第39回有明海・八代海等総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成28年12月22日(木)15:00~18:00

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

委員長 岡田光正委員長
委員

岩渕光伸委員、上田直子委員、古賀秀昭委員、小松利光委員、滝川清委員、樽谷賢治委員、内藤佳奈子委員、中田薫委員、西村修委員、速水祐一委員、山口敦子委員、山田真知子委員、山本智子委員

1500分 開会

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 ただいまから第39回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開催いたします。

 最初に、本委員会は公開の会議となっていますことを申しあげます。

 初めに、環境省水・大気環境局長の高橋より御挨拶申しあげます。

○高橋水・大気環境局長 皆さん、こんにちは。水・大気環境局長の高橋でございます。

 本日は年末の大変お忙しい中にもかかわらず、多数御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。今日で39回目ということになりますけれども、この有明海・八代海等総合調査評価委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶申しあげます。

 まず、有明海・八代海等の再生につきましては、先生方御案内のとおり、有明海・八代海等再生特別措置法に基づきまして、関係省庁、関係各県と協力いたしまして、さまざまな対策を進めてきてございます。しかし、現状をみますと、赤潮あるいは貧酸素水塊の発生、あるいは有用二枚貝の漁獲の低迷、ノリ養殖での病害発生などまだまだ課題は残ってございまして、予断を許さない状況にあるというふうに考えております。

 この評価委員会でございますけれども、今年の3月に第38回の委員会を開催させていただきました。このようにお集まりいただきますのは9ヶ月ぶりということで、少し時間があいたところでございます。この間、作業小委員会を5回開催させていただきました。今日お見えの滝川小委員長、樽谷小委員長を始め、それから、岡田委員長にも毎回同席をいただきまして、多くの関係委員によりまして非常に活発な御議論をいただいてきたところでございます。

 本日の評価委員会におきましては、この作業小委員会で整理をしていただきました資料、かなりのボリュームになってきておりますけれども、これについて御審議をいただきたいと思っております。この評価委員会の報告書は、以前も御説明をしたかと思いますけれども、この平成28年度末を目途に取りまとめをしたいというふうに考えておりますので、ぜひ忌憚のない御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申しあげます。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 続きまして、委員の異動について御報告いたします。

 清水臨時委員が所属機関におけます人事異動に伴い退任され、本日御欠席でございますが、新たに国立研究開発法人森林総合研究所の小林委員が臨時委員に就任されました。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を小林臨時委員のほか、秋山委員、久場委員、清野委員、中田英昭委員、中村委員、山口啓子委員よりいただいております。

 本日は14人が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、配付資料を確認させていただきます。

 まず、本日の議事次第と座席表。ダブルクリップでとめたものが2つありますけれども、一つ目が、資料1-1として委員名簿、資料1-2として有明海・八代海等総合調査評価委員会委員会報告目次(イメージ)、資料2として「2章 有明海・八代海等の概要」、資料3といたしまして、「3章 有明海・八代海等の環境変化」。もう一つのダブルクリップでとめたほうは資料4というのが頭になっていまして、「4章 問題点とその原因・要因の考察」、その後ろのほうに資料5として「5章 再生への取組」ということで資料を配付してございます。不足の資料等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 報道取材の皆様、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行は岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 はい、かしこまりました。それでは、議事を始めさせていただきます。

 本日の議題でございますが、議事次第にございますように、1.として有明海・八代海等の概要について、2.有明海・八代海等の環境等変化について、3.が問題点とその原因・要因の考察について、4.再生への取組について、5.その他となっております。委員会報告の取りまとめに向ける時期になりまして、関係資料も目の前にございますように、たくさんになっております。ただ、時間も限られておりますので、議事進行に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。

 本日の議題の進め方でございますが、今回の議題の先ほどの1、2、3、4が報告書で見ていただければ2章、3章、4章、5章に対応しております。前回の評価委員会を3月に開催して以降、先ほど局長の御挨拶にもございましたように、海域再生小委と生物小委でそれぞれ5回の小委員会を開催していただきまして、大変精力的に御検討をいただきました。それが本日の2章から5章の部分ということになります。

 本委員会報告は、平成28年度内を目途に取りまとめられたらありがたいというふうに考えております。本日の評価委員会で御審議いただいて、次回、来年1月を予定されておりますが、評価委員会でパブリックコメントに諮る案を固めていただき、その後、パブリックコメントを行いまして、報告を取りまとめていただくということを予定しております。このため、本日の委員会では、各小委員会での検討結果について事務局より御説明をいただき、報告案の2章から5章になります。委員の皆様より御意見をいただければありがたいというふうに考えております。

 それでは、早速始めて、具体的な議題に入りたいと思います。議題1、有明海・八代海等の概要について事務局から御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 それでは、資料1-2をご覧ください。評価委員会の委員会報告目次のイメージとなっております。こちらについては、前回の3月の評価委員会でも見ていただいておりますが、そこから少し修正も加えられております。

 1章から5章まででございます。1章は評価委員会の経緯や開催状況など、これは、本日は用意できておりませんが、次回には用意したいと考えております。2章は有明海・八代海等の概要で、この後、引き続き説明をいたします。

 3章が有明海・八代海等の環境等の変化ということでありまして、1970年頃から現在までの経年変化といったところを中心に整理をしているものであります。順番について、陸域の負荷から水環境、そして、生物へということで、前回見ていただいたものから少し順番も変えているところもございますが、この流れで整理をしています。そして、1から9までの各節の本文の後にそれぞれまとめを入れております。そして、参考ということで、それぞれの節に入れたまとめと同じものですが、まとめだけまとめて見られたほうがいいというようなこともあるかと思いましたので、参考として、3章のまとめも入れております。

 そして、4章が問題点、そして、原因・要因を考察するという内容になっておりまして、こちらも5番でまとめというものを今回、案として用意しております。

 そして、5章が再生への取組。再生目標ですとか再生方策、そして、今後の調査・研究開発の課題と、そのような構成になっております。

 この目次のイメージは、現段階での報告の構成のイメージということでもありまして、この目次構成で報告のほうを取りまとめていくことでいかがかということであります。平成18年の報告においては、本編と別添参考資料ということで分けて整理しておりましたが、今回はそのようなことはせずに「まとめ」をつけておりますので、この構成でいかがかということでございます。

 続きまして、次のページ、資料2をご覧ください。本日、時間が相当限られておりまして、大変恐縮でございますが、ポイントを絞って概略説明をいたします。

 この資料2は2章相当の資料ということであります。有明海・八代海等の概要で、1番が海域の特徴でありますが、第1節が有明海・八代海は希有な生態系を有した水産資源の宝庫であるということ、そして、2パラ目、3パラ目が有明海の概要、その次の4パラ目が八代海の概要を書いております。

 そして、その次のパラで平成23年法改正がされておりまして、ここで橘湾と牛深町周辺、この次のページ、2-2ページに実際どういう位置関係かということで図もございますが、こちらが追加されているということも記載しております。そして、橘湾の概要、牛深町周辺の概要を記載しております。

 2-3ページをご覧いただきますと、表として有明海・八代海等の諸元についても記載をしております。

 次に、2-4ページでございますが、海域の背景ということでありまして、流域の人口も2-4ページの上に載せておりますし、下のほうには2040年将来人口推計、人口が少し減少する見込みであるということも記載しております。

 2-5ページに入りますと、上から気象の状況ですとか土地利用の区分、そして、産業の構造、水産業の概観といったことを記載しております。

 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明に関しまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。

 この部分はよろしいですか。

 では、とりあえず進めさせていただきます。

 それでは、議題2、有明海・八代海等の環境等変化について事務局から御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 それでは、資料3をご覧ください。この資料3は、先ほどの目次のところの「3章 有明海・八代海等の環境等変化」に相当する資料の案でございます。

 かなりかいつまんでになってしまいますが、飛び飛びになってしまいますが、ポイントを説明いたします。

 まず、1番の汚濁負荷でありますが、有機物や栄養塩の海域への流入は、赤潮や貧酸素水塊発生等の要因となる可能性があることから、有明海・八代海へのCOD、T-N、T-Pの汚濁負荷量について経年変化を算定したということでございます。

 まず、その排出負荷量でございますが、データは次のページにグラフを掲載しておりますので、そちらをご覧いただければと思いますが、まず、各発生源から排出される負荷量ということで、有明海のCOD、T-N、T-P、八代海のCOD、そして、T-Pの排出負荷量は、1975年から1985年頃が高くて、徐々に減少していると。八代海のT-Nについては、長期的な変化傾向はみられないということであります。

 次に、3-1-3ページの下側からが陸域からの流入負荷量でございますが、これもデータとしては、次の3-1-5ページとか3-1-6ページにありますが、有明海におけるCOD、T-N、T-P、八代海におけるCOD、T-Pの流入負荷量は、相対的に1975年から1980年度頃に高く、その後減少して、1990年代後半から概ね横ばいであるということでございます。

 次に、3-1-7ページをご覧いただければと思います。

 陸域からの流入負荷に加えて、海域における直接の負荷量、降雨、ノリ養殖関係、そして、魚類養殖関係、底質からの溶出を含めた海域の汚濁負荷量を試算しております。こちらもグラフについては、次の3-1-8ページや3-1-9ページになりますが、有明海につきましては、陸域からの流入負荷量とほぼ同じ傾向であるということでございます。陸域からの流入負荷量がCOD、T-Nで全体の80から90%以上を占め、T-Pでは全体の70から90%を占めると。底質からの溶出量とか降雨の負荷量、ノリ養殖の負荷量についてもグラフのとおり試算をしているということであります。

 八代海につきましては、直接負荷量を深めた汚濁負荷量については、CODは陸域からの汚濁負荷量とほぼ同じ傾向だということであります。T-NとかT-Pは、2006年、2009年度頃が最大であり、2010年度以降はやや少ない傾向にあるということであります。陸域からの流入負荷について、CODは全体の65から90%程度、T-Nは全体の35から70%、T-Pは全体の14から67%程度を占めるということであります。

 あとは、3-1-10ページをご覧いただきますと、直近5ヵ年の海域への直接負荷量を含めた汚濁負荷量がありまして、下が八代海になっておりますが、魚類養殖の負荷量は、T-N、T-Pでは陸域からの流入負荷とともに大きな負荷源となっているということでございます。

 今申しあげたところを中心に汚濁負荷について、この3-1-11ページでまとめということで整理をしていると、そのような構成になっております。説明は割愛をいたします。

 次に、3-2-1ページをご覧ください。

 2番目でありまして、河川からの土砂流入であります。河川からの土砂流入の減少は、海域での底質の細粒化の要因となる可能性があることから、有明海・八代海に流入する代表的な河川について、その流況と海域に流入する土砂量に関する情報を整理したということであります。ただ、海域に流入する土砂量について経年的な実測データはないということがありますので、流入土砂量に影響を与えると考えられる砂利採取等の量や河床変動などについても経年変化を整理した、このような構成でございます。

 ページをおめくりいただきまして、まず、3-2-2が筑後川の年間総流量でありますが、年間総流量は降水量に応じて変化をしているが、年間総流量の変化に単調な増減の傾向は認められないということであります。

 その下の文章でありますが、筑後川の河床は、50年間で約3,400万m3分低下していると。右上にそのグラフもございます。その内訳は、砂利採取ですとか河川改修、ダム堆砂等となっておりまして、1970年以降ということでは、約1,200万m3分の低下がみられるということでございます。

 次に、おめくりいただいて、3-2-5ページをご覧ください。

 筑後川について長期的な河床変動を見ると、砂利採取によって下流側の河道が緩やかな勾配となっていると。筑後川からの土砂流入の減少、河川の運搬能力の低下といったところがみられるということがここで記載されております。

 この後、六角川、菊池川、緑川、球磨川の河床変動などのデータについて説明をしておりますが、時間の都合で少し割愛をしまして、飛びまして、3-2-18ページをご覧ください。

 (2)で河川を通じた陸域からの土砂流入の変化ということでございます。

 この少し下のところの文章を見ていただきますと、河床の緩勾配化によってばらつきはあるものの、掃流砂量に減少傾向が認められると指摘されている。これは次の3-2-19ページの真ん中より上のグラフのとおりでございます。このようなことから、1950年代後半から1970年代前半の砂利採取等によって河床の砂の現存量が減少するとともに、下流側の河床が緩勾配化し、土砂の持ち出し以降、筑後川から海域への土砂流入は減少したものと考えられるということでございます。

 以上、説明した辺りを中心にこの最後のページでまとめということを記載しておりますが、説明は割愛いたします。

 次に、3-3-1ページをご覧ください。3番目に潮汐・潮流でございます。

 まず、潮位の状況でありますが、有明海では潮位差が大きいと。特に湾奥では大潮期には最大6mに達するということであります。

 次に、潮汐は主に月と太陽の引力から生じる異なる周期を持つ分潮で構成されると。これがM分潮などでありますが、このM分潮などは月の軌道の昇交点の周期変動、約18.6年周期の変動の影響を受けて振幅や位相が毎年変動するということであります。やや下には、有明海の最も大きな分潮成分はM分潮であるということも記載されております。

 次のページをおめくりいただいて、3-3-3ページでございますが、この潮位差というものについて着目してみますと、有明海は湾奥ほど年平均潮位差が大きいと。湾奥の大浦という地点の潮位差は1979年頃と1999年頃に極大と。この下のグラフのとおりであります。1988年頃に極小を持つ変動がみられるということであります。やや下の文で、では1979年頃の極大と1988年頃の極小の差、20cm強については、これはM分潮、18.6年周期の変化、言い換えると月の昇交点の位置変化が最も大きな影響を及ぼしているというようなことが記載されております。

 それでは、次に、1979年頃の極大の地点と1999年頃の極大、極大同士でも約9cmほど減少していると。これが何かということでございますが、これについては少しページが飛びまして、3-3-6ページをご覧いただければと思います。

 3-3-6ページで月の昇交点の位置変化の影響を除いたM分潮の振幅が過去約40年間で減少していると。例えばこの3-3-7ページにさまざまな地点の月の昇交点運動の変化を取り除いた振幅ということで、左上から右下に直線に近い形でやや下っている線がどの地点でもみられますが、これがみられるということが書かれております。

 次に、3-3-9ページでございますが、月の昇交点変化の影響を含まないM分潮振幅の減少の要因としましては、有明海内の海水面積の減少、平均潮位の上昇、外洋の潮汐振幅の減少などが挙げられていると。この下の表3.3.3にさまざまな見解が記載されています。その影響度合いに関する見解は異なっているということでございます。

 次に、おめくりいただきまして、3-3-10ページでは有明海、そして、3-3-11ページでは八代海について、平均潮位は湾内でも外洋でも上昇してきているというデータも掲載をしております。

 続きまして、3-3-16ページをご覧いただきますと、これまでは潮位についての記載でございますが、ここからは潮流についての記載でございます。潮流流速の変化の主な要因とその影響ということでありまして、有明海の潮流に全体的な影響を及ぼす要因としては、潮位と同様でありますが、干拓・埋立て等による海水面積の減少並びに地形の変化、2番目として、平均潮位の上昇です。3番として外洋の潮汐振幅の減少が挙げられるということ、その流体力学の基本原理、体積保存則からすると、潮汐振幅が減少すると潮流流速は減少するということも記載しております。

 有明海では、干拓・埋立て、そして、海岸線の人工化、港湾等の人工構造物の構築、ノリ網の敷設などがなされてきたと。そして、前述のとおり有明海の内湾でも平均潮位の上昇がみられて、外洋のM分潮振幅も過去40年間で全体としては減少傾向もみられるということを整理しております。

 この後、幾つかデータを掲載しておりますが、何点かかいつまんで説明しますと、この①の中で上から7、8行目でありますが、例えば諫早湾内における潮流調査の実測結果から、諫早湾の湾奥や湾央部では堤防締切り後に潮流流速が低下しているということ。そして、次のページですね。3-3-17ページの上から3行目をご覧いただきますと、観測データでありますが、島原半島沿岸部の観測結果、1993年と2003年の観測結果から潮流流速は大きく減少、21から27%減少と。その数行下を見ていただくと、括弧書きで、「ただし、これらについては、流れの分布の変化が影響した可能性も無視できない」ということも記載しております。

 また、この同じ3-3-17ページの一番下のパラグラフをご覧いただきますと、「また」ということで数値シミュレーションにより、潮流への諫早湾干拓事業の影響は諫早湾から島原半島沿いに限られるということ、また、一番下の数行を見ていただきますと、湾奥部に関して諫早湾干拓事業による湾奥部の流速の変化は月の昇交点運動による潮汐振幅の変動の影響に比べて非常に小さいという文献を紹介しております。

 次に、3-3-22ページをご覧いただければと思います。

 熊本港建設による影響について、数値シミュレーションの結果などをここに②で記載しておりますし、③では、ノリ網の柵数、1960年代に急激に増加して、1970年以降は減少傾向にあるということでありますが、その早津江川の河口沖の観測データによる観測では、そのノリの養殖の影響として、平均で潮流流速が約23%弱まるという報告もあるという紹介もしております。

 以上の申しあげた辺りをポイントとしまして、まとめの文章を整理しているということであります。

 次に、3-4-1ページをご覧ください。水質でございます。

 水質は、まず、CODの環境基準達成率、有明海では1974年度以降80%以上で推移ということ、また、八代海では、60から90%で推移と。橘湾では100%の年が他の海域より多くみられるということであります。

 ページをおめくりいただいて、3-4-2ページでありますが、全窒素については、有明海では、直近年の2014年度では100%達成と。八代海では2003年以降全て達成と。全燐につきましては、有明海では2006年度以降全て40%の達成率であると。八代海では、直近年では100%達成しているということでございます。

 次に、少しページ飛びまして、3-4-13ページをご覧ください。

 表を掲載しておりますが、この有明海の水質の状況の推移を示したものでありまして、少し字が小さいので解説をさせていただくと、赤とか青で網かけしている項目は、有意水準5%で有意な変化傾向が認められることを示すと。赤が上昇傾向、青が低下傾向ということであります。また、この情報に加えまして、近似一次回帰式の傾きが10年間当たりで全データの算術平均の10%以上の増加、10%以上の減少がある場合には、「++」、「--」と表現をしております。それによって全体の傾向をこの表で見ていただこうと。時間の都合もありますので、細かい説明は割愛しますが、例えばT-Pとか水温が幾つかのポイントで上昇傾向であるということが読み取れるかなと思います。

 次に、3-4-14ページ、次のページですが、透明度についても少しデータのソースが違うので表を分けておりますが、記載しておりまして、多くの点で上昇傾向ということでございます。

 次に、3-4-22ページをご覧いただきますと、八代海についても同様に整理をしているということであります。橘湾や牛深周辺のデータも同様に整理をしておりますが、時間の都合で説明は割愛をいたします。

 次に、3-5-1ページをご覧ください。底質でございます。

 まず、有明海の底質、この絵のとおりでありますが、湾奥西部や湾央東部の底質は主に泥あるいは砂泥で含泥率が高いと。湾奥西部から湾口部にかけては砂質土もしくは礫が広がっているということであります。

 次に、3-5-5ページをご覧ください。

 こちらで1970年頃からの底質の調査結果がないものですから、ここでは2001年頃以降の調査結果の経年変化のデータをとっておりますので、これを整理しております。水質と違ってデータのとれている期間が短いということもあり、有意性を確認するにはデータが不十分ということで、ここでは近似一次回帰式で決定係数が0.2以上あるというもの、そして、その傾きが10年間の変化の予測量が全データの算術平均の10%以上である場合で、増えている場合は「++」、減っている場合は「--」ということで表現しているものでございます。データについては、この表のとおりでございます。

 次に、3-5-7ページをご覧ください。

 この文章です。ノリ養殖の酸処理や施肥について記載をしております。上段の真ん中ぐらいのところから少し説明をいたしますと、海水中に含まれる有機酸のモニタリング調査の結果、海水中から有機酸が検出された事例はないと。この資料の下の方にも記載をしております。

 「底泥間隙水中に含まれる有機酸のモニタリング調査も実施されているが、ノリ漁場内の底泥中から、酸処理剤の主成分であるクエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸はほとんど検出されていない。以上のことから、酸処理の使用や施肥が適正に行われれば、底泥中の有機物や硫化物の増加の主たる要因となる可能性は少ないと思われる。ただし、酸処理剤や施肥により負荷された有機酸や栄養塩の挙動については知見が乏しいことから、今後の調査・研究が必要である。また、環境中への負荷が増加すると有機物や硫化物の増加につながる可能性があることから、海域で使用される酸処理剤等に由来する栄養塩量や有機酸量等の継続的なチェックを実施することも重要である。」と記載しております。

 次に、ページをおめくりいただいて、3-5-9ページ、八代海の底質でございます。

 絵がございますが、八代海の底質は主に泥が北部や中部東側の沿岸域などに分布していると。また、南部では、細粒砂より粗い砂が分布するという記載でございます。

 ページをおめくりいただきまして、3-5-10ページに有明海と同様に整理した八代海における底質の変動の傾向、CODが増加傾向として多いということでありますが、これを表で整理しております。

 底質については以上でございまして、次に、3-6-1ページをご覧ください。

 貧酸素水塊でございます。有明海の貧酸素水塊の状況について、次のページ、3-6-2ページに表がございますが、経年的傾向について、浅海定線調査の結果で整理して、年間最低値について整理したところ、データのある1972年度以降、6測点のうち佐賀県の2測点で有意に減少する傾向がみられたと。その他の4点では有意な変化はみられなかったということであります。

 ページをお戻りいただきまして、3-6-1ページでございますが、2004年から有明海湾奥部で実施されている底層溶存酸素量の連続観測結果によりますと、2004年から2015年までの12年間のうち、全ての年で最低値が3.0mg/Lを下回っていると。うち11年については2.0mg/Lを下回る状況がみられたということも記載しております。今申しあげたのは有明海の湾奥部でありますが、あと、諫早湾で実施されている連続調査結果、2006年から2014年の結果によりますと、全ての年で日平均値の年間最低値が2.0mg/Lを下回る状況がみられたということでございます。

 次に、3-6-6ページの上に表がありますが、表を少しご覧いただければと思いますが、この表は各期間の底層溶存酸素量の評価値の状況でありますが、この中で、佐賀県の1測点では他の有明海奥部の測点と比べて、最近10年間で2.0mg、また、3.0mg/Lを下回る回数が多かったと。また、1972年から1980年、以前の状況と比べても2.0mgや3.0mg/Lを下回る回数が多くなっているということがこの表で見てとれると思います。

 あとは、連続測定調査によると、3-6-7ページのグラフを少し見ていただければと思いますが、溶存酸素量の日平均値が2.0mg/L未満又は3.0mg/L未満の日数は、近年ではこのデータの年では2006年が最も多かった、2009年が最も少なかった。そして、有意な変化傾向はみられなかったということであります。この底層溶存酸素量については、環境基準にこの3月に追加されており、今後海域ごとの類型指定の検討が進められるということでございます。

 次に、ページをおめくりいただいて、3-6-9ページをご覧ください。

 発生状況でございますが、この真ん中の絵のとおりでございますが、有明海における主要な貧酸素水塊は、夏期に有明海湾奥部と諫早湾の2ヶ所で別々に発生するということでございます。

 次に、3-6-11ページをご覧いただければと思います。

 八代海で近年調査データが蓄積されてきていると。例えば八代海中部において観測データがある1980年以降で3.0mg/L以下の溶存酸素量が4回、2.0mg/L以下の溶存酸素量が1回観測されている、そのようなデータもあります。

 以上が底層溶存酸素量でございます。

 次に、3-7-1ページをご覧ください。藻場・干潟等でございます。

 有明海の藻場・干潟などで、まず藻場でありますが、データがかなり限定されているというところもございますが、1978年度の調査と1989年から97年の調査を比較しますと、20.6%の藻場が減少、干潟は1978年のデータと1996年から97年のデータというのを比較しますと、7.6%減少ということであります。1997年に諫早干拓により1,550ヘクタールの干潟が減少ということでございます。

 次ページを見ていただくと、下のほうに今度は八代海の状況を記載しております。八代海の藻場は、1978年とその10年後ぐらいを比較しますと、1.4%藻場が減少と。干潟については、20年間ぐらいの間に11.3%減少ということでございます。

 そして、3-7-3ページの下のほうから数ページにわたりまして、近年の藻場・干潟再生の取組について幾つか優良と思われる事例を紹介しております。

 3-7-7ページをご覧ください。

 海洋ごみについてでありますが、有明海・八代海等も含めて毎年多くのごみが生物の生息環境を含めた沿岸域に漂着していると。有明海・八代海等についても、国、地方公共団体、関係者が連携して流木等の海洋ごみの回収・処理等が行われているということであります。環境省の事業のデータ、国交省の事業のデータなどを記載しております。以上が藻場・干潟等ということであります。

 次に、3-8-1ページ、赤潮をご覧ください。

 赤潮につきましては、実際には次のページ、3-8-2ページに発生件数のグラフはございますが、それぞれの海域の発生件数を示しておりまして、有明海・八代海では、近年発生件数が増加をしており、およそ2倍となっていると。ただ、「なお」ということで、赤潮発生は原則として海域における着色現象を集計したものであるが、近年は、着色を伴わないものであっても被害、特にノリの色落ちについて、被害に応じて赤潮発生とカウントしているということに十分留意する必要があるということであります。

 次に、有明海における汚濁負荷量と赤潮発生件数との間に長期的な連動性はみられないということであります。八代海については、T-N、T-Pについて1990年代中頃から増加していると。赤潮の発生件数についても、1998年以降増加して、現在高い状態が続いているということで、留意が必要だと3-8-1ページに記載をしております。

 次に、3-8-3ページでありますが、構成種の推移ということでありますが、珪藻による赤潮の発生頻度が高いと。渦鞭毛藻やラフィド藻がこれに続くということで、今申しあげたのは有明海の話でございます。次に、八代海は、渦鞭毛藻やラフィド藻の割合が6割程度となっていて、大きな変化はないということであります。

 少しページを飛びまして、3-8-9ページをご覧ください。

 赤潮の漁業被害でありますが、まず、有明海では、1998年から2003年の間に他の年と比べて多い傾向がみられたと。原因プランクトン別に見ると、変動は大きいけれども、珪藻によるノリの色落ち被害件数が多く発生しているということで、実際の事例を表で整理しております。

 次に、3-8-13ページをお開きください。

 八代海については、八代海における赤潮被害の年間発生件数は、1988年から90年及び1998年から2010年に発生件数が多いと。原因プランクトン別で見ると、Chattonella属やCochlodiniumによる被害件数が多いと。養殖ブリやトラフグ等のへい死により特に大きな被害が発生しているということであります。

 また、その次に橘湾ということで書いておりますが、橘湾は、漁業被害は有明海・八代海の発生件数の5分の1から10分の1程度ということであります。原因プランクトンで見ると、ChattonellaやCochlodiniumによる被害が多いということでございます。

 以上が赤潮でございまして、最後に3-9-1ページ、生物を説明したいと思います。3-9-1ページをご覧ください。

 まず、幾つかここはパートに分かれておりますが、(1)として有明海・八代海等の固有種、希少種等について整理をしております。この表で一覧を整理しております。

 また、主に有明海で分布していて、定量的な推移のデータもあるムツゴロウについて次に少しデータを記載しております。

 ページをおめくりいただきまして、データ、文章を整理しておりますが、1972年頃には湾奥部河口干潟域を中心に20尾/100m2を超える高い出現密度であったと。1986年頃は急減したと。しかしながら、2003年のデータを見ますと、佐賀県、福岡県、そして、熊本県海域で資源の回復がみられると。同様の調査は佐賀県でも実施されているということでございます。

 次に、ページをおめくりいただいて、3-9-4ページ、ベントスでございます。

 ベントスは、水産有用種を含めた魚類等の餌となると。海域の生物生産を支える機能を持つと。その群集構造が底質環境を反映するというようなことで、海域の環境を評価する指標となり得るということであります。1970年頃から現在にかけて継続的な調査は実施されておりませんが、例えば有明海の湾奥東部あるいは湾奥西部の海域では、1989年に実施した調査があるということであります。これと2000年や2006年の調査との調査結果の比較というようなデータはあるということでございます。また、各海域では2005年以降の経年的なデータがあるということも記載されております。

 この1989年と2000年のデータの比較を見ますと、先の調査によると、その全マクロベントスの個体数は3,947個体から1,690個体に減少していたと。これは主にチヨノハナガイ等の二枚貝類の減少によるものと思われるということであります。同様に1989年と2006年の比較ということでも同様の傾向がみられたということで記載されております。

 次に、3-9-8ページをお開きください。

 有明海の11地点、八代海の10地点におけるベントスの経年的傾向を2005年以降のデータについて整理しておりまして、2005年以降の10年間のデータのみでは問題点を特定するのは難しいという記載もしておりますが、その傾向については、3-9-9ページにあります表のとおりでございます。見方は、底質のところで説明したものと見方は同じでありますので、御確認いただければと思います。

 次に、次のページ、3-9-10ページでは、八代海も同様の表で整理をしております。

 次に、3-9-11ページで有用二枚貝について整理をしております。

 まず、タイラギでございますが、有明海のタイラギ漁は1970年から1998年頃、数年おきにピークがみられたと。ところが、各県で減少して、2000年以降は有明海全域で漁獲のない状態にまで低迷したと。2010年から11年にかけて、12年ぶりに漁獲の回復がみられたけれども、また低迷して、2012年より休漁になっているということでございます。

 次に、3-9-12ページがサルボウでございます。

 2000年頃を境に減少傾向と。近年の生産量は数千tレベルにとどまり、変動も大きいということであります。

 次に、3-9-13ページがアサリでございます。

 有明海の1977年から1983年頃は漁獲量がピークであるけれども、その後減少と。2003年から2008年にかけて一時的に回復したけれども、2009年以降再び漁獲量が減少しているということでございます。八代海についてのデータも次のページにかけて記載をしております。

 (4)で3-9-15ページ、魚類でありますが、有明海の魚類漁獲量は、1987年をピークに減少傾向ということであります。八代海が下のグラフでございますが、魚類漁獲量については、近年は回復傾向であって、2013年漁獲量は1万8,000tを超えているということであります。

 その次のページ、3-9-16ページが最後ということで、漁業や養殖業の生産量ということで、有明海の漁業・養殖業の生産量は、全てひっくるめますと、近年は15から20万t程度で推移ということであります。その漁獲というものに占める貝類の割合は高いけれども、近年は急に減少して2万tを下回っていると。また、全体の15から20万tに占める割合としては、ノリの収穫量の割合が年々高まっており、近年は8割以上ということでございます。

 八代海が次のページでございまして、漁業・養殖業の生産量について、このグラフのとおり海面漁獲量、養殖業、生産量、ノリの収穫量ということで、このグラフのとおりでございます。

 以上、長くなりましたが、3章の説明は以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。有明海・八代海等の環境等変化ということで、汚濁負荷から生物に至るまで御説明をいただきました。何か御意見、御質問がございましたら承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 なかなか大部でございますので、すぐには質問しにくい面も多分あるんだろうとは思いますが、細かいことでも結構でございますし。

 先生、お願いいたします。

○小松委員 細かいことがたくさんあるんですが、それはもう事務局にまた個別にお話するとして、3-8-1のところで、赤潮の発生件数が近年大体倍ぐらいになっているけれども、ただ、なお書き以降で「留意する必要がある」となっているんですけれども、倍ぐらいに増えたのが1990年代の後半で、それが続いているんだけれども、カウントの仕方が変わってきたと。近年は変わってきたというのはいいんだけれども、この「近年は」というのがいつからなのかというのを明記しておかないと、1990年代の後半にぐっと増えたのが、これは意味があるのかないのかがわからないんですよね。

 だから、「留意する必要がある」となっているんだけれども、では、どこにどう留意したらいいのというのがわからないということで、ちょっとこの辺、もう少し明確にお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 この辺りも統計でしっかりわかっているというものでは多分ないのだと思いますが、もし委員の皆様で何かコメントいただけるものがあればいただきたいと思いますし、この場でなくても、また後日御相談させていただければと思います。

○岡田委員長 御指摘のとおりだと思いますので、事務局でもう一度どんな具合か調べられますか。調べたほうがいいとは思うんですが、どうしてもわからなかったら、すみませんとしか言いようがないんですが、多少の情報はあるかと思うんですが、どうですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 環境省で今、その近年がいつかというデータを持っているものではないです。ですので、水試の委員の方がわかるかどうかというところでございますが。

○岡田委員長 今の時点で特に。

 では、どうぞ、先生。

○中田(薫)委員 結局赤潮の発生件数が増えて見えるのが1990年代末頃からですよね。だから、それと合った形でカウントの仕方が変わったのかどうかということをまずチェックしてもらうのが第一かということと、そこで、それ以外に例えば赤潮だったら、あまり流れがないとたまりやすいとかいうことがありますから、栄養塩が減った中でもそういう要因もありますから、これに合うような現象がほかにあるのかどうかとか、そういう考察もあわせてもう少し丁寧にやっていただければなと思います。

○岡田委員長 では、これは次回までに調べてください。可能な限り、やっぱり御指摘のとおり割とわかりにくいというか理解しにくいところがありますので、よろしくお願いいたします。先生、よろしいですね、そういうことで。

 ほかにございますでしょうか。

 特になければ。それと今、小松先生がせっかくおっしゃっていただいた非常に細かいことで気になることがあるのは、後で事務局に御連絡いただけるというのは大変ありがたく思いますので、ほかの委員の皆様方も非常に、てにをは程度でも結構、程度なんて言ったら叱られますが、場合によっては大きな意味になることがありますので、お気づきの点はぜひ事務局のほうにお寄せいただければというふうに思います。

 はい、どうぞ。

○中田(薫)委員 八代海のほうで結構養殖の影響が大きいというのがありますけれども、あれがやっぱり出てくるのがいつ頃からなのかというのをちょっと教えていただければなと。

○根木閉鎖性海域対策室長 影響が大きいというのは、今おっしゃられているのはどの項目でしょうか?

○中田(薫)委員 栄養負荷に対する影響ですね。割合が大きいという話が先ほどあったと思うんですけれども。

○根木閉鎖性海域対策室長 ここに直接記載しているデータとしましては、3-1-9ページをまずご覧いただければということでありまして、これが特にT-N、T-Pということでありますが、3-1-9ページがその八代海の直接負荷も含めた汚濁負荷量の経年変化ということでありまして、2つ目と3つ目がT-Nのグラフですね。これの底質由来が最小値と最大値、この最小値、最大値というのは、その底質から栄養塩への溶出の調査方法について2つの方法でやっていたので、それがそれぞれちょっとばらついたので、書いているというデータでありますが、一番下がT-Pということでありまして、これを見ると、2002年以降ぐらいに少し大きなところがあるということで認識をしています。近年は少しまた減少傾向である。

 そして、3-1-10ページは近年5ヵ年の平均ということでありますが、下のグラフ2つが八代海への直接負荷量も含めた汚濁負荷量の割合ということで整理をしております。

○中田(薫)委員 ありがとうございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

 ほかにございますか。

 それでは、とりあえず進めさせていただきます。また後でお気づきの点は当然承りたいと思いますので、次にいきましょう。いいですね、休憩をとらなくて。一旦次までいきたいと思います。

 それでは、議題3に入りたいと思います。問題点とその原因・要因の考察について事務局からお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知いたしました。そうしましたら資料4、資料4というのは、ページでいきますと、4-1-1ページをお開きください。

 この資料が4章、問題点とその原因・要因の考察をターゲットに作成している資料でございます。

 まず、1番として、(1)基本的な考え方でございますが、この資料もかいつまんで説明をさせていただきますが、例えば2つ目のパラに有明海・八代海の抱える諸問題の原因・要因を可能な限り的確に把握した上で、多様な主体が両海域の再生に取り組むことが望ましいということを記載しています。

 また、一番下のパラには、今回の検討では、1970年頃の有明海・八代海の環境は生物・水産資源が豊かだったと言われることを踏まえ、基本として1970年頃から現在までの有明海・八代海等の変化やその原因・要因を対象として整理するということであります。

 次に、(2)で有明海・八代海等の海域全体に係る再生目標(全体目標)ということであります。

 この法律の趣旨に照らして、法律で有明海・八代海等が国民にとって貴重な自然環境及び水産資源の宝庫として、その恵沢を国民が等しく享受し、後代の国民に継承すべきものであると鑑み、豊かな海として再生することを目的としている、この法律の規定に鑑みまして、全体的な方向性の目標をここに記載してはどうかということであります。前章で整理した環境等の変化も勘案して、有明海・八代海等の海域全体において目指すべき再生目標(全体目標)を次のとおりとすると。2つの柱でございまして、1つ目は希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復と。2つ目が二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保、この2つの柱は10年前の評価委員会報告でも立っている柱でございます。

 そして、次のページをご覧ください。4-2-1ページでございます。

 海域区分ということでありますが、まず、その意義でありますけれども、有明海・八代海等はさまざまな環境特性を持つと。その問題点と原因・要因も海域ごとに異なるものと考えられる。環境特性より区分した海域ごとの問題点及びその原因・要因の考察を進めるということにより、適切な評価、再生への取組の方向性を見出すことにつながることが期待できるということであります。

 (2)の海域区分の方法について、この辺りは3月の段階でも御説明しておりますので割愛させていただきますが、水質のクラスター解析によるグループ化を基本としつつ、重要な二枚貝の生息状況も勘案して、次のページのとおり、有明海について1から7の7つの区分、八代海について5つの区分で整理をするということでございます。

 次に、少し飛ばして、4-3-1ページをお開きください。

 3番、問題点と原因・要因との関連ということでありまして、再生目標(全体目標)を踏まえまして、今回の検討では、有明海・八代海等の多様な生物の生息環境の確保を図りつつ、生態系の構成要素または水産資源として重要と考えられる生物に関して改善すべき具体的な問題点として、ベントスの変化、有用二枚貝の減少、ノリ養殖の問題、魚類等の変化、この4項目を取り上げることにしたということであります。

 その上述の問題点とその原因・要因に関する調査研究結果などを整理しまして、問題点及び問題点に関連する可能性が指摘されている原因・要因の図を次のページをおめくりいただきますと、いわゆる連関図と言われているものでございますが、有明海について次のページ、さらに、その次のページについては八代海について整理をしていると。本報告において関連があるということが確認されたものについては実線で、その他のものについては点線で示していると。また、具体的内容については追って説明をいたします。

 そしてまた、ページをおめくりいただきまして、4-4-1ページをお開きください。

 4番、問題点と原因・要因の考察の海域区分ごとということであります。

 本節における問題点と原因・要因の考察について、まず有明海のA1からA7海域、そして、八代海のY1からY5海域の海域区分ごとに整理すると。この海域ごとの整理は、基本的に移動が少ないため特定の海域の特性の影響を受けやすいと考えられるベントスの変化、そして、二枚貝の減少、この2つについて海域ごとに問題を考察したと。一方、環境特性による海域区分での検討としては、事象を捉えることができないもの、空間として海域全体で捉えるべきものもあると。これに該当するノリ養殖の問題ですとか魚類等の変化、養殖の話も含めますが、これについては、有明海全体、八代海全体でそれぞれまとめて行うことにしたと。また、二枚貝の問題であっても、例えばエイは食害の問題がありまして、これは海域間を回遊しますので、こういった二枚貝の問題であっても、全体で考察したほうがいいと思われるものについては全体でまとめたということでございます。その関係について下の図で、4章の構成イメージということで整理をしております。

 おめくりいただきまして、4-4(1)-1ページからがA1海域からの資料になっております。ここで大変恐縮でございますが、これを1つずつ説明していくと、とても時間の中におさまりませんので、今日のまずの説明は、まとめというものを用意しましたので、こちらを中心に説明をしたいと思います。相当ページは飛びますが、後半のほうになりますが、4-5-1ページをお開きいただければ幸いでございます。

 4-5-1ページでございます。こちらで今飛ばしてしまったところについてまとめた資料でございます。そして、4-5-1ページと4-5-2ページについては、今し方説明した内容でありますので、4-5-3ページをお開きいただければと思います。

 ここで海域ごとに整理した内容について表も用いまして、その問題点と原因・要因の考察をしております。これも表が大部ありますが、まず、A1海域でその構成の説明もしたいと思いますので、少し丁寧に説明しまして、後の海域は少し簡潔に説明をしたいと思います。

 まずはこのA1海域、有明海湾奥奥部、この右上の図の赤点線で囲まれているエリアでございます。この海域の特性について表の上に文章で記載をしたというものであります。

 そして、次に表を見ていただきますと、問題点の確認ということで書いております。ここでは有用二枚貝とベントスについて問題点があるのかないのかというところをまず整理しているというものでございます。

 有用二枚貝、まずタイラギにつきましては、資源量は少ないものの大型の個体が多く生息しているが、漁獲量や資源量の長期的な推移は不明であると。問題点の確認には至らなかったということでございます。そして、サルボウのところで問題点と思われるものは、この「問題点」というワードも付しておりまして、また、この表の中でもキーポイントと思われるところはアンダーラインも付したというものであります。サルボウについては、このA1海域、夏期にへい死が生じていると。幾つかの年で大量へい死がみられたと。次に、アサリの問題点としては、現在は過去最低レベルの漁獲量にとどまっていると。浮遊幼生の発生量も近年は低位で推移していると類推されるということであります。

 次に、ベントスでありますが、2004年以前のデータはないということも書いておりますが、2005年以降の約10年間のデータのみでは問題点を特定することは困難であるが、傾向の整理をしたということで、例えば種類数、組成数についても3地点のうち1地点で節足動物の種類数の減少がみられたということも書いております。

 ページをおめくりいただきまして、4-5-4ページ、ベントスの個体数でございますが、経年変化としては大きく変動していると。特定の優占種の増減が影響していると考えられるということも記載をしております。

 そして、ここで表が分かれておりまして、表の項目を見ていただきますと、問題点の原因・要因の考察、物理環境等の現状・変化ということで、先ほどの問題点に対してどのような原因・要因かということを中心に整理したものでございます。

 まず、有用二枚貝、サルボウでありますが、夏期のへい死について夏期の底層における著しい貧酸素化と貧酸素化に伴う底泥及び海底直上水中の硫化水素の増加により、へい死を引き起こしている可能性が高いと推察されるということ。そして、エイの食害の話は、この後有明海全体のところで記載しておりますが、ここだけ見る方にほかのところで整理しているものがありますよということで、そういったものは括弧書きでこのように記載をしてみたというものであります。

 次に、アサリの問題点の原因・要因でございますが、浮遊幼生や着底稚貝の量が過去と比較して近年低位で推移していると類推されると。このような状況の中、保護すべき親貝資源量の把握など、資源の持続的な利用に向けた知見が得られていないことが課題の一つとして挙げられると。課題の一つをここで記載しております。

 次に、覆砂によってアサリ等の有用二枚貝が増大するとの報告があると。その有用二枚貝等の水生生物の保全・再生のために重要な地点について、底質の改善などの対策が必要な場合もあると考えられるということも記載しております。エイの食害の話も記載しております。

 そして、さらに、その原因・要因に関連すると思われるような事項をその下に記載していると。まず、底質でございますが、底質の変化については、2000年以前のデータがないということもありますが、2001年以降のデータからは単調な変化傾向はみられなかったということも記載しています。具体的には、泥化、硫化物、強熱減量、COD、浮泥を含む堆積物ということで整理をしているということであります。

 そして、貧酸素水塊の問題なども提示をしてありますが、それにも関連するもので水質のことについてもその下に記載しておりまして、夏期に西部干潟沖合域、A3海域との境界域では貧酸素水塊が発生していると。COD、T-Pは直近5年間では環境基準値を上回っていることも記載しています。

 さらに、水質の具体的な条件について4-5-5ページで記載をしておりまして、貧酸素水塊の状況、西部干潟沖合域では貧酸素水塊が発生していると。月1回程度の調査における年間最低値は1972年以降、2から5mg/L程度であると。有意な変化はみられなかったと。連続観測調査における年間最低値は、2004年度以降のデータから全2地点で2.0mg/Lを下回っているということ。CODもポイントによって基準値を上回っている地点もあるということですとか、T-Pにつきましては、測定している4地点とも基準値を上回っているということ、変化傾向としては、1980年以降のデータからは、4地点のうち1地点では増加、1地点ではやや増加、ほかの地点では有意な変化はみられなかったということも記載しています。

 また、水温についても留意すべきということでアンダーラインを付しておりますが、例えば1980年以降のデータから、4地点のうち1地点で水温上昇が有意にみられたということも記載しております。

 そして、ページをおめくりいただきまして、懸濁物についても記載しております。次に、さらにまとめというところで、総括というコーナーを設けております。ここは今申しあげたところが大体記載されているわけでございますが、1パラ目は、まずこの海域の概況をぎゅっと濃縮して数行で記載したと。そして、2パラ目からが問題点とその原因・要因の考察ということでありまして、説明は割愛しますが、有用二枚貝のうちサルボウの話、そして、アサリの話について問題点、そして、その原因・要因について今申しあげたようなことを記載しているというものでございます。

 ベントスについては、問題点の明確な特定には至らなかったということも書いておりますし、あとは、ここだけ見る方もいるだろうということで、ほかにも二枚貝でも関係のあることがあるんじゃないかというようなこともあり、括弧書きでエイ類の二枚貝の食害、そして、ノリとか魚類のことについては後ろに書いてありますよということを括弧書きで付しております。

 以上、このような表が続いていくということになりますが、このA2海域からはざっと説明をしたいと思います。

 A2海域は有明海の湾奥東部で、位置は図のとおりでありますが、特徴としましては、問題点のタイラギのところを見ていただくと、成貝についてやはり1970年代頃は100個体/100m2以上存在した地点もあったが、資源量の低下が顕著だと。稚貝についても減っていて、浮遊幼生の発生量も2012年以降、それ以前に比べて10分の1から4分の1程度と低位で推移と。そして、このエリアは立ち枯れへい死と呼ばれる原因不明の大量死が問題となっているということでございます。

 ベントスについては、このエリアは1989年のデータもありますので、そこから飛んではいますが、25年間分ぐらいがカバーできているということで、少し組成・種類数についても、1989年と2000年の夏期のデータを比較すると、二枚貝等は減少したとか、調査方法は異なるが、2005年以降のモニタリング結果を見ると、種組成はさらに変化したということを記載しております。

 おめくりいただいて、4-5-8ページ、ベントスの個体数についても2005年以降のデータでは日和見的な優占種で総個体数が大きく変動しているといった辺りを記載しています。

 そして、その表については、そうしましたらちょっと割愛をこの後はさせていただきまして、4-5-10ページのところをご覧いただくと、総括ということで記載がされていると。有用二枚貝のうち、タイラギ資源が減少と、立ち枯れへい死と呼ばれる大量死が問題となっている。原因の特定には至っていないということが記載しております。また、ほかの事項も記載をしておりますが、例えば底質の話とかベントスの話も記載しています。ベントスについては、25年間ぐらいのデータから種組成が変化、個体数が約2割減少と。群集構造の年変動が大きいことなどの特徴がみられるということで記載をしております。

 A3海域に移らせていただきます。

 A3海域は有明海湾奥西部ということであります。この地点は、問題点としてはやはりタイラギの減少、サルボウのへい死と。ベントスについても、やはりA2海域と同様の傾向がみられるということで書いております。

 4-5-12ページをご覧いただきますと、タイラギについて、本海域は貧酸素水塊が資源減少の主な要因と推定されるということで記載をしております。少し細かい記載については説明を割愛いたしますが、そのようなことで記載しておりまして、さらに、その貧酸素水塊のことについて、例えば4-5-13ページで底層溶存酸素量ということで、現況と変化ということで記載がございます。夏期に貧酸素水塊の発生がみられるということ、そして、月1回の調査における年間最低値では、1970年以降、1から5mg/L程度であり、低下をしているということ。連続調査の結果では、全2地点のうち1地点で毎年2.0mg/Lを下回っていて、他の1地点では1から3mg/L程度であるということを記載しております。

 これを踏まえまして、4-5-14ページで総括として入れておりまして、タイラギ資源が減少していると。貧酸素水塊が要因の一つとして推定されるということを書いております。ほかのことも幾つか書いておりますが、説明は少し割愛をさせていただきます。ベントスについても記載をしているということでございます。

 次は、A4海域、有明海中央東部ということでございます。

 そうしましたら、ちょっと時間の都合がありますので、恐縮ですが、4-5-18ページ、総括のところをご覧いただければ幸いでございます。

 A4海域は、やはりこの海域もA2海域と近い海域でありますが、タイラギの漁獲量が減少していると。A2海域の立ち枯れへい死と同様の現象が確認されているということであります。アサリの漁獲量が低迷していると。資源の持続的な利用に向けた知見が得られていないと。底質についても、底質の改善が必要な場合もあると考えられると。ベントスについてこの海域も20年ぐらいのデータがありますが、1993年以降のデータから群集構造の年変動が大きいことなどの特徴がみられるということで記載をしております。

 次は、4-5-19ページ、A5海域でございます。

 問題点の確認の表を見ていただくと、有用二枚貝について主たる漁獲がなくて、資源量に関する情報がないことから評価は困難であるということも記載しております。このようなところを踏まえまして、総括でも同様のことを記載していまして、有用二枚貝とベントスについては、問題点の明確な特定には至っていないということであります。ただ、総括の一番下のところにありますが、括弧してノリ養殖とか魚類等については、有明海全体の欄を見てくださいということも書いております。

 次が4-5-21ページでA6海域、有明海諫早湾でございます。

 総括を見ていただいたほうがよろしいかと思いますが、4-5-24ページをご覧ください。

 総括で一番上の水環境の概況のところで、ここは夏期に貧酸素水塊が発生しているということを記載しております。また、アサリの漁獲量が低迷していると。資源の持続的な利用に向けた知見が得られていないとの課題があるということ、そして、底質の改善が必要な場合もあると考えられるということ辺りを記載しております。

 また、貧酸素の問題と魚類の問題が後ろの有明海全体のところでまた出てきますが、魚類の話については後ろに書いてありますよということも記載しております。

 次に、4-5-25ページ、A7海域、有明海の湾口部でございます。

 これも総括の4-5-27ページをご覧いただければと思いますが、ここはA5海域と類似の記載になっておりますが、調査が二枚貝についてほとんど実施されておらず情報がないことから、評価は困難であるということを記載しております。

 おめくりいただきまして、4-5-28ページからが有明海全体に係る問題点と原因・要因の考察であります。

 有明海全体、また、多くの海域に共通する問題点及びその原因・要因を整理したと。個別海域ごとの問題点及びその原因・要因については前述していますよということでございます。

 この4-5-29ページに原因・要因の辺りも少し触れさせていただきますが、二枚貝の減少で海域全体に共通するような話で、エイによる食害と。有用二枚貝の減少を引き起こすおそれがあると。有明海全体に共通する要因の一つとして、ナルトビエイによる食害がある。有明海全体における食用二枚貝全体の漁獲量に対する食害量の推定値、この割合を試算すると、2009年は4割弱、近年7年間では平均で2割弱ということであったということ。

 また、浮遊幼生の減少等ということでありますが、タイラギについて、2008年はそれなりの幼生の出現があったということでありますが、2012年以降は10個体/m3を超えることがほとんどない状態となると。主要な漁場が存在する有明海湾奥部全体でその浮遊幼生が減少していたということを記載しております。

 アサリについては、直近である2015年秋の調査で、その有明海東岸で初期の浮遊幼生が大量に出現したという少し明るい話題もございます。

 ノリ養殖についてでございますが、問題点としては、有明海におけるノリ養殖の生産量は比較的高い水準で推移していると。ただ、年度によって生産量の増減がみられると。その問題点の原因・要因としましては、安定したノリ養殖の生産を阻害している要因として、病害、色落ち、水温上昇などに伴う漁期の短縮というのが挙げられると。ノリの色落ちについては、珪藻類が赤潮を形成することなどによって海水中の栄養塩濃度が急激に低下し、養殖ノリに必要とされる栄養塩が減少する結果生じているものと推定されると記載しております。

 次のページ、4-5-30ページは魚類でございます。

 問題点としては、有明海の魚類の生産量は減少傾向を示して、6,000tを割り込んでいると。原因・要因としまして幾つか挙げておりますが、奥部の干潟・河口・浅海域、多くの魚類等の産卵・成育の場となるなど重要な機能を果たしているということ、そして、その減少要因としては、藻場・干潟等の生息場の縮小、また、貧酸素水塊の発生等の生息環境の変化が挙げられると。また、生態系構造の変化により魚類の種組成に変化が生じて、資源として利用されている魚類が減少した可能性もあると。例えばということで、特にエイ類が1990年代後半から増加が指摘されているが、捕食者であるサメ類の減少や水温上昇の影響がその要因として考えられるというような、生態系構造の変化に着目する必要があるのではないかということも記載しております。

 そして、夏期の赤潮についてでございますが、有明海のChattonella赤潮について幾つかの年で発生規模が大きくなっているということですとか、2009年夏においては、有明海湾奥部で発生した赤潮で橘湾に移流する現象が認められ、橘湾の養殖魚のへい死を生じさせたということで記載しております。

 このポイントを踏まえまして、次のページの総括も少し長くなっておりますが、記載をしております。個別の説明は割愛しますが、上から有用二枚貝について、ベントス、ノリ養殖、魚類についてそれぞれ今申しあげた辺りを記載しております。そして、その下に、一番下の3分の1ぐらいのところでありますが、このベースとなる水環境の話についてもここで記載しておりまして、主に先ほど説明した3章から引っ張ってきた部分も多くございますが、沿岸域において藻場・干潟の減少がみられているということですとか、漂流・漂着・海底ごみが藻場・干潟も含めて漂着し、維持管理の妨げになっていると。また、年平均潮位差の減少がみられると。底質については、限られた近年のデータからは海域全体として単調な変化傾向はみられなかったが、一部調査地点では一定期間泥化傾向を示す地点もみられたと。このため、有用二枚貝などの水生生物の保全・再生のため重要な地点について、底質の改善が必要となる場合もあるのではないかということ。また、河川の土砂流入の減少は、海域での底質の泥化の要因となる可能性があるということを記載しております。最後に貧酸素水塊のことについても記載をしているということであります。

 次に、ページをおめくりいただきまして、八代海でございます。

 Y1海域が八代海湾奥部ということでありますが、ざっとY1海域を説明させていただきますと、アサリについて2008年以降漁獲量が減少ということですとか、その原因・要因として保護すべき親貝資源量の把握が必ずしもできていないとか、底質の改善の必要とか、有明海で書いたことと類似のことが書いてあります。

 底質の変化について4-5-33ページの上のところでご覧いただくと、2003年以降のデータでは2地点のうち1地点では底質の泥化がみられたと。他の1地点では粘土・シルト分が100%に近い推移を示したというようなことも書いております。水質についても、環境基準値を超過している点がCODやT-Pでみられるということも記載しております。

 次に、ページをおめくりいただきまして、総括ということで、アサリの漁獲量が低迷しているということ、そして、その原因・要因として考えられる辺りを記載しているということであります。また、このY1海域も有用二枚貝とベントスだけではないということでありまして、ノリ養殖とか魚類のことについては、八代海全体の項に記載ということでございます。

 そして、Y2海域、次のページでございますが、こちらは総括のところを見ていただくと、Y1海域と大体同様の記載になっております。説明のほうは以上とさせていただきます。

 Y3海域が4-5-38ページでありますが、この有用二枚貝とベントスについては、問題点は特定されなかったということで、得られたデータについては記載のとおりまとめているということでございます。

 次からはY4海域、有明海湾口東部とY5海域、有明海の湾口西部についても記載しておりますが、Y3海域とほぼ同様の記載になっていると。総括のところを見ていただくと、ここは有用二枚貝とベントスではそのようなことでありますが、例えば魚類の養殖というのもありますので、これは八代海全体の項で記載したということも総括の一番下の括弧書きで記載をしております。

 少しページ飛びまして、4-5-45ページをご覧ください。

 八代海全体の問題点と原因・要因の考察でありまして、ページをおめくりいただいて、4-5-46ページであります。問題点として、魚類養殖業の問題ということで、八代海の魚類養殖についてはChattonellaとかCochlodiniumの漁業被害が発生していると。その原因・要因ということで、Chattonella、Cochlodiniumの赤潮が魚類養殖の生産を阻害している重要な要因であると考えられるということも記載しております。

 また、八代海の赤潮が2010年には、八代海のみならず牛深海域に移流して被害をもたらしたということも記載しております。また、その八代海においてT-N、T-Pの海域への直接負荷を含めた汚濁負荷量については、2006年、2009年頃が最大であると。陸域からの負荷量とともに大きな負荷源となっているということも記載しております。

 次に、八代海の魚類等の変化については、その漁獲についてはわずかに回復傾向でありますが、魚類の動態については、基礎的知見の集積が行われていて、まだ知見が不足していることを記載しています。

 ノリ養殖の問題について、そのノリ養殖の生産枚数の減少が顕著に認められるということ、要因としては、秋期の水温の上昇、ノリの採苗時期が遅れる一方で、湾奥部の熊本県海域では、海中の栄養塩が早期に枯渇すると、ノリ養殖が短縮する傾向にあることが考えられることを記載しております。

 以上を踏まえて総括ということで記載しておりまして、これも個別の説明は割愛いたしますが、有用二枚貝、アサリの話、ベントスの話、魚類養殖の話、そして、ノリ養殖の話ということで、今申しあげた辺りを個別に記載していると。また、一番下の3分の1ぐらいのところは、有明海と同様に3章から記載した部分が多くございますが、水環境全般に係ることで、その問題点の原因・要因と関係していると思われる部分について簡潔に記載をしているものでございます。

 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見等がございましたら承りたいと思います。お願いいたします。

 はい、どうぞ。

○小松委員 「多くの」とか「大量」というこの形容詞を割と無造作に使っている感じがするんですよ。例えば4-5-3で、タイラギのところで、「資源量は少ないものの大型の個体が多く生息している」と。大型の個体が多く生息していたら、普通考えると資源量は多いですよね。ですから、では何と比べて多いのかとか、何かちょっともう少し表現の工夫が要るんじゃないかなという感じがします。

 それから、例えば4-5-11のタイラギの一番上の問題点の確認のところで、問題点のところで、「2009から2010年漁期には本海域での成貝の大量成育が認められた。漁獲量の回復がみられた」となっているんだけれども、このときの一時復活というのは、もう量的には本格的復活というふうにみなしているんですかね。もしみなしているのであれば、大量成育でいいんですけれども、そうでないのであれば、漁獲量の経年変化を見ると、本格的な復活とまで言えないんじゃないかなという気がするんですよ。そうすると、大量成育という言葉はちょっとどうかなという感じがします。

○岡田委員長 事務局、よろしいですね。

○根木閉鎖性海域対策室長 人によってとり方が違うような表現はなるべく避けて、定量的なデータを基本的に入れていくという方向で修正したいと思います。

○岡田委員長 今、先生は気がつかれた、変な言い方ですが、一部を指摘されたので、全体を見て当然のことながら御確認をお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知いたしました。

○岡田委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○速水委員 まとめの部分で1つコメントなんですけれども、総括の部分が恐らく一番重要で、ここの部分を中心に読まれる方が多いと思うんですけれども、その総括の中の問題点として、ベントスに関しては問題点の明確な特定には至らなかったということで、データがなかったからしようがないという書き方がされているんですけれども、一方でもって、現実の有明海の特に奥部のほうでは、短命な有機汚濁耐性種が卓越したような非常に不安定な群集になっているということが書かれているんですね。これは問題じゃないかと思うんですよ。こういった問題を今後は解決していくべきであるというのがやはり委員会の指摘することだと思うので、問題点がないと書いてしまうのは、ちょっとどうかなと思うんですけれども。

○岡田委員長 おっしゃるとおりだと思いますが、A1海域ですよね、先生の今の御指摘。前のほうにはたしか問題であるような書き方がしてあるはずですので、確認してください。何か特段のあれがあれば、どうぞ。

○根木閉鎖性海域対策室長 なかなか表現が難しいところだと思っておりまして、A1海域では、近年10年間のデータだけから問題点などを特定することは難しいのではないかということを書いた上で、少し増減傾向を書いて、総括の4-5-6ページのところで、今、速水先生に御指摘いただいたところでありますが、A1海域のベントスについては問題点の明確な特定には至らなかったと書いておりまして、ここら辺、確かに御指摘いただいておりまして、誤解がないようにということで努めておりますが、それで御指摘を以前にどなたかからいただいて、この表現をどうかということでありますが、さらなるよい表現などありましたら御提案いただけるとありがたいところでございます。

○岡田委員長 速水先生、よろしいですか。

 では、これはもう一度検討していただくということでお願いいたします。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○上田委員 資料4の説明を伺った後にもう一回もとに戻って、3章のまとめのページ数でいったら3-参考-11ページですか、そこを見てみますと、ベントスで1980年代のデータがあるのは、有明海湾奥東部及び湾奥西部というこの2ヶ所、2水域だけですよね。その下のほうの表現には「有明海北西部における」というふうにあって、私何かここを読んでいるとき、まだほかのデータもあるかなと思って読んでいたんですけれども、その2つの水域をまとめて北西部というふうに表現されているというのもちょっとわかりにくいと思います。

 それで、前のほうで北西部というふうに、湾奥東部とか西部と書いていて、その次の章ではA海域、Y海域というふうな表現をされるというのも、非常に何か両方ちらちら見ないといけないというのがあって、どこかで言葉を統一していただきたい。

 今の質問ですけれども、参考のほうの北西部というのは、これはどういうことですか。やっぱり2水域のまとめですかね。

○岡田委員長 事務局、御指摘の趣旨は重々おわかりだと思いますが。

○上田委員 もう一点あるんですけれども、ついでにいいですか。

○岡田委員長 ちょっと今のを答えていただいてから。

○上田委員 ほかにもあるかもしれませんが、今挙げたのは3-参考-11です。

○岡田委員長 全部についてここでチェックしていただかなくて、気がついたところを言っていただければ、先ほどの指摘と同じで、全部について事務局で再確認するということが必要だと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 まず、その点についてコメントさせていただくと、いかにするとよりわかりやすくなるかということに尽きると思っておりますが、例えば説明は割愛しておりますが、3-4-12ページをご覧いただきますと、3章では、どちらかというと経年変化を中心に見ると。そして、海域ごとの考察がどちらかというと4章を中心に見るということもあるんですが、4章から正式にはA1海域とかA2海域と使っているので、ちょっとそこも確かにわかりにくいという御指摘を以前もいただいておりまして、それで、3-4-12ページの下のところにA1海域はこういう言い方をしていますと、A2海域はこういう言い方をしていますと。3章ではまだA1、A2海域という言い方はあまり積極的には使っていないということですが、この北西部という言い方は少しまたわかりにくいということですかね。基本的にはA2海域、A3海域をまとめて表現したつもりなんですが、確かに表現がいろいろ出てくるとわかりにくいということの御指摘だと思いますので、工夫、整理をしてみたいと思います。

○岡田委員長 先生、続けてどうぞ。

○上田委員 そのベントスについて、その後の再生のところもちょっと見ていたんですけれども、今もおっしゃられたように、近年10年間の変化というふうにおっしゃっていますけれども、1989年から現在までだったら20年間になりませんかね。

○根木閉鎖性海域対策室長 恐縮ですが、大量の資料ですので、飛ばし飛ばし説明しておりまして、ちょっとうまく説明できていないということでございますが、A2海域とA3海域、そして、A4海域は20年もしくは25年ぐらいのデータがあると。連続ではなくて、A2海域とA3海域は1989年のデータがあります。A4海域は1993年から連続データがあるんですが、ほかの海域は近年10年間のデータしかないというところがありまして、そういう意味で、A1海域のところは近年10年間のデータしか、ちょっと例として説明させていただきますと、A1海域の総括では4-5-6ページをご覧いただきますと、総括でベントスが一番下のほうにありまして、A1海域、4-5-6ページですね。「直近約10年間のデータしか得られなかったため、問題点の明確な特定には至らなかった」と書いております。

 一方、A2海域は1989年のデータとか2000年のデータ、少し飛び飛びではありますが、2005年以降のデータと、一応押しなべて25年間分ぐらいのデータがありますので、A2海域の該当する4-5-10ページを見ていただきますと、10年間のデータしか得られなかったという表現はしておりませんでして、4-5-10ページの総括のところを見ていただくと、ベントスについて種組成が変化したこと、個体数が約2割減少したこと、群集構造の年変動が大きいなどの特徴がみられるということで、A2海域、A3海域、A4海域は少し昔のデータもあるので、ほかの海域と書き分けた表現をしているということであります。

○上田委員 了解しました。この10年というのは2005年から2015年の間ということなんですね。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、2005年以降ということでございます。

○上田委員 そう書かれたほうがよくないですかね。直近10年とかいうと、何か非常に表現的に紛らわしいというか、この10年間の変化というふうに捉えてしまったので。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知しました。4-5-6ページの辺りですね。ほかも類似の表現を多数使っておりますので、正確性を期したいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。では、これも全体を通じて確認してください。

 ほかにございますか。

 どうぞ。すみません、失礼。古賀先生、どうぞ。

○古賀委員 先ほどの北西部海域という部分についてちょっと補足をしたいと思いますけれども、3-9-6に1989年の底質とかのデータは私が書いたものですけれども、そこの出典を見てもらうと、有明海北西部海域の底質及び底生生物ということで僕は発表しているんですけれども、その部分で多分そういうふうになったんじゃないかなと思います。

 これは福岡県の海域があまり入っていなかったので、ちょっと遠慮してこういう書き方で書いていましたので、実際はA2、A3がほぼ入っていますので、そういった観点で表題とかそこら辺を整理していただけたらなというふうに思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。では、これも確認してください。

 では、いいのかな。はい、どうぞ。

○中田(薫)委員 すみません。例えば4-5-16でタイラギとかアサリのところに資源の持続的な利用に向けた知見が得られていないことが課題の一つとして挙げられると、あと、口頭でも何回か出てきたと思うんですけれども、これは具体的な再生に向けた知見がもう既にあるのではなくて、ないということを言いたいということで確認ですけれども、よろしいでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、そのとおりでございます。各海域で資源管理、それぞれのやり方で行われているところも多くあるということも、本文のほうではその例示などもしておるんですが、これだけ幼生とか稚貝が低位で推移してきてしまっていると。こういう状況の中における例えば少し近い将来にそういったものが出てきたときに、それをすぐ採ってしまったら、またもとに戻ってしまうという中での保護すべき資源量の把握などの知見が得られていないという、今御指摘、御質問いただいたとおりでございます。

○中田(薫)委員 ありがとうございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

 ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ先生。

○古賀委員 すみません。4章のまとめの表についてなんですけれども、基本的にこの表の文言についてはいいんですが、大したことではないですが、体裁なんですよね。例えば4-5-3のA1海域を見ると、問題点の確認というのが最初にあって、次、行があいて、問題点の原因・要因の考察と物理環境等の現状・変化が一緒になっていますよね。だから、ここで一番大切なのはやっぱり問題点の確認と、それの原因・要因の考察というのがみそではないかなというふうに思いますので、少なくとも4-5-4の有用二枚貝の部分と底質以降の部分については切り離して、その表の項目も問題点の原因・要因の考察と、あと別として物理環境等の現状・変化というふうに分けたほうが多分見やすいんじゃないかなというふうに思いました。

 以上です。

○岡田委員長 事務局の意図をどうぞ。

○根木閉鎖性海域対策室長 この辺もどのように表現すれば一番意図が伝わりやすいかということに尽きると思っております。例えば確かにA1海域だと少し見えにくいところがあるかもしれませんが、A3海域で少し御相談させていただきますと、4-5-12ページから13ページが今該当の表でございますが、問題点の主な原因・要因、タイラギについて、貧酸素水塊が資源減少の要因の一つと推定されると。まず、直接的なところを書いていると。さらに、その下にいきまして、例えば次のページで溶存酸素量について記載をしているというようなこともあります。

 失礼しました。A1海域でも、同じようなことだったかもしれません。A1海域でも物理環境の説明の中に問題点の原因・要因につながってきているところも含まれておるのかなという認識がありまして、A1海域のほうでよかったかもしれません。4-5-4ページから4-5-5ページで見て、サルボウで貧酸素化が問題ではないかとまず書いてあります。それで、例えばそういった貧酸素化というものに関連しそうな項目として水質の項目、例えば4-5-4ページの一番下のところを見ていただくと、貧酸素水塊が発生していると。その次、COD、T-Pが近年5年間では環境基準を上回っているとか、では、そのCOD、T-Pの経年変化はどうなんだという辺りになると、次のページに書いてあるみたいな、まさに連関図のイメージかもしれませんが、つながっているところも含めて、特にポイントになると思われるところはアンダーラインを付して表現してみたということではあります。この辺りもどのように表現すれば一番伝わりやすいかということだと思いますので、ぜひ御意見、御助言をいただければ大変ありがたいと思っています。

○岡田委員長 いかがでしょう。なかなか難しいことで。

○古賀委員 底質以下の分については、問題点の原因・要因とは関係ない部分も一杯入っていますよね。だから、私としてはやっぱり分けておいて、基本的には物理環境はこうなっていますよというのは切り離しても見えるので、やはり一番ここで問題なのは、二枚貝の減少とベントスの変化ということですので、その部分をやっぱり中心に絞って書いたものがあっていいのかなというふうに思いました。

○岡田委員長 では、これは事務局でもう一度検討してください。御議論いただいて、次回にまた先生に御確認いただくなりしたいと思います。よろしいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知しました。

○岡田委員長 よろしくお願いします。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○山口(敦)委員 すみません。4-5-30なんですけれども、まとめのところで、以前にもちょっと一度意見をしたんですけれども、ちょっと反映をされていないのでもう一度言わせていただくんですが、魚類等の変化のところで、これ項目が小課題みたいな、魚類等の再生産機構というのと夏期の赤潮というのがあるんですけれども、この魚類等の再生産機構というのが少しほかのタイトルのつけ方とも違っていて、内容とも合っていないので、ここは恐らく初期減耗とかそういうような言葉に変える必要があるのかなと思います。

 後半については生態系構造の変化についてなので、ここは生態系構造の変化というような見出しですかね、左側の魚類等の再生産機構というところに変えて区分しながら、そのように書いたほうがいいのではないかなと思います。

 原因とか要因が大事だと思うんですけれども、この場合、魚類の再生産機構がほかの海域と違ってすごく有明海に特異的なものであるということを背景にして、その減少要因として3行目に藻場・干潟等の生息場の縮小とあるんですけれども、この文章からいうと、主要な魚類等の減少要因としては恐らく干潟の生息場の縮小で、ちょっと前のほうも見たんですけれども、藻場というのは出てきていないので、まず、干潟としたほうがいいと思います。藻場が問題ないというわけではないんですけれども、ここでは干潟だと思います。

 あと、底質の変化とかがなくなっていて、もう主な原因がすごく貧酸素水塊の発生に終始しているように見えるので、原因はそれだけではなくて、というか貧酸素水塊がどこまで効いているかというのは、実際のところよくわかっていないので、貧酸素水塊以外にも底質自体の変化とか、場の縮小はもちろんなんですけれども、一つ問題になるのがこの特異的な再生産機構に対して仔魚が長い距離輸送されるという特異的な再生産機構に対して、その輸送に関わる流れの変化が大きく効いているんじゃないかというのを前のほうにも挙げてあると思いますけれども、それがここに書かれていないので、少し偏っているような印象があるので、そういったところも入れたほうがいいと思います。

 前回の委員会の報告にもそれは書かれているので、ここでなくなっているということは、それはもう消えたというような意味合いになると思うんですけれども、そういうわけではないと思いますので、逆に知見が蓄積されて、そういった流れの変化というのがより効いてきているというのがわかってきているので、残しておくべきではないかなと思います。

 ほかの貝類とかそういうところに比べると、すごくコンパクトに魚類のほうは、種数等多いんですけれども、まとめられているので、そのバランスも少し小さ過ぎるかなというように思いますし、それに対して、赤潮のほうが大きく書いてあるので、ちょっと全体的にもう少しバランスを整えたほうがいいのではないかなと思いました。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 まずは、小タイトルについて御指摘を踏まえて、また御相談させていただければと思います。

 藻場については、浅海域というようなこともありましたので、また、3章のところで藻場も減少しているということもあったので、藻場・干潟ということで入れてみたんですが、5章にここはつながっていくところでもありますので、入れないほうがいいということであれば、そこはもう評価委員会の中で御判断いただければということでありますか、3章のデータなども勘案して、浅海域ということも勘案して入れてみたということでございます。

 あとは、もう少し丁寧に書いたほうがいいのではないかという御指摘につきましては、また少しどのような書き方がいいか個別に御相談をさせていただければありがたいと考えております。

○岡田委員長 よろしいですか。というか、山口先生ともう一度御相談させていただきながら修正するということで、先生には申し訳ございませんが、御協力、御援助のほどよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。ほかにございますか。

 それでは、ここで一旦休憩とさせていただいて、5分休憩させていただきます。5分後に再開して、その間にまたお気づきの点がございましたら、もう一度今の4章に関する御質問、御意見をいただいて、その次の章に進みたいと思います。

 では、5分休憩させていただきます。

(休憩)

○岡田委員長 若干短い休憩時間で申し訳ございませんでした。一応5分と申しあげたので、5分で再開させていただきます。

 それでは、もう一度今の4章のところで何かお気づきの点ございましたら。よろしいですか。

 まず、今いただいた御意見をもとに資料の修正は事務局のほうでよろしくお願いいたします。

 それでは、次に進めさせていただきます。

 それでは、議題4で再生への取組について事務局から御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、承知いたしました。資料5、ページでいいますと、5-1ページをお開きください。5章の再生への取組でございます。

 まず、1番として再生方策の設定と本章の構成であります。前章、4章で再生目標(全体目標)を設定して、これを踏まえて今回の検討では生態系の構成要素または水産資源として重要と考えられる生物に係る4つの項目の問題点、ベントスの変化、二枚貝の減少、ノリ養殖の問題、魚類等の変化の確認とその原因・要因の考察を行ったと。その整理に当たっては、1970年頃から現在までの変化やその原因・要因を基本としているということをここにも記載しております。

 そして、次のパラグラフでございますが、この5章では、前章までの問題点と原因・要因の評価を踏まえて、個別海域ごとに目指すべき再生目標を定めて、それを達成するための再生方策を示すと。加えて、ノリ養殖の問題や魚類等の変化など海域全体で捉えるべき問題の原因・要因の考察につきましては、海域全体に係る再生方策も示すと。有用二枚貝については、全体で示すべき内容については全体で示すということの構成をここで書いております。

 また、最後のパラグラフについては、データの蓄積の話ですとか今後の課題としてモニタリングの継続的な実施によるデータの蓄積及び調査・研究開発に係る必要な事項を示すということであります。

 おめくりいただきまして、5-2ページが今申しあげた構成が上に図で書いておりますし、海域区分は下図でこの5章でもわかるようにしたということであります。

 次に、5-3ページでございます。再生に向けた方策等の考え方ということで、第1パラで、有明海・八代海等は貴重な希有な世界生態系ですとか生物多様性、豊かな生物生産性を有していると。これらを踏まえて対策を実施する必要があると基本原則を書きまして、次の第2パラ、第3パラについては、順応的な方法により諸施策を進めていく必要があるということを記載しております。

 次の第4パラグラフにつきましては、海洋環境や生態系は長期間にわたって変化していると。特に近年は気候変動による影響も指摘されていると。これらの点も留意する必要があるということも書いておりますし、海域区分の実情に応じた対策を海域区分ごとに検討する必要があると書いております。

 次のパラグラフでは、海域全体もしくは個別海域または具体的な対策を講ずる際には現場に即したミクロなエリアにおける工学的対策ですとか、生態系機能等を活用した環境改善手法について検討をする必要があると。最後の行では、食物連鎖等の生物間の相互作用にも留意するとともに、資源の保全に努める必要があると書いてございます。

 おめくりいただきまして、4ページから再生目標と再生方策でございます。

 まず、全体目標につきましては、4章に記載したものをここでも記載していると。基本的な方向性の全体的な目標を記載しております。当面の目標とする時期は概ね10年後とするという期間の目安も示したということであります。

 次に、5-4ページの下のほうで個別海域ごとの再生目標と再生方策でございますが、ベントスの変化と有用二枚貝の減少、この2つにつきまして、個別海域ごとに再生目標、再生方策を示すと。全体方策は後述するということをここにも書いております。

 そして、A1海域から、まず文章がありますが、この文章は先ほど説明させていただいた4章のまとめの表の総括、基本的にこれに相当するものがまずここに入ってきていて、このA1海域の問題点は何か、主な原因は何かということを具体的にまず記載しているということであります。これを踏まえて、再生目標は何かということで、問題点を裏返したといいますか、2つ記載しています。サルボウが夏期の貧酸素水塊によるへい死を引き起こさないようにすると。アサリの資源回復を図ると。また、この海域はノリもやられておりますので、アサリの資源回復に当たっては、ノリの安定的な養殖生産との共生を図ると記載しております。

 これを踏まえた再生方策でありますが、まずはサルボウの関係でありますが、夏期の貧酸素水塊を軽減させるため、効果を見極めつつ以下の対策を進めると。幾つか箇条書きしております。汚濁負荷量の削減を図ると。二枚貝はその水質浄化機能を有するということから、有用二枚貝の生息量を回復させるための生息環境を保全・再生すると。例えばということで、例示でカキ礁再生のための実証事業を行うと記載しています。3つ目には、装置の設置等による成層化の緩和等のための流況改善を検討するとしています。また、モニタリングを継続的に実施するということ、そして、環境基準に追加されておりますので、適切な類型指定を進めると記載しております。

 次に、アサリの再生目標に対応する方策でございますが、アサリの資源の回復を図るため、母貝生息適地の保全・再生を図るですとか、もしくは泥化対策等の底質改善、覆砂、海底耕耘、浚渫等を実施すると記載しております。覆砂の対策の留意事項は、また全体の欄で後ろに記載しているということもここに米印で記載しております。

 また、浮遊幼生や着底稚貝の量が低位で推移していることが類推される中、確実な資源回復につなげるための資源管理方法を早急に確立し、実施に移すと記載しています。また、後ろの全体の欄でエイなどの食害対策なども記載していますので、そこも後ろには書いてありますよということをここに括弧書きで記載しております。

 次に、A2海域につきましては、再生目標は、ここは25年ぐらいのデータがあるということも踏まえまして、まず、ベントスの群集、種類数、種組成、個体数を保全・再生すると。また、タイラギの資源回復を図る、この2つを記載しております。

 再生方策としましては、ベントス群集の変化・変動要因の解析調査を行うと。継続的にモニタリングも行って、問題が生じた際には適切に評価、必要に応じて対策と記載しております。

 また、タイラギについては幾つか記載しておりますが、まず、浮遊幼生の量を増やすため、浮遊幼生の移動ルート及び稚貝の着底場所の詳細な把握、母貝生息適地の具体的な選定、母貝生息適地の保全・再生、母貝生息適地への稚貝放流により広域的な母貝集団ネットワークの形成を図ると位置づけております。また、資源管理方法を早急に確立という話、そして、このA2海域は立ち枯れへい死の原因・要因の解明を進めるということを入れております。また、底質改善の話もA1海域と同様に入れております。

 次に、A3海域でございます。再生目標は3つでありまして、ベントス群集を保全・再生すると。タイラギの資源回復を図ると。サルボウが夏期の貧酸素水塊によるへい死を引き起こさないようにすると、この3点であります。

 ベントスについては、再生方策はA2海域と同様の記載、タイラギもここのページに書いてある3つはA2海域と同様の方策を記載しております。

 おめくりいただきまして、A3海域は貧酸素水塊の問題があると。これがタイラギに影響を与えているのではないかということがありますので、A3海域のタイラギとサルボウ、両方の方策としまして、効果を見極めつつ、貧酸素水塊の軽減に係る対策を進めるということをここで記載しております。この対策の中身は、A1海域に書いてあるものと同じものを箇条書きで記載しております。

 次に、A4海域でございます。A4海域の再生目標は、ベントス群集の保全・再生をする。タイラギ及びアサリの資源回復を図ると。ここはアサリが特にとれるというところでもございます。

 そして、「なお」ということで、次のページにまたがってしまっておりますが、タイラギ、アサリの資源回復に当たっては、ノリの安定的な養殖生産との共生を確保するという考え方も記載しております。

 再生方策としまして、ベントスについてはA3海域と同様の解析調査などの記載をしております。

 タイラギ、アサリについて、タイラギはA2海域と少し類似の、近接の地域の問題点でありますので、方策としてもA2海域と同様の方策を記載しています。また、アサリについては、A1海域と同様の方策を記載しております。

 次に、A5海域につきまして、有用二枚貝、ベントスについては問題点の明確な特定には至らなかったと。本海域特有の問題はみられないが、水環境や生物のモニタリングを実施し、継続的に評価することが必要であると書いています。また、繰り返し申しあげますが、魚類等の話については、共通方策が後ろにありますので、ここではあくまで有用二枚貝、そして、ベントスのことについて書いてあるということであります。

 A6海域につきましては、ページをおめくりいただきまして、再生目標としてはアサリの資源回復を図ると。再生方策としては、アサリの資源回復を図るための対策を進めるということで、幾つか箇条書きにしております。また、魚類の話が下に丸で付しておりまして、魚類の資源回復等の観点から貧酸素水塊の軽減を図るということで、この海域は貧酸素水塊の話があってということで、後ろで魚類として共通でも書いてありますが、ここにも掲載をしております。

 A7海域は、A5海域と少し類似の整理でありますが、問題点の明確な特定には至らなかったということでございます。

 次に、八代海の個別海域における再生目標と再生方策。Y1海域について、再生目標としてはアサリの資源回復を図ると。再生方策としては、アサリの資源回復を図るために以下の対策を進めるということでございます。こちらについても、繰り返しになりますが、あくまでここは二枚貝とベントスのことについての再生目標、再生方策でありまして、全体方策の話はまた後ろに全体で出てくると、そのような整理であります。

 Y2海域についても、おめくりいただいて、5-12ページで、目標としてはアサリの資源回復を図る、そして、再生方策については、そのための対策について列記をしております。

 Y3海域につきましては、目標としまして、養殖が盛んな地域でありまして、持続的な魚介類養殖を確保すると記載しております。その対策としまして、5-13ページの上段でございますが、赤潮モニタリング対策の強化、有害赤潮の発生予察の推進等により、赤潮被害の回避を図ると。情報網整備、防除技術に関する研究の推進等により、赤潮被害の軽減を図ると。赤潮発生、増殖及び移動に係る各種原因・要因の究明を図ると。環境収容力及び歩どまり率を考慮した生産の検討、ブランド化の推進、給餌等に伴う発生負荷の抑制等により、水環境や生態系との共生を図ると記載しております。

 Y4、Y5、そして、橘・牛深周辺地域ということでその後記載しておりますが、これは基本的にやはり養殖が盛んな地域ということで、Y3海域と同様の記載になっております。

 次に、5-15ページをお開きください。

 有明海・八代海等の海域全体に係る再生方策(全体方策)であります。

 有明海・八代海等の海域全体または多くの海域に共通する問題点及びその原因・要因並びに目標達成に向けた再生方策を以下に示すと。個別海域の話は前に基本的に記載していますよということも書いております。そして、その下からは先ほど申しあげた4章の有明海・八代海全体のところの総括の部分を基本的に少し長くなっておりますが、こちらに記載しているということでございます。

 ページをおめくりいただきまして、5-16ページから全体方策ということで、まず、この全体方策の欄を2つに分けておりまして、まずは4つの項目、ベントスとか二枚貝とかノリ、そして魚と、4つの項目ごとの方策を示して、次に、そのベースとなる生物の生息環境の確保に係る方策を示すと。そして、大きく2つのくくりに分けているということであります。

 生物・水産資源に係る方策としまして、ア、イ、ウ、エとあります。まず、ベントスで10年ぐらいのデータしか得られていないので、問題点の明確な特定に至らなかったというエリアも含めまして、全体として今後も継続的にモニタリングを行い、問題点が生じた場合には、その原因を評価した上で、必要に応じて適切な対策を講ずると記載しております。

 次に、イの有用二枚貝に係る方策で、個別海域というより共通の方策というようなことでありますが、二枚貝の保全・回復を図るためということで、種苗生産等の増養殖技術を確立すると。資源量の底上げを図るために種苗法流を推進すると。その際に、海域固有の生態系保全の確保を図りつつ実施すると記載しております。

 次の広域的なタイラギの母貝集団ネットワークを形成するとかアサリの母貝生息適地の保全・再生を図ると、これは個別海域のところでも記載している内容でございます。

 次に、エイ類等の食害生物の駆除・食害防止策を適切に実施して、被害の軽減を図ると。食害生物の駆除に当たっては、希少種が混獲されないように十分留意するとも入れております。また、資源管理方法の話も個別海域のところでも書いてありますが、記載しております。

 次に、ノリ養殖に係る方策でございます。

 ノリの色落ち被害を可能な限り回避・抑制するために、珪藻赤潮発生をより精度よく予察すると。これに加えて、発生機構をより明確化していくことが重要であると記載しております。

 また、その持続可能性の高いノリ養殖のために以下の対策を進めるということで、漁業者の協力を得た適切な漁場利用により漁場環境を改善して、高品質・高付加価値のノリ生産を推進すると。酸処理剤と施肥の適正利用のため、海域で使用される酸処理剤等に由来する栄養塩量や有機酸量を継続的に確認すると。これとともに、有機酸や栄養塩の挙動について調査・研究を行うと。また、環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術を確立すると。水温上昇等に対応したノリ養殖技術を開発すると記載しております。

 次が魚類等に係る方策でございまして、ページをおめくりいただきまして、5-18ページでございます。

 具体的な対策としまして、資源量の変化について、より精度の高い評価ができるように新規加入量や漁獲努力利用等の把握も含め、動向をモニタリングすると。また、増養殖技術を確立するとともに、種苗放流を推進する。これは魚のほうでは記載してもどうかということであります。

 仔稚魚等の生息場となる藻場・干潟の分布状況の把握、そして、保全・再生を進めると記載しています。また、貧酸素水塊の話が魚でも課題として浮かび上がってきておりますので、貧酸素水塊の軽減に係る対策を進めると記載しております。

 次に、大きくグループ分けした2つ目の生物の生息環境の確保でございますが、こちらについて、まずは底質について泥化対策等の底質改善を実施すると。覆砂の対策の実施に当たっては、水域によっては効果の継続性が乏しい場合があること、海砂採取が海域環境に影響を及ぼすおそれがあることに留意する必要があると留意事項も記載しております。

 また、河川からの土砂流入の把握、適切な土砂管理、砂利採取の制限等を行うと。ダム堆砂の海域への還元等を検討するということも記載しております。

 また、少し魚のところともかぶっているところもありますが、全体に共通する話として、生物の生息・再生産の場となる、なぎさ線を含む藻場・干潟の分布状況等の把握及び保全・再生を進めると。漂流・漂着・海底ごみ対策を推進すると。そして、次のページにいきまして、海域の潮流流速等の流況の変化や藻場・干潟の喪失を招くおそれのある事業を計画・実施する場合には、予防的観点から適切な配慮を行うと記載しております。

 次に、4番で取組の実施に当たっての留意事項を3つ記載しております。1つ目は順応的な方法による取組の推進とここにもいま一度記載をしてはいかがかと考えております。また、関係者による連携の強化ということで、取組の実施に当たっては、国や自治体のみならず有識者、教育研究機関、NPO、漁業者、企業等の多様な主体が連携・協力すると。総合的かつ順応的に取り組んでいくと。また、海域・地域を越えて関係者が連携することが重要であると記載しています。また、研究者を養成していくことが必要であるということも記載しております。

 3つ目の留意点としましては、情報の発信・共有及び普及・啓発の充実が必要だということを記載しております。

 5番目に継続的な評価ということでありますが、この評価委員会において、生物や水環境のモニタリング結果の確認を含めて、本章で掲げた再生目標の達成状況、再生方策の実施状況を定期的に確認して、有明海・八代海等の再生に係る評価を適切に実施すると。また、具体的な再生方策の実施に当たっては、個別の対策事業を所管する者において、対策の効果とこれに要する費用を可能な限り定量的に比較・検討した上で効率に事業を実施し、事業実施後に適切に評価することが重要であると記載しております。

 おめくりいただきまして、5-20ページ、今後の調査・研究開発の課題ということで、大きく(1)と(2)に分けて記載しております。

 (1)はデータの蓄積ということで、有明海・八代海等の長期的な変化を把握するために、特に以下に箇条書きした事項において関係機関及び関係者によるデータの蓄積の推進が必要であると記載しました。

 また、(2)は研究・開発でありますが、前に示した全体目標を達成するために解明すべき課題や開発すべき技術として、特に以下の項目について研究・開発を進める必要があるということで、4つのカテゴリーになっております。小委員会などで御議論をいただいたものでございまして、個別の説明は割愛いたしますが、①が生物・生態系に関する研究・開発、②が水産資源に関する研究・開発、③が物質の動態に関する研究、④が水質汚濁、赤潮、貧酸素水塊、底質等に関する研究・開発ということで、それぞれ箇条書きしております。

 以上が5章の本体の案でございます。

 参考として、次、ページをおめくりいただいて、5-参考-1というところが参考でケーススタディということを今回整理いただいておりますので、ごく簡潔に御紹介したいと思います。

 幾つかの再生方策において、その妥当性や効果を検証するため、モデル計算等を用いた検討を行うということであります。具体的には4つございまして、1つ目が貧酸素水塊の要因解析ということでありまして、何が貧酸素水塊に効くかということをシミュレーションモデルを使って要因解析したと。具体的には、5-参考資料-9ページというところにその結果の概要がございます。ちょっと御紹介だけさせていただきます。

 要因解析を行いまして、例えば2006年ベースと2009年ベースということで、貧酸素水塊が大きかった年、小さかった年、2つの年のベースでやってみたということでありますが、例えば左上のA1海域の図を見ていただくと、過去、1970年から現在までの例えば水温が一番高かったとき、低かったときとか、二枚貝が今より多かったときとか、流入負荷が1970年から今までで一番大きかったとき、小さかったときということで、感度を増やしてみて試算してみたところ、水温が低いときはベースケースに比べて0.41、貧酸素水塊の容積が4割ぐらいとなる、ベースケースに比べて6割ぐらい小さくなるのではないかという試算であります。

 藻場のほうは、南部にもともと藻場があるということで、あまり今回の試算では影響がみられなかったと。二枚貝が2倍ぐらい生息していると、ベースケースに比べて7割ぐらい貧酸素水塊が小さくなるということが記載できるのではないかという試算であります。流入負荷について、流入負荷が小さいと25%ぐらい小さくなるのではないかと。流入負荷が大きいともっと大きくなるのではないか、このような試算結果が得られまして、そこからページを戻っていただいて、5-参考-1ページに戻っていただきまして、試算結果というところで、一番下のところに、下から3行目ぐらいでありますが、水温、二枚貝、流入負荷のそれぞれが貧酸素水塊の規模の増減に寄与することが試算結果として示されたということでございます。

 次のページをおめくりいただいて、5-参考-2でございますが、イ)として二枚貝による改善効果の試算ということで、今の要因解析によって二枚貝の生息量を増やすことも貧酸素水塊の規模を小さくして、その影響を少なくすることに寄与する旨の試算結果が得られたということで、その二枚貝生息量を増やすいろいろな方法はあると思いますが、一例として1970年頃はより広いエリアに分布していたカキ礁を一例として取り上げて、その効果について数値シミュレーションモデル等により試算を行ったと。

 試算結果としては、カキ礁を2倍に増やした場合という試算でございますが、エリアによって貧酸素水塊の容積が約1割ぐらい減少したという試算結果、後ろに具体的に資料はございますが、そのような試算結果が得られたということでございます。

 次に、その同じページに2)ということで二枚貝の浮遊幼生の供給ネットワークの試算ということでありますが、タイラギの幼生が相当期間浮遊すると。どのようなエリアに浮遊するかについて定量的に試算できれば、有明海を全体として捉えて、母貝生息地、浮遊幼生供給地について広い地域を具体的な候補の選択肢とすることが可能になるのではないかと。このような観点から浮遊幼生の輸送過程の試算を行ったということでございます。

 試算の結果については、タイラギの主漁場である有明海奥部に対して、有明海奥部だけではなくて、有明海の広い範囲から浮遊幼生供給がなされている可能性があることが示唆されたと。奥部のタイラギ資源の回復のためには湾奥部だけではなくて、有明海を個別海域・県域を越えて全体として捉えて、さまざまな海域における母貝集団の保全・育成をしていくことが重要であると考えられたということでございます。

 最後に、八代海における赤潮の被害防止対策の取組ということで、こちらは先進事例の紹介ということになりますが、赤潮被害を確実に軽減する方策として期待されるものに赤潮発生に関する情報の早期把握、予察が挙げられると。確度の高い予察が可能となれば、漁業者による早期の対策が可能となって、赤潮被害の軽減が期待されると。このため、現状における赤潮発生に関する最新の予察技術について取り上げたということでございます。

 先進事例を2つ取り上げておりまして、まず、この折田らというものでは、日照時間とか北東風の平均風速とか入梅日、これが赤潮の発生と強い相関が認められると。重回帰式により精度高く予察することができたということ。また、Onitsukaさんのものでは、2月から4月の平均気温とか入梅日が赤潮発生年・非発生年を区分することの予察ができたという先進事例の紹介をさせていただいております。

 以上、4つのケーススタディもあわせて御紹介をさせていただきました。

 説明は以上であります。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの再生への取組の部分で何か御意見、御質問がございましたら承りたいと思います。

 はい、どうぞ、先生。

○小松委員 5-9のA6海域のところ、最初に「本海域は有明海中央の西側に位置する支湾であり」とあって、諫早湾という言葉が一切出てきていないんですね。やっぱりこれは入れるべきだと思います。

 それから、ベントスのところで、さっき速水先生の御指摘と関連をするんですが、ベントスの最後のところにデータがないから変化が不明であり、問題点の明確な特定には至らなかった。これ間違いじゃないんですが、これだと変化がないと、では問題点はないのかというふうになりかねないんですね。だから、現在がどういう状態なのかをやっぱり記述する必要があると。例えばその4行上に底質の改善などの対策が有効な場合もあると考えられるという記述があって、結局底質があまりよくないとちゃんと言っているわけですけれども、ベントスについては問題点の明確な特定には至らなかったとなっているわけですね。結局底質が悪いときのベントスの状態になっているわけですね。その辺をやっぱり触れないと、とにかく変化がないと問題点はないというふうにしか読み取れないんですよ。そうじゃないと思うので、これは私、以前から指摘していることなので、ぜひ改善をお願いしたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 A6海域の表現については、御指摘を踏まえて修正したいと思います。

 また、ベントスのところについて御指摘をいただいていることは重々承知しておりまして、表現を改善しているつもりでありますが、まだ少しわかりにくいという御指摘だと認識しました。先ほど速水委員に御指摘いただいた点も含め、いま一度わかりやすい表現を検討すると。何かあれば御助言もいただければということでもありますが、あとは例えば有明海・八代海全体のところ、5-15ページ辺りでは、A2海域、A3海域、A4海域だけでなくてベントスのことも触れておりまして、例えば5-15ページの(1)の中の上から6、7行目ぐらいでありますが、「海域の生息環境の指標ともなるベントスについては、近年の限られたデータからは、問題点の明確な特定には至らなかったが」とありますが、「海域によっては種組成や個体数の顕著な変化や日和見的で短命な有機汚濁耐性種が多くみられた」というこの辺りも書いた上で、こういう特徴を捉まえて海域全体の欄でも、そこを捉まえた上でベントスに係る方策というものを5-16ページに書いたと、このような構成ではございます。問題点の特定には至らなかったという辺りで、よりよい表現ですとか工夫などを検討してみたいと思います。

○岡田委員長 よろしくお願いいたします。

 ほかに。

 はい、どうぞ。

○速水委員 今の小松先生のコメントに関係するんですけれども、5-16のベントスに係る方策のところですけれども、ここでは種組成や個体数の顕著な変化がみられる場合、持続可能性が損なわれている可能性があるのでという書き方で、これ無害化を想定したように読めるんですね。ただ、実際の有明海の奥部、A1からA3、それから、A5海域といったところでは、これは日和見的で有機汚濁耐性種が卓越した状態で非常に不安定な群集になっているわけですね。ですから、現場の感覚としては、これはかつて生物が豊かであった1970年代なんかに比べると、生物が貧弱で不安定な状況になっていくのではないかと。そういう印象を非常に強く持っているわけですね。現場の漁業者からの聞き取りなんかをしていても、やはりそれが大きい問題だろうというように思えるわけです。

 ですから、ここの部分はこれから起きる変化だけではなくて、やはり過去のデータの掘り起こしですね。非常に地道な作業で、漁協の帳簿をずっと見ていくとか、それから、新たな方法でもって過去の生物を推定するとか、そういったことも今後の大きな研究の課題として上げていくべきではないかと思うんですけれども。

○岡田委員長 多分、中田先生は同じような御意見。どうぞ。

○中田(薫)委員 同じような話ですけれども、先ほどから説明の中で回復させるとか、そういう表現を言われているんですけれども、話をつないでいくと、1970年代頃の形にしたいという希望には聞こえるんですけれども、やはり過去の記録を掘り起こして、その辺にちゃんと目標を定めるみたいな、何を目標にしているかがちゃんと読み手にわかるような形に書きかえていただければなと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 ベントスのところについては、少し3つのところで書いてあるということでありまして、20年とか25年ぐらい前からデータがあって、評価が一定程度できそうではないかというA2海域、A3海域、A4海域につきましては、ベントス群集の変化・変動要因の解析調査を行うということを書いたと。それは4章の総括を踏まえて書いたと。そして、その全体の方策としては、近年、2005年から2015年のデータだけではまだ評価が難しいところはあるけれども、これからさらに継続してデータを足していくことによって、やはり今後の変化なども予見すると。ベントスが環境を表すということで、そこも含めてベントスについてモニタリングが大事だということを記載したと。

 さらに、今後の研究開発の課題というところでデータの蓄積という格好で、先ほど少し個別の説明を割愛してしまいましたが、ベントス群集の種類数、種組成、個体数の現状と変化という辺りを入れていると、そのような構成であります。御指摘を踏まえて、御指摘の意図が明確化できるような工夫ができるのか検討してみたいと思います。

○岡田委員長 今のポイントは、先ほど4章のところで速水先生が御指摘いただいた点の裏返しというか対応するところですから、4章を直したらこちらも直していただく必要がありますし、小松先生は前回もたしか時間的な変化ではなくて場所による違いみたいなところも含めて、きちんと比較してくれ、たしかそういうふうに先生は御指摘されたと思いますよね。それも踏まえて、やはりこの辺の記述は日和見種の話も含めてもう一度検討して、よりわかりやすい表現にしていただけたらというふうに思います。よろしいでしょうか。お二人の先生はそういう御指摘だったというふうに理解していますが、よろしいですね。中田先生も同じことですね。

○中田(薫)委員 はい。

○岡田委員長 ありがとうございます。では、そういう形で、目一杯努力してなかなかうまく書けないということが、今からこんなことを言うと申し訳ないけれども、あるかもしれませんが、やはり同じような御指摘を何度もいただいていて、趣旨はもう十分伝わっていると思いますので、もう一度努力していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○山本委員 多くの人は恐らく4-3-2とか3ページの連関図を見て、その後、4章の5のまとめを見て、その次、5章を見るんじゃないかと思うんですね。そうなったときにやっぱり4-3-2とか3の連関図の再生への取組というのは、どの部分をたたいているのかということがどうしても気になると思うんですけれども、一番理想的には、もう一回この連関図が出てきて、この対策はここをたたいていると言えればいいんですが、ちょっとそこをうまく書けるかどうか私もわからないんですけれども、その中で例えばこの連関図の中でも我々の力では解決できないような要因も一杯ありますので、順応的な対応をしていくんだということはもうはっきり書いてあるんですけれども、1つ対策として、かなりの部分でやっぱり放流とか母貝団地とか、生物の個体群の中の部分について何がしかの手を入れようというような対策が結構入っていて、それは結構実現可能性は高いと思うんですけれども、それがちょっと連関図の中のどの部分かというのが入ってこなくて、これを無理して入れないという考え方もあると思うんですけれども、無理して入れると、この連関図はものすごく複雑なものになるので、いろんな方面から、ほかの委員の先生の御意見も聞きたいなというところなんですが。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 事務局、今の趣旨からすれば、もう一度連関図を踏まえて検討していただくと。どこにするか責任は山本先生じゃなくて、御指摘いただいた点を踏まえて事務局でもう一度検討していただけたほうがいいかと思いますが、いかがですか。できるかどうかは、もちろんこれは別だと思いますから。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知しました。検討してみたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 では、山田先生、どうぞ。

○山田委員 例えば5-5のA1海域で、装置の設置などによる成層化の緩和のための流況改善を検討する、これは裏返しで言えば貧酸素水塊の解消と思ってよろしいんでしょうか。その装置というのを、具体的に教えてください。

 あと、これに関連して、これはA1海域と貧酸素水塊が発生するA3海域に書かれているんですけれども、A5海域には設置すると書かれていません。ただ、書かれているのは魚類の対策のところで書かれています。そこで、その思いは一体何なのかということを教えてもらいたいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 私の説明が駆け足で失礼いたしました。趣旨としましては、まず例えば5-5ページを見ていただきますと、まずは夏期の貧酸素水塊を軽減させると。その方策を幾つか書いている中の一つとして、成層化の緩和等というものを記載しております。この装置の設置等による成層化の緩和等のための流況改善の検討というのは、ブロックのようなものを置いて湧昇流を起こしてというような文献も見たりしますが、検討という言葉も添えさせていただいたということでありまして、この辺はまた委員の皆様でもアドバイスがあれば、いただければと思います。

 それで、貧酸素水塊の軽減という観点でこの検討の話を書いておりますので、A1海域、A3海域、そして、魚類の話もエリアとしてはA1海域やA3海域やA6海域ということだと思いますが、魚類の話はちょっと全体のところで整理して書いたので、そこにも書いたと、そのような整理でございます。

○山田委員 A6海域では、この装置を設置するとたしか書かれていなかったんですけれども。

○根木閉鎖性海域対策室長 A6海域のところ、少しここは整理の話になりますが、5-10ページのところでA6海域のところを見ていただきますと、A7海域と書いてある少し上ですね。再生方策の一番下のところで魚類資源の回復等の観点から、貧酸素水塊の軽減を図ると記載しております。そして、具体的な対策は魚類の方策のところにありますので、そこを見てくださいと書いております。ここが個別海域のところでは、原則として魚類の方策は扱わないという整理をしていますが、しかし、この一言は入れてちゃんと後ろを見ていただけるようにしたほうがいいだろうということで、趣旨としては書いてあります。

○山田委員 わかりました。それで魚類のところに出てきたということですね。わかりました。ありがとうございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

 では、関連でどうぞ。

○小松委員 ここの装置の設置というのは、多分我々が提案している流況制御ブロックのことで、潮流を使って攪乱を引き起こして、今彼が言われたみたいに湧昇流を起こして、攪乱を起こして成層を破壊しようと、そういうものです。だから、潮流という自然エネルギーを使って流況をよくしようと、そういう装置です。

○岡田委員長 ありがとうございました。

○山田委員 ちょっと先生、いいですか。

 それで、装置の設置はわかったんですけれども、あと、澪筋なんかも掘って、そして、流速を改善したりとか向きを改善したりとかいう方法もあるんですけれども、そういう検討はなされないんでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 少し装置の設置の「等」という言葉を入れておりまして、何もないと、成層化の緩和だけだと少しわかりにくい、装置の設置という例示も入れつつ「等」も入れておりますので、ここは大きく流況改善という方策も検討してはどうかということを書いたものでございます。

○山田委員 わかりました。では、それもちょっと文言として書き入れていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 よろしいですか。文言として少し検討してください。

 私が若干気になるのは、ここで流況改善を検討するというふうに書く場合は、問題認識として流況がよくないという認識になっているのかと、4章のまとめのところでA1海域の流況がよくないとはどこにも書いていないんですよね。この辺の整合性は、今の流況は悪くないんだけれども、もっとよくするということなのか、若干論理が飛躍しているというか、わかりにくいところがあるので、もう少しここは検討していただけますか。答えはいいんですよ。もちろん理解できるんですが、そうすると、問題認識のところにもちゃんと整合性があるように書かれているのか、そういうバッグデータがあるのか、だんだん実は気になることがありますので、これは御検討ください。いいですよね。

 どうぞ、先生。

○山口(敦)委員 ちょっと全体を通して見ますと、最後に再生への取組のところを見て、ちょっと振り返ってみると、特産種に関することが全然出てこなかったように思うんですけれども、魚類で言えば、ムツゴロウが最初に整理されて、回復したということで終わっているので、何か問題がなかったかのような感じで、最後に全然出てこないんですけれども、やはりちょっと水産資源、資源が大事なんですけれども、資源に偏り過ぎているような感じですね、最後が。とても最初の希有な生態系を保全するというようなところの視点がなくて、やっぱり特に特産種については今問題がわかっていないものもあるかもしれないんですけれども、例えばムツゴロウではなくてワラスボなんかを例にすると、有明にはいて八代海にはいないので、ということはもう有明海自体の干潟とかその環境がなくなれば生息できないということですので、そういった環境そのものがもうセットで重要な特産種というシンボルのような種類が幾つかいると思いますので、そういったものが共通の財産としてなくならないように保全していく、永遠になくならないように守っていくというような視点も重要かと思いますので、そういった視点も盛り込んだ最後の再生への取組というものをつくっていただいたらと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。よろしいですね。

○根木閉鎖性海域対策室長 今、整理としては、例えば5-18ページに生物の生息環境の確保と入っています。これはもちろん水産資源だけじゃなくて、生態系の観点も特産種の観点も含めてという認識でおります。あとは、なかなか希少種とか生態系のことはやはり科学的に知見が不足しているところが多いという認識がありまして、例えば5-21ページの①で生物・生態系に関する研究開発と、このコーナーも設けております。御指摘を踏まえて、このページ、この2ページ辺りをもう少し加筆することが適当なのかなとも感じましたが、検討させていただければと思います。

○山口(敦)委員 多分特産種というような言葉の記述が出てこないと、少しどちらかというと環境改善とかで場をいじるような方策が盛り込まれていますので、それと少し相対するようなことになると思います。わるいまま守らなければいけない、片やそういう種類もいますので、それとの折り合いをどうやってつけていくかといったところが重要になるかと思いますので、別で記載したほうがいいかなと思いました。

○岡田委員長 ありがとうございました。よろしいですね。

 ほかに。

 西村先生、どうぞ。

○西村委員 すみません。5-3のところの再生に向けた方策等の考え方の3行目に科学的知見及び社会的背景に基づき対策を実施する必要があるということで、私ここのところは非常に重要だと思います。特に後半の社会的背景に基づきというのは大変気になっておりまして、今回の委員会の報告で、2章のところの御説明で、例えば2040年の有明海の流域人口が2割減少すると、あるいは八代海のほうは3割強ぐらい人口が減少するというようなことが書かれてあったので、多分それとここが連動しているのかなと勝手に推測しておりますが、そのように流域のほうの変化、社会の変化がありますと、有明海・八代海にも大きな影響をもたらすのではないかと、少なからず影響があるのではないかというふうに予測します。

 なので、できれば最後のところの今後の調査・研究で結構なんですが、そういう社会科学的な変化を踏まえた要素を取り入れた調査・研究ということを今後実施していくべきではないかというふうに提案させていただきますので、御検討いただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 追記を検討したいと思います。

○岡田委員長 ぜひおっしゃるとおりだと思いますので、よろしくお願いいたします。書ける範囲で検討してください。

 ほかにございますか。

 失礼、どうぞ、古賀先生。

○古賀委員 すみません。今後の調査・研究開発の課題というところでございますけれども、非常にこれ重要だと思います。お願いというか、2つほどちょっと加えていただければなというのがあります。

 まず、1点目は、21ページの②水産資源に関する研究・開発で、タイラギの立ち枯れへい死の原因究明というのがここに入っていないんですね。タイラギ等の二枚貝の着底機構、着底後の減耗要因、そこでも読めるかなとは思いますけれども、非常にこの問題は大きい課題だと思いますので、それについては入れていただければなというふうに思います。

 それと、これは③の物質の動態に関する研究か④のほうかよくわかりませんけれども、諫早湾の干拓の調整池の排水の影響、これについてはぜひ入れていただきたいと思います。

 3章の3-1-5に流入負荷量が書いてありますけれども、特にCODを見てみますと、主要8河川のうち1995年以前は非常に小さいんですね。8番目ぐらいしかない。それが近年は筑後川に続いて緑川や菊池川に匹敵するような量まで増えています。基本的にA1海域とかA3海域での貧酸素対策では、汚濁負荷量の削減というのが最初に示されていますので、ここからの流入というのはちょっと無視できないのかなというふうに思っています。このことについては幾つか文献もありますけれども、議論がされていないので、ぜひ今後の研究課題として挙げていただきたいというふうに思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 1点目につきまして、タイラギの立ち枯れへい死の話が先ほどA2海域のところなどで説明をいたしましたが、例えば5-6ページの再生方策のところについて、立ち枯れへい死の原因・要因の解明を進めるとまず書いておるということであります。この5-20ページのところで、前に書いたものをやっぱり研究開発を一覧で見たいというニーズもあるかと思いますので、後ろでも基本的に重ねて書きますよという整理にしておりまして、着底後の減耗要因という言葉の中に含めてしまいましたが、明記したほうがよろしいということであれば、明記することも問題ないかと思います。

 2点目のところにつきましては、今後の研究・開発の課題というところもこれまでの検討で浮かび上がってきたところをベースに記載するというところが基本的な発想としてはありますが、どのようなことが記載できるのか検討させていただければと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○中田(薫)委員 モニタリングの継続というのもずっと書かれています。それはすごく重要なことだと思いますけれども、その中で例えば魚などはデータが少ないという話がありましたよね。少ないものは、これからはちゃんと取っていくというようなことでしょうか。私はそうしてほしいと思います。

 それから、その際に今例えばバケツ一杯でそこにいる魚がわかるみたいな環境ゲノムというのが新聞紙上でちょっと宣伝されたりしたこともありますけれども、そういう新しい技術を入れて把握していくというようなことをこれからの中に入れていただければなと思いました。

○根木閉鎖性海域対策室長 データが少なくて、ニーズが高いところについては、データの蓄積は重要だと、そのように考えておりまして、このデータの蓄積のところでも、例えば八代海などのデータが特に少ないということも書いておりますし、魚のデータの蓄積は重要と書いております。後段で御指摘いただいた最新の技術を踏まえてという辺り、何か加筆できるかどうか検討してみたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。全体を通じてでも結構でございます。

 どうぞ。

○内藤委員 すみません、細かいところで恐縮ですけれども、4章の原因・要因を受けての5章の各海域の取組というところになると思うんですけれども、例えば5-5ページのアサリの漁獲量の低迷のところで、A1海域はエイ類による食害があるというふうにこちらに書かれているんですけれども、4章のほうのA1海域のほうではそれが特記されていなくて、括弧の全体としてエイ類による有用二枚貝の食害というふうにまとめられています。

 それで、4章を受けての5章というふうに見ていったときに、例えば4-5-24であればA6海域ですと、総括のところにエイ類による食害があるというふうに書かれていて、かつ括弧に書いています。そういったところの表記の統一性と、それから、5章に特記されるのであれば、4章のところで書かれたほうがよろしいんじゃないかなというふうに思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございます。少しいろいろ直前まで資料を整理しておりまして、必ずしも整理し切れていない部分があるということかと認識しています。整理を検討したいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思いますので、よろしくお願いします。

 今御指摘あったように、4章、5章、場合によっては3章、全体を通じて何かございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○樽谷委員 先ほども指摘があったと思いますが、この委員会報告の中で連関図は位置づけとして非常に大きいと思います。それで、現在の連関図、4-3-3ページに示していただいていますけれども、ここで挙がっている問題点の項目と文章で示されている問題点の項目が一致していません。語句を統一する方向で検討していただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 失礼いたしました。御指摘を踏まえて精査、検討いたします。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 多分まだあるかと思います。だんだん終わりの時間が近づいてまいりました。今日は非常にたくさんの資料を一遍に御報告するということで、ある意味では、小委に参加されている先生は御承知な面もあるかと思いますが、そうでない先生にとっては非常に新しいものを大量にどんと示して、さあ、どうですかと。ある意味では大変失礼なことをしたというふうに思いますが、かといって、ほかの方法はなかなか難しいものですから、これは事務局も含めてお許しいただければと思います。

 ただ、ということで、だから終わりにするというと、やはりいろいろ問題が起こると思います。先ほど事務局の答弁の中でもよく読めばわかるというところももちろんあるんですが、やはり重要なまとめ等を見て、ほかの方にわかるということは重要だと思います。そういう意味では、特に小委でない先生方からコメントをいただくのは余計ありがたいというふうに思っております。

 小委のメンバーの先生方もそうだと思いますが、ということで、今日これ以上時間を使うよりも、大変申し訳ないと思うんですが、今日の資料をぜひお読みいただいて、どんな細かい点でも、それから、わかりにくい点、ひょっとしたら事実誤認もあるかもしれませんので、ぜひ事務局のほうに御意見をメールでも何でもいいですよね。場合によっては、今日の資料の中に赤く書いて、ここはよくわからないとバツをつけていただくだけでも結構でございますので、若干乱暴でも結構でございますので、ぜひ御意見をいただければ、今後のパブコメに向けての整理ができる限り、きれいなものができると思いますので、委員長として本当に申し訳ございませんが、ぜひよろしく御協力のほどをお願いしたいというふうに思います。

 ということで、本日の議論を踏まえ、それからまた、これからいただく委員の皆様方の御意見を踏まえて事務局におかれましては、次回の評価委員会に向けて報告案を準備するようにお願いしたいというふうに思います。次回はパブリックコメントに向けてのその前の評価委員会報告案ですよね。パブリックコメントにかける最終的な報告案を審議するということになっているかと思いますが、その辺のスケジュールについて事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 次回の評価委員会ですが、第40回評価委員会を1月24日に予定しております。期日的には1ヶ月以上ありますけれども、年末年始を挟みますので、実質的にはその半分程度の日数しかないかと思っております。

 本日、意見をいただけていないところとかお気づきの点につきましては、年末の大変お忙しい中恐縮でございますが、ひとまず来週火曜日、12月27日のお昼頃を目処に事務局まで一度お願いしたいと思っております。それ以降についても、お気づきの点があればいただければと思いますが、とりあえずまずそこを目標にご意見等をいただければと思っております。

○岡田委員長 事務局の目標は御理解いただけたと思いますが、やはりその間もいろいろあるかと思いますし、年末年始は先生方も多少時間に余裕があるかもしれませんので、暇な折にでもなんて言うと叱られますが、できる限り読んでいただいて、来年になってからでも可能な限り多分事務局は直せると思いますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

 ということでよろしいですか。何かお願いばかりして、これで終わりますというのは申し訳ないところもありますが、ちょうど時間になりましたので、よろしければ本日予定された議事は終了というふうにさせていただきたいと思います。よろしいですね。

 本日は本当に議事進行への御協力をいただきまして、ありがとうございました。御礼申しあげます。

 それでは、事務局に進行をお返しいたします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 長時間にわたり、大変ありがとうございました。

 事務局から2点連絡がございます。

 まず、次回の評価委員会ですが、先ほど申しあげましたように、来年1月24日、東京での開催を予定しております。会場は本日の会場と同じ環境省第1会議室の予定でございます。

 2点目ですが、後日、事務局より議事録の確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、環境省ホームページで公表させていただきます。

 それでは、これにて第39回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

1800分 閉会