第14回 環境省国立研究開発法人審議会 会議録

日時

令和2年7月17日(金)13:30~16:30

場所

Web開催

議題

(1)令和元年度及び第4期中長期目標期間見込みに係る業務実績等報告及び評価(素案)について
(2)その他

配付資料

【資 料】
資料1.環境省国立研究開発法人審議会委員名簿
資料2.国立環境研究所の概要
資料3.国立環境研究所令和元年度/第4期中長期目標期間見込み 業務実績等報告
資料4.令和元年度 業務実績等報告書
資料5.第4期中長期目標期間見込み 業務実績等報告書(平成28 年度~令和元年度)
資料6.令和元年度/第4期中長期目標期間見込み 業務実績等報告書 資料編
資料7.令和元年度 決算関係書類
資料8.令和元年度 監査報告書
資料9-1.令和元年度に係る年度評価及び第4期中長期目標期間に係る見込み評価書(素案)項目別評定総表
資料9-2.令和元年度に係る年度評価及び第4期中長期目標期間に係る見込み評価書(素案)(抜粋)
資料10.平成30 年度業務実績評価書(令和元年8 月30 日)における指摘事項への対応状況
資料11.令和元年度に係る年度評価及び第4期中長期目標期間に係る見込み評価書(素案)に対する意見シート
資料12.今後の予定

【参考資料】
1.環境省国立研究開発法人審議会委員名簿
2.環境省国立研究開発法人審議会運営規則
3.独立行政法人通則法(平成11 年法律第103 号)
4.国立研究開発法人国立環境研究所法(平成11 年法律第216 号)
5.環境省国立研究開発法人審議会令(平成27 年政令第1918 号)
6.独立行政法人の評価に関する指針(平成26 年9 月2 日総務大臣決定)
7.環境省所管独立行政法人の業務実績評価規準(平成29 年7 月14 日総合環境政策統括官決定)
8.平成30 年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果(令和元年11 月21 日独立行政法人評価制度委員会)
9.国立研究開発法人国立環境研究所第4期中長期計画(H28~R2)(中長期目標を含む。)
10.令和2年度国立研究開発法人国立環境研究所年度計画
11.令和2年度国立研究開発法人国立環境研究所調達等合理化計画
12.国立環境研究所パンフレット、福島支部パンフレット、琵琶湖分室パンフレット
13.国立環境研究所 環境報告書2020

出席者

委員

花木啓祐会長、大久保規子委員、沖 陽子委員、木本昌秀委員、高橋隆行委員、中村 太士委員

環境省 大臣官房

                       中井総合環境政策統括官

       環境研究技術室長        関根総合政策課環境研究技術室長

国立環境研究所

                       渡辺理事長

                       森口理事

                       是澤理事

       地球環境研究センター      三枝センター長

       資源循環・廃棄物研究センター  大迫センター長

       地域環境研究センター      高見センター長

       生物・生態系環境研究センター  山野センター長

       福島支部            林研究グループ長

       気候変動適応センター      行木副センター長

議事録

【関根環境研究技術室長】 それでは、大体準備も整ったかと思いますので、ただいまから第14回環境省国立研究開発法人審議会を開会いたします。

 私、環境省の環境研究技術室長の関根でございます。よろしくお願いいたします。

 本日の審議会でございますけれども、新型コロナウイルス感染防止ということで、WEB開催とさせていただいております。ご協力いただきまして誠にありがとうございます。

 環境省側の回線容量の問題もございまして、発言をされる場合についてのみ、マイク及び映像をオンにしていただくということでお願いできればと考えてございます。状況によりまして、事務局側で操作させていただくような場合もございますので、ご了承いただければと思います。

 それから、資料につきましては適宜、画面のほうで共有させていただきたいと考えております。

 次に、委員の名簿につきましては、資料1として事前にお送りしているところでございますので、紹介に代えさせていただきます。

 なお、昨年度より委員に就任いただいております北海道大学の中村太士委員は、会議にご出席になるのは今回が初めてということになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、本日の出席状況でございますけれども、衛藤委員におかれましては、所用によりご欠席とご連絡をいただいておりますので、委員7名のうち6名の皆様にご出席をいただいております。これは環境省国立研究開発法人審議会令第5条の規定によりまして、定足数を満たしておりますので、本審議会は成立しているということをご報告申し上げます。

 また、本日の審議会でございますが、公開という形で開催させていただいております。傍聴の方もWeb会議室にアクセスするという形で傍聴されておりますので、ご承知おき願います。

 それでは、議事に入ります前に、総合環境政策統括官の中井よりご挨拶を申し上げます。

【中井総合環境政策統括官】 ありがとうございます。総合環境政策統括官の中井でございます。本日は、ご多忙の中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。第14回環境省国立研究開発法人審議会の開会に当たりまして、一言ご挨拶させていただきます。

 今年度は国立環境研究所の最重要事項であります令和3年度からの第5期中長期目標の策定を予定しておりまして、10月、11月にはそのためのご審議を賜りたく、よろしくお願いいたします。

 なお、今回及び8月の審議会におきましては、令和元年度の業務実績のご審議に加えまして、平成28年度から令和2年度の第4期の中長期目標期間終了時に見込まれる業務の実績についてもご審議をいただきます。

 平成28年度から始まりました第4期中長期目標期間の間、国立環境研究所では平成28年度に福島支部、29年度に琵琶湖分室を開設いたしまして、さらに平成30年度には、気候変動適応法に関する業務の追加に伴いまして、気候変動適応センターが新設されました。組織の拡大が図られたこととなってございます。これは国立環境研究所に対する社会からの要請の高まりに応じたものでありまして、大変喜ばしいことではございますけれども、一方で組織運営におきましては、規模拡大に伴う業務量の増加や地方組織も含めました研究所内での連携体制の構築など、新たな課題も生じているものと考えられます。

 こうした状況も踏まえまして、本日は国立環境研究所が研究成果の最大化に向けて着実に成果を上げられているか、また、適正、効果的かつ効率的な業務運営ができているかなどについてご審議をいただき、どうぞ忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

【関根環境研究技術室長】 統括官の中井は、この後、別の業務があるため退席させていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。紙媒体として郵送、発送いたしましたり、あるいは、電子媒体の形で送付をさせていただいております。

 一部、資料番号がついてないものがございます。それにつきましては3種類ございまして、一つは議事次第でございます。それから、3枚の紙をとじた資料といたしまして、第14回及び第15回審議会の審議事項というタイトルがついている3枚紙の資料がございます。それから、1枚紙の裏表、横書きのものでございますけれども、環境省独立行政法人の業務実績評価基準というタイトルの1枚裏表資料がございます。その三つがちょっと資料番号を振ってない資料でございます。

 その他の資料につきましては、議事次第のほうに記載をさせていただいております。資料1から12まで、それから、参考資料といたしまして1から13までございます。資料のほうに不足などがございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。取り急ぎ、メールなどで送付させていただきたいと考えております。

 議事に入ります前に、本日の審議事項と審議の進め方につきましてご説明をさせていただきたいと思います。

 第14回及び第15回審議会の審議事項というタイトルのついている3枚紙の資料をご覧いただければと思います。

 本審議会における審議事項でございますけれども、この資料の1ページ目の右下にございますとおり、環境省が国立研究開発法人である国立環境研究所の中長期目標の策定・変更、それから、業務実績の評価、組織・業務全般を見直す際に、この審議会に助言をいただくということになってございます。

 その中で、今回、それから次回の第15回、8月18日を予定してございます。この2回の審議会におきましては、赤字で示しております令和元年度の年度評価、それから、第4期中長期目標期間終了における見込み評価、この2点についてご審議いただく予定としてございます。

 1枚おめくりをいただければと思います。

 14回、15回に続きまして、秋頃に第16回、17回の審議会を開催させていただく予定にしてございます。令和3年度から始まります第5期中長期目標期間の目標策定のために助言をいただくものでございます。秋頃、10月、11月に2回程度の開催ということでお願いできればと考えてございます。

 続きまして、3ページ目をご覧いただければと思います。

 今回及び次回、14回、15回の審議事項に話を少し戻させていただきます。

 今回、次回の2回の審議会におきましては、年度評価と見込み評価をいただくということでございますけれども、その目的、実施方法、留意事項を整理したものでございます。

 評価は、総務大臣が決定しております独立行政法人の評価に関する指針に基づいて実施をするということになってございます。

 この評価の目的でございますが、「研究開発成果の最大化」ということが第一の目的ということで、これは年度評価、見込み評価についても同じ目的というふうになってございます。

 それから、年度評価におきましては、評価対象年度以降の業務運営の改善などにも役立てていくということになってございます。

 見込み評価のほうでは、新しい中長期目標の策定をする際に活用するといったこと。それから、業務及び組織の全般にわたる検討にも、この評価の結果を活用していくということとされておるところでございます。

 実施方法につきましては、国立研究開発法人の自己評価の結果や、法人が個別に実施しております外部評価の結果などを踏まえまして、法人の業務の実施状況を調査・分析し、業務の実績の全体について総合的な評価を行うこととなってございます。

 評定につきましては、S、A、B、C、Dの5段階ということでございまして、「B」が標準的な評価ということになっております。

 なお、平成31年3月に評価指針の改定がなされております。ただ、同一の中長期期間中に基準が異なる評価が存在するということを避けるということで、新基準の適用は次期の中長期期間、これは第5期中長期期間、令和3年度からということでございますので、今回はこれまでと同じ基準、先ほどの5段階ということで、ご審議いただくということにしてございます。新基準についての説明は、今回は割愛させていただきます。

 それから、留意事項といたしまして、中長期目標・計画の実施状況を踏まえつつ、中長期目標で作成した評価軸等に留意して評価を実施するということになってございますけれども、その際、研究開発の特性、例えば、長期的な性格を要するもの、それから、研究の不確実性、予見不可能性といったことも踏まえて評価を実施するということになってございます。また、法人のマネジメントの状況にも留意して実施するということとされてございます。

 続きまして、4ページ目をご覧いただければと思います。

 平成28年度から開始をいたしました第4期中長期目標の構成でございます。

 第1から第6までの構成となってございまして、このうち第3から第6について評価軸及び評価指標を載せておりますので、ここについての評価をご審議いただくということになってございます。

 続きまして、5ページ目をご覧いただければと思います。

 今回の審議の進め方でございます。本日の第4回審議会につきましては、まず、国立環境研究所のほうから業務実績などの報告・自己評価について説明をいただきます。その後、環境省の評価の素案を説明させていただきまして、それに対して質疑応答をさせていただきたいと考えてございます。

 この説明、それから質疑応答につきましては、二つの部分に分けて実施をさせていただきます。まず、研究内容の第3の1.(1)から(4)ということで、先ほどの中長期目標の第3の1.(1)から(4)までの部分、この部分を先に行わせていただきまして、その後で第3の2以降についてご審議をいただきたいと考えてございます。

 それから、本日の審議会の後、7月31日を目途に委員の皆様から、これも昨年度と同様でございますけれども、意見シートによりまして意見をご提出いただければと考えてございます。

 その後、8月11日頃に事務局のほうから、委員の皆様に評価素案を送付させていただくことを予定してございます。それらを踏まえまして、8月18日の次回の第15回審議会におきまして、最終的に評価書をまとめさせていただきたいというふうに考えてございます。

 続きまして、6ページ目をご覧いただければと思います。

 これは秋に予定をしております中長期目標・計画についての審議の進め方となっております。

 第16回を10月に開催をいたしまして、中長期目標の(骨子案)についてご審議をいただきたいと考えています。

 それに続きまして、第17回を11月に開催をいたしまして、今度は中長期目標の案、これについてご審議をいただければと考えてございます。

 日程調整につきましては後日ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 私からの説明は以上でございます。説明に対しまして何かご質問がございましたら、お願いをいたします。

 特によろしいでしょうか。

(なし)

【関根環境研究技術室長】 はい、ありがとうございます。

 それでは、これ以降の進行につきましては、花木会長にお願いしたいと思います。花木会長、よろしくお願いをいたします。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。会長の花木です。

 今日は皆さんにお集まりいただいておりますので、様々な議論をこの場で時間を有効に活用しながら進めていきたいと思います。

 冒頭に大変分かりやすく説明をいただきました。今年度、この審議会としてやることは二つあります。今日と次回はその一つ目ですね。すなわち、昨年度の評価と現在進行中で今年度に終わりを迎える中長期計画の見込み評価、この二つについて審議をいただき、1カ月後にそれを確定していくという手順でございます。

 それでは、正式にその議題を申し上げますと、令和元年度に係る業務実績等報告及び第4期中長期目標期間見込み業務実績等報告書並びにその評価書(素案)についてですね。その報告書を二つご報告いただくわけですが、それに基づいて評価をする。その評価は環境省が最終的にされるわけですけども、この審議会としてその評価に助言をするというのが役割でございます。

 さて、それでは早速、中身に入ってまいります。先ほど手順の説明がありましたとおり、最初に国立環境研究所からご説明いただきますが、その中でも、まず全体の状況を渡辺理事長から、まずご説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【渡辺国立環境研究所理事長】 理事長の渡辺でございます。国立環境研究所の概要についてご説明いたします。

 今日は委員の先生方、お忙しいところご参集といいますか、バーチャルに参集いただいて本当にありがとうございます。これから2時間ぐらいですけれどもよろしくお願いいたします。

 時間もありますので、すぐに説明させていただきます。資料2に基づいて説明をいたします。

 今お見せしているのが環境研究所の全貌で、右上に先ほど、中井統括官のほうからもご紹介のありました福島支部、左下に琵琶湖分室の絵が出ております。私たち憲章というのがございまして、「人びとが健やかに暮らせる環境をまもり育むための研究によって社会に貢献するというのがミッションです。

 これは研究所の経緯を示したスライドで、およそ半世紀前になりますけれども、国立公害研究所として発足いたしまして、1990年に国立環境研究所と現在の名称に変更いたしました。今世紀に入って独立行政法人、さらに国立研究開発法人というふうに位置づけられ、独立してからは4期目の中長期計画という形で業務を進めております。

 先ほど統括官からもご紹介があったように、第4期、今年度はそのうちの最後の年度にあたるわけですけれども、その中においては、福島、琵琶湖、さらには気候変動適応センターというものが開設されて、ある意味では非常に拡大してきたということになります。これについては最後のほうでご説明を申し上げます。

 人と予算のスライドですが、運営交付金と受託経費でおよそ200億をいただき、受託経費の中の15億円程度が外部競争的資金、それに、この中の含まれていない経費等補助金が3億ぐらいあって、全体で200億。人員のほうは職員がおよそ300、契約職員も含めておよそ1,000名、その中で大体3分の1ぐらいが研究系の職員、契約職員ということになります。

 環境研は非常に広い環境研究をカバーするというのがミッションというふうに考えておりまして、ここに書いてあるような広い分野 -地球環境、地域環境から、研究対象では資源、環境リスク、生物、あるいは人の健康、さらには社会環境システム、計測、災害と、こういった広い分野について、それぞれセンターを持って研究、その他の活動を進めています。

 次のスライドで、ここに並んでいるのが分野ですが、それぞれの分野が、プログラム、研究事業、環境研究の基盤整備、基盤的調査・研究というものに対して、研究者の力を配分する形で研究活動を進めております。

これに、気候変動適応に関する業務というものが加わり、環境情報の収集、整備及び提供というものがこれらの研究成果も活用しつつ、業務を進めているという、そういうことになっております。この丸がついているところについて若干説明を申し上げます。

 研究プログラムというのは、分野横断型で喫緊の課題の解決に取り組むというもので、ここにお見せしているような緑の五つのプログラムと、福島支部が中心になって行っているオレンジ色の三つのプログラムがございます。大体、平均して5から7ぐらいのセンターが関与するという形で、一つの課題に取り組んできております。

 プログラムなどの結果については、この後、研究担当理事のほうからお話がございまして、内容にはあまり立ち入りませんけれども、あとの研究担当理事のプレゼンの中で出てこないものについて簡単にご紹介します。

 細かくは時間がある範囲で見ていただければよろしいかと思いますけれども、自然共生プログラムでは、法律(農薬取締法)の改正にハチの生態についての科学的な知見にもとづく評価方法を提案する形で貢献しました。

 安全確保プログラムでは、エストロゲン受容体に結合する多数の物質を一斉分析するシステムを、非常に基礎的な部分から応用的な部分まで通して研究し、そのシステムの完成に近づいているところです。

 環境回復プログラムは福島の取組ですが、福島の避難指示区域内と区域外に50ぐらいのモニタリングサイトを設けて、そこでいろいろな動物、鳥類、あるいは昆虫類の様子を調べていて、ここではイノシシが避難指示区域内に区域外よりも多く観測されたという結果を示しています。

 「研究事業」は国環研自身がやっている研究と関連が強く、かつ連携が必要な事業について、外の様々な機関と連携しつつ、進めています。衛星観測センター、あるいはエコチル調査センターの中にオフィスがあって、事業に関わる研究業務を進めてきています。

 「環境研究の基盤整備」というのは、研究所内外で進んでいる環境研究に必要なデータ、あるいは試料を収集し、整理し、提供していくということをやっています。

上の三つがモニタリングで、様々な環境をモニタリングしていますけれども、共通の特徴としては非常に長い期間継続しているということです。

 その下の緑色のところは試料、環境試料あるいは生物試料を集めて保存し、研究に提供するという活動で、いずれも国際的な取組にも参加して進めています。

 さらには、標準物質を作って、それを頒布していく、あるいは各種データベースの整理もやっています。

 このスライドは基盤・基礎的な研究、あるいはモニタリングからの成果で、詳しくはご説明申し上げませんけれども、例えば、計測分野のような非常に基礎的な知見、地球環境分野の、IPCCの報告書に引用されるような知見、あるいは右側の二つはモニタリングなんですけれども、それぞれ国際的な動きと関連して、今の環境の保全に重要な知見を提供してきているということを示しています。

 最初に、第4中長期は拡張してきたと説明しましたが、ここに書いてあるように、福島、琵琶湖、2018年には適応センターが設置されまして、それぞれこれは国の方針の中に従って作られたものですけども、実際に環境研の中での非常に重要な取組として続いてきています。いずれも、ある意味、発展期にあたるような動きですが、これは福島支部について示しており、放射能汚染からの回復、新たに様々方向に結びつけていく地域復興、さらには災害環境というもの全体について考えるような仕組みについて、社会実装を視野に活動を行っています。

 琵琶湖分室に関しても、琵琶湖の自然環境と生態系、あるいは、水質について取り組んでいて、特に地元との共同作業が非常に多くなり、自治体あるいは地元企業とタイアップした様々な成果を出しているということでございます。

 このスライドは気候変動適応センターの概要ですけれども、下の三つの研究室では主に研究を進め、その結果を上に書いてある推進室に提供して、推進室のほうでは様々な地方自治体をはじめとする外の機関、あるいは、ほかの研究機関との連携というものを次々に開拓して、日本全体でのその適応の実践、あるいは計画というところに貢献しようというところで、既に実績がいろいろと出ています。

 先ほど関根室長からのご説明にもありました通り、9月ぐらいになりますと、次期の中長期に向けて審議会でご審議いただくわけですけれども、第5中長期に向けての審議が所内でも進んでおります。いずれも中間的な整理ですが、主要な研究活動として上右端に図が出ておりますけれども、研究プログラム、基礎・基盤研究、大型事業、気候変動適応と大きく4カテゴリーに分けた形で活動を進めていこうということで今、検討をしています。

 さらに、右下に研究プログラムの構成が書いてありますが、地球規模持続可能性と、地域の繁栄と、その両方を目指しつつ研究を進めていくことがプログラムの方針です。

 特に社会実装についても配慮していこうというのが・・・。

 左下のところに、「対外連携の強化」とありますが、次期国環研の非常に大きなミッションになるだろうというふうに考えています。

 というところで、ちょっと短いですが現在の概要を説明させていただきました。どうもありがとうございました。

【花木会長】 はい、花木です。ありがとうございました

 質問が場合によってはおありかもしれませんけれども、質問はこの後の実績評価の中で行っていただければと思っております。

 早速ですけれども、先ほど手順については既にご説明いただきましたので、その手順に沿って国立環境研究所のほうから、まず、今日のパート1のところについてご説明をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 はい、ただいま準備をしております。画面共有します。

【花木会長】 はい、見えていますので、よろしくお願いします。

【森口国立環境研究所理事】 お待たせいたしました。

 それでは、昨年4月に研究担当理事に着任いたしました森口でございます。すみません、準備に手間取りましたけれども、業務実績等報告の前半部分を担当させていただきます。約45分時間をいただいておりまして長丁場になりますけれども、よろしくお願いいたします。

 先ほど来、何度もご説明いただいておりましたように、今回は令和元年度と第4期中長期目標期間見込み、その二つの評価をいただくことになります。

 内容に入ります前にまず、国立環境研究所の研究評価システムの概要について、ごく簡単にご紹介いたします。

 本日、審議会で評価いただくわけですけれども、私ども、研究につきましては、ここにございます外部研究評価委員会で評価をいただいております。それ以外に環境研内部でも研究評価委員会がございますし、それから、右下にございます国際アドバイザーリーボード(IAB)をもって、国際的な専門家から助言をいただく機会がございます。

 今年度、全体会合を予定しておりましたけれども、コロナの感染下でオンライン開催に移行することで現在、準備を進めておるところでございます。

 先ほど、ご説明があったかと思いますけれども、私どもの場合、評価の項目としてはここにあります16項目ございますけれども、私からのご紹介は1番から5番までということになります。重要度が高いという丸、それから、難易度が高いという下線が付してあるものがたくさんございますので、16項目のうち5項目ではございますけれども、長めの説明時間を頂戴しているということでございます。

 研究開発の成果の最大化は、第3という項目の構成がこうなっておりまして、その中には環境情報の収集、整備、および提供に関する業務、それから、気候変動適応に関する業務も含まれておりますけれども、これは国立環境研究所法第11条の業務で2号業務、あるいは2項業務ということで、別のセグメントになっておりますので、私からは環境研究に関する業務、第3の1というところについてご説明をさせていただきます。

 最初に、自己評価の総括を示しておりますけれども、私からご説明いたします5項目、いずれも令和元年度、第4期見込みともA評価ということにさせていただいております。この後、個別にご説明を申し上げます。

 こちらも先ほど理事長から説明のありました概要の図、もう少し書き換えたものでありますけれども、この赤枠の中が私からご説明をする内容でございます。

 第4期中長期計画期間におきましては、いわゆる一丁目一番地に相当することですけれども、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進といたしまして、5課題からなる課題解決型の研究プログラム、そして、3課題からなる災害環境研究プログラムを設けております。

 環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進につきましては、基盤的調査・研究、環境研究の基盤整備、研究事業です。この3部門を設けているということにつきましては、先ほど理事長からも説明があったとおりでございます。

 それでは、3.1.環境研究に関する業務につきまして、順次ご説明を申し上げます。

 まず、1番が、項目№(1)重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進のうち、①課題解決型研究プログラムでございまして、先ほどお示しした図では、この赤点線のところになります。

 ここに含まれます五つのプログラムは、環境研究・環境技術開発の推進戦略に示されました五つの研究領域に直接対応したもので、統合的な取組により環境問題の課題の解決につながる成果が得られているかどうかということが評価軸になっております。

 では、プログラムごとに順次成果をご報告いたします。

 まず、低炭素研究プログラムの元年度の主要成果として、このあと2枚のスライドで、船舶の長期観測データを用いたCO2の吸収の変動、そして、石炭から天然ガスへのエネルギー転換の緩和策の効果について説明をいたします。

 太平洋上の船舶で観測した大気中CO2濃度と炭素同位体比を用いまして、CO2の海と陸の吸収量の変動を推定しましたところ、海洋、それから、陸上生態系とも、1990年頃から下向きになっていた、吸収量が増えているということですけれども、90年代から吸収量が次第に増えてきたんですけれども、海洋につきましては2015年付近より、それから、陸上生態系につきましては2009年付近より吸収が鈍化しているということがみえております。

 こちらは発電部門の緩和策の評価結果です。天然ガス、石炭火力は今ちょっと話題になっておりますけれども、天然ガスのほうが発電量当たりのCO2が少ないということが知られているわけですが、一方で天然ガスはメタンでありますので、これが漏れてしまっていることになりますと、温室効果をもってしまうということです。特に評価期間が短い場合には、石炭からの転換の効果が下がることになりますけれども、長期的に見ますれば、数%の漏出を考慮したとしても、天然ガスへの転換が効果的であるということが再確認できます。もっとも、長期的には、最終的には再生可能エネルギーへの転換ということが低炭素社会の転換に重要であるということは言うまでもございません。

 ちょっと申し遅れましたけれども、こちらグリーンの帯がついておりまして、右上に【年度】と書いておりますのは、令和元年度の成果、あるいは評価でございます。

 そして、こちら青い帯、それから、右上に【第4期見込み】と書いておりますのが、第4期中長期計画を通じての全体の成果の帯でございます。

 これが低炭素研究プログラムの第4期全体としての見込みでございます。

 観測研究では先ほどCO2の成果を申し上げましたけれども、従来のCO2に加えて、推定の難しかったメタンについても観測データからのトップダウンと、それから、インベントリからのボトムアップ、双方からの排出量を比較して精度向上を図ってきた、これが進展したところの主な点でございます。

 それから、政策評価研究ではAIMモデルの世界技術選択モデルを精緻化しまして、短寿命の気候汚染物質、SLCPですとか、大気汚染等のコベネフィットということも考慮いたしまして、2℃、あるいは、1.5℃目標に向けた、特に東南アジアでの排出シナリオの対する研究が進んでいます。

 気候リスクに関する研究では、地球規模の包括的な気候変動リスク評価、それから、極端事象、極端現象を考慮した2℃、あるいは1.5℃の気候変動影響評価を行っております。

 さらに、経済評価として社会シナリオ、気候シナリオに応じた影響を金銭換算した被害を推計しておりまして、これはNature Climate Changeという非常に著名な学術誌に掲載されております。

 このように、IPCC貢献も含めまして、世界的に顕著な貢献があったと考えております。

 2番目のプログラム、資源循環プログラムに移らせていただきます。

 令和元年度の成果として二つ挙げておりまして、一つは、環境省の廃棄物行政に直結した一般廃棄物処理のモデル研究、もう一つが、低炭素戦略と資源戦略をどう両立させるかという、より国際的な課題でございます。

 こちらが国内のほうの研究成果でありますけれども、今後は人口減少が進んでいくということ、様々な3R対策の政策が打たれるという政策パッケージを考慮しまして、市町村別に積上型で、今後の廃棄物に関する指標を全国推計するモデルで計算をしました結果、ごみの発生量、それから、最終処分量につきましては、目標達成が出来そうである。しかし、循環利用率、いわゆるリサイクル率に関しましては、かなり国の目標との間で乖離があります。特に人口の多い地域区分での政策効果が小さいということで、これは追加対策の立案が必要であります。

 廃棄物、下流側の問題だけではなくて、上流側、資源側の分析も行っております。日本は資源消費大国ではありますけれども、日本を含む世界の経済活動が資源採掘国に誘発させる環境負荷の増加を明らかにしました。

 低炭素社会のためには、例えば、電気自動車の需要が今後高まることが考えられますけれども、電池に必要なリチウム資源、これの採掘時には環境負荷が発生いたしますので、資源循環と低炭素戦略を両立する上での課題を明らかにしました。

 Environmental Science & Technology、これも著名な学術誌に掲載されておりまして、国連環境計画の国際資源パネルにも貢献したと、そういう評価をしております。

 資源循環プログラムの第4期を構成する五つのプロジェクトを大くくりにいたしますと、この3色の分野になります。

 緑色の資源需給と廃棄物処理の将来ということにつきましては、先ほどお示しした元年度の成果のほか、今後日本は高齢化が進んでいくということで、高齢者のごみ出しの実態調査に基づくガイドブック、あるいは事例集を作成しております。これは日本語だけではなくて英語版でも冊子で公開をしております。

 それから、資源利用の高効率化のための技術開発の研究も進めております。生ごみ、あるいは、廃油脂といった未利用エネルギーを使いまして、商業施設内でのメタン発酵システムの技術を開発しまして、小規模な施設での実装が見込める段階まで来ております。

 それから、安全確保という切り口では、いわゆるE-waste、電子・電機廃棄物に関しまして、東南アジアでの現地調査を踏まえて、インフォーマル、非常に小規模なリサイクル工場などで注意すべき物質があるだろうということで、鉛、あるいは、DXN類縁化合物、こういったものが労働者を含めまして、曝露に影響する可能性があるということ、そういったことについての曝露経路の把握を行っております。

 最近は廃プラスチックが非常に話題になっておりますけれども、中国が廃プラスチックの輸入を禁止したということで、リサイクルも変化をしておりますので、そういった国内でのリサイクル状況の変化等についても、研究を行い、国内での課題を指摘しております。

 3番目、自然共生プログラムに移らせていただきます。

 先に2段落目についてでありますけども、DNAによるヒアリの検出キットを、早期発見技術を開発したわけですけれども、これにつきましては、検出キットの全国配備という段階まで進めております。

 それから、ネオニコチノイド農薬の野生ハチへの生態影響、これは先ほども理事長の解説にもございましたし、これ以外にも豚コレラのサーベイランスシステムの構築など、緊急案件への対応も行っております。

 一つ目の段落に戻りまして、無居住化と生物多様性の関係に関する研究でありますけれども、これは実は昨年も成果を報告いたしまして、その後の進展でございます。

 まずは、全国スケールでの集落のセンサス調査によって、無居住化と生物多様性の減少の関係というのを明らかにいたしまして、それに基づいて今回はシナリオ分析を行っております。人口が偏在化する場合、それから、均一化する場合ということの比較をして、人口分布を均一化することが生物多様性減少の低減に効果的ということが明らかになっております。流動人口の増加ですとか、それから、地方居住の重要性が示唆されたわけでございまして、私見でございますが、これはコロナ後の社会経済、どういうふうな居住環境が望ましいのかということにも、少し示唆を与えるような成果ではないかなと考えております。

 自然共生プログラムの第4期全体の見込みでありますけれども、今示しました人口変化、それから、外来種という危機に加えて気候変動等の危機がございます。これにつきましては後ほどご紹介いたします適応の研究の中で取り組んでいます。

 統合解析では、保全努力配置デザインの支援ツールを開発しまして、人口減少、あるいは気候変動適応策等の社会的課題を背景として、生物多様性の保全、あるいは生態系サービスに係る多面的な評価指標を考慮した評価を行っております。

 4番目、安全確保研究プログラムでございます。

 これは実は対処すべき課題が非常に多岐にわたりまして、多くのプロジェクトを組んでおりますけれども、ごく一部だけになりますがご紹介させていただきます。

 年度の成果といたしましては、化学物質が小児、あるいは将来世代に与える影響について、これは次のスライドでご説明いたします。

 それ以外では、ヒトエストロゲン受容体、結合活性を示す陽性物質について、LC/QTofMSの分析手法を発展させ、多くの物質のオンライン自動分析計の構築が進んだということがございます。

 次世代影響ですけれども、免疫・代謝疾患に与える影響とメカニズムの解明を進めておりまして、リン酸トリスブトキシエチル(TBEP)、これは繊維製品などの難燃材によく使われる物質でありますけれども、これの経口曝露による影響をマウスによる動物実験を用いて検討しております。

 その結果、肺炎症が増悪傾向を示しまして、リンパ節細胞の活性化を認めたということで、TBEPの曝露は軽微ではありますけれども、アレルギー病態を増悪する可能性が示唆されるという結果が得られております。

 安全確保プログラムの第4期全体の成果の見込みでありますけれども、今、お示ししたような物質ごとの有害性の新たな知見ですとか、それから、多種多様な化学物質の分析手法、これにさらに発生源ですとか、環境動態のモデル、こうした研究成果の統合をいたしまして、化学物質の包括的なリスク評価、管理の推進に貢献する成果を提供できるというふうに考えております。

 五つの課題解決型研究プログラムの最後は、統合でございます。統合というのはいろんな意味があるわけですけれど、環境、経済、社会の観点から、環境問題のみならず、非常に広い観点から持続可能な社会を実現するための研究を進めておりまして、国際、国内、それから地域、都市、様々なスケールがございますけれども、元年度の成果としましては、アジア各国での国レベルの気候変動緩和策に関する成果、それから、海外、それから国内両方での地域スケールの成果についての概要をご紹介いたします。

 まず、国レベルでありますけれども、これまでに開発してきた統合評価モデル、AIMモデルでありますけれども、これを、タイ、インドネシア等のアジア主要国の研究者と連携しまして、それぞれの国に適用いたします。それによりまして、各国における2020年以降の温室効果ガス排出削減目標の各国の状況の反映等によりまして高度化を行う、また、それ以降、2050年を対象としました長期の低炭素発展戦略の策定に向けた定量的な結果を出す、これを各国の政策決定者に提供するということで、各国の気候変動緩和策の分析に活用されます。つまり、日本の研究でもって、日本の緩和策だけではなくて、アジア諸国の緩和策に対しても貢献していたということでございます。

 アジアの研究は、これは一つの国レベルだけではなくて、地域単位でも行っております。インドネシアのボゴール市、それから、福島県の新地町、これはローカルのほうでありますけれども、これらの民生施設、業務施設、あるいは公共施設、産業施設にIoTを活用する社会モニタリングネットワークを整備いたしまして、各主体のエネルギー消費特性の解析手法を構築しております。そうしたミクロなデータをもって、各省エネ活動の測定、あるいは、報告、検証、いわゆるMRVと呼ばれるプロセスでありますけれども、これを実践しているものでありまして、低炭素対策の具体的な立案に貢献をしています。

 統合研究プログラムの第4期全体の成果の見込みですけれども、シナリオ研究では、世界、アジアの主要国を対象に統合評価モデルを用いて、2℃、あるいは、1.5℃目標に対する温室効果ガスの排出経路、あるいは、これは昨年度ご紹介いたしましたけれども、低炭素社会が例えば食糧問題といった、ほかの持続可能性の問題との間でのトレードオフがないかどうか、そういった評価を行って成果を上げております。

 PJ2、地域社会ロードマップ開発では、国内外の都市で、これは地理情報を活用いたしまして、モニタリングデータの解析と技術モデルに基づく対策を提案し、関係者との間で社会実装に向けて協議する、先ほど事例をお示ししたところでありますけれども、成果が活用できるという段階に来ております。

 PJ3の政策評価、ちょっとこれは具体的な話は年度評価の成果としてお示ししておりませんけれども、環境目標を活性化の社会の仕組みですとかデザイン、そこのトランジションを人々の行動ですとか、あるいは地域の社会経済システムをどういうふうにうまく変えていく必要があるかということで、ロードマップでの持続可能性社会の実現につながる成果を上げております。

 以上、5課題からなる課題解決型研究プログラムの成果、定量的なモニタリング指標として、成果をまとめたのがこの表でございます。

 前期、第3期中期目標期間の5年間の平均を参考値として示しておりますけれども、第3期の平均件数と同等以上の研究成果の発表となっておりまして、第4期の4年目として、着実に成果を上げました。特に令和元年度は招待講演の増加が顕著でありました。

 こちらが外部研究評価で得たスコアでございます。

 採点基準は3を標準とした5段階評価でございまして、5課題の平均値が令和元年度、中期見込みとも3.89となりまして、目標を上回る成果を得ている、客観的に認められております。

 個別意見が幾つかついておりまして、国際誌への論文発表件数をはじめ国内外への成果発信が高くなっている。それから、SDGsとも関連づけをして研究を遂行しているということについて高い評価をいただいております。

 プログラム全体としまして、難易度の高い課題において、ここに例示したもの、あるいは先ほどもご説明しました、一連の成果を順調に上げるとともに、重要性の高い研究において環境問題の課題解決につながる成果創出が認められたと考えておりまして、平成元年度の項目別の自己評価はAとしております。

 また、第4期通じての見込み評価におきましても、中長期計画に沿って順調に成果を上げるとともに、各研究プログラムで挙げた様々な環境問題の解決につながる成果の環境政策への活用が適切かつ有効に行われたと考えておりまして、同じく自己評価はAとさせていただいております。

 ここまでが課題解決型プログラムでございまして、次に項目№2、重点的に取り組むべき課題の統合的な研究の推進の二つ目、災害環境研究プログラムに行きます。

 全体像の図では、この赤点線部分で項目№2でございます。

 このプログラムは、環境回復、環境創生、災害環境マネジメントの3プログラムから構成されておりまして、評価軸としては二つ挙げておりますが、特に二つ目、福島県環境創造センターに入居する他機関との適切な役割分担の下での連携をはじめ、他の関係機関と適切に連携しつつ取り組んでいるかということが挙げられております。

 環境回復プログラム、一つ目のプログラムですけれども、こちらは放射性物質で汚染された地域の様々な問題への対処が主たるテーマでございまして、汚染土壌の中間貯蔵、それから、放射性物質で汚染された廃棄物の処理に関する技術的な課題のほか、森林から生活圏への移行など、環境中での放射性物質の挙動に関する研究など、多岐にわたる課題に取り組んでおります。

 1枚だけ具体的な成果として、飯館村、あるいは、川俣町で地域NPO法人や住民の協力の下、また、他の国研とも連携しまして、コシアブラ新芽のCs-137含有量がなぜ高くなるのかという原因分析を、土壌の分析により検討した結果をご紹介いたします。

 コシアブラの新芽のCs濃度、これが縦軸でありまして、これが土壌の深いところ、浅いところ、どの辺りの面積当たりCs-137量と相関があるかというのを見たわけですけども、深いところ、無機土壌層とはあまり相関がなくて、表層の有機物層、リター層と呼ばれるような落ち葉などが積もっているところでありますけれども、量の絶対値は表層のほうが少ないんですけれども、有機物層と正の相関を示しているということであります。

 コシアブラは根が浅いために地上に近いCs-137を吸収していることが確認されましたので、それを踏まえた対応を取っていくことが必要かなと思います。

 環境回復プログラムの第4期全体の成果見込みがこちらであります。

 廃棄物土壌等の技術的課題、それから、今示しました環境動態のほか、低線量放射線の植物への影響、それから、冒頭、理事長から紹介がありましたように、人がいなくなったことによる生物相の変化、さらには、事故後初期の内部被ばく線量評価などの研究に進展が見られております。

 以上が環境回復プログラムで、災害環境プログラムの二つ目、環境創生研究プログラムであります。

 これは県下の既存自治体とも協力を進めておりまして、特に浜通り北部の新地町との連携協力の下、具体的な事業がさらに進展しております。

 これは昨年もご紹介しましたけれども、新地町のまちづくりでは「新地スマートエナジー」事業が始動しておりまして、再生エネルギーとコジェネレーションを複合するエネルギー供給が開始されております。ここは環境省の地域循環共生圏の脱炭素イノベーションFS事業にも昨年8月に採択されておりまして、いわゆる「シュタットベルケ」型の事業として社会実装の段階まで出来ているというふうに考えております。

 こちらが地域創生プログラムの第4期全体での成果見込みであります。地域を診断するための情報システム、計画策定のための地域シナリオモデルの開発、そして、参加型の環境創生手法の開発と実装が進展したということでありまして、これは国立環境研究所としてはじめ支部を設けて、現地密着型の研究を進めたことの成果というふうに考えております。

 三つ目が災害環境マネジメント研究であります。昨年、台風による東北地方での豪雨災害などが発生いたしましたので、アクションリサーチとして研究と同時に社会実装活動を通した被災地への多大な貢献を行えたと考えております。

 また、日頃より環境省や地方公共団体と連携し、災害廃棄物処理計画策定に対する指導・助言ですとか、人材育成、人のネットワークづくりの場づくりに実践的に参画協力し、国におけるモデル事業ですとか、地方公共団体の災害廃棄物処理計画の策定に貢献しております。

 この図に示しておりますように、水害以外の自然災害も含め、過去の災害により得られたある種の経験的な知見、例えば、災害ごみの原単位、こういったものを新たな災害において活用し、貢献すると共に、それでもまだ足りない問題の課題抽出をする、それから、新たな災害で新たなデータを取得するといったことを進めてまいりました。

 災害環境マネジメントプログラムの第4期全体の見込みがこちらでございます。

 災害廃棄物のマネジメントについては、多くの経験を積む中で知見が蓄積され、現場支援に実績を挙げております。

 2番目、災害時の環境健康リスク管理は、これは比較的新しいテーマではありますけれども、事故時に流出した有害性のある物質の網羅的な測定手法が確立されるという見通しを得ております。また、研修などによる人材育成、あるいは実践力強化にも取り組んで成果を上げてきたということが、災害環境マネジメント研究プログラムの成果の特徴でございます。

 災害環境研究プログラムでは、先にお示ししたとおり、特に他機関との連携が評価軸で示されております。福島県環境創造センターの中での連携ということにつきましては、福島県、JAEAとの連携ということになりますけれども、連携セミナー等の日頃の連携活動に加え、林野火災ですとか豪雨といった、非常時、災害時の放射性物質の挙動に関し、地域からの不安等が非常に強いものですから、それらのニーズに応える情報提供で貢献してまいりました。

 福島県内での自治体との連携としましては、先ほどの新地町での事業のほか、奥会津のほうにあります三島町というのがございます。ここでの協定では、地域拠点事業計画支援、森林の持続的生産に関する研究成果の提供等を行っておりまして、地域資源の活用による環境と調和にしたまちづくりに関する研究を推進しております。

 国際連携では、福島県と共に国際原子力機関(IAEA)等の国際連携に参加しております。

 災害プログラムを構成する環境回復、環境創生、災害環境マネジメント、3プログラムの全体の成果の見通しを示しております。

 本年、令和2年度も既に災害がかなり発生しておりますけれども、今までの経験を被災地での着実な環境回復・復興につなげていくこと、また将来の災害に対し、環境面で強靭な持続可能な社会づくりへと生かせるようにまとめていくということが課題と考えております。

 こちらが災害環境研究プログラムのモニタリング指標をまとめたもので、第3期中期目標期間の平均件数に対し、誌上発表数、口頭発表数、各種審議会委員数とも全て上回っておりまして、顕著な成果を上げております。

 こちらが外部評価の評点で、各三つのプログラムとも見込み評価では4点以上ということをいただいております。

 特に、この3プログラムから構成されるプログラム全体につきまして、見込み評価で4.5という高い評価をいただいております。被災地を具体的な対象として福島支部を拠点として地に足を付けて、新しい研究分野を三つのプログラムをうまく束ねて有効に運営してきたということについて、高い評価をいただいたというふうに受け止めております。

 プログラム全体としまして、研究開発成果の最大化に向けて、顕著な成果の創出が認められ、得られた成果の情報発信、それから、環境政策への貢献に積極的に取り組むことができましたので、平成元年度の項目別の自己評価をA、そして、また第4期全体につきましては、外部評価でもより高い点数をいただいておりますので、これも同じくAとしております。

 以上が、項目№の1、項目№の2ということで、いわゆる、研究プログラムに関する成果でございまして、ここから先は(2)環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進に関わる成果についてご報告をいたします。

 この項目は全体図ではこの部分で、三つの事業区分から構成されております。すなわち、基盤的調査・研究の推進、環境研究の基盤整備、これらは第3期でもこういう区分であったわけですけども、環境研究の基盤整備から大規模な事業等を切り出しまして、研究事業というものを新たに第4期ではたてております。それぞれの区分の評価軸は、ここに示したとおりでございます。

 まず基盤的調査研究ですけども、これは環境省の政策体系を踏まえた、九つの研究分野を設定しておりまして、それぞれの分野で環境問題の解決に資する源泉となるべき基盤的調査研究を実施しております。ただ非常に多岐にわたりますので、年度成果の全貌を紹介することは、この限られた時間ではとてもできないわけでありますけども、大きなくくりとして環境監視手法、研究手法に関する成果として、ここに幾つか挙げております。

 溶剤有機物の分子サイズの測定装置の開発、それからエアロゾル種の推定手法、また黄砂が飛来したときの健康影響の可能性も解析、こういったところで成果が進展しております。

 それから、もう1枚、政策的意思決定の科学的根拠となる知見の集積という切り口で代表的な研究成果をここに列記しております。グローバルな課題でありますオゾン層破壊、それから気候変動につきましては、化学気候モデルを用いた研究により、最近温室効果ガスのほうにばかり着目されがちですけども、オゾン層破壊物質、これも侮れない、これの対策を怠ってはいけないということがありますし、足元の問題としましてはASR、これは自動車の破砕の残さでありますけども、このリサイクル施設での有害物質の調査から規制科学、今後の規制に結びつくような、その根拠としての有用な知見を得ております。

 なお、基盤研究における連携の例としましては、先ほど福島支部での活動をご紹介いたしましたけども、放射能の環境動態に関しまして、文部科学省の共同利用、共同研究拠点、通称共共拠点と呼んでおりますけども、こちらにも参画しております。

 第4期の見込みにつきましても、スライドの2枚にまとめておりまして、環境監視手法・研究手法については森林の炭素収支のモニタリングサイトにおける炭素動態の解明、それから工場跡地の有害物質の起源の判別と、ちょっと飛びますけれども、希少種の全ゲノム解析、あるいは生物多様性のためのDNAバーコーディングなど、遺伝子解析に関して全所的な基盤を確立しております。

 こうした分野ごとの世界に加えまして、連携体制につきましては、これは再び福島県内のことでありますけれども、県内の自治体等、災害環境区域だけではなくて、それをベースにして気候変動への適応ですとか、それから地域循環共生圏につながるような、様々な研究展開を図っております。

 二つ目の区分、環境研究の基盤整備であります。これは理事長のほうから、やや詳し目に紹介があったところでありますけども、モニタリング、データベース構築、環境試料の収集・保存・提供など、国環研以外の利用者も含めまして、環境研究を下支えするために長期的な取組が必要なもの、国立の研究機関であればこそ実施可能な事業を実施しております。元年度も環境標準物質や微生物保存株の提供等を着実に実施いたしましたけれども、1点だけ、ちょっと具体的な成果をご紹介しておきたいと思います。

 波照間島、これは沖縄のさらに西にあるわけですけども、ここで長年にわたって継続してきたモニタリング、トリクロロフルオロメタン、CFC-11でありますけども、これのモニタリングをしていましたところ、どうも、もうそういったものが新たに出てくるはずはないんだけれども、どうもこういったスパイク状の変動が出てくるということで、韓国等含め国際共同研究をしました結果、こういった辺りからどうもまだ出ているらしいということが分かり、これはnatureに掲載をされております。これは現大臣ではなくて前大臣、原田大臣でありますけど、大変ご関心をお待ちでありまして、担当の研究者と共に私ども説明に出向いてまいったということで、非常に関心を集めた研究でございます。

 こちらが中長期間全体での見込み評価でございます。個別の説明は割愛させていただきますけれども、今お話しした波照間ステーションでの温室効果ガスの連続測定でもそうでありますけども、長年継続するということが重要である、そういう事業をこの区分にまとめているということを再度、強調させていただきたいと思います。

 環境基盤の基盤整備では、外部研究機関等への試料等の提供を通じて、その成果が広く活用されるということが重要でありますので、それに見合ったモニタリング指標として外部研究機関等への提供モニターしております。微生物保存株の提供数が、やや減少ぎみでありますけども、環境標準物質、そして実験水生生物の提供件数は第4期全ての年度で第3期を上回っております。

 項目番号3の最後の区分、研究事業でございます。これは国環研の研究と密接な関係を有し、組織的、継続的に実施することが必要、かつ有効な業務であって、国環研が国内外で中核的役割を担うべきもの、これを位置づけております。

 合計五つの事業を実施いたしましたけれども、特に規模の大きい衛星観測、それからエコチルについて最初にご説明いたします。

 衛星観測、これは温室効果ガスを観測するGOSATプロジェクトでありまして、まず1号機につきましては引き続きJAXA(宇宙航空研究開発機構)からデータを受領して、高次データ処理をバージョンアップし、成果の外部提供を行っております。

 新たな進捗といたしましては、GOSAT-2号機が一昨年10月に打ち上がりまして、昨年2月には定常運用に移行しております。レベル1のデータ、これはセンサーが計ったものそのままでありますけども、レベル2、これは温室効果ガスの気中の積算量、鉛直方向の積算量でありますけれども、これを基にメタンと一酸化炭素の平均濃度の全球分布図をこのように示せるというところまで来ております。

 大規模な研究事業の二つ目は、子どもの健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査でございます。全国10万組の子どもと両親を対象としたデータ及び生体試料等の集積・保管業務の実務を全国15のユニットセンターに担っていただいておりまして、コアセンターとしてその業務の支援を行っております。

 また令和元年度から新しい内容といたしまして、小学2年生に対する学童期調査というのが開始されました。これを円滑に実施しております。調査結果の解析もかなり進みつつありまして、いろいろ論文が出ております。たとえば妊娠中の母親の血中の鉛とかカドミウムの濃度、これは随分地域差があるということが分かってまいりました。とはいっても一番高かった方でも1980年代に比べますと数分の1、10分の1程度まで低下しているということでございます。

 GOSAT、エコチル以外の比較的規模の大きな事業としまして、リスク評価に関する研究事業がございまして、生態毒性標準拠点ではメダカ、ミジンコといった水生生物を用いた試験法をOCEDに提案しております。その承認のための検証、改良が進められました。

 また環境リスク評価事業拠点では、ここに示しておりますような環境行政のコアとなるような法令、あるいは基準、指針値、こういったものの目標値の設定に貢献しております。

 社会対話オフィスでは、例年のサイエンスカフェ等の対話的な企画に加えまして、国立環境研究所、冒頭にもございましたように次期中長期計画に向けて将来を考える非常に重要な時期に差しかかっておりまして、ステークホルダーの方々のご意見を伺いたいということで会合を企画いたしました。これの企画運営に対話オフィスは非常に大きな役割を果たしております。

 災害環境マネジメントに関する研究事業ですけれども、先ほどもお伝えしましたように昨年度、台風、豪雨が頻発いたしましたので、専門職員の派遣などの現地支援を行い、また平時の備えのため、都道府県職員を対象とした被災地現地研修なども行っております。

 第4期の見込みでありますけど、GOSATにつきましては1号機のデータ公開の継続、2号機のデータ公開の開始ですね。さらに3号機、正式名称はGOSAT-GWという名前でありますけれども、これも準備が本格化しております。そうした中で国際論文誌に成果を出すということは必要でありますけれども、それだけではなくて、より広く知っていただくということで国内誌地での解説、それからIPCCの排出インベントリですね、こういったトップダウンで排出量をモニタリングするという手法を排出インベントリでも活用するということを明記されるなどの国際貢献を果たしております。

 エコチル調査のほうは、令和元年度、10年目でありまして、先ほど説明したとおり学童期調査を開始という新たなフェーズを迎えております。ここでお分かりいただけますように、エコチル調査はNIESの5年ごとの中長期計画を数期またぐような非常に長い取組でございます。現在、その学術論文が量産されるようなフェーズに入っておりますし、またさらに加速される時期を迎えておりますので、それに応じた対応をしていきたいと考えております。

 それから、リスク評価に関する事業では、水生生物影響試験の普及、それから災害マネジメントでは現地支援のほか、研修セミナーなど人材育成にも尽力しております。

 以上、環境の保全に関する科学的知見の創出等の推進という区分に含まれる3種類の業務、これ大変多岐にわたりますけれども、その成果の総数の指標をまとめたのがこちらの表です。ほぼ全ての指標で平成元年度単年度でも、また第4期全体でも第3期の中期目標期間の平均件数と同等、あるいはかなり上回るような研究成果の発表を行っております。査読なしの発表件数だけ減っておりますけども、査読ありがそれを上回る形で増えておりますので、誌上発表は量、質共に向上したという勘定になります。

 外部研究評価では、平成元年度は全ての区分で4点以上、中期全体の見込み評価でも全て4点以上の評価をいただいております。特に研究事業につきましては、規模の大きいもの、衛星、エコチルについて個別の評点をいただいておりまして、いずれも4点をかなり上回るような数値をいただいております。

 環境保全に関する科学的知見の創出等の推進という項目全体の自己評価でありますけども、先ほどお示ししたCFCのモニタリングですとか、今お話ししたGOSAT関係など、顕著な成果が出ており、自己評価をAとしております。第4期全体を通じましても、先ほどの外部評価の点数にも表れておりますように安定して高い評価をいただいておりますので、これも自己評価Aとしております。

 ここ以降の評価区分ですね、(3)と(4)でありますけれども、これはちょっとこれまでご説明いたしました(1)、(2)の個別の研究活動に横断的に関わっているものでございます。(3)は国内外機関とのネットワーク・橋渡しの拠点としてのハブ機能強化という項目でありまして、中核的研究機関、そしてプラットフォーム形成ということに対応した評価軸を示していただいております。中核的研究機関としての研究連携の強化につきましては、これは第4期全体を通じての内容としてお示しさせていただいております。冒頭に理事長のほうから第4期の新しい組織として、琵琶湖分室についても言及があったわけでありますけども、滋賀県の琵琶湖環境研究センターはじめ、滋賀県の関係機関、それから地域の大学等との連携を進め、琵琶湖の保全、再生に顕著に貢献する研究が進んだと考えております。

 それから、滋賀県に限らず地方環境研究所、全国の地方環境研究所の共同研究を引き続き進めております。特に複数の機関と共同研究をするⅡ型という課題がありまして、4年で延べ35課題、1年当たりといいますか、1年でいいますと大体9課題ぐらい。延べでの数字書いておりますけども、1年に150機関ぐらい、これも延べの数字でありますけれども、そういった多数の機関と共同研究をしております。国際連携では、フィンランド国立環境研究所などと北極域での共同研究を実施しております。

 ②のプラットフォーム形成による国内外機関との連携の元年度の進展でありますけども、スペインでのCOP25で衛星観測センターがサイドイベントですとか、あるいは展示などで実務者に向けた働きかけを行っております。

 エコチル調査につきましては、先ほどもお話しましたように全国15のユニットセンターに、これは元年度からは国環研から委託するという形態になりましたので、ガバナンス、リスク管理、それから個人情報管理といった研修の実施も含めまして、連絡調整を担っております。

 第4期全体としての成果は、ここに改めてまとめておりますけども、衛星、エコチルでは、それぞれの状況に合わせた成果発信に工夫をしておりますし、リスク評価科学事業連携オフィスでは共同研究、チャレンジテスト、それから実習セミナーなどを通じて関係機関との連携を推進しております。またOCEDを通じて各国の試験法開発・検証に携わる大学、研究機関との連携を進めております。

 なお、気候変動戦略連携オフィスを研究事業として実施しておりましたけれども、これは平成30年12月に適応センターが設置されましたので、その成果は後ほど適応関係でまとめて是澤理事のほうからお伝えいたします。

 災害環境マネジメント戦略社会対話、共同推進オフィス、これらの新しいオフィス活動についても活発な活動を行いました。

 以上、ハブ機能を一層強化するなど、研究開発成果の最大化に向けて顕著な成果の創出が認められましたことから、この項目の自己評価をAとさせていただいております。

 5項目にわたる私からの説明の最後になりますけども、(4)研究成果の積極的な発信と政策貢献・社会貢献の推進です。これも一つ前の項目と同じく、全ての研究に関わる、あるいは研究事業に関わる横断的な項目でありまして、貢献先、研究成果の発信・提供、それから研究成果の政策貢献と活用促進等、そして社会貢献という3項目から構成され、それぞれの発信先、貢献先に応じた評価軸が設定されております。

 まず研究成果の発信・提供のモニタリング指標ですけども、これは先にお示しした区分ごとの成果全体、一つの論文で複数の区分に貢献しているというものもありますので、ダブルカウントせずに過不足なく再集計した全体数でありますが、誌上発表数、査読付き発表論文数、口頭発表件数ともに達成目標、第3期平均をほぼ達成しております。

 それから、量と共に論文の質を示す発表論文の総対被引用度、これは世界平均であれば1.0ということになるわけですけども、それに対して1.5前後ということで質の高い論文を発表できているということが示してございます。

 別の資料でもう少し多面的に見てまいりますと、先ほども少し触れましたが、招待講演数が平成元年度には大幅に増加していること。それから、プレスリリースを積極的に行い、それに呼応する形でメディアへの掲載件数も大幅に増加しております。研究成果の政策貢献の活用促進等では、国や地方公共団体の審議会等に積極的に参加いたしまして、令和元年度も中期平均も第3期平均値を大きく上回る参加人数でございます。

 ちょっと細かなスライドでありますけども、環境政策への主な貢献事例203件について、分類整理を行った結果、特に制度面で顕著な貢献があったと考えております。

 三つ目、社会貢献活動の推進ですけども、例年、春と夏に一般公開を行っております。昨年度、春は必ずしも多くの来ていただくという企画ではなかったのですけども、夏の入場者が非常に多くて6,000名を超える方に来ていただいております。

 それから、研究所の成果を分かりやすく紹介する公開シンポジウム、例年、東京とそれ以外との地域とで開催しておりますが、令和元年度は北九州で開催をいたしまして、北九州でも210名の参加をいただいております。ワークショップの開催件数も年々増えておりまして、中期平均65件というのが第3期の参考値32の約2倍に及んでおります。

 項目番号5、研究成果の積極的な発信と政策貢献、社会貢献の推進の自己評価でありますけれども、学術的な成果、そして政策貢献、両方とも目標を上回っておりまして、研究・開発の成果の最大化に向けた、優れた成果の創出が認められたと考えております。これらのことから、この項目も自己評価Aとしております。

 以上、第3の1、環境研究に関する業務の五つの項目について、個別にご説明申し上げました。5項目それぞれの評価に加えまして、第3の1全体として評価をするよう総務省からの指摘を受けまして、昨年度から新たに加えたまとめになりますけれども、5項目全てにAの自己評価といたしましたので、項目全体につきましてもA評価としております。冒頭に示しました自己評価の総括を、ここに再掲させていただきます。

 大変長時間になりましたけれども、第3.1、環境研究に関する業務、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【花木会長】 長い時間、でも分かりやすい説明ありがとうございました。

 それでは、早速これに関する環境省のほうからの評価素案について、ご説明いただきたいと思いますが、準備は大丈夫でしょうか。

【事務局】 

 まず評価のお話に入る前に、環境省の所管独立行政法人の業務実績評価基準をご説明をさせていただきたいと思います。資料番号ですと資料0の、電子でしたら③ということになります。こちらは参考資料7にもございますけれども、抜粋しておりまして、参考資料6の総務大臣決定の独立行政法人評価に関する指針にも記載されております内容と、ほぼ同様の内容ということで環境省で定めているものでございます。評定については、先にご説明しましたとおり、S、A、B、C、Dの5段階で行いまして、Bが標準となっておりますが、こちらの資料ではSとAの評定の参考ということで資料から抜粋させていただいております。

 1ページ目が研究開発に係る事務及び事業以外、2ページ目が研究開発に係る事務及び事業というふうに分かれておりまして、まず研究開発に係る事務及び事業以外のS評定につきましては、中長期計画、国立環境開発法人ですと中長期計画と読み替えますけれども、における初期の目標を量的及び質的に上回る顕著な成果が得られているという場合にS評価がつくということがポイントになっております。定量的な測定が難しい場合につきましては、なお書きで記載されておりますような評定をいたします。

 ⅱの留意事項のところでございますが、最上級の評定「S」を付す場合には、法人の実績が最上級の評定にふさわしいとした根拠について、量的、質的の両面について具体的かつ明確に記述するということとされておりますので、ご了承ください。

 続きまして、2ページ目、こちらが研究開発に係る事務及び事業のS評定についての記載でございます。特に顕著な成果の創出や、将来的な特別な成果の創出の期待等が認められることというのがS評価に該当するとされておりまして、A評価の場合には「特に」とか、「特別な」という表現がございませんが、顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められると決められております。

 細かい事例につきましては、記載のとおりでございます。

 ⅱの留意事項でございますが、具体的に想定される評価軸と例がされております。項目が多いので読み上げませんが、ご確認をいただければと存じます。

 また一番下の片仮名の「ク」のところですけれども、こちらにも特に最上級評価「S」を付する場合には、法人の実績等が最上級の評定にふさわしいとした根拠について、設定した評価軸に基づく評価結果を踏まえて具体的かつ明確に記述するということとされておりますので、こちらを踏まえて評価をいただければと考えております。

 評価については以上でございます。

 こちらが資料の9-1でございます。先ほど、国立環境研究所でもお示しいただいておりますけども、評価項目ごとに評価をするということで、こちらの表では国立環境研究所の自己評価と環境省の評価を並べて記載させていただいております。重要度を高としているものについては、項目の横に丸を付しておりまして、難易度が高とされているものにつきましては下線を引いているということでございます。

 第3.1.につきましては、環境研究に関する業務ということで国立環境研究所及び環境省双方、Aの評価をしているということでございます。

 第3.2.環境情報の収集、整理及び提供に関する業務も、双方でAとなっております。

 では、続きまして今度は資料の9-2に移りたいと思います。冒頭は、各項目が示されておりまして、2ページ目以降が、項目ごとの目標、計画と評価軸、指標ごとの評価ということでお示ししております。読次のページです。黄色い枠で囲ったところが環境省の項目の評定になっておりまして、年度と、その次のページで見込みという形で記載させていただいております。

 まず項目の第3の1.(1)の①です。課題解決型研究プログラムということでお示ししておりますが、先ほどご説明があったとおり、五つの研究プログラムがありまして、外部評価による評価自体が3.89ということで高い評価を得ていると。あと誌上発表ですとかの実績につきましても、第3期平均の相当以上ということで実績を上げていらっしゃるということでございます。

 項目別評定への根拠となる主要な事項ということで記載させていただいておりますけれども、報告書のほうから抜粋という形になりますが、低炭素研究プログラムでも船舶を用いたCO2濃度早期測定によりまして、世界技術選択のモデルの定値化に貢献されるとか、自然循環では市町村単位の一般廃棄物モデルの開発、自然共生では農薬のネオニコチノイドの強化新薬の成果が農薬取締法へ反映される、豚熱のサーベイランスシステムシステムの構築、ヒアリの検出キットの全国配備等の貢献もされていらっしゃいます。

 安全確保につきましては、低用量の曝露によるアレルギー疾患の新たな知見を発見されております。

 統合につきましては、統合評価モデルを用いて定量的な結果を各国の政策決定者に提供するということで、気候変動緩和のプロジェクトについて活用され、貢献されているということでございまして、環境省の評価も自己評価と同じようにAとさせていただいております。

 見込み評価は、4ページでございます。この評価も①課題解決型研究プログラムということで、五つの研究プログラムの外部評価による平均値も3.89と期間を通して高い評価を得ているということでございます。

 誌上発表等の第4期中長期期間中の平均につきましても、それぞれ第3期平均と同等以上ということで成果を上げられております。

 項目別評定のところになりますけれども、低炭素では国際機関等の報告書に掲載されるなど、国際的な貢献をされているということでございます。

 資源循環でもUNEPのレポートに貢献をされたり、市町村一般廃棄物モデルの開発ですとか、政策への貢献をなされております。

 自然共生ですけども、先ほど申し上げましたとおり、政策への貢献が多くあるということでございました。

 安全確保では環境汚染、要因の推定できるフレームワークの作成も目標としていらっしゃるようですけども、こちらも手法の一つとして受容体の結合活性物質を活用したオンラインの自動分析を開発されるということもなされております。

 以上の貢献を全体として通しまして、環境省でもA評価とさせていただきました。

 続きまして、第3の1.(1)の②ですね。災害環境研究プログラムということで、こちらが6ページになります。年度評価でございますが、②評価軸は災害環境研究における総合的な取組により、環境助成や社会の貢献をされているかということにつきまして、福島支部を中心とされまして連携を一層強化していただき、被災地の環境回復・創生等に貢献されているということでございます。

 丸の二つ目、環境創造センターに入居する他機関との適切な役割分担を含む連携をはじめ、ほかの関係機関と適切に連携しつつ取り組んでいるかという点につきましては、福島県ですとかJAEAと適切に連携をされている。国内の様々な機関と連携し、研究会ですとか共同調査・研究を進めていただいておりまして、また海外の機関とも連携をされておりまして、一般向けのワークショップということもされており、海外研修に関する講演、ワークショップも各地で開催されております。

 誌上発表等の発表につきましても、第3期平均に対して大幅に増加されているというところは評価できるかと思います。こちら外部評価委員会の総合評点も4.36と大変高い評価を得ているという状況でございます。

 その次のページ、7ページでございますが、見込み評価のポイントです。創設当初から福島の支部を中心としての貢献というのは引き続きしていただいております。評価できるのではないかと考えております。

 あと、その環境創造センターの部分ですけれども、福島県、JAEAと引き続き連携をされているということと、海外の機関との連携とする中で、国際原子力機関IAEAのレポートにも執筆をされるというようなこともございまして、国際的な貢献もされております。

 災害関係の講演、ワークショップということも引き続き、貢献をしていただいております。誌上発表等についても第4期中長期目標期間の平均につきまして、第3期につきまして大幅に増加されているということで、外部評価委員会の評点も中長期期間中につきましても平均が4.5と大変高く評価をいただいているということで、環境省の評価もAとさせていただいております。

 続きまして、第3の1.(2)の10ページです。環境の保全に関する科学的知見の創出等の部分でございますけれども、基礎的調査、研究の推進ということで、誌上発表等の学術的な貢献につきましても第3期平均以上となっておりまして、高い評価を得ております。外部研究評価委員会にも4.14点ということで、当初計画を越えた成果が上がっているという評価をいただいているようでございます。

 そのほか、審議会等への参画等も多く、外部評価委員会の評価も4.07ということで、平成30年度を上回るような評価を得ているということでございます。

 環境省の評定もAとさせていただきました。

 その次の11ページに細かく主要な事例等を記載させていただいております。

 見込み評価のほうでございますが、12ページでございます。中長期期間中も通しまして、誌上発表等、平均もそれぞれ第3期の平均以上ということで、外部評価委員会の評点も4.14と大変高い評価を得られていると。審議会等の貢献も大きく、外部評価委員会の評点4.07で、大変高い点数を取られているということでございます。

 環境研究の基盤整備及び研究事業のところでは、エコチルとGOSAT等ですね、引き続きの研究をしていただいておりまして、外部評価委員会での評点も4.23ということで高い評価を得られております。環境省の評定をAとさせていただきました。

 続きまして、第1.(3)です。こちらの16ページになりますけれども、中核機関としての役割を発揮しているかという評価軸につきましては、共同研究を56件されるなど、第3期平均同等以上の活躍をされていると。全国の地方環境研究所のハブ機能としての大きな役割も果たされています。

 ②のプラットフォーム形成による国内外機関との連携というところにおきましてもGOSAT、あとエコチル等、様々活躍をいただいているところでございます。環境省の評価もAとさせていただきました。

 見込み評価でございます。次の17ページになります。中核機関としての役割につきましては、共同研究も第4期平均で57件ということで、第3期平均と同等以上ということで、機関を通じて活躍をしていただいているということでございます。

 地方事務所との連携と、国際のほうでは先ほどご紹介ありましたフィンランド国立研究所と研究協力協定というのを締結、平成29年にされておりますけれども、そちらのほうでもご活躍をいただいております。

 プラットフォーム形成による国内外機関との連携、②でございますが、GOSATとエコチル等ご活躍いただき、国際シンポジウムを開催ですとか、国際作業グループに参加するということなどでもご活躍いただいております。評価できるのではないかと考えまして、見込み評価を環境省でもAとさせていただきました。

 続いて、第3の1.(4)研究成果の積極的な発信と政策貢献・社会貢献の推進でございます。こちらが20ページになります。年度評価でございますが、研究成果の発信、提供につきましてはホームページの新たな提供したコンテンツなどもございますし、誌上発表ですとかも第3期平均以上を達成されておりまして、大変評価できるのではないかと考えております。

 研究成果の政策貢献、活用推進等ということでございますが、審議会のほうに多数参画いただきまして第3期平均を上回るような人数でご参画いただいています。

 環境標準物質等の資料等の外部機関への提供につきましても積極的に行っていただいておりまして、第3期平均を同等ぐらいに上回っているということでございます。

 知的財産のほうにつきましても、1件の職務発明の認定、4件の特許出願が行われたということでございます。

 社会貢献のほうは、公開シンポジウム、国立環境研究所で行われておりますけれども、北九州市、東京ということで人数をお集めいただきまして、春の環境講座のほうでは参加人数を、集まっていただく方を限定して、ウェブでのライブ配信をされるということで、新しい試みをされている、ウェブ配信は視聴者が3万7,000人を超える人数を集めておられます。夏の一般公開につきましては6,000人強の方がお見えになっているということでございます。

 年度評価につきまして、環境省の評価をAとさせていただきました。

 続きまして、21ページが見込み評価でございます。ホームページですが新しいコンテンツの提供というのを期間中56件以上ということでございまして、着実に実施していただいております。

 誌上発表等につきましても、第3期平均以上の成果を上げられております。

 研究成果の部分につきましても、審議会等への参画は引き続き、第3期平均を上回っておりまして、資料提供も引き続き行っていらっしゃいます。

 知的財産については、第4期の中長期期間中、41件の職務発明認定と44件の特許出願ということで、多数挙げられております。

 社会貢献につきましては、公開シンポジウム、あと春夏の本構での一般公開ということで、たくさんの人数を集めていらっしゃいます。その点について評価できるかと思います。

 一番下の項目別評定の根拠となる主要な事項のところにも記載させていただいておりますが、論文の総対被引用率、引用度につきましては平均が第4期期間中、いずれの年度も世界標準の1.0を上回っていらっしゃるということで活用をされているということでございました。見込み評価のほうにつきましても、こちらでAとさせていただいております。

 ちょっと駆け足になりましたけれども、こちらで項目3の1の部分につきまして、終了でございます。

【花木会長】 ありがとうございます、花木です。

 ここから議論なのですけれども、時間も大分遅れているんですけど、健康上ちょっと5分休みを取って、トイレ休憩を取りたいと思います、皆さんがおそろい次第、再開したいと思います。ちょっと休憩をいたします。

【事務局】 承知いたしました。

(休憩 15時17分)

(再開 15時24分)

【花木会長】 じゃあ、これから始めます。

 それでは、今、国立環境研のほうからご説明と、それから言わば自己申告があり、それからその後、環境省のほうから評価素案についてご説明がありました。ここまでの部分について、審議会の委員の皆さんからご意見をいただきたいと思いますので、名前を名のって発言をお願いします。どなたかお願いします。

【木本委員】 木本ですけど、発言よろしいですか。

【花木会長】 はい、どうぞ。

【木本委員】 全般的に分量が多いわりに要領よく説明していただいて、ありがとうございました。環境研究所の案にも環境省素案にも全般的には反対はございません。

 ちょっとテクニカルなことになってしまいますが、環境研のご発表に対して2点ほど、簡単なご質問をしたいんですが、資料03の12ページで観測に基づいてCO2の吸収量の時間変化がよく分かったというご紹介があったんですが、それで陸と海の吸収量の傾向がちょっと変わってきているということなんですが、これはあれなんでしょうか、IPCCなんかで世紀末になると吸収量がちょっと減るんじゃないかというのの先駆けとか考えてよろしいんでしょうか。それとも、自然変動やなんかがあって、その一部を見ているというふうなことなんでしょうか。まず、この1点なんです。

【森口国立環境研究所理事】 これにつきましては。

【花木会長】 はい、どうぞ。

【森口国立環境研究所理事】 地球環境研究センター長のほうから答えさせていただきます。

【三枝地球環境研究センター長】 地球環境研究センターの三枝です。よろしくお願いいたします。

 海の観測から求めましたCO2の吸収量の変化については、地球温暖化が進みますと海の吸収量が減るということがモデル等で、長期的には減っていくということが想定されているため、そのような傾向を捉えているのかどうかということを注視しております。ご指摘いただいたとおり、両方の可能性があると思っております。海においては特に10年スケールの変動、あるいは非常に長いものでは数十年スケールの変動がありますので、吸収量が少し収まってきてしまっているといっても、それが自然の大きな変動の一部である可能性はありますので、これはグローバル・カーボン・プロジェクトの国際プログラムと一緒にやっていることでありまして、これからも観測を中心にしたデータを提供しつつ、取りまとめに参加していって新しい知見を出していきたいと思っております。

 以上です。

【木本委員】 ありがとうございました。よく分かりました。

 すみませんが、あと2点かな、それに関してGOSATでミッションの図が資料03の63ページで紹介されましたが、これについては時系列のようなデータはございませんでしょうか。

【三枝地球環境研究センター長】 GOSAT-2におけるメタンと一酸化炭素の時系列はお配りした資料に入っているかどうか。

【森口国立環境研究所理事】 入っていないですね。

【三枝地球環境研究センター長】 すみません、それではこれから取りまとめてお送りいたします外部評価資料の厚いほうの資料にはあったかな。

【森口国立環境研究所理事】 あったかな。

【三枝地球環境研究センター長】 ないかもしれない。

【木本委員】 存在するということでありましたら、それで結構でございます。

【花木会長】 それでは、三つ目お願いします。

【木本委員】 もう一つはですね、同じく資料03の37ページでセシウムの新しい発見についてご紹介いただいたんですが、ちょっと私は詳しいこと分からないんで、この発見の何ていいますかね、意義についてちょっと一言お聞かせ願えないでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 研究担当理事の森口でございます。

 コシアブラ、福島県の方々ですね、地域の野草、こういったものを取って食べるということを非常に楽しみにしておられるんですけども、原発事故によってそれができなくなったということは、地域の生活にとっての、何ていいますか痛手であるというようなことのお話を伺います。

 セシウム、時間がたちますとだんだん深いところへ入っていって、それで地面といいますか、無機土壌層に固定される。そうすると、セシウムが動かないんだという話がよくあるわけですけども、実は森林の中、あるいは土壌からさらに木がセシウムを吸い上げて循環しているわけですね。それで新たに葉っぱとして落ちると、そこの中にセシウムがあり、そこから取り込んでくるということになります。それに対して、対策ができるかどうかというところにまで、ちょっとなかなかまだ踏み込み切れていないところがあるわけですけれども、量で見ると深い土のところにたくさんあるから、そこからコシアブラが吸っているんじゃないかという考え方もあるかもしれませんけど、そうではなくて、表層の、リター層、落ち葉の層にたくさんたまっていると。それが分かった上、じゃあ、どうすればそのコシアブラの根のセシウムの移行が抑えられるのかというところに、次にいけるかどうかということが、ちょっとまだこれからの課題になっていくかと思いますけども、研究者だけではなくて地域の方々と一緒にやっていて、地域の方々が何が起きているかということを一緒に理解をしていただくということも必要かと思っておりまして、科学的な意義もさることながら、地域の方々に、その地域で何が起きているかということをご理解いただくということでも意義があるというふうに考えております。

【木本委員】 よく分かりました。私は以上です。

【花木会長】 ありがとうございます。

 それでは、ほかの委員の方々お願いいたします。

【高橋委員】 高橋ですが、よろしいでしょうか。

【花木会長】 はい、どうぞ。

【高橋委員】 私もちょっと資料3です。まず初めに、ご説明ありがとうございました。それから、全般的な評価に対して私も特にご意見ありません。非常に正確なというか、妥当な評価をされているんじゃないかなというふうに思います。

 65ページなんですけれども、双方向的な対話による研究事業のご紹介というのは、実はここだけ特出しで出ているんですね。

 それだけちょっと気になりまして、というのは環境というキーワードというのは非常に専門的でもありつつ、一般の方も非常に興味のある部分かなというふうに思います。いろいろシンポジウムとか、いろんな形で情報提供されているとは思うんですが、こういう双方向的なやり方というのは、もっと広げてもいいんじゃないのかなというふうに、ちょっと実は感じたんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 ご指摘ありがとうございます。65ページに挙げておりますのは、ちょっと他のところにも出てくるんですけども。

【高橋委員】 そうでしたか。すみません、見落としましたか。

【森口国立環境研究所理事】 研究事業という区分の中に対話オフィスという組織を第4期設けまして、そこの成果として書いております。

 ただ、それぞれの研究センター等でも広報活動も行っておりますし、一部サイエンスカフェ的な活動、例えば、福島支部なんかでもそういった活動を行っておるんですけども、特に対話ということに力を入れて、新たに、単に研究成果に関してご説明をし、あるいは対話をするようなところを越えて、SNSでの発信ですとか、公式のツイッターなんかも今持っているんですけども、そういったことを積極的に取り組むためのオフィスを構えたということで、そこの活動として書いております。

 ただ、それだけでは不十分なんじゃないかという意識もあり、またここの対話オフィスでも、よりその活動を全所的に広げていきたいという意識ももっておりまして、今、先生ご指摘の点は第5期に向けて強化していくべきところ、理事長からも冒頭に、第5期、どういったところを強化していくかというところの説明の中にも少し触れていた点なんですけども、やってはいるけど確かにまだまだ不十分で、あるいは広報という一方向で、我々がこれを分かったから知らせていますというところがやっぱり強いところはおっしゃるとおりでございますので、第4期新たにオフィスを設け、かなりいい仕事ができているかなと思っております。これは第5期に向けた、よりここを強化していくべきという、そういうところにきているということで、十二分でほかにもやっていますということまでは申し上げられない、それはおっしゃるとおりでございます。

【高橋委員】 分かりました。ありがとうございました。

【花木会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 ほかの先生方、ございますでしょうか。

【沖委員】 沖ですが。

【花木会長】 はい、どうぞ、沖委員。

【沖委員】 よろしいでしょうか。ご説明ありがとうございました。非常によく分かりましたし、国環研の皆様よくおやりになっていらっしゃいますし、評価のほうも適切なものだと私は感じております。

 2点ほど質問をさせていただきたいと思います。一つ目は、実績報告書の21ページになりますが、自然共生研究プログラムのところでございますけれども、ここで人口変化によるシナリオ分析、あるいは保護区による保全策の提案をなさっていらっしゃいます。これは非常に私、関係する分野で面白い結果だと思っておりますが、この統合解析のところで保全努力配置デザイン支援ツールの開発、応用、ひょっとしますと昔ありました里山政策なども関係してくるのか、あるいは農業生態系のほうに関係する動きもかなりあるんではないかと。

 その辺をどう考えていらっしゃるのかというのを、まず1点お伺いいたしたい。

【花木会長】 国環研の方、お願いします。

【森口国立環境研究所理事】 山野センター長、オンラインで今の回答お願いできますか。

【山野生物・生態系環境研究センター長】 ご質問ありがとうございます。生物センターの山野と申します。今おっしゃった点は、まさに今後の里山の管理につながることだと考えております。それで、保護区選択ツールを使って人口減少シナリオの基、どこを重点的に保全すべきかというのは、ツールを使って計算上はここというのは見えております。それで、そこの場所をよく見ると、国立公園の外に、要するに国立公園は自然的なところはオフィシャルな仕組みで守られるようになっているんですけど、それとは別の人の手が入ったような自然のところは、大事だけれどそういう守る仕組みがないわけですね。

 ですので、我々はそういったところを生物多様性条約でいうと民間保護地域とか、NPOが活動されているところ、あるいは農業者が活動されているところ、そこはしっかり、そういった活動が保全に役立っている場合が多々ありますので、そういったことを再評価できるような仕組みへとつなげていきたいと、今は場所を特定するだけですけど、今後さらにNPOや地元の方と一緒に、そこを保全できるようなことを考えていきたいと考えております。

 以上です。

【沖委員】 ありがとうございました。

 もう1点よろしいでしょうか。実績報告等の29ページの、口頭発表数(国内)招待講演数が非常に増加しております。この内訳、どの領域で増加しているのか、教えていただければありがたいですが。

【花木会長】 分かりますかね、国立環境研のほうで。

【森口国立環境研究所理事】 ちょっと業務実績の内訳を確認いたしますので、少々お時間いただければと思います。

【沖委員】 はい。急ぎませんので、また教えてください。

【花木会長】 またということは今日でなくていい。

【沖委員】 すぐには大変でしょう。

【花木会長】 今日の会議の中でもし分かれば、後でご回答お願いします。

【沖委員】 はい、そうしてください。ありがとうございました。

【花木会長】 いいですか。それでは、ほかの先生方いかがでしょう。もしありましたら。

【大久保委員】 大久保ですけれども。

【花木会長】 じゃあ、すみません。大久保先生から先に。

【大久保委員】 私も今回のご説明は非常に幅広い分野を統合という観点から極めて戦略的に取り組んでいらっしゃる様子が明確に伝わる内容になっていると思いますし、また少なくともA評価という点については全く異論がありません。

 その上で、統合という観点からさらにもう少しお伺いしたいんですけれども、一つは災害分野と、それから①の課題解決型研究プログラムとの連携ということに関して、さらに二つに分けますと循環に関しては災害廃棄物関係は資料3の43ページにあるように、アクションリサーチは、安全に、それから早く、いかに処理をするかということに焦点が当たっています。それは当然のことですけれども今年も含めまして毎年災害が起こってくると、これがイレギュラーな量というよりは、ある程度一般的な廃棄物の量に影響を与えてくるかもしれないわけです。この観点で①の循環のところとの、これは同じ方がやっているのか、全然違う人がやっているのかよく分からないのですけれども、災害廃棄物研究との連携というのはどういうふうになっているのかというのを1点、お聞かせください。

 それから、2点目は自然共生と防災ということとの関係で、先ほど沖委員からご指摘があった部分で、資料3でいきますと21ページ、それから大きな厚いほうの報告書でいいますと21から22ページなんですけれども、こちらも防災との関係では基本的にここで作られたシナリオの図というのが、ある意味グリーンインフラの蓄積状況というのを示す意味もあるのかと思いました。こういうものがDRRのようなものとどういうふうに結びついていくのか、こういうマップと、例えば、ハザードマップのようなものを組み合わせることによりまして、現在国が進めているコンパクトプラスネットワークというような政策に代替するもの、あるいはそれを補完、強化するものとしての何らかの政策的なインプリケーションが出てくる可能性があるのかという観点から、環境研だけではなくて環境研と防災研のようなところとの協働といいますか、連携というものが考えられているのか、あるいはそういう可能性があるのかということ。

 それから、それとの関係で、防災だけではないのですけれども、先ほど沖委員がご指摘をされた保全優先地域については、私も質問したかったところです基本的には現在保護されていないところがあるということが分かっているということは極めて重要で、これが欧州でなされているTEN-G、トランスヨーロピアンネットワーク・フォア・グリーンインプトラクチャーのようにグリーンインフラの骨組みを作っていくというようなところで活用できる。先ほどは活動などを再評価するということでしたが、それに加えまして現在、足りない保護地域あれば、そういうものの法改正にもつながっていくという可能性があると思います。この点、太いほうの22ページ見ましても、赤で保全優先地域を抽出ということが一言書かれているだけでどういう形でこれを政策に利用できるのかということが、あまり文章で書かれていないのはもったいない気がして、ここに何か付け加えることがあれば補充的にお話ししていただけると大変重要なところではないかと思います。

 エコツーリズムとかテレワークのことが一つずつは書かれてあり、ここはこれからもう少し子細に、具体的に検討していくというところだと思いますが、頭出しとしてはこの点、非常に重要なところだと思いました。

 以上です。

【花木会長】 ありがとうございます。じゃあ、国環研のほうから。

【森口国立環境研究所理事】 研究担当理事の森口でございます。

 1点目は、主に大迫センター長から、それから2件目、山野センター長と、あとご指摘の点、少し次のセグメントで話をします気候変動への適応という文脈も防災なんかに関係する点ではありますので、ちょっと少し先走るかもしれませんが、ここで発言したほうがいい点があれば、適応センターのほうからもご回答申し上げたいと思います。

 それじゃあ、まず1点目、まず大迫センター長からご回答いたします。

【大迫資源循環・廃棄物研究センター長】 資源循環・廃棄物研究センターの大迫でございます。大久保先生、重要なご指摘ありがとうございます。

 東日本大震災以降ですね、災害廃棄物の問題に取り組んできましたけども、本当に毎年のように自然災害が常態化してきている中で対応してきております。緊急対応という意味での、いかに迅速に安全に適正処理するかということへの対応に関わる視点と、それから持続可能な社会に向けての資源循環という部分に関して、これまでは少し切り離して研究はしてまいりました。もちろん人間としては、一部は重なっております。しかしながら、大久保先生ご指摘のように災害廃棄物の受皿という面においては、平時の資源循環のシステムを活用しなければいけないということの中で、そこにどういう整合性が今後必要になってくるのかというような議論でありますとか、あるいはもっと市民レベルに考えたときに通常、いろんな分別したりとか、リサイクルしたりとか、そういう意識の部分が災害時にも、その地域地域の地域力として影響してくるんではないかとか、あるいは地域が高齢化の中で地域力が劣化してきたときに、やはり不適正な災害ごみの対処になってしまうという部分を、どのようにその地域の基盤をもっと強靭化していくのかとか、そういう意味では、この平時の資源循環と災害時の災害対策というものは、かなりシームレスに考えなければならないということに気づきはじめといいますか、それを実感しているところでございますので、シームレス化、それからいかにシナジーを生んでいくかというような部分に関しては、次期中長期計画の中でメーンのテーマにしていきたいというふうに思っております。どうもありがとうございました。

【森口国立環境研究所理事】 2点目、山野センター長、もしできれば西廣室長がやっているような分野も含めて、少し解説をいただければと。

【山野生物・生態系環境研究センター長】 分かりました、ありがとうございます。

 エコDRR、グリーンインフラに関しましては、今期も評価して、次期も続けていきたいと考えておるものです。それで今期に関しましては多様な生態系サービスを評価するということで、ややフラットに全体評価する仕組みをつくりまして、その中で、例えば、湿地ですと、やはり治水の機能もあって水質浄化の機能もあり、さらに高い多様性を持つ場としても機能しているということが分かりましたので、今後、特に我々が着目しているのは遊水地とか、最近非常に水害が多くなっておりますので、遊水地を治水面だけではなくて、その水質浄化や生物多様性の保全の場としても、その多面性をしっかり機能して、そこをインプットしていきたいと考えております。

 それで、これに関しましては適応センターが次期といいますか、今期から生態系を活用した適応という観点で進め始めておりますし、環境省も生態系を活用した適応で、我々と一緒にやって、さらに環境省を通じてですが国交省とも話を始めていますので、もう少しこれは幅広に、時期の展開も見据えながら進められるのではないかと考えております。ありがとうございました。

【花木会長】 三つ目はどなたがお答えになりますか。

 今の、山野センター長がお答えになったということでいいのかな。

 森口理事、ございますか。

【森口国立環境研究所理事】 すみません。適応センターのほうで取り組んでいる部分がございますけれども、ちょっとその担当がこちらに参加しておりませんので、ちょっと詳しいことをお話しできないんですけれども、防災との接点につきましては、今、山野センター長からも国交省なんかともというお話があったんですけれども、国立研究開発法人、それから国立研究所等で気候変動に関わるような研究機関の連絡会議的なものを立ち上げておりますので、そういったところも含めまして、防災研究と環境の研究との接点とは非常に重要だというふうに認識をしております。

 これまで、ちょっと福島でやってきた災害環境研究ということと、ご指摘のようにそれ以外の研究のところの接点が十分だったのかと言われると、ちょっとまだ足りない部分があるかもしれません。災害研究ということと、福島の研究ということが、福島支部が中心に進めてきたということもあって、ややそこが一対一に対応した感があるんですけども、災害研究、あるいは気候変動適応も含めまして、防災とのつながりというのは決してローカルな問題ではなくて、全国規模であり、また地域ごとに非常に重要な課題であると思いますので、次期に向けてそのあたり、どこかの地域に特化したということではなくて、全国にわたって、また課題解決型プログラムのテーマと、それから災害環境研究プログラムでやってきこととの接点というのも次期に向けてより強く意識したほうがいいということ。改めて今日のご指摘で感じております。

 ありがとうございます。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 大久保委員、よろしいでしょうか。

【大久保委員】 はい、ありがとうございます。大変詳細にありがとうございます。

【花木会長】 中村委員、確かさっき声を上げかけておられたと思うんですか。

【中村委員】 はい、ありがとうございます。

 初めていろんな成果をお聞きして、大変頑張っておられるなと思いましたし、環境省の評価についても妥当だと感じました。

 特に災害廃棄物のマネジメントのこれまでの経験をどうやって広げていくかというのは、この前の九州の災害を見ていても大事なことだなと思いましたし、エコチルというんですか、ああいった母親の血液中の濃度みたいなものを調べておられるのも知らなかったので大変勉強になりました。

 私も資料3の個別の自分のテーマに関連する質問になってしまうんですけど、先ほど21ページ目に出ていて、20ページ目のところに人口減少化の生物多様性変化のシナリオが載っていて、確かに人口均一化シナリオというのはとてもいいような感じがするんですけど、実際に、こういう形にはなりづらいんじゃないかなと思います。

 つまり、多様性だけでは当然、変化しないわけですから、交通の便利性だとか様々な要因があるので、このシナリオがうまく実現するというような議論をするとなると、ちょっとこれ、手ごわいんじゃないかなというふうに思ったんですけど、その辺をちょっとお聞かせ願いたいです。、あと先ほど、どなたかから委員から、コシアブラの話が出て、私も実はなぜコシアブラなんだろうなと思って、それは山菜として利用されるということは分かったんですけど、そうなると例えば、ほかのタラの芽とか、ハリギリとか、そういった植物にとっても、やっぱり土壌中のセシウムは吸収されて根に蓄積してしまうのかどうかという、いわば山菜としての利用が、そういったものについては非常に難しくなるのかというのを教えてほしかったです。

 最後に琵琶湖分室ができて、すごく期待しています。ただ、もともと滋賀県の周りはたくさんの施設があって、今は琵琶湖博物館とか、県の研究所がありましたよね、琵琶湖研が。それから、滋賀県立大学とか。

 非常に研究機関はリッチな形で琵琶湖の周りにあるので、今後どういった形での連携していくのか。今も連携しているという説明だったんですけど、どんな形でダブりがなく、もしくはデータをシェアしながらより高いレベルの研究を目指していくような、教えていただきたい。

 以上です。

【花木会長】 3点いただきました。いかがでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。1点目は山野センター長に集中している感がありますけれども山野センター長。2点目の私さきほど、自分で答えていましたが福島支部の林グループ長が今日参加しておりますので、林グループ長から。3点目、これは大変重い課題でございますけれども、地域センター長から少しご説明するということで、3点それぞれ近い、センター長、グループ長からご回答申し上げます。

【山野生物・生態系環境研究センター長】 第1点目の人口の均一化なんですが、これは私も非常に難しい課題だと認識しております。シナリオ分析はできたんですけど、次どうするかということ。

 それで、もう一つ考えられるのは、今ちょうどと言ったらあれですけど、テレワークが進んだり、一極集中を避けるような形になっていますので、この流れで一つは地方に人がいつくといいますか、そういうことがひょっとしたらできるかもしれないということと、あとは例えば防災の文脈ですと、地域間連携で、都市と農村が連携して、ふだんは都市の方が農村に行って楽しんで帰ってくる。それで、いざ何かあったときは都市の人が避難できるような、そういった協定を結んで、たしか世田谷区と群馬県の川場村だったと思うんですけど、そういった協定を結んでいるということもありますので、そういうのも活用して、流動人口を増やして。今はコロナでなかなか流動が難しい状況でありますけど、これが収まれば、流動人口を増やすという形で全体的に均一化を図るとか、そういった社会への働きかけがひょっとしたら可能じゃないか。これはもちろん、我々あの生物分野だけどできる事ではありませんので、社会分野の方々とも協力して、時期は地域共創プログラムというが立つ予定ですので、そういった中でも引き続き検討していければと考えているところです。

 私からは以上です。

【森口国立環境研究所理事】 2番目、林グループ長。ちょっと私が先ほど不正確なことを答えているかもしれませんので、それも含めてお願いします。

【林福島支部研究グループ長】 林です。ご質問ありがとうございます。

 コシアブラにまず着目したのは、地域の方たちに一番好まれている山菜の一つであるということだけではなくて、御存じかもしれませんがその他の山菜に比べて非常に飛び抜けて汚染が著しいということがあります。

 我々としては、一番汚染が著しいコシアブラの汚染のメカニズムを理解することによって、その他の山菜についても同様にそのメカニズムを理解し、さらには森口理事のほうからご説明ありましたけれども、今は現状、落ち葉の層の汚染が非常に効いているということがわかりつつありますので、もしかするとそういうところの除染ではないですけども、対策をすることによって、セシウムの森林生態系における循環を断ち切ることで、汚染の軽減が図られるんじゃないかということを考えて今、対策に関する研究を進めております。

 以上です。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 次は三つ目、琵琶湖ですね。どなたが話されるんでしょう。

【高見地域環境研究センター長】 地域環境研究センターの高見が答えさせていただきます。

 琵琶湖の分室は現在でも、琵琶湖環境センターで滋賀県の研究所の中に同居させていただいておりますので、そこの生物部門であるとか、水質関係のところと一緒に共同研究をここ3年ぐらい進めてきています。

 そのほかにご指摘のとおり、博物館とか県大とかありまして、県大のほうとも幾つかこれから進めていこうというお話がありまして、例えば生物関係だと卵の、魚類の卵の研究をしておりますので、その辺は長浜のほうでやっておりますので、今後、連携を深めていきたいと思っています。

 そのほか、近隣の大学ですね。京都とか大阪とか、滋賀県は立地がいいですので、近くに大学ありますので、そのあたりの大学とも研究を進めているという状況です。

 あと、もう一点、これは地域創生という枠組み、国のプログラムで行っておりますので、地域の技術に役立つということもありますので、滋賀県ではないんですけれども、島津製作所と一緒に技術開発を行っておりまして、特許も取って、先ほどご紹介のありました、有機物の分画ですけれども、その点に関しては企業と共同で特許を取って市販にまで結びつけるという状況で、そういう技術開発で企業とも一緒にやっていくということも考えております。

 以上です。

【中村委員】 はい、ありがとうございました。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 それでは、国立環境研のほうの準備が整えば、後半のパート2のほうのご説明をお願いしたいと思います。準備はできそうですかね。お願いします。是澤理事ですね。

【是澤国立環境研究所理事】 企画、総務の担当の理事を本年の4月からしております是澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料3の後半93枚目のスライドからご説明をいたします。

 第3、研究開発の成果の最大化、その他業務に関する事項のうち、2番、環境情報の収集、整理及び提供、3番、気候変動適応に関する業務。それから、第4の業務運営の効率化、第5、財務内容の改善、第6、その他業務運営に関してのご説明でございます。

 自己評価の総括表をお示ししております。令和元年度の年度評価、第4期の見込み評価とともに評価の予定は同じものとなってございます。第3の2.環境情報の収集、整理及び提供に関する業務をA、第3の3.気候変動適応に関する業務をS、第4の2.ところ業務の電子化に関する事項をAとし、その他の事項は全てBでございます。

 95枚目、環境情報の収集、整理提供に関する業務についてご説明いたします。

 国環研自らが実施しております研究に関する業務に限らず、様々な環境の状況に関する情報や環境研究技術に関する情報について収集整理し提供するという業務でございます。情報発信の基盤といたしまして、ウェブサイトに環境展望台というコーナーを設け、そこを基本に、そのコンテンツの充実を図りつつ実施をしております。

 令和元年度におきましては、大気汚染予測システムの予測期間を三日間から四日間に延長するための改修に着手をいたしまして、本年の7月から運用を開始しております。また、関心の高いニュースがトップページに長く表示されるような、そういう見直しなどを行っております。

 評価目標として、数値目標を掲げて実施しております情報源情報の提供につきましても、年度目標である2,400件を大きく上回る3,178件を提供しているところでございます。

 下のほう、第4期見込みといたしましては、特に環境GISにおきまして、大気汚染予測システムの充実のほか、土地利用シナリオでございます、先ほどもお話が出ましたが、人口減少に伴う人口分布の点在化や分散化に対応して、変化する土地利用シナリオに係る研究成果を新しいコンテンツとして、追加をしたところでございます。情報源情報(メタデータ)につきましても、4年間の実績で13,132件を提供しているということで、中期目標を既に達成している状況でございます。

 以上を踏まえまして、項目別評価につきましてはA評価としております。

 続きまして、気候変動適応に関する業務についてご説明をいたします。

 この審議会の議論を経まして、今期新たに加わった業務でございますので、背景につきましては簡潔にご説明したいと思いますが、気候変動問題の対応につきましては、国際的にも緩和策の議論が先行して関連する法律に基づく対策が進められてきたという状況でございますが、緩和とあわせまして適応策の取組についても車の両輪として進める必要があるということで、2018年に気候変動適応法ができ、それに基づき国環研において新たに気候変動適応に関する業務が実施されることになったということでございます。

 右下のほうに書いてございますけれども、地域の適応策を進めるための自治体等への技術的支援の実務、それから、国レベルの適応情報の基盤を担うという役割を実施しております。

 適応法が施行された2018年の12月に気候変動適応センターを開設して、業務をスタートさせましたので、令和元年度の実績と第4期の見込みとしてご説明をする内容、これからご説明しますが、ほぼ重複いたしますので、この後のスライドでは双方まとめた形でご説明をさせていただきます。特に、令和元年度の取組に相当するものには後ろに年度という記載をしてございます。

 このスライドにおきましては、適応関係の業務につきまして、第4期の中長期の見込み、令和元年度とともにS評価をつけたということで、そのポイントをお示ししております。

 まず、国内外の研究機関、地方公共団体等と連携をしつつ研究・協働体制の整備と学際的な研究を推進して、適応法に基づく地方公共団体等への技術援助につなげ、研究成果の社会実装を進めたということが挙げられます。

 詳しくは、後ほどご説明いたしますけれども、昨年度までに全部で257件の地方公共団体の支援を実施しておりまして、適応法に定める地域適応計画も30件、地域適応センターも14件設立されるという成果につながっております。なお、20年6月現在では、さらにそれが増加しておりまして、それぞれ43件と23件という数になってございます。また、情報基盤としまして整備しました気候変動適応情報プラットフォーム、A-PLATと呼んでおりますが、そちらについては年間35万ページビューの目標に対して、60万件を超えるという状況。

 さらに、国際的な情報プラットフォームとして立ち上げたAP‐PLATにつきましても、予定より1年前倒しで本格公開しているという状況でございます。

 このような成果によりまして、初期の目標を量的、質的に上回る顕著な成果を得ることができたと考えており、かつ、この項目につきましては、難易度の高い項目というふうにしておりますので、評定を一段階引き上げることを考慮できるという状況も踏まえまして、S評価としております。

 具体的な状況をもう少しご説明をさせていただきます。

 まず、専門性を活かした国策への貢献についてでございます。スライドの左下のほうに適応研究の推進について書いてございます。政府や地方公共団体等の適応に関する取組に必要な知見を充実するため、所内に気候変動適応研究プログラムを編成して、実施をしております。詳しくは、次のスライドで説明をいたします。また、所内の研究員が管理を務めつつ、所外の各分野の専門家を集めた二つの有識者会合、一番下のほうになりますが、気候変動及びその影響の観測・監視の検討チーム。それから、気候予測・影響評価の連携推進検討チーム、こういったものを運営して、研究プログラムとともに国へのインプットを行っております。

 そのほかの右側の緑色のところには過去、外部資金による適応についての研究プロジェクトを実施してきたものなどを示しておりまして、所内の研究員が中核的な役割を担ってきたというところでございます。

 これらの研究に関する取組につきましては、矢印の上の方になりますが国の政策へ貢献してきたということでございまして、5年ごとに公表する気候変動影響評価報告書へのインプットという形で社会貢献してきたという状況でございます。

 それから国環研では、その他の国の審議会や検討会、さらには環境省が主催し、全国7ブロックで行われております全国のステークホルダーが集まる協議会に参画をして、適応に関する政策実現に貢献しているという状況でございます。

 次のスライドでは、適応研究プログラム、全部で三つの内容から構成されておりますが、それをご説明しております。

 まず、最初のプロジェクト、観測・監視についてのプロジェクトの成果としましては、自然生態系分野に関する既存のネットワークであるとか、地方公共団体との連携によりまして、サンゴの分布や保全状況のモニタリングデータの収集体制を構築したということが挙げられます。これによりまして、サンゴへの気候変動影響である白化現象の監視であるとか、白化を軽減する適応策の評価というのを進めております。

 真ん中、2番目の気候変動影響予測手法のプロジェクトの成果といたしましては、共通気候シナリオを作成し、さらに全球から県市町村という単位に至るまで、水・生態系・農業・健康・産業といった幅広い分野につきまして、環境影響評価手法の高度化に取り組んだという状況でございます。

 右側の適応戦略についてのプロジェクトにおいては、気候影響変動の相互連鎖や脆弱性の整備、影響・適応の地域別評価手法の開発を行ったということでございます。地域別の評価では2,000のアンケート調査によりまして、気候変動下における生活の質の違いというのを推定いたしまして、地域であるとか西日本でより質が低くなるということが判明したということでございます。また、これらの科学的知見につきましては、社会実装につなげる努力をしておりまして、例えば福島県郡山市におきまして、地域適応センターや自治体の職員を対象として、実際の地域適応計画の策定を支援しているという状況でございます。

 それから、気候変動適応センターの協働体制の確立強化と国内外の地域の取り組みの推進についてご説明をいたします。

 まず自治体への技術的支援といたしまして、さきに説明した研究成果を活用した支援のほかに地域気候変動適応センターなどと共同研究の枠組みを構築しております。315人が参加した研修意見交換会の開催であるとか、昨年度末時点で48件の地域の講演会への講師派遣、さらに3,600名の参加者を得ているような状況、さらに42件の地域の適応関連検討会に参画したというような実績がございます。

 結果として、二つ前のスライドでご紹介しましたけれども、257に及ぶ地方公共団体の支援、30件の地域適応計画、14件の地域適応センターへの設立につながったと。それらがさらに着実に増加しているという状況でございます。また、事業者向けの対応というのも強化をしておりまして、事業者に向けた高リスク情報や、その活用事例についての情報発信、ワークショップの開催といったことも実施しております。

 右側に移りまして、2番目の情報基盤の整備のところについてご説明いたします。

 国内の情報基盤であるA-PLAT、これにつきましてはアクセス数が右肩上がりという状況でございまして現在、年間、昨年度の実績で62万件ということでございます。また、途上国おける適応計画の策定実施の支援を目指して立ち上げましたAP-PLAT、こちらについてはG20の大臣会合に合わせて公開をしたということでございます。予定より1年前倒しで実現したものでございまして、この取組についてはG20の環境大臣のアクションアジェンダにも登録されているという状況でございます。

 さらに3番目でございます。これらの活動を支えるために他の研究機関との連携が重要ということで、その連携、共同を深めるための場といたしまして、21の研究機関が参加をする気候変動適応に関する研究機関連絡会議というものを昨年度末に立ち上げたという状況でございます。これは当初の目標では、各機関との連携を深めるという割と定性的な書き方になっていたものでございますけれども、議論を重ねる中で具体的な会議体があったほうがいいということになりまして、一歩踏み込んで調整を進めて、会議体の立ち上げを実現したという状況でございます。

 以上の内容を踏まえて繰り返しになりますが、この事項に関しての自己評価をSとしたという状況でございます。

 次の項目に移ります。第4、基本運営の効率化に関する事項ということで、最初に業務改善の取組についてご説明をいたします。

 経費の合理化、効率化につきましては、運営費交付金に係る業務費につきまして、業務経費で1%、一般管理費3%減というのが基本ルールとなっておりますが、その中で予算化された交付金を使用しまして、効率的な執行に努めております。元年度の対前年度比では1.53%減という状況でございます。人件費の管理の適正化につきましては、国家公務員に準拠して給与規程の改正を行っております。事務系職員のラスパイレス指数が2.5上昇しておりますが、これは国との人事交流者が多い中で、計算対象となる職員の増減の影響を受けた、具体的に言いますと年間を通じて給与が支給された職員を対象に算定をすることになっておりまして、異動の時期との関係で対象者の影響を受けて、それで変動が生じたというものでございまして、特に何か制度を変更したといった趣旨のものではございません。

 3番目、調達等の合理化につきましては、毎年度作成する調達と合理化計画に基づき取組を進めているところでございまして、競争性のない随意契約の事前審査であるとか、外部有識者と幹事で構成する契約委員会による点検、見直しを行って、調達に関するガバナンスを徹底しているということでございます。一社応札の低減につきましても、広告期間を十分に確保する、20日以上とるようなことであるとか、一社応札が続いている事案について入札可能性調査、ほかに受託可能性のある者がいないかというのを公募によって確認する調査を活用いたしまして、事務の効率化も図っているという状況でございます。第4期の見込みのところでは、ラスパイレス指数全体の平均の数値を載せております。

 以上の状況を踏まえて、本項目についての項目別評価はBとしております。

 続きまして、業務の電子化に関する事項でございます。令和元年度におきましては、スーパーコンピュータシステムの更新を行いまして、年度末の3月から新しいシステムの運用を開始しております。6.3倍の計算能力、13倍の保存容量というものに対して、年間の運用経費では5億円から4億円に1億円削減という状況でございます。

 あとは各研究室で管理するサーバーの集約化を進めて、シンクライアントシステムの更新の実施をしております。

 それから、令和2年3月に新しい会計システムを導入して、本年4月から運用を開始しまして、予算の執行状態がリアルタイムで確認できるようになっておりますとともに、一部の会計書類の提出を電子申請で実施できるということで業務の効率化を図っております。

 あとはWEB議につきましても、福島支部、琵琶湖分室と本構との間で、年間300回のWEB会議を開催するなど、効率化を図っているところございます。

 その他、第4期の見込みとしては、外部ネットワーク回線の切り替え、会議のペーパーレス化等の取組の実施をしたことが下に書いてございます。

 以上の状況を踏まえまして、業務の効率化や経費の軽減に大きく貢献できたということで、項目別評価をAとしております。

 続いて、財務内容の改善に関する事項ございます。

 まず自己収入につきましては、全体の獲得額が32億5,000万円ということで、第3期の平均額とするとやや低くなっておりますが、要因としましては競争的資金以外の受託収入の若干の減少というのが影響をしております。競争的資金につきましては15億3,000万円、3期の平均よりもやや高いという状況でございました。

 保有財産の処分のところのトピックとしましては、エネルギー供給システム検討について説明をしております。昨年もご説明をしておりますが、環境研では所内のほぼ中央にありますエネルギーセンターと呼ばれるボイラーから所内各所に蒸気を供給して、空調等に使用しておるわけでございますが、蒸気配管の老朽化であるとか、エネルギーロスというのが問題になってございます。

 検討結果を踏まえまして、まずはエネルギーセンターから一番遠い場所にあります環境リスク研究棟というところに、小規模なボイラー設備を設置して切り離し、分散化をいたしました。また、12月からエネルギー消費量のモニタリングを実施し、より詳細な電力消費量の分析、対策の検討を進めることとしております。

 それから、大型施設検討委員会におきまして、高額な研究機器等に対する投資活動の方向性について検討を行いまして、中間報告書案を取りまとめたという状況もございました。

 あと、一番下に財務諸表でございますが、新型コロナウイルス感染症等の影響もあってスケジュールどおりに提出できないような機関も若干生じてというふうにお聞きをしておりますけれども、環境研におきましては土日も含めてシフト体制を組むことで、一日当たりの職員の出勤数を減らしつつ、かつ自宅就業も推奨しつつ、計画的に対応を進めて、予定どおり財務諸表の提出を行い、令和2年の7月9日付けで環境大臣の承認をいただいたという状況でございます。

 第4期の見込みとして、自己収入のご説明をしております。3期とほぼ同水準の数字であるというのをご紹介しております。

 以上の点を踏まえまして、この項目別評価はBとしております。

 もう一点、これが5年間の予算の推移でございます。一般管理費について平成30年度、令和元年度は若干高めの数値となっておりますが、これらにつきましては、先ほどご説明いたしました新会計システムの導入の経費が必要だったということが影響しているものでございます。

 続きまして、その他の業務……。

【花木会長】 すみません。随分時間が超過しているので早めにやっていただけませんか。

【是澤国立環境研究所理事】 分かりました。

 それでは、その他業務運営につきましてございますけれども、運営戦略会議の開催等をはじめとして内部統制の推進を図っているということでご紹介をしております。研修等につきましても受講率100%という状況で、項目別評価をBとしております。

 続いて、人事の適正化でございますけども、これも継続的にクロスアポイントメント制等を適用して、令和元年度からは、インターンシップ生の受け入れも開始しているということでございます。項目別評価としてはBとしております。

 それから情報セキュリティ施策の推進でございますけれども、研修受講率、自己点検実施等は本年度も100%実施しているということでございます。新たに不審メールの隔離機能を追加するであるとか、IT資産運用管理ソフトウェアの運用を開始したことがございました。

 第4期全体としては、ペネトレーションテストやマネジメント監査の実施、模擬訓練の実施、情報セキュリティ専任の高度技能専門の採用等を行ったところでございまして、項目別評価をBとしております。

 それから、施設整備と管理費用につきましてでございますが、こちらにつきましては、老朽配管の更新工事を行い、あるいはスペース課金制度の活用等を引き続き行ったということでございます。

 昨年度、策定しましたマスタープランにつきましては、残念ながら令和2年度において本格的に取り組む予算措置は認められておりませんが、実現に向けた準備といたしまして、蒸気集中配管の分散化であるとか、冷温水センサーの設置等、できるところから着手するということで取組を進めております。

 111枚目は見込みということで、施設整備の計画等も少し詳しく説明しております。項目別評価としてはBとしております。

 それから、安全衛生管理の充実につきましては、これも例年同様の取組でございます。項目別評価をBとしております。

 それからあと、業務における環境配慮等、これも環境報告書等、別途お配りしておりますので、ご参照いただけたらと思います。評価はBでございます。

 あと、時期中期計画に向けた検討として、ステークホルダー会合なども活用しつつ、対応を進めているということでご説明しております。

 以上まとめまして、最後、総括表でございますけれども、全般的に重要性を高く設定している項目については全て評定以上であるということ。また、全体の評定を下げる事項もないということから、総合評定をAとしております。

 資料3の説明は以上でございますが、そのほかに資料7として、令和元年度の決算関係書類をお配りしております。内容の説明は重複しますので省略させていただきます。また、資料8といたしまして、幹事による監査報告書、独立監査人の監査報告書を配布しております。いずれも特に問題は認められないという内容でございます。

 説明は以上でございます。

【花木会長】 はい、ありがとうございました。

 それでは、環境省のほうから評価書素案のご説明をいただきますでしょうか。準備は大丈夫でしょうか。

【事務局】 花木先生、大分押しているようですので、多少乱暴ではございますけれども、環境省の評価と国環研の自己評価が一致しているところについては、資料にまとめてあるということで省略させていただいて、一致していない気候変動適応に移りたいと思います。

 気候変動適応の評価の内容につきましては、資料のとおりですけれども、私どもが気にしておりますのは、S評価をつけるという場合に、量的、また質的に、具体的に明記をしなければいけないというのがございまして、それがどこの部分で読み取って評価ができるかというところで、なかなかS評価までは至らないのではないかということで考えておりまして、その部分についてこの場で大変恐縮なんですけれども、むしろ国立環境研究所からご説明を加えていただいて、S評価にできる具体的な部分をご説明いただいて、また委員の先生からお話を伺った上で、環境省の担当部局とも追ってご相談をするような形で考えさせていただければなと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

【花木会長】 そうですね。その進め方でいきましょうか。

 でも、さっき是澤理事から随分詳しく説明いただきましたけれども、追加的にあればということでご説明を……。

【事務局】 もしくは、委員の先生。

【花木会長】 どうしましょうか。委員の方からご意見。だけど環境省とすると、どういう基準か、どこが特段優れているかというところがはっきり示せないからということを気にしているということですね。

【事務局】 はい、左様でございます。

【花木会長】 というか委員の先生からすると、そのSにする事由が定量的かどうか、そもそもBが標準なので、それを2段階上のSになるかどうかというところの議論だと思うんですけども、この辺についてちょっと委員の先生からご意見をいただきましょうかね。

 委員の先生方、いかがでしょう。

 重要度と難易度がともに高いというのにこれは設定されているということですよね。問題はその難易度の設定というのが、こういった気候変動適応研究というのを組織するのが非常に難しいであろうということで、難易度になっていると思うんですよね。研究自身がその世界ですごく1、2位を争うというよりは組織が難しい。そういう意味で、組織が難しい中で組織されている。それは分かるんですけど、それをまた、さらに超えて2段階アップできるかという、そこら辺の評価だと思うんですけども、その辺はそのそれぞれの委員の先生方のお考えをぜひ、お聞かせいただければと思いますがいかがでしょう。

 どなたも反応がない。

【木本委員】 木本ですが。

【花木会長】 お願いします。

【木本委員】 適応センターの立ち上げとか、非常に困難な中で大変な努力をされて、非常に勢いのいい事業だと思うんですが、まだ実質1年ちょっとしかないわけですよね。

 ですので、場合によっては、Sをもう1年ぐらい、もう少し実質成果が出るのを待って、Sを考慮するという考えもあるのかなと私は思いましたけど。

 立ち上げの労力に対してSというのは、ちょっと環境省としてもあれかなと。にわかには頷けない部分があるのかなという感想を持ちましたけども。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 ほかの先生方、いかがでしょう。

【中村委員】 中村です。

【花木会長】 はい、お願いします。

【中村委員】 私自身は北海道と最初は東北地区も入っていたと思うんですけど、地域コンソーシアムというのに入っていて、木本先生がおっしゃったとおり、立ち上げなので、実は北海道のほうはまだ地域センター的なものが多分、正式には立ち上がっていないんですね。難しい点はたくさんあるし、特に適応策になるとやっぱり、環境省だけでは対応できない問題をたくさん含んでいて、他省庁の方々も来られるんですけども、どうも実質的にその適応戦略に結びつくロードマップは、まだ描けてないなという感じが正直しています。

 ということで、私も同じような意見で、立ち上げ、組織がまだ立ち上がっていない場所も、地域もあると思いますので、今Sをつけてしまうと、これ以上はもうなしという考えになってしまうので、確かにAでもいいなという感じはしました。

 以上です。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 ほかの先生、いかがでしょう。

 私も気にしているのは研究での重要度、難易度という、そこの従来の研究とは違うタイプの重要さ、難易度があると思うんですよね。その中で非常に苦労されて様々なセンターを立ち上げようとされていると。それは研究でいうと、研究のスタートアップのときになかなか、研究方法も分からないところからスタートしようとしている。その段階に当たると思うんですよね。

 ただ、研究の場合には、それが研究論文になって初めて評価される面もあると思うんですね。それはこういった、組織化の場合には組織化を試みて今、随分多く、立ち上がりつつあって、それがやっぱりこのきっちりと組織したものが機能するというのをそれぞれがある程度、独立に動くというのを確認した上でないとちょっと、それは成功かどうかというのは判断できないかなって気がするんですよね。

 どなたかご意見ありましたらと思いますが。

【大久保委員】 大久保ですけれども。

【花木会長】 はい、お願いします。

【大久保委員】 私も今まで出たご意見と同様の意見です。

 それに加えまして、基本的にSをつける場合も、目標設定時に想定した以上の政策実現に対する寄与というのがあって、これが量的、質的にここで示されたと言えるのかということが問われると思います。適応関係は新しいので、ほかの場合ですと、前と比べてとかということが言えますがその基準となる指標はどこを見ればいいのかというのが質問事項です。それからもう一つは、地域適応計画30件の策定を支援したとかというのは、これは1年間で言えば確かにすごく多いといえますがよく日本の政策で指摘されるように、日本の自治体は1,500以上あるわけで、その中の30ということがどういう意味を持つのかということです。この点についても1年間で評価できるのか、量に関してもなかなか難しい側面があるのではないかと思いますので、この点、目標時に想定した指標との関係をちょっと教えていただければありがたいんですが。

【花木会長】 そこは質問ですよね。それは是澤さん、さっき答えられたかな。

【是澤国立環境研究所理事】 そこは明確にお話ができておりませんので、改めて適応センターの行木副センター長から補足させていただきます。

【花木会長】 はい、お願いします。

【行木気候変動適応副センター長】 ありがとうございます。適応センターの副センター長をしています、行木と申します。

 まず、この適応業務につきましては、研究業務とは別の扱いになっておりまして、評価基準いたしましても、研究業務以外の評価基準が適応されるということを冒頭申し上げたいと思います。

 お話がありましたように、目標が量的に質的に上回る選択が問われるというところになります。それで目標でございますけれども、これは中長期目標、それから中長期計画の中で評価指標と、それからモニタリング指標などと合わせて、定めておりまして、この目標自体につきましては、環境省の資料9-2のところでございまして、その中のスライドの25、26を御覧いただければと思います。26のところに評価指標、モニタリング指標がございます。この中で割と定性的なところ、評価指標を見ていただきますと、例えば技術的援助の状況ですとか、3ポツ目のところでは、アジア太平洋地域気候変動適応情報プラットフォームの構築状況といったこと。

 それから、モニタリング事業といたしまして、技術的援助の件数ですとか、アクセス数といったところが入っております。それで、こちら適応業務に関しましては、いわば行政業務というところでして、施策への貢献、質的、量的に上回る成果に関しまして、施策への貢献ということで、質的な側面も大変重要と考えております。

 それで1点補足説明をさせていただきたいと思いますが、報告書では字数がありまして、詳細な記載はできておりませんが、今ここで紹介いたしましたような目標につきましては全て達成ができているということに加えまして、さらに質的な側面で申しますと、今回の評価対象期間の中で研究機関の連携の連絡会議を作ったということなんですが、これは国環研だけで作ったということでもございませんで、法律に基づきまして環境大臣が座長を務める関係省庁会議がございます。こことも連携しながら研究機関の連携に取り組むということで、もろもろ適応に関する施策への貢献ということで調整しながら国立の研究に一機関が参加する連携会議を新たに作るというところまでいきました。中長期目標の中では連携を強化するというところまでしか書かれていなかったところを踏み越えて、目標がないところに新たに会議体を作ったというところはございます。

 それから、アジア太平洋地域向けのAP‐PLATの立ち上げのところなんですが、これは単にウェブサイトが早めに立ち上がったということではございませんで、情報基盤として科学的知見の提供しておりますが、これは人材育成ですとか、ツールの提供ですとか、そういったことも含みつつ、地域で適応策を推進していくための場として、環境省とともに作り上げたものでございます。単に作ったということ、単にウェブサイトを紹介したということだけではなく、ここに至るまで国連の適応委員会に参加したりとか、その環境省のG20関係の国際会議への参加を通じまして、適応策を進める上での情報基盤の在り方について関係者と調整・議論をし、各国国際機関と調整を重ねて、プラットフォームとして立ち上げたということでして、G20の大臣会合で合意された文書に日本の取組として記載されたということで、国策への明確な貢献となっております。

 量的なところとしましては、アクセス数のところがモニタリング指標になっておりまして、そこで120%を超えるかどうかというところです。

 すみません、長くなりました。以上でございます。

【花木会長】 基準は分かりました。

 だけど、それでは研究の人たちも個別に意見を聞くともっとすごいんだってみんな言いたいところもあって、だけど、それを短い時間で森口理事が全部説明していただいているわけですよね。そういう意味で特に業務的な活動だとすると、標準がBのところからスタートしてAを取るのも結構ハードルが高いと思うんですよ。そういう意味では、当初想定された水準だとB、それを超えているからAぐらいじゃないかと思うんですけどというのが私の感想です。

 ほかに。今日はこれで決めるというんじゃなくて、最後は環境省のほうで総合的に判断されるということですが、ほかにご意見ありますでしょうか。

【森口国立環境研究所理事】 ちょっとよろしゅうございますでしょうか。

【花木会長】 森口理事、お願いします。

【森口国立環境研究所理事】 研究担当理事、森口でございます。

 今の議論と多少関係しますので、先ほど前半部でご質問をいただいて、招待講演数ですけども、今、何を申し上げたいかというと、気候変動の適応という分野で招待講演数、平成元年度で大体、全体の我々の集計しております全数の大体2割ぐらいが適応関係という数字がございます。

 課題解決型プログラムですとか、個々の数字は手集計のところがございますので、時間も限られておりますけれども、招待講演数が増えているということの一部に、適応分野を新たに手掛けているということもあるということが、若干定性的な補足でございますけれども、このタイミングでお答えさせていただきます。

【花木会長】 はい、ありがとうございます。

 ほかの委員の方々、この件についてよろしいでしょうか。よろしいでしょうかって、ここで決めるんじゃなくて、何人かの委員がこういう意見を持っているということです。

 それから、恐らく今日は時間がありませんので、ほかの項目について質疑をお受けすることができないので、それも含めて、あるいは今回の今の適応センターについてのご意見も含めて、追加的なご意見を事務局のほうにメールなり、あるいは何らかの手段で伝えていただくということでよろしいでしょうか。

 【渡辺国立環境研究所理事長】 すみません、理事長の渡辺ですけど一言よろしいですか。【花木会長】 はい、どうぞ。

【渡辺国立環境研究所理事長】 適応の部分についてですが、実際にはこれまでの説明で、お分かりだと思うんですけども、基本業務的な部分と研究的な部分と両方を総合したような形になっています。

 花木会長のご説明で、業務的部分ではBからスタートして、二つ上げてSにいくのは大変だということでしたが、この「業務」自体が通常の「業務」とは違い、プルトコルがあって、それに従って動いていくようなものではないと。もちろん研究自体は、本来はそういうものなのですが、ある意味で未知の世界に飛び込んで、1年半でここまでやってきましたという意味で、自己評価としてはSぐらいはつけられるかなという、そういう評価です。もちろん、これは最終的に環境省側の評価ですから、違った目で見ていただくということでいいのですけれども、自己評価をSにしたというのにはそういう背景があるということを申し上げました。

【花木会長】 今日の委員の先生方、もうちょっと見極めたいという感じの意見があったと思うんですよね。スタートアップして、ちゃんとそれが動いているかというあたりを見極めたいというようなご意見もあったということで、そういうものも含めて最後、ご判断いただければと思っています。

 さて、進め方として、ほかの部分についても多分、ご意見をいただく時間がなく、ご意見、あるいは今の件について、追加的に環境省のほうに連絡をするという形で大丈夫でしょうか。

【事務局】 資料の11に意見シートというのをご用意しておりまして、こちらのほうで今回、ご質問をいただけなかったことですとか、ご意見ですとか、そういったものをお送りいただけるようにしておりますので、お寄せいただけるとありがたいかなと思っております。

【花木会長】 この中に書き込む形ですかね。

【事務局】 はい、左様です。

【花木会長】 あるいは何か、別に質問があれば別途のほうがいいですかね。質問をめーるするとか。

【事務局】 そうですね。意見シートを出される前に質問事項、確認事項があるということでしたら、環境省にお寄せいただきまして、国立環境研究所のほうにお問い合わせをするとか、そういったことをさせていただきたいと思います。

【花木会長】 たしかにそれもあり得ますよね。質問をして、その答えを聞いてから意見シートを書きたいという方もおられるかもしれないので、そういうのがあれば、事務局のほうに質問をメールで送るということですね。

 その後の手順、時間を超えちゃっていますけど、しゃしゃっと説明をいただけますか。あるいは必要ないですか。

【事務局】 日程だけご説明をさせていただければ思いますけれども。口頭で申し上げます。

 資料12に今後の予定というのがございまして、この後、意見シートを7月31日で締め切りにさせていただきたいと考えております。様式はワードでお送りさせていただきます。評価書の案につきまして、委員の方々に8月のお盆前、11日頃にお送りさせていただいて、次、8月18日に次の会合を持たせていただければと思っております。その後、評価書を取りまとめまして、また委員にお送りさせていただいて、独立行政法人の制度委員会へ提出させていただきます。16回、17回の審議会につきましては、10月、11月で日程調整をこれからお送りさせていただきまして、再度、中長期目標の議論をしていただくということになっております。

 8月18日の審議会についてなんですけれども、13時30分から予定させていただいております。2時間程度となっておりますが、新型コロナウイルスの動向がまだ不透明だということがございまして、差し支えなければ今回と同じようにウェブでさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

【花木会長】 はい、そうですね。今日もまた大勢、感染者が出ているみたいなので。そのようにしましょう。

【事務局】 では、そのようにさせていただきたいと思います。環境省のほうからの事務連絡は以上でございます。

【花木会長】 委員の先生方はよろしいでしょうか。宿題がそのように出るわけですが。

 よろしければ以上をもちまして、第14回国立研究開発法人審議会を終了させていただきます。

 どうも本日はありがとうございます。