第23回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成18年9月27日(水) 10:00~15:00

2.場所

法曹会館 高砂の間(2階)

3.出席者

委員長:
須藤隆一委員長
委員:
相生啓子委員、荒牧軍治委員、大和田紘一委員、岡田光正委員、楠田哲也委員、 小松利光委員、三本菅善昭委員、滝川清委員、中田英昭委員、原武史委員、 細川恭史委員、本城凡夫委員、森下郁子委員、山田真知子委員、山本智子委員
臨時委員:
菊池泰二委員
事務局:
環境省水・大気環境局水環境担当審議官、水・大気環境局水環境課長、 水環境課閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

午前10時00分 開会

○高橋環境省閉鎖性海域対策室室長 皆様おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第23回有明海・八代海総合調査評価委員会を開会いたします。
 本日は、伊藤委員、山口委員、清野委員、福岡委員、4名の方がご欠席という連絡をいただいておりまして、17名の委員の方に出席いただくことになっておりますので、定足数に達しております。山本委員と森下委員は1時間ほど遅れてこられるというご連絡をいただいております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思いますけれども、議事次第の裏に名簿がございます。資料1でございます。それから、資料2-2-1といたしまして、赤潮発生状況と水質の推移というパワーポイントの冊子がございます。これについてはスライドでご説明いたしますので、この打ち出しは資料の部数の関係で委員の方のみに配付させていただいております。傍聴者の方はスライドの方をごらんいただきたいと思います。それから資料2-2-2といたしまして、赤潮の発生件数の増加・大規模化に関する知見の整理、検討、これは本編と資料編と分かれてございます。それから資料2-2-3といたしまして、八代海に関する検討、それから資料番号が入ってございませんが、これも委員の先生方のみでございますが、傍聴者の方はスライドをごらんいただきたいと思いますが、滝川先生からの資料で再生への取り組みというパワーポイントの打ち出したものがございます。それから同じく楠田先生からの資料で有明海生物生息環境の俯瞰型再生と実証試験というカラーの資料がございます。いずれもパワーポイントでご説明いたしますので、資料は先生方のみに配付してございます。最後に資料4といたしまして、委員会報告目次案というものがございます。資料は以上であります。
 それでは、今後の進行につきましては、須藤先生の方によろしくお願いします。

○須藤委員長 皆さん、おはようございます。ただいまから第23回有明海・八代海総合調査評価委員会を開かせていただきます。委員の先生方には大変ご多用の中を早朝からお集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、ただいまご紹介いただきました議題にございますように、その他まで含めますと4題用意されてありまして、結構長い時間を要することが予想されましたので、午後3時までに議事を終了させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくご協力をいただきたいと思います。また、本日も大変多くの皆さんに傍聴いただきましたことをお礼を申し上げたいと思います。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。議事の順序でございますが、最初の議題は問題点と原因・要因の関連についてでございます。この件については、岡田委員及び細川委員に全般的な作業をお願いいたすとともに、水産、赤潮、八代海についてはそれぞれワーキンググループにおいて検討をお願いしてまいりました。前回の委員会までに岡田委員から作業の報告をいただいておりますが、今回は3つのワーキンググループの検討結果についてご報告をお願いしたいと存じます。
 まず、水産グループの検討結果につきまして、中田委員からご説明をお願いいたします。
 中田先生、どうぞ。

○中田委員 長崎大学水産学部の中田です。おはようございます。
 水産資源グループでは8月28日に一度グループで集まりまして、特に問題点と原因・要因等の関連の見直し、要因の絞り込みについて少し検討を行いました。その検討内容についてご報告をするとともに、その後の作業の進捗状況を私の方で取りまとめている範囲のことをお話をしたいと思います。ただ、グループとしてこういう検討の中身、結果をオーソライズするところまで作業がまだ進んでおりません関係で、皆さんにきょう資料として配付しておりません。その点、お詫び申し上げます。ただ、内容はこれからお話しすること、これからお話しするところがそのたたき台になるところである、そういうふうに考えていただければ結構です。
 水産資源グループでは、最初に問題になりましたのは評価の基準のところでございます。評価のBというのはデータとか情報が非常に少ないということで、よくわからないというような評価になっている、それが当然ながら非常に多いという問題があるということで、前回の委員会ではそのAとBの間にB+というのを設けるということで、できるだけBの数を減らすようにできないかというふうなご提案が岡田先生の方からございました。それで実は、もう一つ、BとCの間のギャップというのも非常に大きいわけでございます。それで、この水産グループの意見としてはB-というのをもう一つ設けて、5段階で評価をするというような形が取れないだろうかということになりました。このB-を加えるという点については全体の委員会の方のご意見もお伺いしなければいけないところですが、一応今のところ水産グループとしては、このB-も加えた5段階で判断をしていくというような方向で作業を進めております。
 それから、評価に際して、当然既存の文献にできれば専門家のこれまでの知識、経験を踏まえた判断というようなものも含めて、できるだけ客観的な根拠に基づくということが必要ですけれども、そういうものを交えて判定をしていく、そういうふうにせざるを得ないだろうということになりました。
 主な担当として、アサリについては、菊池委員、タイラギについては伊藤委員、それからクルマエビ等を含む魚類資源については私と山口委員で主に担当するというふうに取り決めました。
 具体的な評価の対象をどういうふうに絞り込むかということを次に議論いたしまして、二枚貝につきましては、情報がある程度得られているアサリとタイラギをそれぞれ取り上げる。そのほかサルボウなんかの問題もあるわけですが、それは必要に応じて検討するということにいたしました。
 それから、魚類については、有明海に生息する魚類の大半を占めているということ、それから環境変化の影響を受けやすく、最近年の漁獲量の減少が著しいということから、底生性の魚類、クルマエビ等も含めてでありますが、これをまず取り上げるということにいたしました。
 それから、最近増加傾向があり、二枚貝の食害生物であるエイ類についても検討を加えるということで、これも場合によってはアカエイとナルトビエイに分ける必要が出てくるかもしれないということでございます。
 対象については以上であります。あと干潟とか河口、感潮域の特産魚の問題も有明海にとっても非常に大事な問題ですが、この点については情報が限られるものが多いので、可能な範囲で検討を進めるということにいたしました。
 それから、あと有明海の生態、魚類を含む生態系の特徴として水産非対象種、漁獲対象になっていないような種類というのがかなり多くの部分を占めるということがあるということはご報告しているところでありますが、これについても情報がまた非常に限られているということで、今後の検討課題に含めるというふうな形で対応をする必要があるだろうということでございます。水産統計の整備を含めた資源管理の方策などもこれからの課題であるということで、要因の絞り込みを踏まえて今後重点化すべき課題や再生方策について、各委員から提示されたものをグループとしてまとめていくというような方針にいたしました。
 底泥の泥化というのは、実は資源の減少と非常に密接に関連する重要な要因の一つであるということが出てきております。その原因として流れの変化の影響というものが当然考えられるわけで、その点の検討をぜひ潮流グループにお願いをすることにいたしました。
 それから、水産資源に直接つながる要因のフローをそれぞれ個別に評価するという方向で今作業を進めているわけですが、ご存じのとおり、環境要因というのはいろいろ複合的な形で資源の変化につながってきておりますので、そこら辺をそれぞれ一つずつ切り分けていくというのは非常に大変な作業でございまして、そういう意味で、水産グループとしては、資源の減少につながる要因連関の全体像というのをまずイメージをつくって、それを基礎にしてそれぞれの要因のつながりを評価するというような手順を踏むことにいたしました。
 あと、発育段階によって、要因・原因は異なるのは当然のことですが、生物を扱うときには非常に重要な問題で注意が必要である。それから、今の段階の評価というのはどうもいわば急性毒を見ていくというところに偏っているのではないかということで、ちょっと慢性毒というのがどういうものをイメージするか、なかなか難しいんですが、もう少しそういう点もこれから検討していくことが必要なのではないかというような意見も出たわけです。
 それで、以上のことを踏まえて、個々の評価項目について各委員で検討していただき、それをグループとしてとりまとめて、できればこの委員会でご報告をしようということにいたしました。
 タイラギについては、伊藤委員の方からある程度の検討結果を私の方にいただいております。それから、魚類等については一応私なりの試案のようなものをつくっている段階でございまして、そこら辺についてこれから少しご報告をさせていただきたいと思います。ただ、最初にも申し上げましたように、まだグループとしてオーソライズするところまで来ていないという点はお含み置きいただきたいと思います。
 それから、アサリにつきましては菊池委員の方で少し検討を進めていただいておりますので、私の報告の後で、アサリに関する部分は菊池委員の方から現状、現在の進捗状況などを報告していただければと思っております。
 最初に、タイラギについてでございます。タイラギ資源の減少の問題、実は2つの側面が少し混同された形でまとめられつつあるというようなところが問題として出てきております。1つは、タイラギ資源が長期的に減少しているということ、それに関する要因の問題なんですが、もう1つは、湾奥の北東部漁場で大量斃死が最近起こるようになってきている、そういう現象の問題、この2つは、きちんと区別をした形で整理をしていく必要があるということが1つのポイントでございます。
 タイラギ資源の長期変動につきましては、いろいろな要因がかかわっておりますけれども、主要な大きな部分として、底質環境の悪化によって、生息場、特に着底期以降の生育場が縮小してきているということが一番大きな原因というふうに考えられるのではないかということでございます。底質環境の悪化の中身は、流速の減少等により、それから河川等からの土砂供給の減少によって底泥の泥化が進んで有機物がふえる。貧酸素化とかあるいは硫化物が増加するというふうに、底質環境が悪化している。それが着底稚貝の生存率を低下させる、それと、これはクエスチョンがまだついているんですけれども、流れの変化によって浮遊幼生の輸送状況が変化して直接影響するというところも加わっている可能性もありますけれども、そういうことによって着底期以降の資源が減少してくるので、それが生育場の縮小という形であらわれてきている、そういうふうに考えられるというのが今の問題の結論でございます。
 それから、最近2000年以降、北東部漁場で起きている大量斃死に関しましては、まだ現時点では発生メカニズムというのが明らかになっておりませんけれども、これまでの調査研究の中で、斃死発生前に活力が低下している。原因はまだはっきりしておりませんけれども、そういうことがわかってきました。それから斃死個体の鰓や腎臓にウイルス感染が確認されております。貧酸素水塊とか化学物質の影響については、この大量斃死の問題に関しては不明、あるいは主な要因ではないというふうに考えられます。あと、ナルトビエイの食害の影響というのは大きいということが確認をされております。まだメカニズムとしてまとめるところまでは進んでいないわけですけれども、以上のことを踏まえて何らかの判断をしてはどうかということでございます。
 それで、これは私と伊藤委員の試案ということになりますが、タイラギの減少については大きく2つの問題に分けて整理をしていくということで、長期的減少については底質の泥化、底質環境の悪化による着底期以降の生息場の縮小というのが主因ではないかということで、そういう意味で今提案されておりますフロー図の中の要因の絞り込みということをやるとすれば底質の泥化、それから硫化物の増加、これは貧酸素水塊の発生と連動する問題だろうと思いますが、そういうものによって漁場の底質環境が悪化するというところがB+という評価になるであろうということです。
 それから、潮流の変化がまだよくわからないところが多いわけですが、ただ潮流の変化によって底質の泥化が進むというところはB+の評価になるのではないか。化学物質、エイによる食害、ウイルス、有害プランクトン等の長期的な現象に関してはB-評価になるのではないかということですね。こういうことで、おおよそのフロー図というものを考えることができるのではないかということでございます。それから、最近の大量斃死をめぐる問題につきましては、ウイルスの問題、それからエイによる食害というあたりはB+という評価が可能であろうということですが、活力低下の原因とか大量斃死のメカニズムはまだ解明されていないという段階でございます。
 1つだけ、漁獲圧のところで新しい材料を伊藤委員の方から出していただきましたので、お見せしたいと思いますが、これはタイラギの長期的な減少に関する問題で、その要因の一つとして魚獲圧というものが入っていたわけですが、タイラギの漁獲量は貝柱ということですね。佐賀県の大浦漁協のデータですが、漁獲量というのは、この棒グラフですね、非常に大きく変動している。最近は少ないのがおわかりいただけると思います。ですから、恐らくかつての有明海では資源が復元するだけの生産力があったのが、80年代に入ってから生産力が低下していることが主な原因になっているということが、こういう図を見てもおわかりいただけるのではないかと。漁獲圧というのは、実は資源量に応じて自主規制をかけたというようなことでございまして、大きな資源減少の要因ではないかというふうに判断できるだろうということでございます。
 次に、魚類等の資源の減少との関連の問題でございますが、これは前回の委員会で私が示したものと同じ考え方でございまして、1つは、仔稚魚の成育場の消滅・縮小の問題がある。もう一つは、特に有明海の資源の大半を占める底生性の魚類については底層の環境、あるいは仔稚魚の輸送経路の環境が悪化してきているということがもう一つの大きな問題であるということで、この環境の悪化の中身としては流速が減少してきて、底泥が細粒化して有機物がふえる、貧酸素域が拡大する。先ほどのタイラギの場合と非常に共通するような底層の環境悪化の問題が一つの大きな要因になっているのであろうということでございまして、この貧酸素域の拡大のところは赤潮の発生頻度が増加しているため、発生域が拡大しているところと相互に密接に関連しているというふうに考えられます。
 そういう全体的な内容をイメージしながら、原因・要因の関連というのをどういうふうに整理をしていくのかということでございますが、これは私自身の試案という段階ですけれども、貧酸素水塊の発生、底質の泥化、これは恐らくベントスの減少というところを通してつながってくるのではないかと思いますが、こうした要因が底層環境の悪化につながっていくという意味でB+、それから潮流の減少、これは仔稚魚の輸送に関連させますと流れの向きの変化も含むということになりますがB+、それから潮汐の減少によって干潟が減少してくるというのも仔稚魚の成育場の面積を減らすという意味でB+、それから干潟、藻場の減少、それから感潮域の減少、これは直接的に仔稚魚の成育場の消滅につながるという意味でB+というふうに評価してはどうかという考え方でございます。
 あとは、泥質の有機物、硫化物の増加というのは、直接というよりは貧酸素水塊の発生を介して影響が及んでいる。それから、赤潮の発生につきましても、底質の有機物の増加あるいは貧酸素水塊の発生を介してその影響が波及するというようなことでございますので、そういう意味でB-ということでいいのではないかということです。ただ、貧酸素水塊の発生というのは赤潮の発生・拡大に対して恐らくB+という評価になるのではないかと考えております。
 あと、漁獲圧、ノリの生産活動、水温上昇については、ここの問題に関してはB-、あとは外来種、人為的なコントロール、海底地形の変化、化学物質についてはまだ情報がほとんどないということで、どうしてもBとして残ることになりそうだということでございます。これはあくまでも私自身のたたき台ということでお聞きいただきたいと思います。
 それから、魚類の種類組成が変化するということをもう一つ問題として取り上げておりますが、その具体的な内容は最近エイ類が増加してきているという問題でございます。このエイ類の増加の要因としては、主に生態系の変化で底生魚類が減少して、そこの隙間を埋めるような形でエイ類がふえてきていると考える。それから、エイ類を食べるサメ類などが減少したことに原因があるということ。それから、長期的な水温の上昇によって生物相が変化していく一環としてエイ類の増加ということが出てきているというふうな考え方が示されてきております。
 恐らくこういうところが影響要因としては重要なのではないかと考えられます。
 そこで、これもまだよくわからないところが多いんですが、その変化の実態とかメカニズムについてまだ不明の点が多いのですが、底生生態系の種間関係の変化と、水温上昇の影響という可能性が高いというふうに考えますと、その底生魚類等の漁獲量の減少自体がB+と、それから水温の上昇という外部要因がB+、そのほかの要因については不明またはB-というふうなことになろうかと思います。
 そういう水産資源に対する影響の全体像を少しまとめてみたらどういうふうになるだろうかということで、今B+がついたあたりを集めてきて、連関図の形で示してみたのがこの図でございます。ただ、まだかなり不完全といいますか、完成された形ではございませんので、そこら辺最初にお断りしておかなければいけないんですが、内容的には底層の環境の悪化につながる部分、「赤」で示しているところが非常に大きなところを占めているということがおわかりいただけると思います。
 それから、それに加えて、この流れの変化によって、仔稚魚、幼生の輸送状況が変化するというあたりが直接に資源の問題に結びつく。それから干潟の減少、干潮域の縮小という形で仔稚魚の成育する場所が減っていくという問題がもう一つ青で示したところになりまして、大きくはこの3つの流れで、資源に対する資源の減少へのつながりは表現できていくのではないかというふうに考えています。
 以上が原因・要因の関連について私どものグループでいろいろ検討したところ、それを踏まえて作業を進めていることの報告ということになります。
 あと、これはきょうの検討の内容ではないのかもしれませんが、この水産資源に関する部分というのは実はこれから重点化すべき調査・研究課題を非常にたくさん含んでいる部分でございます。それで、これまでに水産資源グループの中でいろいろ提起されてきた重点化すべき調査・研究課題について少し紹介をしておきたいと思います。
 二枚貝、タイラギについて、これはタイラギについてだけなんですが、一つは底質泥化ということが大きな要因になってきているということで、特に底層の流速、流向に関する調査というのがいろいろな意味で非常に重要であることが一つ出ています。
 それから、もう一つ、最近年の大量斃死の発生機構の解明ということが、現時点では非常に重要性を増していることで、国、県、大学が連携した調査・研究体制を構築することが急務であるということです。
 それから、魚類の資源生態につきましては、シログチをはじめとする主要な魚類の再生産機構の解明というのが極めて重要な課題になっています。ほとんどまだここら辺についてはしっかりした情報がないということですので、これは重要な課題の一つになっております。資源の減少要因を解明するときにこれが必要不可欠であるということです。特に、流れによる仔稚魚の産卵場から諫早湾を含む湾奥部への輸送状況、あるいは湾奥部に集積された仔稚魚のその後の生き残り状況の調査というのが内容としては非常に重要だろうと考えています。
 それから、底生魚が非常に多くを占めるということですので、底生魚類の生態あるいは群集構造の解明、食物網がどういうふうになっているか、水産の非対象種も含めた群集構造を含んだあたりの調査というのはこれから非常に重要であるというふうに考えます。
 それからあと、増加傾向を示しているエイ類の生態解明、これも今少しずつ進みつつありますが、まだまだ不十分です。
 あとは、重要課題とどういうふうに区別できるかわからないんですが、再生方策にむしろ関連する事項としては、この仔稚魚の成育場の感潮域とか干潟の保全回復という問題、それから諫早湾閉め切り等による環境や生態系の変化に関するモニタリングというのが今後も必要であろうということです。
 それから、漁業資源に関しては特にその資源動向をより正確に把握する、適正管理の体制をつくっていくということで、私どものグループの中では、漁業者主体の資源管理に移行させていくようなことはできないだろうかというふうな話も出ております。統計の整備・充実、漁業者も含めた学習会等の推進などがグループの中で出てきているところでございます。
 将来的には、漁獲対象以外の種も含めた生態系を基礎とする管理に転換させていくというのが再生方策として非常に重要な課題になってくるのではないかと考えております。
 私の方からの報告は以上なんですが、1つだけ前回私が報告した中で、透明度と赤潮発生日数の関係のところで、岡田先生の方からだったと思うんですが、透明度の上昇率とその発生日数でこういう直線回帰をとっているというその方法について、少しご意見がありまして、透明度そのものをとったりするとどうなるのかというようなお話でした。私も実はその点については作業中というふうにお答えしたんですが、一応結果が出てきましたので、今日持ってまいりました。透明度上昇率を横軸にとって、縦軸に赤潮の発生日数をとりますと、これは湾奥部の冬、10月から3月のデータについてということですが、この湾奥部について直線的な関係が出てくる。これは前回お示ししたものですけれども、横軸に透明度を取りますと、予想されたことですけれども、真ん中で高くなって、さらに透明度が高くなるとその発生日数が急激に下がるというような形の関係がありそうだということがわかりました。
 つまりこれは何をあらわしているかといいますと、湾奥部の冬についていうと、植物プランクトンの光合成が光制御の影響を非常に強く受けている。特に透明度の平均値が1メートルから2メートルのところで透明度上昇の影響が一番強くなっていて、そういうところで赤潮が頻発する状況になっている、そういうことだろうということでございます。これは前回の報告の補足ということです。
 アサリに関しては菊池委員の方からあとで補足をしていただきます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうも要領よくご説明いただきありがとうございました。
 そうしたら、続きまして、菊池先生、アサリについてご報告お願いします。

○菊池委員 ここに有明海、それから八代海の図があって、それにどんな川がどこに流れ込んでいるかというのを……。
 それで、アサリということに焦点を置きますと、一時は日本一を誇った有明海ですけど、その8割は熊本県が産地です。特に真ん中よりちょっと下に右側から突き出ている宇土半島というのがございますけれども、その付け根のところに緑川、その上に白川、真ん中が菊池川がございまして、それぞれの川は一級河川ですけれども、筑後川に比べると3分の1に満たない、一級河川としては大分レベルの落ちるところです。それぞれの河川から流れ込んできた川砂がきれいな砂の干潟をつくって、そこが非常にいい漁場になっておりました。過去の最大の収穫のときには1975年から80年にかけて、77年がピークですけれども、熊本県だけでアサリが6万数千トン獲れておりました。現在、日本じゅうのアサリ全部集めて3万6,000トンしかありませんから、物すごく獲れたわけです。
 それからあと80年代になって急激に漁獲が落ちました。なぜかというのが諫早問題などよりもずっと早くに、今から20年ぐらい前から大きな打撃を受けていたわけです。一つの原因として、アサリ漁師たちがみんな言うのは、昔は砂だったけれども今はドベになったと、いわば泥干潟になったというわけです。一番収獲の大きかった緑川干潟について見ますと、1965年ぐらいから上流に緑川ダム建設の話が出まして、そして70年にでき上がっております。砂利の採取は既にダムのできる前から盛んに行われております。それからあとダムができてからは、その上流に流れ込んだ砂も、砂、砂利ですね、それもダムでかなり抑えられてしまいました。それから、ダムより下の方の中流域でも盛んに砂利や砂が取られたわけです。
 きょうは細かい数字はちょっと置くことにしまして、そのうちに数字の入ったものを報告書として書こうと思いますけれども、ダム建設の最初の5年間というのが毎年18万五、六千トン、これは体積ですから立方メートルですね、そのぐらい取られています。それから70年代から80年代までの前半までの15年間は大体毎年12万6,000立方メートル、12万8,000立方メートルぐらいずつ取られている。80年代後半からがくっとその採砂量は工事のために、あるいはよそで建築工事に使うために持っていかれる砂利や砂の量というのはがくっと減ります。そして2000年になりますと、一番最初に盛んに取られていたいる量に対して1年間の砂利、砂採取量は3.2%ぐらいになっております。そんなに取らなくなったから、海に砂が来るかというとそうではありませんで、大体砂利、砂の採取が取れなくなったというのが、ダムができてそれより上流の砂がそこでせき止められてしまったから来なくなったんです。
 では、干潟の砂は昔は砂だったけれども、今は泥になったといわれるが、それは本当なのかという疑問も出されています。この前小委員会のときにも大分古い調査では200何十地点の調査をして砂と泥の分布を見ているけれども、このごろの近年の調査では少数地点しかやっていないじゃないかというので、それで比較はできるのかというお話がありましたけれども、これはまだアサリの最盛期になる前の1968年の熊本県のレポートです。干潟はノリばかりじゃなくてアサリやハマグリもノリ研というのが主に扱っておりまして、熊本水試と熊本県のノリ研の合同調査レポートで丸2年がかりで行いました。これで見ますと、現在の緑川干潟の大部分は、中央粒径値は0.125とか0.15ミリというような、そのくらいの泥があった干潟ですけれども、1968年のころのを見ますと、大体粒度が80%ぐらいが0.25と0.5ミリの間になります。ですから、当時は砂だったんです。だけど、それが泥になったというのは、漁師さんたちが言っていることを比較してみると、やはり確かに今は泥っぽくなっていると思います。そして、それについて言うのは、今熊本県で沿岸再生というので私どもも、時々県の環境政策課の取り組みで、漁民たちとの懇談会というものをやりますけれども、この緑川干潟についてみますと、上から砂が流れてこなくなっただけではなくて上で砂利や粗い砂だけを取るときにふるいにかける。そのときに細かいものが全部転落して海に流れてくる。そうなってもとからある砂の上に泥が乗ってしまったんだと。そうなってからはずっとアサリは収穫量が前よりも1けたないし2けた減っているということなんです。
 ですから、これは多分うそではないんだと思います。そしてこれは熊本水試が実験をしたのに、泥の底でも一応はアサリは生きているんです。ただし問題があって、下に落ち着いている泥のときにはそこから水管を出せば呼吸ができる。一番いけないのは、その泥がかぶった干潟の上に風波が立ったり、あるいは上げ潮のときに非常に細かいのですぐ転落するわけですけれども、水の層が干潟の上にできるとそこで窒息して貝が死ぬという、これは1960何年のデータですけれども、一月の間に何遍そういう混濁層が目立つことがあって、そのときに貝が死んだかというような経過がございます。
 ですから、そうするとやっぱり川の砂や砂利のとり方と、砂や砂利をその用途として建築材料などに使う場合でしたら、泥が混じっていたら困るわけですから、それを洗うというのも十分理解はできますけれども、それが何十キロか下の方の川口でべたべたの泥になって上を覆ってくる。それがすぐにきくのではなくて、ダム自身は70年にできたんですけれども、75年、77年はたくさんアサリが獲れていたものが、80年代になって、すうっとしぼんで下がってきた。
 それから、小さい泥がなぜ悪いかということについてはこのごろ幼生の定着ということが次第にわかってきましたから、大きいアサリはもちろん砂の中で1個でいるわけですけれども、降りてきて着底して殻ができ始めたばかりの0.何ミリから0.5ミリまでの間は岩につく稚貝なんかと同じように足糸を出して、それで足がかりになってとまるわけです。ですから、中砂あるいは粗砂といっていますけれども、粗い砂、あるいは貝殻、そういうもののあるところへうまく着底すれば生きるんです。最近、熊本県立大のグループがアサリの着底の問題を大分やっていますけれども、それを聞きますと、一定の表面積の砂あるいは泥ですね、それを取って、中から実際顕微鏡の下で見ると、2ミリ以下のそれ以上になれないで死んでしまった貝がたくさん出てくるんです。だからこれは多分大量に粗い砂を入れてやれば助かるんだろうと。現在、有明の漁民たちは競争で大潮低潮線より深いところから砂を取ってきて、いわゆる覆砂をやる。覆砂をやると確実にアサリが生き延びるんです。覆砂をやった表面を耕したり、これはもう既に数年前から始まっております。じゃ、それでめでたしなのかというと、この前、緑川の漁民との話のときに、おかげさまでことしと去年はアサリがたくさん獲れて、夫婦2人で600万もアサリで稼ぎましたと。こんなことは10年来なかったと喜び讃えていたら、すぐ後から、ウロコもんの漁師に言わせてもらえればだなというのが出てきまして、岸辺の方はべったりと泥が沈んで濁っているので、網漁師は有明海の真ん中へ行くわけです。真ん中へ行けば長崎県の漁師と漁師が競合する海域がありますし、そのため熊本県の流し網や刺網の漁業は、本当に、そういうところが本当にこのごろ魚が獲れなくなってしまった。あれはおめえたちがどんどん覆砂のために砂を取ってしまうからだと俺たちは思っている。ですから、そうなってきますと、アサリにいいことをしたつもりが、同じ漁協の中の別な種類の漁業をやっている人たちに跳ね返りが来ているということが出ている。
 今、資料をちょっといろいろつくっておりますけれども、余り数字のない話をしてもと思いますので、概況だけ申し上げます。菊池川河口の干潟というのは、もとはとてもいい砂干潟です。以前は大量にアサリが獲れた漁場でした。ただ、ここは昭和40年代ぐらいに大規模干拓が行われ、今は横島干拓と呼ばれ、イチゴの大規模産地になり、農業は全般的に非常に潤っているんです。ただそのためにいい干潟をかなり乾陸化してしまった。さらに北寄りの荒尾干潟も昔はアサリの大産地だったが、現在は激減している。有明海のアサリ資源も各漁場単位で自己完結していないという発想も考慮に値するかも知れません。

○須藤委員長 どうも菊池先生、ありがとうございました。
 水産グループの先生方には大変な作業をお願いいたしまして、恐縮をいたしておりますが、本日は中田先生と菊池先生からご報告をいただきましたが、まだすべての作業が終わったわけではございません。これからいろいろ推敲していただけるというふうに伺っておりますが、それではどうぞ今のお二人の先生のご発表に対しまして、ご意見なりコメントなりありましたら、どうぞお願いいたします。
 じゃ小松先生、どうぞ。

○小松委員 中田先生にちょっとお聞きしたいんですが、タイラギの大量斃死に対して、あれは餌不足が問題なんじゃないかという説があって、結局潮流が弱くなって、底泥を巻き上げなくなったから餌がいかないじゃないかという説があるんですが、その辺、ウイルス等にかかる前、大量斃死するときの前にタイラギがやせ衰えているというふうな、そういう症状は見られないのかどうか、その点もしよかったら教えてください。

○中田委員 タイラギについては伊藤委員の方で主に検討を進めていただいております。それで、先ほどもお話ししましたように、大量斃死を起こしている個体は、一つは活力が低下してきていて、それに加えてウイルス感染しているのが多いということは確認されているのはわかってきているわけですね。恐らくその活力が低下した原因というあたりに今ご指摘いただいた餌の問題なんかも関係している可能性はあるんだろうと思いますが、なぜ活力が落ちているのかというところがまだはっきりした原因がわからないという状況であると、伊藤委員の方からそういう報告を受けております。一つはそこら辺に餌が関係している可能性はあると思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの先生いかがでございますか。では、本城先生どうぞ。

○本城委員 同じタイラギで、中田先生がタイラギの大量斃死は貧酸素水塊が主因ではないということで色を変えて書いてありましたけれども、貧酸素水塊の酸素のこのデータは、海底上1メートルでの酸素ですよね。例えば西海区水研の方が潜って調べると水面ぎりぎりのところで急に酸素が下がるという現象をとらえられていますので、色を変えて表現するのは早計で、まだ酸素不足の可能性があると思います。それから大量斃死が立ち枯れということであれば、底泥の間隙水の酸素の減少が考えられます。酸素不足で泥の上へとはい上がってきて、水中に半分程出てしまったけれども、底泥上の水もまた貧酸素という状況で死ぬ可能性もあります。だから、あの色を変えて主因ではないとしてしまうことに対して私は異論を持っております。

○須藤委員長 どうぞ。

○中田委員 その辺は伊藤委員の方にそういう意見があったということをお伝えしまして、もう一度検討したいと思います。伊藤委員のご趣旨としては、タイラギの減少ということが一まとめになって議論されているというところは大きく2つ、少し長期的な現象の問題と最近の大量斃死の問題と分けて整理をしておいた方がいいだろうということでございまして、最近の大量斃死については実はまだはっきりしたメカニズムがわかっていない状況の中で、あえて判断したというような状況だろうと思いますので、今のご意見をお伝えしまして、もう一度検討させていただきたいと思います。

○本城委員 よろしくお願いします。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの先生、いかがでしょうか。それでは菊池先生。

○菊池委員 自然的なというか、陸の中での人間の影響の話をさっき申しましたけれども、アサリがたくさん獲れていたときには獲らなかった小さいものまで漁民が獲るようになった。これは漁民自分で首を絞めているようなものだと。もとから水産試験場とかいろいろなところでそういう話は出ていたんですけれども、ようやくこのごろ漁協によっては非常に厳しく自主的にそれを管理するようになりました。さっきちょっと申しました川口漁協というところは、それをやったら次の年に子どもができる。これは2年ぐらい前に私が広島での私個人で漁民の方たちに話をして、有明海で丸1年たったものを1年に3回ずつで獲ってしまうと、たった一遍しか産卵しないで人が獲って食べてしまう。それはいわばみんなミドルティーンかハイティーンのうちに殺しているようなもので、一遍お産をしたらばめでたいというような状態になっているので、これをもう少し何とかならないかという話をしましたら、瀬戸内海の中でも、90%じゃない、うちは95%以上まで幼貝を獲っていますというところがありました。今、全国的にアサリ漁業の採貝漁の漁師たちの中で自主規制をやっております。熊本県の水産センターではそれを統一したいんですけれども、大きい貝がたっぷりいるところは割と簡単に漁民が同意するんだけれども、もともと立派な資源を持っていないところでは、ついつい小さいのまで獲ってしまう。これは生活権がかかっているので、今は上からは決められない自主規制なので、それぞれによって基準がちょっと違っております。1両年のうちにそれは県内全体を統一したいという話でした。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。今の問題も再生方策の一つとして今後考える重要な問題だと思います。
 どうぞ中田先生。

○中田委員 岡田先生にお伺いしたいと思うんですが、B-という評価を加える件についてはいかがでしょうか。

○須藤委員長 5段階になるわけですけれども。どうぞ。

○岡田委員 B-の定義をもう一度教えていただけませんでしょうか。

○須藤委員長 不明ではなくて。

○中田委員 Bというのは情報が少なくてわからない不明であるということで、Cというのは関係がない、影響がないという評価なんですよね。ところが、わからないなりにも、影響がないということができないものがあって、その間のギャップがすごく大きいんですよね。ですから、関係はあるんだけども、B+よりはB-の方が、B+に比べると弱いという、そういう定義になるかと思います。

○岡田委員 ちょっとそこのところが、B+ということになると、その線は一応関係があるので、因果関係を考えていく上で重点的に考慮しましょうということになりますね。
 B-はどういうことになるのかよくわからないんです。最後の結論を導く段階でB-だとわからないよりもむしろ関係ない方に近いんじゃないかと、そういうことですか。だとしたら、それはもう削除していくというか。

○中田委員 それはちょっと違うんです。

○岡田委員 そこを聞きたかったんです。

○中田委員 そこら辺がなかなか苦しいところなんですけれども、要因をある程度絞り込んでいくという作業が必要であれば、B+とB-という色分けをせざるを得ないかなということですね。私の感じではやっぱり土台に使ったフロー図のようなものは最後まで残すべきだと思うんです。そこからどういう割り切り方で絞り込んだものをつくったかという道筋が見えればいいんだと思うんですね。だから、B-にしたから、あとはもう切り取って全く関係がないというような、それでいいんだというふうには考えないんですが、絞り込みの程度によるんだろうと思います。関係ない方に近いのかと言われると、そこまではちょっと言い切れないように思います。

○須藤委員長 岡田先生の定義に従えば、やはりB+の一つになるんだね。

○岡田委員 みたいな感じで。

○須藤委員長 私はそういうふうに聞こえましたね。

○中田委員 先生の今おっしゃったことはB-といっても実際にはB+に近いような。

○須藤委員長 だから、もし分けるとね、B+なんだよね。

○中田委員 ちょっとB-という表現がいいのかどうかわからないんですが、大きくB+の中を2つに分けるということが近いと思います。

○岡田委員 わかりました。

○中田委員 B++とB+と。

○須藤委員長 私はそういう認識で。

○岡田委員 それほどデータとして自信がないけれども、わからないというほどではないだろうと。

○中田委員 絞り込むとすれば色分けで。

○岡田委員 わかりました。了解いたしました。ありがとうございます。

○須藤委員長 ですから、表現は-だと関係ない方に近くなっちゃうから、何か表現の問題ですので、先生の今おっしゃったのは1+に2+みたいな意味だと思いますのでね、水産グループとしてそういうふうな提案をしておいてくだされば、あとは岡田先生の方にその意思が伝わればそれでよろしいんじゃないでしょうか。

○岡田委員 私の方というか委員会としてね。

○須藤委員長 委員会としてですね。程度の差があるということを先生が意思表示をされているので、ただの+だけではないのでということであるならば、弱い+だと、こういうことが理解していただければ、今のまんまの表現でもいいんですけれども、岡田先生がそのことをちゃんと理解しておいていただかないといけないので、そこだけでよろしいですか。

○岡田委員 はい。

○須藤委員長 では、どうも水産グループの先生方、大変な作業でありがとうございました。本日は中田先生にご報告いただきました。
 まだまだご質問はあろうかと思いますが、本日も時間が限られておりますので、さらにご意見がございましたら、どうぞデータとか文献とかいろんな情報を事務局に提出をしていただきまして、なるべく可及的速やかにまとめの中に入れられるようにしていきたいと思います。
 続きまして、赤潮グループの検討結果につきまして、本城委員からご報告をお願いしたいと思います。
 では、本城先生にお願いをいたしますが、本城先生からご説明をいただいた後は山田先生からもご説明をいただき、それから事務局からもご説明いただきまして、さらに詳しくまた本城先生からご説明いただくということで、少し幾つかに区切ってお話を伺うということにいたします。
 では、本城先生、最初にお願いいたします。

○本城委員 前置きの話しをします。

○須藤委員長 そうですか。

○本城委員 私たち赤潮グループは数人で解析を続けましたが、有明海、八代海では赤潮が増加傾向にあるということ、これは真実かどうかということをしっかりと見極めないといけないということ等も含めて検討をしてまいりました。
 最初に赤潮発生の動向と水質の関係について山田先生を中心に解析をしましたので、山田先生からご報告をいただきます。水温と赤潮の増加要因に関しましては事務局に随分尽力をいただいて解析を進めましたので、事務局からお話をしていただこうと思っております。
 まずは山田先生から。私は八代海の話を発表させていただきます。

○須藤委員長 山田先生、お願いいたします。

○山田委員 それでは、赤潮の発生情況について、報告させていただきます。
 今回の目的としましては、一般的には有明海や八代海では赤潮発生が近年増加したと言われておりますが、実際にそれは本当なのか?本当ならどのような種類がどのように赤潮を形成しているかを検討しました。まず、有明海です。
 なお、今回は、各県ごとの赤潮の発生状況の推移と、それとあわせて水質の推移についても見ています。が、これらの両者の関係につきましては、次回からの検討ということになります。
 用いました資料は、赤潮については、水産庁九州漁業調整事務所の「九州海域の赤潮」です。水質については、「浅海定線調査」です。赤潮の検討方法は、公調委の報告書、平成16年12月に報告されました「有明海における干拓事業漁業被害 原因裁定申請事件 専門委員報告書」、これに準じて行っております。これが対象海域です。調査方法ですが、このスライドに書いていますけれど、結果のところであわせてご報告いたします。
 各県ごとの赤潮の発生状況の推移です。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県の4県について、公調委の報告にありましたように、検討対象期間を3つの期間に区切って検討しております。1984年から'89年の6年間、1990年から'96年の7年間、それから'97年から2003年の7年間で、それらを横軸に取っております。
 検討した項目は、年間の赤潮発生件数、年間の赤潮発生期間、それから1件当たりの日数です。なお、このような検討するに当たりまして、「そもそも赤潮発生件数は、漁業者の注意度(通報)に左右されるので、参考にしたデータは信頼度が低いのではないか。漁業者の注意度が深まればこの赤潮発生件数も当然増加するのではないか。」ということが指摘されますが、水産試験場の場長様方のお話し合いの結果によりますと、ノリ問題が顕在化してきたのは1984年ごろで、この頃から赤潮発生通報が増えたということでした。一方、今回のこの検討は1984年からですので、検討期間に関して問題ないということにさせていただいております。
 次に、結果です。年間赤潮発生件数は、この佐賀県と福岡県という有明海の北側では、余り増加がございません。逆に、有明海の南部の方では増加しています。1件当たりの発生日数、継続期間はどの県も増加していて、とくに発生件数が一定だった有明海の北側で1件当たりの日数が増加していたため、4県とも年間の発生期間は最近増加している、長期化しているということがわかりました。
 それでは、一体どのような種類のプランクトンが増加しているのかということになります。ここで植物プランクトンを珪藻、渦鞭毛藻、ラフィド藻、そして繊毛虫に分類して、有明海全域で見てみますと、もともと有明海は珪藻類による赤潮が多かったんですが、最近、珪藻類はさらにふえています。そのほかの分類群の発生期間、1件当たりの日数も増加する傾向が見られています。
 県別にみると、福岡県では珪藻による赤潮が顕在化しています。佐賀県も同様に珪藻赤潮が優勢です。一方、長崎県が他の県と少し傾向が違っており、渦鞭毛藻赤潮そしてラフィド藻赤潮が優勢に出現する傾向が見られました。熊本県は珪藻赤潮が優勢でした。
 次に、赤潮生物毎に見てみます。珪藻の代表としてSkeletonemaは、佐賀県では横ばいですが、年間の発生期間はこのように非常にふえています。また、熊本での赤潮発生件数が非常にふえており、発生期間もふえているということがわかりました。発生時期について見ると、長崎を除く3県で冬季に1件あたりの赤潮発生日数がふえており、したがって冬季に赤潮発生期間が長期化しています。
 このような冬季の赤潮発生期間の長期化傾向は、珪藻類のChaetocerosEucampiaのも認められており、これが最近の有明海の赤潮の特徴としてあげられるのではないかと思います。
 次に渦鞭毛藻の代表として、Cochlodinium polykrikoidesは、赤潮発生がみられたのは長崎県と熊本県の両県に限られており、しかもその発生は1999年からと比較的最近からでした。また本種の赤潮発生時期は、このように主に8月となっていたのが特徴的です。
 渦鞭毛藻のGymnodinium mikimotoiです。これも赤潮の発生する県が限られておりまして、長崎、熊本、佐賀の3県で赤潮発生が認められ、福岡県では未確認になっております。発生時期も8月に多くみられましたが、本種による赤潮は3回の発生にとどまっており、2001年以降は見られておりません。
 次に、ラフィド藻の代表としてChattonella antiquaです。これは各県ともふえている中で、佐賀県のみ赤潮発生件数が減少していました。また、全県とも高水温期に発生頻度が高いという傾向が見られております。
 ラフィド藻のHeterosigma akashiwoは、4県ともに冬には赤潮発生はみられませんが、最近、春から夏にわたって赤潮発生件数や発生期間に増加の傾向が認められています。秋には熊本県でのみ、赤潮発生がみられました。
 次に、水質です。水質は、調査期間をプランクトンのように3つの期間に区切った平均値ではなく、5カ年の移動平均で値を示しております。月は、プランクトン同様、春、夏、秋、冬の四季でくくっております。まず、透明度を見ていただきますと、冬の透明度の上昇の割合が高いことがわります。なお今回は、水質は4県すべてについて報告するのではなく、熊本県の結果のみをご報告させていただいております。
 次は、水温(表層)の推移です。冬についてはこのようにカーブを描きながらも、検討開始の年を起点としてこれと検討最終年を比べれば高くなっており、上昇傾向といえます。他の季節も、若干の上昇傾向だということがわかりました。塩分は、夏は上昇傾向、他の季節は最近減少傾向でした。CODは、どの季節にも上昇傾向が見られています。
 硝酸、亜硝酸、アンモニア態窒素の合計、無機三態窒素は、冬を除いた3つの季節とも、検討開始年と比べると、減少が見られております。逆に、冬の方は90年代から増加し、最近やや減少ということがわかりました。
 以上をまとめますと、赤潮は長崎、熊本では年間発生件数が、佐賀、福岡では1件当たりの赤潮発生日数が増加して、結果的には4県とも年間の赤潮の発生期間が長期化しているということがわかりました。
 それから、赤潮構成種別にみると、長崎県以外の3県では珪藻赤潮が優勢で、特に冬季には1件当たりの発生日数が増加し、赤潮が長期化しているということがわかりました。また、Cochlodiniumのような有毒渦鞭毛藻類赤潮が、最近、長崎、熊本の両県で発生するようになったということがわかりました。Chattonellaなどのラフィド藻は、赤潮発生していた高水温期を中心に佐賀県では発生件数が減少、他の3県では増加したという状況です。
 次に八代海です。検討目的は、有明海と同じです。八代海の海域区分は、2005年に大和田先生が報告された文献に基づき、八代海奥部をA海域、それから少し南のところをB海域、さらに南部海域をC海域とし、八代海の西部海域をD海域としています。
 この図は、八代海全体での赤潮発生状況の推移です。検討・解析方法は、有明海と同様です。赤潮発生件数を見てみますと、特に最近、どこの海域でも増加していて、特にD海域での増加が著しいということがわかりました。1件当たりの発生日数も'90年ぐらいから伸び始め、発生期間は'97年から急激に増加しています。
 次に、分類群別の赤潮発生状況です。これは有明海と同様、珪藻、渦鞭毛藻、ラフィド藻、繊毛虫に区分しております。八代海では、有明海とは異なっており、このように渦鞭毛藻類の発生が他の藻類よりも顕著であるということが特徴的です。
 それから、先ほど言いそびれましたが、この縦軸の赤潮発生件数と発生期間は、八代海の場合は有明海の場合のほぼ3分の2ということで、縦軸を見ていただいたらいいと思います。
 各海域別に見てみますと、A海域は珪藻とラフィド藻が優勢で、B海域は珪藻が優勢です。C海域、D海域では、このように渦鞭毛藻が優勢に赤潮を形成していたことがわかります。
 では、どのような種類が赤潮を形成していたかというと、まずは、珪藻のSkeletonemaです。この図から、A海域とB海域では、Skeletonema赤潮の発生が著しいということがわかります。時期別には、夏に赤潮発生件数や発生期間がふえています。またSkeletonemaは、1月から3月の冬季に、最近、A海域で赤潮が発生するようになり、その発生期間が非常に長期化しているという特徴が見られました。なお、珪藻のChaetocerosにもSkeletonemaと同様な赤潮発生傾向が認められています。
 次に、渦鞭毛藻のCochlodiniumは、このように'84年から'96年にわたっては赤潮発生件数が減少していましたが、'97年以降は全海域にわたってふえていました。特にC海域では、発生件数のみでなく発生期間もふえていたことが特徴的でした。その発生時期は、低水温ではなく、夏に特に著しいということがわかりました。この図は八代海の調査委員会の資料から拝借してきたものですが、A、B、C、Dの各海域において、このような場所で赤潮発生していたことがわかります。
 渦鞭毛藻のGymnodinium mikimotoiは、やはり'90年から'96年には赤潮発生件数が減少していたのですが、'97年以降また件数がふえています。本種の赤潮発生時期も限定されており、このように高水温期によく発生していました。この図も同様に拝借してきた資料なんですが、これは調査期間が1978年から2000年までのもので、今回の検討期間より少し少ないんですが、このような発生箇所で赤潮形成しているということが具体的に見てとれます。
 次に、渦鞭毛藻のGymnodinium sanguineumは、このD海域でのみ赤潮を形成していており、しかもその赤潮発生は'90年から見られるようになり、特に'97年からは冬の赤潮発生件数が増加し、発生期間も長期化しているということがわかりました。
 ラフィド藻の代表のChattonella antiqua赤潮は、八代海では 1987年以前には発生は認められておらず、1988年から認められております。本種も各海域で、近年に増加傾向を示すようになった種で、夏を中心に赤潮を形成しています。
 ラフィド藻のHeterosigma akashiwoは、'97年以降に急激に赤潮発生件数を伸ばしており、その傾向はA海域とD海域で顕著でした。
 次に、水質です。ここでは、D海域について報告します。透明度の年変動はこのように山と谷があり変化傾向が読み取りにくいのですが、'84年から'94年の平均値を起点とすると、各季節とも変動しながらの上昇傾向をしています。水温は四季にわたって上昇傾向で、特に冬にその傾向が強く認められました。
 次に塩分ですが、四季にわたってほぼ横ばいの状況になっております。
 最後にまとめです。赤潮は、八代海では全海域で、年間発生件数および1件当たりの赤潮日数が近年増加し、年間発生期間も長期化しているということがわかりました。有毒鞭毛藻のCochlodiniumが、特に南部海域で、赤潮発生件数と発生期間の増加が著しくなっています。また、Gymnodinium sanguineumがD海域にのみ、低水温期に長期にわたって、赤潮を形成していました。
 ラフィド藻赤潮は、高水温期を中心に八代海すべての海域で赤潮を形成していたことがわかります。珪藻は有明海ほど赤潮発生頻度・件数は高くはないんですが、冬季に北部海域でも赤潮発生するようになり、しかも長期化している状況が見られております。
 水質の透明度は、全海域で変動しながらも上昇傾向、水温は全海域で四季を通じて上昇する傾向がみられるということがわかりました。
 以上です。

○須藤委員長 どうも、山田先生、ありがとうございました。
 続いて、事務局の部分は坂本補佐からですね。お願いします。

○坂本補佐 続きまして、資料の紙の方で説明させていただきます。資料2-2-2本編と資料2-2-2資料編でございますけれども、まず本編の方をお願いいたします。
 原因・要因といたしましては、まず海水温の上昇ということでございますが、赤潮プランクトンの発生の水温というのはそれぞれ種類によって異なりまして、ここにありますように珪藻類では6℃~28℃の幅広い水温で発生と。渦鞭毛藻につきましても8℃~28℃と広いんですけれども、ただ出現する細胞数が多いのは25℃前後ということ、またラフィド藻は20℃~30℃程度ということが言われております。
 水温上昇と赤潮プランクトンの増殖速度の関係につきましては、一般的に水温が上がれば増殖速度が上がるということが知られておりまして、幾つかの代表的な赤潮プランクトンに関しまして、水温と成長速度のモデル式がつくられておりまして、例に示してありますのは、Chattonella antiqueのモデル式でございます。ただ、下のところに書いておりますように、ただ水温が上がればいいのかというわけではなくて、Chattonella属につきましては、水温が9℃~10℃以下とならないとシストが成熟しないというような報告がございまして、その後増殖に低水温が必要となるような種も存在するというようなことで注意が必要かと考えております。なお、有明、八代海とも冬季の最低水温につきましては9℃を下回っていることで、このChattonella属についての再生条件は満たしているということでございます。
 それから、その下の長期的な水温上昇と植物プランクトンの増殖速度につきましては、先ほど山田先生からご発表がありましたような年代区分の中の一番古いステージ、1984年~1989年、それから1997年~2003年の間のそれぞれの期間の有明海の各県水域の表層の平均水温と塩分を用いまして、先ほど申し上げた代表的な赤潮プランクトンのモデル式から増殖速度を算出して比較したものが資料編の10ページのところでございますけれども、つけてございます。それぞれ表につきましては左側の県水域、対象期間、月、それから表層の平均水温、塩分ということになっておりまして、これにつきましては、例えばSkeletonemaであれば増殖速度につきましては春、夏、秋のころにつきましては、むしろ減少傾向、冬場には1.15ということですので15%ほどの増殖がこの成長式から求められるというようなことでございます。
 なお、このSkeletonema costatumにつきましては水温のみを変数としてモデル式に入れておりますけれども、その一番右側のGymnodinium mikimotoiにつきましては水温のほかに塩分も変数として入れておりますので、次の11ページのところでございますけれども、資料2-[2]ですが、水温を一定にいたしまして塩分のみを変数として成長式に入れて、塩分がどの程度きいているのかというのを一応確認しておりまして、ほとんど1.0前後の値を比率としては示しておりますことから、ほとんど塩分は関係ない、影響ないのではないのかということを資料2-[2]で確認しております。こうした計算結果につきましては、1ページの計算結果以下で簡単にご説明したいと思います。
 まずSkeletonema costatumにつきましては、増殖速度は冬に増加しておりまして、福岡・佐賀でおのおの15%、11%の増加、長崎・熊本では2~3%の増加ということでございます。冬以外の季節につきましては、1~7%の減少となります。
 その次のラフィド藻のChattonella antiquaでございますけれども、このプランクトンにつきましては、各県水域ともに春と秋に増殖速度が10%~38%増加で、夏の増殖速度には明確な傾向は見られないというような結果でした。
 (3)のGymnodinium mikimotoiにつきましては、各水域ともこれはやはり冬季と同じ傾向でございまして、春と秋に増殖速度が8~25%増加すると。夏季は逆に2~5%減少するということでございました。
 八代海におきましても同じような計算を行いまして、結果はSkeletonema costatumにつきましては、冬の増殖速度が2~4%の増加、他の地域では1~3%の減少、Chattonella antiquaにつきましては各水域ともに春、秋の増殖速度が4~21%の増加、Gymnodinium mikimotoiにつきましては、これはまた春と秋の増殖等では4~19%増加するというような計算結果となりました。
 その下の整理のところでございますが、赤潮プランクトンにつきましては種類により程度は異なりますが、一般的に水温上昇によって増殖速度が増加するということ。あと、経年的な水温上昇を代表的な植物プランクトンの増殖モデル式に入れて計算したところ、多くの場合に増殖度は一定程度増殖する結果となった。水温上昇は高潮発生の増加要因の一つと考えらるということでB+というふうにしております。
 他方、海域や時期、あとプランクトンの種類によっては増殖速度がほとんど変わらない、もしくは減少する結果となったことから、水温上昇以外の要因の存在も示唆された。なお、水温の変化に伴う赤潮プランクトンの増殖速度については、その条件によりまして結果が異なることについては留意が必要であるというようなことで整理しております。
 続きまして、透明度の上昇でございますが、まずプランクトンの増殖と透明度との関係でございますけれども、透明度の上昇というのは光制限を緩和しまして植物プランクトンの増殖に有利に働くということが一般的に考えられています。透明度と植物プランクトンの増殖につきましては以下の表3-1-3のような関係が報告されています。この表ですけれども、一番左の欄が透明度、それから1個飛ばしてその次の光の成長制限の数字につきましては、この数字に最大成長速度が掛けられるということでございますので、透明度が上がればこの数字が上がっていくというようなことになります。
 それから右の3つの欄でございますけれども、それぞれの透明度に対応した1週間後の増加率につきまして、減耗をいろいろ変えた計算結果を示しています。例えば一番右側でございますけれども、1週間後の増加率ですが動物プランクトン等による捕食などにより減りますので、これを30%と仮定した場合の数字を出しております。例えば一番上の欄ですが、混合層水深というのがプランクトンが一様に分布する水深として仮定したものでございますけれども、そこが水深3メートルというところを見れば、例えば透明度が1.04メートルの場合は1週間後の増加率というのが19%増加、それが1.12メートルになると27%増加とそのように関係が示されております。
 それでは、実際に有明海・八代海における透明度の上昇とプランクトンの増殖を見る場合、この表を使いまして整理してみました。まず、有明海・八代海の平均透明度というのはほとんどの海域で上昇が認められておりまして、これにつきましては資料の4ということで各県の透明度の比較ということで、対象期間につきましては一番古いステージと最も最近の比較ということで比較を行っておりまして、ほとんどの海域で平均の透明度というのは上昇が見られる状況でございます。具体例として有明海の熊本水域での夏の透明度をとったところ、84年~89年の平均の透明度というのは3.6メートル、それが97年~03年の平均では4.7メートルに上がっているということでございますので、この3-1-3の表から適当なところを当てはめていきますと、透明度3.63メートルと透明度4.83メートルというのがありますので、これに当てはめたところ、増殖率としては透明度3.6メートルについては1045%、4.8メートルについては1397%ということで、増加率はおおむね3割程度の増大になったということでございます。
 次のページをめくっていただきまして、あと、有明海における透明度の上昇率と赤潮の発生でございますけれども、資料の5でございます。これは前回評価委員会で中田先生からご報告いただいた内容でございますけれども、透明度の上昇率の高い海域において実際に赤潮の発生日数が増加しているということのご報告がありましたので、資料としてつけております。
 整理といたしましては、一般的に透明度の上昇というのは、植物プランクトンの増殖にかかる光制限を緩和しまして、増殖を促進させる。それから有明海・八代海の海域では、ほとんどの海域で透明度が上昇していまして、透明度の上昇によって植物プランクトンの増加に有利に働くのではないかと考えられます。また、有明海では透明度の上昇率の高い海域で赤潮の発生日数も増加したこともあるということから透明度の上昇が赤潮発生の増加の要因の一つと考えられるとしてB+としています。
 なお、植物プランクトンについては、その種類によりまして光制限を含む生理・生態的特性が異なりますので、種類別に分けてさらに検討を進めることが望ましいと書いております。
 続きまして、3番目の富栄養化、貧酸素水塊による赤潮の影響でございますが、これは6ページをお願いいたします。
 まず、栄養塩の陸域からの流入(1)ですが、降雨などによりまして淡水や栄養塩が流入しまして珪藻などの赤潮が発生するといった報告がなされておりますけれども、まず有明海・八代海に流入する主要河川の流量に明確な変化はなく、流入負荷も横ばいということ。また、水質の栄養塩分につきましても、近年増加傾向は見られないということで、資料6でございますけれども、つけさせていただいています。資料6の(1)(2)につきましては栄養塩のAとB(?)のデータでございますけれども、これは中間取りまとめに掲載していたものですけれども、明確な増加傾向が見られないというデータでございます。データは公共用水域の測定結果でございます。
 次の17ページのところは主要河川である筑後川と球磨川の年間水量の推移でございまして、こちらも増加傾向というものは認められないということでございました。
 それから18ページでございますけれども、流入負荷量でございますが、T-Nを代表として掲載しておりますが、これにつきましても昭和55年に若干高い値を示しますが、それ以後減少ないしは横ばい傾向ということで増加していないということでございました。ただ、資料7に示してありますように、そもそも有明海の湾奥につきましては、冨栄養度指数というものが非常に高いということが指摘されておりまして、この数値というのは赤潮が急増した1970年代の瀬戸内海に匹敵するというようなことを報告しているものがございましたので掲載しております。
 それから(2)の底泥からの栄養塩の供給ですけれども、有明海の湾奥西部海域につきましては、夏季に貧酸素水塊が発生しているということ、あと底層のDO濃度につきましては経年的な低下傾向があることも示唆されまして、また硫化物濃度も増加傾向を示していることで、資料8でございますけれども、湾奥の硫化物の増加傾向が図-2につきましてと、その下のAVSが全般的に高くなっているという報告がございましたし、次のページの20ページにございますけれども、湾奥、佐賀県浅海定線調査の6-7月の底層DO濃度も減少傾向にあるというようなことで参考としてつけております。
 また、諫早湾の底質の全窒素と全リン濃度については以前の大阪湾であるとか東部三河湾に匹敵するほどの富栄養度を示しておりまして、夏に貧酸素水塊が発生しております。Chattonella属の赤潮については、富栄養化した流速の遅い海域において貧酸素水塊が形成され、底泥からの栄養塩の供給などが必要ということが指摘されております。
 また、(3)で底泥からの鉄の供給でございますけれども、この鉄につきましてはChattonella属の増殖を促進するということが知られておりまして、これにつきましては資料10でございますけれども、鉄と増殖分布との相関関係が図示されています。この貧酸素水塊の形成によりまして底泥から鉄が溶解しまして、さらに貧酸素水塊の崩壊によりましてこの鉄が窒素や燐と一緒に供給されて、Chattonellaの増殖が促進されるということが報告されています。
 整理といたしましては、近年の有明海・八代海における河川流量であるとか流入する栄養塩類に増加傾向は認められず、栄養塩の流入と赤潮発生の増加との関係については、陸域からの影響を大きくするような他の要因を含めて検討が必要であるということで、これはBというので区分しています。なお、有明海湾奥については既に富栄養化した海域であって、赤潮が発生しやすい環境条件を備えていると考えられています。また有明海湾奥部、諫早湾の底層においては、貧酸素水塊によって底泥からの栄養塩と鉄が溶出し、Chattonella赤潮の増加につながっていると考えられるということでB+としております。
 続きまして、4の浄化能力の低下でございますけれども、まずアサリ、二枚貝のろ過量、窒素除去についての分布を整理したものでございます。これは資料の11の表をごらんいただければと思います。
 これは有明海の1990年以前の内外の1日のろ過量を推定したものでございまして、有明海の容積が340億立方メートルに対して、1日当たりの夏場のろ過量、アサリ、二枚貝のろ過量は4~10億立方メートルということで、これは大潮時の干潟への海水交流量に匹敵したという推計がなされています。アサリが最も獲れたときの資源量を算出して、そこから推定した濾水量につきましては4~6億立方メートルであるということが言われております。これに対しまして、96年~2000年におきましては、アサリは最盛期から10分の1、二枚貝全体につきまして6分の1に減少して、懸濁物質の除去能力が大きく低下したということが言われております。
 また懸濁物を食べる二枚貝の食物資源についての分析でございますけれども、有明海で採取した二枚貝の炭素同位体比を分析した結果、有明海の二枚貝というのはおおむね海洋性のプランクトンを摂餌、同化するというような報告があります。ただ、一方で緑川干潟において行われた調査ではアサリの生産量と底生の微細藻類との変化がよい動向を示したというようなことから、主要食物というのは浮遊性の植物プランクトンではなくて底生の微細生物であったという結論ですが、こういった報告がなされています。また、この報告ですけれども、結論としてはこういった二枚貝によって植物プランクトンと底生性の微細藻類、どちらが重要な植物なのかについての一般的な回答を得るにはより多くの海域での知見が不可欠というようなところで結ばれておりました。
 整理といたしましては、アサリ等の二枚貝の減少については懸濁物の除去能力を低下させ、海域の浄化能力の低下であるとか、富栄養化を招き、赤潮を増大させる要因の一つと考えられるということでB+でございます。ただ、二枚貝による赤潮原因種の植物プランクトンの摂餌による直接的な赤潮発生の抑止について評価するには、アサリ等の二枚貝の主要食物についてさらなる調査が必要であろうということで、この点についてはBとしております。
 最後は8ページでございますけれども、潮流の低下・潮位差の減少でございますけれども、潮流の低下・潮位差の減少、あと平均潮位の上昇と赤潮発生の状態に関連する知見といたしましては、有明海においては潮位差にChattonella赤潮が多く見られるという報告がございます。また、有明海で湾奥部におきましては、クロロフィル色素量というのが、小潮から中潮期にかけて増大するというようなことも報告がなされております。
 これの整理といたしましては、経年的な潮流の低下・潮位差の減少・平均潮位の上昇が赤潮発生の上昇につながっているとの科学的な根拠を示した知見は見つけることはできなかったものの、流動が弱まり、海水が滞留しやすくなれば赤潮が発生しやすくなるということは一般的に言えるものと考えられる。このことは有明海の小潮時にChattonella赤潮の発生が多いこと、あとはクロロフィル増加に見られることとの報告と一致するということから、分類としましては経年的に流速の低下、潮位差の減少が生じている海域においては赤潮の発生が増加するものと考えるということでB+としています。
 事務局からは以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、再び本城先生、お願いいたします。

○本城委員 私の方から報告させていただきます。
 八代海における赤潮について、発生状況等は山田先生から話がありましたけれども、もう少し詳しく話をしてみたいと思います。山田先生の話と重なるところは簡単にします。横軸に年をとっております。1978年から2004年までです。縦軸が赤潮確認日数でありまして、最近になって赤潮確認日数がふえてきている傾向があります。
 これは八代海における近年の月別赤潮発生件数です。1989年から2004年までに丸が2つ冬季に書いてありますけれども、冬の赤潮発生の件数が増加していますよということを丸で強調しています。当然5月、6月、7月、8月というところにかなり大きい数字がありますから、夏の赤潮発生件数も1989年に比べて2000年に入ると相当多くなってきていることがわかります。
 この湾で主に発生する種類を取り上げたものです。先ほど、話が山田先生からありましたけれども、資料2-3に一部載っております。それから、私は私なりのデータも加えております。そちらの方が鮮明ですから、表の1.2を見てください。Gymnodinium sanguineumというのが6番目の番号にあります。このプランクトンが八代海ではかなり増加している。それが山田先生の報告図でのB海域で増加しているということになります。この研究は私の研究室でも進めておりまして、福岡湾を中心にした研究ですが、どこに最初に生息しているかというと、意外なことに湾の外側です。湾の中の細胞の増加は外海から侵入する個体群をもとにして、福岡湾でふえている。そして高塩分を好み、珪藻類との同居を嫌うために侵入できなくて、これらの条件が満たされる冬場に増殖成長するということです。そして、低水温には非常に強くて5℃でも生き延びることができるという特徴を持った生物です。
 それから、11番目がCochlodinium polykrikoidesですね。12番目の78年八代型と同じものです。ですから、これが長く定期的に発生し続けているということになります。26番目がSkeletonema costatumと書いてありますが、山田先生はsppと言っておられまして、これは最近の研究ではcostatumだけではないというふうになってきておりますので、sppが正しいです。この仲間も発生件数が最近増加してきていますね。それから、37番目のところにChattonellaがあります。その下にChattonella sppがあります。これらを同じ生物として扱うと飛び飛びに発生しているということです。あとMesodinium rubrumという動物プランクトンがあります。こういう生物たちが八代海での主要なプランクトンということであります。
 表1.3は八代海における近年の赤潮による被害の月別発生件数です。被害は圧倒的に7月、8月に集中している。しかも近年その件数は多くなっていることは大変心配です。
 次は被害発生件数です。表1.4に示してあります。八代海で被害を与えているプランクトンは渦鞭毛藻類ではGymnodinium mikimotoi、最近はKarenia mikimotoiと名前が変わっています。それから、Cochlodinium polykrikoides、これは八代型と同じです。Chattonella属ですね。それから、珍しいことに23番のところのHeterocapsa sppというのはHeterocapsa circularisquamaという名前がその後つきまして、1994年に1回だけアコヤガイ養殖に被害を与えましたね。Skeletonemaは1回だけ被害を与えています。
 表1.5です。これを見ていただきますと、Cochlodinium、Chattonella属に原因生物が集中している。それが夏場です。被害を受けているのはブリやトラフグであるわけですね。それから被害総額ですが、一番右側を見てください。最高は番号14番、これで大体40億の被害が出ました。それから2番がChattonellaでおよそ10億ですね。3番目はCochlodiniumで5億、4番目、5番というふうにChattonellaの被害が起こっています。
 今度は研究の方に話しを移します。瀬戸内海水産研究所がここ3年にわたってプランクトンシストの研究をしております。配付資料に図2.1があります。北側の方に、すなわち山田先生が示されたA海域というところが真っ白です。瀬戸内海水研の調査船しらふじ丸がここまで入れないので、調査がなされていないという意味です。ですから、調査海域がこちらの方に限られているので、頭に入れておいていただきたいと思います。
 図2.2は珪藻を全部足した場合の泥の中のタネ(休眠胞子)の数です。これは置きまして、図2.3をみて下さい。どういう生物が優占して生活しているのかといいますと、B海域やC海域の北側ではChaetocerosが2005年では優占している。それから黒丸のところはSkeletonemaが優占しているという地点です。そういう特徴があります。
 今度は図2.4です。Heterosigma akashiwoのシスト分布ですが、B海域に丸があるということです。恐らくA海域にも丸はあるでしょう。それからC海域の北部の方に大きい丸があります。こういう地点に本種はシストで潜んでいるということですね。
 今度は被害を与えているChattonellaです。2005年では圧倒的にB海域です。これが元ダネになっていることを示す図です。もう圧倒的にC海域やD海域よりも多いということです。
 図2.6はAlexandriumという有毒プランクトンです。毒をもっていて、それを貝が食べると麻痺や下痢を起こす。これは麻痺性のプランクトン種です。全体的には少ないですね。天草の宮野河内湾で貝の毒化があるんですが、Alexandriumのシストは多くありません。Gymnodinium catenatumとか、そういった種類が原因であると思います。
 今度は泥分率で、図2.7です。これはどういう場所で泥がたまりやすいかということをあらわしています。八代海の海にとっては非常に良いデータだと思います。彼らの調べてくれましたものでは、B海域よりもC海域の北部の方側に泥が多いということがわかります。以上が瀬戸内海水研でのシストの調査結果です。
 次に、私どもの研究室によるCochlodinium polykrikoidesの研究を一部紹介をさせていただきます。Cochlodiniumは普通は単一細胞の形で生活しているんですが、赤潮への増殖が始まりますと連鎖をつくり始めます。ですから、赤潮に向かうかどうかというのは2個や4個の連鎖細胞を観察すれば良いので、非常にいい指標になっています。向こうが4連鎖、それからその下は珍しい16連鎖です。普通は8連鎖が多いです。そして、これは分裂途中のものです。
 これは、Cochlodinium polykrikoidesと扱って良いと思いますが、1978年に初めて赤潮として記録されています。Chattonella属は1988年が初です。そして、何か周期的に発生している傾向にあります。
 Cochlodiniumはどういう海域で赤潮を形成するかというと、九州漁業調整事務所のデータを全部重ね合わせますと、この黒い海域で多く発生する。黒い色は、八代海の御所浦、それから津奈木海域、さらに獅子島付近にありますので、こういう海域が頻発水域といえます。ですから、この生物は主にC海域の北側で頻繁に発生する特徴があると思います。
 幾つかの種類で水温と塩分を比較してみました。mikimotoi、Chattonella、Heterocapsa 、Cochlodinium polykrikoidesです。Cochlodiniumで縦軸のところを見ていただきますと、最も良く増殖する塩分は35で、32~35付近に高い増殖値があります。縦軸の25℃はどの種も共通なんですが、本種が塩分の高いところで最も増殖が良いということは、この生物が高塩分水域を好むということができます。そして、雨が降って低塩分になると消滅するという特徴を持っています。
 その図を拡大したものです。35のところで高い増殖値を示しています。実際に現場ではどういう水温、塩分のところで赤潮になっているかといいますと、2000年はこの黒丸のところ、2001年は点線のところ、2002年はもっと小さい点線のところで、この塩分が30psuから35psuの間のところで実際に赤潮も起きているということを示しています。
 2000年の場合には、増殖速度は3日で倍になるぐらいのスピードで、この影で示したところが赤潮になっている時期です。このあたりです。この生物は3日で倍になるぐらいのスピードで上がっていますから、1カ月前ぐらいから増殖を始めていることになりまです。
 そうしますと、この海域から増殖を開始しているんですね。この時期は水温で見ると成層ができ始めるか、その少し前。そして、栄養塩としてのDINがかなりあります。下層の方にリンもあります。
 そして、赤潮盛期での日周鉛直移動ですけれども、横軸が時間です。縦軸が深さでここが25メートル、20メートル、10メートルです。彼らは夜は10メートルから25メートルという深いところまで下りていることがわかります。そして上がってきてまた下がるということを繰り返しています。ですから、底層まで達すれば底層の栄養塩を摂取することになります。
 Cochlodiniumがどういう窒素源を利用できるかというと、ほとんど無機体を利用する。有機窒素ではグリシンを少しとるぐらいです。
 これに反しまして、無機リンの他にどんな有機のリンでもとるということになれば、もし海に無機リンが検出されなくてもその中に有機リンがあればかなりのものは利用できて自分の細胞の中に取り込むことができ、増殖のために使えるだろうということになります。例えばはっきり言えることではありませんが、養殖場でえさがまかれているというのはいくらでも有機リンが存在しています。また、アンモニアも出てまいります。そういった餌の汁から出てくるものを彼らが夏場に利用すれば十分に赤潮となるための栄養源は持てる。それからまた深い層に行けますから保存されている栄養塩をとりにも行けるということになります。
 彼らは増殖し始めるときいろいろな生物たちとしのぎ合いながら増殖していきます。2000年の場合、mikimotoiにもChattonellaにも勝って、そしてCochlodiniumが赤潮になりました。雨が降って塩分が低下して終息しましたが、その次に、Karenia mikimotoiがもう一度赤潮になる。Chattonellaは低い状態でとどまっています。
 冬にも本種は単一の細胞で八代海に住んでいることが確認されていますから、冬には遊泳細胞で水の中にいるので、シストをあてにする必要はありません。そして春から夏にかけての発達期にいろいろな生物たちとしのぎ合いを削りながら、躍層ができる時期から急激に増殖をして赤潮になる。下層の栄養塩を利用したり。ここには躍層がありますというポンチ絵です。そして、雨が降ると消滅していく。
 資料の中にもありますが、横軸に月をとって、縦軸に降水量、そして6月の上、中、下旬、7月の上、中、下旬、8月の上、中、下旬という区分で降水量をまとめたものです。非発生年はよく雨が降っています。2000年以外の赤潮発生年にはこの7月にやや降水量が少ない。そして、8月に入るとぐっと少ないのが特徴です。普通の発生年はお盆赤潮ですからこの8月のこのあたりに赤潮になることが多いんですけれども、その前には雨が降っていないということです。2000年はお盆赤潮ではなくて7月に発生した赤潮で、その前10日間、全く雨が降っていない。全体的にみて、降水がないときに本種は発生しやすいということがわかります。
 横軸に日照時間。縦軸に降水量をとりますと、雨が降っている方ではChattonellaが赤潮を形成し、Cochlodiniumは雨の少ない年に赤潮を形成しているというのですから、こういうところで赤潮は発生を開始しますから、ここで発生した細胞群を粘土等で落としていく、すなわちもぐらたたきのようにして細胞群を消していけば被害の軽減につながるのではないかと学位を取得した韓国からの留学生、金大一君が絵にしています。
 次にChattonellaの話に移りますけれども、Chattonellaは1988年に初めて赤潮として記録されておりますが、1988年というのはこのあたりです。この図は泥のCODの変化です。いろいろな場所において、CODがどんどん上がっていく年代かあるいはもう大体上がり詰めた時期あたりから、Chattonella属の赤潮が出始めているということは、富栄養化とやはり関係していると私たちは考えています。
 実は困ったことに、CODはそれで説明つくんですが、海水中のDINやDIP濃度はこの赤潮が出始める頃からずっと下がっているんです。それなのに現在発生し続けており、瀬戸内海での傾向と異なります。でも、水のCODは明らかに高いし、底質のCODも高い。ただし、これは養殖場の平均値なんですね。ほかのところでのデータは整理できておりません。もっとほかの海域における水のDINやDIP濃度を知って解析していかなければいけません。
 実は、Chattonella の赤潮分布域の変化は2004年、2003年も同じ傾向にあります。2004年のChattonella赤潮の細胞分布の変化を数日ごとにとったものです。一番最初にどこに出現してくるかというと、姫戸あたりに赤い色があります。実は青い色は調べたけれども細胞がないことを示しています。赤い色は調べたら細胞が見つかったという意味です。○が大きくなればなるほど細胞が多い。ここで見つかっています。瀬戸内海水研のシスト分布を見るとここで高くなっている。それから、このあたりが一番泥分率が高かったんですけれども、ほかの調査を、例えば熊本県立大学等の調査を見ると、岸側の姫戸あたりのところの泥は泥分率が高くて、それから硫化物も検出されるということがわかっています。ですから、このあたりは泥分で覆われている、そしてシスト分布が高くなっている、そして姫戸あたりから出現してくるということです。そして、ここで増殖した細胞が南向きの風に乗って少しずつ下がっていくんですね。その傾向が見てとれます。
 2003年はこれほど明瞭ではありませんが、やはり同じような傾向があって。この八代海のChattonellaの赤潮を研究していく場合には、このあたりに注目をしていくことが大事だというふうに考えております。
 以上で。

○須藤委員長 どうも本日はありがとうございました。
 それでは、大変赤潮のグループの先生方、おまとめいただきましてありがとうございました。先ほどの本城先生、今のもそうですし、それから山田先生、事務局の坂本さんの方も合わせてご質問なりご意見なりいただけますでしょうか。
 どうぞ、小松先生。

○小松委員 1つ教えていただきたいんですけれども、山田先生のご発表のところで1件当たりの発生期間が長くなっている、有明海の場合ですが、というご発表だったんですが。発生期間が長くなる理由としてどういうファクターが考えられるのか、もしある程度知見があったら教えていただきたいんですけれども。

○山田委員 私の場合は状況解析というところで担当させてもらいまして、その因果関係については解析していないんですが、私が洞海湾で得たものからあくまでも推定させていただきますと、やはり長期化するというのは赤潮が継続するのを妨げるものが出ていると、もともと増殖しやすい状況もできたでしょうし、それを妨げる状況もなくなってきたのではないかということが考えられます。主に物流的な環境ではないかと思っております。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 では、岡田先生。

○岡田委員 山田先生のところで状況解析ということで、1984から89、それから90から96、97から2003と6、7、7、要するに7年くらい刻みをとって解析したということはどういう意味を持つのか。例えば5年ごとにやったらどうなるのか、3年ごと。答えはは変わらないでしょうねと。もっと言えば普通に1年ごとにデータ化しても同じことは言えるのかどうかということは確認しておいていただいているのかどうかだけ確認したかったです。

○山田委員 すみません、ここのところに書きましたように公調委の報告書、これに基づいていきなりやってきましたので、そこのところはしておりません。

○須藤委員長 ちょっとその辺の確認を、多分岡田先生がおっしゃっている意味はわかりますよね、こういうふうに上がるのかどうかということを岡田先生が、2年ごとであれ3年ごとであれ小刻みかもしれませんけれども、そういう傾向にあるのかどうかということを。

○山田委員 ただ、傾向とすれば言えるのではないかとも思いますが、実際にやってみたいと思います。

○須藤委員長 いいですか。

○岡田委員 あと若干細かいことで気になるのは、水温が上がったら赤潮がふえるようになったという資料2-2ですか、これは坂本さんの方の解析も同じ年の分割をとっている、これ整合していることはいいんですが。非常に細かく見ていくと、種類によって各県ごとに非増殖速度の増加率が最初の6年とあとの7年と違っていますよね。それと赤潮が実際にふえているかふえていないかよく見ると結構矛盾があるんです。そこのところがやはりご確認いただいた方がよろしいかと思います。大多数オーケーと言えばオーケーですが、明らかに矛盾しているようなところも見受けられるようなので。ちょっとその整合性とられるかどうかのご確認をお願いしたいと思います。

○須藤委員長 では、山田先生、それから事務局の方、今の資料のところご確認をお願いいたします。
 どうぞ。

○菊池委員 本城先生に伺いたいんですけれども。Chattonellaの発生の濃密なところが魚類養殖場のある場所と、かなり……

○本城委員 Cochlodiniumですね。

○菊池委員 Cochlodiniumですか。それならいいですが。
 それで、熊本県の方の天草ですね、これは御所浦島とその回りのところは割とベッタリ黒く塗られるぐらい密度が高いんですけれども、あと獅子島、それから長島、東町はものすごく養殖が盛んなところなんですけれども、こちらの方は調査の密度で違うのか、それともこちらの場合は水カエリ(?)がよくて助かっているのかというような気がしたんですけれども、何かそのあたりについて何かございますでしょうか。

○本城委員 東町のCochlodiniumの被害がどのくらいの件数なのかというのはわからないんですけれども、ここでは意外と少ないんじゃないかと思うんですね。Chattonellaだったら相当発生していると思うんですけれども。ですから、Cochlodiniumは意外と少ないのかなと思っておりますが。

○菊池委員 資料は各県の水産センター。

○本城委員 そこから上がってきたものを九州漁調がまとめたものです。それを全部重ね合わせてみると、一番発生している回数が多いのは黒いところになるわけです。

○菊池委員 それから、水域の区分で行くと、C水域ですか、B水域ですか、そのあたりのところで固まって。

○本城委員 シストがまず集積されますし、ここから発生が始まると。

○菊池委員 これはちょうど塩水域が浅くて、それから深くなっていく、ちょうど切り替わりの。ですから、何かそういう深さの問題と流れの問題でそこのところで曲がりやすいのかなという感じがしたんですけれども。

○本城委員 僕らもそういう感覚は十分持ちました。ありがとうございます。そういう感覚を持っておりますので、もう少しデータがそろったら発生機構も皆さんに報告できるかなと思っています。データが少しずつ集まっています。

○菊池委員 ありがとうございました。

○須藤委員長 よろしゅうございますか。
 先生、どうぞ。

○森下委員 教えていただかないといけないんですが、淡水で我々がやっている場合には赤潮が出るというときに生物の量の問題がありますね。実際に赤潮が出たというお話があって、そして生物の、赤潮になるかならないかというのの生物の数の問題が必ず出てくる。水をとればいつでも赤潮生物はいるんだけれども、その赤潮生物、赤潮として我々の目に見えるような形で認識できるのにすごくギャップがあるんですね。そういう赤潮が出たから今行って調査をしても、水の中の赤潮の量というのが例えば数が少なくて、どうして赤潮になっているかというようなことがわからないことがよくあるんですが。そのあたりのギャップを減少としての赤潮と、それから実際に水の中に含まれている赤潮生物の個体数との間に何か因果関係のようなものを、どこになったら赤潮生物を認識できるかというようなことは検討されていらっしゃるんでしょうか。

○本城委員 どこになったら赤潮になったかというのは……

○森下委員 水の中に、例えば1リットルの中にどれくらいの量があったときに赤潮、確かにそれぞれの……

○本城委員 色がついてくるかということですか。

○森下委員 ええ。

○本城委員 各県での取り決めがおよそありまして、生物ごとに大きさが違いますので、細胞数がまちまちです。でも、おおよそこの1,000細胞を超えたらこの生物だったら赤潮として扱うとか、あります。

○森下委員 それと、それから情報としての赤潮との間の関係はどうなんでしょう。さっき発生件数がありましたね。あれは……

○須藤委員長 そういう個体数を超えているんでしょう。そういう個体数を超えているんですよね。

○森下委員 色がついているということで赤潮として扱っていますから。決めている基準以上の細胞があったということになります。

○森下委員 どっちが先なの。

○須藤委員長 観察は赤潮の現象が先ですよね。

○本城委員 そうです。

○須藤委員長 そして、それを観察したら例えば1,000細胞を超えていたと、いつでもそうだから、1,000細胞を超えたら赤潮にしようということですね。だから、恐らくこの赤潮の場合は識別が先だと思いますね、現象が。

○本城委員 委員長がおっしゃった。

○森下委員 識別がそれだとすると、時代は30年もかかっているわけですから、社会の関心が違うので、識別のところに無理があるんじゃないかと私は思うんですけれども。

○本城委員 これはみんな心配しているところで、山田先生のときにもその心配がありました。しかし、場長さんたちに聞けば、1980何年ぐらいからはもう大体正確に把握されているだろうと、みんな関心を持っていたから。そして、やはり感覚的に件数は増加していますよという情報は集まっているとおっしゃっていますので。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 多少時間を経過しすぎましたので、まだいろいろご意見あろうかと思いますが、いろいろご意見のある先生方、どうぞデータあるいは情報あるいはいろいろな資料等も添えて事務局の方に情報提供していただければありがたいと思います。一応この問題はここら辺で打ち切らせていただきたいと思います。
 どうも赤潮グループの先生方、ありがとうございました。
 ここで休憩をとらせていただきますが、再開をちょっと時間が短うございますけれども、事務局は5分でも節約をしたいということですが、今外は雨も降っているようでございますから、13時には再開をいたしますので、午後の先生方、ちょっと時間の説明の節約を今からお願いをしておきます。予定より20分ほどおくれていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは休憩といたしますが。先生方にはランチの用意もしてございます。お待ちください。

(休憩)

○須藤委員長 休み時間が少し短くて恐縮でございますが、再開をさせていただきたいと思います。
 これからご発表予定されている先生方、大変申しわけございませんが、お約束した時間を5分ぐらいずつ詰めていただければ大変ありがたいと思いますので、少しおくれましたので、先生方少しそういう気持ちでご発表いただければということをまずあらかじめお願いをいたします。
 それでは、引き続き議題、問題点・要因の検証についてですが、次に、八代海グループの検討につきましてでありますが。大和田委員からご報告をいただきたいと思います。大和田先生、どうぞ資料に基づいて八代海グループのご発表についてお願いをしたいと思います。

○大和田委員 それでは、大和田でございます。

○須藤委員長 先生、どうぞおかけになってで構いませんので。

○大和田委員 資料2-3をごらんいただきたいと思います。これについては下の方に八代海検討グループとして、菊池委員、滝川委員、本城委員、山田委員、山本委員、それから小委員会の弘田委員、あるいは熊本県、鹿児島県の関係の方々、あとは西海区水産研究所、いろいろな方々と相談しながらまとめてまいりました。
 八代海については先ほど海域の区分の話もありましたが、これは、浅海定線の事業で長年やってきたものを滝川委員がまとめてみると、ここではA、B、C、D、Eの5つの海域に区分できるのではないかというようなことで示しています。
 その前に、八代海はここに八代市がありますが、一級河川の球磨川がその北の方から入ってきています。一級河川は球磨川だけでございます。あとは南の方に長島海峡と黒之瀬戸というところが東シナ海とつながっておりまして、ここでの外海との交流が盛んだということ。あとは本渡瀬戸あるいは満越瀬戸、ここで有明海とつながっておりますが、こちらの方はそれほど大きくはないというふうに言われております。
 この5つの海域の長年の平均水温を見てみますと、1つは冬の間に南と北では差が出ていることと、あとは水深の方でいえば一番奥の海域が20メートル以浅、それから先ほどの奥部というところが20から40メートル、あとは南部海域というところが40から50メートルぐらい、西部海域、ここは深いところでは70メートルぐらいあるということです。それで、南部の方は熱容量が大きいということで、水温の年格差はそれほど大きくない。
 塩分では夏の間に下がって、特にA海域、C海域でかなり、恐らく球磨川の影響を受けているということだと思われます。透明度で見ますと南の方が透明度が高く、10メートルぐらい。冬の間には10メートルぐらいになる。それに対して北の方ではせいぜい2メートル。
 北から南への縦軸のラインで密度成層を見ますと、夏の間はかなり密度成層が顕著にあらわれているということと冬の間はほんの一様であるということです。
 これは中央部の東から西へのラインでございますが、やはり夏の間にかなり密度成層が形成され、冬には一様になっているということでございます。
 長い間の水温、塩分、COD、透明度、BODというものを、これは1950年からでしょうか、90年くらいまでとってみますと、意外だったのは水温が全点で上昇傾向なんですが、ここのところを見ると2月より8月、湾奥よりは南部の方が傾きが大きい傾向がある。CODは上がっているような傾向があります。透明度は多少上昇傾向が見られます。
 あとは、有明海と桁違いかもしれませんが、貧酸素水塊というものはまだ検出されておりません。これは2003年9月にたまたまステーション3ぐらいのところで4mg/lぐらいまで下がったことがある。ですから、まだ貧酸素水塊というまでは進んでいませんので、八代海の環境保全という意味ではこれ以上悪くしないように、こういうものを指標にしてやっていくのがいいのではないかというような気がしております。
 これは八代海の流況でございますが、これは湾奥ではなくて湾央部の間違いでございます。こういう東流、西流時には湾口部で流速が速い。奥部ではその数分の1ということであります。
 今度は西流と、これも同じでございますが、湾央部でこちら側で小さい。
 これは八代海、数値計算でも見られまして、この辺に残差の非常に流れの遅い部分があって、あとはこの辺に大きな流れがあるだろうということです。
 八代海の、2-3の方の資料もちょっと見ていただきたいんですが、2-4ページですが。平均潮位、潮位差で言いますと1980年以降、有明海と同様に平均潮位の上昇と潮位の減少の傾向が見られるということと。2-5では固有振動が約3時間ということ。
 次は八代海周辺の降雨特性ということでは、この部分に九州山地になるわけですが、球磨川の流れているこのところ山間部に300ミリを超えるような雨が降っている。天草の方ではそれほど大きなのは降っていない。球磨川の年間流量を見ますと明確な傾向は見られないでこのくらいの値を示しているということでございます。流量の多い年と少ない年で見ると、やはり雨の多いような夏の時期にかなり流量が大きいということが言えると思います。
 球磨川の河川の水質でございますが、COD、T-N、T-Pは大体横ばいだということです。球磨川上流は水質区分ではAA、あとは中流がA、下流でBでございますが、大体1996年以降はこの水質は達成しているということでございます。
 資料の方の3-3を見ていただくと、これは図8では出水時の負荷量ということで、出水時にT-N、T-Pの移送量は下流域になるほど負荷が増加しているということ。
 3-4では流入負荷でございますが、それほど大きな年による経年変化としての推移は認められないということ。
 3-5にはダムによる堆砂あるいは、あとは砂の採取作業などがございます。これは見ていただきたいと思います。
 次は、八代海の堆積物でございますが、これは八代海の北側半分を示したもので、堆積物では長軸に沿って大体同程度の堆積物が分布している。東側ではシルト、中央部では細砂粒、西側と南部では中粒砂以上のものが認められると。
 表層の塩分が32psu、場所に物が堆積しやすいところにものがたまりやすいということもあるんでしょうか、堆積物表層1センチメートルまでのABSが高くなっているというようなことが見られています。
 これは八代海の今度は南側、この辺が八代から水俣、この辺が出水になるところですが。ここでは堆積物からは西側の海峡付近にかなり粗いもの、2番目が南部及び水俣側が砂質、北西部及び東部海域と中央が大体砂泥質、北部の島のあたりが少し粗めのものというようなこと、5つぐらいに堆積物の方から区分されるということ。堆積速度で見ますと球磨川が入ってくるのがこの辺と、あとは米ノ津川あるいは水俣川が入ってくるようなこの辺が堆積速度が値が大きくなっているということでございます。
 これは南部の方ですが、堆積物の重金属を調べておりますが、八代海ではほかの海域と比べてもそれほど変わらない。注目される水銀については全国平均と、2004年でほとんど変わっていないというようなデータが出ております。
 水銀が食物連鎖で動物プランクトンまでどうなっているかというような意味での値を見ますと、水俣湾で72年から2000年までに何度かは測られておりますが、総水銀では値が大分減ってきているということがお分かりいただけると思います。
 八代海の干潟・藻場について、これは西海区水研の方で調べておりますが、幾つかに区分がされて、その図でありますが、資料の方の5-2ページをごらんいただきたいんですが。これで見ますと表2では八代海の干潟面積、変化量と比率及び変化量に占める埋立の比率というようなことがありますが。八代海の東岸北部、八代市の金剛干潟でしょうか、この辺がかなり干潟の値が大きいわけですが、それが77年から2004年の間に87%ですから13%ぐらい減っているということになるでしょうか。
 表3の方では八代海におけるアマモ場面積の変化量ということでございますが、多くのところで非常に減っているということが、77年と2005年の比率で多くのところが5%、2%、非常に減っておりますが、八代海東岸北部というのがやはり、ここなんですが、ここが面積としては246%ということで、非常にふえて2.5倍ぐらいにふえているような値が出ております。実際には非常に密度が疎になっているということで。これは割合最近調べられたものですが、実際に見ているのとは多少感じが違うような気がします。全体に藻場、アマモ場は非常に減っているというような印象を受けました。
 5-3ページでは干潟と藻場について、1977年から2004年まで何回か調査が行われております。環境省調査あるいは水産庁調査が行われておりますが、77年を100として現在86.3%。藻場の方は77年の水産庁の100に対して残存率が64.8%。藻場が非常に減っているということが注目されるような形になっております。
 表5、5-4ページで見ますと、坪刈をやって実際にどのくらいの密度かというのを見ると、これも78年に比べると2000年ではかなり、何分の1になるんでしょうかね、かなり減っている。ですから、面積も減っているし、密度の面からもかなり藻場が減っていると、減少しているということが認められる。
 6-1に当たりますが、八代海の植物プランクトンについて。これについては継続して調べているようなデータが非常に少ないんですね。先ほど赤潮のことは赤潮が出たときが割合見た目にわかるということでデータが集まっておりますが、継続的に調べてきているというものが非常に少なく、たまたま1983年の10月から84年の11月、1年ちょっとの間に5回の調査が行われた、ここにおられます山田委員、あるいは鶴田先生などのデータがありますので、それと私どもが今度は2002年から八代海の8点で毎月1回、姫戸と水俣で、夏の間は週1回の調査をしております。そういうもののデータを比べさせていただいています。
 5回の調査が行われた丁度20年前の植物プランクトンの総細胞数で、単位はリッター当たり10の何乗と示されていますが、ここでは全域にわたって105から106/リッター。ということはミリリッターにすると10が多く、10はたまに認められるというようなことを書いておられます。
 この内容を詳しく調べますと、この海は先ほど話がありましたが、Skeletonema costatumとChaetocerosが割り合う。どちらかというとSkeletonemaの海であって、Skeletonemaを同じように細かく見ていくと、大体多い時で102のオーダーだったというふうな報告が行われています。その外に、その当時も夏と冬の2山ピークが認められたというようなことも示しておられます。将来の予測としてさらに富栄養化していくと東京湾のようにさらにSkeletonemaが1年中非常に細胞が多く存在するようになるのではないか。2山ピークではなくて年間を通じて優占するような予測もされています。
 今度は我々がこの8点と先ほど申し上げました姫戸、水俣、ここは週1で調べておりますデータです。
 今回は2004年度と2005年度、毎月のこれは全細胞数をステーション別に見たものです。ステーション1から6までは北から南へ。数値には随分違いはあるんですが、やはり鶴田らが報告したのと同じように、北に多く南に少ないような傾向は今でも続いている。鶴田らのときは102がほとんどで、103というのは少数だったと言っていますが、これで見ると総細胞数は103も随分ふえているなというのがわかります。
 これは1ミリリッター当たり1,000細胞以上のものを抜き出したものでございます。春、夏、秋、冬と見ていきまして、CHはChaetoceros、SKはSkeletonema、あとはその他ということで、ちょっとわかりにくいんですが、ここで1.1-3というのは1.1×10、ですから1ミリリッター当たり1,100細胞のChaetoceros。それは2ダッシュになっている、6月で2ダッシュですから、2ダッシュというのは2005年度だったというような感じで見てもらって、全体を見ますとやはり夏と冬の2山というのは全体言えるのではないかと思います。それと、Skeletonemaが北の方からステーション4ぐらいまでかなりSkeletonemaの海であるということがやはり続いているような気がします。
 その他ではThalassiosiraとかAsterionellaとか、あと実際には6-1、6-2には実際に認められたような細胞を書いておりますが。鶴田の予測から言えば、多少植物プランクトンから見ると20年前に比べて多少富栄養化してきているのかなというようなことかと思います。
 これはちょっと見にくいですが。これは動物プランクトンの方の、6-11ページを見ていただいた方がよろしいかと思いますが。弘田先生が調べたものですが。6-7の下の方にありますが、海域の外洋性あるいは内湾性ということを指標種として、AcartiaからOithona、ParacalanusからMicrosetellaあるいはOithona、similisからCorycaeusでしょうか。これは左側の上ほど内湾性で、右の下にいくほど外洋性の指標種が、そういうものをずっと1980年代だと思うんですが、調査をした結果では6-11ページの図1で見ますと、有明海の方はかなり内湾性の種類が全域にわたって分布している。それに対して八代海の方は、同じ内湾性のものは一番湾の奥部程度でそれより南の方では外洋性のものが非常にたくさん卓越しているということがわかります。
 図2にはそういう部分から動物プランクトンから見た海域の区分ということで、長島海峡から南部、あとは南部と北部の中間、さらに北部から奥部、4つの海域に区分しておられます。
 6-12ページの図4を見ますと、これは外洋性のかいあし類の出現状況で、これも随分前のデータでございますが、有明海と八代海と比べると大分違いがありまして。こういう生物の方から見ますと有明海に比べて八代海というのはかなり外洋性の種類が入ってきている。ですから、海水の交換が相当いいのではないかということを示唆しているかと思います。閉鎖度指数で言うと八代海の方が随分値は高くなると思いますが、こういうデータもあります。
 次は、赤潮のところが先ほどありましたので、今度は八代海の養殖業、水産資源ということで9-1ページをごらんいただきたいと思います。八代海でも北部の方では、一番奥部の方ではノリの養殖が行われております。ただ、生産量は有明海に比べると多分20分の1ぐらいになるかと思います。そういうところで、先ほどの山田先生の泥海域に相当するんですが、そういうところで見ていただきますと、平成13年から17年の豊凶の推移でございますが、ノリが非常に悪いということで。特に平成15年、16年、17年、凶作、不作が続いている。これがどうも冬に珪藻が多いと、珪藻赤潮になるということと非常に関係があるのではないかと思われます。ただ、ノリの海域の細かいプランクトンあるいは栄養塩のことはまだ十分調べられていませんので即断はできませんが、非常に厳しい状況だと思われます。
 次は、魚介類の養殖でございますが、八代海では大体現在年間1万8,000トンから2万トンぐらいの養殖生産量があると言われています。その中でブリの養殖を見ていきますと、ブリ類の養殖で一万四、五千トン、大体横ばいになっているということですね。経営体数は大分減ってきているということが言えるかと思います。
 トラフグ養殖については平成9年には1,850トン、59億円をピークに減少し始め、平成15年には688トン、20億円に減少した。経営体数も142から87に減少した。寄生虫や白点虫、そういったものがあったというふうなことが書いてあるかと思います。
 クルマエビの養殖は、9-4の方を見ますと、平成2年に548トン、それからだんだん減ってきて平成5年には150トンに減少した。平成8年450トン、さらに300トンに落ち着いているということですね。それで、36億円から12億円の間を推移している。経営体数が65から30に減少した。平成5年には中国産クルマエビ種苗とともに持ち込まれたウイルスによる感染症、これが非常に効いたということが言えると思います。
 真珠養殖でございますが、真珠も平成4年には6.9トンピークにどんどん減ってきているということですね。48億円から9億、本当に減少し、さらに経営体もかなり減っているということです。
 魚類養殖による環境への負荷でございますが、これは平成16年に調べられた値で、ブリとマダイを含めてこのような値が出ています。これについてはもともと生餌を与えた場合に魚が食べた部分と、海域にどのくらい散っていくかという点で、環境への負荷の計算手法がそういうものをもとにして今まで計算をされてきたということに対して、現在はドライペレットとか大分えさの種類も変わってきているので、今後もうちょっときちっとした負荷の計算法というものの開発が必要ではないかと考えられます。この計算法では、平成16年のところでも1日当たり、負荷がかなりの量になっているということは言えるかと思います。
 あとは、9-6ページには前のページのこれでは獅子島のあたりなんですが、そういうところでは夏、冬とも窒素の海底からの溶出というのがかなり高いことが、そういう値が出ています。
 次は、魚類資源でございますが、八代海の特徴としては水深が浅い東岸に広大な干潟があり、高い生産性を有している。湾奥部と浅海干潟部は主要魚族の産卵発生とその生育場になっている。中南部は外洋性と内湾性魚類の種類が豊富であるということです。9-7ページに八代海における魚類の漁獲量が出ていまして、2004年のところで約1万トンぐらいで推移しているということかと思います。
 熊本県の傾向としては、近年八代海では漁獲が多い漁種はカタクチイワシ、シラス、タチウオ、マアジなどで、あとはコノシロが2001年には7,000トン近く漁獲されていますが、一方マアジは減少傾向にある。タチウオ、マダイ、クルマエビ、これらは減少し始めている。カタクチイワシ、クロダイ・ヘダイ、スズキ、これも90年ごろから減少し始めているというようなことがあります。
 シラスは増加傾向にあるということですが、9-8にシラス漁業とシラスの再生産サイクルがあります。3月下旬から4月上旬に天草の西側の海岸あるいは有明海で産卵したものが4月に入ってきて、5月、6月、だんだん大きくなっていく間に漁獲されていく。
 それで、9月ごろ、当歳魚が産卵、それで10月、11月に獲られていく。
 コノシロについてはこれまでそれほど漁獲がなかったのが急に漁獲量が高くなったということは、養殖漁の需要として使われるようになったというようなことが考えられるということでございます。
 熊本県での水産資源の回復策としては、熊本県のアサリ資源回復計画、ヒラメ資源回復計画あるいは抱卵ガザミの漁獲規制というものを行ってきている。あとは、マダイ、ヒラメ、ガザミ、クルマエビ、こういうものについては市町村あるいは漁業協同組合等を中心に種苗放流が行われている。干潟域の作れいや覆砂、海底清掃、藻場造成などが実施されているというようなことです。
 アサリでございますが、アサリについてはちょうど八代海の一番奥の部分ですが、北部海域と八代海の湾奥東部地域あるいは球磨川河口域、こういうところが主要な漁場でございます。それぞれ一番奥部で705トン、あるいは東部で1,400トン、河口部で900~1,000トンというところが最高漁獲量だった。今は実際減少してきているというようなことでございます。
 駆け足で八代海について見てまいりましたが、水産資源についても横ばいあるいは大分減ってきている。干潟・藻場が大分減ってきている。先ほどお話がありました赤潮の問題、やはりいろいろ八代海についても再生に向けてこれから考えていかなくてはいけないことがたくさんあるかと思います。
 最後に、これはまだ途中経過でございますが、一番最後のページ、問題点と原因・要因との関連の可能性ということで、ここにはまだ検討中、途中経過ということでお示しいたしました。これについても我々もこれからも検討していく必要がありますが、ご意見があればお願い致します。

○須藤委員長 どうも、大和田先生、ありがとうございました。
 先ほど赤潮については本城先生からのお話もございましたので、合わせて八代グループとして何かご意見なりあるいはコメント、ご質問ございますでしょうか。
 では、どうぞ、菊池先生。

○菊池委員 少し補足を申しますと。1つは、アマモ場に関しては、大体1977年の調査というのが既にアマモの壊滅が起きた後なんです。大体1970年ぐらいまでで天草全域でのアマモが非常に減っております。このときは多分瀬戸内海も減ったんだと思いますけれども、ついに原因はわかりませんでした。外国なんかでウェイスティング・ディジーズというのはカビみたいなものですね、そういうのがもとになって非常に広大な面積でのアマモが消えたというのがありますけれども。私自身の経験でも、富岡というのは天草の外海の方にあるんですけれども、それから有明の内側の天草上島、下島の藻場もそのころ落ちています。あと、今度熊本県のプロジェクトであちこちのところで全部聞き取り調査が出ているんですけれども、ほとんどだめになったのが昭和40年代ということで、何か1つ大きな変転があったのだと思っております。それから比べてあとだんだんに減っていっているので、アマモ場全体的に、これは九州だけではなく全国的にそうなんだと思いますけれども、いわば一度ゴトンと落ちたところから後の変遷がここに表になって出ていると思います。
 それから、動物プランクトンは先ほど弘田先生のお仕事なのでたくさん出ましたけれども、ベントスが落ちたのは私の怠慢でございまして本当に申しわけありません。間に合いませんでした。
 あと、水産業、養殖業に関して言いますと、随分大量の人工種苗を放しているんですけれども、クルマエビについてもマダイについてもそれだけのゲイン(?)があるのかということについては水産の行政の方の中でもいろいろ議論はあるようです。ただ、今のところだんだんに下がっていくものを食いとめるのにはやはり種苗生産、放流しかないのではないかということで続いているんだと思います。
 先ほどクルマエビとマダイのところで少し先生からもお話ありましたけれども、あれは日本国内でちゃんと熊本県の水産センターでの種苗をつくっているのに、それが高いというので香港から買ってきたそれに、どうもウイルスらしいんですけれども。丸1年養殖場を干して、それから水を入れて新しい種苗を入れたらまた全部死んだということで、結局3年ぐらい尾を引いたと思います。ですから、これは安物買いをするとものすごいしっぺ返しを受けるということの1つの教訓にもなったんだと思います。
 それからあと、ブリ、トラフグというのは目玉ですけれども、その後いろいろなものをやっています。マダイも非常に大きいんですけれども、そのほかにこのごろはシマアジですとか何とか、とにかく多様化することで、ブリだけがたくさん、ハマチ、1年で出すのが多いんですけれども、そればかりでやっているとどうしても値が落ちるので、多角養殖というような形で進んでいるんだと思います。
 ですから、アサリのところなんかを見ますと、一番最近の悪くなってからのでは500トンないんですね、300トンとか。これは干潟の面積が非常に小さいので有明海の長大な干潟に比べると。そしてしかも一番奥のところというのは球磨川の出てきたすぐのところは港湾ですから、それから北へ上がると泥っぽくなっていますので、だからそういう意味では緑川が泥っぽくなって生産が落ちたと言っているような状況。あるいはもっと進んだ状況が一番下の入り込んだ隅の方、そこには数本の比較的小さい河川が何本か入っているんですけれども、それがみな全部泥を運んでいるんだと。

○須藤委員長 どうも菊池先生、追加ありがとうございます。
 まだたくさんご質問なりコメントあろうかと思いますが、大分時間を経過いたしましたので、大和田先生、どうもありがとうございました。まだまだ作業グループでのお仕事を続けていただかなければならないかと思いますけれども、先生方の方でもさらにいろいろご意見やコメントございましたら、文献やこういうようなデータ等合わせて事務局にご提出してください。また、関係省庁、関係県からもいろいろデータがあれば、特に八代海についてはまだ不足しておりますので、ぜひお届けいただければと思います。
 次に、小委員会からの報告に移ります。前回の評価委員会のときに荒牧委員にお願いいたしましたとおり、岡田委員、細川委員による作業の結果につきましては、先般9月11日に開催されました小委員会におきましてもご検討いただきました。合わせて、有明海・八代海における再生方策の具体的な進め方についてもご議論をいただいたところでございます。私もこの小委員会には出席いたしましたが、多くの貴重なご意見をいただいたというふうに認識をいたしております。
 先般の小委員会の議論の概要につきまして、小委員会の荒牧委員長の方からご報告いただければと思います。荒牧先生、お願いいたします。

○荒牧委員 時間の関係もありますので、詳細については議事録を参考にしていただければと思いますが。かいつまんで説明をさせていただきます。
 事務局の方からアサリ、タイラギと底質及び底質の泥化というものについて、この評価委員会で報告された資料をもとに説明をいただきました。検討しております内容については小委員会の委員の方がおおむね了承するという、そういう方向だろうということで了承されました。
 それに加えて、検証作業を進めるに当たっての留意点、それから現場の水産センターのセンター長さんがたくさん出ておられますけれども、その最近の水産資源の状況等をつけ加えて指摘がありました。
 それからさらに、有明海・八代海の今後の特に水産の視点から見た再生策というものをどう自分たちは探っているかということについても意見がありましたので紹介させてください。
 まず、アサリ、タイラギと底質の関連についてですけれども、粒径分布というのは確かに効いてくると思うけれども、先ほど菊池先生からもお話があったと思いますけれども、基盤の安定といいますか、動かないこと、動いてしまうことがどうもアサリにとっては非常にまずいというか、基盤が安定していないとちゃんと育たないということを考えておられるようです。
 着底した稚貝が四、五ミリまで育つまでの間、嵐とか潮流とかに流されないということがどうも一番最初の条件のような気がすると。基盤の安定について、覆砂というのは非常に役に立つということは理解しているんだけれども、それだけではなくて細砂であるとか砕石であるとか、それ以外の人工的なものでもいいから何らかの形でそういうことを施してやることが安定につながるのではないかということでした。
 それから、もう1つ貴重な情報としては、干潟域のタイラギは比較的安定的に採れているという認識がある。昭和62年から覆砂をしているというので、その覆砂をしたところについて干潟域については泥質が改善されて結構持続しているというのではないだろうかというふうに考えておられるようです。
 それから、ことし諫早湾において長期間にわたって貧酸素水塊が観察されたけれども、アサリの大きな被害は報告されなかった。そのことから、シャットネラ赤潮が出ていないためにそういう被害が起こらなかったのではないだろうか。だから、自分たちとしては大量斃死の原因が貧酸素というよりむしろシャットネラ赤潮の方が効いてくるのではないかという実感を持っていますということでした。
 それから、ことしは貧酸素が例年よりひどいと感じているけれども、タイラギが残っているというふうに自分たちは感じている。そのことが特異的な年のような気がするというふうにおっしゃっていまして、ただそれが原因が何であるかということについてまではまだわかっていないということだと思います。
 それから、基礎生産物の珪藻プランクトンの発生がことしはどうも少なそうなので、貝の実の入りが非常に悪い。量というよりもむしろ実の入り方がすごく悪くなっているよという報告もありました。
 それから、赤潮の増加、大規模化について、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、発生件数だけではなくて、赤潮の規模を正確に把握するための方法論というのが確立できないだろうかというようなことも出されました。すなわちボリュームを出せる方法というのはないのか。先ほどは発生件数×日数で、日数で投入する話が出ていましたけれども、何らかそういうことをおっしゃっていたんだと思います。
 それから、先ほどちょっと出ましたけれども、1984年以前というのは赤潮を正確に把握していなかったような気がすると、自分たちは。先ほど本城先生もおっしゃっていましたが、84年以降ならば何とか自分たちもはかってきたし、それから以降でもふえてきたなという感覚があるので赤潮が増加してきたということについて現場でもそうだと思っているというような、感覚的にですね、そういうふうにふえているというふうに理解していると。特にラフィド藻による有害種が件数としてふえているような気がするというのが現場の方々の意見です。
 それから、長期間同じようなやり方できめ細かい赤潮の調査をやっていないので、もうちょっと調査方法を検討する必要があるだろうということでした。
 それから、再生方策について、特に現場ですので再生策が非常に緊急で、皆さん方もいろいろな形で模索をされているようですけれども、確かに覆砂は効果があるというふうに理解しているけれども、もう砂の入手が困難であって、それに変わるものを考える時期にきていると。例えば細かい石であるとか砕石であるとか、新たな覆砂材の開発が必要だろうということを考えている。
 それから、対策としてノリについては高水温、低栄養というところの状況に移っていくようなので、それに強い品種改良ということも考えていくということです。
 それから、アサリについては最終的には漁業者による資源管理が非常に重要だと認識しているということでした。特にほかの県においても二枚貝については漁場の管理、先ほど出た泥質の部分と、それから資源を管理する漁民の方の資源管理、この両方をやっていかないと安定生産に結びつかないというふうに認識している。
 それから、貧酸素発生水域から他の水域へ移植をするというようなことで切り抜けようというような方策も考えているということでした。
 それから、魚類養殖の赤潮被害について、赤潮の予察、あらかじめ赤潮が発生することを予測するということと、そのことを漁業者にどうやって情報提供してその対策を練るかというそういう指導のソフトウェアとしての対策についても自分たちは検討しているという報告もありました。
 もっと2時間以上にわたってたくさんの現場での報告がありましたので、かいつまんで今お話ししましたけれども、議事録が公開されておりますので、そちらの方をごらんになっていただければ現場の方々の有明海に対する感じ方あるいは現在の感じ方というんですか、そういうふうなものが理解していただけるのではないかと思います。
 以上、報告を終わります。

○須藤委員長 荒牧先生、どうもご報告ありがとうございました。
 今後とも評価委員会の報告のとりまとめの過程で小委員会の委員の先生方には現場の状況を踏まえたコメント等を、今もお話しいただきましたが、いただきまして、評価委員会での議論に反映できればと考えておりますので、荒牧先生、どうぞ引き続きよろしくご配慮いただきたいと思います。
 次の議題は再生関連事業についてでございますが、本日は楠田委員、滝川委員から、現在進めておられます有明海関連研究プロジェクトの状況についてご報告をいただくことになっております。続けてやらせていただきますが。最初に楠田先生の方から、有明海生物生息環境の俯瞰型再生と実証実験。続いて滝川先生の方から、再生への取組~現地試験と再生策の検討~と、一括してご説明を順番にいただいて、そしてご質疑をいただくということにいたします。
 それでは、楠田先生、お願いいたします。

○楠田委員 楠田でございます。では、ただいまご紹介いただきました課題で説明を申し上げます。これは科学技術振興調整費の重要課題解決型研究として採択されたものでございます。
 本研究の最終目的は、大上段に構えておりますが、「有明海を、豊饒で人々に安らぎを与えることのできる海として再生する」としております。
 研究の基本的進め方なんですが、問題解決を目指すということでございます。これは研究費が「重要問題解決型」のためであります。そのために研究を俯瞰型で進める。いわゆる分析型の細かい方法をとる部分も、未知の事象の部分はございますけれども、全体としてはいわゆるトップから下の方を見るという方法で進めることにしております。そのために科学的なブラックボックスをそのままにして仮説により研究を進めることも是認いたします。
 研究推進体制ですが、右側にございます機関にご参加いただいております。進め方でございますが、まず生物生息環境再生の目標像を設定しよう。それに達成するために方法論を検討し、そしてその支援ツールとして生物生息モデルを開発しよう。当然、モデルのケース決定等には未知の事象が多数ございますので、それに必要な事象については別個検討するということになっております。
 その成果を入れてモデルでシミュレーションをかけて再生施策を検討するということにいたしました。個々にそれぞれの再生の対応策に相当します個別技術があります。覆砂をするとかの対策技術を応急措置型の技術と持続型の技術とに分けておりますが、それをこの再生施策の中に入れて、このモデルに従ってそれぞれの対策技術の有効性を明らかにする。それをもって全体を含めまして環境評価をやって、最後の判断がイエスかノーかということをやって、ノーでしたらまたフィードバックを、イエスの場合には最終的なものをとりまとめて得られた知識をいわゆる体系化しようというふうな枠組みになっております。
 それでは、順番に説明申し上げます。現在の問題認識のところですが、スタートしましたのが1年ぐらい前なんです。そのときに考えていました認識と現在と少しずれているところがありますけれども、とにかく漁獲高の減少があるということ、それから生産物の品質が不安定化しているし、生物の多様性が減少している。これをひっくり返したものは恐らく透明度の増加であり、貧酸素水塊の拡大があり、底質の有機物の含有率の増加であり、微量汚染化学物質の蓄積もあり得るのではないか。また、これらをつくり出しているものが平均水温の上昇であり、干潟の減少であり、海域の静穏化、潮流の減少とそれから波浪、波の方の減少。それから、陸域からの負荷等々があるのではないか、そういう想定に立ってこの課題を設定いたしました。
 まずは再生目標の設定なんですけれども、当初この数値を、例えばアサリですと最高が6万トンで、今の日本の全生産量が3万6,000トンのときに4万トンのところにラインが引いてあるのはちょっとおこがましい気もするので、これは夢の数値で、実際は2万トンとかもう少し低いのがよさそうなんですけれども、一応理想はこの辺にいけばみんなにこっとしてくれるだろうというところに線を引いて、それをスタートにいたします。でも、この目標値を達成するために強引にそれをやっていくわけではありませんで、最後の全体の対策とかを考えたときに、もう一度この値は見直されるということになります。
 それで、全体の考え方としましては、ここでは指標生物を導入しようということになります。アサリ、サルボウ、スズキを選びましたけれども、砂質干潟の典型性のアサリ、それから泥質浅海域の典型としてのサルボウ、これらはどちらも底生でありますから浮遊の魚としてスズキを選んで、上位性としての魚をとった。これらを何とかその生活史を全部追っかけて、有明海の中で何とかいけるようにすれば、ほかの生物種もうまくいってくれるだろうということで指標生物を設定いたしました。そのほかいろいろ指標生物の候補はたくさんございました。
 この3種を対象に生物生息モデルを構築することになります。この生物生息モデルは幾つかのサブのモデルからなっておりまして、流動モデル、それから低次生産モデルあるいは水質モデル、それから底質モデル、高次生産モデルと流域の水文モデル、物質の負荷のモデルからなっております。
 高次生産モデルは干潟の生態系、それから浮泥の流動、浮泥の流動の中にはいわゆる幼生の分散機構も含まれております。それから、化学物質の挙動モデルと貧酸素モデルというふうなサブのサブのモデルが入っております。
 生物生息モデルの基本設計、詳細は時間の都合で割愛させていただきますけれども、生活史と流動モデル、メッシュの刻み方はここに書いてあります。それから、低次生態系モデルの時間計算の条件は記載のとおりで、干潟のモデル、陸域のモデルで構成をいたしました。
 それで、生物生息モデルによる評価のポイントですが、貧酸素水塊の発生量についてはサルボウガイを対象に検討できるか。それから、底質の変化、細粒化あるいは有機物の含有量の増加、それから地形の変化はアサリを対象にできるだろう。それから、化学物質というのが現在まだ不明なんですけれども、これは生態系のリスクの低減というところで検討。それから、有害赤潮、特にChattonellaの発生、それから栄養塩の管理ということで、植物プランクトンとノリの競合の関係。それから、先ほど来お話のありました浮遊幼生の輸送のモデルというところにかなりポイントを置いています。
 これはアサリの生活史の卵からD型幼生、仔貝、稚貝、未成貝、成貝1、2、こういうふうにこのパターンの中でそれぞれの時期、産卵期とかそれぞれの時期に応じてどういうものを検討しないといけないということの一覧でございます。詳細はお手元の資料をごらんいただければと思います。
 流動モデルですけれども、この研究をスタートさせるときにもかなり強く言われたんですけれども、第三者委員会のときのものでは不十分で、それを改善するように言われておりまして、現在とっております方法は、温度躍層の再現のところの問題がありますので、上層部と下層部を分けていわゆるσ座標といわれている伸縮できるタイプの座標系にしております。通常のσですとこういう格好で出てくるのが、上に変わりにくい層をつけてきちんとかなり出てくるようになりました。現在ここまで改善ができております。これは過去のデータを再現している例なんですが、低水域の大潮の満潮期にはこういうパターンであって、干潮のときにはこうなるということであります。この表示しています画面は、ちょっと図がありませんけれども、筑後川から真北に下りたラインを切ったときのものでございます。
 それから、これは低次生態系モデルの底質のモデルを合わせたものでございますが、これは普通のパターンのものですね。動物プランクトンまでを入れてます。植物プランクトンはノリと底層とラフィド藻を分割している。あとは、通常出てくるタイプのものであります。底質の方はメイヨベントス、それから、当然、アサリ、付着珪藻、それからいわゆる堆積物食者までを入れてございます。
 それから、貝類の浮遊幼生の輸送・分散は、産卵から散っていくというところを計算して。これは今日お見えになっております小松先生にご担当いただいてございます。
 いろいろな現象とモデルとの関係をつけていまして、抜け落ちのないように極力努めてございます。
 今、有明海にとりましてまだ未知の事象としてかなりのものがございます。1つは、圃場整備によります水田からの流出物の変化というところでございますが、これは柳川のところで農工研の中さんにお計りいただいている部分です。クリークのあるところを圃場整備した後、ここの出口のところにちゃんとこういうゲートがついているんですけれども、ここから排出物がどういうふうに変わっているかということで現在お計りをいただいております。この夏の数値が出ておりますけれども、もう少し長期間の値が欲しいということで、現在継続をしていただいております。それで、いろいろなところで出てまいります鉄の負荷量もおはかりをいただいております。
 それから、これは微細粒子の浮遊動向をおっかけるということで、これも小松先生にお願いをしている部分でございますが、ブイを浮かべて流れていくところを追跡していただいて、その間の鉛直方向の流速分布を追っかけてくださっております。こういうのがわかってまいりますと、いわゆる微細粒子がどういう形態で動いていくかというのがより一層明確になりますし、その幼生の着床場所というのも追っかけられると思っております。
 それから、これも基礎研究のうちの1つですが、少し長い目で歴史的にどうなっているかを追いかけたいということで、これは熊本でコアーを抜いて調べていただいた例です。カドミ、クロム、水銀、砒素、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、それから鉛と亜鉛というふうになっています。ごらんいただいて、このふえているところがありまして、これがちょうど72、75年、83、86年ということで、大体このあたりで毎年7ミリ堆積しておりまして、20年間86から2006まで20年間で大体14センチほど浅くなっていることや過去に何が起こったかというふうなことも想定できるようになっております。大きな変化があったということは読み取れると思います。
 それから、もう1つは地下水によります有明海への負荷がよくわからないということで、今大浦沖のところで浸透水量をはかっていただいております。CEというのは海底から出てくる総量なんですけれども、それに濃度を掛けると負荷量がそのポイントでは出てくるということになります。また、あと同位体比でどの程度の変化か、地下水と出てくる水と表流水との違い、大きな特性の違いがあるのがおわかりいただけます。これは後ほど申し上げますけれども、このポイントデータをどういうふうに全域での負荷量に直すかというところが課題でございます。
 それから、未知現象のうちのもう1つは、赤潮プランクトンの生育と環境要因の解明でございまして、これは本城先生がしてくださっている部分です。植物プランクトンの変遷を調べていただきまして、2004年の9月、11月の結果とリゾソレニアの分布図。赤はAkashiwo sanguineaですね、こういうふうにそれぞれヘテロシグマの部分ですとかの変遷を全部現在調べていただいております。Heterosigmaのケースの場合は2005年5月の部分はこうで、それからSkeletonemaのところはこうなっているというふうにちゃんと全部お調べをいただいています。
 さらにより細かい科学的なところでは、この種間の競合もお調べいただいておりまして、Skeletonemaとほかの種類、これはChaetoceros……

○本城委員 SkeletonemaとChattonellaの関係を。

○楠田委員 その混ぜたところで……

○本城委員 Chattonellaが減少したと。

○楠田委員 Chattonellaの方が減少してくる。この四角の方が減少してくるということで。これでその一方は生き残っているわけですから、こういうふうな複合的なところまで科学的にどんどん解明されるようになっています。
 それから、このほかに未知の現象といたしましては、九州大学の森先生にお願いしている部分ですが、非水産対象生物を全域のメッシュ点で400点ぐらいでとってくださっているんですけれども、全部底生の生物を中心にやっていただいております。新種も何種類か見つかっているというお話をちょうだいしています。
 それから、水温上昇の影響は、さきほどお話がありましたけれども、長崎大学の山口先生にお願いして調べていただいております。
 それから、個別技術、いわゆる対策技術を紹介させていただきます。対策技術には物理的な技術と化学的な技術、それから生物学的なものがあると思われます。有用水産生物を利用した水質浄化というのは生物学的なものに入ります。それから、物理的にはいわゆる潮汐の大きい有明海の特性を利用して自然力を利用して底質を改善していくことが考えられる。さらに化学的なものには改良剤をばらまくということもありますが、ここは囲繞堤という、これは佐賀大学でご担当いただいている部分なんですけれども、こういう囲いをつくって、その中の底質改善を行うというふうな方法もございます。これは物理、生物――ちょっと、手法は物理的なんですが、内容は生物学的なものでございます。そのほかいろいろ試みているところでこの太い枠のところが現実に私どもがやっているところでございます。
 まず、底質の中にはかなりの、3%か4%の気体が入っております。ですから、6メートルとかの潮汐変動がありますと0.6気圧変動するわけで、その気泡が大きくなったり小さくなったりする、そのために間隙水が鉛直方向に輸送されることになります。当然有明海で毎日それが起こっているわけなんですけれども、それをさらに分解してやろうということでこういう、これの中はすっぽんぽんなんですが、それをひっくり返して突き刺して海の中に入れます。実際に現地ではなかなかデータがとれないので、実験室で加圧してやるとちゃんとその鉛直方向の輸送量というのは加圧力に対しまして動いてくれるのでよくなるはずだということになります。
 それで、当然、上下の方向に水の量は透水係数によります。こちら側がほとんど砂で、こちら側が粘土質の場合ですけれども、ちょっと粘土の方が動きがゆっくりしているのがおわかりいただけるかと思います。そのときの潮位差がここに出ております。こういう計算で確かにこれは効いているということはよくわかるんですが、最大の欠点はコスト高でして、こんなに詰めて有明海全域に埋められるかという最大の問題がありまして、今のところはもう少し安いもので何かまけないかというふうなことを考えております。
 それから、これは干潟なぎさ線の回復技術ということでございます。これは後ほど滝川先生からご紹介いただけると思いますので割愛させていただきます。
 それから、人工潟湖の干潟における物質収支機構ということで、これも滝川先生に後ほどご紹介いただきますので説明は割愛させていただきますけれども。この物質収支機構と、それから熱の収支は干潟モデルのところの係数決定にどうしてもいるものですから、それをおはかりいただいていると。今これは熊本だけのものですから、有明海全域を考えますと、もうちょっと奥の方の干潟もいるものですから、来年度は2測線、このような場所を2測線つくって観測しようということにしております。
 それから、これは熊本県立大の堤先生にお願いをしている部分なんですけれども、アサリの生育の場所で、クリンカアッシュをまいても十分育つんだということですが。中に入っている重金属の影響がどういうふうに効くかというところを中心にお調べをいただいています。それについては対策技術として採用できるのではないかということでございます。
 それから、潜水漁業の、特に西側のところの潜水漁業が壊滅的なことになっておりますので、何か違うものがないかということで、牡蠣を養殖が大浦の沖でもぼちぼち始まっておりますけれども、もう少し本格的にできないかということで、有明海全域への影響の検討も始めております。それぞれボックスの中に何万個体ほど置くとそこのプランクトンがどう下がるかというシミュレーションをやり始めておりまして、実際にぶら下げながら成長速度等をほかの海域との比較でもってチェックしております。追加していくと貧酸素水塊の影響は避けられるんでけれども、牡蠣礁自体は、ノリヒビを立てるために壊されているというようなつらいところがあります。調和方法を探したいというふうに思っております。
 それから、これは佐賀大学にお願いしております囲繞堤でございますが、こういうイメージ。これがこの一画でダーッと並ぶわけなんですけれども、この中にこういう廃ガラスを破砕して発泡剤を入れて比重をこの大きさに対して沈降速度が並ぶように設定をしたものを入れながら混ぜて積んでいく、こういうタイプのものをたくさんおつくりいただいていて、それぞれお調べをいただいております。うまくいくと思っていましたら、台風が来ていろいろ大変なことが起こっておりまして対応に走り回っています。現在、佐賀の水産海洋技術センターでお調べいただいています例でいきますと、縦が個体数で、2種類ありまして、囲繞堤を構築して堤内を覆砂、耕耘混合する場合、そのときに底質改善剤を加えているものが赤で加えていないものが青なんですけれども、今発泡ガラスが、ちょっと調子が悪い。でも、成長はそんなに変わらないということになっています。これは今のところの状態ですので、あと継続調査が必要かと思います。
 今後の計画ですが、先ほど申し上げましたように、有明海の全容をできるだけ早く把握できるように、干潟の観測線を増設するということ。それから、非水産対象生物の全域調査というのが現在まだ目が粗いところですので、もう少し詰めてやりたい。それから、地下水による負荷の全域算定技術の開発は、これはランタノイド系の物質を使うと保存物質として働いてくれるというのがわかりましたので、それをこの秋はかることにしております。
 それから、堆積物の有害な化学物質の調査、それから重金属の調査というものが意外とありませんで、特に化学物質のものは泥のところを中心にとって5種類ほど分析するようにしております。
 それから、冒頭にも申し上げましたけれども、この作りましたモデルを走らせながらそれぞれ囲繞堤ですとか干潟の再生とかそれぞれの個別対策技術が有明海に対して全域どのくらいまで適用できるのか、あるいは適用したときにどういう効果があるのかというのをシミュレーションによって感度解析をきちんとやって、その技術の価値を評価したいというふうに思っております。
 それから、地下水と同じなんですが、点観測、定点観測したデータをいかにシミュレーションのときに面平均値化して精度よく使えるかというところにはかなり工夫がいるというのは認識しております。
 それから、再生に向けた社会事象の考慮と申しますのは、この場では余り関係ないんですけれども、漁業従事者の平均年齢が毎年11カ月ずつぐらい上がっておりまして、アサリがなくなる前に漁業対象者が減っちゃうのではないかというふうに懸念しておりまして、何のための再生整備かといういわゆる社会問題が別途ありまして、そちらを忘れるわけにはいかない。
 それから、もう1つは、輸入のノリの値段が非常に安くなっておりますので、今関税障壁をつくって防いでおりますけれども、あれを外されると途端に売れなくなるということで。売れなくなるからどうだということではなくて、ブランド化をしながら高品質のものをちゃんと提供できるという、要するに漁業従事者の家庭の収入をいかに確保するかということが実は有明海再生の本当のおおもとの社会的なニーズになっているのではないかという理解で全体を進めています。
 それらを含めて俯瞰型再生手法というものを確立したいと。
 結局、このプロジェクトの枠を超えて問題として残っていますのが、研究者の専門性をつなぐ施策がない。研究者の方は論文を書けばいいだけであって、有明海の再生は次の話、悲しいながら。
 それから、いわゆる有明海を担当してくださる行政組織がない。分担ではあるんですけれども、総合的にやってくださるところはない。
 そのほか、有明海の再生に必要な統合情報とか、小委員会でまとめてくださっているようなものがもっとあってもいいのではないかということでございます。
 それから、水産業への貿易の影響については、先ほど申し上げましたけれども、もう少し社会に海外の事情を含めて正確な情報を伝える必要があるのではないかというふうに考えております。どうもありがとうございました。

○須藤委員長 どうも楠田先生、ご説明ありがとうございました。
 それでは、続いて滝川先生、ご説明をお願いします。

○滝川委員 それでは、再生への取り組みということで、私どものところで現地の個別事業ということになりますが、ご紹介させていただきたいと思います。
 我々のところで取り組んでいる再生へ向けた研究ということなんですが、楠田先生からご紹介ありました干潟なぎさ線の回復あるいは底質改善のための人工巣穴装置を考えそれを実施して、あるいは押え盛砂工法ということで海岸の防災と環境保全というものをうまく一致させた、その両方をねらったような工法というものの紹介。それに潟湖干潟ということについて、そのほかいろいろございますが、順を追って時間の範囲の中で紹介させていただきたいと思います。
 まず、現地実証実験ということをご紹介させていただいた後、時間があれば熊本県における再生方策、さらには沿岸域の環境と防災の調和を目指したような再生のあり方ということにも触れさせていただけたらというふうに思っております。
 沿岸の環境というのは地圏、水圏、気圏という環境基盤の上に生態圏という4つの圏が非常に複雑に入り交じっていますよというふうなことでございまして、環境の再生ということを考える上では非常に総合的な観点というのが必要である。再生のための基本的な改善と処方箋の基本柱といいますか、それを考える時点におきましては、まず最初に人為的なインパクトの低減、それに気圏、地圏、水圏というのがございますが、地圏に対するアプローチ、特に底質環境が非常に悪いといったことで干潟環境の回復改善に対するアプローチがあるだろう。それともう1つは水に対するアプローチ、河川・海域への流入負荷の削減あるいは流況改善等々が考えられるであろう。これが基本ベースだというふうに思っております。できること、できないことがあるわけですが、基本的にはそういう立場であると。
 まず最初に、現地実証実験ということで、なぎさ線の回復ということをここで見ております。これは宇土半島の南側のところで海岸沿いに昭和40年代から平成ぐらいのところで海岸沿いに道路が走ってしまった、つまりここのところの生態系が連続性、地形の連続性というのが失われて、道路護岸による陸域と海域の区別、遮断というのが起こっているという実情がある。こういった写真を見ますとこんなように道路護岸ができてしまっているということ。あるいは高潮堤防のために非常にそびえ立つような状態になってしまっているというようなこと。あるいは海岸式護岸等や海水浴場等で非常に人工化が進んでいったということでございまして、こういった海岸の人工化というのは有明海で平均的に考えますと、人工海岸及び半自然海岸といいますか、それを合わせると大体70%近くが人工化されているということでございまして。海岸の人工化が進むということで、なぎさ線が失われる、あるいは干潟が減少する。その結果、土・水・大気が触れ合う場がなくなってしまう。あるいは生態系と地形の連続性がなくなる。干潟の平坦化と前浜が消失する。雨水・地下水の浸透がなくなってしまう。あるいは植生・生態の場の喪失。土砂供給の減少といったさまざまな悪影響が考えられるというふうなことで、干潟のなぎさ線をひとつ回復してみようじゃないかということで。従来この潮間帯というのがあるわけですが、現在の人工海岸等ができまして、まさに満潮のときにもコンクリートとの境界しかないということで、その前面にこのようななぎさ線といいますか、浚渫土砂等を用いながら、前面にそういったなぎさ線を造成していくということであります。
 そういったことで連続した地形、生態系というものを回復する実験を初めておりまして、これは熊本新港の東側のところが平成17年、北側のところに18年、ことしできたばかりですが。突堤のところはこういうふうに盛り砂を出したような形の状況に、実は連続して写真を見ていただければいいんですが、ちょっと盛り砂を突状に出しまして、これがこの回りに潜堤、通常潜堤をつくるときに囲ってしまうんですけれども、これは外界との生き物の連続性、地形の連続性を保ちたいというようなことで、あえてチドリ状に配置いたしておりまして、さらにこの曲線を安定曲線と思われるような鎖状曲線にして、自然的な条件というのをできるだけ満足するようにしているということでつくったものでございます。
 突堤を出した上に砂をまいて、しかも手前のところといいますか、これは植生のことを意識しましてここのところにビニールシートみたいなものを敷きまして、ここに雨水を直接ためるということもやっております。その結果、こういったものをつくったと。
 それから、18年度におきましては、北側の護岸のところに同じように突堤を出したこの区間50メートル四方ですが、下の方に浚渫土砂あるいは浚渫土砂と砂を混合したものを表面に置きましてなぎさ線をつくって。これは北なぎさ線の状況です。当初ここの真四角の突堤の間のところだけに砂を置いていたんですが、この前の台風13号がやってまいりまして砂がどうなるかなと思ったんですけれども、最初の設計図面のとおりこっち側の方へ崩れて落ちてきて、非常に予定どおりの形になっております。きれいな形になっております。
 目的としましては、こういう普通の海岸に構造物をつくっちゃうとどうしても直の護岸になってしまう。そういったところにできるだけ突堤を出したり、あるいはこれは野鳥の池なんですが、そういったところにくぼみをつくるということで、直の護岸のところにできるだけ汀線を長くするというふうな意味合いを持っております。そういった形でやっております。
 あとは、造成の経過なんですが、東なぎさ線をつくった後、即こういうふうな回りの潟土がたくさん混じってきまして、特にこの周辺部といいますか回りの潟干潟等のところにたくさん生き物がふえてきた。直後の11月にはこういったゴカイがついたり、あるいは細かい、これは貝なんですが、貝といったところがついているというふうな状況でございます。
 そういったところの追跡調査という形で地形調査あるいは底質調査、生物調査等の振り分けというふうなことを進めてきております。これは造成直後から地形がどういうふうに変わっていくのか回りの状況とどういうふうになじんでいくのかということをちょっと追跡しているということで。先ほど来の台風13号というのが来てちょっと心配だったんですが、その内側の方、突堤をつくった内側のところにもかなり砂の移動がありましたが、逆にかえって水たまりといいますか澪とかそういったでこぼこができて生き物にとっては多様な場といいますかそういったものが形成されているというふうな状況でございます。そういったところで巣穴等もどんどん増加してきていると。
 お手元の資料にもあると思いますが、それぞれの標高と汀線の方向に向かっていろいろな生き物がどういうふうに育ってくるのかといったことを追跡調査。アサリ貝がどうか、最初はことしの4月ぐらいに3種ぐらいであったのが最近は20数種にふえてきているというふうなことも確認されている。そういった場に鳥がやってきて、あるいはそういったものを、ゴカイ等を食べているというふうな野鳥の憩いの場にもなってきて。アサリ貝がそういった直後ぐらいから着底したんだろうと思いますが、今成長していることがうかがえる。また、そして非常にたくさんの巣穴というものも確認されております。
 あとは植生というのもちょっとやっておりまして、現在もかなりそういった雨水とかそういったものが流れ込んできておりまして、上の方にも植生がそのまま残っているという状況です。
 それともう1つ、意外だったんですが、そういう浅いところ、浅場をつくるというふうなことでなぎさ線をつくりましたらごみがたくさん集まってきまして、ごみの収集機能と言ったら変なんですが、これが逆に困っています。これは1つの標識がありまして、道路標識といいますか道しるべみたいなもので山の上にあるもの、そういったものが流れ込んできて、非常に困っているということと、ごみの収集機能がありまして。こういったものがそのまま海の中へ多分残ってしまうと掘り返されたときに硫化物、低酸素状態というものも懸念されているわけでありますが、そういったものに対する懸念をいたしております。
 あとは、2番目になりますが、人工巣穴ということで、これ人工巣穴という名前でありますが、底質悪化の対策として、微生物をどう活用するか、そういった角度から調査を進めているものです。有明全体において非常に泥化が進んでいるというようなこと、硫化物が大変増加してきているというふうなことがございます。そういったところで海域全体に硫化が進んできて、負のスパイラルといいますか、海域環境の悪循環に陥っているというものでございまして、これを何とかしたいというふうなことでございます。
 その浮泥対策あるいは泥化した底質改善の基本的な考え方としましては、浮泥原因に対する対策、栄養塩等の削減あるいは流況改善によってできるだけそういったものがたまらないような工夫をするということが考えられる。それと、現在泥化してしまってどうしようもないような底質の有機物・硫化物の蓄積した底質というものに対して好気的環境をつくり出したい、そのためにバイオターベションあるいは従来から行われているような浚渫・海底攪拌等々がございますが、そういったものが考えられるであろうというふうな観点を持っておりまして。
 ここで注目しましたのは、泥化した底質そのものを何とか余りエネルギーをかけずに直せないかと。これは生物が非常に豊かであった底生生物が非常に多かったころというふうなイメージをしますと、やはりこういう干潟の中に巣穴をたくさんつくっているということで、現在そういったものがないという環境になってしまっているというところがございますので。そういった場所にあえて、これは簡単な模式図ですが、パイプみたいなのに穴の空いたやつを差し込んでおいて、そしてそれに今干満の差が非常に大きいというようなことで、その水圧を利用したような新鮮な海水を底泥の中に送り込むというふうなこと。それと同時に、地上にパイプを入れていますと流れが生じたときに今度回りに乱れ等が発生して、浮泥がたまりにくいのではないかというふうなこともちょっと期待して、そういったものを設置して。
 そのモデルとしまして穴空きパイプみたいなドレーンというものが、これは蛇腹のようになっていまして、ここのところがすき間が空いたような布状のもの、そういったものをセットして直立の形あるいはこういうU字型のパイプみたいなものも設置しました。これは非常に以前よかったんだけれども、最近どうも泥化が進んだといった所として熊本県の坪井川の河口のところの干潟になるところと干潟にならない場所、ちょっと海域のところ、そこのところにセットして配置等をいろいろ考えまして設置しています。
 その結果ですが、これは含泥率、泥の量ですね。底質の中に含まれる含泥量というものを調べているんですが、何もやらない比較対象域のところでは含泥率が下がった場合に、干潟域のところではどうも波がやってきて細かい表面の浮泥が飛んでいっちゃってそこにくぼ地ができまして、そのくぼ地のところに逆に泥がたまっていってみかけ上泥化していくという状況が出てきております。
 それから、海域のところは逆に始終流れが起こっている状態が起こっているということで、逆に浮泥みたいなものはたまりにくくなっているというふうな結果になってきているようです。
 それから、硫化物なんですが、干潟域、海域の何もしていないところは増加している。ところが、こういったものを設定するとどうも硫化物が海域や干潟域においても減少しているというふうなことで、好気的な環境が形成されつつあるのじゃないのかなと考えております。このような予測は、ちゃんとしたデータを今とっているところでありますが、そういった海底でも、還元的な環境が緩和されるというふうには期待しております。それと同時に、底生生物の種類、あるいは個体数というふうなものも、こういう巣穴をつくることで増加傾向にあるということが分かります。
 これは生き物の状況。ガザミとかあるいは貝の卵とかアカニシ貝殻とかいうのが結構集まってきて、あるいはそれを頼りに魚がたくさん集まってきているといったこともあります。
 それと、これは泥化の改善状況を定量化したいといったことで、室内にそういう装置を設けまして、泥を取ってきてそれに人工巣穴みたいなのを設定しながら、どういうふうな微生物が作用しているのかというようなことも出しております。やはり好気的な環境が持続されていて好気的なバクテリアが頑張ってくれているというふうなデータが出つつあるということです。
 それと、これは次の実施ですが、押さえ盛砂工法というふうなことで、防災と環境に配慮した海岸の堤防というものの紹介でございます。対象地点というのは、これは横島干拓の前面のところでございます。実は九州農政局との共同研究という形になっておりまして、防災目的につくられた六、七メートルの堤防の前面に砂囲いあるいは突堤を出していましてここの上にカウンターウェイトのかわりの石があるんですが、そこのところにあえて砂を置いて環境、どれだけ生態が戻るかというふうなことを調べているところでございます。
 そういったものを調べますと、これは平成14年からやっているんですが、1年後に種類数にすると、当初は5種類ぐらいだったのが10種類から25種類ぐらいの種類数にふえていて、個体数も平米当たり200個ぐらいだったものが1年たちますと突然3,000から4,000。最近はそれが少し落ち着いてきまして1平米当たり1,000個体ぐらいにふえてきているというふうな意味で、生態の場としても安定してきているということが確認されております。そういったことで、ことし今年度になりますけれども、玉名横島海岸の前面1,300メートルにわたってこういう突堤を出しまして、そして海岸の防災と、それと環境と、さらにそして非常に景観的にもすぐれた状態になっていますから、そういったもので調和を目指したような現地実証というようなものを進めております。
 それから、これは潟湖干潟というふうなことで、直立護岸等でなぎさ線が少なくなってきているわけですが、その中にあえてこういった内側に潟湖をつくったらどうなるだろうというふうなことも実験的にやっております。これはこのように熊本新港のところで進めてきている状況でございまして。外界とパイプを4本通じまして、それから海水が侵入し、また干潮になるとこの穴から水が出ていくということでありまして。一番低いところはここにいつも水たまりができているということで。こういったところの中で最初何もなかった単なる切込みの土地だけだったんですが、そこになぎさ線といいますか干潟が形成された。その中で生物がどういうふうな棲み分けをかけてくるかというふうなことを図式化しております。この中だけでカニの種類だけでも10種類近く見られまして、それがそれぞれの特性に応じて棲み分けをやっている。標高と地盤の固さとの関係の中でいろいろな種類が分布しているというようなことがよく分かってきました。
 それと同時に、この中における物質収支、干潟における物質収支、そういったものも調査を継続いたしておりまして、潟湖干潟そのものが持っている機能、物質、雨水処理、分解機能がどういうふうにあるのかというふうなことをやっている。こういったものが1つの有明のモデルとしてもデータをとっておりますし、さらには、この外側のところで熱収支の観測タワーをとっておりまして、そういった干潟が持っている熱収支特性というものも調べつつ、有明海における生物生息といいますか干潟モデルの数値面でのモデルの基礎データというものをにらみながらデータを収集しているということでございます。
 あとは、これはちょっとまた別の取り組みなんですが、牡蠣を用いたファイト・アンド・バイオレメディエーションというふうなことで、同じ研究グループの中で植物あるいは牡蠣を用いて水質浄化、分解機能試験もやっております。
 そのほかに取り組みといたしまして、干潟耕耘ということも今実施しておるものですから紹介させていただきますが。これは国土交通省との共同研究という形で、熊本新港、非常に泥の底質が悪いところにターゲットに絞って、そこを耕耘したら一体どのような効果があるだろうということで、耕耘機の中にエアレーションといいますか空気ノズルを一緒にして、深さは大体30センチぐらいの間を往復しながら耕耘して、この効果がどの程度持続するかというふうなものを調査したものであります。
 耕耘しますと、生き物が耕耘前よりも多少増加している。特に環形動物が減少しまして、軟体動物あるいは節足動物というものがふえてきて、それが持続される効果、個体数については一たん耕耘することによって減るようでありますが、また2カ月ぐらいするとまたもとに戻ってくるというような耕耘の効果というふうなものをある程度あるということが分かりました。
 そのほか国土交通省の方では海輝という調査船がございまして、いろいろな海域の調査が進められているわけでありまして、現在もそういったごみの収集というのを中心にやっているわけですが、こういう委員会が設置されておりまして、年次報告というふうなもので貴重なデータ等も整理報告されています。いずれ機会があればこういったことのご報告もぜひしていただければというふうに思っております。
 あと、熊本県における再生方策ということですが、これは前回の委員会中でもご紹介がありましたが、簡単にその経緯だけ紹介させていただきますと、有明・八代海の現状あるいは地域特性というものを把握したいというふうなことで過去の資料あるいは漁業、住民、漁業者の聞き取りあるいは住民等へのアンケート調査等をベースにしながら、問題・課題というものを抽出して、そしてどこをターゲットに問題・課題を解決していくのかというふうなことで、ケーススタディ地区を決める。そして地域全体をトータルとしたような基本理念・基本方針というのを整理して、地区ごとの具体的な再生策といったものを提言していくというふうなことを進めていく。マスタープランとケーススタディというものをしながら、再生に向けた取り組みという。基本方針・基本理念というものを決めて、地域に下りたときに地域地域における目標というふうなものをつくり、地域の方々が共有した望ましい姿というのを合意形成のもとにつくり上げていきましょうというふうな作業を現地に入りながら現地の方々と分担しながらやってきたところで。
 例えば地区における課題はこういうものがございますよというふうなものをまとめまして、それに対応したような望ましい姿というのはこういうものですよというふうなことも共通認識として、それに対して具体的にどうやるというふうな具体例の定義といいますか例といいますか、そういったものをやってきたというふうなことでございます。それをこういった基本方針をつくりました後、現地に入っていってまた地元の方と意見交換しながら共通認識の説明会というのも持たれていく。
 あとはまた別なんですけれども、そういった地域における環境政策的な戦略的な方向性というのを確かめたいというふうなことで、有明・八代海沿岸の全流域を対象にしまして、意識アンケート調査というふうなものを進めておりまして、いわゆる環境の価値評価、自然的評価、あるいはそれを実践していくためにどういうふうな方向性があるのかというふうなことを提言という形で進めています。
 環境に対する支払能力といいますか、これは白川流域で検討した結果ですが、八代海・有明海の皆さんに1人当たり1年1,200円から6,000円払っていいというふうな結果が出てきておるといいますけれども、お金を払う事に対してはやはり抵抗感があって、いざお金を出せと言われたらなかなか出す気にならないというふうなことも結果にあります。そういったことで対策として例えばこういう地域通貨みたいなシステムというものも非常に大事な有効な手段ではないのかなというふうなことで、政策提言という形で示させていただいております。
 あとは、環境防災との調和ということでありますが、ここの海域は、毎年、高潮災害と台風災害ということで悩まされております。今から7年前になりますが、不知火の高潮災害というのは、非常に住民の方は脅威を持ったんですが、そういったことに対する災害対策のために、さらに最近には災害そのものが頻発化、巨大化し、災害が進化する、災害がさらには複合化しているのに対する複合型のハザードマップというものも対処していく必要性がある。高潮堤防というふうなものを前面に打ち出すということも非常に大事なことでありますが、それをベースにすることによって堤防、高くされた空間になってしまうというふうなこと。あるいはそのために非常に生態系、豊かな海岸というものが消失してしまう。そういうようなことに対処するために、災害に強くて環境と調和した美しい地域社会づくりというものも大事だと。
 さらにそれについてはハードだけではなくて景観を含めたようなあり方というふうなものも要求されるということで、先ほどお示ししました1例として、高潮堤防の前にこういう環境性に配慮した対策をとるというのも1つの手であります。我々がやらなければいけないというのは、今ここで盛んに議論されておりますが、有明・八代海域の環境悪化の要因分析あるいはそれに向けての再生方策というふうなものを進めていく、図っていく、そういったことがここの海域におきましては、特にこういう災害の問題、高潮災害といったものにも対応していかなければいけない。そういったものを含めた上での災害に強く自然と調和した地域社会ということで、防災と環境との調和というふうなことをやはり視点においた再生策というものを何か考えていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 ちょっと時間が、ここで終わらせていただきます。以上であります。

○須藤委員長 どうも、滝川先生、ありがとうございました。
 ただいま再生関連事業といたしまして、楠田先生、それから滝川先生から貴重なお話をいただいたわけでございますけれども、本来ですとここでいろいろお伺いしたいことも多々あるわけでございますが、ちょうど予定した会議終了時間にあと数分でなってしまいますので、ご質疑やらコメントはいずれ機会があったときにやらせていただくということで。また現在進行中というご研究でございますので、改めてまた次というか、いつかはわかりませんけれども、この場でこの評価委員会でご議論いただくということもあろうかと思いますし。また、今我々が進めている議論と密接に関連するものと考えられますので、今後の成果に大いに両先生のご研究を期待をしたいということで、とりあえずこの場でのまとめとさせていただきたいと思います。
 それでは、もう1つ重要な議題がございますので、速やかにそれを済ませたいと思います。
 次に、委員会報告目次案について、事務局から説明をお願いします。

○高橋室長 それでは、資料4の1枚紙でございますけれども、ごらんいただきたいと思います。当評価委員会の委員会報告の目次案ということでございまして。ご案内しているように、次回の評価委員会でこの素案についてご議論いただき、次々回で一応パブコメ用の報告をおとりまとめいただいて、パブコメをいただいた上で年内にとりまとめるというスケジュールでございますけれども。そのための目次ということで。今後作業をしていく中でこの項目立て、見直しをいろいろしていかなければいけませんので、きょうの時点で固められるというものではございませんけれども、現時点のものをちょっとご説明いたしましていろいろコメントいただければというふうに思っております。
 まず、1章からは最初の方は事実関係でございまして、第1章は評価委員会の経緯、これまでの審議状況。第2章につきましては、有明海・八代海の概要ということで海域環境の特性、それから漁業生産等につきまして概要を書きたいと思っております。それから、第3章は両海域における環境の変化ということで、水質、底質環境、汚濁負荷、河川の影響、潮流潮汐、貧酸素、干潟、赤潮ということでございます。1章から3章まで中間まとめをベースに新しい知見を入れて中間まとめより少しコンパクトにまとめる必要があるかと思っております。
 それから、第4章からが核心に入ってくるわけでございますけれども、問題点とそれぞれの要因の考察ということで、今いろいろと研究グループ含めて作業、ご検討いただいているものを集約するわけでございますけれども。
 1の基本的考え方ということで、例えばこの原因要因の明確化の目的というのは基本的に有明・八代の再生に向けた措置を進めることに資するという目的で今やっているということかと思います。
 それから、2として、問題点の特定と関係する可能性ある要因ということで、両海域の水産資源を中心とした問題点、具体的な問題点の特定と、それに関係する要因の整理ということで中間まとめまでやってきたようなものを踏まえて幅広くここのところで可能性ある要因を整理をしていくということかと思います。
 3からは各要因の中から重要なものを絞り込んでいるという今やっている作業を踏まえた記述になるかと思いますけれども、問題点と直接的な要因との関連に関する考察ということで、有明海・八代海におきまして、ここにございますようなこれまで取り上げてきているような例示をしておりますけれども、この問題点についてそれぞれどういう要因が直接的に影響しているかというものを書いていくということかと思っています。
 4として、では、その各水産資源に直接的に要因を及ぼしている、例えばここに書いておりますが、泥化とか有機物の増加とか貧酸素水塊、こういうものがどうして変化してきたのかという要因の考察を4の部分でやるということでございます。
 それから、5として生育環境と生物生産の中期的な変化というちょっとわかりにくい言葉でございますけれども。先生方のご指摘もございましたように、上の部分までは個別に要因ごとに分解をして整理しておりますけれども、それらが相互に関連し合って生態系の変化が長期間にわたって起こっているということで、その辺少し各要因間の関係も含めて総合的に書ければというふうに思っております。
 それから、第5章がいわば提言に当たる部分ということで、再生への取り組みについてということでございます。(1)再生の目標、それから(2)再生のための環境管理の考え方、いろいろ不確実性のある中での環境の考え方。それから、(3)として具体的な再生方策ということで、これについては既に関係省庁、関係県で取り組みをされているそういう取り組みの状況も踏まえ、また各委員からもいろいろなこういう方策が有効ではないかというようないろいろなサジェスチョンございました。そういうものを踏まえて今後の具体的な方向性について書ければというふうに思っております。
 それから、(4)として解明すべき課題ということで、これも各先生方のご発言の中でいろいろまた引き続き取り組んでいかないといけない課題はたくさんあるということでございます。これをできるだけ総花的にならないように重点化ができればと思っておりますけれども。その辺の今後の研究課題の整理ということでございます。
 それから、(5)として、そういうものの取り組み体制ということで、これもこれまで中間まとめの段階でもいろいろとサジェスチョンが出ておりましたけれども、[1]調査研究の総合的推進ということで、マスタープランの作成でありますとか、関係機関の協力、調整、情報の共有と。それから、[2]として、ちょっとこれは有明海と書くのが適当かどうか、次の[3]との関係がございますけれども、いずれにしても環境モニタリングというものを継続していくということが重要であるということ。それから、特に八代海については調査研究の強化が必要というようなことがございます。
 この項目をこれに尽きるということではなくて、今後また検討させていただく中でいろいろな項目の追加でありますとか、あるいは場合によっては項目間の統合でございますとかいろいろあると思いますので、今後の作業の進捗に応じてこの項目が変わってくると思いますけれども、とりあえず今のあらあらのものをお示ししたということでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうも、高橋室長、ありがとうございました。
 この報告案の目次でございますが、何かここで特にここはこうだというのがございますでしょうか。
 では、楠田委員、どうぞ。

○楠田委員 第5章のところの今ご説明がありました(3)の具体的な再生方策ですが。各行政機関で実施されているものを並べられるというふうにおっしゃられたんですけれども。今それぞれ、例えば覆砂ですとか、県が実施したりされているんですけれども、覆砂を一体自分の目の前はいいんですけれども、どの広さまで有明海でやるべきだとか……

○須藤委員長 全体としてですね。

○楠田委員 全体として。

○須藤委員長 そのことについての考察が必要と、こういうことですね。

○楠田委員 そうなんです。ですから、それぞれの個別、各機関がされている対策が必ずしも全域にとっては最適ではないということがどこかで、ごめんなさい、言い直しますと、最適であるようにその対策を打つにはどうすればいいかというふうな1項を設けていただければありがたいなと。

○須藤委員長 わかりました。その辺は先生おっしゃるとおりでありまして、それぞれの関係機関あるいは関係省庁ですか省ですね、自分の守備範囲のところしか考えませんので、全体としてどうあるべきかということが必要であるということですね。どうすべきかまでいけるかどうかわかりませんけれども、それが必要であるということは大変いい項目だと思います。
 ほか、よろしいですか。
 どうぞ、山本先生。

○山本委員 直接的な要因の変化に関する考察で、要因として挙げられていたのはこれまでつくってきたフロー図でB+とかそういう要因でリストアップされているということでこの4つが選ばれているのか、とりあえず並べるのか、ほかにもあったような気がするんですけれども。

○須藤委員長 どうぞ。

○高橋室長 いずれにしてもこれあくまで例示ということでご理解いただきたいと思います。今までの中で直接水産資源に影響を与えているものとしてB+ですとかそういうものとして挙げられているものの中から選んでいるつもりでございますけれども、これに尽きるということでは必ずしもございません。

○須藤委員長 いいですか。それで、何を挙げてほしいと。

○山本委員 やはり藻場と干潟の減少というのははっきりB+で出たかどうかの記憶がないんですが、八代海では一応……

○須藤委員長 さっきそういう話あったですね。藻場・干潟の減少ということですね。

○山本委員 はい、水産資源にはやはりかかわりあると思うので。

○高橋室長 いずれにしても各ワーキンググループ、きょうもご報告いただきましたけれども、今後もう少しデータございますので、そういうものを踏まえて最終的にまとめていきたいと思います。

○須藤委員長 多分今、山本先生のようなご意見、私多々あるだろうと思うんですが、今後の進め方について私の方から提案させていただきたいと思います。
 実は、次回の評価委員会までに委員会報告素案というのを、もう時間的にも作業をお願いしなくちゃならないわけでございまして、これまで先ほどのワーキンググループで仕事をしていただいているわけですが、その素案の作成に際しまして、これまでのワーキンググループとの作業を十分反映する必要があるわけでございまして、それぞれの作業の責任者の委員の皆様には委員会報告案の起草グループという形で、今の目次案も含めて引き続きご協力を賜りたいということでございまして。先ほどの中田先生あるいは本城先生ですね、それから大和田先生、きょうもご説明いただいたんですが、さらにもともとお仕事を始めていただいている岡田先生、細川先生、この5人ですよね。具体的には、ですからもう一回申し上げますと、岡田先生、細川先生、中田先生、本城先生、大和田先生ということになりますが、今の作業をこの目次案でよろしいかということだけではなくて、目次案から始まって起草の原案というかこれについてぜひお力添えをいただきたいということで。この後この会議終了後、私が少し時間も急いだのはこの後先生方にご相談していただくという時間をとりたかったので、少し超過してしまいましたが、急いだわけでございまして。先生方、大変お忙しい中ですが、強制的で申しわけございませんが、嫌だという時間も与えないでぜひお願いをしたいということで、この後グループリーダーの皆さんお残りいただいて、ちょっとご議論をいただければというふうにさせていただきます。
 次の議題、その他でございます。事務局から何かございますでしょうか。

○高橋室長 今後の予定でございます。次回、非常に日がなくて恐縮でございますが、10月16日の午後、時間は2時から5時ということで一応3時間、少し余裕をもってとりたいと思っておりますけれども、よろしくお願いいたします。
 議題につきましては、今お話ございましたように、委員会報告の素案、時間が短いものですからどこまで用意できるかございますけれども、素案のご審議がまず中心になります。それに加えまして、きょうできなかった幾つかの項目、宿題がございます。1つは潮流ワーキンググループも実はきのうご検討いただいたんですけれども、潮流グループからきょうは中田先生からもございましたけれども、潮流と泥化の関係等含めて追加的なご検討を今お願いしておりますので、その報告をいただきたいと思っています。それ以外にも諫早湾の状況の整理でございますとか、関係者が行っている関連再生事業についての情報等も含めて若干ご報告をできるだけやりたいと思っております。
 それから、それに加えて年内に、11月、12月、1回ずつぐらい、あと2回ほど評価委員会を開催させていただきたいと思っておりまして、お手元に日程表をお配りしておりますので、可能であれば後日ご提出をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 日程表はなるべく早めに日程を調整したいと思いますので、できればきょう、できなくても今週中ぐらいでお送りいただければありがたいと思います。
 大変強引に最後の方議事を進めて大変申しわけございませんでした。ゆっくり議論をさせていただく時間はいずれ持たせていただきたいと思いますけれども、これで本日の議題をすべて終了させていただきました。
 これにて第23回有明海・八代海総合調査評価委員会を閉会ということにいたします。議事進行に係る皆様のご協力に感謝申し上げます。
 どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

午後3時09分 閉会

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