平成29年度環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録

日時

平成29年10月30日(金)14時00分~15時40分

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第一会議室

出席者

出席委員:秋鹿委員、田中委員、原委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:赤司委員、大聖委員、藤野委員

(五十音順、敬称略)

議事録

1.開会

事務局:本日はお忙しいところ、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成29年度第2回環境配慮契約法基本方針検討会を開催いたします。写真撮影等は配布資料の確認までとさせていただきます。それでは早速ですが、以後の議事進行を山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長:第1回は8月で2ヶ月経ちました。第1回にも御紹介したかもしれませんが、最近、スイスのチューリッヒ工科大学の研究者の論文を読みましたが、地球のエネルギーのインバランス、入射と放射の差のうち入射が若干増えているということで、信頼できるデータが大分出てきた模様です。そのまとめの論文では放射調整にして0.5から0.9W/m2、毎日地球の表面にどれくらい余分なエネルギーが蓄積されているかを計算すると、広島型原爆の40万発から72万発分に相当するということです。その9割は海洋に吸収されると言われますが、残りが大気及び陸地に吸収されており、大気を温める分が2014年、2015年、2016年と毎年度世界の平均気温の記録を更新して、今急激に上がっているということです。
 それから、もう一つ読んだ論文は面白くて、茅陽一先生の有名な式があるのですが、その式を使って歴史的なすう勢で計算すると、今の状況では気温の上昇を2℃以下に抑制できる確率が5%、1.5℃以下に抑制する確率はもう1%しかないという論文を読み、これは大変だと思いました。
 実は、先週10月26日、27日にGEA国際会議2017(地球環境行動会議)がありまして、総理、環境大臣、外務大臣、皇太子殿下、妃殿下がお見えになりました。グリーン契約法は議員立法で先生方に作っていただいたのですが、しかし環境省はゼロカーボンの電力を使っているわけではない。更には環境大臣もゼロカーボンの車に乗っているわけではない。今我々は相当気合を入れて、低炭素、脱炭素の方向に行かなければ、全く間に合わない状況になっているのではないかということを地球環境行動会議で申し上げたわけでございます。そういうわけでこのグリーン契約法も気合を入れ直さなければ使い物にならない。あと30年ほどで8割削減だと言われても、どうにもならないわけです。企業は、全世界で今94社が2050年までに再生可能エネルギー100%という誓約をして、日本はリコーと積水ハウスがそれに入って、そのうちイビデンもそういうコミットをするということになっている。というのは、アップルの下請けとして、アップルが100%再生可能エネルギーを達成するためには、納入されてくる部品も再生可能エネルギー100%で作らなければいけないということで、日本の企業も好むと好まざるにかかわらず、世界の大勢に従うほかない。こういう状況に今なりつつありますので、ぜひこのグリーン契約法も再度魂を入れ直して、ゼロカーボンに向けて努力しなければいけない。余計なことを申し上げましたけれども、座長として申し上げさせていただきました。
 それでは、本日の議事予定、配布資料の確認を事務局から簡潔にお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局:本日の会議は、16時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局:次に配布資料の確認をさせていただきます。

配付資料

資料1 平成29年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿

資料2 電気の供給を受ける契約に関する考え方について(電力専門委員会取りまとめ)

資料3 電気の供給を受ける契約に関する基本的事項(改定案)

資料4 電気の供給を受ける契約に関する基本的事項について(案)【環境配慮契約法基本方針解説資料】

資料5 建築物の維持管理に係る環境配慮契約について(案)

資料6 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況【速報】

資料7 平成29年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。基本方針関連資料の冊子には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜御参照ください。なお、基本方針関連資料は第1回検討会でも配布しておりますので、御不要の場合はお帰りの際に机上に置いてお帰り下さい。資料の不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

山本座長:それでは早速ですが、議事に入ります。議題は「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について」ですが、資料番号に沿って進めたいと思います。今年度は検討会の下に電力専門委員会を設置し、8月末から3回に渡り検討を行ってきたところであります。本日は、電力専門委員会から検討結果の取りまとめと、取りまとめに沿った基本方針及び解説資料の改定案を御報告いただき、その内容について審議することといたします。まず最初に、事務局から資料2の「電気の供給を受ける契約に関する考え方について」を御報告いただき、その考え方を踏まえた基本方針の改定案(資料3)及び基本方針解説資料改定案(資料4)を一括して説明をお願いします。その後、山地先生から補足の御意見を頂くことにしたいと思います。

2.議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長:それでは資料2から資料4をまとめて事務局より説明をお願いいたします。

事務局:資料2、資料3、資料4について説明(省略)。

山本座長:ありがとうございました。これを見ると、環境省だけゼロカーボンというわけにはいかないのですね。山地先生、何か御説明をお願いします。

山地委員:電力専門委員会の座長を務めましたので、少しだけポイントを補足説明させていただきます。8月から毎月1回、計3回委員会を行いまして、今御説明いただいた取りまとめを出したということです。いろいろポイントはあるのですが、重点的に議論を行ったところは、一般送配電事業者の供給区域ごとに裾切り基準を設定するという部分で、以前からできれば全国一律にという方向性を言っていたのですが、来年度に関しては、今の地域における事業者の参入状況を考えて現状を維持しようということになりました。ただし、翌平成31年度については、全国一律まではいかないかもしれないけれども、区域を統合したブロック化、グループ化を検討しようということでございます。
 もう一つの論点は、「安定供給」という表現をめぐってのところです。安定供給というのは日本のエネルギー政策において重要なことは事実なのですが、裾切り方式による入札方法の検討のところに安定供給の確保を書くべきであるかということに関しては、もう必要ないのではないかという議論が基本的にございまして、もちろん事業者が安定的な供給ができないと困るのですが、それはもともと基本的事項に書いてあり、それに絞り、もう一つの全般的な、「具体的な入札方法の検討に当たっては」という部分の安定供給への言及は削除した。ただし、公正な競争を確保しつつというのは残すという対応です。ただ、ここで議論になったのは、ユニバーサルサービスや最終供給保障についてどうかということ。全面的に自由化になると誰も供給してくれないという顧客が出てくるわけです。そういう時に供給してくれる、ラストリゾートという言い方をしていて、最終供給保障なのですが、最終的には一般送配電事業者が行うということになっているのですけれども、実は低圧では規制料金がまだ残っていまして、少なくとも2020年頃まで旧一般電気事業者(みなし電気小売事業者)の小売の部分がラストリゾートを担う、その部分については配慮する必要があるので、その部分は資料4の解説資料の中に書き込んでいます。
 非化石価値取引市場は今年度作られるという話なのですが、現時点では制度設計が間に合っていませんので、これは検討事項として残さざるを得なかったというのが実情です。
 グリーンエネルギーCO2削減相当量は排出係数に反映できるということになったので取り込み、それと同時に再生可能エネルギー導入状況のところにもカウントしましょうということになったけれども、そうすると、今まで実はJ‐クレジットも同じように排出係数に反映できたのであって、J‐クレジットの中の再生可能エネルギー電気の部分に関してはグリーンエネルギーCO2削減相当量と別の扱いをする必要はないのだから、再生可能エネルギー電気に関する部分に関しては、再生可能エネルギー導入状況の中に反映しましょうということでございます。
 メニュー別排出係数も大分議論になったのですが、まだ例が少ないということが一つなのですが、より議論したのは、一つの電気事業者がゼロエミッション電源というメニューを作ったとすると、その電気事業者の排出係数は残りの残差のところにバランス上しわ寄せが行く。そうすると、公的機関がゼロエミッション電源を選択したからといって日本全体で減るのかというと、直ちにはそうではない。ただし、そういうことを進めていけば日本全体の電気の低炭素化につながるだろうという議論はあったのですが、現状では残差のところもまだきちんと見えている状況ではないので、検討事項に残しましょうということになりました。これらの点を捕捉します。

山本座長:ありがとうございました。本日の一番大きな議題はこの議題でございますので、委員の先生方、忌憚のない御意見をお願いしたいと思います。秋鹿先生から。

秋鹿委員:秋鹿でございます。第1回にも若干聞いているのですが、勉強不足で少しピンとこないところもありまして、再生可能エネルギーの導入に対する取扱いについて、山地委員からもダブルカウントしてしまうのではないかという恐れもあるようなのですが、例えば化石資源を徐々に減らしてきたということをそのまま排出係数に反映して自社で行うのと、J‐クレジットで認めてもらったものの違いと言いますか、J‐クレジットで必ず認めてもらわないとこの資料には載らないということなのでしょうか。

山地委員:ダブルカウントを避けるために、J‐クレジットにしてもグリーンエネルギー証書にしても、その運用上ダブルカウントを避けるということをきちんと行っているわけです。従って、その2つで認められたものについては、排出係数の改善のところにも使えますし、再生可能エネルギー導入状況のところにも使えるということで、その制度の運用上きちんと行われているということを前提として、再生可能エネルギーの導入状況の中にカウントする、そういう考えです。

秋鹿委員:わかりました。もう一つ、私の関係しているマイナーなところで恐縮なのですが、再生可能エネルギーには風力、ソーラー、バイオマスなどいろいろありますが、海外から水素を持ってきた時はどういうふうに取り扱うのか。つまり水素だからのっけからゼロと数えるのか、それとも水素を作った海外の先でのCO2の排出をどういうふうに取り扱うのかという問題が今後出てくるかと思うのですが。

環境省:今の取扱いとしては、日本国内での取扱いというところの整理をされていると思いますので、海外からのものについては除いている。あくまでも国内での取扱いという形になると思います。

山地委員:水素の使い方として、水素燃焼発電が今後重要になってくるという認識はあるのですが、現状実質的にはない。ある程度出てきてからということになると思いますが、この中で入れるとすればカーボンフリーであるかどうか。海外からの輸入分に関しても水素を製造したところからさかのぼって検討するということになっていくのではないかと思います。今までCDMクレジットのように、海外でのCO2削減の部分を国内の排出係数に反映しているということはあります。それはCDMクレジットですから、きちんとCO2削減が保証されているわけです。私の個人的な意見ですが、輸入水素についてもそういうことで対応していく必要があろうと思っております。

秋鹿委員:十分理解できます。ちなみに今研究開発段階なのですが、いろいろな可能性についてインターナショナルに検討が始まっておりまして、商社や海外の企業、海外の国の代表の方等も含めたことをやっているのですが、これはやはりCO2フリーの水素、あるいはCO2フリーのアンモニア、あるいはCO2をどれだけ背負っているアンモニアか、どれくらい背負っている水素かということでトレードしようと。そういうことを前提に考えていて、山地先生の説明と合っている方向だと思います。これは来年どうこうということではございませんので。どうもありがとうございました。

山本座長:時間が限られておりますので、資料2、資料3、資料4について御意見を頂きたいと思いますが、田中先生いかがでございますか。

田中委員:専門分野が違うのでなかなか理解ができないのですが、例えば資料2の29ページで、そもそも言葉がよくわからない。グリーンエネルギーというのが一番上にあります。それから、再生可能エネルギーの導入状況に重み付けを高めるということで、再生可能エネルギーという言葉と未利用エネルギーという言葉があります。この辺の定義がどういう関係か。例えば廃棄物で言えば、バイオの部分を再生可能エネルギーと言って、プラスチックの部分を未利用エネルギーという形で理解するのか。ここでCO2の排出係数で、トータルで100点の重みを、CO2の排出係数が70で未利用エネルギーが10、再生可能エネルギーの導入状況を20、という重み付けをしているというのが、理解が難しいという気がしています。その辺を解説していただければありがたいと思います。

環境省:ここは点数付けのところになりますので、裾切り基準の設定の点数のところになります。定義の話については、資料4の8ページ、9ページを御覧いただければと思います。8ページの下の部分に書いてあるのが未利用エネルギーの定義になっておりまして、工場等の排熱であるとか、廃棄物の燃焼に伴う発熱といったところが今対象になっているということで、再生可能エネルギーについては、9ページに定義が記載されています。説明資料のスライドは、配点例とその話を一緒に書いてしまったので、その関係でわかりづらくなっている。
 説明で少し混乱があったかもしれないのですが、グリーンエネルギーの制度のところで、電気と熱がもともと対象になっており、27ページのところでも、別の検討会の中ではグリーンエネルギーの電気と熱といった部分は反映すべきということで対象になっていたものだったのですが、ここに持ってくるに当たって、再生可能エネルギー部分の評価についていろいろと検討していたため、環境配慮契約法の中での再生可能エネルギーの定義は、資料4の9ページのところにあるのですが、あくまでも電気という定義でございまして、電気の部分だけを取り出してこの中に反映させていただいたということです。スライドでいろいろな要素が入っているところが少しわかりにくかったかもしれません。

山本座長:グリーンエネルギーの定義も書いておいた方がいいのではないですか。

環境省:かしこまりました。もう少し詳細に記載させていただきます。

原委員:実施状況のところで質問がございます。資料2の6ページで、今年度環境配慮契約を実施する件数として67.3%、平成27年度の実施割合から契約件数で4ポイント減少していますが、何か傾向的なことがあるのか、たまたま今年度減少ということになったのか、理由がわかれば教えていただきたいです。

事務局:後ほど資料6で御説明しようと思ったのですが、資料6の4ページを開けていただけますか。平成27年度と28年度の比較を書いております。推測されるというところにございますけれども、今回電力の小売が自由化され、各地域に参入される事業者が増えてきたということがあり、全体で言いますと、今までは環境配慮契約は3社に満たない場合は実施しなくてもよいということにしていたのですが、3社以上参入されていることが各地域で出てきまして、今まで環境配慮契約ができないというところができるようになったという事情がございます。従って、環境配慮契約ができるという分母が増えました。そこの機関が総じて契約していただければよかったのですが、残念ながら新しくされるところが環境配慮契約を行わない方が増えてしまったという結果がございます。先ほど資料2でも御説明しましたけれども、今後そこについては情報提供等を行い、環境配慮契約を行っていただくということで進めたいと思っております。

山地委員:補足しますと、件数が減ったのではなく、件数は増えているのですけれども、対象となる件数が増えたため、件数における実施割合でいうと少し減ったということです。

野城委員:確認ですが、電力専門委員会で検討されたことというのは、ある意味でのシステムバウンダリーについての定義をディスカッションして、ダブルカウントを避けるということと、カットオフのルールを作ったということですよね。それに関して2つ確認なのですが、一つはここで設定されている排出係数のシステムバウンダリーやカットオフの考え方が、ローカルで調達しているとはいえ、どこかでこういう考え方は取引でオーバーラップしているところがありますので、国際的な調達と整合性があるのかどうかということです。もう一つは、データアベイラビリティというところで、大きい方がしんどいのか小さい方がしんどいのかわからないのですが、こういった決め方をした場合にそれを支えるデータの入手性のハンドリングについて議論があったのかどうか。その2点について確認させていただきたいと思います。

環境省:そこまでの議論はなかったと思います。海外でこういった仕組みを行っているかということについては、こちらも知見がないというのが実情でございます。

山本座長:野城先生の御指摘は、私は前から言っている。「ガラパゴスグリーン契約法」になっているのではないかと。今日は課長がいらっしゃるので、お願いしておきたいのですが、予算を確保して、海外でどういう電力のグリーン調達をやっているかぜひ調べていただきたいと思います。そうすると野城先生の御指摘に答えられると思います。

野城委員:極めて論理的に正しいと思うのですが、海外の人たちというのは、データの入手性だとかそれに関わる規制対象となる人たちの慣習で考えると、もしかしたら丸めてしまっている可能性もあるのではないかと。本日のこれは労作でまったく異存はないのですが、むしろ海外の方が丸めてしまっている可能性があるとすると、それも見ながら今後の運用を考えていく必要があるのかなと。感想に過ぎませんがそういうことを申し上げました。

山本座長:ぜひドイツがどういうグリーン調達をやっているか調べていただければいいと思います。御存知かと思いますが、今孫氏のソフトバンクが電力ケーブルでアジアを繋ぐというプロジェクトを進めていて、近い将来、日本も海外からグリーン電力を購入できるようになるかもしれないわけですね。是非海外の事例を調べて、我が国の法が本当にガラパゴスになっていないかどうか、検討をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは資料2、資料3、資料4は御承認いただいたということにさせていただいて、平成30年度も引き続き電力専門委員会を設置して、検討を行っていただく。基本方針の改定案につきましては、修正の必要があれば、電力専門委員会の座長の山地先生と私に御一任を頂きたいと思います。これはパブリックコメントにかけるのですね。

環境省:パブリックコメントにかけて、また3回目の検討会にかけさせていただくことになると思います。

山本座長:パブリックコメントにかけて、その結果が出てくるのが12月の第3回の検討会ということですね。

環境省:大きなスケジュールは11月上旬からパブリックコメントにかけて、その後3回目の検討会で御報告させていただくという形になります。

山本座長:では、そういうことで進めさせていただきます。

(2)建築物の維持管理に係る環境配慮契約について

山本座長:それではもう一つ大きなテーマが資料5でございまして、第1回検討会において事務局から提案がありました、建築物の維持管理に係る環境配慮契約に関する今年度の検討内容及び専門委員会の設置に関する提案でございます。資料5について御説明をお願いいたします。

環境省:資料5について説明(省略)

山本座長:ありがとうございます。野城先生何かございますか。

野城委員:前回までに申し上げていたことの繰り返しになってしまいますが、建築物は建築時よりも、むしろオペレーションをしている段階からのGHGがライフサイクルベースで大きいということと、後ほど事務局から御説明があると思いますけれども、私や赤司先生が担当しているような、どちらかというと新築や大規模改修をする時にゲートを設けて行う契約行為より、むしろ建築のオペレーションに関する外部委託などの業務委託のところで、こういったエネルギー管理に絡めてGHGを減らしていくということができる可能性は非常にポテンシャルとして大きいだろうと考えております。それについて実行可能性を探索するための委員会であると理解しております。現実的には、独立行政法人又は政府の機関等はエネルギー管理以前の問題として維持管理業務をばらばらに発注しており、清掃、エネルギー管理、維持修繕などをパッケージ化する概念すらそもそもない。ですから、エネルギー管理について意識を持つようなパッケージというのは検討対象になるのではないかと思っております。以上でございます。

山本座長:ありがとうございました。それでは先生方から御意見を頂きたいと思います。山地先生から。

山地委員:重要性はわかるという程度で特にこうしたらということはありません。今おっしゃったように、運用の部分が重要だというのは確かなので。ただ、それをエネルギー管理として一元化するのは確かに難しい。そのためにも、まずは実態をきちんと把握することが大事だと思います。

原委員:資料5の7ページにあるように、この分野というのは極めて多種多様な業務があります。また、一括で発注される部分と個々に発注される部分があり、特に個別の発注の部分というのは中小企業がありますので、そういったところでどういうふうに取り上げていくのか、どう行うのか、結構難しいのではと思います。それもやはり実態を把握することが重要かと思います。

田中委員:私の関連では、この中に清掃や廃棄物関連がありますが、ビルの管理の中にまで産業廃棄物の契約というのが出てくる。ごみというのは一般廃棄物ですので、産業廃棄物の契約のみならず事業系一般廃棄物の契約も入ってきて、環境配慮契約が事案になれば、このような民間の建物から出てくる廃棄物の環境配慮契約も進むのではと思います。

秋鹿委員:多岐に渡って御苦労だと感心しております。カテゴライズするというのはなかなか難しいとは思うのですが、エネルギー、電気、あるいはここで見てみますと田中先生に関連してくる部分では上水、下水といった水の部分がかなり大きいのではないかという気はいたします。山本先生がオーガナイズされておりますエコプロダクツ展で、カーボンフットプリントを数年に渡って勉強させていただいた時に、食器のカーボンフットプリントが出ていて、食器自身を作るのは全部で5%くらいなのですが、90%くらいが洗うという水道のカーボンフットプリントということでした。ですから、まともにカーボンフットプリントをやると、お皿は10年くらい持つとすれば大変な水道代になるわけですけれども、そういうふうに実態を調べていただくというのは非常に面白いと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長:今その水道で思い出したのですが、日本の地方の水道事業がフランスの有力な企業に相当担われているという話をこの間聞きました。

野城委員:企業名を挙げていいのかどうかですが、フランスで大きな実績を上げているヴェオリアという会社の、国策会社に近いと思いますけれども、10年前から事業を始めていて、様々な地方の自治体もしくは事業組合の受託をしている。逆にそのような会社であれば、パフォーマンスをはっきり明示すれば彼らはそれに努力するのですが、そもそもそういった物差しを作って示しているかというところは検討の余地があると思います。

山本座長:ありがとうございました。積極的な反対はなかったと思いますので、建築物維持管理専門委員会を設置させていただきまして、御検討をお願いしたいと思います。

(3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について

山本座長:それでは次の資料に移りたいと思います。資料6でございます。毎年度御報告いただいておりますけれども、平成28年度の国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況に関する報告、速報でございます。事務局より資料6について説明をお願いします。

環境省:資料6について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。3枚目の予定使用電力量というのは8,370百万kWhで、環境配慮契約をしたのが5,634kWhということですから、CO2の排出量はわかりますよね。どれくらいですか。

事務局:400万tくらいだと思います。

山本座長:40万tではなく400万tですか。400万tは多いと思う。

事務局:独立行政法人が入るとそれくらいになります。排出係数0.5くらいで83億kWhですので。

山本座長:そうですか。20万tしか減っていないわけですか。

事務局:5%なので、それをどう見るかというところです。

山本座長:独立行政法人が入っているからですか。

事務局:国だけですと120~130万tくらいだと思いますけれども、独立行政法人を入れるとこのくらいの数字になります。

山本座長:3分の1が環境配慮契約を実行していないということですから、それが入ると30万tくらいは減るという感じですか。

事務局:大雑把に言うとそういう計算になります。

山本座長:それでは秋鹿先生から御質問ください。

秋鹿委員:少しずつは進んでいるのかと思いますけれども、この契約する方たちや環境省もそうかもしれませんけれども、環境省のホームページにも出ている様々なデータを活用して、自分の部署とどういう関係があるかというような関連付けを行うことについて、こういうことに関係している方々にもう少し勉強して欲しい。私としては少しキャンペーンしなければいけないかなと思っております。

田中委員:22ページの産業廃棄物の部分で、初めて環境配慮契約が下がっているというので、おっしゃるように理由があるのですけれども、環境配慮契約の件数は増えているけれども、それによって処理された産業廃棄物の量は9万5千tから7万6千tに下がっている。このことから、大口の排出事業者が環境配慮契約を行わなかったということがうかがえるのですが、その辺の理由がよくわからないのですが。

事務局:先生の御指摘のとおりだと推察されますので、次回までにデータを精査して、原因を深堀りしたいと思っております。

原委員:産業廃棄物について、実施できなかった理由の4割以上が「応札可能事業者が少数」ということなのですが、電気の場合は地域によっては新電力がないなど、実際の事業者が少ないという点についてはわかるのですが、この場合にはどうなのでしょうか。裾切り基準を達成できる事業者がその地域ではほとんどないからということなのか、そもそもその地域に産業廃棄物の処理業者が少ないということなのか。どのような状況なのでしょうか。

環境省:実際に裾切り基準で限定されていなくなる可能性もあるとは思うのですが、詳細までの分析は済んでないところがあります。報告されている状況でどこまでわかるかということもありますけれども、そこは3回目に向けてどこまで調べられるか検討したいと思います。

原委員:そこは理由としてある程度把握しておかないと、未実施を少なくしていく対策の仕方に関わってくると思います。

野城委員:建築分野については、国や独立行政法人の公共建築の新築、大規模改修の事業が減っているということと、小規模化していることが基本的な方向性になるだろうと理解しております。それだけに、先ほど御承認いただいた専門委員会の方でも、例えばESCOについては大きなハードウェアを替えることを前提としているのですが、いわゆるチューニングというのでしょうか、ハードウェアを替えるまでの予算は用意できないけれども運用改善するという意味で同じ方式を使う余地を考えていくであるとか、あるいはこの部屋などでも、プロポーザルを設計者にしてもらうような大規模なものでなくても、本日のような冬と夏の間の気候では、サッシの脇に自然換気のできる穴があれば搬送動力を使って空調する必要もなく、照度分布についても窓際は蛍光灯を付けなくても、LEDにして照度調節をすればいいといった努力をどうやって実現していくかということについて、まず今あるプロポーザルの機会を捉えてそういう改修を進めていくとともに、場合によっては小規模なレベルの改修はしていくことができますので、それをどう拾っていくかが課題になると思います。

山地委員:環境配慮契約の実績は常にチェックしないといけないというのはわかります。契約の実績に加えて、これは私が担当している電力以外ではなかなか難しいと思うのですが、それによるCO2排出の削減の効果を推計するということもできる限りやって欲しい。電力の部分も、先ほど山本先生から御質問があったように、対象となるものが全体でどれくらいCO2を排出していて、これによって20万t減る、それは5%くらいという話なのですが、排出係数を見ていると大体そんなものかなと思いますけれども、では北海道でどのくらいあってどのくらい減っているのかは出せる。地域別に、もともとあった全体に対して、これによってどれくらい減っているという出し方の工夫ができる部分はして欲しいと思います。難しいところも推計すれば少しはわかると思います。契約数はこうですと言われても、本当にどれだけCO2が減っているかというところが最終的な興味ですから、ぜひ努力していただきたいと思います。

事務局:例年3回目に提出させていただいておりますので、各類型別に出したいと思っております。

山本座長:先週、地球環境行動会議での議論を聞いていますと、民間企業は相当取組を加速していて、先ほど御紹介した2050年までに再生可能エネルギー100%にコミットとか、あるいはSBT(Science Based Targets)という、パリ協定の2℃目標を業界ごとの特性に合わせて定量的に削減目標を設定していくと。2年以内にそういうターゲットを設定しようという企業が世界で230~240社ある。日本企業は恐らく40社くらいだったと思います。
 そこで重要なのは、政府機関及び独立行政法人が模範を示さなければいけないと思うのですが、グリーン契約法で削減していくとしても、Science Based Targetをどうするのですかと民間企業に聞かれてしまうと思う。政府実行計画では、2030年までに政府機関は4割削減という目標があったと思いますが、SBTを政府系機関もやらなければいけないし、一般市民もやらなくてはいけないところに来ているのではないかと思います。今、一番真剣に取り組んでいるのは民間企業ということだと思う。もちろん先進企業に限るのですけれども、膨大な中小企業、零細企業がありますから。いずれにしても、もうあと30年で8割削減ということが本当にできるのかということなのですけれども。
 まだ時間がありますので、質問のある先生はどうぞ。

秋鹿委員:ICEPで私の印象では、アメリカも少し後退していますけれども、特にヨーロッパと日本の地球温暖化に対する施策の取組の温度差が非常に大きいという気がしました。冒頭に田中伸男・前国際エネルギー機関事務局長が、環境省と経済産業省が上手にタイアップして先導してほしいということを非常に強く言っていました。日本では一方は50サイクル、一方は60サイクルというのを、ヨーロッパの目から見ると何だと思われているという話がありましたけれども、環境省はどちらかと言えば評価をするところで、経済産業省が企画をするところだとして、利害は必ずしも一致しないかもしれませんが、同じ土俵で議論をするような場所がもっとできて欲しいという気がします。それで、田中氏がヨーロッパの方にヨーロッパはどうしているのですかと質問したら、コミッショナーが決裁して終わり、両方が主張することはありません、と言っておりました。ジェネラルな話で恐縮ですけれども、よろしくお願いします。

山本座長:そのほかいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

(4)検討スケジュールについて

山本座長:それでは、まだ時間が若干残っておりますけれども、事務局から今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。

環境省:資料7について説明(省略)

山本座長:第3回の検討委員会はもう決まったのですね。

環境省:はい。日程調整をさせていただいて、12月15日の14時からということで決定しております。

3.閉会

山本座長:ただ今の説明につきまして、御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本日の議題は全て終わりましたので、環境配慮契約法基本方針検討会をこれで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。