第5回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録

開催日

令和2年7月29日(水)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

 小委員会委員長 : 松野健委員長

 委員 : 上久保裕志委員、樽谷賢治委員、矢野真一郎委員、山口啓子委員

 臨時委員:小林政広委員

 専門委員 : 橋本晴行委員、東博行委員、古川恵太委員、吉永育生委員

 評価委員長:古米弘明委員長

(関係省庁)

農林水産省農村振興局農地資源課 松宮課長補佐

林野庁治山課 石飛課長補佐

国土交通省港湾局海洋・環境課 下山係長

     九州地方整備局河川環境課 上村課長

(事務局)

環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午前9時30分開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 それでは定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第5回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議システムのチャット機能にてお知らせください。

 なお、本小委員会は公開の会議となっており、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作を願います。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 それでは、まず議事に先立ちまして、環境省閉鎖性海域対策室長の中野より御挨拶を申し上げます。

○中野環境省閉鎖性海域対策室長 環境省でございます。閉鎖性海域対策室長の中野と申します。

 本日は、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ本小委員会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 まずは、有明海・八代海を臨む九州地方におきまして、今月豪雨災害がございました。これに被災されている方々にまずは謹んでお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、本日の小委員会につきましては、本来3月4日に開催することを予定してございましたが、我が国におけます新型コロナウイルス感染の発生状況を踏まえまして感染拡大の防止の観点から本日まで開催を延期させていただいたところでございます。また、本日もWEB会議で行わせていただくということで、委員の皆様方におかれましては、一度御予定を確保いただいたり、いろいろと御迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げたいと思います。

 本日の小委員会でございますが、これまでさらに新しく各省庁ですとかあるいは関係自治体の皆様方、あるいは関係者の方々がこの有明海・八代海の状況についてお集め頂いた調査の知見ですとか、そうしたものを本日報告頂くということとともに、本来毎年度小委員会の作業の実施状況を整理いたしまして、親委員会でございます評価委員会にその作業状況を報告することとなっており、昨年から今回にかけて2回ほど小委員会を開催させていただいたところでございますが、その作業状況、議論の状況を報告するための資料についても皆様方にお諮り申し上げたいと思っております。

 WEB会議でいろいろ会議進行上、御不便をおかけするかもしれませんが、ぜひ忌憚のない御意見を頂ければと思います。

 本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 このたび委員の任期に伴い、令和元年12月12日付で委員の改選がございましたので、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。

 それでは、資料1を御覧ください。海域環境再生方策検討作業小委員会の委員の皆様を名簿順に御紹介させていただきます。

 まず、熊本高等専門学校企画運営部准教授の上久保委員です。

 続きまして、国立研究開発法人水産研究・教育機構、水産技術研究所、環境・応用部門、沿岸生態システム部、副部長の樽谷委員です。

 続きまして、九州大学名誉教授の松野委員長です。

 続きまして、九州大学大学院工学研究院教授の矢野委員です。

 続きまして、長崎大学総合生産科学域教授の山口委員です。

 続きまして、島根大学学術研究院環境システム科学系教授の山口委員です。

 続きまして、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所森林研究部門立地環境研究領域土壌特性研究室長の小林委員です。

 続きまして、元九州大学大学院工学研究院教授の橋本委員です。

 続きまして、国立研究開発法人国立環境研究所地域環境研究センター海洋環境研究室主任研究員の東委員です。

 続きまして、NPO法人海辺づくり研究会理事長の古川委員です。

 続きまして、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究部門水利工学研究領域沿岸域水理ユニット長の吉永委員です。

 最後になりましたが、評価委員会の古米委員長でございます。

 委員の皆様につきましては、以上でございます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を山口敦子委員より、頂いております。

 続きまして、環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 先ほど紹介させていただいた閉鎖性海域対策室長の中野でございます。

 同室長補佐の濱名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室主査の冨永でございます。

 本日は、関係省庁も出席しておりますので、御紹介いたします。

 まず、農林水産省農村振興局農地資源課の松宮課長補佐でございます。

 続きまして、林野庁治山課の石飛課長補佐でございます。

 続きまして、国土交通省港湾局海洋・環境課小野課長補佐でございます。

 続きまして、国土交通省九州地方整備局河川環境課上村課長でございます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が、有明海・八代海等総合調査評価委員会海域環境再生方策検討作業小委員会委員名簿、資料2が、国営干拓環境対策調査(底質環境調査)について、資料3が、有明海・八代海における海洋環境整備事業について、資料4が、『土砂に関する知見の蓄積』に関する報告、資料5が、有明海南部海域及び八代海における藻場・干潟分布状況調査、資料6が、ベントス群集と海域特性の関連性、資料7が、「有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査」報告(中間)資料8が、タイラギの減少・斃死要因と海域特性の関連性、資料9が、小委員会における情報の収集・整理・分析の実施状況について(第4回、第5回)。

 参考資料1が、小委員会における今後の情報の収集・整理・分析について(海域環境再生方策検討作業小委員会)、参考資料2が、有明海・八代海等総合調査評価委員会報告(平成29年3月)について、参考資料3が、有明海・八代海等総合調査評価委員会関係法令等となっております。

 なお、資料につきましては、本日は事務局が画面上に掲載して進行させていただきますが、事務局からお送りしている紙資料も御参照願います。

 それでは、議題に入ります。以後の進行につきまして、松野委員長、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 かしこまりました。小委員会の委員長として進行を務めさせていただきますのは今回初めてでございます。松野でございます。よろしくお願いいたします。

 早速ですが、議事を始めさせていただきます。

 まず、本日の議題1ですが、全部で6項目あります。海域環境に関する調査の情報収集等の6項目ですが、そのうち3項目ずつに分けて御意見、御質問を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、前半の3項目の最初ですが、国営干拓環境対策調査(底質環境調査)について農林水産省農村振興局の松宮補佐より説明をお願いいたします。発表時間は5分程度でお願いいたします。

○松宮農林水産省農村振興局農地資源課課長補佐 農村振興局の松宮です。よろしくお願いします。

 私からは、底質環境調査について報告をさせていただきます。

 1ページは、底質環境調査の概要です。底質環境調査は平成16年度から調査を実施しています。平成20年度には、九州農政局と各県で実施した既往知見を基に、含泥率などの底質特性によるクラスター分析を行い、各海域の底質特性を把握し底質改善対策の検討に資する底質特性別海域区分図の作成を行いました。

 平成21年度以降、クラスター分析による底質区分の主な支配要因である含泥率に応じて調査結果を区分図に反映してきたところです。

 また、あわせて底質撹拌による底質改善効果を調査しているところです。

 底質特性別海域区分図については、平成28年度の評価委員会報告に平成26年度までの結果が掲載されているため、簡潔に説明します。

 (1)の区分図の作成について、試料はグラブ式採泥器により海底表層から採取をしています。

 クラスター分析は、平成19年度までに実施した81調査地点における中央粒径、含泥率、強熱減量などの8項目の底質特性を用いて分析し、最終的には四つに区分をしたところです。A、B、C、Dの区分は、砂、泥混じり砂、砂混じり泥、泥を記載の含泥率に応じて区分をしています。平成30年度までに366地点を調査し区分図に反映したところです。

  2ページは、区分図になっています。左の図は平成28年度報告に記載されている平成26年度までの調査結果を反映した図面になります。右の図は平成30年度までの結果を反映したものとなっています。比較をしていただくと、長崎県島原半島沖や熊本県沖など、平成27年から30年度で調査した76地点を追加した結果になっています。

 3ページ目は、(2)底質撹拌による底質改善効果調査です。底質撹拌は、写真の貝桁と呼ばれる器具を曳航し底質を撹拌しています。この撹拌によって底質の強熱減量や硫化物含有量が減少し、一定の底質改善効果が見られる結果になっています。特に、強熱減量については、下の左のグラフですが、クラスター分析した際の泥と区分された地点の約9割で改善効果が見られるなど、効果が見られた結果になっています。

 簡単ですが、私からは以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。では、引き続きまして有明海・八代海における海洋環境整備事業について、国土交通省港湾局の小野補佐より説明をお願いいたします。発表時間は15分程度でお願いします。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 港湾局海洋・環境課の下山が、本日、小野補佐に変わりまして、報告をさせていただきます。

 まず、1ページ目です。海洋環境整備事業ということで、船舶航行の安全を確保して、海域環境の保全を図るため、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明・八代海の閉鎖性海域において海面に漂流する流木等のごみや船舶から流出した油の回収を行っています。現在、これらの海域に12隻の海洋環境整備船を配備しているところです。今回の令和2年7月豪雨においても、九州に配置されている「がんりゅう」、熊本八代に配置されている「海輝」、「海煌」の船舶によって流木の回収をしているところです。

 2ページ目、有明海・八代海のこの概要としまして「海輝」、「海煌」を配備しておりまして、海上の漂流のごみの回収、あと、水質・底質、潮流観測等の環境調査を「海輝」、「海煌」の船を使いまして実施しているところです。

 3ページ目で、漂流ごみの回収作業の概要ですが、海洋環境整備船が装備しているスキッパーや多関節クレーンを用いて行っております。あと、今回のように大量ごみが発生した場合には、支援台船や漁協さんと連携した回収も行っているところでございます。漂流ごみの回収方法については、左側の写真にあるような手順で作業を行っているところです。

 あと、右側のグラフですが、例年だと約1,400m3で年間の回収量が推移しているところですが、今回のR2年度の回収量については約1万5,000m3と、去年の回収量の11倍という回収量を今回の災害で回収しているところです。

 4ページ、令和元年度8月豪雨における流木等の回収の概要というところで、去年の災害ですが、こちらは、去年8月に筑後川の河口部において漂流物の回収を行いました。9日間で約834立法メートルの漂流物回収を行いまして、一昨年の回収量を上回る漂流物を9日間で回収したということとなります。

 あと、漁業者さんと連携して広域的な漂流物の回収を行ったといった資料となっております。その当時の写真が右下についております。

 5ページ目に環境調査の実施概要について説明したいと思います。

 海洋環境整備船については、様々な機器を装備していまして、それらの機械を使って有明海・八代海の環境調査を実施しております。大きく分けますと水塊構造調査と底質・底生生物の調査を行っております。具体的な調査目的や調査内容、時期に関しては、この表の記載のとおりでございます。あと、位置関係もこのポンチ絵の下に書いている有明東ラインや中央ライン、あとライン毎に設定をしており、平成16年から継続して調査を行っているところでございます。

 6ページ目、まず、水塊構造調査の結果、水温と塩分の関係ですが、この下のグラフは左側が湾奥で右側が湾口側となっています。有明海・八代海とも湾奥から湾央の広い範囲で上層部が高温、低塩分となる成層構造が確認されております。

 7ページ目、水塊構造調査の結果ですが、こちらはクロロフィルaというものでございます。有明海のクロロフィルaに関しましては、特に小潮期の湾央St.7地点ですが、こちらの表層において高い値が確認されております。あと、八代海では小潮期において、湾奥の方でやや高い数値が確認されております。

 8ページ目、水塊構造調査の溶存酸素量です。有明海・八代海とも河川の流量の増加により成層度が高くなりまして、下層の溶存酸素率量が低下することが認められております。有明海では、大潮期において湾奥の下層の方で3㎎/Lを下回る貧酸素状態が認められたところでございます。

 八代海では、湾奥から湾央部にかけて下層部を中心に4㎎/L前後の低い値が見られたが、3㎎/Lを下回るような貧酸素状態は確認されなかった状況でございます。

 9ページ目、水塊構想調査結果の植物・動物プランクトンの結果でございます。

 まず、植物プランクトンですが、そちらは有明海・八代海と共におおよそ湾奥部で細胞数が多い傾向が見られました。分類群別には珪藻類が優占しておりました。

 あと、動物プランクトンですが、下の表で言うと右側になりますが、有明海では個体数はおおむね湾奥部で多くて、湾口部では少ない傾向でございました。あと、有明海では個体数の分布に傾向は見られなかったところでございます。

 10ページ目、底質・底生生物調査結果でございます。

 有明海では、湾奥の一部の地点No.4という地点ですが、そちらの方はシルト・粘土分の割合が高くなる傾向が見られました。その他の地点では、下の図にあるとおり大きな変化は認められていない状況でございます。

 港湾局からの報告は以上となります。

○松野委員長 ありがとうございました。続きまして、「土砂に関する知見の蓄積」に関する報告について国土交通省九州地方整備局の上村課長より説明をお願いいたします。発表時間は15分程度でお願いします。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 九州地方整備局の上村でございます。土砂に関する知見の蓄積に関して報告いたします。

 1ページ、調査の背景と経緯ですけれども、この調査は有明海及び八代海の再生に関する基本方針において、河川における土砂の適正な管理に基づき、土砂移動の状況等を必要に応じて把握すると位置づけられていること。それから、平成18年の有明海・八代海総合調査委員会報告において底質の泥化の要因の一つとして、河川を通じた陸域からの土砂供給の減少が指摘されていることから行ってまいりました。これまで河川に蓄積する土砂の量と質、海域に流入する土砂の量と質を把握するための調査検討を行ってきており、平成24年に調査結果概要として次の3点を報告しました。

 一つ目としまして、筑後大堰の通過土砂量を年間約13万立方メートルと推計した。

 2、筑後川下流域の土砂の分布移動を確認した。

 3、筑後川下流域の河床変動解析により平成21年に年間10万立方メートルを超える土砂が流出したと推計したということです。

 2ページでは、筑後川の模式図に土砂の移動量を推計した値を示しています。ダム等の堆砂実績、それから河道形状変化量等から土砂の生産量は年間約36万立方メートルである。河川から海域への土砂供給は年間約10万立方メートルを超える土砂が筑後大堰を通過していると推計しております。

 3ページは、今回の調査の目的と概要です。調査目的は平成24年、それから平成29年7月九州北部豪雨等の豪雨が頻発していることから、河道内への土砂堆積や土砂移動について調査を実施し、土砂の適正な管理を図るものです。

 調査項目と概要は、特に土砂災害による被害が大きかった筑後川中流域における土砂発生量や堆積量、それから豪雨災害後の筑後川の河川状況について調査しました。それらを踏まえまして、今後の河道管理、モニタリング調査の基本方針を示します。

 4ページ、近年の災害発生状況です。平成24年7月の九州北部豪雨では、花月川において複数の堤防決壊や越水等が発生し、大規模な家屋浸水被害が発生しました。

 また、筑後川中流域では山地部の崩壊も多数発生し、がけ崩れによる人的被害も発生しています。左下の写真が花月川の浸水状況、それから右下の写真ががけ崩れによる被害状況です。

 平成29年7月の九州北部豪雨では、中流右岸域を中心に大規模浸水と合わせ、大量土砂や流木の発生・流下により、甚大な人的被害や家屋被害が発生しております。

 5ページ、平成29年7月九州北部豪雨災害の概要です。

まず、雨量でございます。筑後川右岸流域における12時間最大雨量の等雨量線図を示しております。7月5日の昼頃から夜にかけて、福岡県から大分県に強い雨域がかかり、朝倉市から日田市北部において観測史上最大の雨量を記録しました。筑後川右岸流域では、5~7日の累加雨量で平成24年7月豪雨時の1.2倍から4.8倍の雨量を記録しました。特に、赤谷川や佐多川上流部で、非常に強い雨を記録しております。この色の濃いところが雨の強かったところです。

 6ページ、近年の大規模災害による斜面崩壊の状況です。平成24年7月豪雨前後、それから平成29年の7月豪雨後の3時点の筑後川流域内の崩壊地の存在状況変化を示してございます。右上の図が平成24年7月豪雨発生しているのが見てとれます。青い点が崩壊になります。右下の図が、平成29年7月豪雨で、特に中流右岸流域で多数の崩壊が集中したと推定されております。赤い点が集中しているところになります。

 7ページ、平成29年7月九州北部豪雨災害の概要です。同時多発的な斜面崩壊により大量の土砂や流木が流下した赤谷川や白木谷側流域の筑後川中流右岸域で浸水面積1,913ヘクタール、床上浸水1,195戸、床下浸水1,378戸、全壊家屋197戸、半壊家屋102戸の大規模な人的被害や家屋被害が発生しました。写真でも土砂の流下状況が見てとれます。

 8ページ、土砂流木の状況です。多数の斜面崩壊により洪水が大量の土砂や流木とともに流下し、橋梁での流木集積による閉塞や、土砂による河道閉塞が発生しました。写真のとおり川の位置が分からないほど土砂や流木が堆積していることが見てとれます。

 9ページ、海域の流木対応状況です。これは先ほど報告がありましたとおりですので、簡単に言いますと、7月23日には漁業者とか埋立浚渫協会と連携されて調査観測兼清掃船(海輝、海煌)により流木の回収がなされております。

 10ページ、斜面崩壊の状況です。この豪雨による斜面崩壊、土砂発生域は12時間雨量が400ミリを超える範囲に集中している傾向が見られ、地質別に見ますと深成岩、花崗岩がほとんどですけれども、変成岩を主体とする地域で崩壊が多く発生しています。

 11ページ、流出土砂についてです。崩壊が多く発生した地域の地質で筑後川への流出土砂はマサ土が主体でありました。写真は赤谷川に堆積したマサ土を映したものでございます。

 12ページ、発生土砂量の推定です。この豪雨による筑後川右岸流域の斜面崩壊面積は4.44平方キロメートル、発生土砂量は約1,000万立方メートルに及びそのうち200万立方メートルが河川へ流出したと推定されています。河川別の崩壊面積率、発生土砂量、流出土砂量をグラフと表に表しています。上のグラフが崩壊の面積率、下の棒グラフが発生土砂量、右の表に河川別の土砂量を示してございます。

 13ページ、赤谷川の状況です。赤谷川の写真を示しておりますけれども、河川からあふれ出して堆積した土砂が見てとれます。右下の写真は赤谷川が筑後川に合流する合流点でございます。ここの付近において約2万2,000立方メートルの土砂を掘削し撤去しております。

 崩壊面積、発生土砂量ともに最も多く、赤谷川から筑後川への土砂流出も多かったと推測されます。

 14ページは、豪雨前後の川の横断形状を比較した図を示しています。図の緑線が平成24年8月、それから赤線が平成30年5月に測量した横断形状でございます。比較すると中流域ですね。これでいくと、45キロ付近から60キロ付近で堆積傾向が確認されます。

 15ページの図に、豪雨前後の筑後川の河床高の変化を示しています。図の緑色が平成24年8月、赤線が平成30年5月の河床高です。

 また、上の図の実線が平均河床高、点線が最深河床高を示したものです。

 下の棒グラフは河床高でプラスが堆積、マイナスが洗掘を表します。これからも、筑後川中流域では平均河床高、最深河床高ともに上昇していることが確認できます。

 16ページは、豪雨後の河床材料調査の結果と写真を示しております。中流域では、粒径が小さくなっている傾向であり、堆積する土砂の成分は1ミリ前後の砂が主体となっております。

 17ページ、豪雨前後の河川の状況です。上段が平成26年11月撮影、下段が平成30年4月撮影の航空写真です。航空写真の比較から砂州の形状や大きさ等に明確な変化は確認されません。右下に令和元年6月時点の写真を示しておりますが、瀬や淵などの著しい変化は生じておりません。

 18ページ、今後の河道管理についてです。豪雨直後の奈良ヶ谷川、北川、乙石川の崩壊状況の写真を示しております。豪雨により山地崩壊等で発生した土砂の多くはいまだ残存していると思われ、今後の豪雨により筑後川に流出してくるものと想定されます。このため、河道の流下能力の低下、河道内施設ですね。取水等への影響、それから、良好な生物環境の保全に資する瀬や淵などの変化等に注視していく必要があると考えております。

 19ページ、今後の基本方針です。基本方針としましては、定期的な基礎調査を実施し崩壊土砂の流出、河道内の土砂堆積と流下、生物環境への影響について継続的にモニタリングすることとしております。

 調査の項目と頻度は示しているとおり予定しております。

 モニタリングの結果から河川管理上の問題が生じた場合には、必要に応じて適切な対応をすることとしております。

 20ページ、モニタリング調査例の紹介でございます。主要地点の水位観測結果を用いたモニタリング手法を紹介します。左上の図は片ノ瀬水位観測所の水位と流量の関係を示したものです。水色が平成29年7月豪雨前時点、赤が平成29年7月豪雨後時点、黄色が平成30年7月洪水後の水位流量の関係を表しております。この比較から平成30年7月後には、同じ流量のときでも水位が高くなることが確認でき、河床が上昇していることが推察されます。

 このように、水位観測結果等を基に詳細調査が必要と判断した場合には、必要な調査を実施しながらモニタリングを継続してまいります。

 以上で、土砂に関する知見の蓄積に関する報告を終わります。

○松野委員長 ありがとうございました。それでは、これまでに説明頂きました3項目について御意見、御質問があれば承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 古川委員お願いいたします。

○古川委員 御説明ありがとうございました。それぞれ、大切な観測等がされていて貴重な情報提供を頂いたことに、まず感謝申し上げたいと思いますけれども、それぞれ1点ずつ質問させてください。

 農村振興局様からの御発表のスライド番号でいくと3ページ目になりますか。3カ月後において9割の地点で改善効果が見られているということですけれども、ここのグラフを拝見すると、例えば硫化物が減少した地点の割合の100%までの残りの部分というのは、効果が継続しなかった部分だと思うのですが、そういうところがどうして継続しなかったのかということを解析していくことが今後とても大切かなと思っています。もし、効果が継続しなかった部分について地域的なその偏りみたいなものが見られたかどうか御存じであれば情報提供を頂きたいと思います。

 2番目が、国交省港湾局からの海洋環境整備事業の御報告でした。スライドの9ページ目のところで植物プランクトン、動物プランクトンの分布図だとか、全体の傾向をグラフ化していただいていますけれども、こういった生態系の環境状況と水質底質の状況を重ねて見られるようなデータを図式的に捉えているということがとても大切なのかなと思うのですが、いろんなデータで重ねて解析していくことが大切だろうと思います。そのときに、このデータに今どういう形でアクセスできるのかというのを教えていただきたいと思います。以前では、有明・八代での環境調査に関しては、有明・八代海環境情報システムというところで一括してデータが拝見できたかと思うのですが、今それが拝見できない状況になっているので、こうしたデータというのが一般に公開されているのか、またどういう形でアクセスできるのかということについて教えてください。

 3点目、九州地方整備局様からのご報告で12ページのところで流出土砂量というのが表で出てきています。約200万立米。上の説明文章では、この200万立米は河川へ流出したというふうに推定を書かれていますけれども、海域への流出量というのがもし推定されているのか、また、それに対しての調査というのがどういう形で進んでいるのかということを教えていただければと思います。

 以上3点よろしくお願いいたします。

○松野委員長 ありがとうございました。それでは、最初の御質問、農村振興局から回答をお願いします。

○松宮農林水産省農村振興局農地資源課課長補佐 農村振興局です。

 先ほどの古川先生の御質問につきまして地域的な偏りがあるかという御指摘だったと思いますが、改善効果がなかったところの地域的な検討はしておりません。御指摘を踏まえて今後検討していきたいと思います。

○松野委員長 今の点につきまして、古川委員よろしいでしょうか。

○古川委員 結構です。よろしくお願いいたします。

○松野委員長 では、引き続き二つ目の御質問につきましては、データのアクセスのことで、これは港湾局から回答いただけますでしょうか。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 港湾局でございます。

 今回発表させていただいたデータに関しましては、九州地方整備局の熊本港湾事務所のホームページに定期環境調査結果の概要を取りまとめたものがホームページで公表されております。今回のこの資料に関しましても、そちらを見ながら作成したところでございます。

 以上でございます。

○松野委員長 よろしいでしょうか。

○古川委員 熊本港湾さんのホームページを拝見しているのですが、その入り口が分からないようなので、もし具体的なアドレス等が分かったら委員会内で共有頂けると大変助かります。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 分かりました。では、後日連絡させていただきたいと思います。

○松野委員長 よろしくお願いいたします。では、三つ目の御質問に関しまして、土砂の海域への流出ということに関しまして見積もられているかどうかということで、九州地方整備局からお願いいたします。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 九州地方整備局、上村でございます。

 この土砂の量の推定のうち、発生土砂量が約1,000万立方メートルと推定しておりますのは、出水の前後のレーザープロファイラですね。上空から撮ったレーザープロファイラの差分でこの1,000万立方メートルというのは算出しております。川に出た量というのも、そのLPデータを中心に推定していますけれども、現在、先ほども1例として2万2,000立法メートル掘削しましたとか、御報告しておりますけれども、赤谷川において権限代行で河川の事業、それから砂防の事業、砂防堤を作る事業とかをやってございまして、その中でも工事で人為的に川に入った土砂をどけたりとかしている最中でございまして、その辺も踏まえまして、今後出た量、それから持ち出した量等々を整理して流下して行った量についてはまとめていきたいと思います。現時点で海のほうにどれだけ行ったかというのは推計できておりませんけれども、今後それらをまとめてまいりたいと思っております。

○古川委員 ありがとうございます。ぜひ、領域だとか管轄もまたがるデータ整理が必要になろうかと思いますので大変とは思いますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。ほかに質問、御意見ありますでしょうか。

 山口啓子委員、よろしくお願いします。

○山口(啓)委員 ありがとうございます。二つほどございまして、一つは資料2の港湾局で出されたデータの先ほども話が出ました9ページ目のところです。植物、動物プランクトンの報告ですけれども、特に植物プランクトンのほうですね。こちらが有明海・八代海ともにおよそ湾奥部で細胞数が多い傾向が見られ、分類学的には珪藻類が優占したという一言で済まされているのですが、この図を見させていただいたところ、特に有明海の湾奥部でかなり植物プランクトン相が違っているようです。というのは青いその他が多いと思うのですが、このその他が何なのかというのが分かったら示していただいたほうがいいかと思うのと、この表現でよろしいのかどうか、です。この図を見てもおおよそ湾奥部で細胞数が多い傾向があったかどうか、私には分からないです。この点もう少し明確にしていただけるかどうかというところが一つです。

 それから、資料4のところの土砂に関する知見で、今回の議論とは違うのかもしれないのですが、もともとこの土砂に関することが問題になったのが有明海の泥化が進んでいるのではないかという懸念があって、その一つとして土砂供給の問題を整理する必要があるだろうという発想で始まっていると思います。それで、今回実際いろいろ映像とかを見ていまして思ったのですが、砂とか、礫とかという基本的に大きな粒子の挙動と、泥分、細かい粒子の挙動が多分かなり違っています。砂や礫のほうは把握がしやすくて、今回の2ページ目の資料とかでも礫、砂が報告されているのですが、泥の挙動についてどうかということですね。原点に戻すと、泥化に関する河川からの土砂供給のことを考えるときに、河口堰とかができると荒い成分が堆積して、細かい成分は流れて行きますよね。そうすると、結果的に相対的に泥分が上がったものが有明海に供給されているということも考えられると思います。それらに関して、この土砂から何か見解があれば教えていただきたいというところです。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。それでは、一つ目の御質問の港湾局から。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 港湾局でございます。

 先ほど、確認がありました動物プランクトンの個体数の関係、詳細が分からないかという話だったのですが。

○山口(啓)委員 植物プランクトンです。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 植物プランクトンの方が分からないかという話ですが、こちらは報告書とか見ながら確認はしてみたのですが、確認はそこまではできなかったところがあったので、最後また確認させていただきたいと思います。

 あと、もう一点の底質の質問ですが、砂、礫と泥の挙動が何か分かるかといったところにつきましても、ここまでの物は報告書を見る限り検討している感じはしなかったんですが、現場の方に確認した上で回答したいと思います。

 以上でございます。

○松野委員長 ありがとうございます。先ほどの山口委員の御質問の泥のほうは、河川での評価のところで泥とか砂とかそういうものの評価はできるかという御質問だったと思いますが、地方整備局さんから。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 九州地方整備局、上村でございます。

 今の土砂の成分のことにつきましては、現在、やっているデータでどのようなことが言えるかというところまで、ここで即答できるような情報を持ち合わせておりませんので、改めてどのようなデータがあるか確認させていただきたいと思います。

○松野委員長 ありがとうございます。そういう回答ですが、山口委員よろしいでしょうか。

○山口(啓)委員 すみません。私最初参加し損ねたところがあって、この今回の資料というのが中間報告にそのまま出るわけではなくて、まだ修正されるわけですよね。これから修正していくわけですよね。

○松野委員長 中間報告は、まだこれから。

○山口(啓)委員 これからですね。今は、これまでの知見を整理しているところということですよね。

○松野委員長 そうです。

○山口(啓)委員 その際に、今言ったところも少し注意して資料をさらに充実させたものにしていただくようにお願いするというのは、この場でお願いしてよろしいことですね。

○松野委員長 そうです。はい。

○山口(啓)委員 分かりました。その件はよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○松野委員長 それは、河川での評価についてということでよろしいですか。確認です。

○山口(啓)委員 泥分ですね。今回の土砂に関する知見の部分を見ていると、砂礫分に関してのデータを基に語られているようですが、泥もかなり出ていると思いますので、それに関して何らかの情報が加えていただけると有り難いということですね。泥化の評価をする際には、その情報が有効になってくるのではないかと思いますので、御検討をお願いします。

○松野委員長 確認ですが、泥成分の評価というのは、河川が運ぶ泥という御質問ですか。

○山口(啓)委員 実際には、有明海に流入する泥というほうなのかもしれません。結果的に、先ほどの古川委員がおっしゃったことと関わってくると思います。

○松野委員長 分かりました。必ずしも河川が運ぶ。

○山口(啓)委員 ではなくて、有明海に流出する泥分に関する情報です。泥分と砂礫との比率が変化するのかというような知見に関することです。

○松野委員長 何か分かることがあれば有効ではないかということ。

○山口(啓)委員 はい。

○松野委員長 分かりました。ありがとうございます。

 では、ほかに御意見、御質問ありますか。矢野委員お願いいたします。

○矢野委員 九州大学の矢野ですけれども、2点お伺いします。まず、二つ目の御発表についてですが、3ページ目の漂流ごみの回収作業のデータです。グラフが示されておりますけど、このグラフについて実際の回収されたごみというのはかなり大きめの流木ですとか、小さめの草本といわれるような葦とかですとか、それ以外の人工的なごみに相当するものに分けられると思いますが、そういう分離したデータというのがあるのであれば、そういう形でできれば示していただきたいという要望です。

 二つ目が、三つ目の御発表にあったことですが、19ページに今後の継続的なモニタリングに関して御説明がありましたが、定期的なモニタリングは、5年に1回ということですが、大規模な洪水が発生した場合は速やかに必要な調査を実施されるということになっています。お伺いしたいのが、今年の7月の球磨川と筑後川の両方からかなりの流出がありましたことについてです。筑後川に関しては、今回災害対応ということで調査をされると思いますが、球磨川に関しては、この検討委員会の調査項目としては、今は入っていないですが、今回の洪水が異常な規模の流量が出ていますので、八代海に対してのインパクトとしては、相当なものがあっただろうと推測されます。球磨川に関しても、河川管理者としては測量されると思うので、そのデータもここにも提供していただきたいという要望です。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。では、一つ目の御質問に関しまして、港湾局から回収ごみの分別ができるのかどうかということですけれども。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 港湾局でございます。この漂流ごみに関しましては、流木関係とこの草みたいな葦だとか、分けて集計しておりますので、整理することは可能でございます。

 あと、人工的なゴミに関しましては、そこまでは分けてないのでそこは無理ですが、流木と葦とかの草のそちらは切り分けて整理は可能です。

 以上です。

○矢野委員 どうもありがとうございました。できれば、有明海と八代海に分けていただけたら有り難いと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 有明と八代に関しましては、過去から分けていなかったので、そちらはちょっと厳しかったのですが。

○矢野委員 分かりました。できればということで結構です。

○下山国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室 はい。分かりました。

○矢野委員 了解しました。

○松野委員長 できれば、次の御質問も関係するかと思いますが、これからは、違う河川、洪水ごとの分別のようですので、今後分けることができるのでしたら分けてデータを集められると有り難いということですね。よろしくお願いします。御検討頂ければと思います。

 矢野委員の二つ目の質問に関連しまして、九州地方整備局さんで集中豪雨等が頻繁に起こるようになってきて、それに対してどういうような対応が可能かというようなことだと思います。いかがでしょうか。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 九州地方整備局でございます。

 よろしいでしょうか。

○松野委員長 お願いいたします。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 19ページに書いておりますとおり、川の断面の変化につきましては5年に1回というのが標準になっておりまして、大きなインパクトがあった場合に臨時でやるというのが基本になっております。

 今年の球磨川の関係でありますとか、筑後川でも上流のほうの荒瀬とかで災害が出ておりますけれども、まだ洪水が起きたばかりで、これに対する予算措置でありますとか、調査方針というのがまだ組織的に決まっておりませんので、また決まった段階で対応についてはお知らせしたいと、先生にお知らせしたいと思います。

○矢野委員 分かりました。恐らく測量はされると思いますけど、された場合は、ぜひこちらにも御提供頂きたいということでよろしくお願いいたします。

○上村九州地方整備局河川部河川環境課長 承知しました。

○松野委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。

 では後半に行きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、次の3項目の発表に移らせていただきたいと思います。有明海南部海域及び八代海における藻場・干潟分布状況調査について、事務局より説明をお願いいたします。発表時間は5分程度でお願いいたします。

○横内補佐 環境省です。

 有明海南部海域及び八代海における藻場、干潟分布状況調査の結果について御説明いたします。有明海・八代海における藻場・干潟の分布状況については平成10年度以降把握されていないことから、環境省では広範囲を効率よく、かつ定量的に把握することができる衛星画像の解析手法を用いて、藻場・干潟の有無の分析をすることにより有明海・八代海における藻場・干潟の分布調査を平成30年度、31年度の2か年間調査を実施したところでございます。平成30年度には、有明海北部海域、31年度には有明海南部海域と八代海を対象に調査を行いました。平成30年度の調査結果については、第3回の小委員会で報告したところでございます。

 今回、昨年度行いました有明海南部海域と八代海の調査結果を中心に藻場・干潟の状況についてご説明いたします。表紙の次のページに行っていただきまして、調査の概要でございます。

 まず、左側の図になりますが、有明海・八代海等を再生するための特別措置に関する法律の有明海・八代海等の範囲でございます。有明海・八代海、橘湾、牛深町周辺の海面となっております。右側の図のピンクの線で囲まれた対象海域①というところが有明海の南部海域になります。

 続きまして2ページ、右下の図の黄色の線で囲まれた対象海域のところが八代海になります。

 続きまして、3ページ、調査方法についてです。広範囲を効率的かつ定量的に調査を行うことができる衛星画像による解析手法を用いて調査を実施しました。本調査では、画像ごとに藻場・干潟の有無を分析するもので、従来のヒアリングなどと比較してより詳細に分布域を抽出することが可能となっております。

 まず、このページの右側の図にヒアリング調査の特徴とありますが、既往の調査といたしまして、漁業関係者や学識経験者等のヒアリングを行い地図上に藻場・干潟の分布域を描画するものです。この緑色で書いた部分がヒアリングにより分かった分布域のイメージになります。

 今回衛星画像を用いたものというのが左側でございまして、画素数が3m×3mということで、画像解析によりまして詳細なデータが得られるということになっております。

 続きまして4ページ、衛星画像解析による藻場・干潟の面積についてです。以下の表が衛星画像解析の結果になります。30年度に行った有明海北部の結果も表に加えて有明海の合計を出しております。藻場につきましては、1,456.8ha、干潟につきましては18,799.3ha、八代海では、藻場2,385ha、干潟4,992.4haとなりました。

 続きまして5ページ、衛星画像解析による藻場・干潟の分布についてです。平成30年度に調査しました有明海北部の調査結果も含まれた図になります。左側が藻場の分布範囲の図です。緑色の部分が藻場になります。右側の図が干潟の分布範囲の図になります。黄色の部分が干潟です。

 続きまして6ページ、藻場・干潟面積の状況として既往のヒアリング調査結果との比較についてです。先ほど調査手法のところで御説明しましたように、過去は実際に地図の中に藻場や干潟の位置を書いてヒアリングにより行うことで実施しており、平成30年から31年度調査でも過去の調査と対比するため衛星画像を用いた手法とは別に、既往の調査と同じヒアリング調査の方法を用いて行っております。今回の結果から面積を算出して既往の調査と比較した結果が下の表になります。有明海と八代海について、平成30年から31年度のヒアリング調査結果では既往の調査と比較しましたところ藻場につきましては、約15%増加しております。また、干潟につきましては約5%が増加しております。

 7ページ以降につきましては、衛星画像による調査方法の参考ということで掲載しておりますので、説明は省略させていただきます。

 私からは、説明は以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。続きまして、ベントス群集と海域特性の関連性について、これも事務局から説明をお願いします。発表時間は10分程度でお願いします。

○横内補佐 環境省です。

 ベントス群集と海域特性の関連性について、検討した結果について御報告いたします。

 まず、海域環境に係る多角的な検討です。これまで、有明海・八代海の海域環境について底質・水質などのデータやベントスのデータを用いて様々な解析を行ってきたところですが、今回、海域環境をベントスの生息場所として捉え、ベントスの生物種の出現パターンから各調査点の底質の変動状況を把握する検討を行いました。

 検討手順としては、まずは、底質とベントス、それぞれのデータを類似度によりグループ化し、各グループの特徴を整理解析しました。ついでベントスの各グループで出現頻度が高く、かつ個体数比率の高い種を代表種として抽出し、そのうち底質との関連性が強い種を指標種としました。そして、これら底質グループ、生物グループ、ベントス群集の経年的な変動状況の比較を行いました。

 まず、底質データについてです。有明海の12地点と八代海の10点について、それぞれの海域でグループ化をしました。解析に使用したデータは2005年度から2018年度の底質データとT-N、T-S、Md、T-Pの4項目を用いてクラスター分析を行いました。

 結果です。有明海では、五つの底質グループに分けることができました。底質グループ1は、Mdが最も小さく、T-N、T-Pが大きい泥底、グループ2から4になるに従ってMdが大きく、T-N、T-P、T-Sが小さくなる泥底~砂泥底、グループ5は、Mdが最も大きく、T-N、T-P、T-Sの値が小さい砂底に分けることができました。

直近8年間の夏のデータのみについて底質データ、グループの変化を地図上に示しました。上段左が平成23年で右に向けて年代が進み、下段左が平成27年、下段右が最新の平成30年です。赤線で囲んだ湾奥の沿岸に近い場所はグループ1から3、すなわち粒径が小さく、T-N、T-P、T-Sが比較的大きい泥底、ピンクの線で囲んだ湾央や湾口ではグループ4から5で粒径が大きくT-Nなど小さい砂底が多くなっていました。

八代海についても五つの底質グループに分けることができました。有明海と同様な傾向でありグループ1から5になるに従って、Mdが大きくなりT-N、T-Sが小さくなる傾向でした。ただし、T-Pについては底質グループとの関連性は不明瞭でした。

 次、八代海での直近6年間の変化を地図上に示しました。赤線の湾奥や湾央ではグループ1から3、緑線の球磨川河口はグループ3や4で推移しました。ピンクの線の海洋に近い湾口では、グループ5で推移しています。

 次に、生物のデータです。

 生物も有明海と八代海に分けて、ベントスの種別個体数を用いてクラスター分析を行いました。

 結果です。有明海では、三つの生物グループに分けることができました。生物グループ1から3になるに従って、T-N、T-Pの値が小さくなりMdが大きくなる傾向が見られました。

 次に行きまして、生物グループ1は赤線で囲んだ湾奥や沿岸域に近く河川水の影響を強く受ける泥底に生息する種、グループ2は、緑線で囲んだ湾奥西部や諫早湾であり、河川水の影響を受ける泥底~砂泥底に生息する種、グループ3はピンクの線で囲んだ湾央や湾口であり、河川水の影響が少なく、潮通しのよい環境に生息する種がそれぞれ主体であると考えられます。

 次、行きまして、八代海では、四つの生物グループに分けることができました。生物グループ1から4になるに従って、T-N、T-Sの値が小さくなり、Mdが大きくなる傾向が見られました。T-Pについては、一定の傾向が見られませんでした。

 次行きまして、生物グループ1は、赤線で囲んだ湾奥で沿岸に近く泥底に生息する種、グループ2は、緑線で囲んだ球磨川河口や湾口東部であり泥底から砂泥底など、幅広い底質に生息する種、グループ3は、紫の線で囲んだ湾央や湾口で水深が比較的深く、外洋からの影響を受けやすい泥底などに生息する種、グループ4は、ピンクの線で囲んだ湾口であり、外洋の影響を強く受ける砂底に生息する種がそれぞれ主体であると考えられます。

 次に、底質環境の指標となる生物種の抽出です。

 ここでは、各生物グループについて出現頻度が高く、出現個体数の比率が高い種をグループの代表種として抽出しました。抽出条件は、グループ内の出現頻度が10%以上、かつグループ内の出現個体数比率が3%以上と設定しました。これによって抽出された代表種のうち、底質と関連性の強い種を指標種として選定しました。

 有明海の代表種の抽出結果です。

 生物グループ1は、泥底に多いシズクガイなどの2枚貝類が、グループ2は泥底に多い二枚貝類のほか、砂泥底に多い小型甲殻類が、グループ3は、泥底に多いホトトギスガイのほか砂泥底に多いドロクダムシ科、Corophium属が抽出されました。

これらの代表種のうち底質と関連性の強い種を指標種として選定しました。表中の赤字と青字の生物が選定された指標種です。赤字で示したトライズミゴマツボなどは、泥底で多く砂底で少なくなり、青字で示したゴカイの仲間パラオニス科などは泥底で少なく砂底で多くなる傾向が見られます。

 八代海での代表種の抽出結果についてです。

 生物グループ1は、泥底に多いホトトギスガイや、富栄養の指標種であるアサリが代表種として抽出されました。

 グループ2は、泥底に多いシズクガイのほか、砂泥底や砂底に多いケシトリガイや、有機汚染の指標種であるモロテゴカイが、グループ3が泥底に生息するゴカイの仲間である環形動物門が多く、グループ4は砂底に生息する甲殻類が多くなっています。

 八代海の指標種です。赤字で示したシズクガイなどは泥底で多く砂底で少なく、青字で示したゴカイの仲間のParaprionospio属(CI型)などは、泥底で少なく、砂底で多くなる傾向が見られます。

 以上の結果を基に、ベントスの指標種と海域環境との関連性について検討を行いました。有明海の底質グループ1では、カワグチツボ、シズクガイ、サルボウガイが多く出現しており、湾奥で沿岸域に近く、陸域からの土砂供給、河川水流入により、底質が変化しやすく、これらの指標種の顕著な増減は、底質の変化に伴う一時的な現象と考えられます。なお、サルボウガイは2012年以降では個体数が少なくなっており、この頃からサルボウガイについては、好適な底質ではなくなった可能性が考えられます。

 次行きまして、底質グループ2と3です。

 グループ2では、シズクガイが2007年以前に数回大きく増加、カイムシ目が2009年と2012年に大きく増加し、グループ3ではカイムシ目が2012年に大きく増加しています。シズクガイは、泥底に多く砂底になると出現率が低下し、カイムシ目は、砂底になるほど出現率が高くなるため、これらの種の増減が見られる調査年、あるいはその前年に一時的な底質形状の変化が起きていた可能性が考えられます。

 底質グループ4と5です。

 グループ4では、経年的な増減は見られませんでした。グループ5でも2006年から2008年のシズクガイ以外は、顕著な増減は見られず、底質変化の少ない状況が継続していると考えられます。

 八代海です。

 底質グループ1では、シズクガイが2008年に大きく増加した後は、個体数は少ない状況でした。泥底を好むシズクガイは、砂底になると出現率が低下するため、一時的な底質変化が起きていた可能性が考えられます。

底質グループ2とグループ3です。グループ2では、シズクガイが2007年以前に数回大きく増加し、その後は少ない状態です。そのため2007年以前には、一時的な底質変化の可能性が考えられます。

 底質グループ4では、シズクガイが2005年と2006年に大きく増加しており、この頃に一時的な底質変化の可能性があります。

 底質グループ5は、Caprella属が2005年から2014年に、Photis属が2016年に大きく増加、カイムシ目も増加している年があります。これらは、移動能力の高い小型甲殻類であり、その年、その年の一時的な底質変化によってそのときの底質に好適な種が蝟集した可能性が考えられます。

 最後に、今後の検討方針です。

 今回の解析では、底質と指標種の出現状況との関連性を解析し、底質環境の変動状況について考察をしました。今後の進め方として、底質の変動が起きている調査地点では、指標種と底質の経年変化を比較し、関連性の見られる場合には、変化要因を明らかにします。また、底質と指標種との関連性が見られない場合は、大雨による大規模な出水などの外的要因の関連性について、影響の有無や程度を解析します。さらに、沿岸部から離れている調査点などでは、近傍の水質データや連続データを収集活用し、指標種の変動状況を解析する予定としております。

 私からの説明は以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。続きまして、有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査について、林野庁の石飛補佐より説明をお願いいたします。発表時間は、10分程度でお願いします。

○石飛林野庁治山課課長補佐 林野庁でございます。早速ですが、2ページ目を御覧ください。

 我々の調査の背景ですけれども、有明特措法第18条におきまして平成23年度に当該海域と森林の関係に関する調査が新たに規定されたところでして、それを受けまして翌年24年度から委託調査によりまして、河川を介した森林と海域の関係について調査を開始したところです。平成27年度からは、それらの成果を受けまして、有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査としまして、森林の海域に与えているポジティブな影響について解析評価を行ってまいりました。

 本日は、この調査の結果について、中心に説明をさせていただきます。

 今、申し上げたポジティブな影響とは何かということで、3ページ目、これは、平成13年に日本学術会議の答申の中で、森林の有する公益的機能のうち水源涵養機能と土砂災害防止機能、土壌保全機能について有明海・八代海との関係において一定程度定量的に検証することを目指して進めてまいりました。

 4ページ目、本調査では、ページ中ほどオレンジ色の枠の中にございますように、二つ、森林の存在による水量の安定化が河川流出の定常化に寄与し、土砂を含む栄養塩類の安定的な供給、あるいは抑制につながっているかという点と、それから、右側の栄養塩類、有機物がどのように貯留され「いつ」「どのように」、下流に供給されるかという二つの観点、切り口で取り組んでまいりました。

 5ページ目、どのような手法をとるべきか、ということで検討を行いました。森林が流域を経て海域に及ぼす影響は、多面的、間接的な要素も多く絡んでおりまして、また下流域における土地利用等の要素が海域に与える影響も大きいものでございます。したがいまして、森林内の小流域での観測結果を積み重ねることだけで明確になるという正確なものではなく、流域全体の流出を捉える中で、森林の位置づけを評価することが有益であると判断いたしました。よって、流出モデル等の数理モデルを用いてマクロ的・演繹的に森林の影響を見積もるアプローチが有効と考えました。

 6ページ目、対象としましては、有明海・八代海を取りまく森林全てを対象にするというのは難しいということで、当初、一級河川(9河川)のうちまず1河川について、1河川の流域の森林を対象にしようということで検討を行いまして、菊池川流域を選定いたしました。

 次のページです。どの物質を対象にするかということで、「森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策検討調査」というのが平成16年度に行われていまして、この調査結果を基に、海域生産に寄与する水量、土砂量、栄養塩のうち、りん、窒素、ケイ素量を選定いたしましたが、ケイ素につきましては、モデルを後に選定したその都合によりまして対象外としているところでございます。

 次に8ページ目、どのモデルを用いるかという検討を行いました。流域スケールでの評価が可能か把握したい物質の解析が可能か、表流水及び地下水を含めた水文プロセスの評価が可能か、何より森林への適用が可能なのかといったことを検討しつつ、既に行われておりました64の流出モデルの評価結果と照らし合わせまして、GISとの親和性の高いSWATモデルというものを選出いたしました。

 9ページ目はSWATモデルの解説になっておりますので、後ほど御覧ください。

 10ページ目は、どのような手順で解析したということでございます。

 まず、左にありますようにデータ収集を行いまして、中央のSWATモデルの構築を行いました。パラメータの設定、構成、検証、シミュレーションというプロセスを経まして、最終的には、右側にございますアウトプットにあるように地表で言えば水収支、河川に流出する土砂生産量ですとか、河川で言えば流量を、河川を流下する土砂量といったものを算出しまして、さらに、シナリオ解析としまして、例えば森林施業形態別の影響の予測・評価といったことが行えるようにモデルの構築を進めてまいりました。

 11ページ目、モデルAのインプットを行うために現地調査を平成28年から令和元年度まで行ってまいりました。雨水、河川、土壌、地下水、それぞれ調査を行いまして、窒素、りん、SS、濁度といったものについて計測を行ってまいりました。

 12ページ目では、構築したモデルの精度について見てみたいんですけれども、右下にございます三つの評価指標のRSR、NSE、PBIASといったものを用いまして、この指標への適合性を見つつ精度を検証しながら進めてまいりました。

 水量流出につきましては、GoodとかVery Goodといった評価が得られまして概ね菊池川流域における降水量に応じた水の特性を捉えることができたのではないかと考えております。

 めくっていただきまして、13ページ目に、土砂量、栄養塩量の精度について述べております。

 右側のグラフは、上から土砂、りん、窒素になっていますが、赤い点が実測で、青いラインが解析値となっています。土砂とりんの推定結果はおおむねGood、Very Goodと高い精度が確認できましたが、窒素については多少過小評価の傾向となっております。ただ、後述しますけれども、森林のストック機能について見たときに、それなりに妥当の値が得られていますので、実測地点上流部のほかの土地利用からの窒素流出量を過小に計算している可能性があるのではないかというふうに考えております。

 14ページ目では、解析の結果について述べたいと思います。まず、水収支について左側の絵で示していますが、森林域に降った雨については森林内の表層や地中からの流域に注ぐものが51%、蒸発散により大気中に戻るものが35%、地下に浸透するものが11%程度というふうに算出いたしました。

 これを土地利用別に見たものが右のグラフでございます。グレーの部分が表面流になっていますが、この表面流について、森林はほかの土地利用と比べると少なく、またブルーの水色のところですけれども、地下水流量は多いといったことで、森林の水源涵養機能を一定程度、示しているのではないかと考えております。

 15ページ目、左側のグラフですけれども、青いポツが表面流、オレンジ色のひし形とグレーの三角が、いわゆる地中を流れるお水になりますけれども、森林では雨が強まっても表面流は地中を流れる水の量を上回らないということが分かるかと思います。

 なお、右上に2008年のシミュレーション結果値を集計とございますが、すみません、2018年の誤りですので、後のページについても同じ修正をするということでご了承ください。

 16ページ目、これはいずれも出水時について、雨の流出を抑え、渇水時には流量を維持するというような結果を示してございます。

 17ページ目、土砂、りん、窒素の流出量について、森林からはあまり多くないということを示すものですが、後に詳しく説明させていただきます。

 18ページ目、これは豪雨イベント時にどのぐらい流出するのかといったことを見た評価でございます。1年の流出量のうち、ここでは2017年の九州北部豪雨でどれだけ流出したかという、その割合を見ていますが、右側の円グラフにありますとおり、土砂とりんについて、豪雨時に多く流出する傾向があるということが分かるかと思います。

 ただ、19ページを見ていただきますと分かりますように、年間の流出量を土地利用別に比較してみますと、森林については、土砂、りん、窒素のいずれについても比較的少ないのではないか、一定程度、流出を抑制していると言っても良いのではないかと考えております。

 20ページ目、冒頭に御説明した切り口の2点目であるストック機能についてです。下の四角の中にありますけれども、流域全体で見ますと年間でヘクタール当たり4.4kg流出するところ、森林につきましてはヘクタール当たり1.2kg貯留するということで、森林は雨水から供給される窒素を貯留しているということを確認しております。

 21ページ目からは、森林そのものの成長や増減に伴う変化が流出に及ぼす影響について、見ております。1970年代と2010年代の2時点のデータを作成、比較いたしました。

 右下にもございますが、およそ40年を経まして31年生以上の針葉樹の割合が増加しておりまして、菊池川流域の森林の多くが成熟期に達しているということが分かります。

 22ページを御覧ください。右上のグラフ、ピンクの線が1970年の推定値、青のラインが2010年の推定値でございますが、これを見ますと森林が成長しました2010年代の結果、2010年の流出量がピーク流量を抑えているということが分かるかと思います。

 また、下の表を御覧いただくと分かりますように、森林の成長によりまして、年間の土砂流出量は抑制され、りんも減少傾向であるということが分かるかと思います。

 23ページ、最後、取りまとめですけれども、今まで御説明させていただきましたように、森林が海域に果たすポジティブな役割については一定程度明らかにすることが出来たと考えております。今後、本解析により得られたデータを用いまして、シナリオ解析を行いまして、そういったことを踏まえまして陸域と海域との関係について、予測評価を行うことが可能となってきたと考えております。

 今後、これらにより将来的には、望ましくは森林や土地利用の変遷と海域環境の変遷を対比しながらシナリオ解析を行うことによって、将来のより良い陸域と海域の関係を見出すことなどにつながればいいのかなというふうに考えておりますが、一方で本調査の対象外としている物質については森林からの流出に関する知見が不足している状況ですので、こういったものへの対応が必要だと考えております。

 24ページに今後の調査の方向性ですけれども、これまで構築してまいりました菊池川モデルをベースとしまして、有明、八代海へ流入する残る8の一級河川について、同様の解析を行っていく予定です。本年度は筑後川、球磨川を予定しておりましたが、今般の被災を受けまして、変更も視野に検討しているところでございます。9流域を全て終わりましたら、総合的な評価を行うよう、引き続き調査を継続してまいります。

 最後、25ページ、今後の対応ですが、今後は海域側で必要とされている情報をもう少しよく把握いたしまして、森林域で調査すべき物質に不足がないかという再確認をする必要があると考えております。本事業では未検証の栄養塩類、微量元素、有機物等を対象に、引き続き追加調査の必要性の有無、調査方法等について、検討を行ってまいりたいと考えております。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、議題の後半の3項目について、御説明いただきました。御意見、御質問があれば、お願いしたいと思います。

 橋本委員、お願いいたします。

○橋本委員 流出の評価の中で、土砂流出の評価の方法を教えてください。

○松野委員長 分かりました。土砂の評価の方法、林野庁から回答をお願いいたします。

○石飛補佐 林野庁でございます。

 土砂の評価の仕方ということですけれども、実は今のSWATモデルにつきましては、通常の降雨時に地表面が侵食されるものについては考慮されておりますが、土砂崩れ等の現象を考慮することが出来ておりません。これをさらに評価していくためには、追加モジュール等を作成することで土砂流出等も考慮出来るようにモデルを改良することが出来ると考えていまして、今後、必要に応じて、こういったことにつきましても、専門性の高い課題になりますので、研究者の方と連携しながら、別途進めていけるのかなと考えております。

 お答えになっていますでしょうか。

○橋本委員 再度の質問ですが、よろしいでしょうか。いわゆる土地の利用形態によって表面の土砂の侵食速度が変わるという捉え方で評価されているのでしょうか。

○石飛補佐 林野庁です。御指摘のとおりです。

○橋本委員 それでは、渓流とか、あるいは河川の中に流出した土砂が河道を流下し海へ流出する場合はどのように評価されていますか。

○石飛補佐 今回のモデルでの評価では、森林からの流出というものを見ていますが、今のお尋ねについては森林からの流出の部分の話でよろしいでしょうか。

○橋本委員 二つあります。一つは、森林エリアからの土砂流出の評価方法、二つ目は、それから渓流とか河道に土砂が入った場合、その後に海へ流出する場合の評価の方法、その2点です。

 

○石飛補佐 すみません、きちんとしたお答えになるか分からないのですが。SWATモデルというのは、規定値が既に経験則からデフォルトで入れられておりまして、そういったものに加えまして、当方の文献調査ですとか現地調査で得られたデータをインプットして解析したものとなっておりまして、私もこの場ですぐに森林内の侵食部分と、渓流に入ってからの侵食部分、流出している土砂の量というのを差別的に扱っていたかどうかということはお答え出来なくて、大変恐縮ですけれども、後ほど御回答ということでよろしいでしょうか。

○橋本委員 分かる範囲で結構ですので、よろしくお願いします。

○松野委員長 先ほどの資料の10ページに、モデルアウトプットとして河川を流下する土砂量とか、河川を流下する、りん、窒素量とかがありますので、モデルとしては何か結果があるのでしょうけれども、それを実際の現地調査から評価するということはやっていないということですか。河川がどれぐらい運んでいるかというのは、前半の河床の変化というところのデータとの関連で評価が示されているように思いますが。これからまたコメントいただければと思いますけれども、林野庁のデータからは、現地調査から、河川が運ぶ土砂量は今のところは評価されていないということでよろしいですか。

○石飛補佐 基本的に公表されている計測データに合うようにモデルを調整しているところですので、一定程度、算出はしていますが、現地調査の結果は、一定の期間、一定の回数しか採取していないところもございまして、モデルでの算出結果だけになります。

○松野委員長 ありがとうございました。

○橋本委員 了解です。

○松野委員長 では、古川委員お願いいたします。

○古川委員 ありがとうございます。

 資料5の環境省様からの御提供資料で、藻場・干潟分布調査について、二つ質問させていただきたいと思います。

 藻場・干潟につきましては有明、八代の非常に重要な生態系ということで、自然環境保全基礎調査に続く調査がされているということを大変有り難く思っております。

 特に藻場についてなんですけれども、今後、ブルーカーボンとして非常に注目されているところですので、一つ目の質問は、藻場として今は一くくりに調査されていますけれども、これを海草または海藻、海藻の中をガラモとケルプ類みたいな、そういう小分類にされていくような予定があるか、ないかということをぜひお聞かせいただきたい、ぜひそういう方向にまで行っていただけたら有り難いということです。

 2番目は、6ページ目の表がよろしいでしょうか、このヒアリング調査とサテライト、衛星データとの差というのが、実際の藻場調査の結果を、4ページのデータと6ページのデータを重ねて見ていきますと、倍、3倍というような大きさで違っている。

 一方、最後のページ、17ページに参考として精度の話が出ていて、藻場の解析制度は90%近くありますよということがご紹介されています。ただ、これは藻場以外のところが大変に大きな領域を占めていて、本来は藻場であったところが藻場としてカウントされていないもの、また、衛星画像から藻場としてカウントされたけど現地では藻場でなかったものというようなところで評価すると、9割近い精度というのは、評価の仕方がこれでよろしいのかということを確認させていただきたいと思っております。

 以上2点、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 藻場調査に関して、一つ目は藻場の分別が出来るか、やってほしいと。

○中野室長 一つ目の御質問ですけども、藻場の種類、例えばアマモとガラモですとか、そうしたことに分けられないかというのは我々も次の目標として持っておりますが、もともとこの調査自体が、端的に申しますと衛星画像に映っている色の違いで藻場ですとか干潟を判定しようと、最も簡単に言うとそういうやり方をしておりますので、技術的にどこまで出来るかはあれですが、少なからず、これまでフィールド的に、まず瀬戸内海でこのやり方をやってみて、今回、有明海、八代海と、地点を増やしてまいりましたので、ゆくゆくは種類別なども、出来るようなところも含めて、検討はさせていただきたいと思っております。

 2点目の御質問ですけども、今回、衛星調査の結果とヒアリングの調査結果を同じ次元で比較出来るかという点になりますが、衛星画像は有明海、八代海で映っている全てのエリアを定量的に評価出来るのですが、既往のヒアリングに関して申しますと、全ての海域を網羅的に評価出来ているわけではない、資料5の6ページにありますけども、有明海、八代海の一部のエリアと、黄色い上の四角囲みの2行目に書いておりますとおり、ヒアリング対象となっているエリアは、衛星画像の調査対象と比べると若干狭いエリアでヒアリングして、どこが藻場ですか、干潟ですかというような聞き方をしている調査になりますので、まず同じ次元で比較出来ないということでございます。

 その上で、若干、私見も交えて申し上げます、瀬戸内海でも同じ調査をしたことを踏まえて申し上げますと、ヒアリングはどうしても、期間を見ていただければ分かるとおり、今回の調査の前のヒアリングは平成9年度と、およそ20年前の調査になっておりまして、ヒアリングする相手方も変わるなど、かなりそういう変動の要素もありますので、出来ればそれを定量的に同じ物差しで出来るようなやり方として衛星画像での調査というものを今回させていただいて、衛星画像で調査したところと実際に現地を見た比較を申し上げれば、精度はそれなりに高かったということであります。ヒアリング調査もそれなりに意義がありますが、客観的な精度の点で同じように比較は出来ないというのが、我々が考えているところでございまして、ぜひ御理解いただければと存じます。

 以上です。

○古川委員 御回答ありがとうございました。

 1番目については大変期待しております。どうぞよろしくお願いします。

 2番目については、ヒアリングの結果について、ちょっと否定的なお答えともとられかねない回答だったので、ちょっと危惧しておりますけれども、ヒアリングの領域が限定されているのであれば、限定された領域に対して衛星画像のデータを抽出するようなこと、エリアの絞り込みは非常に簡単に出来るはずです、だから何か、現地調査したところだけのデータで評価されていることに疑問を持ったということと、現地調査についても、藻場以外について、両者が一致した部分の6万点のデータでの評価になっていますけど、藻場について、藻場が誤認されたか、または存在する藻場を見過ごしたかということに対しての評価ということを、もう少し定量的に見るべきではないかという、評価に対しての、方法についての意見でございます。

○中野室長 すみません。ヒアリングの精度ということを申し上げたのではなくて、調査のやり方が、物差しが違い過ぎるので、その違いを申し上げまして、もちろんヒアリングは同じやり方で、今回のトレンドを見るためにはやはり同じヒアリングのやり方が必要だということで、過去からの増減についてはヒアリングで比較させていただいておりますが、また別の物差しで測った、この衛星画像による評価は、おっしゃるとおり、ヒアリングとの比較というのも今後してまいりたいと思いますが、今後、ヒアリングの場合はどうしても人海戦術のように、人と時間もかかる調査を、出来るだけ最新技術を使って効率的に行うことで、20年ぶりにやる調査よりは、もう少し頻度を上げて、同じやり方で調査が出来るものと考えておりますので、ぜひ今後また、この調査結果などに御期待いただければと思います。

 以上でございます。

○古川委員 大変に期待しております。どうもありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。吉永委員。

○吉永委員 林野庁に質問というか、半分は確認です。18ページの円グラフですが、こちらに四つ並んでいる円グラフは森林の流域からの流出量でよろしいですね。隣に、読めないのですが、菊池川の流域のある地点の日流量が出ていますが、その地点における割合ではないですよね。

○石飛補佐 すぐにご回答出来ないのですが、森林からの。

○吉永委員 そのはずだと思います。

○石飛補佐 そうですね、基本的に森林からです。

○吉永委員 あと、ここの窒素とりんの割合がもう少し増えてもいいのかなという感じは受けます。例えば流出量が4%で、窒素流出量が3%になっているということを考えると、大雨の流出のときのほうが窒素濃度は低いということになります。農村流域で計測している経験から言うと、雨のときは下がることはあまりないかな、というのが少しあります。

○石飛補佐 分かりました。ありがとうございます。窒素について、少し精度上の問題があるのではないかと、中でも捉えておりまして、モデルの精度を向上させた上で、また改めて御説明の機会があればなと考えております。

○吉永委員 御検討ください。よろしくお願いします。

○石飛補佐 ありがとうございます。

○松野委員長 お願いしますということで。

 ほかに、どうしてもというのがなければ、進めたいのですが、よろしいでしょうか。

○山口委員 すみません。さっきから手を挙げていたのですが。ベントスのほうで、資料6のところですが、今回の遷移、かなり俯瞰した形での全体的な把握が出来るようになって良かったと思いますが、有明海のクラスター解析は、なるほど、ふんふんという感じで見ていまして、八代海ですね、8ページのところ、TPのグループ5を見ると、非常にりんが高いという、ちょっと不思議な現象が起こっているので、これは何かりんを吸着するような覆砂の地点か何かが入っているかどうかというのが、一つ質問です。

 それからもう一つは、今回すごく俯瞰した形で非常に複雑で大量なデータを整理していただいて、分かりやすくなったと思うのですが、今言ったような、ばらつきの大きな場所ですね、八代海のグループ5とか、あるいは有明海のほうですとグループ1のTSなんかはかなりばらつきがあることが分かりますので、こういうのに関してはもう少し、さらに中身が分かるような形での解析をしていかなきゃいけないだろうと思いますので、その辺を言っていただきたかったことと。

 それから、同じようなことですが、後半のほうの22ページ以下、ベントスの出現状況等を整理していただいているのですが、経年的な変化は結構あると。要するに、調査を始めた2005年から2008年とか9年ぐらいまではいろいろなベントスが出ているのに、それ以降の出現状況が減っているというような経時的な傾向がやはりあるように見えますので、その点をどういうふうに今後生かしていかれるかというところの2点です。

 ありがとうございます。

○松野委員長 ありがとうございます。では。

○中野室長 環境省でございます。

 おっしゃるとおり、今後の解析を深めていくためには、今御指摘いただいた点、御質問の点も含めてなんですけども、もう少し調査を開始しなければならないかと思っています。まだこれは第一歩というか、取っかかりに近いところなんですけども、まずはこうしたデータの分析、整理をさせていただきましたので、本日御指摘、御質問も含めて、いただいた点を踏まえつつ、今後の検討の中で、この点をさらに深掘りしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○松野委員長 ばらつきの大きいところとか、それから時系列で変化が大きいところは、中身をもうちょっと見ていく必要があるということだと思います。

 東委員、御質問をどうぞ。

○東委員 林野庁様の御発表についてですが、まず第1にスライド13枚目ですが、まだモデルの結果があまり合っていないということですが、ベースラインが合っていないことを考えると、ひょっとしたら点源の負荷量が合っていないのかなと推察されます。生活排水や事業場排水等をどのように与えたのでしょうか。

 あと、19ページの土地利用別の流出について、窒素の、りんの流出については順番的にはこんなものかなと思うのですが、土砂流出については、森林の寄与が非常に少ない気がします。恐らく一つの観測点のデータを基にして、たくさんの土地利用からの流出を組み合わせて一つの土砂流出の濃度を作っていることから考えると、その振り分け方というのがかなり重要なんじゃないかなと、まだ調整の必要があるのではないかと思っております。恐らくこれは、ほかの流域にモデルを展開していったとき、同じパラメータを適用したときに、検証できたり、課題が見えてきたりすると思いますので、その辺りを次の流域と併せて御検討いただければと思っております。

 以上です。

○松野委員長 林野庁さんの御回答はありますでしょうか。

○石飛補佐 林野庁でございます。

 まず1点目のご質問ですけれども、窒素のインプットとして何を入れたのかというような御質問でよろしかったでしょうか。

○東委員 流出が雨に関係ない点源、生活排水とか事業場排水はどのようなデータを与えたのかと。

○石飛補佐 インプットとして下水道、それからそのほかの生活由来排水、畜産由来排水に含まれる窒素の量など、文献情報を基に設定させていただいておりますが、御指摘のとおり、我々も、この値がちょっと適正ではない可能性があるのかなと考えておりまして、改善の余地があると考えております。

 それから2点目の土砂の量の関係ですけれども、今いただきました御指摘を踏まえまして、ちょっと先ほども別の方への回答で述べさせていただいたのですが、土壌の表面侵食の部分だけが考慮されているといったところも、もしかすると大きな原因なのかもしれないと考えておりまして、次回以降、他の河川に適用する際にも、御指摘の点を踏まえまして対応してまいりたいと思います。ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。この辺り、御検討いただけるということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題1の質疑を終えたいと思いますが、どうもありがとうございました。

 では引き続きまして、議題2の有用二枚貝に関する情報収集等につきまして、タイラギの減少・斃死要因と海域特性の関連性について、事務局から説明をお願いいたします。発表時間は10分程度でお願いいたします。

○横内補佐 環境省です。

 有明海の有用二枚貝の関係ですけど、タイラギの減少・斃死要因と海域特性の関連性について、検討した結果を御報告します。

 まず、検討目的です。

 現在まで、海域環境の変化と二枚貝類を含めた底生生物群集の変化の原因、要因の検討を行ってきましたが、その原因、要因は複合的と考えられるため、底質のみならず、気象、海象などのデータを用いた評価が必要となっております。特に、有用二枚貝は漁獲量の減少が顕著であるため、集中的な検討が必要です。このため、国や関係県での実証試験等の調査研究による知見を情報収集するとともに、海域環境の状況も追加的に考察することにより、有用二枚貝の減少要因を解析し、その再生方策の取組を推進することを目的としております。

 検討手順です。

 まず、2000年以降における福岡、佐賀、長崎、熊本県の水産試験場等によるタイラギに関する文献や、第2回、第4回の小委員会の資料を基に情報を収集し、これらに記載のある実証試験の調査地点、方法、斃死要因に関する考察などの整理、要約をしました。次いで、これらの実証試験が実施された海域環境について、水温等のデータを整理し、追加的な考察を行いました。最後に、これらの成果を総合的にまとめ、今後の調査、解析、検証の方向性を検討しました。

 なお、これらの検討については、関係県から新たな情報提供や助言を集約、共有しつつ、進めました。

 ここで、参考としてタイラギの生息に適した環境条件について、今までの知見を整理しております。

 底質の条件として、浮泥堆積厚、硫化物量、強熱減量、泥分率、中央粒径、ここではMdφ、水質の条件として水温、塩分、溶存酸素に関する知見が得られています。追加考察の際には、これらの知見と比較することで減少・斃死要因に成り得るかどうかを判断しております。

 以上の検討を行いまして、海域別にタイラギの減少・斃死要因を整理しました。

 まず、A1の海域です。

 A1海域は湾奥部に位置しますが、タイラギの減少・斃死要因として、2009年や2010年の大量の降雨による低塩分化や、低塩分に伴う躍層が形成され、底層の貧酸素化が生じたことが要因に挙げられます。また、食害による影響のほか、2014年~2017年の調査では、餌料の指標となるクロロフィルaと有機炭素量は高い傾向でしたが、濁度が高いため、摂餌が十分に出来なかった可能性が示唆されています。

 次に、A2の海域です。

 この海域は湾奥部の東側の海域ですが、A1海域と同様に貧酸素、冬季の硫化物、ナルトビエイによる食害、濁度が高かったことによる摂餌障害、低塩分による影響など、様々な要因が挙げられています。

 A3海域です。

 この海域は湾奥西側に位置しますが、ナルトビエイによる食害や低塩分、低塩分に伴う貧酸素が要因に挙げられます。

 A4の海域です。

 この海域は有明海中央で、熊本県沿岸に位置します。2006年の異常斃死が確認された時期に底質の硫化物が増加し、pHも低下している傾向から、硫化水素の発生が要因となった可能性が示唆されていますが、その他の貧酸素、水温、低塩分、食害などによる影響は確認されておりません。

 A5の海域です。

 この海域は2002年にタイラギの生息密度が急激に低下した際に、砕かれたタイラギの殻や、すり鉢状のくぼみが観察され、ナルトビエイの胃内容物からタイラギが確認されていることから、食害の可能性が高いと考えられます。

 A6の海域です。

 この海域は諫早湾に位置しています。2004年にシャットネラ赤潮による貧酸素や食害による影響が、2015年には低塩分による影響が要因として挙げられます。

 最後に、A7の海域です。

 有明海の湾口部に当たる海域です。2018年に実施した移植試験では、三会、燗場島で小型捕食者による食害が示唆されています。ただし、この海域では全般的にタイラギの生息状況に関する情報は少ない状況です。

 今後の調査・解析・検証の方向性と課題をまとめました。

 まず、全般的な事項として、シミュレーションによる環境データの再現が挙げられます。タイラギの減少・斃死要因の解析に関しては、環境データが十分そろっていない状況にあります。今後、シミュレーションによって必要な地点の環境データを再現し、このデータを活用することが望ましいと考えられます。

 なお、本来、底質環境を含めた生態系モデルによるシミュレーションを行うことが理想ですが、モデル構築に手間と時間を要するため、まずは水温、塩分、溶存酸素等に焦点を絞ったシミュレーションを先行させることを検討します。具体的な検討事項としては、A2の海域では立ち枯れ斃死による大量死の要因を検討することが挙げられます。特に、餌料と濁りに着目したメカニズムの解析、検討が必要と考えられます。

 また、A2とA3の海域の海域環境を比較し、タイラギの生息条件と、浮泥層厚や餌料環境との関係についての知見の整理や現地観測を実施し、この結果を比較して相違点を明らかにする必要があります。

 続いて、低塩分と貧酸素による複合要因、浮泥層厚・餌料量・摂餌環境などによる複合要因による影響が指摘されており、これら複合的な要因の解明、要因相互の関係解析が挙げられます。また、貧酸素に関しては海底直上や間隙水中の酸素濃度の把握、硫化物量に関しては、A4海域での硫化水素の発生状況のモニタリングが挙げられます。

 また、A5の海域とA7の海域ではタイラギの情報が少ない状況にあるため、今後、さらなる情報収集、整理に努めると共に、これ以外の海域では2009年と2010年にタイラギの漁獲量が比較的あったことから、この時期の環境データと、漁獲がほとんどなかった時期の環境データとを比較し、相違点を整理、解析することが必要と考えられます。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問を承りたいと思います。よろしくお願いします。

 特にございませんでしょうか。なければ、以上で議題2を終了させていただきます。ありがとうございました。

 では、議題3ですが、小委員会における情報の収集・整理・分析の実施状況についてということで、これは有明海・八代海等総合調査評価委員会、親委員会での今後の進め方、今後の審議で、この小委員会での作業結果を報告することになっておりますので、事務局において作成した評価委員会への報告のために、令和元年度からの小委員会の実施状況を取りまとめた資料について、ここで審議いただきたいと思います。

 それでは、評価委員会への取りまとめについて、事務局から説明をお願いいたします。時間は10分程度でお願いいたします。

○横内補佐 環境省です。

 小委員会における情報の収集・整理・分析の実施状況について、海域環境再生方策検討作業小委員会について、御説明いたします。

 表紙をめくっていただきまして、この資料についてですが、第1回~第3回の水産資源再生方策検討作業小委員会及び海域環境再生方策検討作業小委員会において、今後の情報収集等の具体的な作業方針を決定しており、これを踏まえて第4回と、今回行っております第5回の海域小委において、情報収集を行っているところであります。本資料については、小委員会で行ったことを評価委員会へ報告するために、環境省において、小委員会の資料を基に、まとめたものになります。

 次に、小委員会の作業方針については、小委員会の作業分担として、海域小委の情報収集、整理、分析では、汚濁負荷など、海域環境やベントスなどの生態系を行うことになっております。また、海域小委の主な検討事項の作業分担では、ベントスや有用二枚貝、ノリ養殖、魚類など、4項目全体に係る海域環境に関する事項について、行うこととなっております。

 次、海域小委における情報収集の状況についてです。第4回海域小委が昨年11月に開催され、環境省から2項目の報告がありました。それから本日、第5回海域小委において、先ほど関係省庁等から七つの項目について、御報告されたところです

 次に第4回の海域小委での環境省からの有明海、八代海における海域特性についての報告です。海域全体の底生生物の状況や、底生生物の変動要因の検討を行っており、まとめとして、現時点では底生生物の変動要因について、一定の傾向が見出せていない状況です。

 今後の課題として、底生生物の種や季節別の変化状況等に着目したデータの整理や、底生生物へ影響を与える要因を整理して、底生生物と環境要因との関連性を確認することが挙げられます。

 次は、環境省から、令和元年8月の前線に伴う大雨の影響についての報告です。昨年8月26日~29日の大雨の影響について、環境省の底質調査や、国交省の河川流量の調査や、気象庁のアメダスのデータにより検討したところ、湾奥部において底質CODが上昇していることや、湾中央部や湾口では大きな変動が見られないということがありました。

 次のページ以降が、本日行いました第5回小委員会の概要になります。

 環境省からの有明海南部海域及び八代海における藻場・干潟分布状況調査の報告です。衛星画像解析により、藻場・干潟分布図を作成、藻場・干潟のヒアリング調査結果と既往調査結果を比較しております。衛星画像による藻場・干潟分布図を掲載しております。

 続きまして、8、9ページにつきましては、環境省からのベントス群集と海域特性の関連性の報告についてです。海域環境をベントスの生息場所として捉え、各海域に生息する生物種の分布特性に基づいた解析を行い、生物種の出現パターンから各調査点の底質を中心とした海域環境の変動状況を把握すると共に、変動要因について検討したものです。

 今回の解析では、底質データと生物データの両面から、類似度による調査点のグループ化、各グループの特徴の整理、底質環境と関連の強い生物種の特定、指標種の出現状況から底質環境の変動状況について考察しました。

 今後の検討として、経年的な底質グループの変動のある調査点や、底質と指標種の変動に関連性がない場合、沖合や出水等の影響が小さいと考えられる調査点と、それぞれの場合に分けて記載しております。

 続きまして、10、11ページについてです。

 環境省からのタイラギの減少・斃死要因と海域特性の関連性についての報告です。タイラギを対象に、国や県などの調査研究により得られた知見や、海域環境状況等のデータを海域別に整理し、有用二枚貝の減少要因を解析しています。海域ごとのタイラギの減少要因の考察を整理しており、今後の課題として、全般的な事項としては、シミュレーションによる環境データの再現、具体的な検討事項として各海域の減少要因の検討事項を記載しております。

 続きまして、12ページにつきまして、農林水産省の農村振興局から、国営干拓環境対策調査についての報告です。

 底質特性別海域区分図の作成は、既往の底質調査の結果を基に、含泥率などの底質特性によるクラスター分析を行い、底質特性別海域図を作成しております。

 また、底質撹拌による底質改善効果調査では貝桁を曳航し、底質を攪拌し、攪拌前後の底質改善効果を確認したところ、強熱減量、硫化物含有量に一定の底質改善効果を確認しております。

 続きまして、13、14ページにつきましては、国土交通省港湾局の、有明海・八代海における海洋環境整備事業についての報告です。

 海洋環境整備事業では、有明海、八代海、橘湾に海洋環境整備船の海輝、海煌を配備し、海上の漂流ごみの回収や環境調査を実施しております。環境調査の水塊構造調査では、水温、塩分、DOなどを測定、底質・底生生物調査では粒度組成や全硫化物などを調査しております。環境調査の結果として、水温、塩分、クロロフィルaなどの結果について、記載しております。

 続きまして、15ページにつきまして、国土交通省九州地方整備局の土砂に関する知見の蓄積に関する報告です。

 筑後川中流域における土砂発生量や堆積量等についての調査や、豪雨災害後の筑後川の河川状況について調査しており、結果として、平成24年や平成29年の豪雨による山地部崩壊等で発生した土砂は、その多くがいまだ山地部に残存していると思われ、今後の降雨により筑後川へ流出してくると想定される。今後の基本方針としては、定期的な基礎調査を実施し、崩壊土砂の流出、河道内の土砂堆積と流下、生物環境への影響について、継続的にモニタリングを行い、モニタリング結果から治水、利水、環境への影響を把握し、崩壊土砂の流出に伴う河川管理上の問題が生じた場合には、必要に応じて適切な対応を実施する。

 16、17ページについては、林野庁の有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査報告、

中間の報告です。

 調査概要といたしまして、菊池川流域を対象に、流出モデルを用いて水量、土砂量、栄養塩等を解析し、森林の持つ、森林の水源涵養・土砂流出安定化機能、森林のストック機能について、定量化しています。

 モデル構築に必要な現地調査として、菊池川流域の雨水、河川、土壌などの調査。

 事業の成果まとめとして、平水時の地下水量が多く、出水時には表面流を抑える傾向があり、森林の水源涵養機能を示唆するなどがあります。

 課題として、有明海、八代海等に注ぐ他の河川流域の流出特性を把握しておらず、当該海域の周辺の森林全体として、当該海域にどのように影響を及ぼしているかについて、定量的に明らかになっていない。水、土砂やりん、窒素以外の物質が森林から当該海域への流出に関する知見が不足している。

 今後の調査方向として、菊池川モデルの他流域への適用や、本調査の解析対象外の物質への対応が挙げられます。

 以上です。

○中野室長 環境省から補足させていただきます。

 この資料については、冒頭に横内が申し上げましたとおり、本来は小委員会の作業状況を毎年度、親委員会でございます評価委員会に報告するというような会議の進め方となっているところでございますので、昨年から行われております2回分の小委員会の開催状況を、かなり各回の資料が大冊でございましたので、事務局のほうでサマライズさせていただいた資料でございます。

 ただ、本日、議題になった各調査報告の中には、先ほど委員の皆様方から既に今後の課題ですとか取組の方向性について、御指摘いただいた部分がございます。例えば、この資料の7ページでございますが、当省で行いました藻場・干潟分布状況調査につきましては、先ほど古川委員から、藻場のさらに種別の解析が出来る方向ですとか、そうしたところも検討すべきと、あるいはヒアリングとの比較をもう少し出来ないかといったところを、今後の多分、課題として書くべきでしょうし、それからその次の8、9ページ、ベントス群集と海域特性の関連性については、特にクラスター分けしたところの、ばらつきのある部分のより詳細な解析をすべきといった御意見も頂戴いたしましたので、これはこの後、事務局でその部分も今後の課題としてここに加筆させていただこうと思いますが、このような観点で、特にリマークすべきような点がございましたら、本日御意見を頂戴出来ればと思っている次第でございます。

 以上でございます。

○松野委員長 ありがとうございました。

 今、中野室長からも御説明がありましたように、このような取りまとめですけれども、今日の小委員会での御質問等を踏まえて修正していきたいということですが、さらに、このまとめ方について御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 古川委員、お願いいたします。

○古川委員 ありがとうございます。海辺つくり研究会の古川です。

 今回の議論については改めて取りまとめをいただくということでお願いしたいと思いますけれども、一つは、この小委員会では各事業主体の方々が挙げた成果を個別にお聞きして、それに対しての意見を申し上げているところです。今日多く議論になったところとして、森林だとか川を通して出てきた土砂がどのように海域に流れていくのかという境界領域のところ、先ほど非常にいい例もありましたけれども、境界になっている部分も含めて解析していくことかなと思っています。ですから、ちょっと個別の発表に対しての方向性ということではないのですが、評価委員会のマターかもしれませんが、小委員会としても、各エリアだけではなく、包括的な見方で、こういったデータを解析したり、評価したりしていく必要があるようなことを強調してはいかがかなと思いました。取扱いについては委員長に一任いたしますので、コメントということで、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 ありがとうございます。

 特に陸域からの土砂等のいろいろなことでの調査検討がありましたが、それが海にどういうふうに影響するかというので非常にたくさんの御意見をいただきましたし、そこをやっぱりちゃんと評価する必要があるということを、小委員会での検討事項として入れておきたいと考えます。

 ほかに御意見はございますか。

 特に御意見はございませんようですので、ただいまの意見を踏まえて、先ほど室長からもありましたように、評価委員会に提出する資料を修正したいと思います。それから、本日は欠席の委員もいらっしゃいますので、後でまた、お気付きの点等がございましたら、今日から1週間程度をめどに、事務局に御意見、コメントをいただければ幸いかと思います。

 修正内容につきましては、それを踏まえて事務局と検討していきますが、資料の修正については、委員長と事務局に御一任くださいますよう、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしければ、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、議題3を終了させていただきます。ありがとうございました。

 続きまして、議題4、その他でありますが、事務局から何かございますか。

○横内補佐 特にございません。

○松野委員長 ございませんようですので、それでは本日の委員会全体を通して、何か御意見がございましたら。ほかには、よろしいでしょうか。

 では、本日予定されておりました議事につきまして、これで全て終了いたしました。議事進行へのご協力、どうもありがとうございました。進行が不慣れで、どたばたしてしまいましたが、これで終了とさせていただきます。進行を事務局にお返しします。

○冨永主査 松野委員長、ありがとうございました。

 事務局から2点、連絡がございます。

 本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いします。内容確認後、議事録は環境省HPで公開させていただきます。

 次回の小委員会ですが、二つの小委員会の開催状況を踏まえ、評価委員会における御議論をいただいた後、改めて開催をさせていただきたいと考えております。小委員会の開催日程については、後日、日程調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして第5回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午前11時57分閉会

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