平成28年度環境配慮契約法基本方針検討会(第3回) 議事録

日時

平成28年12月21日(水)10時00分~12時00分

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室

出席者

出席委員:秋鹿委員、大聖委員、藤野委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:赤司委員、鈴木委員、田中委員

(五十音順、敬称略)

議事録

1.開会

事務局:本日はお忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成28年度第3回環境配慮契約法基本方針検討会を開催いたします。
 それでは早速ですが、以後の議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長:みなさん、おはようございます。
 私は前からClimate Emergencyという言葉を言っておりまして、気候の非常事態という言葉なのですが、まさに今気候の非常事態になったと。それは先月11月14日に世界気象機関(World Meteorological Organization, WMO)からの2016年の暫定的な気候状態についての声明が発表されて、その中に何と書いてあるかというと、2016年の年間平均気温は2015年に比べて0.2℃上昇する見込みであると。これは衝撃的な予測でありまして、来年の1月に正式の報告が出る見込みでありますけれども、1年間に0.2℃も世界の平均気温が上昇するということは、あと1年半で1.5℃の目標、気候ターゲットが突破されて、2020年の東京五輪の時は2℃ターゲットまで突破されてしまうという、凄まじい世界の平均気温の上昇が起きていると。
 それで北極圏が大変気になるところですけれども、北極圏で一時期平年に比べて20℃、Fに直すと36°Fというかなりの領域で気温が上がった。これはただならぬことが北極圏で起きているわけで、ラトガース大学のジェニファー・フランシス教授、女性の先生ですが、10年来北極圏の温暖化を研究して、結論は、北極圏で急激な温暖化が起きて、北極海に大量の熱が吸収されると、ジェット気流の原則が起きて大蛇行が始まると。それが結果的に大寒波をもたらしたり、場所によっては大変な熱波が来たりするということです。ですから今年の冬は相当覚悟しないと、特にアメリカの中西部、東部などで大変な寒波が来る可能性があるわけです。
 メディアは不思議なことに、11月14日にWMOがそういう暫定的な予想をしたということを何も書かないわけですね。我々はClimate Emergencyにいるのだという自覚が非常に希薄なのが大変気になっておりまして、トウロウの斧かもしれませんが、環境配慮契約法は何としても温室効果ガスの削減をグリーン契約で実行しようと、率先垂範するということでございまして、全力を挙げてこの法律の趣旨に沿ったことをやらないといけないというところだと思います。
 それでは、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局:本日の会議は、12時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局:配布資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配布資料の一覧がございます。

配 付 資 料

資料1 平成28年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿

資料2 「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」の改正案に対する意見募集結果及び対応(案)

資料3 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針改定案

資料4-1 温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本的方向及びその他環境配慮契約の推進に関する重要事項について(案)【環境配慮契約法基本方針解説資料】

資料4-2 電気の供給を受ける契約に関する基本的事項について(案)【環境配慮契約法基本方針解説資料】

資料5 平成29年度における検討方針・課題(案)

資料6 環境配慮契約による環境負荷低減効果の試算について(案)

資料7 平成28年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)

参考資料1 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について -第2回環境配慮契約法基本方針検討会提出資料-

参考資料2 諸外国における建築や電力の公共調達、低炭素化の動向等について

 委員限りとなりますが、環境配慮契約に係る提案募集の検討結果について(案)。このほか、机の上に環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。資料の不足等ございましたら、事務局までお申し付け下さい。

山本座長:よろしゅうございますか。

2.議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長:それでは、早速ですが議事に入ります。(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について、(2)平成29年度における検討方針・課題について、(3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況等及び環境負荷低減効果等について、この3つが本日の議題です。議事次第に沿って進めたいと思います。
 まず資料2の基本方針改正案に対するパブリックコメントの結果及び対応方針について御説明いただき、その結果を踏まえた基本方針の改定案として、資料3を説明いただきます。それでは資料2のパブリックコメントの結果及び対応と、資料3の基本方針の改定案の説明を事務局より簡潔にお願いしたいと思います。

事務局:資料2、資料3について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。パブリックコメントへの対応、それから基本方針の改定。要するに資料3の基本方針3ページの二酸化炭素排出係数の開示のところを温室効果ガスに直すということですね。文言を統一すると。そういうマイナーな変更なのですが、いかがでしょうか。御質問、御意見等ございましたらお願いします。

山地委員:二酸化炭素を温室効果ガスにするということですが、実際の係数はどうなのでしょうか。二酸化炭素の排出係数は計算して出しているのですが、N2Oやメタン等が、現実にはそれに伴って出るわけですよね。それらを含めた排出係数は、私はあまり見ないのですが、そこはどうなのでしょう。

環境省:現実的に環境配慮契約で使っている係数というのはCO2のみで使われていて、その他の係数が使われていることはまずないと考えています。

山地委員:けれども文言としては統一するためにこれでいいと。

環境省:文言の統一ということです。

秋鹿委員:私の拙い知識では、環境省のホームページと経済産業省のホームページを見ると、経済産業省の方はCO2の排出の総量を出していて、環境省はそれに加えて温室効果ガス等の係数と2つ出していると思います。それは15%くらい増えた形になっていると承知しております。環境省の方が両方出しているという意味では優れていると思っているのですが、合計の数値が出ているということは、それを積み上げた形で、石炭なり石油なりガスなりの大体の係数というのは作られているのではないでしょうか。正しいかどうかわかりませんけれども。後で結構です。

山本座長:いろいろな発電方式があって、環境影響物質はいろいろあるわけですよね。きちんとやるといろいろな温室効果ガスを換算して、CO2換算になっているということだと思うのですが、それはまた別の話になりますので、ここは温室効果ガスに統一するということでよろしゅうございますか。ありがとうございます。資料2、資料3、パブリックコメントへの対応と基本方針改定案については、御了承いただいたということにさせていただきます。
 それでは資料4-1、4-2の解説資料の改定案について御説明下さい。

事務局:資料4-1、資料4-2について説明(省略)

山本座長:ありがとうございます。基本方針の解説資料を若干変更したということでございますが、資料4-1、4-2について先生方いかがでございましょうか。

秋鹿委員:にわか勉強なので質問がちぐはぐになることを許していただきたいのですが、最後に配られたもので、入札、「同一の裾切り基準とするなど、具体的な裾切り基準の設定に当たって十分考慮するものとする」とあるのですが、この電力の入札の条件というのは例があって、その例に準じて機関が自分で作ると理解しているのですが、だからそれをどうこうするということはできないのではないかという質問です。

事務局:御質問がございましたので、委員限りの資料を先に御説明させていただきます。本年度実施した提案募集におきまして、御提案いただいた内容ということでございます。具体的には、電力に関する部分で、特に地域ごとの裾切り基準の設定に関する御提案で、対応につきましてはここに書いてあるとおりでございますが、電気の供給を受ける契約において、地域間の電源構成に違いがあること、それから電力小売全面自由化の過渡期ということもあるので、今までは地域別に、旧一般電気事業者の供給区域ごと、東京電力や関西電力といった区域で地域別に裾切り基準をそれぞれ設定していたわけですが、その運用をしばらくは続けるべきだという御意見でございます。
 この提案につきましては、電力専門委員会で検討いたしまして、その中で今年度の取りまとめということで結論が出されています。7行目の「入札に当たって」というところで書いておりますけれども、電力専門委員会における考え方として、入札に当たって二酸化炭素の排出係数の低い小売電気事業者が全国から広く入札に参加可能な仕組みとして、裾切り基準を一定レベル以上の全国一律の基準を設定するということを考えております。具体的には、最終的には地域別ということではなくて、全国で最も排出係数の低い事業者、かなり排出係数の低い事業者がたくさんおりますので、自由化になっている以上、その事業者に参入してきていただいて、その電気を調達したいということなので、なるべく一定レベル以上の裾切り基準を作りたいというのがこちらの考えではございます。ただし依然として地域間の格差といいますか、参入されている事業者に差異がございますので、北陸や四国、中国は参入されている事業者が少なく競争性の担保が困難ということもありまして、そこにつきましては、一定程度の参入を確保するため、裾切り基準を若干緩めに設定せざるを得ないところもある。そのようなことから、当分の間はこれまでと同様の運用ということで、一般送配電事業者の供給区域ごとに裾切り基準を設定するということが適切であろうと電力専門委員会で御判断いただいたところでございます。
 ただし今後は、よりCO2の排出係数の低い事業者の入札への参加を促すという観点から、調達者においてはなるべく可能な限り高い基準で裾切り基準の設定をしていただきたいということを取りまとめていただいたということでございます。
 これをベースに御提案いただいた方にはお返しをしたいということでございます。

秋鹿委員:70点以上ということが全国一律なので、そういう意味では満たしていると思うのですが、この配点の例1、2、3というのは、契約しようと思っている機関が自分で決めることができるわけですよね。ですから裾切り基準の中身は変えられると理解してよろしいでしょうか。

事務局:それは調達される方が決めていただくということで、決めるに当たって、可能であれば、特に参入されている小売電気事業者が多い地域では高めに設定していただくなど、御配慮いただきたいということでございます。

秋鹿委員:私ばかり時間を使って恐縮ですが、たまたまエネルギーキャリアというプログラムに関係しているのですが、業者が少しずつ海外からの水素やアンモニアを発電に使うようになるかもしれない。そういう場合に、例えば海外で作った水素というのは完全にCO2フリーでないかもしれないし、いろいろなグレードがあると思うのですが、そういうものが日本に入ってきた時にはまったくCO2を出さないので、CO2ゼロとして考えていいのかという質問と、それからそれは未利用エネルギーとか再生可能エネルギーとか元を知って購入するものなのか。日本の中ですとすぐ分かると思うのですが、海外から今までの化石資源とは違う形で持ってきたものが入った場合にどうなるかというようなことは、新しいことですけれども、議論をしたことはあるでしょうか。これは山地先生にお聞きした方がいいのかもしれませんけれども。

山本座長:山地先生いかがでしょうか。

山地委員:電力のCO2排出係数は、少なくとも今までは直接排出ですね。燃焼時の排出で、LCAで遡ってということは行っていません。今の仮定の話で海外から輸入した水素で発電した場合ですが、水素で燃焼してもCO2は出ませんので、恐らく排出係数を計算する時には水素はCO2ゼロ。海外での製造時にCO2が出たとしても、そのようになると思います。
 ただ、電力専門委員会でこの件を議論したということはありません。

秋鹿委員:今ここで提案するつもりはないのですが、そういうインセンティブを付けてほしいという業界の研究開発を行っている方の声がありますので、インセンティブを課すのは恐らくこの委員会だと思うんですよね。皆さんインセンティブが欲しいとおっしゃっているので、将来の検討課題として考えていただけるとありがたいと思います。以上です。

環境省:今後新しい技術が出た時に検討する部分もあると思いますが、今はまだ現実的に出てきているわけではないので、今後の動向を見ながら必要な場合には検討するということで、御意見として頂きます。

山本座長:発電方式の問題は十分慎重に考えなければいけない問題ですので、LCA的に分析するべきだと私は思います。これも将来の課題ですので、また専門委員会で御検討いただきたいと思います。
 それでは資料4-1、4-2はよろしゅうございますか。ありがとうございました。

(2)平成29年度における検討方針・課題について

山本座長:それでは次の議題に移りたいと思います。これは平成29年における検討方針・課題、来年度の環境配慮契約法の基本方針の検討方針等について、資料5の説明をお願いいたします。

事務局:資料5について説明(省略)

山本座長:最初にお話したように気候の非常事態を受けて、またパリ協定が発効して、トランプ氏がアメリカの大統領になるとまた何が起こるか分かりませんけれども、いずれにしてもClimate Emergencyで我々はそれを認識していろいろな施策を打っていく必要があると思います。来年度の検討の進め方は従来どおりな気がして、あまり非常事態を反映していないのではないかという気がするのですが、先生方の御意見はいかがでしょうか。

野城委員:建築関係を担当しておりますけれども、今御紹介いただいた海外の事例も含めまして、環境配慮契約法の範囲だとか適用対象をどうするかということを真剣に考える必要があるだろうと思っております。
 特に建物はどこの国も一生懸命だということには2つ理由があって、1つは温室効果ガス(GHG)の出るボリュームが非常に大きいということ。それに対して、例え話でいえば、100円を出してどれだけGHGが減らせるかという点で、他の項目に比べ非常に効率が高いという2つの理由で、各国政府も様々な施策を取っていると思います。
 環境配慮契約法ですと、私が担当しております新築の建物を前提とした契約と、赤司委員が担当されているESCOについては、我が国の政府あるいは地方公共団体、独立行政法人が持っている膨大な建築ストックに関しては何ら意味を持たないというか、ターゲットにしていないというところは非常に問題がございます。今、各国政府でも行っているのは、むしろストック対象ということが非常に重要ですし、現在の日本の財政状況を考えれば膨大なストックが新築として建て替えられるということは非現実的でありますので、もし法律の枠組みで必要であれば、既存の建築ストックに対するGHG削減措置に関わる契約等を対象に構想し、作っていくべきであろうと思います。
 今の作りというのは、例えばエネルギーを買う、あるいは建築物を買う、自動車を買うという既存の調達活動をグリーンにしようというコンセプトなのですが、具体的に既存の建物からのGHGの抑制をしていこうとしますと、今までなかったサービスを購入することになります。具体的には、普段の使用の運用を改善すると。目に見えない無理・無駄というものを取って、改善していくということになります。
 それが1つと、それを今非常に安くなった計測器を付けて解析していきますと、大半の建物で明らかになるのは、空調機として大きすぎる機器が入っていることです。アメリカの事例がございましたが、エネルギー消費機器サイズの最適化という辺りをアメリカでも気付いているのですが、暑すぎる、寒すぎるというクレームが来るのが建設会社や設計会社は怖いので、熱負荷をしっかり計算しながら、さらに安全率をかけて、結果的には過大に大きな空調機器が大半の建物では入っております。ですので、ある意味3ナンバーの車が路地を走っているようなものでございまして、いくらCOPが高い機器を出したと喜んでいても、実際は稼働率が非常に低いのでエネルギー効率が上がらない。
 運用改善をするために実需要というものを見ていきますと、次に改修を迎える時、大体15年から20年に1回ほど空調機を変えますが、その時にダウンサイジングができます。ダウンサイジングできる効果の方がはるかに大きくて、その時に最適なCOPの高いものを調達すればいいのですが、それ以前として、以前のものが大きかったのでダウンサイジングする。ただ、ダウンサイジングをいきなりするのはなかなか大変だということなので、まずは運用改善をするために計測をして気が付く範囲の無駄は取っていきますけれども、何年かおきに必ず出てくる空調機の交換の時には最適なサイズに設定した調達をすると。今の普通の業務活動ですと、そもそもこういうものをアウトソーシングするというコンセプトがないのですが、政府関係からのオペレーションによるGHGを減らすとすると、こういったサービスを調達していくことが私は必要だと思います。
 特に空調機のダウンサイジングについては民間企業で実績を出しているところがございまして、特に一番顕著な成績を上げているのが三井不動産でございまして、三井不動産はそれで成功されており、いくつか雑誌でも紹介されています。そう言われても建築会社や設計会社は腰が引けるのですが、1つのポイントは、貸しビル等々でクレームがあったら発注者の方でリスクを負うということです。それに比べれば官庁の方は、19時を過ぎて厳しい室内環境で仕事をされていることを思えば、もっと容易に、ダウンサイジングに関することをやりやすいと思うので、そういった新しいサービスを入れるということを来年度の検討に入れていただくとよいのではないかと思います。以上です。

山本座長:大変重要な御提案ありがとうございました。それでは大聖先生何かございますか。

大聖委員:自動車関係でいいますと、2020年度から乗用車の燃費基準が改定されます。それに先立って、前倒し達成するということで国際標準化された走行モードによる燃費が表示されるケースが出てくると思います。その場合に従来のJC08モードというものと燃費の差が出てきます。その差をどういうふうに扱うかというのは微妙な面があるかなと思っております。メーカーによっては、WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)という新しい国際標準規格だけを表記するもの。依然として2020年まではJC08を表記するもの。そうすると比較がしづらくなると思っております。
 それから今、国土交通省、経済産業省で考えておりますのは、新しいWLTCでも市街地モード、郊外モード、高速モード、これをLMHと言っておりますけれども、LMHそれぞれの燃費を表記するというようなことも検討されています。さらに表記が複雑になるのではないかと予想されますので、その辺のやり方は前もって考えておく必要があるのではないかと思います。以上です。

山本座長:では藤野委員。

藤野委員:冒頭に山本座長からもありましたが、やはりパリ協定後はフェーズが変わっているということと、気候の危機というものが明らかになる中で、一方でCOP22でもマラケシュでもビジネスの動きは活発で、これはClimate RiskではなくOpportunityだと捉えてマーケットを作っていこう、そこに乗り込んでいこうという動きがある中で、この環境配慮契約法の精神というのは、国なり地方公共団体が率先行動をしてそのようなマーケットを作っていくということがそもそもあったのではないかと思います。
 そうすると今参考資料1等を拝見していても、契約をきちんと行ったかどうかのチェックはされているのですが、この契約を通じてどれだけ削減効果につながったかというようなチェック、又は更にそれを高めていくというようなことを常に考えながら行っていく必要があるのではないかということがあります。
 うかつにも建築物の実態を知らなかったのですが、最近地方公共団体に特別職で入られてエネルギーや温暖化に携わっていた方の話を聞く限りにおいては、彼も建物が新築であろうが既築であろうが、地方公共団体はかなり大きなビルがあるのですが、コストの削減、予算の関係もあって、行いたくてもなかなか良い建物を建てられないと。そのため、中途半端な建物を建てて、ずっとエネルギーを垂れ流すようなビルができてしまうと。そのような状況を非常に深刻に捉えていて、ただ地方公共団体の担当者が参照するのは、例えば国土交通省が示す参酌基準というのでしょうか、でもその参考がある意味ここをクリアすればよいという感じになっていて、こういう部分を強めていかないといけないのではないかと彼は言っています。
 つまり、環境配慮契約法というのがどこまでの範囲に影響を与えているかということをもう一度確認しないといけないし、できるところはしっかりと締めていくのですが、及ばないところでもマスを伸ばしているのであれば、そことの連携をどのように図っていき、つなげていくかということも、もう一度戦略として見直す必要があるのではないか。その中で、できるならば日本が誇る気候に向けた省エネ技術がもっと活躍するような場になるようにしていく。ただ一方で地方公共団体の調達担当者が、今何を参照しながら一番真剣に考えているか、その人の名前をメインに出す必要はないと思うのですが、ちょっと聴取して、彼らが普段の業務として調達をどのように考えているのかを把握する。
 別のもので東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会の方で小宮山先生が座長をされている「街づくり・持続可能性委員会」があり、そちらの方でも今お手伝いをしていまして、持続可能性計画の第1版ができてIOCに提出される段階です。「街づくり・持続可能性委員会」のワーキンググループで一番ホットだったのは調達ワーキンググループで、私は低炭素ワーキンググループを担当していたのですけれども、調達はすごく真剣な議論が行われていました。グリーン購入法や環境配慮契約法が参照されるのですが、こちらの基準が甘いと東京オリンピック・パラリンピックも、どうしても甘くなってしまうので。その時も調達をかけてもそのボリュームが出せるのかという議論があって、同じ東京都の中でももっとやるべきというところとそんなにできないというところがありました。
 2つの方向性といいますか、マーケットを作るというところでの確認と、この法律が実際にできた時に現場で調達される側の立場というか、そこが今までとはちょっと変わっているかもしれないのですが、それを見据えながら、ここでの基準を強めるとか、または支援策を考えるとか、そういうところを一度御検討いただいてもいいのではないかと思います。山本座長の叱咤激励を受けながら、そういうふうに考えております。

山本座長:山地委員。

山地委員:来年度の検討課題については、電力の場合は電力専門委員会で今後の検討課題を整理しましたので、先ほど説明された内容のとおりです。それだけで来年は十分忙しいなと思っておりますが、対応させていただきたいと思っております。
 外国の例も、日本の方が進んでいるのではないかなと思いました。参考になるものがあれば取り込んでいきたいと思います。今後、非化石価値取引市場の場合、証書になって取引される可能性があるんですね。そういう意味では証書という枠の扱いは、今回も少し議論になったのですが、グリーン電力証書とかエネルギー証書とか、その部分も議題には上ってくるかなと思っています。ただ非化石価値取引の脈絡で出てくるかなと思っております。

山本座長:秋鹿委員。

秋鹿委員:2020年の東京オリンピック・パラリンピックをエネルギー関係の目標にされている企業や組織が多いので、やはりその少し前に、そこで行ったのが単なるショーケースではなくて、社会に根付いて行っていくためには、こういう環境配慮契約法をある程度厳しくしてグリーンに更に進めるということがポイントではないかと思っています。東京オリンピック・パラリンピックまでは無理してやろうという機運があるかもしれませんが、その後につないでいくのは本当のインセンティブがないと、どうしてもグリーンにするためには余計にお金がかかってしまい、それでたじろいでしまうという部分が開発側も需要側もあるので、それを見据えて少しずつ進めていかなければいけないのではないかと思っています。

山本座長:私は革命的にやってほしいと思います。そういう段階に我々は差し掛かっているので。

野城委員:申し訳ありませんが、もう一ついいでしょうか。先ほど申し上げた後、委員の方のお話を聞いていて、少し補足させていただきますと、建築物に関して国土交通省や資源エネルギー庁に御遠慮があるのかもしれませんが、先ほど私が申し上げたことは政府調達の枠組みでございまして、政府も地方自治体も非常に財政が厳しい状況ですけれども、基本的に産業のサービスというのは間に金融を入れて、要は削減分からサービス料を回収していくと。つまり調査費なりサービス料を一度に出さないと調達できないというよりは、それはフラットに払うことにはなりますけれども、民間事業者もこれだけ減らせますというような運用改善なり機器の交換で賄いますということで、削減分のリスクを背負っていただきながらサービスを調達して、その間に金融が入っていくということをすれば、大きな財政負担をしなくてもみなし削減分からそういったサービスを調達できるということになります。そういうスキームは、国土交通省にしてくださいというのはなかなか政府調達に絡んでこないですし、やはり、この環境配慮契約の枠組みの中でお考えいただくことではないかと思いますので、御検討いただくなり、ディスカッションさせていただければと思います。以上です。

山本座長:今の御提案を含め、野城先生と検討いただければよいです。詰めていただいて。ありがとうございました。大変重要な御提案がいくつもあったと思います。事務局に御検討いただいて、今や非常事態にあるということを認識し、ぜひ来年度の検討に活かしていただきたいと思います。

(3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況等及び環境負荷低減効果等について

山本座長:それでは温室効果ガス削減効果の試算について、簡潔に御説明いただきたいと思います。

事務局:資料6、参考資料1について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。御質問をいただく前に資料7のスケジュールも併せて御説明下さい。

事務局:資料7について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。それでは忌憚のない御意見を頂きたいと思います。

大聖委員:自動車の購入に当たって、国や地方公共団体だけではなくて、このやり方を取る民間の大口の自動車を保有する事業者が結構あります。そういったものに対して、このやり方によって車両を購入した場合に何か表記することを、環境レポートでも何でもいいのですが、あるいは環境省の方からこの事業者はこういう選択をしましたということを公表する、そういうやり方で広げていかないと裾野が広がらないような気がします。毎回これを見させていただいて。何か良い方法がないかと思いますけれども。

山本座長:エコファースト企業とか、そういうところはやっていないのですか。

環境省:そういった御意見があったということで確認させていただきたいと思います。

山本座長:大聖先生の御意見は、政府に準じてグリーン調達をやっている企業名を公表するということですね。その他に御意見はいかがでしょうか。

山地委員:電力のところは今回未実施排出係数というのを計算して、それとの比較でCO2排出削減量を出して、各地域とも削減量が明瞭に出たというのが非常によいと思います。裾切り排出係数というのはある意味架空のものですから、もちろん上限を超しているわけですけれども、実際の未実施の排出係数と実施したところの排出係数の比較というのは、先ほど説明にもありましたが、よりリアルな効果が評価されていると思います。どちらを最終的に出すか。効果が大きい方を出したくなる気持ちは分かるのですが、最終的な取りまとめの表4の方では裾切り、排出係数の比較で計算しているのですけれどもどうでしょうか。未実施排出係数との比較というのをまとめのところで少なくとも併記くらいしておいた方がよいかもしれません。

山本座長:今の御意見、ぜひ反映して下さい。それから、これは毎回言っているかもしれませんが、この削減効果の話はあまりマスコミに取り上げられていないような気がするのですが、もっと知名度を上げるというか。これに関して都道府県、市町村がどういう電力のグリーン調達をやっているかというデータはあるのですか。

環境省:地方公共団体の調査は行っていますが、数字までは入っていなかったと思います。地方公共団体の環境配慮契約法に関するアンケートを行っていて、地方公共団体の方針としてどういったことを行っているかということは行っていますが、効果というところまでは出ていないと思います。

山本座長:大聖先生の御意見と同じなのですが、要するにランキングしないとあまりやる気にならないというところがあるので、都道府県会館のロビーにそれを貼り出すとか。そうすると県知事がうちの県はこうだとか。そういうインセンティブを考えないといけないかもしれないですね。

秋鹿委員:私の記憶違いでなければ、基本方針の冊子か何かに大阪府の例が契約の例としてあったように思います。大阪府という名前を挙げたというのは大阪府は行っているのではないかなと思うのですが。それから、言い過ぎているのかもしれませんが、トヨタの2050イニシアティブは、関連する企業あるいは電力の調達等も非常に厳しく、影響力が非常に大きい。それだったら国はもっとできるのではないかという気がします。

山本座長:これはトヨタだけではなくて日立製作所も2050の目標を掲げていますが。ほかに御意見いかがでしょうか。

藤野委員:今後の進め方の確認というか、今日議論したもので基本方針や関連資料が更新されるという理解でよろしいですか。

環境省:はい。更新されます。

藤野委員:先ほど数字の話を見ないままでいたのですが、資料6や参考資料1は今後のブロック別説明会で御紹介される可能性はあるのですか。

環境省:全部ではありませんが、要素として入れて説明をしていきます。

藤野委員:不勉強ですみません。先ほど秋鹿先生が大阪府の例などをおっしゃいましたけれども、やはり良い例をもう少し示してあげて、それこそランキングみたいな形でも。これは全部オープンなデータでしょうか。

環境省:本日の資料は、委員限り以外はホームページで公表します。

藤野委員:各地方公共団体の取組等もどこかを見ればオープンに見られますか。CO2削減量などを計算するための根拠になっている、それぞれの取組のデータがあるわけですよね。

環境省:地方公共団体の取組というのはアンケート調査を毎年行っていて、アンケート結果については毎年ホームページで公表しています。ただ、先ほど出た数字などの部分まではアンケートはしていないので、そういう意味では出てきません。先ほど出た大阪府の例で、パンフレットなどで紹介している例などはあります。そういう意味で全体として調べているということではありません。

藤野委員:私も整理できていないのですが、建築物に関する契約とかいろいろな契約があるのですが、この状況をどこまで明らかにするのか。本来明らかにするべきもののような気もするのですが、それをして、それを見た人が次にどのように動いていくのかというところだと思うのですが、その辺は法律の壁があるのですか。そういう話ではないのですか。

環境省:実際に数値を公表するというところまで義務付けているわけではないので、方針とかそういうもので出して下さいという話になります。

事務局:法律でいいますと、こちらの基本方針の冊子の183ページに、契約実績の概要公表等ということで第8条にございますけれども、国と独立行政法人ということに限られますけれども、「毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結の実績の概要を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に通知するものとする」ということで、各省あるいは独立行政法人に公表していただいております。環境省の方では通知されたものを取りまとめて、全体で公表しているというか試算しているという形にさせていただいています。
 地方公共団体についてはそういった規定はないので、各自治体が独自にやられるという取組になっております。

藤野委員:一部は第8条に基づいてデータは出ているので、山本座長が先ほどおっしゃったようなメディアにアピールする形で公表というか。東京都の排出量取引の元となっている報告書制度も公表させるということが非常にエッセンスだと言っていたので、他のところとどう絡むのかわからないのですが、そういうインセンティブ、ディスインセンティブは使っていかないと、せっかくこれだけの制度を回しているので、行った人は褒めた方がいいのではないかと思います。

環境省:補足ですが、今の条文でいうと、地方公共団体については183ページの第11条の4項ですね。「地方公共団体及び地方独立行政法人は、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結の実績の概要を取りまとめ、公表するよう努めるものとする。」という努力義務になっております。

大聖委員:どれだけ実際に公表しているかですよね。

藤野委員:つまり公表しているところは褒めた方がいいわけですよね。

野城委員:今藤野先生がおっしゃったことは私も賛成で、皆さん御自身のお仕事が多い中でやるのは大変ですので、やはりそういうデータが公表されるように環境を作るのがお仕事で、それを公表したら、NGOその他のところを味方にして、そこにランキングを作っていただければいいのだと思います。皆さん御自身がやったら、どんどん業務が増えていくだけだと思います。
 そもそも建物関係は、地方公共団体は箱ものを持ちすぎて財政がパンクしかかっていますので、地方公共団体の建物にどれだけ保有コストがかかっているかということを示さない自治体というのはそこが問題となります。そこで保有コストの内訳として、毎年どれだけ光熱費がかかっているかということを分かりませんというような自治体はお話にならないというような文脈の中に、そっと光熱費が公表されるようにしていくと、結果的にはこちらの方でも役に立つデータが公表されていくように思います。
 みなさん自身で行うところと、誰か別のプレイヤーを作って行うところを考えるといいのではないかと思います。

3.閉会

山本座長:ありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは最後に環境経済課の奥山課長から御挨拶を頂きます。

奥山課長:環境経済課長、奥山でございます。本日はお忙しい中、こちらの検討会にお越しいただきましてありがとうございました。本年度3回に渡り御審議いただきまして、改めまして御礼申し上げます。
 本年度は昨今の電力に関する情勢の変化を踏まえまして、特に電気の供給に係る契約につきまして重点的に御議論いただき、本日基本方針案を取りまとめることができました。こちらにつきましては、省内、政府内の調整を経まして、2月上旬には閣議決定をしていきたいと思っております。
 冒頭の山本座長の御挨拶ですとか、あるいはこれまでの検討の中で御意見を頂きました御指摘のとおり、今年の11月のパリ協定の発効を受けまして、脱炭素化に向けて世界が舵を切ったという中で日本が何をしていくべきかということが、今非常に重要になってきていると思っております。その中で政府として、国全体としての温暖化に向けた取組が進むように、国民的な運動をしていかなければいけないと、その中で政府として率先した取組を見せていくという意味におきまして、この環境配慮契約法の取組は非常に重要なものだと思っておりますし、これからも一層重要性を増していくものだというふうに思っております。
 本日頂いた意見はどれも非常に重要なものだと思っておりますので、来年度どのような形で御意見を反映させながら議論を進めていくかということを我々としてもきちんと考えながら、来年度に向けた準備をしっかりとしてまいりたいと思います。引き続き環境配慮契約法の推進につきまして、今後ともよろしくお願いいたします。
 最後になりますけれども、委員の皆様におかれましては、年末のお忙しい時期に検討会に御参加いただきましてありがとうございました。少し早いですが、よいお年をお迎えられますことを祈念しまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。

山本座長:どうもありがとうございました、これで終了とさせていただきます。

以上