第6回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録

*水産資源再生方策検討作業小委員会(第6回)及び海域環境再生方策検討作業小委員会(第6回)の合同開催

開催日

令和2年12月8 日(火)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

 有明海・八代海等総合調査評価委員会委員長:古米弘明委員長

(海域環境再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 松野健委員長

 委員 : 上久保祐志委員、 樽谷賢治委員、矢野真一郎委員、山口敦子委員、山口啓子委員

 専門委員 : 橋本晴行委員、東博紀委員、古川恵太委員、吉永育生委員

(水産資源再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 樽谷賢治委員長

 委員 : 岩渕光伸委員、古賀秀昭委員、内藤佳奈子委員、 速水祐一委員、松野健委員、山室真澄委員、

山本智子委員

 専門委員 : 川原逸郎委員、中村勝行委員、松山幸彦委員、矢野浩一委員、吉田雄一委員

(関係省庁・県)

 国都交通省水管理・国土保全局河川環境課 天野企画専門官

 国土交通省港湾局海洋・環境課 小野課長補佐

 農林水産省農村振興局整備部農地資源課 松宮課長補佐

 水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

 水産庁増殖推進部漁場資源課 山本課長補佐

 水産庁増殖推進部栽培養殖課 石川課長補佐、中西課長補佐、鏑木係長

 林野庁森林整備部治山課 石飛課長補佐

(事務局)

 環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、

 水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午後1時30分 開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 それでは、定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第6回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第6回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。

 本日の小委員会は、御案内のとおり、合同で開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からウェブ会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には、御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら事務局までお電話、またはウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせください。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと、挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは、事務局でオンオフを操作できないため御協力をよろしくお願いいたします。

 本小委員会は、公開の会議となっており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 それでは、まず議事に先立ちまして、環境省閉鎖性海域対策室長の行木より御挨拶を申し上げます。

○行木閉鎖性海域対策室長 先生方、本日は年末のお忙しい中御参加くださいまして大変ありがとうございます。10月に開催されました第45回の評価委員会におきまして、令和3年度の中間取りまとめに向けた作業方針、項目案などについて御審議をいただいたところでございます。本日の小委員会では、まず、情報収集などといたしまして、山口敦子先生から魚類等に関する御報告をいただき、その後、農林水産省農村振興局から有用二枚貝類に関する御報告をいただく予定としております。その後、今回から中間取りまとめに向けた検討をさせていただくということで、第4回、第5回の小委員会において関係省庁などよりご報告いただきました取組を基に事務局で作成をいたしました中間取りまとめの第1章「はじめに」の部分と第2章の調査研究等の実施状況成果などの内容などにつきまして、御審議をいただきたいと思っております。この第2章に関連する部分では、取り扱う項目が大変多くなっておりますので、今回、それから次回第7回の合同小委員会の2回に分けて御議論いただければと思っております。

 今、合同と申し上げたところですけれども、今回と、それから恐らく2月頃に開催をさせていただきたいと思っております、第7回の小委員会は、水産小委員会と、それから海域小委員会の合同開催でございまして、第2章各取組を取りまとめるに当たり、それぞれの小委員会の観点から総合的に御議論をいただき、知見などを整理していただければと思っているところでございます。

 委員の皆様方には、本日も忌憚のない御議論を賜りますようお願い申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 ありがとうございました。本日の小委員会の出席状況ですが、欠席の連絡を小林委員よりいただいております。本日は、委員22名中21名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、本日は有明海・八代海等合同調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業を議題としており、関係省庁より御出席いただいておりますので御紹介いたします。

 まず、水産庁の漁場資源課の山本補佐、研究指導課の楠補佐、栽培養殖課の石川補佐、中西補佐、鏑木係長でございます。

 続きまして、農林水産省農村振興局の農地資源課の松宮課長補佐でございます。

 続きまして、林野庁の治山課の石飛補佐でございます。

 続きまして、国土交通省水管理国土保全局の河川環境課の天野専門官、港湾局海洋・環境課の小野補佐でございます。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 先ほど御紹介させていただきました、閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 同室長補佐の濱名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料につきましては、事前に電子データやホームページで御案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行をさせていただきます。

 それでは、議題に入ります。今回と次回の小委員会は、合同開催であり、今回の進行を海域小委の松野委員長、次回の進行を水産小委の樽谷委員長にお願いをしております。

 これ以降の進行は海域小委の松野委員長、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 かしこまりました。では、早速議事を始めさせていただきます。

 最初に、議題1の魚類等に関する情報収集等について、山口敦子委員から説明をお願いしたいと思います。御発表時間、20分程度でよろしくお願いいたします。

○山口(敦)委員 よろしくお願いいたします。長崎大学の山口です。

 今回、魚類について発表しなさいということですが、これまで再生に貢献するために個人的に実施をしてきました20年間の研究成果を基本にしまして、第3回の小委で詳しく発表したところです。前回からあまり時間がたっておりませんので、前回から整理が進んだところなどを中心にお話をさせていただきたいと思っております。

 早速ですけれども、第3回小委の資料より環境省でまとめられたデータ整理分析について抜粋したものです。これを一つずつ見ていきたいと思います。

 このスライドは、前回の小委での私の発表の資料に基づきまして、環境省でまとめられました要約になっております。

 では、まず一つ目の「魚類等の再生産機構及び資源量の変動要因の解明」についてです。今から約20年前ですが、まず、有明海と八代海の全貌を把握するための魚類に関する知見はほとんどない状況でした。有明海は、貝類やノリがもたらす経済価値が際立って高いですし、ほかの内湾域に比べても生物多様性が高くて、その上、有明海は4県にもまたがっているということもありますし、それぞれ特殊な環境であることに加えて、調査手法も限られるという背景が様々あったと思います。有明海の環境異変の問題が起こった当初です。2000年以降、一体いつどこにどういう魚類が生息するのかという基本情報すらないことが分かりましたので、まず、有明海について、環境がそれぞれ異なる4県の全海域を網羅するように研究を行うこととして、下方に具体的に幾つか示しましたが、全体を俯瞰的に見渡せるようにと努めてきました。有明海については、20年の研究でようやく高次捕食者からの魚類生態系の全体像がつかめてきて、生息場所の環境やその他の底生生物やプランクトンなどとの関わりも見えてきたところです。

 一方、八代海については、同様に広大な干潟を備えていまして、つながっている箇所もありますし、環境についてもそれほど大きく変わらないのではないかと考えておりましたが、実際に始めてみますとそうではありませんでした。八代海独自の調査研究再生方策が必要だということが見えてきております。

 ここでは、両海域の魚類の漁獲量をまとめました。左の有明海から見ていきますが、2006年の評価委員会報告では、魚類漁獲量の減少とエイ類の増加を指摘したところで、全体の漁獲量の減少傾向というのは、今も継続していることが分かります。県別に見ていただきますと、長崎県の減少程度が大きくて、次いで佐賀県が顕著です。②と③に挙げたように、有明海は、底生魚類の占める割合が多く、特に夏産卵の種の減少程度が大きいというのも特徴です。

 一方、右の八代海は、傾向が大きく異なることが分かります。④に挙げましたが、ニシン目をはじめとした浮魚類が多くを占めており、全体としては⑤に書きましたが、鹿児島県で近年増加傾向、熊本で減少傾向。そして、八代海でも底生魚類については、減少傾向であることが分かっております。

 これは、当初、約20年前に私が行った聞き取り調査で、漁業者の方が漁獲量の減少傾向が最も大きいと感じたものを調査したのですが、それがニベ・グチ類でした。このように、近年に至っても、更なる減少が続いていることが分かります。なお、この漁獲量には、有明海の最優占種であるシログチと準特産種であるコイチが混ざっておりますが、これは、調査して、おおよその内訳が分かるようになっていますので、個別の状況についても追うことができます。なお、コイチについては、環境省が初めて取り組んだ海洋生物の絶滅のおそれの評価で、私も選定委員を務めておりましたが、絶滅危惧1B類ということで比較的高いランクの絶滅危惧種と判定されております。

 それから、シタビラメ類の漁獲量も同じく減少傾向が続いております。この中には少なくとも、6種が混在していることまでは明らかにしましたが、種別の傾向については不明です。

 それで、20年の調査により主要な数十種の魚類の生活史を調査しまして、幾つかのパターンに分けられることを明らかにしました。

 また、代表的なもののうち、①の有明海の早い潮流を利用して産卵場と生育場が離れているという独特の再生産戦略を持つシログチに代表される生活史、②の全生活史を有明海湾奥部に依存する種、特産種や準特産種のデンベエシタビラメなど、それから③の外海から季節的に来遊し有明海を産卵生育場として利用するトラフグやシマフグなどの種に代表される生活史、こういった生活史を持つ種は、いずれも減少程度が大きいということも明らかになりました。これらの共通点は、いずれも主な生息場が、有明海奥部の干潟・河口・浅海域にあるということ。それから、流れや底質、底層環境と関係が深いことです。これらの生活史に基づき、評価委員会で二枚貝などに適用していた海域区分、右下に示した図ですが、これを魚類に当てはめて差し支えないということは過去の小委員会でお話ししたとおりです。八代海でもこのような情報を得るには非常に時間がかかりますが、このように大変有益ですので、現在も私が調査をしているところです。

 次に八代海の漁獲量を見てみます。魚類全体の傾向は違っていましたが、こちらでも底生魚類は減少傾向です。有明海と同じくニベ・グチ類の漁獲量は減少傾向にあります。八代海でも複数種が含まれていますが、こちらは、内訳についてはまだ不明です。有明海で行ったような調査もできていませんし、オオニベなど他の種も見つかっておりますので、正確に、いずれの種が減っているのかというのは不明です。

 ウシノシタ類、カレイ類といった底生魚についても同様、減少傾向にあります。こちらも同じく複数種、含まれていると思われますが、種レベルでの内訳も不明です。

 八代海は、有明海とは魚種組成も異なりますし、漁獲傾向も異なります。そこで、いずれの種を優先的に研究すべきか検討しました。この図は、全漁獲量のうちの魚種別組成を見たものですが、八代海では、浮魚類、ニシン目魚類が多く、八代海、有明海共にオレンジで示したコノシロの漁獲量の割合が多いことが分かります。

 そこで、コノシロについて注目してみます。コノシロは、両海域で、水産上重要な種で、サイズによって呼び名が変わる出世魚です。幼魚は「シンコ」、未成魚「コハダ」は特に価値が高いもので、有明海産のコノシロと言えば、ブランドになっておりますので、東京の築地市場では、非常に高値で取引されていたようです。両海域とも近年では、減少傾向であることが読み取れます。

 グラフは、八代海の羽瀬網です。私が2020年1月に採集した全魚類の種組成を示しておりまして、個体数と重量のどちらで見てもコノシロが多く、こちらは複数年調査をしておりますが、同じような傾向が見られています。コノシロは優占種であると考えられますが、本種に関する先行研究というのは極めて限られておりまして、全生活史については未解明です。今後、両海域でこのコノシロの分布と生活史を明らかにする必要があると思います。

 八代海奥部の干潟域が有明海と同等の生育場として、重要な機能を持つかどうかは、いまだ評価ができていません。そこで、八代海奥部の仔稚魚の分布と生息密度を調査して、生育場としての機能を評価しようと、仔稚魚に関する調査研究を行っております。

 これは、有明海と八代海で、過去の魚類、仔稚魚の分布密度を海域間で比較したものです。有明海奥部の稚魚の成育場、あるいは生息場と同等の環境と思われる八代海の奥部で行っている調査では、いずれの定点でも分布密度は極めて低いということが分かりました。時期の問題もありますので、次のスライドで見てみます。

 いずれの年度もこのように全仔魚の分布密度は、有明海ほど高くないという傾向が見られました。

 また、出現する仔魚の種組成も異なる傾向が認められております。八代海奥部は、有明海で優占種となっているニベ科のシログチやウシノシタ科のデンベエシタビラメといった魚の仔魚の成育場の一つとして利用されていることを想定していましたが、これらは、いまだ採取されておりません。有明海奥部に相当するような重要な成育場が八代海に存在するのかどうか、今後明らかにする必要があります。

 八代海についても生態系の視点は不可欠ですので、魚類相と種組成、そして生態系構造と機能解明に努めております。まずは、奥部の干潟浅海域を中心に、成魚についても種の同定、精度の高い種の同定、測定、そして標本作製、魚類目録の作製を実施しております。これも、地道な作業にはなりますが、全て鰭立て作業を行いまして、全種の標本写真を撮影するとともに魚類標本として固定し、標本番号を付して長崎大学に登録、そして管理しております。

 八代海奥部の魚類相について現時点での結果から、有明海と比較してみますと、このように八代海奥部に出現した種数は85種、有明海が115種、調査年数が違うので、今後変わる可能性は十分ありますが、八代海奥部でのみ出現した種が30種もありまして、下方に書いておりますが、分類のグループ別に見ると、サメ・エイ類、板鰓類です。ハゼ科の種数は、有明海が圧倒的に多く、ウミヘビ科などは八代海のみで出現するなど同じような広大な干潟域を持つにもかかわらず、魚類生態系構造は大きく異なる可能性があり、今後両海域の環境や海洋構造の違いなどを含めて魚類生態系構造と機能の解明を図ることで、両海域固有の再生方策の検討に役立てられると考えております。

 有明海では、過去大型の高次捕食魚に関する情報というのは全くなく、生態系の視点から有明海を捉えることはできていませんでした。そこで特に重点的に研究を行いまして、栄養段階の高い生物から成る生態系構造であることが分かってきましたので、では、八代海はどうかということで、同時並行で研究を行っております。まず、ナルトビエイなど多くのサメ、エイ類が両海域を繁殖摂餌の場として季節的に利用しているということ。そして2に有明海については、アカシュモクザメなど数種のサメ、エイ類にとっては、世界でも有数の繁殖・成育場として機能している特別な海域であるということも分かってまいりました。

 また、3の環境省の絶滅のおそれの評価では、2017年に公表されたレッドリストがありますが、両海域で見られるナルトビエイなど、8種が準絶滅危惧種と評価されております。

 4の、八代海の高次生態系については未解明ですが、両海域はつながっていますので、自由に往来しているということを予想しておりましたが、これまでに人工衛星等を活用した行動追跡調査などを行いまして、回遊性のサメ・エイ類につきましては、両海域間での移動はないことを確認しております。

 5、6に上げておりますが、特に八代海については、ごく初歩的な情報から不足しておりますので、両海域共に個々の生態や生態系全体を及ぼす影響などについて研究を継続してまいります。

 ナルトビエイは、1995年以降に温暖化のために増えたと考えられ、貝類資源への影響が懸念されてきました。しかし、ナルトビエイの生態も漁業への影響についても不明であったため、2001年から調査を始めました。その結果、エイが貝だけを専門に食べるということを明らかにしたところ、2001年から駆除事業が始まりました。右上のグラフのように、最初は努力量の増加とともに駆除量が増えていきますが、2005年以降は駆除量が減少し、現在に至るまで減少傾向です。これは様々な調査結果を総合して個体数減少を示していると考えております。

 しかし、貝類の漁獲量は、右下図のように更なる減少傾向にありまして回復の様子は見られません。食害量の見積りが九州農政局により行われておりまして、最大で年間漁獲量の4割を食害しているということですが、エイが摂餌する貝が全て漁獲されるものと仮定していることなどから、貝類への影響は、過大評価の可能性があると考えております。ナルトビエイは、私たちの研究で2013年に新種であったこと、そして東アジア特産種であり、希少種であるということも明らかになっておりますので、現状の集中的な漁獲圧の高まりに対し、駆除による影響を、今後は正確に把握していく必要もあると思います。

 そして、左下に書きましたが、ナルトビエイ食材としての利用の可能性は十分にありますが、捕獲と利用、加工用の原料としての確保が同時並行でするのは難しいために、その仕組みづくりをすることが重要ですので、現在、私の方で、ナルトビエイ等エイ類の有効活用プロジェクトもあわせて実施しております。

 再生方策について現時点で考えられる課題を整理したものです。①の有明海奥部の干潟域は優先的に保護する海域ですが、これは干潟であれば何でもいいというわけではありません。有明海奥部の泥干潟は特殊なものですので、本来の干潟環境を全てセットで保全する必要があります。それから④に書きましたが、魚類のような移動能力の高い生物の研究というものは、簡単ではありませんが、非常に重要です。高次捕食者から生態系機能を活用した効果的なモニタリング手法の開発が、今後必要になると考えております。更に注意点として、下の緑枠の二つ目に書きました環境収容力に留意する必要があるということです。養殖や放流、水産対象種に偏った対策には注意が必要です。食物連鎖を通じた作用についても考慮が必要であると考えております。そして三つ目ですが、魚類の種苗放流については天然資源への影響も含め慎重に検討する必要があります。効果の検証も必要です。取り組みやすい対策ではなく、必要な対策を考えるべきと思います。生態系を理解せずに行う放流というのは効果を見込めないどころか生態系の破壊にもつながる可能性があるため、慎重に行うべきです。

 八代海の魚類に関して、今後、必要な調査をここに挙げております。有明海における魚類研究をモデルにこれらのことに取り組んでいきたいと思います。特に一番下に示しましたように有明海では各種ごとの生態や捕食―被食の関係を長年研究した結果に基づき生態系モデルを構築しましたので、このようなモデルを今後、八代海でも作りたいと思います。

 貧酸素対策については、このとおり省略いたしまして、次に魚類減少と環境との関連性についての整理・分析です。

最優占種であるシログチの卵や仔魚についての再生産機構については、私たちの研究で概ね明らかにできました。各発達段階を過ごす場について評価委員会で行ったA1~A7までの海域区分に当てはめて、環境との関連性について検討を行っております。シログチの産卵場はA7、夏を中心にふ化仔魚は成長しながらA7からA5、A3と受動的に輸送されています。その際、夏にA5、A3海域に密度フロントが形成されて、強化されるとそこに仔魚が集積し、分布密度が一時的に高くなるので生産が良く見えていたのですが、検討しますと実際にはそうでない可能性も出てまいりました。A3、A5海域の環境データと減耗との関係性を今後も検討していきます。そして、主な成育場がA1と、A6の海域ですが、A3からA1へ達する仕組みや成育場の物理、あるいは餌料環境等の環境と減少要因との関連性についても、今検討をしているところです。

 先ほどのスライドと関連しまして、各生活ステージの生息場で初期減耗に影響を及ぼすであろう、物理環境要因ということで、主にここに示した通り検討していくこととしております。

 赤潮については、水産小委の作業と聞いております。

 最後に、干潟についてです。干潟域の検討と言えば、これまで低次生態系が主でしたが、有明海には、実は大型生物が生息しておりまして、特にアカエイ類が種数、生息数共に豊富で、さらに干潟の捕食者として生態系調節機能も担っている上に、水産資源としても重要なので、生態系の視点からの調査研究が必要です。

 しかし、4に挙げたように外部形態が非常によく似た複数種が混在していることが分かりました。過去20年以上前に、魚類学専門の先生が分類を行われておりますが、そのような方でさえもアカエイ類1、2種類のみと考えられてきました。私たちの研究で、実際には6種いることを確認しました。写真も3種のアカエイ類を載せておりますが、見分けがつきますでしょうか。このうち1種は、アカエイの隠蔽種ともいうべきで本当によく似ていますので、別種との結論に至るまでには大変長く、難しい研究となりましたが、アリアケアカエイという新和名をつけて報告しております。しかし、よく似ていますがそれぞれ生態やサイズ、繁殖機構などは相当に違いますので、単純に考えるべきではなく注意が必要です。5番目に近年貝類の減少との関係が指摘されております。しかし、アカエイは雑食性で、大きくなるほど魚類や頭足類を好み、貝類への依存度はもともと低く、もちろん、あれば食べると思いますが、好みの餌ではありません。6に書いているようにエイの種数も多いため、専門的な知識に基づく調査が必要です。干潟域とはいえ、海を養殖池のように捉えるのは適切ではないと思います。当然、捕食者というものは幾らでも存在します。それが自然の生態系ですから。そこを突き詰めて捕食者の除去ばかり考えていても終わりはなく、対策は難しいと思いますので、そういったわかりやすいところにとらわれるのではなく、問題の本質を捉えるべきだと思います。

 それに対し、八代海奥部に出現するのは、有明海と違いほぼアカエイで、種数も少ないです。

 また、奥部に出現する新生仔のほとんどがアカエイであったということも確認しておりまして、両海域つながっていますけれども、やはり高次生態系構造は大きく異なることを示唆するものです。

 最後のスライドです。ここに示しましたのは、有明海の全水域のフィールドで、12年を費やした調査研究に基づきまして、アカエイの再生産に関するあらゆる事項の詳細を明らかにした論文の一部です。全胎生エイ類の再生産についての全容は世界的にも未解明でしたが、まず、干潟・河口・浅海域を成育場として特定できました。下の図にありますように、これまでに知られている世界中の胎生エイ類の中で親のサイズにかかわらず、突出して繁殖力が高いことを明らかにしたもので、これは、有明海の豊かさの一端を示唆している可能性もあります。とは言え、アカエイ類も本来長寿で成熟に年月を要する上に高い漁獲圧にさらされていることから、依然として、世界的には保全が求められていることに変わりはありません。この論文は、昨年度途中で公開されたにもかかわらず、ダウンロード数がこの雑誌の中で年間1位だったと言われておりまして、世界的に関心の高さが伺えるものです。干潟が高次捕食者までをも含め、どれほど豊かな生物生産を支えているのか、今後は、干潟の機能とともに明らかにする必要があります。残された干潟を環境・生物とセットで守ることの重要性を再認識し、生態系全体を俯瞰的に捉えた視点での今後の取組が必要であるということを強調させていただきまして、発表を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○松野委員長 山口委員、どうもありがとうございました。有明海と八代海の魚類について、その生活史と生態系も含めた膨大なデータに基づいた長年の成果をまとめて御発表いただきました。ただいまの山口敦子委員からの説明について、何か御意見、御質問等あれば承りたいと思います。いかがでしょうか。

 山室委員、お願いできますでしょうか。

○山室委員 御発表ありがとうございました。一部の魚は確実に減っているということだったのですが、その種類とか、その稚魚の食性とか、生態、行動から、なかなか難しいと思いますが、先生御自身は、何がその一部の魚の減少につながっている可能性があるというような考えがありましたら教えてください。

○山口(敦)委員 減っている魚についてのその要因ですね。いろいろ考えられると思いますが、いずれも減っているものは底層環境と何かしら関係があるもので、底生魚がほとんどで、浮魚類については、それほど減っていません。コノシロなんかは一部減少傾向を示しておりましたが、基本的にそれほど大きく減っていないので、やはり何か底質と関係があるものというのと、もう一つは、仔稚魚期に流れを利用するようなものもおりますので、そういった流れの変化というものが一つはあるかと思います。あとは成育場となっているのが、奥部の干潟域ですので、有明海の場合は奥部の干潟域と熊本の干潟域とで、どちらも干潟域ですが、随分環境が違っていて、両方に生息せずに奥部の干潟域のみに生息する種類、そこのみを成育場とする種類というのが非常に多いですので、その有明海奥部の環境が一部失われたり、改変されたりといったところも大きいのではないかと思っています。

○山室委員 ありがとうございました。

○松野委員長 ほかにございますか。

 松山委員、お願いいたします。

○松山委員 魚類の資料に関して、御説明、大変勉強になりました。ありがとうございます。全体的な傾向について、一つだけ質問をしたいと思っております。浮魚と底魚によって、減少幅が違うと思うのですが、全体的に長期減少傾向にあるということでした。これが有明海、八代海以外の全国的にも魚類の長期的な減少というのが知られている現象だと思うのですが、このスロープ、落ち方というのが、この海域とほかの海域、例えば瀬戸内海とかの沿岸域等の魚類の漁獲量と比較して、落ち方が激しい、あるいは緩やか、そういった情報というのは、もしあれば教えていただきたいのですが。

○山口(敦)委員 そうですね。別の海域とは比べるのが難しいところもありますが、有明海全体で見たときは、恐らく貝類がもともと圧倒的に多い海域で、それに対して魚類が少ないというのが本来の有明海生態系の特徴だと思うのですが、瀬戸内海は恐らく貝類よりも魚類のほうが全体に多い海域だと思います。ですので、魚類の減りの程度を両海域で一緒に比べてしまうのは難しいと思うのですが、全国的に恐らく1980年代半ばぐらいから減少傾向にあるというのは一つの大きな傾向なのかなと思っております。それでも、近年の激しい減り方、落ち方というのは、やはり他にない有明海独特の特徴なのではないかと思います。

○松山委員 ありがとうございます。

○松野委員長 ありがとうございました。古川委員からチャットで山口先生への質問です。山口先生、分かりますでしょうか。

○山口(敦)委員 泥干潟を単独で保全するのではなく、「一体的に保全する必要がある」ということについて具体的に補足してほしいということですね。

○松野委員長 そのようです。

○山口(敦)委員 そうですね。有明海の泥干潟はかなり特殊な生態系です。先ほど言いましたように八代海には、多様な種類のアカエイ類がおらずほぼアカエイのみで、有明海には6種類のアカエイがいたり、多くの高次捕食者が干潟域におりますので、その生態系構造自体が大きく異なるものだと思います。一見すると、特にサメ類から始まるような大型の高次捕食者というのは干潟とダイレクトに結びつくものではなく、これまで干潟域と言えば、水質ですとか、あるいは、二枚貝ぐらいまでの低次の生物が注目されていたに過ぎなかったのですが、それでは不十分で、高次の捕食者から直接または間接的につながる生物相全体を、そこにある環境も含めてセットで保全するという考え方が必要ではないかと話をさせていただきました。こういうことでよろしかったでしょうか。

○松野委員長 古川委員よろしいでしょうか。そちらからの音声が届かないようですので、さらに御質問があれば、またチャットでお願いいたします。ありがとうございます。

 では、古賀委員お願いいたします。

○古賀委員 すみません。先ほどの資料の27ページです。シログチ等の成育場の縮小ということで、A1、A6海域が成育場になっているということで、その機能の評価をする必要があるということです。A6海域については、基本的締め切り前と現状では、環境が大分変わっていると思うのですが、この機能評価というのは、変化の程度も含めた機能評価なのか、現状の機能評価なのかどちらでしょうか。

○山口(敦)委員 そうですね。今日詳しくお話しできなかったのですが、A6海域については、かつては非常にたくさんのニベ科仔魚が出現していたということが報告されていまして、私が調査を始めてからは、ほぼここでは仔稚魚が取れないということが分かっていますので、シログチに限定して言うと、ここ自体が今機能していないのか、それとも、何と言ったらいいでしょうか。少し難しいですが、この場自体が、シログチの成育場として、かつては機能していたけれども機能しなくなったのか、あるいは、もともとシログチの成育場としては機能していなかったのか、変化も含めての機能評価ということにはなるとは思います。A6の海域は成育場としてはかなり大きいですので、変化の程度も含めた現状を評価する必要があるだろうと思っております。

 シログチについては、A6海域では全く仔稚魚が出現しないのですが、A1海域では出現します。ただ、全ての仔稚魚がいないわけではなく、逆にほかの種類、例えばデンベエシタビラメなんかですと、A6海域でも見つかってきますので、恐らく魚種によって、かつて機能していたけど今は機能していないのか、変わらず機能しているのか、もともと機能していないのか、状況も異なると思います。その辺りは個別の評価が必要になってくるのかなと思っています。

○古賀委員 ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。ございませんようでしたら、次の議題に移りたいと思います。

 山口委員、どうもありがとうございました。

○山口(敦)委員 ありがとうございました。

○松野委員長 では、次に移らせていただきます。議題2、有用二枚貝に対する情報収集等と題しまして、農林水産省農村振興局から御説明をお願いいたします。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局の農地資源課の松宮でございます。

 資料3に基づき、二枚貝類等生息環境調査(ナルトビエイによる二枚貝類への影響)について報告させていただきます。

 二枚貝類等生息環境調査は、ナルトビエイの食害影響の実態を把握するため、平成18年度から有明海沿岸4県、水産庁、農村振興局が連携して調査を実施しているものです。この二枚貝類等生息環境調査に関しては、平成28年度評価委員会報告書に平成26年度までの調査結果が記載されています。今回は、平成27年度以降の調査を追加して報告をさせていただきます。

 調査期間は、概ね4月下旬~11月に実施しており、調査項目は記載のとおりとなっています。調査項目のうち、胃内容物調査については、平成29年度までの調査となっています。2.の調査結果です。図1-1左側のグラフはナルトビエイの捕獲個体数の状況です。平成23年度までは約4万個体を捕獲していたところ、平成24年度以降は約2万個体に減少し、以降、概ね横ばい傾向となっています。

 また、右側のグラフは、網入れ1回あたりの捕獲個体数ですが、捕獲個体数と同様の傾向となっています。

 (2)のナルトビエイの胃内容物の調査結果です。ナルトビエイの胃内容物組成から、アサリ、サルボウ、タイラギなどの水産有用二枚貝類に一定の被害を及ぼしていることが確認されています。1日の摂餌量は、体重に対する割合で0歳の0.9%から19歳の0.2%まで大型になるほど低下する傾向を確認しています。

 平成29年度は幼魚、未成魚でその他の二枚貝、成魚でカキの比率が高く、水産有用二枚貝類の比率が低下する結果となっています。

 (3)来遊量の推定です。DOIRAP法により推定を行った結果、平成20~22年度には、40~50万個体の来遊量がありましたが、平成23年度以降減少し、平成24年度以降は、概ね10~20万個体で推移しているものと推定しています。

 食害量の推定です。胃内容物調査の結果や推定来遊量から食害量を推定しています。水産有用二枚貝類の食害量は平成20~22年度は、先ほど山口委員から過大過大ではないかという御指摘がありましたが、2,500~3,000トン、平成25年度以降は約1,000トンの食害量と推定しています。平成24年度を除き、水産有用二枚貝類の漁獲量の13~59%に当たる量の二枚貝類がナルトビエイに捕食されており、二枚貝類の漁獲量が減少傾向で推移する中、二枚貝類資源にとって大きな影響があるものと考えているところです。

 報告は、以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。ただいま農林水産省農村振興局から説明がありましたが、これにつきまして、何か御意見、御質問ありましたらお願いします。

 指名するのもどうかと思いますが、山口敦子委員、何かコメントございますか。

○山口(敦)委員 先ほどの食害量の件は、恐らく食害量という言葉の問題もあると思いますが、内容物の重量から、漁獲されている貝類の漁獲量に対して、どのぐらいの摂餌量に当たる可能性があるのかを示そうとしているのは理解はできますが、食害量と書いてしまうと、それが全て、食害、漁業生産物の中のそれだけの量を食べたという、そういう意味になってしまうので、少し注意が必要かなと思いました。こういう生態系の中で見ますと、摂食の問題を被害に直接結びつけて考えるのも、被害を数値で表すのも非常に難しい上に、もっと重要なほかの問題(貝類の減少要因)が見えにくくなってしまうので、ある程度、妥当な数字が出せるといいのかなと思っています。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。ただいまの御意見について、農村振興局の松宮さんから何かコメントありますでしょうか。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局、松宮でございます。

 山口先生の御意見に対して、今、回答することはありませんが、先生の御指導を得ながら検討を進めていければと思います。御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 どうもありがとうございます。ほかにございませんようでしたら、次の議題に移りたいと思います。松宮さん、どうもありがとうございました。

 では、議題3になりますが、ここからが評価委員会の中間取りまとめに向けた作業についてということで、たくさんの内容がありますので、全体を三つに分けて質疑を行いたいと思います。最初は、中間取りまとめに対する全体に関することで三つ。資料で言いますと、資料の4-1、4-2の①までについて説明いただき、質疑に入りたいと思います。よろしいでしょうか。

 では、最初に事務局からその三つについての説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 環境省です。

 それでは、資料の4-1から御説明したいと思います。中間取りまとめに盛り込む項目についてです。この資料は、10月2日開催の第45回評価委員会で了承された資料の報告になります。内容ですが、1の中間報告作成の経緯についてです。「平成28年度委員会報告から概ね5年を目処に、再生方策や調査・研究開発の実施状況、及びその成果等について中間的な取りまとめを目指す」とされており、令和3年度に中間報告を行う予定です。

 2の中間報告に向けた検討状況についてですが、平成30年3月以降の評価委員会や小委員会の内容について記載しております。評価委員会を2回、小委員会を5回開催しております。

 次に3の中間報告作成に当たっての検討すべき事項についてですが、評価委員会として、中間報告においては、目標の中間段階である令和3年度時点での関係省庁・関係県の再生方策の実施状況や成果等の情報収集等を実施し、平成28年度の委員会報告に掲げられた目標や再生方策の進捗状況について評価を行い、令和8年度の目標達成に向けて必要な再生方策、知見として蓄積すべきデータ、調査・研究等について取りまとめることとしております。

 4の中間報告に盛り込む項目については、別紙を御覧ください。中間報告に盛り込む項目として、第1~第4章の構成としております。第1章は「はじめに」として、評価委員会のこれまでの経緯、中間報告の位置づけを記載しております。第2章は、調査研究・研究等の実施状況・成果等として平成28年度報告以降の新たなデータ・知見について、検討項目ごとに示すとともに、不足しているデータ・知見を示します。第3章では、再生方策の進捗状況について、平成28年度報告に記載された再生目標・再生方策の進捗状況を示すとともに不足している取組を示します。第4章では、今後の課題等として、前章までの内容を踏まえ、令和8年度目途の次期委員会報告に向けて、必要な調査・研究、再生方策等を示します。

 今回の小委員会では、この第1章と第2章の一部を後ほど御説明したいと思います。

 次に行きまして、中間報告の項目の更に具体的な内容についてです。項目は、先ほど説明した中間報告に盛り込む項目を記載しております。上から第1章、はじめに、第2章、調査・研究の状況整理、3章、目標の達成状況の整理、4章、今後の課題としております。それから、その右側の項目でタイトル、内容、テーマというのを記載しておりますが、より具体的な内容を記載しております。それから、赤字のところについてですが、評価委員会で御意見をいただいたことを踏まえて追加修正したところになります。

 参考資料ですが、平成28年度委員会報告の検討経緯を踏まえた令和3年度における中間報告についてです。見直しについて必要な点として3点あります。

 一つ目の見直しとしては、28年度委員会報告は報告内容が膨大となったこと。対応方針としては、平成28年度以降の新しく蓄積されたデータ、調査・研究等の知見及び再生方策の実施状況を中心に取りまとめることなどを記載しております。

 二つ目の見直しですが、海域環境関係では、測定手法が異なるデータや水産関係では実証試験で得られたデータ・知見などについて、委員会報告として採用されませんでした。今後の対応方針としては、これまでに得られた短期的なデータや実証試験における知見なども活用し、再生方策を検討します。

 それから、三つ目の見直しですが、他の項目との関連性や季節別等の詳細な解析・評価まで至らなかったということで、今後の対応方針としては、月別や季節別のデータなど、時間的な観点、鉛直・水平方向のデータ等の空間的観点からより詳細の分析することとしております。

 以上が、資料の4-1の評価委員会で了承された資料です。

 資料の4-2についてですが、先ほど御説明した4-1の資料で、中間報告項目の具体的な内容の一覧表に、今日提示します資料について一覧にまとめたものです。一番右側の欄が今回提示している資料番号です。今回は第1章のはじめにと、第2章の一部です。第2章については、第4回の小委、第5回の小委、それから今日報告いただいた案件を入れていきたいと考えております。今回は、そのうちの準備ができたものということで10件ほど挙げております。第2章の空欄箇所につきましては、次の第7回小委員会で挙げていきたいと考えております。

 次に資料4-2-①です。中間取りまとめの第1章のはじめにの案になります。

 1.1の評価委員会の経緯では、法律の制定や評価委員会の法律上の位置づけや所定事務について記載しております。それから1.2の評価委員会報告についてでは、これまでに平成18、28年度に報告書を取りまとめており、28年度報告で豊かな海として再生することを目的として海域全体の再生目標を設定し、生態系の構成要素など、重要と考えられる生物に係る4項目の問題点の確認とその要因の考察を行い、全体方策や個別海域ごとの再生方策を整理、当面の目標時期を概ね10年後の令和8年度、また28年度報告では、今後の蓄積すべき観測データや新たに実施すべき調査・研究の課題についても具体的に示しております。

 1.3の水産小委、海域小委の設置についてですが、二つの小委員会の位置づけや役割について記載をしております。それから1.4の中間報告の位置づけですが、令和3年時点での関係省庁等の再生方策などの実施状況等の情報収集を実施し、28年度報告に掲げられた目標や再生方策の進捗状況について評価をして、令和8年度の目標達成に向けて必要な再生方策、知見として蓄積すべきデータ、調査・研究等について取りまとめたものです。

 それから1.5の中間報告作成の経緯についてですが、中間報告に向け、これまでの検討状況を一覧でまとめております。今後の状況についても随時追加していくことになります。

 説明は以上です。

○松野委員長 どうもありがとうございます。そこまででひとまず区切って、御質問、御意見等を承りたいと思います。何かございますか。ございませんでしょうか。

 では、今まで評価委員会でも既に承認されていることも含まれておりますので、ないようでしたら、具体的な御報告に移りたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では、次に二枚貝に関連する報告、五つあります。資料番号でいきますと、資料4-2の②~⑥までについて、これも事務局から御説明よろしくお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 環境省です。

 そうしましたら、資料の4-2について御説明したいと思います。ここからは、中間取りまとめの第2章になります。10件ほどあります。事務局で、関係省庁等から報告された資料などを基に統一した項目で個々の取組を整理しております。この第2章案は、中間取りまとめの最終的な形ではなくて、中間取りまとめのパーツとして考えております。今後、主要4項目に分類、記載して4項目ごとに知見・課題等を整理したいと考えております。

 それでは、統一した項目についてですが、1番目に小委員会資料番号・タイトル、2番目にテーマ、3番目に背景・目的、4番目に対象海域、5番目に内容・方法・結果、6番目に成果、新たな知見等、7番目にその他(課題、今後の方針・計画等)を挙げております。

 それでは、最初の4-2-②の資料のタイラギ種苗生産・母貝団地造成の取組についてです。

水産庁の取組です。

 背景・目的としては、タイラギの種苗生産・育成等の増養殖技術の確立と人工種苗の量産化、種苗放流・移植の推進が目的になります。対象海域としては、種苗生産技術の開発・中間育成、母貝団地の造成と記載の県で行われております。

 それから、内容・方法・結果についてですが、広域的なネットワーク形成に向けて、有明海全体において、3年間で合計2万個体の母貝団地の造成を目指す。併せて、関係機関の生産体制の整備、種苗生産技術・中間育成の向上、移植・放流の拡大に取り組むことを記載しております。

 次に結果についてですが、(a)種苗生産の取組1についてです。4県共同で人工種苗を用いた母貝団地の造成に着手し、また3県で人工種苗生産技術の開発に着手しました。種苗生産フローは以下の図のとおりです。その結果は、表1に種苗生産実績の表を載せております。

 それから(b)に種苗生産の取組2についてですが、水研機構より県に分与された着底稚貝の生産状況と中間育成の状況について、下の表2、表3で記載しております。

 それから、母貝団地の造成の取組についてです。4県では、水研機構から着底稚貝の提供を受け、それぞれの県で地元に合った造成方式で、中間育成した人工稚貝を母貝団地に移植しております。下の図2に各県の母貝造成箇所と図3に母貝造成方式の例を載せております。

 表4に母貝団地造成状況を載せております。

 6の成果、新たな知見等としては、3県において種苗生産に成功、令和元年9月時点に12か所の母貝団地を造成しています。課題としては、種苗生産の安定化などがあります。

 続きまして、資料4-2-③になります。これは、農村振興局の取組で、タイラギの浮遊幼生の調査です。

 背景・目的としては、母貝造成に適した漁場や、そこから発生した浮遊幼生が着底し、生育する場を特定の上、母貝の資源保護等の取組や浮遊幼生の着底場における底質環境改善の取組を効果的に進めることを目的に有明海沿岸4県と国が協調し、水研機構の指導を得て、浮遊幼生の調査を実施しているものです。

 対象海域としては、図1に浮遊幼生調査地点図を載せております。

 内容・方法について、表1に調査の時期や頻度を載せております。それから図2に調査・分析の流れの図を載せております。

 結果についてです。平成27~30年度の11地点におけるタイラギの浮遊幼生の出現傾向を下の表2に載せております。

 表3にタイラギ浮遊幼生の出現状況として、各調査地点の浮遊幼生数を載せております。

 図3にタイラギの浮遊幼生の出現状況として、浮遊幼生数の図を載せております。

 図4にタイラギの浮遊幼生の旬別の変化を県別に載せております。

 6番目の成果、新たな知見等としては、浮遊幼生は27年度を除いて、有明海全域で確認されたことなどを記載しております。

 続きまして、次に資料4-2-④です。こちらも、農村振興局の取組でアサリの浮遊幼生の調査になります。背景・目的としては、母貝造成に適した漁場や、そこから発生した浮遊幼生が着底し生育する場を特定した上、母貝の資源保護等の取組や浮遊幼生の着底場における底質環境改善の取組を効果的に進めることを目的に、有明海沿岸4県と国が協調し、水研機構の技術指導を得て浮遊幼生の調査を実施しているものです。対象海域としては、次のページの図1に浮遊幼生調査の地点図を載せております。内容と方法についてですが、調査時期や頻度については、表1のとおりです。

 図2に調査分析の流れを載せております。それから結果について、表2に、平成27~30年度の10地点におけるアサリの浮遊幼生の出現状況を載せております。

 表3の(1)に春季のアサリの浮遊幼生の出現状況を載せております。

 表3の(2)に秋季のアサリの浮遊幼生の出現状況を載せております。

 図3にアサリの浮遊幼生の経時的変化を載せております。上段が春季で下段が秋季になります。

  図4の(1)に春季のアサリの浮遊幼生の旬別の変化を県別に載せております。

 図4の(2)に秋季のアサリの浮遊幼生の旬別変化を県別に載せております。

 成果、新たな知見等として、浮遊幼生は春季、秋季とも有明海全域で確認されたことなどを記載しております。

 続きまして、資料4-2-⑤です。農村振興局のアサリの浮遊幼生のネットワークの形成に向けた取組です。背景・目的についてですが、平成27~29年にかけて有明沿岸4県と国が協調してアサリの浮遊幼生の挙動を推定するシミュレーションモデルを構築し、データ蓄積を行ってきました。平成30年度は母貝団地の造成を進めるとともに浮遊幼生モデルを用いて効果的な対策を進めるため、効率的な浮遊幼生ネットワーク形成における課題の抽出、改善等の検討を行ったことなどを記載しております。

 対象海域は、有明海です。

 内容と方法についてですが、5.1有明海の浮遊幼生ネットワークの推定については、浮遊幼生調査の結果から産卵日を推定し、浮遊幼生挙動モデルにより産卵場や着底場、浮遊幼生のネットワークを推定しております。

 図1に浮遊幼生のシミュレーションモデルの検討フロ-を載せております。その下の図2にアサリ殻長別出現個体数と産卵日推定の例を載せております。

 (b)アサリ産卵場の推定についてですが、仮想粒子を有明海全域に100メートル間隔で配置し推定した産卵日の流れの状況を再現し、これらの仮想粒子の流れに載せて計算をしております。図3に仮想粒子を配置した100メートル格子、図4に産卵場の推定方法のイメージを載せております。

 (c)アサリの着底場の推定についてですが、産卵日、産卵場を用いて浮遊幼生の挙動をシミュレーションしております。図5にアサリの浮遊幼生着底場の推定方法のイメージの図を載せております。(a)アサリの浮遊幼生ネットワークの推定結果について、図6に載せております。それから(b)母貝団地造成によるアサリの浮遊幼生ネットワークの形成についてですが、図7に各県の母貝団地の事業海域、図8にアサリ浮遊幼生着底場・来遊地推定結果を載せております。

 (c)アサリの母貝団地間の相互幼生供給関係についてですが、推定結果について、表1、アサリの母貝団地間の相互幼生供給関係の推定結果を載せております。

 図9に母貝団地の浮遊幼生相互供給関係を載せております。それから6の成果、新たな知見としては、4県と国が協調して取り組んでいるアサリの母貝団地造成の妥当性を確認したことが記載されています。それから、7、その他として、広域的な再生産サイクルの形成に向け、安定的な再生産サイクル形成に必要な産卵母貝量の把握と、個々の技術的課題に係る技術開発や実証事業に取り組むことを記載しております。

 続きまして、資料4-2-⑥です。水産庁のアゲマキ、ウミタケの取組です。

 背景・目的についてですが、有明海特有の魚介類について、種苗生産、育成技術の確立、放流技術の改善等を行い、効果的な増養殖技術の開発を行います。対象海域についてですが、佐賀県地先と福岡県地先の有明海になります。

 アゲマキの取組としては、平成21年から佐賀県内で年間100万個規模、累計1,000万個以上の稚貝を放流し母貝団地の造成をした。30年度からは福岡県内においても母貝団地を造成していることを記載しております。

 図1にアゲマキの漁獲量の推移の図、その下の図2にアゲマキの資源回復の加速化の概念図、その下の図3に母貝団地造成の場所の図を載せております。

 図4に累計放流個数と天然稚貝発見個数の図を載せております。

 アゲマキの取組2についてですが、天然アゲマキの発見個数の推移を図5に載せております。平成27年以降、母貝の団地の周辺に再生したと思われる多くの稚貝を確認し、30年6月に一部漁場での漁を再開し、824kgの漁獲を出荷しているところです。

 次に図6ですが、アゲマキの生息状況の調査の結果を載せております。

 5.2のウミタケの取組についてですが、試験的に浚渫・盛土による着底促進漁場を造成したところ、天然のウミタケの定着が高密度に確認され、平成29年の試験操業では190㎏の漁獲があったことなどを記載しております。

 図7にウミタケの着底促進漁場の位置図を載せております。

 それから、6、成果、新たな知見等についてですが、アゲマキについては、年間200万個規模の生産が可能となったこと、ウミタケについては、年間10万個の生産が可能となったことなどを記載しております。

 7番目、その他についてですが、アゲマキについては、種苗量産技術の安定化などの取組を進めることなどを記載しております。ウミタケについては、安定的な種苗生産技術を開発することなどを載せております。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。二枚貝に関連する事業の御説明でしたが、これについて、御意見、御質問等ございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

 山室委員、どうぞ。

○山室委員 今回御紹介いただいたものではなく全体の構成についてですが、結果の次に成果、新たな知見があって、その他という感じになっていると思います。今後の方針とかを考える、7番のところを考えるためには、今回の結果からどういう解釈ができるかとか、論文でというと、結果の後に考察というのがあるのですが、その考察の部分はほとんどの御報告でなかったように思うのですが、これは何か、こういう形にするという規則とかがあるのでしょうか。

○松野委員長 事務局、よろしいでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 環境省です。

 特にこういうものでなければいけないというものはございませんので、委員の方の意見を踏まえて、検討していきたいと思います。

○山室委員 はい、分かりました。ありがとうございました。

○松野委員長 個別の事業についての結果と、それについて、どういうことが分かったということがまとめられていますが、それぞれの事業、互いに関連して生態系が動いているわけですので、それも含めて、中間取りまとめのところでは、何かの取りまとめが必要ではないかというように考えられますが、それにいろいろな御意見を承って、それを踏まえて、そういう現時点での理解というものを深められていけばいいのではないかと考えています。

 ほかに何かございますか。

 山口啓子委員、お願いします。

○山口(啓)委員 二枚貝の浮遊幼生調査と、アサリの場合は、浮遊幼生ネットワークの形成に向けた取組という形が取られているのですが、もともと、この浮遊幼生調査、タイラギでもありますが、これは、このようなシミュレーションに持っていくための、何か基礎調査という位置づけなのでしょうか。それとも、単に浮遊幼生が全域でほぼ見られたという結果があればよいという位置づけなのでしょうか。

○松野委員長 これは、どちらで御回答いただけますでしょうか。事務局でよろしいですか、あるいは農村水産省の。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局です。

 調査をしています農村振興局でまとめていますので、私からお答えしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○松野委員長 はい、農村振興局からお願いいたします。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 浮遊幼生調査については、山口先生がおっしゃったとおり、シミュレーションモデルの構築というのも含めて調査をしています。また、母貝団地の造成等もやっていますので、それの効果の確認として、浮遊幼生がどうなっているかというのも含めて調査をしていたというところです。

 以上でございます。

○山口(啓)委員 ありがとうございます。少し気になりましたのが、浮遊幼生調査は、そのシミュレーションに載せることを考えているのだとすると、当然、サイズ別に取っておられると思うのですが、これは今回出していないだけで、そういうデータはあるのですよね、浮遊幼生調査において。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 はい、ございます。以前も山本先生から御指摘を受け、小委員会の後に資料をお出しさせていただいたかとは思いますが、そちらで不足でしょうか。

○山口(啓)委員 足りないという意味ではなく、言いたかったのは、ここの中間取りまとめに向けて、そういったデータを出す、出さないというのは、どこで判断されているかということです。シミュレーションにつなげるのであれば、そういったデータも重要だろうと思いますが、それはデータが過多になり過ぎるので落とすという判断をされているということでしょうか。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局です。

 そちらにつきましては、農村振興局では判断していませんので、事務局で、御回答いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○松野委員長 事務局、いかがでしょう。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 事務局です。

 今、御意見いただきましたので、農振局農村振興局と、データを加えていくか相談していきたいと思います。ありがとうございます。

○山口(啓)委員 必ず載せろという意味ではありませんが、前のように、データ集みたいな形で出すというニュアンスは、今回はあまりないのかなと思って、伺った次第です。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 検討させていただきます。

○山口(啓)委員 よろしくお願いします。

○松野委員長 シミュレーションと実際の浮遊幼生のデータ等を突き合わせるときに、年齢といいますか、大きさ別の資料があったほうがよりその動きが見えてくるということがあれば、それは、そのステージ別のものを見ることができ、そちらをシミュレーションと突き合わせることで、より理解が進むようであれば、そういうような取りまとめができるのではないかということでよろしいでしょうか。

○山口(啓)委員 はい、ありがとうございます。

○松野委員長 ほかにございますか。

 佐賀県の有明水振センターですか、お願いします。

○川原委員 佐賀県有明水産振興センターの川原です。 取りまとめのやり方の質問ではありませんが、事務局から御説明いただいた資料4-2-⑥、これ、佐賀県の取組ですが、記載内容に少し誤解を招く部分があるので、補足説明をしたほうがよいかと思います。この場でやったほうがいいのか、それとも、後ほど事務局に御相談させていただいて、修正すればいいのか、いかがでしょうか。

○松野委員長 川原委員、よろしければ、今お願いできればと思います。

○川原委員 はい。では、補足説明をさせていただきます。ウミタケの取組で、この資料4-2-⑥の4ページになりますが、この文章を読みますと、試験操業が行われたのは漁場造成したところだけのように思えるのですが、実際は、造成漁場で試験操業したのは29年度で、その後、造成漁場のウミタケが母貝となって、周辺の天然漁場にウミタケの生息が拡大していきましたので、30年度と令和元年度の試験操業については、周辺の天然漁場で行っております。

 それと、令和元年度の取組の内容の文章を見ると、放流した人工種苗が漁獲に結びついたように読めますが、これについても種苗生産技術、いわゆる稚貝をつくる技術というのは一定程度できておりますものの、人工種苗の放流効果については、まだ確認できておりませんので、令和元年度に試験操業ができたのは、漁場の造成効果だと思っております。

 ここの文章については、誤解を招かないようにということで、先ほども申しましたように、事務局に御相談し、修整させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 川原委員、御意見ありがとうございます。書きぶりにつきまして、御連絡取りつつ調整をさせていただきたいと思います。また後日、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 そのように調整していただくようによろしくお願いいたします。

 ほかにございませんか。

 なければ、この第2章の最後のセクションですが、次、資料でいいますと、資料4-2-⑦~⑪までの五つの話題について、これも事務局から御説明をお願いします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 環境省です。

 続きまして、資料の4-2-⑦、環境省の藻場・干潟分布状況把握についてです。

 衛星画像解析手法を用いて、有明海、八代海における藻場・干潟の分布状況を効率的、定量的に把握し、生物の生息環境の確保を図るための基礎資料とすることを目的としております。

 対象海域についてですが、有明海と八代海になります。

 内容と方法について、衛星画像による解析手法を用いた調査を実施しております。図2に調査フロー、それから図3に調査手法の特徴について載せております。

 検証データを取得するため、現地調査を実施しております。図4に現地調査のエリア図を載せております。現地調査により得られた情報を用い、取得・補正した衛生画像において藻場・干潟の有無を判別するための画像解析を行い、その結果を基に、藻場・干潟の分布図を作成し、面積を算出しております。

 結果について、図5に衛星画像解析による藻場・干潟分布図、表1に藻場・干潟の面積を載せております。

 (b)藻場・干潟面積の状況(既往ヒアリング調査結果との比較)について、表2にヒアリングの調査実施海域における藻場・干潟の面積の経年変化について載せております。

 (c)解析精度についてですが、衛星画像解析の精度について、「全体精度」を計算しております。表3に藻場の解析精度を記載しております。表4に干潟の解析精度を載せております。

 続きまして、資料4-2-⑧、農村振興局の底質調査についてです。

 背景・目的としては、底質改善対策の検討に資する底質特性別海域図を作成することを目的とし、調査を実施しています。対象海域は有明海です。

 底質環境調査の内容・方法についてですが、平成20年度に底質特性別海域区分図を作成し、21年度以降は底質攪拌調査結果を区分図に反映しています。底質特性別海域区分図の作成方法について、試料の採取方法などを記載しております。

 結果についてですが、図1に底質特性別海域区分図の平成26、30年度の図を載せております。

  底質攪拌による底質改善効果調査の内容・方法についてですが、底質攪拌に「貝桁」と呼ばれる器具を漁船で曳航しております。図2に貝桁と貝桁による攪拌作業の状況の写真を載せております。

 結果について、貝桁による底質攪拌により、攪拌前と攪拌3か月後の強熱減量、硫化物含有量の調査結果を図3に載せております。いずれの項目も、一定の改善効果が確認されております。

 成果、新たな知見等としては、平成27~30年度に76地点で底質調査を実施し、底質特性別海域区分図の更新を行ったことなどを記載しております。

 続きまして、資料の4-2-⑨、国土交通省の海洋環境整備事業についてです。

 目的は、海域環境の保全と船舶航行の安全確保のため、海洋環境整備船を配備し、海上の漂流ごみの回収、及び水質・底質調査等の環境調査を実施しています。

 対象海域は、図1に管轄区分図を載せております。

  5.1の漂流ごみ回収作業の内容・方法についてですが、図2に漂流ごみの回収状況の写真を載せております。

 結果について、図3に漂流ごみの回収実績の図を載せております。1か月ほどの漂流物の回収量が、昨年度1年間の回収量の12倍を回収していたことなどを記載しております。下の図4に漂着物回収位置図を載せております。

  図5に令和2年7月豪雨における回収状況の写真を載せております。

 5.2、環境調査の実施の内容と方法についてですが、海洋環境整備船では、環境調査も実施しております。

  表1に環境調査の水塊構造調査と底質・底生生物調査の目的、調査内容などを載せております。図6に、調査位置図を載せております。

  結果について、図7に平成30年8月の有明海・八代海の水温・塩分の分布図を載せております。

  図8に、クロロフィルaの分布図を載せております。それから、図の9に、溶存酸素量の図を載せております。

  図10に、植物プランクトンと動物プランクトンの分布図を載せております。

  図11に、底質調査結果として、シルト・粘土分の割合の図を載せております。

 6の成果、新たな知見についてですが、平成16年度より、2隻の海洋環境整備船により、漂流ごみの回収、定期環境調査を実施していることや、環境調査では、有明海、八代海における成層構造の季節的な変化などを確認できたことなどを記載しております。

 続きまして、資料の4-2-⑩、国土交通省の土砂に関する知見の蓄積についてです。

 背景と目的について、平成24年の調査結果概要として、筑後川流域全体の土砂収支計算により、筑後大堰の通過土砂量を年間13万立米との推計をしたことなどを記載しております。

  図1に平成24年3月の報告内容の概要を載せております。それから、本調査についてですが、平成24年、29年7月の九州北部豪雨等が頻発していることから、河道内の土砂堆積や土砂移動について調査を実施していることで、土砂の適正な管理を図ることを目的としております。

 対象海域について、有明海に流入する一級河川の筑後川になります。図2に筑後川の位置図を載せております。

 内容・方法・結果についてですが、筑後川中流域における土砂発生量や堆積量などについて調査を行っております。

 1)近年の大規模災害による斜面崩壊の状況についてですが、平成24年7月豪雨前・後、平成29年7月豪雨後の3時点の筑後川流域内の崩壊地の存在状況の変化を図3に載せております。

 2)の平成29年7月九州北部豪雨の斜面崩壊についてですが、図4に斜面崩壊位置を載せています。

3)発生土砂量についてですが、図5に筑後川の河川別の崩壊面積率の図を載せております。

 図6に筑後川の発生土砂量の図、その下に発生土砂量の表を載せております。200万立米が河川に流出したと推計されます。

 4)河川の状況(1)では、図7に筑後川の河道横断形状の変化の図を載せております。特に、中流域では、堆積傾向であることを確認しております。

 5)河川の状況(2)では、図8に筑後川の河床高の変化の図を載せております。中流域では、平均河床高、最深河床高ともに上昇していることが確認できます。

 6)河川の状況(3)では、図9に筑後川の河床材料の変化の図を載せております。中流域で堆積している土砂成分は1ミリ前後の砂が主体でした。

 7)河川の状況(4)では、図10に航空写真等から見た河川の状況を載せております。筑後川本流、本線では、砂州の形状や大きさなどに明確な変化が見られないと。

 6の成果、新たな知見についてですが、平成24、29年の豪雨により、山間部崩壊等で大量の土砂が発生し、その多くがいまだ山地部に残存していることが想定される。

 7のその他についてですが、今後の課題としては、平成24、29年の豪雨により山地部崩壊等で発生した大量土砂は、今後筑後川へ流出されることが想定され、これにより、河道流下能力の低下などに注視が必要であることを記載しております。

 今後の方針・計画についてですが、定期的な基礎調査を実施し、崩壊土砂の流出など、継続的にモニタリングし、問題等が生じた場合には、必要に応じ適切な対応を行うことを記載しております。

 続きまして、資料の4-2-⑪です。林野庁の有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査についてです。

 背景・目的についてですが、菊池川流域を対象に、データ収集を行い、流出モデルを用い、水量、土砂等及び栄養塩の解析により、森林が海域に与えるポジティブな影響について解析・評価を行ってきたことなどを記載しております。

 対象海域としては、菊池川を選定しており、図1に菊池川の位置図を載せております。

 内容・方法についてですが、(a)アプローチの手法の検討について、全流域を対象として、既往のデータや物理法則等に基づく「流出モデル」など、数理モデルを用いたマクロ的・演繹的に森林の影響を見積もるアプローチが有効と考えられた。

 (b)対象物質の検討では、海域生産に寄与すると考えられる水量、土砂量、栄養塩量を選定しております。

 (c)SWATモデルによる解析手法では、解析に用いる流出モデルについては、GISと親和性の高いSWATモデルを選定しています。図2にSWATモデルによる解析方法を載せております。

 (d)モデル構築に必要な現地調査では、表1にモデル構築に必要な現地調査の項目や調査方法について記載しております。

 (e)モデルの構築では、菊池川について流出モデルを構築し、水流出量、土砂量、栄養塩量について推定した。各物質の推定値の精度検証をしております。

 図3に水流出量の実測値と推定値の推移の図を載せております。

 図4に土砂流出量、リン流出量、窒素流出量の実測値と推定値の推移の図を載せております。

 解析結果についてですが、水収支については、図5に土地利用別水収支の算定結果の図を載せております。これによると、森林の水源涵養機能を一定程度生み出す結果と考えられます。

 (b)森林の水源涵養機能では、図6に森林における降水量と表面流・側方流・地下水流の関係の図を載せております。森林では、雨が強まっても表面流は側方流を上回っておらず、森林域の特性として確認できたと考えられます。

 図7に、畑における降水量と表面流・側方流・地下水流の関係の図を載せております。

 (c)森林の水の流出平準化機能等では、図8に出水時及び渇水時の土地利用別平均降水量と流量との関係の図を載せております。森林では出水時の流量が少なく、渇水時の流量が多いことが示され、森林の水の流出平準化機能が示唆されました。

 (d)森林の物質の流出平準化機能等では、土砂、栄養塩でも同様に森林では出水時の流出量が少ない結果であることなどを記載しております。

 図9に出水時の土地利用別平均降水量と土砂量、リン、窒素との関係の図を載せております。

 (e)菊池川全体の流出量との比較では、図10に菊池川全体の土地利用別の年間の流出量の図を載せております。森林からの土砂、リン、窒素の流出量は他の土地利用に比べていずれも少ない結果でした。

 (f)森林の流出平準化機能等では、豪雨時の流出量が年流出量に占める割合は、水の流出量や窒素では3~4%であるのに対し、土砂、リンと高い傾向にあることが記載されております。

 次に豪雨時とそれ以外の全流域からの水、土砂、リン、窒素の流出量の割合の図を載せております。

 (g)森林のストック機能では、算定の結果、森林には、雨水から供給される窒素を貯留することが示された。図12に窒素のインプットに対するストック機能の算定結果の図を載せております。

 (h)過去の森林の構成と最近の森林の構成比較では、図13に1976年と2016年の土地利用割合の比較の図を載せております。表2に1970年代と2010年代の各土地利用や森林の構成等を反映したモデルによる流出量推定結果を載せております。図14には、土砂流出量の推定結果を載せております。

 6の成果と新たな知見等では、一般に森林が有すると言われている水源涵養機能について、他の土地利用と比較して、平水時の地下水流量が多く、出水時は表面流を抑える傾向があることを値として捉えることができたことなどを記載しております。

 7のその他についてですが、1)課題については、当該海域周辺の森林全体として、当該海域に及ぼす影響についての知見などが不足していると考えられることなどを記載しております。

 今後の方針・計画についてでは、有明海及び八代海へ流入する全ての一級河川について、これまで構築してきた「菊池川モデル」をベースとした同様の解析を行うことなどを記載しております。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。

 内容的に少し多岐にわたっておりますが、ただいまの御説明のあった5件につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。

 山室委員、お願いします。

○山室委員 御説明ありがとうございました。

 資料4-2-⑧について、教えていただきたいのですが、これは恐らく私が委員になる前に御報告があったものだと思います。なぜ攪拌すると硫化物やCODが減ると考えているのでしょうか。どういう過程があって、この事業を始めたのでしょうか。

○松野委員長 これは、農村振興局でお答えいただけますでしょうか。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局です。

 海底攪拌については、この海底海域区分図を作成して、底質の状況を全体的に、有明海で全体的に把握した上で、効率的な改善に資するというような観点で作成が始まっています。

 その攪拌をした際に、硫化水素や、有機物が減るということについては、攪拌によって酸素が供給され、硫化水素が硫酸塩になったり、有機物が分解されるという作用です。

○山室委員 ありがとうございます。例えば、かなり深いところでもやっていらっしゃいますね。私には本当によく分からないのですが、表層からその下までずっと泥であれば、攪拌することによって、下部の硫化物が表層より多い泥が上に行きます。酸素が底層水にある場所だけで攪拌したということでしたら、先ほど御説明された、攪拌によって酸素が供給されるということで硫化物が減る可能性があるのですが、底層に酸素が無いところでの減少は説明できないと思います。

 またCODは有機物の指標で、堆積物中有機物の分解速度が少し攪拌しただけで大きく上がるとは考えられません。下下層にもともと有機物が少ない堆積物があり、それが攪拌によって上層に来たなどでもないと説明ができないと思いました。

 関連して、いつ攪拌をして、3か月後というのはいつなのかが書かれていません。ですので、そんなことがあってはならないと思いますが、割と貧酸素化していて、硫化物が高い暖候期、例えば8月や7月に攪拌し、3か月後の10月に同じところで採泥して測りましたとなったら、もう気温、水温が下がっているので、こういうことにはなる可能性があります。ですがそれを検証しようにも、いつやって、3か月後はいつなのかというのも書いていないですし、あと、それから攪拌したところとしていないところの比較というのもないので、これをもってして改善したというのは少し驚いたのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 農村振興局です。

 今、御指摘の時期については、手元に資料がございませんので、また確認して御報告をさせていただきたいと思います。

○山室委員 攪拌によって効果があったというためには、やっているところとやっていないところとの比較が必要だと思いますが、それもやっていないのでしょうか。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 対照区につきましては、こちらも確認をさせていただきたいと思います。ただ、同じ地点で硫化物なり、強熱減量を測って、その差を見ておりますので、その地点では効果があったものかと思います。対照区については、全体的な底質状況が変わった可能性があるのではないか、というような御指摘でしょうか。

○山室委員 はい、そうです。

○松宮農林水産省農地資源課課長補佐 確認して、御報告させていただきたいと思います。

○山室委員 はい、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 よろしくお願いいたします。

 では、古川委員、手が挙がっています。

○古川委員 二つ、質問させてください。

 一つは、資料4-2-⑦、藻場と干潟の面積についての調査の御報告に対してです。

 全体のこういう広い海域の藻場・干潟の状況がよく分かるということは、とても大切なことなので、貴重な御報告だったと思います。

 ただ、少し懸念しているのが、藻場と干潟を比べたときに、藻場のほう、特に解析精度が9割ぐらいありますというような御報告でした。表1のところ、解析精度を議論している表があったかと思いますが。

 藻場の現存量8,000地点に対して、例えば藻場を藻場以外と認識した、過小評価をしてしまったというのが4,500、5割強ある。また、逆に藻場以外の部分を藻場として認識したものが4割ある。これが相殺しているので、何か全体の推定精度が高いように見えているという危惧はないでしょうかということです。特に、藻場のように空間的、時間的に変化が大きい場を衛星画像解析だけで精度よく判定できますということが、この上の文章で確認されたというように断定的に書いてあるので、少し気になりました。それが一つ目です。

 もう一つは、資料の4-2-⑪についてです。流出する土砂、また栄養塩に対して、モデルも使って御検討いただいています。図14を見ると、その上には、数字でも出ていますが、森林の経年変化で土砂の流出に対してどんな影響がありましたかというのが出されていて、文章では、年間の土砂流量は抑制されたと書いてあります。こちらの図14では、大きな流出があるときには、逆に流出量が大きくなっているように見えます。特に海域で流出された土砂の広がりを解析している例などを拝見すると、このようなピークのときの流下量、海域にインプットされる量というのが、海域での土砂供給、流れによって拡散されて、干潟に供給されていくというところに大きく寄与するようなことが言われています。このような流出パターンのことまで検討の際に御配慮いただけたらどうかと思いました。

 以上、2点です。ありがとうございます。

○松野委員長 ありがとうございました。

 一つ目の藻場の判定の精度につきましては、前回の小委員会でも御意見がありまして、その後、少し事務局と議論したのですが、そこがまだ改善というか、再検討されていないところがあるので、もう一度検討したほうがいいのではないかと、私も思います。

 やはり、藻場以外のところが圧倒的に面積が多いので、これだとどんな結果だろうと、このぐらいになってしまいます。ですから、この評価の仕方は、このケースの場合は、もう少し精度について、検討したほうがいいのではないかと、前回の小委員会での指摘を踏まえて思っていますので、検討させていただきたいと思います。

 それから、2番目につきまして、事務局から御回答ありますでしょうか。

○石飛林野庁治山課課長補佐 林野庁です。よろしいでしょうか。

○松野委員長 はい、お願いします。

○石飛林野庁治山課課長補佐 先生御指摘のとおり、総量で見ると、経年変化を見て、つまり森林の充実が図られたことによって、若干土砂の流出量を抑えているといったところを表現したものではあったのですが、11ページを見ていただくと、図11がありますが、ここでは、先ほど先生のお話にもありましたように、豪雨時に土砂の流出量が多いということを示させていただいております。実際、このようなこともございますので、本調査においては山地災害の土砂流出を含んでおりませんので、普通の雨で、表面浸食をする分の土砂流出を推計したものではありますが、それであっても、やはり豪雨時において、土砂流出量が多いということは明らかですので、取りまとめにおける表現ぶり等を誤解のないように留意するとともに、今後の調査においても、そういった土砂の流出の特性、豪雨時に多いといったところをよくよく配慮した上で取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

○松野委員長 古川委員、よろしいでしょうか。

○古川委員 はい、結構です。どうぞよろしくお願いいたします。

○松野委員長 よろしくお願いします。

 橋本委員、手が挙がっております。

○橋本委員 今の質問に関連して、資料4-2-⑪です。例えば、10ページ、図10、それから11ページ、図11です。その中に「土砂流出量」という言葉が使われています。この用語の定義が何か、分かりません。どうも読むと、ここに使われている土砂流出量は、森林エリア、すなわち、土地利用が森林のところでの土砂の生産量、あるいは発生量の意味のように読み取れます。流出量だと、例えば、陸地から海域への流出量のようにも誤解してしまいますが、ここで使われている土砂流出量の定義は何でしょうか。

○石飛林野庁治山課課長補佐 林野庁です。確かに、委員御指摘のように、流出量について、意味が分かりにくいと、今、御意見を伺っていて思いました。同じ図10にあります、10ページの下のただし書きに、先ほども若干述べさせていただいたところですが、「降雨による表面浸食を捉えたものです」ということは記載させていただいたのですが、それが発生量なのか、流出量なのかというところが分からないという御指摘だと思っています。

 実際に、このモデルにおいては、メッシュ状にそこそこを切って、そのメッシュ状で発生したものを計測していますので、実際には、森林の部分からは発生量で捉えたものが適当かと思っています。ただ、下流域などにおいては、そこにおいて流出する部分が入っていると思いますので、その辺りは、若干、こう混在しているものになってくると思いますが、もう少しこの取りまとめにおいて、発生なのか、流出なのかといった辺りは、もう少し分かるような表現を付け加えておきたいと思っております。よろしいでしょうか。

○橋本委員 国土交通省の先ほどの発表がありました。資料4-2-⑩です。国土交通省の発表では、土砂の生産と川に入っていったときの土砂の流送とに分けられていますよね。ですから、やはり国土交通省のような扱い方というか、いわゆる土砂の生産、発生と、その後の流送。それから、最終的には堆積のような形に分けて、議論をしていただく必要があると感じております。これは、コメントです。

○石飛林野庁治山課課長補佐 貴重な御意見、どうもありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。では、土砂の流出量、取りまとめに関しては、全体的な、統一的な言葉の使い方というのも留意して、また取りまとめを進めていただければと思います。

 では、吉永委員から関連する御意見ですので、よろしくお願いします。

○吉永委員 農研機構、吉永です。同じところで、リンの流出量が畑よりも水田が多いのは、若干ちょっと違和感がありまして。ここの値、私は少し気になりました。関連する文献の値とかを御紹介したいと思います。よろしくお願いします。

○松野委員長 ありがとうございます。御確認いただければと思います。

 それでは、矢野委員、お願いできますでしょうか。

○矢野(真)委員 九州大学の矢野です。2点ございます。

 まず、資料番号4-2-⑨番です。国交省さんが出されている海輝とか、海煌という船で回収したごみのデータで、図③というのがございます。まず、これはお願いですが、図③を有明と八代に分けて表示していただきたいというのが一つ。この図を見ると、今年の球磨川の水害で出た流出量が非常に多いという印象を与えると思いますが、実際、平成24年や、29年もある程度出ている可能性があると思いますが、大きい洪水がありましたので、恐らく船で回収できたものがこうだったというだけで、海に出てきた量はもっとあったのではないかな。特に24年のときには、干潟域にある程度堆積して、それが回収されているというデータが確か出ていたと思うので、そこら辺も併せて、もし可能であれば、示していただいたほうが価値的というのが一つ目です。

 それから、二つ目ですが、資料4-2-⑩番です。今回の御報告の中では、平成24年と29年の九州北部豪雨というイベント的なものの話でまとめられている感じがありますが、今ちょうど出ている図1というのがありますが、前のまとめのときには、こういうものを出していて、今回、こういった形のものが出てくるのかというのを伺いたいです。と言いますのは、やはり、こういう平均的にどの程度、土砂流出があったのかということのほうが、むしろ、こちらの委員会では重要な話の一つとしてあると思うので、こういったものがそもそも出せるのか、出すための調査などができているのか、よく把握しておりませんが、その辺りについてお伺いしたい。

 以上の2点です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 では、まず国交省の方からお願いします。

○小野国土交通省海洋・環境課課長補佐 国土交通省の港湾局海洋・環境課、小野と申します。

 まず、最初にあったごみの回収量の関係でございます。こちらについては、今、手元にデータがないので、はっきりしたことを言えないのですが、事務局と相談しながら、もし、先生のおっしゃるとおりにデータを追加できるのであればしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

○矢野(真)委員 はい、分かりました。よろしくお願いいたします。

○天野国土交通省河川環境課企画専門官 よろしいでしょうか。国土交通省の水管理・国土保全局でございます。

○松野委員長 お願いします。

○天野国土交通省河川環境課企画専門官 先生から御指摘がありました2点目の土砂の流出の評価について、一つの大きなイベントではなく、継続的、平均的なところかと思われますが、これにつきましては、中間取りまとめの段階では、データが、なかなか無いので難しいとは思っております。次の本取りまとめ、5、6年後先のタイミングでは、データの精度は、それまでに調べられたものに依存はいたしますが、何らかこれに類するものはする必要があるという認識はしているところでございます。

○矢野(真)委員 ありがとうございます。平成29年の九州北部豪雨で、かなりの土砂が出て、それが経年的にずっと今後出るだろうということで、いろいろ砂防事業とかやられていると思いますが、その結果として、海にそれがどういう影響があるのかという話をこういう図で最終的にまとめていただけると、非常にいい情報になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○松野委員長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 時間が迫ってきておりますが、ほかに御質問等ございますか。

 よろしければ、これで第2章に関する報告を終わりたいと思います。

 内藤委員からチャットで御指摘がありました。ありがとうございます。対応したいと思います。

 それでは、第2章につきましては、これで終わりたいと思います。

 関係省庁におかれましては、本日いただいた御意見等を参考に、引き続き再生に向けた取組と評価に必要なデータの収集、提供をよろしくお願いいたします。

 また、事務局におかれまして、引き続き小委員会での作業分担に沿って作業が進むように、関係省庁、関係県の取組状況等について、情報収集、整理等をよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、議題その他になります。その他では、この10月に行われた第45回評価委員会でノリに必要な栄養塩の量について質問がございました。その回答をしたいということで、水産庁から御報告がございます。

 なお、中間取りまとめの資料としては、次回の小委員会で取り上げることとなっております。

 水産庁からお願いできますでしょうか。

○鏑木水産庁栽培養殖課係長 水産庁でございます。

 前回、ノリが必要とする栄養塩について見解をというお話がございました。改めまして、資料を用意してまいりましたので、それについて御説明したいと思います。資料5を御用意いただきたいと思います。

 ノリ養殖と海水中の栄養塩の関係につきましては、一般的なものといたしまして、水産用水基準ということで、ノリ養殖に最低限必要な栄養塩濃度を示したものがございます。ただし、ノリの養殖生産量というのは漁場ごとに供給される栄養塩のバランスですとか、その漁場環境などによって変わってくるものでございますので、溶存態の無機窒素であれば、5~7μM、あるいは溶存態無機リンでは、約0.23~0.45ということで、ある程度、幅を持って設定されているところでございます。

 私どものやっておりますノリと貝類の複合養殖の中で、有明海や八代海の場合、海水中の溶存態無機窒素量は、7μMを下回りますと、ノリの色落ちが起こるということを把握しておりました。

 そういった経緯を踏まえまして、この事業では栄養塩不足の基になりますケイ藻赤潮が頻発する冬季には、大体7μMを下回るという環境にありますので、冬季を中心にして、実証試験を実施してきたということでございます。

 同時に、実証試験中、養殖ノリの色調、あるいは海水中の栄養塩類の濃度というものの測定してきたということでございます。

 そういったことで、繰り返しになりますが、貝類の摂餌によりノリ養殖に邪魔になりますケイ藻類を除去すると同時に、二枚貝類の排出する栄養塩類によって栄養塩の補給を図ることにより、ノリの色落ちの軽減を図っているということでございます。

 参考ですが、そういった実証試験をいたしまして、今、試みの段階ではございますが、二枚貝との複合養殖によるノリの色落ちの緩和効果の試算といったようなことも行っておりまして、これは、まだ試験の途中でございますので、確定したということではございませんが、こういった実験から得られたデータを用いまして栄養塩類に関するいろいろな考察ができるようになっているということでございます。

 簡単ではございますが、以上でございます。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ただいま、水産庁から御説明がありましたが、これについて、御意見、御質問等を承りたいと思います。よろしいでしょうか。

 今、古川委員からチャットでいろいろコメントいただいておりますが、これは、事務局でいろいろ検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 ほかに、事務局から何かありますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 事務局です。

 そうしましたら、まだ説明が終わっていない資料6をお願いしたいと思います。評価委員会に係る検討スケジュールについてです。

 この資料は、10月の第45回評価委員会で了承された資料の報告になります。記載の内容についてですが、平成30年3月以降の評価委員会や小委員会の開催状況と今後のスケジュールを載せております。

 真ん中ほどに、今年10月の45回評価委員会の記載をしております。この評価委員会の中で小委員会における取組などの結果報告や中間報告に盛り込む項目などを審議いただきました。

 それから、その下ですが、その後のスケジュールになりますが、数回程度の小委員会を開催して、国・関係県の調査・研究の成果等のとりまとめ(案)を作成します。今回の第6回小委員会は、ここに該当します。

 それから、また今回第2章で、挙げられなかったものについては、第7回委員会で挙げたいと考えております。

 それから、その下ですが、評価委員会において、小委員会で作成された国・関係県等の調査・研究成果等の取りまとめについて審議いただき、今後の進め方として、再生目標・再生方策の進捗状況の評価などの審議をいただきます。

 その下、数回程度の小委員会を開催して、再生目標・再生方策の進捗状況の評価などの案を作成します。

 その下の評価委員会において、中間報告の素案や中間報告の案の審議をいただき、パブリックコメントをして、評価委員会の中間報告の審議をいただいて、最後に中間報告を公表するというようなスケジュールです。

 環境省からは、以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から委員会等のスケジュールについて、御説明がありましたけれども、これについて御質問、御意見等ありましたら承りたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の小委員会全体を通して、何か御意見が、各委員から御意見がありましたら、承りたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、これで本日予定されておりました議事、全て終了いたしました。議事進行、御協力、どうもありがとうございました。進行を事務局にお返しします。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 松野委員長、ありがとうございました。

 事務局からの連絡です。本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容を確認後、議事録は、環境省ホームページで公開をさせていただきます。

 次回の小委員会も合同開催とする予定です。開催日につきましては、後日、日程調整等をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第6回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第6回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後4時01分 閉会