平成21年度環境配慮契約法基本方針検討会(第1回)議事録

出席委員:
秋鹿委員、碓井委員、乙間委員、坂本委員、鈴木委員、千田委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)(五十音順、敬称略)
欠席委員:
大聖委員

日時

平成21年7月29日(水) 9時00分~10時40分

場所

三田共用会議所 3F C・D・E号室

1.開会

事務局:
 ただいまより平成21年度環境配慮契約法基本方針検討会(第1回)を開催したいと思います。本日はお忙しいところ朝早くからご参集いただきまして誠にありがとうございます。会議に先立ちまして環境省環境経済課の石飛課長よりご挨拶申し上げます。

2.挨拶

石飛課長: おはようございます。今日は大変蒸し暑い中、朝早くお集まりいただきましてありがとうございます。本来なら新しく総合環境政策局長に就任しました白石が参るところでございますが、残念ながら所用により後半参る予定でございますので、また後半挨拶をいたしたいと思っております。とりあえず私から開会のご挨拶をさせていただきたいと思います。
 この環境配慮契約法は、地球温暖化防止の一つの政策手法として平成19年に施行されまして、今年3年度目に入ったところでございます。目的は先ほど申し上げましたとおり、地球温暖化防止に資する低炭素社会に向けての社会のしくみづくりの一環であるということで始めたところでございます。2008年度から京都議定書の目標の約束期間でございますが、達成状況につきましては、2008年度のデータは出ておりませんが、その前年度の2007年度の状況を見ますと、昨年度から始まった京都議定書の目標達成も非常に厳しい状況になっているところでございます。昨年からの経済危機によりまして、経済活動そのものが少し縮小している状況もございますが、経済活動頼みではなく、むしろ私どもは経済の活動そのものを変えていくことがこの目標達成に必要なことであると考えてございます。
 さらに先月、政府として中期目標、つまり2013年以降2020年までの温室効果ガスの削減目標を発表したわけでございます。これについてはまだ交渉の第一歩でございまして、今年12月のCOP15、コペンハーゲンで行われる締結国会議で非常に厳しい議論が予想されているところでございますので、まだ何%ということは確定したわけではございませんけれど、少なくともこれからもその道筋が緩やかになることはないだろうと考えております。その意味でありとあらゆる政策手段を投入して、温室効果ガスの削減ができる社会を実現していく必要があるわけでございます。
 この意味で環境配慮契約法はご承知の通り、非常に特徴的な手段でありまして、今までの会計上の契約は最も安い価格のものを落札とする方式が一般的であったのに対して、環境への配慮ということがどれだけその中に組み入れられているかということを重視する契約を求めるものでございます。とはいえまだ19年11月に始まったばかりでございます。国等の取組みもまだ緒に着いたばかりでございますので、それをますます高めていく努力はしていかなければいけないと思っております。またこれは国だけがやればいいというものではございませんので、地方公共団体にもこのような手法を取り入れていただくということを促進していきたいと思っております。さらには、国等とは契約手法や契約の中身がかなり異なるものの、民間にも応用できるところは応用していただくことを期待しているところでございますので、そういった普及を急いで行っていくということが大きな課題になっております。一方でこの法律ができたときには4種類の契約についての規定がなされておりまして、基本方針をお手元に冊子でお配りしておりますけれど、電力、自動車、ESCO事業、建築物の設計の4つでございます。これにつきましてもまた事情の変化に応じてこの基本方針を変えていく必要があると思っております。その意味で、今年度は電力の供給等について一部改める検討をお願いしていきたいと思っております。それに加えましてさらにこの契約を広めていくという意味で、昨年から検討を着手いたしましたOA機器の配置、船舶、これについては引き続きご検討をいただきたいと思っております。更に今まで様々なご提案をいただいている中で、自動販売機につきましてもまだまだCO2の削減をするという意味での削減の余地がある。この契約の中でそういうものを織り込んでいくため、検討の対象にすべきではないかというご提案をいただいておりますので、そういうことも含めて今年はご検討いただきたいと思っております。非常に多岐にわたる検討でございますので、それぞれのテーマにつきましてワーキンググループを設置して検討するという予定にしております。委員の先生方にはそれぞれのワーキンググループの中にもご参画いただいてご審議に参加していただきたいと思っております。
 21年度と申しましてももう第1四半期は終了いたしまして、まもなく8月というところでございますけれども、これまで様々にご提案をいただいたものを踏まえて計画的に検討を進めていきたいと思っておりますので、大変お忙しいところとは存じますけれども、ご協力ご指導いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上で開会の挨拶を終わります。ありがとうございました。

3.委員紹介

事務局: 委員紹介(省略)。

事務局: 次にお手元に配布しました資料1「検討会開催要領」をご覧ください。「3.組織等」の(2)の規定により、本検討会の座長を委員の皆様の互選で選出していただくことになっておりますが、僭越ながら事務局からご提案させていただきます。一昨年度、昨年度ともに本検討会の座長を務められ、環境配慮製品・環境配慮契約にお詳しい山本先生にお願いしてはいかがかと思いますが、皆様いかがでしょうか。

- 了承 -

事務局: それでは、本検討会の座長を山本先生にお願いすることとし、これからの議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: ご指名でございますので、座長を引き受けさせていただきます。
 先ほど、石飛課長から大変詳しくご紹介ございましたけれども、私は6~7月にかけて世界がこの地球温暖化、気候変動の問題については認識を一変したと思います。特に今月に入ってラクイラで開かれたサミットで、地球の表面温度を2℃以下に抑制する「気候ターゲット2℃」が先進国のみならず途上国も含めてコンセンサスが得られたことは人類の歴史の中でもおそらく初めてのことではないかと思っております。先ほど中期目標の話が出ましたけれど、6月10日の政府の中期目標は交渉の第一歩ということではございますが、あれはIPPCのシナリオで言うと、地球の表面温度を4℃上げてしまう可能性があるところです。7月の最初にグリーンランドダイアログといって、グリーンランドで開催された29カ国の環境大臣会合がございまして、そこに日本からは環境副大臣が参加されたわけですありますが、2℃ターゲットが初めてグリーンランドダイアログでコンセンサスが得られ、日本も賛成したわけです。それで7月8日9日ラクイラサミットでG8もMEFも2℃ターゲットを支持し、国際的に受け入れられたということで、日本政府ははじめて気候の安定度をどの水準で実行するかを表明したわけです。ところが2℃以下に抑えることは極めて大変なことで、今の情勢では2℃を突破するには、まず膨大な科学的証拠から言って、あと20年後といってよろしいと思います。2℃突破を阻止するために人類が放出できる温室効果ガスの総量は、炭酸ガスに換算して約1兆2千億トン、大体現在確認されている化石燃料の半分以下しか燃やせないということであります。そこで、間に合うか間に合わないかという議論になっているわけで、2℃450ppmというシナリオで、国際的な交渉が進んでいるわけであります。一般に報道されていないのは、2015年あるいは2020年以降、先進国はどのくらいの速さで削減していくかというと、製造プロセスから出る炭酸ガスは、2℃以下に抑制する場合は年率5%くらい削減しなければいけない。これは清水の舞台から飛び降りるような激しさで削減していく必要があるわけで、それで2050年から2060年にかけてほぼゼロにしなければいけない。ですからゼロカーボンエコノミーを目指すことが重要なポイントで、5月にイギリスのロンドンで開かれた世界のノーベル賞受賞者の国際会議でも、とにかく先進国は一刻も早くゼロカーボンエコノミーを目指せという要請になっているわけです。したがって、我々は2℃450ppmで全力をあげる必要があるわけですが、国際エネルギー機関が2007年、2008年に出しているとシナリオでは、一番頼りにしているのは省エネです。40%が省エネで行わなければいけない。さらにCCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)や原子力や再生可能エネルギーを増やすということであります。我々が削減していく全体像が国民によく提示されていない。今我々がやることは革命に近いわけです。
 今年に入って多くの論文が書かれていまして、これはおもしろい表現なのですが、今直ちに化石燃料を使用する関係の産業を全部つぶしたほうが、それだけでも大ショックで当然救済する必要があるわけですが、その救済のための費用のほうがこれから我々が長く苦しんでいく費用に比べればはるかに安い、つまり、ただちに化石燃料をやめてそのショックに我々が耐えたほうが今後数世紀以上に渡って温暖化対策に対応しなければいけない、その対策コストより極めて安いという指摘がなされております。
 課長が強調されたように環境配慮契約法はミチゲーションというか、予防策なんです。すでに日本でも年間50個竜巻が発生しており、このところの集中豪雨は大変なものです。災害に適応するというコストを今までほとんど考えてこなかったわけですが、予防策のみならず適応策まで考える段階に入っています。したがって、私は環境配慮契約法は、日本が年間放出している温室効果ガスをどのくらい削減できるか、政府が率先して削減してそれが民間に波及することを狙うのがこの法律の主旨だと思うわけですが、この法律をうまく使って社会に大きな削減の方向、それも経済の発展と結べばなおさらいいわけではありますけれど、そこが大きな課題ではないかと考えているわけです。先ほど強調されましたように年末のCOP15、コペンハーゲンでどのような国際条約がポスト京都でできるかどうか予断を許さない状況でありますけれども、この気候変化はほぼ不可逆的に進行していく。今年のような集中豪雨は弱まるということはありえなくて、一方的に異常気象が勢力を増大していく。これは科学的にはっきりしているわけです。そういうことを前提にして、ぜひ本日はこの法律を最大限に活用するという観点から先生方の積極的なご意見をお願いしたいと思います。ではまず、配布資料の確認をお願いしたいと思います。

事務局: 配布資料の確認(省略)。
 本日は11時までの2時間を予定してございます。それでは、よろしくお願いします。

4.議事

[1]環境配慮契約の締結状況及び取組状況等について

山本座長: さっそく議事に入らせていただきます。それでは、参考1の説明を事務局からお願いいたします。

事務局: 参考1の国等の機関における取組状況等についての説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。これでどのくらい環境負荷が削減できたかという推定はまだされていないのですか。

事務局: これから集計結果を見て可能なところで環境負荷の低減効果を算定していく予定になっております。算定次第ご報告できるものと思います。

山本座長: それでは、先生方から何かこの実績についてコメントあるいはご提言等ございましたらお願いします。

野城委員: 「4.建築その他の環境配慮契約」について、表向きは環境配慮契約の件数が増えていることはいいことだと思いますが。実施しなかった理由の5つのうち、合理性があるのは1番目の小規模だということと、5番目のすでにプロジェクトが始まっているということだけで、3番目(PFI事業において、総合的な検討を要するため)と4番目(施設機能が重視され、建物設計に関する環境配慮の手法は限られたものとなる)は理由にしにくいのではないかと思います。PFI事業は事業の目的において、当然総合的な検討といっても発注者がここで議論しているような環境配慮に対して高いプライオリティがあればいいわけですし、4つ目(施設機能)も近いものがありまして、根気強く対話いただく必要があると思います。ESCOは国の機関でなぜ0件なのかという理由は明らかになっているのでしょうか。

事務局: 14件フィージビリティ・スタディしていることは確認しています。集計中の段階でございますので、今後それぞれについてどこがよくないか等、可能な限り確認をしてまいりたいと思います。

野城委員: 「3.省エネルギー改修事業」と「4.建築その他の環境配慮契約」のどちらにも関連することですが、ある意味ではESCOというのは手術をすることになるわけです。「4.」はこれから新築するごくわずかな建築を対象にしておりますけれど。官庁のファシリティにおけるエネルギー使用というと圧倒的に既存建物であり、かつそれはESCOのような大規模な手術をするだけでは追いつかないわけでありまして。そのセクターにおいて省エネルギーをはかるとすれば、改修ありきではなくて、運用改善をするといったことが極めて重要です。今までは運用改善にかかわる技術サービスを調達することが行われなくてむしろ、ユーザー自身が28℃にするとか、精神主義で我慢するなどやっていましたが。そこにプロの目が入ってもらえば、10~20%実際では減らしている例がございますので、そういったサービスを調達することも工夫されてしかるべきではないかと思います。

山本座長: そのほかいかがでございましょうか。

山地委員: 電力のところですけど、先程説明でもおっしゃいましたが、1-1の注1)で、「50kW以下の自由化対象外」と「電力供給事業者が1社者しかない」はそもそも無理なので、どれくらいあるかも比較的容易に調査できると思うので、それをはずしたデータが早急にほしいということです。1-2の主な理由で、「賃貸ビル等に入居しており自ら電力供給契約を締結していない」もそれと重なる部分も多いと思いますので、このあたりをきちんと把握しておいてほしいと思います。よろしくお願いします。

鈴木委員: 今の電力についてですが、環境配慮契約を実施しなかった理由として、「電力に関する将来的な見通しが不透明」とありますが意味がわからないのですが。また、一昨年この基本方針ができたときに、入札参加者が1者の場合は入札は実施しないというご説明だったのですが、それとの関連性はどうなのでしょうか。
 次に、自動車の調達で環境配慮契約を実施しなかった理由として、普通車で「仕様等に該当する車種が限定された」とありますが、特殊車両ならば分かりますが普通車でなぜ環境配慮仕様のものを調達しないのかがわからないのですが。また、随意契約であることを理由に実施できなかったとしていますが、そもそも、この環境配慮契約法は随意契約の場合を適用除外としているのでしょうか。

事務局: 電気の3つめの理由の将来的な見通しが不透明につきましては確認したいと思います。次の1者または2者しかないのは、例えば沖縄の例があります。確か四国も一般電気事業者以外にPPSさんが参入されておらず、できない状況になっていると思います。また、自動車の車種が限定されたケースにつきましては、例えば4WDは対応する車種がなかった等報告がありますので、実際に出来るケースと出来ないケースを確認させていただきたいと思います。以上でございます。

坂本委員: 全般的なことですが、やはり、できない理由や口実を探しているように思います。契約をなさる当事者のお役所の方々の意識改革がまずは必要だと感じられる結果だと思います。そのあたりは法律を作っただけではだめで、毎年議論していくのが当然なのですが、我々委員が漠然と細かいところが悪いとか、こういうのは理由にならないといったところでらちがあがらないと思います。できれば、いいモデルケースを作って、やっていくのがよいと思います。私の担当のESCOも最初から国の場合は積極的でないのですが、それはもっともな理由があるからです。法律ではカバーしきれない部分がありますので、我々も考えていかなければならないのかなという印象を持ちました。以上です。

山本座長: はい、ありがとうございます。モデルケースというのは大変いいお考えだと思います。これは事務局としてはどうですか。全般的に相当の実績があったと判断したか、まだまだと思われたか、その辺いかがですか。

事務局: これは平成20年度の実績でございますが、基本方針が決りましたのは平成19年の11月で半年も移行期間がなかった状況ですので、やはり多少急な話で準備不足という傾向があったと考えております。もちろん説明会を実施しておりますが、それだけではなかなか進みませんので、参考2の資料には「地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアル(仮称)」と書いてありますが、国の機関でも使えるものと思いますので、坂本先生からご指摘があったように、事例のご紹介ができるような体制をとっていきたいと考えております。

碓井委員: 環境配慮型プロポーザル方式のことなのですが、ここには概要のご説明ですから件数が出ているわけですが、基本方針の中にいっているように、どういうものが実際に実施されたかという情報の提供が重要ではないかと思うのですが、それはすでに進んでいることなのでしょうか。

事務局: ご指摘のように個別の情報につきましては、各省あるいは独法からあげていただいておりますので、坂本先生がおっしゃった情報提供事例のもとになるということでございます。ESCOについても同様でございます。各個別情報を積み上げて集約して提示しており、個別の情報につきましても収集しております。

碓井委員: そうだとすると要するに、横並びで優れたものがだんだん浸透していく可能性があるわけです。件数というのと同時に質が重要になるわけです。そういう質の向上をはかるというか、広がりを期待していく施策を積極的に推進していただきたいと思います。

山本座長: 私は今のご意見と同じですけれども、政府が率先して相当やっても、あるところまでしかいかないと思います。こういうすごいことをやっているということをもっと宣伝することで社会が動くところが法律の主旨だと思います。ぜひ政府が率先して環境配慮契約をやっているということを広める戦略を考えていただきたいと思います。

[2]環境配慮契約法基本方針の検討の進め方について

山本座長: それでは時間もございますので、第2の議題、資料3に基づきまして、基本方針の進め方について事務局からご説明をお願いしたいと思います。

事務局: 資料3、参考2についての説明(省略)

事務局: ご報告でございますが、今年度も昨年度と同様に6月12日から環境配慮契約に関する提案募集を実施いたしました。今年度におきましては提案募集は寄せられなかったことをご報告いたします。

山本座長: はい、ありがとうございました。今日の会議の一番大事なところはこのあたりだと思いますので、先生方から忌憚ないご意見をいただきたいと思います。
 私からは、車両とか船舶には防衛省も入っていますか。というのは、今年の1月に気候変動がわが国の安全保障に及ぼす影響についてという防衛省の報告書がまとまっているわけでありますけれど、その報告書には今後の課題として自衛隊がいかに環境配慮をするか、すでに欧米先進国は軍隊も例外ではないということで非常に幅の広い取組みをされているわけです。これからは燃費のいい戦車を購入するとか、真剣に考えていかなければいけなくて、アメリカやヨーロッパでは実行に移っています。国会でもたとえば日本の自衛隊が年間温室効果ガスを出しているか、その資料の開示を求める請求があったと思いますけれど、これは例外なく環境配慮契約法をぜひ使っていただいて、燃費のいい戦車ばかりでなくて燃料のほうも考えてもらうなどいろいろやれると思うのですが。
 それでは、先生方から積極的なご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山地委員: 電気のところです。資料3のP.2に書かれてあることですけれど、ここには調整後排出係数とあり、これはすでに算定省令が出ているところですけれども、京都メカニズムクレジットの償却前移転があった場合を考慮して排出係数に反映するということで、これは当然今回取り組むべきだと考えております。
 もう一つ動きがあるのは、事業用を除く太陽電池の余剰電力を、国の制度として電力会社が自主的取り組みとして買取っている現状の価格の約倍額で買い取る制度が始まることになりまして、買い取りに伴う費用を電気の消費者に均等に負担してもらいます。これはPPSのお客さんも含めてです。そうすると問題は、一つはRPSとの関係ですけれど、この新たな買取制度の対象となる部分は、国の制度で行われることで、電力会社に責任を求めるのは無理だということで、RPSの中の義務量の対象からは新たな買取制度によって導入が行われる太陽電池についてははずす。利用目標量には入れるが、基準利用量(義務量)からはずすということで、RPS法小委員会で検討されております。そうしますと、新エネルギー利用量のところは分母に来るのは義務量のところですので今のままでいけると思います。新たな買取制度の対象になっている太陽電池の余剰分を除いてです。問題になるのは、新たな買取制度の対象となっている太陽電池余剰買取の費用負担がPPSのお客さんにもいくことです。PPSのお客さんは家庭用以外の自由化対象部門ですが、PPSも費用負担しているのだから、排出係数には反映してほしい。負担をするわけですから公平にということでありまして、それは排出係数で調整しましょうということになっています。買取制度の小委員会において、今の点を含めて、先週の小委員会で意見をまとめて、パブコメにかかっているところです。したがって結論を言いますと、RPS法にかかるところに関しては現状のままでいいのですけども、排出係数のほうで新たな買取制度の対象になる部分について、調整後排出係数のような扱いをしなければいけない、つまりPPSにとっては、自分の調達電力の中には太陽電池余剰の部分はほとんどないと考えられるんですけども、費用は負担していますので、その部分を自分たちの寄与分としてカウントして欲しいということです。この制度は今年中に実施される可能性が高いので、そこも含めて議論する必要があろうと考えています。
 それからグリーン電力証書は既に裾切りのところでカウントすると書いてありまが、国内クレジットをどうするか、たぶんなかなか結論は難しいと思いますが、一応視野の中には入れておく必要があると思っています。先ほどの新たな太陽電池の余剰電力の買取については、パブコメにかけている報告の中身に、排出係数の調整を考慮するべきだというような表現もありますので、環境配慮契約法の基本方針の中でも当然議論するべきだと考えております。その前に、私も関わっていますが、算定省令に係わる排出係数の検討会での議論が必要だと思います。関係省の方よろしくお願いいたします。おそらく今から動き始めると思います。質問というか私の説明ですけれど、そういうことになろうと考えています。

山本座長: 要するに、山地先生が多元連立方程式を解いてくれるということですね。

山地委員: 少なくとも今私が見通している限りでは、国内クレジットは別ですが、一応解は見つかっていると思っております。

山本座長: 大変ですけれど、よろしくお願いいたします。その他いかがですか。

秋鹿委員: OA機器については去年、私が担当して宿題が残っていまして、事務局からご説明をいただいた通りですが、「去年の印象と今年どうしたらいいか」ということについて委員の先生方からご意見を聞いておきたいと思います。事務局からご説明がありましたように、複写機、プリンターその他は、業界としては環境の意識が高く、いろいろなことを先進的にやってきまして、これまでは省エネに関しては他業界をかなりリードしてきたところでございます。今ここに来て、環境配慮契約法の中にどういうふうに繰り込むか、ある意味で総論は明解なのですが、各論が未熟というと語弊がありますけれど、非常にファクターが複雑でして昨年まとまらなかったわけです。いろいろな点を整理して演習問題を解いてみるというか、実際にケーススタディをしてみることが今年の課題で、それを踏まえて、きちんとしたいくつかのファクターを揃えて、契約の骨子をつくろうというところに来ています。いろいろな難しい問題もあり、山地委員からご指摘があったのですが、電力や自動車は単純な数字で出てくるのに比べ、複写機の場合、多様な使用方法も含めてひとつの筋道を作っていくことは難しいように思っています。少しフレキシブルな規則にしておいて、例えば、ある部署では機器のLCAのようなものをファクター重視して入札をかける、あるところはスペースが合理的にするようにファクターをかけるなど、全部が一律な考えで決めるというところがなかなか難しいのではないかという気がします。実際に適用するところが知恵を絞って違う考え方で契約するような方法、あるところではこういう提案が通るなど、何から何まで同じような提案をかけるのでは先の議論が心配という気がしまして、現実的なところでやってみるのはどうかという気がしております。少し抽象的な発言で恐縮ですが、複写機の現状と、もし先生方、複写機についてはこういうことに気をつけていただきたいということがございましたら、コメントお願いいたします。

乙間委員: 複写機の話が出たので私の感想です。資料3P.4の[3]の「調達者は機器の仕様を過度に規定することがないように留意する」という部分は契約に係わる部分かどうかわからないのですが、実は的確な仕様、サービス水準を規定するのが重要で、私の周りを見てもOA機器は多くの室でオーバースペック、PCについても同様ではないかと感じます。ここの部分が必要でかつ十分な水準に設定されて、それに見合った設備がなされるのであれば相当量のCO2削減ができると思います。この部分をいかに合理的に規定するかというのを何らかの指針で示していただければ現実に非常に役立つと思います。契約の部分を担当する法律ですので、どこまでカバーできるか私にはわからないのですが、チャンスがあればぜひ検討していただきたい。

山本座長: これは先程秋鹿先生が指摘されたように、いろいろな場面が想定されますから、場面ごとで最適な、環境に優しいオフィスは違って当然かなということで、フレキシブルにしたほうがいいというご発言だと思います。もう少し、イラストが描いてあるとかするとわかりやすいと思うのですが、検討会でお考えいただければと思います。その他いかがでございましょうか。

鈴木委員: すべての分野に該当すると思いますが、発注者に対しても環境配慮でインセンティブを与えることが重要な点であると思います。船舶について「事業者にインセンティブを与える」ということがこれから検討されるとありますが、たとえばどのようなことがあるのでしょうか。そしてその考えを参考に、むしろ発注者にインセンティブを与える仕組みを作ることはできないでしょうか。

事務局: 事業者側にインセンティブを与えるということですので、通常ですと環境に何らか配慮されたような、たとえば、そういう仕組みや装置を作ることによって価格が上がりますので、通常の競争入札では価格面で不利になります。環境に配慮した性能を持ったものについて受注に近づくような、たとえば総合評価落札方式がありますけれど、環境に配慮したことによって受注に近づくような観点から検討が行えないかということを考えています。

鈴木委員: その考え方で、発注者側にインセンティブを与える考え方は出てきませんか。

事務局: 発注者側にインセンティブというのはなかなか難しいこともあって、方針とか約束事ではなくて、法律というかたちで発注者側をしばっているのだと思います。

山本座長: 今の発注者側のインセンティブの話は非常に重要だと思います。自分のボーナスが上がるとなると真剣にグリーンな契約を結ぶと思うのですが。中国ではそういう法律があります。中国の公務員はグリーンな活動をした場合には評価の1割くらいになるという法律が通っていると聞いています。

秋鹿委員: 関連してよろしいでしょうか。私は省エネ対策法にも関係させていただいています。省エネセンターが毎年省エネ大賞や経産大臣賞などを作って表彰しています。先ほど建築のご議論をいただいているときに、何かいいモデルをデモンストレーションして見せたりするのはどうかという話がありましたが、環境配慮契約のこのケースを一番いいものとして表彰してもいいと思います。そういうものをHPに載せるなども効果的と思います。私が関係している組織の建物設置委員会に、環境省HPから環境配慮契約法の資料をコピーして委員に説明したことがあります。その時に環境省のHPの中に都内のある大学の新校舎のケースは非常に環境に配慮したものができているというのがあったのです。これは一種の表彰になっていると思います。先ほど座長がおっしゃいましたように、何か見えるかたちでこれを盛り上げていく、できれば表彰するということがあってもいいかなと思います。ただそれが委員のみなさまの仕事をさらに圧迫させることにならないかたちでと思いました。

山本座長: グリーン契約大賞ということですね。

千田委員: 今の鈴木先生のご質問を含めて船舶の事情をお話しようと思います。まず、インセンティブという話が出てきた大本として、事業者側からいうと、いろいろな省エネで新しい技術を導入するのはいいが、国の発注は予算を抑え気味のとこが多いじゃないか、本当にそんな予算が出せるのかというのが業者の本音です。発注者も自分たちが予算を持っていないところでどうやるか、インセンティブと言われても要は予算のところから出てきているんじゃないかと、昨年の懇談会の議論はそういうことでした。今までの契約実態を踏まえるとこれ以上何かできる余地があるのかと言われたということです。
 船の事情ですが、先ほど事務局からご説明がありましたように、よくまとめられていると思います。1点補足させていただきたいのは評価指標についてで、トンマイルあたりで評価指標を今開発中であるのはそのとおりですが、これは商船の場合は成り立ちますが、官庁船の場合に物を運ぶのが仕事ではないのでトンマイルベースが基本的には成り立たないのです。ですから何を指標に持ってくるかは非常に大きな問題になります。
 一方で、船の省エネ技術は非常に細かいことを積み上げていかないといけない状況です。積んでいるエンジンや船型にしろ、ある意味で極限まで来ておりますので、まったくドラスティックな技術というのが今すぐにはない状況です。たとえば、水素で燃料電池をまわすようなものが実現することが視野に入ってくれば別ですが現状にはありません。細かい技術を積み上げていった時には、かなり細かく評価してやらなければいけなくなります。ここが一番大きな問題で、そのように突き詰めていきますと、船の種類、目的、大きさでかなり事情が変わってきますので、そこを細かくやらないといけないだろうと我々は考えているところです。そのためにかなり複雑な話になりそうな気がいたします。一方で、予算との関係、契約実態そのものが現状でもかなり多様なので、本来のミッションが達成され、かつ不当な競争にならないように配慮しながら、よい技術が採用できるというパスを探さないといけないということになり、結構大変な仕事になるのではないかと思っています。
 ちなみに商船の事情を少しだけお話いたしますと、もともとコストに大きく影響しますし、昨年のような原油の高騰があると非常に敏感に反応されます。それでなくても一航海何千万円という燃料を焚いておりますので、燃費には非常に神経質です。現状、どういう考え方に立っているかというと、基本的にはあまり技術的に大きなものは期待できないため、ある荷物をどれだけ運ぶかという船隊としてのエネルギー消費、燃費ミニマムということを考えます。ひとつの例は10万トンのタンカーを2回走らせるよりは、20万トンのタンカーを1回走らせたほうが安いだろう、つまり大型化の話です。もうひとつの例は、できるだけ空荷で走らない、つまりコンテナのようにあちこちいろいろまわって積んでいくような場合で、荷物の積み付け計画をいかに最適化するかというような話です。さらに、船速、これが非常に効きます。たとえば、中東と日本の間を10隻のタンカーで回していれば、それを12隻に増やして、速度を20%落とすと非常にドラスティックです。そういったところで減らそうというのが船主さんの基本的なコンセプトです。その他に技術的なものを取り入れていくことはもちろんございます。今お話しましたような状況からすると、この手法が官庁船には適用できないので、つまり目的が全く違う、船体ベースで全体としてミニマムにするのがなかなか難しいので、技術的なところでやらないといけない。先ほど申しましたようにかなり細かい話をしていかなければいけないことで、これからなかなか大変だと思っているところです。

山本座長: はい、ありがとうございました。何かその他ございましたらお願いします。

乙間委員: 細かいことで申し訳ないのですが、自動販売機のことについて検討されるということですが、国等の機関に設置する際には電力の使用はどうなっているのでしょうか。民間の場合には、場所を提供した側が電気料金を支払っていて、省エネマインドが働き難いビジネスモデルになっています。国の場合はどうなのでしょうか。

事務局: 一般的には、電気メーターを、水を使うものは水道メーターもですが、個々に付けて販売機を設置する事業者にお支払いいただくかたちだと思います。

野城委員: 自動販売機については設置場所についても範囲に入れるのでしょうか。例えば屋内と屋外とでは飲料の自販機等のエネルギー使用量には大きな違いがあると思いますが、機器ベースで納めるのか設置場所等についても議論に含めるのか、どのようなスコープで考えているのでしょうか。

事務局: 現状では、場所につきましては庁舎の形態や使い方などの影響もあろうと思いますので、場所は発注者側で設定した上で、機器ベースでどのようなことができるのか考えていきたいと思います。

野城委員: 先程のOA機器もそうですし、冒頭で申し上げた既存建築の例もそうですが、来年以降、ものを調達した後においてもそれらをどのように賢く使っていくかについても検討項目に挙げていくことも考えていく必要があろうかと思います。環境配慮をすすめるために新たに技術サービスを創造し調達していくことも重要だと思いますので、合わせてご検討いただきたいと思います。

山本座長: はい。ありがとうございました。ご意見が大体尽きた感じもありますので、ワーキンググループの設置につきまして事務局からご確認をいただきたいと思います。

[3]ワーキンググループの設置について

事務局: 先ほど補佐からご説明したとおり、今年度設置いたしますワーキンググループとしまして3つ考えております。
 一つ目が、「OA機器ワーキンググループ」です。OA機器については、先程ご説明しました検討課題等がございますので、引き続きの検討が必要と考えております。座長は秋鹿委員にお願いしたいと思います。
 二つ目が「船舶ワーキンググループ」です。船舶については、昨年度の懇談会からワーキンググループへ変更して、検討を進めたいと考えております。座長は懇談会から引き続き、千田委員にお願いしたいと思います。
 電力については、温対法の改正に伴う京都メカニズムクレジットの排出係数への反映について、RPSの件、太陽光の買取制度、それから国内クレジットを含めて検討を行う必要があると考えております。ワーキンググループの設置・検討の進め方については、山地先生はじめ、電力WG委員の皆様とご相談の上、決定したいと考えています。
 このほか、自動販売機に関しては、事務局で考え方を整理して、第2回の基本方針検討会に資料を提出したいと思います。

山本座長: はい。ありがとうございました。なにかご意見はありますか。

[4]検討スケジュールについて

山本座長: それでは資料4について説明をお願いします。

事務局: 資料4の説明(省略)

山本座長: ありがとうございます。なにかご質問はありますか。

事務局: それでは白石総合環境政策局長が参りましたので、白石局長からご挨拶申し上げたいと思います。

白石局長: 所用がありまして遅れてまいりまして失礼いたしました。ご紹介いただきました総合政策局長の白石でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日、ご出席いただきました先生方の多くは昨年度から引き続きということで、ありがたいことでございます。おかげさまで今年の2月に基本方針の閣議決定を経まして順次取り組んでおるところでございます。お話が出ましたが、OA機器、船舶、電力につきまして、ワーキングをおつくりいただきまして精力的にご検討いただくということでございますので、本当にありがたいことでございます。いわばこのようなソフトな面での環境配慮が、経済と環境が一緒になってお互いがよい方向へ向かう社会の発展に繋がるためにも欠かせないわけでございます。引き続き先生方のご指導を賜りますようお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

山本座長: それでは予定の時間も参りましたので本日の議論は終了させていただきたいと思います。本日ご発言いただけなかった点や新たなご提案等につきましては後ほどで結構ですので事務局までお願いできればと思います。本日はありがとうございました。

以上