平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会 法附則第2項に基づく専門委員会(第2回) 議事録

出席委員:
石井委員、蔵品委員、鈴木委員(座長)、鈴木委員、永野委員(五十音順、敬称略)

1.日時

平成24年12月5日(水)14時00分~16時00分

2.場所

経済産業省別館10階1014号会議室

事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成24年度「第2回環境配慮契約法基本方針検討会法附則第2項に基づく専門委員会」を開催いたします。
 なおカメラ撮りは配付資料の確認までとさせていただきます。それでは早速ですが、鈴木座長に議事進行をお願いします。よろしくお願いします。

鈴木座長: それでは、本日の審議に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は16時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

配付資料

資料1 平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会法附則第2項に基づく専門委員会委員名簿
資料2 地方公共団体の環境配慮契約に関する取組状況の追加分析
資料3 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の課題及び今後の対応等について(案)
資料4 平成24年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)
参考1 平成23年度における国及び独立行政法人等の環境配慮契約の締結実績【暫定版】(平成24年度第1回5年目専門委員会提出資料)
参考2 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査結果について【概要】(平成24年度第1回5年目専門委員会提出資料)

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子及び地方公共団体導入マニュアル、パンフレットをお配りしております。基本方針関連資料には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので、適宜御参照ください。なお基本方針関連資料等は前回の専門委員会でも配付しておりますので、ご不要の場合はお帰りの際に机上に置いてお帰りください。資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。
 それではよろしくお願いいたします。

3.議題

(1)地方公共団体における環境配慮契約の取組状況の追加分析について

鈴木座長: それでは議事に入らせていただきます。本日は、資料2「地方公共団体における環境配慮契約の取組状況の追加分析について」、資料3「国及び独立行政法人等における環境配慮契約の課題及び今後の対応等について」、この2つが主になりますが、資料4「検討スケジュールについて」と3つの議題について議論をしていただきます。本日がこの委員会の最終ということですので、委員の皆様には活発なご議論をいただきまして、専門委員会としてのとりまとめを行いたいと思います。
 それでは、最初の(1)「地方公共団体における環境配慮契約の取組状況の追加分析について」、前回のさらに追加ですが、これについてご説明をお願いいたします。これは、第1回目の専門委員会におきまして、地方公共団体の取組みの具体的内容や人口規模等についての追加分析が行われたらいかがかというご指摘に、事務局で対応いただきましたものです。資料2についてお願いいたします。

事務局: 資料2について説明(省略)。

鈴木座長: 追加分析でございます。これにつきましてご意見、ご質問はございますか。

永野委員: 省エネチューニングはたくさんの自治体が実施されているという結果になっていますが、ここで言う省エネチューニングは私どもの抱いているものと違うように思えます。省エネチューニングはESCOの延長線上にあるもので、設備は更新せず、チューニングによって省エネが達成できる施設に対して、ビジネスとして省エネチューニング、要はESCO事業みたいなことをやるわけです。4年前に、「省エネチューニングを進めたほうがいいですよ。」と申し上げたのはそういう意味でした。地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアルのp.41に省エネチューニングに関する記載がありますが、これを読むと自分でやるように捉えられてしまう気がします。ESCOはなかなか難しいが、省エネチューニングということができますよと書いてあって、今回のアンケートに対する回答は、自分たちで省エネチューニングをやったという人たちが回答してくれたのではないかと思います。我々はESCOをやっていますが、今まで省エネチューニングの話をそれほどいただいたことがなく、ちょっと実態と外れているのかと思います。当然ご自身で省エネチューニングをされるのは良いことなのでぜひやっていただきたいですが、ここで議論したいのは、例えば料理を作るときに、プロの料理人と一般的な人では同じ食材を使って作っても、やはりプロのほうがおいしく作られるケースが多いわけです。それでお金をもらっているわけですから、チューニングもご自身でされる方は当然いらっしゃいますのでやっていただきたいのですが、そこをプロにやらせることによって、より一層高度なチューニングができる。それが省エネチューニングというビジネスとして説明をしていたつもりでしたが、今回の回答の数がここまで多いと、ちょっと勘違いされているのではないかと思います。「チューニングしていますか。」と聞かれたら、「チューニングしていますよ。」と答えると思います。半分の自治体がそのように回答されていると思います。そこが気になりました。

鈴木座長: チューニングの主体ですか。自分でやるものがこれだけの数なのではないですか。

永野委員: こちらの書類を見ながら、「省エネチューニングをやったことはありますか。検討したことはありますか。」という質問を受けると、「自分たちでやっているよね。」という回答をするのが自然の流れのような気がします。ただ環境配慮契約法の中で言っているESCO事業者の支援というのはESCO事業者による省エネチューニングのはずなので、質問と回答がずれているような気がします。

鈴木座長: アンケート実施時の定義の問題ではないかと思います。事務局がアンケート調査を出すときはここのところはどうだったのでしょうか。

事務局: アンケートの際には、「ハード面での改修が適当でない場合にソフト面での改修による省エネチューニングがあります。」ということを注記した上で聞いております。ただご指摘のとおりESCO等の自由回答を見ますと、「省エネに努めている。節電している。」といった回答もかなり見受けられましたので、「蛍光灯やLEDへの交換や照明の間引き」といった自前での省エネ対策が入ってしまっている可能性が確かにあると思います。マニュアルも含めて、もう少しビジネスとしての省エネチューニングであることがわかるようにする必要があると今考えております。

鈴木座長: 他に何かございますか。前回の調査に比べて今回の追加ですが、例えばこの中の理解度、進展状況や策定状況というのは前回から当然推測できますが、今回の追加分析で特記事項はチューニングのところでしょうか。

事務局: 品目、類型別の特徴について、人口規模別、人口カバー率でみることで、より回答団体のイメージが掴めたかと考えています。人口規模で見た上で、同じ区市でも情報の入り方や説明会への参加のしやすさが一部影響している部分があるだろうというところや、所管部門を設置することのできる規模の団体と環境担当部署も他と兼務されている団体とでは、取り組むべき課題が違うというところなどが挙げられるかと思います。今後アクションを行うにしても、一様のものとするのではなく、大規模だけを伸ばすのか、中小規模を底上げするのか、というように規模別にやるべきことを考えないといけないと考えております。

石井委員: 追加でいろいろ調べていただきましてありがとうございました。大体予想できた範囲ではあると思いますが、やはりデータで確認できたということは大きいことかと思います。そういう意味では阻害要因等々、その他の中で見ますと規模の大きいところでは組織の複雑性の問題があるということで、単に人数を広げるだけではなく、やり方を考えていかなければいけないということが改めてわかりました。特に大きめの市で平成以降、急激に拡大したところでは、部署がバラバラだというところもありますので、そういう意味では進めていかないといけないと思います。また規模の小さいところは純粋に認知度が足りていないと思われます。担当の方がいるわけではないので人的パワーが少ないということは大きいと思いますが、そこは引き続き周知徹底を進めていかないとできないのだと思います。
 それから人口カバー率を見てみると、電気、自動車、船舶、ESCO、建築物とありますが、実際建築物は建て替えをあと伸ばしにしている自治体が多いし、船舶も使っていないところが多いということがありますが、自動車はもう少し進んでもいいかと思います。直接調達している事例がどのぐらいあるのか。数台しかないような場合には、手続きが煩雑でわかりにくいということがあるのかもしれないので、やりやすくする余地があるのではないかと思いました。

鈴木座長: 地方公共団体からは何かございますか。

鈴木委員: 細かいことですが、資料の確認をさせていただきます。p.3の契約方針の策定状況です。契約方針というのは、小平市ですと、例えば環境配慮の中で電力については基本方針を定めていますが、その他についてはないということもこの策定済みの中に入るのかというのが1点です。それからp.4の赤く囲っている理由はなぜでしょうか。他のパーセントが多いところではなくて、着目しているはなぜここなのか。この2点を伺いたいと思います。

鈴木座長: それではお願いします。

事務局: まず契約方針につきましては、例えば電気一つでも策定していれば策定済みのところに○をつけて、策定した分野が電気なのか、自動車なのかと次の設問で聞いております。一つでも○がつきます。それからp.4の図8ですが、説明がわかりづらく申し訳ありません。前回この阻害要因につきまして大枠の傾向につきましてはお示しをしたものですから、どちらかというと人的余裕なしという上の辺りよりは、総体的に小さい規模の団体が多く回答されている問題は何かというところに少し着目して枠を囲ったという狙いでございます。

鈴木座長: よろしいでしょうか。

鈴木委員: 結構です。

蔵品委員: この検証によって見えてきた課題ということで言いますと、比較的小さな都市の課題については最後のまとめのところに整理されています。この資料が親委員会に出て行くものだとすればという前提で述べさせていただきますが、この資料で大規模都市と小規模都市の課題がある程度見えていると思います。小規模都市は最後のまとめで分析をしていただいていますが、大規模都市についても分析結果からたくさんの課題が見えています。例えば電力入札にしても、ESCOにしても数値が高いかというと、決して高くはないので、やはりそれぞれ課題はあるわけです。特にESCOと建築設計については、建築物が環境に与える負荷というのは大変高いです。大都市が率先して取り組まないといけないと思います。ですから、大規模都市の課題も小規模都市の課題のように整理していただいて、それで環境配慮契約法でどこまでカバーするのか、どこまでやってくださいと言うべきなのかということについて整理することが有効ではないかと思います。

鈴木座長: 大規模と小規模を別に分けて整理できるのではないかということにつきましては、この委員会の報告に当たりましてご検討いただくことはできるのでしょうか。

事務局: 今回は、町村での取組がかなり低いということで小規模団体にフォーカスを当てましたが、大規模団体でも、複数の組織間での調整に時間がかかるなど、共通あるいはそれぞれの契約類型の中で見えてきている課題がございます。ご指摘をいただいたとおり、大規模団体では説明会の際に直接どういう情報をしていくか。町村ではどういう方法でやっていくかということについて整理をしたいと考えております。

蔵品委員: そうであれば、私も政令指定都市の一員なので、要望ですが、p.4の阻害要因を見させていただくと、小規模な都市で契約の種類が少ないとか、地元企業への配慮など都市の実情を示していて、喫緊の課題がすごく反映されていると思います。一方で大都市を見ると、例えば人がいない、予算がない、組織の縦割り行政など、同じ公務員としてあまり言いたくない理由の要因もあります。各部署の担当者がアンケート調査で回答して出しているのだと思いますが、大きな都市ではこういったことがメインの課題ではなくて、先ほど申し上げたとおり、実際自動車の購入に関しても対象となる車が少ないとか、電力入札でも震災以降、PPSの引き合いがすごくて能力がかなりオーバーしているとか、あるいはESCOにしても導入がいろいろ煩雑だとか、環境に配慮した建築を計画、設計をしても予算編成で切られてしまうなど課題がいろいろあるわけなので、そちらもクローズアップしていただければと思います。

鈴木座長: ご趣旨はわかりました。評価の仕方が非常に難しいのではないかと思いますが、今のご指摘を踏まえて報告書の作成をお願いしたいと思います。

永野委員: この環境配慮契約法ができた当時にはビジネスにはなっていなかったのですが、この一年間で急激に注目するようになったESCO事業がございます。それが非常に小さな市町村レベルの自治体から大規模自治体まであまねく広く、導入が可能な事業モデルなので紹介させていただきたいと思います。省エネチューニングも小規模自治体にとっては大事ですが、非常に大事だと思っているのは防犯灯(街路灯)のESCO事業です。これをLED化すると、非常に省エネになります。消費電力が半分以下になります。全国に1,000万灯あるらしいのですが、某メーカーの試算によると67%省エネができて、年間43万トンのCO2が削減できるそうですが、防犯灯のLEDの普及率というのは1%未満です。99%近くがLEDにされていないそうです。5年前にこの法律ができたときには、ビジネスとしてESCOでは成り立たなかったのですが、今は随分安くなって、防犯灯のESCO事業が注目されるようになりました。実際に導入した自治体を小さな順に挙げますと、新潟県妙高市の人口が34,000人、栃木県矢板市の人口が34,000人、秋田県大仙市が86,000人、群馬県太田市が217,000人、秋田県秋田市が321,000人といったように、いろいろな自治体に防犯灯のESCO事業を導入していただいております。LEDが省エネになるのは当たり前だからESCO事業にならないではないかと、この募集がかかったときに私どもが一番驚いたのですが、自治体のニーズは違うところにありました。防犯灯は、壊れたらLEDに変えている自治体が多いのですが、1個1個購入していくので値段が高くなります。一括で大量発注することによって価格を大幅に低減して導入したい。しかし資金的な問題もあって、なかなか普及が進まないという問題が一つあります。もう一つは、自分たちの資金でやった場合に、LEDはまだ10年程度の実績しかなく、防犯灯のLEDに至ってはまだ出てきたばかりですから、導入したのはいいけれども、途中で不具合があったときに一年間は保証があるでしょうが、保証がなくなったあと、本当はもっと長く持つつもりだったのが持たなくなって投資回収ができないという恐れがあります。この2点を解決するために、ESCO事業者に一括で買わせてESCO期間中の商品の保証をつけるというビジネスモデルは、自治体から出てきたビジネスモデルで、このやり方に関しては小さな自治体でも適応可能です。ほとんどの自治体はまだ知らなくて一部の自治体のみが先進的に取り組んでいる状況ですので、省エネチューニングのESCO事業も大事だと思いますが、ここのところ急激に注目されるようになってきたこの防犯灯LED化も環境省で普及啓蒙をしていただけるといいかと思います。以上です。

鈴木座長: ありがとうございました。他には何かご意見はございませんか。
 それでは、2つ目の議題、「国及び独立行政法人等における環境配慮契約の課題及び今後の対応等について」ご説明をお願いします。

事務局: 資料3について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。国等の環境配慮契約の課題及び今後の対応等についての課題、今後の方針につきましてご説明をいただきました。これについて議論していただくわけですが、効率的に審議するために5つの契約類型、電力、自動車、船舶、ESCO、建築物のそれぞれについて契約実績、調査、結果、課題、今後の対応の方針が適切かどうか。来年度の引き続き検討事項につきましてご議論・ご意見等を伺いたいと思います。まずは電力からお願いします。

鈴木委員: 電力で3点ばかりお願いします。p.3で出てきた課題と方策です。「全般的には環境配慮契約が実施されているものと評価できる。」というところです。実際、昨年度、自治体でPPSに広がった環境配慮契約法に基づいて契約をしてきたのは、法趣旨というよりはどちらかというと金額の削減のメリットがあったのでやってきたという背景があったのではないかと感じています。その結果、広がったことに対して環境配慮契約法の議論の中で評価していいのかどうかというところは一つ疑問に感じたところです。
 2点目です。電力で裾切り方式の話をしてもよろしいでしょうか。前回の自治体のアンケートを見ますと、CO2削減の評価項目の設定の仕方がわからないということが一番大きな課題になっていたと思います。実際入札するときは国の基準どおりにやっていますが、それが何を意味しているのかというのは自治体レベルではわからないところです。例えば二酸化炭素の排出係数や省エネの資源の係数ということで、今70点以上だと裾切りでクリアしていると言いますが、70点を超えていればどういう効果が果たしてあったのかを明らかにしていく必要があるということを感じているところです。
 3点目は、競争性がなくなっているところです。自治体では来年度に向けて入札の準備をしているところですが、今、不調の案件が増えています。入札にかけても実際PPSが決まるかどうかがわからない不安があります。そのような中でやりたいけれども行えないというものに対して、この数値だけを見ていくと、もし実際できなかったら環境配慮契約を満たしていないという評価をされてしまっているような気がします。その辺について、今後この環境配慮契約法の中での検討も必要になっていくのかではないかと感じていますので、ご意見を教えていただければと思います。

鈴木座長: 国がやっていますが、そのやり方を地方に持ってこられても困るというご趣旨でしょうか。

鈴木委員: そういうことです。

事務局: 鈴木座長の仰るとおりで、この資料において評価している、していないということについては、国及び独立行政法人等が環境配慮契約を実施しているかということの評価となります。鈴木委員が仰ったとおり、地方公共団体においては、確かにそうした問題があって、未だ不十分な状況であると思っております。今回お示ししている電気の契約につきましては、国及び独立行政法人等の場合は契約可能な電力料のうち、8割程度の電力量がカバーされているということで総合的にみて評価ができるのではないかということを書かせていただいております。
 それから裾切り項目の意味がきちんと地方公共団体に伝わっていないのではないかというご指摘につきましては、今後、地方公共団体に対する普及方策と併せて検討していきたいと思っております。

鈴木座長: 他に電力についていかがでしょうか。

蔵品委員: p.3の契約が困難な理由を拝見しますと、自治体で思っていることとかなり重複しているという感想です。ただここをあまり突き詰めると、電力入札という一つの競争ですから、理由を明らかにして法で対応をしてしまうと、別の手を打たないと契約できなくなるということもあるかと思いますので、困難な理由はあくまで現状分析として把握したいと思います。あとは各施設や新電力などにヒアリングをするといったことで入札の工夫に期待するべきかと思います。国や独法の電力入札については、先ほどの地方公共団体に比べれば契約数はかなり高水準なので問題はないと考えますが、地方の電力入札については課題が多いという気がします。

鈴木座長: ありがとうございました。電力については、資料にあるように、課題と方策では、引き続き取組を進めているということが、現状だと思います。特に原発がどうなるかということは政府としても未定の状況でございますので、ここはやむを得ないという感じであります。ただ、蔵品委員からもありましたように、地方公共団体を含めて入札の現状について工夫できる余地を考えていただけないか、ユーザーから見て新電力が入ってきやすいような電力契約の余地があり得るのではないかという気がしますのでご検討ください。
 次に自動車についてご意見は何かございますか。先ほどご説明がございましたが、特に賃貸借でちょっと教えていただきたいのですが、(2)困難な理由のところでリース契約が短期であるために総合評価落札方式は採用していないというのはわかりますが、(3)課題と方策で、賃貸借期間が3年程度であっても、要するにメンテナンスによる差が大きいから広く周知していくこととするとしているのだと思いますが、リース契約は1年のものなので3年のことを言ってもあまり意味がないのではないかと思いますが。

事務局: ご説明が不足しており申し訳ございません。関連資料の冊子のp.45をご覧いただきたいと思います。(3)評価値の算定例(賃貸借の場合)という箇所でございます。第2パラグラフのなお書きのところでございます。「なお、契約期間が3年未満であって、かつ当該仕様を満たす車種間の燃費の差が小さく、加算点の満点が低い場合など契約許可に当たって環境性能がほとんど寄与しない場合は、調達者の判断により、必ずしも総合評価を使わなくてもよい」という説明を書かせていただいております。実際にいろいろな例で検討を行ってみますと、リース期間が短い場合は、加算点が少なく燃費の部分でメリットが出てこないというところがあり、その場合は、最低価格落札方式で入札を行ってもほとんど同じような結果になるということがあります。したがって、リース期間が短い場合は、必ずしも総合評価落札方式でなくてもよいということになっています。その目安としての期間が3年となっています。ただし、車種によっては、かなり燃費に差がありますので、総合評価を実施する価値のあるものについては、是非積極的に実施していただくようにということで記載させていただきました。

鈴木座長: 自動車はよろしいでしょうか。

鈴木委員: 自動車の関係で自治体の視点で恐縮ですが、総合評価落札方式を行うときに手間が非常にかかるという話ですが、国では入札から決定までどれくらい期間がかかっているかを教えていただきたいというのが1点です。また、地方公共団体では学識経験者に意見を聴取していると思います。工事請負契におきましては、国交省から学識経験者を紹介されますが、専門的な車の購入に環境配慮に精通した方を自治体レベルで探すのは難しいことが考えられるので、そのときに紹介していただけるとか、何か手助けをしていただけると助かります。以上の2点です。

事務局: 関連資料冊子のp.51の2-5に一般的な入札のフローが載っています。仕様書の作成、予定価格を作るというのは、入札の前段階になります。入札公告から応札、開札・落札までというのは時間的にはこの程度かかるということを想定しています。次に2点目については、地方自治法で、総合評価を実施するときは、学識経験者の話を聞くということになっております。自動車の専門家というのは、具体的に考えておりませんでしたので、これから、各方面とご相談をさせていただきまして、情報提供できるようにしていきたいと思っております。

蔵品委員: 自動車のp.5の契約が困難な理由が3つ挙げられていますが、一つ目が大きいと思います。私どもの自治体でもそうですが他の自治体でもよく聞きます。今後環境配慮契約法において自動車の総合評価落札方式が本当に有効なのか。環境配慮契約法は震災前に施行された法律ですが、震災の前と後では、電力や建築など全てにおいて状況が変わっているので、いろいろなことが言えると思います。自動車について言うと、今までのようなハイブリッドでいいのか。今後はEVまで行かないといけないのか。単に公用車として使うだけではなくて、スマートグリッドといった話が出てきている中で、緊急時のバックアップ電源に使うなどの方策もEVには出てきていますので、その用途も含めて、将来像も踏まえて今後の環境配慮契約法における自動車の契約のあり方を考えていかないといけないと思います。

石井委員: 今のことに近い意見ではありますが、グリーン購入法を満たしていればいいのではないかという意見と、環境配慮契約法をすることでプラスαが期待できると思います。当然プラスαの手間もかかるというところでそのバランスを見てということです。特に賃貸であればということだと思います。そういう意味では他でもよく出てきたと思いますが、説明会等々で効果をいくつか見せるということをプラスαするとよいのではと思います。特に自動車は性能の改善が著しいので、例えば5年前であれば3年ぐらいではほとんど結果に関係がなかったとしても、今であれば3年でもこれぐらいの差が出ますという効果がわかるようにして、それでも入札にかかる手間が大きいという判断であれば、そこは致し方ないところがあると思います。やはり効果を「見える化」してあげる機会をもう増やすことが重要です。情報更新を行い、なるべく最新の状態にするということが必要かと思います。

事務局: 自動車につきましては、解説資料も今年度新しく更新し、最新のデータに入れ替えさせていただいております。説明会等で環境負荷低減効果、あるいはコスト削減効果について、できる限り最新データに基づきお示しできるようにしたいと思っております。

環境省(峯村課長補佐): 地方公共団体向けの取組でグリーン購入法に基づき取り組んでいるということはございますが、国等の機関については、環境配慮契約法に基づき総合評価落札方式による入札を行うのは義務でございます。ご説明においても、若干申し上げましたが、残念ながら、この理由は理由になっていないことをご理解いただきたいと思います。

鈴木座長: よろしいでしょうか。次は船舶でございます。海上保安庁の場合は目的が優先されるというのはわかりますが、「(2)」の2つの○印は海上保安庁ではなくて他の省庁の小型船舶ではないかと思います。業務・用途の必要性から他の項目が優先されるということはどういうことでしょうか。それから「燃費消費率を規定するとメーカー名が特定される」ことについて普通は問題にならないのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。

事務局: 船舶の設計業務については発注される事例がかなり少なくなっております。実績に上がってきているものは20トンに満たない小型船舶です。理由には海上保安庁のものも含まれております。従いまして海上保安業務に影響が及ばない範囲で可能な限り環境配慮契約を実施するということですけれども、一方では業務の必要性から速力が優先されるといった理由のご回答もいただいております。ここの実績には防衛省が調達する防衛にかかわらない船も入っております。
 それから2つ目の小型船舶の燃費消費率の規定はメーカーの特定、または限定につながる可能性があるということは、実際に運用されているところからご指摘をいただいております。排ガスは大丈夫ですが、燃費まで加えるとかなり限られてしまう可能性があるとのご指摘です。ここ点については、もう少し突きつめて調べる必要があると考えております。

鈴木座長: 船舶はよろしいですか。次のESCOについてご意見、ご質問をお願いします。

永野委員: p.7の表5のフィジビリティ・スタディとp.8の表6の簡易ESCO診断の違いについて教えてください。

事務局: フィジビリティ・スタディは専門家に発注して実施するような位置づけと思います。簡易ESCO診断につきましては、定義については記載されてはおりませんが、自分たちで実施するケースも簡易ESCO診断に入っているものと思います。各機関に問い合わせた結果のご回答ということです。実施の有無については、各機関がご判断して回答された結果であり、申し訳ございませんが、詳細については、ご説明できないところもございます。

永野委員: 午前中にESCO推進協議会の会合があったものですから、ここの数字の違和感について主要なESCO事業者と打ち合わせをしました。このような認識は我々にはほとんどないです。これほどたくさん調査されているならばもっとESCOが進んでいると思います。そもそも自分でやったら簡易ESCO診断にならないです。ESCOの契約は専門家にやらせるからこそ、自分たちでできないからこそ、ESCOの意義があります。自分たちで調べて、「これは向きます。これは向きません。」という判断をすべきではないです。先ほどもそうでしたが、質問の内容がずれていると思います。明確に定義付けをした上で行っていただいたほうがいいので、来年度の委員会で検討していただきたいというのが一つです。
 それから前回も同じことを言いましたが、p.7の下のほうに、今回はフィジビリティ・スタディや省エネ診断をした実績のある機関に調査されたようですが、来年度は、ESCOの検討をしなかった機関に、しなかった理由を調査して欲しいと思います。そうしないと実績ゼロの理由が浮かび上がってこないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

鈴木座長: フィジビリティ・スタディはやったが、省エネ診断をやってESCO事業に変えたという理解ではないのですか。

事務局: 国の場合は結果的に省エネ診断を実施したが、ESCOの実施には至らなかったということになっています。永野委員が仰るように、やらない理由はいくつかあると思います。政府の実行計画で申しますと5,000㎡、かつ、10年以上経った施設に対しては簡易ESCO診断をやるということが実行計画にも記載されております。p.11にあるように、庁舎について見ますと、6,000㎡で切ってありますが、6,000㎡を超えるようなところは10%強となっています。そもそも分母としては6,200程度のうちの600いくつというところで10%程度になっています。また、ESCO事業検討する場合のエネルギー消費量の目安というのが、解説資料の冊子のp.76の「2-3 ESCO事業導入可能性判断 (1)エネルギー消費量及び年間光熱水費額による抽出」に書かれております。一次エネルギーの消費量で申しますと、2,000MJないし1,500MJ以上という目安を出させていただいております。資料にあるとおり、庁舎の平均値で見ますと、大きなところでも1,100MJないし1,300MJということで目安に至らないということも実態です。一方、国の施設の場合は省エネが相当程度進んでいるということもあります。永野委員のご指摘のとおり、次年度以降の実績についてご報告いただく際に、可能なところは調査したいと思っております。

鈴木座長: 国のレベルではESCO事業が進んでいると言われましたが、省エネ改修事業も含めてというご趣旨でしょうか。

事務局: ESCO事業には至っていないというのは事実でございます。ESCO事業が十分実施されていないというのは重々理解しております。ただし、省エネ改修については逐次行われているということもございます。

蔵品委員: 地方と国を併せてですが、ESCOの対象事業というと、まさに省エネ、エネルギー消費量を絞るような改修工事がメインだと思います。先ほど震災の話をしましたが、震災の前と後でエネルギーのあり方で大きく変わってきたのは再生可能エネルギーです。あるいは蓄電池の活用です。これはBCP、いわゆるリスクマネジメントの分野でも非常に謳われている話です。今年から固定価格買取制度も始まっているわけで、ESCO事業と言ったときに、再エネや太陽光発電、電池の導入なども含めた改修工事であると、業者も再エネでビジネスチャンスを伺っているところも多々あって、参入しやすい面もあると思います。

石井委員: 国のエネルギー消費量のレベルが低いという話があったが、省エネが進んでいるということでは必ずしもなくて、基本的に事務所的な使い方をしているので、元々エネルギー消費レベルが低いということだと思います。必ずしもESCO、省エネ改修、その他もろもろなど、本来やるべきものがどこまでできているのかというのはこの資料だけではわからないと思っています。何もESCOを入れること自体が目的ではなくて、国の庁舎で省エネの余地がないのかというところをきちんと見ることも重要かと思います。そういう意味では前回も申し上げましたが、全体の量に対して、例えばフィジビリスタディがどのぐらいか、省エネ診断をどれぐらいやっているのかというところはもう少しきちんとわかればいいかという気がします。これは、官庁営繕部の資料だとは思いますが、独法は入っているのですか。国立大学法人は多分入っていないかと思いますので、実際は機関数で見るのか、施設で見るのか、棟数で見るのか、いろいろありますが、おそらく古い建物が多いので、チェックすべきものというのはたくさんあると思いますので、先ほどの定義の問題があると思いますが、きちんと診断をして、診断の結果、コストに見合わないということであれば仕方ないです。やれる余地があるのであればやるという話がわかるような形でデータが取れればといいという気はします。今の段階だけですと、ESCOがあまり進んでいないとしか、言いようがない気はします。

事務局: 別途参考でつけたのは国交省の官庁営繕部の「官公庁施設の建設等に関する法律」に基づくもので、いわゆる国家機関、国だけでございます。独法等は入っておりません。

鈴木座長: 委員の中でも誤解するようなことがありますので、資料の説明に工夫の余地があるのではないかご検討下さい。それから以前ご紹介しました契約法の5条の定義、ESCOについて省エネルギー改修事業の定義を変えたら大ごとになってしまいますが、そういったことも含めて、どちらが適切なのか。これも課題の一つとしてご検討をいただきたいと思います。
 それでは、最後に建築物の設計についてご質問をお願いします。

石井委員: 建築物の話もESCOの話も近いと思います。エネルギー消費量は大きいですが、新築の建築物がどのぐらいあるのか。大規模改修はどのぐらいあるのかということで、法律上、契約の形態は違うので別々になっていますが、おそらく進捗という意味では新築は、全体の新築の件数に対してどのぐらい進んでいるのかということで別です。大規模改修とESCOとの関係がいろいろあると思いますが、実際大規模改修をしているものは、10,000の施設があって10年に1回とすると、1,000件なのか、20年に1回だと500件なのかという中で何件ぐらい、環境配慮契約がされているかということで見ていかないと、全体のボリュームはつかめないという気はしています。何れにしても建築物は先ほど皆さんが仰っていたようにエネルギー消費量はものすごく大きいです。30年、40年も使うものですから、今あるストック、新築のフローの中でどのぐらい環境配慮契約法が進んでいるのかという形でものが見られると良いと思います。

鈴木座長: よろしいですか。

永野委員: 私たちがESCOをやっていていつも思うのは、多くのビル、施設がオーバースペックです。余裕を見て設計をされて必要以上のオーバースペックの熱源装置が入っている例が非常に多いです。だからESCO事業が成り立ちます。本来は一番最初の建てる段階で適切な能力のものを入れていただければ省エネにつながると思います。一般的には1.3倍ぐらいの能力を入れると言われています。この資料の中で、温室効果ガス等の削減について設計上の工夫の余地がほとんどないという意見がありますが、本当なのかと私どもの経験から思うことです。

鈴木座長: 今のご発言は、ご意見でよろしいですか。

永野委員: はい。

鈴木座長: 一応終わりましたが、さらに補足すべき点、追加事項がありましたら、元に戻っても結構ですから何かございますか。よろしいでしょうか。事務局からスケジュールについての説明がありますが、今いただきましたご意見の内容を第3回の親検討会でご報告する予定になっております。第3回は1月ぐらいだと聞いておりますが、若干時間がございますので、とりまとめにつきまして、ご意見等がありましたら書類の修正、注文等は直接事務局にお願いしたいと思います。最終的な検討会へのご報告の内容は、私のほうにご一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。

(了承)

(3)検討スケジュール

鈴木座長: 最後の検討スケジュールのご説明をお願いします。

事務局: 資料4について説明(省略)。

(4)その他

鈴木座長: 資料につきましてご意見はありますか。それでは予定の時間より若干早いですが、今回の議論はこれで終わらせていただきます。ご意見等がありましたら事務局までご連絡をいただきたいと思います。それでは、この委員会はこれで終わらせていただきます。2回にわたって開催したわけですが、委員の皆様方におかれましては活発なご意見等をありがとうございました。また、事務局におかれましては、この委員会の報告書のとりまとめがあるようですが、短期間で調査を行い、資料をとりまとめていただきましたことに厚く御礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いします。それでは、議事進行を事務局にお返しします。

事務局: それでは最後でございますが、環境省総合環境政策局環境経済課大熊課長よりご挨拶を申し上げます。

環境省(大熊課長): 前回のはじめのときにご挨拶を申し上げなかったので蛇足になりますが、最後に一言だけ御礼を申し上げさせていただきます。2回という短い開催期間ではございましたが、鈴木先生はじめ先生方には各分野、各機関の実態、実情を踏まえて貴重な情報、あるいはご意見を賜りまして誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。今ご紹介いただき、鈴木座長からも仰っていただきましたように、この検討は来年もまだ続きます。来年が本格的な検討になってきます。次の親検討会で中間的に報告させていただきますが、それを踏まえて、また来年にかけて引き続きこの法律のあり方についてご議論を賜りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。この御礼と来年に向けてのお願いを申し上げて、本年最後のご挨拶をさせていただきます。どうもありがとうございました。