平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会 地方公共団体普及促進専門委員会(第1回)議事録

出席委員:
小川委員、小林委員、坂井委員、鈴木委員(座長)、橋本委員
(五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年8月8日(木) 15時~17時

2.場所

法曹会館 高砂の間


事務局: 本日はお忙しいところ、また大変お暑い中をご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度第1回「環境配慮契約法基本方針検討会地方公共団体普及促進専門委員会」を開催いたします。
 会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局総務課坂口調査官よりご挨拶申し上げます。
 なお、カメラ撮りは資料配布の確認までとさせていただきます。

環境省(坂口調査官): 環境省総合環境政策局総務課で調査官をしております坂口と申します。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、またお暑い中にもかかわらず、本年度第1回の環境配慮契約法地方公共団体普及促進専門委員会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また日頃より環境行政の推進、それらにご尽力、あるいはご協力をいただいていることにも感謝申し上げます。環境配慮契約法につきましては、国等の機関が契約を結ぶ際に価格に加え、環境性能を含めて総合的に評価し、最も優れたサービスや製品を提供するものと契約するというものでございまして、平成19年に施行され、5年が経過しております。地方公共団体につきましては、努力義務となっているわけでございますけれども、取組があまり進んでいないことが現状でございます。環境配慮契約法を広げるための方策を少し検討していく必要があると考えてございます。また先日行われました環境配慮契約法基本方針検討会においても地方公共団体への普及、促進、方策のご意見をいただいておりまして、それらを踏まえて本委員会で具体的な普及方策についてご検討をいただければと考えてございます。本委員会は今年度3回の開催を予定しております。委員の皆様におかれましては幅広いご見識をたまわりますようお願い申し上げます。

事務局: まず、本専門委員会にご参画いただいた委員の皆様をご紹介いたします。
委員名簿は資料2としてお手元に配布しておりますので、適宜ご参照ください。
資料2について説明(省略)。

事務局: 次に本専門委員会の公開等についてご説明いたします。お手元の資料1「検討会開催要領 4.公開等」にあるとおり、本専門委員会の公開等は、環境配慮契約基本方針検討会に準ずることとなっており、原則公開で資料、議事録については会議の終了後、座長の承認の上、ホームページ等により公表することとしております。また「3.組織(6)」のとおり、本専門委員会の座長は、基本方針検討会の委員を務められている鈴木委員にお願いしております。
 それでは、以後の議事進行につきましては、鈴木座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

鈴木座長: 鈴木でございます。ご案内のとおり、環境配慮契約法では、国の機関は環境配慮契約法の推進を義務づけられておりますが、地方公共団体におかれましては努力義務に留まっております。ただ、先月開催されました親の基本方針検討会では、座長始めとする各委員から、この法律につきまして地方公共団体は十分知らないのではないか、あるいは地方公共団体の取組が非常に遅いのではないか、従ってこれに対する対策を取るべきではないか。こういう意見や指摘がなされました。確かに法律上は地方公共団体にとっては努力義務ですが、環境問題は国、地方全般で取り組むべき問題でございます。地方公共団体は1,800ぐらいあると聞いております。非常に難しい対応かと思いますが、この専門委員会での検討、議論が実りある結果となりますように、委員の皆様方のご理解、ご協力をぜひともお願いする次第であります。それでは審議に入ります。事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は、17時までの2時間の予定となっております。

◇配付資料の確認

事務局: 次に配付資料の確認を致します。

【配付資料】
資料1 環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2 平成25年度環境配慮契約法基本方針検討会地方公共団体普及促進専門委員会委員名簿
資料3 環境配慮契約法及び基本方針の概要について
資料4 地方公共団体普及促進専門委員会における検討事項等(案)
資料5 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査について(案)
資料5別紙 環境配慮契約に関するアンケート調査票
資料6 平成25年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)
参考1 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査結果について(概要)【平成24年度アンケート結果】
参考2 都道府県別の環境配慮契約に関する取組状況等について【平成25年度第1回環境配慮契約法基本方針検討会提出資料】
参考3 平成25年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)【平成25年度第1回環境配慮契約法基本方針検討会提出資料】

 この他、委員限りの資料としまして、基本方針検討会からの意見。その他に、環境配慮契約法の基本方針関連資料冊子、及び地方公共団体向けの導入マニュアルの冊子をお配りしております。
 なお、基本方針関連資料には、法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜ご参照ください。

 資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

3.議題

(1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について

鈴木座長: それでは議事に入らせていただきます。本日は、議事次第にあるとおり、

  1. (1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について
  2. (2)地方公共団体普及促進専門委員会における検討事項等について
  3. (3)地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査について
  4. (4)検討スケジュールについて

 4つの議題について検討していただく予定です。まずは、専門委員会が初めての方もいらっしゃいますので、資料3の環境配慮契約法及び基本方針の概要につきまして事務局からご説明をお願いします。

事務局: 資料3について説明(省略)。

鈴木座長: はい、ありがとうございました。資料3によりまして環境配慮契約法概要のご説明をいただいたところでございます。委員の皆様、ご質問やご意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

(2)地方公共団体普及促進専門委員会における検討事項等について

鈴木座長: それでは次の議題です。これが本日のメインの議題でございます。地方公共団体普及促進専門委員会における検討事項等について資料4、それから参考2、参考3につきまして事務局からお願いたします。

事務局: 資料4、参考2、参考3について説明(省略)。

鈴木座長: 二つ目の議題でありますこの委員会における検討事項につきまして、主として資料4、参考2についてご説明をいただきました。特に資料4のp.2の2(1)と(2)です。環境配慮契約の全般的な理解度の向上方策、契約方針の策定支援、契約類型ごとの効果的な普及方策について、検討内容、情報内容、情報提供、それからアンケート調査結果の効果的なフィードバックのあり方につきまして検討しなければいけないわけですが、参考2についてはいろいろご意見もあると思います。この問題はこの委員会の検討対象の当事者であります、川崎市ご出身の小林委員、東京都ご出身の坂井委員に、特に参考2について、ご意見、ご感想をお願いします。
 小林委員からお願いします。

小林委員: 川崎市の小林です。環境配慮契約法の理解度がなかなか上がらないという話が、資料説明の中にもありましたが、この4月から今の部署に戻ってきました。逆に言うと5年前に今の部署にいたわけですが、ちょうど環境配慮契約法ができたときでした。環境の立場から庁内で説明をさせていただきました。そのとき、庁内の部署から煩雑でわかりづらい、導入してどういったメリットがあるのかということをまず聞かれました。法律自身も自治体は努力義務となっておりますが、私ども川崎市は皆様もご存知のとおり、環境面で公害などがあり、先ほどの基本方針の検討会でも問題提起がありましたように、トップの環境に対する意識がかなり高い自治体でございます。職員もそのことを踏まえていますので意識は高いと認識していますが、そういった中でさえ、5年前に説明したときにわかりづらいと言われたことが正直なところございました。戻ってくる間は実際事業局にいました。事業局の立場では、川崎市では平成22年度に契約方針を定めましたが、実際進めようとすると非常にわかりにくいです。私のような、最初に説明をした人間からすると、それ見たことかと言われたことがあります。実際に環境配慮は状況が変わってきたということがありますが、かなり重要視されているところがありますので、先ほどの検討事項の中でもあるように、どうしたら我々のほうから原課単位のほうにやってもらうように阻害要因をわかりやすく説明できるような方策はないかと自分自身も考えているところです。環境省環境経済課と情報交換をさせていただきながら進めていきたいと思っております。

鈴木座長: ありがとうございました。それでは坂井委員から感想、ご意見あるいはコメントをお願いします。

坂井委員: 東京都環境局の坂井と申します。契約方法の煩雑さと顕在化している阻害要因ということですが、まず時系列からいうと、グリーン購入法が先にあって、後から環境配慮契約法が作られたという流れになっています。実際に担当する側から考えると、まず、グリーン購入法だけで何が足りないのかということが充分に浸透していないのではないかということがあると思います。グリーン購入法だけではどういう課題があって、何が不足しているから環境配慮契約法なのか。両者の違いは比較されていますが、なぜこれが必要なのかというところがまだ充分に理解できていないのではないかと思います。
 もう一点は契約の実務の場において、プロポーザル方式や総合評価落札方式はかなり複雑な制度になると思いますので、専門性の高い職員がどれだけいるのか。東京都の場合はある程度規模が大きいこともありますので、専門性を有している部署・職員もおりますが、法律を拝見すると、小規模な町村レベルにもこういったことを求めるとなると厳しい状況ではないかと思います。入札方式を限定するよりも、裾切り方式は実務的に対応しやすいと思っておりますので、そういった方法を幅広く認めていくほうが普及という点ではいいのではないかと感じております。

鈴木座長: 小川先生から地方公共団体の取り組みに限定していただいて、全般的なことまたは個別の類型別について感想も含めてご意見をお願いいたします。

小川委員: なかなか難しい問題だと思いますが、一つは環境配慮契約法で国及び独立行政法人は義務の形を取っています。地方公共団体等については努力義務という形で必ずしも強制をしないという構図を持たせてやろうと考えている一番根本的なところは何を考えてそういうことになっているのでしょうか。
 要するにボランタリーでやってくださいという話になると、なかなか動かないだろうと思います。そういうボランタリーの状態のところでどう動かすかという話と、もう一つはある部分までは義務という形でやっているので、ボランタリーでなかなか動かないということであれば、義務化することはできないのかという考え方だと思います。義務化がなかなかできないと言って、ここで区切りをつけているのはなぜかということです。

環境省(野崎補佐): 環境経済課の野崎です。国の法律ということで、国等に対しては義務化という形で認められますが、地方公共団体は地方自治の考え方がありますので、努力義務という形で切り分けられていると理解しております。

小川委員: 国としての立場で扱っている部分と地方公共団体はそれとは別のグループということで扱っているというと、線が引かれてしまって、地方公共団体の義務化というところでは単純には踏み込んでいけないという話になるのでしょうか。

環境省(野崎補佐): そう理解をしております。

小川委員: 一つはボランタリーと義務化は全然違うと思いますので、そう言った意味では地方公共団体をすべて始めから全部義務化というのはなかなか難しい話だと思います。アンケートにも確か出ていたと思いますが、都道府県や政令指定都市は比較的考えてやっているという結果が出てきています。そういった少し大きめのほうから義務化をしていき、それが浸透する中で次のグループをやるといったように順次やっていくということも方策としてあるのではないかという気がします。
 あとはボランタリーのところを動くようにするには、主体となる方々が、やったほうがいいという意思が働く要素が入らないと非常に難しいだろうと思います。今はそう言った意味で地方公共団体等の義務付けがないほうをアンケートで一所懸命調べようとしていますが、メリットは出てこなくて、ネガティブなものしか出てこないという気がします。逆に国や独立行政法人が義務という形でやっていますが、やった結果としてどういうメリットがあったのかというところをもっと整理して、そういうことに基づいて大きいほうから少しずつ義務化するということを考えていくことも一つの考え方ではないかという気がします。感想に近いですが、それが一点です。
 それから二点目は、平成20年から自治体のアンケートを毎年やってきています。同じ形式でコンスタントにやられているかどうかはわからないですが、平成20年から4年ぐらいのデータが集まってきていると思いますので、その中で単年度の局面のデータだけでなく時系列で見たときに変化している部分があるのかないのか。自治体も行動の仕方で変わってきている部分があるかないか。その辺りをきちんと分析されて出してくると、ボランタリーの意思の中で自分の意思で動いて変化している部分があるかどうかという部分を見ることができる材料になるのではないかと思いますので、そういった意味での分析もされたほうがいいのではないかという気がします。

鈴木座長: 時系列の分析は今までやっているのでしょうか。事務局からお願いします。

事務局: これからご説明をする参考1に出しております。例えばp.5に環境配慮契約法の理解度(過去5年の推移)を示しております。選択肢の表現が若干違うので注釈をつけていますが、ほぼ同じような意味ということでトレンドが取れるものについては時系列で追っております。例えばp.5の図1-2の一番上は回答のあった全団体の推移です。青色が「理解している」という回答、赤色が「聞いたことはあるが理解していない」、緑色が「聞いたことがない」となっております。先ほどの資料4にもございましたが、この5年で「聞いたことがない」という団体は減っています。10%を切っています。ただし「理解している」は伸びが鈍い状況です。「聞いたことはあるが理解していない」は、この5年でかなり増えています。今後「理解している」をどのように増やしていくかですが、時系列でみることで、どのような課題があるのかを把握しています。それから、p.10に、「契約方針」の策定状況も時系列で押さえております。p.10の一番上は、各規模別を合計した全回答団体の値ですが、「策定済み」、「今後策定予定」、「具体的予定はないが今後策定したい」が緑色で、「策定予定なし」が紫色の部分で、ここが今でも多い状況です。どこがどう変化しているか、こういったものを参考に検討していければと考えております。

鈴木座長: はい、ありがとうございました。それでは橋本委員、全般的、個別の類型別について感想も含めてご意見をお願いいたします。

橋本委員: 環境配慮契約法の議論に参加するのは初めてで、私も不勉強なところも多いと思うので感想的なことになるかもしれません。坂井委員からお話があった自治体、あるいは行政の中で、どういった活動で環境負荷が多く発生しているのか。グリーン購入法の考え方だけでは対応できない部分がたくさんあって、そこの部分に対して別のアプローチを取ってやっていくということがあったので、その点がきちんと理解されるということがまず大事であると思いました。それに関連して先ほどご説明の中にも自動車のところでグリーン購入法と環境配慮契約法がオーバーラップしているようなところがあって、先ほど坂井委員も仰っていましたが、契約が総合評価落札方式やプロポーザル方式になると複雑になり、評価を自分たちでしなければいけない。グリーン購入法はある意味裾切りになっているかと思います。ここに上がっている6つの類型でどれが対象になるかと言われると難しいのですが、契約ができるだけシンプルになるように、裾切りの方向に持っていけるような形に、あるいは自治体向けガイドラインの中で示されている内容が自治体のレベルに併せて単純化された契約の形になるようにできれば、自治体としても取り組みやすくなるのではないかと思いました。

鈴木座長: ありがとうございました。よろしいですか。時間の関係がございますので、これらについてご意見がありましたら、また戻るということで、三つ目の議題に入りたいと思います。

(3)地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査について

鈴木座長: 「(3)地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査について」です。今年度分についてですが、資料5、参考1につきまして事務局からご説明をお願いいたします。

事務局: 資料5、資料5別紙、参考1について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。資料5と資料5別紙は、この委員会で検討されたあと、8月中旬から全ての地方公共団体にアンケート調査を発送する予定になっております。地方公共団体の調査は、平成20年度からですから、本年度で6回目になります。これにつきましては資料にありましたとおり、昨年度の場合は回収率が80%近くと非常に驚異的なものでありました。おそらく担当の方々のご努力は大変だったと思います。今いただいた調査票の内容についてご意見、ご質問があればお願いいたします。
 設問が多くあるため、調査項目について3つに分けて議論したいと思いますまず問1から問3の環境配慮契約の理解度や進展状況、それから問4から問9までの6つの類型ごとの設問、問10、問11の環境配慮契約法の推進に当たっての阻害要因といったものに分けて議論したいと考えます。まず最初に問1から問3の環境配慮契約法の理解度と進捗状況、契約方針の策定状況についてご質問、ご意見は、あるいはご注文があればお願いいたします。坂井委員と小林委員は大きな地方自治体ご出身ですが、小規模の自治体についてどうでしょうか。

小林委員: 今、座長に質問を分けていただきましたが、逆にいうとアンケートの全般を見て事務局に一点確認したいと思います。今まで議論になっている中で取組みのところが、都道府県、政令指定都市で認知度が高く、実際に取り組んでいるということを踏まえ、実際に5年が経ち、これからやっていく中で区市、町村が問題にあるかと思います。アンケートの回収が昨年度は区市では約85%で、かなりご苦労をされていると思いますが、今年度は、東京都の坂井委員と私が入っているので、都道府県、政令都市の代表で意見を述べさせていただいておりますが、区市のところでアンケートだけでなく、阻害要因等も含めた中でヒアリングも考えているのか。あるいは他の方法を考えているのか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。

環境省(野崎補佐): 一番に、区市や町村の小さいところの実態を知りたいというのはありますが、対象が多いのでアンケートという手法を取っていました。ご意見をいただきましたので、いくつまでできるかはわかりませんが、ヒアリングという形で実際に聞いてみたいと思います。ここがいいのではないかという話がありましたらご相談させていただきたいと思います。

小川委員: 先ほど過激な義務化の話をしましたが、そう簡単にはいかないとは当然思っています。地方自治体である程度現状の努力目標で今後も進めていくということだと思いますが、そのことを考えたときに考慮した方がよい点があると思います。
 アンケート調査の中で、なぜやらないのかといった阻害要因を調べて整理されようとしているわけですが、阻害要因が仮にわかったとして、この委員会で議論をしても、委員の人たちも必ずしも部署、現場がわかっている専門家とは限らないわけですから、阻害要因がこうだから、それに対する解決方策はこうだという良い案が出るかと言われたら、場合によっては出ない可能性のほうが強いと思います。
 そう言った意味でアンケートで経年変化で見てきたものでも政令指定都市や市であっても段々変化してきて、ある程度やるところも増えてきている結果も出ていると思いますので、やることを決断したところがどうしてやる気になったのか。当然やる前は、他のところが考えているような阻害要因を意識して問題だと思っていたはずですが、それをどうやって克服して、やることを踏み切ることにしたのかというような話が整理されて出てくると、ある意味現場の目線でどうやって阻害要因を乗り越えたのかという答えが出てきて、そういうところで物を考えるならば、やっていないところも、実際の現場の人が考えて解を出した話なのだから考慮してみようということで動ける材料が場合によって出てくるのではないかと思います。
 これからアンケートの中にそれを入れてくださいというと大変な作業になりそうですが、今、話が出ましたインタビューによって、アンケートに答えてくださったところから実際に、今年、この一年ぐらいで前の考え方から切り替えてやることにしたようなところが出てくるのではないかと思いますから、そういうところを対象にして過去はどうしてやらなかったのか、なぜ、やることにしたのか。いろいろな答えがあると思いますが、どういって乗り越えることにしたのかという話をインタビューされて、材料として整理されたならば、この委員会でそれに基づいてご議論できる適切な材料になるのではないかという気がしますのでご検討いただければと思います。

鈴木座長:ありがとうございました。小林委員からも出ました点は、ヒアリングにおいて調べていくのが良いという感じがしますが、事務局でご検討をお願います。
 それでは、次に問4から問9の6つの契約類型、電力、自動車、船舶、建築、ESCO、それから産業廃棄物についてご質問、ご意見、コメントをお願いします。
 小川委員は電力システムのご研究をされておられると聞いておりますが、地方公共団体の電力についてどのようなご意見をお持ちでしょうか。

小川委員: 電力のところは、先ほどのアンケートにも少し出ていましたが、新電力が参入しているところとしていないところでは大きな違いがあるようですので、環境配慮契約法による対策が実行できているところがどう考えてどのようにしているかということが実態としてわかると、それをベースに考えることができるのではないかと思います。新電力が参入していないところに考えてほしいと言っても難しいと思いますので、そういうところの材料がしっかりあがってくるといいと思います。

鈴木座長: 参考2をみると、環境配慮契約の実施は電力については東京都・神奈川県が高くなっています。これは東京都庁や神奈川県庁というのではなく、市町村も含めた数字です。ただ、自動車について神奈川県は高いのですが、東京都は低くとどまっています。これには理由があるのでしょうか。

坂井委員: 区市町村の取組の実態までは詳細に把握しておりませんが、アンケートの回答にあったようにグリーン購入法で充分という認識の人たちが多いと思います。どちらの契約方法を取っても、実際に購入しようとしているバンタイプの車とか、必要なものをイメージして契約しているはずなので契約方法の違いが結果につながらないのではないかと思います。

鈴木座長: 環境配慮契約の実施に当たっては地方公共団体にとっては面倒なものなのでしょうか。

坂井委員: 東京都で発注する場合には、低公害車指定制度を持っております。排出ガスの性能と燃費の性能を評価して認定した車両がありますが、そういったものを条件に入札をかけさせていただいております。その基準をクリアしていれば環境性能は問題ないと考えております。それ以上の契約方法が必要だということであれば、なぜ必要なのかという説明がもう少しあったほうがいいのではないか。従来のグリーン購入法では対応できない具体的な事例があれば参考にさせていただきたいと思います。

鈴木座長: 地方自治体の場合は電力、自動車が主で船舶はあまりないと思います。橋本委員はいかがでしょうか。

橋本委員: 廃棄物が新しく入ったと理解しました。先ほどの車の話とも関連するかと思いますが、東京都や大阪府などでは、自治体が優良な産廃処理業者の認定制度をやっていると思います。自治体の契約事務の中でそうした認定制度を活用されているかどうか分かりませんが、活用されているとすると、それは一種の裾切りかと思います。そういう形で環境配慮契約法の枠組みには入らないが、独自にやっていることがあるのではないでしょうか。基本方針検討会の意見の中にもありましたが、環境配慮契約法に留まらない環境に配慮した契約の取組方法が事例として集まるような感じのアンケートになっていると参考になるかと思いました。

鈴木座長: 6つの契約類型について、他ご意見はありますか。

小川委員: 一点だけ確認をさせてください。p.9、10のESCO事業、省エネルギー事業については2008年から国内版のCDMがプロジェクトとして行われています。その中でいろいろなプロジェクトが取り込まれて動いているのではないかと思います。そちらにアクセスして一定の作業をしているという構造になっていると、そこに働くインセンティブに注目することである意味全体が動いているので、敢えて環境配慮契約法へアクセスして名乗りを上げようとはならないような気がしますが、その辺りの構造はどうなっているのかを教えていただきたいと思います。

鈴木座長: 事務局いかがですか。

小川委員: 国内版のCDMプロジェクトは、要するに大企業が資金や技術を出して、地方で例えば省エネをやりたいところと、両方が協力してプロジェクトを組むことによって削減クレジットが発生します。そのクレジットを資金や技術を提供したところが持っていくといった構造で行われます。その場合には、例えば地方自治体でも省エネができるところは協力していると思いますが、企業が技術やお金を出します。ある意味、地方自治体の対策実施をカバーしてくれる部分があるので、当然得られるメリットがありますから、地方自治体も決断ができてやろうということになります。ESCO事業を組んでクレジットを協力してくれたところに渡そうという形でされているときに、それでやっている事業をわざわざ環境配慮契約法のESCO事業の契約にノミネートさせようという意思は働かないのではないかという気がします。その辺はいかがでしょうか。

事務局: 東京都も環境確保条例でクレジット、キャップがつくような形でされています。そこで発生したクレジットをどうするかといった話だと思います。地方公共団体にターゲットを絞ると、そこで出たクレジットをどうするといった話はあまりないのではと思います。

小川委員: 例えば、浜松市役所は国内CDMで省エネの関係のものを入れるという話が出ていたと思いますが、削減クレジットを持っていくのは資金や技術を提供した企業です。企業は自分で設定した目標を達成しないといけないわけですが、自分の中でやるよりも地方自治体でやったほうがメリットがあるということで参画します。そこで実現できた削除クレジットは第三者によって認証されて、どういう量のクレジットが出ているということを担保されていますから、手に入れたクレジットを企業は自分の目標達成に使うという形で利用できます。すぐ思い出せる例ですと、浜松市役所の国内版のCDMがあります。

事務局: 今、先生が仰いましたように国内クレジットの話とオフセットの話は、クレジットは経済産業省で、オフセットは環境省なので、データを調べさせていただきたいと思います。即答できなくて申し訳ございません。

小川委員: 思うように進まない当事者が抱えた要因の他に、他のところでメリットが出るように工夫した方法があって、実際に動いているからそういう意味でお聞きしました。

鈴木座長: それはあり得るのですか。

事務局: 可能性としてはあり得ます。技術、ハードソフトも含めて分類されて、そこで出たクレジットを事業者が使う仕組みですので、自治体の方がメリットを感じればそういうところに使うということがあるかもしれません。趣旨を踏まえて設問を検討したいと思います。

環境省(野崎補佐): 補足をさせていただきます。ESCO事業がなかなか進んでおりません。特に国が進まなくて、自治体の例が多い状況です。建物の改修で省エネ改修自体はかなりやっていますが、さらにESCOという手法を取るかというと、なかなか踏み込んでいないところがあるのだと思っております。

鈴木座長: それでは最後に問10の阻害要因、問11の国の支援に関する設問についてのご意見、ご質問をお願いいたします。問10、問11の質問事項について地方公共団体の立場から見るといかがでしょうか。こういう支援はより効果的なものなのでしょうか。

橋本委員: これまでもアンケートをされていて、それを受けて改訂されているので特にコメントはないですが、ESCOの話で、自動車の話もそうですが、進んでいないと評価していますが、実は他のアプローチで進んでいる可能性もあると思います。環境配慮契約の実施状況の評価が総合的にできているかどうか。現状の環境配慮契約法の観点でだけ見て、進んでいないと評価していいのかどうか。そういうところを検討したほうがいいのではないかと思います。

事務局: そのとおりだと思っています。車について都道府県、市区町村の進捗状況を説明させていただいたときも、環境配慮契約法としては取り組んでいないが、グリーン購入法で取り組んでいるのが53%ですので。これだけみてしまうと省エネ自体が進んでいないと誤解されてしまうところもあると思っております。グリーン購入法の進み具合はどうか。ESCOの他に省エネ工事はどれだけやっているかということも併せて、契約法とは別の環境配慮の取組も聞きながら実態を把握していきたいと思っております。

鈴木座長: それはぜひお願いします。小林委員にお聞きしますが、特に問10の組織の長の環境配慮契約に対する優先順位が新しく加えられていますが、この問題についてトップの意向や意思はかなり反映するのでしょうか。

小林委員: 最初にお話したように反映しているのはあると思いますが、ただ問10の3の「比べて低い」ということはあまりない気がします。事務局でご検討いただいたことでしょうが、私自身、個人的にはどうかと思います。

鈴木座長: 正確な数字で捉えられないのではないかというご趣旨ですか。

小林委員: 先ほど小川先生が仰られた阻害要因の把握の仕方もあるかと思いつつ、ここまでできているので、少し足りないものはヒアリング等で補足していけばいいのではないかと思います。

鈴木座長: わかりました。資料5と別紙については終わらせていただきます。

(4)検討スケジュール

鈴木座長: それでは、次の議題、資料6のスケジュールについてお願いします。

事務局: 資料6について説明(省略)。

鈴木座長: アンケートは事務局の提案どおりでさせていただきたいと思います。アンケートについてはいろいろご指摘をいただきましたが、特に9月の残暑厳しい折、ご担当の方は大変かもしれないですが、よろしくお願いします。なお、ブロック説明会が2月~3月に設定されていますが、地方自治体、市町村も含めて市議会の関係で時期的にいかがでしょうか。

坂井委員: やりくりすれば大丈夫です。

鈴木座長: やりくりをすれば大丈夫とのことです。このスケジュールについてよろしいでしょうか。

(5)その他

鈴木座長: 追加のご質問やご意見あればお願いします。

橋本委員: 先ほどの発言の繰り返しですが、環境配慮契約法の枠組みの中には乗らないけれども、各自治体で独自に契約のときに工夫されていることがあると思います。そういうアイディアを集められるようなアンケートにしていただければと思います。

鈴木座長: 私から委員の皆様にお願いしたいことがあります。この委員会の議事を効率的に運ぶため、私ども委員との間、事務局との間で意思、情報の共有、それから意識の共有を図るために、先生方からそれぞれご意見を出していただきたいと思います。この委員会の目的に沿ってまず、全般的なこととして、環境配慮契約法のより進めるためのアイディア、考え方。次に個別の類型、電力、自動車などについてのアイデア、考え。さらに、問10、11の阻害要因、国がするべき取組、情報について先生方のアイディアやご提案を事務局に9月末までにメールでお願いします。お忙しい中、申し訳ありませんがよろしくお願いします。他にご意見がございませんようでしたら、今日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。