平成22年度環境配慮契約法基本方針検討会(第3回)議事録

出席委員:
秋鹿委員、碓井委員、乙間委員、坂本委員、鈴木委員、大聖委員、山本委員(座長)
欠席委員:
野城委員、山地委員
(五十音順、敬称略)

日時

平成23年1月5日(水)10時~12時

場所

中央合同庁舎第5号館 環境省第一会議室

1.開会

事務局: おはようございます。本日はお忙しいところ、また新年早々ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。これより平成22年度第3回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
 会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課正田課長よりご挨拶を申し上げます。

2.挨拶

環境省(正田課長): 新年、おめでとうございます。環境経済課の正田でございます。新年早々の検討会の開催でございますが、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。本年度、当検討会におきましては、自動車とOA機器についてWGを設置してご議論を賜ってまいりました。自動車WGにつきましては、前回の検討会で、座長の大聖先生からご報告、ご説明を賜りました。本日は、OA機器の調達に対するガイドラインにつきまして、座長としてとりまとめをお願いしてまいりました秋鹿先生より、ご説明、ご報告を賜りたいと思っております。この結果を基に、今日の議事次第にございますように、今後基本方針解説資料の改訂としてとりまとめてまいりたいと思っております。環境省としましては、今後周知を図ってまいりたいと思っております。ぜひ各委員の皆様からも忌憚のないご意見をいただきたいと思っております。
 また少し気の早い話でございますが、来年度においては、電力について検討の必要があると考えております。この環境配慮契約法基本方針の検討を引き続き、各先生からご指導を賜りますようよろしくお願いを申しあげます。新年初めての検討会の開催に当たりまして簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。

事務局: それでは、以後の議事進行につきましては山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

3.座長挨拶

山本座長: 皆さん、明けましておめでとうございます。今年がどういう年になるかは大変心配しているというか、良い年になってほしいと思っているわけでございますが、いろいろな文献、資料や論文を読みましても、あまり良い展望が見受けられません。特に中国の経済成長とCO2の排出ですが、CO2の排出は2005年で52億トンを排出しているわけです。それが、あと10年経った2020年には100億トンぐらいに増えるのではないかという予想が、今最も確からしくなっているそうです。一方IEAは、例のピークオイルはもう過ぎているのではないかということを言っています。そうなると、この10年がどうなるかです。私は、コペンハーゲン、カンクンの会議を経まして、特に科学者を中心に、このまま手をこまねいていてもいいのかと考えておりまして、地球を急激に冷やすというジオエンジニアリングに対する関心が、今極めて高くなっているわけです。新聞等で報道されましたが、6月には、IPPCのWG1、2、3が、ジオエンジニアリングについて合同の会合を開きます。アメリカ政府とイギリス政府は、すでに昨年10月に報告書を出して、ジオエンジニアリングの研究を推進するということにしています。アメリカは、もう研究費をつけているわけです。特に注目されているのは、北極圏の成層圏に150万トンぐらい亜硫酸ガスを注入するという方法ですが、それによってアジアのモンスーンが破壊されてしまうというコンピュータシミュレーションの結果もあります。私は、今年はガソリンでも深刻な年になるのではないかと感じているわけです。ジオエンジニアリングといった方向によるのではなくて、まさに低炭素革命をやるということが一番良い方法でございますけれども、全力疾走の必要があるにもかかわらず、全力疾走に移れないというのが我々の悩みでもあるわけです。このグリーン購入法と環境配慮契約法が、そこを突破する一つの重要な方策であるはずですが、我々がいかに環境配慮契約法によって低炭素革命を行うかということが、まさにこの委員会の重要な使命であると考えているところでございます。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

事務局: 議事予定、配布資料確認(省略)

4.議事

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針解説資料について

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、早速議事に入りたいと思います。最初に、資料2-1、資料2-2の解説資料の改訂案についてご議論をいただいた後、資料3のOA機器についてご議論をいただきたいと思います。
 それでは、資料2-1、資料2-2について事務局からご説明をお願いしたいと思います。

事務局: 資料2-1及び資料2-2について説明(省略)。

山本座長: ありがとうございました。それでは、ご質問、あるいはご意見等いかがでしょうか。大聖先生、よろしいですか。

大聖委員: はい、基本的に前回と変わっておりません。特にディーゼルエンジンとガソリンエンジンをどういうふうに運用していくかということです。

山本座長: 坂本先生、これで大丈夫ですか。

坂本委員: 結構です。

山本座長: 特にご意見等がございませんようでしたら、次に、資料3のOA機器WGについてご報告いただきたいと思います。
 第2回検討会において、OA機器の調達に当たってのガイドラインを作成することのご了解をいただいております。その後WGにおいて詳細をご検討いただきましたので、資料3のガイドラインは案としてとりまとめられております。
 それでは、座長の秋鹿先生からご説明をお願いしたいと思います。

秋鹿委員: それでは資料3のガイドラインにつきまして説明させていただきます。
 まず、資料3の目次に「1.」から「7.」までございます。これは発注をされる方の作業の時系列に沿って並べてあるものでございます。それでは「1.」から説明させていただきます。「1.環境に配慮したOA機器調達の必要性と意義」ということですが、これは本委員会でも委員の先生方から多くの意見がでたところでございます。どのような質問かといいますと、既にグリーン購入法があるのではないか、それとの整合性はどうなのか、それと比べて環境配慮契約にはどういう意義があるのかといった質問がでました。本委員会としては、もちろんグリーン購入法の網掛けはあって、その上でさらに環境に配慮した調達をする必要があるとの立場でおります。その1点は、まさに最適配置といいますか、台数を減らすということになります。今まではもちろん環境に配慮して1台1台をグリーン購入の基準に照らして買っていたのかもしれませんけれども、今回はそうではなくて、オフィス全体を考えて、端的に言えば台数を減らしなさいということです。もちろん、使い勝手が悪くなってはいけないわけですけれども、最適配置をする
 そのような契約をしてください、ということが最も重要な点です。後ほど「台数の削減」という字句がたくさん出てきますけれども、その辺については委員よりご指摘をいただいた点です。必要性と意義につきましては、今までは過剰に設置されていた傾向があるので、台数の削減や配置を最適化することによって、全体としてCO2の削減を図っていただきたい、ということです。それからもう1つは、この委員会はそもそも「最適配置」という概念を掲げて始めたわけです。使う人によっていろいろな使い方があるので、最適配置と調達を、1つに統一した契約の仕方で提示するということは昨年までの議論によって時期尚早であるという結論がでました。そこで、「最適配置」を因数分解して調査と契約の2つの関数に分解しまして、それぞれを行うという形になったわけであります。しかも、使う人や使い方によってだいぶ違うので、ガイドラインという形でご提示するということに最終的になりました。それについては前回のこの委員会でもご承認いただいたわけでございます。それが「1.」の背景にございます。それからもう1つ、「OA機器」の定義でございますが、下のほうにありますようにグリーン購入法と同じで、「『コピー機等』(コピー機及び複合機並びに拡張性のあるデジタルコピー機)及び『プリンタ等』(プリンタ及びプリンタ/ファクシミリ兼用機)」でございます。
 では、次のページ以降のご説明をさせていただきます。「2.ガイドライン策定の目的」についてですが、これはこのページの最後に書いてありますように「OA機器による温室効果ガスの排出を削減すること」でございます。LCAにおいて使用場面、特に紙の使用によるCO2の排出が重要で、そのようなところを意識しながら全体としてCO2の排出の削減を図っていただきたいということです。表1には、各段階・各場面でどのような対策があるかがまとめられています。
 引き続きまして、p.3の「3.ガイドラインの構成」についてですが、ガイドラインとはこの資料ですが、ここでは「3.」の後の「4.」から「7.」についてご説明いたします。先ほど因数分解と申しあげましたが、その最初の調査をどのようにするかということが「4.」に書かれております。「5.OA機器を調達する際の留意点」、「6.OA機器を調達する際に提示すべき項目(仕様書)」、「7.OA機器を使用する際の留意点」という構成になっております。
 それから、次のページを開けていただきますと、時系列に沿って入札準備から契約に至るまでの項目が示されております。そして、それぞれの項目に対応して、このガイドラインの「4.」から「7.」がどこに対応するのかについてこのチャートで示しております。
 次のp.5は実態調査についてですが、どういう実態調査をしてほしいかといいますと「4-1 調査対象」にありますように「1~2年後に一定規模以上の機器調達が見込まれる施設、又はフロア」で行っていただきたい。また、今までフロアの中で契約がそろっていなかった場合については脚注3にありますように契約を統一するようなことを考えていただきたいということです。なお、「一定規模」というのは自由に解釈していただいて構わないのですが、例えば50台以上が目安であるという数字を提示しております。「4-2発注者の調査実施体制」には、機関によっては総務が担当したり情報部門が担当したりしておりますが、関連の部署が連携を図ってくださいということを記しております。「4-3 調査実施主体」ですが、どこが実施するかについて3つの例を示しております。OA機器事業者が実施してもよいですし、コンサルティング会社に委託してもよいですし、あるいは能力があるならば国及び独立行政法人等自らが実施してもよいということを謳っております。次のページにいきますと、今の3つの場合にどのような長所短所があるのかということを記しております。例えばOA事業者が実施する場合、知見があるわけですから適切な報告が期待できるわけですけれども、今度は入札の際の公平性が保たれるのかどうかといった点を勘案して欲しいといったようなことです。それから「4-4 調査項目・調査内容」ですが、調査として2種類、細かくいいますと3種類ですが、調査を実施して欲しいということを書いております。1つは定量調査で、現地調査によってどんな使い勝手になっているのか把握する調査です。それが表3の定量調査の調査内容になっております。レイアウト図ですとか出力の様子を調査していただきたいということです。また「(2)定性調査」ですが、2つございまして、「[1]アンケート調査」は利用者への調査、「[2]インタビュー調査」は管理者への調査です。内容はそれぞれ表4、表5に提示されております。次のページに進みますと、「4-5 調査結果の活用方法」として、調査報告書を作成して、その内容としては今まで述べたようなことをまとめてくださいというようなことを記しております。「4-6 調査期間」については、定量調査だけで済ませる場合は2ヶ月程度でよいかもしれませんが、定量調査に加えて定性調査を実施する場合は3~4ヶ月要するようです。したがいまして、そのくらい前から準備を始めてください、ということを謳っております。それから「4-7 調査の仕様」ですが、OA機器事業者やコンサルティング会社に調査を発注する場合の仕様の例を表7にまとめております。次のページは定量調査の仕様書をさらに詳しく示しております。これは調査を発注するのが初めてであることを想定してかなり詳しく提示することになりました。調査報告書は概要版と詳細版の2種類を作成することなどを例として提示しております。
 さて、p.12にまいりまして、「5.」で調査が終わって実際に調達する際の留意点を整理しています。まず、調達する際に台数を削減したいということを謳っております。もちろん、ただ削減するのではなく、適切な利用環境を確保することも必要であるということも謳っております。それから「5-2 用紙使用の削減」は、用紙の使用量削減のための方策が書かれています。「5-3 使用時の消費電力の削減」では個々の機器の性能が出てくるわけですけれども、TEC値といった指標を設定していただきたいということです。「5-4 消耗品の調達・メンテナンスの効率化」ではここに記載のあることにも留意して欲しいということ、「5-5 OA機器の使用時以外の環境負荷」ではリユース機の調達も温室効果ガス排出削減に有効であるということを書いています。「5-6 OA機器の使用実態の把握」では、継続的な改善努力をするために出力状況などを定期的に提供していただくことも入札時の要件として設定していただきたいということです。「5-7 契約方式」は最低価格落札方式で、従来の方式と変わらないのですが、当初目標としていました総合評価落札方式を実施しても構わないということを記しており、この総合評価落札方式につきましては後ほど事例を紹介しております。「5-8 その他」では、公平性が担保されることに留意するよう記しております。
 次は「6.OA機器を調達する際に提示すべき項目(仕様書)」についてです。仕様書の例の中に下線を引いた箇所がありますが、その部分は環境に配慮した項目ですので、特に留意していただきたい項目です。なお、TEC値について申し上げましたが、TEC値ではなくOM方式が基準となっている機器もありますので、そのことにも注意していただきたいということを脚注に示しています。
 p.18はガイドラインの最後でございます。「7.OA機器を使用する際の留意点」でございまして、用紙や電力量を削減していただきたいわけですけれども、その際の留意点を整理しております。
 以上がガイドラインですが、さらにガイドラインの参考がございます。これは先進的な事例として国土交通省北陸地方整備局で実施された実例です。「3.調達による効果」という項目がございますが、OA機器の台数が74%、CO2排出量が83%、コストが25%削減されて、さらに契約件数が82件から1件に削減されております。p.20は具体的な仕様書の内容でございます。
 最後、p.22になりますが、調達に際してのチェックリストを示してございます。共通項目の他、台数ですとか用紙使用量の削減といったそれぞれの目的に向けての配慮事項とガイドライン中の参照箇所を示しております。
 以上が、本委員会のご報告でございます。

山本座長: 大変詳しいご紹介をありがとうございました。先生方からコメント、あるいはご質問等がございましたらお願いします。

坂本委員: CO2削減や省エネはこの事例でよくわかりましたが、作業効率の使い勝手についてフォローアップをするということは条件につけなくてもよろしいのでしょうか。

秋鹿委員: ここでも最適配置という言葉ですませておりますが、これについては委員会の中でも、メーカーの方、あるいは使う方からもご意見をいただいております。もちろん台数を減らしたいということもありますが、そういうことと表裏一体にして利便性のある使い方も考えてほしいということは、ガイドラインの中でフォローしているつもりでおります。

坂本委員: 利便性についての数値指標はないのですか。

秋鹿委員: この委員会を始めたときに最適配置については、民間ではすでに取り組んでいるという話です。私どもの委員会の中でも随分やり取りはありましたが、使うオフィスの性質がいろいろあると思いますので、個別の事例をディスカッションすることはできませんでした。おそらくこの業界の方々はそういうことも含めて、随分と研究をしていらっしゃるのではないかと思っております。

山本座長: 台数が74%も減っているのに、コストがあまり減らないというのはどういうことですか。

事務局: 北陸地方整備局の特徴としてファックスが多かったと聞いておりますので、台数が減ったのは、ファックスによるところが多かったのではないかと推察されます。先ほどの作業効率についてですが、p.8に、稼働率を概ね全体の3~7%にしてくださいというように注意書きを書いております。これによって調達の時点で作業効率が保たれるように、配慮しております。ちなみに、この数値はヒアリングにおいてOA機器事業者から集めたデータによります。
 またp.16にありますように、出力状況データを提供していただくということにしておりますので、複写・プリント出力状況を把握できるようにはなっております。次回の調達の際に稼働率を見て変更することも可能であると思われます。

山本座長: 契約件数が、82件から1件に削減ということは、1社で全部すませたということですね。すばらしいガイドラインを作っていただきましてありがとうございました。

大聖委員:  OA機器では、ペーパーレスの方向もあるわけです。文書を全部プリントするというのではなくて、ディスクに貯めるといったインセンティブとセットで考えないといけないのではないかという気がします。今揃えたOA機器が将来ペーパーレス化によって稼働率が落ちるということも織り込まないとまずいのではと思います。
 もう一つは、買い替えによる差分というのでしょうか、つまりどんどん効率が良くなっていますから、本当は最適なタイミングで買い換えも含めて調達すべき時期や構成があり得るのではないかと思います。そういうことに対する配慮はどのようになっているのでしょうか。

秋鹿委員: ペーパーレス等、次の技術がどうなるかということについては、業界からの委員の方もいらっしゃいますので議論はさせていただきましたが、その点は念頭に置きつつ、今あるものの実態にそったガイドラインを目指しております。もちろん各メーカーでは、例えば紙を薄くする提案のような新しい研究や機能も加えていると思いますが、ペーパーレスについては、また別の問題で、オフィス産業全体がどうなるかということですので、そのことを条件に入れての検討は、敢えて言えば、していないというようにお答えさせていただきます。

事務局: ペーパーレス化について、OA機器の使用段階での環境負荷でみると、やはり紙の使用による部分が非常に大きいということでした。それはライフサイクルを見ても明らかでしたので、当然そこを大きく削減していくというところが一つ、私たちの課題として考えました。このガイドラインのp.12の「5-2の用紙使用の削減」に、若干言葉足らずの部分があるかと思いますが、行政の仕事の仕方として2つの方法で紙を削減してくださいということをお願いしております。一つは、皆さんもご存知のとおり、両面印刷や集約印刷です。1枚の紙の裏表を使うのと、1枚のA4の紙の中に2ページ分入るような印刷を見受けられたことがあるかと思います。集約印刷や両面印刷をすることによって、同じ情報量で紙の量を削減してくださいというアプローチの仕方と、あともう一つは、無駄な紙の削減というところを謳っています。ここでは、「セキュリティプリント機能」という形で言わせていただいていますが、その情報を本当に紙にする必要があるのかどうかというところを確認していただいた上で出力して下さいということです。セキュリティプリント機能によって紙使用の削減につながるのではないかと考えております。
 もう一点は、買い替えのタイミングの話ですが、技術進歩は常にありますので、どこで買い替えるのが一番良いのかというところが将来的に予見しにくいところがあると考えております。それについては、ある程度一定という仮定の下で考えるという前提を置いております。p.5の「4.OA機器実態調査」の「4-1調査対象」では、実際の調達での買い替えのタイミングの調節というところで、調達の規模を大きくするために期間を調整するということをお願いしております。そこで若干フォローすることはできるかと思っております。

乙間委員: 先ほどの質問に対する答えと被るかもしれないですが、一点目は、調査はほとんど現状調査がメインとなっております。将来の需要予測にはあまり及んでいません。システム構築をしたら、次のシステムを更新するまでどのぐらいの期間を想定されているのかということです。もし長いようでしたら、需要予測も調査の中にもう少しウェイトをおいて入れたほうがよいように思います。多分5年ぐらいという気はしますが、それがあまりよく見えないです。
 二点目は、50台という目安が入っておりますが、内容を読ませていただきますと、多くの施設では、多分専門家にお願いしないと十分な調査はできない状況だと思います。そうすると50台のシステム構築というのは、大体事業規模としていくらぐらいなのかということです。この調査をするとどのぐらいかかるのかということで、事業規模の金額をどのぐらいを考えておられるのか、さらにそれに対する調査のウェイトがどのぐらいかかるのかです。50台ぐらいの調査ですと、費用的に負担になるのではないかという気がします。何千台ということであれば、少し話は変わると思いますが、その辺のところをどういうふうに念頭に置いておられるのでしょうか。

事務局: まず一つは、将来の需要予測の話です。行政というのは、組織改編や配置換えがありますので、そこまで見越すのはなかなか難しいと考えております。現状としてどういう状況になっているのかをまずきちんと把握してくださいということをお願いする必要があると考えております。また、北陸地方整備局の事例にあるように、実際に導入する際に既存のデータがあれば、それに上積みするような形で、簡易的な調査を行うことができますので、そういう形で情報を持っていただくということをまず一点、目的としております。
 50台というのは、予算的にどの程度かということですが、調査の深さによっても当然変わってくると思います。調査としては、定量調査と定性調査です。定性調査の中でも使用者と管理者ということで、大きくは3つに分かれるような形で調査をしております。

碓井委員: 私も今のところに関心を持ちましたが、実態調査は外注すれば契約ということになってきますが、今まさに規模のことで個別の省庁の一定の施設等の単位で行う調査は非常に小規模なものですので、それが果たして経済的合理性があるのかとの感想を抱きました。あるいは各部署からの委託を受けて、どこかで一括して何年度の調査はまとめてやりましょうという方が、調査報告書のスタイルは横並びでできるわけですから、コスト削減につながると思います。これは環境配慮契約とは関係のない話です。

山本座長: コスト配慮契約ですね。事務局のほうでありますか。

事務局: 今まで何点かご指摘をいただきましたので、秋鹿先生とご相談をさせていただきたいと思います。台数の規模によって調査費用のウェイトが非常に大きくなってしまう可能性がありますので、注意喚起の記述が必要かもしれません。
 また、乙間先生からご指摘いただきましたリース期間については、その機器をどれだけ使うかによって最適配置の内容が変わる可能性があるということも、注意喚起の意味で、例えばp.8の「4-5調査結果の活用方法」の辺りに追記することを検討させていただきたいと思います。
 それからもう一点は、大聖先生からご指摘をいただいたペーパーレスの話ですが、p.18の「OA機器を使用する際の留意点」に少しだけ記載があります。まさに使用する段階で注意すべきことであると思いますので、ここに追記するかどうかを秋鹿先生とご相談させていただきたいと思います。

山本座長: はい、ありがとうございました。大変貴重なご意見をたくさんいただきました。予定の時間になりましたので、事務局と秋鹿先生で、その意見を反映した最終案を作っていただき、これを実施に移していただくということでよろしいでしょうか。

――了承――

山本座長: はい、ありがとうございます。それでは、環境配慮契約による環境負荷低減効果について資料4と関連資料参考1を併せて簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

(2)環境配慮契約による環境負荷低減効果について

事務局: 資料4及び参考1について説明(省略)。

山本座長: 大変詳細なご説明をありがとうございました。これだけいろいろなことを国は一生懸命やっているということをもっとアピールしていただきたいと思います。地方公共団体、及び民間もこういう国の動きに倣った行動を取っていただくことが大事だと思いますので、ぜひ参考1に挙げられたような、「国等の機関の環境配慮契約の締結実績」をもっと社会に強くアピールすることを考えていただきたい、ということが私の感想です。先生方、ご意見はいかがでしょうか。
 随分詳しくご説明をいただきましたので、この議題はこのぐらいにさせていただいて、資料5、6について、平成23年度の検討における方針・課題につきましてご紹介をいただきたいと思います。

(3)平成23年度における検討方針・課題について

事務局: 資料5、引き続き資料6について説明(省略)。

山本座長: 大変詳しいご紹介をいただきましてありがとうございました。新規契約類型に関して毎年提案が少ないというお話があったわけですけれども、先生方、いかがでしょうか。何か他に有力な環境配慮契約の対象があるかどうかです。私は、前からお話をしているように物流、あるいは銀行は対象となりうるかと考えております。国のお金をどこから支出するかです。地方ですと、地方の銀行のどこの口座を使うかということが、その地方銀行がどのぐらい環境配慮経営をやっているかということと絡められればと思います。先生方からこれに対するご質問でも結構でございますけれども、こういう環境配慮契約もあり得るというご意見がございましたらご提案をいただきたいと思います。

乙間委員: 今の座長の質問と少し離れますけれども、グリーン購入法や環境配慮契約配慮法に関する資格試験をしたらどうですか。結構国のムーブメントになるということが一つと、私の感覚では、地方自治体が特にそうですが、契約を担当している方は内容をあまりご存知ないです。そして担当者の人には、そのようなことを勉強するモチベーションが見受けられません。もう少しシステムが落ち着けば資格試験をして、現場の担当者のモチベーションにする。そして多少なりとも処遇の改善、キャリアにつながるのであれば、個人にとっても国にとっても非常にプラスではないかと思います。今日、ふと思ったことです。

山本座長: 確かに先ほどの国土交通省の北陸地方整備局で、あれだけの劇的な削減ができるというのはすごいです。

乙間委員: そういう人たちを評価しなければいけません。そして他の人もそういうことをしようという気になります。

山本座長: これはやったからと言って、今のところは全然褒められることがないわけです。何か褒める仕組みを考えないといけないかもしれません。確かにグリーン調達検定があると良いかもしれないですね。

秋鹿委員: 今の乙間先生のあとをついで、先ほど事務局からどのぐらいグリーン契約法を使っているかという説明があったわけですけれども、そのような中で準備期間が足りないという声があります。私も身近なところで新しい建物をお国の予算で作ってやるのに、その委員会の中で、「環境配慮法をしていますか。」と伺うと、「グリーン購入法はやっています。」とおっしゃいますが、「環境配慮は、予算が決まるのがぎりぎりですので、時間が足りず、決まるかどうかもわからない。」とのような状況があります。しかし非常に大きな額なので、やはり日頃からそのような準備をしていただくよう、公務員の方々の意識を高めて行く必要があるのではないかと思います。ですから乙間先生がおっしゃるように、検定試験というのは、契約担当の方や財務の方に日頃からこのようなことを考えるようにしていただくための手段の一つかもしれません。前に山本座長もおっしゃったように、何か賞罰というか、褒めてあげるとかということをすることは非常に重要だと思います。
 私は、平成22年度の基本方針の冊子の中の最初のところをもう一回見ましたが、「環境配慮をするための努力するものとする。」という表現が非常に多いですが、「各省各庁の長は必要な措置を講じるよう努めなければならない。」というのが、たった一つだけなのです。「しなければならない。」と書いてあるのが一つだけで、その他は、「何とかすることが好ましい云々。」と書いてあるわけです。「しなければならない。」ということが一つでも書いてあるということはしなければならないわけなので、これは何らかの形で理解を広めるような方策を考えなければと思います。良い方法がすぐには思いつきませんけれども、先ほど山本先生からも銀行のお話がありましたが、お金に緑の色をつけられるようなものがあってもいいのではないかと思いました。

大聖委員: 例えば国のいろいろな機関の部や課で、OA機器の電気使用量や紙の使用量を年間にどれぐらい減らせるかというのは競争の対象になるのではないかと思います。我々、大学ですと、前年度比で何%ずつ必ず節約していくという目標を掲げて、それに沿って皆で努力するということをやらなければならないのです。効率の良いOA機器を売り込むというのは業者が進んで取り組むわけですけれども、紙自体の削減の努力は、実はそれに入っていません。セットでやらないといけないという印象を強く持ちました。
 それからあとは山本座長がおっしゃったように、運輸部門ではグリーン経営認証というものがあり、私もかかわっておりますが、環境に配慮した経営に対して認証を与える制度です。それを取得すると荷主から高く評価されて経営がうまく行くという仕組みがあります。民間でもそういう取り組みに対する認証が与えられているので目標になるのではないかということを考えました。
 それからもう一つ、これも座長がおっしゃいましたが、物流部門です。今申し上げたグリーン経営が対象になっていますが、バス、トラックを大量に購入するときに環境に配慮した購入をやるということは民間が行うことですが、あるいは公共交通機関でも市営、ゆくゆくは民営でもいいですが、そういったところも対象にしていただくと良いのではないでしょうか。とりわけ3.5トンを超える重量車の燃費基準が2015年度からスタートしますが、前倒し的に達成している車も出てきています。それも一つの基準になります。今は乗用車が対象ですが、その次のステップとしてはそういうものがあると思います。

坂本委員: 資格試験みたいなものをおっしゃっていましたが、環境大臣表彰制度をぜひやっていただきたいと思いました。
 また、お金の話になってしまうと皆さんは真剣に取り組んでいただけるので、これもきっとトータルのライフサイクルコストで考えれば、ライフサイクルCO2が小さいということは、ライフサイクルコストも小さくなるはずなので、環境配慮の契約をやることの効果をもう少しうまく表現できないかと思っております。座長のご質問とは別な話でございますが。

山本座長: 碓井先生、鈴木先生、よろしいですか。

鈴木委員: 環境配慮契約法の促進という点からアイデアが提案されています。ただ、この法律の対象は公務員であり、公務員の方は表彰制度には余りご関心をお持ちならないのではないでしょうか。このため先ほどの環境配慮を実施した役所の例は予算の節約にもつながっていますので、その分だけ当該部局が予算を自由に使えるという仕組みのほうがもっとインセンティブが働くのではないかと思います。

山本座長: いろいろとご提案がございましたので、ぜひ事務局でまとめて平成23年度の検討に反映をお願いしたいと思います。それでは、あとの残りは、参考2のご紹介ということで、よろしくお願いします。

(4)その他

事務局: 参考2について説明(省略)。

大聖委員: p.22は、トンベースですが、p.23、24はkgベースですから、揃えたほうがいいと思います。

事務局: 単位を揃えるよう、修正したいと思います。

山本座長: はい、ありがとうございました。何かご指摘、あるいはご質問等がございましたらお願いします。先ほどの排出係数の単位を揃えるのはぜひやってください。よろしいですか。

大聖委員: 冒頭に座長がおっしゃった温暖化ですが、私は年末に中国に行って北京大学といろいろ交流をしてきました。日本の取り組みをもう少し発信してもよいのではないでしょうか。こういうことをガバメント・プロキュアメントと言いますが、やはり大きな国ですから、政府調達による効果が大きいです。アメリカなどは行っています。そのようなことを国際的に発信したらいかがかと思います。

山本座長: それでは今日はどうもありがどうございました。