環境配慮契約法基本方針検討会 船舶ワーキンググループ(第3回)議事録

出席委員:
川上委員、河村委員、桐明委員、鈴木委員、千田委員(座長)、武田委員、遠山委員、藤田委員、三村委員
欠席委員:
石渡委員、内野委員、塚本委員 (五十音順、敬称略)

日時

平成21年11月20日(金)13時00分~15時00分

場所

KKRホテル東京11階「丹頂」

1.開会

事務局:  定刻になりましたので、これより「平成21年度環境配慮契約法基本方針検討会船舶ワーキンググループ 第3回」を開催いたします。委員の皆様方には、ご多忙にもかかわらずお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 最初に、前回、前々回ご欠席だった委員をご紹介いたします。独立行政法人水産総合研究センター 研究推進部 研究開発コーディネーターの遠山委員です。
 それでは以後の議事進行は、千田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

千田座長: 今日は、3回の予定のワーキンググループの3回目ということで、ワーキンググループとしての案をまとめたいという会合でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず始めに事務局から本日の議事予定等の必要事項の説明をお願いいたします。

事務局: 本日の議事予定、配布資料の確認(省略)

2.議事

(1)船舶の調達等に係る契約における環境配慮について

千田座長: まず今ご説明がありましたように、資料1が基本方針の改定案です。資料2がその解説資料の案です。本日はこれらの資料についてご議論をいただきたいと思います。資料1だけをやっても内容がよくわからないと思いますので、資料1と2を合わせてご説明をいただきまして、それからそれぞれの議論に移りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

事務局: 資料1、2について説明(省略)。 

千田座長: それではこの資料について議論を行っていきたいと思います。まず資料1が、実際に発注者に対して要請されていることです。資料2が解説資料で、縛りではないですが、実際に資料1を実行しようとしたときに、これを参考にしてやってほしいと言っているもので、より具体的に書かれているというものです。従いまして、まず資料2の具体的なところをご議論いただきまして、資料1がそれを反映した形で、きちんと書かれているかということを確認してはどうかと思います。それでよろしければ、資料2から入りたいと思います。よろしいですか。

藤田委員: 今の進め方に対しまして異論ではないですが、この基本方針は2月に閣議決定する予定ですね。それで気になるので事務局に質問をしたいのですが、資料1のp.4の(2)[2]の「船舶の調達に当たり…もっとも優れた技術提案を行った者と特定する方式を採用するものとする。」というところです。これは採用状況をかなり縛っているという感じがします。ここまで縛っていいものかどうかというのが一つです。それから今日初めて見たのですが、同じような採用の条件は建築にもあるのかどうか。あとで見ればいいのだと思いますが、この2つです。

事務局: そちらについては、プロポーザル方式、あるいは企画競争方式というものが一番評価の高い事業者と随意契約を結ぶ方式です。

藤田委員: そういう意味ではなく、ここで言うのは、前の「温室効果ガス等の排出の削減に配慮する」に係るのではないか。そういうふうに読めてしまうのではないかということを言っているのです。

事務局: そこは、p.5の4番の一番目の「・」にありますとおり、「建築物の建築又は大規模な回収に係る設計業務を発注する場合は、原則として温室効果ガス等の排出の削減に配慮する」とあります。「原則として…」と同じような形で記載されているということです。要はテーマは一つだけではなくて、環境に配慮するテーマも入れて、もちろん他に優先されることがあれば、当然他のテーマも設定していただいて結構ですが、そのうちの一つに環境に配慮する内容についても設定をしていただきたいという趣旨でありますので、他のことを一切無視して環境だけということではなくて、建築でも同様に1つは環境配慮することを設定してくださいという趣旨であります。

藤田委員: そうだとは思いますが、この文章は勘違いをさせないかと。要するに、政府関係機関を縛るものでありますけれども、地方公共団体、あるいは他のところが参考にしていくのだろうと思います。そういうときにこの文言が勘違いをさせないか。要するに環境重視という線はもちろん大事だと思いますが、それぞれの目的があるものですから、そこのところはどうですか。私の勘違いなら良いのですが。

事務局: そこにつきましては、p.5の場合には建築の例ですでに施行されておりますので、ほぼ同じ書き方になっているかと思います。「含む技術提案を求め」、それはもちろん他のものも含めるということは、読めるかと思います。建築のほうでも特段大きい混乱が起きていることはないと思います。

藤田委員: 起きていない。はい、わかりました。

千田座長: おそらく理屈で読み解くと、「もっとも優れた技術提案を行った」というこの「技術提案」は、その上の「技術提案」を直接指していて、その上の「技術提案」というのは、「温室効果ガス等の排出の削減に配慮する内容を含む」という形容がついているものです。「含む技術提案」ですから、当然他のものがあるというふうに読み取れるはずです。

藤田委員: すみません。老婆心かもしれませんが、確認をさせていただきました。

国土交通省: 今のご疑問は、いわゆる設計プロポーザル方式を採用するのは、基本計画のところを外注して事業者に発注するというケースにおいて、基本的な設計をどうするのかというところを入札によって決める場合に、技術提案を出してもらいます。その中には、もちろん環境配慮の事項についても追加して、技術的に一番妥当なものを選びなさいということです。そのフローチャートが後ろにありましたけれども、それに基づいて発注仕様書が策定されて、そのあとは一般競争入札で最も価格の安いものに落札して行くというプロセスの中の1段目のところで採用しましょうという構図です。

千田座長: それでは、資料1は最後に見ていただきますので、また問題がありそうでしたらそのときに確認いただくことにいたしまして、資料2に行きたいと思います。資料2は、「1.目次の変更」で、これは形式的なもので、「2.」の内容が反映されています。唯一言うならば、自動車の次に船舶という位置はいいのだろうか。この辺をこだわる方がいなければ、次に行きたいと思います。
 それでは、中身ですけれども、p.3以降、「船舶の調達等に係る契約に関する基本的事項について」という解説の全文をご検討いただきたいと思います。まず「1.背景と意義」につきましてはいかがですか。

鈴木委員: こういうものに疎いもので教えていただきたいのですが、この解説資料というのはどういう位置づけの文章なのでしょうか。環境省から何らかの形で周知される文章なのでしょうか。全くこの手のことを知らないので基本的なことを教えてください。

事務局: 基本的には、基本方針と合わせて解説書もセットにして本にして各省にお配りしたり、説明会のときに使用したりしています。環境省のHPで常にダウンロードきるような形で運用されています。閣議決定の対象としていないというだけでほぼ一緒に扱われているものであります。資料1の基本方針だけでは具体的に何をどうやっていいのかわからないので、当然こちらを読まなければ理解できないものですから、常に一緒に参照していただけるように環境省として参考にお出ししているものということです。

鈴木委員: 法令と言いますか、そういう拘束力を有する位置づけの文章になるのですか。

事務局: こちらについては拘束力まではもたないということになります。環境省が作成した参考資料ということになります。

鈴木委員: わかりました。最終的にはHP等で広く公開されるということですか。

事務局: そうですね。これはHPでご覧いただけますし、要望があれば、こういう本の形でも常にお配りしているものです。

鈴木委員: はい、わかりました。

千田座長: 実際には、本文だけではどうやっていいかわからないものが多いから、こういう解説で具体的なやり方を、ということですが、逆にそこに書かれるとある程度重みを持ってしまうということもまた事実かもしれませんので、それなりに見ていただいたほうがよかろうと思います。いかがでしょうか。「1.背景と意義」ですが、まず背景のところでいきますと、政府調達の中で、船舶の排出量が28%ということと、それから船舶というのは長期的な視点からは非常に温室効果ガスの削減に寄与するという辺りがありますが、ここはよろしいでしょうか。使い方はある程度決まり文句です、今まさにご質問のあったようなことですが、あくまでも参考程度です。
 それでは、よろしければ、「2.環境に配慮した船舶の調達」というところに入っていきたいと思います。ここはいかがでしょうか。

藤田委員: 2-1の第1項の「環境配慮に関しても知見を持った」ということについては、少し前にも議論があったと思いますが、この「知見を持った」ということについての質問をされた場合は、どういうふうにお答えになるおつもりだったのでしょうか。

事務局: 「知見を持った」というのは、何社か提案があった中で一番優れているということですので、「知見を持った」ということからくるというよりは、一番良い提案ができたということで、それを持って「知見を持った」という扱いになるというのが、基本的にはプロポーザル方式や企画競争方式のやり方だということです。逆にそれをやらずに、「誰が知見を持っていますか?」ということは当然難しいわけですが、やった結果、一番高い評価を得たということを持って、知見を持った設計者だということになると理解しています。

藤田委員: プロポーザルの内容をもって判断するということですね。はい、どうもありがとうございました。

千田座長: 他にはいかがでしょうか。

鈴木委員: 第1項は船舶全般だと思いますが、2番目の「小型船舶を調達する場合は」というくだりは、要は小型船舶は、第1項を実施した上で第2項もあるという理解でよろしいのでしょうか。

事務局: 小型船舶につきましては、どのようなロットで発注が出されるかということにもよると思います。まず設計だけを出すということであれば、この段階でプロポーザル方式をするということになるということです。ただし小型船舶ということであれば、例えば燃費などを設計の段階でかけてしまうということも考えられるということでやっていただければと思います。そのあと建造するときには設計が終わっていますので、敢えて謳わなくてもできるのかもしれませんが、設計の段階でプロポーザルをやりながら、燃費消費率を要件とするということも合わせてやっていただくということになると思います。

千田座長: 第1項は、いわゆる契約類型の話で設計段階に関するものです。小型船舶というのは、契約類型とは別です。契約類型というのは、基本設計、外部設計が一緒になっているものと別になっているもの、それから購入というカテゴリーがあったかと思いますが、その3つの契約類型にかかわらず、小型という別の線引きになっています。ただ実際には、小型は購入するケースが多いと思います。だから第1項と第2項は切り分け方が違うという観点で切っていると前回もご議論をいただきました。

鈴木委員: 議論の末の文章がこうなっていて、初めて見る方に切り分けが十分に理解できるのかという素朴な疑問だけです。

事務局: それにつきましては、基本的には設計という時点で、まず設計を読んでいただく。小型という時点で両方読んでいただくということにつきましては、通常の方針や基準類の作り方というのは概ねこうなっていると理解しておりますので、基本的には分けて書いてあっても両方読んでいただけるのではないかと思います。

鈴木委員: わかりました。

千田座長: 初めて読む人は迷うかもしれないですね。

藤田委員: 私の意見も先ほどの座長のまとめと同じで、例えば20トン未満の海洋調査船を私どもで設計するとしますと、その場合については、当然プロポーザルの中に、第1項にあるように、知見を持った設計事業者を選定することが一つかかってきます。同時にその中に提案する場合に、実際の基本設計に入った場合には、(2)を勘案してエンジンを提案するという格好になると理解してよろしいのですね。

事務局: 購入ではなくて設計を出す場合については、船舶プロポーザル方式にしつつ、最初の条件としては燃費率を発注者側で示すというふうになる。あくまで燃費率は発注者側で最初に足を切るものということはあります。

千田座長: 今のようなケースは多分両立しうる2つの条件だと思います。もし両立することが難しければ、そこは最初に話し合ったように、あくまでも解説ですからその時点で一番良い方法を選べばいいということになります。混乱することはあまりないのではないかという気がします。少し解説を付け加えたほうがよろしいですか。それでは後ほど事務局で。

事務局: 後ほど、再度検討しまして、またご相談したいと思います。

千田座長: 要は誤解のないように、理解されるようにという意味の、内容ではないということです。例えば言葉を加えることで誤解が深刻になるのであれば消していただくということで、他に、「2.」はよろしいでしょうか。

遠山委員: 細かいことですが、表題に「調達等」と書かれていますが、「等」に何か意図するところがあるのですか。

事務局: 解説資料では、「等」を表題に含めておりますが、資料1の基本方針は調達に係る契約になっております。解説資料は、調達に係わらないといった範囲を少し超えたところも含めているという意図があって、「等」という言い方をしているとご理解いただきたいと思います。例えば「5.その他」の「調達者の役割」ということです。こういったところも含めております。「等」という言い方をしたほうが、現状ではよろしいのではないかと考えている次第です。

遠山委員: はい、わかりました。

千田座長: 他に。よろしいですか。

藤田委員: 実は私は混乱することを恐れているだけの話ですが、「2-1」と「2-2」の順番を入れ替えてはどうか。「2-1」は、多分いろいろな意見が出てくると思います。もちろん書き方を工夫していただくことにこしたことはないですが。

事務局: 「2-1」は資料1に示しております2つの文章を書き下したものです。従いまして、「環境に配慮した船舶の調達」の最初に持ってきているわけです。また、「2-1」の第3項で「行政目的等が確実に適切に達成できるように適切に勘案し」と謳っておりますが、その内容の説明をする意味で「2-2」を付け加えています。従って現段階ではこの順番がよろしいのではないかと考えています。

千田座長: 確かに第3項を受けた文章になっています。他にないですか。よろしいですか。
 それでは、「3.船舶の設計の契約に係る環境配慮」にいきたいと思います。まず「3-1」の概要ですが、これは、これまでの資料のものを参考に出されているものですが、ここのところで何かございますか。よろしいですか。
 それではまた何かありましたら、最後にもう一度全体でお伺いしますけれども、「3-2」は重要な2つのうちの1つですが、プロポーザル方式につきましては具体的な事例として、p.12に水産総合研究センターの実例を載せています。これも含めて目を通していただけるといいと思います。

遠山委員: p.12の資料編ですが、一応特定できないように○×にしていただいていますが、トン数を書かれると、大体どこの何かがわかるのでトン数や定員も○○か、△△でお願いします。

事務局: 失礼いたしました。訂正いたします。

藤田委員: p.6です。概略設計の契約をしないところも結構ありますね。それはそれでいいのですよね。

国土交通省: p.5に、要は発注者側が基本計画をする場合には、発注者自身が環境に配慮してその計画を作ってくださいと書いてあります。

千田座長: 今仰ったのは、概略設計、基本設計を外注する場合としない場合に分かれていますが、概略設計は外注しないけれども、基本設計は外注するというケースがあるということですか。

藤田委員: そうですね。基本設計はほぼ皆さんはされているわけですが、概略設計はされないケースもありますね。すみません、今さらですが、こういう書き方でよろしいのですよね。されるところとされていないところと。

事務局: これは、概略設計、基本設計、両方ということで、「・」というふうに分けるのは可能ではないかと思います。

国土交通省: 一応私が知りうる範囲では、仰るとおり概略設計と基本設計を発注する者もいれば、基本設計だけを発注する者もいます。地方整備局の浚渫船は基本設計だけは発注していますが、概略設計は自分のところで行っていると聞いております。p.5の一番始めにありますけれども、一般的にはこういうフローです。

藤田委員: 特段、発注者にしなさいよという意味ではありませんので、これはこれでよろしいですよね。はい、わかりました。

千田座長: いかがでしょうが、中心部分の2つのうちの1つですが。
 それでは、次に進みましょう。「4.小型船舶の調達」です。これが資料1の2つめの文の解説です。これについては、前回のご議論を踏まえています。新たに付け加えられております。小型船舶の定義をどうするのかというのが前回の宿題になっていましたが、船舶安全法に準じて20トンというのが新しいところです。そのことを含めまして、p.9、p.10はいかがでしょうか。
 細かいところで恐縮ですが、排気ガスという言葉がありますが、普通は、排ガスか、排気か、排出ガスか、空気とガスがダブるので、排気ガスという言葉は使わないと思います。どこかで使われているのでしょうか。

事務局: 排気ガスという言葉は、例えば環境保全型ガソリン船外機関型式認定基準には出てきます。

藤田委員: 海洋水産システム協会の方はそうなっているようですが、科学的、技術的に見て正確な表現にしていただければありがたいと思います。

事務局: 担当部局に確認してみたいと思います。

千田座長: 舟艇工業会は排ガスですね。
 それでは要点だけを見ますと、窒素酸化物の問題があります。法的に窒素酸化物の制限がかかっているものについては、その範囲であれば問題はないですが、そうでない場合もあるので、窒素酸化物のことが挙げられていると思います。あとは燃料消費率をどうやって線を引くかということについての参考事例が挙げられています。

鈴木委員: p.10の下段部分ですが、先ほどのご説明では具体例ということですが、具体例であればガソリン機関で定格出力が70~80kWの狭い範囲で限定すると、その下の定格出力別の燃料消費率と排ガスの基準値が各一つとなり、わかりやすい資料になるのではないでしょうか。80kW以下と書かれているものですから、燃料消費率も階層別の値が3つも4つも上がってきていますけれども、実際に発注される段階では出力は決まっていると思いますので、もう少し簡単な書き方にされたほうが読むほうとしては理解しやすいと思います。

千田座長: 今仰ったのは80kW以下と言っても下では30kWは意味があるわけはないのだから、少なくともここで3つの例が挙げられているのは2つぐらいになって、そのほうがイメージしやすいということですね。

鈴木委員: はい、そうです。実際の発注がどのようにかかるかはよくわかりませんが、実際にある船が想定されていて、それに使用されるエンジンが大体80kWとか、限定、特定ができると思います。本具体例に30kWの基準値を書いても実質あまり意味がないのではないかという意見です。

千田座長: これは何か事例があってこの値を出したのですか。

事務局: 具体的な例を持って挙げたわけではありません。事務局で想定した書き方です。ここはご指摘のように修正したいと思います。

千田座長: 確かにそうですね。80kW以下で10kWでも20kWでもいいというわけではない。そこは修正をお願いします。
 それでは先に行きますが、ここは、単なる船自体の燃費だけではない問題がいろいろあるというご議論を踏まえて付け加えられていますが、いかがでしょうか。

藤田委員: (1)の準備段階のところは、文章にしてしまうと私どもが知っている発注者、政府関係機関ですが、何かあまり意味のない文章になってしまう気がしないでもないですね。要するに当たり前で大変失礼な感じがしないでもないです。敢えて書かなくてもいいという気がしないでもないです。あっても別に悪くはないですが、思わず微笑んでしまうような内容ではないかという気がしました。

事務局: 必ず書かなければいけないというものではないので、賛同が得られれば削除したいと思います。

千田座長: 何か具体的なものを想定していたのですか。

事務局: 当初、委員会で調達者においては、情報提供が十分ではないといったご意見がありました。また現在提供されている情報の他に、例えば保有船舶の代船を作る際に、その船が実際どのように航海をしたかといったデータがあればもう少し詳細に考えることも可能だというようなご意見がありましたので、それを意識しまして普段からそういった情報を集めておくことの重要性を強調しております。また、プロポーザル方式あるいはエンジンの裾切りということがありますので、調達者がそういった情報を普段から把握しておかなければいけないだろうといったことも意識して、この文章を入れさせていただいた次第です。

千田座長: 確かに発注者が何を考えているのかがよくわからないというご指摘があったかと思います。何かの形で出ますか。少し検討させてください。

藤田委員: 異存はありません。今の座長のお話で。

千田座長: それでは、資料2が一通り終わりましたので、もう一度資料2全体についてどこでも結構ですから、お気づきの点がありましたらご指摘ください。あまり時間がありません。検討会が12月1日なので、すぐにこちらのほうに上がって確定します。できるだけこの場でよく見ていただいてご意見をいただきたいと思っております。申し訳ありませんが、もう一度見ていただけないでしょうか。

河村委員: 環境配慮型の船を調達しましょうというのは、これでいいのだろうと思いますが、例えばこのフォローアップと言いますか、何年間か、最後のその他の中にメンテナンスやオペレーションコストを十分に留意してやることが重要だということが出ています。例えば実際に走ってみたときの燃費が、仕様書どおりなのかどうなのかというところを確認するような、ただ絵に描いた餅で、最初にこういう燃費でこういう仕様ですということで作ったのはいいけれども、段々使っているうちに悪くなっていくということがあります。フォローアップができるようなことを書いておくべきかという気がしました。最初の仕様書だけを通っていればいいのか。本当か嘘かというのはわかりませんけれども、やはりフォローアップが必要ではないか。

藤田委員: 建築などはどういうふうにされているのか。同じようなことがあるのだろうと思いますが。

事務局: 確かに仰るとおりです。環境配慮契約法の建築におきましては、フォローアップということで、LCCO2の計測であるとか、そういうことになるべく努めるようにと文章のほうに記載されております。確かに小型船舶に関しましては、エンジンの燃費の検証というか、先ほど仰いましたフォローアップにつきましても検討していきたいと思います。

国土交通省: 建築の分野について、契約時に設定する性能を後から確認することが可能かどうかというのは、私もよく知悉してませんが、少なくとも船舶につきましては、今の段階を考えますと、建造の段階で仕様として設定できる燃費には限度があって、例えば大きな船であれば、なるべく波風のない状態の中で船を走らせて燃費を把握する程度しかできません。実際にその船を運航した結果として出てくる燃費、実際に何時間、あるいは何マイル走行しましたというのに対してどれぐらい燃料を使ったのかと言って、実際に消費された燃料と、船の航行距離から割り出す燃費は当然違ってきます。実際には航行する海域によって波や風の状況は異なりますし、乗船している人の数が違うなど、いろいろな条件によって変わりうるので、契約時の性能が後になってどうなっているかをフォローアップすることは、確かに概念的には望ましいことですが、実現性の面で今すぐに対応できるのか、ちょっと難しい面があるのではないかという気がいたします。

千田座長: ただ準備段階に書かれているような抽象的な書き方で、実燃費の把握に努めるということが一行あってもいいのかという気がします。今仰ったように実燃費の把握は非常に大変です。官庁船などは、いわゆる発注者が管理している船の隻数は、海上保安庁以外はそれほどたくさんではありません。少ない船について持っているデータから燃費の変化を判断するのは非常に大変かなと思います。一方海運会社のようにたくさんの船をオペレートさせてもなかなか難しいのかと思います。

河村委員: 海運会社は難しいと思います。国とか、独立行政法人の隻数はそれほどではありません。

千田座長: 逆に言うと走り方が非常にイレギュラーで定型的な運航ではないので、かえって難しい面もあるかなと思います。

藤田委員: 抽象的に書くしかないと思います。

千田座長: 精神規定みたいな形で、次の発注に生きるようなものが残せればよいと考えます。

桐明委員: だから今の状態でも実燃費は非常に難しい。けれども今、環境に配慮したファクターを入れようとしているわけですから、契約の中で取り込んだ環境配慮ファクターが経年評価でどうなっているか。経年評価は必要です。それをどんどんフィードバックしながら良いものを入れて行くのは当然です。実燃費の話をしていてもいろいろな問題が出てきますので抽象的にでもいいですから、実燃費に触れておくことが大事だと思います。

国土交通省: 一般の商船なら非常にわかりやすいのです。何トンの貨物を運んだのか。それにどれだけの燃費を使ったのかというのは概念としても非常にわかりやすいです。当然オペレートする側もそういうことを意識しています。一番始めに議論したように公的な目的で使われている船ですから、大体のものは物を運ぶことを業務にしていない。ただ特別なものは契約の仕方から外れていくと、いわゆる調査のようなものを目的にしたものであるとか、あるいは定期的に人を運ぶようなものであるとか。人を運ぶようなものは比較的わかりやすいと思いますが、調査をする船は、例えば天気が悪いから調査をしなくてもいいという船は比較的いいと思いますが、天気が良かろうが悪かろうがやらなければいけない船だと、当然工程の中の業務が多くなれば燃費が悪くなるに決まっています。それをあとから評価するというのが一体何であるのかというのがよくわからない部分も出てくるのではないのか。コストを削減していかなければならない世の中ですから、運航しておられる母体はいろいろと評価をされていると思いますが、どういうふうに評価するのかというのはなかなか難しいのではないかという気もいたします。「レビューしなさい」と書くのは非常に簡単ですが、評価を受ける側として一体どうしたらいいのかと頭を抱えるような課題になりはしないかとちょっと心配です。

河村委員: 前回のときに申し上げましたが、船のミッションと言いますか、今オブザーバー(国土交通省)が仰ったようにもちろん物を運ぶだけの船は少ないわけです。例えば止まって作業をしたり、計測している船に対して、「燃費が何だ」と言われてもどういう比較をすればいいのか。それだったらある程度の気象条件の中でもきちんと定点に留まれるような性能を持っているほうが余程いいわけです。ですから船のミッションによってファクターが違う中で、そういうものを一緒に比較するのは非常に難しい話であるということは最初から申し上げていると思っております。

川上委員: 私どもで製造している中型エンジン、20トン未満の船舶に搭載される小型エンジンも入りますけれども、そういうエンジンはお客様と最初にスペックを決めますと、工場出荷の時点に一台一台必ず試験して性能をお客様に確認をいただいて出荷しております。それと同時に船に搭載した時に海上公試をやって、その性能が工場出荷時にやったものがそのままちゃんと満たされているかということも現実に確認されていますので、仕様の確認はやっています。議論されている燃費は確かに船全体で見たときの燃費と、エンジン単体の燃費とが混同されているところもあると思いますが、エンジンとしての燃費で書かれているものについては、そういうふうにして仕様に決められれば工場、それから船舶に搭載した時の確認は現実にやっています。

国土交通省: ただ経年的な燃費、要はエンジンに当たる燃費を「いくら使ったのか、どういうふうに変化したのか」と問われると、船に搭載した状態でエンジンの馬力を測るのは、普通の人にはできないことです。モニターしていくというのは、例えば小型ボートを買った人が契約時のエンジンの燃費についてその後どうなったのだろうかということを把握することは、非常に難しいことを要求していくことになるわけです。それがどこまで現実的かという話を申し上げているのです。

河村委員: その辺は、「その他」の中にあります船の清掃です。カキ落としやメンテナンスが燃費に大きく左右しますから、そういうことに留意しましょうというのは非常に良いと思います。

千田座長: 私が申し上げたのは、もっと抽象的な意味です。本来は事業全体として排出を抑える効果がどのくらいあったかということは、本来検証されるべきものです。次に発注するときに、プロポーザルを評価するために、発注者側がノウハウを積み上げておく必要があります。そのため、実際のオペレーションの中で燃費をきちんと把握していくということには意味があるのではないかと思います。

国土交通省: おそらくたくさん船を発注する母体、例えば海上保安庁であるとか、防衛省とか、そういうところはノウハウがありますし、実際にそういうことをフォローしながら次の船はどのように減額しようかということをレビューされていますから全く問題がないです。ただ、例えば地方公共団体を考えると、10年に一度リプレースをする時期に来たというので「さて、どうしようか。」というようなケースは非常に多いと思います。極端な話をすると、10年前に発注した人はもう辞めてしまって、全く状況がわからなくて書類を見つけて、それをたどりながら、また各発注のプロセスをたどるような方々も結構おられるのではないか。あるいは小さなボートで市場に出回っているものを何年ぶりかにまた買うというようなケースが数としてはかなり多くあるのではないかと考えたときに、もちろん勉強していただかないといけないことは事実です。その他に書いてあるところはまさに仰るとおりだとは思いますが、その努力はあるにしても、現実にそういうことができるのかというと、精神規定として書いていくことを否定するものではないですが、現実の問題としてはなかなか厳しいと思います。

事務局: ちょっと話を整理させていただくと、今回規定していることが2つあります。一つが、設計のプロポーザル、もう一つが小型の燃費です。先ほど川上委員からご指摘のあった小型の燃費に関しましては、取り敢えずエンジン単体ということで規定しています。一番良いのは、トータルでオブザーバー(国土交通省)が仰られたような言葉で検証できればよろしいのでしょうが、最低限今回の契約について検証という意味では納入時に担保されるべきことなのかと。一方プロポーザルについては提案をして、例えば何社か応募があった中で敢えて1社としか契約ができないわけですから、他の会社よりも評価されて選定された会社ですので、提案したことがきちんと履行されているのかといったことは、何れにしても説明責任としては出てくるのではないかと思います。それが一番良いのはもちろん実燃費でできることなのでしょうが、建築の場合であれば、一応設計事業者には設計をお願いしたということですから、設計上の理論値として、これぐらいの結果にはなっているはずだということは建築の場合は出していただくというのが一般的ではないかと思います。当然そのあとの建築でも使い方によって全然変わってくるわけです。冷房、暖房を過剰に使えば、建築全体でも当然それだけ環境性能が出ないわけですから、そうではなくて一応設計上、例えば夏の冷房は28℃という発注者が指定した条件に則ってやれば、これぐらいの性能だという理論上のものは提示していただける。少なくともそういう検証は設計が完成した段階などでできるのではないかと思います。

千田座長: 国土交通省が仰ったとおりとは思いますが、一つ私が心配しているのは、例えば自動車にこの制度を導入したら、ある事業所で年間使っていたガソリンをこういう形で契約をした結果、これだけ減ります。建築だと、前の調査だと、消費電力がいくらに減りますみたいな形で出てきます。当然船もどのぐらい効果があったのかというのが求められるのではないかという気がします。ある事業をやったら、それがどういう効果があったかを検証しろという、だからこそ逆に変なデータを出してしまうとまずいのかもしれないですが、そういう試みはそれこそ精神的なものかもしれませんけれども、つまり過去の10年間と後の10年間で運航データが全然違っていたというのもあるので単純比較ができないのだろうと思いますが、逆に言うとそういったことも勘案してある程度、特化していくというのが事業者側にも今後は必要なのかと。それが(1)の準備段階の技術動向の把握に努めるといったことと関連して調達者側が燃費に対する関心を深めて知識を増やしていかないといけないということがあって、そういう意味の精神規定で申し上げました。確かにそんなものを入れると、という話になるかもしれません。

国土交通省: 仰っているとおりだと思いますが、これはいわゆる物の調達という一側面、実際に政府が運航している船がCO2を排出するということをコントロールする意味からすると、一面だけを捉えた話ですから、これだけでどれだけ期待できるのかというのは船のリプレースのペースが非常に遅いですから、効果が少ないというのは当然始めからわかっています。実際にあとどう運航するのかというところが、実は燃料消費量をどれだけ減らせるのか。あるいはCO2の排出をどれだけ減らせるのかということに対しては支配的であって、もちろんこれをやっていくことで、その貢献をどれだけしたのかということが計れると一番いいと思いますが、全体のバランスの中で物を要求していかないと、地方自治体の方々を含めてこういうことにあまり精通しない人にとって、今回導入することにより、重荷を負わせることになることを懸念しています。

桐明委員: これは重たかろうと何であろうと精神規定は入れておかないといけない。なぜかというと、そもそも本件を環境省で始めたのはこういう考え方を広く普及していこうということです。まず一番近くにいる政府、公共団体から始めて、それを一般に広めていくことがそもそもの目的ですから、精神規定ぐらいは載せておいていいのではないかと思います。政府は率先してやらなければいけません。環境負荷低減の意識が民間にずっと広まっていき、世界全体でも環境負荷が少なくなるように。だからやっぱりそういう書き方にはしておかないとまずいのではないですか。最初の趣旨に合わない。できる/できないではなくて、できるように努力する。それが政府の一つの役割でもあります。政府が率先してやる。3行ぐらいでいいから、何か入れてください。

千田座長: それではあとでまた検討していただくとして、資料1に戻ります。特にp.4の書きぶりが、ただいまのような資料2のような内容を踏まえた形で書かれているかどうかについて検証をお願いします。最初にご説明がありましたように、この部分が具体的に実効力を持つ文章になると思います。

藤田委員: 「船舶の調達に当たり概略設計又は基本設計に関する業務を発注する場合は、」、これでよろしいのですか。要するに船舶を調達する場合、そのもの的にはこれは特段よろしいのですか。

事務局: 最初の「・」は設計の部分の系列、設計を出さない場合については、直接該当しません。

千田座長: 類型に分けたときに、概略設計、基本設計を自分たちでやって、建造だけ発注する場合がある。けれども建造の中で省エネをやるのは非常に難しいということなので、今は少なくとも建造だけの場合は除いています。ですから船舶の調達の中でも概略設計又は基本設計に関する業務を発注するということになっています。

藤田委員: 基本設計を自らやって発注する場合には特段いいのですね。その契約は。

事務局: 調達者自らが基本設計をし、建造に関する契約を外注する場合には、最初の文章には該当しないことになります。最初の1行はあくまでも概略設計又は基本設計に関する業務を発注する場合のみは、そういう技術提案で設計者を選定するというような意味合いです。

千田座長: この法律ではそこは見ていないだけで、自分でやる概略設計、基本設計の中にいかに省エネを盛り込むかというのは、この法律でないところではあるかもしれません。言わば発注者が自らきちんと行うということです。これはあくまでも国が契約する場合の行為を縛る部分ですから、自ら設計をやる場合のところはこの法律は関知していない。そうですね。よろしいでしょうか。
 それでは、今いくつかご指摘があって、結論が出たところと出ていないところがあると思いますが、一旦話を整理していただけますでしょうか。

藤田委員: ちょっとすみません。追加で、資料2のp.7の(3)に、評価基準としては、例えば以下が考えられるということで3つあります。1つ目は、特段問題はないと思います。2つ目の省エネ船型であることですが、省エネ船型は他にもいろいろあると思いますが、設計上の省エネ船型に類するところは良いのかということが一つです。それから3つ目はNEDOをやる場合の補助、支援事業のことを言っています。この3つを挙げていますが、評価基準としてはどうでしょうか。むしろ発注する側にお聞きしたいのですが。

千田座長: 私がお答えすべきかどうかわかりませんけれども、私が入れるように提案したところなのでご説明をしますと、1番、2番は発注者側にある程度知識や技術があって判断できないといけないと思いますが、3番目はNEDOが基準を出しておりますので、それを物差しとして借りてくるのも一つの手ではないですかというような意味でここに挙げております。NEDOの事業とは関係ありませんが、NEDOが一つの物差しを提示しておりますので。

藤田委員: 国が発注者になるならばそれほど心配はしないのですが、自治体や大学、高校とかの場合です。例えば高校ですと、水産高校や海洋高校がありますが、ちょっと不安があります。これを基準に持ってこられると、先ほどオブザーバー(国土交通省)が仰ったことと同じ趣旨の話ですが、これはきっと困るのではないかと。

千田座長: ないほうがいいですか。落としてもいいですけれども。

藤田委員: これは極めて具体的なものですから。基準が。数字で出ているので。

国土交通省: 先ほど申し上げましたが、「その他」のところの一番始めにあるように、特に地方自治体で例えば10年に1回ぐらい、あるいは20年に1回ぐらいしか発注購入がないという事例からすると、多分どうしていいかよくわからないということになるのだと思います。そうすると発注先となるかもしれないところにもある程度どのように対応を考えたらいいのかという相談が多分来るのではないか。環境省さんにどうしたらいいのかという質問もあるのかもしれないですが、解説資料を読んだだけでは、よくわからないだろう。そういう意味でまさに最後にあるように、例えば、すでに契約を行った実績のある隣の県に聞いてみるとか、そういう形での対応が現実的には必要になってくるのだろうと思います。

千田座長: 例えば発注者が具体的にどういうものを省エネだとみたらいいのかというときに、事業者側がNEDOの基準を満たしている旨説明すると、公的なところが認めているのだったらいいかというのも一つの判断かなと。つまり独創性や実現性、的確性が自分で判断できる人は良いですが、そうではない人に何か物差しがいるのではないでしょうかということで、例えばというものです。

藤田委員: そうですね。そこでうまく、例えば都道府県取締船ですと、どんどん漁船が早くなっていて、代船検査のときは必ず早くしないと役に立たない場合が往々にしてあるわけです。そこに数値で入れられると現実に不可能になってしまう。そういう面でいろいろお聞きになれば、何とかそういうところは・・・。

千田座長: 発注者側が何か省エネを入れないといけないのですから、何をもって省エネとするかという拠り所が一つぐらいないといけないという心配をしたということです。これである必要はないですけれども、困ったときにはこういうものもありますよということです。

藤田委員: そういうものとして認識すればよろしいですかね。

事務局: これは基本的に例であるということと、あとは評価基準ということですので、達成できていないことをもって直ちに失格だとか、無効だということではなくて、達成できている度合いに応じて、例えば評価を変えていこうということです。達成できていないことをもって、絶対に選ばれないという意味ではないと思います。

海上保安庁: 今の環境配慮型船舶プロポーザル方式の基準のところでご懸念を仰っていただきましたが、実はもう一つ小型船舶のエンジンの燃費の基準のあり方も読んでいて悩ましく思っています。燃費の基準を設定しないといけません。今あるのが、日本舟艇工業会さんがもたれている自主規制と、農林水産省さんがもたれている燃費消費率や排出ガスです。海上保安庁で発注する小型船舶には、船外機もあれば、船内機もあります。その中で直ちに漁船用の船外機の基準が使えるのか、わからないことだらけです。単純に何も考えずに、これを使っていいですよと言っていただけるならすごくありがたいと思っているのですが、そこを発注者で考えろと仰られれば、1月に閣議決定をして4月1日の運用までに時間が短くて本当にできるのかというところを悩ましく思っています。

鈴木委員: メーカーから言うと、海洋水産システム協会さんの基準へは、一部のディーゼルエンジンは適合できていません。従って、今回これが適用されると採用できないエンジンが何割かはあります。船外機もほぼ同じ状態です。当然ある程度の基準ですから全部通っている基準は意味がないわけで、今まで10モデルがあったのが7つぐらいしか、選択肢がなくなるというのが実態だと思います。あとは先ほど小型船の定義が20トンとされましたので、20トン以下船舶搭載エンジンについてはその基準に適合している中から選んでいただくか、使用目的などによりどうしてもそれではだめだと言うのであれば、各メーカーへ個別に御相談頂きたいと思います。

海上保安庁: 基準を作るときには、過去の前のものをベースに考えるという方法と、もう一つは全体を見て基準を作るという2種類が考えられます。他の方法もあると思いますが。そのときに、我々として説明責任が最後に問われると思います。なぜこの基準を採用したのかと言われたときに、こういう背景があってこの基準ができましたというところが説明できないと、最後に我々調達者が問われることになります。農水省さんの基準を採用するにしても、中身をわかっていないと説明ができないというところがあり、今般の運用に際し、時間が短いということを懸念しているということを発言させていただきました。

千田座長: おそらく燃費基準の難しいところはどこに基準を引くかというのが一つあると思います。もう一つはその基準に合格しているかどうかのデータの信頼性をどこで確保するかという点です。例えば漁船の場合は、データが信頼できるかということに関して、事業者さんも納得されたデータとして、合格、不合格が公開されていると理解しています。こういうエンジンはこれぐらいの基準であるべきだという基準を設定するのは自由にできますが、それに本当に合格しているかどうかの試験をどこでどうやるかというのがもう一つの大きな問題です。つまり、メーカーが出してこられるデータをそのまま受け取っていいのかという問題です。それが一応クリアされているというのがこの資料の意味だと私は理解しています。ここに出ているものは、事業者さんが、うちのエンジンはだめだけれども、他社のエンジンならOKとなっていることを含めて一応理解されていると思います。海上保安庁さんが自分で基準を設定されるなら、基準のあり方とともに、エンジンのテストを全部海上保安庁でやるとか、第三者機関にやらせるのだったらいいのですが、そうでないとそこのところが難しい。だから燃費と簡単に言うけれども、結構難しいと思います。ただ、一つでも今までの試験されているものがあるので、これを使えば可能ではないかということで採用しております。
 それでは、まだちょっとご意見があるかもしれませんが、要検討になっている箇所について一度まとめていただけますでしょうか。

事務局: それでは、資料2を使いまして、今後修正等を検討していく場所をもう一度確認したいと思います。
 p.4の「2-1」で上の2項目が両方適用になる場合、これでそう読めるのかどうかということで、文言を考えたいと思います。
 p.10の排気ガスという言葉が正しい用語であるかどうか、改めて確認をしたいと思います。
 それからp.10の下にある例の部分です。80kW以下ということであまり現実的な数字でないということで、70~80kWという具体的なところで設定をして例を表すということに修正したいと思います。
 それから書く位置がp.11でよろしいかどうかもありますが、こういう調達をしたことについてフォローアップというか、どれぐらい仕組みができたのかを把握できたほうが良いというのはなるべく抽象的な表現でどこかに一応入れていくということ。
 p.12の4の総トン数と定員を伏せるという形にする。以上5点かと思います。

藤田委員: 先ほど触れたp.4についても、もしよろしければご検討をいただきたいのですが。「知見を持った」というのは、ただ知見を具体化したとか、何か、要するに先ほど仰ったのはプロポーザルに反映したという意味ですよね。

事務局: 設計事業者を選定する時点では、まだ設計を行っていただいていないので具現化するというよりはきちんとした線を残してくれるであろうということで知見を持ったという表現です。

藤田委員: 先ほどと同じ質問をしますが、その知見を持ったというのは、何をもって知見を持ったと判断するのか。

事務局: 知見を持ったというのは、応募者の皆さんで技術提案を競争していただいた中で一番評価を得た方が知見を持った方だということです。

藤田委員: そうなるとプロポーザルの中身にその知見が現れていないとできませんね。

事務局: それはあとで現れます。事業者を選定する時点ではまだ現れていないということです。技術提案と設計をされたものというのは、一応別なものということです。

藤田委員: 私が混乱をさせているのかもしれませんが。p.6で行きますと、例えば書いてあることはどこに当たる部分になりますか。

事務局: ここに書いてあることは、概略設計の契約、もしくは基本設計の契約です。選ぶ際に出していただく書類の中で表現できる範囲で競争していただきます。

藤田委員: そこにこういう知見を具体化した人を選定するという意味ではないですか。その持ったという意味は。

事務局: ただ全て設計が終わったあとで、ここに書いてあることは具体化されるものです。

藤田委員: それを具体化するためには、そのときの、はっきり言うとコンペにこういうものを書いておくこと。要するに知見を持ったというのは、普通ですと資格を持ったとかですが、資格制度がはっきりしていないでしょう。

事務局: コンペとこのプロ―ポーザルは厳密に違うものです。

藤田委員: もちろん違います。今のはわかりやすく言っただけの話ですが、この知見を持ったという意味が何なのかというのが先ほど質問した内容です。

事務局: 知見という言葉がどうかということがありますが、技術力とか、ノウハウとか、そういう言葉を使ったりしますけれども。

藤田委員: そうですね。特段その技術力を持ったというのは、何か客観的仕様で仰っているわけではないのですか。

事務局: この言葉だけで客観的仕様を持っているわけではないですが、その契約ごとに定めている環境配慮に関する技術提案について一番優れたものを出したということです。

藤田委員: そういうことですね。その辺を実は先ほど確認したつもりだったのですが。もう一度確認になりますけれども、ここの知見を持った設計事業者というのは、そういう意味と解釈して構わないですね。

事務局: そうです。

藤田委員: それからp.7です。直前に議論したことです。評価基準の例としてだめだというわけではないですが、特に3番目のNEDOのところは具体的であるがためにちょっと不安要因があります。特にこれを参考にされる方がたくさん出てくると思います。検討していただけるならありがたいのですが。

事務局: 例えば、「一例として」と入れるなどですが。上の2つは、評価する側にも技術力が求められるということですので、NEDOの省エネ評価基準のようにわかりやすいのができていれば、例えば10点満点の10点がいて、8割ぐらいできている人は8割の点数が入るとか。ある程度評価が行いやすいのであろうということで例示しているものですから、もう少し例示だということが伝わるように書き加えるかですが。

藤田委員: 要するに国の船にしろ、都道府県の船にしろ、このNEDOの対象にしているのは、どれだけの大きさのものをどれだけ運ぶかという観点の船ではないものがほとんどですから、そうなるとこれを当てはめた場合にいろいろな支障が生じやしないかということです。

千田座長: 具体的に言うと、例えばNEDOの中に、省エネを付加するには、プロペラの周りに何かをつけるというのがあったように思いますが、NEDOの省エネ評価基準にあるからという理由でそれを満たせば省エネとみなすという判断を発注者側がするというようなイメージを持っています。

藤田委員: そういうのもあります。例えばここに枠組みで10%と書いてあります。

千田座長: 1%、10%ということであるよりは、NEDOで認められた技術ですといったことをアピールできるようにしてはどうかということです。つまり発注者側に判断ができない場合に何をもって判断をするかという材料に使ってもいいのではないか。何も拠り所がないと、発注者側で省エネの判断ができない可能性があるということのほうが心配です。逆にそこに挙がっていないものが排除されるとかいったふうに使われるとそれは目的とはちょっと違います。

藤田委員: 私がさっき言ったように、政府関係に関しては、それほど心配していないですが、都道府県、あるいはその他の機関がこれを準拠してやる場合に、多分NEDOの省エネ評価基準を満足しないと採用しないといったときにちょっと困った事態が起きないかと。そういうふうな判断をしたときに、実際には先ほどちょっと言いましたけれども、例えば取締船ですと35ノットなら35ノットを出すというような性能を要求し、一方でNEDOの省エネ評価基準を満足することが現実的に不可能なのだということがあり得るのではないか。それを知らずにやってしまうと、何が起きるかというと、結果として船を入手したときに、えらく違うではないかということになりかねないかという心配をしたのですが。他の皆さんのご意見をお聞きしたいのですが。

千田座長: 発注者の側に全く技術力がない場合に、他の仕様を満たすのに精一杯で省エネを入れる余地がないということもあるのではないですか。

藤田委員: 省エネは入れる余地がありますが、それが場合によってはどの程度入れるかというところで、実際に要求される仕様とマッチングできない場合があるのではなかろうか。そういうときにここまではできるか、ここまではできないという線があるはずですから、そのときに一つの具体的な基準を挙げると、これを満たさないことをもってだめなんだという考えをされても、その予算の中では実際にはそれは実現できないわけです。そういうことがあり得るのではないか。あるいは非常に高くなってしまうとか。そいう心配をしなくていいのか。例としては構わないですが。

千田座長: これはプロポーザルなので、発注者がNEDOを根拠にこれを入れろというのではなくて、むしろ事業者側が発注者側に対して、「これは省エネ技術です。」と説明をするのに、「NEDOにも対応するものです。」と説明できるのではないか。

桐明委員: 発注者の話と予算の話は別な話でしょう。予算があるからいろいろ入れられる、入れられないということではないはず。予算が取れないのに入れようとしないでしょう。千田座長も仰るように、やはり何かがないと困るから、拠り所として物差しとして例示したと入れておけばいい。

千田座長: いきなりNEDOが出てくるのではなくて、誤解のないように何かを入れましょう。ちょっと考えてみます。

藤田委員: すみません。お願いします。

千田座長: それでは一応ご意見をいただきまして、そろそろお時間になってしまいました。今日は、それぞれの具体的な修正は難しいと思いますので宿題にさせていただきたいと思います。これ以降につきましては、事務局と相談いたしまして今日のご意見を踏まえて修正をさせていただきます。事前に皆さんにメールでお送りできるかと思いますが、検討会が迫っておりますのでやり取りをして合意を得るという時間はありませんので、基本的にはお任せいただきたいと思います。

それでは、以上で本日の基本方針と解説資料の議論を終了したいと思います。今後につきまして事務局からお願いします。

(2)その他

事務局: 今日はいろいろ活発なご議論をいただきましてありがとうございました。本日いただきましたご意見を踏まえまして、このあと千田座長といろいろ協議等をしまして修正した資料1の基本方針(案)、それから資料2の解説資料(案)を12月1日に行われます親検討会に諮りたいと考えております。検討会で意見を反映させた上で、さらにパブリックコメントを実施いたします。そのあと閣議決定をされる予定です。今年度のワーキンググループは本日で終了いたしますけれども、全体を考えたときに、まだまだ多くの課題が残されていると考えています。来年度以降もワーキンググループという形になるか、現時点では未定ですが、検討を続けて行きたいとは考えていますので、皆様方にご協力をお願いすることもあろうかと思います。その際には何卒よろしくお願い申し上げます。以上です。

千田座長: それではこれをもちまして、今年度の環境配慮契約法基本方針検討会船舶ワーキンググループを終了させていただきたいと思います。皆様のご協力で案を作ることができました。検討会でどうなるか、また大きな宿題を背負ってくるかもしれませんが、取り敢えずいただきました案を基に説明をしてまいりたいと思います。大変どうもありがとうございました。

以上