平成23年度 環境配慮契約法基本方針検討会 廃棄物ワーキンググループ(第1回) 議事録

出席委員:
大森委員、小野寺委員、志村委員、辰巳委員、田中委員(座長)、長沢委員、仁井委員、浜野委員、平田委員、米谷委員(五十音順、敬称略)
オブザーバー:
財団法人産業廃棄物処理事業振興財団

日時

平成23年10月4日(火)10時~12時00分

場所

経済産業省 別館1111号会議室


事務局: (開会の挨拶)本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成23年度「第1回環境配慮契約法基本方針検討会廃棄物ワーキンググループ」を開催いたします。会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課正田課長よりご挨拶申し上げます。

環境省(正田環境経済課長): ただいまご紹介いただきました環境省環境経済課の正田でございます。本日は大変お忙しい中、第1回環境配慮契約法基本方針検討会廃棄物ワーキンググループにご出席いただきありがとうございます。平成19年に施行されました「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」を環境配慮契約法と称しておりますが、国や地方公共団体等の公共機関が契約を結ぶ場合に、競争性を確保しつつ、価格に加え環境性能を含めて評価し、契約相手とすることの仕組みを制度的に構築したもので、国等による環境負荷の削減と環境負荷の少ない持続可能な社会の構築をねらいとしております。電気の供給、自動車の購入及び賃貸借、船舶の調達、ESCO事業、建築物設計の5つの契約類型を設けてきたところでありますが、民間への波及効果を狙いとしまして、新しい契約類型として産業廃棄物処理の委託に係る契約につきましても検討をいただきたいと考えているところであります。本日は1回目の検討となりますが、合計3回程度、このワーキンググループを開催させていただき、ご検討をたまわりたいと思っております。今後も忌憚なく、活発にご指導をいただきますよう、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございます。

事務局: まず、本ワーキンググループにご参画いただいた委員の皆様をご紹介いたします。委員名簿は資料2としてお手元に配布しておりますので、適宜ご参照ください。
 (委員・オブザーバー紹介:省略)
 次に本ワーキンググループの公開等についてご説明いたします。
 お手元の資料1の検討会開催要領「4.公開等」にありますとおり、ワーキンググループの公開等は、検討会に準ずることとされており、座長の承認の上、ホームページ等により公表することとしております。
 それでは、以後の議事進行につきましては、田中座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

田中座長: (座長挨拶)
 それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認について説明をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は12時までを予定しております。

◇配付資料の確認

事務局: それでは、資料の確認をさせていただきます。

配付資料

資料1 平成23年度環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2 平成23年度環境配慮契約法基本方針検討会及び廃棄物ワーキンググループ委員名簿
資料3 環境配慮契約法及び基本方針等の概要について
資料4 廃棄物処理の委託に係る契約に関する考え方(案)
資料5 平成23年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)
参考1 国及び独立行政法人等における契約方式の概要について
参考2 環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)【第1回基本方針検討会資料】
参考3 グリーン購入法に基づく基本方針の輸配送に係る判断の基準等【環境物品等の調達の推進に関する基本方針抜粋】
委員限り 産業廃棄物に関連する新技術情報提供システム登録技術の例

 このほか、メインテーブルのみ、環境配慮契約法基本方針関連資料及び地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアルの冊子をお配りしております。なお、基本方針関連資料には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれていますので、適宜ご参照ください。
 資料の不足等あれば事務局までお申し付けください

議題

(1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について

田中座長: ありがとうございました。それでは、議事に、議事次第にありますとおり、まず、環境配慮契約法及び基本方針の概要について、次に廃棄物処理の委託に係る契約に関する考え方について、最後に検討スケジュールについての3つの議題につきまして、ご議論いただく予定です。
 それでは、最初の議題であります、資料3「環境配慮契約法及び基本方針等の概要について」を事務局よりご説明願います。

事務局: (資料3説明:省略)

田中座長: 資料3に基づいて事務局よりご説明していただきました。
 ただいまのご説明についてご質問等があればお願いいたします。

長沢委員: ご提案のご趣旨は分かりました。廃棄物が環境配慮契約の対象となるのは画期的と評価いたしますが、そもそも、対象となる国・省庁での廃棄物処理の契約の量や金額・頻度はどの程度あるのでしょうか。

田中座長: 対象となる産業廃棄物は現在、国及び地方公共団体から、どの程度排出されていますか。排出量や契約に関するデータなど、事務局で答えられる情報がありましたら、回答をお願いいたします。

長沢委員: 国や地方公共団体が産業廃棄物処理業者に排出している産業廃棄物について、分かる範囲で結構ですので、教えていただきたいと思います。

環境省(産業廃棄物課): 環境省産業廃棄物課からお答えいたします。国及び地方公共団体から排出される産業廃棄物は、国の統計によりますと合計4億トン、うち公務が17万トンとなっております。これには、国のみの排出ではなく、学術研究、医療関係等からの排出が含まれております。その他、学術研究、医療など公的なもの以外にも私的なものが入ってきております。
 国等の排出に関する情報については、現在、環境経済課で各省に調査をお願いしておりますので、次回のワーキンググループではより詳細な情報をご提供できるのではないかと考えております。

長沢委員: ありがとうございます。仮に、国等による産業廃棄物処理の金額・量が大きく、かなりの部分を占めるのであれば、環境へのインパクトが大きいので新たに追加する意味が分かりますが、1%や0.1%程度であれば精神的なところに意味がありますので、検討の趣旨が違ってくるのではと思います。

田中座長: ありがとうございます。紙類などは事業系一般廃棄物になるので、今回の対象からは外れます。現在の国等の契約の量や金額がどれくらいになるのかについては、次回のワーキンググループでのご報告になると思います。その他にご質問等がございましたら、お願いいたします。

辰巳委員: 公共施設等の建築物の発注の場合、建設業者が排出する産業廃棄物は相当量あると思われますが、その場合この法律の影響は及ばないのでしょうか。

環境省(産業廃棄物課): 建築工事に伴う産業廃棄物は、直接事業主が排出する産業廃棄物とはなりませんので、環境配慮契約法の対象になりません。排出者は建築を行う業者になります。

仁井委員: 環境配慮契約法は公共調達における契約において、これまでの契約金額だけではなく、他の項目を評価する点で、横串を入れられるものだと思いますが、直接、法的な効果としてカバーされる部分は私ども事業者団体からみると、それほど大きくはないのではないかと思います。もちろん研究機関から出てくる廃棄物もありますが、量的な面では大きくはないのではないかと思います。
 優良産廃処理業者認定制度というものが、廃棄物処理法改正に基づいて今年の4月から運用開始となっています。今後この制度が広く浸透することによって、官民での契約においても波及効果がでてくるものと期待をしています。直接的な効果というより、むしろ民民の契約に反映される効果に対して期待を持って、このワーキンググループに参加しております。

田中座長: ありがとうございました。今のご指摘については資料3の5ページのところに説明があります。グリーン購入法と環境配慮契約法の比較表がありますので、ここに法律の波及効果という欄ができればさらに良いと感じます。これまでの他にご質問等はございますでしょうか。
 私から一点。資料3の1ページには「環境性能」という言葉があり、温室効果ガス等となっておりますが、「等」とあると、CO2の削減に目が向いてしまいがちですが、産業廃棄物の場合は、それだけではなく不法投棄や環境汚染に係る適正処理ということも重要な観点であると思います。温室効果ガスに限らず、全体の環境負荷の削減ということを念頭に置いて検討を進めたいと思います。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。本日の議題のメインテーマになります。「廃棄物処理の委託に係る契約に関する考え方について」、資料4と参考1について事務局からご説明をお願いいたします。

(2)廃棄物処理の委託に係る契約に関する考え方について

環境省(峯村補佐): (参考1説明:省略)

事務局: (資料4説明:省略)

田中座長: ありがとうございました。資料4、1ページ目に廃棄物部門の温室効果ガスの排出量が出ておりますが、温室効果ガス排出量の3%が廃棄物による排出量です。これは、国立環境研究所で算定したインベントリデータによります。メタンガスになった場合は温室効果の影響が大きいので、該当する埋め立て処理が京都議定書の基準年より2009年度では大きく削減されています。その分、焼却処理が増えているということです。全体として基準年より1.5%の削減となっています。
 それから、下から5行目、平成21年度における産業廃棄物の不適正処理量について、「過去5年間で最大となるなど」、と書かれておりますが、事務局からいただいた手持ちの資料ですと、不適正処理量は37万9千トンで最大です。なお、不正処理件数については187件で最大ではないようです。不適正処理量は多かったようですが、文章の表現を事務局で適切に修正してください。
 資料4では、廃棄物処理を委託する場合に温室効果ガス等環境負荷の低減、資源化、廃棄物の適正処理の推進等の観点から、環境配慮契約を導入してはどうかとの提案がなされております。また、参考1では国の契約方式についてご説明いただきました。
 本日は、ここの議論が今後の検討に当たって重要と思われますので、委員の皆様が日頃お考えのことも併せ、ご忌憚のないご意見をいただきたいと思います。
 まず、ご質問があれば、先に受け付けて、その後にご意見をうかがうことにしたいと思います。それでは、質問等がございましたら、どうぞ。

浜野委員: 6ページの評価の考え方についてですが、廃棄物処理法では、大前提として、排出事業者責任が原則であります。国等の発注工事であれば、受注した元請けが排出事業者となり、産業廃棄物処理業者は、廃棄物処理法に基づき元請と処理委託契約を締結します。また、都道府県に申請し優良認定を取得した産業廃棄物処理業者は、6ページに示された例示をほとんど網羅しているのが現状だと思います。
 今回の検討結果に対し、産廃処理業者の立場として、国に限らず地方公共団体や民間への波及効果を大いに期待しています。検討を行う際には、既存の業界団体や地方公共団体等の優良認定制度との整合を念頭に置いて進めていただきたいと思います。
 例えば、過去には、建設業者から営業ナンバー取得の指示があったことにより、産業廃棄物業界では、従来の収集運搬業の許可に加え、一般貨物自動車運送事業法に基づき営業ナンバーの取得が進んだという経緯もあり、これは産業廃棄物処理業者のステップアップに繋がっていると思います。全体としては資料でお示ししていただいた方向でよいと思います。

田中座長: ありがとうございました。産廃処理事業者としては、波及効果を期待していらっしゃるとのことです。
 他に何かご質問はございますでしょうか。

大森委員: 資料4の5ページの上の論点についてですが、「標準点」が何を指し示しているのか、言葉の定義づけが必要だと認識しています。前段は価格と環境性能の評価に関する配点の比率が2:1とありますが、例示には標準点100点に対し、加算点50点満点とあります。説明をいただきたいと思います。

事務局: 標準点100点は入札の資格、つまり発注仕様に示された業務を履行できる事業者の方、全員に与えられる得点です。プラスされる最大50点が加算点となり、この加算部分が事業者の環境配慮への取組状況に応じて、得点に差がつくことになります。
 ご説明が不十分であったと思いますので、よりご理解いただきやすい資料を提示させていただきます。

大森委員: この配点の比率には、国として重視する点があらわれると思いますが、お示しいただいた案では、価格の方がより配点が大きく、価格を重視されているのではと感じられます。価格と価格以外の配点の比率については、これまでご意見として出ております地方公共団体や民間事業者への波及効果という視点を含めての議論が必要かと思われます。

事務局: 標準点について、さらに具体的に申しますと、参考1の9ページの図を参照してください。この図にはAからDまでしか出ておりませんが、仮に図にあります「最低限の要求水準を満たさない領域」にEがあったとすると、Eは標準点を取れないため、入札に参加できないことになります。AからDは標準点を取れていますので、入札参加資格を得ることになります。入札の結果Dは予定価格を超えていますが、標準点は取れています。
 ここでいう標準点とは、発注者が仕様書で求めている要件をクリアした事業者に与えられるもので、クリアした事業者には標準点として100点が付与されることになります。さらに、環境性能などの評価項目を満たすると、クリアした項目に応じて、それぞれ加算点が与えられるということになります。

田中座長: 「価格:価格以外」の評価の比率が最大2:1で、価格の評価のうち、発注者から求められる仕様を満たせば、標準点については全員がもらえるという理解でよろしいでしょうか。

事務局: そうです。その上で、価格以外の環境性能に関する評価を最大50点まで加算することにより、価格点と合わせて最大点数が150点になります。

仁井委員: 今の議論に関連してですが、総論では分かりますが、個別になると分かりにくい印象です。スペックで要求されている部分を満たすと標準点が与えられ、スペックに盛り込める要素であっても加算点の要素になるということでしょうか。例えば、電子マニフェストの導入については、発注者の仕様によって決まってしまいます。つまり、電子マニフェストを導入していることは事業者の努力として見られるのではなく、そもそも業務の発注条件になっているということです。排出者が電子マニフェストを使っている場合は、電子マニフェストがなければ参加できないことになります。
 産業廃棄物に関する標準発注仕様が決まっているのであれば、資料4の考え方で議論はできますが、仕様書が発注者によって可変となるのであれば、議論自体意味がなくなります。
 総論的にはご提案の内容は良いと思います。しかし、例えば、温室効果ガスについてみると、廃棄物として出されたプラスティックを焼却し、発電に回した場合には、CO2の排出量としてカウントされてしまいます。また、農業系廃棄物は、インベントリー上の廃棄物の排出には影響がないことも課題になります。もちろん温室効果ガス排出量を減らすことは良いことですが、エネルギー回収なども考慮すると、何を持って妥当な評価とするかは難しい問題と思います。下手に決めると思わぬ副作用が出てくることにつながると思います。
 今回のご提案では、細かいところが決まらないうちに、枠組みの話が先に出てきてしまっている気がします。個別に「何が共通要素」で「何がプラス要素」かについて仮置きしておかないと、後ろの加算点の議論ができないのではないかと思います。各論的な部分をもう少し検討し、決めた後で、総論に戻って議論をするのはいかがでしょうか。具体的な考えとしては、事業者を評価する場合には、優良認定と少しの評価項目を用いれば済むよう、できるだけシンプルにしてほしいと思います。

田中座長: ありがとうございました。発注条件が一様でない場合はどのように評価するか等についてご意見をいただきました。
 その他にございますでしょうか。

辰巳委員: 廃棄物の契約の仕方が分かりにくいと思います。資料4の6ページに示されるとおり、廃棄物は、収集運搬業者から最終処分業者までサプライチェーンのようになっており、事業形態が複数あります。今回の契約方式は、先程のご説明では、建築などの事業者には及ばないという話でしたが、例えば、環境省が産業廃棄物処理を依頼したときに、収集運搬業者のみと契約した場合、その先には影響は及ばないのでしょうか。また、建設工事の発注者は対象ではないということですので、これらを考慮すると収集運搬を統括している事業者のみが対象で、中間処理業者は対象にならないのでしょうか。それとも廃棄物処理全体をマネジメントしているところと契約することになるのでしょうか。

事務局: 国が行う場合の契約先は一般には1社が対象になります。

仁井委員: 収集運搬と中間処理は、別々ということになるのではないですか。

事務局: そうです。ただし、最終処分まで追いかけて契約するわけではないです。

辰巳委員: 民間などへの波及効果に対する期待は分かりますが、廃棄物処理の事業形態が複数あるので、具体例のイメージがわきません。国等が契約する時点で、最終処分は関係ないと考えてよいのでしょうか。

環境省(産業廃棄物課): 契約の相手については、収集運搬業者との契約と、中間処理業者との契約の2本立てとなります。基本的には別々の2社もしくは両方の許可を持っている1社と契約することになります。最終処分業者については、国が直接契約する可能性はほとんどありません。中間処理業者が廃棄物を出し、最終処分業者に運び入れる際に、中間処理業者と最終処分業者との契約になります。

田中座長: ケースバイケースということです。

辰巳委員: 収集運搬業者、中間処理業者が対象で、最終処分業者は契約と関係ないと考えてよいのでしょうか。

環境省(産業廃棄物課): まれにですが、直接埋め立てる場合など、最終処分業者と契約することはありますが、原則はご指摘のとおりです。国等が契約する場合は、収集運搬業者と中間処理業者と契約することになります。

浜野委員:  国は公共工事を行う際に工事の仕様を決め発注をかけます。その場合、排出事業者は元請の事業者になります。廃棄物処理業者は、元請事業者と契約することになります。おそらく世の中の90%以上の契約については、廃棄物処理業者は国と直接契約することはありません。

仁井委員: 国が発注する建設工事に関しては、工事の元請業者と契約する、そういう流れになります。

浜野委員: 繰り返しになりますが、国や地方公共団体の取組はもちろんですが、民間への波及効果、ここが大事なところだと思います。民間にも波及しやすい、分かりやすい内容としていただきたいと思います。

米谷委員: 辰巳委員の質問に関して、私からも補足させていただきます。収集運搬業者や中間処理業者にあたる事業者が、国と契約することがほとんどであって、中間処理業者と最終処分業者との契約について、直接、国が関与することはありません。ただし、優良認定制度の優良基準の概要説明が資料4の8ページにありますが、中間処理したあとの最終処分先について、中間処理業者がどこにどれだけの量を持ち込んだかは、「事業の透明性」の基準項目で明らかになるようになっています。
 ここからは、私からの質問です。先程からの優良認定制度の優良基準の評価に関するご説明で、参考1の9ページの図の標準点についてご説明がありましたが、何を意味するのか分からなかったので、もう少し詳しい説明をお願いします。標準点がイコール優良認定制度の適合状況ということなのでしょうか。それなら分かりますが、標準点と優良認定制度とは別世界の話なのでしょうか。

事務局: 標準点の対象となる評価項目は、あくまで発注者が決める仕様項目になります。例えば、先程仁井委員のお話しにあったように、仮に電子マニフェストが発注の仕様として盛り込まれていた場合には、受注を希望する事業者は、当然、電子マニフェストに参加していることが必要であり、この場合は、電子マニフェストへの参加が標準点の評価項目となります。つまり、仕様で求められる最低限の要求水準(参考1の9ページ参照)に当たると考えられます。その上で、仕様には示されていない、仕様以外の優良基準や事業者の環境配慮の取組等の項目が加算点として評価の対象となります。標準点は発注者が示した要求仕様を満たしているか否かを評価し、要求要件をクリアしている事業者全員に標準点を与えるという考え方になります。

米谷委員: それでは、標準点の内容は必ずしも環境負荷の項目に限定されるわけではないということでしょうか。

事務局: その通りです。発注者から限示された仕様に基づき業務を受託実施できるところ、つまり、その業務を遂行する能力がある事業者が得られる得点が標準点ということになります。

米谷委員: 分かりました。図の除算方式のイメージとしては、横軸が価格であって、縦軸が環境負荷に限定しない、最低限の要求される仕様ということですね。
 そうすると、標準点が業務によって変わるという点が、また、分かりにくいかと思います。

環境省(峯村補佐): このグラフは公共工事を例として、工事を発注するときに使われているものの引用となりますので、少し分かりにくいところもあるかと思います。縦軸は事業者の業務遂行能力などを評価した結果を表すもので、発注者が求める最低限の業務遂行能力を評価する部分の標準点と、その他の事業者の努力・能力を評価する加算点を足した合計の値となります。仮に、標準点を100点、加算点の満点を50点とした場合、標準点の100点を取れないところは、そもそも入札に参加できないということになります。
 例えば、建築工事の場合ですと、発注者が指定した材料を事業者が使用できないとか、5階建ての建物の建築工事が発注されているのに、3階建ての建物しかできないということになれば、発注者の求める仕様を満足しないため、標準点の100点が取れないということになり、入札に参加できない、お引取り願うということになります。今の例は、かなり極端な建築工事のたとえでしたが、加算点部分の評価の内容を環境性能に置き換えて議論していただければと思います。

米谷委員: 説明についてはよく分かりましたが、そうするとグラフの書き方がこれで正確なのか、疑問に思います。先ほど、標準点と加算点が2:1というご説明だったかと思いますが、この図によると、標準点と加算点が1:1になってしまっているのではないでしょうか。標準点を0点とした方が、分かりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

環境省(峯村補佐): 標準点と加算点は、1:1ではないのですが、この図は、出典にもあるとおり国土交通省の作成した「公共工事における総合評価活用ガイドライン」の事例を引用しているので、このような図としています。ご指摘のあったグラフの書き方については0点にした場合を含め、次回のワーキンググループに、より具体的な例で、いくつかの分かりやすい図を提示させていただきたいと思います。

米谷委員: 公共工事の場合には、工事の種類や内容によってさまざまな縦軸が考えられると思いますが、産業廃棄物処理の場合の環境性能については、発注スペックはどこもだいたい同一になり、それほど違いはないものと考えてよいと思いますが、いかがでしょうか。

田中座長: ありがとうございます。
 標準点は、場合によっては、優良基準のうち、今回の事務局のご提案では評価の対象とされていない「遵法性」のみを標準点の評価項目とすることも考えられるのではと思います。

仁井委員: 廃棄物処理に標準点と加算点いう枠組みが成立するという考え方は、産廃事業者の間では、浸透していると考えていいと思います。発注スペックが揃っているなかで、さらに環境性能をプラスポイントとして、入札価格とあわせて総合評価するという考え方は良い考えと思います。
 ただし、先ほどのお話にもありましたが、国や独立行政法人などが処理を発注する場合に、各発注者に標準点となる評価項目、つまり、発注仕様が委ねられているとすれば、場合によっては、標準点に環境性能的なものすべてが組み込まれてしまう可能性もあり、プラスの評価のポイント項目を何にして、どのように設定するかについて、この場で議論すること自体が意味を持たないことになると思われますが、いかがでしょうか。

田中座長: はい。では平田委員どうぞ。

平田委員: 複雑なのでもう少し説明していただきたいのですが、資料4の4ページから5ページで、何故、他の契約方式ではいけないのか、理由がよく分かりません。具体的には、4ページにある論点の最後に、「評価点を入札価格で除算した総合評価落札方式を採用することが適当ではないか」という記載がありますが、「適当ではないか」とする根拠はどこにあるのか、説明する必要があると思います。参考資料がついていますが、まだ理解が及びません。また、次の5ページの論点では、「価格と環境性能の評価に関する配点の比率を2:1程度に設定することが適当ではないか」という記載がありますが、こちらについても説明を行っていただく必要があると思います。2:1と規定することに意味があるのでしょうか。価格重視とすることが否めない理由についても、説明いただきたいと思います。
 また、資料4の文章の中で、「産業廃棄物」と「廃棄物」との記載が混在していますので、きちんと使い分けしていただきたいと思います。資料4の1ページ下段に、「平成21年度における産業廃棄物の不適正処理量は、過去5年間で最大となるなど」という記載がありますが、もう少し適切な文章表現にしていただきたいと思います。さらに、最後2行、「廃棄物処理における温室効果ガスの排出削減や廃棄物を資源として活用するなど廃棄物の適正な処理による」という記載がありますが、廃棄物の処理と資源の活用は、別に考えるべきではないでしょうか。「廃棄物の適正処理」と「資源としての活用」の相関関係がどうあるのか、もう整理が必要なのではないかと思います。また、資料4の3ページの中段に、「現状の廃棄物処理に係る契約の多くは、専ら最低価格方式により選定されており」という記載についても、根拠を確認していただきたいと思います。資料4の5ページの[2]の2段落目、「一旦、不適正処理がなされた場合には莫大な原状回復費用がかかる。このため、不適正処理の未然防止の観点から」という記載については、契約方式が不適正処理の防止に直接的には繋がらないと思われますし、本検討とは次元の違う内容ではないかと思います。ここは、「不適正処理の未然防止」というよりは、「優良業者の育成」とした方が、本検討の目的に沿うのではないかと思います。色々申しましたが、資料の修正が可能であれば、対応をお願いしたいと思います。

田中座長: ありがとうございました。他に何かございますか。

小野寺委員: 繰り返しになるかもしれませんが、「標準点」という言葉について、定義づけがされていないので、混乱するのではないでしょうか。公共工事の例を参考にしていらっしゃいますが、公共工事の契約については、事務局と委員、また委員の間にも、理解・認識に差があるのではと思います。もう少し「標準点」の考え方について、より具体的な説明をお願いしたいと思います。また、価格と環境性能の評価に関する配点の比率を2:1してはどうかとなっていますが、そのロジックがどうやって出てきているのか、今後明確にしていただく必要があると思います。

田中座長: 他に何かございますか。

志村委員: 廃棄物処理の流れを考えた場合、例外を除き最終処分業者については評価の対象外とのご説明がありましたが、中間処理業者の評価に委託先の最終処分業者の評価も差に含められるようにしていただきたいと思います。排水基準をクリアするだけなら処理費用は安く済みますが、高度処理を行う場合にはコストがかかります。つまり、高度処理に取り組んでいる業者が間接的にでも評価されることが環境性能の評価という点で、重要なことになると思います。最終的にどういう形で廃棄物が処理されるのかについても十分考慮の上、評価対象としていただきたいと思います。
 また、今回の検討範囲からは外れているかと思いますが、公共工事の際に出る産業廃棄物については、工事を請け負う事業者が廃棄物処理の排出事業者になりますが、国などが公共工事を発注する段階で、発注者が建設工事に伴う廃棄物処理の方法についても、仕様に含められるようにできれば、より望ましい制度になり、環境負荷の低減につながると思います。
 もう1点、優良認定制度についてですが、国の優良認定制度とは別に、東京都では第三者評価による事業者評価の制度を設けています。東京都以外でも、地方公共団体や業界団体などによる独自の認定制度がありますので、その認定に用いている評価項目や要素についても検討の上、加点評価の対象として取り込んでいただきたいと思います。また、国の制度ですべての優良基準の評価項目を満たした優良認定業者に対して加点を行うのであれば、国以外の優良認定制度で認定を受けている事業者に対しても、すべての優良基準の評価項目を満たしていれば、同様に加点を行うこと等も検討していただきたいと思います。

田中座長: どうもありがとうございました。他に何か、確認しておきたいことやご意見はありますでしょうか。

長沢委員: この廃棄物処理業者を評価するのは誰かということを考慮して欲しいと思います。例えば、国立大学法人の場合、大学で大学環境管理センターを設置しているのですが、そのセンターの担当者にはこの評価内容が分かりにくいのではないでしょうか。その担当者たちがこれで事業者を評価できるのかというと、この内容では難しすぎて、無理があるように思います。実際に処理業者の経営状況や最終処分状況まで、自ら評価するのは難しいと思います。
 優良認定制度の認定を受けた事業者か否かでスクリーニングする制度としてはどうでしょうか。それが駄目なようであれば、発注・評価する担当者のことを考えて、より簡潔な内容となるように検討して欲しいと思います。また、ご提案の内容では、優良認定制度と評価項目が重複しているようにも思います。加点評価したときに、ダブルカウントになってしまうのではないでしょうか。評価基準が難しい場合は、制度の普及の阻害要因になってしまうので、できるだけ簡単な内容とし、わかりやすくして欲しいと思います。

田中座長: ありがとうございました。他にご意見はございますでしょうか。
 国内の現状として、優良認定制度による優良認定業者がどのくらいあるのか、また、優良認定業者の中でも競争をさせる必要があるのか、優良認定業者以外でも参入することができるのか、それらの点についての議論も今後必要かと思われます。国の産業廃棄物の排出量のデータについては、現在、調査を実施しているということでしたが、次回のワーキングではそちらの調査結果も紹介していただければと思います。
 残りの時間も少なくなってまいりましたので、それでは、次の議題に移りたいと思います。資料5の「検討のスケジュールについて」を事務局からご説明をお願いいたします。

(3)検討スケジュールについて

事務局: (資料5説明:省略)
 なお、第3回ワーキンググループですが、先ほど委員のみなさまに日程をお伺いした結果、最もご参加いただける人数の多い11月18日金曜日の午前中でお願いしたいと思います。ご参加いただけない委員の方には、誠に申し訳ございません。
 また、次回の第2回のワーキングは10月25日の火曜日、午前10時から12時で、本日と同じこの会議室(経済産業省別館11階1111号会議室)になりますので、よろしくご予定をお願いいたします。
 なお、この廃棄物ワーキンググループでご検討・取りまとめいただいた結果については、12月2日に開催予定の環境配慮契約法基本方針検討会、いわゆる親の検討会にご報告したと考えております。

田中座長: どうもありがとうございました。何かご質問はございますでしょうか。
 なければ、予定の時間もまいりましたので、本日はこの辺で終わらせていただきたいと思います。本日ご発言いただけなかった点や新たなご意見や提案等については、後ほどで結構ですので、事務局まで直接提出をお願いできればと思います。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。