第28回有明海・八代海等総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成23年10月28日(金) 15:00~17:00

2.場所

環境省第1会議室(中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

委員長:
岡田光正委員長
委員:
有瀧 真人委員、岩渕 光伸委員、上田 直子委員、楠田 哲也委員、古賀 秀昭委員 小松 利光委員、滝川 清委員、中田 薫委員、中村 由行委員、西村 修委員、速水 祐一委員、福岡 捷二委員、本城 凡夫委員、山口 敦子委員、山口 啓子委員、山田 真知子委員、山本 智子委員
事務局:
環境省環境大臣政務官、水・大気環境局水環境担当審議官、水環境課長、水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

午後3時00分 開会

○富坂閉鎖性海域対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第28回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。 会議に先立ちまして、高山智司環境大臣政務官からごあいさつを申し上げます。

○高山環境大臣政務官 環境大臣政務官の高山智司です。本日は、先生方、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、委員に就任された先生方、今回からよろしくお願いいたします。第28回の有明海・八代海等総合調査評価委員会の開催に当たりまして、まず一言ごあいさつさせていただきます。
 本評価委員会は、平成14年に成立いたしました有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律に基づいて、環境省に設置された委員会です。当時は、平成12年に有明海で発生したノリ不作の問題をはじめ、八代海では赤潮による漁業被害が発生したりと、有明海・八代海といった豊かな海で生じた環境異変が大変注目されました。
評価委員会はそうした中、平成18年12月までの3年10カ月の間に26回開催し、有明海・八代海をめぐる問題ごとに要因を把握するとともに、有明海・八代海を再生するためのご提言を盛り込んだ委員会報告をいただきました。これにより特措法で規定された評価委員会所掌事務を果たしたことから、平成19年以降、現在まで4年間開催されておりませんでしたが、この間にも環境省には地元から、この評価委員会の開催を求める声が毎年寄せられておりました。
そのような中、平成21年・22年と有明海・八代海等で大規模なChattonella(シャットネラ)赤潮による漁業被害が発生したこと等が契機となって、有明海・八代海等を地元に持つ与野党国会議員が中心になり、特措法改正の動きが持ち上がりました。先の通常国会で改正法案が可決・成立をしました。この中に評価委員会開催の制約となっていた所掌事務規定を見直す内容が含まれており、本日の開催に至ったという次第でございます。
 なお、特措法改正に当たって、委員会の名称が今回より有明海・八代海等総合調査評価委員と変更になっております。また、委員も全20名のうち9名が新委員に交代をしております。
 評価委員会は、国及び関係県が行った海域の環境や水産資源等に関する調査結果から、有明海や八代海等の状況を的確にとらえ、そこからいかにして再生に結びつけるか、科学的に裏づけられた再生の道筋を提示する役割を果たすことが求められております。本評価委員会による評価を多くの関係者がかたずをのんで待ちわびております。何とぞ委員各位の高いご見識と、また豊かな有明海・八代海への再生への道筋をお示しくださいますよう、よろしくお願いをいたします。環境省といたしましても、運営に万全を期していきますので、どうぞ至らぬ点ありましたらご指導・ご鞭撻、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、どうぞ先生方、よろしくお願いいたします。

○富坂閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。
 カメラ撮りについてはここまででお願いしたいと思います。
 それでは、ここで委員の皆様のご紹介をしたいと思います。席順にご紹介をさせていただきます。
 向かって左側から、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所センター有明海・八代海漁場環境研究センター、センター長の有瀧真人委員でございます。
 福岡県水産海洋技術センター有明海研究所、所長の岩渕光伸委員でございます。
 北九州市立大学国際環境工学部准教授、上田直子委員でございます。
 北九州市立大学大学院国際環境工学部教授、楠田哲也委員でございます。
 九州大学大学院工学研究院教授、小松利光委員でございます。
 佐賀県有明水産振興センター 所長、古賀秀昭委員でございます。
 熊本大学沿岸域環境科学教育研究センター、センター長・教授、滝川清委員でございます。
 独立行政法人水産総合研究センター研究推進部研究主幹、中田薫委員でございます。
 独立行政法人港湾空港技術研究所研究主監、中村由行委員でございます。
 放送大学教授、岡田光正委員でございます。
 東北大学大学院工学研究科教授、西村修委員でございます。
 佐賀大学低平地沿岸海域研究センター准教授、速水祐一委員でございます。
 中央大学研究開発機構教授、福岡捷二委員でございます。
 香川大学瀬戸内圏研究センター特任教授、本城凡夫委員でございます。
 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科教授、山口敦子でございます。
 島根大学生物資源科学部准教授、山口啓子委員でございます。
 福岡女子大学国際文理学部環境科学科教授、山田真知子委員でございます。
 鹿児島大学水産学部准教授、山本智子委員でございます。
 続きまして、環境省側の紹介をしたいと思います。
 先ほどごあいさついたしました、高山智司環境大臣政務官でございます。
 鷺坂水・大気環境局長は所用により遅れております。
 向かって右側、関水環境担当審議官でございます。
 吉田水環境課長でございます。
 申し遅れましたが、私、閉鎖性海域対策室長の富坂でございます。よろしくお願いいたします。
 阿部閉鎖性海域対策室室長補佐でございます。
 なお、本日、清野聡子委員並びに中田英昭委員からご欠席のご連絡をいただいております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏面に配付資料一覧がございます。資料1は委員名簿となっています。それから資料の2につきましては、資料の2-1から2-5までございます。それから、資料3としまして、カラー刷りの資料でございます。資料4、A3の横長の資料でございます。資料5、評価委員会の検討事項・検討スケジュールの案でございます。また、参考資料としまして、参考資料の1、参考資料の2-1、2-2としてお配りをしております。不足等ございましたら、事務局のほうにお申し付けください。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。委員長の選任までは私のほうで議事を進めさせていただきたいと思います。
 本日は、委員定数20名のうち18名の委員が出席しており、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。
 また、参考資料につけておりますが、委員会の運営方針第2事項のとおり、会議は公開となっておりますことを申し上げます。
 それでは、議題に入ります。
 評価委員会令第3条により、委員長は委員の互選により選任することとなっております。委員長について、ご意見のある委員がいらっしゃいましたら挙手をお願いしたいと思います。
 福岡委員、お願いします。

○福岡委員 岡田委員を推薦させていただきたいと思います。岡田委員は、この評価委員会の発足当初から委員、特に平成18年12月、ここにあります委員会報告をつくるに当たっては、その中心として大変活躍されました。これまでの委員会の経緯等も含めて、今後あるべき委員会、いろいろお考えであるということを私は見ておりますし、伺っております。私も最初から委員を務めておりまして、岡田委員のご活躍をよく見てきております。須藤委員長の後を継ぐ委員長として最もふさわしいと思いますし、現在も環境省の中央環境審議会の水環境部会長という要職にもつかれていて、まさに適任と思いますので、岡田委員を委員長として推薦させていただきたいと思います。

○富坂閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。ほかにご意見ございませんでしょうか。
 それでは、岡田光正委員に委員長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○富坂閉鎖性海域対策室長 それでは、岡田委員長、以降の議事進行をよろしくお願いしたいと思います。

○岡田委員長 ただいま、私にとって大先輩でもあられる福岡委員からご推薦いただきました岡田でございます。先ほどの福岡委員のお話にもございましたように、最初の、この前回の委員会から委員を務めさせていただきました。その成果が本当に十分かどうかというのは、まだ忸怩たるものがございますけれども、その次の責任を果たすべく、ご推薦でございますので、務めさせていただきたいというふうに思います。
 先ほど、高山政務官からお話がございましたように、この委員会、平成14年に始まりました。平成18年に一応、報告書がまとめられております。その当時を思い出しますと、やはり有明海・八代海に関する情報はまだまだ不十分であったと。その中で、ある意味で、えいやっとかなり無理してまとめたというふうに覚えております。
それ以降、その18年以降、それからもう既に4年が経とうとしております。その間、当然のことながら関係省庁、それから関係県だけではなくて、実はここにいらっしゃる先生方もさまざまな研究を進められてきているというふうに思います。そういう意味におきまして、前回に比べたら、たくさんの情報が集まりつつあるということで、今までよりはやりやすくなると。
ただ、そうは言いましても、情報が集まっても科学技術は万全ではございません。ある場合は、単なると言うと失礼ですね、かなり推定が入る、それから仮説が入る。それによりまして得られた結果も、必ずしも同じでないということは百も承知しております。これはそれで当然だと思います。ですから、それをきちんともとの過程まで、場合によってはデータまで戻って、ここできちんと再評価させていただき、その結果をもって国民・県民、それから関係者の皆様方にご納得いただけるような評価をさせていただければというふうに思っております。 ぜひ、関係する委員の皆様方、それから関係省庁の皆様方、関係県の皆様方には忌憚のないご意見、それからご指導をいただいて、この委員会を運営させていただきたいというふうに考えております。最終的には、有明海・八代海等の再生につながる提言が委員全員一致でできれば大変ありがたいと思います。それに向けて努力したいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それで、議題に入る前でございますが、委員会令の第3条に「委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」という委員長代理を置く規定がございます。私といたしましては、大変恐縮でございますが、これもまた私の大先輩の楠田委員に委員長代理をお願いしたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 それでは、ここから座らせていただきます。議事を進めさせていただきたいと思います。有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の一部改正について、事務局より資料のご説明をお願いいたします。

○富坂閉鎖性海域対策室長 事務局から、資料2-1から2-5に基づきまして説明をさせていただきます。
 冒頭、政務官のごあいさつにもございましたように、本年の8月12日に有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の一部改正法が施行されております。その内容につきまして、資料2-1、それから一部、資料2-2を用いまして、ご説明をさせていただきたいと思います。  改正の内容でございますが、大きく6点ございます。まず、1点目でございます。対象となる海域の拡張ということでございます。これまで有明海と八代海をこの法律の対象としておりましたけれども、これに「橘湾」、それから「熊本県天草市牛深町周辺の海域」というものを加えるということになっております。追加されました海域につきましては、1枚、資料をめくっていただきまして、海域の地図をつけてございます。有明海・八代海に加えまして、赤い線と陸域に囲まれた範囲、橘湾と牛深町周辺の海域と、これらの海域について今回、対象として追加をされております。
 事項2番、それから3番につきましては、それぞれ漁業に関する国庫補助の補助率の引き上げ、覆砂でございますとか海底耕うんといったような関係県が事業を行う際の補助率の引き上げの継続ということ。それから3番につきましては、赤潮被害等を受けた漁業者への被害救済対策といったものを法律の中で明示したという内容でございます。
 4番目の事項でございます。国及び関係県が行う調査事項というものにつきまして、「森林と海域の環境との関係に関する調査」というものが追加されております。
 資料2-2の中で、こちらの6ページ、7ページをお開きください。調査研究の実施及び体制の整備等ということで、これまで8項目、調査内容として挙げられてございます。干潟の関係、潮流・潮汐の関係等々ございます。この中の5番目としまして、「森林と当該海域の環境との関係に関する調査」というものが追加をされております。
 資料2-1に戻っていただきまして、5番目、有明海・八代海総合調査評価委員会の所掌事務の見直しということでございます。まず1番、もともとこの評価委員会の所掌事務としまして、法律が成立しました平成14年から、法律の施行5年以内に行うものとされた法律の見直しに関しまして、この評価委員会がいろいろ状況を取りまとめるとされておりましたけれども、こちらにつきまして、この法律の施行後5年以内といった規定が取り払われております。
 同じく、資料2-2の9ページでございます。第25条としまして、従来、委員会は附則第3項の規定に基づいて行う見直し、法律改正の見直しということでございますが、これに関し、次に掲げる事務をつかさどるとなっておりましたところがなくなりまして、委員会としての事務としまして、「国及び関係県が第18条第1項の規定により行う総合的な調査の結果に基づいて有明海及び八代海等の再生に係る評価を行う」と、このような内容になっております。
また、同じく第2項でございますけれども、「委員会の所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる」と、法律の中に規定されております。同等の規定につきましては、従来からこの特別措置法の評価委員会令の中で書き込まれてございましたけれども、法律の中で位置づけられることになったということでございます。  資料2-1に戻っていただきまして、6番の見直し等ということでございます。今回の法律の中で新たに橘湾等の海域が追加されておりますけれども、それ以外の海域で有明海あるいは八代海に起因する赤潮の被害というものが起こったときに、この海域の範囲の見直しというものを行うという規定が入ってございます。また、これにつきましての漁業被害等の措置といったようなものが、あわせて規定されておるところでございます。
 資料2-1につきましては以上でございまして、資料2-3、2-4は今回の法律改正に基づくものでございますので、特段説明は省略させていただきます。
 資料2-5をご覧ください。今回の特別措置法のアウトラインをご説明するものでございます。赤字の部分が今回の改正法で改正になった部分でございます。対象海域としまして、有明海、八代海、橘湾、牛深周辺海域ということでございまして、これらの海域につきまして、関係する地域につきまして指定地域の指定というものを行い、国において基本方針、関係県において県計画を定めるということになっております。これらの計画に基づく事業の実施ということで、右下に掲げてございます水質等の保全、下水道等の整備、漂流物の除去、河川の流況の調整等々の措置が行われているところでございます。
同時に、調査研究と体制整備ということで、国・県による調査研究の実施等が行われているところでございます。あわせて、左側、助成、支援ということで、海底耕うん等の事業に対しての補助といったものが規定されております。  先ほどの調査研究と体制整備、18条に関連する事項としまして、本評価委員会が設置されているところでございます。今回、「附則第3項の見直しに関し、」というものが削除されておりまして、有明海・八代海等の再生の評価、それから主務大臣への意見具申、関係行政機関への協力要請といったようなものが所掌として掲げられているところでございます。
 法律のご説明につきましては以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明に関しまして、ご質問、その他、ご意見のある委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、また出てきたら後でご自由にご質問等いただければと思いますが、次に進ませていただきます。
 次は、有明海及び八代海等を巡る最近の水環境及び漁業生産等の状況についてということで、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省閉鎖性海域対策室の室長補佐をしております阿部でございます。資料3に基づいて説明させていただきます。
 まず、この資料3ですけれども、中を見ていただくと、水質、漁獲、漁業生産、赤潮、貧酸素、トピックスということで、網羅的に簡潔に取りまとめた資料になっております。それで、これを作成した意味といたしましては、平成19年に最後の評価委員会を開催しまして、それ以降、これまでの間に評価委員会は開催されてこなかった。そういう中で、これまでに有明海・八代海でどういうことがあったのかということを頭の中に入れておいていただくことが、今後の評価委員会の委員の皆様の評価の前提になるのかなというふうに思っておりまして、事務局のほうで準備させていただいたものでございます。
 それで、データ的なものにつきましては、農林水産生産統計年報とか、あと公共用水域の測定結果であるとか、あと九州地方の赤潮とか、公表されておる資料をもとにつくったもので、特に学術的に意味のあるような研究の成果というわけではございませんので、そういう一般的に公表されておる資料を使ってまとめたものであることをご理解いただきたいと思います。
 まず、1枚めくっていただきまして、有明海及び八代海の環境基準達成状況でございます。有明海・八代海につきましては、環境基準で類型指定がされておりまして、有明海においてはCODにつきまして、A類型が1海域、B類型が5海域、C類型が9海域ございます。これは、1枚めくっていただいて、3ページ目のところにつけさせていただきました。
A類型というのは、一番CODの濃度条件の設定の低いものでございまして、有明海の湾奥部、真ん中に有明海(15)A類型と書いている部分でございます。
B類型でございますけれども、こちらにつきましては、有明海の湾奥部のほうに福岡海域から佐賀海域に広がっている海域、あと、熊本海域のほうに設定されているものでございます。
C類型の海域ですけれども、こちらは、河川の河口域でありますとか、湾、入り組んだ入り江になっているようなところに設定されているものでございます。そちらを各水域ごとにCODの測定をしておりまして、そちらが環境基準を満たしているかどうかというものを達成率ということで示させていただいたものでございます。
ちなみに、A類型は2㎎/L以下、B類型は3㎎/L以下、C類型は8㎎/L以下というふうな条件でございます。それで、こちらにつきましては、毎月一回の測定を行いまして、そのうち75%値と申しまして、上から4番目の75%に当たる月の結果が、その基準を満たしたかどうかということで判断しております。
 内容ですけれども、有明海におきましては、青い三角の印が有明海でございますが、昭和49年以降、80%から100%の範囲でずっと推移をしております。
八代海ですけれども、八代海におきましても昭和49年から平成10年ごろまではこの範囲で推移しておりましたけれども、16年から18年までには80%を割り込んでおります。また、19年以降も80%前後で推移しているということで、この16年から18年のあたりと、あと、12年ごろの落ち込みというものが、水質的にちょっと悪かったということでございます。
 すみません、八代海のCODの測定場所を説明し忘れておりましたので、説明します。資料、4ページを見てください。
八代海のCODの環境基準点及び類型指定状況でございます。こちらにつきましては、A類型が八代海の湾央部と、あとはそれのさらに北側の八代地先海域の(丙)、八代海(7)、八代海南部海域の(3)というふうなところがA類型でございまして、あと、その他周辺の河口域でありますとか、入り江の部分になっているようなところとかがB類型でございまして、C類型は、八代地先の海域の(甲)というところがC類型になっているということでございます。こちらにつきましては、先ほどもう既に説明してしまいましたけれども、八代海全体でいきますと、先ほど説明のとおりということになっておりまして、平成10年以降、多少、達成率が悪い状況が出てきているということでございます。
 続きまして、全窒素、全りんについてでございます。こちらにつきましても、資料の5ページを見ていただきたいんですけれども、有明海において類型指定がされております。この類型指定ですけれども、有明海については、全窒素、全りんということでⅡ類型のものとⅢ類型のものの海域がございます。ちなみに、Ⅱ類型につきましては窒素0.3㎎/L以下、Ⅲ類型につきましては0.6㎎/L以下となってございます。
 また、八代海のほうを見ていただきたいんですけれども、6ページ目を見てください。こちらもⅠ類型、Ⅱ類型、Ⅲ類型とございまして、Ⅰ類型が湾央部から南側、八代海南部(熊本県水域)と八代海南部(鹿児島県水域)にⅠ類型、その北側に八代海中部ということでⅡ類型、一番北部につきましては、八代海北部、Ⅲ類型ということになっています。
 こちらにつきましての達成状況についてご説明いたしますと、測定点、海域が少ないということもありますので、1海域がバツだった場合にはガタッと下がるという状況でございますけれども、有明海につきましては、ほぼ40%から60%の範囲内でおさまっております。これ海域が五つございますので、2つから3つの海域で常に環境基準を満たしているという状況でございます。八代海におきましては、平成15年から18年あたりは100%ですが、ここ数年、低下傾向にあるというところでございます。全りんの環境基準を説明していませんでしたので説明しますと、全りんにつきましてはⅠ類型が0.02㎎/L以下、Ⅱ類型が0.03㎎/L以下、Ⅲ類型が0.05㎎/L以下、Ⅳ類型が0.09㎎/L以下となっております。
 続きまして、有明海のCOD濃度、全窒素・全りん濃度の状況でございます。これ過去10年間を整理したものでございます。右上の段がCODの年間の平均値でございます。左下が全窒素、右下が全りんということになっています。それで、基本的にこちらのほうにつきましては、10年間でそれほど濃度が変化していないというふうに考えております。
 続きまして、1枚めくっていただきまして、2ページ目です。八代海のCOD濃度、全窒素・全りん濃度の状況でございます。こちらも過去10年間ですけれども、こちらにつきましては、COD及び全りんにつきましては多少の変化があるのかなと。特に右下の全りんですけれども、こちらについてはⅢ類型の部分につきまして、特に上昇傾向が見られる状況にございます。先ほど言いましたⅢ類型の場所は八代海の北部の海域でございます。
 以上が水質に関する情報でございます。
 続きまして、7ページ目になります。有明海及び八代海における漁業生産についてでございます。これにつきましては、農林水産省の「海面漁業生産統計調査」よりデータを入手し、作成いたしました。
上段ですが、有明海の漁業生産等で、左上のグラフでございますが、こちらが海面漁業による漁獲量の推移でございます。昭和60年から平成21年までおつけしておりますけれども、もう一目瞭然で右肩下がりというふうな状況にありますが、ここ10年間程度を見てみますと、2万トン前後で推移しているのかなというふうに見ておりまして、特に21年度につきましては、若干、前年度、その前の年に比べて減少傾向があるのかなと思っております。
あと、有明海の重要水産物であります二枚貝類、アサリ、サルボウ、タイラギ、また、養殖ノリについて見ますと、二枚貝類は、いずれも年変動が大きいものでございまして、ただ長期的には右肩下がりで推移しているのかなと、全体で見ますとですね、そういうふうな状況でございます。
21年度につきましては、アサリ類は漁業生産の落ち込みが大きかったと。21年度の漁獲量が5,000トン程度でしかなかったというふうになっております。養殖、板ノリの生産量でございますけれども、平成16年以降につきましては、40億枚台の生産が続いておりましたけれども、21年度は若干減少しておりまして、30億枚台に減少しております。
 続いて、八代海における漁業生産ですけれども、こちらにつきましても海面漁業による生産量を左上、その右横にアサリの生産量、左下に八代海の養殖の収穫量ということを入れさせていただいています。まず、漁業生産量でございますけれども、八、九割を魚類が占めているという形態になっておりまして、14年以降、1万トンから1万5,000トンの間で推移しておりましたけれども、19年、20年と連続で1万5,000トンを超える生産がありました。
八代海の干潟域における重要水産物であるアサリについてですけれども、こちらにつきましては、非常に年変動が大きい魚種であると、このデータからもうかがえます。15年以降でございますけれども、増加傾向にありまして、平成20年には2,000トンの漁獲がありましたけれども、21年には1,200トンまで減少しております。
続きまして、八代海の養殖収穫量でございますけれども、概ね3万トン前後で横ばいで推移しております、19年以降は2年連続で減少傾向にあります。養殖魚種別では、ぶり類の養殖比率が高く、大体この数字で見ていただくと、半分以上がぶり類養殖ということになりますけれども、平成15年から18年は、データが欠落しております。これは統計の集計の段階におきまして、経営体数が少ない等の理由により、データが公表できないというふうな理由により欠落したものでございますけれども、それを抜きますと、19年には2万トンまで漁獲があった。20年は1万8,500トン、21年は1万5,000トンまで減少しております。
 以上でございます。
 続きまして、1枚めくっていただきまして、赤潮の発生状況でございます。こちらは「九州海域の赤潮」という水産庁九州漁業調整事務所が作成しておる資料より作成いたしました。青が有明海、赤が八代海、緑が橘湾でございます。
これを見ていただきますと、有明海につきましては、年々増加傾向にあるのかなというふうなことが全体的に見てとれます。特に、平成19年は41件の発生がございました。その翌年、20年につきましては29件ということで減少しておりますけれども、22年にはまた35件というふうに上昇しております。
八代海ですけれども、こちらにつきましても若干の増加傾向がございます。平成19年には24件発生しております。平成22年には14件まで減少しております。
橘湾でございますけれども、こちらは横ばいか、途中、平成元年、2年、3年あたりが多かったものですから、横ばい、やや減少傾向というふうなところでございましょうか。20年が1件、21年が3件、22年も3件ということで、大体1件から3件程度の発生が続いているということでございます。
 続きまして、赤潮の各年ごとの発生状況です。平成19年夏季ということで、ここからの赤潮発生状況の説明につきましては、赤潮の被害、特に発生の多い夏季の内容について説明させていただきます。
まず、平成19年でございます。有明海では、7月に7件、8月に14件、9月に8件の赤潮が発生しています。特に8月には、渦鞭毛藻、ラフィド藻を中心に、諫早湾内を含む中部以奥で広範に多件数発生しております。
八代海ですけれども、7月に5件、8月に4件、9月に3件の赤潮が発生しています。八代海では、8月に渦鞭毛藻、ラフィド藻が混在する赤潮が北部から東部海域にかけて広範に分布し、9月上旬まで継続しました。
この下の図を見ていただきますが、これは九州の海域の赤潮の出ている図をそのまま使ったんですが、ただ、種類別に分けさせていただいています。渦鞭毛藻は焦げ茶色のもの、8月の有明海の湾奥部の西側に分布しておるものが渦鞭毛藻です。ラフィド藻は赤色、こちらにChattonellaが含まれます。緑は珪藻ですね。こちらにSkeletonema(スケレトネマ)とかChaetoceros(キートセロス)とか分布します。その他ですけれども、こちらは繊毛虫のMyrionecta(ミリオネクタ)でありますとか、微細藻類なんかをその他の扱いにさせていただいています。また、黄色が結構あるんですけれども、黄色につきましては、複数種で構成されている赤潮の場合を黄色とさせていただいています。
 20年を見てください。20年ですけれども、有明海では、7月9件、8月7件、9月6件の赤潮が発生しています。7、9月は珪藻赤潮が多かったと。8月につきましては、ラフィド藻の赤潮が多かったと。7月下旬に発生したラフィド藻、また、その混合赤潮が8月中旬まで継続しまして、新たな赤潮発生件数としては3件という低調なものでございました。
八代海です。7月は前月から継続して発生している赤潮1件が発生していたということでございます。8月に5件の赤潮が発生しました。このうち、中北部海域、南部海域で発生したChattonella antiqua(シャットネラ・アンティカ)による赤潮によりまして2億円の漁業被害が発生しています。
 続いて、21年でございます。有明海では、7月12件、8月11件、9月12件の赤潮が発生しています。特に、7月下旬から8月にかけて発生しましたChattonella antiquaによる赤潮は、湾奥部から湾口部、橘湾にかけてどんどん移動していきまして、湾口部、橘湾海域で漁業被害が発生しております。一旦この赤潮は解消されましたが、また9月に再発生したということでございます。
八代海ですけれども、こちらも7月8件、8月4件、9月2件の赤潮が発生しています。有明海と同様に、7月末から8月中旬にかけて発生したChattonella antiquaによる赤潮で、八代海全域で30億近い漁業被害が出ています。9月になりますと、赤潮は鎮静化し、ほとんど確認されておりません。特にこの赤潮では、八代海の牛深海域が、こちらがChattonellaの赤潮被害がかなり出たと。今まで過去にChattonellaの赤潮による被害を出したことがない海域で特に漁業被害の拡大の要因となりました。
 1枚めくってください。赤潮の22年の夏季です。有明海では、7月11件、8月9件、9月5件の赤潮が発生しました。7月のChattonella antiquaの赤潮で、湾口部・橘湾で漁業被害が発生しています。また、8月には、熊本海域で珪藻赤潮が広域で発生しています。9月に入ると、赤潮はほとんど見られませんでした。
八代海では、7月3件、8月2件、9月発生なしというふうに、発生の件数自体は非常に少なかったんですけれども、中南部・南部海域で、6月末からChattonella antiquaによる赤潮が確認されまして、その後、その赤潮が中南部海域全域に拡大し、8月初旬まで終息することがありませんでした。その間に八代海全体で50億を超える漁業被害が発生しております。実は、その前年も30億を超す赤潮が発生しているんですけれども、そういう意味で、非常に警戒はしていたけれども、昨年と違って6月からスタートということで、かなり早い時期から赤潮が発生し、大きな被害につながったということになります。
 続きまして、貧酸素水塊の発生状況でございます。有明海湾奥部における貧酸素水塊の発生状況について取りまとめたものでございます。上段の表につきましては、各年度ごとについて整理したものを一覧表にしたものでございます。その結果のグラフが下の段からになりますので、下の段から説明いたします。2006年がこのところでございます。このグラフを見ていただきますと、水産庁と環境省のほうでT1からP1までの計4点を7月から9月までの間、連続観測ポイントとして常時設置しておりまして、こちらにおける底層の溶存酸素濃度を連続的に測っているものでございまして、こちらのグラフは25時間移動平均を示したものでございます。
2006年ですけれども、6月末に降雨による出水がございまして成層が形成され、それ以降、貧酸素が約7週間継続したと。密度躍層は、8月10日以降、大潮と台風の影響で解消されたというふうなことでございます。
 続きまして、2007年でございます。2007年につきましては、小潮ごとに貧酸素化しましたけれども、台風による攪乱などがございまして、すぐ回復したというふうなことであります。8月上・中旬にChattonellaの赤潮の発生もありまして、下旬の小潮期に有明海湾奥の西部で著しい貧酸素が発生しています。この際、ここに生息するサルボウ貝がへい死しております。
 続きまして、2008年でございます。7月上旬から表層水温が上昇して密度成層が形成されました。湾奥部で貧酸素水塊が進み、8月中旬にはChattonellaの発生も加わり、著しい貧酸素が発生したということでございます。特に8月10日、15日にかけて、ほとんど溶存酸素濃度がゼロというふうな数字も計測されております。
 続きまして、2009年でございます。2009年につきましては、7月上旬から出水による密度成層が形成されました。そういうことで低酸素化が進んだんですけれども、過去の3年に比べますと、その濃度が若干高いということで、DOのパーセントでいきますと、最も濃度が低かった場合でも20%までしか落ち込まなかったということでございます。
 続きまして、2010年でございます。こちらにつきましては、7月上旬に出水による密度成層が形成され、湾奥部で急速に貧酸素化しました。7月下旬に湾奥部で著しい貧酸素化となって、その後も小潮が来るたびに貧酸素化になったというところでございまして、20%を割り込むような貧酸素化が、この5回ほどが夏季に起こっております。
 続きまして、2011年でございます。2011年ですけれども、こちらは6月からもうすぐに貧酸素水塊が発生し、低酸素化が進んだというふうなところで、6月の下旬から7月の中旬ぐらいにかけて一番厳しい貧酸素化であったということです。その後、台風で解消されまして、その後、20%を切るような厳しい貧酸素化は起こっておりません。
 以上、年度ごとの状況ですけれども、それで、一番最後の資料は、年度ごとの貧酸素水塊の溶存酸素濃度の推移を、一つのグラフにまとめたものでございます。これを見ていただきますと、2011年が突出して早く始まったというふうなところでございまして、その後、やはり7月中旬から8月中旬にかけては厳しい貧酸素水塊が発生し、その後、だんだん8月、9月ということになって解消していくというパターンになるというふうなことでございます。
 続きまして、海域環境等に関わるトピックスです。こちらにつきましては、この評価委員会が開催されなかった4年の間に起こりました有明海・八代海に関係するトピックスについて整理させていただいたものでございます。この内容につきましては、環境省のほうで特に知っておいていただきたいという内容を三つ取り上げて説明させていただきます。
 まず、最初ですけれども、ノリの色落ちでございます。こちら、ノリの色落ちにつきましては、瀬戸内海等でも問題になっておりまして、ノリの色落ちと水質、特に窒素・りんの濃度の関係あたりを、非常に関係性が深いのではないかと言われております。このノリの色落ちでございますけれども、有明海では、平成19年以降、評価委員会が開催されなくなった以降もずっと毎年発生している。この表、これは佐賀県の海域におけるデータを佐賀県の有明水産振興センターよりいただきました。
それで1月、年明けごろから発生して、大体2月一杯ずっと発生するというのが概ねのパターンではないかと思います。特に21年につきましては、かなり厳しいノリの色落ちが起こって、ノリの色落ち対策としてダムの緊急放流も行われたというふうに聞いております。
八代海です。こちら、グラフはついておりませんけれども、八代海北部海域におきましても15年以降、毎年、色落ちが発生しているということでございます。20年以降につきましては、もうこれが漁期当初、11月ごろから発生しているということで問題になっております。
 続きまして、アナアオサの大量発生ということでございます。熊本県の玉名市菊池川河口域、こちらにつきましては1枚、その次のページの上部に資料をつけさせていただいておりますけれども、有明海の大体真ん中あたりの熊本県側の海域、菊池川の河口域で分布を緑で塗っておりますけれども、ここのところでアナアオサが大量に発生したという問題でございます。平成20年9月ごろに発生し始め、21年3月ごろに急速に繁茂量が拡大したというものでございます。熊本県水産研究センターによれば、約280ヘクタールの範囲に繁茂が確認されました。
アナアオサにつきましては、これが腐敗して、アサリの生息に影響が生じることが地元のほうで懸念されましたので、地元の漁業者がアナアオサの回収、海底耕うんなどを行いましたところ、7月に入ると、このアオサにつきましてはいなくなったと、解消されたということでございます。
この原因につきまして、熊本県の水産研究センター等の分析によりますと、アナアオサの付着基質となるホトトギスガイが、これが前年、非常に多かったと。ホトトギスガイは糸足を出して、マット状の状況をつくるんですけど、そのマットが非常に分厚いものがここに広がっていたという話でございます。また、秋・冬に海水中の栄養塩が多かったという情報もございます。2月以降の水温も高目であったことで、アナアオサの繁茂に適した条件が重なったためじゃないかと推測しております。
ただ、こちらにつきましては、実はこの年にここの海域でという特異的な現象でございまして、熊本県にも確認しましたけれども、このときに発生した以外、以降はこの場所でも発生していないということでございますので、なぜここで、この時期に発生したのかと。恐らくホトトギスガイのマットが、ホトトギスガイの繁殖が多かったとか、あと栄養塩類が多かったとか、あと水温が高目であったという環境条件のところはほかにもあったかもしれません。そういう中で、なぜここでそういうふうな大発生になったのかというところにつきましては、もう少し分析が必要ではないかと思っております。
 続きまして、タイラギの比較的良好な生息、夏季の大量へい死を確認ということでございます。こちらにつきましては、毎年、有明海湾奥部においてタイラギの生息状況の調査をしております。佐賀県の有明水産振興センターがしておるんですが、平成20年の調査で、湾奥西部を中心に、平成11年以降で最も良好にタイラギ稚貝が生息していることを確認したということでございます。
 資料を1枚めくっていただいて、この右上に資料がついておりますけれども、上段が1999年から2004年まで、下段のほうが2005年から2010年までつけておりますけれども、この2008年のところで、有明海の湾奥西部のところに稚貝のところで黒い丸が、高い密度の生息を確認されたと。これが翌年、成貝となって、2009年のところで確認されたと。
こちらについて、さらにその西部だけではなく、大牟田側、東側のほうにつきましても2009年は稚貝の発生が確認されたということで、この年から発生状況が非常によかったということでございます。1枚、説明文に戻っていただきたいんですけれども、実は22年の調査で、夏季に湾奥西部を中心にタイラギの大量へい死が確認されておりまして、この発生を継続して漁獲等にうまく活かせなかったような状況が発生しているということでございます。
 続きまして、有明海・八代海以外ということで、今回、新たに追加されました橘湾に関する情報ということで入れさせていただいております。これにつきましては、長崎県から情報提供いただいたものを取りまとめたものでございます。
それで、この図表の一番左上のところを見ていただきたいんですけれども、橘湾の海域になっておりまして、非常に湾奥のほうは浅い水深で広がっていると、湾口部のほうが比較的深い水深、特に有明海との接続の部分は急深になっているというふうな状況の海域でございます。水質でございますけれども、こちらのほうも比較的横ばいで安定ということになっています。あと、漁獲量・自治体の人口・河川、自治体の面積等につきましては右のとおりになっております。
 続きまして、牛深周辺海域の水質の状況ということでございます。公共用水域の環境測定点のSt-7というのが実は牛深港内にございまして、こちらが新しい海域に該当しますので、こちらのデータをつけさせていただきました。こちらは見てのとおり、横ばいで推移しているということでございます。
 説明が長くなりましたが、以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご報告に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
 どうぞ、小松先生。

○小松委員 幾つか質問させてください。今の資料3ですね。この資料3の、私、聞き落としたかもしれないんですが、資料3の赤潮の発生状況のところで、例えば7月とか8月でいろいろ種類別の色をつけたのがあるんですが、その右横に小さな図がありますよね。この図が何を意味しているのかというのが1点。
 それから、貧酸素水塊の発生状況のところで、年によって大分様相が違いますね。台風が来て、攪乱が起こったとか、そういうファクターがあると思うんですが、年によって違うという原因の分析というんですか、そういうものがきちっとなされているのかどうかという点。
 それから、有明海奥部の西のほうのデータが示されたのですが、諫早湾の中の貧酸素水塊のこういった整理のデータはないのか。この3点をよろしくお願いします。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 まず、こちらにつきましては説明がすみません、足りなくて申し訳ございませんでした。九州海域の赤潮という冊子をもとに作成しておるんですが、こちらの冊子のほうが実はこうなっておりまして、この小窓みたいなところにつきましては、この大きな枠の中と別の赤潮が同じ場所に発生してきたときに、こういうふうな分け方をしております。7月でありますと、この小窓みたいなところとが同じ場所にあるじゃないかということですが、これは発生が別の赤潮だということでございます。
そういうふうなことで、一応、この一つの大きな枠内におさまるように整理されているんですが、それが各赤潮の発生分布域が、重ねていくとわからなくなるものについては小窓という形で表現しているということでございます。
 また、質問の2点目でございますが、赤潮が年によって条件が違うのではないかということにつきまして、分析しているのかということでございますけれども、こちらにつきましては、また赤潮の発生につきましては、おっしゃるとおり水温の状況だとか降雨の状況だとか、いろんな状況で変化していきますので、そういうところで発生時期だとか発生種類だとかが変わってきているというふうに思っておりますが、こちらにつきましては、また改めて赤潮についてはご報告させていただく場を設けさせて……。
 失礼しました、貧酸素ですね。貧酸素につきましてですけれども、こちらにつきましても、毎年、この状況を取りまとめて、これ実は公表しておるんですけれども、こちらにつきまして、気象・海象条件等の関係が非常に大きいというふうなことでこのような整理をさせていただいております。
 あと、諫早の赤潮の発生の状況につきましては、この九州海域の赤潮というところには載っておりませんので掲載しておりません。
 以上です。

○小松委員 いや、2点目は、貧酸素の発生状況が年によって違っています。これが気象・海象に影響を受けるというのは当然のことなんですが、それの細かい分析がなされているかどうかということです。
 3点目は赤潮じゃなくて、貧酸素です。諫早湾における貧酸素の発生状況はどうなのか。ここでは有明海の奥部の西部のほうのデータがずっと載っていますよね。こういう感じで、諫早湾の中のデータはないのでしょうかという質問です。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 まず、今回提出させていただきましたのは、環境省のほうで実施しておる内容ということで、湾奥部のものを提出させていただきました。
諫早湾部についてのデータにつきましては、農林水産省のほうで持っているかどうかについては、また確認させていただきまして、ご報告させていただきたいと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。はい、どうぞ。

○滝川委員 ちょっと1点だけお伺いしたいんですけど、今、ご説明ありましたように水質の、それと赤潮、それから貧酸素等についての最近の有明・八代海の状況でご報告いただいているんですけれども。特に赤潮あるいは貧酸素等については、各年の各夏だとか、ある時期だとか非常に細かく議論されていて、多分そのメカニズムについては今から細かく議論されていくんだろうというふうに思いますが。 そういった意味の中で、一番最初の水質に関するデータが、どうも区分された海域ごとに各年の平均の値をここでもって示されている。で、今から議論していくためには、多分、個々の事象といいますか、細かいデータがいるんだろうと思うんですが、そういったところのデータは場所、ポイントなり、時期なり、きちっとしたデータがそろっていますかという確認なんですが。そうしないと、多分、全体的な議論といいますか、因果関係を詳しく調べる、赤潮と底質、貧酸素等との関連というのがなかなか議論できないかなというように思いますから、そこら辺いかがでしょう。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 滝川先生からのご指摘のとおり、これだけでは細かい議論ができません。水質については、データをとっておりますので、次回の会議のときには各委員にご提供させていただければと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。はい、どうぞ。

○山本委員 貧酸素水塊について、二つ教えてください。11ページの上の表のご説明のときに、平成19年、貧酸素水塊が原因と思われるサルボウの死滅ということで、漁業被害に関しては、その件だけご説明があったんですけれども、ほかには貧酸素水塊が原因と思われる大きな目立った漁業被害は特にないということで理解としてはいいのかということと。もう一つは、八代海は貧酸素のデータがないのですが、これは調査がないからなのか、それとも貧酸素というほどの酸素低下はないという理解でいいのかという。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 まず、漁業被害のところにつきましては、すみません、説明が不十分ですけれども、ほかの二枚貝類におきましても漁業被害が発生しているのではないかと思われます。こちらについては、水産庁等に確認させていただきたいと思います。
 続いて、八代海の情報でございますけれども、すみません、こちらについても調べて、また改めて、次回ご報告させていただきたいと思います。

○岡田委員長 よろしいですか。はい、どうぞ。

○古賀委員 先ほどの漁業被害の分ですけれども、補足で申し上げたいと思いますけれども。平成22年・23年は低比重も加わってはいたと思いますけれども、佐賀県寄りの海域でタイラギが大量へい死をしています。それと、サルボウにつきましても22、23、2年間でへい死が確認をされております。
 補足ですが、以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。よろしいですか。
まだあるかもしれませんが、今日は第1回でございます。既に本論に近いようなご意見、ご質問が出ているかと思います。ただ、これからいろいろ議論していく上で、今日のデータをご覧になって、まだ足りないデータ、それから、先ほどのご質問にもありましたが、データをどう整理するかということも重要だと思います。
次回までの間に委員の皆様方から、こういうデータもしくはこういう整理をしてほしいというようなご要望がございましたら事務局にお寄せいただいて、効率よく審議を進めたいというふうに考えておりますので、よろしくご協力、もしくはご遠慮なくご発言をつけていただけたらと思います。もちろん、事務局もすべてのことができるかどうかわかりませんけれども、できる範囲で、これは打ち合わせしていないんですが、できる範囲で頑張ってもらえるかと思いますので、よろしくお願いいたします。ということで、今日の時点ではよろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に進みます。委員会報告(平成18年12月)の記載事項への対応状況についてということで、事務局から、資料のご説明をお願いいたします。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 資料4の説明をさせていただきます。
 まず、ここの趣旨でございますけれども、各委員の皆様に参考資料の2-2ということで委員会報告をつけさせていただきました。そちらの中に書いておるんですけれども、評価委員会の報告の中で、具体的な再生方策、あと解明すべき課題(重点化を図るべき研究課題)、あと取り組みの体制というふうな三つのテーマについて提言しています。
それらについて、この4年間で、どのような対応をしてきたかということを取りまとめたものでございます。各省の事業の調査の内容が、また、各県からの情報が網羅されている内容になってございまして、実はここにつきまして事務局のほう取りまとめはしましたけれども、内容について、はっきり言うと熟知しておるわけではございませんので、ここであんまり説明しても、間違った説明になっても困りますので、こちらについては、先の話になりますけれども、次回、この中から特に先生方がご関心の高いような内容について、ここに関係する機関等から説明をいただくようなことを考えてやらせていただきたいというふうに思っております。
それで、こちらにつきましては、このカテゴリーごとにいろいろ分けておりますけれども、やっぱり成果が明確に出ているものと、今、十分に成果的なものが見えていないような説明文になっているものがございますので、こちらの部分については、特に先生方からのご異存がなければ、我々としては成果の上がっているようなものを中心に、次回、説明をその関係先からさせていただくというつもりでございまして、提示させていただいたものでございます。
それで、各カテゴリー、かなりのカテゴリー、底質環境の改善、沿岸域の環境保全、貧酸素水塊への対応、貝類・魚類の資源管理等の増養殖、持続的なノリの養殖のための施策の推進、八代海における持続的な養殖のための施策推進という六つのカテゴリーを具体的な再生方策の中で分けさせていただいておりまして、挙げさせていただいておりますし、解明すべき課題につきましても、二枚貝類・魚類等の資源生態、潮流・潮汐、土砂に関する知見の蓄積、汚濁メカニズムの解明とモデルの構築というふうな項目で分けさせていただいています。
こういうふうな項目で、項目もしくはこの内容について、委員の皆様のほうで特にこれについてご関心がある、特に説明をしていただきたいという項目がありましたら、ここの場でも結構ですし、後日、事務局へでも構いませんので挙げていただければと思います。かなりいろんなところを、農林水産省、水産庁、国土交通省、環境省、あと各県にやっていただいていると思います。この有明・八代の評価委員会の委員会報告を踏まえやっていただいたことであれば、これをさらに評価していかなければいけないというふうに思っております。すみませんけれども、至らぬ説明でございますけれども、説明は以上にさせていただきます。

○岡田委員長 ありがとうございました。今回は概況のみの説明でということになっております。これで完全に説明できて、完全に納得いただければ、委員会はこれで終わりということになりますので、これからということだそうです。次回委員会で、関係省庁等よりご説明をいただくということでございます。
次回以降、特にこの部分は今後、再生方策を考える上で、ぜひ詳しく聞いておきたいというような内容がございましたら今の時点で、それから、ご質問等があれば、今ご発言をいただければというふうに思います。もちろん、事務局が今おっしゃいましたように、今日、これを見て全部挙げろというのは無理があるかと思いますので、お帰りになってから、事務局にこれはどうしましょう、ファクスなりメールでご要望をいただくということに、最初ですので、そういうことにさせていただきたいということだそうですので、ご了解いただきたいと思います。 ただ、そうは申しても、今の時点で何かご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。  どうぞ、福岡先生。

○福岡委員 先ほど委員長がごあいさつの中で、この4年間、いろいろな技術の解明とか調査が進んでおり、いろいろ成果も出ているはずだと言われました。そういうものをこの中で考慮していくべきだというお考えは、全く同感です。この4年間で新しく調査されたものの紹介がありましたけれども、委員会報告をつくってから随分たっているわけです。
各関係部局から意見を聞くというよりも、まず、この委員会報告を出してからどのくらい調査をしたり、検討したりして成果が出てきているのかを、まずしっかり検討すべきだと思います。それをやらないで各省庁に意見を聞いたり、県に意見を聞いたりというんじゃあ、前回の報告とのつながりが欠けるのではないかというのが1点目です。
 あとは、私の個人的な思いを申し上げます。前回の委員会から出ていて、もう少し意識していただきたいことについてです。以前は最初の委員会でしたので、それぞれがそれぞれのやるべきことを検討してきました。それぞれが調査したものの互いの関係というのは大事だということはあったんですけれども、ほとんどそういうことについて議論がなされなかったように思います。
これから大事になるのは、縦割りで見ていくんじゃなくて、それらがどういうつながりを持っているのかという視点を入れて、岡田委員長に引っ張っていただきたいと思います。私は前からこれを言い続けていたんですけど、それぞれのところのデータが上がってきて、解釈がどうだというところでとまっていたように思います。今度は、そこのところは改善していただければと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。事務局は特に。おっしゃるとおりですね。

○富坂閉鎖性海域対策室長 おっしゃるとおりです。

○岡田委員長 そのとおり努力するという以上の答え方は、多分、事務局は現時点では無理だと思いますので、ありがたいご指摘だと思いました。ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
じゃあ、楠田先生、どうぞ。

○楠田委員 楠田でございます。福岡先生のご依頼のちょっとまたつけ足しになるんですけれども、一度、ここでいろいろ議論されているのは水産の漁獲のところが大きくて、それに影響を及ぼす水質あるいは底質ということになっているかと思います。
それで一つお願いなんですけれども、漁獲高というのは有明海の再生にはもう欠かせない重要な項目なんですけれども、再生の定義があんまりはっきりされていない。それでは、非水産対象生物で、極めて稀少種の保全というのは、有明海の再生にとって要るのか要らないのかというふうな立場もあるかと思います。
そういう意味で、一度、再生というのは何なんだという、結論は要らないんですけれども、やっぱり一度議論をしておいて、必要項目ぐらいはピックアップされたほうがいいんではないかというのが第1点。
 それから、その再生の中を、例えば自然現象と、今ここで扱っているのはほとんど自然現象、人為的なのは漁獲だけになっているところが多いんですけれども。要するに社会経済的な面と環境保全というのはかなり強くリンクしていますので、そこをやはり考える必要があるのではないかと。それも一度、必ずしもやらなければならないというわけではないんですけれども、議論して、ここまでは含める、ここから先は別の機会にゆだねるというふうな見方もあるかと思います。
 それで、もう一つは福岡先生がおっしゃられたところなんですけれど、縦割りを崩して横につなげて横の関連性を見るということであるならば、その再生目標に対して、もう少しシステマチックな扱いで、各いろんな再生手法がとられているんですけれども、それのいわゆる費用対効果の観点から、そのプライオリティーがついていてもいい。それが限られた予算の中で一番効果的な方策はどれなんだと、こう聞かれたときには、いろんな選択肢が提供できるようになるというふうなことになると極めて理想的かなというふうに思いますので、できる限り、そちらに近づけていけるといいなという思いです。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。いいですね、事務局ね、これ大変な宿題ですけれども、次に向けて準備していただければと思います。
はい、どうぞ。

○本城委員 委員会が開かれていない間に、先ほどの発表では、20億、30億、50億というような、赤潮の被害が八代海で出ていますね。この次の評価委員会の発表ではなくても結構ですが、いずれかの機会に、この赤潮に関する対応状況の説明をぜひお願いしたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
 それでは、今、各先生方から、どちらかというと全体の方針についてご意見を承っています。これはこれで次の議論を進める上で重要な指標になるかと思いますが、そのもとになる今までやったことに関して、どんなことに特に注目して、これから説明を受けるかというご希望につきましては、後日、事務局のほうにご連絡いただければというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題、今後の検討スケジュール等について。じゃあ、これを事務局からご説明をお願いいたします。

○富坂閉鎖性海域対策室長 資料5をご準備ください。評価委員会の検討事項及び検討スケジュールについての案ということでお示しさせていただいております。
 ただいまも多少、今後の進め方についてのご意見があったかと思いますけれども、まず、事務局のほうで用意させていただきましたのが、特措法に基づく評価委員会の検討事項というものでございます。法律の中で、冒頭の議題でもご説明いたしましたように、委員会の所掌事務としまして、2点挙げられてございます。
1点目が、国及び関係県が法律の規定に基づき行う総合的な調査の結果に基づいて、有明海及び八代海等の再生に係る評価を行うこと。また、この事項に関して、主務大臣等に意見を述べることというのが所掌事務でございます。また、委員会が必要があると認めるときに、関係行政機関の長に対して、いろいろ資料の提出等を求めることができるとなってございます。
 その調査の内容でございますけれども、こちらも特措法の18条の中で挙げられているものでございます。再度確認させていただきますと、まず、[1]番目は干潟と環境との関係に関する調査。[2]番目としまして、潮流、潮汐等の関係でございます。[3]点目、水の汚濁負荷量との関係性ということでございます。[4]点目、河川の流況と環境との関係に関する調査。[5]点目が、これが新規事項でございますけれども、森林と環境との関係に関する調査。[6]番目が、土砂の採取と環境との関係に関する調査。[7]点目でございますが、赤潮、貧酸素水塊等の発生機構に関する調査。[8]番目が海域の環境と水産資源との関係に関する調査。[9]番目としまして、その他事項としまして、海域の環境並びに水産資源に関するその他の調査ということになってございます。
 続きまして、2番、再生の評価の考え方ということで、前回までの評価委員会でどのような進め方をしてきたかということについて、おさらいということをさせていただきたいと思います。
まず、基本的な考え方としまして、これまでの歴史的なニーズに応えまして、そもそもさまざまな開発行為が継続して行われてきたということがございます。これに加えまして、自然環境の長期変化というものが加わって、現在の海域環境でございますとか生態系がつくられてきているという認識に立っている。また、評価委員会としまして、特措法施行後5年以内の見直しに役立てるための再生状況の評価を行うということがございました。
 その上で、評価の手順としまして、次のような形で前回の委員会報告が取りまとめられております。まず、1番目としまして、有明海及び八代海が抱える生物・水産資源にかかる問題点の抽出、整理を行っております。その結果としまして、有明海については、有用二枚貝、それから魚類、ベントス、ノリ養殖、これらの減少であり、不作であるというものが問題点として抽出されております。また、八代海につきましては、養殖魚介類への影響、魚類等の減少、ノリ養殖の不作といったようなものが挙げられております。
 これらにつきまして、これらの問題点とその要因の可能性ということにつきまして、次に整理したものでございまして、それがこの資料の一番最後のページにつけてございますけれども、問題点と原因・要因との関連の可能性ということで、有明海、八代海について、それぞれこのような形で一度取りまとめてございます。
 資料戻りまして、この相関図をもとに、それぞれまたさらにデータを収集しまして、諸要因との関係性の評価でございますとか、その原因についての評価というものを行って、あわせて再生方策を提示することとしまして、前回の委員会報告として取りまとめられたものでございます。
 引き続きまして、今回以降の議論につきまして整理をさせていただいております。まず、法律改正によりまして、いつまでに評価委員会としての結論を出すかとか、あるいは何のためにといった評価の目的というものについて、法律的には明示されていないという状況ではございます。ただし、法律に基づきまして、この評価委員会の所掌事務あるいは所掌の議論の内容といったものにつきまして変更が加えられたものではございませんので、基本的に特措法に基づいて評価を行っていくということが必要であろうかと思っています。
また、評価するための再生の目標につきましては、これは漁業の動向を含めまして、社会情勢等によって変化するものであろうということがございます。こういったものにつきまして、関係者ヒアリング等により再生目標を把握しつつ、評価に当たることも重要ではないかと考えております。
 評価の手順でございますけれども、先ほど、福岡委員のほうからもご指摘ございましたように、前回までの評価委員会で委員会報告として4年間をかけて取りまとめたものがございます。まず、これを基礎としまして、平成19年以降の有明海及び八代海等で生じた海域環境、水産資源等をめぐる状況でございますとか、この海域で進められました再生措置あるいは調査研究といったものが非常に積み重なってございます。これらについて、委員会報告からどのように変化したのかといった視点で評価を進めるといったことがよろしいのではないかと考えております。 このため、当面の審議につきまして、この委員会報告以降の海域環境、水産資源等をめぐる状況でございますとか、それぞれの主体において行われました調査研究等について報告を求める。また、これらの情報をもとにして、有明海、それから八代海等の現況把握、評価に努めてまいりたいと、このように進めてはどうかと考えております。
 また、今回、法律改正によりまして、橘湾と新たな海域が指定されております。これらにつきましては、関係者等のヒアリングを通じまして、評価内容を発展させていこうと考えております。
 なお、評価委員会の検討事項につきましては、特措法の25条に基づく所掌事務、それから、先ほど18条の中で検討事項ということで定められております。この中で行われた総合的な調査の結果に基づいて、再生に係る評価を行うこととしておりまして、国及び関係県等がこれから行う事業というものについて、それ自体を評価する権限というものはもともと評価委員会としては含まれていないということがございますが、事業に伴って、いろいろ環境調査ですとか水産資源調査といったようなものが行われております。これらの調査結果につきましては、随時、評価委員会に報告等をしてもらうということでどうかと考えております。
 時期の話でございます。いつまでに再生の評価を打ち出すかということにつきましては、法律上の定めというのは特にございませんので、審議を進める中で評価項目の具体化、審議体系等とともに今後の委員会審議の中で、決定していただければと、このように考えております。  3番目としまして、検討スケジュールでございます。今回、第28回におきまして、アウトラインのご説明をさせていただいておるところでございます。次回、第29回以降につきましては、委員会報告への対応状況について、各省庁、関係県からのご説明をいただき、それ以降につきましては、新たに追加された海域の情報でございますとか、再生目標を確認するためのヒアリング、評価項目の具体化、審議体系、評価結果の取りまとめ時期といったようなものをご議論いただければと。このような形で評価委員会を進めていただければどうかと考えておりますので、議論をよろしくお願いいたします。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。単にスケジュールというよりも、今後の委員会の進め方も含めて、ご説明をいただきました。今のところに関しまして、何かご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

○小松委員 今日は第1回ということで、ぜひとも明確にしておきたいなと思っております。この委員会の所掌範囲が特措法によって決まっているというのはよく、十分理解できます。ただ、一つ確認しておきたいのは、開門調査へのこの委員会のスタンスはどういうものなのかというのを、ぜひ確認しておきたいと思います。
といいますのは、やっぱり開門調査というのは非常に大きな事柄だと思います。この委員会の所掌範囲に有明海が入っているわけで、有明海の中には当然、諫早湾が入っているわけですね。ですから、少し柔軟に解釈すれば、当然、その辺も入っていてもおかしくないという気がします。
開門というのは非常に大きな事柄で、社会の関心も高いわけです。有明海の再生が最終ゴールですけれども、もちろん、八代海も入りますけれども。再生が最終ゴールであれば、諫早湾の問題というのは、これは避けて通れないんではないかと思います。
こういうことをきちんと大所高所から科学的に議論できる委員会というのは、ここしかないんですね。そういう意味で、地域や社会に対する使命があると考えております。いずれにしても、最終ゴールが再生であれば、やはりこの問題は避けて通れないと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○岡田委員長 はい、じゃあ事務局。

○富坂閉鎖性海域対策室長 事務局といたしましては、まさに評価委員会に求められている事項としまして、今の有明海、八代海、その他海域が追加されておりますけれども、そこで何が起こっているのかという調査につきまして、国あるいは関係県において、いろいろ調査をすることとなっております。
この評価委員会におきましては、関係省庁あるいは関係県が行いました調査の結果をもとに、有明海、八代海で何が現在起こっているのかということについての評価をいただき、必要な部分について主務大臣に意見を申し述べると、このような事項が法律上で求められている事項というふうに理解しております。
そういう意味で、これから行われる事業といいますか、そういったものにつきましては、調査の範囲ということからは外れているというような法律上の整理になろうかというふうに考えておりますので、予測的な部分ですか、そういったところにつきましては、また別途の場で議論といいますか、この評価委員会では取り扱わないこととするのがよいのではないかというふうに事務局としては考えております。

○岡田委員長 ほかにございますか。はい、どうぞ。

○速水委員 一つ、可能であればお願いなんですけれども。現地を委員の皆さまに見ていただいてそれで議論する場を、一度で結構ですので設けていただきたいと思います。現地を見るということは、先ほど福岡先生が言われたような総合化をするという意味で、非常に大事な情報が入っていると思います。データになったものだけではなくて、見るもの、感じるもの、そういうものを通してデータを見直すことで総合化につながる。そういう意味で、一度、そういう場を設けていただけたらと思います。
それと、先ほど開門調査の話がありましたけれども、これから数年の間に有明海は非常に大きく事業等によって変わる可能性があります。ということについて、調査のデータというものは調べた結果しか出て来ません。"こういうことを調べたほうがいいんじゃないのか"ということは、なかなかデータからは見えてこない部分がありますので、そういったことに対する対策の上でも、1回でも結構ですので、委員の皆さん、先生方の皆さん、現地の海、干潟を見ていただくような場を設けていただけたらと思います。お願いです。

○岡田委員長 事務局、どうぞ。

○富坂閉鎖性海域対策室長 現地で行う検討会につきましては、またちょっと事務的に検討させていただければと考えております。

○小松委員 先ほどの事務局のご回答に対してなんですが、開門調査の是非はこの場で議論する必要はないと思うんですが、もしそういうことが実際に実施されたときには、また、いろいろな機関、県や国もいろんな調査を行うと思うんですね。その調査結果は、やはりこの場で報告していただいて、それに対する評価はこの委員会の役割と思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○岡田委員長 はい、どうぞ。そういうふうに書かれていると思います。どうぞ。

○富坂閉鎖性海域対策室長 いろいろ調査、実際に行われて、世の中にも公表されるような部分も当然ございますし、得られた情報につきましては、求めに応じて委員会から、関係団体から提示してもらうということになってございますので、そこは随時進めさせていただければと考えております。

○岡田委員長 本日の資料の、ページがないんですが、検討スケジュールの上に書かれております、下に波線が書いてあるところですが、「評価委員会は、国」云々、「事業自体を評価する権限は含まれていないが」、その後ですね、「これらの事業に伴い行われた調査の結果については随時評価委員会に報告してもらう」ということで、小松委員のご指摘の点だと思いますが、そういうことでよろしいですね。 はい、ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。じゃあ、福岡先生、どうぞ。

○福岡委員 進め方は今ので結構ですが、考えてみると、前回の委員会というのは、この相関図をつくって、それがどういう関係があるのかということを意識しながらも、そこまでなかなか行かない、全体としてのつながりが見えづらい段階で終わったように思います。 この報告書は、岡田委員長が大変努力されたのは承知していますけれども、まず出てきたものをとにかくまとめたという段階です。同じことを全部同じようにやるんではなくて、やっぱりこの中で、何がまず最初にやるべきかとか、そういう議論をしないと、あるいは事務局がもうちょっとそこを突っ込んで考えてみるとかってやらないと、同じことを繰り返すことを心配します。
国であり、県が一生懸命調査をやるわけです。それを疑っていないけれども、やれることをやっているだけで、じゃあ全体をどうするのという方向にはなかなかならない。
それで、この評価委員会では、前回の成果を受けて、もうちょっと絞り込み、評価につなげることが求められています。当座はしっかりやらなきゃならないととから進めて、だんだんそれを広げていき、やっぱりこれも必要ですねということになるようなことを考えていただきたいと思います。
前回委員会は、非常に刺激的であるというよりも、皆さんが調べられたものを一生懸命説明されて、それを理解することにきゅうきゅうとしていたように思います。これだけの専門家が集まっておられるのですから、委員会は広い視点で評価するんだという思いが必要であると思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。前回、私自身もできなかったところを、というか積み残したところを福岡先生にご指摘いただきました。事務局、よろしいですね。

○富坂閉鎖性海域対策室長 はい。

○岡田委員長 特に反対するとか、そういうことはないと思いますので、ご指摘に従って、やはり重点化するなりというところを少しずつ考えていきたいと思います。ありがとうございました。
どうぞ。

○滝川委員 ついでという形ですけど、私もこの委員会、当初から入らせていただいていて、全く福岡先生、ほかの先生方がおっしゃるように、今までは調査といいますか原因、要因を調べるのが精一杯といいますか、原因がわからないと何も対策が打てないというふうなことで調査中心、評価中心であったというふうに思います。それからやっぱり一歩進めるということで、先ほど楠田先生がおっしゃったんですけど、やっぱりゴールがきちんと明確に、再生というゴールは一体なんだと。そこを見定めないと次の手が打てない。そこをやっぱり議論するべきだろうというふうに思います。
それで一つ、次回以降で、現況報告で各省庁がこういう対応策がいろいろな、資料4ですか、ありますよという話で、今までの課題に対して、各省庁、各行政、県がどういうふうな取組をしてきたというものがあるんですが、ここで議論するのは、あくまでも国、行政が取り組んできたことを紹介するのかということに限られるというと、ちょっと寂しいかなという気がしていまして。それ以外にも各研究者、あるいはいろんな組織でやっていると思うんですよね。そこも含めて発表されると、非常に再生に向けた取組というのは、各省庁を超えたところでの取組。申し上げていいかどうかわかりませんけど、JSTのプロジェクト等もありますし、八代海のプロジェクトも始まっていますし、そういった取組の紹介も含めて議論していただけると、よりよいプロジェクトの展開にもつながるかなと思って。
ちょっとそこら辺の枠はどうなんでしょう、その紹介していただく枠というのが。もう少し広げていいのかなという気がしないでもないんですけども。

○岡田委員長 じゃあ、最初に事務局、どうぞ。いや、私が答えてもいいんですが、どうぞ。

○富坂閉鎖性海域対策室長 一応、評価委員会の枠組みとしまして、国及び関係県が行う調査というのがベースになっておりますけれども、もとより、こういった委員の皆様、それぞれ専門分野をお持ちで、知見があって参加していただいているということがございますので、そういう専門性の中でいろいろ、そのほかの先生方の意見を聞く、あるいはそういったものを取り入れていくといったもの、この場なのか、もうちょっと別の仕掛けを準備したほうがいいのかということについてはちょっと検討させていただければと思っておりますけれども、前向きに対処させていただきたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。そのとおりだと私も思っています。JST、その他は文部科学省という省庁で、これはジョークですけれども、入ってやっておりますので、特にここにいらっしゃる、私、最初にごあいさつで申し上げましたように、先生方自身も非常に努力されて、研究成果を積み上げられてきておられると。これは、前回の報告書を取りまとめたときとは全く違うところになりますので、ぜひ今のご提案、実現させていただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ほかに今日の資料全体を通じて何かご要望、ご質問等、ご発言ございますでしょうか。
 それでは、最後にその他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

○阿部閉鎖性海域対策室室長補佐 2点ございます。一つは、次回の評価委員会のスケジュールでございますけど、日程ですけれども、資料5の2枚目の先ほど議論のあったページのところにも第29回ということで書いておりますけれども、来年の2月から3月の日程でこちら考えております。何分大勢の先生方ですし、お忙しいというところもありますので、2月、3月で考えておりますが、前広に日程を調査させていただいて、年明け以降の日程で調整させていただきたいと思っております。まず、これが1点目でございます。
 2点目でございますが、議事録ですけれども、速記がまとまり次第、各委員のほうにお送りさせていただきます。その各委員に見ていただいた内容につきましては、環境省のホームページに議事録ということで掲載させていただくことにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは、これで本日、予定されていました議題をすべて終了いたしました。ただ、短い時間で今までの資料をご紹介いただきました。いろいろご質問、それからご要望等があるかと思います。次回の委員会、2月、3月まで時間がございますので、お寄せいただければ、それに向けて事務局で準備を進めてもらえると思いますので、ご遠慮なく、ご質問、ご要望等を事務局にお寄せいただければありがたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、第28回の有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会させていただきます。議事進行へのご協力、本当にありがとうございました。

午後4時44分 閉会