環境配慮契約法基本方針検討会 電力ワーキンググループ(第2回) 議事要旨

出席委員:
小川委員、酒井委員、鶴田委員、中村委員、山地委員(座長)、渡邊委員(五十音順)

日時

平成19年9月12日(金) 15時30分~17時30分

場所

環境省第1会議室


 笠井経済課長の資料確認の後、山地座長の司会により、概ね以下のとおり議事が進行した。

1.電力の購入に係る裾切りの方法(案)について

□ 事務局より裾切り方法(案)の説明(資料3、参考4、参考5)

  • 補足だが、算定公表制度の係数と入札に使う係数は異なる議論で、契約法のことを議論したい。(環境省)

  • 環境配慮契約法、温対法などそれぞれズレがある。(山地座長)

  • 裾切りは入札者が自由に決定するが、排出係数は温対法の排出係数と理解しているが、混乱を招く可能性があるので文章の修正が必要。(小川委員)

  • 「新エネルギーの利用」という言葉が文章中に出てくるが、よく読めばこれらはRPS法のことである。新エネルギー活動全般を指すと誤解されないような表現にしたほうがよい。(小川委員)

  • グリーン電力証書の記載について誤解がある。「削減量を保証したものではない」とあるが、CO2削減量を計算する際に、どのような計算方法によって算出するかを明らかにしてほしいとの意味である。(小川委員)

  • グリーン電力は環境価値を分離して商品として渡している。価値が移転することを明示する必要がある。自家消費している事業者がダブルカウントする可能性がある。(小川委員)

  • グリーン電力証書の始まりは確かに需要家向けだが、限定する必要はない。(小川委員)

  • 資料3の「1.裾切り方式において考慮すべき要素」と「2.裾切り方式における考慮を検討すべき要素」の関係が明示されていない。また、「2.」で温対法のことをいきなり記述するのはどうか。もう少し整理が必要。(山地座長)

  • グリーン電力証書の扱いは分けて議論したほうがよい。温対法の排出係数との関連においては問題もある。このWGでは環境配慮契約法におけるグリーン電力証書の扱いを検討する必要がある。(山地座長)

  • グリーン電力証書は供給側に当てはめるのは不適当。RPS法は事業者に対して強制力があるが、グリーン電力証書はそれほどの位置づけではないのではないか。(鶴田委員)

    →グリーン電力証書は民間が認証しており確かに強制力はないが、裾切りに使う場合はプラスアルファにできるのではないか。(山地座長)

    →RPS法の履行状況だけでは、参入条件から外れる事業者がありえる。救済措置になるのではないか。(山地座長)

    →公的ではないのは確かだが、RPS法と同格に扱うべきという主張ではない。将来は新エネルギーも競争力が必要であり、インセンティブを与えるという考え方もある。(小川委員)

    →あくまで限定的な位置付けとして欲しい。(鶴田委員)

  • 「地球温暖化対策推進法に基づく」とあるが(p.1)、「基づく」という言葉はいろいろな解釈ができるので適切な表現ではない。例えば、温対法で排出係数が公表されていない事業者はHPで開示している数値を使用するのか。(鶴田委員)

    →前回の資料で示している事例では、開示している数値を使って算定するかデフォルト値を使うかとなっている。(環境省)

    →国によって排出係数を公開されていない事業者が、入札に参加するためにデフォルト値である0.555を使用するのは環境配慮契約法の趣旨から外れている。(環境省)

    →最終的に詰めていくポイントであり、具体的に記述して欲しい。(山地座長)

  • HPで排出係数を開示している事業者は応札できるのか。(鶴田委員)

    →現状では、排出係数の数値と計算方法を提出してもらうことになる。(環境省)

  • 裾切りに使う排出係数は温対法に準ずるとありシンプルでよいが、デフォルト値以上の事業者をどう扱うかが問題。PPSは供給地域ごとの排出係数を算出することは可能。温対法の係数を使用することを基本としつつも、エビデンスを持たせた上で、独自の算定方法による排出係数も使用できるように含みを残しておいてほしい。(中村委員)

    →クレジットが係数に反映されていないことなど、まだ温対法の制度も未成熟であり、現段階では独自の排出係数を使用することは適切ではない。(鶴田委員)

    →算定公表制度の数値は、経済産業省と環境省で確認している全国一律の数字。この数字と別に個別の数字を作成しても受け入れられにくいのではないか。東京都のケースは都が確認しているのだろうが、国の場合は状況が異なることもある。全国一律の数字を使ったほうがよいのではないか。(環境省)

    →温対法の排出係数を使うべき。法律に基づく排出係数以外を使うのは混乱のもとである。(渡邊委員)

  • 裾切りの3つの観点については賛成する。配点表の例示をなるべく多く記載して欲しい。(渡邊委員)

  • 地域ごとに裾切り値を設定することについては、概ね了承されていると認識している。今回の資料には特に明記されていないが、最終的には丁寧に記述して欲しい。(渡邊委員)
  • クレジットは温対法の係数に反映させて欲しい。このWGの使命ではないがメッセージを発信してほしい。ただし、個別契約に使用するものではなく、全体の排出係数に組み込むべき。(渡邊委員)

  • グリーン電力証書は、温対法の排出係数には反映させるべきではない。やはり需要家のための仕組みだと思うが、参考5にあるようにセカンドチャンスとしてならありえる。(渡邊委員)

  • 参考5の「2.入札実施主体側でグリーン電力証書を調達する方式」は裾切りとは関係なく、この場で議論する話ではない。(渡邊委員)

  • 資料3の「1.」に供給義務やグリーン電力証書の位置づけについても記述すべき。(鶴田委員)

  • 政府が実施する入札なので不調にできないこともあり、現在の競争状況を考えれば最終保障義務を加味せざるをえないと受け止めている。(経済産業省)

    →最終保障義務は、その言葉どおり異常事態を想定している。このWGでは定常時における一般的な制度の枠組みを設計すべき。また、最終保障義務は一般電気事業者に結びついた用語であり、このような用語を使用することが、「複数の電気事業者の参入」という記述におけるいずれかの電気事業者に対して誤ったメッセージを与えかねないことに留意する必要がある。(公正取引委員会)

  • 例えば、事業者がクレジットを償却して排出係数に反映させ、その数字を公表したりすると、温対法上で問題はないのかどうか確認しておく必要があるのではないか。(経済産業省)

    →現在の温対法では「事業活動に伴い」となっており、クレジットは読めない(環境省)

  • グリーン電力証書については点数づけが難問で、何をものさしにすればよいのか。セカンドチャンスを与えるという方法の具体的なイメージがわかない。(経済産業省)

  • 入札は公平で透明性が確保されるべき。(酒井委員)

  • 環境政策における要請と電力事業者の競争をどうバランスさせていくかが重要。(酒井委員)

  • 競争の視点からグリーン電力証書というオプションがあることを明記し、また、0.555を超える事業者も参入のチャンスが得られるように、排出係数に偏らないような配点の枠組みも考慮してほしい。(中村委員)

    →解説資料で配点まで踏み込むか、各省庁に任せるかは悩みどころ。次回WGにもう一度資料を提出する。また、入札で使用された排出係数がそのまま算定公表制度で使用されるかについては、必ずしもイコールではない。(環境省)

  • クレジットに関連して複数の排出係数がありえる記述になっている。温対法の議論が終わった時点で温対法に任せる記述にしておいたほうがよいか、温対法の改正について特記する必要があるか、意見を聞きたい。(環境省)

  • ここまでの議論を整理したい。(山地座長)

    [1]加点方式については概ね合意ができている。敗者復活の要素としてグリーン電力証書を使えばよい。

    [2]資料3(2)は、透明性、公平性に気をつけて記述し、ここで温対法改正のことにも触れればよいのではないか。

    [3]「最終保障義務」という表現は慎重に使用する。

    [4]全国展開しているPPSの地方別の排出係数については、私見では難しいと思うが、公平性には配慮してほしい。

    [5]意見はなかったが、時間差については資料に書かれている感じでよいのではないか。

  • 制度はシンプルであることが望ましい。実排出係数を入札時の排出係数とすることでよいのではないか。(鶴田委員)

  • 排出係数の算定については透明性と競争の観点を含めて欲しい。(中村委員)

  • グリーン電力証書は私的な団体による認証制度で、民間の認証を国の制度に利用するのは競争政策的には懐疑的だが、加点要素が多いほうがより多様な事業者の参入が促進される側面もあり、比較衡量の問題になると思う。(公正取引委員会)

2.電気の供給を受ける契約の解説資料の骨子(案)について

事務局より解説資料の骨子(案)について説明(資料2)

  • 内容的にはこれでよいのだろうが、9月27日の第3回WGにはある程度整理された資料が出てくると思う。第3回WGで長い文章について議論することはないか。(小川委員)

    基本的な部分は今日までで議論されていると認識している。(環境省)

  • 最終案はできれば早めにいただきたい。(山地座長)

  • 閣議決定部分と解説資料部分があるが、入札方式の骨格に関することを閣議決定する内容に組み入れるのか解説資料とするのかについては、他のWGとも合わせて全体の構成を考えながら検討していけばよいのではないか。(経済産業省)

3.その他について

  • 次回は9月27日(木)9時30分から経済産業省別館で行う予定。(環境省)

  • 追加意見は9月14日(金)までに。

以上