平成26年度環境配慮契約法基本方針検討会(第1回) 議事録

日時

平成26年9月1日(月)14時~15時30分

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室

出席者

出席委員:秋鹿委員、赤司委員、乙間委員、鈴木委員、大聖委員、田中委員、野城委員、山本委員(座長)

欠席委員:山地委員 (五十音順、敬称略)

議事録

事務局
本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから平成26年度第1回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
本会議、カメラ撮りにつきましては配付資料の確認までとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課大熊課長よりご挨拶申し上げます。

環境省(大熊課長)
皆様、こんにちは。ただいまご紹介をいただきました環境経済課長の大熊でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は平成26年度の環境配慮契約法基本方針検討会の第1回ということでご参加をお願いいたしまして、このように雨もかなり強くなってまいりましたが、足元の悪い中、お越しいただきまして誠にありがとうございます。また、この環境配慮契約法はもちろんでございますが、その他の様々な環境政策の分野も含めて、日頃から先生方には様々にご指導をいただいておりますことにこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
環境配慮契約法でございますが、平成19年に成立してから5年以上経過をいたしました。その間、ご指導をいただきながら基本方針の改定をし、また対象となる契約の類型も増やし、ということで取組を進めてまいりました。昨年は施行5年後の見直しということで施行状況について確認し、ご審議もいただきまして、また、さらに普及を進めていくために地方公共団体の普及をどう進めていくべきかということについても議論をたまわったところでございます。法律施行後5年以上を経過し、現時点ということでございますが、着実に環境配慮契約法の取組を国の出先機関、地方公共団体を含めて広げていく必要な時期にあるのだろうという認識をしております。環境に配慮した契約をするということが普通のことになるように取組を様々な機会に広げていくことが重要だと考えているところでございます。本年度でございますが、昨年度ご議論をいただいて、取組の方針をお示しいただいたESCO事業について独法、国立大学などのために、例えば事例集を作るなどの取組を進めていきたいと考えておりますし、またこれも昨年のご検討の結果を踏まえて地方公共団体への取組を広げていくための調査・分析、あるいは事例の公表といったことにも取り組んでまいりたいと考えているところございます。
一方、新規類型についてでございますが、後ほど事務局からも説明がありますが、新規類型の募集を行いましたところ、そうした形では今年度は提案がなかったところでございますが、今後また事業者だけではなくて、発注者からも意見を集めるということも含めまして検討をしてまいりたいと考えております。いずれにしましても、そうした新しい分野の検討も引き続き行いつつ、取組を広げていくために様々なご意見、知見をいただき、そのためには基本方針とそれに基づく資料の改定という作業もございます。これについてもご指導を賜りたくと考えているところでございます。
最後になりますが、本年度も引き続き様々なお立場、ご専門からご意見をちょうだいし、ご指導をいただきますようお願い申し上げて、冒頭のごあいさつに代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局
まず本検討会にご参画をいただきました委員の皆様をご紹介いたします。お手元にお配りした資料2の委員名簿を適宜ご参照ください。
資料2に沿って委員を検討会の紹介(省略)。

事務局
次にお手元に配布しました資料1「検討会開催要領」をご覧ください。中段の「3.組織等の(2)」の規定により、本検討会の座長を委員の皆様の互選で選出していただくことになっておりますが、僭越ながら事務局からご提案させていただきます。本検討会が設置されて以降、座長を務められ、環境配慮製品・環境配慮契約にお詳しい山本先生に座長をお願いしてはいかがかと存じます。皆様いかがでしょうか。

(異議なし)

事務局
ありがとうございます。それでは本検討会の座長は引き続き山本先生にお願いすることとし、今後の議事進行につきましては、山本座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

山本座長
ご指名ですので座長を引き受けさせていただきます。皆様も昨晩のNHKの番組はご覧になったと思いますが、スーパー台風は大変深刻な問題であると思っております。私も知りませんでしたが、1日で50hPaぐらい急激に勢力が強化されます。そのメカニズムも昨晩放映されておりましたが、海の温暖化がスーパー台風につながる。この海の温暖化は、1日に海に吸収されていくこの余分な熱エネルギーというのは、広島型原爆の40万発分と記憶していましたが、改めて論文を見たら1秒間に4個分の広島型原爆の爆発エネルギーが今海に蓄えられている。これがスーパー台風の出現する要因になっているわけです。今日一日で、全世界からCO2だけで1億トンが放出されてしまう。我々が検討するグリーン契約法で国の排出量を年間に20~30万トン減らそうという話でありますから、日本全体が13億トンぐらい出しているとして、非常にわずかな話と言っては何ですが、これを日本全体に広げればもうちょっと大きな貢献ができるのではないかということで粛々とこの全容を進めていく必要があると考えているところでございます。
せっかくですのであと二つだけ。一つは、最近読んだ論文で衝撃的だったのは、ヨーロッパの人工衛星を使った観測で北極、南極大陸の氷が今、年間5,000億トン失われている。2/3がグリーンランド、1/3が西南極大陸です。これは大変深刻な問題です。さらにアメリカの人工衛星を使った観測で北極圏のアルベドが30年間で8%減少しているということがわかりました。このアルベドの低下によって太陽光線がより少なくしか反射されませんから、北極海に溜まっていく熱エネルギーが全CO2の吸収する熱エネルギーの25%に達しているという計算で、これは相当温暖化の加速が起きつつある、憂慮せざるを得ない状況だと思います。
私は、先週の26日の火曜日のBS11に出て、既に我々は温暖化地獄に突入している。その覚悟をもって軽減策、適応策を議論しなければならないということを申し上げてきたわけであります。このグリーン契約法は軽減策でありますから、数十万トンの削減しか達成できておりませんけれども、これを地方公共団体に広げることによって、さらに数百万トンの上積を目指そうということで、今日はご審議いただければと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。事務局から本日の議事予定、配付資料の確認、検討会の公開等についてご説明をお願いいたします。

◇本日の議事予定

事務局
本日の会議は、14時から16時までの2時間を予定しております。

◇配付資料の確認

事務局
それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元に資料、議事次第に配付資料の一覧を乗せてございます。

◇配付資料

資料1  環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2  平成26年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿
資料3  平成26年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)
資料4  国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について【暫定版】
資料5  平成26年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)
参考資料 平成25年度における国及び独立行政法人等の環境配慮契約の締結実績【暫定版】

このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。こちらには基本方針の関連資料として法律や基本方針、解説資料が持ち込まれておりますので適宜ご参照いただければと思います。資料の不足等があれば事務局までお申し付けください。こちらの関連資料の冊子につきましては傍聴席にも配布してございます。こちらは既にお手元にあって不要な方は席において閉会時に退出していただければと存じます。もしお持ち帰りになられる場合は、次回も出席されるときにお手数ですが、持参いただけますようお願い申し上げます。
それから公開等についてのご説明でございますが、お手元の資料1を再度ご覧いただきたいと存じます。

事務局
引き続き資料1の「4.公開等の(1)~(3)」について説明(省略)。

3.議題

(1)環境配慮契約法基本方針の検討の進め方について

山本座長
それでは、原則として公開ということですので、この会は公開ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

ありがとうございます。それでは、公開ということで進めさせていただきます。

山本座長
それでは早速、議事に入らせていただきます。本年度は今のところ基本方針の改定予定はなくて、ESCOの事例集を作る、あるいは地方公共団体に対してアンケートを行い、その結果から普及を行うところが主な議題であると思います。
それでは、事務局から資料3に基づいて、検討の進め方につきまして簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

事務局
資料3について説明(省略)。

山本座長
はい、ありがとうございました。アンケート調査をするということと、ESCOの事例集を作るということが目玉かと思いますが、鈴木先生、アンケートについてはいかがですか。よろしいですか。

鈴木委員
はい。

山本座長
赤司先生、いかがですか。どういう事例集にするとESCOが普及するか。何かご提言でもございましたらお願いします。

赤司委員
見た限りではこれで結構かと思います。ESCOは主要設備の更新改修が前提になっているものが多いと思います。ビジネスとしては、その後省エネを実現しているかということを見るのがESCOなので、非常に良いことだと思いますが、少し範囲を広げていただいて、改修ではないものも管理をきちんとすることで省エネを進めているというものは、ESCOの対象が外れるかもしれないですが、事例として参考資料に挙げてもらうと実効的な省エネが進んでいくのではないかと感じました。

山本座長
はい、ありがとうございます。それでは、野城先生もご発言をお願いします。

野城委員
今までのカテゴリーを粛々と進めているのだろうと理解いたします。新しいカテゴリーは募集しても、まだ反応がないということでしたが、今まで作り上げたカテゴリーについては普及している状況だと理解いたします。今、赤司先生からのご発言がございましたけれども、私が担当しております建築設計に関するところとESCOとは関連がございます。その中間系と言いますか、大型の改修工事がなくても今ある機器類を運用改善するということです。言わばハードウェアをいじらずにソフトウエアをいじることでそれなりの効果が出る領域がございますので、どちらのカテゴリーを入れていくかということがございますが、今後はそういうものを入れていくと非常に効果が出てくると思います。

山本座長
田中先生、いかがでしょうか。廃棄物が目玉かと思っておりますが。

田中委員
後ほど実績が紹介されるので楽しみにしておりますが、今の説明資料の3では環境負荷低減効果について可能な範囲で試算をしてみるというところが主な課題かと思っております。産業廃棄物の環境配慮契約による環境負荷の低減効果をどのように試算するのかというところが課題で、優良な産廃業者が仕事を取ることによってCO2がどれだけ減るか、あるいはそれ以外の項目も出していかないといけないと思っております。

山本座長
大聖先生。

大聖委員
自動車の件は資料4で議論するでしょうけれども、ESCO事業で感じましたのは、デマンドサイドマネジメントというのがありますね。需要側で管理する。ピークを避けるということですが、そういったものはこの範疇には該当しないのでしょうか。ハードウェアが主体になるのでしょうか。

山本座長
事務局はいかがですか。

環境省(野崎課長補佐)
範囲ですが、法律の中には改修という文言は入っていますが、それが入っていなくてはいけないと読まなくてもいいのかとも思います。広く言いますと運用改善でのESCOの取組があるのかと。今現在は、解説資料の中に、参考という形で省エネチューニングについて掲載しております。昨年度、地方公共団体にアンケート調査をしたときにチューニングについて関心が高かったということがありましたので、今後もフォローしていきたいと思っております。

山本座長
それでは鈴木委員。

鈴木委員
全体的にはこれで結構です。

乙間委員
私はあまりESCOのことは知らないのですが、ESCOは省エネと施設を効率よくして経済的にも成立することが大前提だということですね。CO2の削減の観点からいけば、例えばエネルギー源を変えるというようなことはいかがですか。そういう事例もあると思います。省エネということでエネルギー量を減らすということはよくわかりますが、エネルギー源を変えてCO2を減らすことは検討の範疇に入っていないのでしょうか。

山本座長
それは両方入るでしょう?省エネと省CO2ですよね。

環境省(野崎課長補佐)
はい、入っております。CO2の観点もそうですが、燃料自体を変えるというのは、当然施設に合ったものに変えていきますので、省エネの検討の中で燃料が変わっていくということはあります。

乙間委員
CO2の削減はすごく期待できるけれども、経済的メリットがそれほど期待できない場合は実施することを進めるような提案になるのでしょうか。具体的には、石油からガスに変えるとかですが。

赤司委員
私も専門ではないですが、基本的にはESCO事業で初期投資を選び、改修後は削減された分がメリットになるということがESCOの非常に大きな眼目です。ESCOをやる会社側としては早く改修すれば、そのあとずっとメリットがあるといった、そういう意味ではエネルギー消費を削減することで光熱水費が浮いて、その分が利益になるというのがESCOだと思います。CO2のときにそれが適応できるかというと、CO2削減をこのぐらいしたらいいが、オーバーしたらトレードでお金を払ってCO2排出分を払わなければいけないということも次第に出てきていますので、CO2排出を削減するということで経済的メリットが出ればESCO事業は成り立つと考えています。

山本座長
秋鹿先生、いかがですか。

秋鹿委員
今のことに関連して、先ほどご説明をされた関連資料p.5の下に「経済性にも留意して妥当と判断されたときには」ということがあるので、経済性は必ず考えなければいけないし、考えることだと読みとれると思っています。次のところに、生涯二酸化炭素排出量、CFPでしょうか。この評価を契約の相手方に求めるものとするとありますが、どのぐらいきちんと行われるかが非常に心配です。この分野は素人でありますが、いろいろ調べてみますと経済産業省では産業環境管理協会、産業技術総合研究所がCFPの基礎データを提供していて、いろいろな事業者がそれを元に計算できるようになっていると聞いております。私は実際使ったことはないのですが。環境省のHPでは今使われている燃料について、例えばMJ辺りどのぐらいのCO2を出すかが掲載されています。そういうものはポツポツとありますが、大きな事業をやって大きな改修をして、全てについて、短期間できちんと計算できるとはなかなか思えません。エコプロダクツ展で、経済産業省がCFPのブースを持っていましたが、補助金がなくなったら5年で止めてしまいました。この運動が後退気味で、どんぐりポイントが引き継いでいますが、その実態がよくわかりません。本当にこれを計算しようとするときに手当てがきちんとされているかが心配です。実行してやろうとしたときに真面目な契約者がきちんと計算して、価格とCO2の関係を出せるようになっているかどうかが心配です。米国でも州によって随分違うとは思いますが、カリフォルニア州は少なくとも燃料についてはきちんとデータを出しています。そのデータの元はDOEのものだそうですが、それを使って全ての車について、合計を出して、2020年までにCFPを10%削減するという政策を始めたそうです。そこはひと通りデータがあるようにされています。限られた燃料だけかもしれませんが。今ここでこういうことを理想的にやられていますが、それが本当にできるように、そのためのコストは結構大変だと思いますが、その辺の手当てもこれから国としてはしっかりとしていかないといけないのではないかと感じています。

山本座長
ありがとうございました。今のご質問はCFPを計算する社会的インフラがきちんと整備されているかというご質問だと思います。私は、LCA日本フォーラムの会長として、経済産業省も今年度はデータベースの統合という事業を開始する予定で、LCA日本フォーラムのデータベースと産業技術総合研究所のデータベースは統合しています。それからCFPの計算方法についてはいろいろと問題はありますが、一応整備されています。そういう意味では社会的インフラは今かなり整備されつつあると思っております。事務局はいかがですか。今の秋鹿先生のご質問、これには書いてあるが、実施できないのではないかといったご懸念ですが。

事務局
基本方針に書かれている部分で申しますと、p.5に書かれているLCCO2の話は建築設計の場合の記載になります。実際に建築で設計される際にCASBEEでエネルギーも含めて計算できるような形になっています。先生がおっしゃった、いわゆるCFPやLCAの部分でのインフラがまだ不十分ではないかという点につきましては、山本先生がおっしゃったように全ての品目についてCFPの元になるPCRが準備されているかというと、そういうわけではないですが、逐次増えてきておりますので、その辺を使って、徐々に増えていくのではないかと考えております。

山本座長
野城先生はいかがですか。

野城委員
今の議論については全くそのとおりです。一つは、PCRができるだけ色々な品目をカバーしていくというベースラインがあると思います。それに加えまして行政的な市場への介入をするような政策をするときには割り切りも必要だと思います。私の大学も規制対象となっている、東京都のキャップアンドトレードのやり方がなぜあれだけワークしているのかというと、排出係数についてもいろいろ議論がありますし、計算の方法もいろいろな議論がありますが、とにかく東京都の規制はエクセルの表に入れていけばいい。一物二価ではなくて、一物一価になるような割り切り方もあるということをどこかでしないと、こういった考えにいかないというのも事実だと思います。先ほど議論になっているデマンドサイドマネジメント、運用改善と言いますか、それについても、冒頭に座長がおっしゃいました地公体に含めていこうとすると、地公体の皆さんがCFPレベルでの計算をするのはかなり難しいですが、CFPではなく、UNEPやISOが作ろうとしているコモン・カーボン・メトリックですと、要は光熱費の請求書の量を読み込んで、それに排出係数をかければあらあら計算できます。議論はありますが、そのくらい割り切ってしまったほうが、すそ野を広げることができると思います。誰が規制対象になるかというところによっては、割り切りで簡易なやり方を入れていくということも、すそ野を広げていくためには今後必要な発想かと思いました。

山本座長
ありがとうございます。議論はそこで打ち切らせていただきます。資料3の基本方針の検討の進め方はこれでよろしいですね。
はい、ありがとうございます。それでは速報値のほうが大変気になっておりますので、簡潔にご説明をお願いいたします。


(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について(速報)

事務局
資料4、参考資料について説明(省略)

山本座長
詳細にありがとうございました。それでは野城先生からお願いたします。

野城委員
今ご説明がありましたp.8、9が私の担当している建築の設計に関する契約です。ご説明のように、母数、その他の統計の取り方が違うので単純に言えないとは思いますが、件数ベースで見ても環境配慮型プロポーザルが増えているということはとても良いことだと思います。
未実施の理由の中でやむを得ないものもありますが、ただ一つだけp.9の下に、「増築する研修施設」とあります。少し特殊な事例かもしれませんが、広く読みますと改修する際には、改修元の性能が比較的低いからこういう対象にはならないというミスリーディングされると誤解です。その制約条件はわかりますが、実現する水準ではなくて前との差分であるというように、これから普及する際にアナウンスを出していただけると良いと思います。要は、こういった誤解が拡大しないためにも、新築に比べて実現する性能は低くても、差分が大きければ環境配慮型プロポーザルの設計にする意義があるというメッセージを出していただけたらと思います。

山本座長
はい、ありがとうございます。田中先生、いかがですか。

田中委員
p.11の産業廃棄物処理に係る契約を興味深く聞かせていただきました。かなりのものが24年度中に契約をして、25年度の廃棄物処理のサービスを行ったということですが、25年度の契約がどのぐらいあったかという点では、収集運搬と処分がそれぞれ別々と両方というものをあわせて、1,097件が新制度で契約が結ばれています。12%という数字なので、まだまだ周知されていないことが明らかです。表の9の下は、収集運搬に関する業でどれだけ廃棄物が収集運搬されたか。処分業としてどれだか廃棄物が処分されたか、収集運搬と処分を行う業者がどれだけ廃棄物を扱ったという数字ですので、総数が書けないというのは、同じ廃棄物が収集運搬業者と別の処分業者が扱った可能性があるので書けなかったということで、こういう表になったのですよね。しかし収集運搬と収集運搬プラス処分業を足すことによって少なくとも収集運搬された廃棄物量は分かります。この表から見るとほとんどの廃棄物は収集運搬プラス処分業の会社と契約をして収集処分されていること、国の機関は収集運搬プラス処分業者(比較的規模の大きい企業と考えられる)と契約している場合は、環境配慮契約されていることが分かります。平成25年度の産廃処理はほとんど24年度に契約しているので、環境配慮契約法に基づいた契約はほとんどないのではないかとおもっていましたが、環境配慮契約法で契約したものも結構あるのだとおもいました。p.12は26年度中に契約したが、手続きは25年度に行っているということで、来年度の調査には26年度中に手続きしたものと25年度中に手続きをして26年度に締結した両方が入ってくるということで、それからトータルがわかります。初年度に比べると、環境配慮契約の割合が大幅に伸びています。件数で言えば3倍になっています。廃棄物量に至っては74%が環境配慮契約で収集運搬されているということで、これを100%目指して周知徹底をしていくことが大事かと思います。
来年の調査で知りたい点を調査の項目に入れるとすると、環境配慮契約法になったのでコストが少しぐらい上がったのかという点です。裾切りをして入札しています。初めから入札をした場合最も安い業者が入りますが、裾切りをしたためにいくらかコストが上がったのか、下がったのかというところが知りたい点です。また裾切りで優良産廃業者がほとんどなのか、優良産廃業者でない企業も契約にこぎつけたケースがあるのか、というところも一番知りたいところです。

山本座長
グリーン契約をやって何が改善されたかということをあとで聞かれたときに説明できないといけないので、今のところを一つお願いしたいと思います。
それでは大聖先生はいかがですか。燃料電池車は買おうと思えば買えますよね。

大聖委員
燃料電池車が今年の年末ぐらいに出ると聞いていますが、少し特殊なので、まだまだこれからだと思います。リースの締結実績が低いというのが気になるわけですが、全体としてみると、自動車はかなり優等生ではっきりしているので、選択がうまくされていると思っております。

山本座長
鈴木先生はいかがですか。

鈴木委員
p.2の(2)に電力の未実施の理由とありますが、大学病院や研究施設などは通常原則一般競争入札のはずです。特別な契約、長期契約をやっているということは、一般競争入札に外れているのではないかと思うのですがどうでしょうか。

山本座長
事務局はいかがですか。

事務局
例えば研究機関や大学といったところにおきましては、一般電気事業者から安い価格で今まで調達してきたという経緯があり、一旦入札にすると今まで安い価格でやってきたところが高くなってしまうということも承っております。先生がおっしゃるとおり、基本的には入札にしなければいけないということで、そういう場合は裾切りにしてくださいということです。しかし、かなりコスト面で優位性があるということで、こうした形でやられているところもあると思います。

鈴木委員
これは電力だけでなく他の分野でもいえるのですが、参入障壁と言いますか、既存の契約での内容や入札において不必要な条件をつけて新規参入できないようになっている例があるのではないかということも考えられます。地方公共団体の場合でも、このようなことが窺われる面があったように思います。このため、今年度の調査では、契約の内容や、入札の条件についても調べられないかということです。これは一種の要望です。

山本座長
大事なポイントですので、事務局でご検討をお願いしたいと思います。それでは乙間先生。

乙間委員
私も同じことを感じていたので重なりますが、特別な契約をしているというのは、競争したら高くなるということでしょうか、どうも理解できません。こういう契約が隠れてあるのは許されるのかどうかという気もするので、また機会があれば調べていただければと思います。
それから同じようなことで、多分私が理解できていないのだと思いますが、p.5の自動車の未実施の理由。「仕様書において、『ハイブリッド車であること』を要件としている場合は、総合落札方式でなく、最低価格による一般競争入札で行うことが可能であることを確認している」とありますが、分かり難いように思います。

事務局
今のお話は、先ほど山本先生が燃料電池のことをおっしゃいましたが、解説資料のp.31の(2)行政目的に応じた調達に、「電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素自動車、クリーンディーゼル自動車、バイオエタノール混合ガソリン(E10)対応車等の環境性能に優れた新たな自動車の普及促進、新技術の実証実験の支援といった行政目的を持つ場合は、その目的に対応した条件を設定した調達(当該車種の指定等)が可能である。」ということで記載されております。次世代自動車については、必要に応じ、総合評価ではなく、車種を指定して調達が可能であるいうことが記載されています。この辺も含めて対象を明らかにするということでもう少し書き込んでいきたいと思います。

山本座長
よろしいですか。それでは赤司先生。

赤司委員
ESCOのp.7です。建築の省エネに関しては、他の分野と比べると劣等生なのではないかと思います。なかなか省エネが進まないという現実があります。未実施の理由が他には全部についてありますが、ここにはありません。聞き逃したかもしれませんが、何かありますか。全体が何件あって、そのうちフィージビリスタディをやってESCO事業を実施したという割合がよくわかりません。

環境省(野崎課長補佐)
ESCOについては実施事例を聞いています。ベースという考え方は他にはありますが、ESCOの場合は、まずESCOを実施するかの判断がありますので、ESCOをやらなければ、改修のときに環境配慮型プロポーザル方式や通常の事業発注のやり方で省エネ対策をやってもらうことになり、ESCOについては対象となり得るものだけをやってもらい、その事例を報告していただいているということです。

赤司委員
そういうことですか。そうなると次のページの200数十件ぐらいは改修事業があったということですか。

環境省(野崎課長補佐)
改修事業はあったということです。

赤司委員
そうなると、数件ですので、ほとんど導入されていないという理解してよろしいですか。

環境省(野崎課長補佐)
そうですね。昨年の検討会の中でも議論しましたが、ESCOについては適しているものといないものがあります。国の場合でいきますと、元々事務庁舎というところがあって、光熱費が低い施設が多く、そうするとESCOの場合は下げた分で事業費を賄わなくてはいけないというところが達成できない。そういったものについては、環境配慮型プロポーザルで対応していただくということですが、そういった状況もありまして、なかなか国の施設は実施できる案件が少ない状況です。一方、独法や大学ではかなり大規模な施設、また多消費の用途の施設があるのでそういったところで進んでいくのかと考えております。

赤司委員
最初20年度はフィージビリティスタディをやったのは20件ですが、ここ数年は一桁台のようです。ただし、ESCOについては民間でも最近はあまり実施されない状況になってきています。聞いた話ですが、理由は、契約が10年、20年の長期になるので、その間に条件が変わってしまうと、当初利益と見込んでいたものが吹き飛んでしまいます。ビルのオーナーが変わるとか、いろいろな将来が不透明な部分もあるので、敬遠されつつあると聞きました。これは私の意見ですが、建築設備の改修をして、その後、それで省エネが達成されていることをきちんと確認するスキームがESCOでは大きなポイントになるので、それは非常に良いことだと思っています。なぜかというと建築のエネルギー消費はほとんど運用段階でかかりますので、そこを省エネしないと建物側の省エネが進まないです。ビジネスモデルとしては非常に良いので、きちんと社会に根付かせることが大事だと思っています。そういう意味では最初に発言させていただいたESCOの範囲を押し広げて管理ESCOみたいなものも入れると、より既存の建物も省エネが進むのではないか。国の建物は元々エネルギー消費量が少ないのでなかなかビジネスベースにはならないのかと感じます。

山本座長
事例集を作るときにご配慮ください。それでは秋鹿先生。

秋鹿委員
この実施の調査は大変興味深く見させていただきました。この中で実施しない理由で、一つの例ですが、p.13に、「契約の締結が急を要するものであったため」間に合わなかったとか、最後に、「裾切方式を行った場合、・・・書類が膨大になり、入札参加者に負担を強いるため」というものがたくさん出てくると思っていましたが、パッと見た報告ではあまりないように思いました。この辺は、例えば国の予算が下りたら早く入札してやらないと間に合わないということを周りでたくさん見ていますと、本当にやってくれるのかと心配でしたが、実際はどうだったのですか。このケースはあまり問題にならないように、上手な評価方法を皆さんは考えていたということなのでしょうか。

環境省(野崎課長補佐)
環境配慮契約法の中でも廃棄物については、資料提出や資料の確認が多くてかなり作業が増えるというのが実情です。そういったところも見えていたので、昨年ご紹介をさせて頂きましたが、チェックリスト等を整備して各発注機関に配布しており、それらを参考に何とかやっていただいていると思っております。また段々慣れてくれば、もう少し実施率も上がっていくのではないかと思います。秋鹿先生がおっしゃるところの心配はアンケート調査では挙がってきていませんが、実際はかなりあるのではないかと思います。今後チェックリスト等をブラッシュアップしていき、効率的に進められるように努力していきたいと思っております。

山本座長
先生方から大変貴重なご意見をいただきましたので、事務局におかれてはそのご意見を十分配慮して進めていただきたいと思います。最後に、資料5の検討スケジュールについて簡潔にご説明をお願いいたします。

(3)検討スケジュールについて

事務局
資料5について説明(省略)。

(4)その他

山本座長
はい、ありがとうございました。先生方におかれましては、何か言い残されたようなことはございませんか。よろしいですか。はい、ありがとうございました。
それでは本日はこれで閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。