環境配慮契約法基本方針検討会 ESCOワーキンググループ(第1回) 議事要旨

出席委員:
大森委員、石渡氏(古賀委員代理)、坂本委員(座長)、杉原委員、永野委員、本城委員、前川委員、松繩委員
欠席委員:
筒見委員、村越委員

日時

平成19年9月5日(水) 13時30分~15時00分

場所

環境省第1会議室


 笠井環境経済課長から資料確認、設置趣旨の説明(資料1)、委員等紹介(資料2)の後、坂本座長の司会により、環境配慮契約法についての説明の後、概ね以下のとおり議事が進行した。

1.今後の検討の進め方について

□事務局よりスケジュールの説明(資料3)

2.ESCO分野における環境配慮契約法基本方針の方向性について

□事務局より環境配慮契約法の概要(参考2)、環境配慮契約法基本方針の検討方針・課題等について(資料4)、基本方針の解説資料の構成について(資料5)及びESCO事業の立案段階における手順等について(資料6)説明(環境省)

□「官庁施設のESCO事業実施マニュアル」(参考資料5)について説明(国土交通省)

  • ESCO事業には大きな期待をしており、国としてももっと活用していけるのではないかと考えている。現状ではなかなか広がっていかないが、法律がESCO事業に対して後押しできるように考えたい。(経済産業省)

  • 「国等」に地方公共団体が含まれているのだとしたら、国と地方公共団体の共通のルールを作るのか、それとも別々のルールを作るのか。(前川委員)

    →「国等」とは国と独立行政法人等であり、地方公共団体は含まれない。地方公共団体は努力義務となっている。(環境省)

  • 地方公共団体にはこのWGで決めたマニュアルを遂行する義務はないという認識でよいか。(前川委員)

    →参考にはされるが、義務はない。(環境省)

  • (資料6 p.3「(3)その他」に関連して)ESCO事業は最終的にリスクを負担する者が立案すべき事業で、むしろ最初の提案の段階と事業実施段階で異なることの方が多い。両者が同じならESCO事業ではなく、単なる建設工事に過ぎない。財務省と協議が必要なら大きな問題となる。論点として重要だと思う。(前川委員)

    →工事種別は技術仕様ではない。予算要求時とかけ離れていては困るが、予算種別を示すのはどの程度の規模、種類であるかを示すためである。実証事業では提案募集段階で「この建物のエネルギー削減を」という制約をかけた。どの程度の制約を掛けるかが問題となる。(国土交通省)

  • 予算要求時に想定していない提案も受け入れる余地があるのか。(前川委員)

    →現在、実施している実証事業では、3つのESCO技術を想定していたが実際には7つの提案が入っている。(国土交通省)

  • 予算要求は各省庁が行うのか、国としてESCO事業関連予算枠があるのか。(松繩委員)

    →予算要求は各省庁が行い、国土交通省でサポートする。予算項目上の位置付けについてはまだ整理できていないので、このWGでそういう議論を期待している。(国土交通省)

  • 地方公共団体の場合、最もよい提案が出てから予算要求しているが、国の場合はそういう予算の取り方はできないのか。(永野委員)

    →地方公共団体のケースはよくわからないが、予算を要求するには根拠が必要。どの程度の根拠が示せるかという問題になる。(国土交通省)

  • 省エネルギー改修事業はESCO事業とイコールではない。省エネ改修事業とESCO事業がどのような位置付けになるのかはっきりさせておいた方がよいのではないか。(永野委員)

    →設備投資を必要とする場合もあり、はっきりした定義もなさそうなので、従来のESCOの枠にこだわらずに、このWGで議論したい。(坂本座長)

  • 債務負担行為が10年に延びたのはありがたいが、それでも省エネ効果で全て賄うとすれば投資回収6年くらいのことしかできない。設備改修まで含めないと大きな事業ができない流れになってきている。地方公共団体のESCO事業の多くも設備改修を含んでいる。(杉原委員)

  • この資料のESCOの概念だとほとんど対象となる建物はないのではないか。(永野委員)

□資料「ESCOに対する認識補正について」の配布、説明(永野委員)。

[1]ESCOは省エネを保証する事業であり、単価を保証する事業ではない。民間や地方公共団体の場合は光熱費削減分を超えるケースも多い。トータルで評価して欲しい。

[2]資料は、コストありきで記述されている。まず、議論されるべきなのは省エネルギー効果で、費用対効果はその次ではないか。

[3]資料ではハードありきに見える。実際はソフト面での改善が大きなウエイトを占めており、長期供用計画とあるが10年も使い方が変わらない施設はない。エネルギーのチューニングが重要である。

→長期供用計画については、使用者が変わらないことではなく、施設が使用されていることが必要。その地域にある他の施設も含めて妥当性を検討する必要がある。(環境省)

→チューニングについては、グリーン購入法においても庁舎管理で検討している段階であり、重要性が高いことは認識している。既存のマニュアルを有効活用したいため、このような書き方になっているがチューニングを含めて最適化することは当然含まれる範囲だと考えている。(環境省)

→ESCOはハードだけという認識はないが、事業規模を考えるとハードの影響に目が向きがちだが、ソフトも含めて効率化する必要がある。(国土交通省)

→費用面を評価することは、税金を使う以上、事業の効果について説明責任がありシビアにならざるをえない。(国土交通省)

→ソフトを無視しているわけではなく、運用改善で省エネを行うためのマニュアルも作成しており、啓発を図っている。(国土交通省)

  • 今日のWGでは、国のマニュアルとして国土交通省の「官庁施設のESCO事業実施マニュアル」を使うか否かということを議論すればよいのか。(前川委員)

    →そこまでの位置付けではない。(坂本座長)

  • 国の事例が少ないのは、予算要求の後にコンペを行うのか予算要求後にコンペを行うのかが大きく影響しているのではないか。地方公共団体では、必ずしも予算要求時点で事業の詳細を把握している訳ではない。(前川委員)

  • 今日は結論をまとめるつもりはないので他に意見があれば言って欲しい。(坂本座長)

  • 機器の耐用保証は10年なのか。引き渡された後の保証はどうなっているのか(大森委員)

    →実際には契約書の中で規定することになるだろう。実証事業ではBOT方式であるため、国の資産になっている。(国土交通省)

  • 設計上の瑕疵や工事期間中の瑕疵は問題にならないのか。(大森委員)

    →事業期間内であればESCOの事業範囲内。(国土交通省)

    →最終的にはESCO事業者がリスクを負っている。引渡しのときにも検査することになっている。通常ではそういう懸念は不要。(永野委員)

  • 建設業法19条の関係で、工事請負契約は内容が決まっていないと契約できないのではないか。(大森委員)

    →工事請負ではなく、省エネルギーサービスという役務を提供する。(前川委員)

    →建設業法に関連するという意識はあり、マニュアルにおいても請負者に関して触れている。請負を含めた混合契約である。(国土交通省)

  • ESCOの範囲について整理が必要なので環境省と国土交通省で協力して整理して欲しい。(坂本座長)

  • 環境配慮契約法第5条第2項三で、「設備更新型」を読み込むことはできるのか。(本城委員)

    →設備更新を含めて全体をESCO事業として実施する場合と、通常の設備更新と合わせてESCO事業を実施する場合が考えられる。調整を図っていきたい。(環境省)

  • ある県の例では、約600程度の施設のうち、調査の結果ESCO事業の導入可能性があったのは30件で、光熱水費の範囲内に限定すると2件に過ぎなかった。法律の趣旨はCO2削減なので、裾野を広げるという視点が重要。(古賀委員代理石渡氏)

  • 今回出された意見を整理して、次回に事務局から提案をいただきたい。(坂本座長)

    →その方向で検討する。(環境省)

3.その他

  • 次回は9月18日に開催

以上