環境配慮契約法基本方針検討会 船舶懇談会(第1回)議事録

出席委員:
石井委員、石渡委員、内野委員、出口氏(河村委員代理)、桐明委員、鈴木委員、瀬川委員、千田委員(座長)、塚本委員、遠山委員、藤田委員、三村委員(五十音順、敬称略)

日時

平成21年1月21日(水) 10時00分~12時00分

場所

三田共用会議所3階D・E会議室

1.開会

事務局 :本日はお忙しい中ご参集いただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成20年度環境配慮契約法基本方針検討会船舶懇談会第1回を開催いたします。会議に先立ちまして環境省小林総合環境政策局長よりご挨拶申し上げます。

2.あいさつ

小林局長:今ご紹介に預かりました環境省の総合環境政策局長をしております小林でございます。本日は大変お忙しい中ご出席いただきまして、またこの船舶懇談会へのご参画をご承認いただきまして誠にありがとうございます。またこの席をお借りしてでございますけれども、平素より環境行政の推進にあたりましては大きなご理解、そしてご協力、ご支援いただいていることに厚く御礼を申し上げます。
今回は環境配慮契約法基本方針検討会の船舶懇談会でございます。船舶は輸送手段として見ますと大変環境負荷が少ないものということで、私どもとしてはその活用を非常に歓迎しているところでございます。重要な輸送手段としてこれからも大きな役割を担っていただくことになるものでございます。
そうした中、この環境配慮契約法でございますけれども、これは議員立法でございます。私はずっと議員さん方のお手伝いをして法律をまとめるところを承知しておりますけれども、お手元にあります資料のとおりで、すでに1年間施行されたということでございます。そして環境配慮契約ということで、例えば自動車も価格だけでなく環境性能を含めて選ぶ、あるいは電力も同じでございまして、CO2を沢山出して発電した電力は得てして安く、その電力が市場に選ばれてしまうとCO2が増えてしまうというようなこともございます。そういった電力の排出係数といったようなものも勘案して、国民にとって本当に得なものを選べるというのがこの環境配慮契約法の特長でございます。
建築というのも1つの対象でございますけれども、建築はきちんと環境配慮されたものとして設計されますと環境負荷も減っていく、こういうことでございます。しかし設計にあたりまして知恵をきちっと発揮していただかないといけないわけでありまして、例えて言えば安く治療してくれるお医者さんを選ぶ人はあまりいなくて、やはりきちっと治してくれるお医者さんを選ぶのが普通のセンスだと思いますが、そうした普通のセンスに従って、政府が国民の利益になるものを買っていけるようにしようということで、建築についてもプロポーザルということで価格競争ではなく設計の発注をするというようなことも決めているわけでございます。
時あたかもオバマさんが大統領ということでございますが、世界中グリーン・ニューディール、環境に配慮した製品で経済を発展させていく、そういう環境経済大競争の時代に入ったわけでございますが、そういう中でやはり環境に優れた製品が市場で選ばれる。そういう中で大きな調達者でありますところの政府におきましてもそういう心構えでやっていかないと、世界の環境経済大競争に負けてしまうことになると思います。そういう意味でこの環境配慮契約法は非常に重要なツールだと考えてございます。
船舶でございますけれども、もともと環境負荷の大変少ない重要なものだと認識をしておりますが、その設計は政府の能力が優れておりまして内製しているものも大変多いと承知もしてございますが、他方、設計を外製している例というのもあるわけでございまして、そうした場合には価格の競争ということで設計が決められてしまっているというようなことも仄聞するところでございます。しかし先ほど申し上げたような文脈で、より環境性能が優れた設計ができる、そういった知恵が評価できるような契約、価格だけでない契約に徐々に移行していくことが望ましいのではないかなと考えてございまして、そういったことがどうしたら可能になってくるのか、ぜひ委員のみなさま方におかれましては忌憚のない活発なご議論をいただければ大変ありがたいと考えてございます。環境経済大競争の時代でございます。船舶もその一翼を担えるようにお力添えを賜れば大変ありがたいと、考えてございます。
なお、環境経済大競争ということで、今並行して会議が沢山開かれておりまして、私これからそちらの方にも行かなくてはいけないということがございますので途中退席となろうかと思いますが、この懇談会の成功に向けてお力添えを賜りますよう御礼を申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。本日は本当にお忙しい中、ご参画を賜りありがとうございました。

事務局 :委員紹介(省略)

3.座長あいさつ

千田座長:それでは司会をさせていただきたいと思います。海上技術安全研究所の千田でございます。よろしくお願いいたします。最初に一言だけご挨拶申し上げますけれども、この会議の趣旨は先ほど小林局長からもお話がありましたように、政府調達の中の環境負荷をできるだけ減らすという中で、船舶というものの環境負荷を減らすにはどういう工夫ができるかというところが使命かと思います。このCO2の問題は、数ある環境問題の中で今一番重視されていると思いますけれども、ひとつ特徴的なのは、船の場合、結構、経済原則と合うという側面があるということだと思います。大抵の環境問題は相反するものが多いのですがこれは比較的相性がいい。しかしながらそれでもまだやはり経済原則に乗り切らないものがあるというところがこの契約の問題かと思います。船舶の場合は他のものに比べまして非常に難しい問題があって、例えば一品一品が個別の注文生産、いわゆる型式的な評価ができない。あるいは評価の指標そのものがまだ十分ではないといった問題があって難しいのですが、逆に難しいからこういう懇談会が開かれたと理解しております。難しいというと止まってしまいますので、できるだけ前向きに大きな目標に向かって何らかの結論を出せるようにご議論をお願いしたいと思います。
それでは議事に入ります前に事務局から今日の議事予定、あるいは必要事項等ありましたらお願いいたします。

事務局 :本日の議事予定でございますが、本日の会議は12時までの2時間を予定してございます。ただ自由闊達なご議論をしていただきたいと考えてございますので、多少時間が延びる可能性がありますことを予めご了承いただきたいと思います。今後のスケジュールに関しましては、来週27日に環境配慮契約法基本方針検討会の第3回が行われます。今年度最後の親検討会になります。本日の懇談会の議論の結果をこの親検討会にご報告いたします。途中経過になるかもしれませんが、今年度の船舶懇談会は本日で最後でございます。

4.議事

千田座長:それでは議事に入らせていただきますが、すでに十分ご承知の方もいらっしゃるかとは思いますけれども、環境配慮契約法の趣旨ですとかあるいは今回の船舶に関する検討の背景について、事務局から簡潔にご説明をお願いしようかと思います。よろしくお願いします。

環境省(辻):資料説明(省略)

千田座長:それでは次に国等の機関の現状ということで資料3、国等における船舶の保有及び調達に関する現状についてと、国等の機関においてどのような契約方式が現に取られているのかということで参考1、国等の機関における契約方式について事務局からご説明をお願いいたします。

環境省(辻):資料説明(省略)

千田座長:ありがとうございました。かなり核心部分に入ってまいりまして、まず現状がどうなっているか、あるいはどういう選択肢があるかという趣旨だったと思います。資料3とその関連する参考資料のご説明でしたが、この件に関してご質問はございますか。よろしゅうございますか。

遠山委員:意見よろしいでしょうか。資料3の4ページ、単純ミスだと思いますが、表2でうちのセンターの船舶の種類のところに取締船というのがございますが、当センターでは取締船はございませんのでこれは削除していただければと思います。それから隻数でございますが、これはいつ現在の表なのかわかりませんが、19年度末で1隻減船しておりますので20年4月1日以降の表でしたらこれは9隻になります。
それから5ページ目で設計・建造のフローが書かれているのですが、当方の例で恐縮なのですが、建造計画の立案の時に予算がいくらになるかという積算をやるのですが、その積算をやるにあたって基本設計のところで書かれているような項目、航行区域とか大きさ、エンジンの出力とかそういったお金に反映されるようなものというのは大体ここで決めてしまうと。ですから基本設計で書かれているような項目は大体建造計画の立案のところで決まると。予算が要求どおりに付きますとそのまま基本設計に移っていく、それで最終的に仕様書を作ると。ただ予算が減額される場合がございますので、減額された場合はこの基本設計のところで、減額の額にもよりますが、最初からやり直しということになろうかと思います。そこが若干注意がいるのかなと思います。資料3については以上でございます。

千田座長:まず4ページの修正はよろしいですか。

事務局 :はい。ありがとうございます。失礼いたしました。

千田座長:5ページはこれをどう書き直せばいいですか。

遠山委員:いえ、そういう注意をしていただければ。

千田座長:おっしゃった趣旨はよくわかるのですが、おそらくこの建造計画の中にはそういったものが一通り含まれており、基本設計はこの中身を具体的に決めていくという趣旨で書かれているのかなと思います。

遠山委員:基本設計の目的は最終的には仕様書を作るためだと思います。

千田座長:今のお話で場合によってはここを修正するということでよろしいですか。では他に何かございますか。

石渡委員:自動車とか建築とか契約方法を比べているのですが、船の場合に一番違うのは船台で船を造るということで、ですから船台繰りが合わなければできません。官庁の船を造る際に最も苦労するのは、予算が通ってそれから入札、それで取れないとその船台の仕事がないわけです。ですから単年度の仕事というのは造船所は非常に苦労します。いろいろな船を入れてある程度取れた時でも無理矢理に入れられるような体制を作っておかなければなかなか仕事に参加することができません。今、大手造船は3年から4年の手持ち事業があります。これは船台繰りで3年、4年間、仕事が計画生産的にできるということです。小型艇の場合、アルミの溶接工といった部分的な仕事の専門職は、例えば30メートルの船を請負い、3ヶ月から4ヶ月で仕事が終わり、その次の仕事がないと遊んでしまいます。ですから造船所としては船台繰りで続けて仕事をするというかたちがないと船が安くできません。
また、この案件を取れないと工賃が払えないというような時にかなり安く入札して取るというような業者がいると、官庁の場合は次の年からそれが予算に反映されてしまい、今度は応札する事業者がいないというケースが出てくるわけです。
今まで船台に関する配慮というのは全然されておらず、ただ官庁が予算を取って官報に載せて一般競争入札をやれば造船所はどこでも喜んで仕事をやれるという仮定に立っています。建築でしたらその場所で作ることができますが、船の場合は船台で造ります。船台繰りが合わないといくら官庁の船の案件があっても無理ですので、船の場合、そういう特殊な配慮が必要だと思います。

千田座長:ありがとうございました。資料3は調達の現状ということなので、実際の造船所の現状ということも挙げていただければと思います。他によろしいですか。

国土交通省(坂下課長):今、石渡委員からあったお話を補足的にご説明いたしますと、一品ごとの受注生産をしている業態様式でありまして、事業者によって年間に建造している船の数というのは年間1、2隻しか造らないところから50隻くらい造るような造船所もあるのですが、いずれにしてもこの発注量が世の中の景気変動によって大きく変動しますので、事業者は大体2年間分くらいの仕事量を抱えながら、要は先の注文を抱えながらその事業をオペレートしていくというようなかたちで運用していくような事業となっておりますがゆえに、契約を取る際に当然生産能力、船台繰りとおっしゃいましたが、どの時期にこの船を造る計画にしようかという、将来を考えていく上で、官公庁船もあれば一般の商船もあり、その中でやり繰りをしながら受注されておられるという中で、国の契約は比較的短い時間の中でいろいろ対応していかなければいけないという特性があるがゆえに、その点にも配慮した契約の仕方を考えるべきではないかというご意見であったのかと思います。よろしかったでしょうか。

石渡委員:はい。ありがとうございます。

国土交通省(坂下課長):もう一点、参考資料1で自動車との比較のご説明をいただいたのですが、参考1の14ページで、3点ほど国における船舶の調達契約と自動車の購入契約の対比を整理をいただいてご説明をいただいたのですが、これは警察でお使いになるパトカー等の緊急自動車の類もこの環境配慮契約法に基づく調達方式で調達されているのかどうか教えていただければありがたいと思います。

環境省(辻):ご質問ですが、警察庁のパトカーは環境配慮契約法基本方針に基づいて総合評価することはしておりません。最高速度等、他に非常に重要で確保しなくてはいけない要素がある中で総合評価を行うとそれらの要素が適切に確保できず、通常の業務に支障がでてしまいますので、そういったかたちを取っています。

国土交通省(坂下課長):ありがとうございました。あと一点大きく違うのかなと感じましたのは、国が使用している車といいますのは、パトカーなどを除くと基本的には何かを運ぶヴィークルとして使われているかと思います。他方、国が使う船舶というのは、人をどこかに連れて行く、あるいは業務上必要なものをA地点からB地点まで運ぶというよりは、船を動かすこと自体が何らかの業務実施になっているという点において車と使われ方の性質がかなり違うのではないかという気がいたします。これからいろいろご議論いただく必要があると思うのですが、その違いにもやはり配慮がいるのではないかと感じましたのでご指摘をさせていただきました。ありがとうございました。

千田座長:ありがとうございました。

藤田委員:先ほどのご意見とまったく同じ考えで、参考1の14ページなのですが、例えば漁業調査船とか取締船というのはどのように設計するかで費用が全く変わってしまいます。もちろんそれは仕様書に反映されているわけですが、そこのところの評価、単に物を運ぶだけの評価ではなくて、そこは非常に大事なので、その辺は当然この書かれた中に入っていると思いますので、老婆心ですが先ほどのご意見に賛成する意味で申しあげます。

千田座長:ありがとうございます。

石渡委員:ただ一般競争入札といっても、漁業取締船などの場合は実績がある業者でないと参加はできません。また、警察庁のアルミ艇などは、今、官報公示していますが、40ノット以上の実績がある造船所でなければ参加できません。一般競争入札でもいろいろな縛りがあるのが実情です。

千田座長:はい。ありがとうございました。現在の国の調達の現状については若干補足をするようにします。

環境省(原田):補足で説明をさせていただきますが、建築物の設計においても環境配慮だけをテーマにしているわけではなく、当然ですが、他にも機能を満たさなければ何も役に立ちませんので、それらをすべて議論した上で、おそらくこれから重要性が高い項目でありますので、環境配慮も加味をしていこうという趣旨ですので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。

千田座長:たぶん誤解をされているのではなくて、ちょっと読み取りにくいということをおっしゃっていると思います。
それではまた何かございましたら後で補足していただくとしまして、資料4、これが今日のもうひとつのテーマだと思いますけれども、委員ヒアリングにおける意見・指摘事項及び検討内容(案)についてご説明をいただきたいと思います。これに関連していくつかの参考資料についてもご説明をお願いします。

環境省(辻):資料説明(省略)

千田座長:ありがとうございます。参考資料3は水産総合研究センターの事例ですので遠山委員から何か補足説明がありましたらお願いします。

遠山委員:この資料ですが、当方で現在、建造しようとしています陽光丸、大体690トンの船なのですが、この仕様書を作るに当たってプロポーザル方式で実施したということでございます。環境性能の話が来る前に実施したものですから特に環境面を意識して実施したわけではありません。独立行政法人ですので今後運営費がどんどん減らされていくという中にあって、船にかなりお金がかかるということでコストを削減しなくてはいけない、その一連でコスト削減の中での省エネとして実施したということでございます。
企画提案を求めまして、実際に提案があったのが参考3の2ページに挙げていますが、ここを見ていただきますとわかりますとおり、ほとんどがコストに関することになっています。この中で省エネに関することは3ページの[2]にあるのですが、PBCF、プロペラボスにフィンを付けることによって5%程度削減ができるという提案、これが省エネに対する提案となっています。装備としてはこういうものを付けるのですが、その後、建造委員会でコンサルも入れて仕様書を検討して、最終的に資料の「6.」のような省エネ性能を仕様書で記載したということでございます。以上、参考までに。

千田座長:ありがとうございます。それから参考4と5について、もし国土交通省から何かありましたらお願いします。

国土交通省(坂下課長):現在、船につきましては一品ごとの受注生産ということもあるのですが、特に大型の商船では建造の契約を結ぶ時に、いわゆる平水、波も風もない静かな海面で船を建造時造った際に何ノットのスピードが出ますということを基準にして仕様どおりに船ができたかどうか、実物の判定をやっているというのが現状でございます。従って、実際には船は、特に貨物を運ぶ船は空荷であったり荷物をフルに積載をしたり、さらに風があったり波があったりという状況の中で実際に船を走らせるということで、建造した時に確認したスピードなり燃費が実際に船を運航する上での燃費とは必ずしも一致しないという問題がございます。そうは言いながら船舶についてもCO2の削減を図っていこうということで、国際貿易に従事している船舶については京都議定書の枠組みが適用されないかたちになっておりまして、国際的なルールもないという状況になっていますので、これはいち早く確立しようということで、参考5に国際的な条約作りの状況もご説明しておりますが、その国際的な枠組み作りの中のひとつの柱、これは新しい船をエネルギー効率の良い船に代替をしていくことが世界全体の海運から出るCO2を削減する究極の手段なわけですが、それを推し進めていく上で物差しがいるのではないかということで、我が国が国際海事機関という国連の専門機関に提案をして現在検討が進められているものでございます。
今回、政府調達の関係でこれについて今後どういう適用の可能性があるかを考えていくための資料にしていただいておりますが、この指標自身は貨物船、つまり、油や鉄鉱石、石炭を運ぶ船を想定しておりますので、1トンの貨物を1マイル運ぶのにどれくらいのCO2を排出するのかを計算する指標になってございます。先ほど議論がありましたように物を運ぶヴィークルではないということを考えますと、少し貨物船とは違う考慮要素を入れた上でこういったものが適用できるのかどうかを検討していく必要があると感じてございます。
また大型船と若干異なる小型船の分野もございまして、今日は舟艇工業会から内野委員にも参加いただいておりますが、いわゆる一品ごとの受注生産とは少し違うもので、一品ごとの受注生産をする船は受注するとその船の性能をきちんと確認するために実際に模型を作って水槽で行う曳航試験等の非常に多大な労力、リソースをつぎ込んで所定の性能を確保するという作業をするわけですが、小型船の場合は必ずしもそのような船の設計、建造のプロセスが当てはまるわけではないという分野もございます。そのような分野にはこの方式はすぐには当てはめることが事業の運営上難しいだろうと感じるところもございますので、そのような分野については某かの指標を考えていくということになりますと、もう少しさらなるアイデアと工夫が必要になってくるという部分が若干あろうかと考えてございます。以上です。

千田座長:ありがとうございます。それでは資料のご説明と事務局からの核になるところですが、資料3の現状に基づいて資料4のような検討内容の案をお示しいただきました。今から、もうあまり時間がないのですが、活発なご議論をお願いできればと思います。特にどこからということは決めませんが何かご意見があるところから。

三村委員:遠山委員に質問したいのですが、公募で企画提案を求めていますが、この公募に企画を提案した造船所があって、その造船所が入札した時に提案したものに対して何らかの評価を船価的に与えられているのかどうか。一番の問題は、造船所が企画提案をしてもそれが正当に評価されないと、みんなスペックの中にノウハウを出してしまって、それが一般に競争入札されることにより自分のノウハウが全部外に出てしまう、何の得もしないという状況に陥ります。技術提案ということに対してそれが正当に評価されないと造船所としては出す立場に至らないという問題点があるので、これをどうしたらよいのかお聞きしたいと思います。

遠山委員:これに関しては特に造船所を想定しておらず、いわゆるコンサル業者を想定していますので少し違うと思います。

三村委員:わかりました。

国土交通省(坂下課長):今、三村委員からご質問があった件なのですが、それはいわゆる基本計画といったものをプロポーザル方式で作成することを想定した時に、最後の受注に結びつくのかわからないところに自社の技術的なノウハウをわざわざ出す社はないということをご指摘いただいているという理解でよろしいですか。

三村委員:もし、そうするとなるならばそれについてきちんと評価して欲しい。価格の面で。そうしないと造船所としては非常に出しづらいということです。

千田座長:ありがとうございます。今の意見はプロポーザル方式で、たぶん基本設計と建造とが別々になっている場合に起きるということですね。

国土交通省(坂下課長):同じ国土交通省の中で私が聞くのも変な感じもするのですが、特に建設分野でプロポーザル方式の導入がどんどんなされていて、建物の計画の中で省エネに配慮したものをどんどん建てていこうということで取り組んでおられる。
今、お話にあったように造船業界は、設計コンサルタントというか技術コンサルタントビジネスというものがあまり発達していない産業分野かと思います。従って発注主からのスペックの提示、こういう大きさでこれくらいのスピードでこれくらい走れる船を造って欲しいという入札に際しての提示があって、それに対して価格及び技術ノウハウを含めてこういう船を造るんだということで応札をされて、結果としてその船を建造するというところまで含めてビジネスとして契約が成立するというかたちに今なっているわけです。
他方、建設分野では、おそらく基本計画というか基本設計部分を担当する人と、実際にそれに基づいて建物を建築する事業者が二つに完全に分かれて全体が回っている。そういう世界と同じ当てはめ方は難しいというか、ダイレクトにはなかなかいきにくいのは三村委員からもお話があったとおりだと思います。だからどうしていかなければいけないのか考えていかなければならないと思いますが、私ども国土交通省海事局もCO2を削減する取り組みを、海運ビジネスの分野でも進めていただこうということで取り組んでおりますので、当然国の中でもできることは前向きにやっていかなければいけないという姿勢でこの検討会にも臨ませていただいているのですが、他方、産業界の実情も上手く考えながら、問題のないかたちとしてどういうものがあるかということをぜひこの場で検討していっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

環境省(原田補佐):お答えできる範囲でお答えさせていただきますと、建設分野は確かにご指摘のとおりです。設計コンサルタントと建設するゼネコンがかなり分かれている分野であります。ただしゼネコンが固有に持っている技術にはほとんどのものに特許がかかっておりますので、一般的には設計の時点で採用することは非常に難しいので、スペックをどのように上手く書いて、そういう技術を活用していける状態に書き落としていけるのか、上手く工夫をして組み込める枠を確保していくのかというのが問題になるかと思います。その上で、資料でも付けさせていただいたのですが、VE提案などを受けられるような枠組みを使ってその優位性、優れた技術を持っているところに対して優位性を付していくなどの工夫をしていく余地があるのではないかと思います。確かに非常に難しい、数社が優位性を持っている技術だけれどもものすごく性能の高いものの可能性がある場合には、そういう工夫などもしておりますので、おそらくそういう何らかの工夫をしていかないと上手く推進力を与えることができないのではないかと考えております。

千田座長:今日必ずしも明確な結論をということではないと思いますので自由にお願いします。

石井委員:今コンサルタントという話がございましたが、私どももコンサルタントをやっております関係でその立場から意見を述べさせていただきます。
大きな目的といたしましては地球温暖化に対するCO2の排出量抑制と考えます。船舶に関わる排出ガスというのは3つございまして、一番大きいのはCO2でございますけれども、次にNOx、(窒素酸化物)、3つ目としてSox(硫黄酸化物)がございます。先ほど坂下課長からもCO2についてはこれからという話がございましたが、今IMOで基準があるのはNOxのみでございます。これは第一次と第二次というのがございまして、第一次がすでに発効しており、各エンジンメーカーは数値をクリアーするために研究を重ねておられると聞いております。
CO2抑制は燃費の向上ということとなりますが、これに関係するのは船型と主機のみと考えていただいていいと思います。主機関の選定につきましては、基準をクリアーする特定のエンジン、それが1社しかないのあれば仕方ないのですが、基準以上の実力を持ったエンジンが複数あれば選択肢が広がり、仕様書には比較的一般的な仕様の記載となります。先ほど建築のお話がございましたけれども、各造船所もエンジンメーカーも特許を持っておられまして、それをどう書くかというのはコンサルタントとしては非常に腐心をするところでございます。このような状況を踏まえまして、適正な価格に反映され得る仕様をどう書くかというのを今後とも検討していきたいと思っております。

千田座長:ありがとうございました。いかがでしょうか。

桐明委員:ひとつ官庁の方にお願いしたいのは、環境に配慮した調達を前提とした予算を確保していただきたいということです。現状運用されている予算はかなりきつくなっていると聞いておりますので、変なやり方をしたら自分で自分の首を絞めていくことになっていくわけです。だけどこの場で議論していることは、地球規模の話をしているわけですから、財務省もその辺を配慮した予算査定をする必要があると思います。CO2排出削減に関するプロポーザルを出す予算は別枠で設け、その上で価格競争するということが大事だと思います。お互いWin-Winでいかなくては長続きしません。税金を適正に使わなければいけないという立場はあるわけですが、船舶は長い間使うわけですから初期投資が高くても、たとえば20年の使用年数を考えた時に、メンテナンスや運航で安くできれば使用期間トータルでも安くすることが可能です。その辺を配慮するようなかたちで適正な予算を取っていただかないと、下手に提案をすればある決まった予算の中で自分の首を絞めるという話になるので、そういうことを回避する、何かいい制度はないのかなと思います。現行の会計法上では非常に難しそうではありますが、問題が問題だけにやはり知恵を絞りながらやっていかないとこの問題は上手く解決しないと思っています。
それともうひとつ、私ども造船業界は、別途VOCの規制を受けていますが、その対策として、VOCの発生量のより少ない塗料を使用していきたいわけですが、やはり値段が高いので、低環境負荷の塗料があるのにコストの面から使用できない実情があります。割高ではありますが、低環境負荷の塗料を、率先して政府が使用してみせることによって民間に普及させていくかたちにしないとなかなか前に転がらないと思います。全部がWin-Winでは行かないと思いますが、一義的に事業者の負担になると上手く進んでいきません。規制等を考える時はいかに普及させていくか、政府がいかに率先してやるかということを環境省も考えていただかないと、規制だけは作ったけれども実態面ではなかなか普及しないということになってしまいます。その辺は政府一体で実行すべきではないかと思います。

千田座長:ありがとうございました。VOCというのは塗装の話ですね。

桐明委員:そうです。

千田座長:低VOCの塗料を入れると高いからそれをどうするかというご意見だと思います。前段のお話はそういう予算取り、つまりこれだけ付加価値が上るのだから予算が必要だという議論のためにもこのような何らかの指標が必要ということで、たぶん同じ方向を向いているように思います。
他にございますでしょうか。

内野委員:舟艇工業会は小さなプレジャーボートを作っている業界で、そういった技術に関して官庁にいろいろな船を納めさせていただいているのですが、基本的に今回のお話の趣旨は非常によくわかって我々としてもできる限りのことはしていかなくてはならないと思っていますし、基本的には入札の方式だとか評価の方式も理解できますし、たぶんそういうかたちにしなくてはだめだとわかるのですが、実際の運用になると大型艇と小さな船は、ものも違いますし、あるいは設計手法も全然違うだろうし建造手法も違います。それから船価も、非常に我々の船は安いということでこういったことに関するコストをかけられないということもあって、全体のお話はわかりますが、実際の運用のところで小さな船にはいろいろ配慮いただかないと我々もやりきれないということがあるというのが感想です。

千田座長:ありがとうございます。

鈴木委員:舶用工業会です。エンジンメーカーとしてですが、今日の議論では車の話がしばしば出てきています。燃料1リットルあたり何キロ走れるかという話ですけれども、船の場合、エンジンは1つの備品で、それから最終商品としての船があるわけです。自動車と違って、エンジンメーカーが担保できるのは、発生馬力当りでとれだけ燃料を使用するかを表す燃費です。代表的な単位として「g/kWh」があります。エンジン自体の燃費性能に関しては、これで判断していただく以外ないのだろうと思います。また、小さな方のエンジンには農水省所管ということですでに燃費基準もあります。そういうものが指標としては現実に存在しているということです。
また、船が燃料1リットルでどれだけ走れるかは、大きく言えば、エンジン燃費と船自体の抵抗によって決まります。今会議では、船の抵抗をどの様に表すかが課題と考えます。
最後に、船舶エンジンでは環境対策としてIMO国際条約に基づきNOX規制が既に行われています。エンジン全体、これは小さい方のエンジン、大きい方のエンジンも含めてですが、燃費自体はメーカーとしては最大限努力をしていますけれども、良くて現状維持、エンジンによっては多少の悪化というのが現状です。先ほどの燃費基準の枠を限度まで使ってCO2をあまり増加させずNOx規制の適合に一生懸命努力しているのが実態です。みなさんご存知だと思いますが、燃費を良くしようと思うとNOxは増える、完全に向きが180度違うものを合わせて減らせと言われていますので、その辺は改めてご検討いただきたいと思います。NOxも環境基準ではなかろうかと思います。以上です。

千田座長:ありがとうございました。今エンジンの立場からということで、エンジンは比較的型式が決まっていて、そういう意味では自動車の燃費に近いような指標があるのですが、それはあくまでもエンジン単体だということです。確かにNOxの問題が今エンジンでは非常に大きな問題になっているので、それと合わせた広い意味での環境評価が必要だということです。
では一通りということで瀬川委員、お願いします。

瀬川委員:当社は海上保安庁の高速巡視船を造っていますし、VLCCも造っています。非常に大きな船から小さな船まで造っていますので今回いろいろお話できるかと思います。
大型船の場合、造船所は受注という目的で省エネについて何十年も取組んでいます。省エネというのは言葉を変えれば環境負荷低減ということです。建造船価がいくら、10年間の維持費がいくら、燃料代などの運航費がいくらとかを全部ひっくるめて、10年後に良い船か悪い船かという評価を船主さんからいただいて、それが次の受注に結びつくというようなやり方を何十年も続けている訳で、そのため、ずっと省エネ努力をしているわけです。
ところがここでの話にあるような、例えば官公庁船の場合、単に物を運ぶということではなくてその船が要求されているものは何かいうことを第一に考えなくてはならないということです。先ほどパトカーが環境配慮契約法の規制の範囲から外れているというような話がありましたけれども、当社で建造している官公庁船はその範疇の船が多いのです。海上保安庁の船もそうですし、地方公共団体の漁業取締船も同じ範疇に入ります。調査船なんかもそういう類の船になるわけです。
造船所が持っているノウハウをいろいろ出して欲しいと言われましても、建造に結びつくのであれば造船所は一生懸命やりますが、ノウハウは出したけれども建造は別だという話になりますと、ちょっと失礼な言い方かもしれませんが、少し割り引いておこうかという話が出やすくなります。先ほど建築ではプロポーザル方式が採用されているという話が出ていますが、プロポーザル方式は設計だけだというお話ですが、例えばそれをもう少し突き進めてコンペ方式にまで話を持っていくとか。そうすれば造船所はいろいろなアイデアを織り込んで提案して、初期設計なり基本設計なりを出して、うちはこれで造りますという建造コストまで含めた話をするのであれば、話に乗りやすいんですが。それがなくて、設計は設計だけということで、何十年もかけて蓄積してきたノウハウを出して取れなかったではまずいと思います。一生懸命やって、ノウハウだけただ取りされたという形だと。ただ取りされたという言葉は悪いですが、提供したノウハウに見合う対価を船価とか何かで得られるというのが普通のやり方です。造船会社の場合、どうしても船を造って利益を得るという企業体質ですから、設計だけではなく建造まで持ち込まなくてはいけない。だから設計から建造まで一貫した形でこういう船を欲しいと、要求する基本性能はこれだというようなやり方を提案していただければ、それに対して見合ったものは出せると思いますが、その辺をきちんと制度的に整理していただかないと、造船所として対応するのがなかなか難しいというのが私の実感です。

千田座長:ありがとうございました。先ほどから複数の委員の方から言われていることは、基本的にはやはり市場原理になるのだと思います。そこのところが船舶の事情というのを十分考慮する必要があるだろうということになろうかと思います。それでは出口委員。

出口代理:瀬川委員と意見としては同じです。船を造る上では全ての部分で、勝ち負けではありませんが、認めていただくようなかたちにしないとそれぞれ別々というのはやはり難しいというのを私どもも感じます。特に官公庁関係の船はミッションが全て違って、それに伴って船価も変わってくると思いますので、先に船価を決められてかつ仕様も決められて、あとは造船所に何とかしてくれということではやはり難しいだろうと思います。やはりそういう意味では最初から全部コンペティションさせていただいて、本当に勝ち残ったというか、みなさんの希望に合ったものが納められるようにしていただく方が造る側としてもやりがいがあるだろうと思います。特に昨今予算も削られる中で、なかなか厳しいものがどうしてもありまして、会社としても利益をあげてなんぼなものですから、官公庁よりも商船が活況であれば商船の方に船台を空けて官公庁の方を絞るという話も出てくるわけです。
造る側も自分たちの造った船がみなさんに自慢できるような船にしたいという部分もありますので、そういうところは考慮していただいて、やはり使っていただく方にも造っていただいてよかったなと思えるような船を造るためには、それなりに造船所側の意見というか造船所側も頑張れる部分を作っていただけたらいいのではないかなと思います。以上です。

千田座長:ありがとうございます。造船の場合、官庁船の場合でも基本設計と建造が別になるケースも多々あるので、その辺は場合分けして考えなければいけないのだと思います。では発言が最後になるかと思いますが、塚本先生お願いします。

塚本委員:今いろいろお話を聞かせていただいて、船舶、小さなものからかなり大きなものまで、官庁で調達されているものでも大きさだけでもかなり違う。そうすると設計の仕方から違う。本当に小さな船だとカタログに載っていてこれという注文の仕方になる。注文設計の場合は最初から全部設計する。それから民間の船ですと運航コストが占める割合が高く、運航コストに占める燃料代の比率というのが非常に高いので、民間の船会社は燃料代の安い船を求めるわけですが、官庁船になりますと物を運ぶではない目的に使われるものが多いということと、建造のコストも船の基本的なコストよりもいろいろな測定装置や特別な装置が付いていたり、そういうもののコストが非常に高かったりするということで、事情が非常に特殊だということがあるかと思います。
ただ、だからと言って環境に配慮しなくていいということではありませんし、燃料が高くなって船が動かせないという状況が出たりもしていますので、とにかく環境に配慮する、燃費が良い船を目指して行くというのは大事だと思います。
先ほどもお話がありましたが、税金を有効に使っていくというのは大事なのですけれど、ただ価格が安いものを求めるということではなくて、環境に配慮されていて燃費が良い、こういう技術を採用しているから燃費が良いというものがあれば多少値段が高くても官公庁で積極的に採用していくという方向が大事ではないかという気がいたしました。以上です。

千田座長:ありがとうございます。一通り委員の先生方みなさん発言いただいたかと思いますけれども、まだ言い残しとか他のご意見を聞いてさらに追加する点があるかと思いますがいかがでしょうか。

遠山委員:一点だけ確認させて下さい。最初に聞けばよかったのかと思いますが、今回の対象の範囲ですが、京都議定書の対象が内航船だということになりますと今回の対象は内航船だけということなのでしょうか。

環境省(辻):法律の定義自体は国等の機関が調達するもの全てということになるのですが、私の理解では外航船というのはあまり国の機関の場合は調達がないのではないかなと思っているのですが。

国土交通省(坂下課長):多いです。ほとんど外航です。

環境省(原田補佐):法律上は京都議定書によって算出するわけではなくて、二酸化炭素の排出削減だけが規定されていますので、本来的には内航、外航はあまり関係ない、法はそういう構成になっています。ただし緊急性を要する京都議定書の範囲が内航船だけに限定されていますので、ここはきちんと手当てをしたいという考え方で進めていくということです。

国土交通省(坂下課長):先ほども申し上げたのですが、今事務局からご説明があったとおりだと思います。国際的なルール作りも、今は国際的に有効な枠組みというのはないのですが、それをぜひ作ろうではないかということで動いているわけですし、国別の排出量の割り当てのスコープの中に内航の海運というのは当然入っているということでもありますし、今のポスト京都議定書の問題も含めて国際的にものを考えていかなくてはいけないということを考えている状況を念頭に置けば、もちろん調査などで外国に行かれる船も沢山あると思いますがこのスコープの中で考えていくとすると、そういう船も含めて考えるという基本的な方向で取り組むべきかなと私どもは考えております。
今日はなかなか結論を出す場ではないと思いますが、例えば海上保安庁巡視船なり取締船なり、例えば北朝鮮の40ノットを超える船を追いかけてそれに追いつかなくてはいけないとか、そういう船をどういう取り扱いをしていくのかというのは、ぜひ他の海上自衛隊なり、あるいは警察のそういう任務に当たっているヴィークルとバランスの取れた取り扱いをぜひお願いをしたいと思います。もちろんそれぞれで常時そういう活動が四六時中あるというものではなく、当然平時の時にはそんなすさまじいスピードで走ったりはしていないということではあると思いますので、おそらく運用上はなるべく燃料コストが小さくて済むように、その上で任務が達成できるように運用しておられると思うんですね。そういう意味で環境に対しての配慮をしていないということではないのだと思うのですが、他方、やはり極限的な性能の発揮というところを一番に求められるとすると、それ以外の通常の活動の中での性能というのは当然他の経済性を追求して検討されているものとは相当性能が違うというところもあろうかと思いますので、その点は十分ご配慮をいただく必要があると感じております。
そういう点で一点事務局にもお願いをしたいのですが、資料6で親検討会の中でいろいろと船についての排出量の資料を見ますと32%もあり、この数字は私も見て非常にショックを受けたのですが、実際にいろいろと数値をお伺いしてみると、確かにそういう政府の使っている電力なりあるいは燃料ベースから算出したものからはこういう数字が出てくるということだとお伺いをしておりますが、そういう中で例えば海上保安庁の巡視艇等で消費されているものというのはかなりのポーションに及んでおると聞いておるのですが、そういうものを除いていった時に果たして32%なのかなと。比較しているベースがどうなっているのか私も十分に理解しないでお話しているのですが、そういうものを除いたとするとたぶんもっとポーションが小さいかもしれないと思います。もちろんだから検討しなくていいというつもりはないのですが、実体を正確に把握していただく上でその辺の内訳を見ていった時に、かなりの努力ができる可能性がある分野というのがもう少し狭まっていくのではないのかなと思います。そこをどうするのかという視点もあるいは必要なのかもしれないし、そこまで踏み込んだご議論がまだいただける段階ではないとしますと、もう少し内訳についても十分ご理解をいただいて検討会の方にもご報告をいただけるとありがたいと思います。ぜひお願いをいたしたいと思います。以上です。

千田座長:少し延長してもよいということでしたが大体時間になってきましたので、特にございませんでしたら。本来は資料4を具体的に磨いていただければよかったのかもしれませんが、まだそれぞれの個別の事情あるいは問題点が提示されたという状況で、私の手際も悪かったと思いますけれども、一応今日のところをおまとめいただいて今後について事務局からお話しいただけないでしょうか。

環境省(原田補佐):今日のご議論の中で、温室効果ガス、他も含めてですが、提案をしていく、環境のために何かWin-Winの関係を作っていきましょうということは概ね賛同が得られたと思うのですが、実際の厳しい競争の中でかなり上手く仕組みを考えていただかないと実施をしていくのは困難であるというのが結論なのではないかと思います。
我々も小池元大臣の頃にWin-Winということを言い出して、環境と経済とバランスのとれた状態を考えていく必要性があると考えていますし、一生懸命やった方が受注をできないのであれば長続きしないというのは当然だと思いますので、どういう契約手法をこの中に規定をして活用していける枠組みを作っていけばそういう状態を実現していけるのか、親検討会にも上げてそういうことを中心に考えていくべきではないかということでご報告をさせていただきたいと思います。

千田座長:ありがとうございました。それでは今日のご議論はこの辺で終りということにさせていただきますが、本日ご発言いただけなかった点、あるいは新たに何かご提案等がありましたら、後ほどでもけっこうですから事務局までご連絡をいただければと思います。
それでは今日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。

以上