平成27年度環境配慮契約法基本方針検討会(第1回) 議事録

日時

平成27年9月11日(金)13時30分~15時00分

場所

中央合同庁舎第4号館1階 第108会議室

出席者

出席委員:秋鹿委員、鈴木委員、大聖委員、田中委員、藤野委員、野城委員、山地委員、 山本委員(座長)
欠席委員:赤司委員

(五十音順、敬称略)

議事録

事務局:それでは定刻になりましたので、これより平成27年度第1回環境配慮契約法基本方針検討会を開催いたします。本日はお忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課奥山課長よりご挨拶申し上げます。

環境省(奥山課長): 8月に環境経済課長に着任いたしました奥山と申します。よろしくお願いいたします。会議に先立ちまして一言ご挨拶させていただきます。本日はお忙しい中、委員のみなさまにおかれましてはこの検討会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また日頃より環境行政の推進にあたりまして多大なるご協力ご理解をいただき、改めてこの場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
環境配慮契約法は平成19年に成立いたしまして、施行当初から委員のみなさまからご意見をいただきながら制度の充実を図って参りました。昨年度は地方公共団体への普及強化、あるいはESCO事業についての事例集の作成を行ってきております。今年度、この検討会を3回開催することを予定しております。後ほど事務局の方から説明がございますけれども、例年実施しています新規の契約類型の提案募集につきまして2件の提案がございました。また産業廃棄物処理の契約につきましては3年目を迎えまして、本格的な取組を促進する必要があると考えております。さらに電力契約の分野におきましても、現在議論が進んでいる電力システム改革の大きな変化に的確に対応していくことが必要であると考えております。さらに今後を考えますと、この他の分野につきましても、社会や技術の状況の変化をタイムリーに捉えまして、的確かつ迅速に対応していくことが必要だと思っております。
環境省といたしましても、こういった検討を的確に進め、各類型の着実な実施、普及促進に努めて参りたいと思いますので、委員のみなさまにおかれましては引き続き忌憚のないご意見、活発なご議論をいただきますようよろしくお願いいたします。

事務局:本検討会のカメラ撮りは、配布資料の確認までとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、本検討会にご参画をいただきました委員の皆様をご紹介いたします。委員名簿につきましては資料2としてお手元に配布しておりますので適宜ご参照ください。

資料2に沿って委員の紹介(省略)。

事務局:次にお手元に配布しました資料1をご覧いただけますでしょうか。環境配慮契約法基本方針の検討会開催要領でございます。こちらの1ページ目、中段の3.組織の(2)の規定により、本検討会の座長を委員の皆様の互選で選出していただくことになっておりますが、僭越ながら事務局からご提案させていただきます。本検討会が設置されて以降、座長を務められ、環境配慮製品・環境配慮契約にお詳しい山本先生にお願いしてはいかがかと思います。みなさまいかがでしょうか。

(異議なし)

事務局:ありがとうございます。それでは本検討会の座長は引き続き山本先生にお願いすることとしまして、今後の議事進行につきましては山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長:ご指名ですので私が司会進行を務めさせていただきます。今日まず私が申し上げたいのは昨晩からの大洪水でありまして、こんなことが首都圏で起こるとは私は夢にも思っていませんでして、一体何をやっているのかと。15人くらいの方がまだ行方不明だと思うのですが、地球温暖化が進行して極端な気象が起こるということはたくさんの論文が出ていて、それが自治体の行政に反映されていないのではないかということについて、私が今非常に腹立たしく感じておりまして、最新の論文をみなさんに紹介しようと思って持ってきました。これは極端な気象の原因ということで、”Attribution of Climate Extreme Events”というKevin E. Trenberthらがつい最近Natureに載せた論文です。言うまでもなく、ある気象を人間起源の地球温暖化か、あるいは自然変動のどちらかに厳密に帰属させることは、これは両方が関与していることが実際には多いわけですから、誤解を与えかねないわけですね。それに対してこの論文では、近年の大変な極端な気象、例えばアメリカでは2010年2月の豪雪、それからスーパーストーム「サンディ」、2011年にフィリピンを襲ったスーパー台風「ハイエン」、2013年9月のコロラド州ボルダーの大洪水、これを詳細に分析して、結局いずれも人間起源の地球温暖化の影響を受けて海面水温が高くなっていることが主な原因だと挙げています。今極端な気象事象が発生していますが、それは人間起源の地球温暖化が起きていなければそういう現象が起こる確率は非常に小さいということで、そういう研究はいくつもあるわけです。
私もつい最近知ったのですが、世界平均気温が4℃上がった場合は、いわゆる5σイベントということが起きてくるということです。みなさんもご存じのように、標準偏差σの5倍中央値から離れたところの確率は正規分布でものすごく出現確率は低くて、100万分の1なわけです。だから従来は100万分の1の確率でしか起きないようなことが、4℃世界平均気温が上がるとそういう5σイベントというようなことが起きてくるというわけです。すなわち6月、7月、8月の平均気温が5σイベントが起きて、熱帯から中緯度にかけて真っ赤になってしまう。つまり5σイベントがニューノーマルになってしまうという、そういうことが社会に浸透していないからこういう油断を招いて、ああいう失態を演ずるというふうに私は思うわけです。
それでみなさんもご存じのように6月18日にローマ法王が回勅を発表して、気候変動は人間起源であることは間違いなく、全力を挙げてこの問題に取り組まなくてはいけないということを宣言されて、世界が驚いたわけですが、それに触発されて8月19日にはイスラムの宗教指導者が集まって、16億人のイスラム教徒に対してイスラム気候宣言を発表して、豊かな国々に対しては2050年までに化石燃料の使用の中止を求めているわけですね。これは、カトリック12億、イスラム16億に対して、全力を挙げて気候変動の問題に立ち向かえということが発表されているわけです。そういう中で今9月に入って、世界の関心がどこに向かっているかというと、9月24日にアメリカの上下両院総会でローマ法王が法王として初めて演説するということで、世界の関心はそれに集まっているわけですね。当然ローマ法王は、アメリカの共和党が人間起源の温暖化を否定していますから、簡単に言えば共和党に対して正面から戦いを挑むと。これが12月のCOP21にどういう形で反映されるか、世界は今固唾を飲んで見守っているということです。カトリックの方は、キリスト教の方は昨年以来ダイベストメント運動というのを展開しているわけですね。要するに化石燃料関係の会社の株式は売ってしまえというものです。実は私も驚いたのは、この1年で様々な年金基金が続々とそれに賛同していて、ダイベストをした資金の総額は6月の段階で500億ドルを超えているとのことです。
だから根底から、この地球のシステムというか我々のガバナンスが変わる節目の年を迎えているわけです。このグリーン契約法の目的はそもそも化石燃料起源のCO2をいかに削減するかというところにあるわけでありますから、私は全知全能を挙げて、この法律の目的に沿ったことをこの検討会はやらなければいけないというふうに考えているわけであります。そういう中でこの北関東の大洪水が起きて、一体政府、行政は何をしているんだと、国民から当然ご批判が出るというところだと私は思っております。そういうことを念頭に今日は先生方にはぜひ忌憚のないご意見をいただきたいと思います。
それでは事務局から資料の確認、検討会の公開等についてご説明をお願いします。

◇本日の議事予定

事務局:本日の会議は、15時30分までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局:続きまして資料の確認をいたします。配布資料につきましては、議事次第に一覧を掲載してございます。資料1から資料5までお配りをしております。

【配付資料】

資料1  環境配慮契約法基本方針検討会開催要領

資料2  平成27年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿

資料3  平成27年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)

資料4  国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について【暫定版】

資料5  平成27年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)

このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子、ESCO導入事例集につきまして冊子でお配りしております。基本方針の関連資料には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜ご参照下さい。資料の不足等ございましたらお申し付けください。
続きまして公開等についてのご説明を申し上げます。資料1をご覧いただけますでしょうか。

事務局:引き続き資料1の「4.公開等の(1)~(3)」について説明(省略)。

議  題

(1)環境配慮契約法基本方針の検討の進め方について

山本座長:公開するということでよろしいわけですね。
それでは早速、議事に入らせていただきます。資料3、環境配慮契約法基本方針の検討の進め方につきましてご説明をお願いします。

事務局:資料3について説明(省略)。

山本座長:はい、ありがとうございました。本年度2件の提案があり、一つは産業廃棄物の処理、もう一つは電気の供給ですね。まず田中先生と山地先生にご意見をいただきたいと思います。田中先生いかがでしょうか。

田中委員:はい。産業廃棄物処理の環境配慮契約法への適用が平成25年度で、26年度からが本格的な運用開始ですので、まずは契約の取組状況をきちんと把握し、解析したいと思います。その中で、今スタートしたばかりの契約が、どのような問題があるからこの提案をしているのかというのを見極めたいと思います。今は優良な産廃処理業者かどうかなどについて一定基準で裾切りした後、事業者同士を経済的に競争させて、経済的にも安い価格で処理をするという仕組みで、良い業者が安く処理をするという業者を選んでいるので、それはそれなりに合理性があると考えています。それが今度、木くずの建設廃棄物の再生利用を積極的にやっているところを高く評価したらどうかという提案ですが、現段階ではどのような目的か、よくわからないところがありますね。いまでも国や地方公共団体といった排出事業者がこういうような項目を入れる、あるいは重みを高くするといったことはできるはずですので、それは今の制度が悪いということにはならないと思います。今のままでも運用上できると思います。
2点目の地方公共団体などが行う場合、元請け業者に対して建設の木くず処理を委託する場合に国と同様に、ということで、国と独立行政法人のみならず民間もこれを義務付けたらいいだろうということなのですが、できることならばそうしなさいという要請はされているわけですので、義務づけるということは、たぶん処理業者の方はもっと高い価格で処理をしたいということでしょう。こういうことをどういう形で仕組みとしていけるかということでいろいろ提案していることだと思いますが、そうなるのかという部分もちょっと疑問、というのが私の意見です。

山本座長:はい。では山地先生。

山地委員:電気のこの提案は少し難しいかなと思って聞いていたところです。総合評価落札方式によってできれば良いですが、やはり評価の指標の明確性が鍵です。指標にするのだから定量化するのだと思うのですが、私の中ではイメージが湧かないなというのが、最初の提案についての感想です。
それから、地域内の再生可能エネルギー等で発電された電気、地産地消のエネルギーの評価とありますが、ここにはいろいろな問題があると思います。地域の定義はどうするのか。コミュニティなのか、自治体なのか、都道府県なのか、あるいはもっと広域の地域なのか、というのが一つなのですが、それよりも何よりも、エネルギーの地産地消とよく言われるのですが、合理性があるかというと、バイオマスあるいは熱のように輸送にコストがかかるものは地産地消に合理性があるのですが、電気の場合は、送電容量の制約がある場合はそれぞれの地域というのは有り得るのですが、送電容量制約がない場合には、例えば再生可能エネルギー、今は太陽光とか風力とかですが、自然変動性のものを受け入れるためには広域で受け入れる方がはるかに合理的に受け入れられます。平準化が起こりますので。だからなぜ地産地消を電気の場合について評価しないといけないのか、理由そのものの納得性が乏しいと私は思います。
それから、蓄電池等を活用したピークカットについて、需要の平準化の実施を評価するというのですが、これは需要側の取組だから、供給契約をする時の話にどうやって持ち込むのでしょう。もちろん今デマンドレスポンスというものを需給調整として導入しようとして、いろいろ試みはあるのですが、ピークカットの実施というこの文脈になるとどうも電気を買う側の話のようですよね。それを供給契約のところにどう入れるのか。私はそこにイメージがわかない。もっとイメージをはっきりさせないと、とても取り組めそうには思えません。
それから田中先生もおっしゃったように、現状では何がいけないのかというところから考えた方がいい。ずいぶんジャンプした、飛び跳ねた提案ではないかと思います。

山本座長:はい、ありがとうございます。それで事務局の方は、廃棄物にしても電気の供給にしても検討会を設けて検討するということですか。

事務局:いえ。これにつきましては事務局で検討させていただいて、先生方にご相談させていいただくというかたちで進めたいと考えております。

山本座長:それでは全般について、秋鹿先生の方からご発言いただきたいと思います。

秋鹿委員:個別の専門的なことをよく理解していないので、担当の先生方が適当なご判断をされているのではないかと思っております。ただやはり、それぞれの現場でもう少し何とかしたいなという気持ちがたくさん表れているのかなと思いますが、今両委員の先生方のお話で私としては納得しております。

鈴木委員:後ほど出てくる締結実績及び取組状況としてご説明があるかもしれないのですが、その中で環境省でいろいろ取組を行われていると思います。その取組はどれくらい達成できているのか、その評価というのをお願いできないでしょうか。

大聖委員:特に意見はありませんけれども、山地先生が先ほど指摘されました点、電気の供給を受ける契約の総合評価落札方式というのは、確かにどういうふうに規定していくのか難しいという実感を持ちました。

藤野委員:初めて参加していますのでフォローしきれていないのですが、両先生のご指摘のとおりかなと思いました。もし、これを考慮した時に、それぞれどれくらいの影響があるのか、どれくらいが対象になりうるか、そこまでの検討に値しないのかどうかはわからないのですが、どれくらいの影響があるのかなということは気になりました。私からは以上です。

野城委員:私もそれぞれのご提案について、田中先生、山地先生のご見解のとおりだろうと思いました。こういう提案をいただくのはとてもいいことですので、事務局にはご負担だと思いますけれども、提案をいただいた際には、こういう理由でこれは採用することは当面は困難といったようなことを公表していただければと思います。そうすることで制度自体が成立してくるのではないでしょうか。要はそこがブラックボックスになっているよりは制度の成り立ちや運用についてより多くの人に知ってもらった方が良いと思いました。以上でございます。

山本座長:ありがとうございます。事務局から今の野城先生のご提案がございましたが、対応はどのようにされるわけですか。

事務局:提案募集の時にも書いてございますけれども、提案に対する検討結果については個別に提案者に回答するかたちで考えております。回答内容について公開するかどうかについてはなかなか難しく、ご提案された方には直接、採用の可否について、理由を付してご回答する予定でございます。
概要として書かせていただいたので少し分かりづらいところがあったかもしれませんが、産業廃棄物の方で再生利用率、リサイクルをやっているところを評価したらどうかというようなご提案ということで、この背景についてヒアリングさせていただいたのですが、一生懸命リサイクルしているけれども、リサイクルをすることによって手間がかかり、コストアップということも出てくるため、事業者としては厳しい状況になっているというようなこともあることから、適切にやっている人がそれなりに評価されるようなかたちにできないかということが、このご提案の趣旨だと私は理解しました。
それから電気ですが、地産地消の話につきましては再生可能エネルギーを受け入れることなどを考えると、山地先生がおっしゃるとおりだと思いますけれども、これは地方公共団体の方のご提案で、自分たちの地域の中で再生可能エネルギーなどを使われている方を評価したいのでということです。ただここについては、産廃のご提案についても同じですが、自ら、自治体なら自治体の方でそういうような基準を作っていただけば採用できるということでございますので、そういうかたちでご回答したいと思っています。以上でございます。

山本座長:この文面を読みますと、この2つの提案については事務局で検討を行うということですよね。

事務局:はい。

山本座長:そういうことで、資料3のご提案、平成27年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針については事務局のご提案どおりご了承いただけるということでよろしゅうございますか。

田中委員:ひとつだけ。事務局から、再生利用を一生懸命やってもその分コストが上がるので、仕事が取れなければせっかく環境に良いことをやっても報いられないというお話がありましたが、産業廃棄物のみならず一般の廃棄物でもリサイクルというのが非常に高く評価されすぎているところがあります。物質回収型のリサイクルが良くて、焼却してエネルギーを回収するのが悪いというのがあって、破砕したり、洗浄したり、加工したり、そういうことで再生して、そのためにコストが上がる。電気も使う。エネルギーも使う。こういうことが起こっているので、それは今反省をして、エネルギー回収も物質回収も同等に評価をして本当にどちらがいいかということ、ライフサイクルアセスメント(LCA)が重要だと指摘しています。収集、運搬、最終処分も含めてトータルで本当にいいのはどっちなのかという解析をすべきなのだと思います。ですから、この再生利用率の定義が問題ですね。物質回収型の再生利用が良いとされている中で、燃やしてエネルギーを活用して電力の購入量を減らすとか、あるいは売電をして化石燃料の消費を削減するというようなエネルギー回収をもっと評価するべきだと私は思っているのですが、それがここでは逆のように取られている。それはちょっと危険だなと思います。

事務局:もちろんこのリサイクルというところにはサーマルも入っています。ご提案の事業者はサーマルリサイクルもやっているということです。中間処理をやられているところなのですが、先生がおっしゃるとおりマテリアルだけではなくてサーマルについても合わせてやっていて、ここでいう再生利用率には両方入っています。木くず等と書いてございますけれども、木くずもちゃんと分別していますという話もうかがいました。

山本座長:この問題はLCAで決着を付けようと思っても、LCAはインパクト分析というところが任意性というか価値判断に基づくところがあって、今の田中先生の2つのどちらが良いのかという判断はLCAでやろうと思ってもなかなか説得力のある判断はできない、難しいということを申し上げておかなければいけないと思うのですが、要は政策判断でやるしかないと思うわけですね。藤野先生、今のインパクト分析の話は意見ありますか。

藤野委員:両先生のおっしゃるところはその通りだなと思います。私も懐かしながら山地先生のところに学生でいた時に、紙のリサイクルをマテリアルでやるのかサーマルでやるのかという分析をやって、状況によってはサーマルの方がいい場合もやはりありますので、そうだなと思いながら昔を振り返っておりました。

山本座長:そういうことで資料3の事務局の提案はよろしゅうございますか。はい、ありがとうございました。それでは本年度の検討方針につきましては、提案どおりにご了承いただいたというふうにさせていただきます。

(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について【暫定版】

山本座長:資料4を事務局より簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

事務局:資料4について説明(省略)

山本座長:ありがとうございました。私から質問は、例の新国立競技場はグリーン契約法の対象になるのですか。

彌吉課長補佐:対象になると思います。

山本座長:あれはやはり国費ですよね。予算は。

彌吉課長補佐:そうですね。はい。(正確には国費以外も含まれる)

山本座長:それで大丈夫なのですかね。環境配慮になっているのかどうか。あれは村上先生が委員長でしたか。

野城委員:そうです。

山本座長:じゃあ間違いなくやっている。

野城委員:CASBEEのS級ということが公募文書に書いてありました。

山本座長:はい、ありがとうございました。それでは山地先生から順番にご意見を頂戴したいと思います。

山地委員:まずまずと感じました。電気のところは横ばいという感じなのですが、やはり独立行政法人等というのは特殊なケースが多いですね。なかなか環境配慮契約に対応できない。だけど国の機関に特定すると85%を超えているので、まあいいところかなというふうに思いました。

山本座長:これはCO2の削減量は計算されていますか。

事務局:まだデータが確定していませんので、次回ないし次々回の検討会でご報告したいと思います。

野城委員:私の担当が8ページ以降の建築物の設計に関する契約というところなのですが、数はいっていますが、実施率等を見ますと大きな傾向の変化はないのかなというふうには思います。やらないところはやらないという開き直りが定着してしまっている感もあります。私の担当外のESCOを含めまして、もしやることがあるとすれば、今年の2月に国際規格で16745というISOが成立しておりまして、それはCarbon metric of a buildingsということで、運用段階における1年あたりの温室効果ガスの排出量を計算するというものです。単純な国際規格でして、特にプロフェッショナルがいなくても、基本的には光熱費の請求書に書いてある使用量から、あとはIEAが指定している係数を掛けて計算するというだけの単純なものです。この法律の対象になっている国や独立行政法人のビルについて計算するというようなことを実施すると、何もやらなくてもいいのだけど毎年あなたのカーボンメトリックがこう推移していますよと計算できます。そのうちにそれを集計すれば、いろいろなベンチマークができるようになりますので、そういう外堀を埋めるようなことをしていけば、4番、5番のESCOおよび建築に関する配慮については10割まで届くような感じがしています。以上でございます。

藤野委員:だいたいのところはそれなりに年数をかけると対策が進んでいくのか普及率が高まっていていいなと思ったのですが、まだ割合が少ないところについて、未実施の理由もまとめられてはいますが、やはりもう少し具体的にパーセンテージを上げていくということについて、どういった取組がもっとできるのかというところについてはさらに追及していただけたらなというのが一つ目です。
それから、こういうことを国が率先してやっているという意味は他のところのモデルになるからやっているのだと思うのですが、先ほどの議論のところで地方自治体の方から再生可能エネルギーをもう少し使いたいのだけれど、というご提案があって、その時の応答で地方自治体でも自分たちの条例なり上乗せで作ればやり得るというご回答もいただいたのですが、この範囲に入っているのかどうかよくわかっていないのですが、エンカレッジして、いろいろな事例が入って裾野が広がるような取組も必要なのかなと、印象なのですが思いました。以上です。

山本座長:藤野先生は「低炭素社会を作る12の方法」をまとめられているのだから、今後、もっと積極的に提言をしていただきたいと思います。国立環境研究所の知識を総動員して。よろしくお願いいたします。

田中委員:自動車も最初の頃、平成20年では27.1%だったものが、26年度には90%を超えるまでになっている。自動車は環境負荷を低減することが燃費を向上させるというコベネフィットがあるので、そういう車を提供する、あるいは購入しようとする車はみんな低炭素社会に合った車、あるいは燃費がいい車しか供給されていないような状況になってきたので、必然的に高くなるのかなと思います。
同じように産業廃棄物も、25年度と26年度の比較だけですけれども、量的には10%台から42%とここまで伸びています。良い産業廃棄物処理業者に育つということを進めるために、国は優良産廃業者の育成をやっております。優良産業廃棄物処理業者というのは環境に配慮する企業。そういう会社は経済的にもゆとりがあって、大きな企業で経済競争力もあるので、優良企業が安くサービスを提供できる。ということで、環境に配慮する企業は競争力もある。コベネフィットと同じような関連がありそうだなと思っています。産業廃棄物処理業界が良い企業ばかりになる、そういう中で競争力のある会社が育っていく、そういう欧米のような年間1兆円以上の企業に育ってくれればいいなと、思っております。

大聖委員:自動車を中心に申し上げますと、購入の場合は確かに好成績なのですが、リースの方がまだ低い状態ですよね。その理由を少し明確にしていただいて、リースの方も頑張っていただくことが必要だと思います。それから藤野委員も言われましたけれども、やはりこれは「先ず隗より始めよ」という話なので、この守備範囲では確かに国と独立行政法人ですけれども、こういう取組が地方自治体やあるいは民間の事業者にも伝わるようなメッセージ性、そういうものも打ち出していただきたいなと思います。

鈴木委員:関連するのですが、産廃以外の5つの分野について未実施の理由がありますが、
これは毎年大体同じ理由なのでしょうか。もしそうならば今以上に実施率を引き上げることは無理ではないかということになります。
未実施のものに対するやり方を考える必要があるのではないでしょうか。

事務局:先生がおっしゃるように概ね同じような理由があがってきています。先ほど野城先生がおっしゃったように、開き直ったかどうかというのはわからないですが、毎年同じような理由があがってきている。ただし、発注に間に合わなかったとか、体制が整わないというのは徐々に減りつつあるというのは事実です。そこを減らすのが第一段階であろうと。戻って恐縮ですが、大聖先生がおっしゃったように、リースの場合はなぜ実施率が低いかというところを今後深堀りして検討させていただいて、それを何とか上手く反映できるようにしたいと思っています。

秋鹿委員:私はこの委員会は比較的長いのですが、いろいろな個別の検討をやっていた中で、自動車は非常にはっきりしていて燃費ということが前面に出ているので、これは提案する人も事業者もデータを持っているし、上手に購入できる。ハイブリッドしかないかなとその時思ったのですが、そういうことが上手くいっているのではないかなと思っております。
廃棄物やESCO、あるいは建築では、こちらは上手くいくのかなとずいぶん心配していたのですが、実施しない理由にも、今、事務局が発言されたように、間に合わなかったということですね。大きなものを作る時にやはり予算の執行期限があって、それに間に合わせるためにいろいろな細かいことを何重にもやっていかなければいけない中で、これをどのくらい検討するかというのがおろそかになっているケースが多々あるのではないかなと思っていました。それにも拘わらず比較的良くなってきたというのは、そういう習慣、こういうことを盛り込まなくてはいけないということをみなさんが意見、意識を共有して、発展してきたのかなという気がいたします。
そういうことを、大きな国立競技場のようなもので、ぜひ見本となるようなものをやっていただきたいと思います。以上です。

山本座長:ありがとうございました。新国立競技場、私が非常に心配しているのは、温暖化が進む中で冷暖房設備を切ってしまったと報道されているのですが、そんなことで野城先生大丈夫なのですかね。

野城委員:困りますね。私は前の設計グループで関わっていましたけれども、前の設計案ではそれを心配して、各座席の下から冷気が出てくるような設計をしていました。あの敷地が非常に狭くて、世間ではキールアーチのことばかりが話題になっているのですが、地下の面積が巨大なのです。普通は、地上のおく設備など色々なものを敷地制約から全部地下にしまっています。地下というのは床面積当たりの単価が高いので、総工事費を政治的に詰める時に、あと一声という時に、空調システムそのものに加えて、それを格納する機械室そのものの面積を削減するということで切ってしまったのだろうと想像いたします。ただ、世界中からお招きするのに、熱中症が出る時期にそういう態度でいいのかということがありますので、設計者には、そういった地下機械室を足さないかたちでの、例えばミストを噴霧するとか、固定屋根が付きますので屋根の通風その他について厳しい状況の中でも配慮していただくということは当然必要です。熱中症対策が不十分であるということになると大変なことになると思います。その制約条件の中で工夫する余地は大いにあると思っております。

山本座長:この委員会の所管する事項ではないかもしれませんが、新国立競技場がグリーン契約法の対象案件となると私どもの意見も表明できるかなということもあるわけですね。新聞報道では総理の決断で予算をばっさり切ったと報道されておりましたが、熱中症続出などということにならないようにお願いをしたいと思います。
資料4についてご議論をしていただいたわけでございますが、何か先生方からその他に意見等ございましたらお願いいたします。

(3)検討スケジュールについて

山本座長:それでは資料5、検討スケジュールについて事務局からご説明をお願いしたいと思います。

事務局:資料5について説明(省略)。

山本座長:先生方から何かご意見、ご質問等ございましたら。

大聖委員:地方でいろいろ説明会をおやりになるということなのですが、そうすると地方自治体とか民間事業者で、車などですと算出式などが整備されていまして比較的誰でも使えるようになっていますので、そういうやり方を、事例をぜひ把握していただければと思うのですが。よろしくお願いします。

事務局:地方公共団体につきましては、別途アンケートを行いますので、そちらで把握して、できれば報告したいと思います。それからブロック別説明会の方は年度末になりますので、タイミングの問題がございますが、情報を集めたいと思います。

山本座長:それでは、若干時間が早いのですが、議題もございませんので、これで今日は閉会させていただきます。どうもありがとうございました。