平成25年度環境配慮契約法基本方針検討会 ESCO専門委員会(第3回)議事録

出席委員:
石井委員、大森委員、倉田委員、栗山委員、坂本委員(座長)、時田委員、永野委員
(五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年11月28日(木) 15時~17時

2.場所

農林水産省三番町共用会議所大会議室


事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度「第3回環境配慮契約法基本方針検討会ESCO専門委員会」を開催いたします。
 なお、カメラ撮りは、配付資料の確認までとさせていただきます。
 それでは早速ですが、坂本座長に議事進行をお願いいたします。

坂本座長: 皆さん、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。ESCO専門委員会は今回で3回目です。特別なことがなければ、この回で終了の予定となっております。そういう意味で今日は重要な委員会になると思っております。
 私の研究所は独立行政法人ですが、独立行政法人ももちろん国から運営費交付金ということで予算の7、8割を税金からいただいているわけですから、財務省の予算の執行の合理化の実態調査が毎年あります。環境省の方や時田委員はご存知だと思いますが、安い物を買っているか、合理的に国の税金を使っているかという調査です。例えば旅費については、年間にどれくらい出張の回数があって、パック旅行にしているか、あるいは海外出張の場合にはマイレージが全部個人になっているのか、各機関のマイルカードで登録して管理して、マイレージ分は組織にきちんと還元しているのかといった細々としたことを組織として実施しているかどうか、などを調査しています。実施していなければ来年度から実施する予定である、ということを記入します。その調査の中にこのESCOがあります。ESCOを環境配慮契約法に基づいて実施したか、あるいは実施する予定があるかということを財務省に報告しなければならないのです。そのぐらいESCOが財務省にも知れ渡っています。それで私が思ったのは、それを単に財務省の調査というだけで終わらせるのではなくて、そのときに何らかのESCOの事業をやっている皆さまとESCOをPRするアクションを一緒にやっていれば、またやっていないところは来年やるつもりだということを書けると思った次第です。国の調査もありますので、そういうものと皆さまでできるだけ情報を共有して、公と民間とが一体になってやっていけば、かなりうまくいくのではないかと思います。つまり、私が言いたいことは事業者のほうも営業をかけてくださいといった簡単な話です。その辺をいろいろやって行けば良い方向に行くのではないかと思った次第です。つまらない話ですが、挨拶に代えさせていただきます。
 それでは審議に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は、17時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局: 資料の確認を致します。

配付資料

その他に、環境配慮基本方針関連資料の冊子を委員の皆様の机の上にお配りしております。基本方針関連資料には、法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜ご参照ください。なお基本方針関連資料は各回の専門委員会でも配付しておりますので、ご不要な場合はお帰りの際に机上においてお帰りください。

資料の不足等があれば事務局までお申し付けください。

それではお願いいたします。

3.議題

(1)ESCO事業の普及促進方策について

坂本座長: それでは議事に入らせていただきます。本日は、議事次第にありますように3つのテーマがございます。1番目は、「ESCO事業の普及促進方策について」、2番目が、「省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について」、3番目が、「検討スケジュールについて」で、この3つを議論するということでございます。
 前回のESCO専門委員会において、閣議決定する基本方針の改定案が示され、委員の皆様から出されたご意見等を踏まえ、10月31日に開催されました基本方針検討会に修正報告を行い、現在パブリックコメントを行っているところでございます。本日は基本方針の改定案を受けて、具体的なESCO事業の普及促進方策と基本方針の解説資料についてご議論いただく予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、第2回専門委員会においてお示しいたしました基本方針検討会への報告内容の案について修正を行い報告いたします。その内容について変更箇所を中心にご報告いただきたいと思います。

事務局: 参考1について説明(省略)。

坂本座長: はい、ありがとうございました。第2回基本方針検討委員会でご報告した内容について前回の委員会からの変更箇所を中心にご説明、ご報告をいただきました。何かご質問はございますか。よろしいですか。
 それでは、1番目のESCO事業の普及促進方策について事務局からご説明をお願いいたします。

事務局: 資料2、参考2について説明(省略)。

坂本座長: ありがとうございました。ただいまのご説明についてご質問・ご意見をお願いいたします。

永野委員: 今の説明は要約すると4つあると思うので確認をしたいと思います。1番目は国の施設に対する設備更新型のESCOです。2番目が国の施設に対するバルク方式の推進です。3番目が国の施設のうち閾値を越える施設への個別の折衝です。4番目は地方公共団体や独法、国立大学法人の普及啓蒙です。大きく分けてこの4つと理解しましたが、間違っていないでしょうか。

環境省(野崎補佐): 大きくは間違っていないと思います。1番目の設備更新型のESCOの推進、2番目がバルク方式の推進、3つ目は情報提供を今後強化していこうと考えています。

永野委員: 情報提供ですか。個別にやってはいかがですかといった感じまではやらないですか。

環境省(野崎補佐): まずは基本方針の中でやるべきことを書かせていただいて、各省庁に説明をしていきたいと思っています。その中でこれまでどおりですが、閾値を超えるようなものについては可能性が高いものなので積極的に検討を進めてくださいといったお願いをしていきたいと思っております。

永野委員: それであれば、お願いがあります。バルク方式をぜひ推進していただきたいと思います。あとから出てくる資料3-2のp.50にチューニングのESCOのご説明をしていただいています。チューニングのESCOを1つの建物だけでやると経済的に厳しいところがあります。バルクにして集めていただくと、設備更新もやってチューニングもやってというように成り立ちやすくなってくるものですから、バルクをPRしていただいているならばバルクとセットで推奨してほしいということです。
 もう一つは、先ほど坂本座長から民間が営業をかけて下さいというお話をいただきましたが、実は民間側からするとどこへ営業をかけていいのかがわかりません。参考2の図2にある閾値を超えた33施設の個別の施設名をご公表いただきたいと思います。どういうことが起こるかと言いますと、例えばフィージビリティ・スタディ調査をしないといけないとか、対象の有無の探索は民間自身では大変だと思いますが、対象が公表されて施設名がわかれば、民間企業は普通に営業をかけます。例えばこの施設はこの表の中で対象になっていますが、可能性について我々のほうで調査させていただけないかといったように民間側から言い寄ってくると思います。そうするとそこでESCO事業者がお金を下さいとは言ってこないと思います。複数のESCO事業者から報告を受ければ、自分たちの施設がいけるかいけないかの一つの判断材料になると思います。名前が出ていないと民間側も非常に動きにくいです。
 ちなみに都道府県や市町村でやる場合は、コンサル会社に依頼されて、自分たちの持っている施設の図を同じように作らせます。その中で対象になってくるものを順番にESCOにかけていくというやり方を取られます。本当は国全体のものをそういった作業をしていただきたいということはありますが、省庁毎にこれと同じものを作っていただいて、対象と思われる大きなところについては公表していただくと、物事が非常にスムーズに進むのではないかと思いますので、施設名の公表をお願いします。

坂本座長: いかがですか。

環境省(野崎補佐): 一つ目のチューニングESCOは後ほど資料3-2で説明をさせていただきますが、解説資料の中にバルク方式、それからチューニングESCOも若干盛り込んでおります。バルクと併せたチューニングESCOは、資料3-2で参考という形で反映できるところは反映していきたいと思います。
 それから施設名の公表をということですが、参考2のグラフのデータは、今回専門委員会で国の施設の状況について具体的に傾向をつかみたいということでしたので国土交通省にお願いしてデータを提供していただいたところです。データは各施設のデータであり、公表しない前提で調査をしているということですので、現時点での公表は難しいと思います。今後は国土交通省と相談しながらということになると思います。

坂本座長: 公表というと大げさになって、関係ない人も知っていいという意味にとってしまいます。基本的には建物の責任者のものですので、あまり大々的にはできないことは想像がつきます。参考2は国だけのデータですので、これに独法や大学法人を入れればもっと何倍にもなると思います。その中にもいっぱいできるものがあるのではないかと思います。その辺りの上手い検索の仕方というのか、誰か良い案を考えてほしいと思います。

環境省(野崎補佐): 規模に関係するものは、対象となる可能性が高い施設というものは他のデータでもわかるのではないかという気はしますので、その辺りを検討したほうがいいと思います。

坂本座長: 例えば私の研究所でも研究者が普段いる本部棟は国土技術政策総合研究所のものですが、実験棟は独立行政法人のものです。その中でESCOができそうなものは2つ、3つはあります。それは材料を養生して、温度湿度を20℃70%で何年間も置いておかないといけないのですが、この研究棟だけがエネルギー消費量が突出して大きいです。そういうデータはいくらでも公表してもいいと思いますが、筑波の中を探せば恒温恒湿施設を持っているところはいっぱいあります。そういうものを作ったメーカーがメンテ的にやっていけば必ずわかります。新しい自分のビジネスになるはずなのに、ESCOをやりませんか、どうですかといったアクションが全然来ないのです。永野委員は環境省のESCOでもっと役所ががんばれということをおっしゃるけれども、私は民間も自分たちの商売のネタを発掘するためにもっと手足を動かしたほうがいいと思っています、どちらもどちらですが。誰かがその辺のブレイクスルーをしなければいけないと思います。どういうものがあるかがよくわからないというのが今の状況です。栗山委員、どうぞ。

栗山委員: 永野委員からもお話がありましたが、都道府県がESCOのフィージビリティ・スタディを結構やっています。弊社も10道府県ぐらいやらせていただきました。報告書の中で施設名は全部公開です。この施設がいくらエネルギー消費量を使っているということは全部公開されています。それで報告書を出しています。1つの道府県で300~400施設ありますが、エネルギー消費量、面積も含めて全部公開されています。ですから国の施設が公開していないというのはよくわからないです。

坂本座長: それはどこが公開しているのですか。

栗山委員: 報告書できちんとしていますから、道府県のHPに公開されています。

環境省(野崎補佐): 言い訳みたいな感じですが、公開しにくいという説明をさせていただいたのではなくて、我々の持っているデータではなく、各施設が持っているデータなので公表できるかどうかはわかりませんといった趣旨で回答させていただきました。

坂本座長: それは都道府県が自ら公開したと考えていいのですか。

栗山委員: 少なくても私がやらせていただいた10道府県に関しては公開されています。

坂本座長: 市町村はどうですか。

永野委員: 市町村はないです。政令指定都市はやっています。民間はそれを見て営業を掛けます。

坂本座長: そういうものがあれば営業を掛けることができるのですが、何もないと掛けられません。

倉田委員: 当社の場合は施工した建物では、エネルギー状態が概ね把握できるので、ある大学では環境省のCO2ポテンシャル診断事業を利用した診断を実施して、その結果を元にESCO事業への提案に持っていくような営業のやり方をしており、大学ではESCO事業を推進しているとのが現実です。それ以外となると国の施設は限られてしまいます。そういった現状運用の情報がないと提案のしようがないというところです。

坂本座長: 御社のように、顧客のデータを入手して営業を掛けるということはすでにやられていて、それでESCO事業に結びついたというのは多くあるのでしょうか。

倉田委員: はい、あります。

坂本座長: その中には独法や国も入っているわけですか。

倉田委員: あります。大学や病院があります。

坂本座長: やっているところはやっているのでしょうね。データがもう少し公開されるような方向でもっていけば何とかなるかもしれません。国土交通省がいらっしゃいますが、いかがですか。国土交通省がやるというわけにはいかないと思うのですが。

国土交通省: ここに載っている施設はいずれも相当な大規模施設とみられますので、各省庁ではそれなりの体制で維持管理を行って、中長期的な改修計画を立てていると思います。その一環で省エネについても検討されていると思います。それでもしESCO事業がふさわしいということであれば、何らかの形で検討業務等が発注されますので、それによって施設が明らかになると思います。

栗山委員: 他のことでいいですか。

坂本座長: 資料2のことであれば。

栗山委員: 全く話は変わりますが、資料2のp.2にESCO事業の有効性・メリット等とあります。基本的な話ですが、ESCO事業のメリットとは何ですか。資料3-2のp.3に図があります。ESCO事業をするとこういった枠組みになる。これを通常の省エネ改修でやれば何が違うのかという話になります。ESCO事業をやると、工事をしたあとの検証やESCO事業特有の経費が掛かってきます。そうすると、そのようなお金を掛けずに省エネ改修をするほうが安いのではないかということも考えられます。それではESCOのメリットは何かといった話です。私が思っているのは国や地方自治体がやると、そこの単価で工事発注を掛けます。ところがESCO事業の場合は民間の実勢ベースで工事の発注が掛かります。ですから安い工事費でできます。ESCO事業の最大のメリットはそこだと思っています。国の場合はそういった説明の仕方ができないので、それではESCO事業のメリットとは何なのかといった話です。

環境省(野崎補佐): ESCO事業のメリットは、パフォーマンス契約をするとか、いろいろあるのだと思いますが、通常の工事とは違ってというのは、工事施工業者、設計も併せて、維持管理も含めた、技術力も生かした提案が求めやすいといったところもあって、効果が高い省エネ技術が導入されやすくなるところがあるのではないかと思っております。

栗山委員: 省エネ改修事業をやっても、改修をする設計がしっかりしていればESCO事業に勝るような設計も可能です。ですから必ずしもESCO事業のほうが省エネルギー手法はたくさん取り入れられているという話ではないです。逆に言うと償却できないような省エネ手法まで取り込まれている場合もあります。普通の省エネ改修事業とESCO事業はどこにどういう差があってメリットがあるのか。地方自治体が盛んにやっている省エネ改修であれば、工事を発注した年に全部工事費を払わなければいけないです。ところがESCO事業の場合はESCO期間にローンで支払うので年間の負担が平均化されるというメリットがあります。国の場合はそういうメリットがほしいのかどうかわかりません。ですから私のいうESCO事業のメリットというのは、国や自治体の工事費の算定価格に対して民間ベースで発注されるから工事費が安くなるということと、発注の投資が平均化されるという2つのメリットしかないと思っています。

環境省(野崎補佐): おっしゃられるとおり、通常の設計業務を出して工事を出してというときに設計で同レベルの提案があって、同じぐらいのものが得られるのではないかということも一理あると思います。それから工事費については、通常工事発注をした場合もESCO事業の場合も積算し、その後競争して入札がされます。別に価格を発注者が決めているわけではなく、基本的にESCOであろうと、通常の工事であろうと積算の考え方は一緒なので同じかと思っております。

栗山委員: おっしゃるのはわかりますが、高止まりしているのは確かです。これはいいですが、各対象の施設にご説明されるときに、ESCOのメリットを明確にしておかないと受け取る側がどういうメリットがあるのか。面倒くさいだけではないか。あるいはESCOに余計なお金が係るのではないかといったこともあるので、今私が言った工事費が下がるということは多分表には出せないので、この辺を少し明確にする必要があるのではないかと思ったものですから発言させていただきました。
 坂本座長: 実際に実施する段になったら、普及促進、情報提供は基本方針の冊子を使うのですよね。

環境省(野崎補佐): 毎年全国説明会等で周知させていただいております。この参考資料も配りますが、別に説明資料も作成しますので、その中で工夫した資料を作ります。

坂本座長: 今、栗山委員がおっしゃられたようなことが明快にわかるような資料を作ってやるということですね。

永野委員: 今のことに追加して発言させていただくならば、PFIが導入されたときにこの議論がなされていて、何で民間がやると安くなるかという話が散々ありました。実際にやってみたら、やはりバリューフォーマネーでした。国も今は推進しているが、民間がやったほうが安くなるという言い方をすると角が立ちますので、バリューフォーマネーといったものを使われてご説明をされてはどうかと思いました。

栗山委員: ESCOもPFIの一環ですね。

永野委員: よく似ています。

時田委員: ESCO事業を推進するときにはシステム全体を見て判断することが必要だと思います。気をつけなければいけないのは、今の設備更新型を中心に事業を展開すると、ビジネス的に日和見になってしまいます。お金になるところが注目され、逆にシステム全体から見てお金にならないところがずっと老朽化して置いてきぼりになるという可能性もあるわけです。施設管理者が余程しっかりしていないとなかなか難しいと思います。そういうところは、施設管理者が全体を見て判断しないといけないということを言わなければならないと思います。

坂本座長: 環境省は省CO2ということで、ESCOも選択肢ですという趣旨で情報を提供して普及していくということですが、最終的に判断するのは施設管理者です。

時田委員: 先ほど栗山委員がおっしゃったことですが、ESCOと省エネ改修の違いは何かということでした。元々ESCO事業というのはDOEの政策であったESPCが原点ですから、Energy Service Performance Contractの枠の中で受注者がEnergy Service CompanyすなわちESCOだったのです。それが日本語になって、ESCO事業になってしまいました。本来の原点はEnergy Service Performance Contractsなのです。ですから施設全体の省エネルギー契約を意味しているのです。施設全体の中でビジネスになるところだけを浮き彫りにして偏っていくのは危ないので、少し注意喚起をていく方が良いと思います。

永野委員: それに関しては自治体のESCOでも同様のことが今までありました。やはり替えてほしいものが施設管理者からするとあります。公募の時に、ここは替えてくださいと指名をします。ただそれが省エネに寄与しないものも含まれているので、そこについてはこれでいうところの設備更新型のところで対応するというやり方です。例えば過去にエレベーターを改修したいということがあったり、外壁塗装をしてほしいということもありました。そのあたりは創意工夫で対応できるのではないかと思っています。

坂本座長: 資料2について他にご意見はございませんか。

永野委員: 事例集の作成等の標準的なひな型を作成するというところですが、具体的には何を作られるイメージでしょうか。

環境省(野崎補佐): 一般的には発注しようと思った方が必要と思われるようなもので具体的なところは今後の検討だと思います。事例を集めて、入札手続き等にかかるものとか、入札説明書を集めてきて、その中で使われるものを聞いていきながらやっていくと思っています。

永野委員: ぜひお願いなのですが、資源エネルギー庁が、自治体がESCOを導入するためのモデル公募要項集というものを作られています。それに付随する形でモデルの公募要項、提出書類様式、リスク分担表契約書案というものをセットで公表されています。これを作成していただいたおかげで自治体のESCOが進んだと認識しております。特にこの中でモデルとなる公募要項がとても効果的であったと思っています。今国土交通省で官庁施設におけるESCO事業導入・実施マニュアルというものを作っていただいております。非常にありがたいですが、参考書的な位置づけであると認識しております。こういうところに注意して、こういう計画でやっていきなさいといった参考書です。これは非常に大事であると思いますが、モデルになる公募要項というのは模範解答みたいなものです。参考書を読みながら解答はどうやって作ったらいいのかと悩んだ方々に、こういうふうにすると模範解答ですよといって示したのが公募要項ですので、もし作っていただけるのであれば、公募要項のひな型を作っていただけると、発注側からすると理解も進むし、発注しやすくなると思いますのでご検討していただきたいと思います。

環境省(野崎補佐): 参考にさせていただきます。

坂本座長: 公募要項というのは、国の機関が作るのでしょうが、それのモデルですね。

環境省(野崎補佐): おそらく入札説明書に当たるものだと思います。

永野委員: そうです。

環境省(野崎補佐): こういった要件で求めますというようなものですね。
 永野委員: 募集しますので、皆さん入札に参加してくださいというものです。これが結構ESCOは複雑なので作っていただけるとやりやすくなります。

坂本座長: そういうものを環境省は作ることができますか。

環境省(野崎補佐): 今の時点でできますと明言するのはちょっと難しいところですが、来年度事例を集めて、どういう状況になっているのかを判断していきたいと思っております

坂本座長: よろしくお願いします。他にはよろしいですか。いろいろな意見が出ましたので、その辺りを斟酌いただいて、促進方策案について、さらにご検討をいただければと思います。
 それでは次の議題に移ります。本日の主要なテーマ、「(2)省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について【基本方針解説資料改定案】」になります。この基本方針解説資料改定案は、先ほどご説明した基本方針改定案を受けて作成されたものです。それでは、資料3-1及び資料3-2の基本方針解説資料の改定案について事務局よりご説明願います。

(2)省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について

事務局: 資料3-1、資料3-2について説明(省略)。

坂本座長: ありがとうございます。この資料3-2が実際の基本方針解説資料の改定案になります。今ご報告いただきましたように、改定の主な内容としては、実態に即したESCO事業の導入フローの変更、設備更新型ESCO事業の導入可能性の検討、複数の施設を一括して発注するバルク方式の可能性の検討などを明確化しています。また、前回の専門委員会においてご指摘のありました独立行政法人や国立大学法人への導入促進に向け、国の機関に限らない記載内容になっていると思います。
 それでは、ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

時田委員: p.4に設備更新部とESCO部の表があります。設備更新部は、発注者が指定した設備機器の更新(ただし、設備機器の更新に係る省エネルギー効果の保証は除く。)とあって、ESCO部で発注者が指定した設備機器の更新に係る省エネルギー効果の保証をするとあります。構成が設備更新部とESCO部に分かれていますが、これはどういう意味ですか。

環境省(野崎補佐): 設備更新型ESCOはESCOで事業費を賄う、光熱費の削減で賄う部分と、更新については発注者が更新の必要性があるということで、ESCOの更新費を賄う部分を算定から除いた部分として設備更新部が設定されています。

時田委員: 当然、陳腐化している機器を新しい機器取り替えるとすれば効率は良くなっていますから、施設全体としても省エネ効果が図れるわけで、そこにESCO事業者の知恵が働いていくのではないですか。更新の機器自体も相当高効率になっていますから。こういう表現は誤解を招くのではないかと思いました。

環境省(野崎補佐): それはESCO部に含みますということを書いておりますので、これで特に間違いはないと思っております。

栗山委員: 例えば受変電設備でしょう。

時田委員: 受変電のみならず一般論として読むわけですよね。

栗山委員: 受変電設備で高効率受変電機器に更新しても、それはペイしないので設備更新部になります。その効果自体も保証はいりませんよという表現だと思っています。

時田委員: 受変電設備に限った話ですか。

栗山委員: そうです。例えばエレベーターもそうです。

永野委員: p.11の4行目に、「原則として、条件とした設備機器の更新の有無にかかわらずESCO事業として成立すること。」と書いてあります。例えば熱源を入れ替えるESCOの提案をしたときに熱源の効果を中に入れなくても事業が成り立つようにしなさいという意味だと思います。これはESCO側からすると厳しいと思っています。熱源の更新は全体のシステムの中で省エネルギーを実現していくものです。システムにしてできるだけエネルギー効率の高いものを目指すわけですが、熱源部分だけ切り離されて、それ以外の設備だけで成り立つようにと言われるのはESCO泣かせだと思います。例えば冷温水同時取り出しのヒートポンプを今の熱源と替えようとしたときに、冷水と温水が同時に取り出せるようになりますので、温水が出てくるところでボイラーの負荷を減らそうといったアイディアが出てくるわけですが、そこの温水を評価してあげませんよとなってしまうので、この2行を消していただきたいと思ったのと反面、今ご指摘いただいたp.4の設備更新部のところに、「ただし、設備機器の更新に係る省エネルギー効果の保証は除く。」と書いてありますが、これは保証すべきではないかと思いました。

栗山委員: p.11のおっしゃっている話は、p.4の表のESCO部の一番上の「・」の「発注者が指定した設備機器の更新」の話だと思います。ですから熱源単独ならばESCO事業にならないですが、それ以外の省エネ仕様も含めて熱源もきちんと更新してくださいというのが表1のESCO部の「・」の1です。「・」の1で指定した機器の有無にかかわらずというのは、今おっしゃっているp.11の2行だと思います。

時田委員: この表は本当に分ける必要があるのですか。

環境省(野崎補佐): ここの部分は国土交通省のマニュアルと併せた表現をしているということがあります。内容がわかりづらいというご意見ですので調整をさせていただく必要があるのかと思いますが、国土交通省からコメントはありますか。

国土交通省: 本来ESCO部でESCO事業が成り立ってほしいのですが、それだけでは事業規模がない場合にESCO事業として成り立ちやすくするために、例えば熱源なら熱源、受変電なら受変電を発注者が指定して、そこは設備更新部ということで、工事費用だけはESCO部とは別に国のほうから発注する、費用をつぎますよという意味です。

坂本座長: そこで省エネ効果の保証は除くとか。

国土交通省: 保証はESCO部のほうできちんとやってくださいとなっています。

坂本座長: それからp.11の有無はどうですか。

国土交通省: 熱源器の有無が仮にないとしても、そこはESCO事業として一応採算が取れている形にはしてください。

坂本座長: だからそれは縛りでしょう。

国土交通省: それだけですとESCO事業が成り立ちづらいということですので、設備更新を付け加えて事業規模を確保しました。

坂本座長: よくわからないですが、原則としてだから、p.11はよいということですか。

永野委員: ちょっと引っかかったので。倉田委員、どうですか。

倉田委員: 結局、ESCO部は10年以内に投資回収できる部分です。設備更新部は10年では投資回収ができない部分ですが、15年あるいは20年で回収できるとしても設備更新部分の効果をESCO事業として算定しないということですよね。

国土交通省: 保証については入れてもいいと思います。

倉田委員: 設備更新部は保証しないわけですよね。ESCOに入れないのだから、保証はできないと思います。

時田委員: 更新した分は、10年間は当然効率が上がるわけです。そこは加味されると思います。
 倉田委員: 加味しても構いませんが。

環境省(野崎補佐): 文言がわかりづらいと思います。熱源部の省エネ分についてもESCOで下げた分として評価されます。それは一体的に提案を求めて熱源単体でなくても他の方式もあるので、そう言った部分でさらに省エネの効果は提案が求められますのでそういった整理になっているということです。この文言の書き方が誤解を招くということであれば整理が必要だと思いますので国土交通省とも相談させていただきます。

坂本座長: そうですね。全体も見渡してください。

倉田委員: われわれ事業者にとっては設備更新部もESCO部も同じ建物の中で設備工事を行っているので、分ける必要はありません。ESCO事業として保証することも一向に構いませんが今のESCO事業の定義と一致しません。

坂本座長: 国土交通省と調整してわかりやすく、誤解がない表現に変えて下さい。それ以外のことで質問はありますか。

栗山委員: p.7のフローです。4つ目のESCO事業導入可能性判断と2つ下のフィージビリティ・スタディの実施とは、同じ言葉ではないでしょうか。導入可能性判断とフィージビリティ・スタディは一緒だと理解しております。それと併せて一番上に既存施設の実態把握(簡易な判断)というのがあって、その下に、「2-2既存施設の実態把握」があって、p.4の上にいろいろ書かれていますが、施設の管理者がこの内容を全て判断できるとは思えないです。大規模な施設の管理者の方ならできると思いますが、小さな施設の管理者なら多分できないと思います。簡易ならばもっと簡易にしないといけないと思います。
 それから先ほどのフィージビリティ・スタディと導入可能性判断ですが、そういう意味では、ESCO事業実施の適否でp.10に「(1)フィージビリティ・スタディ」という項目が入っていますが、(1)は少なくとも2-3に入れるべきではないでしょうか。ここでフィージビリティ・スタディ可能性判断を行って、それを除いたp.12の「(2)ESCO事業の適否の検討」が、p.10の「2-4ESCO事業実施の適否」だと思いますが、どうでしょうか。

環境省(野崎補佐): 1つ目と3つ目はほぼ同じ内容かと思いますのでお答えさせていただきたいと思います。ESCO事業導入可能性判断というものと、事業実施の適否ということで、フィージビリティ・スタディ等ということについてです。フィージビリティ・スタディについては予算要求に係る資料や積算に使っている資料なので外注していくのが前提です。かなり作業が発生します。そこに至る前にESCOとして適否を判断して、そこからフィージビリティ・スタディに進むだろうというフローを想定しています。そこで分けさせていただいております。2つ目について、どこの部分なのかをもう一度お願いします。
 栗山委員: フィージビリティ・スタディ以外の簡易の判断という「2-2既存施設の実態把握」です。p.8の前半にかなりのことが書かれておりますが、大規模施設の管理者ならある程度できると思いますが、中小の施設の管理者にここまで要求するのは酷かと思います。もう少し後回しにされる部分があってもいいと思いました。

環境省(野崎補佐): わかりました。この部分についてですが、簡易な省エネ診断、国のグリーン診断といったものを想定して書かせていただいております。調べる項目を例示として挙げさせていただいているということです。ここまで細かいところは、実際できる施設できない施設はあると思っております。

栗山委員: それでしたらフォーマット、チェックシート的なものを作って配ったらいかがでしょうか。

環境省(野崎補佐): 今すぐ答えるのは難しいかと思っております。検討させていただきます。

永野委員: 今の事に関してですが、p.7のフローは、どの部分をどこまで誰がやって、それに対して誰がサポートしてくれるのかが非常にわかりづらいと思っています。今栗山委員がおっしゃったように個々の施設の管理者が一番最初から最後までやらなければいけないのか。都道府県は、ある部署の方々がまとめて全調査を大まかにやって、その中から絞って個別に決めてから施設管理者に降ろしています。自分たちで判断しなさい、ましてや長期実行計画まで考えてやりなさいというのはすごく負担だと思います。一つ質問ですが、各中央省庁にはESCOの推進担当者が存在されるのですか。

環境省(野崎補佐): 私の知っている範囲ですが、ESCOの推進という意味だけの担当者は存在しないのではないかと思います。

永野委員: 環境配慮契約法の推進については誰が責任を取られるのですか。

環境省(野崎補佐): 環境配慮契約法の担当の方はいらっしゃいますが、ただその方が施設の管理の担当者かどうかは別な話です。資料2で今後の情報提供や会議の話をさせていただいております。今まで環境省でやっていたものを各省庁にお願いするときに、環境配慮契約法の窓口の方を集めて説明をさせていただいておりました。今後は、施設の担当の方にも直接話をさせていただきたいと思っております。そういった両方から情報提供をやっていく必要があると思っております。

永野委員: 現実的にどうやれば進むかということを考えたときに、既存施設の実態把握からESCO事業導入可能性判断までは、省庁で全体を見る方が考えるべきではないかと思います。その方に負担が大きくなるのでコンサルタント会社に発注して調査をしていただくほうがいいのではないかと思います。その後でESCO事業実施の適否、フィージビリティ・スタディの実施に関しては各現場の方が、例えばESCOに相談をしながらやっていかれるのがいいのではないかと思います。全体を通して相談があれば、国土交通省がサポートしていくといった流れを作ってあげないと、これをみて現場の施設管理者の方々がやってみようというモチベーションは上がらないのではないでしょうか。これを読むと非常に困難が待ち受けているような印象があります。

環境省(野崎補佐): この資料自体は、特段施設管理者の現場の方々だけに読んでくださいといったものではなくて、当然中間の方とか、本省の方とかも環境配慮契約を進める上で参照していただきたいといったスタンスで作成しております。実際にはどういった管理、どういった進め方をされるかは各機関で役割分担が異なってくると思いますので、その辺りは適宜各省庁でうまい具合にやっていただくようにお願いするしかないと思っております。

永野委員: 各省庁にその担当者はいらっしゃるのですか。

環境省(野崎補佐): 環境配慮契約法の担当者はいらっしゃいます。

永野委員: わかりました。

坂本座長: 極端な話、この解説資料のやり方に従わなくてもESCO契約を結んで実施すればいいのでしょう。これはある種、典型的なモデルを考えたときのフローチャートですよね。事業所の規模によって、これに寄らなくてもいいわけです。あまり堅く考えなくてもいいと思います。もちろんこれだけでは充分ではないのは重々わかります。だからさっきの普及促進でいろいろ考えましょうという提案です。その辺りは典型的なモデルの事業所があって、優等生的にやれば、こういう流れでやりますということなので、その辺をご了解願いたいと思います。

時田委員: 既に自治体においてESCO事業をやっている県・政令指定都市の場合は、かなり勉強されています。いろいろな情報も得ています。ひな型を待ってということではなくて、自ら知恵を出してやっているケースが多いです。一方、これから始めようとする市町村などの自治体は支援が必要になると思います。

坂本座長: 冊子を作っているが利用されないということになってしまいます。もっとかみ砕いて優しい1枚ぐらいのペーパーのものを市町村や小さな独法にお願いするとか、かゆいところまで手が届くようなことを考えていかないと、今すぐには無理でしょうが、本当の意味で普及していかないというところはあると思います。

大森委員: 2点ばかり。一つは、p.34です。契約書の作成のところの「④瑕疵に関すること」です。良く見ると何となく違和感があります。これは請負契約で決まりですか。
 環境省(野崎補佐): ESCO事業の契約ということですか。

大森委員: はい。

環境省(野崎補佐): 決まりということではなくて、それぞれが混ざっています。設計業務、工事、維持管理業務が混ざった全体の契約です。

大森委員: そうだとすると、これは、「瑕疵と責任に関すること」だと思います。そうしないとこれを見た自治体は全部請負にすると思います。設計は債務不履行責任ですし、施工は瑕疵担保責任(無過失責任)ですから、事業の内容に応じて適切に責任を書き分けるように書かないと、皆瑕疵になって、全部請負契約にしそうな感じです。それが一点です。
 それからp.37です。一番下の物価変動リスクの全額事業者負担ですが、公共約款では一定範囲内の物価変動は事業者の負担とするので、やはり公共約款に習うのが普通です。1年以上で1000分の15ルールというのがありますので、それでいいのではないかと思います。全額負担は削除したほうがいいだろうという気がします。
 もう一点は質問です。p.39です。事業終了時に想定されるリスクの内容のイメージが具体的にわかなかったのですが、事業終了時というのは何でしょうか。その時ということですから、一点ですよね。その時に性能が出ているか、出ていないかという意味ですか。要求水準がそのまま維持されているかという意味ですか。

環境省(野崎補佐): そういう意味です。

大森委員: わかりました。そうだとするともう一つお聞きします。「一般に事業終了後も引き続き同様の使い方も想定される場合には、民間事業者の負担とする。」とありますが、なぜここで「後」になるのか。その時点で要求水準になっているのならば関係ないはずです。

環境省(野崎補佐): ここの部分は、終了時点である一定の性能が担保されているということが求められるという趣旨です。その下の一方ということがあって。

大森委員: 一方の前です。「一般に事業終了後も引き続き同様の使い方が想定される場合には、民間事業者」と書いてありますよね。

栗山委員: ESCO期間が10年になったときに、例えば熱源の性能はこのレベルで納めてくださいという文章だと思います。

大森委員: 終了後も引き続き想定される場合とありますが。

栗山委員: 終了後も引き続きESCO発注者がお使いになられる場合には、その熱源を捨ててしまうということならば関係ないということです。

環境省(野崎補佐): 二段落目に、「一方、事業終了後に使い方が異なる場合」ということが書いてあります。この場合には、当然国の負担で事業後に合うような改修工事をする必要があるという趣旨のことが書いてあります。

大森委員: 私の理解が及んでないので教育がてら教えてください。事業時のリスクは事業が終わるときですから、終わったら関係ないのではないかという気がします。その後の使い方によって民間事業者の負担になるのかがよくわからないです。

栗山委員: 例えば熱源の場合は、普通は15年~20年使います。ESCO事業が10年とすれば、10年で終わったときにESCOの設備を引き渡します。熱源の場合は経年劣化をして能力が落ちてきますから、徐々に引き上げていきますが、10年経った終了時点であるレベルを保っておいてください。保っておくためにはメンテナンス費用が掛かりますから、その費用もESCO事業の中に含めてくださいという意味だと思います。

大森委員: そうだとすると、「一般に事業終了後も引き続き同様の使い方がされる場合には、民間事業者」とありますが、民間事業者の負担になる基準が、事業終了後の使い方にかかっているというのがよくわからないです。

栗山委員: 事業終了後もその熱源を引き続き使われるわけですか。

大森委員: 使う場合に使い方を替えようが、何しようが、それは発注者の責任ではないですか。事業が終了してしまっているのですから

倉田委員: もうトランスファーされているわけです。

環境省(野崎補佐): 事業終了後にリスクが発生するというわけではなくて、当初発注して求めた性能の一定レベルまで求めるので、終了時点でそのレベルでいいですという意味です。

大森委員: 事業終了後も保証の範囲に入っているという意味ですか。

環境省(野崎補佐): 終了後は保証は入っていません。

大森委員: 入っていないのだったら、やはりおかしいです。

環境省(野崎補佐): 終了後も同様の使い方が想定している場合ということです。

大森委員: いや、どういう使い方をしようが、事業終了したら終わりです。その後の責任はないです。

環境省(野崎補佐): 終了後のリスクではなくて、終了時点のときにです。

大森委員: そうでしょう。終了時点でダメだったら民間事業者はわかります。その後も使い方が同じだったら民間事業者という区分けをしているので、それはおかしいでしょうということです。

環境省(野崎補佐): 書き方の話だと思います。終了後も引き続き同じ使い方というのは、求める性能を替えるつもりはないということです。

大森委員: 民間事業者の負担というのは何ですか。

環境省(野崎補佐): 終了時点に一定レベルまで担保しないといけないという意味です。

大森委員: そうだとすると、下の2行目の終わりから4、5行の文章はおかしいと思います。直したほうがいいと思います。私の頭のレベルの人が読むと絶対に違うように読むと思います。

環境省(野崎補佐): 修正を考えさせていただきます。

時田委員: 確かにわかりづらいので整理されたほうが良いと思います。

環境省(野崎補佐): あとはいくつかご指摘いただいたものは、修正をさせていただきたいと思います。

永野委員: p.13の2行目。ESCO事業を診断した事業者が有利にならないように、場合によっては入札から排除するというのはごもっともな気がしますが、このとおりに動く物ではないとさっきお話がありました。例えば民間事業者が無料診断といいますが、今後手弁当でここの施設はこれぐらい省エネができますよといった診断をしていくことが予想されますが、それをやった人たちが入札に参加できなくなってしまうので書き振りを調整いただけないかと思います。例えば、なお無料診断に応じたESCO事業者はこの限りではないとか。p.22の24行目にも同じようなところがあるので、ご検討いただきたいと思います。

環境省(野崎補佐): ここで規定しているのはそういった活動をしないように、無料診断を行った人の入札を排除するという趣旨ではないので、表現については調整させていただきたいと思います。

永野委員: ご検討ください。
 それからp.18の真ん中に表があります。総合評価落札方式のデメリットの2つ目に、「提案時の技術提案の内容を原則変更できないので」と書いてありますが、この前は変更できないことはないというお話をされていたと思います。もう一つこれに対する文章として、p.23の4行目には、「提案された技術が、「2-4」において事業規模を算定するためにフィージビリティ・スタディの結果を踏まえ選定された技術と異なる場合であっても、設定された与条件を満たす範囲内であれば、適切に評価を行う。」と書いてあるので、こちらをぜひ採用してほしいと思いますが。言っていることが違うので書き方を検討していただきたいと思います。

環境省(野崎補佐): p.18の表とp.23の4行目は違う時点の内容です。p.18のデメリットのところで、「提案時の技術提案の内容を原則変更できない」と言っていますのは、ESCO事業者が入札のときに提案した内容が採用されますので、事業実施で改修工事や維持管理をする中で、それはちゃんとやってくださいといった意味で書いています。p.23のほうは、技術提案が来たときにフィージビリティ・スタディと内容と違うものでも評価しますと言っています。

永野委員: プロポーザル方式の場合は契約したあと変更できるという意味ですか。総合評価落札方式のほうは変更できないということですか。

環境省(野崎補佐): プロポーザル方式の場合は優先交渉権という形になりますので具体な提案ではないはずだと思っております。

永野委員: 具体的提案をせずに優先交渉権はもらえません。

環境省(野崎補佐): そこの部分が書き切っていないところだと思います。

倉田委員: 優先交渉権を取ったあとでも場合によっては変えることはあります。優先交渉権獲得後に詳細診断を行って、詳細設計し、省エネ内容、省エネ量を確定しますので。実際の契約するときまでに変更を行った事例はあります。それは間違いないです。

栗山委員: 項目も変える可能性はありますし、省エネルギー量も増量する可能性は十分あります。

永野委員: そこまでこの表で読めますか。混乱します。p.18とp.23で言っていることが違うような気がします。

環境省(野崎補佐): ここは書かないわけにはいかない部分だと思っています。

永野委員: 脚注をつけておいてください。

環境省(野崎補佐): 多分事業を実施される方は理解していると思います。

栗山委員: p.51の省エネチューニングです。国の発注形態として可能なのかどうかが不明です。省エネチューニングは成功報酬になってしまいます。最初に見ただけではわかりませんからやり始めて、ここはこうだ、ここはこうだ、結果100万円少なくなったとします。では、その半分を事業費として支払ってくださいといったような成功報酬になってしまいます。国の発注形態としてそぐわないような気がしますが、可能なのでしょうか。

環境省(野崎補佐): ここで紹介させていただいている省エネチューニングは報酬については触れていないというのが一点です。国で実施するかという話は調べきれておりません。地方公共団体は注目しているところがかなりあるとアンケート結果には出ております。

栗山委員: 自治体でも契約時点で金額が固定できないですから、かなり難しいと思います。民間同士ならいいですが。

時田委員: 同様に思います。省エネチューニングによる成功報酬が会計法や予決令に合っているのかどうか。PFIを検討したときに、そういうのは認められないという話があったと思います。かなり影響が大きいので、きちんと調べる必要があると思います。

永野委員: ある地方公共団体の施設でチューニングESCOをやったときは定額にさせていただきました。削減量に絶対の自信がある分だけを要求し、もし、未達成ならば減額も受け入れるようにしました。5%を目途に実施しました。、結果10%を達成しましたが、ボーナス分はありませんでした。仕方ないですが、その辺はやはり民間で普通に行われている10%達成したのだからその分をボーナス分として支払うというようには、国も地方公共団体も難しいのではないかと思っています。

栗山委員: 定額の予想がかなり難しいです。

永野委員: おっしゃるとおりで難しかったです。最低でも10%は行くだろうと思っていました。

時田委員: 3-2は参考のところはあくまでも参考のつもりですよね。参考なら、参考らしくしたほうがいいと思います。

坂本座長: 参考に入っているのですね。ちょっと検討してください。参考の扱いだから重くはないですが。

石井委員: 資料3-1のp.2の導入フローの変更は簡略化されてわかりやすくなったと思います。ただ、マニュアルを変えたから急に進むとは思えないので引き続きPDCAが必要だと思います。その際、前回話題になったアンケートの取り方を導入フローにあわせて変えるのはどうでしょうか。前回はいきなり全部の施設を対象に、フィージビリティ・スタディをやりましたか、ESCOを導入しましたかを聞いていたと記憶しています。全体が5,000もある中で、いきなり2-4の調査をし、フィージビリティ・スタディをやったところが2~3件しかないといったようなことでした。その前段階で何がダメだったかがわからない、理由がわからないということだったと思います。長年やっているアンケートの構成を変えるのは色々な問題があるとは個人的に思いますが、今後、この導入フローでいくのであれば、例えば簡易な診断をしましたかとか、導入可能性の判断をしましたかとか、前段階にいくつか入れ、簡易な判断をしてないならば、なぜなのかなどを、フローに沿ってステップ間で取っていただくと、どこで詰まっているかわかるのではないかと思います。
 そういう意味では先ほどの導入可能性、簡易の診断で項目が多すぎるのではないかというお話がありましたが、簡易の診断のところは過去のエネルギー消費を把握していますかぐらいのレベルでやったほうが本当はわかりやすいのではないかと思います。導入フローに併せた形で、どこで引っかかっているのかがわかるようなアンケートを工夫していただければいいと思います。
 ついでにここまでやるとやり過ぎかもしれませんが、改修や更新をその年にしたのか、していないのか、先ほどの閾値を超えているのか超えていないのか、というデータを取るのもありかも知れません。超えていないとやらなくてもいいという話になる危険性がありますが、どこで引っかかっているのかが分かりますし、逆にやっていないところは、そもそもESCOの対象でないというならば、そこは詰めなくてもいいという気もしますので、その辺りを工夫していただきたいと思います。

坂本座長: ありがとうございました。

永野委員: PDCAの話が出たので最後にお願いします。今回PDCAでCとAの間をやっていると思います。それが5年サイクルだったのですが、PDCAをぜひとも年に1回くらいこういった委員会を設けていただけると進みがいいような気がします。計画があればお聞かせいただきたいと思います。

環境省(野崎補佐): PDCAという意味では基本方針検討会で毎年実施状況を報告させていただきまして、そこで改善する必要があるかないかの審議をしていただいております。今回専門委員会を開かせていただきましたのは、基本方針検討会で改めて専門委員会を開いて審議すべきだという結論が出ましたので開かせていただいたということです。チェックという意味では基本方針検討会でさせていただいております。その中で検討をしっかりやるべきだというものが出てきましたら、またこういった場を設置しましてご検討いただければと思っております。

坂本座長: それでは時間がきましたので、本日の主な議題はこの辺で終了したいと思います。委員の皆様から非常に多くの貴重なご意見、ご指摘をいただきましたので、それを踏まえて、資料2、資料3-2を事務局において、12月19日に開催される基本方針検討委員会に報告できるように今の結果を取りまとめてほしいと思います。文章の問題等がありますが、検討会に報告する最終的な表現や取りまとめの仕方については座長にご委任でよろしいでしょうか。
 (一同承認)
 はい、ありがとうございました。それでは、資料4の説明を事務局からご説明をお願いします。

(3)検討スケジュール

事務局: 資料4について説明(省略)。

坂本座長: 何かご質問はありますか。よろしいですか。
 本日まで3回にわたりESCO専門委員会を開催させていただきましたが、特に4回目を開く必要はないということでございますので、これで専門委員会を終了させていただきます。委員の皆様にはご協力、貴重なご意見をいただき、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局に議事をお返しいたします。

(4)その他

環境省(坂口調査官): 3回にわたる議論を大変ありがとうございました。貴重な中身につきましては基本方針検討会に報告させていただきたいと思います。また今後の推進方策、あるいはいろいろな資料等の作成がありますので、どういった形になるかわかりませんけれども、情報交換会等、意見交換会もできるかどうかも含めて考えたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

坂本座長: それでは終了ということでどうもありがとうございました。