環境配慮契約法基本方針検討会(第1回) 議事録

出席委員:
碓井委員、郡嶌委員、坂本委員、鈴木委員、大聖委員、野城委員、山地委員、
山本委員(座長)                   (五十音順、敬称略)

日時

平成19年月8月13日(月) 15時30分~17時15分

場所

中央合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室

1.開会

環境省(笠井課長): ただいまから、第1回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたしたいと思います。ご多忙にもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございます。
それではお手元の配付資料の確認をいたしたいと思います。

                配付資料
資料1 環境配慮契約法基本方針検討会設置要領
資料2 委員名簿
資料3 ワーキンググループについて(案)
資料4 スケジュール(案)
資料5

環境配慮契約法基本方針の検討方針・課題等について

参考1 環境配慮契約法条文
参考2 環境配慮契約法の概要

 不足がございましたら、お申し付けください。
 それでは、検討会開始に先立ちまして、西尾総合環境政策局長よりご挨拶を申し上げます。

2.挨拶

環境省(西尾局長): どうも、大変暑い日にお忙しいところ、ご出席いただきましてありがとうございます。環境省総合環境政策局長の西尾でございます。本日、環境配慮契約法の基本方針検討会がスタートできるということでございます。委員の皆様方にはご就任いただきまして、また本日ご多用中ご出席いただきましたことについて大変御礼を申し上げます。さらに本日これからの進め方について議論いただくことになりますけれども、この検討を進めていくにあたりましては、ワーキンググループなどにより多くの関係の方々のご協力をお願いすることになると存じます。関係省庁、関係の方々も多く来ておいでということでございますが、これからの検討にあたりまして一つよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律ということで、いわゆる環境配慮契約法が、先の通常国会におきまして、4月11日に賛成会派で参議院に提出され、4月12日に参議院環境委員会で可決、4月13日に参議院本会議で可決されました。その後衆議院に送付されまして、5月15日衆議院環境委員会で可決され、5月17日に衆議院本会議で可決・成立致したわけでございます。かねて国、政府自ら、温暖化対策および環境配慮を進めていく上で、どうしても必要な法制度ということで期待されてきたものでございます。私どもとしても、その成立を大変うれしく存じますとともに、実践的には昨年来一年以上にわたって、議員のほうで熱心なお取組をいただいたということでございまして、川口順子先生、愛知治郎先生、加藤修一先生、福山哲郎先生を始めとする各議員の皆様方の大変なご努力を賜り、ここまで来たということで深く敬意を表して感謝を申し上げております。
 ともあれ、5月23日に公布されまして、施行は公布の日から起算して6ヶ月以内ということになっているわけでございます。それまでに電気の購入、公用車の購入、ESCO事業、庁舎の設計などに関する契約について、国や独立行政法人が契約を締結する際に、従来の価格のみを考慮する仕組みを改めて、価格に加え、温室効果ガス等の排出を考慮していく。そのための基本方針を定めないといけないわけでございます。さらに基本方針に基づき、国等が、環境性能に優れた製品、庁舎、サービスなどを積極的に選択して、自らも削減努力をもちろんすることでございますが、事業者側としてもイニシアティブを発揮していくということでございます。そのためには、関係者の十分な周知、PR期間ということも必要だということでございます。このようなことで結構急いだ検討が必要だと思います。何も法律がそういうことを言っているから急ぐというだけではなくて、温暖化対策が急務、急務と言われており、私どもも焦燥感をいだいております。ご案内のように、安倍総理が「美しい星50」の新提案をされまして、今年のG8、ハイリゲン・サミットで温暖化問題が大きく取り上げられました。またこれを中核に、6月1日には、21世紀環境立国戦略が閣議決定をされました。持続可能な社会および低炭素社会づくりなどの取組を総合的にやっていかないといけないというわけでございます。そういうものを具体化して、来年の洞爺湖サミットで世界に発信していかないといけない。そういう流れの中で、おそらく関係者共通の思いの中にいると思います。そうした意味でも、その取組を最後急いでいかないといけないわけでございます。
 先週8月10日に京都議定書の地球温暖化目標達成計画の見直し作業を進めています。合同審議会を今までの現行対策ということで行くならば、また+0.9%とか、+2.1%というレベルでは一層の追加対策が必要だということで、今後あらゆる努力が必要だとされているわけでございます。政府が率先してこの環境配慮契約法に取り組むということで、自らも削減をするとともに、こうした環境性能に着目した消費行動を誘発させて、市場を環境配慮ということに巻き込んでいくことが強く期待されるわけでございます。何としてもこの環境配慮契約制度が早急に、かつ現実的、実際効果的な形で働くことになるよう念願する次第でございます。そこに向けた本検討会のご議論、あるいは関係者のご協力につきまして、再度お願いをしまして、開会の挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

3.検討会の設置について

環境省(笠井課長): いろいろお願いして、急いでという話が多くて恐縮でございます。
メンバー紹介(省略)。
資料に沿って説明をしていきますけれども、今日は第1回目ですので、検討会の設置および公開につきまして、資料1をご覧いただきたいと思います。
資料1、資料2について説明(省略)。

4.座長選出

環境省(笠井課長):次に議事に先立ちまして、設置要領にございますが、本検討会の座長を委員の互選により決定いたしたいと思います。どなたかご推薦ございますでしょうか。

郡嶌委員: 先ほどご紹介がありましたように、環境配慮製品について一番お詳しい東京大学の山本先生にお願いをしてはどうかと思います。

環境省(笠井課長): 郡嶌先生から山本先生のご推薦がありましたけれども、いかがでしょうか。

-了承-

 それでは検討会の座長は山本先生にお願いすることとし、今後の進行につきましては山本座長のほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

5.議題

山本座長: ご指名でございますので座長を努めさせていただきます。私、東大の山本でございます。今朝聞いたばかりでございますが、昨日、甲子園球場で4人のピッチャーが熱中症で担ぎこまれたと。これは地球温暖化が進行している一つの傍証ではないかということをどなたかが仰られておりました。皆様はご存知のように、IPCCのレポートも、まさに現在温暖化が進行しているその原因は、ほぼ温室効果ガスの大量排出にもう間違いがないということでございます。先ほど局長のほうから、大変焦燥感に駆られているというご発言がございました。今日ご出席の委員の先生方もまさに焦燥感に駆られているのではないかと思います。私もその1人でございます。現在、炭酸ガスだけでも年間280億トンが空気中に放置されている。さらに困ったことは、この280億トンの20%は、数千年空気中を漂うということが段々わかってきました。この280億トンうち、地球の海や森林が吸収してくれる分は高々120億トンにすぎませんから、年間152億トンの炭酸ガスが今吸収されずに空気中に蓄積している。産業革命以降、我々は8,000億トン余分にCO2を空気中に溜めてしまったわけでありますが、年間152億トンずつ、今さらにそれに追加しているという恐ろしい状況なわけです。京都議定書は何とこれ、先進国で年間10億トン減らそうという話であります。ですから152億トンずつ、今空気中にCO2が溜まっていっているのに、10億トン排出を削減しようというこの京都議定書の目標は、少なくとも日本では、何かもう実現が不可能なのではないかという巷の声がある。こういう情けない状況で、こういう大変すばらしい法律を通していただいたわけであります。ある計算によると、この50年間で地球の表面に溜まった過剰な熱エネルギーは、1.8×1023Jというとてつもないものです。これは年間人類全体が使っている一次エネルギーの400倍です。これだけのエネルギーが溜まっているわけです。だから我々は真剣にこの温暖化対策をやっていかなければ、これは我々人類の子孫のみならず他の動物、植物の子孫にも、数千年にわたって大変な迷惑をかけてしまうということが、今回のIPCCのレポートの結論だろうと私は思うわけであります。従ってこの委員会に託せられた使命は大変重いと言わざるを得ないわけです。今日は4つのワーキンググループを設置して、そこで具体的にこの方針を検討していただくわけでございますが、ぜひ徹底的なグリーン調達を行なっていただきたいと。そういう方針を決めていただきたいということを私は個人的にでもお願いしたいわけでございます。
 それでは基本方針の議論に入る前に、改めてではございますが、環境配慮契約法の概要につきまして、事務局から簡潔にご説明をお願いいたします。

環境省(笠井課長): 参考2について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。続きまして、議題1となっていますワーキンググループ設置につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

(1) ワーキンググループの設置について

環境省(笠井課長): 資料3、資料4について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、ただいままでのご説明に対しまして、何かご質問等がございましたらお願いいたします。資料1を拝見いたしますと、検討事項の(2)の[1]から[4]までのところについては、ただいまワーキンググループが設置されたのですが、[5]の[1]から[4]以外のものにつきましては、どういうふうにお考えでございましょうか。

環境省(笠井課長): それは、まず[1]から[4]までについて検討していただいて、そのあと速やかに取り掛かりたいと思っております。

山本座長: そうすると自動販売機などについては、そのあとの検討ということですか。

環境省(笠井課長): はい。そういうことです。

山本座長: はい。それでは、ワーキンググループの委員、オブザーバー等につきまして、このような人選を含めましていかがでございましょうか。実際にはこのワーキンググループの作業が大変な作業になるかと思いますが。今日はワーキンググループの座長のお名前が上がっていらっしゃる先生は全員お揃いだと思いますが、いかがでしょうか。何かご質問、あるいはコメントがございましたらお願いいたします。

坂本委員: 私の担当はESCOですが、この新しい契約法の趣旨というのは、CO2削減ということで、鮮明に出ていると思います。ESCOというのは省エネルギーでございまして、一次エネルギーの削減ということです。CO2の削減と、もちろんリニアな関係にはありますが、厳密な意味では全くイコールではないです。その辺りの考え方は、これからワーキングで検討していけばよろしいと思いますが、その辺については何か事務局のほうで、環境省のほうで案と言いましょうか、お考えが何かあるのでしょうか。もしあれば先に承っておきたいということでございます。

環境省(笠井課長): 具体的にはワーキンググループで議論いただくと思いますが、参考1をちょっとご覧いただきますと、第二条ということで、「この法律において『温室効果ガス等』とは、温室効果ガスその他環境への負荷の原因となる物質をいう。」ということで、CO2をメインに他のことも考えるということにはなっております。ただその省エネを進める上で省エネにはなるけれども、CO2が増えるということは、どの程度かわかりませんけれども、その辺はここの法律で言っています温室効果ガス等を減らすという目的に照らして、ワーキンググループで議論をしていただきたいというふうに思っております。

山本座長: 坂本先生、よろしいですか。

坂本委員: もう少し具体的に質問をしますと、要するに電力、ガスの話、それからフロン関係ですよね。ああいうものは断熱材に入っていますけれども、まだ完全にノンフロンというわけにはなっておりませんので、温室効果ガスとしても結構排出係数は高いと思いますけれども、その辺をどういうふうに考えていくのかということでございます。

環境省(笠井課長): ご指摘のとおり、フロンも温室効果ガスでございまして、その辺の扱いを含めてどういうふうに議論を進めていくかというところをワーキンググループで検討していただきたいと思います。

坂本委員: 結構です。

山本座長: 山地先生、大聖先生、野城先生、いかがでございますか。何か。山地先生、大変かと思いますが。

山地委員: ご存知のように電力は使用量が増えているということもありますが、先ほど説明があったように排出係数自体の問題もあって、一番焦点になるところかと思っています。11月施行ということで時間が限られておりますので、基本方針の大事なところをきちんと早急に2、3回で議論していくということですが、詰めていきたいと思います。たぶん2番目の議題のところで基本的なことはある程度わかると思います。

野城委員: 2番目の議題のところで、今度私が担当いたしますワーキングの検討の範囲、方針については確認したいと思います。一つだけ確認したいのですが、このワーキンググループ、特に官庁側のリエゾンのメンバーは、皆さん、ご了解済みでしょうか。私の建築関係の部分というのは、基本的には建築設計の調達が中心だと思いますが、検討の範囲が一番ボヤッとしていますので、ここに名前の挙がっていない省庁の方々にも、結果的には関係がありますので、一応検討会には少なくとも上げるということであれば、あとから話を聞いていなかったと、どこかの省庁が知らん振りするようなことはないというふうに理解しておいてよろしいですね。よくそういうことがあるものですから、最初に念を押しておきたいのですが。

環境省(中山補佐): そういうこともございますので、全ての省庁の会計課の担当の方には、今日もご案内をしております。そもそも法律ですので無視するということはあり得ないと思いますが、そういうことがないように情報はしっかり提供しながらやっていきたいと思っております。

大聖委員: 自動車ワーキンググループの座長を拝命しております大聖ですが、この議論の中で関連する法律や政策がいくつかあります。省エネ法が主なものであります。先ほどのご意見のように省エネとCO2の対策が必ずしも一致しない場合もあります。それからクリーンエネルギー自動車という取組もあります。低公害車の指定制度があります。それからもう一つは排出ガスの規制の強化というのも2010年前後にあり、さらに2015年の燃費基準もありますので、これらを考慮してどうバランスよく購入するかということが必要であり、その辺の整合性をきっちりわきまえる必要があるのではないかと思っております。

山本座長: はい、ありがとうございました。それではこの設置、およびスケジュールについてはご了承いただいたということで進めさせていただきたいと思います。それからワーキンググループの委員で若干調整中の部分につきましては、座長と事務局にご一任いただくということでよろしいですか。

-了承-

 はい、ありがとうございました。

(2) 環境配慮契約基本法基本方針の方向性について

環境省(原田補佐): 資料5について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。これから質疑、ご議論をいただきたいと思います。順番として、まず郡嶌先生、碓井先生、鈴木先生の順にご発言をいただきまして、そのあと4つのワーキンググループの座長に指名されている先生に順番にご意見をいただきたいと思います。ではまず、郡嶌先生から。

郡嶌委員: 4つのケースについてワーキンググループが設置されるわけですけれども、それぞれ入札がプロポーザル方式などいろいろな形があります。先ほどから座長もずっと仰っていましたように、CO2の代替になっていくことになると、競争を確保するということは重要なことですが、環境配慮していくという意味からいうと、必ずしも安い形でやるのではなくて、EUでもそうですが、グリーンコントラクトアワードという配慮の基準を考えていった場合、基準を明確にしていくということ。言い換えると透明性を図るという形からいうと、より具体的な形でやっていかないといけない。そういう中で電力の場合の裾切り方式ですが、競争に配慮しなくてはいけないにしても、やはり環境配慮という形の配慮基準を考えていく場合に、資料にも少し書かれていますように、ある意味ではCDM、グリーン電力というものをどのように配慮していくのかです。先ほどのESCOのほうでは、もう第一次エネルギーという形の中で考えられているみたいですが、電力全体としてはより大胆に導入していくという意味からいうと、そういう形の配慮をどうしていくかということを少しご議論いただけたらという気がします。

碓井委員: 今までご説明をいただいたことについては、私は特にコメントするほどのことはございません。要するにどういう財を公共が購入したいかという自己決定の問題ですから、それを合理的な基準で決めることができるかという、それだけのことではないかという気がします。この環境配慮契約法を見ますと、従来の私の専門とする財政、会計、法制などとの関連で言いますと、財務負担について緩やかにするという程度のことで、それほど真新しいことがあるわけではないというふうに思っています。そういう観点から行くと、実はこの環境配慮契約法の範囲がどこまで及んでいるのか。あるいは基本方針でどこまで定めることができるかというのが、むしろ法律家としての私の関心事でございます。今ご説明いただいた電気、自動車、ESCO、建築のどれでもいいですが、例えばゼネコンさんに工事を発注する際に、そのゼネコンさん自体がどういう自動車を使っているのかということを入札参加の資格にしたり、あるいは総合評価の点数の要素にしたりするとか、そういうことはむしろ外国では付帯的な政策をこういう調達を通じて実現するということで大きな課題になっています。ところが我が国の会計法の解説書などでは、国の調達においては経済性が優先すべきものであるから、それを通じて他の政策を実現することは望ましくないと伝統的に言われてきたわけです。ですから調達する財自体についての中身を自己決定で高めることはできますが、そこでも経済性というものを貫くのだからということが言われているわけです。そういう中で議員立法で成立したこの法律が、どこまでを射程範囲として思っているかというのは、法律家としての私の最大の関心事です。この解説書、あるいは国会議員の方が書かれるのかもしれませんが、そのときにそういう付帯的政策への基本方針を作ることを可とするような方向で書いてくださるのか、それともそういうのは否定したという趣旨で書いてくださるのかによって、この法律の発展性というか、広さが大分変わってくるように思います。あるいはそういうことはむしろ言及しないほうがうまく進むのかもしれませんが、その点は私の最大の関心事です。

山本座長: それでは鈴木先生のご意見を承ってから、事務局からご意見をいただきたいと思います。

鈴木委員: 鈴木でございます。大学では、経済法と国際経済法を担当しています。環境政策と競争政策とは必ずしも反するのではなくて、むしろ環境政策が適切に実施されるならば、市場の外部性を是正し、市場メカニズムに対する信頼性を回復する効果があります。また適切に実施されるということが前提ですが、やはり適切な環境政策は技術革新を促進するという効果があって、これも競争政策と言いますか、独占禁止法の立場からもむしろ歓迎すべき点ではないかと思っております。ただ同時に実施に当たって仮に一部の企業とか、既存の企業だけが有利に扱われるということになりますと、やはりこれは競争政策とか、あるいは独占禁止法に抵触するということだけでなく、環境政策としても好ましくないのではないかと思っております。
今回とりわけ検討事項にも記されていいですが、いろいろな基準の決め方に透明性、あるいは公正性というものをぜひお願いしたいということです。それから調達方式の決定につきましては、総合評価方式とかプロポーザル方式が提案されています。これは何も今回が初めてではなくて、現在でも土木・建築分野でも広く提案されているのですが、実際には総合評価方式やプロポーザル方式はほとんど実施されていません。それは要するに発注者側にこれに対応できていない面がかなりあるのではないか。従いまして今回こういった方式が形式的なものにならないよう発注者側にもこれに対応し得る方策をもあわせて検討してほしいと考えております。

山本座長: ありがとうございました。ただいま3人の先生、これは座長を指名されていない先生方からご意見を賜りました。郡嶌先生からは、CDM、グリーン電力等についてどのように配慮するか。配慮してほしいというご意見だったと思います。碓井先生からはこの法律の範囲はどこまで及んでいるのか。これは非常に重要なポイントを指摘されたのだと思います。鈴木先生は公正取引との関係で、原則的にはこの法律は歓迎すべきであるけれども、実際に検討事項を決めるときに透明性、公正性をきちんと担保してほしいというご意見だったとか思います。事務局のほうで何か説明すべき点がございましたらお願いいたします。

環境省(中山補佐): まずCDM、グリーン電力のお話ですけれども、そのあたりの扱いも含めて、当然のことながらワーキンググループの中で具体的に何ができるかをご検討いただければというふうに考えております。それから碓井先生の話はちょっとあとでしますが、適切に基準を作っていくというところについてですけれども、こちらそういう意味でできるだけ幅広くワーキンググループの委員にも、いろいろな業者の方にも入っていただき、それからできるだけ公開の場で議論をしていきたいと考えております。そういう意味でルールメイキングのところで信頼性をできるだけ確保していきたいというふうに考えています。評価するほうの側の能力という話は、また別の問題として考えていかなくてはいけないと思っております。

環境省(小林官房長): 碓井先生のご質問でございますけれども、私、その立法過程にお付き合いをして、先生方のご議論を聞いてはいました。明示的に、今この条文に書いてある以上の、どこまでを環境配慮契約の中で縛っていくかということについての議論はなかったですが、ただ第十三条に書いてございますのは、こういった環境配慮契約政策のようなものの実施に当たっては、契約に関するその他の施策との調和を確保するというふうに書いてございますので、その調和が確保される限りにおいては、環境配慮を徹底していくということは可能なのかというふうに考えています。ここはまだあまり整備をされていません。例えば電力の場合には、事業者さんの環境取組にまで、これを裾切りするということを条文には書いていますので、そこから条文を無視するのはいけないかと思いますが、少なくともそういうことが条文に書いてある以上、他の分野でもそういった事業者さんの、例えば製品なり、サービスを作るときにあたっての環境配慮といったものを契約の内容に段々持ち込んでくるということは、全部配慮されているわけではないように思っております。どういうところまで許されるかは、今後段々考えていくべきだというふうに思っております。ちなみに私どもの契約実務では、例えば、「環境省に物品を納めるときには、低公害車を使用」というようなことを契約で書いています。ですが、実務的にはそういったようなことが、閣議決定してまで、各省共通にできることかどうか知りませんけれども、契約は相手が納得すれば結ぶことができますから。だからただそういうふうに強制的に皆に及ぼすことができるかどうかはわかりませんけれども、実務的にはそういうこともやっているので、そこのところが当たり前になれば、そういう進化をしていくことも大いにあるのではないかと期待を込めてそういうふうに思っております。

山本座長: 碓井先生、いかがでございましょうか。よろしいですか。それでは4つのワーキンググループの座長の先生方にご意見をいただきたいと思います。まず電気、自動車、ESCO、建築の順でいきたいと思いますので、山地先生、お願いします。

山地委員: 座長を指名された者としては、少し具体的なことを質問させていただきたいと思います。資料5のp.2とp.3のところです。(2)の基本的な考え方のところで、裾切り方式を採用と書いてありますが、一番上の四角で囲った最初の○のところでは、ちょっと一番目の文章は長いですが、「当分の間、『裾切り方式』によるものとする」と書いてあります。その「当分の間」とは、どの程度をお考えなのかということが一つです。それからもう一つは、裾切りには二酸化炭素の排出係数が基本でしょうけれども、それに電気事業者の取組状況を考慮してということです。まず、排出係数のほうですが、温対法による排出係数の算定が一番根本になると思いますが、この算定における時間遅れをどう扱うのか。事務局の基本的な考え方を確認したい。それとあとは取組状況の考慮というところですが、(2)ではそう書いてありますが、p.3の(4)検討に当たっての留意点のほうでは、2つ目の「・契約に用いる排出係数の課題」というところで、「事業者の努力」と書いてありますが、努力とは多分取組状況のことかと思いますが、もし何か違うことをお考えならどういうことなのかということです。あとは、これは私がどう思うかということではなくて、確認のために聞きます。p.3の一番上のところに、裾切り方式は裾切り方式ですが、地域ごとに量を決定する。安定供給の確保の観点を踏まえてと書いていますが、自由化対象庁舎というのが問題になると思います。自由化対象庁舎であれば、地域性というのはあまり考えなくてもいいのかもしれない、理論的には。けれども安定供給の確保と書いてある意味合いは、地域別に裾切り値を決めるということとの関連でどういうふうな考えなのか。説明を加えていただきたいということです。また、自由化対象庁舎が問題で、それ以外なら問題にならないわけですが、そもそもここで対象となっている庁舎の中で、自由化対象分がどれぐらいあるのでしょうか。ほとんどがそうだと思いますが、今わかるなら今言ってほしい。あとでちょっと確認いただきたい。以上。

山本座長: それでは、事務局のほうから答えられる範囲でお答えいただきたいと思います。
環境省(中山補佐): 「当分の間」というところでございますが、ここは、参考1の条文の附則を見ていただきますと、その辺りについての基本的な考え方が何となく出てくるのかと思っています。附則2項におきまして、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所管の措置を講ずるものとする。」、3項で、「政府は、国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約における電気の価格並びに温室効果ガス等の排出の程度を示す係数及び環境への負荷の低減に関する取組の状況(・・・省略・・・)を総合的に評価して落札者を決定する方式等について、電気事業者の温室効果ガス等の排出の削減等のための技術開発及び電源構成の変更に相当の期間を要すること等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされまして、その上で4項で「国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約については、当分の間、入札に参加する者に必要な資格として温室効果ガス等の排出の程度を示す係数等を定めた上で、当該入札に係る申込みをした者のうちから当該申込みに係る価格に基づき落札者を決定する方式によるものとする。」とされております。我々に与えられたミッションとしては、要はこの2項、3項、4項を踏まえて適切な時期に見直しをするということになるということでございますので、具体的なところはどこと言われると、2項の5年というのが、一つの手がかりにはなるだろうと考えております。

山本座長: 二酸化炭素排出係数を決めるのに、時間の遅れがあるというのはどう扱うか。

環境省(中山補佐): その辺りも、事業者の努力も含めて、どういうふうに配慮をすることができるのかという辺りは、まさに実はこのワーキンググループの最大の課題になってくるのかと思っております。普通に考えると、あるもので契約をしていくということになってしまいますので、「それで」というのが普通のパターンですが、ただそれに対して諸々遅れが出てしまうところをどうみるのか。それから一度決まってしまうと、ある意味裾切りに引っかかるとされた事業者は、一年間どうしようもなくなるというようなこともございますので、その辺りも含めて事業者の努力というのをどういうふうに見なすのかという辺りも含め、いろいろ工夫をすることができるのか、できないのか。その辺りも含めてワーキンググループでぜひご議論をいただけると大変ありがたいと思っております。どちらかというと戻してしまったようなお答えで申し訳ないのですけれども、そういったことを考えております。

山本座長: あとはどのくらいが対象になるかということですね。

環境省(中山補佐): 申し訳ないですが、今、自由化対象庁舎がどのくらいかというのは、手元には数字を持っておりません。申し訳ございません。わかるようであれば、ワーキンググループの際までに、調べがつくようであれば調べておきたいと思っております。地域ごとというのは、先ほどの安定化のところも含めて、考え方としては地域ごとに状況も条件も違います。例えば離島の多いところなどと、比較的供給のたやすいところとでは変わってくるというところもございますので、その辺りも含めて地域ごとに裾切りについての考え方を示さざるを得ないのだろうということは考えております。

経済産業省(片山課長): 経済産業省電力市場整備課長の片山でございます。私も立法過程からかかわっておりましたので、若干経済産業省としての受けとめを申し上げたいと思います。「当分の間」というのは、今環境省の事務局の方から5年というのが念頭にあってというふうなお答えがあったと思います。二条から四条がそれぞれに独立に書いてあって、条文上書いていけば、厳格に見ると、全部つなげても「当分の間」は5年というにはなかなか読めないということだと思いますが、立法過程で色々関係業界等々との調整過程で、「当分の間」とは5年として読むというのが、ある意味コンセンサスとしてできていたのではないかと思っております。
 それからCO2の排出係数の問題については、資料5の基本的な考え方にも書いてございますように、温対法に基づいて環境省さんと当省とで共同の省令というもので、電気についての排出係数をいろいろ算定する仕組みを決めております。それに基づきまして、いわゆる温対法のデフォルト値、555g-CO2/kWhという数値よりも低い場合には、そのルールに則って計算したものを告示する。官報に載せるという仕組みが現にございます。従ってそういうすでにできあがった仕組みの中で、このクレジットなどを一体どのように扱っていくのかという根本的な仕組みの問題というのもございます。そういう仕組みの問題を含む中で、こういうワーキングで検討するところでどうしていくのかを考えないといけないのではないかというふうに考えております。
 それから地域ごとというところでございます。電力自由化の仕組みを若干かいつまんで申し上げますと、今自由化をされている、つまり需要家が事業者を選べる範囲というのは、原則50kW以上の契約電力の規模を持っておられる需要家でございます。どこまで小さなオフィスがあるのかということだと思いますけれども、ほとんどのものが自由化対象になり得るのではないかと思っております。実は自由化対象になっている需要家というのは、基本的に事業者と個別に交渉して契約するというたてつけになっております。ただ、どことも契約交渉が合意できなかった需要家はどうすればいいのかということを担保するために、安定供給ですとか、若干狭義の意味でのユニバーサルサービスではありませんけれども、最終保障義務というのが一般電気事業者にかかっております。この一般電気事業者は自らの供給区域ごとに最終保障する義務を持っております。従って正当な理由がある場合にはいいということになっていますが、そういう電気事業法上の観点というのも考えながら、ある一定の地域性みたいなもの、つまりどことも契約が合意できなかった需要家を最後に救うのは、地域ごとの一般電気事業者というたてつけになっているということを踏まえて考えていくということではないかと思っております。

山本座長: 私が聞いている範囲では、東京都がグリーン電力調達を5%やると報道されていますよね。これは国がこの環境配慮契約法でグリーン電力の調達に乗り出すということでありますので、東京都の実績を大幅に上回るようでなければ、国の面目が保てないということを私は申し上げておきたいと思います。それで次に大聖先生、お願いします。

大聖委員: 自動車のほうの課題としましては、p.5の(4)に尽きるのだろうと思います。この中でランニングコストをどういうふうに算定するかというのが、今議論してもしょうがないのですが、かなり難しいのではないかと思っております。と言いますのは、燃料の価格がかなり変動する可能性がありますので、ランニングコストをどうするかということですから、その評価をどういうふうにやるのかということです。
 それから燃費の基準に関しても、今後テストモードが変わってきますので、それをどうするのかということも非常に重要だと思います。また、本検討委員会の守備範囲ではないですけれども、こういった取組が事業者や製造業者の取組を誘発する効果があるわけです。とりわけ製造業、物品を製造する製造業への開発を促す効果も含めて考えると、CO2の日本全体としての削減効果が予測できるのではないかと思います。
 それから地方自治体や民間への浸透です。国等ですから地方自治体も入っているわけですけれども、ユーザーとしての民間の取組を誘発するという面もあります。こういったものもどこかできっちり評価していただくような仕組みをぜひ追加的に作っていただければと思います。それによってこの法律の有用性が明らかになるのではないかと思います。
 それから先ほどの電力のほうでもありましたように、国や地方自治体が持っている車が全体としてどれぐらいのもので、それの将来の買い替えによってCO2の削減効果はどうなのかということも、少し見積もる数字が出てくると大変ありがたいと思います。

山本座長: 何か原田さん、ございますか。車の総数はどれぐらいですか。

環境省(原田補佐): 一般公用車は4千数百台ほどで、その他の用途に使うものも含めると相当量です。

坂本委員: 資料5、p.6の上の四角の中を読んでいましたが、基本的にESCOというのはランニングコストを減らす話です。ESCOにかけたちょっとしたイニシャルコストは、絶対にそれ以上の削減効果が得られるということでございますので、もし得られなければESCO事業として全然成立しないということでございますから、他の電気や建築で問題になるようなものはないのではないか。経済性が一番いいのは、イニシャルコストが安いのが今までの選択方式で、それに対してランニングコスト、あるいはランニングのCO2排出量といったものを加味した調達の契約の仕方、仕組みをもうちょっと変えるという話とあまり対立しないというか、基本的に違和感がないという感じを強く受けたので、あまり大きな課題というのはないのではないか。逆にエネルギー種別が変わればいろいろな問題が出てきますが、エネルギーの種別を変えないでいうことでESCOを評価するのであれば、あまり大きな問題はないのではないかというのが今思った感じでございます。
 p.6の四角の3番目の○以外は当たり前のような話です。将来を見据えて契約せよとか、そういうのは契約の基本だと思いますので、あとで営繕さんがいらっしゃっていますのでアシストしてほしいですけれども。すでにこういうことを頭の中に入れて、例えば経産省のESCOなどは当然やってきているはずでございますので、あまり問題ないのではないか。問題なのは、上から3番目で、通常の設備改修も我々はよくやるわけですけれども、それとESCOの区別がなかなか厳密にはつかないので、その辺りを評価してあげれば、評価というか、鑑定できる仕組みを作ればいいのかと思ったりもしています。残念ながらあまり事務局に詳しく聞くようなこともないかと思っております。営繕のほうで何か補足説明があればお願いしたいと思います。

国土交通省(関本補佐): 官庁営繕部の関本と申します。今坂本先生からお話があったとおり、ESCOにつきましては、今経済産業省さんのほうで実証利用ということで1件進めさせていただいております。それを踏まえた形で、先ほど事務局のご説明にもありました環境システムESCO事業実施マニュアルというものを作っております。これは昨年坂本先生が委員長で作ったマニュアルでございます。現在、国の施設向けにはこういったものを一つ準備しておりますので、この辺を元にして、国の施設として取り組むESCO事業というものを検討していけばいいのかということです。先生が仰るとおり、特に大きな課題という感じではないですが、如何せん事務局からご説明にもありましたとおり、国のESCO事業は非常に数が少ないということもありますので、これを増やしていくためにはどうしたらいいかという視点も含めて、核となるマニュアルがございますので、この辺を少し見直していく感じになるのかというふうに思っております。

山本座長: 坂本先生、私が聞いている範囲では、例えばイギリスは数年先にはゼロエネルギービルディングを新築の場合は義務付けるとか、あるいはWBCSDがゼロエネルギービルディングの認証事業を始めるとか、世界は大きく動いていると思いますが、日本はなぜ今、国のESCO事業が本当に少ないとかで、非常に立ち遅れているような印象を受けるのですが、いかがでございますか。

坂本委員: ESCO事業について言えば、国はやはり契約の問題がありましたので、国の契約というのは単年度契約というのが今までの基本だと伺っております。それがESCOになると最低でも5年ぐらいという長期間にわたって契約します。そういう契約法上のものというか、会計処理上の問題が非常にネックだと聞いております。しかし民間、あるいは地方公共団体はESCOをかなり利用していて、実績も上がっていて、いろいろなところで発表されておりますので、それほどひどくESCOが不振ということは、私はないというに判断しております。

山本座長: それでは野城先生、お願いします。

野城委員: 先ほど申し上げましたけれども、私のワーキングで一番境界条件がボヤッとしております。いただいた法律の第五条の第二項の四に、建築物に関する契約その他国及び独立行政法人等の契約であって、今議論がございました山地先生の電力購入や坂本先生のESCO以外における温室効果ガス等の排出の削減に関する基本的事項という、the  othersという位置づけになっておりまして、どうしたものかと非常に悩んでおります。事務局のご説明にございましたように、これだけの詰まった日程でございますので、非常に影響力のある設計サービスの調達のところに、まずは絞って検討して、それに決められた期間である回答を出していくということだろうと思いますので、それについて確認したいことが二点あります。それからその他の設計サービス以外に必要ではないかと思っていることを申し上げたいと思います。
 まずは設計サービスについてです。この事務局資料に全く滲み出ておりますように、建築の環境保全性、あるいは環境性能といいますと、環境側面が複雑多岐にわたるものですから、温室効果ガスが非常に重要なポイントであることは事実ですが、他の項目も入ってくるわけでございます。今日、西尾局長の話、あるいは座長の話を聞いていると、世紀の法律のタイトルを拝見すると、目的が温室効果ガスであるとするならば、総合的な環境性能ではなくて、温室効果ガスの削減効果というものをより重点にみた設計サービスの調達であるべきなのか。そうではなくてもう少し総合的に見るべきか。まさに意識のすり合わせというものをまず最初にしていただけたらと思います。
 二点目は、設計サービスについては、ある意味では国は未来価値を買うわけです。確かに検品の声としては最終的には設計図面が整っていれば、そこで納まるわけですけれども、そこで宣言した性能が出るかということは、納品が終わったあと、数年経って表れてくるわけでくるわけでございます。中には不心得者がいて、その設計段階、評価をする段階では巧みにプレゼンテーションしつつ、実はあまり効果が出てこなかったということもあり得ます。またこれは実際に設計者が想定しないような運用方法等々があり、なかなか性能が出てこないこともございますけれども、設計サービスを買うときの評価とどれぐらい設計サービスの提供者に対して、そういう未来価値の保証を求めるかという件について、もし今日、皆様方のお知恵をいただければというのが、設計サービスの購入についての質問でございます。
 それからできれば頭出しぐらいは、設計サービスに限らずしておいたほうがいいのではないかという事項を申し上げますと、一つは坂本先生、山地先生のところともつながる話だと思いますが、やはり現実の建築物に関するエネルギーの使用実態の調査、あるいはモニタリングといったような業務がないと、これは検査なしにいきなり手術をするようなことにもなりかねないわけでございます。やはり建物の特性を見ると、外気温にかなりきれいに、エネルギー使用量が相関するような性格の施設から、在室人数、執務時間にかなり関係している等々のものから、あるいは熱地温のある施設があり、あるいはないものでは、それぞれかなり処方箋が違ってくるわけでございます。やはりこれは事前に調査をする。あるいは調査業務そのものが政府届けの対象になっていなかったこともございますけれども、検討の中にそういった頭出しぐらいの調査等の業務を入れていいものかどうかということです。
 それから同じく設計サービス以外でございます。実際に例えば建物が建つ際に設備機器などの具体的な仕様・性能については、調達する条件によっては、むしろ請負建設業者が具体的な仕様を決めてきています。設計の方針が8割とすれば、そういったところで工夫する余地というのはある意味では少しではございますけれども、そういった建設工事に入った段階での仕様決定書等についての方針をどのくらいこの設計サービスから連続して持っていくか。さらに建物の引渡しが終わったあと、なかなかどの建物でも性能が出ませんので、一般的にはコミッショニング等のサービスがございます。そういったサービスについても、加えてはじめてようやく実効果というものが出てまいるわけでございます。そういった様々な範囲も、私は法律の専門家ではないですが、素直に五条の四項を見ると入ると言えば入るのですが、しかしそれはもちろんこの日程では詳細な回答は書けませんけれども、頭出しぐらいまではしていいのかどうか。その点について確認したいと思います。以上でございます。

山本座長: ごもっともなご意見だと思います。CASBEEは総合的な環境性能を評価する手法でありまして、CO2だけではないと等々ございましたが、いかがでしょうか。事務局のほうで何かお答えできる範囲でお願いいたします。

環境省(中山補佐): 基本的には今回追加して考えるものとしての契約に対しての考え方は、温室効果ガスが中心になりますが、当然のことながら他の分野との関係をどう配慮していくのかというのは、法律上も出ておりますので、それはある程度入れられ得る。またその法律でも温室効果ガス等の排出の削減ではありますけれども、このたてつけとして今後どうなっていくのかというのは別の問題としてあるだろうとは思っています。現在について言うと、少なくとも温室効果ガスというものをどう下げていくのかという観点に立ちつつ、他をどう入れていくのかという話だと思っております。
 それから宣言と結果のタイムラグのところは、むしろ何か手がないかと思っております。契約の実務との関係でできることがあるのかないのかというのを事務局のほうでもいろいろ検討したいとは思いますけれども、ワーキンググループのほうでご議論をいただければということになろうかと思います。
 それからその他、事前調査、モニタリングの話ですとか、その後についてどうするかというお話について、頭出しをしていただくということは十分可能だと思っております。この限られた時間で、どこまで頭出しができる程度の議論に至るかというのはございますけれども、可能であると思ってはおります。

山本座長: よろしいですか。郡嶌先生、いかがですか。全体をお聞きになられて。

郡嶌委員: 難しい問題ですけれども。先ほど碓井先生が仰った、いわゆるproduction externalityと言いますか、最終的なサービスだけの、最終的なconsumption externalityだけにするのかは、まだEUそのものでもあまり結論を出していない問題ですので、ぜひとも先ほど小林さんが仰ったように、少し一歩進んだような形の、グリーン電力などは、あるいは物品についても、そういう購入の中でも、プロセスの中でも配慮を進めるべきだろうと思います。ぜひともそういう議論も進めていただけたらと思います。

山本座長: それでは大体議論も本日は出尽くしたと思いますので、今までいただきましたご意見を参考にして、また練り直して、またワーキンググループでぜひ積極的なご提案をお取りまとめいただきたいと思います。

山地委員: さっき私が質問したことの答えをいただいたので少し感想を申し上げます。地域ごとの裾切り値の件については、片山課長さんの説明で私は納得はしました。ただそうすると、むしろ安定供給というより、ユニバーサルサービス確保の観点の脈絡のほうが強い。安定供給と電力自由化の関係は、電気事業分科会の中で今から議論されるのでしょうが、はなかなか難しい問題です。それをいきなり地域ごとに持っていくのは、論理上のジャンプがあると思っております。
 もう一つ前の発言のとき言えなかったのですが、CDMクレジットの排出係数への反映等を含むというのが、検討に当たっての留意点・課題等にありますが、これに関連して、温対法の排出係数算定ですが、この3月に取りまとめたときに私はたまたまそこで主体だったのですが、宿題になっているわけです。だからあの宿題を片付けていただければ、温対法の排出係数がここでも使えます。それはぜひよろしくお願いしたい。二点です。

山本座長: 実際にワーキンググループが開催されて、またたくさん議論があるだろうと思いますので、ぜひ建設的なご提言を最終的には取りまとめていただきたいとお願いしたいと思います。それでは事務局から何かございましたら。

(3) その他

環境省(笠井課長): 有益なご指摘をありがとうございました。次回の日程は各ワーキンググループでの議論がまとまりましてから、スケジュールにも書いてありますが、10月の第1週以降に開催したいと考えております。委員の先生方に改めて日程照会させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また座長と事務局のほうに調整を任されておりますけれども、ワーキンググループの委員につきましても、確定したあとでご報告させていただきたいと思っております。各ワーキンググループの日程につきましても、早急にメンバーを確定した上で日程照会を行い、連絡させていただきます。なかなか大変な日程ですけれどもよろしくお願いいたします。

山本座長: それでは、本日はどうもお忙しいところありがとうございました。これで終了させていただきます。