平成28年度環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録

日時

平成28年10月26日(水)14時00分~16時00分

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室

出席者

出席委員:秋鹿委員、赤司委員、鈴木委員、田中委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:大聖委員、藤野委員、野城委員

(五十音順、敬称略)

議事録

1.開会

事務局:本日はお忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成28年度第2回環境配慮契約法基本方針検討会を開催いたします。
 それでは早速ですが、以後の議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長:お日柄も良く、環境配慮契約法の議論をするのにはぴったりだと思います。今日は10月も26日というのに夏日ということでありまして、温暖化の加速化を身をもって感じているところです。みなさん御存知のように、今年は1月から9月まで9か月連続して毎月の月間の世界の平均気温が過去最高温度を記録していると。アメリカのNASAの予測では、2016年は観測史上最高温度を記録するという予想になっています。そういう中で、11月4日にはパリ協定が発効するわけでありますが、日本は残念ながら批准さえできていないという状況で、この環境配慮契約法によって、政府及び独立行政法人の温室効果ガスをできる限り減らそうということを今日我々は議論をしなければならないということであります。
 それでは、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局:本日の会議は、16時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局:配布資料の確認をさせていただきます。

配付資料

資料1 平成28年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿

資料2 電気の供給を受ける契約に関する考え方について

資料3 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針改定案

資料4-1 温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本的方向及びその他環境配慮契約の推進に関する重要事項について(案)【環境配慮契約法基本方針解説資料】

資料4-2 電気の供給を受ける契約に関する基本的事項について(案)【環境配慮契約法基本方針解説資料】

資料5 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について

資料6 平成28年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)

参考資料1 環境配慮契約法基本方針検討会電力専門委員会委員名簿

参考資料2 都道府県別の電力需要及び小売電気事業者の参入状況(平成28年6月実績)

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。基本方針関連資料の冊子には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜御参照下さい。なお、基本方針関連資料は第1回検討会でも配布しておりますので、御不要の場合は机上に置いてお帰りください。資料の不足等あれば、事務局までお申し付けください。

山本座長:ありがとうございます。

2.議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長:それでは、早速ですが議事に入ります。本年度は検討会のほかに電力専門委員会を設置し、7月から3回にわたって検討を行ってきたところです。本日は、電力専門委員会から検討結果の取りまとめと、取りまとめに沿った基本方針及び解説資料の改定案を御報告いただき、その内容について審議することとします。
 まず最初に事務局から、資料2の電気の供給を受ける契約に関する考え方について御報告いただき、山地座長から補足の御意見等を頂くことにします。それでは資料2について、事務局より簡潔に説明をお願いいたします。

事務局:資料2について説明(省略)。

山本座長:ありがとうございました。山地委員、何か補足がございましたら。

山地委員:内容につきましては、今すべて説明がありましたので、特に補足することはないのですが、電力専門委員会を3回開催いたしまして、非常に活発な議論ができました。いろいろな項目を検討したのですが、まだ電力システム改革自体がスタートしたものの、非化石価値取引市場の整備も今からですし、低圧を含めた小売の全面自由化も始まったばかりで、まだ展開しているところであって、様々な議論はしたけれども、今回の新しいやり方として提案できる部分は限られており、今後の検討課題という整理がされています。
 具体的に今回変更すると決めたところは、まず新たに自由化対象になった低圧のところは小口なので、入札する時はできるだけ一括発注ということを求めたい。入札ができないケースの場合は、低炭素な排出係数を選べるように見積りを徴取するという対応です。もう一つは、今回のシステム改革に伴って、電源構成の開示が「望ましい行為」となったわけで、環境配慮契約法の運用の中でも電源構成開示を入札に参加するための資格要件として要求するということです。あとは今説明があったとおりで、今後の検討課題として整理をしたということでございます。
 補足は以上です。

山本座長:ただ今、電力専門委員会の取りまとめについて詳しい御報告がありましたが、これについて、先生方から御意見、御質問等ございましたら。いかがでしょうか。

秋鹿委員:本質的な質問ではなくて恐縮なのですが、2030年までの削減目標が国としては26%削減、政府としては40%削減、これは両方とも正しいのでしょうか。26%削減ということしか頭になかったので、教えていただけますでしょうか。

環境省:こちらについては正しいということでございます。まず政府実行計画での40%については、「2013年度を基準として、政府の事務及び事業に伴い直接的及び間接的に排出される温室効果ガスの総排出量を2030年度までに40%削減することを目標とする」ということが、政府実行計画の中で記載されております。
 26%については、約束草案から引っ張ってきているものでして、温室効果ガスについて我が国の約束草案での記載で、2030年度に2013年度比で26%減の水準としているという記載がありますので、そこから引用しています。

山地委員:付け加えると、26%というのは日本全体の数字であり、産業部門も入っている。民生部門、交通部門も入っている。その中の内訳で見ると、政府部門というのはどちらかというと民生部門に近く、そうすると、26%の中でも部門別に見ると、いわゆる業務と家庭というのは40%削減になります。民生部門の削減に揃う程度に政府部門も頑張るということだと私は思います。

秋鹿委員:政府機関なのですね。分かりました。

山本座長:その他、いかがでしょうか。

田中委員:この分野ではあまり知識がないのですが、質問は、FIT制度で、比較的高い費用で作り上げた再生可能エネルギーをFITでは安く供給するシステムになっていますよね。したがって、再生可能エネルギーで作られた電力は、新電力からはマーケットの値段で購入できるという仕組みになっていますよね。再生可能エネルギー、環境配慮した電力を選べば選ぶほど、国民の負担は高くなるという構図だと思います。そういうことで、住民に対し、再生可能あるいは未利用エネルギーの電力を選ぶことが、自分たちの賦課金も含めたトータルの負担が上がっていくという状況を情報として提供しておかなくてはいけないように思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

事務局:ありがとうございます。この環境配慮契約法の裾切り方式で、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを評価する形になっておりますけれども、再生可能エネルギーの場合は、FIT分は差し引き、事業者が自ら再生可能エネルギーを発電に使った場合を評価するという形にしております。
 先ほど御説明したとおりですが、電源構成の開示というところでは、FIT電源とFIT電源ではない再生可能エネルギーを分けて、電源のうちFITがこれだけで、それ以外の太陽光や風力がこれだけ、という形で明示することが電源構成の開示となっておりますので、そういったところで情報提供するというふうに考えているところでございます。

田中委員:そうすると、風力や太陽光で発電した電力が再生可能エネルギーと思って、そこを供給する側はCO2が出ていない電力だということをPRできないということでしょうか。

事務局:田中委員がおっしゃるとおり、実排出係数の場合はFITでもFIT以外の再エネでも、どちらでも排出係数が低くなるということになりますけれども、評価に使う排出係数自体も調整後の排出係数を使いますので、FITについては平均の排出係数を使うことになるので、FIT電源を多く使っている事業者については、相対的に排出係数が高くなるというのが今の評価の仕方となります。

田中委員:CO2の排出係数が高くなるのですか。

事務局:調整後になりますので、結果としてそうなります。FIT分については、平均の排出係数を使うということになります。

山地委員:少し解説します。これは一般の方からもよくある質問なのですが、FIT制度で再生可能エネルギーを調達した場合には、電気としての価値を上回る部分は賦課金として電気使用者が一律負担しています。実は電気事業者は負担していないということなので、その部分はFIT電気というカテゴリを作って、全電源の平均の排出係数にします。再生可能エネルギーは再生可能エネルギーなのですが、制度によってFIT電気、それ以外に、自分からFIT制度以外で調達した再生可能エネルギーについては負担が国民に均等にいっていませんから、それは再生可能エネルギーとして表示してください、となります。少し紛らわしいですが、FIT電気である再生可能エネルギーとFIT電気でない再生可能エネルギーがあるということです。

田中委員:分かりました。太陽光や風力を応援したいからその電力を選択するということはできないということですよね。それはおしなべてしているから、国民全員が協力しているから、事業者の努力ではないということですかね。

山地委員:FITを通さずに、電力会社が自力で高いお金を払って再生可能エネルギー発電をして供給すれば、それはもちろんカウントします。使用者の方もそちらが好きだというのであればいいのですが、ただ電源構成開示があるからFIT電気を調達したのと、FIT以外で再生可能エネルギーを調達したのとが分かります。その部分をどう考えるかというのは、調達する人の考え方になろうかと思います。

田中委員:分かりました。もう一つ。私は、廃棄物を使った電力をもっと増やすことがいいのではないかと思っていますが、FITの買取価格も一番安いので経済的にも合理的なのですが、4ページで使われている言葉の確認をしたいと思います。未利用エネルギーの活用というのと、再生可能エネルギーという2つの言葉があって、バイオマス、廃棄物の中のバイオの部分は再生可能エネルギーとして認められて、FITでも17円で買ってくれる。ところがプラスチックの部分は、再生可能エネルギーでないということで、未利用エネルギー。ここで言っているのは、プラスチックなどの焼却に伴って発生した電力は未利用エネルギー、ここではそういう定義で使っているのでしょうか。

事務局:おっしゃるとおりです。後ほど御説明しようと思っていましたが、先に説明させていただきます。資料4-2を見ていただければと思います。解説資料になります。資料4-2の8ページでございますけれども、これは従前から評価していた項目なのですが、未利用エネルギーの活用状況、それから再生可能エネルギーの導入状況というところでございますけれども、田中委員がおっしゃるとおり、いわゆる廃棄物のうちのバイオマス分は再生可能エネルギーでカウントできる形になると思いますし、そうではなくて化石由来、プラスチックみたいなものについては、廃棄物発電で再生可能エネルギーにはならないのですが、未利用エネルギーのカテゴリに入ってくるということで、8ページの脚注4、「未利用エネルギーとは、発電に利用した次に掲げるエネルギー」ということで、「①工場などの廃熱または排圧、それから廃棄物の燃焼に伴い発生する熱」ということで、ただしFIT分は除きますということで書いてございますので、おっしゃったとおり、プラスチック燃焼の熱で発電した分については、未利用エネルギーというところでのカウントとなります。

田中委員:いろいろな統計で、発電の実績が経済産業省から出ていますけれども、石炭、石油、LNG(液化天然ガス)、といったカテゴリの場合の未利用というのはどこに入っていますか。一番上に、再生可能エネルギーと未利用エネルギーが一緒になっているように見られるのですが、その辺は未利用エネルギーと再生可能エネルギーと別の実績で統計上載っていますか。

事務局:統計という意味では難しいかと思うのですが、ここは各事業者にどれくらい使ったかというところを出していただくという運用を行っているところでございます。

田中委員:法律ができた時は、新エネルギーの中に廃棄物発電がすべて入っていたのが、だんだんと分かれて再生可能エネルギーだけが入るようになった。その辺が途中から変わったのか。新エネルギーというのは、これとはまた別にありますよね。

事務局:新エネルギー自体については、法律ですとFIT法に移ってきたということで、RPS法が廃止されて、固定価格買取制度に移って、その中で廃棄物の場合はバイオマスか否かで分けられる整理になっていると承知しております。

田中委員:新エネルギーには再生可能なエネルギーであれば、ということですよね。

事務局:化石由来は再生可能エネルギーにはなりません。

田中委員:再生可能にならないので、新エネルギーとは呼ばないと。

事務局:そうですね。ただし、廃棄物発電については、FITを除いた部分は未利用エネルギーとしてカウントする。今の環境配慮契約法上ではそのようにさせていただいているということでございます。

田中委員:ということは新エネルギーには入らないと。

事務局:新エネルギーというか、再生可能エネルギーには入りません。

山本座長:廃棄物発電はCO2の排出係数はきちんと出ているのですか。ばらつきがあるような感じがしますが。

田中委員:自治体ごとに、バイオと非バイオを毎月測って計算しています。それは買取を積算するためにやっているだけで、いわゆるCO2排出係数というようなものは、計算した例はありますが、一般的に扱われていないですね。

秋鹿委員:田中委員の御質問に関係するのですが、私のつたない知識では、数年前に「新エネルギーとは」というのが新聞に出たことがあります。新エネルギーというのは、経済産業省の新エネルギー対策課で使っているエネルギーが並んでいました。つまり、再生可能エネルギーと風力、地熱、水力、そういうものプラス「水素」となっていました。要するに、新エネルギーという定義がしっかりしていなくて、かなりいい加減といいますか。ですから、恐らくここでは新エネルギーというような議論はされていないのではないかと思うのですが、少なくとも新聞で新エネルギーの定義はという記事は切り抜いて持っているのですが、経済産業省新エネルギー対策課で扱っているものと同じでした。ただ、新エネルギー対策課も組織を変えたりしているので、その後どうなっているか分かりませんが。

山本座長:時間の関係もありますので、要するに廃棄物発電は未利用エネルギーに入っているということでよろしいですね。そういうことで理解していただいて、資料2は皆様に御承認していただいたということで。資料3を御説明いただきたいと思います。

事務局:資料3について説明(省略)

山本座長:資料3の基本方針の改定案ということでございますが、いかがでございましょうか。御了承いただけますでしょうか。(委員了承)はい、ありがとうございました。もし、基本方針改定案について修正の必要があれば、電力専門委員会座長の山地委員に御一任いただきたいということでございます。よろしゅうございますか。(委員了承)
 それでは次の議題は、資料4-1、4-2を事務局からお願いしたいと思います。

事務局:資料4-1、資料4-2について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。鈴木委員、赤司委員、いかがでしょうか。何か御意見がございましたら。

鈴木委員:新規参入の事業者の数が非常に少なく、そのためにはということで、手続きの簡素化、それからまとめて一括発注というやり方があるというのですが、これは本当にできるのでしょうか。手続きの簡素化については地方公共団体でも従来そういうことをやったのだけれども、全然反応がなかったんですよね。それから、他の地域と一緒になってやるということも、これもまたやらないという状況があるのですが、それを促進するインセンティブなどは期待できるのでしょうか。

事務局:鈴木委員は地方公共団体についてよく御存知だと思いますが、地方公共団体の場合は、例えば小学校を一括するとか、中学校を一括するという形で出されているケースがいろいろあって、そういう場合はかなり応札があったと伺っておりますので、近くに同じような施設を持っているケースや、同じ省庁でいくつかの施設を持っていてというケースであれば、一括で出すことも考えられるのではないかということで挙げさせていただいているところでございます。

環境省:確かに可能性として、そういう場合があるということで、ここでは示させていただいています。ただ、どうしても省庁が違ってまとめられないという場合もあるだろうということで、低圧で少額の随意契約になる場合もあるので、その時には、できる限り低炭素な小売電気事業者を見積り、料金メニューを見るということなのですが、そういうところで少しでも環境配慮的な考え方を入れられるように整理をしたということです。

赤司委員:勉強不足で申し訳ないのですが、電力料金は今どういうふうになっているのでしょうか。というのは、低炭素な電気事業者から調達してくるお金と、そうではない、低炭素ではないところから調達する電気料金というのは違うのですか。それとも同じになっているのでしょうか。要は入札なので、低炭素で入札できる範囲を決めても、料金で決めて、結果的に低炭素ではないということがあり得るのかなと思ったのですが。

環境省:今の入札に付する場合の仕組みですが、裾切り方式ということで、構成される要素はいろいろございますけれども、特に割合が大きいのがCO2排出係数ですが、その要素を点数化して点数により足切りすることで、一定のCO2排出係数の事業者を選び、その中からさらに価格で決定するので、そこで比較的低炭素になるような足切りをしているという形にはなっております。

赤司委員:一番低炭素なものが一番高かったら、そこは選ばれないということなのですか。

環境省:結果的にそうなります。最終的には価格で入札し、複数いる中で価格が一番安いところに決めるので、結果としてCO2排出係数が一番良いとはいえない事業者が入ることはあり得ると思います。

赤司委員:経済的なことを考えなくてはいけないというのも両バランスが必要だと思うのですが、かなり高いハードルの目標があって、国の省庁関係のCO2排出量ということから考えると単純に価格だけで選んでいいのかという問題があると思います。
 実は私はESCOの担当になっているのですが、ESCOもいろいろ考えているとそういうことを疑問に思っていまして、ESCOというのは非常にいいのですが、最終的に価格というか、エネルギー消費量と価格の関係で、事業性があるかないかで判断されますよね。そうするとそこには低炭素はまったく関係がなくて、フィージビリティスタディや事業可能性といったところで決められる。あとの議論になるのかもしれませんけれども、あまり導入が進んでいないのですが、既存の建築物の省エネや低炭素というのは非常に大事なので、エネルギー改修の事業をどうやって進めていくかというのは結構大事だと思っているのですが、そこがある種一定の経済可能性のようなものだけで切られるというのが、何となくESCOを普及していく上で障害になっているのではないかと思っていて、要はESCOという非常に狭い範囲のビジネスモデルをもう少し広げた形で、国や自治体の事業に組み入れた方が、よりCO2排出削減につながるのではないかなと思います。それと同じような話です。

環境省:その意味では、裾切りという部分でCO2排出係数がより低いところを選ぶということで環境に配慮しており、電力においては現状としてはそれに尽きるところがあるので、確かに最終的に価格ということはありますけれども、その前段階で少なくとも一定の排出係数の悪いところは足切りすることで効果を得ているのが今の仕組みと認識しているところです。

赤司委員:分布がどれくらいあるのかにも関係してくると思いますが。

事務局:そのお話は資料5のところで御説明させていただければと思います。

山本座長:では後ほど。資料4-1、4-2について、山地委員は何か補足説明はございますか。

山地委員:内容的に補足することはないのですが、資料4-2の説明を聞いていて、先ほど資料2の補足で言い忘れたことがあって、今回の制度でもグリーン電力証書というのが出てきて、加点項目に使えるという話ですけれども、実はグリーン電力だけではなくてグリーン熱証書もあって、グリーンエネルギー証書のCO2削減相当量認証が行われていて、それを加点項目というのではなく排出係数そのものに入れられないか、という議論を電力専門委員会では行いました。しかし、一番のハードルになったのは、温対法での報告の中に電気のCO2係数があるのですが、そこにはまだグリーンエネルギー証書のCO2削減相当量が使えないんですね。同じ日本国政府の制度の中で、整合性がないのはよろしくないという議論がありました。これは資料2の検討項目の中に入っているのですが、そこの議論の説明を忘れていたので、この場で追加、補足させていただきます。したがって、温対法の報告で調整ができれば、こちらの環境配慮契約法のもとでの運用もできるのではないかと思っているということでございます。

山本座長:ありがとうございました。資料4の1-1で、従来は電力の供給と書いてあったものを電気の供給に直しているのですが、これは山地委員どうなのでしょうか。電気の供給なのか、電力の供給なのか。

山地委員:法律にそう書いているということなのではないかと思うのですが、電気でいうと、電気事業者という言葉は言いますよね。エネルギーとしての電気の場合には、パワーの訳は電力なのですが、ここは法律にしたがって整合性をとったということだと思います。専門委員会で議論して、こうしようと言ったわけではなくて、文章の調整をしたものの一つです。

山本座長:はい、理解しました。

(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について

山本座長:それでは資料5で、先ほどの赤司委員の質問にも答えていただきたいと思います。資料5の説明をお願いいたします。

事務局:資料5について説明(省略)

山本座長:現状の御報告ということでございますが、先生方いかがでございましょうか。

田中委員:産廃処理における契約は環境配慮に基づく契約が順調に伸びている感じがします。100%まではまだまだ伸び率があるので、これからだと思います。平成25年度からスタートしていますので、平成26年度は前年に契約が終わっていたという説明があったので、平成27年度が本格的な環境配慮契約法に基づいた契約だと思います。それから、図11にあるように、環境配慮契約法のおかげで、優良産廃処理業者が自分たちに有利に働く契約ということで、国の産廃処理に多くの人たちが参加していると思います。効果として評価できると思います。以上です。

山本座長:しかし図11を見ると、競争入札では880社も優良産廃処理業者以外がいるということになりますよね。なぜこんなに優良業者が少ないのですか。

田中委員:産廃処理業者がそもそも多いです。10万とか20万とか、そういうオーダーで、収集・運搬が9割くらいを占めていますから、その中で優良認定を取っているのが7,000とか8,000で非常に少ないと。そういう事業者が優良認定を取っていない事業者と対等、あるいはそれ以上参加しているというのが効果だと思います。

山本座長:赤司委員、ESCOはいかがですか。やはり減少傾向なのでしょうか。

赤司委員:もともと省エネ改修というのが、いろいろな面で難しい状況にあるとは思うのですが、今後省エネルギー改修をきちんとしっかりと進めていけるような状況に持っていかなければいけないと思っているので、そういう意味ではESCOというのは一つの有力なビジネススキームだと思っています。この数字だけ見ると非常に小さな数字が並んでいるので、全体の国の機関、独立行政法人の関係の建物がどれくらいあって、そのうちどれくらいなのか、分母がどれくらいなのかはまだ把握していなくて分からないということがあります。
 それから、フィージビリティスタディというのと導入可能性のあり、なしというのを、誰がどう判断しているのか疑問に思っています。ESCOだとエネルギー削減分の料金で何年かで回収というところにポイントがあると思うのですが、そうするとエネルギー料金のお金で決まってしまう。ところが一方で、先ほどからお話が出ていますように、民生で40%CO2削減しなければいけませんので、そのうち省エネが16%くらいだったと思いますけれども、再生可能エネルギーや発電所の効率化といったものを合わせて40%なので、純粋な省エネがたぶん16%くらい。16%下げるというのは相当高いハードルで、そうすると経済性だけでエネルギー消費量を削減していこうというのがかなり厳しい。要は、お金をかけてでも省エネしなければいけないという状況になっているので、CO2も同じだと思いますけれども、もちろん経済性も大事なのですが、先ほど総合評価などの話がありましたけれども、何か、導入可能性のあり、なしの部分の、ありと判断されたものが少ない、あるいはフィージビリティスタディをしているところが少ないという状況だとすると、ありと判断する部分を広げるような、単純な経済性だけではなくて、社会的な、国際的な要請にかなった判断のあり方みたいなものを考えた方がいいのではないかと思います。ESCOというビジネススキームは良いものだと思います。

山本座長:大事なポイントだと思います。パリ協定を本気で世界全体が11月4日から動き出すわけで、我が国も実行計画というか、コストをどれだけかけて達成するかという順序の問題ですよね。これはぜひ事務局の方でも、5年も6年もやって大して削減できないということではなくて、お金をつぎ込んででも、政府が排出係数0の電力を購入するというくらいの覚悟でやらなければいけない時期が近づいているのではないかと感じております。先生方から何か。

秋鹿委員:主に資料4-2に戻って、電力のところなのですが、全体の問題にも関係するのですが、環境配慮契約法全体として、点を付けて、裾切りして、入札して選ぶものもあるのですが、今赤司委員がおっしゃったように、何かインセンティブが、将来にかけて買う側が選びたいということが、どのくらい、どういうふうに入っているかということが重要ではないかと思います。
 ESCOは何か仕掛けを変えないといけないかもしれませんけれども、電力であるとすれば、加点項目ですよね。何か新しいグリーン証書を予定しているかとか、使ったとか、啓蒙したとか、啓発したとかいうこともあるのですが、今分かっている、かなりいろいろな業界やあるいは活動が進んでいるところを先取りする。例えばESCOでいえば省エネする。蓄熱ヒートポンプ協会の資料などを見ているのですが、真剣に取り組めば、日本のCO2を10%減らせると言っているんですね。確かに10年前から5年前まででヒートポンプ系の効率が30%くらい上がったんですね。それは省エネ対策のトップランナーのおかげもあるのですが、そういう技術が進んでいくところもありますし、何かできるはずなのにやっていないというところが沢山あるような気がします。細かいところはそれぞれの委員会で申しますけれども、エネルギーでいえば、今、燃料電池推進室が水素・燃料電池戦略ロードマップを出していて、産業用にCO2フリーの水素を使うとか、そういうことも遠い将来としてロードマップに載せています。しかしそれはもう既にやろうとしているところがあるんですね。例えば、電力も再生可能エネルギー、福島で再生可能エネルギーから水素を作って、それをもしかしたら東京で発電に使うかもしれないといったような項目を、ここではどこに書くのかということですね。水素というキーワードもないし、エネルギーキャリアという言葉も一つもない。
 エネルギーキャリアでいえば、今、世界の10か所くらい国とか企業とか地域から、自分のところからCO2フリーの水素とかアンモニアを出したいという提案がアンダーグラウンドで来ているんですね。政府間の協議も始まっています。それがいつ現れてくるかもしれない。そういうものをある程度先取りして、そういう項目はここにどういうふうに入るかという、何か受け皿があってほしいという思いがあります。これは国全体が、経済産業省は経済産業省で再生可能エネルギーといったらFITだけで、では水素はどうなのかというその定義も無いし、この定義の中には無いわけですけれども、今年は無理だと思いますが、次の課題としては少し先を見据えたような環境配慮契約法の仕掛けというか、それをお考えいただければと思います。

田中委員:先ほど議論にあった、コストをかけても再生可能エネルギーや未利用エネルギーを使うべきだというのは、FIT制度で保証されていると思います。これは再生可能エネルギー、未利用エネルギーで、FIT制度で、電力会社が買わねばならないと。決められた値段で買わねばならないと。そこでもう世界的にはCO2の排出の少ないものはお金をかけても進めているんだと。それで十分間に合わない部分を、化石燃料にしている部分を価格で競争して、CO2を減らそうという部分で、その部分はわずかだと思いますが、再生可能エネルギーはFIT制度が日本の政策としては進めていると理解しています。

赤司委員:再生可能エネルギーについてはFIT制度があり、あるいは非常に高効率な火力発電所を作っているとか、そういうことが供給側にあるのですが、需要側の民生用のCO2排出40%減の中に、建物で使っているエネルギー消費量を真水で減らせというのが目標の中に織り込んであるんです。それが16%前後になるのではないかと思っています。例えば、太陽光発電を建物の上に乗せて発電されたものはカウントされていません。それはあくまでも再生可能エネルギーでカウントされていると思うので、そうすると真水で16%すべての建物で下げるというのは、相当なことを野心的にやらないと。新築は限られていますので、今、先端技術も進んでいますので、建物の消費量を極限に減らすようなチャレンジをしていますけれども、それは全体のストックからすると相当少ない。今建っている建物をどうやって省エネにしていくかというのが、民生の40%をクリアする鍵の一つだと思っていまして、それには省エネ改修とか、それを進めていかなければいけない。それがここに表れているのだと思いますが、そういう意味ではちょっと寂しいなという気がしています。

山本座長:沢山の議論が必要なところだと思いますので、今日はこれで納めさせていただきます。ありがとうございました。

(3)検討スケジュールについて

山本座長:事務局から今後のスケジュールについて、御説明をお願いします。

事務局:資料6について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。それでは最後に先生方から御質問、御意見等ございますか。それではこれで本日の議題はすべて終えましたので、閉会にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

以上