第25回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成18年11月29日(水) 10:00~12:30

2.場所

環境省第1会議室(中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

委員長:
須藤隆一委員長
委員:
荒牧軍治委員、伊藤史郎委員、大和田紘一委員、岡田光正委員、楠田哲也委員、小松利光委員、三本菅善昭委員、滝川清委員、原武史委員、福岡捷二委員、細川恭史委員、山本智子委員
臨時委員:
菊池泰二委員
事務局:
環境省水・大気環境局水環境担当審議官、水・大気環境局水環境課長、水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

午前10時00分 開会

○環境省閉鎖性海域対策室長 おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまから第25回有明海・八代海総合調査評価委員会を開会いたします。本日は、あらかじめご欠席の連絡を相生委員、清野委員、中田委員、本城委員、森下委員、山口委員、山田委員からいただいておりまして、14名の委員の方に出席をいただいております。定足数を満たしていることをご報告いたします。
 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第がございまして、配付資料の一覧がついてございますけれども、資料1が委員名簿、資料2-1といたしまして、委員会報告案(本編)、それから資料2-2といたしまして、委員会報告案の別添資料というのがございます。それから資料3といたしまして、小松先生から提出されております潮流関係の資料がございます。
 それから、番号はございませんけれども、参考資料といたしまして、委員会報告書へのご意見等一覧というものがついてございます。
 以上でございますので、ご不足がございましたらばご連絡をいただければと思います。
 それでは、以後の進行につきましては、須藤委員長にお願い申し上げます。

○須藤委員長 かしこまりました。
 皆さん、どうもおはようございます。委員の先生方、関係省及び関係県の担当者の皆様にはご多用の中、早朝からお繰り合わせいただきまして、どうもありがとうございます。
 それと、また本日も傍聴の方がたくさんおいでいただきまして、どうもありがとうございます。
 ただいまから、ただいまのお話にございましたように、第25回の有明海・八代海総合調査評価委員会を開催させていただきたいと思いますが、お手元の議事にございますように、本日は主として報告案でございますが、議題としては2つ用意させていただいております。
 本日は、主としては今お話がございました資料の中で報告案の取りまとめが中心でございますので、12時半をめどに終了できるように、効率よく議事を進めさせていただきたいと考えておりますので、委員の先生方、どうぞよろしくご協力をお願い申し上げます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まずは、議題の1、委員会報告案についてでございます。
 これは、本日の主たる議題でございまして、委員会の報告(案)の取りまとめでございます。前回の評価委員会におきまして、事務局から骨子案が示された後、各委員から多くのご意見を頂戴いたしまして、事務局がこれを整理させていただきました。それを踏まえまして、岡田委員、細川委員及び本日はご欠席ではございますが、中田委員、本城委員には、起草委員会のメンバーということで指名をさせていただいておりましたので、別途それぞれの委員の方々に事務局までお越しいただきまして、いろいろなご意見を賜りまして、本日の報告案を完成させたと伺っております。
 また、大変委員の皆様にはいろいろコメントもいただきまして、本当にどうもありがとうございました。
 それから、同じように関係省庁及び関係県からもたくさんのコメントを寄せられたというふうに伺っております。
 ということで、これらを反映させまして、本日の委員会報告案が取りまとめられたということでございます。
 本日、ご出席のそれぞれの委員の皆様のコメントの概要と、それへの対応につきましても整理をさせていただきました。これも事務局から後ほど資料としてご説明を願いたいと思います。
 それでは、事務局から資料2、それから参考資料に基づき報告を願います。

○環境省閉鎖性海域対策室長 はい、それでは私どもの方から説明させていただきます。
 今、委員長からご報告がございましたように、資料2-1でございますけれども、委員会報告案でございますけれども、前回の委員会で骨子案をご説明させていただきまして、その後、その骨子案に対してまずコメントを先生方からいただきました。それを踏まえまして、一度文章化した委員会報告の案を一度作成いたしまして、それもお送りさせていただきまして、さらにその報告案についてのコメントをいただきました。それらを踏まえて、今日の報告案というものを作成をさせていただいております。
 ということで、資料2-1をメインに説明させていただきますけれども、それにあわせまして参考資料として、今申し上げました骨子案、あるいは報告案に対しての委員の先生方からのコメントを整理をさせていただいたものをつけておりますので、これをあわせてご説明に使いながら全体の説明をさせていただきたいと思います。
 時間の関係もございますので、本日のご説明は前回の骨子案から変更があった部分を中心にご説明をさせていただきたいと思います。
 資料2-1、1ページ目からでございますけれども、第1章につきましては、特段委員会の経緯等変更はございません。
 それから、第2章 有明海・八代海の概要、この部分についても特に変更はございません。
 3ページ、漁業生産の概要、ここにつきましても特段変更はございません。
 5ページから第3章 有明海・八代海の環境変化でございますけれども、水質、汚濁負荷の変化等でございますが、これにつきましては、ここの図としてCODの負荷量を追加しております。前回は窒素だけだったのですけれども、CODの負荷量を追加しているということで、若干図の追加をしております。
 それから、7ページ以降でございますけれども、この部分は新しく骨子案から加わった部分でございまして、陸域からの負荷に加えまして、海域への直接負荷について従来抜けておりましたので、これは前回の委員会で報告したものを載せておりますけれども、降雨とかノリ養殖に伴う酸処理剤、施肥、それから魚類養殖、底質からの溶出、こういうものの負荷量を加えたものを示しております。
 これを加えますと、有明海としてはそう大きな傾向の変化はございませんけれども、8ページ以降、八代海につきましては、特に魚類養殖による負荷量がかなりございますので、そういうものを加えますと、特に窒素、燐については、平成7年ぐらいまでは増加傾向を示し、その後、減少傾向ということで、少しトレンドの変化が出てきているわけでございます。
 9ページからは河川の関係でございます。筑後川、球磨川についての河川からの土砂の供給等についての記述で、これについては特に変更はございません。
 それから、12ページから水質でございます。
 水質につきましては、特に大きな変更はございませんが、2つの表がございますが、浅海定線調査の部分につきましては、浅海定線調査そのものではなくて、浅海定線調査を用いて分析した文献から引用しているということを明確にしております。
 それから、この参考資料の最初の一番上のご意見でございますけれども、委員のご指摘を踏まえて、特に重要である透明度の経年変化については、図表を追加をしているということでございます。
 それから、14ページから底質環境でございます。これについては特に変更はございません。
 それから、17ページから潮流・潮汐でございますけれども、これについても若干テクニカルな用語の見直しをいたしましたけれども、有明海・八代海の潮位・潮流の変遷につきましては、特に変更はございません。28ページまでですけれども、特段大きく変更はございません。
 29ページから、貧酸素水塊でございますけれども、これについても特に変更はしてございません。
 31ページから干潟・藻場でございますけれども、これにつきましては、内容的には特に変更はないのですが、32ページの右下の表でございますけれども、これにつきましては、参考資料にもございますように、用語について若干不適切な部分がございましたし、ご指摘をいただきまして、ここで藻場と言っておりますのは、海草、ここでアマモとかコアマモとか、砂泥地に自生する海草を対象にしているということで、いわゆる岩礁に自生する海藻というものは入っていないということを明確にさせていただきました。33ページ以降は、特に変更はございません。
 34ページから赤潮でございますけれども、これにつきましても特段記述の変更はございません。ということで、第3章、40ページまで特に変更はございません。
 41ページから第4章、問題点とその原因・要因の考察ということでございますけれども、第4章につきましては、前回、骨子を示させていただきましたので、それをベースにいろいろと肉づけをしております。
 まず、41ページでございますけれども、基本的な考え方等につきましては、特に変更はございませんが、参考資料にもございますように、委員の方から、第4章で書いてあることの記述の目的というか、位置づけがちょっと不明確ではないかということでご指摘いただきましたので、41ページの一番下の方でございますけれども、この第4章、42ページ以降、3の部分では、水産資源の問題点と直接関係する諸要因との関連を分析している。4の部分では、その直接的な要因がどうして変化したのかといういうことを記述していますということを明確に書いてございます。
 実際の内容、44ページから個々の内容に入ったわけでございますけれども、まず有明海のタイラギでございますけれども、これにつきましても、基本的な中身は変わっていないのですけれども、1つ追加の部分といたしましては、これも参考資料にございます、委員のご指摘を踏まえてでございますが、44ページの長期的な減少要因に入るちょっと上の部分でございますけれども、今回のこの部分に記述してございますのは、あくまでも佐賀・福岡県海域についてのものでございまして、漁獲量が減少して休漁状態となっている長崎県海域におけるタイラギ資源の減少要因については、知見がなかったということで、今回は取り上げていないということを明確にしてほしいというご意見がございました。これについては、今後精査をする必要があるということで記述をしてございます。
 それから、あとタイラギの部分につきましては、いろいろ詳しくつけ加えた部分がございますけれども、基本的に中身は変わってございません。特に、例えば47ページ、ナルトビエイによる食害等につきましても、具体的なデータなり、図面を示しまして、少し詳しく書いてございますけれども、基本的に前回骨子案で示した結論と変更はございません。
 それとあわせて、タイラギ、アサリにつきましては、非常にかなり詳しくいろいろ書いてございますので、結論がわかりにくいというご指摘をいただきましたので、まとめということで、48ページの上の方でございますけれども、タイラギについてのまとめということで、長期的な要因、それから短期的な要因、それからまだ不明な点、そういうものについて整理をしてまとめさせていただいております。
 48ページ、アサリに入りますけれども、アサリにつきましては、少し記述の変更をしてございます。前回の菊池委員からのご発表も踏まえまして、49ページから要因の考察でございますけれども、従来の案では底質の粒径の議論にいきなり入っていったのですけれども、全体的に、この要因のこれまでのご議論を踏まえますと、むしろ一番データ的に裏づけがはっきりしているのは漁獲圧の問題ではないかということもございまして、少し記述の順番も含めて整理をさせていただきました。
 まず、過剰な漁獲圧の影響というものにつきまして書いてございます。それから、底質環境の変化ということで、底質の粒径等についての考察をしてございます。
 それから、ナルトビエイの食害、シャットネラ赤潮の影響等について書いてございます。
 それから、これも委員のご指摘がございまして、マンガンの影響につきましては、これは小委員会でかなり議論をされまして、現時点では、要因として取り上げるのは適切ではないのではないかということであったのですけれども、かなり議論をされましたので、議論の結果を書いておいた方がいいのではないかというご指摘がございましたので、これは以前の委員会で荒牧先生の方から小委員会でのマンガン説についてのご議論をご紹介いただいておりますので、その内容を50ページの下から紹介をさせていただいて、マンガンについてこういう議論があったということを書かせていただいております。
 まとめもつけてございますけれども、特にまとめの段階でつけ加えておりますのは、底質環境の変化、粒径の変化等につきましては、その可能性が指摘されてきたわけですが、特にアサリについて重要な緑川河口域の粒径の変化につきましては、まだデータが十分ない、はっきりまだ物が言えない部分があるということで、これについては追加的なデータの収集、精査が必要であると。また緑川河口以外の、ほかの海域においても底質に関するデータの収集、整理を行いまして、アサリの初期減耗との関連については、さらに検討する必要があるだろうということを加えさせていただいております。
 その後、51ページからサルボウでございます。サルボウにつきましては、特に変更はございませんけれども、ただ、次のアゲマキもそうなんですけれども、サルボウ、アゲマキにつきましては、中間まとめの段階で一応この分析が終わっておりますので、それ以降、特にそれ以上の精査はしておりませんので、第15回評価委員会での指摘を踏まえて書いているということを明確にしてございます。
 それから、53ページから魚類の関連でございますけれども、まず魚類、53ページでございますが、この図の4・3・17に漁獲量の経年変化のグラフをつけてございます。これは従前のものと同じなのでございますけれども、ちょっと今日図表の差しかえが間に合わなかったので、以前のものを載せておるのですけれども、これにつきましては指摘がございまして、実はこの図では1978年以降の漁獲量の推移が載っているのでございますけれども、実はその以前の年代についてもデータがあるというご指摘でございまして、今日はご欠席ですが、長崎大学の中田先生、山口先生にも確認をいたしましたけれども、1976年からこの比較可能なデータがあるということがわかりましたので、この76年、77年の2年分のデータを追加をしたいと思っております。ちょっと今日間に合いませんでしたけれども、追加をさせていただきたいと思います。
 ただ、追加をすることによって何か大きく傾向が変わるというようなことではないということを確認してございます。
 ただ、この文章の中で、過去の最低水準を下回ったという部分については、あくまでも漁獲統計がある76年以降ということで、明記をさせていただいたということでございます。
 それから、54ページでございますけれども、この水産資源に関する要因の考察でございますけれども、これも参考資料にございます委員の指摘、1ページ目の一番下でございますけれども、魚類資源の部分につきまして、ほかの部分に比べて裏づけとなるデータがちょっと少ないのではないかというようなことのご指摘がございました。
 そういうことも踏まえまして、54ページの一番上でございますけれども、魚類等については現時点において必ずしも十分な情報がない中で、専門的知見を有する委員の考察によりまして、以下のとおり原因・要因を整理いたしました、今後、有明海の魚類等に関するデータについては収集・整理を行っていく必要があるということを、一言書かせていただいています。
 その後の解析、考察については、いろいろ肉づけはしておりますけれども、基本的に骨子案の内容と特段変更はございません。
 特に55ページ以降、生息場の縮小、あるいは生息環境の悪化ということに整理をして、さまざまな要因を考察してございます。一部変更がございますのは、55ページの一番最後のところでございますけれども、ナルトビエイのエイ、サメ類の漁獲量の経年変化という部分でございますけれども、ナルトビエイ、エイ類の増加の要因として、捕食者であるサメ類の減少というのを加えるべきではないかというご指摘がございました。
 それから、従前は長期的な水温上昇と書いてあるんですけれども、この水温上昇については比較的最近のものだということで、長期的というのは取っているというところがございます。
 それからもう一つ、これは委員のご指摘、参考資料の2ページの上の方でございますが、前回の骨子案では、魚類の資源量そのものの減少要因として、幾つか余り影響がないものとして、魚類資源の減少に余り影響していないと思われるものとして漁獲圧、ノリの酸処理剤とか水温上昇というものを挙げていたんですけれども、そこについて、なぜ影響が低いと考えられたのかということを理由をちゃんと書いてほしいという意見がございまして、その辺は55ページの中ほどに書いてございますけれども、1点、水温上昇が魚類資源の減少について余り影響がないというような部分につきましては、この記述が不適切だったということで、水温上昇の影響というのは、主としてこの一番下にございますように、資源量そのものではなくて、種の組成に影響があるという観点で議論していたので、資源量そのものの減少と水温上昇の関係というのは、議論、考察の対象とはしていないということだったので、魚類資源の減少との関連については、水温上昇という言葉は削除したということがございます。
 続きまして、56ページからベントスでございます。
 ベントスにつきましては、特段大きな変更はございませんが、1点、57ページの上のところでございます。3行目、4行目でございますけれども、このベントスに影響を及ぼすものとしての貧酸素水塊というものの発生の影響というものの記述がございませんでしたので、1点追加をしてございます。
 それから、58ページからノリでございます。
 ノリについては、特に変更はございません。平成12年度のノリの不作の要因、それからもう一点は、近年の秋冬の水温上昇がノリの生産に影響を及ぼす可能性があるという点について記述をさせていただいております。
 それから、60ページからは、八代海の魚類養殖等についての記述でございます。これについても、いろいろと図表を加えまして具体的に書いてございますけれども、基本的には前回の骨子案の内容と変更はございません。
 61ページの上の方で、若干要因の考察、まとめというものを加えてございます。生産量の減少要因としては、魚病の発生、有害赤潮の発生、台風による災害等もありますし、経済的な要因もあるだろうというのが、現時点での八代海についての分析でございます。
 それから、61ページの下からは、養殖ではなく魚類の漁獲量の減少、推移等について書いてございます。これについても、各魚種ごとの推移については、前回の骨子案のものと基本的に同じでございますけれども、要因の考察については、関係の委員のご示唆もいただきまして、考察、まとめを63ページの下の方ですけれども、加えてございまして、考えられる要因としては、干潟、藻場等の仔稚魚の育成場の縮小、消滅が一因となる可能性があるだろうと。
 それから、単にその面積の減少だけではなくて、植生の密度となる藻場の質自体も低下をしているというようなことのご指摘をいただいております。
 また、コノシロについては漁獲圧というものも影響しているだろうという可能性が推察されるということをご指摘をいただいております。
 それから、64ページから第4章の4として、直接的な環境要因がどう変化してきたのか、どうして変化してきたのかという部分の考察でございます。
 ここでは、直接的な環境要因として、潮流速の減少、底質の泥化、底質中の有機物・硫化物の増化、あるいは貧酸素水塊、赤潮の発生、こういうものを取り上げまして、これらの直接要因と言われているものが、どういう要因で変化をしてきたのかということでございます。
 ただ、これらの要因は相互に非常に関係をしていますので、一つ一つ取り上げて書いておりますけれども、やはり総合的な要因があるということで、少し全体の構成がわかりにくくなっておりますけれども、まずは、いろいろな要素に影響を及ぼす潮流速の減少というのを最初に取り上げまして、その後にその他の要因を考察しています。
 それから、最後に透明度につきましては、これは直接的な要因ではなくて、赤潮の発生というものに大きな影響を与える要因として、最後に透明度の上昇というものを考察しているという、記述の順番についての整理を少し最初のところでしてございます。
 具体的な中身でございますけれども、まず、アの潮流速の減少、これにつきましては、前回の骨子案のものと基本的に同じでございますけれども、委員のご指摘もございまして、ここでは、a、bという2つの例を紹介しておりますけれども、それだけではないということで、64ページの下から5行目、6行目あたりでございますけれども、これは先ほどご紹介いたしました第3章の潮流・潮汐の、25ページから27ページにいろいろ書いてございます海面積の上昇等による潮流速への影響のいろいろなシミュレーション結果あるいは観測結果、そういうものについても引用をさせていただいております。
 それから、この潮流速の減少についての結論部分でございますけれども、ちょっと従来の表現が、これも参考資料の2ページ目の上から5番目ですか、ご意見をいただいておるわけですが、前回の案では、さまざまな要因によりまして長期的経年的かつ平均的に減少したという記述だったのですが、ちょっとあいまいでわかりにくいというご指摘をいただきました。
 ということで、今回の記述といたしましては、有明海の潮流は、64ページの一番下の方でございますけれども、干拓・埋め立て、潮位上昇、人工構造物、ノリ網の設置等の要因に応じて、全体としてみれば、長期的に減少した可能性が高いというふうな書き方にしてございます。
 それから、65ページから底質の泥化ということでございます。
 これについても、基本的な記述の内容は変わってございませんけれども、粒子の粒径と流速との関係から始まりまして、いろいろと記述をさせていただいております。
 少し変更がございましたのが、67ページの部分でございますけれども、河川を通じた陸域からの土砂供給の減少という部分につきまして、幾つかコメントをいただいておりまして、記述の追加等させていただいております。
 1つは、[2]の最初の方でございますけれども、河川だけを考えるのではなくて、流域・河川を一体として考える流域の視点が必要だというような点をつけ加えてございます。
 また、筑後川と緑川について、得られる情報の範囲内で考察をしているのだということを書いてございます。
 それから、67ページの下の方でございますけれども、掃流砂量についてのグラフを載せております。減少傾向があるということで載せておりますけれども、これはあくまでも推定式であるということを留意事項として書いてございます。
 それから、短期的なイベントとして筑後川の感潮域に堆積したシルト・粘土が出水時に流出をしていくという、沖合に堆積をしていくという事例の報告をしておりますけれども、これについても一つの例だということを記述をする必要があるとういことで、規模の異なる洪水について同様の調査を行って、感潮域及び河口沖合域に流出する土砂の質と量を、長期的、短期的な観点から明らかにする必要があるという検討課題を追加させていただいております。
 それから、68ページの部分、これはアサリの関連で緑川河口域における緑川の土砂の動きにつきまして書いている部分でございますけれども、これについてもまだ十分わかっていない点がいろいろあるわけでございますが、委員のご指摘もございまして追加をしてございます。この68ページの、特に記述の上の部分でございます、数行でございますけれども、緑川につきましては、砂利採取が規制されているために、現在では河床の低下は生じていないし、今後とも安定した河床が続くと予想されますけれども、モニタリングを行うことが必要であるということ。
 それから、堆砂につきましても、計画堆砂量の中でおさまっているということでありますけれども、若干堆砂速度が計画よりも速いということで、今後、堆砂量のモニタリングを続けていきながら、除去、還元等も検討していくことが必要であるというご指摘をいただいておりますので、そういう記述を追加をしてございます。
 それから、69ページから底質中の有機物、硫化物の増加及び貧酸素水塊ということでございます。
 これにつきましては、特に有明海の湾奥部から諫早湾にかけての調査というものを取り上げまして、表層堆積物中の有機物の性状等から考察しているわけでございますけれども、基本的に記述は変わってございませんけれども、69ページの一番下のところで、諫早湾調整池からの排水の拡散によって諫早湾の中での沈降が見られているというようなことについて可能性を追加をしてございます。
 それから、70ページの上から4行目からでございます。これも委員のご指摘、参考資料にございますけれども、潮流速が減少しているという話につきまして、従来の骨子案では泥化、粒形分布に対しての影響を書いていたのですけれども、それだけではなくて、流速の低下によって有機物を含む微細な粒子が沈降しやすい状態が生じているはずだというご指摘がございまして、それを踏まえまして、有明海の奥部とか諫早湾においては、そういうことで流速の低下に伴う有機物の堆積の増加というものが、そういった可能性があるのではないかということを指摘をしてあります。
 それから、71ページからは赤潮でございますけれども、赤潮も全体的にはいろいろと表等の見直しをしておりますけれども、内容については特に大きな変更はございませんが、1点、71ページの頭のところでございますけれども、これも委員のご指摘でございます。
 赤潮については直接的な要因としてあるもの、これは具体的にはシャットネラ赤潮、これは直接的に水産資源に悪影響を及ぼすのですけれども、それともう一つは、赤潮がふえて、それが沈降して底質の有機物の増加という要因を引き起こすという、いわば間接的な要因としての赤潮発生というものが両方あるということなんですけれども、ここではその両方を含めて、全般的に議論をしているということをただし書きとして書いてございます。
 そういうことで、具体的には水温の上昇、それから透明度の上昇、富栄養化、貧酸素水塊、それから浄化能力の低下、潮流低下、潮位差の減少、こういう赤潮の増加に影響を及ぼすと考えられる可能性があるものについての分析をしてございます。これらの内容は、基本的に骨子案の段階と変わってはございません。
 それから、75ページには透明度の上昇というものを別途取り上げております。これにつきましては若干変更がございますのは、75ページの上の方の2行目ですけれども、委員のご指摘がございまして、特に90年代後半に顕著な上昇が見られるということを1つ加えてございます。
 それから、中ほどでございますけれども、前段の方でSS濃度と潮流速の関係というものが相関がある。潮流速の減少によって底泥の巻き上げの減少があり、それがSS濃度の低下につながるという一連のメカニズムを挙げてございますけれども、ただ短期的には潮流速だけではなくて、いろんな河川の高濁度水塊の移流等いろんな影響があるので、その変動傾向は海域により異なるということに留意する必要があるということを加えてございます。
 それから、76ページからは八代海についての同様の解析でございますけれども、基本的には赤潮の発生についてのみ、水温、透明度の上昇、富栄養化という観点で書いてございます。この辺も骨子案からかなり膨らませてございますけれども、水温、透明度につきましては、八代海においても有明海と同様の傾向が見られるということで、そういうものが赤潮増加の要因となっている可能性があるということは示唆をしておりますけれども、なかなかデータとしては一致しない部分があるということで、ほかの要因の可能性というものも指摘をしているというようなことでございます。
 富栄養化については、これも有明海とちょっと似ておりますけれども、栄養塩の流入の推移と珪藻赤潮の増加というのはなかなか関係がはっきりしない。ただ、コックロディニウム赤潮については、魚類養殖に伴う負荷との関連が示唆されるのではないかということを書いてございます。
 それから、77ページ、第4章の5でございますけれども、環境と生物生産の中長期的な変化(有明海)ということでございます。これも前回お示ししたものに少し、いろいろ意見をいただきましたので、手を加えてございます。
 1つは、1955年から75年の間の急速な干拓・埋め立て等によりまして、潮流速の減少あるいは干潟の消失があって、70年代から富栄養化が進んだ可能性がある。その後、諫早干拓もあって、さらに干潟の消失があり、浄化能力の低下あるいは諫早湾周辺での潮流速の減少が生じたというようなこと、そういうさまざまな長期的な流動の減少によりまして、透明度の上昇があり、あるいは水温の上昇に伴って赤潮の発生が助長されているのではないか。あるいは流動が低下することで、底質の泥化が進んできている。あるいは、河川の砂の持ち出し等の変化もあるというさまざまな要因を書いてございます。
 そういうことから、底質の悪化というものがありまして、それが貧酸素化あるいは硫化物の増加というようなことから、特に二枚貝を代表とする底生生物の減少というものを引き起し、それが浄化能力の低下とか、赤潮の発生抑止機能の低下というようなものを示唆している。
 最後のところは、従来は有明海というのは底棲生態系と浮遊生態系が適度なバランスを保っていたのだけれども、最近は底棲生態系が衰える一方で、植物プランクトンに有利な要件が生じて全体のバランスが崩れてきているのではないか、そういうような、これまで個別に書いてきたものを少しまとめた形で、少しストーリーを書いているという部分でございます。
 それから、78ページから第5章に入りますけれども、これにつきましては、前回本当にあらあらなものしかお示しをしていませんでしたので、その後、さまざまなコメントをいただきまして、かなり書き直してございます。
 まず、再生の目標ということでございますけれども、基本的に骨子案でも挙げておりましたように、いわゆる環境面での目標として、希有な生態系、多様性、生物浄化機能の保全、回復、もう一つは、特措法の目的でもございます水産資源という観点から、二枚貝等の持続的な生息環境の保全・回復とバランスのとれた水産資源の回復という2つの柱で書かせていただいているということでございます。
 (1)については、有明海、八代海では、ほかで見られない非常に特異な生態系を有している、あるいはさまざまな特産種も生息しているということで、こういう多様な生物をはぐくむとともに、生物浄化機能も果たす、こういう生態系、多様性、生物浄化機能というものを次の世代に引き継いでいくということが1つの目標であろうということ。
 それから、(2)といたしましては、特に底棲生態系の復活に資する持続的な生息環境の保全・回復を図りまして、二枚貝等の生産性の回復を図り、ノリ養殖生産と二枚貝等の安定的な生産を確保するということが目標になる。
 委員のご指摘がございまして、特に参考資料の3ページのところでございますけれども、もう少し具体的な再生目標として、アゲマキの再生とか、そういうことを書いたらどうかというご意見がございました。ここであえてアゲマキというところまで書いてございませんけれども、特定の二枚貝の再生というような具体的な目標を定めるということも意義があるだろうということを書かせていただいております。
 それから、2といたしましては、再生に当たっての環境管理の考え方ということで、これについては骨子でもお示ししましたような、いわゆる順応的な管理とか予防原則、そういうことについて一般的な記述をさせていただいております。
 特に、有明海と八代海は非常に特異な生態系、複雑な生態系であるということで、いろんな不確実性を持っているということでございますので、常々モニタリングを行いながら、その結果に基づいて対応を変化させる順応的な方法というものが重要であろうというようなこと。
 それから、自然の生態系のメカニズムを理解した上で、土木的な手法に加えて生態系の機能の活用とか持続的な漁業生産の観点を取り入れて、長期的な視点からその改善方法を考えていく必要があるのではないかというような基本的な考え方を書かせていただいております。
 3から具体的な再生方策ということで整理をさせていただいてございます。この具体的な再生方策の部分につきましても、幾つか基本的なコメントをいただいておりまして、参考資料の3ページでございますけれども、例えばいろんな再生方策があるけれども、長期的、中期的、短期的と分けて書くべきではないかとか、有明海と八代海を分けて書くべきではないかというようなご指摘をいただきました。特に長期的、中期的というようなことにつきましては、非常に重要な観点かと思いますが、ちょっと現時点でこれをきれいに分けるということは非常に難しかったものですから、そこは今回対応ができていない部分で、今後の課題とさせていただきたいというふうに思っている部分でございます。
 また、有明海と八代海を完全に分けるというのも非常に難しい面がございまして、正直申しまして、今回やはり有明海の対応というのがメインになっている部分が否めないわけでございますけれども、有明海で有効なものが八代海にも活用できるというような部分がございますので、あえて完全に分けるということではなくて、ただ八代海の特異な問題については、後ろの方で八代海における持続的な養殖というようなことで少し特出しをさせていただいているということでございます。
 それから、もう一つ全体的なコメントとして、第4章でいろいろ行った要因、原因の分析と余り関係ないこともいろいろ入っているのではないか、その辺の第4章との関係はどうなのか、何でもやみくもに入れるべきではないのではないかということのご指摘もいただきました。そこにつきましては、ちょっと78ページの一番下のところ、具体的な再生方策のイントロダクションのところに少し考え方を整理させていただきました。
 第4章の考察結果を踏まえ、具体的な再生方策で、これは再生方策としてどこまで含まれるかについては、再生方策そのものだけではなくて、その再生方策を効果的に実施するための技術開発でありますとか調査、そういうものもここに含めて書いてございます。そういうものを検討を研究したと。
 再生方策については、過去に問題を生じさせた原因・要因への対策、これはまた第4章の分析を踏まえた、それに関連した部分でございますけれども、そういうものを中心に記しているが、それ以外にも両海域の現状にかんがみ、今後の問題の解決や両海域の再生に資すると認められるものも含んでいる。過去の問題点の要因、原因、そのものではないかもしれないけれども、今後両海域の再生を考えた場合に、有効ではないかと思われるものについても含めて書いておりますということでございます。
 また、具体的な再生方策の実施に当たっては、その効果をできるだけ定量的に評価した上で効率的に実施していく必要があるということも書いてございます。そういう前提のもとで、以下、少し分類をして、今後考えられる再生方策を具体的に少し書かせていただいたということでございます。
 それが79ページからでございますけれども、まず、底層環境の改善ということで書いてございます。この中には骨子案に示したものもございますし、追加したものもございますけれども、効果の持続性を考慮した底質改善の実施、あるいはこれも委員のコメントでございますけれども、覆砂といってもなかなか砂が確保が難しいということが近年問題になっておりますので、代替材等の開発を含めてやっていくということです。
 それから、持続性の高い二枚貝の漁場の造成、改善等に資するもの。特に底層の流況等の調査、こういうものもやっていくことによって効果的な対策ができるのではないか。
 それから、既に泥化してしまったようなところの改善のための、特に好気微生物の活用を促進するような対策の実施、あるいはそれの関連技術の開発というものも、これは委員の方からご指摘、ご提案をいただいています。参考資料の3ページの中ほどでございますけれども、幾つか底層環境の改善についての具体的な提案をいただいておりますので、そういうものを幾つか含めてございます。
 それから、河川における適切な土砂管理、それから、これも委員のご指摘がございました流域の土地利用とか流出土砂対策、こういうものについての対応も必要だろうということ。それからダム堆砂の除去、還元等の検討ということ。
 それから、2番目といたしまして、沿岸域の環境保全、回復ということで、予防的な観点から潮流速の低下を招くおそれのある開発を行う場合の配慮とか、干潟の保全。藻場につきましては、単なる造成では持続性がないというようなご指摘もいただきました。持続性のある藻場、干潟の技術開発というものも含めてございます。
 それから、なぎさ線、アサリ、カキ等の回復もございますし、それから汚濁負荷につきましては、生活排水対策だけではなくて、土地利用に伴う負荷対策も重要であるというご指摘もいただいておりますので、加えております。
 それから、複数の委員から、今まで余り直接議論されておりませんでしたけれども、いわゆる流入・浮遊ごみ、漂着ごみ、こういうものの影響もかなり明確なので、また、この対策をやることによって効果が波及するのではないかということで、こういうものの対策についても一言盛り込んでございます。
 それから、必要に応じた河川の流況調整というものも、ここに含めてございます。
 それから、3として貧酸素水塊についての対策を1つ特出しで書いてございます。ここは、当然貧酸素水塊、一つの大きな要因として指摘されてきているわけでございますけれども、それの具体的な対応の1つとして、ここにございますように、モデリングをやることによって、その貧酸素水塊の発生を予察して、そういうデータに基づいて、効果的に漁業被害防止対策を実施していくような、そういう技術開発、こういうものを今後やっていく必要があるのではないかということでございます。
 また、八代海についても、現時点では貧酸素水塊は確認されておりませんけれども、底層の溶存酸素の監視というものを続けていって、必要に応じて対策をやっていく必要があるのではないかというご指摘をいただいていますので、ここも含めてございます。
 それから4として、貝類、魚類等の資源管理、増養殖ということで、これもこれまで挙がっているとおり、漁業者が主体となった資源管理の推進あるいは普及啓発、こういうものの重要性を書いてございます。
 二枚貝の食害生物の防除、これも従来から挙がっておりますけれども、これをやみくもにやるのではなくて、きちんとデータに基づいて、あるいはほかの生物に対する影響がないようにということで、少し留意事項を括弧の中に、これも委員よりご指摘ございましたので加えてございます。
 タイラギ等の二枚貝の増養殖技術の開発、その基礎となる生理・生態の解明というものを加えてございます。
 それから、漁業資源の管理を適切に行うための情報整理ということについても、委員のご指摘もございまして、充実させていただいております。
 それから、5として持続的なノリ養殖のための施策の推進ということで、これも少し委員のご指摘を踏まえて記述を充実させていただいておりますけれども、具体的には漁業者の協力を得た適切な漁場利用、減柵を含む漁場環境の改善、それから高品質、高付加価値のノリ生産の推進というようなことで記述をさせていただいております。
 また、酸処理剤等の観点から、環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術の確立というようなことも加えておりますし、水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発、品質改良、こういうものについても、これも水温上昇に対応した漁業の必要性というようなご指摘もいただいておりますので、加えてございます。
 それから、八代海について少し、特に持続的な養殖という観点から八代海独自の対策があるだろうということで、これも委員からご指摘をいただきましたので、一口でいうと量から質への転換というような観点が必要だというご指摘を委員からいただいております。こういうものを踏まえて記述を追加をしています。
 また、特に赤潮の被害を軽減するための情報面での対策等も加えております。
 それから、80ページ、解明すべき課題ということでございます。
 これにつきましては、第4章の要因、原因の分析の中で、いろいろとまだデータが十分でないということで明確になっていない部分があるということで、今後の対策をより効果的にするという観点からも、こういうものを解明していく必要があるということで、今後の調査研究、重点化を図るべき研究課題ということで整理をさせていただきました。
 まず、二枚貝の関連では、第4章に記述がございましたように、北東部漁場のタイラギ大量斃死の発生機構がわかっていない。長崎県海域のタイラギ不漁の原因の解明というのが残っている。それから、タイラギ浮遊幼生の移動状況に及ぼす潮流変化の影響というようなところについても、まだよくわかっていないのではないか。
 それから、アサリについては、やはり4章でも少し触れさせていただきましたけれども、底質の環境の変化とアサリの初期減耗との関係については、まだデータが複雑で十分でないというところがございます。それについて課題として挙げさせていただいております。
 それから、魚類等の資源生態、これにつきましては、基本的に前回お示ししたのと同じでございます。魚類等の再生産機構の解明でありますとか、さまざまな輸送、生残に関する調査、あるいは底棲魚類の生態、近年増加しているエイ類の生態、こういうものについての解明が必要であるということです。
 それから、潮流・潮汐につきましても、これまで挙がっているものと基本的には変わってございませんけれども、外海、内海の潮位の観測について、きちんとデータの整理をする、そういうものを踏まえてシミュレーションの精度の向上、それから潮流・潮汐が変化することによって、魚類資源等への影響については上のところで挙げておりますけれども、それ以外にも底質環境等、データでありますとか、そういうものについての関係については、さらに検討を進める必要があるということです。
 それから、土砂に関する知見の蓄積ということで1項挙げてございまして、特に流域からの土砂の流出というものについての知見がまだ不十分であろうと。それから河川に堆積する土砂の量と質の把握とか、海域に流入する土砂の質、量、流入経路、あるいは海域での土砂の挙動という基本的な知見がまだということでございます。
 それから、5といたしまして、汚濁メカニズムの解明とモデルの構築ということで、特に赤潮の発生については、今回いろいろ整理をいたしましたけれども、さまざまな赤潮発生の増加、植物プランクトンの増殖メカニズムについてさらに解明する必要がある。
 それから、物質収支の観点が重要だというご指摘がございまして、それについては、まだまだ解析が十分でない。そういうものも踏まえて、適切な管理というものも検討していく必要があるだろうということでございます。
 それから、そういうものを含めて、流動、水質、あるいは生態系、そういうものの全体をカバーするような総合的な評価モデルというものを構築して、そういうものを今後の評価のツールとして使っていく必要があるのではないかということで、そういうものも挙げてございます。
 それから、最後の81ページ、取り組みの体制というところでございますけれども、これにつきましても、前回お示ししたものに少しコメントをいただいたものをつけ加えさせていただいております。
 まず、1として、調査研究の総合的な推進ということで、今申し上げましたいろいろな課題がある中で、そういうものを効率的にやっていくための体制として幾つか書いてございます。
 1つは、これまで行われた各分野の調査研究を体系的に整理する。そういうものを踏まえて、調査のマスタープランを作成していく、あるいは調査関係機関の調整能力の強化、あるいは関連する情報の共有を進めていくということであります。
 それから、調査のマスタープランの作成に当たっては、関係者、国・県の機関の積極的な参加を求めるということと、現地のことをよくわかった専門家が参加をしていくといういうことが必要だろうということでございます。
 それから、先ほどちょっと最後に取り上げたモデルにつきましても、この流域全体を把握・評価するためのモデルの構築に向けて、やはり協力をしていくことが非常に重要である、協同作業が重要であるということを挙げてございます。
 それから、この評価委員会のこれまでの役割というのを少し書かせていただいておりますけれども、やはりさまざまな自治体が実施してきた調査研究の結果を集約してきたと、審議してきたということでございます。
 今後とも、第三者的な機関によって調査研究の結果を総合的に評価する仕組み、こういう調査研究のフォローアップということが必要だろうということを書かせていただいております。
 それから、2番目として、海域環境モニタリングの継続・評価ということでございます。
 それからすみません。その前にちょっと1番のところの関係で、幾つか先生方からコメントをいただいているわけでございますが、参考資料の4ページの最後のところでございますけれども、具体的な新たな調査機関の設立でありますとか、関係知事会議でありますとか、そういう具体的な機関の設置等についてもご提案をいただいております。
 これにつきましては、この評価委員会の趣旨からして、そこまで具体的な機関の設置等についての提言を行うというのは、少し難しいのかなということで考えておりますけれども、できるだけその趣旨を盛り込むということで、その関係する国・県の機関の積極的な参加とか、あるいは現地の事情に精通した専門家の参加というものを確保しながらやっていくということで、その趣旨はできるだけ入れさせていただきたいと思っているところでございます。
 また、知事会議等につきましては、ご案内だと思いますけれども、今の法律でも主務大臣、知事をメンバーとした促進協議会等もございますので、そういう場の活用ということも可能だろうということでございます。
 それから、2の海域環境モニタリングの継続・強化という部分でございますけれども、やはり今後とも長期的に有明海や八代海における海域環境の変化を把握するということで、引き続き継続し、むしろ強化すべきではないかというご意見もございまして、強化というものを加えさせていただいております。その際に、モニタリングの技術の高度化とかシステム化というのを、特に底層環境については少し体制がおくれておりますので、モリタリング体制の整備ということも書かせていただいております。
 また、特に有明海の奥部とか諫早湾については、かなり環境の変化が生じてきているということで、なおかつそういうところには仔魚が多く分布するというような報告も寄せられております。
 そういうこともございまして、これらの海域について、特にモニタリングの継続が重要であるということを書いてございます。それにあわせて、調整池の排水の影響というものについてもモリタリングを含めてやるということを書かせていただいております。
 それから、最後に八代海における調査研究の強化ということで、これもたびたびご指摘をいただいているところでございまして、調査研究の充実が必要だということでございます。
 以上で、最後に82ページ、おわりにということで、簡単にこの経緯といろいろ課題が残っているということから、これまでのいろんな関係者へのご協力に対する謝辞ということで書かせていただいております。
 最後に、83ページから、当然前からご指摘いただいておりますけれども、いろんな図表等の出典をちゃんと書けということで、本文中に書くと煩雑になりますので、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、最後のところに一括して資料の出典というものを書かせていただいております。
 非常に雑駁ですが、以上で事務局からの説明を終わらせていただきます。

○須藤委員長 どうも、高橋室長、簡潔に要領よくご説明をいただきまして、まことにありがとうございました。
 今、お聞きのとおりでございまして、特に4章はかなり加筆をしている。それから5章は、今まで項目だけしか挙げていないのを特に具体的に文章としても一応完成させていただいた、こういうことでございます。
 それから、それぞれの先生方からいただいた意見は参考資料によって、今、高橋室長がご説明したとおりで、この意見は、この委員会の委員と、それから小委員会の委員の先生の両方の委員の先生方のご意見を踏まえて、その対応方針を説明していただいたということで、また、後でご意見があればいただきますが、とりあえず、いただいた意見については一応このように、すべてについて記載をしていただいたということでございます。

○環境省閉鎖性海域対策室長 そういう意味で、言い忘れましたけれども、小委員会の先生方にも案を送らせていただいて、コメントをいただいておりますことを申し上げるのを忘れましたので、どうぞよろしくお願いします。

○須藤委員長 ですから、今、私がお話ししたとおりでございまして、どの意見をだれがということではなくてよろしいと思いましたので、このように一括をして表現をさせていただきました。
 それでは、大体あと1時間ぐらいは十分にこれについてご議論をいただけると思いますので、ご意見をいただきたいと思いますが、膨大な報告書でございますので、ちょっと分けて、特に前段の部分はそんなにご意見はないかというふうに私も思うのですが、一応第1章から第3章まで、それから、その後は1章ずつということで、少し分けて議論をして、最後に総合的に時間があれば、先生方からも感想なり、今後の課題なり、お伺いしようかなと思っていますので、大ざっぱに申し上げれば1時間ぐらい議論に費やしていきたいと思います。
 それでは、最初に中間報告書にも大分書かれている部分でございますが、第1章から3章までについて、まずはご意見を伺いたいと思います。
 どうぞお願いをいたします。1章から3章まででございます。
 どうでしょうか、報告書で字がいっぱい書いてあるからなかなかご議論しにくいかもしれませんが、とりあえずいいでしょうか、これは相当議論してきたところだし、何回か、はい、どうぞ、滝川先生お願いします。

○滝川委員 3章のところですが、よろしいでしょうか。

○須藤委員長 はい。

○滝川委員 5ページのところあたりに書いてあると思うのですが、陸域からの流入負荷量の算定結果ということで、有明海あるいは八代海の流入負荷というグラフがございますが……。

○須藤委員長 汚濁負荷ですね。

○滝川委員 ええ、このところで、その他の流域というのは、2級河川といいますか、そういったものの影響が含まれているのかという確認です。

○須藤委員長 要するに、1級河川ではなく2級河川とか、そういうやつですね。そういうものが含まれているかどうかということですね。
 それは、ちょっと事務局から伺いましょう。これは、負荷のところは、特に環境省でやっていただいたのですね。お願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 その他の河川につきましては、2級河川も含まれた数字になっております。

○滝川委員 あっ、そうですか、はい、わかりました。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 そのほか、ご質問なりご意見ございますでしょうか。
 各章ごとですと議論がしにくいですかね。4章、5章ですと結構ご意見があるから、一通りやりましょうか。それでは総合的に全部を通してという議論も必要だと思いますから、とりあえず第4章に移らせていただきます。ここは結構加筆をしてございますので、いろいろご意見もあろうかと思いますが、では第4章についてご意見をお願いいたします。
 はい、どうぞ、小松先生。

○小松委員 64ページ、「直接的な環境要因の変化に関する考察」というのがあって、一番下から2行目のところに「有明海の潮流は、干拓・埋め立て、潮位上昇、人工構造物、ノリ網の設置等の要因に応じて」云々とあるのですが、ここの記述、間違いではないのですけれども、「全体としてみれば、長期的に減少した可能性」というふうになっているわけですね。ですから、ここだけを見ると何かだらだらと連続的に変化してきたというふうにとれるわけなんです。ところが、その要因というのが干拓、埋め立て、潮位上昇、人工構造物、ノリ網等で、その中でだらだらとした要因というのは、多分潮位上昇だけかなという気がするのです。あとはイベント的な感じだと思うので、一言でいいと思うのですが、全体としてみれば長期的「かつ段階的に」か何か、そんな表現を入れると良いと思います。

○須藤委員長 かつ段階的に。

○小松委員 そうすると良いですね。

○須藤委員長 何か例えば構造物ができたときとか、埋め立てが行われたときとか、そういうことをイメージできる、こういうことでよろしいですか。

○小松委員 そうです。

○須藤委員長 そういうことですね。

○小松委員 そうすると、もっとこの文章からより明確な意味が汲み取れると思います。

○須藤委員長 かつ段階的に、そこへ入れてくださいということですね。それは、後で調整しますので、今先生のご意見として伺って、最終的に調整を図るようにいたします。
 高橋室長、そういうことでよろしいですか。

○環境省閉鎖性海域対策室長 ご意見があれば。

○須藤委員長 もちろん、そうですね。
 もちろん、今のほかの先生方が、ここはそのままがいいというご意見があれば、それはそれで伺いますし、一応一通りご意見を伺った上で最後の結論にしたいと思います。
 どうぞ、ほかに、別に今のところでなくてもよろしいです。今のところのご意見でも結構ですし、はい、どうぞ。楠田先生。

○楠田委員 2点ございます。

○須藤委員長 はい、どうぞ。

○楠田委員 1点目は、原因、要因の考察のときに、有明海と八代海はこうなっているというご説明をいただいているわけですけれども、要するに、この中ではこれが原因であるということは特定に至っていないわけですね。

○須藤委員長 至っていないですね。

○楠田委員 ただ、日本の沿岸域を通しますと、全体に悪くなっていますね。

○須藤委員長 そうですね。

○楠田委員 結局全体に悪くなっているというのは、全体を通してのもっと大きな原因がどこかに潜んでいる可能性がありますね。ですから、そういう記載をどこかに1文入れていただけると、全容がつかみやすくなるのではないかというのが1点目です。
 それから、第2点目は、細かい話で恐縮なのですが、65ページのところに、図の4-4-2というのが上げられているのですけれども、この中の用語が汚濁限界流速というのがありまして、余り私ども使いなれない、限界流速に汚濁というのがついている用語は余り使わないのです。それでちょっとご検討をいただけたらと。
 それに関しまして、これは凝集性のない粒子のカーブですので、細かいところにいきますと、これが適用できませんので、そのコメントを、泥質のところはちょっと無理なので、そのコメントをおつけいただきたいのです。

○須藤委員長 はい、これは先生方の、特にご専門の先生方のところのご意見を入れて、汚濁限界流速という言葉のことと、そうですね、それから非常に小さくなっちゃった場合にこれが通用しないということですね。それでよろしいですか。

○楠田委員 はい。

○須藤委員長 先生、最初は、例えばこういうことですか、言い過ぎかもしれないけれども、例えば我が国全体の内湾、内海汚濁が普遍化していますよね。それは過剰の負荷で、要するにたまる一方ですよね、過剰の飼料や肥料や、食料が入ってね。ですから、そういうようなことで全体的に海が悪くなっていることは事実なんだけれども、その原因というのは、そういうようなこともあると思うのですが、要するに、内湾、内海が全体的に悪くなっているということは、どこかに全体として記載しておいた方がいい、そういうことでよろしいのですか。

○楠田委員 そのとおりです。瀬戸内海でも同じように分析がかなり進んでいますので……。

○須藤委員長 東京湾もそうですね。

○楠田委員 魚類と底棲生物の減少の時期がちょっとずれているところまで進んでいますので、それを踏まえて、こちらでもそういうのがわかるような感じでお書きいただける。

○須藤委員長 ここだけが特異でないということですね。全体としては特異ではないということですね。

○楠田委員 ですから、ローカルな条件で悪くなっているだけではなさそうだということがわかればいいのです。

○須藤委員長 なるほど、わかりました。
 ありがとうございます。それは後でまた岡田先生あたりに総合的にその範囲はお伺いしますが、とりあえずは、今のようなところも大事なところだと思います。
 それでは、どうぞ、ほかの先生方。
 はい、どうぞ、小松先生。

○小松委員 例えば、解明すべき課題とか、将来に向けてなんですが、例えば水産関係で、いわゆるシログチとか、それからコイチ、それからクルマエビ等が、いわゆる産卵場から仔稚魚が流れで運ばれていって、こういう初期消耗が非常に大きいと、もろに漁獲高に影響してくるというような話があったので、いわゆるこういう物質輸送が、もろにこういう漁業にきいてくる。そうすると、流速だけではなくて潮流のパターン、そういったものの変化、また、そういったものの物質輸送が非常に大事なのではないかと思います。それで将来解明すべき課題のところに、潮流のパターンの変化、また潮流の物質輸送等への影響とか、そういった項目を入れていただきたい。

○須藤委員長 今後の課題として、それはよろしいですよね。
 わかりました。ありがとうございます。
 特にこういう調査とか、あるいはいろいろな解析については、科学的にも技術的にも日進月歩というか、進歩しているのですね。このまとめのところは、どこかで線を引いておかないと、新たな研究、今日も今のお話、先生これからお話しいただけますよね。ですから、どこまでかということで切らなければいけないのですけれども、今のようなところでご発言をいただいのは、それは解明すべき課題ということですが、それをこうだということを言うのには、やっぱりある時間とあれが必要なので、どこかで科学、技術の問題は切っておかないと、それ以後の問題でどんどん出てきますので、この委員会、今後のことについては、後でまたご相談いたしますが、とりあえずそんな形でよろしいですか。はい、わかりました。
 では、福岡先生どうぞ。

○福岡委員 67ページでございます。川の中を流れる土砂の量というのは、本来測っているべきものなのですが、これが測られていないことが問題なんです。これは、今後、有明海・八代海の環境に絡む問題の中で、土砂の量の観測等をちゃんとやっていくというのは後ろに出ています。それでよろしいと思うのですが、67ページの一番下の図の修正をお願いしたい。この委員会報告書のまとめの中で、ほかの検討は皆、実測値に基づいて議論されているのですが、この図だけが計算結果です。

○須藤委員長 計算なんですか。

○福岡委員 はい。データがないのが問題なんですけれども、計算結果が示されています。この図のキャプションに掃流砂量の経年変化と書いてあると、これはあたかもはかったデータのようにみえます。

○須藤委員長 そうですね。

○福岡委員 括弧書きで、これは芦田・道上式による推測値と書いておいていただければ問題ありません。この計算結果で示されているように、事実、流れている土砂の量が減ってきていると思いますから、それはいいのですけれども、計算結果だけで判断するのは問題があります。今後、測っていくことは大切ですが。

○須藤委員長 いく必要がある。

○福岡委員 あるんです。はかっていくことが必要なのですけれども、やはりこれは推測値にすぎなくて、我々大学で学問をやっている者からすれば、芦田・道上式で計算したものが実測値を示すとは考えていません。それはやっぱり実測で検証するということが大事になることでして、これはあくまでも推測値だという括弧書きを入れていただきたい。本文の中には推測値であると書いてありますけれども、入れておいた方が誤解を招きません。

○須藤委員長 図を見ただけでもわかるようにですね。

○福岡委員 はい、それでわかるのがよいと思います。ご検討をお願いしたいと思います。

○須藤委員長 わかりました。
 この問題は、後で事務局と相談するまでもなく、今の段階でそこへ入れるのが妥当だと私も思いますので、そうさせていただきます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 では、岡田先生、先ほど楠田先生からご質問があったのですが、もう少しちょっと有明海、八代海のみならず、ローカルの話だけではなくて、全体的に海の問題もどこかにあるんだというようなことを表現した方がよろしかろうというような話が出たのですが、いかがでございましょうか。

○岡田委員 おっしゃるとおりだと思います。実は、直接関係ないのですが、つい最近広島湾の同じような調査をしましたら、やはり1980年ぐらいから急にずっと漁獲量その他が減ってきているという、もうあっちこっちにある現象が明確になっております。
 そういう意味で、楠田先生のご指摘はどこかに断っておくことは妥当だというふうに思います。

○須藤委員長 そうですよね。

○岡田委員 ありがとうございます。

○須藤委員長 どこで断るかは後で事務局と相談をしますし、そういう意味でも先生の方にもご相談しますが、ちょっとそういう表現がないと、ここだけが特異だということではないということですよね。わかりました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、いよいよ一番重要だというか、我々の提言としては重要だという再生への取り組みということで、第5章は、これは前回文章ではなかったわけです。多分ご意見がたくさんあるかと思いますが、こういうふうに記載をしていただきました。
 それと、ここで余り議論していないことも、さっき言ったように、一般論というのですか、有効だと思えるような対策も記載されているということで、網羅的ではあるのですが、再生への取り組みについて、ご意見を伺いたいと思います。どうぞお願いします。
 どうぞ、楠田先生。

○楠田委員 再生方策のところで、2点お願いがあります。
 第1点目は、いろんな方策がずっとたくさん書いてくださっているのですが、本当の対策と、最後の対策とちょっと上流側にある対策があると思うのです。ちょっとそれを、上流側の方を初めに書いていただいて、やむなくやる対策は後の方にというか、その識別をちゃんとしていただいた方が、問題の本質を理解するのにわかりやすいかと思うのです。

○須藤委員長 例えば、根本療法と対症療法みたいなようなことですね。

○楠田委員 そうです。

○須藤委員長 そういうことですね。基本的なところと、それからやむを得ず、例えば覆砂なんかどっち入るか知りませんけれども、例えば覆砂なんかだったら間に合わないからやろうとか、そういうことではない、後段になるのかもしれませんけれども、それは一つ一つ検討すればいいのですけれども、そういう意味でよろしいのですか。

○楠田委員 結構です。
 そういう意味では、3の貧酸素水塊のところで、モデルの構築とその防止オプションの検討などというのがぽろっと1行の中に並べているのは、大分ウエートが違うと思うのです。

○須藤委員長 なるほど。

○楠田委員 モデルの構築はツールでして、それが再生方策ではありません。ですから、その辺ちょっと区別をしていただいて……。

○須藤委員長 ツールか、本当の対策か、そういう意味ですね。

○楠田委員 対策の中に、上流側の対策と下流側の対策……。

○須藤委員長 対策も両方ありますね。

○楠田委員 その辺を識別していただけたら……。

○須藤委員長 ということは、そうしたら先生、こういう項目の立て方でも順番を変えればいいですか、この並べ方の。やっぱり今のところですと、こういうふうに底層を改善しようとか、沿岸域を保全しようとか、そういうことだと、全部まぜてしまえばそれはあるかもしれないけれども、順番か何かで順位を変えるとか、そういうような書き方でよろしいですか。

○楠田委員 結構です。

○須藤委員長 わかりました。

○楠田委員 それから、次の1点は、モニタリングを継続することというのが81ページに書いてあります。そのモニタリングを継続するということは、水産生物はかなりあるのですけれども、非水産生物は現実にははかられていないのですね。そうすると、モニタリングを継続することと言われますと、やられていない部分が入らない。

○須藤委員長 前にやっていないから。

○楠田委員 ええ、ですから必要な部分の指摘をしていただけたらというふうに思うのです。

○須藤委員長 水産生物以外の、例えば生物のべントスの調査をしようとか、そういうことを言うんですか。

○楠田委員 例えば、底質の長期的変化というのは、どこも調べてないわけです。皆さんが思いついたらはかられますけれども……。

○須藤委員長 はい、それから過去にはデータのないやつもありますよね。

○楠田委員 ですから、行政上で担当でないところで、あいている部分の調査が必要なんだと……。

○須藤委員長 環境ですからね。ですから水産は水産ではかるし、そういうことですき間が出ちゃうわけですね。

○楠田委員 そうなんです。

○須藤委員長 それもあわせてモニタリングを始めて、ですからモニタリングの継続ではなくてモニタリングを始めてそれを継続しなければいけないということになるのですね、そうなると。

○楠田委員 そうです。そうしますと、それを担当するいわゆる関係機関をお願いしないといけないわけです。担当する局がないときに幾ら言ってもだれもできませんから。そうすると、今度は制度の問題まで上がってくるわけです。
 ですから、ここの委員会ではいろんなところで、制度のところまで踏み込むのはどうかというふうに高橋室長がさっきおっしゃられましたけれども、やむを得ず入らざるを得ない部分もあるのではないかというふうに思うのです。
 以上です。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 ただ、今のは環境保全上での話し合いのモニタリングであれば、ただ義務として、環境基準とか、そういうのに入っていないから余りはかられていないのだけれども、底質環境とか生物の環境というのは、はかることが望ましいことはだれでも認めていますよね。ですけど、それが関係機関、例えば福岡県とか、佐賀県とか、担当してはかるということでは、義務ではないけれどもそういうことが可能ですよね、環境の調査ですから。ですから新たにつくらなくても、それはできますよね。

○楠田委員 でも、義務化しないと予算がつきませんよ。

○須藤委員長 そうすると、環境省では、これは直接関係ないわけだけれども、今後の環境基準のあり方やら、項目のあり方やら、いろいろ検討を始めているのですが、それは海についても同じなのですね。そうなってくると、今の生物モニタリングだとか、底質のモニタリングとか、その重要性が、ですから法的にすぐ環境基準項目に入れるとか、そうしないとモニタリングですから義務にはなりませんよね。そういうふうにしていく方が、もし義務にするのだったらそういうことが望ましいですね。
 あるいは、指針として環境省が各機関にそれをお渡しするとか、こういうのをはかってほしいとか。多分そういうことも可能かなとは思いますけれども、とりあえずそういう意味で、すき間があいてはいけないということをまず指摘して、その機関でそれを、強制するというのはなかなか難しいかもしれませんが、まず、事務局からまとめてそれを伺います。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、今までの5章の部分で何か、今の段階でお答えするということが、私が結構答えちゃっているので、まずかったかもしれないけれども、どうぞ、あればお願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 とりあえず、今、最後の楠田先生のご指摘、要するに今までやってないものについても、今後やる必要があるものがあるだろう、そういうものをきちんとやる部分をどうやってやるかということも検討しなければいけないのではないかというご指摘だと思いますので、そこは、ちょっと文言はあれですけれども、これも実際やっていないような項目、例えばそういう非水産資源の生物でありますとか、底質……。

○須藤委員長 底質の関係でね。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それについても、必要なものは測る体制も検討していく必要があるということなども盛り込むことはできないかなと思っております。
 あと、もう一つの楠田先生から、全国的なという話なんですけれども、なかなか悩ましいところなんですけれども、1つの案としては、そこもやはり今後の検討課題として、そういうほかの水域で起こっている同じような問題との関連性とか、そういったものも今後の関連すべき課題なのか、その対策なのか、そういう観点も大事だということで、書くという必要はあるかと思うのですけれども、この第4章にどう書くかは、4章で書くのはなかなかちょっと難しいかなという気もしているのですけれども、とりあえず感想的な話ですけれども……。

○須藤委員長 最初の方に、先ほど楠田先生が前段で、今の質問でなくて、そのときに最初のときにおっしゃっていたことが入れば、それに通じますよね。ですから、4章の具体的なところでは、多分、今高橋室長がおっしゃったとおりでいいと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。
 菊池先生、どうぞ。

○菊池委員 アサリの話になると、先に楠田先生の方が持ち出してくだすったものですから、実は余り言うことはないかなと思って考えておりましたのですけれども、日本のアサリが全国的に減っているというのは、これはもうどうしようもない事実です。ですから、一番たくさんとれていたときに十四、五万トンあったアサリ、その中で熊本がピークのときに5万トン、6万トンとれた年が四、五年あったわけです。一度、千トンぐらいまで落ちまして、これは熊本県の水産研究機関で随分頑張ってくだすったと思うのですけれども、それで1年目でとってしまわない、資源を使いつぶさないというその努力だけで、今熊本県のアサリはここ3年ぐらいずっと上向きになってきております。
 ですから、今朝もプライベートトークの中で、うまくいけば1万トンになることは、そんなに難しいことではないかもしれないという話をしておりました。ですから、これは有明海の緑川干潟でどうこうということだけではなくて、日本全体での、アサリ資源というのはとにかく一番とりやすいところにあるということもありますから、これは各県でのそういう資源コントロールの問題だと思いますけれども、そういうものの、一度非常に痛い目に遭った後にどうやって有明海が立ち直っていくかということの、私、ほかの、例えばタイラギなどの難しさに比べれば、アサリはまだ頑張ればある程度復帰できるのではないかと思っております。
 ただ、日本じゅうのアサリが今4万トン切れるくらいしかとれていない。あとは今でも市場に出回っている10何万トンのうちの過半数は外国からの輸入ですから、そういうものの中で、今度は逆に安い外国のアサリにつぶされる可能性だってあるわけです。
 ですから、資源を大事にするということ、最低2遍か3遍卵が生まれるぐらいの火種を残しておくということは、これは全国的に、もうみんなそういう干潟の食用貝のことをおやりになっている方はわかっていらっしゃることなのですけれども、ただ、どっと入ってくる外国産のものにつぶされないようにするということも、経済からいうと非常に大事なことなのですね。これは干潟の砂をちょっとよくするということとはまた違った面で難しい問題があるのだ、こう思います。
 それから、今の5章のところで干潟の改善というので、硫化物のたまった底質を改善する有機物をどうする。あるいは細かい粒子のところへもっと質のいい、もっと粗い鉱物質の粒子を入れるということになりますと、これはどのくらい投資をしたらそれがうまくいくのかという、これも経済の問題になってくるわけですけれども、現在は、問題点として干潟が汚くなった、泥化になった、場所によっては硫化物の濃度が高くなって、これはもう既に傾向としてはわかっているわけですけれども、それが有明の干潟、あるいは西日本のある瀬戸内海沿岸の干潟、さらには日本全体の干潟でそういう復興をしていくトレンドを強調するために、予算があればできることなのか、予算だけではなくて、その間を人がどうやって食べていくのかということも、外国から入ってくるものの問題もあるということで、これは生物学者の私が申し上げることではないかと思いますけれども、それは1つまだ希望があるけれども、生物学だけではないバリアもあるのだということが1つございます。
 それから、もっと難しいのは確かにタイラギだと思いますし、それがウイルスの問題なのか、着底できるような状態のところで下に沈降したものがちゃんと座れないような泥ばかりになってしまったということなのか、その泥ばかりになったのが、この5年か10年で起きたことなのか、そしてそれは河川からの流入の問題なのか、諫早湾をいじったためにできたものが大きいのか、これは調べていけば原因はある程度詰められると思いますけれども、復興については、これはアサリよりかなりシビアな問題ではないかと思っております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 先生、アサリについての、今の復活できる可能性があるとおっしゃって、ここの先ほどの対策、再生方策がそれなりに進めば、その可能性があると考えてよろしいのですか。

○菊池委員 私はそのように思いますけれども、ただ緑川の干潟、どこ、何々川の河口干潟というところが、どのくらい資本を投入して労働を投入したら改善できるか、それの見通しがきっちりできないうちには、余り無謀なこともできないかと思いますし、その点での研究方策というものは、まだきっちりしたものは決まっていないと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかいかがでございましょうか。よろしいですか。
 そしたら、一応ここまで一通り議論を個別にはさせていただいたということで、まだ少々時間がありますので、こういう議論をこの委員会のメンバーでできるのは、そんなに数もこれから多くございませんし、あとパブリックコメントというか、後で事務局からお話がございますが、この案について国民の皆様のご意向を伺うというような機会もあるわけですが、とりあえずその前に一応こういうまとめができましたので、先生方から、できれば荒牧先生から一言ずつぐらい、全体的にどこでも結構ですし、ご感想でも結構なので、一応25回委員会をやりましたので、一言ご感想なりをおっしゃっていただけますか、順番に荒牧先生からまいりますから、どうぞ。

○荒牧委員 この意見をひとつ言おうと思っていたのですけれども、78ページの再生の目標の1に、希有な生態系、生物多様性及び生物浄化機能の保全、回復というふうに入れていただいたことに非常に感謝をしたい。すなわち、希有な生態系というと、すぐ思い浮かぶのは我々が住んでいる佐賀、有明湾奥部の泥干潟の部分に生息する非常に特異な生態系、いわゆる特異性をあらわしているものをこれから保全していきましょうということを再生の目標に掲げていただいたことを感謝しています。
 そのとき、先ほど楠田先生がおっしゃったように、それをどう今から調べて、そして保全策というか、そういうものを考えていく、これからの作業だと思うのです。それは、私は意見書の中に出しておいたのですけれども、ただ事務局の考え方としては非常に広範な調査課題だから、今度絞り込みを行っていくというふうにお書きになっていますけれども、結局、最終的にはだれが、どのように、持続的にモニタリングをしていくかということに尽きると思うのです。
 そのときに、多分先ほど委員長がおっしゃったように、佐賀県であるとか、佐賀大学であるとか、長崎大学であるとか、そういう地元のいろんな機関が果たすべき役割が非常に重要になってくるだろうと認識していますので、ぜひ、先ほど楠田先生がおっしゃったように、だれが、どのような形でやっていくかということをどこかの時点ではっきりするということをおっしゃっていただければ、非常に我々としては目標が定まって作業がやりやすくなるということになると思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。では伊藤先生、順番にまいりますので、なければ、こんなので結構だということでも結構でございます。どうぞ。

○伊藤委員 私の方は、水産資源ということで取りまとめに参加させていただきましたけれども、特に貝類の問題につきましては、かなり議論をやりまして、その中で問題整理がかなりできたと思います。
 その中で、先ほど菊池先生の方からアサリについては、今後明るいというか、そういう話で、逆にタイラギについては難しいだろうということですが、タイラギについても、やはり有明海を代表する貝ですので、それについても問題整理がかなりできたと思いますから、今後その整理された課題を踏まえて、ぜひ実のある再生方策というものをぜひとっていただきたいということをお願いします。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、続いて大和田先生お願いします。

○大和田委員 私は、かなり八代海が大事だ、そういうことを言ってまいりました。それで42ページと43ページを見ていただくと、まだまだいろんな問題があるような気がします。
 ただ、我々も八代海のグループの委員会でいろいろ議論はしたのですが、なかなかこれ以上のことが出てこなかった。
 ただ、やはり単に赤潮がひどいんだというだけではなくて、上の方にあるような、底生魚類等漁獲量の減少、底生魚類だけではないと思うのです。いろんな魚類が随分減ってきている。ですから、まだまだここに書き足していけるようなものがあるのではないかと、これからも調べていく必要があると。
 それと、最後に81ページの方に、八代海における調査研究の強化、こういうことを書いていただきまして、これからこういうことをどこがやるかということがあります。熊本県とか、我々もやっていくと、そんなことだと思うのですが、そういうことについて、43ページをもっと強化していければというようなことを考えております。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、岡田先生、どうぞ。

○岡田委員 有明海、八代海に必ずしも直接かかわっていない私がある意味で真っ白な観点で問題点、それから対策等をまとめるお手伝いをさせていただいたことは、私にとって非常に勉強になりまして感謝しております。
 ただ、今回のまとめは個々の問題点をピックアップして、それに対する対策を並べたということで、ある意味で終わっているという反省を持っております。
 すなわち、有明海なら有明海、八代海なら八代海をどういう状態にするか、最終的な再生の目標、もしくは姿をもう少し定量的にあらわせたらよかったなと。これは多分最初のころの委員会で議論をされたことだと思いますが、それには至りませんでした。現実問題として、多分難しいだろうというふうに思います。
 ただ、もしこの次の段階になりますと、例えば二枚貝、アサリもとれて、タイラギもとれて、ノリもとれて、この魚もとれて、そういう生態系はかつて有明海にはなかったわけです。それを今一見目指すようなことを書いているので、そこのところは承知の上で、まさに順応的管理というか、見ながら少しずつそれなりの姿に近づけていくということを理解してというか、覚悟して進める必要があるだろうということで反省というか思いが残っております。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 では、菊池先生、先ほどもおっしゃいましたが、何かまだ追加でもございましたら。

○菊池委員 いや。

○須藤委員長 もういいですか。では楠田先生、どうぞ。

○楠田委員 いろいろな調査研究がここでは求められていますけれども、以前もお願いいたしましたけれども、大学の先生方は研究費があるときにその研究を担当してくださいますけれども、研究費が切れるとそれで終わってしまう。そういう意味では、有明海の継続的調査を責任を持って実行する組織ではないわけです、大学は。さらに、研究論文にならないことは余り調べてくださらない。
 そういう意味で、環境の保全について考えますときには、研究論文にならない調査がかなり必要です。そうしますと、これを実施していくための、つまりだれがどこでそれをしてくださるかというところを担保する、そういう体制が必要だというふうに思います。
 ですから、有明海、八代海を通しまして、要するに大学の先生がしてくださらない部分、つまりすき間を埋める調査をやってくださる体制の整備をお願いしたい。

○須藤委員長 わかりました。ありがとうございます。
 では、小松先生、どうぞ。

○小松委員 私自身が潮流というか物理環境を担当していたのですが、生物とか生態系に比べて一番簡単な、こういう物理現象すら明確にできなかったというところに、非常に内心、忸怩たる思いがあります。
 ただ、今日ちょっとお話しする潮流のパターン等、いろいろ見えてきた部分もある。それから、これからいろいろ海洋レーダー等、最新の観測機器が出てきて、有明海などもそういうことがどんどんわかっていくだろうと思います。そうすると、やはり対症療法だけではなくて、有明海が抱えている本当に根本的な問題は何なのかというところをこれからきちんと明確にしていかなければいけないわけですが、この委員会のこの報告書が将来に向けて、定量的なことは今までわかっていることしか書けないのですが、将来に向けて本当に後世から見て、あの委員会はやはり先見の明があったとか、詳しい方向を指し示していたなというような、そういう報告書に是非なってほしいなというふうに念じております。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 今の段階で先生いかがですか、余りそういうふうには思わないですか。

○小松委員 私自身はちょっと忸怩たる思いがあります。

○須藤委員長 そうですか、ありがとうございます。
 それでは、三本菅先生、お願いします。

○三本菅委員 私はご承知のように途中から委員を引き受けさせていただきまして、私が一番注目していたのはノリ養殖の問題で、ノリの養殖管理工程で起こる問題が水産資源に大きな影響を与えているという指摘、それから環境汚染の一つの原因であるという意見がありました。
 私自身は、ノリ養殖は決してそういうものではないと考えておりましたので、ここで議論をしたときにも、主因が何か、そういうことがここではきちっと整理されたように思っております。
 全体的にも妥当な形で整理ができているのではないか、このように思っております。
 それからもう一点は、先ほどもお話がありましたけれども、貝類の資源の減少の問題がこの中でも取り上げられているということは、この委員会の整理は全国的にも注目されておりますので、新たな方向を示すものとして非常によろしいのではないかと思っております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 滝川先生、どうぞお願いします。

○滝川委員 ノリの問題といいますか、始まって以来、環境悪化の要因、原因ですか、という議論が非常に続いてきていて、再生の方策のメニュー出しがなかなか出なかったのは私は非常に、それこそじれったくというのですか思っておりました。ここである程度のメニュー出しというのをやっていただいたという意味では、ありがたい、よく議論していただいているというふうに思います。
 ただし、楠田先生もおっしゃいましたが、ここで書いてあるような、それぞれの項目出しが、要因、原因等に何に結びついているのか、どういう関係にあるのかということがいまいち足らない。そのためにどの程度効果があるのか、長期的なのか、短期的なのか、そういう実施に向けてのこれから先のより具体的な議論をしていただきたい。その中で一般論ではなくて、地域地域に特性があるわけですね。同じ有明海の中でもいろんな環境条件の違いがある。
 そういった中で、具体的にやっていくときに、どこのポイントに何をやるという、そういう議論も深めていかなければいけない。
 それと同時に、全体としてのマスタープランを、この海域をどうしたらいいのだというものをやっぱり詰めていく必要があるというふうに思っていまして、それを進めていくための今後の議論、あるいはそういう体制づくりというものが非常に貴重だというふうに思っていまして、現在の段階では、やっとメニュー出しをやっていただいて、ちょっと少しは進歩したかなというふうに感じております。

○須藤委員長 そうですか。そうすると、そのメニューが、今度それぞれが、どこにこのぐらいの効果があるとか、そういうことをやっぱりきちっと定量化した……。

○滝川委員 そうですね。そのためにそこの地域では何が悪いからこうやりましょうという原因と要因の関係の中でやっぱり詰めていかないと、ただメニュー出しだけではというふうに思います。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 では、原先生、どうぞお願いします。

○原委員 水産の立場からちょっと申し上げておきたいと思います。
 1つは、水産資源、こういうものが非常に注目をされた、こういうことは非常に結構なことかと思いますけれども、有明海の中で水産生物が生活し得ると、こういう条件はやはり生物の多様性を守るということが基本的にあっていいのではないか、こういうふうに私は思っているわけでございます。
 そういうふうになった場合に、この中では、主として産業生物が取り上げられておりまして、希少な生物についてはデータがない、こういうこともありまして、余り取り上げられなかった、こういうところが少し残念に思ったということが1点目でございます。
 それから、2点目でございますけれども、この一、二年タイラギの仕事を若干水産庁からのあれでお手伝いをさせていただいておりますけれども、私がこの中でも少し申し上げておいたように、短期的なもの、中長期的なもの、こういうふうに分けて対策等を書くべきではないか、こういう意見は、残念ながら今後の審議で生かす、こういう一言になってしまいましたけれども、タイラギの漁業者あたりの話を聞いてみますと、要するにいつになったら直るの、漁ができるの、こういうふうに聞かれるわけです。
 調査研究ってそんなに短い期間のスパンでは物は言えないよといいますけれども、なかなか厳しいものがあるわけでございますので、ぜひこれからの検討の中で、今後長期的にやるもの、短期的にやれるもの、そういうもので、なるべく漁業者の将来に光を与えるような形で、永続的に漁業ができるような形を目指してやっていただければ、こういうふうに思ったところでございます。
 それから3点目は、この中で私も書きましたけれども、漁業者自身が海からの利益だけを上げる、こういうことではいけない。やはり漁業者自身が資源の管理等を通し、またこのデータの充実、今回も有用な魚類に関しましてほとんどのデータがない、こういうことから十分な審議ができない、こういうことになっておりますので、この中にも触れられておりますけれども、ぜひそういう漁業者自身が、自分らの海を守って資源を守るのだ、こういうところをひとつ実行させるように関係官庁でご努力をいただきたい、こういうふうに思ったということでございます。
 4つ目は、養殖業そのものが、どちらかといいますと量で金を上げようという考え方ですけれども、これからは、やはりそういう考え方を捨てるべきだと私は思っておるわけです。やはりブランド化を図り、高品質のものをつくって高い値段で売っていく、こういうふうにしていきませんと、負荷はどんどんふえるわけでございますので、そういう精神をこれからも植えつけていきながら、有明海の再生に結びつけていかないといかんのではないか、こういうふうに考えました。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 では、福岡先生、どうぞお願いいたします。

○福岡委員 有明海・八代海にかかわる仕事をしている方々、組織は随分多いと思います。それぞれがそれぞれその段階でベストと思われることを恐らくやってきているわけです。ところが、現状にいろいろ問題が出てきて、どうしたらいいのか、そういうことで総合的な調査、評価をすることになったわけです。
 私は、大学人ですから大学のことに限って言えば、大学人にこれを全体としてこうすべきだということを任せるのは無理であると私は思っています。私の分野においては、私はこう思いますよと言えるけれども、それを総合的にどう考えるのかということについて、もうちょっと本当は議論しておくべきだと思います。すなわち、大学人としては工学ならばこれをこう考えます、生物学ならばこう考えますというのがそれぞれあると思うのです。そこが十分議論されずにまとめてきたかなというのが私の感じていることです。これについては、この評価委員会がもっと機能していくためにどうすべきかということで、私はそういう議論を行う場を持つようにしてほしいということが1点目です。
 2点目は、かかわる行政主体がベストだと思ってやってきたことが、そうでもなかったということに気づいたということです。私は土木工学の河川を勉強している人間ですので、河川の技術者、あるいは河川の組織というものは、それなりに、よかれと思ってやってきたことが、現実の有明海・八代海を見たときに、ある面で負荷を与えてきているというのも事実で、これがわかったときに、これからどうするのかということを真剣に考えなければならないと思っています。
 いろいろな問題が今回提起されて、ここに書かれていることは進めるべきだと思っています。これについて積極的に取り組む姿勢、もっと言えば、どこかだけが取り組んでもだめで、総合的に検討するということで、環境省が中心になってそれをやっているわけですけれども、総合的に考えるということは、ただ言葉だけではなくて、本当にそれぞれがどんなことをやるのか、やれるのかというのは、関係省庁、自治体はわかっていると思うのです。それをやはり、もっと強く出してもらわなければなりません。この委員会の前に関係者によるワーキングがあると聞いていますが、ワーキングの中でどんな議論がされているのですかということをお伺いしたい。
 ここで委員がいろんなことを言いますよね。それを受けて恐らくワーキングでも議論されていると思うのです。そこではどんな議論がされているのでしょうか。余りそれが浮かび上がってこない。実はこの委員会はそこと連携しないと、なかなかこの困難な問題を実のあるものにしていくのは大変です。
 大学人が中心になって、方向はある程度言えても、実質的な効果をどう発揮させるのかということになったときに、これはちょっと心細いと思います。委員会報告を出しているうちはいいですけれども、これを本格的に機能的にしていこうとすると、具体的にやるところがどんな役割を果たし、どのような効果をもたらすのかをつめていくことが必要になりますので、その辺のことを事務局は、こんな議論はこういったところで検討し、考えてやっていますというふうに示していただくと、少しずつそれぞれの役割分担が見えてくると思うのです。我々がこうしてほしいというだけではだめで、それぞれの中で議論された方向を出していくように進めてほしいなというのが私の感じでている点です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。今の問題については、多少後で事務局にコメントがあればしていただきます。それでは、細川先生、どうぞ。

○細川委員 2つほど申し上げたいと思います。
 1つは、潮流・潮汐のワーキンググループの議論の紹介ということで1つ。もう一つは、岡田先生あるいは中田先生・本城先生などと一緒に取りまとめをしていたときの、これは感想かもしれません。
 まず、2つ目の取りまとめに携わっての感想ですが、やっぱりいろいろ自分たちの力不足、あるいはいろんな制約の中での限界というのを感じております。
 ただ、滝川先生がおっしゃっていたように、まとめられるものをまとめたのだけれども、その使い方について、工夫すればこの報告書もかなりの意味があるというふうに思っています。
 滝川先生からは、いろんな対策を網羅したということを網羅的でけしからんということでなくて、「この網羅したことで全体の目標あるいはあるべき姿を考えるきっかけになるではないですか、こんな手、あんな手がありますねというところがわからないままに、こういう海にしたいという議論をするよりはずっといいでしょう」、というようなご指摘をいただきました。
 そういうふうにこの報告書を使っていただければ、あるべき姿がないままの取りまとめはつらいね、というところが少し乗り越えるきっかけになるのではないかと思います。それが1つです。
 もう一つは、潮流・潮汐での皆さんとの議論の中で整理したことがあって、それについては今後も継続して検討すべきであろうという点です。
 潮流・潮汐のワーキングの中では、この海域の潮流というのは、この海域そのものが変動場であって、いつもいつも同じ流れではないというようなこととか、あるいは潮流・潮汐の変化とか、潮流・潮汐のあり方って地域性がありますねというようなことを指摘してきました。だけどその変動場とか地域性についての十分なデータがないから、なかなか地域ごとの、あるいは地域と地域の結びつき、流れからの結びつきが解析できませんねというようなところに行き当たったというところであります。
 変動場であるというようなことに対しては、連続観測をした方がいいでしょう。それから地域性を持っていますねということについて言うと、湾全体の面的な観測とか線的な観測、これはやった方がいいでしょうというようなご提案をしましたが、それをどうやっていくのか、あるいはそれを、例えば数値計算みたいなものを使ってどう解析していくのかというのは、今後の課題として十分な検討を潮流・潮汐のワーキングの中でできないままに終わっています。「ここら辺が攻めどころですね」という整理はしたのだけれども、そこが十分攻められていない。さらに「潮流・潮汐が少し変わったときに、何かの引き金をそれで引いてしまって、関係性が大きくがらがらと変わるきっかけになったのかどうか」、というような判断とか、「潮流・潮汐が少し変わったときに、それがじわじわと10年、20年たまっていって結局大きな変化になっちゃったのか」、というようなところの解析とか、そこら辺がまだ不十分です。
 以上のような事情があって、地域地域の特性の重ね合わせとか、地域のつながりとか、あるいは長年とか、あるいは長年の蓄積とか、あるところの引き金を引いたがために仕組みががらがらと変わった、というようなところの全体的な俯瞰的な議論というのが、水理学物理現象の解析の中で、これから緊急にやっていかなければいけない課題としてあります。先ほど委員長が日進月歩の中でどこかで線を引かなければいけないとおっしゃったような意味で、まとめはまとめとして意味があるところですけれども、やり残したところ、やらなきゃいけないことが見えていることもあって、そこの残したところについても、精力的に今後議論していくべきと思っています。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 事前に細川先生からもご意見を伺っていましたので、この一応報告書ができた後の、今のやり残している部分というか、今急がなければいけない部分はワーキングといいましょうか、そういう形の中で研究していただくというようなことで、事務局にもお願いしてございますので、それは追ってまたご相談の上、連絡させていただきます。
 山本先生、どうぞ。

○山本委員 私は、途中から入ったので、着地点がよくわからなくて、ちょっと戸惑ったことがあるのですが、熊本県の委員をさせていただいていますので、現地の方とお話を伺う機会が何度かありました。非常に印象に残っているのは、やはり目の前の海のことは皆さん非常によく知っているし、すごく気にしているのだけれども、有明とか八代とかという全体を思い浮かべたときに、やっぱりイメージもなかなかできない状況であると。目の前の海で起こっている問題について皆さんやっぱり非常に困ったことだと思っていらっしゃって、しかも緊急の課題であるという緊迫感というのはすごくあるのですけれども、実際この生態系というのは、そういう人たちによって恐らく維持されてきたし、それを再生に持っていくに当たっても彼らが実際には動くことになるわけです。
 こういう形で、どちらかというと全体的な視点からまとめたものをどれだけ現地の方に理解していただけるかという、その理解していただく努力をやっぱりこれからいろんなところでやっていかないといけないのかな、そういうふうに思いました。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ひととおり委員の先生方からご感想まで含めて、あるいは今後のお願いみたいなことも含めてお話をいただきました。
 もうそろそろこの議論のまとめをしたいと思いますが、事務局の方で幾つか質問に近い問題、あるいは今後の課題のようなこともございましたので、例えば関係省、関係県との協議というのですか、先ほど福岡先生がワーキングとおっしゃっていたのですけれども、そんなようなことで、先生方のご意見はみんなここに出ているのですけれども、そういうようなことで差し支えない範囲で、もしそんなことで、多分取り込まれていると思うのですが、そんな議論がもしあったのであるならば、ちょっとご紹介いただければ。それだけでなくてよろしいです。今いっぱい質問などもありましたので、もしあれば高橋室長、どうぞお願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今の各先生からのコメントに何かお答えする用意を余りしていなかったのですけれども、1つは、私どもとしても非常に、まだ取りまとめは来月ですけれども、いずれこの報告書を踏まえて具体的な施策に生かしていくかということは必要だと思いますので、そういう意味で、福岡先生がおっしゃったような、例えば福岡先生はいろいろ、むしろもっと対策の実施面から議論を進めていっていかなければいけないということでありますけれども、正直言って、今回の取りまとめについては、原因・要因の分析にかかわっているということと、基本的にはいろんな調査研究をベースに議論しているということで、必ずしもその実際の事業の実施、施策の実施という観点から十分な議論がされてないというのは、もう否定できない部分だと思います。そこは今後の課題ということで、これはこの調査委員会の一つの限界というのもあると思うのですけれども、直接事業のことに関していないわけですから、それは、ただここはそういうより実施面を見た議論をしていかないといけないと思いますので、それはまた関係省庁ともいろいろ相談しながら、この報告書をどう生かしていくかという中で、当然そういう議論も進めていって、いかに反映していくかということも検討していきたいと思っております。
 あと、そのワーキングという話、それはちょっと現段階で具体的にまだございませんけれども、この5章のまとまった以降、いろいろな課題が挙がっていますので、それをどうこなしていくかということについては、なるべく早く議論を、必要があればワーキング検討も含めてやっていく必要があるのではないかと思っております。

○須藤委員長 結構です。ありがとうございました。
 一つ一つについてお答えをお願いしたつもりではなかったのですが、全体的には今のようなお話でございますので、まだこの報告書の委員会をもう一回議論をさせていただきますので、後でそれは事務局からお願いがございますが、それをいたしますので、まだいろいろご意見をいただくことは可能でごさいます。
 とりあえずは、一通り、私も強制的に先生方からご意見を伺ったような部分もございまして、どうも失礼をいたしました。ありがとうございました。
 先ほど、幾つかこの文章はここに加えてほしいとか、あるいは字句の修正とか、このままでは多分ないわけでございますので、その辺の文章表現等につきましては、一応私が委員長をお預かりしていますので、その辺をお預かりさせていただきたいということで、もちろん必要に応じて事務局、それから岡田先生、細川先生、中田先生、本城先生ですが、起草委員の先生方にお伺いをしながら、最終的にというか、この報告書の案はまとめさせていただきたいわけでございます。
 その後、これは意見聴取を、これは後で報告があるかもしれませんが、パブリックコメントをしていただくということになりますので、またそれについてもいろいろ、その対応というか、パブリックコメントの答えについても委員の先生方のお力をおかりするというか、いろいろご議論いただくということになろうかと思いますが、とりあえず、この報告書については私にお預けをいただきたいということでお願いいたします。
 それでは、もう一つ議題がございます。
 そのほかでございますが、小松委員から最近の研究成果について、情報提供をしていただくということをお約束いたしております。
 では、小松先生、どうぞお願いいたします。

○小松委員 貴重な時間を15分ほどいただきました。
 今回の目的は、最近、2週間前に土木学会の海岸講演会、それから1カ月半ほど前に、日本流体力学会の全国大会がございまして、いろんな新たな知見が得られてきております。その辺を少しご紹介させていただくのと、それから、この報告書にも触れていますけれども、長崎大学の中田先生、山口先生あたりのご研究で、いわゆるクルマエビとか、シログチなどの水産資源が産卵場と、それから仔稚魚が輸送されて、そして生育する場が違う。そういうふうに輸送されていく。生育する場に輸送されていったときに、そこがいい環境であるかどうかというのが決定的に水産資源の資源量に影響を与えるというようなご報告があります。
 そういう意味で、今まで潮流の流速がどれぐらい減少したかということはよく議論されていたのですが、流れのパターンも非常に重要なのではないかなということで、今日ちょっとその辺をご報告させていただきます。
 先ほど委員長の方から、どこかで線を引かなきゃいけないということでしたので、この報告書に盛り込むのはなかなか無理かなと思うのですが、将来の課題等の中に入れていただければありがたいと思います。
 前回から、干拓等で入退潮量が減少するということで、それによって潮流が全体的に減少するというお話をさせていただいたのですが、その結果、諫早湾の例えば干拓、これはどこの干拓でも似たようなことが言えるのですが、例えば諫早湾の干拓で特に全体的な減少があるのですけれども、この影響というのは島原半島沿いに大きく出て、流速の減少が起こりますよという話は以前させていただきました。その後、流況フローパターンで、どうもこの辺の流況が結構変わってきているのではないか。そして、それが先ほどお話ししました水産資源等にやはり影響を与えているのではないかというふうに考えております。
 こういう内湾における流速発生のメカニズムなんですが、以前からお話ししているように、いわゆる内湾における潮流流速というのは、入退潮量で決まるわけなのですが、入退潮量というのは、こういう湾の面積掛ける潮位差、これが入退潮量です。結局下げ潮の最干潮の水位から満潮の水位までのこの間のボリュームが、ここから入らなければいけないというようなことで潮流の流速が決まっているわけなんです。
 この入退潮量というのは、ですから面積で決まるわけで、例えばこういうふうに幅が狭くなると、入退潮量はもろに減少するということになります。ただ、潮流の流速は単位幅当たりの入退潮量を水深で割ったもので決まりますので、こういうふうに入退潮量が減少しても、奥行きが変わらなければ個々の潮流の流速は変わらないということになります。
 結局、こういうところの流速というのは、考えてる断面から奥の長さによって決まるということになるわけです。ですから、例えばこういうふうに奥が狭くなると、そこの流速は小さくなるということになります。
 ですから、奥行きの長さによって潮流の流速が決まってくる、簡単にいえばそういうことが言えます。
 例えば、これが諫早湾の図なんですが、この有明海の奥の部分をこの点線から、それから諫早湾の入り口をこの点線というふうにすると、この奥までの長さというのは、大体ほぼ同じぐらいというふうに見てとれます。
 もちろん、幅が全然違いますので、入退潮量そのものは全然違うのですが、さっき言ったように、潮流の流速というのは奥行きで決まると考えると、例えば、この辺の流速というのは、この奥行きの長さで決まるから、そうすると有明海奥部への流速とほぼ同じであれば、もともとはこういう入退潮をしていますので、諫早湾のこの奥行きの長さが有明海奥部の奥行き長さとほぼ同じぐらいということで、この辺の潮流の流速はほとんど同じだったということで、かなりこういう独立したような、こういう分岐・合流流れが以前はあったのじゃないかということが推測できます。
 そういう観点から、この入り口でADCP超音波流速計を使って観測を行ってみたのです。これは大潮のとき、これは中潮のときで、こういう大潮のときの下げ潮最盛期、それから上げ潮最盛期、こちらが中潮のときの上げ潮最盛期、それから下げ潮最盛期、こういう時間帯に潮流の観測を行ったということです。
 これが、水深平均の潮流分布図、これが大潮、これが中潮で、上げ潮、下げ潮、これを見ますと、大潮のときはかなり諫早湾口の全幅にわたって、下げ潮のときは外に出てくる。上げ潮のときも、大体そういう結果です。ところが、中潮のときは、必ずしもそれがはっきりしなくて、下げ潮のときは出ていくときなのですが、こういうふうに北の方は逆に入ってきて、それからこう出ていく、こういう流れですね。これはもう締め切りの後ですので、大潮時も中潮時も地形は全く同じです。地形が同じで干満差が違うだけなんです。そうすると、このパターンは同じになるはずなんですね。
 潮流は、もちろん干満差が小さくなると弱くなりますけれども、幾何学的な形が同じであれば、このパターンは大体同じであろうということが推測できるのですが、こういうふうに大潮と中潮で違ってくる、これは一体どういうことかなということをいろいろ考えてみたわけです。そうすると、一番の違いは何なのかというと、諫早湾内で締め切られたときには、もう干潟が堤防前面にはないわけです。ですから諫早湾の場合、こういう締め切りがあると、この前面にすべて入退潮が入る。ところが、有明海の奥の方はこういうふうに干潟が存在していて、その奥の方にこういう堤防がある、こういうことです。ですから、小潮のときは入退潮量のこの部分だけが出入りするのですが、大潮になるとこれだけが、全体で出入りするということになります。ところが、こういうふうに有明海の奥部の方に干潟があると、小潮のときはこの部分の海水が出入りするのですが、大潮になっても、この部分は干潟なものですから、この干潟が占める部分は関係ありません。ですから,この部分の海水だけが出入りする。
 そうすると、どういうことが言えるかというと、小潮のときに比べて大潮になると、諫早湾に出入りする入退潮量の方が、有明海奥部に出入りする入退潮量に比べてその比が相対的に強くなくなるということが言えるわけです。
 小潮のときは、この分だけが両方に入るのです。大潮になると両方とも入退潮量はふえるのですが、有明海奥部の方がふえ方がどうしても小さいということが言えます。
 そうすると、結局この干潟があるかないかで、いろいろ違ってくるということが考えられるわけで、干満差が小さいときには、結局こう諫早湾内に入ってくるのもあるのですが、結局ここは簡単にくぼみ的な感じでこう出ていく、そういう流れのパターンになっています。ところが干満差が大きい大潮の場合は、諫早湾のウエートが少し大きくなるわけですから、比較的こういう分岐・合流流れに近い特別な流れになっている。というのは、結局、今の現状は、干満差の違いによってこういうふうに流れのパターンが違ってくる、非常に微妙なバランスの上に成り立っているというのが今の現状なんです。
 諫早堤防がないときは、諫早湾に出入りする入退潮量が約1.5倍ふえますので、ここの流速は約1.5倍早くなります。ということで、潮受け堤防を建設する前は、諫早湾への流れはこういう独立した流れになっていたということが考えられるわけです。こういう独立した流れだったのが、堤防の締め切りによって、こういう干満差によって微妙に変わってくるような、非常に微妙なバランスの上に成り立っているような流れになってきています。
 もうちょっとまとめますと、現状がこういうことで、諫早堤防があることによって、ここにこういうちょっと独立したような流れが大潮時に含まれている。堤防がない場合は、こちら諫早湾に潮流が1.5倍入ってまいりますので、こういう分岐・合流流れに近かった訳で、もし仮にこれがもっと諫早湾口近くのこの辺で締め切れば、いわゆるちょっとへっこみがあるようなところの流れという感じて、多分こういうキャビティフロー的な流れになるということが推測できます。
 それで、以前のデータというのは非常に乏しいのですが、それでもいろいろ当たってみますと、いろいろなことがわかってきました。
 これは、1977年のときなんですが、多数の船を出して、同時に観測をした結果です。1977年というのは、もちろん締め切り堤はありません。これを見ますと、これが下げ潮時なんですが、特にこの辺を見ますと、明確にこういう流れと、こういう流れになってて、ですから、いわゆる独立したこういう流れと、独立したこういう流れがあるということで、これは上げ潮ですが、やはりこれもこういう流れと、こういう流れです。ですから、締め切り堤の締め切り以前はこういう分岐・合流の流れをしていたということです。
 それから、これはつい最近の長崎大学の海上レーダーを使ったデータです。これは、もちろん締め切り堤がある場合ですが、これは大潮のときのものです。この辺しか今書かれていないのですが、これを見ると、やはりこういう分岐・合流に近い流れになっているということです。ですから大潮のときはそれに近いということが言えると思います。
 小潮のときは、「やはりこういうふうにデータをとっていろいろ調べたんだけれども、こういう現象は見られなかった」というふうに講演をされていました。その辺をもうちょっと明確に見るために、これがADCP流速計による観測結果です。この辺が小潮のとき、これが大潮のときです。
 諫早湾の湾口で船を走らせて、断面の流速分布をここにあらわしている。例えばこの図の見方は、この水表面近くでは流速の分布がこういうふうになっていて、この部分が主に中に入ってきているということになります。断面のこの部分です。これが小潮です。
 大潮のときは、これがずっとこの辺まで入ってくるというようなことで、この辺は確かにちょっと微妙ですが、小潮と大潮でこういうふうに諫早湾に入る流れのパターンが変わるということです。
 ですから、この締め切り堤がある、こういう現在の状況では小潮と大潮でこの辺の流れが非常に微妙に変わるような状況になっています。それが以前の潮受け堤がない場合は、こういう独立した分岐・合流流れになっています。
 それで、潮流は必ずしも減少しただけでなくて、ふえたところもあるとよく言われるのですが、実は湾口北側のこの辺が、今観測すると、以前と比べて若干ふえている。それもこの観測でよく説明できています。以前だったらこういう流れだったのが、今こういう流れに出ているのですが、以前に比べて湾口北側のこの辺の流速というのは若干ふえている。ただ全体としては、やはり減少しているということにつながっています。
 それで、最初にお示しした図なんですが、全体的に流速は減少しているのだけれども、特に流速の減少というのは、こういうことで、それから諫早湾口付近で流速のパターンが、実は、以前と比べて変わってきているということ、これが最新の研究の成果です。
 どうもありがとうございました。

○須藤委員長 どうも小松先生、最新の研究データをご説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ご質問をいただきたいと思います。
 どうぞ、滝川先生、お願いします。

○滝川委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、潮流に関しましてはワーキンググループがございまして、潮流ワーキンググループの中で小松先生、細川先生を含めていろいろ議論していただいた。今日の小松先生のお話、私初めてお伺いしたのですけれども、そういった意味では、小松先生のご見解といいますか、ワーキンググループの見解ではないという形で、もちろんそういう意味だろうと思いますが、そういうような形でご質問をさせていただきたいと思いますが、我々が有明海の変動を流動特性あるいは潮流特性を調べるのに、有明海だけでなかなか議論できないというふうなことで、非常に広範囲の解析といいますか、場合によっては八代海も含めて考えないと、有明海の中の流動というのがなかなか答えがすぐ変わってしまうというふうな、そういう観点から、先生の今のご説明というのは、諫早の湾口付近についてのご説明をなさっているのですが、全体との絡み、有明海全体の流動をどういうふうにとらえられているのかということをちょっとお尋ねしたい。それが第1点です。
 それともう一つは、諫早の入退潮量、そこの近海の入退潮量を議論される上で、地形の変化とか、水深の変化、あるいは平面形上の変化、そういうものはかなりあると思うのですが、今のモデル的な、簡単な図形のご説明の中では、そういう水深の変化、地形の変化、あるいは海底水道の変化、そういったものが流動に影響を与えないのかというのが非常に気になるところなのですが、そこら辺はいかがでございましょうか。

○須藤委員長 では、2点どうぞお願いします。

○小松委員 まず、確かに潮流ワーキンググループでいろいろ議論しました。そのころには、まだこの辺の知見はわかっておりませんでした。最初にお話ししたように、つい最近の学会等で発表されたものを今日お話ししたわけで、最近は、潮流ワーキンググループを開いておりませんので、以前の潮流ワーキンググループのときには、この辺は議論しておりません。
 ですから、委員長が先ほどおっしゃったように、どこかで線をということで、これを載せるのは無理かなと思いますが、将来の課題として、こういう潮流のパターンというのが非常に大事なんだということを考えています。
 それから、2点目なんですが、全体的な話というのは、確かに効いてくるだろうと思います。ただ、ここでは1つのイベントして、例えば諫早湾の締め切りが流れのパターンにどういう影響を与えたかということを議論をしているわけで、例えば八代海との兼ね合いがどうなんだという今の滝川先生のお話なのですが、確かにこういうところはつながっているから、八代海とのインターラクションというのはもちろんあるのですが、今はイベント的にここが締め切られた場合、そうでない場合というのを議論しているので、この辺は同じ条件というふうに考えています。
 あと、幾何学的な地形、それから水深等が変わっているのではないかということなんですが、例えばこの、ここの断面、それからここの断面の水深が大きく変わっていれば確かに変わってきます。ただ入退潮量が、いわゆる大潮なりの最干潮から上の話で決まってきますから、それから下はあまり関係ないです。
 潮流の早さを考えるときに、その断面の水深で入退潮量を割って求めるものですから、その断面の水深は確かに効いてきますが、それから奥の水深というのはそれほどきいてきません。
 例えば、この図でこういうふうに満潮と干潮があって、この断面で考えたときの、いわゆる入退潮というのはこの部分です。ですから、ここの潮流というのはこの入退潮をこの水深で割ったのであって、ですから、この辺が例えば、仮に少し上がったりいろいろ変化があったとしても、干潮位よりも下であれば、ほとんど影響はない。入退潮量には影響がないということになりますので、あまり本質的な話ではない。

○滝川委員 いや、そういう意味でなくて、私が申し上げたいのは、有明海の流動を調べるのに、例えば諫早の締め切りの影響を調べるにしても、有明海の外側までとってシミュレーションしないと答えが違うのですね。要するに八代海を入れたときの答えと、外海まで入れた、あるいは湾口で締め切ったという形の答えと違ってくるので、極端に言いますと、水深のデータがわずかでも違えば非常に違ってくる。要するにいろんなものがその中に入り込んできて、その結果として流動、あるいは潮位変化というのが出てくるのですが、そういったものが局所的に論じられないのではないか。先生は非常に典型的といいますか、モデリックに考えられていますが、そういったものの寄せ集めで流動というのが多分出てきているので、その単純なモデルというと変なのですが、そういう形で説明できるのかなというのが、私自身がいま一つ理解できないところなんです。

○小松委員 逆にですね、今先生が言われたように、シミュレーションでやって、八代海を考えるか考えないかで結果が違ってくるとなると、逆に私はそれがそのシミュレーションの限界かなという感じがしています。

○滝川委員 そうですね。

○小松委員 今の私の話は、シミュレーションは一切関係ありません。

○滝川委員 そうですよね。

○小松委員 すべてモデルと、それから実測結果です。ですから、先生のご心配はわからないですね。

○滝川委員 いや、そういう意味でなく、シミュレーションという手法は、我々が1つ持っている流体運動、あるいは連続方程式をきちっと解いているわけです。要するに、平面的な形状の違い、あるいは水深的な形状な違いを含めて、いい方法だということでやっているわけです。それの限界があるのは確かなのですが、どこまで議論できるか。そういった議論からしますと、やはり全体的なものをとらえないと、局所的なものもできない。そういった意味で、非常に細かくメッシュを切っていかないと、細かい議論もできないというふうになっているわけです。
 それが、そういう先生が形状、形、あるいは湾口付近の中で議論されるというのは、全体の中でそこが、要するに周辺のものも諫早湾の締め切りの影響でもって変化する。その変化の応答として全体系が出てくる。そういうふうに私は理解している。そういったシミュレーションの限界があるとおっしゃれば、それまでなんでしょうが、そういう先生がおっしゃられているような湾口への入り込みというのは、締め切った方が中の方に入り込まないという、僕の計算結果からするとそうなっているものですから、そこのところがなぜなのかな、以前に比べて。
 だから、それが今の先生のご説明で単純に説明できるのかなというのが、私自身が、今、現時点では納得……。

○小松委員 ちょっとシミュレーションとの関連が、私、今何とも言えないというのは、これはすべて実測ですので、例えば八代海の影響などというのは、すべて既に入っているわけです。

○滝川委員 いや、そこにかかれているパターンそのものは、それは実測ですか。

○小松委員 これは実測に基づいたモデルです。

○滝川委員 モデルでしょうね。だから実測結果として、そういうものがあらわれていますかということを……。

○小松委員 それをさっきからずっと検証してきたつもりなんですけれどもね。

○滝川委員 どれを。

○小松委員 いろんなデータで……。

○滝川委員 そこのところで、ADCPでつくられた湾口のところのデータがありますが、竹崎付近のところ、湾のところでいろいろ、断面のところで計測されていますが、そういったところというのは、多分竹崎付近、上の方になりますか、そこのところというのは、水深が非常に浅いんですよね、もともと。だからもともと出入り量が少なくて、どちらかというと、いつも北向きといいますか、上向きの形の傾向があるという場所ですよね。地域の特性というか、そこの場の特性みたいなものも当然入ってきているのだろうというふうに僕自身は思うのですが、そこはいかがなんですか。

○小松委員 いや、もちろんそうですよ。ここは大きく変化していますし、水深もいろいろ変わっていますから、だからこの辺は非常に微妙な流れになっているとさっき話しました。
 私が今言っているのは、このフローパターンとこのフローパターンが明らかに違うということを言っているわけで、その違いは何かといったら、そっちは大潮で、こっちは中潮、そういう条件が違っている。
 普通、幾何学的にはほとんど同じであれば、潮位差が変わっていても、ですから、例えばこの流速が小さくなってもパターンは変わらないはずだという、ところがこれが変わる理由は何かというと、さっきお話ししたように、こういうふうに、この湾の奥は干潟がある、ここは干潟がないということが、いわゆる入退潮量に対して、干満差によって入退潮の、こちらの入退潮量とこちらの入退潮量の割合が変わっているということから、干満差の違いによってこういうフローパターンに違いが出てきているということを話しているわけです。
 だから、今これは干満差が大きいときはこれに近いわけで、小さいときは、先ほどのあれに近いからという、こういうことです。
 ところが、以前は諫早湾に入る入退潮が1.5倍だったから、諫早湾に出入りする流れをさらに強化していたのでこういう流れになっていたということが考えられるはずです。

○滝川委員 入退潮量の違いというのは、それそのものも含めて海域全体で僕自身は変化しているというふうに思います。
 そういうことと、先生が今おっしゃっている入退潮量の違いというのは、大潮、小潮で今議論されているわけですか。

○須藤委員長 すみません。滝川先生、かなり専門的な議論になってきているので、先ほど細川先生もおっしゃっていられたのですが、この問題はこれでちょっと、ここでずっと続けるのもいかがかと思うので、両方おっしゃっていることも私ももっともなような気がするのですが、しかし中途で議論を打ち切るのもよろしくはないのですけれども、まずは小松先生どうもありがとうございました。
 それで、特に今のパターンの問題は、先ほど私も申し上げましたように、どんどん新しい成果が出ますから、この前までのところでとめていますので、これについて、今後どういうふうにこれから研究を展開するとか、あるいは考え方を展開するかということについては、細川先生の方のワーキングで、もう少し今のような議論を続けていただいて、ここでやっちゃうと、ちょっと時間の制約もありますので、お願いをしたいということにとどめさせていただきたいのですが、よろしゅうございますか。細川先生、滝川先生もよろしいですか。申しわけございません。
 ということで、とりあえず小松先生に貴重な最近の研究成果をお聞かせいただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、後は、これで一応議論はおしまいにしたいのですが、あと事務局の方から何かございましたらどうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今後の予定等につきまして、若干ご説明をさせていただきます。 まず、本日は大変熱心なご議論ありがとうございました。
 次回の委員会でございますけれども、あらかじめご連絡をしてしていますが、12月20日を予定しております。午前中ということで、今日と同じように10時から12時ということで、12月20日を予定をさせていただきました。
 今後の段取りでございますけれども、本日ご議論いただきました委員会報告案につきましては、幾つかご指摘をいただきましたので、委員長とご相談の上、修正をさせていただきまして、一応来週初めからという目途で考えておりますけれども、来週初めから2週間の予定で一般からのご意見を募るということにしております。その結果も踏まえて最終的な報告案を作成いたしまして、次回の委員会でご審議をいただきまして、委員会報告を取りまとめていただくというふうに考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。以上でございます。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。ぜひ、この次の委員会にも万障お繰り合わせの上ご出席をお願いしたいと思います。12月20日、10時から12時ということでございます。
 これをもちまして、本日の議題はすべて終了させていただきました。これにて、第25回有明海・八代海総合調査評価委員会を閉会とさせていただきます。議事進行ちょうどぴったりでございますので、ご協力いただきましたことをお礼を申し上げて、これで終了いたします。どうもお疲れさまでございました。

午後0時28分 閉会

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