平成30年度環境配慮契約法基本方針検討会(第3回) 議事録

※平成31年4月17日一部修正

【議事録 PDF版】

平成30年度環境配慮契約法基本方針検討会(第3回) 議事録[PDF 307KB]

日時

平成301217日(月) 900~10:35

場所

中央合同庁舎第5号館22階 第1会議室

東京都千代田区霞が関1-2-2

出席者

出席委員:秋鹿委員、赤司委員、大聖委員、田中委員、原委員、藤野委員、野城委員、

山地委員、山本委員(座長) (五十音順、敬称略)

議事録

事務局: 本日はお忙しいところ、お足元の悪いところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成30年度環境配慮契約法基本方針検討会 第3回会合を開催いたします。早速ですが、議事進行を山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: 皆さん、おはようございます。今日は朝早くから御参集いただき、誠にありがとうございます。COP24もどうなることかと思っておりましたが、最終的に合意が取れたということで、それ自体は大変良いことなのですが、パリ協定調印の時のような勢いがなくなってしまっている。来年のCOPはブラジルではなくチリで開催すると報道されており、それもブラジルにミニ・トランプ大統領が出現したせいだということですね。私が大変心配しているのは、先週発表されたアメリカ気象学会のBAMSレポートです。これは毎年発表しているわけですけれども、その16の研究論文のうちの15の研究が世界の極端な気象に関する分析なのですが、いずれも地球温暖化がなければそのような極端な気象は起こらなかったという結論でした。これは先月気象庁の今田氏らの研究結果でも同様に、今年の夏の熱波は100%地球温暖化の影響であるとしています。科学的な研究はそのような方向でほぼ確実とされておりまして、10月8日に例の1.5℃、IPCCの特別報告書が公表されているわけですが、今回のCOP24ではIPCCの特別報告書を歓迎するという採択を拒否する国が4つも出てきて、アメリカとかロシアとかですね。IPCCの保守的な見解も拒否するという大変な事態に我々は直面しています。今日のインターネットのニュースを見ると、アメリカのハーバード大学の研究者は、来年成層圏にエアロゾルを注入して寒冷化させるという実験をやると報道されております。日本も是非、緩和とか適応ということだけではなく、カーボンマイナス技術を少し検討した方がいいような気がしているところでございます。

この環境配慮契約法は、温室効果ガスの削減が目的でございまして、ある程度の業績は上げていると思うのですが課題も多いということで、早速議事に入りたいと思います。事務局から、本日の議事予定、配布資料の確認をお願いします。

事務局: 本日の会議は、11時までの2時間を予定しております。

<配布資料の確認>

議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長: 最初の議題は、基本方針および解説資料、これにつきまして事務局より簡潔に御説明をお願いいたします。

環境省: 資料2、資料3、資料4-1について説明(省略)

山本座長: ありがとうございます。野城先生、何かございますか。

野城委員: 特にございません。

山本座長: それでは、ただ今の事務局の御説明、資料2、資料3につきまして、基本方針改定案について御質疑いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。赤司先生から。

環境省: 今回事務的な修正であり、考え方は変わっていないので、コメントしづらいところがあるかもしれませんが、もしございましたら御意見を頂ければと思っております。

赤司委員: これまで委員会の方で議論させていただきましたので、特にありません。

山本座長: 野城先生が10時半頃に退席されるということで、こちらの議題を先に審議させていただいているという事情でございます。そうしますと、資料2、資料3及び資料4-1につきまして、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、非常に大きな課題である電気の供給に関する契約、資料4-2につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

環境省: 資料4-2について説明(省略)

山本座長: 資料4-2について、御説明いただきました。それでは、電力専門委員会の座長の山地先生いかがでございますか。何か補足がございましたら。

山地委員: 確認のために申し上げると、グループ化を図ったということが一つと、環境配慮契約を実施した方がむしろ排出係数が悪くなっている地域があったのですが、その地域に関して配点を1段階厳しいものにした。もう一つはFIT電源由来の非化石証書の取引が実際に始まりましたので、それを再生エネルギーの導入状況のところに加えました。あとは議論のポイントとしては環境配慮契約未実施の機関、特に独立行政法人ですけれども、これを何とか対応するということで、これは引き続き検討ということです。それは特に書かれていませんけれども、今後の課題ということです。

山本座長: ありがとうございました。いかがでしょうか。何か先生方から御意見、御質問等がございましたら。特にないようでしたら御了承いただいたということにさせていただきますが。ありがとうございます。資料4-2につきましては御承認いただいたということにさせていただきます。それでは次の議題に移りたいと思います。

(2)平成31年度における検討方針・課題について

山本座長: 平成31年度における検討方針・課題につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。

事務局: 資料5について説明(省略)

山本座長: 大変詳しい御説明をしていただきましたが、来年度のこの検討会あるいは専門委員会をどのようにするかという具体的な案の提案がされたわけでございまして、ほぼ完全な形で提案されておりまして、電力専門委員会は山地先生にお世話にならなければいけないのですが、山地先生何か。

山地委員: 今説明していただいたとおりです。ただ、電力の状況というのは電力システム改革というのが今も進行中で、実態も変化があるので、それに早急に対応していくことが必要ということで、継続課題はわかっていますから、来年度は早目に始めて、それについて専門委員会である程度議論したところで1回目の検討会に出していただくと議論がスムーズにできるのではないでしょうか。その準備もあり、未実施の機関のデータの対応に対するアクションもあるため、今年度は4回開催するということです。

山本座長: 建築物維持管理の専門委員会はどうなのですか。

環境省: 今回閣議決定されるということになりますので、その結果をまず見る必要があると思います。そういう意味では少なくとも来年度はお休みと考えてございます。他の類型の話も含めて、正直事務局としては苦渋のところがございまして、電力と建物物維持管理を今年度並行してやらせていただきましたけれども、なかなか事務局として両方の委員の方々から求められたものを全て出しきれなかったところがあったかと思っておりまして、来年度は電力のところの優先事項がございますのと、本来建築物維持管理の方も重要事項はございますけれども、まずは様子を見たいというところがございまして、今回の専門委員会の立ち上げにつきましては、電力だけにさせていただきました。ここは御意見があると思いますけれども、事務局からの説明は以上になります。

山本座長: 野城先生いかがですか。

野城委員: 御事情はわかるのですが、前回申し上げたように、中長期的にはどんどん変えていかないといけない。今回は階段の1段目を上っただけで、望ましい姿からするとまだまだですので、火を消してはいけない。火を消さない方法として、必ずしも専門委員会をずっと維持してやるという必要は私もないとは思うのですが、関心を払っていかないと。どちらかと言うとIoT絡みの国内のいろいろな動きが非常に激しくスピーディに進んでいますので、国内なりメーカーの中の事情だけで物事は進んでいないので、そこはちょっと注意して見ていく必要があるかなと思います。

山本座長: エコプロダクツ展で全部のブースを拝見したのですが、大和ハウスが賞を獲得していました。佐賀の大和ハウスはもうZEBになっているようです。国の建築もゼロエネルギービルディングまではいかなくても、少なくともその直前のZEB Readyというのがあるようなのですが、そのくらいまでは要求してもいいのではないかと。どのように規制が強化されていくか、これからの課題だと思うのですが、調達の方も、来年激しく動くかどうかは別にして、ぜひその辺の情勢をウォッチしていただきたいと思います。

環境省: 専門委員会としてはないということですが、検討会の方での御報告は適宜させていただきたいと考えております。

山本座長: 資料5につきまして、その他何かコメントあるいは御提案がございましたら。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは資料5は御承認いただいたということにさせていただきます。

(3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況等及び環境負荷低減効果等について

山本座長: 次の議題に移りたいと思います。資料6、どのくらい削減ができたかというところですね。これは大変興味のある、非常に重要なところでございます。事務局から御説明をお願いします。

環境省: 資料6について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。大変興味深い結果だと思います。これはもう10年くらいやっているわけですが、累積でどれだけこの法律で削減できたことになるのですか。

環境省: 試算の方法など多少変わっている部分もございますけれども、出してきた結果というところでございますと、21年度から29年度の実績を単純加算すると235万4千tとなります。

山本座長: 9年間で230万tということですね。230万tというとそこそこ貢献しているかなという気にはなるのですが、先生方いかがでしょうか。何か感想、コメントを。秋鹿先生から。

秋鹿委員: 全体の感想でもよろしいでしょうか。私はたまたまエネルギーキャリアというプログラムを担当させていただいていて、今年で終わるのですが、その中で日本の技術として省エネの特に燃料の技術ができており、それを実際に世の中に適応しようとすると、それほど高くないのですが、やはり価格が問題になります。そのためにはインセンティブを国に付けていただくのですが、包括的に協議をするのだと思いますけれども、環境省でカーボンプライシングについて協議されていまして、その資料を見てみると、日本のいわゆる炭素税、これはいろいろなものを含めてなのですが、自動車の燃料が突出しています。それはCO2 1t当たりに直しますと2万円を超えるくらいの税金を取っていて、それから灯油が1万円くらい取っていて、それに対して電力や産業用の燃料に対しては1,500円とか2,000円とか非常に薄い。それを非化石分にしますと、日本は大体4,500円くらいとなっていまして、北欧等々では、国によって違いますけれども、1万円から1万5千円くらいと高くインセンティブを付けている。そういう意味では日本は遅れているのですが、ではということで産業用のところにインセンティブを付けてくれればグリーンな燃料がどんどん入ってくるはずなのですが、それはすごく大きく市場に影響します。私のような一介の学者が云々するような問題ではなくて、そういう意味では税金の制度を見て愕然としました。ただそういうことも含めて、日本のCO2を削減するためにはいろいろな仕掛けをしていかないといけないと思いますので、この委員会も微力ではありますけれども随分いろいろ研究されて、頑張っておられるので、この方向で進んでいただきたいと思っております。

赤司委員: 省エネルギー改修事業担当ということで、8ページのところについて少しコメントしたいと思います。平成29年度において実施されたESCO事業が5件あって、独立行政法人3件、国立大学法人2件、その結果が下に出ているのですが、これがパリ協定の日本の削減目標の中で、部門別の目標があり、更にその下に省エネでどれくらい削減しなくてはいけないかという数字があると思うのですが、それと比較して、この実績がどれくらい実現しているのか、目標に向かって削減を進めているということになっているのか、というチェックをしていただいた方がいいのかなと思いました。というのは、これは参考資料にありますけれども、前回も申し上げましたが、国の機関が10年間ずっとESCO事業に取り組んでいないということがあって、それはなぜなのかという話です。もちろんESCO事業というのは経済性でもって事業が成り立つ、成り立たないを判断するわけですけれども、改修を行う、行わないという判断を誰がどのようにやるのかという話と、単純に企業側の経済論理だけではなくて、国としての省エネを進めるべきという最低ラインのようなものと企業側の経済性がうまく議論されるべきなのではないかと思います。ですので、この現状とパリ協定で日本が目標とすべき数字がどれくらいマッチングしているのかをチェックされた方がいいのかなと思っています。

環境省: ESCO事業の導入可能性の話、前回の時にも御質問があった件について少しお話させていただきます。お手元に環境配慮契約法の関連資料の冊子があると思いますが、78ページをご覧ください。ESCO事業導入可能性の判断の項目がございます。(1)導入可能性の検討ということで「ESCO事業は、」と書いているのですが、「ESCO事業の導入に向けた検討を行うこととする」という項目で、1次エネルギー消費量換算値2,000MJ/㎡・年以上(従来型ESCO事業の場合)と、1,500MJ/㎡・年以上(設備更新型ESCO事業の場合)ということと、年間光熱水費が5千万円以上/施設という形で、あくまでも判断に当たっての目安でありというところでございますが、この線で一度検討していくということで、間が空いてしまっており書いていないところがございますけれども、これを元に検討して参ります。

赤司委員: これは原単位ということでしょうか。

環境省: 原単位です。

赤司委員: 国の機関で2,000MJ/㎡・年以上のものはほとんどない。現状からすると、この数字そのものが大き目だと思います。今もっと省エネが進んでいて、先ほどZEBの話が出ていましたけれども、マーケット的にはそっちに向かっている中で、2,000と1,500の数字が大きいのではないかと思います。それから、これに引っかからないからやらなくてもいいかというとそうではなくて、気候変動の観点から言うと、先ほどの環境省の評価で言うと、例えば何%削減するというのはあくまでも自分自身の、2013年比でどれくらい削減することを頑張りましょうという話になっています。つまり、国の機関が2013年度の値から、どれほどのパーセンテージに削減されてきているかどうかの評価なので、その点でESCOがリンクしていないと、全然進まないということになりかねないのではと懸念しています。

環境省: この部分で今までの形になっていたということではございます。確かに見直しをしてどうしていくかということについては考えなければいけないと思います。そういう意味で関係部局の地球部局との連携を考えているところでございまして、維持管理のところでは今回の形でとりまとめさせていただきましたけれども、こういったESCOの部分を含めて、検討会での報告になろうかと思いますが、事務局としてもどのように進めていくか考えさせていただきます。

大聖委員: 再三この場で申し上げているのですが、地方公共団体への展開について。これがどのような位置付けになるのかというのを、もう少し明確にしていただければと思います。いろいろと説明会を開催しておられるようですけれども、実施自体はどういうふうになっているのかということを把握していただくことは可能なのでしょうか。

環境省: 地方公共団体の環境配慮契約の状況については、アンケート調査をしてまとめています。検討会での報告は間が空いてしまっている状況がありますので、次回御報告させていただければと思っております。

大聖委員: その際に、どういう課題があるのか、こういう取組を国としてやっていることをどの程度周知しているのか、つまり周知の度合いというのでしょうか。そのメリットや実施することに伴う効果を、どれくらい地方公共団体が理解しているのかということも、ぜひ調べていただければと思います。ポテンシャルとしては、国とか独立行政法人よりも地方公共団体が取り組めば大きな効果、潜在的に持っているはずですよね。この守備範囲として地方公共団体まで手を付けるのかどうかという議論もあるかなと思いますけれども、せっかくこういうやり方がもう整っているわけですから、それを採用するような取組をぜひやっていただきたいと思います。

それから自動車に関して申し上げますと、達成率が高いということでありますけれども、今すぐというわけではないのですが、実は2027年に乗用車の燃費基準の改定があります。今もうそれがまとまりつつありまして、その中でWell to Wheelという考え方が議論されています。これはどういうのかと言いますと、例えば電気自動車ですと、発電の元になる原料から遡って電気として消費されるまで全体に渡ってCO2を評価しようという考え方が出てきていまして、これはガソリンやディーゼル車も原油の採掘から精製、消費まで全部関わるわけです。そういう考え方が出てきますと、電力の原単位をどのように考えるかがまだ定まっていません。その電力の大元が何から作られているかというのは地域によっても違いますし、電力の増加分というのは火力で制御されているという場合もあります。今議論の過程にあるのですが、そういうことも少し念頭に置いていただいて、将来のCO2排出量の考え方を整理していただければと思います。以上です。

田中委員: 11ページから産業廃棄物の処理に関わる契約について記載がございますけれども、参考とはいえCO2の計算をしたというのはそれなりに意義があると思いますので、評価しております。変えた方が良い、あるいは検討した方がいいかなという点だけを述べさせていただきたいと思います。

1つ目は、12ページにありますように、環境配慮契約の場合の入札参加者の39.2%がエコアクション21の認証を取得している事業者であると。これが今度は入札をして契約をした相手が、同じ割合39.2%を使っているのですが、環境配慮契約をしたために足切りをして、この割合がぐっと上がっているということを評価するべきだと思います。エコアクション21を取っているところでないと契約ができていないということで、100%とは言いませんが、契約した人は相当高い数字になっていると思います。エコアクションあるいはISOの認証どちらかでいいと思うのですが、両方考えればこれが高くなると思います。

もう一つは、11ページの一番下に書いてありますように、実証事業をやって3.7%削減できたということですが、もう少し、どういうことをやったためにこれが削減できたのかということが書かれて、それを参考にして、他の仲間も努力をするようなことにつながればいいなと思います。3.7%も非常に低いなと思うのですが、具体的にガイドラインのどこの部分が効いたのかというようなメリハリのある情報発信をすれば、他の産廃業者も参考にして減らす努力をすると思います。

もう一つは、環境負荷の低減というのを、廃棄物でCO2の削減だけでやっている点に違和感があって、初めの頃は優良な産廃業者と契約することによって、不法投棄がなくなるとか、きちんと適正な処理をするということによって環境負荷が減るだろうということでした。それをどうやって評価するのかというのが検討課題なのですが、廃棄物処理の良い方向に誘導することはできないものかなと。その一つに、最近はプラスチック問題が大きな問題になっております。プラスチックが海洋に流入するのが日本は年間6万tという信じられないような数字が出ておりますけれども、外国の人が勝手に、散乱したものが海に行くと仮定してやっているのですが、対策はどうするかということで、今の流れではリサイクル、物質回収型のリサイクルを大いにやるべきだという論調なのですが、エネルギー回収をして発電をするという方向が本当は正論だと思っています。できるだけ早くなくして、散乱したり、海に流入するチャンスをなくすためには、排出して収集して、できるだけ速やかに処理してなくしてしまうと。ウエイストエナジーという手法が今世界中で、日本でも特に電力、どこからCO2を発生させるかというので、廃棄物発電にもう少し目を向ける、あるいは再評価するべきではないかなと思っています。資料5の5ページに今後の検討課題がありますけれども、非化石価値取引市場から調達した非FIT非化石証書の評価のところに廃棄物の発電、廃棄物の発電というのは非FITで非バイオの位置付けです。一方で廃棄物発電は、新エネルギー法ではその範疇に入っているし、アメリカの動きを見ると、半分くらいの州は全体をリニューアブルエネルギー、半分くらいはRPS対象で、電力会社に購入を義務付けるということで、その辺も参考になります。いくつかの事例では、産廃処理業者が廃棄物で発電することによって、廃棄物処理施設内の電力をそれで賄うということで、外部から電力を買わないで済むということをやっています。それで経済的にも有利になるけれども、外部から電力を買わないで済むということは化石燃料で作っている電力の消費を減らすことにつながるので、ネットで考えればCO2の削減につながるという評価をいろいろな提案ではしています。その辺も良い方向に環境配慮契約法でできるといいなと期待しております。以上です。

原委員: 10ページの効果のところを見ますと、電気が一番大きい。やはり電気をもっと増やしてくことが必要かと思います。未実施をいかに減らしていくかというところが重要だと思います。来年度、そこも専門委員会で精力的に検討されるということで、しっかりとやる必要があると思います。

もう一つ産業廃棄物のところで見ていると、環境配慮契約を実施していないというところがけっこう多い。その実施できないというところがどういう理由なのか。あと実施した場合でも、エコアクション21の比率が4割、39.2%が高いのか低いのかというところがあると思うのですが、もう少し、環境配慮契約における配慮事項を工夫していくことによって引き上げていく、どういう事項が必要なのか具体的に考えていくことも必要だと思いました。

藤野委員: 10ページの削減量43,400tなのですが、総量でいくと対象範囲で出されているCO2 排出量はどれくらい全体であって、そのうちの何%になるのですか。

事務局: 国の方は政府実行計画で、平成28年度で220万tから230万t程度、独立行政法人の方は、その倍より少し多い500万t程度だったと思います。今年の分で申しますと1%くらいになるということですが、例年ですと20万tから30万tございますので、5~6%程度にはなってきたところです。

環境省: 試算の仕方が、例えば電気であれば、環境配慮契約をやった場合、やらなかった場合というように、全体に対しての割合として正確な形で集計できないところがあって、そういう意味で比較のしづらさがありまして、純粋に御質問に答えることができない状況です。

藤野委員: ただ、赤司先生がおっしゃったように、2030年に向けて建物で40%削減という数字が明確に出ている中で、そこに向かって、環境配慮契約法だけで削減するというわけではないのでしょうけれども、建物の排出量は全部カバーしているわけですよね。そしたら、それを全部追えるはずで、今それがきちんと向かっているかをこの法律を活かしてデータを取りながら、直線に乗っているか、足りていませんねとか良い感じですねというのは確認できるのではないか。こういうものは閣議決定で毎年報告するんですよね。そういう時に進捗状況を報告する機会はないのですか。

環境省: それはまた別で、政府の取組、政府実行計画等になるので、あくまで検討会の中で環境配慮契約の効果として御報告させていただくということになります。

藤野委員: よくわからないのですが、国と独立行政法人だと全てどこかの省庁が所管しているところですよね。そうなると省庁ごとのグルーピングで、この省庁の建物は削減が進んでいるとか、これは進んでいないというのは、数字としてはお持ちなのでしょうか。

環境省: 実績調査のやり方も契約に特化した調査になっていて、確かに上手くいくところといかないところがあるので、もう10年近くなりますので、御意見を踏まえて見直しと言いますか、実績調査の方も考えていく必要があると思っております。

藤野委員: これをもっと活用する範囲が増えれば、マーケットになって、民間がいろいろな技術をトライできる機会になっていくので、カバーできる範囲は増やしていった方がいいと思います。本来それを目的にされているので。前回欠席したのですが、例えば建物の方でも環境配慮型プロポーザル方式の未実施が多くて、既に設計業務発注前に優先される事項が決定しているということが大きな理由にはなっているのですが、本当にその理由だけで許してしまっていいのか。こうすれば対象になるからやってくださいなど、アプローチの方法がないのか。もう検討されているかもしれませんが、そこは追及できないかというのと、これはもう10年もやられていて、例えばCOP24に行った時もグローバル・クライメイト・アクションとか、パリ協定の実施ルールを作るのも大事ですが、やはりどうアクションを取っていくかということで、そういう意味ではグローバルでみるとこの法律はかなり先進的なものになっているとは思います。最初は削減量の話でありましたけれども、これをきっかけに全体の波及効果があって、国や独立行政法人が考えるきっかけになっているとか、そういうアピールの仕方、COPの場合だとアクションハブのようなパビリオンがわざわざ作られていて、UNFCCCの事務局が中心となりながら、良い事例を集めるみたいなものもあるので、せっかく毎年環境大臣もいらっしゃって、今年も原田環境大臣もいらしていましたが、そういうところで大臣が発表するような機会に持っていけないかなとか、もう少しやっていることをアピールできないかと思いました。

野城委員: 事務局も大変苦労されていると思ったのですが、気を付けなければいけないのは、この種の問題というのは、境界条件とシステムバウンダリーをどう定義するかでいくらでも鉛筆をなめられるということなので、システムバウンダリーがどうあるべきかというのは環境省のお考えでいいと思うのですが、こういうシステムバウンダリーで計測したらこうだということにしないと、少なくともこの委員会で出している5つの部会のシステムバウンダリーが全部ずれてしまうと信用性に関わってくるところがありますので、御都合主義で鉛筆をなめているのではないかというあらぬ誤解を招いてしまいますので、来年度以降、きちんと同じ境界条件の考え方で、もちろん対象が違うから違うのですが、そこにある根になる考え方が横串で揃っているかどうか確認した方がいいと思います。赤司先生もおっしゃいましたけれども、建築関係は、文部科学省の国立大学の予算が17~18年前に比べると10分の1未満になっておりますし、国土交通省が所管している営繕予算もそのくらいのスケールで減っていますので、新築の時にゲートを開いて、そこで減らす努力しても、日本にある建物が8億㎡で、そのうち新築が1年で1億㎡ですので、やはりストック、既存建築の性能を上げていった方がいいと思います。成績を上げていくということも大変重要ですし、民間の方の御発言があるように、検討基本方針の2番にも書いてあるように、我が国全体の温室効果ガス等の排出の削減に寄与する製品・サービスを対象とするという意味では、官庁の割合は非常に小さいのですが、既存の建物の性能を上げて、それをビジネスにしていこうという人たちからいたしますと、やはり率先垂範的な調達をすることがそういったビジネスを成立させていくきっかけになると思います。量的な効果は官庁なので小さい、あるいはストックベースでも、もちろんストックがあるのが大事なのですが、そのストックベースも必ずしも大きくないですが、それが民間への波及効果というのはポテンシャルがありますので、ぜひ来年度以降もそういった意識で進めていかれるとよろしいかと思います。

山地委員: 全般的なところで言えば、先ほど藤野委員のおっしゃった、政府実行計画の中で言及されている環境配慮契約ですから、政府実行計画の目標に対して環境配慮契約がどういう役割を果たしているか、そこの関係がわかるように整理するのが重要だと思います。

電力について言うと、数十万tあった削減効果が今年は3.6万tとなっているのですが、ただ電力全体で言えば、震災後というか福島原子力事故後に1億tくらい上がったところが、だんだん戻ってきている。排出係数で言うと、震災前はkWhあたり350gくらいだったのが560、570くらいまでいきました。今は、まだ500を切っていないけれども下がっている。2030年370gまでまだ遠い。こういう状況ですけれども、下がっていることは下がっている。ではなぜ環境配慮契約法による効果が出ないのかと言えば、排出係数を基本的な指標で裾切りをして、その後は入札なので価格になるわけです。そうすると、化石燃料の場合は、石油を使っていないのに石油の価格に連動して天然ガスも石炭も動いているところがあるので、震災後バレル100ドルくらいだったのが、直近だと50ドル。安くなると、入札のところまでたどり着けば化石燃料系の事業者が取ってしまう。一方では、原子力の再稼働が西の方の地域を中心に進んでいる。そこで逆転が起こったりしているという風に私は解釈しております。今後は原子力の再稼働も進んでいくし、FITは全国全電源平均で配りますから電力会社間の影響はないのですが、今後非FIT、非化石証書も出てくるし、それからFIT終了後、いろいろな変化があると思うので、あまり一喜一憂せずに、今回配点表を一段階厳しくしたところがありますから、そういう対応を柔軟に取っていくのが大事だと思っております。

山本座長: ありがとうございました。先生方からいろいろな御意見が出ましたので、ぜひこれを来年度の委員会に反映させていただきたいと思います。議題はこれで尽きたと思うのですが、海外調査の御説明をお願いします。

(4)その他

環境省: 参考資料3について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。この1年くらいを見てみますと、欧米の都市でクライメイトエマージェンシーディクラレーションという気候非常事態宣言ということをして、動員計画をしている都市があります。オーストラリアやアメリカ西海岸など、気候変動で大変な災害が出ている所が中心で、私の記憶では、アメリカのバークレー、ロサンゼルス、リッチモンド、オーストラリアのダーバン、イギリスのブリストル、ロンドン、それからストックホルムなど、そういうところが気候非常事態宣言というのを発表して、計画を立てています。これは動員計画ですから環境配慮契約は当然やっていると思うのですけれども、そういうところも調査してもらうと大変良いのではないかなと。特にショックを受けたのは、先々週ロンドン市議会がクライメイトエマージェンシーディクラレーションを可決して、市長が動員計画を作れと。クライメイトモビライゼーションと彼らは言っているわけですね。そういうことで、COP24の結果も踏まえて、来年は相当激しく世界が動くのではないかなと私は思っているのですが、この環境配慮契約法は世界の先進事例になり得ると思いますので、事務局の努力をお願いしたいと思います。では事務局から御案内がございましたら。

環境省: 今後ですけれども、閣議決定は2月上旬頃を目標に事務的な作業を進めていきます。各省協議も行いますので、変更があった場合については、座長に御相談の上で座長一任という形で対応させていただくことを御了承いただければと思っております。無事に閣議決定をしましたら、ブロック説明会ということで全国8か所、東京は3回ありますので計10回ということになりますが、そこで説明会を開催させていただきたいと思っております。これから、御承認いただきました電力専門委員会第4回、これは別途各専門委員の先生方と日程調整しておりますが、3月上旬頃を目途に開催したいということで進めているところでございます。

最後に、私で恐縮でございますが一言ということで、今日はお足元の悪い中、環境配慮契約法検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。座長として取りまとめていただきました山本座長を始めといたしまして、各委員の皆様方には3回にわたりまして御議論いただきまして、感謝申し上げます。今年度、昨年度に引き続きまして建築物維持管理専門委員会を設置して、建築物維持管理に係る環境配慮契約の導入可能性について御検討いただき、基本方針を取りまとめることができましたけれども、先ほど野城先生からお話がありましたとおり、まず1歩ということでございまして、これを元に今後進めていく必要があると認識しておりますので、引き続き御協力をお願いしたいと思っております。電気の契約につきましては、山地先生に御協力いただきまして第4回の電力専門委員会の開催、そして次年度も引き続き開催ということで御協力をお願いしたいと思っております。今後も、本検討会において委員の皆様から頂いた課題点、改善点、温室効果ガスの更なる削減に向けた環境配慮契約の推進に取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。最後になりますが、委員の皆様におかれましては良いお年を迎えられますよう祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

以上