平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会 電力専門委員会(第1回) 議事録

出席委員:
遠藤委員、小川委員、釜谷委員、酒井委員、松村委員、山地委員(座長) (五十音順、敬称略)

1.日時

平成24年8月29日(水)10時~12時

2.場所

経済産業省別館8階825号会議室

事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻より少し早いですが、これより平成24年度「第1回環境配慮契約法基本方針検討会電力専門委員会」を開催いたします。
会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課大熊課長よりご挨拶を申し上げます。なお、カメラ撮りは、環境経済課長の挨拶までにお願い致します。

環境省(大熊課長): 座長の山地先生始め、委員の先生方、まだまだお暑い中、大変お忙しい中をご参集いただきまして誠にありがとうございます。本日、環境配慮契約法の電力専門委員会の第1回ということでございます。環境配慮契約法ができました当初からいろいろご指導をたまわっている先生方も多いと伺っておりまして、ご案内のとおりでございますけれども、環境に配慮した契約をしていくということを通じて、契約をする側だけでなく供給する側も含めて、社会全体で環境配慮を広げていこうという制度でございます。その中でも電力、電気の供給は非常に重要な分野ということで、当初から類型に位置づけられているというのはご案内のとおりでございます。そうした中で、電気の供給については、二酸化炭素排出係数などとともに新エネルギーの導入状況なども評価項目に従来から位置づけていただいてきたわけでございますが、固定価格買取制度(FIT)が導入され、それに関連してRPS法が廃止されるという全体の状況が変化する中で、この基準、考え方、基本方針に位置づけられている内容を見直していく必要があるということで、この委員会を開催させていただくということになりました。関係のございます、幅広い分野から先生方にお集まりいただいていますので、先生方のご知見をいただいてご議論をたまわり、ぜひ環境によりよい電気が調達され、そして広がっていくように、そういう高い効果を持つ制度としてまいりたいと思いますので、ぜひご指導をたまわりますよう、よろしくお願い致します。本日からご議論をいただくということですが、様々なご意見、ご知見をたまわりますようお願い申し上げて簡単ですがご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い致します。

事務局: それでは、まず本専門委員会にご参加いただいた委員の皆様をご紹介いたします。委員名簿は、資料2としてお手元に配布しておりますので適宜ご参照ください。
資料2について説明(省略)。
次に、本専門委員会の公開等についてご説明いたします。お手元の資料1の検討会開催要領「4.公開等」にあるとおり、専門委員会の公開等は、検討会に準ずることとなっており、原則公開で、資料・議事録については、会議の終了後、座長の承認の上、ホームページ等により公表することとしております。併せて3.(6)に書いてありますとおり、「専門委員会の座長は検討会の委員をもって当てることとし、専門委員会の運営は検討会に準ずる。」こととなっております。本専門委員会の座長は山地先生にお願いしております。
それでは以後の議事進行につきましては、山地座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

山地座長: 電力専門委員会の座長を務めさせていただきます山地でございます。今、大熊課長のご挨拶にありましたとおり、環境配慮契約法は5年目に入ろうとしているわけですが、そもそも5年目のときに今までの状況を振り返って見直すということでございます。それからお話にもありましたように、再生可能エネルギーの電力固定価格買取制度が始まりまして、それに併せてRPS法が廃止になるということで、電力専門委員会の扱う環境条件が相当大きく変わっています。そこの議論をやっていただきたい。またご存知のようにエネルギー基本計画を見直し中です。電力システム改革も進みつつあるということです。これは長期的ですが、それに対応した見直しも必要かと思います。また我々の役目の中で電力のCO2排出係数が非常に重要な指標となりますが、ご存知のように福島第一原発の事故の後、排出係数が大きく変わっておりますので、それをどう扱うかということも非常に重要な論点かと思っております。従来からご参加いただいている先生方もいらっしゃいますが、新しい方もいらっしゃいます。またこの委員会を久しぶりに開くということもありますので、議題を進める中で最初のところで環境配慮契約法の基本方針の概要について説明があります。それを踏まえて本日以降、何回か議論を行っていただきますが、本日は我々が何をするのかを皆さんと共有できればと思っております。
それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は12時までの予定となっております。

◇配布資料の確認

事務局: それでは配布資料の確認をさせていただきます。議事次第に配布資料の一覧を記載しておりますのでご参照ください。

配布資料

資料1平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会及び電力専門委員会委員名簿
資料3環境配慮契約法及び基本方針の概要について
資料4電気の供給を受ける契約に関する検討内容等について(案)
資料5平成24年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)
参考1環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)【第1回基本方針検討会資料】
参考2環境配慮契約法の施行状況等に関する提案内容と検討の進め方(案)
【第1回基本方針検討会資料】

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料及び地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアルの冊子、及びパンフレットをお配りしております。なお、基本方針関連資料には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれていますので、適宜御参照ください。ご不要な方は、会議終了後、お座席に置いてお帰り下さい。
資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

3.議題

(1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について

山地座長: それでは議事に入らせていただきます。議事次第にありますように、今日は、その他を入れると4件ですが、主要な議題として3件ございますので、順番に審議を進めてまいりたいと思います。
最初の議題は、「環境配慮契約法及び基本方針の概要について」ということでございますから、資料3を使って事務局からご説明をお願い致します。

事務局: 資料3について説明(省略)。

山地座長: どうもありがとうございました。今日のメインの議題は次の議題ですが、それに先立ちまして、「環境配慮契約法及び基本方針の概要について」を説明していただきました。今の説明につきましてご質問等がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これを踏まえて今日のメインの議題であります2番目の議題、「電気の供給を受ける契約に関する検討内容等について」、これは資料4と参考1、参考2について事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

(2)電気の供給を受ける契約に関する検討内容等について

事務局: 資料4、参考1及び参考2について説明(省略)。

山地座長: ありがとうございました。これは、今日の本題になります。検討していただく内容についてかなり多面的に説明していただいたように思いますが、大きく言えば3つだと思います。一つは、現在の裾切り方式の中でRPS法が廃止されることに伴って、RPS法の義務を満たさず勧告を受けたものは裾切りにするということになっていますが、これは状況に応じてはいらないのではないか。あとは排出係数の配点について、昨年度の排出係数は非常に悪化しているわけですので、その配点をどうするのか。あとは未利用エネルギーや新エネルギーです。新エネルギーは特に固定価格買取制度が入ってきました。しかもRPS法が廃止されます。現行はRPS法の基準利用量に対する達成率ということで新エネルギー導入状況を得点化して、裾切りの要件にしているわけですが、これをどうするか。これは必ずやらなければいけない課題です。この現実的な対応が一つです。
二つ目は、今後のエネルギー基本計画や電力システム改革をどう取り込むか。これは準備だと思います。その中で一つは、放射性物質による環境汚染の防止を環境基本法の体系の中で取り扱うということなので、環境配慮契約法の中でもどう扱うか。これはある程度この委員会で方針を出していく必要があります。
最後の三つ目は、5年目見直しということで提案募集、ヒアリングをしていくつか提案事項がございます。1つは、今の裾切り方式を総合評価落札方式に変更するというご提案ですが、事務局案ではちょっと時期尚早ではないかとされています。それから固定価格買取制度に伴う排出係数をどうするかということは重要な問題ですが、これは温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)で行うので、我々は排出係数の配点のほうを議論することになります。それから新電力が排出係数を改善するための公営電力の調達に関しては動きがあり一定の対応が取られているという説明でした。皆さんのご意見を伺いたいのですが、まずは認識と問題意識を共有するために質問を先に受け付けて、質問に対する答えをある程度いただいた上でご意見をいただくという二段構えで議論を進めたいと思います。ご質問を遠慮なくいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小川委員: 2点、確認のために質問をさせていただきたいと思います。1つは裾切り方式の入札についてです。裾切りの仕組みが入札に当たって提示されていると思います。そういった意味では入札をしたい業者は事前に裾切りに引っかからないかをチェックして、引っかかると考えた人はそもそも入って来ないと考えていいのかというところです。そういう意味で実際に入札に入ってきた事業者は皆資格を持っていて、その中で価格が決まるという構造になっているのか。それともそういうことに関係なく、入りたいと思った人が入ってきて、裾切りの条件がチェックされて、「あなたはだめですよ。」と言われて引くことになっているのか。どういう構造になっているのかを教えていただければと思います。

環境省(峯村課長補佐): 環境経済課の峯村でございます。裾切りにつきましては、基本方針と解説資料にございます。基本方針は、p.1からp.7に記載されておりますが、閣議決定事項には具体的な裾切り値は示されておりません。電力に関する裾切り値は、p.18から一例としてお示しをしているところです。毎年、温対法のCO2排出係数が算出されますと、私ども環境省で調達する場合は地方支分部局も含めて、どういった配点例を使うかということを検討して、環境省のHPで公開しております。調達をされる各府省庁及び裁判所、国会、独立行政法人の皆様は、環境省が公開しました表を参考に、事実上、デファクトスタンダード的にお使いになられて、入札を実施されているようでございます。わかっていて入札参加されるので、裾切りされる事業者はいないかというご質問ですが、全くないというわけではありませんが、非常にまれな状況だとご理解いただければと思います。

小川委員: 2点目の質問は、5年経ったところである程度吟味しないといけないというお話ですが、5年経っていることによっていろいろなことが行われて、どういう業者がどういう形で入ることができたという実態を押さえようと思えばできるのではないかと思いますが、その辺のデータを押さえておられるかどうかということです。いろいろな方からなかなか競争で入りにくいという指摘があるので、そういった意味で、できるだけ広く競争が可能な状態になっているかという確認ができるかどうかが一つ重要な要素になるかと思います。思っていることだけで議論するのではなく、5年間のデータという形でどうなっているかということを示して検討できる状況にあるのかを確認するため、個別の契約についてどうかという話ではなくて、それを集計してマクロの状態でどういう状況になって、どういう問題があるという形でのデータのチェックはできないでしょうか。

環境省(峯村課長補佐): データは法律に従って国及び国が所管する独立行政法人等につきましては環境大臣への報告義務がございます。報告義務の中でどういうことになっているのかということでデータの累積がございますが、今日の段階では整理ができておりません。お示しできるのは次回以降となります。
それから地方公共団体につきましては努力義務ということで、国が直接対応を義務化していないということもあり、かつ報告義務もございませんので、私どもには、地方公共団体がどういった調達をしているのかというデータはございません。

小川委員: はい、わかりました。

山地座長: 他にご質問がございましたらお受けしますが、いかがでしょうか。

酒井委員: 原発事故以後、CO2の排出係数が大分悪化しているという話がありましたが、具体的な数字を教えてほしいのと、先ほど若干ご説明のあった裾切り基準をそのまま放置するとどのように跳ね返りそうなのかということを教えていただきたいと思います。

環境省(峯村課長補佐): 具体的な悪化の数値は現在公表された事業者と公表されてない事業者がいらっしゃいます。現在、一般電気事業者を中心に悪化している傾向にあるということは掴んでおります。数値的には全部出揃っていないという状況です。

事務局: 全部が出揃うのが例年ですと年末ぐらいになります。それまで公表できないという状況になっておりますので申し訳ございません。

松村委員: 義務である国の方針ですが、それぞれの契約主体が配点例を見ながらどれにするかを決めているのでしょうか。あるいは本省が決めれば全ての地方局が同じ配点でやっているのでしょうか。

事務局: 基本的には、調達側が配点も含めて決めるというのが原則でございます。先ほどの説明にありましたとおり、地域ごとに当然排出係数が違いますので、環境省の場合は電力管内ごとに配点例を作って調達をお願いしておりまして、その配点例に従って概ね調達されています。

松村委員: 先ほどもデータをという話がありましたが、極端なことを言えば、それぞれの出先機関でその管内の一般電気事業者が満たせるギリギリ水準を恣意的に選べば、この規制が事実上無意味になるということもあり得るわけです。そういう恣意的に運用がされていないことを確認するためにもぜひ見せてください。

事務局: 運用上で申しますと、裾切りの基準を作成する際には、管内で新電力も含めて複数参入されている場合、少なくとも3社が参入されるような水準でお願いしているというところでございます。一方、一般電気事業者に対しては、最終的に電力を供給する義務がありますので、そういったことも含めて、今のところ、調達者の方々にはご説明してお願いしているというところでございます。

山地座長: よろしいですか。他に、はい、小川先生。

小川委員: 1つはRPS法の勧告を受けていない事業者という話で、RPS法がなくなれば当然外さざるを得ないということになると思いますが、一方で特別措置法ができたことによって固定価格買取制度の中で履行義務を果たしていないというチェックがされる要素は入っていないのでしょうか。それが入っていれば逆に考慮しなければいけないという話になるのではないかという気がしますが、そこはどうでしょうか。

事務局: 買取制度なので履行義務はないと理解しております。

小川委員: ある意味で買取義務はあるわけですよね。それを履行している、していないということは対象になりそうな気がしますが、ルール化されていないのですか。
事務局: 一般電気事業者が買い取る形になるのではないかと思いますが、全部買い取ることになるから固定価格買取制度ではないかと理解しております。履行しないということはおそらくないものと考えております。

山地座長: 経済産業省は何かありますか。

経済産業省: 直接の担当でないので詳細はわからないですが、おそらく履行義務はかかっておりますし、負担金を支払う義務も課されていると考えております。RPS法も義務は義務なので、その違いをどう考えるかという辺りが議論になるのでは思います。

事務局: RPS法の考え方は、事業者に一定の義務量が課せられて、それをクリアしてくださいということです。今度の固定価格買取制度の場合は、簡単に言えば、売る側がいればそれを全部買ってくださいということだと考えております。事業者に義務が課されるというのはそうですが、事業者に、例えば年間何kWh以上買ってくださいという数字があるいうことではないということなので、RPS法の履行義務とは違うと考えております。

山地座長: 的確に答えられる方がこの場にいないので、少し事務局が預かっていただけませんか。つまり系統連系がどうしても困難である場合には、現実には受け入れないケースがあると思いますので、そこの扱いがどうなっているか。そこを調べていただいて、今の質問に答えていただくということで、一旦預かりということにさせていただけませんか。他にはいかがでしょうか。

小川委員: 放射性物質による環境汚染防止のところで、大気汚染防止法や水質汚濁防止法、土壌汚染対策法等の個別法で議論が行われることが想定されると書かれておりますが、具体的に議論は始まっているのでしょうか。というのは、この環境配慮契約法でどう取り扱うかという具体論を考えていくというのは非常に難しいと思うので、直接影響が出ている事例から考えなければいけない。また、具体的にどういう話が展開されているかということを参考にするのは非常に重要ではないかと思います。その辺の議論の進行がどうなっているのかがわかっていれば教えていただきたいと思います。

環境省(大熊課長): これは時間をかけて検討することになるだろうと思っております。ご案内のとおり、今回の事故があり、現実に放射性物質が環境中に出るという事態が起こったので、放射性物質による環境汚染の防止についても環境基本法上で除外しないというところまでの意思決定はできたわけですが、個別具体の規制措置をどうするかとなると、原子炉等規制法との関係、自治体の役割をどう考えるかという非常に難しい課題がございますので、少し時間をかけて、今後検討していくということになっております。いつまでに何を決める、というところはまだ明らかになっていないという状況です。
今、事務局から説明させていただいたように、そこを見ながら検討していくということが必要になってくるのではないかと考えているところではありますが、一方、この問題自体が提起をされております背景には、国会でも一部議論があったようですが、原子力発電を使うことでCO2排出係数が下がっている。そこの部分を環境にいいと評価して良いのかという疑問の声があります。それについてどう考えるのかという問題が背景にございますので、そこをこの場で判断することは難しい面があるのは先生の仰るとおりですが、ここに示されているような形で良いのかどうか。はっきりしていない環境規制の検討を待つということで良いかどうかも含めて検討をたまわれるとありがたいと思っております。

山地座長: 追加しますと、親委員会でもいろいろ議論になっております。いろいろお話を伺うと、今大熊課長が言われたように、国会でもそういう議論があって、受け止めるということでしたが、環境配慮契約法の下で扱うとしたら、この電力専門委員会になります。だからここで扱えるかどうかに関しての皆様のご意見はまとめて親委員会に上げるということは必要だろうと思っております。だから時間をかけて議論する必要はあるのですが、この専門委員会では、一定の結論を上げることも必要と私は思っておりますのでよろしくお願いします。

小川委員: p.3のその他の評価要素で地方自治体には環境マネジメントシステムの導入やCSR、需要家に対する省エネと節電に関する情報提供ということでリストアップされていますが、今までの裾切りである程度しっかりした基準ができて、それに対してどうなっているということが明確にできることが多分必要だと思います。実際にやられているところは、この項目のこの線を基準にして、これを超えるとよくできている、できていないというところの判断は明確についているのでしょうか。その辺が本当のところはどうなのかというのが気になりました。

事務局: EMSやCSRの類はあるかないかという、いわゆる「0」か「1」かの世界で、例えばEMS(環境マネジメントシステム)を取得していれば5点加点という評価になっております。
それから同じく省エネルギーや節電に関する情報提供も、結局「0」「1」になってしまいますが、加点ポイント的なイメージで取り扱っている地方公共団体はございます。

小川委員: 3つ目のものは、具体的にどういったことをやっているという情報を出してもらって、その内容を吟味して、その上で加点できるか、できないかという判断をしているということですか。

事務局: 調達者の方が基本的にはご判断するということになると思います。

小川委員: わかりました。それからその下のグリーン電力証書の取扱のところでグリーンエネルギー証書への対象拡大ということを考えたときに、今の取扱方は電力に直して、予定の電力の何%という形になっているので、グリーンエネルギー証書の場合も熱である場合は電力に換算するという仕組みを考えなければならなくなると思いますが、その辺の考え方の整理はできていますか。

事務局: そこまで考えていたかというとまだです。今先生が仰ったように、逆に熱量に換算するというやり方は当然あるのではないかと思っております。

松村委員: データの出し方にどういう関心があるのかは明らかになったと思うので、まとめた格好でなく、各委員の関心に答えられるような形で出してください。それで重要なことだと思いますが、例えば、極端なことを言えば、東京だったらこれぐらいの排出係数とします。実質裾切りになります。広島だったらそれよりはるかに高くても大丈夫だということになったとしたら、何のためにやっているのかがよくわからないことになると思います。その検証のためにデータを出してほしいです。それからさらに言うと、裾切り方式の問題であるかもしれない。特定の地域なら極端に高くても新規参入者は参入できるが、別の地域では低くないとだめだというと、環境政策としての法律としてとても正当化できると思えません。裾切り方式をやっているから全国一律にすると応札者がいなくなってしまったらどうするかという問題が起こるのかもしれません。裾切り方式をどうするかまで波及する大きな問題だと思いますので、データの提出をお願いします。

山地座長: 今のご発言は、特に最後の5年目見直しのところの裾切り方式の変更について、あるいは裾切り方式を地域ごとにやることに対する変更のご意見として伺います。私としてはまずやらなければいけないのは最初のところです。裾切り方式を見直すというと、またちょっと時間のかかる話になるので、現行の裾切り方式の中でのRPS法の勧告を受けていないという条件をどうするか。具体的にハードルが高くないことでも決めていかなければいけないことはいっぱいありますから、皆さんのご意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

釜谷委員: 裾切り方式で1点意見を申し上げさせていただきたいと思います。先ほどより、議論になっております固定価格買取制度は、先ほども話がありましたように、例えば太陽光をやっている皆さん、風力をやっている皆さんからの申し込みによって、我々は買うというシステムでございます。その申し込みが多い少ないというところに、それぞれ地域特性などのいろいろな状況が出てくるという制度だということを認識していただきたいと思います。
一方、この再生可能エネルギー、全量買取で出てくる環境価値です。環境価値の配分はそれぞれの事業者に均等に配分されることになると思っておりますので、裾切り方式で評価要素としたときに、均等に配分されるのであれば、そこではあまり差が出てこないのではないかと考えられます。そこのところを十分考えた上で要素とされるかどうかを検討する必要があると思っております。それに限らず裾切り方式の評価要素の検討というのは企業の努力を反映するというところを考え方としてうまく入れていただく必要があると思います。それから公平で現実的な評価ができるというところが非常に大事であろうと思いますので、そのような観点も含み置きの上、ご議論をいただければと思っております。

山地座長: 固定価格買取制度に伴う排出係数の扱いは、事務局から説明があったように温対法の排出係数算定で行います。関係されている方もいらっしゃると思いますが、ここでは行わないという理解ですね。想定されるところでは、買取費用の負担が電力の消費者に対して一律kWhで行われるので、全国一律に負担されるということは価値もそこに帰属するだろうという理解がベースにあるということでいいですか。

事務局: 環境価値の話につきましては、今の温対法でもいわゆる特定太陽光でも同じように、発電量に比例する形で事業者に配分されていると理解していますので、これがどうなるかというのは多分今後の話だと思いますが、事務局としてはそういう方向に進むのではないかと思っているところです。今座長が仰ったように、そういった理解で進んでいただければと思います。

遠藤委員: 今、固定価格買取制度の電源の環境価値の話が出ましたが、公平配分されるときの計算方法が決まっておりません。その計算方法は年度内に別の会議で議論されるということになるので、そのタイミングとここで決めていくことの整合性を心配しています。先ほどの釜谷委員のお話ですと、あまり影響がないのではないかという話でしたが、電力会社から見ると、まだ固定価格買取制度の電源の比率そのものが少ないので、それほど電力会社の係数に与える影響は少ないと思います。ただ、新電力からみたときに、固定価格買取制度の電源のウェイトが高いところが、元々排出量0で買っていたCO2の価値のところを固定価格買取制度になったことによって公平配分になるので、これがどういうふうな計算方法になるかが係数に対して与える影響が非常に大きいと思います。そういうことで、今回はある想定の上で検討をするのかもしれないですが、その結果として後々、その係数の計算方法が決まったときに大きな齟齬が出るようなことがあった場合には、当然すぐに見直しをしていただくということもぜひ検討していただきたいと思っていますのでよろしくお願い致します。

山地座長: 先ほど排出係数が悪くなったけれども、昨年度はどうかという質問が出て、年内ぐらいになるだろうということでしたが、いくつか出ているわけですから、シミュレーションをする場合にデータがある程度はないと議論が進まないのと思うので、次回までに間に合うかはご検討をいただきたい。ある程度排出係数に関する数値を見ないと議論が進まないと思うので、事務局でご用意いただけませんか。

事務局: 次回は、10月の頭ということでお願いしておりますので、そこまで出てきた分プラス、先ほど松村先生からご指摘がありました国の調達実績のデータについても、生に近い形でお出しできるものは出したいと考えております。

山地座長: 排出係数は昨年度の実績ですから、固定価格買取制度が入る前、いわゆる余剰買取の部分の扱いだけで済みますので何かデータを出していただければと思います。他にご意見はいかがでしょうか。よろしいですか。
そうすると一つずつ片づけていかないといけないですね。事務局はどう思っていますか。今日は意見をいただくだけの方がいいのか、いくつか結論を出した方がいいですか。それとも結論は最後にまとめて出したほうがいいですか。

環境省(峯村課長補佐): なかなか結論を出していただきづらい余条件があるようでございますが、決められるところは決めていただきたいという要望です。

山地座長: 資料の4に出てくる順番でいきましょうか。p.2からのRPS法の履行義務ですが、現状ではRPS法の下での勧告を受けていないことが裾切りの条件に入っていますが、これは法律そのものがなくなるわけですから、この項目は外していいですか。それとも昨年度受けたかどうかというのはもうわかっていますか。

事務局: p.2の脚注の4番に書いてあるとおり、23年度の実績では、現在電力事業を行っている事業者は全てクリアしています。

山地座長: あっても意味がないということですね。そういうことでしたらこの項目は削除ということでよろしいですか。異論はありますか。

小川委員: RPS法は削除で特に異論はないですが、むしろ固定価格買取制度の法律で特別な要素があるようだったら、チェックされて考慮が必要かどうかという検討はするということにしていただいた方がいいのではないかと思います。

山地座長: 了解です。

松村委員: 結論はいいのですが、事実上意味がない、皆満たしているからという理由は理解に苦しみます。ルールが上手く機能して、皆が満たしている状況だから不要になったという理由でルールをなくすという理屈が一般的に通用するでしょうか。

山地座長: 削除というよりも、今回は残しておいて来年度以降は削除でよろしいですか。

松村委員: 削除に意義を唱えているわけではなく、前段の過去も十分満たしていたというのは事実を確認するだけであって、それを廃止の理由とする必要はない。単にそれだけです。

山地座長: 異議はないですか。むしろ排出係数については、今は決まりません。配点をどうするかというのはデータを見ないと何とも言えないですね。
次の(3)の①未利用エネルギーの活用状況はどうしますか。皆さんのご意見はいかがですか。ここの1.35%以上と言っているのはRPSのシェアと絡んでいますね。

事務局: 1.35という数字自体は5年前にご議論をいただきました。1.35はそれなりに意味があります。その半分の0.67にどういう意味があるかという議論もあったと思いますが、その後数字がどう動いてきたかというところは検証していないので、新エネルギーの活用を含めて、この数字が適切かどうか、要は基準値がこれでいいのかというところも含めてご議論をいただきたいと思います。

山地座長: 実態のデータを次回出していただけますか。

事務局: 事業者とご相談してみます。

山地座長: (3)②新エネルギーの導入状況はRPSと絡みがあるところです。事務局のご説明の中でもCO2排出係数の中に取り込むということもできるのではないかという話でしたが、いかがでしょうか。

小川委員: RPSの義務量を超えているという話ですよね。1.0倍以上とか、0.8~1.0倍未満という話ですよね。そうすると義務量ですから、全国平均的な数字になっていると考えてよろしいですか。

山地座長: 現状のものは一律です。

小川委員: 全国平均的な数字という意味合いなら買取制度も入っていて、再生可能エネルギーによる電力は全体の電力に対して何%の数字を占めているという実績の数値が出てくると思いますが、それを基準にして考えるという方法も場合によってあるのではないかという気がします。

山地座長: ただこれは、先ほど話題に出た環境価値の配分と絡みますから、環境価値も均等で配分したらあまり差がつかないということになるので実際的には効果がないです。もしそうなればですが、そこの議論の決着がついていないところがまだあります。

事務局: 固定価格買取制度の環境価値の配分の話と、それ以外のところで先ほどお話になられました新エネルギー、再生可能エネルギーを事業者が別途使っている、調達しているということです。配分される環境価値とは別の部分の再生可能エネルギーの利用状況を評価するという評価の方法はあると思っております。

山地座長: 自らやっている新エネルギーをカウントするという話に繋がります。そうすると地域性で有利、不利が出てきてなかなか難しいという気はしています。

松村委員: 今まさに座長が仰った通り、電気事業者が自ら手がける再生可能エネルギーは固定価格買取制度の対象になっていない。もしこれを評価するとすれば事務局案ではどこで評価することになっていますか。

事務局: 自らの部分は再生可能エネルギーや新エネルギーでと考えておりました。新エネルギー自体を買ってくるか、自らやるかのどちらかでしか、方法としてはないと思います。

山地座長: 何れにしても自らにすると今までのものと変更になりますから、それをやるか、この項目を廃止するかではないかと思いますが、いかがですか。ここは意見をとりまとめたいと思います。

松村委員: そもそも電気事業者が自ら手がける再生可能電源開発を点数に入れた方がよいかどうかをまず議論すべきです。もしそれを入れた方がいいなら、どういった項目を立てたらいいかという議論が出てきます。特定の項目を残すべきか否かと言う後者の問題より先に、前者を決着させるべきです。

山地座長: 私は、廃止したほうがいいのではと思っています。自らの分は排出係数の中にも反映されますので、排出係数の方で対応します。それで固定価格買取制度の部分がどうなるかは、排出係数をどう計算するかということで外部に預けたことになりますが、自らの分は当然ですが、自らの排出係数に反映されているので、そちらで考慮すればいいと思っています。それで委員の皆さんのご意見を聞いているということです。

酒井委員: 原発の関係ですが、ひっくり返して言うと新エネルギー、未利用エネルギーというのはどうなのでしょうか。未利用エネルギーは原発ではないですよね。だからこういうものを評価項目に入れるというのは、国会でも議論があったそうですが、その辺を考慮するなら、評価項目に入れておくという使い方の可能性はあるかもしれないと思いました。

山地座長: 少し議論を整理したいと思います。その話ですと、その他の評価要素とか、あるいは別の項目で議論していただきたい。まず今は、新エネルギーという得点枠についてどうするかということで意思決定をしたいと思います。

松村委員:  意見というよりは事実の確認です。例えば自社で太陽光を手がければ、当然排出係数は下がっていたわけです。そしてRPSでも評価されていたわけです。今までのルールでも、排出係数に全て集約するのではなく二重にカウントしていました。つまり原子力で二酸化炭素を下げるのと太陽光で下げるのは排出係数だけを考えれば仮に等価としても、太陽光でやれば別のところでプラスになっていたはずです。すでに排出係数で反映されているからそれ以外考慮不要というのであればRPSとこのルールをリンクさせる必要はないわけです。と言うことは、今までも排出係数に全て集約してしまうという考え方はなかったと認識しています。この理解が正しいかの確認です。

山地座長: データは事務局でお願いしますが、RPSの目標をよりたくさん達成していたということです。自らやったか、買ってきたかは別にして、あるいは相当量でもよかったですが、RPS目標を上回って達成したことにプラスの点数を上げるという意味合いだったと思います。

小川委員: スライドのp.9にあるように、排出係数で判断する部分と②、③の追加項目で判断する部分を過去5年間はやってきているわけです。追加項目で取り扱われたことによってどういう状況になっていたのかというのは、過去のデータにどの程度出ているかですが、そのことによってある程度未利用エネルギーや新エネルギーを排出係数とは別に取り扱うことが一定の意味を持っていたということが出てくるのであれば、そこを少し具体的に検討して考慮するかどうかです。つまり考慮するかどうかというのは、新エネルギーの部分を自社で行っていたり、自分の意思で買い取る分を特別に扱うかということになるかと思いますが、そういう形での考え方をした方がいいと思います。やはりデータに基づいて吟味していった方がいいのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。

山地座長: 未利用エネルギーはそれでいくというからデータは出てきますが、新エネルギーはどうしますか。

事務局: 先ほど松村先生からもご指摘をいただきましたけれども、実態としては、RPS法の履行義務を果たしてない事業者は、結果としていなかったということですので、応札者は、この点数表のフルマークの15点を取られていたのが実態です。要は、きちんと履行義務を果たされていたことになります。データを見る、見ないという話よりは、そこは全部クリアということになります。

松村委員: データの問題ではなく考え方の問題です。つまり電力会社が自ら太陽光を手がけて排出係数を下げるのを他のやり方で排出係数を下げるより優遇するのかしないのかの考え方の問題だけだと思います。排出係数に全て集約されるのなら、その考えが貫徹しているなら、従来でもそもそもRPSを考慮する必要などなかったはずです。今までの考え方を変えて、排出係数でカウントされるのなら十分だと考えるか、電力事業者が自ら再生可能エネルギーを入れるというのは、その分をさらに上乗せすべきだと考えるか、といった単純な話ではないかと思います。私が事実の確認といったのは、過去のルールでは、排出係数に集約されるから他は一切考慮しないなどという発想ではなかった、という事実です。

山地座長: 新エネルギー利用状況を得点化したほうがいいかどうかという意味では、どういうご意見ですか。

松村委員:  RPS法を廃止するときに、これで廃止したら抜け落ちてしまう部分として電力会社が自ら手がける再生可能エネルギーの部分があり、このインセンティブが小さくなるのではないか、固定価格買取制度からも抜け落ちる、そこが問題なのではないかということが議論されたはずです。そこが重要だと考えるならば、ここで排出係数が全部カウントされるので不要だというメッセージを出す必要はなく、やり方としては、その他の評価認証などで評価しても良いと思いますが、一方で排出係数に一本化するというのもすっきりした考えだと思うのでどちらも尤もな考え方だと思っています。再生可能電源の導入が、排出係数を下げるという目的だけでは到底ペイしないことは明らかで、だから様々な施策で後押ししてきたわけです。そのようなメッセージ、電気事業者の再生可能電源導入などどうでもよい、少なくともこのルールで考慮する必要はない、という明確なメーセージをこの委員会で出すつもりなら、排出係数で一本化するのでもいいと思います。少なくとも長くこの問題に携わってきた2人のこの分野のプロが明確に排出係数以外考慮不要というなら、新参者の私が特に異議を唱えるつもりもありません。でも本当にそんなメッセージ出してもいいのでしょうか。

山地座長: 新エネルギー利用状況を残す案では、どう配点するかを考えないといけませんが、それは別途考えるとして、この項目を今後使わないという案について反対があればご意見を伺いますが、いかがでしょうか。

小川委員: 排出係数で取り扱うという話がすっきりしていいと思います。

酒井委員: 新エネルギーと未利用エネルギーは、原子力の反対項目として評価するというポジションは何らかの形で維持する必要があると思います。ここをどうするかではなくて、どこかに評価項目として残るならここは消えても構いませんが、その評価項目は残った方がいいという意見です。

山地座長: それは原子力にネガティブな得点を与えるような制度が必要という理解をしていいですか。

酒井委員: 1つの考え方としてそういうやり方もあるということで、検討項目として残してほしいということです。原子力をどのように評価すべきか、までこの委員会でやるのかというと抵抗感はありますが。原子力そのものについて基準化するのであれば、事故率、事故実績、工事の入札などでも事故を起こしたらネガティブポイントでカウントしているのだから、例えば福島の第二原発はすごいマイナスポイントになりますし、東海村の臨界事故もマイナスポイントになるが、点数にもちろん違いがあります。それ以外にもいろいろな事故が起きているので、それを点数化して、何らかの形で評価しなければおかしいのではないかと思います。だからそういう評価方法が片方で取られるのであれば、今のところはあまり拘らなくなるかもしれないです。全体としては、環境基本法の適用除外が外れたということを何らか評価に反映するような仕組みにすべきだと思います。

山地座長: その件は後の方で出てくる放射性物質による環境汚染防止という項目で扱おうと思っています。この項目を削除することに特にご反対はないと考えてよろしいですか。
そうするとその他の評価要素は、新たに入れるという提案ですか。得点化については先ほど質問があって、あるなしで得点化はできるという話でしたが、いかがですか。

遠藤委員: その他の評価要素は加点方式のプラスαの評価の仕方だと思います。そういう意味ですと、独自に省エネに資するような取り組みを評価するということは当然あった方がいいと思っています。特に最近、電力の需給逼迫でデマンドレスポンスや電気の「見える化」などが非常に注目されているところもありますので、そういったサービスを提供していることに対する評価ポイントは採用されるべきだと思っています。

山地座長: 他にどうでしょうか。デマンドサイドの取組やその他、環境への取組を客観的な得点化ができる技術があればやった方がいいと思っていますが、これも提案していただいて議論しないと難しいかもしれません。具体的に得点化するとすれば、どういう項目をどうやって得点化するかをご提案いただいて、次回以降に議論するということでいかがですか。よろしいでしょうか。
グリーン電力証書もリカバリーの得点で今まで扱っていましたが、今までどおりの扱いでよろしいですか。つまりメインの項目の、今のその他要素も入れたところで何とか100点満点にするとして、それで基準点を決めて裾切りしますが、リカバーする項目としてこのグリーン電力証書を扱うというのが今までの方式ですが、このやり方に関してはいかかでしょうか。

小川委員: グリーン電力証書でCO2排出が少なくなっているというのは、CO2の排出係数には反映されていないのではないですか。

山地座長: 今のところはまだやっていないです。CO2削減価値にするところまではいきましたが。

小川委員: そういう意味で排出係数でないところでグリーン電力証書という努力をしたことに対して一定の評価を加えてやるというのはダブルカウントにはなっていないと思うので、残すということでいいと思います。ただ、その次のグリーンエネルギー証書まで拡大するというところに関しては、電力の調達ということで考えるので概念をそこまで広げるのは必ずしも適切でないのではないかと思います。

山地座長: 実際にはグリーン熱もあまりないです。少なくとも当面の運用に影響を与えるレベルでないことだけは確かです。そこも次回に提案していただけますか。基本的には現行方式の延長上にあるけれども、電力だけでなく、熱も含めた証書を入れるとどういうことになるか。今日はここぐらいまである程度見通しがつけばといいと思いましたが、まだ若干時間がありますので、残りの項目ですが、ただエネルギー基本計画と電力システム改革については、まだ対象が動いているところですので、いろいろな意見をいただくだけで、ある意味横断でいいと思います。難しいというか、ある程度一定の結論を得たいと思っているのは、先ほど酒井先生がお取り上げになった放射性物質による環境汚染の防止です。これも今日、直ちに結論とは思っておりませんが、ある程度、方向性が見出せればと思っております。その次の5年目見直しのところはより大きな長期的な問題ですが、そこのところも含めていかがでしょうか。今からは比較的自由にご意見をいただきたいと思います。

釜谷委員: 放射性物質による環境汚染ですが、冒頭に、私どもで皆様に大変ご迷惑をかけましたことは深くお詫びを申し上げたいと思います。その上で意見を申し上げさせていただきたいと思います。放射性物質による環境汚染というのは、いわゆる通常状態におけるときに環境負荷を与えることではありません。特別な状況のときの話でございますので、そういうものについての配慮の度合いを点数評価して云々という性格ではないのではないか考えております。

山地座長: 他にいかがでしょうか。

酒井委員: 原子力発電をしているかどうかで評価するのは、この委員会では無理があるという感じです。例えば地震や津波、火山の噴火、航空機の墜落、あるいはテロによる攻撃など、通常でないものとはそういうものだろうと思いますが、東海村の臨界に達した事故は死者も出ています。これは東京電力の下請け業者が事故を起こしています。これは通常業務だと思います。通常業務の中でも事故がいろいろ起きていて、災害の場合も災害が引き金になって、電力が確保できなかったというので人災的な要素もたくさんあるわけですから、不可抗力という言い方だけでは外せないのではないかと思います。

山地座長: 東海村の臨界事故の直接の燃料の対象は、常陽という高速炉の燃料で、あの会社が東京電力の関連会社かどうかはよく知りませんが、少なくともあの燃料自体は、原子力発電と直接関係があるものではなかったということはご理解いただきたいと思います。

酒井委員: ウラニウムの話でしたよね。

山地座長: かなりの高濃縮ウランの話です。混ぜるところの過程で起こったことです。今日は、放射性物質による環境汚染の防止を環境配慮契約法の範囲の中でどう扱うかということに関して一とおり意見をお伺いしたいと思っていますので、恐縮ですが、遠藤委員からお願いします。もちろんこれ限りではなくて、今から議論を続けていきます。

遠藤委員: 私どもは実際に原発を持っておりません。我々自身、事業者として具体的な原子力の安全性の評価をできるような立場にございませんので、今日は意見を控えさせていただきたいと思います。

山地座長: 小川委員。

小川委員: 国全体でも原子力についてはいろいろ議論が積み重なられているところですし、その辺の方向性が大きくはっきりして、どういう考え方で原子力を取り扱うという方向性が定まったところでは、ある程度そういったことも踏まえた要素として入れていくのが必要になると思いますが、現時点ではどういうふうに客観的に評価して、どういう基準で入れるというところが簡単には定まらないと思いますので、先ほども申し上げましたように、大気汚染防止での具体的な検討が進められたり、あるいは国の原子力の取り扱いがもっと明確な形で出され、方向性が定まってきたところで考えていくというステップを踏んでいった方がいいのではないかと思っております。

山地座長: 釜谷委員、先ほどご意見をいただいたのでよろしいですか。

釜谷委員: 結構でございます。

山地座長: 酒井先生もご意見をいただいていますが、また改めてよろしいですか。

酒井委員: 現段階では結構です。

山地座長: 松村先生。

松村委員: 本来は排出係数の問題が第一だと思います。酒井先生が仰ったことですが、仮に原発を除いた排出係数を計算し、それで適用することになった場合は、追加措置は必要ないと考えます。排出係数の議論がはっきりしないと議論しにくい問題だと思います。

環境省(大熊課長): 難しい課題を投げかけてしまった事務局サイドから趣旨の明確化という点で、問題意識をクリアするという意味でご発言をさせていただきたいと思います。先ほど申し上げたとおりですが、国会などでの議論もあり、CO2排出量という観点だけで電気の契約に関する基準があるということについて良いのかという問題提起がなされています。我々はそれに答えなければいけない立場にあるということでございます。これについて難しい問題を投げかけて恐縮ですが、ご議論をたまわりたいという趣旨でございます。今の松村先生のご発言について、もしかしたらピントがずれるかもしれませんが、関連することで申し上げますと、排出係数については地球温暖化対策という観点で温暖化対策をやっている部局で検討していくので、そこは今後の検討の状況をウオッチしてご報告を申し上げたいと思いますが、1つのあり得る考え方としては、地球温暖化対策という観点のみから線が引けるのかもしれません。しかし、この環境配慮契約法につきましては、地球温暖化対策だけを見ていて良いのかという問いが投げ掛けられて、これに対する答えが求められるという可能性がありますので、排出係数の議論だけで完結するのかということについては、よく検討する必要があると考えております。
事故などというのは通常でないというご発言がありましたが、仰るように、そういうものを計算の数式に入れて点数化というのは難しいということはあると思いますが、一方でそういう課題が投げ掛けられているという中で、原子力を正面から捉えてどうするかという可能性と併せて、違う切り口でCO2排出係数と異なる再生可能エネルギーとしてどう扱うかという議論のアプローチもあり得るかもしれないとも思います。最終的な仕上がりがどうなるかはこれから議論をいただくところでございますので、先走ってはいけませんが、例えば、仮に結果として、新エネルギーや再生可能エネルギーという言葉がなくなり、CO2排出係数一本の評価になって、さらに放射性物質には触れられないという仕上がりになったときに、どう説明していけるかというところは事務局サイドとして非常に悩ましいと思うところがございます。山地先生、余計なことを申し上げて申し訳ございません。

山地座長: ありがとうございます。大分整理がつきました。従って環境配慮契約法の中で温室効果ガス排出抑制以外の環境対策など配慮することがいっぱいあるわけですが、どう盛り込むべきかという中の一つの重要項目に、放射性物質による環境汚染があるということはある程度理解ができました。そう言われるとこの電力専門委員会ではなかなか対応しにくくなります。原子力の問題ということで捉えてしまえば、ここが一番難しいところだと思います。確かに大熊課長が言われたように、これに直接答えるというよりも排出係数プラスαの評価項目の中で、原子力を代替していくものに対する配点を考慮するということはあり得るということですね。その議論は、今日もいくつか意見が出てきたと思います。その方向で対応していく。少なくとも得点化、裾切り方式の中にこれを入れるのは技術的に不可能といっていいと思います。どう対応するかといった考え方を今度取りまとめていければと思っております。
もう一つ議題が残っているので、あとの時間を考えると、今日はある程度決められるところは決まりましたので、積み残しがあるのは今後の委員会で対応していきたいと思います。今日のメインの議題はここで終了して、次の議題に移らせていただきたいと思います。

遠藤委員: 一つだけ、資料4についてよろしいですか。

山地座長: 他の委員の方も4で積み残したことがあれば簡単にご発言をいただければと思います。どうぞお願いします。

遠藤委員: 資料4の最後です。民間事業者の提案募集のところです。特に(3)の最後のところです。いわゆる地方公共団体の所有するごみ発電、公営水力に新電力はなかなかアクセスができません。競争上もCO2を下げるという手段があまりないということで何とかできないでしょうかという提案です。これについては資料に書かれているとおり総務省から通達が出て動き出していますが、これが実際に効果があるかどうかというのは時間もかかるでしょうし、そういう方法になっていくかというのはまだわかりませんので、そういう対応を取られているからいいというのではなくて、引き続き環境省からもバックアップしていただきたいと思います。それについて参考資料2のところでも5年目専門委員会で検討を行うということになっていますので、そちらでも十分な議論をしていただければと思います。先ほど自治体の入札の方法等についての話がありました。点数をどうするかという細かいところはないかもしれませんが、環境省でアンケートを取っているのでデータもあります。環境配慮入札を実施している自治体は1%ぐらいということで非常に少ないです。その理由としては選べる事業者がないということです。それは、新電力がなかなか参入できないからです。参入できない理由は、CO2を減らす手段になるものがあまり入手できないとか、ベースになる電源がないということで、ここに出ているごみ発電や公営水力が入札に出てくれば、そういった問題も解消に向かうと思いますので、おそらくそう言った視点からも非常に重要なことなのではないかと思っていますので、ここは改めてお願いしますけれども、ぜひ今後も引き続き検討をお願いしたいと思います。

山地座長: この項目まで今日は行き着かなかったのですが、今後の検討の中にもちろん入れます。これは、電力システム改革の中の供給の自由化に入っている項目だと思います。重要な論点と考えています。ほかにご意見はよろしいですか。それでは、3番目の検討スケジュールについてご説明をお願いします。

(3)検討スケジュール

事務局: 資料5について説明(省略)。

(4)その他

山地座長: よろしくお願いします。最後に、その他が残っていますが、事務局、委員の皆様含めてご発言ございますか。特にないということなので、以上で1回目の電力専門委員会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。