平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会 ESCO専門委員会(第2回)議事録

出席委員:
石井委員、大森委員、倉田委員、栗山委員、坂本委員(座長)、時田委員、永野委員
(五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年10月2日(水) 13時30分~15時50分

2.場所

法曹会館 富士の間


事務局: これより平成25年度「第2回環境配慮契約法基本方針検討会ESCO専門委員会を開催いたします。なおカメラ撮りは配布資料の確認までとさせていただきます。それでは早速ですが、坂本座長に議事進行をお願いいたします。

坂本座長: みなさん、こんにちは。足元の悪いなかお集まりいただきまして、ありがとうございます。今日は専門委員会の第2回目でございます。実質的な審議として山場ではないかと考えている次第でございますので、よろしくお願いしたいと思います。事務局から本日の議事予定、配布資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は、15時30分までの2時間の予定となっております。

◇配付資料の確認

事務局: 次に配付資料の確認を致します。

配付資料

このほか、環境配慮契約法の基本方針関連資料冊子をお配りしております。基本方針関連資料には、法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜ご参照ください。

なお、基本方針関連資料は、第1回専門委員会でも配布しておりますので、ご不要の場合は、お帰りの際に机上に置いてお帰りください。

資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

3.議題

(1)国等におけるESCO事業の契約実績について

坂本座長: ありがとうございます。それでは議事に入ります。本日はお手元の議事次第にあるように大きく4つ議題がございます。一番目は国等におけるESCO事業の契約実績等について、2番目がESCO事業に対する調査結果について、3番目が省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について、4番目が検討スケジュールについて、以下その他となっております。第1回の専門委員会において検討方針が示されましたが、本日は具体的な調査結果等を踏まえて、環境配慮契約法に基づく改定案等をご議論いただく予定になっております。それでは最初の議題である「国等におけるESCO事業の契約実績等について」、資料2および参考、資料3の説明をお願いします

事務局: 資料2、参考、資料3について説明(省略)

坂本座長: どうもありがとうございます。大変興味深いデータではないかと考えます。今のご説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします

永野委員: 質問ですが、資料2の2ページ目、「フィージビリティ・スタディの結果、ESCO事業の導入による効果が低い又は困難であると判断された事例」とありますが、この判断された事例というのは何件で、その中で1件だったか教えてください

事務局: 平成24年度の報告をいただいた際に、フィージビリティ・スタディでESCO事業の可能性がないと判断された件数と、10年という期間を延ばした場合にどうですかということをお尋ねしております。フィージビリティ・スタディを行いましたとご回答いただいたのが23件、その内の16件は可能性がないと判断され、その16件のうち1件が事業期間を延ばした場合に成立した可能性がある、とお答えいただいたということでございます

永野委員: ありがとうございます。よくわかりました。フィージビリティ・スタディを教えていただきたいのですが、これはお金を払って外部機関にやってもらうことなのか、自分たちでやったことなのか、そこはどんな感じでしょうか。フィージビリティ・スタディの内容自体は解説資料に書かれているのですが、発注してやるかどうかというのは特段決めているものではないので、内部でできれば内部で実施するのでしょうが、ただ、実質的には外注して行うことになるのではないかと思っております。また、同じページの一番下のところで、「機関内に、施設の設備・エネルギー管理に係る体制がない」というのがよくわからなかったのですが、誰も管理していないという意味合いですか

野崎補佐: これは小さい施設をイメージしたものでして、専門で対応しているものがいないというような趣旨です

永野委員: わかりました。何か文言を足しておいていただいた方がいいと思います。管理していないと思われるのではと思いました。ありがとうございます

栗山委員: 資料2の1ページの表ですが、ESCO事業導入可能性有の件数よりもESCO事業実施件数が多いというのはどういうことでしょうか

事務局: フィージビリティ・スタディを行った件数とESCOの件数というのは独立して聞いているかたちになっております。そもそもESCOを導入されているケースというのと、フィージビリティ・スタディをやられて結果として導入の可能性がありと判断されたというのと分けて聞いているかたちになっておりまして、導入可能性有となった後にESCOに行くか行かないか最終的に判断されるという流れになります

栗山委員: なしと判断されてもESCO事業をされているということですか

事務局: なしの場合では普通はそのまま終わりだと思いますけれども、有りと判断されるということです

栗山委員: 有りと判断されたものがESCO事業に進んで行くのでしょうが、その時にESCO事業の件数が多いというのが理解できないのですが

事務局: これは当該年度ということなので、その前の年度にフィージビリティ・スタディをおこなっていればということです

栗山委員: 年度が違うということですか

事務局: 例えば今年可能性があるということになれば来年度契約となります

栗山委員: 統計上こういう表でも意味があるまとめ方でしょうか

野崎補佐: 案件ごとに整理するというかたちではなく毎年実施状況を聞いておりますので、年度でフィージビリティ・スタディを実施しましたか、ESCOを実施しましたか、という聞き方にどうしてもなってしまいます。そのため、こういう取りまとめ方として整理させていただいているところです

栗山委員: もうひとつ厳しい話になるのですが、私も自治体のESCOに何件か参加させていただいておりますが、自治体が外部に委託してフィージビリティ・スタディを行った結果を公表されておりまして、自治体の場合は全くフィージビリティ・スタディの結果を無視して、ESCO事業者が単独で提案してやっています。フィージビリティ・スタディの結果はほとんどあてになりません。フィージビリティ・スタディの結果が信頼できない、そういうケースが多いです。ですから国の場合でも、委託する企業の資質が非常に問題となってくると思うのですが、せっかくESCOができるという物件でも、フィージビリティ・スタディを行う事業者から、可能性なしという結果で挙がってくる可能性もありますので、フィージビリティ・スタディを行う企業の選定が非常に重要なポイントだと思います。その辺も指針に含めていただければと思います

野崎補佐: 解説資料にフィージビリティ・スタディの記述がございますので、そういうところにご意見を盛り込めていけたらと思います

坂本座長: フィージビリティ・スタディの話はこのテーマとは少し違うので、あまり深入りしたくないのですが、課題であることは確かですね

時田委員: 基本的な話なのですが、国および独立行政法人に、今調査では地方自治体が入ってきていますね。国および独立行政法人対地方自治体という構図になっていますけれども、資料2でわかりますように、フィージビリティ・スタディやESCO事業実施件数は国に比べて独立行政法人が多いですね。予算の仕組みも国と独立行政法人とでは違うし、国および独立行政法人はこうだという言い方をすると、国と独立行政法人の違いが見えなくなってしまうと思います。むしろ地方公共団体と独立行政法人が似ていると思います。というのは国の場合には予算枠は会計法の縛りがあります。独立行政法人の場合の予算の取り方は地方公共団体に近いと思います。事実、資料2の結果でも、独立行政法人についてはフィージビリティ・スタディ調査の結果も多いし、実施件数も多いです。背景にそういうことがあるのではないかと感じました。基本的に独立行政法人と地方公共団体の場合には補助金が使えますので、補助金があるかないかというのは大きいと思います

坂本座長: そうですね

永野委員: 5年前の委員会の時におっしゃっていたのは、予算の取り方が自治体と国では違うということで、それが大きな問題だとおっしゃっていたのが今おっしゃられたことと通じるところがあるのかなと思いました。独立行政法人にできて、なぜ国にできないのか。ここがけっこうポイントではないかと思います。もし調査をされていないのであれば、調査していただければありがたいと思います

野崎補佐: 独立行政法人の方が多いという話がありまして、予算の話もありますが一番大きいのは補助金の話かと思っております。また、独立行政法人は施設の用途、規模というのも大学や病院など大規模な施設が多いということで、そこに国と独立行政法人で大きな違いがあると思っております

永野委員: おっしゃるとおりで、規模も違うし補助金というのは大きなインセンティブ、そのとおりだと思うのですが、であるからこそ設備更新型の場合は頭金を出してあげましょうということになったのだと思うのですが、これはある意味補助金と似ています。考え方としては省エネだけでは成り立たないのだけれども、どうせ設備を更新するのであれば、また、熱源を更新するのであれば、そこは面倒を見てあげましょうというお金が入れば成り立つはずだと思うのです。これがなぜ進まなかったかというのは啓蒙活動が進まなかったというご意見もあると思いますが、もうひとつ予算の取り方が障害になっているのではないかなとずっと思っています。そのあたりについては民間側がわかる範囲のところではないものですから、ぜひ国の方で調べていただけるとありがたいと思います

野崎補佐: コメントだけになってしまいますが、予算の取り方というのは自治体と国の違いということだと思います。解説資料の81ページに地方公共団体の進め方の主なかたちが出ていまして、82ページの方が国の予算スケジュールになっています。自治体の方を見ていただきますと、まず事業計画を立て、プロポーザルでESCOの実際の実施の部分は契約外なのですが、そこでプロポーザルをかけて、提案を受け、それから実際の事業に関する予算要求をして、その年度で予算化をしてというふうに進んでいくことになっています。それに対して国の場合ですが、国の場合は年度毎に予算要求をして予算を確保して、それからESCO事業を実施していくということになっております。そこだけ比較すると、どうして自治体みたいにできないのかというご意見もあるのですが、実際には省エネなどの工事でもこういった予算要求をして予算確保をして、その後に工事を発注するということになっていますので、一概に予算の取り方が違うので進まないということには当たらないのではないかなと思っております。予算要求をして予算を確保すれば進むものですので、特段障害になっているものとは認識していないということです

永野委員: 先ほど時田委員がおっしゃった独立行政法人の場合はどちらに近いのですか

野崎補佐: おそらく自治体の方に近い予算、管理になっていると思います

永野委員: そうであれば、やはりここの違いが障害になっているという結論にならないのですか。そこを調べて欲しい

栗山委員: 独立行政法人も自治体もたぶんそういったことだと思います。先ほどフィージビリティ・スタディの件を申し上げましたが、ESCO事業者はフィージビリティ・スタディを無視してやると言いましたが、それは品目の変更が全部できるからです。フィージビリティの結果を無視しても契約ができるし提案ができる。国の場合はフィージビリティ・スタディの結果そのものを執行しないといけない。他の提案は全くできません。そこが大きな違いだと思います。そこを柔軟に対応できるように、法律の改正までは難しいでしょうが、自治体に近いようなやり方で、品目まで変えられる、手法まで変えられるというようなやり方に持っていけるような方法を考えなければいけないかなと思っています

野崎補佐: フィージビリティ・スタディの説明をさせていただきますが、フィージビリティ・スタディはあくまでもESCO事業を進める前に導入可能性を判断して、その後どういったものが出来るかという標準案を決めていくというものになっていると思います。フィージビリティ・スタディの結果に基づいて予算要求をして、またESCO事業を実施する時に標準案として積算をしていくものですので、基本的には総合評価の時に事業者からの提案を求めまして、その提案を基にESCO事業を実施していくと思っております。ただ程度の問題だと思いますが、大幅に変わるというものであれば予算との調整をしていく必要があるという趣旨の説明をさせていただいています。ですので、全く提案が受け入れられないというレベルではなくて、例えば熱源を更新しますというような発注者の考えがあって、それを要件として実施していくというのは十分有り得て、他のところの提案というのは十分受け入れられる仕組みになっているのではないかと思います

時田委員: 本来のESCOのスキームで進めるとすれば、独立行政法人は可能性が高いと思います。国の場合は、ルールというか予算上の制約がいろいろあると思います。それを変えるのは大変なことだと思います。そういう可能性の高いところを攻めていく。だから国および独立行政法人となっていますけれども、私は独立行政法人の方が可能性が高いと思っています

坂本座長: わかりました。参考の最後にエネルギー消費量と光熱費のデータが出ていますけれども、こういうものを見れば、ESCOというのは実際の物件としては全体のパーセンテージから言えば非常に少ないということがわかってしまうのですが、参考のデータは国と独立行政法人も入っているのですか

事務局: 国だけです

坂本座長: 国だけですか。独立行政法人でこういうものはないのですか。たぶん独立行政法人はもっとデータがあると思います。建物が多いでしょうし。残念ながらないですか。その辺があれば、今のご質問の話にもう少し鮮明な答えが期待できるのかなと思いました。時田さんのおっしゃるように、独立行政法人がターゲットになるというデータがあるといいですが

時田委員: 例えば、 国立病院機構などのデータはわからないのですか

野崎補佐: そうです。今は集めていません

時田委員: それがわかってくると、かなり見えてくるのではないですか

坂本座長: 見えてきますね。しかしこれだけに関わっていますと全体がおろそかになりますので、資料2、3の話題はこのあたりでストップさせて、次の2つ目のテーマ、ESCO事業者に対する調査結果について事務局からご説明願いたいと思います。

(2)ESCO事業者に対する調査結果について

事務局: 資料4について説明(省略)

坂本座長: 何かご質問があればお願いします

時田委員: 資料4別紙の最後にタイトルが国の機関と書いてあるので、先ほどの国と独立行政法人の違いがありますけれども、1番目2番目に出てきているのがやはり手続きの問題、検証の問題です。手続きはいろいろな縛りがありますから簡単には緩和できないかと思います。ただ簡素化は促す必要があると思います。検証方法も地方公共団体の中には、例えが悪いですが瑕疵期間の2年間の検証をしてそこで検証は担保するというようなところもあります。また、ぎりぎりと過度の検証を追求するのではなく、公的なフリソフトのシミュレーションツールを使って、性能が確認出来ればいいと思います。阻害要因の一番目の手続きの簡素化、それから検証の簡略化というように過度の負荷にならないようにできないかと思います

野崎補佐: ESCO事業者のアンケート調査結果ということで、回収率がちょっと少ないという状況なのですが、契約までの手続きの煩雑とか、こういった意見をいただいているので、何らかの対応を検討していかなくてはいけないと思っているところでございます。ただ実はこのアンケート自体は選択肢から選んでもらう方法でアンケートを取っておりまして、具体的にどこが煩雑なのか、検証方法のどこの部分で曖昧なのか、曖昧というのが本当にその表現なのか、そういったところが読み込めていないという状況です。今後事例収集から始まると思うのですが、そういった事例を踏まえながら改善できるところについては検討していきたいと思っております

坂本座長: 他にありますか。時田委員、どうぞ

時田委員: 先ほどの資料3の4ページで事業の阻害要因の内訳が出ています。やはり都道府県政令指定都市まではいいとしても、市とか町村とか小さい組織では自分たちでこなしきれない。ESCOを推進するためにはどこかでサポートしてあげなければいけないのではないかなと思います。ただやりなさいというのではなくて、サポートが必要ではないかと感じます

坂本座長: 時田さんの公共建築協会でそういうことをやっていませんでしたか

時田委員: 補助金の手続き等も非常に大変です。手続き的なものを含めて面倒を見てあげるとか、そういったことをしていければグラフのようなことはないと思います。おそらく可能性はまだあると思っています。

(3)省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について

坂本座長: 次の議題に移りたいと思います。次は今日の主要なテーマの「省エネルギー事業に係る契約に関する基本的事項について」でございます。ESCO事業については今年度に基本方針の改定を考えております。そのため基本方針の改定案についてご議論いただき、検討結果を10月31日に開催される予定の第2回環境配慮契約法基本方針検討委員会に私からご報告することになっております。本日の専門委員会には基本方針検討委員会に報告する事項が2つあるので、分けて議論を行いたいと考えております。1つ目は基本方針の改定内容ではありませんが、第1回専門委員会の検討方針に示された「国庫債務負担年限の見直しに関する考え方」および「ESCO事業の定義の変更に関する考え方」についてのご議論です。2つ目は基本方針の改定案と基本方針解説資料に盛り込む内容についてのご議論です。それでは資料5の「国庫債務負担年限等に関する考え方について」を事務局よりご説明をお願いします

事務局: 資料5について説明(省略)

坂本座長: ありがとうございます。資料5についてご意見、ご質問がありましたらお願いいたします

永野委員: なぜ進んでいないかという問題点が明らかになっていない段階で、10年を延長するべきか逆にしなくていいのかというのはそもそも議論する段階にないような気がするのですが、今しなくてはいけないのであれば延長して欲しいと思います。それは事業者側および国から15年にしてもあまり意味がないという意見があるかもしれないのですが、障害になっているところが取り除かれれば15年になれば成立してくるようなことも、国の施設ではなくとも独立行政法人では出てくる可能性はあると思います。前回も申し上げましたが、ガスのコージェネレーションは省エネルギーにも繋がりますし、震災があった時にも有効な手段だと思うのですが、大学とか大学病院とかで10年で事業化しろというのはやはり厳しいと思います。15年であれば成り立つ可能性が出てくるのであれば、そこで道を閉ざすことは避けていただけないかなと思います。規制緩和につながると思いますので。今のこの状況だけを捉えてやらなくていいというのは、ちょっと違うのではないかと思っています。もうひとつ、省エネルギー改修事業の定義の変更についてですが、前回質問させていただいて回答は後ほどということだったのですが、私どもが頭金方式と呼んでいる設備更新型ESCOの場合、保証された光熱水費の削減額ですべての事業費を賄っていません。そこで認めておいて、ここで定義と違うからというのは、そもそもなぜ頭金方式を認めていただいたのかという疑問を感じるので、そのあたりについてご説明いただけるとありがたいです

野崎補佐: まず債務負担年限の話ですけれども、国と独立行政法人がございます。10年という制限がかかっているのは国の機関で、独立行政法人は制限を受けていません。コージェネといいますと対象となってくるのが大規模な施設で、大学とかそういった施設になってくるかと思いますが、国の施設でそういったコージェネを導入するというのはあまり想定できないということがひとつでございます。あと、障害となっていないのであれば15年にしたらどうかというご意見だったかと思いますが、10年が障害になっているということを今回確認できなかったということと、15年に延ばすとリスクが生じて参加意欲がなくなってしまうというアンケート結果も出ておりますので、現段階におきましては当面10年で進めていくというのがいいのではないかという考え方の整理をさせていただいたということでございます。次にESCO事業の定義の話でございますが、設備更新型ESCOの議論の中で頭金という話が出てきているのですが、正確に言うと頭金という話ではなく、通常の更新事業とESCOの事業を合わせて実施するというものでございまして、合わせて実施することによってESCOの提案をいろいろ期待できる、合わせてやることによってより効果的にできるのではないかという趣旨で導入しているというものでございますので、ESCOの定義には特に問題ないかと思っております

永野委員: 15年のリスクの件ですけれども、前提条件が、実際に独立行政法人とか地方公共団体で15年のESCOというのが実施されています。この質問なのですが、資料5の(2)のところにも出てきていると思うのですが、設備更新型であれば10年で成り立つという条件付きで言っているわけで、設備更新型でなかったら15年ないと成り立たないと思います。ですから10年を延ばす必要がないということはないと思います。必要がないとまでは言い切れないと思います。事業者が望んでいないからとか、可能性が少ないからしなくていいかというと、それは違うのではないかと思いますが。あとは、更新型の費用については別々の事業でとおっしゃっていましたが、資料の80ページの図の解釈なのですが、これは頭金方式というかたちではないということですか。ここは国から民間に頭金を払っていただいているのかなという認識だったのですが

野崎補佐: この図で、ESCO事業と通常の更新事業を合わせたかたちがこういうかたちになりますということです。なので、通常の更新事業で支払うのが最初に盛り上がるところです。ここが通常の更新で支払われる部分。その後ESCOとして支払われる分が継続して続いていくということです

永野委員: 予定されている設備更新費を払う相手は誰ですか。ESCO事業者に払うのですよね。頭金方式との違いが理解できないのですが

野崎補佐: ご理解いただいている内容のとおりだと思います。頭金方式というと表現が問題ということです

永野委員: 自治体のESCOの場合は頭金方式と呼んでいるものですから。わかりました。であれば、ここの定義の整合性は取れているということでいいのでしょうか。保証された光熱水費の削減額ですべての事業費を賄っていない図に見えるのですが。違いますか。分けているからいいということですか

野崎補佐: ESCO事業の部分と通常の更新事業を分けたかたちにして行っているということです

倉田委員: 非常に厳しいという感じがします。15年だと15年やらなくてはいけないのですか。15年の間で事業者側が選んでいいのですよね。15年とした場合に全部15年やりなさいということではないですよね

野崎補佐: しなさいということではなくて、発注者が15年まで設定して良いということです

倉田委員: 15年まで設定していいということは、別に5年でも良いわけですよね。そう考えると事業者側にとってみると15年まで選択肢が増えるので、一体何が悪いのですかということにならざるを得ない。10年で成立しないのであれば15年、自治体も15年ですので。理由としてはなぜかなという感じを私は受けます。10年で設備更新型にすればできるということで今まで10年でやっていたので、だったら可能性を広げるために15年にしましょうというのは、理屈から言うとそのとおりですとしかいえない。20年となるとさすがにそんなことはないでしょうけれども。そういう感じは持ちます

野崎補佐: フィージビリティ・スタディの中でひとつしかありませんでしたという話があるのですが、更新費がかなりかさむと15年というレベルでもなくなってきて、もっと長くという話になってくるかと思います。そうすると年限を伸ばせば良いという話ではなく、こういった設備更新型ESCOで対応していくのが一番いいのと思っています。また、あまり長くなると、事業者の参加が見送られるということが一番懸念されるかと思います

倉田委員: それは多分ないと思います。私は参加する方なので、一番の問題点はそれに見合うだけのものがないということなのですが、それは本音の話であって、制度からすると可能性を広げるような制度にされた方がいいのかなという感じは持っています

坂本座長: ただ、それが決定的にESCOの促進を阻害しているというアンケート結果にはなっていないですね

永野委員: 原因がまだ明確になっていない段階でこの議論というのはちょっと

坂本座長: 原因が明確でないから上げるということも言えないわけです。どっちも言えないわけです

永野委員: この機会を逃すと上げるチャンスがなくなるのであれば上げていただきたい

坂本座長: 3.11以降のエネルギーの不安定さという状況があります。一方、環境配慮契約法というのは3.11の以前からあったわけです。ですから、その辺で大きく事情が変わっていると思います。みなさん方は、こういう状況の変化を全然気にしないでやっているわけではないと思います。電気代は明らかに上がっているわけですし

永野委員: 光熱費が上がればESCO事業は立ち上げやすくなります

栗山委員: 成り立ちやすくなりますけれども、逆に絞り出しますから総額は変わっていないかもしれません

大森委員: 今の議論と関係ないのですが確認だけさせてください。資料5の2ページの下から3行目「設備更新型ESCO事業の導入可能性の検討を行うこととすれば」延長する必要はないと書いてありますが、設備更新型ESCO事業の導入可能性の検討を行えば10年でいいという意味がよくわかりません。教えて下さい

野崎補佐: 設備機器の更新を伴うESCO事業ですとかなり事業費が高くなってしまいます。それをシェアードでやろうとすると10年では元が取れないというケースがあるので延ばしたらどうかということなのですが、設備更新型ESCOについては、更新部はESCOとは別にカウントをし、合わせて実施するということですので、更新の費用は元を取らなくてはいけない費用とは別なので、10年未満で元が取れるということです

大森委員: わかりました。ただそうすると上の方のアンケートの意味がわかりません。設備更新等の場合は10年では事業成立が困難であるから、というのはカウントするということですよね。アンケートの答えと今の答えがあっていない気がしますが

事務局: これについては、設備更新がセットで事業規模が大きいケースについては、シェアードなどで考えた場合に10年ではなかなかもとが取りづらいとおっしゃっている事業者からの延ばしてくれたらというご意見ということでございます。その上に書いてございますけれども、設備更新型ということでいわゆる初期の部分について国が費用を持っていただけるのであれば事業は10年でも成り立つ、ギャランティードに近いかたちになるかと思います

大森委員: ということは設備更新型には国が負担する場合と負担しない場合があるという意味ですよね

事務局: そうではないです。下の方のお答えは、なぜ延ばさないといけないのかという理由として、シェアードで設備更新、熱源を変えるなどを考えるとなかなか厳しいですとお答えいただいたということです

大森委員: 仮定の話ですか

事務局: これはそういうお答えだったということでございます

大森委員: 現実には設備更新型と言えば別ですか

事務局: 今のしくみではそうです

大森委員: ありがとうございました

時田委員: 事業を受ける方の業態を考えると、資金面の長期のリスクとか長期の拘束を嫌がるのではないかという気がします。期間を長くしていくと受ける方の業態が絞られてくるのではないかという感じがしますので、個人的には10年ぐらいが妥当ではないかと思います。回収は早ければ早いほどいいと思いますし、長くなってもやっていけるのはキャパシティの大きい資金力のある企業と思います

石井委員: お話を聞いていて、この10年の問題は意見が分かれていて、まだ詰まっていないところがあるのかなという気がするのですが、方針の見直しというのは5年に1回ですか

事務局: そういうわけではないです

石井委員: 今の書き方ですと、10年を15年にしても意味がないからしなくていいというふうに読めてしまうのですが、まだよくわからないということかなと思います。個人的には、10年を15年に延ばすことによる国側とかのデメリットが大きいものがあまりないのであれば試しに延ばしてみればいいという気がするのですが、今のお話を聞いた範囲では10年を15年にすることが良いか悪いかまだよくわからないと、ただし少なくとも設備更新型ESCO事業を導入すれば、10年を15年にするよりも設備更新型を適用した方が基本的には事業者にとってもメリットが大きいわけです。ただし設備更新型ESCO事業自体がまだ十分に普及していない、その存在が認識されていないから、10年を15年にするよりも先に設備更新型ESCO事業の普及啓発を進める方がまず先ではないか、くらいのストーリーではないかという気がします。現段階で15年に延ばす可能性を潰すような書きぶりはちょっとどうかと思います。順番というか、どっちが先かという話なのではないかと思います

永野委員: 確認させていただきたいのですが、5年前にできたこの法律、5年間で実績がゼロでした。今5年後になって、どこに問題があるのか話していますけれども、この次のチャンスはあるのでしょうか

野崎補佐: 基本方針自体は適宜見直すということになっております。検討会は毎年行っていくということになりますので、この議論のチャンスがなくなるということはありません

坂口調査官: 環境配慮契約法自体は随時やってきていますので、ESCOについてもさらにグレードアップするだとか拡張していくということは、今の時点だけではなく将来も必要であればやっていくという考え方になると思います。ただ10年を15年にするかどうかについては、今年度中に現在の時点の見解をまとめなければいけないという事情があるので、それについてはこの段階でまとめるということです。きちんとした事実が明らかになって変えなくてはいけないことがあれば、またこういった場で議論していくというかたちになろうかと思います

永野委員: 毎年委員会を開いていただいたということで今まで4回くらい見直す機会があったのですか。それで実績がゼロだというのに気付いたのはいつなのでしょうか

野崎補佐: 実績につきましては毎年調べておりますので、いつ気付いたという話ではなくてずっとわかっていたということです

坂本座長: いつまで経っても増えないので腰を上げたということですね

時田委員: 永野委員と倉田委員に質問したいのですが、長期のリスクは取りたくない、拘束されたくないというのが本音だと思います。10年を15年に延ばしたいというその本当の思いというのはどこにあるのですか

永野委員: ESCOビジネスについては各社の立場によって見方が違うんですね。例えば工事会社はできるだけ手離れが良い方がいいので短くしたいんです。一方でエネルギー会社、電力、ガス、あとはメーカー、自分で機器を作って製品に自信のあるメーカーはどちらかというと長くやりたがる。例えばガスコージェネを導入することでガスの供給先ができるわけで、それに対して当然責任は負います。リスクもありますが、ビジネス的には成り立っていく。利益のこともありますので、やろうという決断が出たりします。ですので立場によってESCO事業の目指すところが違うということを認識していただけると、15年に延ばしてくれた方がいろいろな方がちょっと頑張ってやってみようという意気込みが出てくると思います

倉田委員: 私は設備工事会社なので、おっしゃるとおり手離れがいい方がいいのですが、ESCO事業になぜ設備工事会社が取り組んでいるかというと、やはりプロポーザルなのです。リニューアルに対して設計等がきちんと出来上がっていてそれに対する工事ではなくて、提案ができるのですね。ESCO事業者、設計者、企画者として。その自由度が魅力で、プロポーザルで競争して取っていく。こういうスタイルです。それは自治体、民間両方なのですが、国のやり方は順番が決まっているので、非常に我々にとっては手枷足枷でやり方としてあまり魅力的な物件がない。経済産業省ESCO事業を実施しましたけれども、省エネ手法が最初に決まっていて、その内容をいかに低価格で実施するかの価格競争になり、変更提案の余地がなく低価格で受注しています。その辺でやり方が少し民間、自治体とは違うので、我々とすると、なぜ15年と言うのかというと自由度を持たせていただきたいということです。それができないのであれば我々にとっては全く魅力がないということになってしまう。自由度の1つの表現として言っているということです。15年にしていただいて設備更新型でもいいのではないか。15年だから設備更新型がだめと言われると、それでは無理です、そんなリスクは取れませんとなります。事業計画を我々に自由度を持たせていただくような方向にしていただかないと、ということです。それができないのであれば我々にとっては全く魅力がないということになってしまう。自由度の1つの表現として言っているということです。15年にしていただいて設備更新型でもいいのではないか。15年だから設備更新型がだめと言われると、それでは無理です、そんなリスクは取れませんとなります。事業計画を我々に自由度を持たせていただくような方向にしていただかないと、ということです

坂本座長: 質問ですが、民間の場合には10年とか15年というのは長すぎるでしょう。

倉田委員: そうでもない。ギャランティ、保証するというのもやり方の問題です。設備機器はきちんと保守をやっていれば10年から15年は動きますので、我々にとってみると保守のフィーも入ってくるので事業規模が大きくなります。会社としては収益が上がる構造になるのでそれは歓迎なのですが、15年継続して検証に人を使って毎年同じ検証をするというのは非効率なのでやり方の問題です。その辺も工夫のしがいだと思います

坂本座長: 時間も経ってきましたのでこのあたりにしたいと思います。第2回の検討会で報告しなければならないものですから、報告する内容について確認していきたいと思います

時田委員: その前に少しいいでしょうか。永野委員と倉田委員がお話されたことは本質的に違うと思います。永野委員が言われたのはどちらかというとエネルギーサービス、ESPに近いイメージだと思います。キャパシティが大きくて利益がとれるということ。倉田委員が言われたのは可能性、いろいろな現状に対して知恵を出して提案をして利益を得ていく方法もありますと。永野委員に確認したかったのは、やはり業態の違いによって異なるのではないかということです

永野委員: 必ずしもESPの話だけをしたわけではなくて、例えば制御機器メーカーは、自分の機器を入れて制御をしながらデータを取って、PDCAを回してESCO事業をやられたりするんですね。これを10年でやれと言われると厳しかったりするのですが、15年だったら成り立ったりしますので、必ずしもESPだけではなくて、いろいろなメーカーのバックグラウンド、そういうビジネスモデルもあるものですから、15年にしていただくと可能性が広がると申し上げたかった

時田委員: 先ほど事務局の方から話がありましたけれども、独立行政法人は事業機関ではなくて規模も大きく範囲が広がるわけで、国の施設で15年に上げるというのは設備更新型の話も含めて必然性がないのではと思います

坂本座長: ESCOを促進したいのですが、15年に変えたからといって劇的に増えるとはあまり感じられませんので、頑張って15年にしてくれとは言えないのですよね。そこのところを十分ご理解いただきたいと思いますので、原案のとおり今回は条項を変えないで10年としたい。そういうことで親委員会にご報告したいと思いますので、どうかご了承願いたいということでございます。それからESCO事業の定義の方も原案どおり変更は行わないということでご報告したいと思います。よろしいでしょうか

大森委員: 結論は賛成です。1点だけ。設備更新型ESCO事業を国でやる場合には別枠で出すのでという前提がついているので、そのことをちゃんと謳ってもらいたい。議論の中では国も何も一緒になっているような気がしたので、国の場合は全部別だしなのですよね。そういう前提のもとでの国庫債務負担行為だからということがわかれば誤解が少なくなる気がします。

坂本座長: そうですね。添付資料で根拠を言うのでしょうから、その時の説明資料として良い文章にしていただきたいと思います。先に進ませていただきます。資料6と資料7のご説明をお願いします

事務局: 資料6、資料7について説明(省略)

坂本座長: ありがとうございます。まず資料6の基本方針の改定案について、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。その後で資料7についてのご質問、ご意見を承りたいと思います

永野委員: フィージビリティ・スタディですが、3番に赤い文字で、導入可能性判断結果を踏まえ、ESCO事業導入のフィージビリティ・スタディを実施、と書いてあるのですが、このフィージビリティ・スタディは必ずしなければいけないものなのか。お金をかけてやるものなのか、そこのところはどういう感じなのですか。もしお金をかけてということになりますと、それが障害になってしまうのであれば、ここの前に必要に応じESCO事業のフィージビリティ・スタディを実施し、でもいいのではないかと。なぜかと言うと、プロポーザル方式の場合はフィージビリティ・スタディがなくても実行されていますので、ここにあえて書くことによって障害になると嫌だなと思いました

野崎補佐: 国で実施するので基本的には総合評価落札方式をベースに考えているというのが1点ございます。それとフィージビリティ・スタディは予算要求で必要になってくるということで入れているということです。フィージビリティ・スタディは発注者にとっての支援業務というような位置付けだと思っておりまして、実際にはフィージビリティ・スタディをしないとESCO事業として発注するというのは難しいかなと思っております

永野委員: 確認ですが、国の施設の場合ではプロポーザル方式はあり得ないという認識でしょうか

野崎補佐: あり得ないということはないかと思いますが、プロポーザルを行って、その中で事業の内容が決まって、それから予算要求をしてというかたちで進むと、予算が確実に確保できるという担保もない状態になってきますので、事業のスケジュールとしてなかなかプロポーザルでやるのは難しいのかなと

永野委員: 独立行政法人と国の違いの議論があったと思うのですが、独立行政法人で進んでいるのはプロポーザル方式、補助金のこともありましたけれども、ひとつこれが理由ではないかと想定できたと思うんですよね。であれば国の機関においてもプロポーザル方式で進めていただいた方がいいのではないでしょうか。過去の実績を見る限り自治体や独立行政法人がプロポーザル方式で進んでいて、国の施設は全然発注がないという事実を踏まえれば、プロポーザル方式を推奨するのがひとつのハードルを越える手になるのではないかと想像するのですが。先ほどおっしゃっていた意見は5年前にも同じことをお聞きしました。その時にESCO推進協議会の村越委員が、フィージビリティ・スタディ自体がESCO事業者はそこでリスクを取っているわけなのでいいのではないかというような意見をおっしゃって、ごもっともだなと思った記憶があります

坂本座長: すみません。大森先生が3時半で退席されるので、先にご意見を

大森委員: 導入可能性判断を行うことによって、フィージビリティ・スタディという流れよりも狭くならないことは間違いないですね。気になっているのは、ここで狭まってしまうとちょっとどうかと思います。資料2を見ると可能性判断をしなくてもフィージビリティ・スタディをやっているところもあるみたいなので、入口が狭くなるのだけは勘弁して欲しい。そこだけの確認です

野崎補佐: そういうことはございません。これまでフィージビリティ・スタディをやっていますのも、その前に可能性判断を踏まえてフィージビリティ・スタディを発注しているということになりますので、そういった趣旨ではございません

大森委員: 前回の検討で平米数がどうこうでこれではゼロだという話があって、後が進まないのではないかという不安があったのですが、大丈夫ですか

野崎補佐: 大丈夫です。閾値を外れていてもやれるものについては検討して下さいというような趣旨で解説資料を作っていきたいと思っています。

大森委員: 外れたものをやる人はいないと思います

野崎補佐: あくまで閾値は目安ということなので

大森委員: 私はそれなら目安を広げた方がいいという考え方です。だめというものでもやりなさいと言っても絶対にやらない。だめなものをやる人はいないです。だから入口を広げるという意味でここは間口を広げて欲しいという希望です

坂本座長: プロポーザル方式はこれがスタートした時からの課題なのですが、私は検討に時間を要するのではないかと思います

時田委員: 国がプロポーザル方式でESCOを採用していくというのは、仕組みの話なので相当重たいと思います。意見としてはいいのですが、提言として出すのはそう簡単にできないと思います

栗山委員: そうですが、ESCOの定義からいくとプロポーザル方式がESCOなのですよ。総合評価落札方式はESCOではないですよ。

坂本座長: 国の会計のやり方とESCO事業が合わない。その辺が難しいところですね

石井委員: この基本方針は国だけではなくて国および独立行政法人ということでよろしいですよね。そうするとフィージビリティ・スタディが「マスト」という表現というのはよくないのかなという気がします。下の方を見るとフィージビリティ・スタディ「など」、という言葉になっておりますので、そういう表現をした方がいいのではないかなと思います

坂本座長: 独立行政法人は実質的には会計などは国に準じてやりますので、独立行政法人が単独に国の法律を逸脱してやるというのは、実際にはかなりハードルが高いのではないかと思います

永野委員: 独立行政法人というよりも、例えば大学病院とかは予算の取り方が違うらしく、そのためESCOの発注がかかってもプロポーザルで出来る。ここで書かれてしまうとやらなくてはいけないと思われるのではないか。そんなことはないと申し上げたかったのです。今日の議論でわかってきたことは、国と国に準ずる機関というのは全然違うということ。それをこの中で一緒に書いてしまうことに非常に無理があって、時田委員からご指摘があったように、独立行政法人の方が可能性があるではないかと。そうであれば独立行政法人を中心に普及啓蒙、支援する体制をひとつ考えた方がいいのではないでしょうか。国を中心に考えると文言を変えて下さいということになってしまう。国の施設はほとんどが対象にならないというような結果が出ていたと思うのですが、大きな施設でないとだめだという。一方でESCO推進協議会に意見を取ったら、大きなものでないと嫌だという。この2つをくっつけると、国の施設はほとんど対象にならないのではないかという結論が導き出されてしまうんです。それに対して、プロポーザル方式にすればそんなことはないのではないかと思ったのですが、そうでないのであれば、そもそも国の施設はESCO事業に不適格なのではないかという推論が成り立つと思うんです。絶対とは言い切れませんが。一方で全く可能性がないのではなくて、設備更新型に対する啓蒙活動をしていただいて、なおかつピンポイントで対象になるような大型の施設に対して啓蒙活動をすれば進んでいくのではないかと思います

坂本座長: 予定の時間を過ぎていますが、独立行政法人も頭に入れてこういうものを作っていくということが今まで少し注意が足りなかったのかなというふうに思います。ですから、どういう表現にしたらいいのか、独立行政法人用の基本方針を別に作るのか、あるいは文章で工夫して、独立行政法人と国の違いがわかるような書き方にするのか。その辺りは時間を使って事務局側に検討してもらった方がいいと思います。表現の問題だと思います。まだ最後のアウトプットを出すべき段階ではないので、検討していただきたいというのが今日の専門委員会の私からのお願いでもございます。どういうかたちが一番いいのか。今までのやり方だと焦点は全部国に合わせていて、国がやるべきことを書いてあったので、独立行政法人はどうしたらいいかというのはちょっとわからない。表現として、その辺を少し再考していただきたい、というのが落し所かなと思った次第でございます

時田委員: 補助金も活用できるし、可能性がけっこう大きいのですよ。根本的に違うのではないでしょうか

坂本座長: 東京大学も国土交通省の補助金をもらって病院のESCO事業をやりました。そういうESCOのやり方があるので、独法でも割合ESCOが進んできたと思います。あと資料7の方も関係すると思いますので、プロポーザル方式とフィージビリティ・スタディの重みの辺りも盛り込むべき事項の中で検討していきたいと思っております

栗山委員: 資料6の2ページの赤文字のところですが、この強制力はどれくらいなのですか。各機関の自主性に任せているのですか。というのは参考資料の最後のページ、光熱費が5,000万円とか1億円以上というのが10施設くらいあります。我々ESCOに関連している企業から見たら、涎が出るほどおいしいのですが、そういう施設が未だにESCOを何もしていないというのは不思議でたまらない。そういうところがやっていないというのは、強制力がないとか、まったく自主性に任せていてやっていないと感じるのですが、その辺はいかがでしょうか。旗振り役がいて、そこがきちんと旗振りをする。そういう体制を作らないといけないのかなと思いました

野崎補佐: 閾値を超えればすぐフィージビリティ・スタディに入るというわけでもなくて、更新の状況とか施設設備の状況、エネルギーの使われ方等を含めて判断して、フィージビリティ・スタディに入っていくということですので、その辺は誤解がなければと思います。強制力というのはちょっと厳しいかと思いますが、環境省としても普及活動として、確実にやっていただきたいということを各省庁に周知をして参りたいと思います

栗山委員: 環境省の中にそういう旗振り役の部署を作って、そこがやる必要があります

野崎補佐: それは我々の部署でやることになります

永野委員: PDCAが回ってないのが実績ゼロの一番の原因だと思うので、できたら1年に1回でもこういう委員会を開いていただいて協議していただけるといいと思っております。それからバルクの話を入れていただいたのは非常にありがたく、参考資料の10、11、12あたりをみると、大きい施設もありますが、小さい施設が沢山ございます。これをバルクにする、地方公共団体ではよく使われている手法なのですが、それにより発注がかかってくる可能性が増えますので、バルクに対するPRをぜひしていただきたい。あと5年前の委員会の時には入れていただいたのですが、チューニングのESCO。その当時はそれほど盛んではなかったのですが、5年間経って、チューニングのESCOという事業が生まれてきています。チューニングのESCOというのは極力設備更新をしなくて、計測とかをしながら最適な方法を模索していくというものでございます。これを使えば、比較的施設が新しくても、小さくても、まとめることをしたりすればビジネスになり得ますので、チューニングに対するPRはどこかの資料で拝見した記憶があるので、それを消さないで欲しい。ぜひ盛り込んでいただきたいと思う次第です。あと、国および国の機関の話ではないのですが、資料3の一番最後の図をご覧いただきたいのですが、問7-4、防犯灯LED化というのがあるのですが、これは昨年の委員会で私が申し上げたのですが、非常に効果的で自治体の関心も非常に高いものなので、相手は自治体になってしまい国ではないのですが、導入されている自治体も多いこともありますので、今一層これを普及させていただくとかなりの電気消費量が下がると思います。国ではないのですが、ここにも目を向けて普及啓蒙に努めていただくとありがたいと思います

時田委員:  バルク方式について、今日出席する前に、関西の大きな自治体の方から聞いたのですが、10の建築の施設を集めてLED照明に限って公募したら2社しか応募がなかったということです。バルクというのは文章を読むと非常に魅力的なのですが、現実的にやるのはけっこう難しいのではないかと思います。だから現実にこれをやる何らかのマニュアルがないと、単純に言葉が出てきても受け取る方は難しい話ではないかというのがひとつです。それから先ほどのチューニングESCOについてですが、国の今の予算の仕組みの中で、運用に入ってからお金を事業者に渡すというのは簡単に言えないのではないですか。永野委員が意図していることと、そのような仕組みと法律をきちんと照合していかないと、簡単には結論が出ないと思います

野崎補佐: 省エネチューニングについては解説資料の中に載せておりまして、これはこのまま周知を図っていきます。一方、省エネチューニングのESCOについては、その事例の把握をしなくてはいけないし、あと国は庁舎管理業務というのを出していますので、そういった中でどういう組み立てができるかというのは検討していかないと、なかなかすぐにという話ではないです

永野委員: バルクもチューニングも含めてなのですが、マニュアルを作ってあげないと発注をかけられないと思います。実際に自治体がESCOを発注し始めた何年か経ってからなのですが、経産省が主体で委員会を開いていただいて、自治体とESCO事業者と弁護士とかいろいろな方が入って議論をし、募集要項の雛型とか契約書の雛型とかそういったものを作った経緯があります。それを見ながら自治体は発注業務を軽減することができました。国にも同じことが言えると思いますので、設備更新型にせよバルクにせよチューニングにせよ、どういったかたちで進めていけばいいかというマニュアルを作らないと難しいのではないでしょうか。こういう法律があるのでやりなさいという啓蒙活動をしても、私がその担当者であったら全くやったことがないことを道標もなく始めていくのではモチベーションが上がってこない。ぜひ環境省の方で委員会でも作ってやっていただければと思います

坂本座長: 沢山意見が出ました。資料6と資料7の取りまとめはどうしましょうか。少し検討された方がいいかなと思いますが

野崎補佐: 資料7につきましては、第3回の時に普及方策の議論をしていただきますので、今日のご議論を踏まえて整理をさせていただきたいと思います。ただ資料6については基本方針の改定ということで、今月末に行う検討会に上げる必要がございます。今日ご議論いただいたなかで独立行政法人との整理ということがございますので、その辺を修正させていただいて、申し訳ありませんが座長に御一任いただいてよろしいでしょうか

坂本座長: はい。ありがとうございます。

(4)検討スケジュール

坂本座長: 検討スケジュールの説明をお願いいたします

事務局: 資料8について説明

(5)その他

本座長: 20分も超過しておりますので、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもお疲れ様でした。ありがとうございました。