中央環境審議会 水環境・土壌農薬合同部会 第2回バイオレメディエーション小委員会 議事録

日時

平成16年 6月11日(金)13:31~15:40

場所

経済産業省別館10階 1028号会議室

出席委員

(産業構造審議会) (中央環境審議会)
委員長
委 員
 藤田 正憲
 青木  宙
 江崎 孝行
 岡村 和夫
 田口 雄作
 辻  博和
 冨田 房男
 中村 寛治
 福田 雅夫
 宮  晶子
 森永  力
 山下 修一
 山田 靖子
委員長
委 員
 松本  聰
 加藤 順子
 森田 昌敏
 金子 信博
 高松武次郎
 藤田 正憲
 長谷部 亮
 矢木 修身
 渡辺  信

欠席委員(妹尾委員、中村和憲委員、大塚委員、中杉委員)

委員以外の出席者

環境省 : 土壌環境課長、環境管理技術室室長、地下水・地盤環境室室長
経済省 : 生物化学産業課長、生物化学産業課企画官、生物化学産業課課長補佐

議題

(1) バイオレメディエーション実施事例等に関するプレゼンテーション
(2) 方針の方向性について(案)
(3) その他

配布資料

資料1 委員からのプレゼン資料(1-1.辻委員、1-2.宮委員)
資料2 合同会合(第1回)の主な議事要旨
資料3 バイレメ指針作成の考え方
資料4 統一指針の骨子
参考資料1 産業構造審議会化学・バイオ部会組換えDNA技術小委員会第1回開放系利用技術指針作成ワーキンググループ及び中央環境審議会水環境・土壌農薬合同部会第1回バイオレメディエーション小委員会合同会合議事録(案)
参考資料2 カルタヘナ法及び従来の指針(経済産業省、環境省)

議事

(環境管理技術室室長)
 定刻になりましたので、会議を始めたいと思いますのでよろしくお願いいたします。先生の中に若干遅刻をされている方もございますが、時間の関係もありますのでスタートしたいと思います。
 ただいまから、産業構造審議会 化学・バイオ部会 組換えDNA技術小委員会第2回開放系利用技術指針作成ワーキンググループ及び中央環境審議会 水環境・土壌農薬合同部会 第2回バイオレメディエーション小委員会の合同会合を開催したいと思います。
前回の会議でご了解いただきましたとおり、本日の議事進行役は中央環境審議会の松本委員長にお願いしたいと思います。
松本委員長、よろしくお願いいたします。

(松本委員長)
 それでは、今回は、私、松本が議事進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
初めに、委員の出欠並びに資料の確認について、事務局よりご説明をお願いいたします。

(環境管理技術室室長)
 まず、本日の委員の出欠でございますけれども、お手元の座席表をごらんいただきたいと思います。現在、冨田委員が遅刻されておりまして、中村(和)委員は欠席という連絡をいただいております。その他の委員は皆さんおそろいでございます。
 なお、両委員会ともに定足数は満たしておりますので、それぞれ成立いたしております。
 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をしたいと思います。委員の方々に事前にお配りしたものの中から、若干、資料の内容を修正したものもございますので、ご了承いただきたいと思います。
 では、まず議事次第をごらんいただきたいと思うのですが、そこに資料1ということで委員からのプレゼンテーション資料がございます。これは2つございまして、資料1-1、辻委員からのプレゼンテーション資料、資料1-2、これは宮委員からのプレゼン資料でございます。
 続きまして、合同会合の主な議事要旨ということで、資料2が入っております。さらに、資料3としましてバイレメ指針作成の考え方。次に資料4-1として指針の骨子という、表になったものがございます。資料4-2といたしましてフロー図、さらに資料4-3としまして利用指針のあり方について(たたき台)が入ってございます。
 さらに参考資料1といたしまして、前回の議事録の案を入れております。また、資料番号はついておりませんけれども、お手元にこういうブルーのファイルがあるかと思いますが、これが参考資料2ということで、カルタヘナ法及び従来の指針のコピーを整理したものでございます。なお、これにつきましては、前回もお願いしましたとおり、本日会議が終わりましたならば座席に残していただければ、事務局で保管しまして、また次回の会合の折お配りしたいと思っております。
 それと、資料番号が全くついておりませんけれども、最後に1枚紙で統一指針についてのご意見という紙が入っているかと思います。
 本日の配付資料は以上でございます。もし、不足等ございましたらご連絡いただきたいと思います。

(松本委員長)
 はい。よろしゅうございますか。

( 了承 )

(松本委員長)
 それでは、最初に参考資料1の第1回議事録(案)でございますが、事務局より各委員に事前にご確認いただいているとのことでございますが、最終的に何かご意見がございましたら来週6月15日までに事務局へ修正意見をお願いしたいと思います。その後、何もなければこの形で一般公開されるということになります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日のまず議題1でございます。本日は、まず、実際、現場でご活躍されている委員から紹介ということで、辻委員と宮委員よりバイオレメディエーション実施事例等に関するプレゼンテーションをお願いいたしまして、その後、指針の方向性についてご議論いただきたいと思います。
 それでは、議題1、バイオレメディエーション実施事例等に関するプレゼンテーションにつきまして、辻委員からまずお願いをいたします。辻委員におかれましては、石油類の浄化及びトリクロロエチレンの浄化の実務にお詳しいということで、主として、その方面からのお話を本日伺えるものと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いします。

(辻委員)
 辻でございます。今後の指針の方向性を決める上で参考になればということで事例を中心に紹介させていただきます。前回、岡村委員の方からバイオレメディエーション全般を網羅した紹介があったということで、今、委員長からありましたように、油汚染土及びVOC、特にTC汚染度についての実施例、経験というところを紹介させていただきます。
 1ページから順番に行きたいと思います。1ページ目でございますけれども、油汚染土につきましては、下段にありますとおり、バイオスティミュレーションでどんどん現場の方では工事が進んでおりますので、そこの内容及びかなりのバイオオーグメンテーションに近いかなということの判断もされるんですけれども、あくまでスティミュレーションの進んだとこら辺の事例を紹介させていただきます。それから、TCEについては、バイオオーグメンテーションということで、今回の指針にかかわる経済産業省においての大臣承認というとこら辺を得られた技術について紹介したいと思います。
 次のページ、2ページ目でございますけれども、油汚染土の浄化について実態どういうような進め方になっているかと申しますと、ご存じのとおり、油については基準・規制がないというのはちょっと間違いですけれども、網羅されたものがないということで、工事に際しましては、物件ごとに浄化目標を定めているというのが現状でございます。じゃあバイオでいくのか、洗浄でいくのか、加熱でいくのかというときに、当然、エンドポイントがはっきりしないということで、各事業者等の判断によるわけですけれども、最終的にはやっぱり処理土の安全性をもってして、リスクの少ないところで処理を終了するということに大きな流れが来ております。その意味では、油臭・油膜というのはなくすのは当然でございますけれども、それに付随して油分含有量が場所場所によって特定されていくというようなところになっていると思います。
 こういう意味で、今回の安全性のガイドラインでございますけれども、やっぱり油分に関しては、そういう周辺の考え方及び測定法というのも何らかの形でガイドラインの中で、決められないにしても方向を示す必要があるのかなという感じがいたします。
 それで、現実、油汚染の浄化技術に関しまして、下段の方の4に整理させていただいておりますけれども、掘削による技術と原位置による技術ということで、物理化学的な方法、バイオレメディエーションによる方法をすべて大体のものを挙げてございますけれども、この中でやはり油汚染土に関しましては、微生物による方法が、多くなっているという状況でございます。今からの紹介は、掘削による方法と原位置による方法を紹介させていただきたいと思います。
 次のページでございますけれども、油汚染土の施工現場の写真を示させていただいております。ちょっといい写真がなかったのですが、手前は掘削した現場の表層土を掘削して掘り上げたところでございます。向こうの後方にバイオパイルがあるわけですけれども、こういう状態で掘削したものをうねにつくって、栄養添加、必要に応じては資材を添加して定期的に攪拌して浄化する。浄化が終わった段階で手前のところにまた埋め戻すというような現場でございます。これはちなみに全部で2万立米弱のものを処理をしている現場でございますけれども、その中ではやはりバイオの活性を高めようと、最大限に引き出して短期にやってしまおうということで、温度の管理あるいは酸素の管理、微生物が十分活動しているかということで、温度との関係での微生物活性というのをモニタリングして円滑にバイオレメディエーションが進むのを管理しているという状況でございます。
 では、バイオレメディエーションでどういうものを分解できるかというのは皆さんもうご存じだと思いますけれども、参考までに下段の6で、これは現有油成分がほとんどの成分として脂肪族からアスフェルテンまでいろいろな成分まで含んでいるということで、それの事例を紹介させていただきましたけれども、油汚染土絡みのところだと、やっぱり脂肪族はあるときは100%、こういう原油タイプになると90%は生分解できるかなと。芳香族についても50%はできそうだというようなところで、毒性との絡みでバイオの採用できるところはある程度大部分のところは適用できるという状態でございます。
 そうはいっても、次のページでございますけれども、多環芳香族に対しての攻め方というのは非常に難しいところでございます。ある程度、多環芳香族が残留している、いわゆるタール成分が若干ある油分といったとこら辺は、そこをターゲットにしなきゃいけないとなると、やはり土着の菌だけではだめで、一応、堆肥に由来するようなとこら辺の活性を期待するということで、この事例では、室内の結果でございますけれども、多環芳香族を含むものについても、こういうものを加えてやればある程度PAHとしての合量が50ppmぐらいまではいけるのかなというようなところまでは来ているということでございます。
 そういうことで、油汚染土の終点ということになると、現在のところはやっぱり安全性を判断して浄化を終了する。そういう意味においては、当然、油膜・油臭はなくなっておりますし、生分解可能なものは分解できているということで、その後の段階は必要に応じて変異原性がないということの確認あるいは植栽に使えるというようなとこら辺の活用も目指して植栽試験を行って、事業者との判断のもとで大体、大まかなものとしては、油として500ppmあるいは1000ppmといったところを現場現場で決めてやっているというのが現状でございます。
 以上が大体掘削したものでございますけれども、ではin-situの原位置の方はどういう技術を持ち込んでいるかと申しますと、やっぱり油汚染土でございますので、好気的なものがいいだろうといういうことで2つ事例を紹介させていただきます。
 次のページでございますけれども、原位置の油浄化ということで、空気を地中に打ち込むということで、バイオプスター工法ということで、これは空気を打ち込むに際して、パルス状に打ち込んで空気道というか水みちというものが極力発生しないようにやっていこうという方法でございます。これは空気中の酸素だけで足りない場合には酸素も付加できるという方法でございます。下段がガソリンスタンドでやっている状況でございます。ちなみに、この工法は、空気を吹き込んで、当然、吹き込んだ空気を吸引するという形がありますので、当然、バイオの効果もありますけれども、揮発している成分も回収できるということで、環境への影響が少ないということで、ある程度バイオがいけるというとこら辺は大いに使っていける方向にあると思います。
 そうはいってもなかなか難しいのがありますねというところで、次のページ、6ページでございますけれども、現在、某現場で進行しているものでございますけれども、好気だけではやはりいかないだろうということで、ある程度の洗浄もしてやる必要があるのではないかということで適用している現場でございます。これは、ちなみに当然、規制値としては、地下水中のベンゼンあるいは地盤中の溶出のベンゼンが表面上の規制値でございますけれども、油の中に溶けている若干のタール分がございますので、それをうまく洗い出してやらないとベンゼンもうまくいかないという意味合いがございまして、現地で今採用しているところでございます。
 先ほどありましたように、空気を吹き込んで好気的条件を保ちつつ浄化するというのにプラス、下段にございますけれども、水を注水して片方から揚水してまたそれを戻してということで、その汚染地域内の水を循環してございます。バイオだけではなくして、物理化学的なものとの併用でございます。ここのレベルまではバイオオーグメンテーションというよりバイオスティミュレーションという形で、バイオの技術を大いに活用して、現在、浄化に努めているということでございます。
 前回の委員会のときに、どこら辺までがバイオスティミュレーションでバイオオーグメンテーションかなということの話をしましたが、現在、この絵では、戻すものに対してはベンゼン分解菌の活性を上げるということで栄養塩を添加するという形で来ているんですけれども、現在の進行中のものは、もう少し、せっかくならばベンゼン分解菌の菌数をふやしてやって戻す手もあるのではないかということで、ここで若干のストックをして、培養して菌数をふやして戻すというとこら辺に今チャレンジしているところでございます。一応そういうことで、若干のバイオスティミュレーションというよりはバイオオーグメンテーションに近いのかなというような事例でございます。ただ、今回の委員会で開放系としている条件に照らすと、これはバイオスティミュレーションの方に入るのかなというところでございますけれども、一応、紹介させていただきました。
そういうことで、油汚染土に関しましては難分解物質がありますけれども、今現在、工事としてや
っているところはこういうバイオスティミュレーションを大いに活用して先に進んでいるという状況でございます。
では、次の方でVOCに関してでございますけれども、バイオオーグメンテーションの事例として今から紹介させていただきます。これは、経済産業省様の工業化指針の適合確認を受けたものでございます。VOCのうちトリクロロエチレンの分解をさせるものでございます。処理方式としては、掘削して現地で処理するということで、オンサイトの技術でございます。
菌としてはフェノール資化性菌でMO7でございます。どういう使い方をするかと申しますと、休止菌体法ということで、最大限分解する機能を持たせた状態でのフェノール資化性菌で、フェノールがない状態で戻してやるということでございます。
下段にあるとおり、じゃあ、どういうようなオンサイトの処理かと申しますと、TCE汚染土壌があった場合には、掘削して地上に上げる。その段階でこのフェノール資化性菌を混合する。浄化が終了した段階で元にあったところに戻すと、そういう工法でございます。では、その段階でここに菌だけでいくのかというと、好気性の状態で菌の分解発生が出ますので、ここに載せてあるとおり、微生物とともに資材を好気性の、軽量の骨材でございますけれども、好気条件を保つ、物理構造を保つための資材も一緒にまぜて浄化するというものでございます。
では、掘削してどの程度の状態かと申しますと、この菌の活性を最大限、好気条件を保つことによって、次の8ページ、15でございますけれども、こういうような土壌改良をする混合装置でまぜることによって、1日か2日養生しているとトリクロロエチレンが分解できるというものでございます。
それの実証結果でございますけれども、下段16は、縦軸がトリクロロエチレンの処理した土の溶出の濃度でございます。ちなみに基準が0.03ppmでございまして、これに菌を加えて養生した時間が横軸でございます。実線がそれで、ほぼ2日で所期の目的を果たしているという状況です。この状態で、菌の状態はどの程度を加えているかと申しますと、一応、109ぎりぎり、108から109でスタートという状態です。2日目で109でスタートして5掛ける108の程度までの菌数に減った段階でございますけれども、もうTCEが浄化できているということでございます。
一番気になるところが菌の生残性でございますけれども、それを一応、次ページで示させていただきました。生残性の推移ということで、下段にあります土壌A、B、Cということで、一般の沖積粘土によるのがAとCで、Bが関東ローム系でございます。AとCは大体同じ挙動を示しまして、Bが若干生残性、極端には落ちないということでございますけれども、Aにいきますと109でスタートして、二、三週間で107に至るということでございます。
各種、ここには一応3種類の土を示させていただきましたけれども、今まで5種類でほぼ10立米ぐらいの菌体を使っていろいろやったんですけれども、生残性の遅いのがこの土壌Bでございます。これだけでございましたけれども、3週間でほぼ2オーダー程度は落ちるというところでございます。
このような結果から、一応、申請して認証を受けた段階では、二、三週間で107オーダーには落ちるだろうと。107、すなわち99%までは落ちることはどうも確実だろうということで、申請させていただいたところであり、積み上げて埋め戻すところにおいては菌が減少している。90%は減少していて、なおかつ増加傾向でなくて減少傾向だということをもって埋め戻しをする。確実に減少傾向にあるということがわかって一般的な土壌中の微生物も乱されていないという、増殖あるいはほかの微生物についても影響がないということを確認した段階で矢板を抜いて終了するという方式で考えております。
次ページでございますけれども、そうはいってもこの方法はある程度の菌体に由来するので、もっと濃かった場合はどういうことを考えているのということで、その場合には、その前に通気攪拌による気化というものを持ち込んで、生物的なものが対応できる濃度までは物理的な攪拌処理によって対応しようかなということで、ハイブリッドタイプについての手法も使えるというとこら辺までのめどは出ております。
一応、以上、バイオレメディエーションの油汚染土の実態とMO7株のバイオオーグメンテーションの実証試験における事例までを紹介させていただきました。
11ページでございますけれども、最後に以上を踏まえてどうあるべきかなというのを、若干僭越でございますけれども書かせていただきました。
バイオレメディエーションそのものということで、現在のところバイオスティミュレーションを中心に進んでおります。バイオレメディエーションの要するに比較的安価だということの特徴を生かして、難分解性にもチャレンジして、それが技術となりつつあるということで、バイオレメディエーションの特徴を生かす方向でガイドラインは設定される方が望ましいのではないかというふうに考えています。当然、そのときの意見としては、ほかの物理化学的処理あるいは外に持ち込んで熱で処理するというような、処理時の環境負荷が非常に少ないというのは当然のことでございますし、他技術と比べて比較的安価であるという利点がございますので、多分、今までの事例からすれば今後ふえていくことは確実でございますので、その特徴を生かしたガイドラインにしていただければと思います。
下段でございますけれども、ガイドラインをということで、20世紀の負の遺産に対する今21世紀の初頭でやらなきゃいけないことでございますけれども、環境修復事業の促進が急務である現在において、その事業推進に役立てるようなガイドラインにしていくべきだろうと。その意味においては、安全性の確保というのは当然でございますけれども、最低限の審査項目あるいは最低限の試験項目に努めて、安全の上に安全を重ねるというようなことではなくてもいいのではないかと思います。それに付随して、周辺の事業を先に進める上での油等に対する浄化エンドポイントの設定あるいは分析法の整備といったものも並行して進めるべきではないかと思います。
以上でございますけれども、心配だからやらないということではなくして、そのガイドラインの中で、こういうことがあったら、こういうことで元に戻ってさらにいいものを検討して先に進めるというアダプティブ・マネジメントの手法を何かうまく組み込んで、チャレンジする気持ちでガイドラインをつくっていくのが望まれるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。

(松本委員長)
  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご発表に対して、ここで質疑応答の時間に若干入りたいと思います。質問のある方、どうぞお願いいたします。

(中村寛治委員)
 MO7の生菌数推移ということで測っておられるんですけれども、CFUで選択的な培地でプレートカウントでやられているということですか。

(辻委員)
 そうですね。

(中村寛治委員)
 それはMO7だけが測れるということですか。

(辻委員)
 はい。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(辻委員)
 一応抗生物質耐性で、スペクチノマイシンでやっております。やっぱり106というか105のオーダーになるとそこら辺は信用できないということで、フェノールフロキシラーゼの遺伝子のPCRでもって、そこで耐性で得られたコロニーに対してPCRをかけるという方法で確認するということにしております。99%減、すなわち2オーダー減ぐらいまでは抗生物質耐性でいけそうだというふうに考えております。

(中村寛治委員)
 ありがとうございました。

(松本委員長)
 よろしいですか。
 そのほか、どうぞ。

(福田委員)
 変異原性試験については、どのような手法を使われていますでしょうか。

(辻委員)
 ここのですか。

(福田委員)
 油汚染土で。

(辻委員)
 油汚染土は、エイムズテストです。油を抽出してそれをかけるという形にいたします。だから、純粋に汚染土をそのままかけるという形じゃなくして、浄化したものにまだ変異原性のあるものが残留しているかどうか、抽出したものについて試験をするという方法で代用させていただいています、現在のところ。

(松本委員長)
よろしゅうございますか。

(福田委員)
 はい。

(松本委員長)
 どうぞ。

(青木委員)
 ちょっと、これは要するに、今、中村先生から質問がありまして、例えばMO7のPCRをやられるとおっしゃられましたですけれども、どういう遺伝子をPCRターゲットにされているかということによりましては、リアルタイムPCRでやられれば定量的にも計算できますし、あるいはコロニーハイブライゼーションで種特異的な断片がわかっておれば、それと配分すればコロニーの中の菌数が簡単に出てまいります。そういうサジェスチョンもいいんですか。それとも、この説明に対する質問なんですか、どちらでもいいんですか。

(松本委員長)
 はい、どちらでも。コメントでも結構でございます。どうぞ。

(青木委員)
 そうですか。ということで、一応コメントとして、今度そういう改良をしていただければと思います。

(辻委員)
 ありがとうございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ほかにどうぞ。

(高松委員)
 ちょっと2点ばかり教えていただきたいんですけれども、1つは、図の7だと思いますが、ここに多環芳香族の場合特殊な堆肥と書いてありますけれども、特殊な堆肥というのは、何かこの中にいる微生物が重要だということなんですか。もし、もう少し具体的な情報があれば教えていただきたい。
 それからもう一点は、図の15、16あたりだろうと思うんですが、掘削して処理する場合、1回にどれくらいの土壌の量が処理できるのかというのを教えていただきたい。

(辻委員)
 まず、1番目の特殊な堆肥というとこら辺は、いろいろな堆肥でやったんですけれども、牛ふんによるものが非常によかったという意味での「特殊な」という意味を使わせていただきました。これ用に順養する。当然、順養すれば上がってくるんですけれども、それの効果が一番出てくるのはこれであったという意味で、「特殊」と申し上げてございます。
 それと、1回の掘削処理での土壌量でございますけれども、当然、値段的なことがございますけれども、掘削して戻すということで、なおかつ仮積みするということで、最低限2,000立米ぐらいから、上は経済的には1万立米であれば、どんどんといきますけれども、2,000立米程度からいけるかなというふうに考えております。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 そのほか、どうぞ。

(福田委員)
 2点あるんですが、1つは、さっきとちょっと関係して、植栽試験というのは、例えば油に強い植物とか弱い植物というのがいると思うんですが、その辺については、もうこういう植物でやるべきというような、そういう基準みたいなものを持ってやられているんですか。

(辻委員)
 植栽に関しては、ここにあるユーカリとかキョウチクトウ、このキョウチクトウというのはかなりやっぱり油に強いところ辺の植物として挙げています。ユーカリも結構強い方でした。日本のものはまだ網羅できてないと思います。

(福田委員)
 これ、クウェートのものですか。

(辻委員)
 クウェートのプロジェクトで、向こうの乾燥地においてはそこら辺のスクリーニングは全部終わっています。安いものも、造園絡みでは注意しながら使えるなというとこら辺は、たしか緑化工学会の論文集に出してあったと思います。

(福田委員)
 それとちょっと関連するんですが、レジンとかアスフェルテンとかはもうほとんど分解されずに残っていて、土は黒いような状態になっているわけですね。

(辻委員)
 そうです。

(福田委員)
 どうもありがとうございました。

(松本委員長)
 どうぞ。

(長谷部委員)
 後半のお話のVOCについて非常に興味深く聞かせていただいたんですけれども、先ほど2,000立米ぐらいであればペイするでしょうという話で、そのときの接種菌体菌量ですけれども、グラム当たり107か108CFUということですので、相当な菌を用意する必要があると思うんですけど、その点はどうなさっているのかちょっとお聞きしたいのが1つと、あとその107、109というのは非常に高濃度だと思うんですけれども、それで本当にペイするのかどうかという、ちょっとこの2点をお聞きいたします。

(辻委員)
 現在のところは、フェノール資化性ですので、別のところで増殖して濃縮して凍結した状態で現場に持ち込むという形でございます。じゃあどの程度かと、菌体からするとどういうイメージかと申しますと、凍結したものをトン当たり109を確保するので、凍結したもので1リットル程度を入れるという形になります。1リットルをトン当たりにまぜるといったら、当然まざりませんので、20倍、30倍という形になりますので、トン当たり20リットル、30リットル、2%、3%のものの水分がふえるということになります。それに菌が入っているというイメージでございます。
 それと、我々ももう少し活性度が高いものということでねらっておったんですけれども、ペイするのかどうかとなりますと、一応、これ掘削していますので、多分、現在のところ立米で言うのが、一番いいと思うんですけれども、やっぱりトータルで立米2万円を割らない限り掘削して外に出して処分場に持っていく、あるいはセメント工場に持っていって粘土材料にするというようなことがあるので、それに打ち勝つためのぎりぎりの線が現在のところでございます。値段的にはそれの多分3分の1ぐらいはやはり微生物製材の値段になってしまうかなというところが現状でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 まだ、ご意見、ご質問あるかと思いますが、実は本日重要な課題を後に控えておりますので、辻委員からのご発表の質問はここら辺で打ち切らせていだきまして、続きまして、宮委員にお願いをいたします。
 宮委員におかれましては、実験系の評価手法に大変お詳しいということで本日お願いをしたわけでございます。それでは、よろしくお願いいたします。

(宮委員)
 私の方は実験室で主として菌のモニタリング手法を開発してきたということがございますので、その幾つかの事例をご紹介したいと思います。
 そのうちの1つ、最初は、Methylocystis sp.Mというメタン資化性のトリクロロエチレン分解菌、それを用いたバイオオーグメンテーションのさまざまな研究を、実はこの委員のお一人であります東京大学の矢木先生が研究責任者をされていたCRESTの中で、微生物を活用する汚染土壌修復の基盤研究というものを平成8年12月から平成13年3月までやらせていただいた中で実施したことでございます。それからもう一つは、石油分解菌を用いた汚染土壌の方の検討ということで、かなり実験室的な手法ですけれども、事例としてご紹介させていただきたいと思います。
 まず、2枚目のMethylocystis sp.M、これはM株と呼ばせていただきますが、このM株を用いたトリクロロエチレン汚染土壌・地下水修復の技術のさまざまな研究の中で、私どもが微生物のモニタリング技術を開発した、その目的でございます。1つは、やはり実際にそこでバイオオーグメンテーションを行う場合の運転管理指標として、浄化微生物を迅速に測定できるということが必要になります。特に浄化能力を発揮できる濃度をちゃんと維持できているかということの測定と、なるべく現場で測定したいということで、できるだけ簡易で迅速な測定法ということを考えました。
 それともう一つが、今回の指針の中でいろいろ問題になってくることの1つかと思いますが、安全性評価にかかわるさまざまなモニタリングという要望がございまして、その手法として使えるかどうかということを検討した結果を一部紹介したいと思います。1つは、当然ながら浄化微生物の生残性を検出できるかどうかということで、上の運転管理指標はむしろ浄化能力を発揮できる濃度というのがある程度濃度が必要とされますので、高濃度のところを迅速に検出できるということが要求されるのですけれども、安全性の方はどこまで添加した微生物が減らせればいいのかと、その辺のエンドポイントがはっきりしませんで、結局、1グラム中に1セルでもいたら測りたいというような、そんな非常に高度な要求が出てまいります。ですから、できるだけ高感度でということで、こちらは迅速性というよりもむしろ高感度が要求されるという方です。それと、一番悩ましいところが土壌微生物の生態系に対する影響があるのかないのかということで、その辺は非常に議論が残されているところだと思いますが、できるだけ客観的な評価でそれが安全性を担保できるかどうかということが問題になるかと思います。
 3ページ目は、M株の検出手法としていろいろやったものを網羅的に並べたものです。M株と申しますのはメタン資化性菌でございまして、これは非常に増殖が遅いという特徴がございます。一番上のカラムにMPNと書いてあります。これは微生物のカウントの従来的な培養に基づく手法でございますが、これは微生物がちゃんと育って株がふえないとカウントできませんので、最低4週間かかるというような方法です。ですから、これは迅速にというところからは全く外れた方法ですが、特にMPNというようなある特定の培地で出てくるものをみんな数えるという、この場合ですとメタン資化菌を皆数えるという方法ですから、この中のM株だけを数えるというような特異性、そういうものはちょっと期待できないということで、あと試験管もたくさん要りますので、多検体の処理というのにも向かないと。ただ、検出感度的には原理的に水系ですと1ml当たり1セルいれば、あと土壌系ですと1g当たり100セルあれば検出できるということでございます。
 次は抗原抗体法、免疫を使った酵素抗原抗体法、ELISAです。こちらは非常に検出が早くて、しかも他検体同時処理ができるということで、現場的なものでは期待できるのですが、これに対して私ども水系では105mlぐらいまではできるということで、土壌ではまだちょっと試しておりません。ただ、水でも感度的にちょっと足りないので、抗体の検出をするのに酵素ではなくて蛍光抗体を使うというようなことで感度を多少上げるということはできております。ただ、土壌系ではやはり105のレベルがいいところという程度でした。
 それから、先ほどお話に出ていたような遺伝子を使ったPCR法です。それらで大分感度的には改良していきまして、一番下のリアルタイムPCR、定量PCRの方法でいろいろ前処理方法等々を検討いたしました結果、前処理にちょっと時間がかかるのですけれども、土壌系で104程度まで測れるというようなところまで開発いたしました。
これは私どもでやったM株の検出法についての一覧ですが、それをどのように使うかということをちょっと次のページ、4ページ目からご紹介したいと思います。
この図は、第1回のときに岡村委員の方からご紹介があったような、原位置で地下水をくみ上げてまた戻すというようなタイプのバイオレメディエーションの方法に菌を入れるということを想定した場合です。地下水が通っている一番下の層、これは飽和帯といいまして、水が通っているぐらいですから恐らくここに菌を流せばそれなり進んでいくだろうということが考えられますが、その上の層、これが水が飽和していない、不飽和層です。ここに例えば原位置で菌体をデリバリーするということになりますと、やはり何か水のような媒体をもって汚れている土の中に浄化菌を到達させなければならないということになります。そういうようなことが可能であるかどうかというのを実験したのが、次の5ページ目のカラム試験でございます。
これはローム、先ほどもいろいろな種類の土があるというお話がありましたが、目が細かくて透水性が悪いローム質の土、これを20センチぐらいのカラムに詰めまして、最初にセルを1番目のカラムに入れて、次のカラムにどれだけ出てくるか、それをまた次のカラムに入れてどれだけ出てくるか、普通に水を流してどのくらい到達するかというようなところに先ほどのPCRを使った菌の検出方法などを使いまして、こういう工法の中でどういう条件を設定したらよいかを決定するところでは、十分にモニタリングの手法が使えるというようなことを明らかにしております。
それから、先ほどの辻委員のTCE分解菌の使い方と同じように、掘削した土壌にこの
菌M株をまぜる方法の適応性の評価をやったのが右側のコンテナ試験。混練して菌体と土壌をまぜることによってその効果が得られるかどうかを確認した試験で、例えば化学物質が共存した場合ですとかトリクロロエチレンの濃度が違う場合ですとか、いろんな条件でこういうコンテナ試験をやってみました。
それをさらに大きくしたのが6ページ目で、これは全体の容積としては400lちょっとございますので、ふろおけか、それよりちょっと大きいぐらいのコンテナを使って実験をしたというふうに想像していただきたいと思います。ここに先ほどのロームの土と水を、土壌400に対して80l入れた中に、これは汚染土壌ではなかったのでトリクロロエチレンを添加し、それからバクテリアのセルをこの容積に対して4.6g、菌体濃度として大体108セル/g程度、107のレベルを入れております。それに対しまして、セルを入れなかったものと入れたものというような2系列やっております。その結果が右側でございますけれども、やはりトリクロロエチレンの濃度が、これはそんなにもともとが高い濃度ではございませんでしたので、24時間程度で菌を入れた場合は速やかに分解できているということの結果でございます。
ここで一番見たかったのは菌の生残性がどうかということで、これも左下の図にございますけれども、PCR法を使いまして、延々と2年以上調べていったところでございますけれども、一たん、やはり急激に菌濃度は下がっていって、あと105レベルぐらいでだらだらとそこに存在するという結果が出ております。これに対しましては、コロニーカウンティングで、バックデータをとりましたところ、やはりそれでも105レベルぐらいは存在しているということがございまして、これは全く閉鎖の系ですので、ほかから入ってくるとか、後から栄養塩を足すとか、そういう外乱が全くない状態で一たん入れた菌がもしかしたら、そこで死んだりふえたりを繰り返しながら、この辺が最低ラインとして生き続けているのかもしれないという推測をしておりますが、その辺の理由としてはよくわかりません。それと、105というのが環境に影響を与える濃度であるのかどうかという判断も、この時点ではちょっとできなかったということです。
それと7ページ目でございますが、7ページ目が今までとはちょっと違いまして、微生物の生態系というものを評価する手法の1つとして、キノンプロファイル法を適用してみたという例です。微生物の土壌微生物群集に対してオーグメンテーションで与えられた菌がどういう影響を与えるかというのは、非常に難しい問題だと思います。というのは、土壌の微生物群、土壌中にいるような微生物は、従来の寒天培養のようなコロニー計数ではほとんど寒天培地に出てこないと言われております。いろいろな培養をやるという方法でも、網羅的に検出するというのはかなり難しいだろうと。それともう一つ、遺伝子を使って、DNAですとかRNAを一挙に抽出してそれを調べていくという方法もございますが、それに関しましても、どういうプライマを使うのかとか、その増幅の段階でバイアスがかからないのかなど、いろいろな問題がございます。今回用いたキノンプロファイルというのは、分子マーカー法というような手法に分類されるかと思いますけれども、バクテリアの持っているキノンという、呼吸にかかわるような脂肪といいますか色素といいますか、そういう割とみんなが必ず持っているというような化学物質を一気に抽出して、それを液クロで分析して、それの統計学的な手法によっていろいろ解析するという手法です。実は嫌気性の菌の一部はキノンを持ってないというものがございまして、すべてに適用できるわけではないんですが、一応、好気の方では多くの微生物がこれを持っているということが言われておりますので、とりあえずやってみたというのがこの結果でございます。
それで、図の中の横軸にMDq、それから縦軸のところにBDqというのがございますが、MDqというのは、いろいろな微生物によってキノンの種類がちょっとずつ違う。そのちょっとずつの違いの多様性がどれくらいあるかというのをこのMDqという指標であらわしております.必ずしも微生物が数がたくさんいるというのではなくて、どんな多様な微生物がそこにいるのかというような指標として考えていただければと思います。
それで、縦軸の方は、これはエネルギー代謝の多様性を示すというふうに言われておりまして、どちらも多様性を示す指標で、キノンの分類によってこの2つの指標軸の中でどんな微生物群としての構成になっているかという違いを見るというぐらいのものです。これを見ますと、実は土壌では余りデータがなくて、Soilという右下のところに1つぐらいしかなかったということがわかりまして、今までですと活性汚泥ですとか、下水のそのものあるいは川ですとか湖ですとか、そういうどちらかというと水系でいろいろ調べられているということがわかってきております。たまたま、ある土、いわゆる黒ぼく土と言われている土に有機物をたくさん入れて微生物を培養したときに、そのキノンプロファイルのMDqとBDqであらわす指標がどう変わったかというのが、四角で示した培養前、培養後というのでございますが、これを見ますと、多少位置が変わったということで、オーグメンテーションにしてもスティミュレーションにしても、何かそこに人工的なことを加えると、中の微生物の相がちょっと変わるということだけははっきりわかりました。ただ、これだけでは、どこに行けば最終的に安全かというのがちょっとわからないというところと、それから、この場合キノンそのものが油成分に近いものですので、油汚染土壌では使えないというのが感覚でございます。
次のページから、非常にまた基礎的なところで石油分解菌を用いた汚染土壌浄化法の検討を行った結果、バイオオーグメンテーションにつながるような部分だけ抜き出してご紹介いたします。私どもでは、先ほどの辻委員のご紹介のような大規模な現場で実際にバイオスティミュレーションするというようなことまでまだ至っておりませんで、汚染土壌を持ってきてバイオスティミュレーションできるかという効果の判断に数カ月を要するところをなるべく早く判断して、これはバイオでいけますよということをお客様にお答えしたいという意味で、そこの土壌微生物群がこういうものがいれば分解できますよと、そんなことが言えるかどうかというのを実験室的に始めたわけです。ある種のアルカン分解菌が存在すると分解性がいいというような結果が出ておりましたので、その分解した菌を利用したバイオオーグメンテーションというのが可能かどうかという簡単な実験をいたしました。
9ページ目がアルカン分解菌、Rhodococcus erythropolis M-13株というアルカン分解菌と、それからPAHの分解菌としてSphingomonasの種類のP-2株、このアルカン分解菌の方はそこそこいろいろなアルカンを分解できて能力は高そうだったのですが、PAHの分解菌は余り大した能力は持っていません。ただ、PAH分解菌がいないところに入れてみたらどうかという確認をしただけの実験でございます。
実験1と実験2は、模擬石油汚染土壌と実際の石油汚染土壌を用いて実験を行ったということで、土着細菌数は、実験1の方は砂質珪砂を用いておりますのでもともとが少ない、実汚染土壌の方は土着の細菌数がもともと多いというところでございます。それに油をちょっと入れて、それから分解菌を入れて、窒素・リンを入れてと、そういうような簡単な実験をした結果でございます。
 10ページ目がその結果ですが、もともと菌が少なかった模擬汚染土に加えた場合は、ア
ルカン分解にしてもPAHの分解にしてもオーグメンテーションの効果がしっかり出て、菌を加えなかったものでは分解できなかった成分が、これらの菌が分解できる部分は全部分解したという結果になっております。実験2の方は、実はPAHの方は加えた菌の効果がはっきり確認できましたが、アルカンの方は加えても加えなくても両方とも分解できていたということです。つまり、もともとの石油汚染土壌にはこういうアルカン分解菌がいて、特に添加しなくてもちゃんと分解ができていたということが今回の結果です。
そういう意味で、逆に申せば、分解菌が少ないところに加えれば確実に効果が出るだ
ろうというのが今回の非常に簡単な実験では得られておりますが、そこのところの石油分解菌のポピュレーションがどうなっていたかの例を11ページに示してございます。ここでは、PCR-DGGEと申しまして、ある分類によく使われます16SrDNAのV3 regionというある領域の部分のDNAをふやして、それをゲルの上で少しずつ分離して、どんなものが入っているかをおおよそ知るという方法でございます。一番左の1レーンは、もともとの菌がほとんどいなかったという珪砂でございまして、バンドが薄いのが沢山見えているという程度で、特別濃いバンドは見えておりません。2番目は、その珪砂にN、Pだけを入れたということで、N、Pだけを入れて、当然水も入れているわけですけど、それだけでもふえてくるバンドというのが幾つかあるということがわかります。3番目はそれに石油を入れた場合です。そうすると、もともとの菌相の中でも石油を食べられるものだけがふえてくるということで、3番のレーンになります。4番は、分解菌を入れたゼロ日目ですね。分解菌というのは、6番、7番にそれぞれ単一のところの菌の場合を示していますが、Aがアルカン分解菌、BがPAH分解菌でして、そのバンドは一応4番のところでちゃんと見えているということです。それを培養したのが5番のレーンです。入れた分解菌はしっかり残っているといういうことがわかりますが、ちょっと気になるのが例えば3番のレーンです。3番のレーンは、菌を入れずに石油だけを入れてふえてきたものと、5番のレーンは、それにさらに菌を加えてふえてきたものが、2という大きなバンドが消失していて、5、6という違うバンドが出てきているということは、どうもAとBを入れたことによって違うものがふえてきたか、あるいは、2のレーンが増殖が阻害されたのかということが読み取れるわけですが、ではそれが一体どういう意味を持っているんだということが非常に問題で、我々として、こういう結果が一応今回得られているというだけのご報告です。
最後に12ページのところに今のまとめをしておりますが、運転管理指標としては、バイオオーグメンテーションの効果判定ですとか、現場管理に十分適用できるようなモニタリング指標は、今の技術でいろいろ開発されていて十分に適用できると考えております。
それから、安全性に関しましては、まず微生物の生残性を高感度で検出する手法自体は既に今あるものでもかなり使えるというふうに考えておりますが、ではどこまで減ればいいのかとか、ここまでいったらいけないのか、そのようなところが全然よくわからないということ、それから土壌生態系に関しましては、まず土壌生態系そのもののバックグラウンドデータがよくとれてないということ、それから、汚染そのものがまずそこに存在する状態からスタートするというところで、それがきれいになったところの最終到達度というのが一体どういうところにあるのかと。その辺の定義は全くできないというふうに私自身は考えておりまして、そういう意味でこの土壌生態系に、微生物生態系への影響というところに余りこだわり過ぎると、話が最後まで終わらないのではないかという気がしております。
以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
それでは、若干の質疑応答に入りたいと思います。どうぞ。ございませんか。どうぞ。

(森永委員)
 6ページの左下のこの図なんですけれども、これはご説明ですと初期に菌を入れて、最終的には自己消化したり、またふえたりということで、ずっと最終的に、先ほどの辻委員の話ですとずっと極端に菌が減っていくというご説明もありましたけど、この場合は減らないと。そういう場合は、ロームという土のせいなのか、全く珪砂ですと全然菌がいませんし、これはどういうふうに考えればよいか。やはり自己消化というふうに考えるのか。

(宮委員)
 私も、今回、辻委員のデータを拝見させていただきまして、その場合のBの土壌ですか、それと同じような現象なのかと思いましたけれども、もともとの土の中にある有機物量ですとか、いろいろ関係してくる可能性もあるとは思いますけれども、今どうだという結論に達してはおりません。

(森永委員)
 そうすると、扱う土壌によってかなりそういうことは考慮しなきゃいけないということも考えられるわけですね。

(宮委員)
 可能性はあると思います。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 では、あとすみません、1件だけいただきます。どうぞ。

(福田委員)
 要するに、処理の過程でキノンプロファイルとかが変わってくるというのは見られているんですが、汚染されることによってそれが変わるかどうかというのはデータはあるんですか。

(宮委員)
 今のところはそれをとっておりません。それと、やはりほかのデータも土についてはなさ過ぎるので、現状ではキノンプロファイルをすぐに使うということはできないという結論には達しています。

(松本委員長)
 まだたくさんご質問があるかと思いますが、大変申しわけございません。もしお時間が許す限り、この会議の終了後、宮委員にご質問をお願いしたいと、こういうふうに思います。
 それでは、本日の中心的な課題でございますが、議題の2に移ります。議題2、指針の方向性(案)に入りますが、最初に資料2の前回の議事内容につきましてご確認をいただきたいと思います。その後で本日の議論の前提となる資料3及び資料4につきまして事務局から説明をお願いをすることにします。
 それでは、資料2に基づきましてご説明をお願いします。

(生物化学産業課企画官)
 それでは、事務局の方から資料2に基づきまして、前回の主な議事要旨でございます。前回のリマインドということも含めまして、ご説明させていただきたいと思います。
 まず、利用微生物ですが、微生物の混合物について、昨今、分類同定技術が非常に進んでいるわけですがこの混合物の範囲をどのようにするかということでございます。事務局の方からは安全性の評価が適切に行い得る微生物の混合物の範囲とするということが、そのときのコメントではございませんが、ちょっと抽象的だったので括弧書きでつけ加えさせていただいておりますが、現時点では分類同定された単一菌又は混合された複数菌、こういうものを対象としていく。これは後ほどご説明させていただきますが、そういうことで考えております。
 それから、植物の根に微生物がたくさん共生している、働いているんだけど、それは1つの見かけ上は植物によるバイオレメディエーションであるということで、これは対象となるのかということでございましたが、事務局の方からは、植物につきましては、まずは微生物に関する基準を作成しまして、その植物のニーズが出たときに、再度、微生物の評価ガイドラインが適用可能かどうかにつきまして検討させていただきます、ということでございます。
 それから、浄化対象物質でございますが、重金属の浄化について非常に重要である。ということで、資料中にあるとおり、浄化対象物質に含めるということでよいのではないか、今後の技術進展を考慮すれば含めることでよいのではないかということでございます。
 環境媒体でございますが、事務局の方から土壌と地下水を中心にと記載しておりましたが、今後重要になってくる底質も考慮すべきでないかということのご指摘でございました。こちらの方も今後の議論の中で検討していきたいということでございます。
 それから、評価項目につきましてですが、利用微生物の残留性でございます。完全に不活化しなければいけないのか、増殖しないことを確認すればよいのか、または何割減少すればよしとするのか、こういったことでございますが、今、経済省で行っております組換え体を念頭に作成されている現在の工業化指針におきましては、現状では事業期間内に菌の一定の減少を確認して残留性につきフォローしているのが実態であります、ということでございます。
 それから、浄化するサイトの特徴によってまたは手法によって、制御性が大幅に異なるため、特定のサイトへの適用と日本全国へのサイトの適用、これを区別して議論すべきではないかというご指摘でございます。それについては事務局の方から、審査の段階でサイトごとの特徴・浄化作業等を踏まえることが重要でないかということでございます。
 それから、分解微生物について最終的な基準をクリアすればよいのか、それとも中間体での基準を満たすべきなのかということでございましたが、これは今後の検討課題ということでお答えしております。
 それから、次はご質問というかご意見でございますが、非土着の微生物をある場に使ったときにどういう問題が出るかということを念頭に置きながらやらなくてはいけないのではないか。それから、環境浄化の目的に応じて、どこからどこまで生物多様性への影響を見積もらなくてはいけないのか。どのような客観的、定量的な方法で見積もるのかということも検討課題であるというご意見をいただいております。
 そのほかといたしまして、プレゼンの中での内容でございます。これは現場サイドからのご意見ということでございますが、油系のスティミュレーションでよいが、今後、難分解性物質への対応についてバイオオーグメンテーションの利用が必要である。それから、審査体制の明確化、迅速化。それから、各種動物試験、影響評価等のコストは、受注に直接かかわる問題であります、と。それから、土壌修復を考えたとき、物理的・化学的な処理等の方法もあり、その中でバイオ修復だけのガイドラインの設定はアンバランスではないかというようなご指摘ご意見をいただいております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。ただいまのご説明は、これは確認ということになりますので、よろしゅうございますか。
 それでは、どうぞ。

(矢木委員)
 これ、確認ということなんですが、ちょっと最近の情報だけをご紹介したいと思うんですね。(松本委員長)
どうぞ。

(矢木委員)
この5月24日から28日の間、アメリカのモントレーというところで、バテルというところが毎年、バイオレメディエーション関係で国際学会というのでしょうか、シンポジウムをやっております。大体600件ほどバイオレメディエーションの発表がありまして、それで1,500人が集まるんですけれども、日本の方も30人ほど集まっておりましたけれども、今回の発表は、実はDehalococcoidesという菌の混合菌なんですが売られておりまして、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンを浄化できるということでこの混合菌が売られておりまして、これを環境中にどんどん入れた、その発表が30件ぐらいあった。アメリカじゅうで使っていると。そうなりますと、日本で混合菌が使いたいんじゃないかという意見がすぐ出てくると思うんですね。ここでバイオレメディエーション、私は非常にこれ、評価が難しいと思うんですけれども、それをどういうふうに扱ったらいいのか、多分、これがまず一番使いたいと言って輸入して、皆さんもう、すぐにアメリカでも売られております。カナダでも売られております。これが、今研究のアメリカの一番の最先端になっておりまして、今回の発表もほとんどそれだったと。そうなりますと、日本でも買いたいと、来るんじゃないかと、そういう中でどういうふうに扱うかをちょっと考えていただきたいと、こういうことで提案でございます。

(松本委員長)
 時間も限られておりますので、ただいまの矢木委員の非常に重要なコメントがございますので、これについても各委員でお考えいただきたいと、こういうふうに思います。
 それでは、資料3及び4についてご説明をお願いいたします。

(生物化学産業課企画官)
 資料3でございます。大変申しわけないんですが、委員の方に事前にご送付させていただいた資料3におきまして今回のものは大きく変わっております。全体的に重複部分が大分ありまして、また余計な部分もありまして、このような形で整理し直させていただきましたので、このペーパーにおいて説明させていただきたいと思います。バイレメ指針作成の考え方ということでご説明をさせていただきます。
 この考え方におきましては、これから統一指針の案につきまして事務局の方からご説明させていただきますが、その前提となる前もって作成に当たっての考え方をまとめたものでございます。
 まず、Iとしましてバイオレメディエーション事業の意義でございますが、環境修復のための環境汚染浄化の技術手法としては、物理的手法、化学的手法及び微生物機能の活用等生物学的手法が存在するが、その中にあって、特に微生物機能を活用するバイオレメディエーション技術は、投入エネルギーが少なく、一般的に浄化コストも比較的安いことから、主要技術の一つとなる可能性を有しております。特に、バイオレメディエーションの中では、油類等に対しては、バイオスティミュレーション技術が従来用いられてきたが、今後は分解が遅い化学物質の浄化については、バイオオーグメンテーション技術の適用が期待されているところでございます。
 IIといたしまして、バイオオーグメンテーション指針策定の必要性でございます。バイオレメディエーション、特にバイオオーグメンテーション事業を円滑に進める上で安全の確保が重要であり、そのためには、国が事業者に安全性評価の指針を示すとともに、学識経験者の意見聴取に基づく大臣確認を受けることができる制度を設けることが適当ということで、この指針については、この2つの役割があるということでございます。
指針策定に当たっては、以下の点に留意が必要ということで、1としまして、非遺伝子組換え微生物(セルフクローニング等を含む)は、遺伝子組換え微生物に比し、生物学的既知見の情報量が多く、その科学的知見に基づく安全性の合理的な判断が可能なものであることということです。非遺伝子組換え微生物と申しますのは、カルタヘナ法におきまして、セルフクローニング、ナチュナルオカレンス、そういったことについて適用外となっておりますので、こういったものも含めまして、それから自然界に存在する単離された微生物、そういったことをトータルとしまして、「非遺伝子組換え微生物」という言葉を使わせていただいております。2としまして、指針の内容は、事業者にとって過度の負担となることは避けるべきであると。それからもう一つ、指針の内容は、技術に関する理解の促進に役立つものであるということに対する留意が必要であるということを記載させていただきました。
それから、すみません、次のページでございますが、現在のバイオレメディエーション技術手法の全体的な分類をここにまとめて表にさせていただいております。バイオレメディエーション技術、物理・化学処理、熱・焼却処理という3つの大きな分類に分けまして、バイオレメディエーション技術につきましては、技術手法として、バイオスティミュレーション、それからバイオオーグメンテーション、それからファイトレメディエーションの3つの手法がある。それから、バイオオーグメンテーションのところに組換え微生物と非組換え微生物、2つに分けております。組換え微生物はまだ未開発ということでございますが、一応こちらの方の使用ということになれば、国の対応としましてはカルタへナ法第一種使用の適用となります。それから非組換え微生物につきまして、それぞれ3種類あると思いますが、自然界より単離し培養した微生物とそれから自然界からの複合微生物、それから今申し上げましたその他カルタへナ法適用除外のもの、こういった3種類のものを非組換え微生物との内容でございます。こちらの方につきましては、国の対応としまして、今、経済省と環境省の両指針が存在しているということでございます。そのほかにつきましては、対象物質につきましての例としまして、そこにそれぞれの特徴が掲げさせていただいたものでございます。
以上でございます。

(松本委員長)
 はい。
 では、続いて。

(環境管理技術室室長)
 それでは、資料4についてご説明したいと思います。
 資料は4-1をまずごらんいただきたいのですけれども、ここに指針に書き込むべき項目について整理しております。3段表の形になっておりますが、一番左側が経済産業省の現行の指針、真ん中が環境省の現行の指針で、一番右側に統一指針にこういう内容を盛り込んだらどうかということでの事務局の案という形でご提案しております。
 まず、1番目の目的でございますが、ここは生態系等への安全確保と同時に、バイレメ事業の健全な育成と通じて環境保全を図っていく。
 周知方法でございますが、これは、最終的には両大臣の告示という形にしたいと思っております。ただ、検討会としましては、報告書という形で報告書をまとめていただきまして、その報告書をもとに行政サイドで告示化して運用していくという、こういう手順を考えております。
 利用分野につきましては、バイオレメディエーション分野。確認方法につきましては、経済産業大臣及び環境大臣で共同してやっていく。場所については、特定の場所の場合もあるし、日本全国を対象にしたようなものもあるでしょうということでございます。
 あと、浄化場所につきましては、土壌、地下水が中心の議論になっておりますけれども、たしか資料2か何か、前回の議論でもありましたようにそれ以外のものもあり得るかなということで「等」ということで書かせてもらっておりまして、自然条件下の限定された区域というふうに考えております。
 1枚めくっていただきまして、汚染物質としましても、今回は特に特定はせずに、そこに書いてございますように重金属等という形で整理しております。
 利用微生物及び利用形態、これは先ほどご説明のあったものを箇条書きで入れております。
 3ページ目でございますが、ここに生態系等への影響評価に必要な項目ということで整理しておりまして、まず生態系への影響評価をするために具体的に幾つか情報を収集し、それをもとに実際に事業者がやられるときには何らかの形で作業の計画をつくられるだろうということで、「浄化作業計画」という形でここで呼んでおりますが、これを策定し、その作業計画にのっとって基準に照らして審査をしていく。その作業計画に盛り込む内容はということで、そこのところに箇条書きで4つほど載せておりますが、これをもう少しブレークダウンした形で、[1]から[4]という形で次のページ以降に載せております。
 まず、それが具体的に収集すべき情報になるかと思っておりまして、[1]としましては利用微生物に関する情報、分類学上どんな微生物を扱うのかといったこと。これまでの主要な実績及び生理学的・生態学的特徴として基本的特性、生息または生育可能な環境の条件、捕食性・寄生性、繁殖・増殖の様式、病原性・毒性、これはヒト・動植物に対するものでございます。それと、有害物質の産生性。これは対象とする物質は浄化するにしても二次的に何か有害なものを発生するようなことはないか、そういう観点でございます。それと、利用微生物をどうやって検出していくのか、その検出・識別の方法。
 2番目として浄化技術、すなわちどんなふうに浄化していくのかということでございまして、浄化技術の内容、分解生成物また微生物の挙動等ということで、イからホまで挙げております。それと栄養を添加する場合、どんな添加栄養分があるのかということでございます。
 [3]としまして、浄化場所に関する情報。これも浄化場所の情報、作業区域の特徴、これは特に地下水などを利用する場合には、やはり作業区域の特徴が影響するのかなと思っております。それと、汚染物質の情報、汚染の状況。
 最後に国内外における使用等に関する情報。この[4]につきましては、特にここら辺の情報があれば非常に審査がしやすくなるのかなという観点で考えております。
 これらの情報を収集した上で、先ほど言いましたように浄化作業計画をつくっていただくということを考えております。その浄化作業計画に基づいて、そこから下の方が生態系等への影響を評価するというものでございまして、どんな評価を行うかということで作業区域及びその周辺における主要な動植物に対する病原性、毒性を持たないこと。作業区域及びその周辺の生態系にその他有害な影響を及ぼさないこと。また、なお書きでちょっと入れておりますけれども、基本的にはいろんな情報を集めていただいて確認したいと思っておりますが、既存情報が全くないあるいは既存情報ではっきりした疑いがある情報がある、こういった場合には、必要に応じていろんな試験をやっていただくのかなと考えております。
 1枚めくっていただきまして、先ほど議論がありました残留性のところでございますが、利用終了後に増殖する可能性が低い。必要に応じ、作業区域外への影響にも配慮した措置を講じていただく。
 分解生成物につきましては、利用終了後に有害な分解生成物が有意に残留しないこと。また、必要に応じて作業区域外への配慮もお願いしたいと。
 最後の項目が添加栄養分。ここにつきましても、利用終了後に生態系の基盤等に有意な影響を与えないレベルであること。
 それと、緊急対応、モニタリング、あと管理・責任体制、地域の理解ということで、項目を書いております。
 あと、これらを踏まえて告示ができたときにどんなふうに運用するかというフロー図を4-2という形でまとめております。
 なお、先ほど言いましたとおり、告示そのものにつきましては行政でつくる作業かなと思っておりまして、本検討会においては報告書という形で、具体的に盛り込むべき内容、考え方を書いていただきたいと思っております。そのイメージを資料4-3という形でご提示しておりますけれども、これにつきましては、本日はできれば資料4-1、4-2で内容についていろいろご意見ご議論をいただきまして、それらを踏まえて次回までに間に合うような形で資料4-3については再度相当程度書き直して皆さんにお送りすることになるのかなと思っておりますので、できれば本日は4-1、4-2でご議論をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。ご質問あるいはご意見のある方、どうぞお願いします。

(森田委員)
 セーフティーの部分に関しまして、特に分解生成物あるいは分解生成物ではないかもしれませんが、こういったプロセスを経ることによって、例えば地下水の汚染が増加しないかとか、あるいは、どちらかというとこの指針というのは微生物側のことだけにやや着目が、力点が行き過ぎていて、環境の安全性がここで十分担保されているかどうかということについて若干疑問を感じる部分がありますので、そこのところを少し強化していただければと思います。
 どういうことを心配しているかというと、まず、分解生成物につきましては、これは微生物によってつくり出される分解生成物、つまり標的となっている物質と、それから微生物が結びついて生まれるような分解生成物のことをまず考えていらっしゃって、それについては、ここの読み方をしますと、例えば地下水の中で有害なものが一時的に生産して、それがたとえ流れていったとしても最後に地下水の中に残っていなければいいように読めるような構造になっているんですが、それで果たしてよいかどうかというのが1点。
 それから、第2は、前回は私、失礼してしまったのですが、環境基準との関連性の議論が少しあったように思うんですが、議事録を読ませていただきますと、例えばこういうようなことが考えられます。例えばアジアの幾つかの国で起こっている地下水の砒素汚染というのは何が起こっているかというと、それまで安定的に富養化されて存在していた砒素化合物が人間の活動によって再び可溶化して、そして汚染をするという現象が起こっていまして、そういった土壌の重金属の処理の議論がちょっと出ましたけれども、重金属と反応してそれまで土の中で動かなくなっていた重金属を溶かし出して汚染を引き起こす可能性が心配されますので、そういったことについても評価項目に入れていただいて、同時にモニタリングの体制をやっぱりとっていただきたいなというふうに感じます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 ただいまのコメント並びにご意見でございますが、これに対して事務局側でご意見をちょうだいしたいと思います。

(環境管理技術室室長)
 今のは指針、報告書をまとめるに当たっての留意事項としてご指摘いただいたのかなと思っておりますので、十分留意しながらまとめていきたいと思います。

(松本委員長)
 はい。そういうふうな対応でお願いします。
 どうぞ。

(渡辺委員)
 これも報告書をまとめるに当たっての留意事項としてのコメントしてとらえていただければいいと思います。今回のこの検討事項は、今までのアセスメントを考えるときの生態系アセスメントの話とは若干違ったところがありまして、今までですと自然生態系があって、そこに開発行為があったときにどういう評価をしたらいいかという視点で議論していたと思うんですが、今回はそうではなくて、既に汚染されている生態系をバイオオーグメンテーションで非汚染の生態系に変えていくということだと思うんですね。ですから、当然、汚染生態系の構造は変わっていくというふうに考えなくちゃいけないと思います。非汚染の生態系に変える、その生態系が一体どういう姿の生態系となるのが我々にとってよしというふうに評価されるのかというところが、今までの開発絡みの生態系のアセスメントとはかなり異なるところであるというところを頭に入れて報告書をつくっていかなくちゃいけないのではないかというのが第一点でございます。
 そういうふうに考えますと、汚染されている生態系をバイオレメディエーションによって汚染物質をほとんどなくして、新たな生態系が当然できるんですが、その生態系というのは多分汚染されていない周辺生態系のような構造、あるいはファンクションになればいいのか、仮にそうならなくても人類の生存等々にとって安全で危険の少ない生態系になればいいのか、そこの判断をやはりしっかりする必要があるだろうと思います。
 そういうふうに考えますと、この骨子でいろいろ考えるべきは、やはり周辺にある非汚染の生態系の構造がどうなっていて、そのファンクションがどうなっているのかというところの情報をしっかりやっぱりとらえることが重要じゃないかというふうに僕は思います。
 ですから、この中の、例えば5ページ目にあります収集すべき情報の中に作業区域のことしか書いておりませんけれども、やはり周辺の区域の生態系、類似の生態系がどういう構造になって、どういうファンクションになっているかという情報は可能な限り収集して整備しておくということが重要じゃないかなというふうに思います。

(松本委員長)
 どうぞ。

(藤田委員)
 よろしいですか。ただいまのご発言に対して、少し私は異なった意見を持っております。これは、例えば今、渡辺先生の生態系の話なんですけれども、バイオレメディエーションあるいは環境修復を考えるときに、基本的には自然生態系を環境修復するということはあり得ない。したがって、非常に限られた、極端に言えば人工的な環境に対して手を加えるという、そういう多分意識が必要じゃないかなというふうに思います。それは、結局今まで、この一番右の方でいけば作業区域という概念を持ってこられていると思うんですけれども、それが決して非常に東京都と同じぐらいの大きな作業区域であるということはまずあり得ないと思います。したがって、極端に言えば1万平方メートルとか、そういう非常に限られたところをむしろ対象にしているという意識は逆に持っておかないと、余りにも生態系というとらえ方をしてしまうと、じゃあ生態系とは何ぞやという、また別の議論がどんどん出てくるんじゃないかなという気がします。そういう意味では、ある程度この生態系に対する考慮ということで、これはカルタヘナからの流れで考えざるを得ないということなんですけれども、そこのところはもう少しサイトという考え方でケース・バイ・ケースじゃないかなという気が私はしております。ちょっとうまく表現できない部分もありますけれども、それが1点です。
それともう一つ、多分これは森田先生のご意見ともひっかかるんじゃないかなと、同じように考えていきますと、例えば環境という視点は確かに、あるいは環境基準とかそういう視点は必要だとは思うんですけれども、もう一方で、確かに浄化過程におけるある種の変化をどうとらえるかというのは非常に難しいと思うんですね。例えばここでは、私は逆にうまく表現しているなというのは、「利用終了後に有害な分解生成物が有意に残留しない」というのがうまい表現だと私は感じております。それはなぜかというと、例えばトリクロロエチレンですと、先ほど矢木先生のご発言のように例えば脱ハロゲンのバクテリアを使った場合、必ずあるところで途中で必ずビニルクロライドが出る。これはもう、我々わかっているわけです。そうすると、そのビニルクロライドに対してどう考えるのか。そうすると、例えばビニルクロライドができるから、じゃあもう浄化はしないということになってしまうのか。しかし、ビニルクロライドにつきましても、例えばある期間であれば完全消滅して結果として、今言いました利用終了後にはそれらの物質はあるレベル以下になっているから、それをもって安全であるといわゆる宣言すべきなのか。その辺のところは非常にいわば化学としても難しいところですけれども、もう一つはやっぱりプロセス、工業としてもやはり考えていくべきではないかというふうには思っておりますけれども。

(松本委員長)
 ありがとうございました。ちょっとお待ちください。
 ただいま藤田先生から、むしろ違った立場からのご指摘がございました。これについて、渡辺先生あるいは森田先生、何かご意見ございませんでしょうか。

(渡辺委員)
 僕の主張している点は、汚染物質をバイオレメディエーションで分解して、それでもってでき上がる生態系というものが、どういう生態系であるべきなのかというところを明確にしておかないと評価というものはできないだろうということだと思います。それは、先ほどのお話の中にもありましたように、何か知らないけど微生物の組成を調べて、同じだ、違うんだという議論になっちゃってわけがわからなくなるというのが一番困るわけですね。そうしますと、指針をつくるときに、我々自身対照とするところをどこに置くのかということが必要です。それは、多分、2つあるだろうと思います。1つは、汚染されていない生態系の健全な姿がどんなものであるかというのがいい指針になるだろう。もう一つ、そういう指針が仮にそのような理想的なものでないとしたら、人間にとってあるいは人間にいろいろかかわる動植物にとって、危害がない、安全であるということが十分評価できる、そういう生態系という姿を明確にしながらやらなくちゃいけないと思います。そういう意味で、現場だけじゃなくて周辺のも、しっかり情報はとらえておく必要があるだろうということで発言したわけです。

(藤田委員)
 すみません。多分、私は逆に、バイオレメディエーションというか環境修復を少し見過ぎているから言う発言かもわかりませんけれども、例えば、環境修復されている多くの場所が、実は例えば人家あるいは工場地帯であり、意外とその周辺に、じゃあどこに自然があるのかという場所が圧倒的に多いわけですね。そういう場合にどれをもって基準とするかというのは非常に難しいと思うんですね。そのときは、多分、渡辺先生おっしゃったように、我々にとってという基準を私は納得しますし、賛成します。

(松本委員長)
 はい。
 森田委員。

(森田委員)
 環境基準とのつなぎ込みの問題がちょっとだけ残っていると思いますので、ご発言させていただきますと、すべての物質は微生物分解を含めて、最後には炭酸ガスと水になってしまうことは間違いない。その途中にできる有害物質をどう考えるかというのがあります。そのときに、クローズのシステムの中で行われる、クローズと言うかどうかわかりませんが、とにかくある工場のプラントとか何かで行われるようなものであれば、それは出口を押さえればいいということですので、排水の規制で完全にコントロールできる。その一方で、フィールドそのものを工場の場として扱ってしまったときには、いわばそこでできてきた中間体も含めて、それは環境に放置されたことになる。そのときに、それが十分に安全性を保たれているのかどうかというのはどうしても考えておかなきゃならない要素である。
 したがって、もちろん中間体がよくないということはないんですが、中間体の濃度を含めましてある程度の考え方を整理しておかなくてはならない。特に、地下水のように、下でどんどん動いているような、そういうふうな媒体についてはどうしてもその考え方が要るのかなという感じがいたします。

(松本委員長)
 それでは冨田委員、どうぞ。

(冨田委員)
 私は、藤田委員とかなり近いんですけれども、渡辺委員のおっしゃられた周辺の生態系を調べることが必要であると、それはよくわかるんですが、汚染というのは大抵の場合グラディエントで行っていると思うんですよ。どこまで行ったらもとの生態系なのか、原生態系なのか、どのスポットをとったらいいのかと、非常に難しい問題が出てきて、これはかなり長期の時間を要する、いわゆる微生物生態学の世界の中に入ると思うんですね。
 だから、我々としては、ここではやはり原生態系をどうとらえるべきかという問題ではなくて、むしろ、汚染されていると判断されているところが、我々に害がないという、これは「新たな生態系」という言葉を使われますが、そういう状態になるということが当然予想されますが、やはりここで大事なポイントは、環境を浄化するんだと。それが正しく行われていて、害のない環境ができていればよろしいのだというふうに考えて僕はいいのではないかと思います。いわゆる微生物生態系、生態系というのはどんどん変わっていくわけですよね、ご存じのように。しかも、今、汚染されているところなんていうのはいろいろ変わっていくわけですので、幾つスポットをとったらそれが原生態系をあらわすかとか、いろいろ難しい問題が出るので、やはりここでの焦点は、しっかりと絞っておくべきだろうというふうに、藤田委員とほとんど同じになると思いますが、そこは余り広げない方がいいと。それよりは、むしろ心配なのは、矢木さんがおっしゃられたアメリカでたくさん使われているという菌ですね。これは特定されていないものが入るんでしょう。同定されているんですか、全部。

(矢木委員)
 今、注目されておりますのは、要するにテトラクロロエチレンを完全に塩素を外しちゃうという菌で、Dehalococcoidesというのが注目されているんです。それを育てるためには、その菌だけじゃ育たないんです。だから、それと同時にほかの菌もまじって育てると安定して使えるということで、その菌だけでは育たないんです。

(冨田委員)
 だから、そうなると、ここの単一菌及び既知の複数菌。この未知の複数菌(コンソーシア)は対象とせずと、ここの書かれているところが、これをどう書いたらいいかと。つまり、ある程度DNAでプロファイルがとれるミクスチャーがそのシードとして売られているんだとすれば、それぐらいかければいいよというふうに書くのか、それとも、ここに書かれている言葉で言えば、今おっしゃられたものは対象にならなくなっちゃうんですよ。だから、その方がちょっと心配なんですけど。

(松本委員長)
どうぞ。

(矢木委員)
 ちょっと、では、私、補足説明をさせていただきますと、そのDehalococcoidesというのは、実はビニルクロライドとかはすごい毒をつくるわけです。毒というか、塩素を外していきますのでね。それだと非常に問題なんですね。ですけれども、それをさらに置いておけばエチレンになっちゃうということで、それで終了するということで、ですから、かなり時間はかかるんですね。ですけど、アメリカじゅうで今これをやっている。じゃあビニルクロライドをどうするんだというと、ビニルクロライドがなくなったとき初めて、それが浄化なんだということなので、そういう意味では中間物質はチェックしなきゃいけないので、森田先生がおっしゃったように、私はモニタリングをしっかりすれば、途中の過程は人間で言えば病気を治すというようなことで、すごい悪い状況をさらにそれが悪くなるのかどうかという議論じゃなくて、人間にとってよくなるんだと。じゃあ、そこで一番問題になるのは病原菌が出るのかとか、そういうような問題だと思うんですね。ですから、やっぱり余りそういうことでモニタリングをしっかりすれば最終的にそういうところはフォローできるんじゃないかと。ただ、中間物質は当然注意しなきゃいけないと、そういうことで……。

(富田委員)
 化合物的にはよくわかるんですけれども、だから、ここの対象範囲、利用生物及び利用形態ですね。ここのところにどうしても、同定されていない違う菌が入りますでしょう。

(矢木委員)
 一言それを言わせていただきますと、もし、このバイオレメディエーションがガイドラインができるわけですけれども、皆さんが一番まず使いたいと思うのはDehalococcoidesの混合菌だと思うんですね。今、もう一番使いたい。そうすると、考え方は非常にいいと思うんですね。ですから、何とか混合菌を買いたいといった方の答えを出してあげないと、せっかくこれをつくりましても、もったいない。ぜひそういうところを入れないと、もう、純菌でやるというレベルじゃないんです、正直言いますと。そういうところがございます。

(松本委員長)
 それで結構ですね。
 どうぞ。

(渡辺委員)
 ここで冨田先生たちと大論争をやるというつもりはないんですけれど、「生態系」という言葉を使うとどうしても大上段に考えられがちなので少し言葉を変えて言いますと、汚染されている土壌をいろいろバイオレメディエーションするんですけど、その対象としまして非汚染の土壌、これでいいと思うんですが、同じ工業地帯だったら工業地帯の中に非汚染土壌があるでしょう。その中の構造がどうなっているかは対象としてとっておく必要があるだろうと思います。そうしますと、非汚染土壌を修復するときのゴールがどこなのかという目安がそこで出るんじゃないかということだと思います。
 ですから、やはりそういうのを設定していかないと、ただ単に人間にとってというのももちろん重要なんですが、それだけだとやはりなかなか住民の合意をとるのは難しいんじゃないかなと思います。

(松本委員長)
 どうぞ。

(生物化学産業課長)
 せっかく指針をつくるわけですから、ほうっておくよりは、土壌修復が進んで世の中がどんどんよくなっていけばいいわけですよね。全く土壌がもとのものになるかどうかという観点よりは、少しでも事業が進んでいって日本国内の土壌汚染が改良していくという、そういう観点で指針を進めていただければというふうに考えております。

(松本委員長)
 それでは、どうぞ。

(中村寛治委員)
 Dehalococcoidesという言葉が出て、それを盛んに矢木先生が言われていて、それで実際には日本の中でも使われておりまして、矢木先生が……。

(松本委員長)
 使われているんですか。

(中村寛治委員)
 はい。オーグメンテーションはされておりませんけれども、日本の土壌・地下水の中にいまして、それで10を超えるサイトで、もう、スティミュレーションで浄化が進んでおります。そういう現実があって、先ほど辻委員の方からコストを言われましたけれども、そのコストの半分以下、結局進むか進まないかというのはその手法が経済的に見合うか、安い費用で浄化できるかというところが、それがポイントになります。
 結局、矢木委員が申されたのは、多分それを使いたいという希望の企業もたくさん出てくるだろうと。それで安い費用でできる技術というものをある程度念頭に置いた上で立てないといけない。冨田委員がおっしゃるように、ほかのものとまじりながらだったらよく育つんですけれども、ピュアリファイしたものを全部混合するという状態では使われていないんですね。ですから、それを前提にやられた方がいいんじゃないかということが、日本でも実際に浄化が進んでいるという現実に目を向けていただいてお話を進めていただければなというふうな気がします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ。

(渡辺委員)
 話題を変えて、全体のモニタリングの方の話なんですけど、実際、作業中のモニタリングをしながらいろんな措置がどういうふうに上手にいっているかは必要なんですけど、事後のモニタリングはやらなくてもいいのかというのが気になります。作業中のみならず、終わった後、ポイント、ポイントで事後が本当に問題なくなっているのかというところをチェックする事後のモニタリングというのが必要なんじゃないかというふうに思います。

(松本委員長)
 事後のモニタリングについて、どなたからでも結構です。事務局どうぞ。

(生物化学産業課企画官)
 私ども経済産業省で運用しておりますのは、事業期間中でのモニタリングと考えておりまして、それは浄化作業をし、かつその後、トリクロロエチレンでしたら例えば0.03mg/l以下とか、そういった目標値がクリアしたときに、実際問題として、それでもう事業が打ち切られますので、そこまでのところで菌の残存性とか、そういったものが全部守られているということをもって戸板を外して、それで事業が終了ということで、その後までモニタリングを義務づけるのはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えております。

(渡辺委員)
 環境省は。

(松本委員長)
 環境省はどうですか。

(土壌環境課長)
 土壌汚染の方について言いますと、当然、これはバイオレメディエーションの技術の評価として事業期間内という話があったと思いますが、実際に土壌処理をやっていただく場合、バイオじゃなくて、例えば掘削とかほかの処理をやっていただく場合、土壌の浄化後、基本的にある一定の期間、それはこちらの方で必ず一定期間は当然モニタリングをしています。それは、ですからバイオのことではなくて、むしろ例えばトリクロロエチレンがどれぐらい残っているか、これが完全に除去されているかどうかの確認のためのモニタリングというのは、当然やっていただく必要があると思っています。それは、性能の方じゃなくて、事業そのものの効果を確認すると、これは必要です。これはやり方によって1回限りのこともありますし、長い場合には2年ぐらいモニタリングしていただくこともございます。それは現場に行って決めます。

(松本委員長)
 どうぞ。

(富田委員)
 事業が終わりというのをどこに考えるかということと、それと、環境汚染が完全に、完全にということは絶対にあり得ないので、環境汚染がどこまでいったところまでを見るかと、この2つがあるかと思うんですが、私は今、環境浄化をやっているのを拝見すると、私自身はやったことがありませんが、これまでのいろいろなデータを伺うと、いわゆるあるレベル以下になったところで事業が終わっているわけですよね。つまり、そこでいわゆる毒性がない、ものがないという状況になっているんだったらそこからふえるはずがないと考えていいと思うんですよね。だから、その時点で終わってよろしいのではないかと、それが事後だというふうに理解したいんですが。

(松本委員長)
 これについて、渡辺委員、何かご意見ありませんか。

(渡辺委員)
 いや、また紛争に……。

(松本委員長)
 いやいや……。

(渡辺委員)
 ですから、問題は安全性の評価がそれできちっとなっているかどうかというところだと思うんですね。ですから、菌体が減っていったと、先ほどの話にもありまして、どこまで減ったら安全だと言えるのかというのがなかなか難しいところがあるわけです。あと、いつ何どき、ぽっと増殖するかというところの問題もいろいろあると思うんですよ。それに関して、今の科学的な知見でこうだというのを決定論的に言うのは非常に難しい課題なんですよ。決定論的に言うのが非常に難しいがゆえに、ポイント、ポイントでいいから事後のモニタリングはきちっきちっとやっておいた方が、関連する住民に関しても非常に納得がいく説明責任のとれるやり方じゃないでしょうかというふうに思っているわけです。

(松本委員長)
 事後のモニタリングというのは、ある程度の間隔で。

(渡辺委員)
 それは、ある程度の間隔で。

(松本委員長)
 どのくらいの期限と考えますか。

(渡辺委員)
 それは、常識的なところでケース・バイ・ケースだと思いますけれど、状況によりましてね。

(松本委員長)
 事後のモニタリングはどうしても必要だというご意見。
 どうぞ。

(中村寛治委員)
 事後というのを月で考えるのか年で考えるかということで違うとは思うんですが、多くの土壌浄化現場というのは、浄化後に土地の利用を考えたり、売却等も踏まえた上でいろいろなクライアントとの折衝というのをやりますので、それ自体はどこまでかということを具体的にやっぱり明確にしていかないと、事業者としてはそういうものに二の足を踏むという部分もあるんじゃないのかな。ですから、線引きは必要じゃないか。どれが適切だというのははっきり申し上げられませんけれども。

(松本委員長)
 環境省、どうぞ。

(土壌環境課長)
 ちょっと補足しますと、土壌汚染防止法の中でそういうふうに、これは汚染が見つかって指定地域になって対策をとった場合どこまで監視しなきゃいけないというのは、政令、規則ですか、決まっていますので、それは先ほど言った長い場合には2年間やることもあります。それは、例えば地下水がないようなところですと比較的早く1回で決まりますけど、あるような場合には2年間ぐらいやっていただきます。しかも、それは年4回、そういうのも決まっています。

(中村寛治委員)
 私は、その汚染の濃度についてはおっしゃるとおりだと思うんですね。先ほどのお話の中で安全性を踏まえてというようなお話があったので、そういう微生物生態への影響等も含めてというお話になった場合になると、その部分のライン引きはされていないので、しておかないといけないのかなと、そういうお話です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、加藤委員。

(加藤委員)
 多分、微生物の残留性というか、どこまで減ったらいいかという、それがふえるかどうかという話だと思うんですけれども、この項目の中に、今6ページなんですが、下の四角ですね。選択圧という項目がありまして、ですから微生物が選択圧がかかってふえていくかどうかというようなところも一応項目としては入っているわけですね。ですから、結局、実際にはこういうふうに議論していても始まらないところがあって、具体的なところで具体的な場面で考えないと考えられないところもあるとは思うんですね。それでもってあいまいにしてしまうのはよくないかとは思うんですが、一応、そういうことも考えるための項目は、ここに選択圧とかというのも入っていますし、それから、先ほどの周辺の生態系というのも、作業区域周辺の生態系というのもどこかに書いてあったと思いますので、一応、事前に考えられるものは入っているのかなと、個人的には思っています。
 それで、後で現実にどうなるかというところはやっぱり具体的なところを見ないとわからないところがあって、それは専門家の判断という具体的な組み合わせによって判断しなきゃいけない部分が出てくるのは仕方がないのかなというふうに、個人的には思っております。

(松本委員長)
 なるほど。非常に実践的なご意見が出たわけでございますが。
 山下委員、どうぞ。

(山下委員)
 実際に、現場で使った供試菌、単独で使う場合あるいは複数の菌をまぜて使う場合といろんなのが出ているようですけれども、使った菌というのは、その菌のモニタリングとか、あるいは将来何かトラブルが起きた場合なんかは、その菌をやっぱり第三者がチェックできるというような必要があるような気もするんですけれども、使った菌というのは、菌株がどこかに寄託されるんでしょうか。それは、使用者がそこだけしか持ってないとなると、あとトラブル等が起きた場合は、追っかけることができないんではないかというあたりをちょっと心配をしますけれども。

(松本委員長)
 ただいまのご質問について何か。

(冨田委員)
 それは心配はないんじゃないでしょうか。事業計画を立てられるときにちゃんとその菌を入れてやっているわけですから、その菌は残されているはずであって。余り、それは何年後に起こるかというのはわかりませんけれども、通常は先ほどのようにある限定された期間、つまり化合物の濃度が下がった時点で終わるわけで、その時点までは菌はあるわけですし、その後の心配はないのではないかなというふうに思いますが。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 それでは、どうぞ、あと1つ。

(藤田委員)
 矢木先生の例のコンソーシアというふうに考えるべきなのかどうか、ちょっとまだ微妙なところはあると思うんですけれども、主たる微生物がどういうものであるかというのがわかっていた場合に、そういう微生物を中心とした複合です、あるいは混合物ですという場合に、1つの方法論として、これはもうどこまで検出できるかということとかかわってくるんですけれども、基本的には多分その製剤に対して今の方法論でいけばほとんどの微生物が同定できるんではないでしょうかという疑問を投げかけた場合、矢木先生、どうですか。

(矢木委員)
 Dehalococcoidesの場合には、今、皆さん解析をしてどんなものがいるかということでかなりの中身はわかっております。その中で病原性はいないよというようなところで使われているのがありまして、要するにトータルDNAをとってどんなものがいるか、もちろんわからないもの、少ないのはありますけれども、かなりの中身はわかっておりますが、ほとんどはDehalococcoidesが占めておるということなので、そういう意味では何か評価をやれる方法があるんじゃないかなという気も実はするんですけれども。

(藤田委員)
 多分、この一番最初のところで「コンソーシアは除く」という言葉と、今言われた、我々が知っているあるいは検討しようとする複数の微生物のほとんどが定量、いわゆる同定できているということであれば、実はこれはむしろ同定された複数の微生物とみなして十分理解できるのではないでしょうか。そうすると、あとは多分、判断するときの問題、方法論になると思うんですけれども、例えばその混合微生物、きょうは多分、宮さんが言われたのもそうだと思うんですけど、ある1つの選択圧を加えるということは、これはバイオレメディエーションをしようという選択圧だと思うんですけど、そのときにコンソーシアが、微生物層がどう動いていくかということをもう一度、もう一つのステップとして見れば、それで恐らくすべての微生物を少なくとも我々は握っているという理解でいけるんじゃないかなと思うんですけれど、いかがでしょうか。

(矢木委員)
 ちょっとよろしいですか。その場合に、例えば20種類のものが微量だけど入っていたということになりますと、このガイドラインでいきますと、その20種類については病原性から全部調べなきゃいけないことになるんですね。当然ここの、私もちょっと気になっているんですが、地域の理解というところで、一番下のところに、「必要に応じ、地域住民等に説明し理解を得ること」と。これがやっぱり大きなポイントだと思うんですね。20種類のものがみんな安全なんですかと、「必要に応じ」というのはどの時点で説明すればいいのかと。要するに、住民に理解を得るためにこのガイドラインがあるわけですから、ここで認めてもらえると非常に住民に説明するインパクトといいましょうか、そういうことが、それが1つの大きなポイントなので、それをどこに組み込むかということですね。
ですから、その辺のところの、仮に20種類入ると全部やらなきゃいけないということになるとまた非常に現実的に難しいかなということで、それは従来のデータでかえていいよというようなことになればまた、道は開けると思うんですが。

(藤田委員)
 20種類ということは別として、これは仮に。基本的には多分この1つの流れの中では、事前に微生物に関しては病原性等はすべてチェックする仕組みになっているはずですから、恐らく同定された段階では少なくともそれが病原性かどうかということは何らかの形で判定はできると思うんですけれども。

(松本委員長)
 はい。
 ご意見ありますか。あともう1つか2つ、違った面から。どうぞ。

(山田委員)
 全く違った面からの意見ですが、5ページで動物に関するところなんですけれども、今まで経済産業省の方はほとんど既存情報で病原性、毒性、感染性というのを判断してということだったんですが、環境省の方は動物実験というのをするというふうになっていたと思います。それを既存情報をなるべく集めて、必要に応じて動物試験等を実施するというふうにまとめられていると思います。ただ、この動物試験で何を見るかということなんですが、毒性であれば一般的に見られると思うんですけれども、感染性、病原性となりますと、微生物には宿主域というのがもちろんありますので、ある動物にとっては全く病原性がなくてもヒトに対しては病原性が異なるということもあるので、この動物試験で何をどう見ていくかというのは問題かと思うんですが。

(松本委員長)
 はい。では、それについて事務局側でどうですか、ご検討いただいていますか。

(生物化学産業課企画官)
これは、具体的にどういう病原性試験が必要だということを余りイメージできないので、審査のときに事業者の方が実施してきたものに対して、それに対して確認行為ができるかできないか、または不足していれば、そこの場で不足しているということを付け加える。

(松本委員長)
その時点で。

(生物化学産業課企画官)
各ケースで異なるんじゃないかなというふうに考えています。代表的な試験を示すということは可能だと思いますが、かなり審査の段階の話になると思います。

(松本委員長)
 審査の段階で。山田委員、よろしゅうございますか。そのほかどうぞ。
 まだまだ意見は、これは出尽くされたとは思いません。恐らくまだ相当時間を要すると思いますが、予定の時間も来ておりますので、さらにご意見のある方は、事務局で用意いたしましたペーパーがございます。このペーパーに意見をなるべく具体的にお書きいただいて、そして、後日、事務局側にご提出をお願いしたいと、こういうふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より次回のスケジュールについてご説明をお願いいたします。

(環境管理技術室室長)
 いろいろなご議論、どうもありがとうございました。まず、こういう番号のない紙に意見を書いてもらうようになっておりますので、これにつきましては後日とありましたけれども、できれば今月の25日金曜日まで、2週間ございますので、それまでに事務局へ送っていただければと思っております。
 それと、次回の会合でございますけれども、委員の方々に事前に幾つかお聞きしまして今一番都合がいいかなと思っておりますのは7月30日金曜日でございます。時間につきましては14時から16時ということで事務局として考えております。また、正式には文書でご連絡したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(松本委員長)
 そのほか、本日の会議全体を通しまして、何かどうしてもご意見のある方、ちょうだいしたいと思います。ございませんか。

(福田委員)
 1点だけ。

(松本委員長)
 どうぞ。

(福田委員)
 実は先ほどちょっと議論があったんですが、添加物を入れて、例えばさっきのM株ですとメタンを入れて促進するというのがあるんですが、それと例えばVOCの場合にフェノール分解菌を使う場合、非常に低濃度のフェノールを入れるということを可能にできるかどうか、その辺を少し検討していただければと思います。

(松本委員長)
 ただいまのご質問に対して何か知識あるいは経験をお持ちの方、いらっしゃいますか。少量のフェノールを入れることに……。

(福田委員)
 ちょっと一言。例えばフェノール分解菌ですと、フェノールを入れても酵素を誘導した後すぐに分解されるという、そこの保証をもちろんするという、保証するデータを出すという必要があると思いますけど。

(松本委員長)
 どうぞ。

(藤田委員)
 よろしいですか。多分、それは我々は物すごく魅力的な方法なんですけど、バイオレメディエーションをするには。だけど、もう一方でやはり今の、特に太田課長、環境基準の方の話をされましたので、多分、基準以下であれば許されるのかもしれませんけれども、しかし行為としてはなかなか住民の方の、逆に言えば理解のところでは難しいなと。多分、それが辻委員のご発表のように、結局、休止菌で分解せざるを得ないというところにもつながっていると思うんですね。そこは、現実にはフェノールの基準そのものも、例えば非常に低ければ、実はそれだけ入れても余り大きな意味を持っていないんじゃないかという気はするんですね。ただ、もう一点で、今、福田先生が言われたのは、あるレベルを入れても、確かに時間を見ればなくなってしまうんだという、それは議論としては多分出てくると思うんですけれども、これが今度は逆に森田先生と同じ意見で、それは余りくみしたくないなと。途中で分解過程で出てくるものに対する考え方というのは、私は今言ったように、むしろエンドポイントでやるべきだとは思いますけど、積極的に入れることに対して基準を上げるというのはやっぱりどうかなという意見を持っております。

(松本委員長)
 それでは、本日はもう時間も参りましたので、大変有意義なご討論、ありがとうございました。あくまでもこれは経済産業省と環境省の合同委員会でございますので、両省が対立するなんてとんでもございません。実にいい報告書に向けて素案をつくっていくというのが重要なポイントでございますから、今後ともひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、長時間にわたりまして、本当にありがとうございました。本日はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。