要するに、早くやるということが非常に重要であると。それから、設定した目標に対して、それを超過することを許すかどうかという点で、その後の取り組み方が非常に違ってくるという、そういうことが見えてきたというところでございます。これは、IPCCの1.5℃報告書にも引用されましたし、それからNature climate changeのほうでも発表されております。

 自然共生のプログラムからは、人口減少は今、日本中で起こっているわけですけれども、人口減少によって危機に陥るような、そういう種があると。そういう種がどこにいるかということを情報のベースといたしまして、優先的な保全地域を選定するための選定ツールというものを開発して、これを今からNPO等で使っていただこうというところでございます。

 もう一つは、統合研究プログラム、環境、経済、社会と、こういう三つのそれぞれが抱える問題を統合的に解決していこうという、そういうプログラムの成果です。飢餓政策と、それから温暖化対策との間にある一種のコンフリクトですけれども、それがどのような関係があるかということで、飢餓対策に目を配らずに温暖化対策だけ進めた場合に、非常に飢餓のリスクが増す部分があるわけで、それをどのような形で埋め合わせていったらいいかということで、違うシナリオによって負担がどのように変わってくるかということを論文化したということで、これは、まだ論文審査中ですけれども、そうした結果が出てきています。これは、後で、もう一度、研究担当理事のほうから紹介があると思います。

 次が2番目のカテゴリーでございますけれども、環境研究の基盤整備ということで、これは環境研究に有用なデータや試料の収集・管理・提供ということ、これを環境研の中にとどまらず、国内あるいは国外の研究者に対して、ここで行っているモニタリングとか、あるいはいろいろな資料の保存ですとか、あるいはデータベースの整備を行って、その結果を提供させていただいているというところでございます。

 研究事業と呼ばれるもう一つのカテゴリーですけれども、これは国環研の研究と関連が強いアクティビティーであって、国環研の内外の研究者、あるいは研究機関、あるいは、それ以外の自治体等の組織と連携が必要な、そういう事業について、これを一くくりに研究事業と、研究的な部分もあれば事業的な部分もあるということで、呼んでおります。

 この中には非常に規模の大きいものもありますし中程度の規模のものもあります。一番上に出ているのがGOSAT、それから2番目がエコチル調査ですけれども、それ以外にも、こういった幾つもの連携事業が走っています。右のところに示した主な連携先としては行政機関ですとか、それから研究機関はもちろんありますし地方の一般市民の方、あるいはFuture Earthのような国際的なイニシアチブとの連携もあるということが示してございます。

 2018年のトピックですけれども、気候変動適応センターが設置されたということで、これも、また後で話が出てきますけれども、兼務の職員を含めて全部で100名規模のセンターをつくっております。その中で、左のボックスの中で示してありますけれども、主な研究対象としては、まずは影響を監視するということ、それから、その影響のインパクトを評価するということ、さらに、それに基づいて適応戦略を練り上げるという、そういう三つの研究室、それを実際に外の自治体等の実施母体と調整を図りつつ実践していく推進室、という構造でセンターをつくり上げております。

 次のスライドですけれども、昨年のおしまいにセンターの開所にあわせて国際シンポジウムを行う、あるいは自治体との意見交換会を行うということでキックオフいたしまして、下に出ているのは今年の、今年度になってしまうんですけれども、6月には、G20にあわせて軽井沢で会合があったときに環境省さんのAP-PLATのローンチング・セレモニーにも参加させていただいて、日本にとどまらず、世界にもいろいろな形で協力していきたいということを示しているところでございます。

 右のところに、ちょっと写真は出ていないんですけれども、これ以外にも、ほかの独法等、研究機関との連携体制も今、構築中というところでございます。

 これが最後でしたか。GOSATについては、2009年にGOSAT-1といいますか、初代が上がったのですけれども、それが歳をとってきまして、昨年の10月にGOSAT-2というのが打ち上がりました。これまでが昨年の成果ということになるわけですが、JAXAさんと環境省さんとの連携で行ったものですけれども、その後、そこから送られてきたデータを今年になって幾つか、既に公表しておるというところです。

 昨年度内に起きたこととしては、2019年の2月に定常運用に移行して、要するに、正常に動いて、それがデータを送れるよという状況に移行し、この右下のところに書いてあるように、メタンと一酸化炭素についてのデータを既にプレスリリースしたというところです。

 ということで、非常に駆け足ですけれども、昨年度の状況並びに現在の環境研の置かれている現況ということについて、ご説明を申し上げました。どうもありがとうございました。

【花木会長】 どうもありがとうございました。

 質問はおありかもしれませんが、それは後ほどの個別のご説明のところでしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、それでは、これから第4期中長期計画の項目に従いまして審議を進めてまいります。進め方としましては、例年どおり、まず国立環境研から平成30年度の実績報告等についてご説明いただいて、その後、続けて事務局から評価(素案)についてご説明いただき、その後、質疑応答というふうに進めます。全体を二つに分けてやろうということでございます。

 それでは、最初に第4期中期計画の第3、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項、1、環境研究に関する業務について、国立環境研究所から業務実績報告等のご説明をお願いいたします。

【森口国立環境研究所理事】 おはようございます。本年4月より研究担当理事を仰せつかっております森口でございます。業務実績等報告の前半部分を担当させていただきます。

 資料3でございます。

 環境研究に関する業務のご報告に入ります前に、冒頭に、当研究所におきます研究評価システムの全体像をごく簡単にご紹介申し上げます。

 本日の審議会で業務実績の評価をいただくわけですが、環境研究に関しましては、あらかじめ外部研究評価委員会における評価を受けておりまして、本日、この後の説明の中で、そこにおける評点、個別のコメント等、ご紹介させていただいております。それ以外に、内部での研究評価委員会、それから国際アドバイザリーボードからの助言を得るといった仕組みがございます。

 先ほど関根室長より中長期目標の構成についてご紹介がございましたけれども、それに応じて評価項目、全部で16ございます。私が担当いたしますのは1番から5番まででございまして、冒頭に花木会長からご確認がございましたように、重要度、難易度というのが付されておりまして、私が担当しますところに重要度「高」、難易度「高」というものがたくさんございます。この関係で、項目数は五つでございますが、30分、長目の時間を頂戴しておりますので、長丁場になりますけれどもよろしくお願いいたします。

 第3の研究評価の成果の最大化で私がご説明しますのは、環境研究に関する業務で、それ以外に環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、それから新たに加わりました気候変動適応に関する業務がございますが、これは後半部で立川理事のほうからご紹介申し上げます。

 理事長からも冒頭に説明がありましたように、事業区分、込み入っておりますけれども、私からご説明いたします第3の1、環境研究に関する業務、この範囲でございます。重点的に取り組む課題の統合的な研究の推進としまして、課題解決型研究プログラム5課題、災害環境研究プログラム3課題、加えまして(2)環境保全に関する科学的知見の創出の推進という項目につきましては、基盤的調査研究、環境研究の基盤整備、これは第3期に続く区分ですけれども、第4期から新たに研究事業という区分が設けられております。(3)(4)は、これらの全ての区分の横断的に支えるための仕組みということになります。

 それでは、第3の1を構成する項目につきまして、順次、ご説明を申し上げます。

 重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進、課題解決型研究プログラム、全体像では、ここに位置しているところでございます。このプログラム、全部で五つ、低炭素、資源循環、自然共生、安全確保、統合研究ということでございまして、これは環境研究・環境技術開発の推進戦略の五つの領域に直接に対応したものとして設定しておりまして、統合的な取組により環境問題の課題の解決につながる成果が得られているかということが評価軸になっております。

 それでは、順次、成果をご紹介いたします。

 低炭素研究プログラムの成果、パリ協定の温度目標と排出目標の整合性、これは冒頭の理事長からのプレゼンテーションでも触れておりましたけれども、詳細は、この後、ご紹介いたします。それ以外に、パリ協定の2℃目標を実現する排出経路の定量化、技術的潜在性に関する分析を行っておりまして、これでG20諸国の緩和策を評価し、成果につきましてはタラノア対話に対する意見として条約事務局に提出しております。

 温度目標と排出量目標の関係ですけれども、グリーンが1.5℃、青が2℃目標、そして実線は一時的にでも温度目標を超過しない、それから点線のほうは一時超過を許すという条件のもとでありまして、例えば、緑の超過なしで1.5℃を達成するためには、排出量は2030年ぐらいに向けて今の60というところから10までですね、非常に急な削減が必要になるわけですけれども、ここまで下げてしまえば、その後は排出量をゼロにしなくても1.5℃目標が達成できるということになります。

 一方で、点線のほうで一時超過を認めるということになりますと、最初の削減のペースは少し緩くて構わないんですけれども、そうしますと21世紀後半にはマイナス排出、つまりネットでの吸収が必要になるというような状況になってまいります。

 一方で、ゼロ排出を達成するということをスタートとして、その場合に温度がどう変化するかということを統合モデルで計算いたしますと、2060年にゼロ排出を達成する場合でも、ごく一部では2℃を超過いたしますし、さらに21世紀後半にゼロ排出を達成するということですと、2℃目標ということをかなり超過してしまう、大きく外れるということがわかってきております。

 2番目、資源循環研究プログラムの成果、2点書いてございまして、1点目は熱帯アジアに適合した一般廃棄物の固形燃料化の技術を開発しておりまして、この成果はUNEPのガイドライン、また廃棄物由来の固形燃料の国際標準化作業に活用されております。

 2点目は国内の廃棄物処理に関わるもので、一般廃棄物処理に関して積み上げ型のモデルで全国推計をするモデルを開発したこと、それから、社会の成熟に伴いまして建設系の廃棄物、解体の廃棄物が出てくるんだけれども、それを再生原料として受容してくれるような、建設工事の規模がかなり縮小してくるということで需給のミスマッチが起きる、こういうことに関する定量的なモデル開発をしております。

 循環型社会形成推進基本計画では、廃棄物の減量化、リサイクル、最終処分等の数値目標を当初から立てているわけでありますけれども、これと個別の施策との関係性がわかりにくいというのが長年の懸案でございました。このモデルでは、一般廃棄物処理を担う市町村の個別の取組を積み上げまして、全国で、どれだけ廃棄物が減量化できるのか、リサイクル率が上がるのか、また最終処分量が下がるのかといったことを算定できるような精緻なモデルを開発しております。

 3番目の自然共生研究プログラム、1番目のところは理事長からも説明のあったところですけれども、それ以外に喫緊の課題対策として外来種、ヒアリ類の侵入に備えて、DNAの分析技術を使いまして、早期、迅速にヒアリが入っているのかどうかということを見つける技術、それから、農薬関係ではネオニコチノイド農薬の生態影響の評価試験を行っております。また、気候変動の生物多様性への影響ということに関しまして、対策立案のための手引きを作成して、全国規模で自然保護地区での適応策立案に貢献いたしました。

 この図は、既に説明のあったとおりで、無居住化によって、どの地域でどのような種が危機に瀕しているかということのマップと人口分布のマップを重ね合わせまして、人口減少による里山の管理放棄による生物多様性による影響を優先的に取り組むべき地域を明らかにしております。

 4番目が安全確保研究プログラムでございます。これは有害な物質の管理に関わるプロジェクトが中心でありますが、非常に多岐にわたります。全てご紹介することはできませんので、次の図で水銀とプラスチックについて少し詳しくご説明いたします。それ以外ですと、大気関係では、PM2.5が濃度上昇によって死亡率がどのぐらい変化するのか、水関係では適地型の生活排水の処理技術ですとか生物応答を用いた排水試験法、あるいは短期慢性毒性試験法の開発を行いまして、化学物質の複合的影響と生体影響を検討しております。

 水銀のほうは全球、それからプラスチック添加剤のほうは屋内、スケールは大きく異なるわけですけれども、いずれも媒体間での移動、物質の移動に関する研究成果であります。水銀のほうはMMHG(メチル水銀)が、プランクトンに海水から移行するということを評価するわけでありますけれども、そこの移行係数が海域によって大きく異なるというようなことをモデル化しております。

 屋内スケールのほうは、プラスチック添加剤が添加剤を含む製品から表面付着する、ダストへ移行する、これが主要な排出経路であろうということでありまして、添加剤の種類ごとに、その移行動態について試験的な研究を進めております。

 五つの課題解決型研究プログラムの最後の課題が統合研究プログラムでございます。SDGsの複数目標の成果につきましては、この後、少し詳しくご説明いたします。それ以外では、低炭素化と資源循環との統合というところで、国内では北九州で産官学共同研究体制を構築し、タイでは国のマスタープランの作成に貢献しております。

 それから、持続可能性指標をいろいろ提案しておりますけれども、包括的な富、インクルーシブ・ウエルスにつきまして、若手の環境経済学の研究者が取り組みまして、その成果はUNEPの報告書でのデータベースの構築、分析、執筆補助という形で国際貢献も果たしております。

 統合評価モデルを使ったSDGsの複数目標、これは理事長からの概要紹介にもあったところですけれども、飢餓と、それから温暖化等の環境問題ということであります。これが食糧摂取のベースラインですが、特に政策をとらなくても、少し高カロリー側に移動するわけでありますけど、それでも、やはり低栄養の一定の割合が残ってしまう。

 そこで、食糧増産をいたしますと、そこの部分は解消できるわけですけれども、このように窒素利用、温室効果ガス排出、水利用といった環境問題に対する悪影響が出てまいりますし、あるいは過剰摂取といった問題が出てまいります。

 ですから、いたずらに食糧を増産するのではなくて、食糧の分配の問題でありますとか、あるいはフードロスの削減の問題、こういったことに取り組むことによって、飢餓の問題、それから温暖化を初めとする環境問題の同時解決が図れるのではないかというふうに考えております。

 従来の研究は低炭素ファースト、温暖化対策がすごく大事で、そうすると飢餓がどうなるのかという視点でやっておりましたけれども、この研究は、むしろ飢餓ファースト。飢餓のほうは克服する、その上で、じゃあ、温暖化対策に対して、どうやっていけば統合的に解決できるのかということで、異なるアングルから取り組むことで、より多角的に統合ということを捉えることができるようになったというふうに考えております。

 以上、五つの課題解決型のプログラムのモニタリング指標でありますけれども、参考値としまして第3期の5年間の成果発表の平均的なものを参考値として挙げております。これは、ほかの区分についても同じでございます。平均件数と比べまして、いずれも同等以上の研究成果の発表を行っておりまして、着実に成果を上げたと考えております。特に、国外での口頭発表、それから招待講演の増加が顕著でございました。

 外部研究評価の評点、これも、この後も何度か出てまいりますけれども、採点基準は3を標準として5段階評価でございます。平均評点3.93ということで、目標を十分に上回る成果を得ているというふうに認められております。個別の意見としまして、国際的な貢献が高く評価された、それから引き続きSDGsと関連づけながら研究を遂行するということを期待されています。一方で、非常に多くの研究対象をカバーしておりますので、研究の優先順位をつけるべきというご注意もいただいております。

 ということで、プログラム全体を通じて、難易度の高い課題において順調な成果を上げている、それから重要性や緊急性の高い研究において、課題解決につながる成果の創出が認められるというふうに自己評価をしております。IPCCを初めとする国際貢献で、世界のみならず、アジア、我が国の市町村まで対象とした持続可能な社会実現のための統合的な取組を科学的知見から支援することができているというふうに考えておりまして、この項目の自己評価はAとさせていただいております

 (1)重点的に取り組むべき課題の統合的な研究の推進の二つ目のカテゴリーが、災害環境研究プログラムでございます。図では、ここに位置しておりまして、このプログラムには環境回復、環境創生、そして災害環境マネジメントと、三つの分野を包含しております。災害環境研究、社会に密着した問題でございますので、行政・社会貢献をしているかということ、それから他機関との連携が非常に重要だということで、そのことが評価軸の中で明示しております。

 環境回復は、主に原発事故による影響を受けた地域の問題解決が中心でありまして、技術開発としましては除染によって生じた廃棄物の減容化技術、これを中間貯蔵施設での実機化というのを進めております。環境動態研究では、流域圏でのセシウムの生物濃縮ですとかダムの影響の把握を進めておりますし、また、事故後初期の大気経由の被ばく推計についても進捗をしております。

 それから、環境創造センター、ここには福島県、それからJAEA(日本原子力研究開発機構)と私どもの福島支部、3機関が入っておりまして、その3機関が連携する形で2017年度、ゴールデンウイークシーズンに発生いたしました大規模な林野火災の環境影響把握の継続調査を実施しております。これらの成果は、環境省、福島県、あるいは福島県内の市町村のさまざまな委員会等に成果をインプットしております。

 それから、もう一つ、問題として、放射性物質汚染そのものの問題というよりは、人が避難したことによって野生生物の生態がかなり変化をしております。それの中でイノシシが非常に増えているといった問題があるわけですけれども、カメラで撮影いたしまして、そこから、どこにどれだけのイノシシが生息しているかということをモデル推計いたしまして、これは福島県のイノシシ管理計画、最近まとめられたものですけれども、ここの中に、このモデルの成果を提供して活用していただいております。

 2番目、環境創生の研究プログラムですけれども、これは福島県下の基礎自治体との協力、連携によりまして、まちづくり、まちおこしのお手伝いをしているということが中心でございます。浜通り最北部にあります新地町、それから会津地方にあります三島町、これら2自治体が特に力を入れているところでございます。加えて三春町、これは支部が立地しているところですけれども、それのお隣にあります郡山市との間では、SDGsですとか気候変動適応といったグローバルな課題に関わる新たな連携を進めているところでございます。

 新地との協定の中では、自律分散型・地域エネルギーシステムの実現に向けまして、エネルギーの需給データ、これは最新の情報技術などを活用しながら、それをとるということ、それから、それの事業化のお手伝いをしておりまして、これは研究の社会実装という面では非常に大きな進歩があったプロジェクトというふうに位置づけております。

 災害環境研究プログラムの三つ目は災害環境マネジメントでございまして、特に災害廃棄物問題を中心に取り組んでおります。もちろん、これのきっかけは東日本大震災でありますけれども、災害廃棄物の問題は全国どこでも起きます。特に、昨年の夏には西日本豪雨もございましたので、そういったところで生じた災害廃棄物問題の緊急対応ということで、私どもの人員が貢献しております。

 それから、もちろん発災したときの支援も大事なんですけれども、日ごろの備えが重要であるということで、人材育成への貢献ということも非常に重要というふうに考えております。

 特に、他機関との連携という点を、ここの中で評価軸として書かれておりますので、災害廃棄物においての支援ですとか災害廃棄物対策に関わる情報プラットフォームといったことで、地方公共団体支援にここでは力を入れているところでございます。例として、三重県で実施された人材養成講座で、本プログラムで開発された評価ツールを活用した研修を行っておりまして、効果、妥当性があるということを検証しております。

 以上、多様な連携の推進という点では、地方公共団体、民間機関、住民との多様な連携が進んでいるということを、今、具体的な地名を上げながらご紹介をさせていただいたところでございます。もちろん調査研究機関との連携も進めておりまして、新地町の場合には、東大新領域も含めました三者協定という形で進めておりますし、それ以外にも複数の大学と放射性物質関係の研究で連携をしております。さらに、国際連携といたしましては、フランスの、二つの研究所との間でも連携を進めているところでございます。

 モニタリング指標ですけれども、先ほどと同様に外部への発表件数をまとめておりまして、誌上発表数、口頭発表数、それから社会貢献、政策貢献ということで各種審議会委員数というのも指標にしておりますけれども、いずれも上回っておりまして、顕著な成果を上げているというふうに考えられます。

 これが外部研究評価のスコアでございまして、プログラム全体としては4.38、目標を大幅に上回る成果を得ているというふうに認められたと考えております。個別意見の中では、三つの研究プログラムが体系的に組み立てられている、迅速かつ広範な調査研究、技術開発が実施されているというところを高く評価をいただいております。

 ということで、研究開発成果の最大化に向けての顕著な成果の創出をお認めいただいているというふうに考えておりますし、情報発信、政策貢献ということにも積極的に取り組んでおりますので、これにつきましても自己評価はAとさせていただいております。

 項目の3番目、(2)でありますけれども、環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進と、この区分に進ませていただきます。

 この区分は、全体像の中でここに位置しておりまして、三つの区分がここに含まれております。基盤的調査研究、それから環境研究の基盤整備、そして研究事業ということであります。順次、ご説明したいと思います。評価軸、それぞれ、このように設定されております。

 基盤的調査研究の推進、これは、理事長からの概要説明にもありました九つの研究分野、これは環境省の政策体系ともほぼマッチをしておりますし、また、国立公害研究所時代から研究所が取り組んできた環境問題の分野を継承しているかと思います。そういう意味で、中長期にわたる地道な研究を各分野で続けております。

 そういう性格のものですので、成果を個別に説明するということが非常に難しいということでございまして、ここは、あくまで例示として書いております。環境監視手法、研究手法の開発というところ、それから政策的意思決定の科学的根拠となる知見の集積、ここのところの二つの事例を書いております。環境を観測してデータをとるというのは一番基礎のところでありますし、それが政策決定に使われるということが非常に重要であるという観点から、ここに例を挙げさせていただいていますけれども、時間の関係で個別の説明については割愛させていただきたいと思います。

 同様に、環境研究を支える上では基盤整備というのが非常に重要でございます。ここには、モニタリング、データベース、それから環境に関わる試料の収集、保存、それから外部提供、こういったところの事業をくくっております。もちろん、これは国立環境研究所の研究者自身が扱うこともありますけれども、むしろ所外にデータですとか試料を提供することによって日本全体の、場合によっては世界の環境研究を下支えする、そういったプラットフォーム整備をしております。これも地球環境問題から身近な問題に至るところまでさまざまな分野をカバーしておりまして、全部で九つの分野についての代表的な成果を書いておりますけれども、これも個別の説明については割愛をさせていただければと思います。

 基盤整備につきましては、論文発表するということも大事でありますけれども、外部に使っていただいて環境研究の基盤整備が広く活用されたということを見ることが大事でありますので、資料等の提供件数を指標にしております。30年度は、環境標準物質の提供件数が前年度を上回ったというところが特徴でございます。

 (2)の項目№3、三つ目のカテゴリーが研究事業でございます。国環研の研究と密接な関係を有していて、組織的、継続的に実施することが必要、有効な業務であって、かつ国環研が国内外で中核的役割を担うべきもの、これを研究事業と位置づけておりまして、六つの研究事業を実施しております。

 特に、規模の大きいものとして衛星観測に関する研究事業、GOSATですね。温室効果ガスの観測衛星でありますけれども、これの、まず1号機、いぶきにつきましては、JAXA(宇宙航空研究開発機構)からデータを受け取りまして、データ処理をして、温室効果ガスの濃度データとして引き続き配付すると、こういう事業を実施しております。

 それから、GOSAT-2、昨年の10月に無事、打ち上がりまして、今年2月には定常運用に移行しております。昨年度の成果としては、センサーが測定した生データ、レベル1のデータを処理して、温室効果ガスの気中量、これは鉛直方向に積算した量でありますけれども、これを求めるレベル2の処理の適用準備、処理結果の分析を進めました。ここまでが昨年度の成果で、今年度になって、先ほど、既に成果が出て記者発表しましたというのが理事長から説明をさせていただいたところでございます。

 研究事業、大きなものの2番目は、子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査でございます。これは、全国約10万組のお子さんと両親を対象としたデータ、生体試料等の集積、保管ということでありまして、国立環境研究所はコアセンターということで全体の中核的な役割を担っております。実務のほうは全国15のユニットセンターにおいて業務を実施していただいておりまして、これの支援等を行っております。

 それから、最初の年度のお子さんが学童期に差しかかっているということで、学童期に予定されている検査を実施するための準備を進めております。それから、調査データを活用した研究が進んでおりまして、原著論文の発表の活性化にも努めております。特に、妊娠中の母体血中濃度とお子さんが生まれたときの健康状態の関連性についての論文を発表しております。

 この2事業が特に大きな研究事業でありますけれども、リスク評価に関する研究事業では、生態毒性の評価という点におきまして、その評価手法をOECDに提案しているということがございます。それから、環境リスク評価事業拠点ということで、化審法を初め国内の環境法制に直結するような事業、基準、指針値、目標値の設定のお手伝いができるような、そういった事業を展開しております。

 それから、気候変動に関する研究事業、特に適応に関する研究事業も、この区分にくくっておりましたけれども、適応法の成立を受けて適応センターが開所いたしましたので、これにつきましては後半部の気候変動適応に関する業務の中で説明をさせていただきます。

 それから、災害環境マネジメント、これはプログラムのほうでもご説明をいたしましたけれども、人材育成、それから現場の支援が非常に重要であるということで、これも研究事業の中に位置づけております。

 それから、最近、一つ力を入れているものとして社会対話というのがあります。国民と環境研究、環境科学について、直接、語り合えるようなサイエンスカフェの実施でありますとか、最近、SNSを通じた情報発信、双方向的な対話、こういったものの試みも強めている、拡大しているところでございます。

 モニタリング指標ですけれども、こちらも第3期中期目標期間の平均件数と同等以上の成果の発表を行っておりまして、3年目、第4期の3年目として着実に成果を挙げたというふうに考えております。

 外部研究評価ですけれども、基盤的調査研究では3.92、それから環境研究基盤整備、研究事業は全て4以上というスコアをいただいております。研究事業のうち、特に規模の大きい衛星観測とエコチル調査は個別に評価をいただいておりますけれども、特に、衛星観測に関する研究事業は4.4ということで、目標を大幅に上回る成果を得ているというふうにお認めいただいております。

 外部研究評価ですけれども、基盤的調査研究では3.92、それから環境研究基盤整備、研究事業は全て4以上というスコアをいただいております。研究事業のうち、特に規模の大きい衛星観測とエコチル調査は個別に評価をいただいておりますけれども、特に、衛星観測に関する研究事業は4.4ということで、目標を大幅に上回る成果を得ているというふうにお認めいただいております。

 基盤的調査研究、これは多岐にわたりますけれども、魅力的で有意義な研究が行われていると、それから、それが現在進行中の課題解決研究プログラムにちゃんと生かされていると、さらに次期中長期を見据えた研究の展開も考慮されているというふうに評価いただいておりまして、このことは、私ども、基盤的な調査研究もしっかりやっていきたいというふうに考えている立場にとっては、大変ありがたい評価をいただいているところでございます。

 基盤整備につきましても、我が国、世界で必要な基盤となるモニタリング事業やデータベース事業が順調に進められているということ、それから質的にも国際的に認められる適切な水準を維持しているというふうに評価をいただいております。

 以上の評価をもとに、基盤整備を継続的に進めて関連成果につなげているということ、それから研究事業において顕著な成果を創出しているというふうに私ども、自己評価をしておりまして、この項目についても項目別評価としてはA評価とさせていただきたいと思っております。

 あと2項目でございますが、項目№4、国内外機関とのネットワーク・橋渡しの拠点としてのハブ機能強化、これは冒頭にも申し上げましたように、ここまでご説明いたしました個別の調査研究、あるいは研究事業を横断的に支えるような活動に関する評価でございます。ここには二つの項目、中核的研究機関としての役割を発揮しているかどうか、それから国内外との連携のためのプラットフォーム形成というのができているかどうかというところが評価軸であります。

 一つ目のほうは、さまざまな連携のパターンがあるわけですけれども、長年、地方環境研究所との共同研究というのを実施しております。国際共同研究としましては、新たにフィンランド国立環境研究所との、特に森林の炭素循環分野での研究の協力というのを強めております。福島支部、琵琶湖分室、最近、新たにできた支部、我々研究所としては初めての試みでありますけれども、そういう地域に根差した研究連携拠点ならではの産官学民との協働を推進しております。国際連携につきましては、UNEP、IPCC、OECD等の国際機関、あるいはさまざまな国際条約に対応するような調査研究でもって貢献をしているというところでございます。

 プラットフォーム、これは研究事業に直接、関わるところでありますけれども、衛星観測センターというのを組織として設けておりまして、GOSATのデータ解析から成果の普及まで、連携して順調に実施しているところでございます。

 エコチル調査コアセンター、これも繰り返しになりますけれども、全国15のユニットセンターとの連絡調整、意見交換を担うとともに、しっかりガバナンス、リスク管理、個人情報管理等、そういったところもやっていかなければいけないということで、そういった業務を着実に実施しております。

 それ以外にも研究事業の中に四つのオフィスを設けておりまして、これらにつきましても順調に業務を推進していると考えております。

 自己評価でありますけれども、ハブ機能を一層強化する等、研究開発成果の最大化に向けて顕著な成果の創出が認められるというふうに考えております。個別の具体例につきましては、繰り返し述べることはいたしませんけれども、これらをもとに、この項目につきましても項目別の評価はAとさせていただいております。

 私からの説明の最後の項目、項目№5番ですけれども、研究成果の積極的な発信と政策貢献・社会貢献の推進でございます。これも横断的な事項でありまして、出口として三つ書いてございます。研究成果の発信・提供、政策貢献、そして社会貢献活動でございます。

 研究成果の発信については、既に個別の区分のところで発表件数等、お示ししておりましたけれども、これは全部の区分を通算して過不足なく発表件数を数えたものでございまして、数で言いますと達成目標を全ての区分でほぼ達成をしております。量が多ければいいかというと、それだけではなくて、やっぱり質が重要でございまして、論文の質を示す引用度の指数でありますけれども、世界標準1.0に対して1.6、大ざっぱに言いますと標準的なものよりは1.6倍、よく引用されているということで、質の高い研究がされているというふうに考えております。

 もう少し多様な指標を使いますと、招待講演数が増えているとか口頭・ポスター発表受賞数が増えているということで、これはプレゼンテーション能力の高さを象徴しているかなと思います。それから、プレスリリースを積極的に行って、こういういい成果が得られましたということを積極的にアピールしていくということも、最近の非常に重要なところ、力を入れているところでございます。

 それから、政策貢献という指標につきましては、国や地方公共団体の審議会への参加件数、これが増えているということが指標でも明確になっております。少し込み入った表でございますけれども、環境政策への主な貢献事例200件余りについて、分類整理を行ったところ、制度面で多くの貢献ができていたということが明らかになっております。

 それから、3番目、社会貢献活動の推進ということですけれども、私ども、春と夏、2回、一般公開をやっておりまして、30年度は合計で6,000名余りの方にお越しいただいています。それから、夏の環境月間、6月に東京と昨年の場合は関西、神戸と2会場で公開シンポジウムを開催しておりまして、合計で900名余りの方にお越しいただいている。それ以外の個別のワークショップの開催件数も非常に増えておりまして、第3期に比べますと倍以上ということで、積極的に取り組んでおります。

 ということで、この区分につきましても研究開発の成果の最大化に向けてすぐれた成果の創出が認められるということで、数値的な指標で見ましても、量的には水準を維持し、そして質の高い論文を発表できているということ、それから国や地方公共団体の審議会等にも積極的に参加しているということで、政策貢献も十分であるということで、項目別評価Aとさせていただいております。

 これが私からの説明の最後のスライドで、以上5項目について個別に説明をさせていただきました。実は、第3の1、環境研究に関する業務全体に対する評価をしなさいという指摘を総務省のほうから受けておりまして、今回、これは新たな区分でありますけれども、1から5、個別の項目それぞれ自己評価をAとさせていただきましたので、この項目、3の1全体としましてもAという自己評価をさせていただきたいと思います。

 大変長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【花木会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、続けまして、事務局から評価(素案)について、ご説明いただきたいと思います。どの資料を見るかとか、その辺からスタートしてください。

【事務局】 まず、ご覧いただきたいのが資料の8-1、A3の資料になります。こちらと8-2、あと資料9、こちらをご用意いただければと思います。よろしいでしょうか。

 まず、8-1のほうをお開きいただきまして、左側が平成30年度に係る業務実績評価書(素案)項目別評定総括表となってございますが、今回、ご覧いただきたいのは、ちょうど表の真ん中部分の平成30年度で赤枠の中が環境省の評価となっておりまして、ここの第3、研究成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項のうち、まず、1の環境研究に関する業務、ここの部分について、これからご説明させていただきます。

 こちら、先ほどもご説明がありましたが、1の部分に関しては、いずれも重要度は「高」、(1)と(3)について、難易度が「高」と設定されております。そのあたりも勘案いたしまして、いずれも自己評価と一緒にはなりますが、環境省の大臣評価の素案のほうも、いずれもAとさせていただき、1全体としてもAという評価で、まずは素案として作成させていただいております。

 そちらの内容をご説明させていただきたいと思いますので、8-2の資料をご覧いただければと思います。

 8-2で、それぞれ枠の中に中長期目標、計画の内容、それから評価軸等々、書いてありますが、今回、お時間もないので、黄色い枠の部分、こちらがいわゆる評定の内容になりますので、ここの内容についてご説明させていただきます。

 まず、3ページ目ですが、第3、1.(1)重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進ということで、こちらは先ほど申し上げたとおり項目別評定はAとさせていただいております。

 年度別評価のポイントとしまして、まず、①の課題解決型研究プログラム、こちらは、外部評価委員会の評定が五つの研究プログラムの平均で5段階評価のうち3.93と、大変高い評価をいただいております。また、誌上発表等、口頭発表等、いずれも第3期の平均、いわゆる参考値より同等以上の件数を今回、行われているということで、ここも評価させていただきました。

 あと、A評定とした主要な事項としまして、先ほど自己評価の中でもご説明いただいたので、かいつまんでご説明しますと、例えば、低炭素研究プログラムでは、パリ協定の排出目標との整合性についての分析結果がIPCCの1.5℃特別報告書に引用されるなど国際的に重要な貢献があった、また、一番下に行きまして、統合研究プログラムであれば、健康、飢餓、環境問題の同時解決を示唆してSDGsの実現の重要な知見を得たほかに、タイ政府であったり北九州市で産業の低炭素化や資源循環高度化の社会実装に貢献するなど、世界全体からアジアの各国、そして規模の違うところで言えば我が国の市町村レベルといったところで持続可能な社会実現のための統合的な取組として貢献されたというところを評価させていただいております。

 続きまして、5ページ目でございます。

 こちらが、同じ項目の②災害環境研究プログラムになります。まず、評価軸としまして、災害環境研究における統合的な取組により環境行政や社会への貢献をしているかという点ですが、こちらは福島支部を中心としまして国内外の関係機関などと連携を一層強化されておりますし、環境回復、環境創生、災害環境マネジメント、こちらの三つの研究プログラムを統合的、一体的に推進し、被災地の環境回復・創生に貢献できていると考えております。

 また、環境創造センターで入居している他機関であったり、その他、関係機関との連携についてですが、まず、創造センターの中では福島県とJAEAさんが入居しておりますが、こちらとの研究推進、情報発信などは適切に連携できていると考えております。また、国内外のさまざまな機関との連携も共同研究や調査をそれぞれ進めておりますし、フランスの研究機関などとも連携するなど、国際的な機関との連携も推進されていると考えております。

 また、そのほか、災害復旧研究に関する講演やワークショップなども各地で開催したりして、地域での活動も積極的に活動されているという点も評価しております。

 また、A評価の判断基準ですが、例えば、環境回復でありましたら、開発した減容化技術が中間貯蔵施設で採用されて実際に実機化されているという点、また、環境創生であれば、新地町で行ってきた研究が地域エネルギー会社という会社の設立にまで貢献ができているという点、また、災害研究は、もう福島という枠を超えて災害地、今回であれば西日本の豪雨による被災地に行って災害廃棄物の処理について技術的な支援ができた、こういったところを評価しております。

 また、誌上発表であったり口頭発表、こちらも第3期の平均に対して大幅に増加をしており、ここも評価ができます。

 外部評価委員の評定についても4.38、こちらも大変高い評点で、福島支部を拠点として三つの研究プログラムが体系的に組み立てられ、迅速かつ広範な調査研究、技術開発等が実施されているということで高く評価をされておるところです。

 続きまして、8ページ目をお願いいたします。

 項目が変わりまして、第3 1.(2)環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進、こちらも評定自体はAとさせていただきました。

 年度評価のポイントですが、まず、基礎的調査・研究の推進ですが、誌上発表、口頭発表等、こちらも第3期の平均以上を上げられているという点、また、外部評価委員の評点が3.92と、こちらも高い評点で、かつ、魅力的で有意義な研究が多数行われている上に、ただ、今進めているだけでなく、次期中長期を見据えた研究の展開をされているということが大変高く評価されております。

 環境政策への貢献などですが、こちらも国や自治体の審議会等に多数の研究者の方が参画されて環境政策の立案等に貢献されているほかに、国のガイドラインや指針、要領等に研究成果が反映されるなどして制度面での貢献も見られるというところで評価させていただきました。

 ②の環境研究の基盤整備及び研究事業ですが、こちらは概ね事業自体は年度計画どおりに進捗しており、また、研究成果が社会実装を意識して進められているという点が大変評価できます。

 実施事項が十分な独自性を有し、高い水準で実施されているかという点ですが、こちらも、国際推進に相当した手法や制度を維持しつつ、衛星、地上、航空機、船舶による観測でしたり、全国規模で行われているエコチル調査を行っているなど、それぞれ独自性のある大変高い水準の研究が行われているというところを評価させていただきます。

 こちらは、まさしく外部評価委員会からも大変高い評価をいただいておりまして、4.18、国環研内にとどまらない我が国、あるいは世界で必要な基盤となるモニタリング事業やデータ整備が順調に進められているということで評価をいただいているところでございます。

 続いて、9ページ目に移りまして、こちらの項目のA評定の判定ですが、主な事例としましては、例えば、基礎的調査・研究の推進であれば、地球環境研究分野で気候変動とオゾン層回復の相互関係や両極のオゾンホールの状況の解析により、南米において紫外線量の予測の精度向上に貢献されていましたり、資源循環であれば、土地に含まれる有害物質の起因を判別する手法を今回、開発されまして、今後の土壌汚染であったり金属含有土の有効活用に向けた政策への貢献が大変期待できるものだと思われます。

 また、②の環境研究の基盤整備及び研究事業としましては、衛星観測研究事業、こちらは、GOSATは引き続きJAXAからデータを受けまして、その処理、そして、それをユーザーに活用いただくということを進めておりますし、平成30年10月にはGOSAT-2が打ち上がり、平成31年2月に定常運用されて、今、GOSAT-2のデータ処理、そして運営の準備が着実に実施されていることは評価できます。

 こちらは、国内外の機関と連携が進められておりますし、国際ワークショップなどを誘致していただくなどして、日本の国際的なプレゼンスの向上に大変貢献をしていただいていると思います。外部評価委員でも本当に高い評点で、4.4という評定をいただき、継続したモニタリング活動により貴重なデータが蓄積されていることが高く評価されておるところです。

 エコチル調査につきましても、こちらは先ほどお話がありましたが、今年度からはコアセンターとしてユニットセンターを束ねるという機能が強化されておりますが、昨年度においてもコアセンターとしての機能が着実に遂行されているということを外部評価委員でも評価いただきまして、評定4.0をいただいておるところでございます。このあたりを評価いたしまして、全体Aという評定をさせていただいております。

 続きまして、12ページになります。

 こちらが、1.(3)国内外機関とのネットワーク・橋渡しの拠点としてのハブ機能の強化、こちらも項目別評定はAになります。

 こちらは、まず、中核機関として役割を発揮しているかという点ですが、こほかの国研、大学、もしくは自治体の環境研究機関、それぞれと共同研究55件と第3期の平均と同じ程度の研究を進めており、それらの共同研究を通じまして、それぞれの地方環境研究所とのハブ機能として大きな役割を果たしていると考えられます。

 あと、プラットフォーム形成による国内外機関との連携ですが、こちらも先ほど申し上げた衛星観測データのGOSATのデータ、こちらの解析から成果普及まで図りまして、国内外の研究機関との連携が順調に進んでいると考えられます。

 エコチル調査コアセンターについても、先ほど申し上げましたが、15のユニットセンターを束ねて、まさしく中心機関としての役割を果たしていると考えられます。

 その他の連携オフィスも、それぞれ国や地方公共団体、国内外の研究機関と連携を図り、順調に業務が推進されていると考えられます。

 項目別評定Aの主な事項ですが、例えば、29年4月に設置された琵琶湖では、まずは琵琶湖の保全・再生の環境の拠点として当然、役割は果たされておりますが、それとあわせて湖沼環境研究ということで、全国の地方環境研究所とネットワークでつながって、それぞれ全国的な湖沼研究の中核機関として今後、機能していくことが強く期待できます。

 また、UNEP等の国際機関であったり国際条約の条約対応、こちらに大変積極的に参画しており、例えば、1.5℃特別報告書等の執筆に参加されていますし、第6次報告書の執筆者としても選出されるなど、大変高い評価をいただいて活動されているというところを評価させていただいております。

 続いて、15ページですが、第3 1.(4)研究成果の積極的な発信と政策貢献・社会貢献の推進、こちらも評定はAでございます。

 年度別評価のポイントとしまして、まず、研究成果の発信と提供ですが、30年度におきましてホームページで新しくコンテンツを12個立ち上げており、国環研の最新情報を随時普及している、提供しているという状況でございます。また、誌上発表、口頭発表等、こちらの件数は第3期の平均と同等程度が確保されております。

 研究成果の政策貢献と活用促進ですが、こちらも570の審議会等に延べ770人の研究者が参画しております。大変多い数が参画しており、それぞれの政策に意見が反映されていると考えております。また、そのほか、資料等を外部機関に提供しておりますが、こちらの件数も第3期の平均値を上回っておりますし、知的財産審査会におきまして、9件の職務発明の認定がされ、18件の特許の出願がされております。

 社会貢献の活動の推進ですが、こちらも公開シンポジウムが神戸と東京で開催されておりますが、こちらが800人以上の参加で、また、つくば本構では一般公開が4月と7月に行われて、こちらも6,000人と大変多い方に来訪いただいております。

 A評定の主な事例ですが、国環研が発表しています論文が、それぞれ相対被引用度というもので平均値が世界の標準を1としているところを1.6と、大変高い数値を出しておりまして、こちらは、それだけ皆さんが引用されるだけの質の高い論文が発表できているのだと考えられます。また、プレスリリースも72件で研究成果に関する発表も29件と、いずれも第3期の平均を大きく上回ったものとなっており、大変評価できることと思われます。

 以上で第3の1の部分のそれぞれの評価になりますが、いずれもAとして評価させていただいているので、全体の評価としても特に変わることなくA評価ということで考えておるところです。

 以上で1の環境研究に関する業務についての評価について、ご説明を終わらせていただきます。

【花木会長】 ありがとうございました。

 今、国立環境研究所、それから環境省のほうから、自己評価、あるいは環境省としての評価(案)をお示しいただきましたけど、今から議論をしたいと思います。今、ご説明があった、どういう順番でも結構ですので、質問がありましたら、ぜひ、よろしくお願いいたします。

【高橋委員】 ありがとうございました。大変すばらしい成果がたくさん出ているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、私のほうから一つ、質問というかコメントに近いと思うんですが、資料3の58ページから、成果・評価指標の成果の発信のところで今年度の、昨年度ですか、の成果をまとめていらっしゃいます。

 この中で、評価のポイントという観点で、ちょっと、こういう視点もあるんじゃないかなということで申し上げたいと思うんですけれども、例えば、58ページの資料を見ますと、平成30年度の誌上発表数、論文とかは、29年度に比べると減っているという状況にはあります。それは、その他の査読つき論文数とかについても同様なのかなと思うんですが、一方で、平成28年度と比べると、ほぼ同等ということになるかなと思います。

 あわせて別の指標も見ますと、例えば、60ページを見ますと、平成30年度の審議会の参加件数が研究者1人当たり3.7、一方で28年度は2.9ということで、外回りをかなりやりつつ28年度のレベルを維持しているというふうに実は見られるんじゃないかと思うんですね。

 ということで、これはかなり頑張っているんじゃないかなというふうに思えるんですが、一方で、さらに加えて言うと、発表論文の相対引用数も非常に向上しているという点もありますので、3年間を見たときに非常によくなっているというような評価のポイントというか、そういうのを、ぜひ加えてもいいんじゃないかなというふうに感じました。

 質問というよりはコメントでございますが、以上でございます。

【花木会長】 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。

【大久保委員】 ありがとうございました。30分で大変、中身の濃いご説明をいただきまして、大変参考になりました。

 それで、質問が幾つかあるんですけれども。最初の課題解決型研究プログラムのほうは、評点のポイントも、それから、ご説明のポイントも極めて明確で、それで、中にはS評価になってもいいのではないかと思うようなプログラムも幾つかあったのではないかと思うんですが、他方、多分、見せ方の問題だと思うんですけれども、ややわかりにくい点がありましたので、ちょっと教えていただきたいんですが。

 循環なんですけれども、13ページ、資料3のほうの13ページなんですが、これが、恐らく、ほかのプログラムに比べますと、何のためにどう使うのかという点が、ややちょっとわかりにくいのかなと思いまして、この点、明確にされると、より全体としてバランスがとれるのではないかと。ほかのところは、すごく視点がはっきりして、何のために使うのかがはっきりしているのかなという感じがいたしました。

 それから、災害環境研究プログラムのほうにつきましては、これは個別の事例だけではなくて、災害環境研究として、どういう点が一般化できるのかというようなご指摘も外部評価からは出ているようでございますが、この点と関連いたしまして、どのような内容に作業を重点化しているのかということの基本的な方針、個別の話ではないんですが、お伺いしたいんですが。

 といいますのは、例えば、27ページではイノシシ管理計画のお話が出てくるんですけれども、恐らく、このモデルは基本的に災害地域というよりは全国どこででも使える、逆に言うとイノシシ対策として使えるものということで、これを災害環境のほうでも、もちろん、それは人が入って増えたから対応したということだと思うんですけれども、さまざまな需要がある中で、災害環境研究プログラムとしてコミットしていこうと思うときに、どういうものに重点化をしているのかという視点をお伺いできればと思います。

 それから、やや説明をしたほうがいいのかなと思いますのは、29ページの新地町における地域エネルギー事業の社会実装というあたりで、スタッツベルゲ方式ができたというのが社会実装だというのはわかるんですが、これが国環研のコミットメントがどう生かされているのかということ、いなかったら、これがどういうものになっていたのかというところをご説明いただけると、大変、コミットメントが明快になるのかなと思いました。

 最後は、これは、しょうがないのかなと思うんですけれども、琵琶湖の話なんですが、恐らく、新しいものを組織拡大してきているということになると、組織拡大してきたところが、どういう意義があるのかということが、やがては問われるようになって、だけども琵琶湖の場合には、適応センターはもう去年ですし、琵琶湖のセンターのほうも17年度で、できたばかりですので、まだ、そういうことを言い始めるのは早いということは重々承知しているんですが、単に連携が強化されたというだけですと何となく寂しい感じがしますので、もう一言ぐらい、できたことによって、こういう点が強化されたというようなことがあると、入っていると、とても評価としてはやりやすくなるのかなと思いました。

 以上です。

【花木会長】 ありがとうございました。

 これは、国立環境研のほうからお答えいただくのでよろしいですか。

【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。

 それでは、ごく簡単に個別のところをお答えさせていただきます。

 資源循環研究プログラム、これは、まさに見せ方の問題だと思っておりまして、循環型社会形成推進基本計画を初め、循環というのは旧来からの廃棄物行政を下支えする部分でございます。これは行政推進の課題として環境研究総合推進費でやらせていただいた課題でございまして、そういったところを、より明確に見せるべきであったかなというふうに思います。

 それから、災害のほうは、これはバランスが大変難しいところで、福島支部を中心にやっているところがありまして、福島に特化した問題と、災害廃棄物のように、まさに全国展開できるところです。やはり一般化を目指さなければいけない、福島支部中心にやると、どうしても地元貢献ということが非常に求められますので、そこへ注意が行きがちなんですけれども、災害環境研究、福島支部の職員だけでなくて本講の職員も関わっておりますので、先日も、それに関わる所内のセミナーがあって、私からもそこを強調したんですけれども、福島に貢献するのは非常に重要なんだけれども、そこに注力するあまり全国規模での災害環境研究がおろそかになってはいけないということで、そこは注力してまいりたいと思います。

 イノシシの話は、おっしゃるとおり、これは、以前からあるモデルを、むしろ、こういうところに使ったという要素が強いかなと思います。ですから、ほかでやられていることで災害環境として生かせる部分はしっかりやっていく、それから、災害環境の中で新たに学んだもの、特に福島で新たに学んだことを全国展開、どのようにやっていくかということにつきましては、気を配ってまいりたいと思います。

 それから、新地の社会実装の件、もし、お許しいただければ、担当のセンター長がおりますので、オブザーバーでございますが、この後、ご説明したいと思います。

 琵琶湖につきましては、やはり、まだ規模がいかんせん、それほど大きくないということもございまして、福島支部に比べますとかなり規模が小さい。それから、適応センター、所内でのかなりの併任なんかもかけておりまして非常に大きいということで、最初、統括官からも、それぞれの年度に新しい組織が立ち上がりましたというお話があったんですが、規模観がそれぞれかなり違いまして、それの中で、もう少し、そのあたりの具体的な事情も含めてご説明をすれば、よりご理解いただきたかったと思います。今後、気をつけたいと思います。

 新地につきましては、社会環境システム研究センター長、藤田のほうから補足いたします。

【藤田社会環境システム研究センター長】 社会システム研究センター長の藤田でございます。

 29枚目につきましてでございますけれども、これは8年前から、こうした地域に対して、将来的な復興の見通しは、先ほど来ございました統合モデルを使いまして将来ビジョンをご提示いたしました。それが、こうした事業を検討する際の枠組みになったということと、このプロセスを一般化しまして、現在、浜通りの大館、あるいは浪江等の、これから特定復興拠点がつくられているところに対しても展開することで研究成果にしていくことを考えております。

 以上、簡単でございます。

【花木会長】 よろしいですか。

【大久保委員】 はい。ぜひ、そういうポジティブな面は、記載を加えていただければありがたいかなと思います。ありがとうございました。

【花木会長】 いかがでしょうか。

【木本委員】 まず、全体を通してA評価ということで、その評価案については全く異論はございません。研究者200何人いらっしゃるそうですけど、これだけの、本当に200分の1でも、私一人がやるとすると、毎日、大変なプレッシャーがかかると思うぐらいのレベルで活躍しておられると思います。

 質問は、私の無知に、ほぼ基づく極めてテクニカルな質問が幾つかございますので、簡単に。

 資料3の11ページにパリ協定の排出量とかの話があって、これ内容を知らないんで質問するんですけど、一時超過しないで温度目標を達成するならCO2ゼロでよい、GHGはゼロでなくてよいと書いてありますと、ずっと排出を続けていても温度は上がらない状況が実現するというふうに読めちゃうんですけど、それでよろしいんですか。CCSとかを使うという話なんですか。

【森口国立環境研究所理事】 ちょっと説明不足かもしれませんけれども、GHG、CO2以外の温室効果ガスがございますけれども、特に、それをゼロにするということは非常に難しいところがありますので、CO2以外のものも含めてGHGゼロにしようと思いますと、CO2はマイナス排出にしないとGHG全体としてはゼロにならないと。こちらの場合には、CO2をゼロにすれば、それ以外の温室効果ガスがわずかに排出されたとしても、この温度目標を達成すると。そういう書き方で、ちょっとわかりにくい表現になっておりました。申し訳ございません。

【木本委員】 それで、CCSは考えて……

【森口国立環境研究所理事】 ええ。CCSなども含めた上でCO2のネットの排出量を予測しなきゃいけないということなんですけれども、GHG全体ということを考えますと、メタン、N2O等の排出も含めた上でトータルということになりますので、GHGゼロ排出でなくCO2ゼロ排出でいいというのは、もちろんCO2につきましてもCCSを含めた上でのネットの排出量を意味しておりますけれども、CO2だけで見るか、メタン、N2O等を含めたGHG全体で見るかということの書き分けというふうなことですが、よろしいでしょうか。ということでございます。

【木本委員】 ありがとうございました。

あと、これに関連して、「低炭素」と、時々、言葉を使っておられた、「脱炭素」でなくてよろしいんでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 いろいろ使い分けがございますし、これは地球センター、あるいは社会センターも関係するかと思いますが、発言されますか。

【オブザーバー(三枝地球環境研究センター長)】 もちろん脱炭素のほうが進んだ考え方であると思いますので、これからは脱炭素のほうがよろしいかもしれませんけれども、このプロジェクトを立ち上げたときには低炭素社会を目指すという目標でございました。

【木本委員】 ありがとうございました。

 言葉のあれで、こういう専門家の多い会議では、別に意味はわかりますのでよろしいんですけど、環境研がメッセージを出すということになりますと、一般社会の人は言葉尻だけを捉えていろいろお考えになる場合もあると思いますので、せっかく一生懸命やっておられるんで、その効果が最大限発揮されるように注意を払っていただければ、職員の皆さんのご活躍も実るのではないかなと。

 あと、物すごくどっちでもいいような質問をして申し訳ないんですけど、環境省の用意された8-2の5ページに会社の設立ができたということで、私は会社を設立したことがないので、こういう成果は大変すばらしいのではないかなと思うんだけど、ちょっと、どういうふうな経緯なのか、簡単にご説明いただけないでしょうか。どういう分野で、どういうふうな会社が設立されたんですか。

【森口国立環境研究所理事】 これも、重ねてになりますが、センター長のほうから補足いたします。

【オブザーバー(藤田社会環境システム研究センター長)】 新地町に新地スマートエネルギー会社という、これは環境省と経産省の事業補助を受けた形になりますけれども、合計、資本金5,000万のうち半額を自治体が、それから11社の企業が共同して出資をするような事業体ができました。これに対して、我々はオブザーバーとして当初から環境省の事業補助の獲得、あるいは計画づくりに対して貢献しておりまして、現在も、出資関係はないのでありますけれども、実際の事業検討会、取締役会等に定期的に共同研究の内容を報告するなどを行いまして、密接に連携をしながら運営をサポートしているという形になります。

 これは、いわゆる都市圏の企業体ではございませんので、ある程度、公的な将来的な展望ということを常に入力していくことが自治体担当者あるいは企業担当者に対しても必要だと考えておりまして、我々、公的な立場の研究者が入っていく意義があるという形で、一つのこうした人口減少地域でのモデルとして進めていきたいというようなことを考えておるところでございます。

【木本委員】 ありがとうございました。

 最後に、物すごくつまらない質問をしてしまうんですけど、同じく8-2の15ページに、一般公開をやって、4月は749名なんだけど7月は5,000名以上が集まったと書いてありますが、4月と7月で、どうしてこんなに違うんでしょう。

【森口国立環境研究所理事】 これは、一般公開担当の立川理事のほうからお答えいたします。

【立川国立環境研究所理事】 質問ありがとうございます。

 春の公開につきましては、やや公開エリアを限定いたしまして、科学技術週間ということで私どもの行事をやっております。それで、夏の公開につきましては、いわゆる小・中学校の夏休みの最初の土曜日に合わせてやっておりまして、かなり広い地域から多くの方に来ていただくということで、子ども向けの行事も夏はかなり多いという状況にございます。したがいまして、大ざっぱに言ってしまいますと、春の行事は、中学生、高校生向け、さらに大学生向けで、夏の行事は小学生も含めてということでやっております。

 このやり方、もう少しメリハリをつけたほうがいいだろうということで、実は、今年度につきましては、春の行事につきましては、もう少し高校生とか大学生、科学技術週間にやっているということもございますので、もう少し年齢層の高いお子さんを対象にしてやりまして、また、少し絞った形でやるという形で、メリハリをつけてやっております。

【木本委員】 よくわかりました。ありがとうございました。

【森口国立環境研究所理事】 もし、お許しいただければ、大久保先生からご質問いただいたことを資源循環の担当のプログラムのリーダーのほうから補足させていただきます。

【オブザーバー[t1] 】 資料3の13ページで、循環プログラムのことで補足をさせていただきます。

 ご指摘がありましたとおり、見せ方が十分でないということは申し訳ございません。このページの左側にありますように、自治体ごとのシナリオ設定というものを行っておりますのは、どうしても一般廃棄物については各自治体で処理の方法が異なるということで、ボトムアップのデータを我々で整理しているところであります。

 一方で、国では循環型社会形成推進基本法でマクロな目標等が設定されているんですけれども、そこのマッチングが実はできていないというところがありまして、我々のほうは、このモデルを開発しまして、どういう政策をとった場合には、どういう結果が生まれ得るかという、右側のほうとの対比ができるようになっております。

 右側のごみ発生量のところを見ていただきますと、2030年BAUというのがありますけれど、これは、実は、人口減少だけが影響して、このようにごみ発生量が見かけ減ってしまうということがあります。それに対して、我々はポリシーミックス~各自治体でいろんな、今、プラの問題がいろいろありますけれども、我々が当初、重点を置いていましたのは生ごみ等であります。こういったごみ処理のシナリオ~を入れていくことで、BAUに対して、どれぐらい成果が表われるかということを見える化しているということでございます。

【森口国立環境研究所理事】 よろしいでしょうか。補足説明をいただきましたが。

【大久保委員】 ありがとうございます。

 非常に意味は、今のご説明でわかりやすかったです。これを、どう自治体で活用していくかとか、その辺も何かあると、もっといいかなとは思いますけれども。ありがとうございます。明確になりました。

【花木会長】 よろしいでしょうか。

 それでは、先へ進ませていただきます。今度は、後半部分を、これは立川理事ですね、お願いいたします。

【立川国立環境研究所理事】 それでは、お手元のパワーポイントを中心に説明申し上げたいと思います。投影が復活したら、また、こちらも使用させていただくということにさせていただきます。

 管理部門担当理事で立川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の説明は、資料3でいいますところの65ページから81ページになります。

 恐縮ですけれども、65ページをご覧ください。

 65ページに目次的なところがございます。第3の1、2、3、第4、第5、第6、そして総合自己評価というところでありますが、今、森口理事から第3の1、環境研究に関する業務についてご説明申し上げました。私は2からということになります。第3の2、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、それから気候変動適応に関する業務、これは新しい業務でありますが、この第3のシリーズにつきましては重要度が高いということでありまして、それから気候変動適応に関する業務は難易度が高いということで設定させていただいております。

 次のページに移らせていただきます。

 第3の2ということで、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務であります。環境情報の収集、整理及び提供については、従前から国立環境研究所の業務といたしまして第2号業務という形で位置づけられておりまして、まさしく、ここのタイトルにありますように、環境情報の収集、整理及び提供を行うという業務でありますが、評価軸につきましても、環境情報の収集、整理が適切に行われているか、そして、この提供がわかりやすいかということになっております。

 ここでは二つのことを書いてございますが、収集、整理及び提供業務につきましては、「環境展望台」というものを運営しておりますが、こちらのほうにつきましてはいろいろな工夫をしておりまして、例えば、ここに書いてあることのほかに、同義語検索機能の表示機能を追加するなどによって、よりわかりやすく、見やすくなるような形で改修をしております。

 それから、この項においてモニタリング指標になっております情報源情報、メタデータでありますけれども、こちらのほうにつきましても、新たに3,313件を提供いたしまして、年度目標である2,400件を大きく超えて達成することができました。そういうことで、今の環境情報の収集、整理、提供につきましては、項目別評価の自己評価をAとさせていただいております。

 それから、第3.3.気候変動適応に関する業務であります。こちらのほうは、昨年度成立いたしました気候変動適応法、そして国立環境研究所法の改正によりまして、今まで第1号業務、第2号業務という言い方をしておりましたが、これは第2項業務という形で新たに追加された業務であります。気候変動適応法と、それから国立環境研究所法に基づいて、研究所業務として新たに位置づけられた気候変動適応情報の収集、整理、分析、提供、そして地方公共団体等への技術的助言、こうしたことを行うということでありまして、昨年の12月に気候変動適応センターを設立いたしました。

 気候変動適応の分野でありますけれども、非常に広い分野があるわけでございまして、気象、防災、農林水産業と、こうしたあらゆる分野の気候変動の影響、そして適応に関する科学的な知見、これを収集するということでございまして、さらに、こうした知見を地方公共団体等に提供いたしまして地域の気候変動政策の推進に貢献するということで、さまざまな調査研究機関、国の調査研究機関がございますので、こうした調査研究機関と意見交換を行っております。

 この気候変動適応センターですけれども、施策の総合的かつ計画的な推進に貢献するということが評価軸になっておるわけでございますが、冒頭の私どもの理事長からの挨拶にありましたとおり、100名体制ということではありますが、四つの部屋を設置いたしまして、常勤の職員に関してはセンター長を含めて13名でございますけれども、推進していろいろなことをやっております。

 具体的には、地方公共団体等への技術的援助といたしましては、この一覧表の中に整理しておりますが、これは12月以降というよりは昨年度の全体の数字ということになりますが、まず、ニーズを把握して整理して気候変動適応広域協議会等の場で国立環境研究所としての支援策を提示し、その上で、地域の行政担当者や市民等に気候変動の影響、そして適応に関して、海外事例も交えながら、その理解を深めることを目的として環境省と共催でシンポジウムを開催しております。

 さらに、地方公共団体を対象に、地域政策を立案するための知見の共有を目的とした意見交換会を実施しておりまして、さらに、また講演会等に講師を派遣する、これは1,300人ほどの受講者がいらっしゃったわけでありますけれども、そうした方々に知見を提供したり、地域の人材育成にも貢献させていただいております。地域が主催する検討会にも私どもの職員を派遣いたしまして、地域の計画づくり、そしてパンフレットの作成についても、科学的な見地から助言して図表の提供を行っております。

 こうした数値がモニタリング指標になっておるわけでございますが、まだ初年度ということもございますので、トレンドは、ここでは割愛させていただきます。

 それから、気候変動適応に関する業務としては、これは従前から少しずつ広げてきたわけでございますが、A-PLAT、気候変動適応情報プラットフォームというもの、そして、これは国内版でありますけれども、海外版ということでアジア太平洋地域に広げたAP-PLATというものをやらせていただいております。

 A-PLATにつきましては、情報提供しております影響予測データ、これは地方公共団体で策定される適応計画、さらにはパンフレット、ウエブサイトに引用されるなど、いろんな形で活用いただいておりまして、これまで日本語トップページの更新回数は246回を超えておりまして、アクセス数も54万ページに達することができまして、これはどんどん増加する傾向にございます。

 それから、AP-PLATでありますが、こちらのほうは2020年の公開を目指してデータやコンテンツを拡充しているステージであります。こうしたアジア諸国の活動を支援するために、インドネシアやタイを対象に技術研修を実施しております。

 それから、研究プログラムといたしましては、三つのプロジェクトを立てまして気候変動適応研究プログラムを開始しております。こちらは、まだスタートしたばかりでありますけれども、着実に成果を上げ始めておりまして、今年度、2019年度、フィジビリティースタディーとして、気候変動影響予測適応評価の総合的研究というものを環境研究総合推進費で茨城大学の三村学長のもとに推進しておりますが、こちらのほうにも私どもの研究所、積極的に参画いたしまして、関係府省の研究機関と連携して気候変動適応に関する情報を収集して、そして研究として展開しているというところでございます。

 そういった、まだ設置して間もない状況ではございますが、かなりアクティブに活動しているということもございまして、自己評価につきましてはAとさせていただいております。

 以下、第4、業務運営の効率化に関する事項でございます。

 まず、第4 1.ページで言うところの71ページでありますけれども、業務改善の取組に関する事項といたしまして、経費の合理化、効率化、そして人件費管理の適正化、調達等の合理化を示させていただいております。

 経費の合理化、効率化につきましては、所内のワーキンググループを中心に新・会計システムというもの、これを導入するため、所内の職員、いろいろ参画していただきまして、どういうところを改善したらいいのかということをいろいろ議論させていただきながら業務の効率化ということを図っております。まだまだ、いろいろシステム化に向けて課題解決しなきゃいけない点はあるんですけれども、何とか来年度には新・会計システムに移行するということでございます。

 それから、人件費の管理の適正化に関しましては、国家公務員に準拠して職員給与規程を改正しているところでございますが、ラスパイレスに関しては、研究については103.1、事務に関しては108.0ということでございまして、職員に関しては環境省の主務大臣の検証結果では妥当な給与水準という評価をいただいているところでございますが、今後、すぐれた人材の確保というところが非常に重要になってまいりますので、そうしたところを確保しながら、この人件費管理の適正化という問題にも取り組んでまいりたいというふうに考えておりますし。また、来年度、実は、働き方改革関連法の施行に伴いまして、同一労働同一賃金といった重たい課題もかかってきます。こういったところも、人件費管理の適正化という項目の中ではしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、三つ目の指標といたしまして調達等の合理化がありますが、競争性のない随意契約、これは事前審査をしておりますし、また、外部有識者と監事に参画していただいております契約監視委員会で事後点検、それから見直しを行っております。毎年、契約監視委員会、もうこれで大丈夫かなと思って、私ども、いろいろ審査していただいておるんですが、非常に貴重なご意見をいただいておりまして、その中で逐次、どんどん改善を進めております。いわゆる一者応札というのは小さい数字になかなかなっていかないんでありますけれども、競争性のない随意契約、こちらのほうは27.7%ということで、昨年度よりも6%近く下げることができております。

 こちらについては、項目別評価をBとさせていただいております。

 それから、業務の電子化に関する事項、第4の2でございます。こちらのほうでございますが、コンピューターシステムにつきましては、スパコンとネットワークシステム、これの更新の対応を今行っております。会議のペーパーレス化も推進しております。

 それから、ジャーナルアーカイブの購入、それから文献検索サービスでございますが、こちらのほう、昨年度も説明させていただきまして、いろいろご質問いただきました。さらに、このジャーナルのアーカイブ購入等は進めておりまして、雑誌Natureについては追加購入いたしまして、利用が非常に大幅に増大し、費用の増加は抑えられたといった結果が見られております。それから、Springerの電子ブックにつきましても、利用が非常に多いわけでございますが、個別購入に比べると非常に費用的には抑えられる形で、要すれば、利用者の利便性を確保した上での経費の節減ということが確保できたかなというふうに思っております。

 それから、私どもの研究所、福島と琵琶湖に支部、分室があるということで、こちらのほうとのTV会議をやっておるわけでございますが、合計で250回、使わせていただいておりまして、経費の削減、それから連絡調整の効率化に寄与できたかなというふうに考えております。

 そうしたこともございまして、この項に関しましては項目別評価をAとさせていただいております。

 それから、第5、財務内容の改善に関する事項でございます。

 まず、1番のバランスのとれた収入の確保ということでございますが、自己収入につきましては、全体の獲得額、これは36億5,300万円ということでございまして、第3期の中期目標期間とほぼ同等ということでございます。競争的外部資金につきましては14億4,000万程度でございまして、第3期の年平均と、これも同程度というふうに思っております。

 保有財産の処分等といたしましては、エネルギー供給システム検討ワーキンググループ、こちらで議論を進めておりまして、私どもの研究所、昭和40年代の後半にできたということで、エネルギーシステムがセンターでつくって所内にどんどん展開をするというシステムでありますが、老朽化をしているということと、エネルギー効率がそれだと必ずしも効率よくできないということもございますので、一つ、遠いところの施設から分散化といったものを実際にやってみて、エネルギーの消費量がどれだけ減るかということをやろうということで、今、着々と分散化に向けた施設整備を進めております。

 それから、大型施設検討委員会というものを設置いたしまして、私どもの研究所、いろいろな大きな施設、分析機器があるわけでございますが、そちらについて、利用状況を踏まえた予算体制、それから運営方法等について議論し、できるだけ効率よく運営していくということでやらせていただいております。

 なお、財務諸表につきましては、監事、それから会計監査人の監査報告を添付いたしまして環境大臣に提出し、7月8日付けで環境大臣の承認をいただいております。

 こちらのほうは、項目別の自己評価はBとさせていただいております。

 74ページは、最近5年間の予算及びそれから執行状況ということの推移でございます。30年度まで、運営費交付金、業務経費、人件費、一般管理費等々、こういった形で整理をさせていただいております。31年度といいますか、令和元年度はエコチル調査のユニットセンターへの委託が私どもの研究所に来るということで、大きく増えるということでございますが、30年度までは、そういった状況にはないものですから、急激な増加は30年度までには予算ベースでもございません。

 なお、エコチル調査のユニットセンターへの委託につきましては、環境省が今までやっていたことが、今度は環境研究所がやるということでございますので、その適正な執行、これが非常に重要だと思っておりますので、そこの仕組みをしっかり構築するというのが私どもの大きな課題として認識しております。

 それから、その他の業務運営に関する重要事項でございます。ここでは二つ書かせていただいておりますが、内部統制の推進であります。内部統制の推進につきましては、ここに書いてございますとおり、コンプライアンスの推進、それからリスク管理、いろんな委員会を回しておりまして職員等に周知しております。職員に対して、いろんな研修があるわけでございますが、eラーニングの活用も含めまして、必修の研修については100%を確保しておりますし、職員の理解を深めて意識の向上を図っているかなというふうに考えております。

 それから、人事の最適化については、クロスアポイントメント、それからテニュアトラック、こうしたものを活用いたしまして、優良な人材を確保するといったことにできるだけの努力をしております。それから、ダイバーシティーに関するイントラ相談窓口の開設、さらには事務系職員、これは研究系の職員が活動するためのサポートをするスタッフということになりますが、えてして、どうしても事務系の職員だとサポート側ということで意識が高まりにくいということもありまして、採用、育成に関する基本方針というものを取りまとめて活性化するということをやらせていただいております。

 こうしたことも含めまして、項目別評価については両者とも自己評価はBと置かせていただいております。

 3番目の情報セキュリティ対策の推進であります。情報セキュリティについては、昨今、どこの機関でも非常に大きな課題となっております。研修受講率、それから自己点検実施率は100%でございます。

 ただ、1点としてインシデントがございました。セキュリティインシデントがございました。具体的には、私どものいわゆるニュースレターを送る際に、メールで送ったわけでございますが、メールの宛先をBCCではなくてTOのところに具体に書いてしまったという事案でございます。宛先につきましては、いわゆる名刺交換レベルでいただける組織のアドレスでありますけれども、合計134件の国、それから地方公共団体の職員の方にTOという形で送ってしまったということでございます。

 これを踏まえて、私ども、いろいろな対策をしたわけでありますけれども、例えば、そうしたニュースレターの発信を全て業務用のメールアドレスを使うというふうなところをメーリングリスト方式にして、TOに具体のアドレスが出ないようにするという形に切りかえるですとか、このインシデントに直接関係はございませんけれども、さまざまな対策として不正ログインの防止、それからセキュリティブラウザからのアクセスに限定する、こうしたことをいろいろやらせていただいております。

 さらに、30年度に新たに実施した情報セキュリティ対策といたしましては、専任の高度技能専門員を配置するですとか、CSIRT要員を対象としたインシデント発生時の模擬訓練を実施する等、できるだけの対策をとるということをやっておりまして、今般、この情報セキュリティ対策につきましては、昨年度もAとさせていただきましたが、インシデントはあったんですが、速やかな対策を講じることができて影響は出ていないということでございますので、自己評価としてはAとさせていただいております。この点、後ほどの環境省さんの評価ではBとなっておりますので、また、そういったところでご議論いただければというふうに思います。

 それから、施設・設備の整備、それから管理運用でございます。従前からやっていることといたしましては、スペース課金制度、それからスペースの再配分、これは引き続き着実にやっているところでございますが、昨年度の活動といたしまして、私どもの研究所、相当老朽化してきたということもございますので、加えてCO2の排出量を大幅に削減しなきゃいけないということで、本構のキャンパスマスタープランというものを策定いたしました。

 概要といたしましては、左下にありますが、この赤が昭和49年にできた施設、それから紫が昭和50年代にできた施設ということで、エネルギーを中心部でつくっていろんなところに送るということでございまして、エネルギー効率が課題となっておりますし、それから老朽化も進んでいるということで、このキャンパスマスタープランをつくったわけでございますが、三つの理念ということで低炭素性、それから共創性、生態系との親和性と、この三つの理念をもとに、研究を中断させないこと、それからCO2の80%以上の削減を達成するということでキャンパスマスタープランを策定いたしました。

 今後、このキャンパスマスタープランに基づきまして、着実に施設整備をしていかなければならないということでございまして、こうした施策を講じていくためには体制の整備といったところも大きな課題だろうというふうに考えております。

 なお、施設整備に関連いたしまして、老朽配管工事が入札不調ということで一部できませんでした。これにつきましては、今後も必要な措置を講じていくという考えでございます。老朽配管の入札不調につきましては、いわゆる建設費用が今、高騰しておりまして、予定されていた予算では落ちなかったというものでございます。状況については、なかなか、そうした東京オリンピックの開催等もございまして難しい状況ではありますけれども、引き続き事業をまとめて、工事を受注したいという方々にメリットがあるような形に工夫をして展開していきたいというふうに思っております。

 こちらのほうも、環境省さんの評価ではBとなっておりますが、それに先立ちまして私どもが出した自己評価では、キャンパスマスタープランというものをつくったということを踏まえてAにさせていただいております。

 キャンパスマスタープランは、ここのページにも少し書いてございますが、今の段階では高層型、中層型、高層型といってもたかだか7階なんですが、高層型であったり中層型であったり低層型、改修を中心とした低層型といった三つの代替の案でつくっておりまして、30年かけて、予算的に言うと合計で700億円前後かかるだろうということでまとめております。

 それから、第6の5、安全衛生管理の充実でございます。健康診断の結果を踏まえまして、産業医さんと保健師さんにおいて適切に保健指導を実施しております。ストレスチェックについては、98.7%という高い受検率を得ておりまして、申し出のあった高ストレス者に対して面接を実施しております。

 安全衛生につきましては、項目別評価の自己評価をBとさせていただいております。今後は、今年度施行されました、これも働き方改革関連法の関係で、超過勤務について限度が決まりまして、また、労働安全衛生法の世界で、そうした客観的なデータで勤務実態を把握しなければいけないということになりました。この辺もしっかり守っていくということが課せられております。

 ただ、守るということをしっかりやる以前に、しっかり報告していただくというところから取り組まないと、割と研究所も公務員時代の文化を引きずっている部分がありますので、超過勤務に対して、あまり、自分でどんどんしちゃう人が多いものですから、そこをしっかり報告していただきながら業務の改善を図っていくということが大きな課題になってくるかなというふうに思っております。

 それから、第6であります。業務における環境配慮でありますが、本日の資料の中にも環境報告書を添付させていただいておりますが、環境研が独自に決めました環境配慮憲章に基づきまして、グリーン調達を含めましてさまざまな対策をしておりまして、これも着実に運用しているということで、これも自己評価といたしましてはBとさせていただいております。

 以上の自己評価の総括でありますが、第3、重要度が高いというふうにマーキングしているものにつきましては、全てAという評価をさせていただいております。それから、第4の業務運営の効率化に関する事項、これは電子化についてはA、それから業務改善の取組についてはBとさせていただいております。財務内容の改善に関しては、Bとさせていただいております。第6、その他の業務運営に関しては、情報セキュリティと施設整備については、自己評価ではAとさせていただいておりますが、環境省さんは、ここは、後ほど説明がありますがBとしております。

 こういった形で、全体としては重要度を高く設定している項目全てがAであると、それから全体の評定を下げるような事象もないだろうということで、全体としては総合評価Aということで私ども自己評価をつけております。

 私からの説明は以上でございます。

【花木会長】 そうすると、次は、お金のほうの報告はあるんでしたっけ。

【立川国立環境研究所理事】 失礼しました。決算関係の書類は、資料6、それから資料7という形で添付しておりますが、先ほどパワーポイントの表でお示ししたとおりでございます。昨年度、課題になった運営費交付金が少し遅れて入ってきたということは、今年度は発生しておりませんので、そういった意味で言うと、問題なく処理できているということでございます。

【花木会長】 監査報告をしていただく必要はありますか。

【立川国立環境研究所理事】 監査報告につきましても資料7でございますけれども、こちらのほう、監査報告ということで添付してございます。監査報告につきましては、法令等に基づいて適正に実施されているかということに関して、監査報告、資料7の1ページ目の一番下のほうでございますが、法令等に従って適正に実施され、中長期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されていると認められるといった形で監事から評価いただきまして。

 また、もう1枚めくっていただきますと、独立監査人の監査報告書がございますけれども、こちらのほうも、最終的に、監査意見というところでございますが、最後のページの一番上になります。全ての重要な点において適正に表示しているものと認めるということで、監査結果についても問題は指摘されておりません。

 以上でございます。

【花木会長】 ありがとうございました。

 そうすると、環境省のほうの評価案のご紹介をお願いします。

【事務局】 また、評価案のほうの説明をさせていただきます。

 まず、8-1をご覧いただければと思います。

 今回が第3の2、3及び第4から第6までの評価になりますが、まず、第3の2と第3の3につきましては、それぞれ重要度が「高」、それで第3の3、気候変動適応は新しく追加になった部分ですが、こちらは難易度も「高」となっております。この第3の2と3については、それぞれ評価案をAとしております。

 また、第4から第6に関しては、こちらは業務運営の関係ですが、先ほど国環研の説明でもございましたが、今回、若干、自己評価と我々の評価案とで変えているところがございますが、第4の2、業務の電子化に関する事項、ここのみAとさせていただき、それ以外はBという評価で、今、案としてお示ししているところでございます。

 この部分につきまして、まず、第3の2、3については後ほどご説明させていただき、あと第4以降に関しては、A、もしくは評価の変わったところに関してご説明をさせていただきますが、自己評価Bで我々の評価もBのところに関しては、特段、今、ご説明いただいた内容で何かCに押し下げるといった内容もなく、いただいた自己評価の内容で追認できるということでBのままとさせていただくので、細かい説明については割愛させていただきたいと思います。

 それでは、まず、第3の2からご説明させていただきます。8-2の17ページをお願いいたします。

 こちら、第3の2、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、こちらも先ほどご説明いただきましたが、「環境展望台」という一般の方がご利用されるホームページにおきまして、利用者が情報をわかりやすく、見やすく、それぞれ改善しておりますし、常に最新の情報が載るように利便性の向上を図られているというところ、また、環境GISにおいて、環境省のリアルタイムの大気汚染データである「そらまめ君」の時間値データを独自に地図化して図解で公開しており、視覚的にわかりやすい情報提供に努めたということを評価しております。その「環境展望台」ですが、メタデータが年間2,400という目標を大きく上回って3,300件以上という件数を新たに追加したというところを評価させていただき、Aとさせていただいております。

 続いて、第3の3、気候変動適応に関する業務ですが、20ページをお願いいたします。

 こちらも、項目別評定はAとさせていただいております。こちらは平成30年12月に新たに追加になった業務でございますが、こちら、適応法の中で法定業務として国環研が気候変動適応情報の収集、整理、分析、提供、また、地方公共団体に対する技術的援助を行うこととされております。それに対して適切に対応するため、まず、先ほどもお話がありました気候変動適応センター、こちらを設立して100名の方に対応いただいているという状況があります。

 また、情報の普及としまして、ポータルサイトである気候変動適応情報プラットフォーム、A-PLATですね、こちらの構築と運用をそれぞれやっていただき、アクセス数も54万件と大変活用いただいていると考えられます。

 また、来年、2020年度に向けまして、アジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム、AP-PLAT、こちらのコンテンツの拡充など、来年の運用に向けて準備を進めていただいているという点も評価させていただきました。

 また、評価の判断根拠ですが、こちらも、まさしく地方公共団体に対する技術的助言などということで、地方公共団体に対して73件の検討会や気候変動適応広域協議会などに参加して、それぞれ助言を行うなどしておりますし、講演会などで延べ1,300人に気候変動適応に関する知見の提供、もしくは人材育成に貢献されているということで、こちらはA評定とさせていただきました。

 続きまして、B評定のままのところは飛ばしまして、24ページ、第4の2、業務の電子化に関する業務でございます。こちらも、ご説明はありましたが、特に高く評価できるのが、まず、二つ目の丸の二つ目のポツなんですが、利用頻度の高いジャーナルのアーカイブ購入、文献検索サービスの契約方法見直しによって、こちらはコスト削減を図りながら、さらに利便性の向上を図って、研究業務の最大化に向けた下支えになっているんだろうというふうに考えておりまして評価をしているところですし、その下のWEB会議のほうですが、こちらも回数的には昨年240、今年250回と大きくは違わないですが、この高い水準、高い回数で維持しているというところ、これによって経費の節減も図れていますし、出張時間の短縮ということで業務の効率化も図れている、また、さらに、お互いに顔を合わせて連絡の効率化、円滑化が図れているということで、大変高く評価できると思いますので、こちらは項目別評定をAとさせていただきました。

 さらに、また飛びまして、続いて34ページ、先ほど自己評価でAといただいた部分でございますが、第6の3、情報セキュリティ対策の推進です。こちらは、今回、環境省評価としましてBとさせていただいております。

 こちら、昨年Aをつけるときも、こちらの審議会の場で「ちょっと難しいですが」というお話はさせていただいたのですが、まず、国環研の対策としては、全職員に対して情報セキュリティ研修、情報セキュリティの自己点検、いずれも100%、これも単年ではなく複数年続けているということで、大変高く評価できると思っております。また、重要性の高いサーバーに対して、侵入テストなどの、そういったセキュリティ対策等もとられておりますし、そこら辺の対策も万全というふうには考えておりますが、先ほどお話にありましたとおり、今回、インシデントが発生しております。また、昨年度も同じくインシデントが発生しておるのですが、昨年度のインシデントは、いわゆる外部からの不正アクセスということで、外部からの脅威に対して国環研内できちんと研修受講100%というのが、それぞれ皆さん、きっちり情報セキュリティに対する意識の向上があり、不正アクセスに対して適切に迅速に対処できたというところで、それについて今までの成果を遺憾なく発揮できたということで、[阿部2] インシデントはあるのですが、これを逆手に取ってA評価でいいんじゃないかというところで評価させていただいたんですが、今回は逆に、100%の研修をされているんですが、残念ながらミスが起きてしまった。

 そういった中で、なかなか、やっぱり一つ上のAという評価がつけづらく、標準的にはきちんとできているというところでB評価とさせていただいているところです。

 一つ参考ですが、参考資料のインデックスの8が昨年、29年度の独立行政法人全ての点検を総務省の独立行政法人評価委員会のほうでされた結果ですが、その一番最後のページのところですが、3ページの真ん中から下に、3、年度評価における情報セキュリティ及び調達の合理化に関する取組の評定というところがございまして、表の中の上段が情報セキュリティ対策に対する評価の区分ですが、全独法の中でもA評定とされているのは4団体しかございません。要は、それだけA評定というのは、独自性というか、高いところで何か対策をとっているというところを評価しているということになりますので、今回の状況ですとBかなと考えております。

 続きまして、こちらも評価を違えたところで、施設整備の関係ですが、8-2の36ページをおめくりいただいて、施設・設備の整備及び管理運用に関してですが、こちらもご説明いただいたとおり、まず、つくば本構のキャンパスマスタープラン、こちらは30年かけて今後、施設整備を行っていくという内容で、かつ2013年度比80%以上のCO2削減と、高いCO2削減目標を掲げながら研究交流を促進させて研究の成果の最大化を図っていく、また、研究は中断させないといった、本当に、今後、ほかの研究機関でも参考となり得る内容で、策定した意義は高いと評価しております。

 それは大変A評価に近いと思っておりますが、一方で、ご説明にありましたとおり、今、行っていただいている老朽化施設の改修のほうで、残念ながら工事の契約が結べずと。我々からしてみれば、補助金を出して補助事業として認めた部分に対して、目的が達成できなかったという部分がございます。そうしていきますと、ただ、この内容が、先ほどもご説明がありましたとおり、国環研内で何かまずいことがあったというわけではなく、市場の価格が予想以上にはね上がってしまって、どうしても金額が折り合わない、もしくは工事業者さんが集まらないという状況にあって、いたし方ない部分はあったので、そのあたり、言ってしまえば情状酌量の余地もありというところでB評価かなというふうに考えており、今回、B評定とさせていただいたところです。

 以上、2カ所が、自己評価Aに対して我々がB評価とさせていただいた点の説明になります。

 そして、全てを勘案して全体の評定ですが、こちら、40ページをおめくりいただきまして、全体の評定としましてはA。こちらは、研究開発成果の最大化に向け顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められ、着実な業務運営がなされていると判断できるということとしております。

 理由としましては、先ほど自己評価でもご説明がありましたが、項目別評定の中で重要度、難易度が高い第4、研究の最大化その他業務の質の向上に関する事項の部分が全てAで、それ以外の業務運営に関する部分がBでしたので、それ以外に全体の評定を引き下げる事象もございませんので、全体Aで妥当だと考えております。

 最後になりますが、資料9に昨年度の年度評価において、大臣評価において指摘事項がございました。

 ただ、こちらの内容ですが、今、いただいた自己評価の中でいずれも措置が講じられているということが確認できますので、今回、説明のほうは割愛させていただきます。

 以上でございます。

【花木会長】 じゃあ、まず、ご質問を受けて、それから、先ほどのA、B、分かれているところの判断というのをやりましょう。いかがでしょうか。

【木本委員】 これも、また細かいテクニカルな質問なんですけど、ホームページの環境何とかのところでメタデータの件数が増えたと、1,000件とか2,000件とかがあって、よくわからないながら、ああ、増えていていいのかなと、ぼうっと思っていたんですが、ちょっと考えたら、メタデータというのはデータを探しやすくするためにつける情報みたいなやつなんでしょうかね。それで、それが増えるということは、ユーザーの人がデータを探しやすくなったりするような感じの話なのかなと、その程度にしかわかっていないんですが、このホームページのこういうシステムというのは独自に開発されているんですか。それとも割と標準的なツールというか、方法があって、それを援用[阿部3] したような形なんでしょうか。もし、オリジナルなんであれば、A-PLATとかのホームページなんかでも援用[阿部4] して、情報発信の一つのやり方として、もう少し拡張できたり、あるいは、ほかの研究所にメッセージを送るようなことになるのかなと思って、ちょっとお聞きしているんですが。

【立川国立環境研究所理事】 ありがとうございます。

 資料の3で言うところの66ページに関連して、ご質問いただきました。情報源情報、メタデータとしておりますものは、今、木本先生がおっしゃったとおりでございまして、例えば、国内のニュース、これがメタデータの半分以上を占めているようでありますけれども、こういった環境に関する情報があるよというものを情報源情報という形で整備させていただいて、発信元にたどれるようにするということが、このメタデータの整備ということでございます。国内のニュースのほか、環境省、それから私どもの研究所、海外のニュース、それから施策事業などの具体的な情報を発信元にたどれるようにということで、やっております。

 それから、システムといたしましては、全部が全部うちという、100%オリジナルというものではもちろんございませんで、ベースとなるものがあって、それを加工して運用しているという形になります。

【花木会長】 今、メタデータのところは、それを探すのがすごく大変なので、それを努力されたということですね。既に、どこかにあって、そこをリストすればいいというんじゃなくて。例えば、全国のニュースレターだとかなんとか、どういうのがあるかというのを探されたと。システムが新しいというよりは、非常に努力されて、それを探されたというところがポイントかなと。

【木本委員】 わかりました。

【花木会長】 いかがでしょうか。はい、お願いします。

【衛藤委員】 資料3の80ページのところのご説明で、安全衛生管理の充実のところで超過勤務のことを次年度以降の課題のような形でご説明いただきましたけれども、これは、単なる管理の問題というよりも、一人一人の方々の考え方がかなり重要な部分があると思いますけど、これに関しては、どういう働きかけなり改革をされていこうとしているのか、もう少しお話しいただけますでしょうか。

【立川国立環境研究所理事】 ありがとうございます。

 結構、これ、頭の痛い問題でありまして。今年の4月から労働基準法と労働安全衛生法が改正されまして、いわゆる残業時間といいますか、超過勤務の時間を短くするということと、しっかり守らないと36協定違反ですよということが新たに加わりました。これを受けまして、私どもとしては、法律上は勤務時間が客観的にデータとしてとれるような仕組みを導入せよということなので、それは導入させていただいたわけでございますが、そのほかのこととして、36協定自身をもう一回、見直しをして、少しでも無理のない形で勤務ができるようにという形でやらせていただいたということと。

 それから、研究系の職員に対して、ちょっと遅ればせながらでありますけれども、裁量労働制を導入いたしまして、この7月1日から、希望者でありますけれども、選択できるという仕組みにいたしました。全体で50名ぐらいは裁量労働制に移行したかなと。今まではフレックスであったわけでありますけれども、研究系の職員についてですね、自分で希望された方という形で50名程度の方が裁量労働制に移行されました。

 そういったことをやりながら、また、こうした超過勤務というものが、法定上、いろんな時間で縛りがあるということでありますので、適切に状況を客観証拠を見ながら管理させていただいて、状況によっては、どういう状況で残っていたんですかということをやらせていただいております。

 失礼しました。裁量労働制、8月1日からだと、今、指摘が。すみません、手続をやっていて、8月1日からの施行になっております。失礼しました。

【花木会長】 今の、よろしいでしょうか。

 ほか、いかがでしょうか。

(なし)

【花木会長】 そうしましたら、特に、今、評価のA、Bのところについて検討を要するものを確認してまいりたいと思いますが、まず、最初の環境情報のあたり、国環研のほうでAと言われて本省のほうでもAと言われている部分については、特段、多分、それはご異論ないかと思うんですね。

 あと、ポイントは、業務の中で国立環境研と意見が分かれている情報セキュリティと施設整備の部分、AとBと分かれているところですが、ここはどうでしょうね。セキュリティのところは、さっきのほかの独立行政法人の中で、よっぽどすごくないとAになかなかならないというようなことを考えると、ちょっとAは難しいかな。インシデントがなかったとしても、よくされているけど。中央省庁なんかも、すごく厳密にやっておられますよね。そういうのを考えると、特別すごいなというのはちょっと言えないのかなと思うんですが。Bでよろしいですかね、そこは。

 あと、もう一つのキャンパス計画を立てられている部分。だけど、一方では実際に事業ができなかったのがあったという施設整備のところですが、いかがでしょうか。

【木本委員】 マスタープランというのは、ここに書いてあることを読むと、ほかの研究所でも参考になるような試みだということで、環境省も結構評価していらっしゃったし、Aにしたいんだけれども入札が不調だと。そんなこともあるんじゃないですか。ポジティブなところを押して、Aでも私はいいんではないかなと。しょうがないじゃないですか。環境研が悪いわけじゃないんだから。

【花木会長】 それは、理由は資材高騰というのがありますけれども。何かコメントはありますか。

【事務局】 ちょっとつけ加えさせていただくと、この施設整備自体が、補助金を措置したのが29年度のものでございます。

 ただ、やはり資材の高騰がございまして1年繰り越しをした。要は、合計で2年かけて整備をしていたものでして、それに対して、今回、入札不調でできないという状況を受けて、もう一回、事故繰り越しという形で繰り越しをしようと財務省のほうにかけ合ったんですが、これというのは、資材の高騰とか理屈はあるものの、工夫次第でどうにかなるんじゃないかということで、必ずしも事故に起因しないということで繰り越しを認められないということで、今回、補助の廃止ということになったんですが、今まで国環研に関しては、繰り越ししている間には施設整備は完了していて、補助の廃止というところにたどり着いたことはなかったんですね。

 だから、少なからず完成は見たということが今まであったので、今回はちょっと苦しいかなと考え、今回、Bにさせていただいております。

【立川国立環境研究所理事】 若干、補足をさせていただきます。

 そうした形で本省にご無理をかけてしまって、無念があったということでございます。

 私どもといたしましては、この入札の過程におきまして、先ほども申し上げましたが、何で落とせなかったのかというと、基本的には価格の折り合いがつかなかったということでありますので、価格を大きな価格でもいいというふうにはなかなかできないものですから、参加ができる方々を少し緩和するとか、いろんな事業を組み合わせして、もう少し見ばえのいい、落としたほうが自分たちのビジネスにとっていいだろうと思ってくれるような形でというような工夫をしたんですが、3回ぐらいやっても、それでも落ちなかったという状況で、なかなか今の状況では苦しかったということでございますが。

 私どもとしては、評価を受ける立場でございますので、もう先生方のご判断に、そこは完全にお任せしたいと思っております。

【花木会長】 コメント、ありがとうございました。

 一方で、マスタープランですけど、これを一回、立てられて、これから、だんだん具体化していくんですよね。そういう意味では、今年は、まだ、やや漠然としていて、だんだん具体化していた段階で、さらに高い評価をというような可能性もあるかなと。私も、大学のマスタープランなんかに関わっていたこともあるので。最初、粗々のプランを立てて、それから、これは実際にCO2、80%削減というものの詳細な、そこの計算はまだですか。どんな感じですか。

【立川国立環境研究所理事】 ありがとうございます。

 どれくらい、どういうことをやってCO2が80%削減できるのかということは、もちろん計算しております。

 ただ、30年先の研究環境がどういうふうになっているのか、研究としてフィールドがどういったものをやっているので、どういった電力需要があるのか、そういったことを見通すのは必ずしも容易ではないものですから、計算はしているんですけれども、かなり大きく変動するだろうというふうに思っております。

 今、会長からご指摘いただきましたとおり、マスタープランに基づきまして、今後は個別の施設の設計、それから施工を予算措置していくということになってまいります。そのステージで、また、ご評価いただくということはあるのかもしれないんですけれども、なかなか長い期間にわたるということで、そこの部分の評価も難しいかなということで、ご評価いただくのは難しいかなということで、今回、自己評価としては、この段階で一旦、こういうふうにさせていただいたというものでございます。

【花木会長】 私のポイントは、来年になると、もっと充実した計画が若干でもあれば、次は高い評価ができるかなとも思うんですけれども。

【立川国立環境研究所理事】 ありがとうございます。

 マスタープラン自身は、そんなに短期的には変わっていかないかなと思います。

 ただ、中長期的には、当然、当初、思っていたものと施工のスピード感が変わってくるとか、それから具体に施工を進めていくと、むしろ、こちらの分野について先に着工すべきだというものが出てくると思いますので、臨機応変に変えていくべきだと思っているのですが、マスタープラン自身は、ここ一、二年は変わらず、むしろ、それに基づいて施設整備を。

【花木会長】 ということは、来年度は成果として出せないということ……

【立川国立環境研究所理事】 マスタープランそのものは、そうですね。

【花木会長】 そうか。

【立川国立環境研究所理事】 施設整備のほうになっていくと。

【花木会長】 なるほど。

【渡辺国立環境研究所理事長】 マスタープラン、それ自身は、適応のセンターができて適応に関してのビルをつくろうという、そういう話からそもそもスタートしております。それに、片方では老朽化が進んでいるという問題もあって。国環研自体が、つくばにあるいろいろな施設というか研究所の中でもかなり早く進出していたということもあって、老朽化の進み方も早いという部分がありますけれども。これから、今の施設を、片方では大事にしつつも部分的にどんどんリニューアルしていくような、そういうことというのは起こってくる。

 それを、その都度都度でやっていった場合に、全体の設計像がないままいろいろ進んでいくということは、あまり好ましくないであろうということで、やはり向こう30年ぐらいを見渡して、こういう考え方でいこうという、ある程度のコンセンサスを所の中で持っておくというのが非常に重要だという考え方でつくっています。

 ですから、今、理事から説明があったように、毎年、変わっていくようなものではもちろんございませんけれども、場合によっては、いい方向に行けば、いろいろなほかの研究所にも波及効果が出てくると、そういうようなこともあるのかなというふうに期待しております。

【花木会長】 来年度、評価の対象に出せないのかな。来年度は。

【渡辺国立環境研究所理事長】 それは、どういう形で。もちろん、このままいくということも逆にはないわけで、何かプラスアルファというのは必ず出てくると思いますけれども、それが大きな形のマスタープランの書きかえとかではないとは思いますね。

【花木会長】 これ、どうしますかね。どれぐらい、補助の廃止というのを重く取るか。管理する側からすると、非常に重大なことであろうというのは想像するんですよね。ひょっとするとCになるかもしれないということを、さっきおっしゃったと思うんですけど。

【関根環境研究技術室長】 本日、特に、どちらにするかというのを、ここでご決断いただかなくてもよろしいかと考えてございまして。本日、いただいた意見、それからご欠席の委員の方のご意見なんかも伺った上で、再度、また案を検討してご提示させていただくということでよろしければ、そういった扱いでお願いしたいと思います。

【花木会長】 審議会の中では、そういう契約のことはちょっと横に置いておくとすると、このプランについてはサポートする意見が出たということでよろしいでしょうかね。ここで決めるということでないとすると。ありがとうございました。

 そうすると、これで全項目、ご説明いただきました。そうすると、今後の手順について、ご説明いただくことになりますか。これは、私がやるのかな。

【事務局】 ごめんなさい。こちらのほうでやらせていただきます。

 では、この後の流れですが、資料10と、あわせて資料11のほうも含めてご説明させていただいてよろしいでしょうか。

 まず、資料10のほうですが、こちらは今回の年度評価の意見シートになってございます。大変恐縮ですが、今日のご議論と、あと資料等を踏まえまして、それぞれの項目について先生方から意見をいただきたいと思っております。今回の開催が大分、後ろ倒しになってしまって申し訳ないのですが、こちらの意見を実際に評価書(案)のほうに反映していくのに、申し訳ございませんが来週の8月8日までに、できましたらご意見のほうをメールでお送りいただければと思っております。

 さらに、今後の予定ですが、今度は資料11に移りまして、資料11のほうでは、8月8日までに先生方のご意見をいただいた上で、今度、それを踏まえて評価書の案を作成し、そちらを先生方にお送りさせていただきます。次回、第13回の同審議会において、最終的に、この内容でというところをご確認いただいた上で、さらにご意見があれば、それを修正したものを8月27日までにまたお送りさせていただきます。そして、内容が固まったものを、今度は総務省の独立行政法人評価制度委員会のほうに評価書として固めて提出をさせていただくという流れで進めさせていただきたいと考えております。

 以上です。

【花木会長】 それでは、大体よろしいですかね、今の手順で、皆さん、申し訳ありませんが進めていただくということでお願いしたいと思います。

 そういたしましたら、事務局に返してよろしいでしょうか。もう、私が言うべきことはない。

 それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、以上をもちまして第12回環境省国立研究開発法人審議会を閉会いたします。どうも本日はありがとうございました。