第12回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

日時

平成16年12月6日(月) 14:30~17:30

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室

出席者

委員長 須藤隆一委員長
委員 伊藤史郎委員、岡田光正委員、菊池泰二委員、楠田哲也委員、小松利光委員、清野聡子委員、滝川清委員、原武史委員、福岡捷二委員、本城凡夫委員、森下郁子委員、山田真知子委員、山室真澄委員
臨時委員 荒牧軍治委員
主務省・関係県発表者 農林水産省農村振興局農村環境保全室長、(独)水産総合研究センター西海区水産研究所海区水産業研究部科長、福岡県水産林務部漁政課主任技師、佐賀県農林水産商工本部水産課主幹、長崎県総合水産試験場次長
事務局 環境省環境管理局水環境部長、水環境部閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

午後2時30分開会

○環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回有明海・八代海総合調査評価委員会を開会いたします。
 本日は、相生委員、大和田委員、細川委員、山口委員の4名を除く15名の委員にご出席いただいておりますので、定足数を満たしていることをご報告いたします。
 それでは、まず、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料は、議事次第の1枚紙の後ろに配付資料一覧がございます。ここに書かれておりますように、資料1が委員名簿。資料2が問題の概況、原因・要因、論点等の整理(案)。資料3が評価委員会の今後のスケジュール(案)。資料4が有明海・八代海における赤潮の発生について。これは本城委員から提出いただいた資料でございます。また、資料5-1と5-2が小委員会の関連の資料でございまして、5-1が平成15年度版・文献概要リスト一覧表、5-2が平成15年度版・文献シートでございます。資料6が、平成16年度・有明海貧酸素水塊広域連続観測調査について。それと、資料番号がついていないんですけれども、右肩に「佐賀県」と書かれた3枚紙がございます。これはタイラギに関する佐賀県から提出された資料でございます。
 本日の資料は以上でございます。
 それでは、以下の議事進行を須藤委員長にお願いします。

○須藤委員長 かしこまりました。それでは、委員の先生方、関係省庁並びに関係県の皆様、本日ご多用の中をお繰り合わせご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、議題に入らせていただきます。
 今、坂川室長からございましたように、議事次第に議題は記載されておりまして、「その他」まで含めて5課題ございます。予定は5時半ということになっておりまして3時間でございますが、いつもギリギリあるいはやや超過ということで終了しているわけでございますが、なるべくお帰りの都合もございますでしょうから、定時に終了できるように議事進行に努めますので、ご協力をいただきたいと思いますので、よろしくご協力くださいますようお願い申し上げます。
 早速、本日の議事に入ります。1つ目の議題は、「有明海・八代海における問題の概況、原因・要因、論点等の整理(案)」についてでございます。
 本件に関しては、前回の評価委員会で岡田委員からご説明をいただき、委員の皆様からご意見を承ったところでございます。また、評価委員会の後にも委員及び関係機関から幾つかの修正・追加意見をいただきました。それらを踏まえまして、岡田委員に再整理をいただいたものが本日の資料2となります。
 委員の皆様にはこれと同様のものを先週事務局を通じて事前にお送りさせていただきましたので、お時間がございました方はご覧になっていただいたと思います。
 それでは、まず、岡田委員からこの資料についてご説明をいただきたいと思います。
 岡田先生、どうぞお願いいたします。

○岡田委員 はい、かしこまりました。それでは、前回8月23日に提出させていただいた資料3、それにつきまして、今、委員長がおっしゃいましたように、各委員の先生方から提出された意見等を踏まえまして、追加・修正したものにつきましてご報告をさせていただきます。
 それでは、資料2をご覧ください。最初のページに水質の変化ということで、問題点として赤潮というのが挙がっております。これにつきましては、八代海の方で滝川先生から、1990年代から長期化する傾向がある、それから湾奥でも発生するというようなご指摘をいただいております。それに対する原因・要因として指摘される事項といたしまして、追加として水温、底質、赤潮シストの変化等々のご指摘をいただきました。
 さらに、伊藤委員の方から、赤潮の原因種によって与える影響に差異があるということを考慮した上で今後議論していくことが必要であろうというご指摘をいただいております。
 次のページにまいります。貧酸素水塊につきまして、有明海でここにございますような、「発生していた」というのを「貧酸素化現象が起こっていた」という認識の方がよろしいのではないかというご指摘を農水省からいただいております。八代海につきましても、貧酸素化が生じているというようなご指摘をいただきました。原因として、日射量、底質、それから成層の発達というような原因・要因が追加的に挙げられております。
 これらをもとに、過去のデータを限りなく可能な限り収集して、もう一度統一的な視点で解析をする必要があるだろうというご指摘をいただきました。
 追加・修正した赤いところだけ簡単にご説明をさせていただきます。塩分につきましては、八代海の方で塩分濃度の問題、湾奥部で低くて南部で高い。それが成層の発達によるんだというご指摘をいただいております。
 それから、3ページ目にまいります。CODにつきましては、特に「有明海の湾奥部では」ということを明記するようにということを滝川先生からご指摘をいただいております。
 それから、栄養塩につきまして、下の方に赤く書いてございますが、窒素の循環に関しまして、「硝化能力が全体的に衰えてきている可能性がある」という事項を追加するようにという問題認識のご指摘をいただきました。原因として、底質の悪化、泥化による硝化能力の低下が挙げられるのではないかということをご指摘いただいております。
 それから、次の4ページ目にまいりますと、同じくこれは栄養塩でございますが、八代海におきましても硝化能力が衰えている。同様な原因としてのご指摘をいただいております。
 それから、下の方でSSでございますが、底質の変化、河川等の影響によりまして、八代海の方では年間を通じて透明度が低い、湾奥部では低く湾南部で高いというようなご指摘をいただいております。
 それから、5ページ目にまいります。底質の変化というところで、これは特に滝川先生からでございます。細粒化というよりも泥化という方が妥当ではないか。それからあと、地点としてもう少し明確に指摘するようなご注意をいただいております。
 それから、楠田先生の方から、底質の細粒化には粒径が小さくなっている場合と、それから有機物が増加している場合があるということでご指摘をいただきました。原因として、河川、ダム湖の影響、それから底生生物の減少により生物攪乱がなくなったこと、航路浚渫、海砂の採取、それから河川流入水と潮流、浮泥の相互作用、さまざまなご指摘をリストアップするようにご注意をいただいております。
 6ページにまいります。6ページの方に今度は潮位、潮流の変化ということで、今までの平均潮位が上昇して、潮位差が減少している、潮流が減少しているということのみではなくて、潮流の方は有明海全体ではほぼ同等、島原沖では減少などのさまざまな報告があるということで、もう少し詳細な問題認識になるようにご指摘をいただきました。
 それからあとは、原因のところで、もう少し具体的なM2分潮の調和定数の話を入れるようにとか、それから潮汐の長周期変動に伴う変動というようなこと。それから、ノリ網への影響、これはノリの時期のみであるというご指摘をいただきました。
 それからあと、小松委員から、潮位差の変化割合と潮流の変化割合が異なることから、潮位差が減少することと潮流が減少することはきちんと区別しなさいというご指摘をいただきました。今後の検討していく課題になるかと思います。
 6ページのところの、下からが今度は二枚貝の減少、生物の話になります。アサリの漁獲量の減少に対しまして、着底稚貝の生残率が低下しているのではないかというご指摘。それから、スナモグリの影響、すなわちスナモグリの復活というご指摘をいただております。
 それから、次にまいります。次がタイラギでございますが、タイラギの漁獲量が減少したということにつきまして、タイラギの漁獲量の減少原因、これを3つに分けてきちっと記述しようということで、1つは、長期的な資源の減少。それから、その原因には過剰な漁獲圧というのもあるのではないか。それから、近年の不漁というものの、これが大量死、立ち枯れ斃死によっているんだ。それから、あと1つはナルトビエイ、カニ等などによる食害、それぞれ別の原因があるということを明記するようにご指摘をいただいております。
 それから、今後のこととして、資源管理のあり方について検討することが必要であるというご指摘を細川委員からいただいております。
 次に、8ページは1つ右下の方にございます。これは今後の議論で重要になるかと思いますが、この評価委員会で議論すべきこととそうではない事項をきちっと分けるように、ここの時点では評価委員会で議論すべき事項ではないのではないかというご指摘をいただいております。
 9ページにまいります。9ページがその他の水産資源の減少ということで、事実認識、それから原因はこのままですけれども、論点として、土砂採取による海底地形の変化も考える。それから、魚種によって減少パターンが違うので、それをきちっと分けて考慮する必要があるでしょうというご指摘をいただいております。
 それから、水産資源以外の生物、すなわちベントス等について、問題と原因はいいんですが、論点として、指標生物、それから希少種についても考慮し、生物多様性の減少に関する検討も必要ではないかというご意見を清野先生、山口先生お2人からいただいております。
 それから、10ページ、問題点として、有明海と八代海共通で書かれていたものを2つに分けようと。有明海においては、干潟と自然海岸、八代海においては干潟、藻場、自然海岸というふうに問題認識を分けた方がいいのではないかというご指摘をいただいております。
 原因として、海岸線の人工化、それから平均潮位の話、それから潮位差の減少要因が指摘されております。追加的にご指摘をいただきました。
 それらを踏まえまして、共通的な論点ということで幾つかここに挙げられております。多少、修文的なものがあると同時に、3番目のところは化学物質の影響、それから4番目のもの、例えばデータの信頼性をどう扱うか、それから過去の環境をもう一度推定するということをやってみるべきであろうというようなご指摘をいただいております。それから、底質環境の長期的な変化、それから水質環境、生物環境などの相互関係についてももう少し解析をすべきである。
 それから、6番目、本委員会で調査計画のマスタープランを立てる際には、調査方法全体としての共通のプロトコルを作成し、使用する測定機器などによる差も点検することが望ましい。一応データは上がっておるんですが、例えばここにございますように、脱窒速度の測定法がきちんとしているかどうか、それからCODの意味等の問題点を山室先生の方からご指摘をいただいております。
 簡単ではございますが、赤字で書かれている部分のみ、こういう形でご指摘をいただいて、修正していくということでご報告をさせていただきました。
 以上でございます。

○須藤委員長 岡田先生、簡潔にご説明いただきましてどうもありがとうございました。
 岡田委員のご努力と、各先生方のご協力により、有明海・八代海における問題の概況が整理されまして、今後評価委員会で取り上げて検討すべき重要な論点や課題が比較的要領よく絞り込まれたように考えられます。
 それでは、ただいまの岡田委員からのご説明いただいた資料に基づきまして、今後どのように議論を進めていくか、全体的なスケジュールについて、事務局からご提案をいただきたいと思います。
 では、坂川室長、どうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。今、委員長からご説明がありましたように、この委員会で検討すべき重要な論点がかなり明確になってまいりましたので、これを今後どのようなスケジュールで検討し、また最終的に報告をまとめていただくかということで、今回、資料3として案を用意させていただいたものでございます。
 それでは、この資料のまず最初、一番上の12月6日、これが今日の時点でございまして、今の岡田先生からご説明いただいたような論点が明らかになってきたわけでございますけれども、それを分類といいましょうか、少しグループ化して大括り化したものがその裏のページにあるものでございます。今後、これらの分類ごとに評価委員会でご議論・ご検討いただければというふうに思っております。
 そしてまた、元の方に戻っていただきまして、来年になりましてから、さらに評価委員会を三、四回ほど開催しまして、有明海・八代海の現状の評価、問題点、原因等をご検討いただきたいと思っております。そして、来年の11月または12月ごろに中間報告の案を作成していただければというふうに考えております。そして、その後、中間報告(案)に対するパブリックコメントを募集しまして、ここでまたいろいろなご意見も寄せられるかと思います。その後、平成18年でございますが、さらに評価委員会を二、三回程度開催いたしまして、パブリックコメントへの対応、それから今後実施すべき調査としてどういうものがまだ残されているか、さらに再生に向けた対策としてどういうものがあるのか、そういったこともご検討いただきまして、最終報告(案)を作成いただく。その後、また再度パブリックコメントを募集しまして、平成18年の秋ごろに最終報告をとりまとめていただければというふうに考えているところでございます。
 なお、ここで中間報告と最終報告と2つございますけれども、大きく違いますのは、最終報告の方には再生に向けた対策も含まれているというところが違うところでございます。もちろん、中間報告をとりまとめる際の議論でも再生に向けた方向性といったものもいろいろご議論いただきたいと思っておりますが、中間報告では主として現状の評価、問題点、原因というところをまず整理いただいて、その後、再生に向けた対策、そしてさらに調査すべき事項、そういうものを含めて最終報告にしていただければいいのではないかというふうに考えております。
 なお、この委員会の第1回目にご説明いたしましたが、有明海・八代海を再生するための特別措置法がございまして、この法律が法律の施行から5年以内に見直しをするということになっております。そして、この評価委員会はこの見直しに関して有明海・八代海の再生に係る評価を行うという役割を担っているところでございます。このスケジュールと照らし合わせますと、法律が施行されましたのが平成14年11月でございますから、5年以内の見直しとなりますと、平成19年11月までに法律の見直しが行われる必要があるということになるわけでございますので、今回、案としてお示しいたしましたこのようなスケジュールで間に合うのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、裏の別紙の方の分類ごとにまたいろいろご議論をいただきたいと思っておりますけれども、実は委員長ともご相談をいたしまして、本日この後、その第1回目といたしまして、赤潮の部分について本城先生にご説明をいただき、またご議論をいただくことにしております。また、その後のことに関しましては、できましたら各委員の先生方でそれぞれご専門の分野についていろいろご議論をいただきまして、ご検討いただきまして、この評価委員会でもその検討の結果をご発表いただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 その際に、複数の委員が関係する課題というものもあると思いますので、そのようなものについては、評価委員会とは別な場でワーキンググループのような形で事前にいろいろ打合せをしていただいて、その結果を踏まえて、この評価委員会でご説明いただくという方法もあるというふうに考えておりますので、その辺の進め方につきまして、また個別に先生方とご相談をさせていただきたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

○須藤委員長 坂川室長、どうもありがとうございました。
 我々のこの評価委員会というのは法律に位置づけられているものでございまして、その法律は守らなくてはいけませんから、5年以内にと言われれば、それ以内にきちっと報告ができる体制を整えなければいけないということでございます。今のご説明どおりに多少の余裕をとらなくてはいけませんので、1年ぐらいは余裕を残して、最後の日に報告するというわけではございませんから、4年間ぐらいの検討事項について報告をするというのが妥当であろうということは以前にお話しさせていただいたところでございます。
 それでは、先ほどの岡田委員のご説明と、ただいまの事務局からのご説明につきまして、何かご質問なりご意見ございますでしょうか。どうぞお願いいたします。
 では、小松先生、どうぞ。

○小松委員 先ほど岡田先生にご説明していただいた分の6ページの潮位・潮流の変化のところなんですが。問題の概況のところです。赤で書かれた滝川先生のご意見、コメントなんですけれども。「一方で、潮流は有明海全体でほぼ同等、島原沖では減少しているなどの様々な報告がある」というコメントなんですけれども。この文章、大体このままでいいと思うんですが、「様々な報告がある」というこの表現が、ちょっと問題かと思います。こういうコメントだとあたかも対立したいろいろな意見があって、はっきりした明確なことは何もわかっていないんだというような印象を与えます。ですから、この「様々な」を取っていただいて、「などの報告もある」としていただきたいと思います。

○須藤委員長 「などの報告もある」と。これはちょっと後で岡田委員、いろいろ勉強していただいた成果でございますので、ちょっと伺いますので。それでは、今の小松先生の修文の案は、「などの報告もある」でよろしいんですね。

○小松委員 はい。そうしていただきたいと思います。

○須藤委員長 これ出していただいたのは滝川先生ですね。では、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 結構だと思います。いろいろな意見があるからということで。小松先生おっしゃったんですけれども、いろいろな意見があり、確定してないかのようにとられるとおっしゃるんですけれども、私自身はまだ確定していないというふうに思いますので、その意味も含めていろいろな報告がなされているという表現で別に構わないと思います。

○須藤委員長 そうですか。今の小松先生のお話ですと、「様々」という言葉をつけちゃうともういっぱいあってというような、そういう印象だというふうにおとりになっていただいているので。いいですか、滝川先生としては。

○滝川委員 いろいろな意見があるんだということで……

○須藤委員長 そういう意味ではよろしいんですね。

○滝川委員 そういう意味であれば別に問題はないと思います。

○須藤委員長 では、岡田先生、どうぞ。

○岡田委員 この書き方はギリギリやりますといくらでもご不満というか、一致するのに極めて大変だと思っております。そういう意味で多少ラフなところはご了解というかお許しいただきたいというのが私のお願いでございます。
 と申しますのは、今日の資料3の裏に別紙がございます。例えば潮流・潮汐の問題ですと、潮流・潮汐に絞って、例えば今日の資料2、それから前回の評価委員会で提出させていただいております資料2-1、A3の詳細な資料がございますね。それをもとにもう一度絞ってそれぞれのご見解なりデータに基づいて議論していただくことになるかと思いますので、そういう意味でここはそこそこのところでよろしいのではないかと。

○須藤委員長 一行一句これで決まったということではなくてよろしいですね。

○岡田委員 はい、そういうふうにぜひお願いしたいと思います。

○須藤委員長 今のような意味を含めているということをこの評価委員会で了解をして、次にプレゼンテーションしていただくときには、先ほど坂川室長が言われたように、特に幾つかの意見があるような場合はワーキングなんかで議論した上で、ここで議論するのがよいと思います。評価委員会で様々な意見を出し合うというのもあまり適切でないでしょうから、絞り込むためにはワーキングが必要かなと私も考えていますので、それはそれでよろしいんですね。
 坂川室長、今のような点はぜひそういうニュアンスだということを今日ご了解いただいて、特に今の問題のようなところはワーキングという言葉がいいかどうか後でまた議論いただきますけれども、要するに関係者のグループで審議をいただくと、事前にですね。その上でここでもう一度やらせていただくということにしたいと思いますが、それでよろしいかな。
 清野委員、意見ございますよね。

○清野委員 多分、この委員会としてどういうレベルのものを最終的な報告書としてとりまとめるのかのイメージが共通でないと、作業量だとかあるいはどういった検討の進め方が妥当なのかというのがわからないと思うんですね。
 それで、前に農水省のノリ第三者委員会があの期間であれだけのものをとりまとめられているので、多分それを超えるものをきちんと出していくということがこの委員会の責務だと思うんです。そうすると、今の段階でそういうワーキングで議論したものとかをどういうような構成でやっていくのかというのを、ただ議論しただけじゃなくて、もうまとめるイメージを出していった方がいいと思うんです。
 それで、今日の資料なんかも、私すごく申しわけないけれども、不満なのは……

○須藤委員長 どっちの、今の資料2とか3ですか。

○清野委員 いや、個別的な資料も。ちょっとこういう非常に離散的な資料が積み重ねられたままだと、多分いい報告書って書けないと思うんですよ。だから、その辺が今までの各省とかの調査報告書とかそういうのを誰がどういうふうに分担していくのかということも含めて、運営の方法とか、あと資料の所在を確認するとか、そういうものすごく膨大な手間があるので、それを誰がやるかということもご議論いただけたらと思います。ワーキングをやっていただくということはすごくいいことだと思いますので、ぜひお願いします。

○須藤委員長 ありがとうございます。
 どうぞ、楠田先生。

○楠田委員 今の清野先生のご意見と類似なんですが、このいただきました資料3のスケジュール(案)では、有明海を何年度にどういう姿にするかというのが見えない。

○須藤委員長 将来の目標ですね。

○楠田委員 ええ。それに対して、再生に向けた対策をいろいろ並べただけでは、結局どうやろうとしているのかが見えない。ですから、やはりもう少し具体的なイメージを描いていただいて、そこに到達するためにはこういう手法を入れていくべきだというところまでこの評価委員会で出していただけたらなと思うんですが。委員長はいかがお考えでしょうか。

○須藤委員長 理想的には多分そうだと思いますが、再生する目標をまとめるのはあと2年で何とかいけるかとなと思いますが。私まだ法律のことはこれが5年でもう一度というか、これ特別措置法ですから、さらに継続して多分やることになるんだろうとは思いますが、各年度ごとの目標なんていうのはその次の段階かなと実は思っておりますが。環境省の方として、この法律はそれでおしまいなのではないですよね。
 すみません、きちっとその辺を理解してないんですが、継続できると思っているんですが、いかがですか。

○環境省閉鎖性海域対策室長 現時点ではそこははっきり決まっておりませんが、とにかく5年以内にこの法律を見直しましょうということが法律の付則に書かれていると。ですから、その見直しの内容によってその後どうなるのか決まっていくということだろうと思います。

○須藤委員長 瀬戸内の例から考えたら、瀬戸内法は30年ですか。30年継続してやっているわけなんですね。同じようにやってはいけないと私思いますけれども、ちょっと5年というかね、それでおしまいというようなものでは私はなかろう、またあってはいけないのではないかと思います。海を回復させるというのは、それは私より先生の方がお詳しいと思いますけれども、かなりの時間を要するので、それはやはり評価をしながら着実に将来を見すえた方がいいので。目標はきちんとすべきだと思いますけれども、この評価委員会をなくしてしまって、ただ継続というわけではないのではないかと、こう考えていますが。これは私が決めることではないので、少し行政の中で今後どうなるかはもう少し勉強していただきたいと思います。
 はい、どうぞ。

○楠田委員 この委員会が始まる直前に菊池先生とお話し申し上げていたんですが、こういうふうになればいいというのはもう漁師の人はいっぱい言ってる。タイラギが採れればいいとか、アゲマキが採れればいいとか、わかっている。ただ、それをどうすればいいかというテクニックのところが、あるいはその対策がわからない。
 既存のデータや論文をながめても、それは具体的に多分出てこないのではないか。そこにもう一歩この委員会として踏み込んでいただけたらなという思いはあります。

○須藤委員長 わかりました。ぜひそうでなければならないだろうと思いますので、今も清野委員からもご指摘いただきましたが、この1個1個の項目についての議論はどういう形でやるかということは、今日モデルを本城先生に示してもらいますけれども……

○本城委員 責任が大きいですね、それは。

○須藤委員長 本城先生に示してもらいますが、項目によっては課題や論点が様々ではなくて、もうこれで十分というのもあると思いますし、かなり様々なというふうに言わなくちゃいけない部分もあると思いますんですが。順次やりながら、これこそやりながら考えていかなくちゃいけない問題かなというふうに思っておりますので、ご協力いただきたいと思います。
 どうぞ、ほかにご意見ございますか。どうぞ、もう一度楠田先生。

○楠田委員 細かいところでよろしいでしょうか。

○須藤委員長 はい、どうぞ。

○楠田委員 岡田先生からご説明をいただきました資料2の3ページ、4ページのところで、硝化能力の低下が泥質の悪化、泥化によるという記載があるんですが。硝化菌が働かないのは泥になった理由ではないのではないかと。要するに、アンモニアイオンがないか、酸素がないかということであって、その付着単体が砂粒子であってもいいし、泥であっても構わないのではないかという意味で、もう少しこの因果関係、原因を追求する欄になっていますので、もう少しクリアに表現されたらいかがでしょうか。

○須藤委員長 今のご質問のその辺の意味はいかがですか。

○岡田委員 これは滝川先生のご指摘いただいていますので。

○須藤委員長 滝川先生に伺った方がよろしいですか。

○滝川委員 ご指摘いただいたんですけれども、逆に楠田先生の方からいい表現の方法を教えていただいた方がいいんじゃないかと。

○須藤委員長 表現の方法。

○滝川委員 ええ。私自身はそういうデータをとりました上で、水質、ここでは底質にダイレクトに結びつけていますが、左側の方に書いてますように、水質そのものの硝化能力がかなり落ちているというデータがある。それと、そういうアンモニア態みたいなものを分解するような性質の中の関連菌みたいなものが非常に少なくなっているというんですかね、そういう状況にあって、そういった関連の中で結びつけているということでございますので、何かいい表現があれば逆にお教えいただけたらと思いますけれども。

○須藤委員長 今のようなことも含めて、どうぞ。先生、何か今の、いい表現がというご提案ですが。

○楠田委員 恐らく溶存酸素の濃度のレベルの低下が一番大きな原因ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○須藤委員長 そうですね。それはどうですか、滝川先生。いいですか、そういうような表現で。

○滝川委員 多分それに結びついているんだと思います。アンモニア態がなかなか分解されずに、要するにNO2やNO3の状態になかなかなりきれていない。それを消費した後、硝化能力の低下という表現にとったところなものですから。底質そのものに含まれている溶存酸素量はかなり低い。測ってみますと、DOなんていうのはほとんどゼロなので……

○須藤委員長 ほとんど無酸素状態にあるということですね。

○滝川委員 溶存酸素状態が非常に悪いと。それをこういう表現にしてしまったといいますか、そういう解釈をしているというようなことで。

○須藤委員長 ありがとうございます。では、そういう意味を含んでいるという理解で、このまとめのときにはそのことも含めて、もしかしたら滝川先生に当たるかもしれませんけれども、とりあえずはそういう意味も含んでいるいとうことでお願いをいたします。
 どうも楠田先生、ありがとうございました。
 ほかにございますか。では、本城先生、どうぞ。

○本城委員 5ページの底質の変化のところなんですけれども。原因・要因として指摘されている事項で潮流の減少というのがあって、清野先生が海砂採取や航路浚渫のことを挙げておられます。しかし、潮流の減少、海砂採取の他にもうひとつ川砂採取もなんだかに関係しているのではないかと私は思っているんですけれども。それで、原因・要因として指摘されている事項のところに、川砂採取のことを入れておく必要があると思うんですが、いかがでございましょうか。

○須藤委員長 ありがとうございます。それでは、岡田先生、いかがですか、そこは。

○岡田委員 今、若干気になっているところは、ご指摘の点はそのとおりだと思うんですが、その根拠になる文献を、例えばもともとになっている資料2-1というあの大きい資料ですね、あれに入れていかないと、だんだん話が思いだけになってしまうと。その思いは基本的に当たっているだろうと思うんですね、専門家の直感というのは。ただ、それだけで議論を進めるわけにはいかないというのがここの議論のスタートのやり方ですので、同時に資料2-1に入れるべく論文なり資料をご指摘いただければありがたいというふうに思います。

○本城委員 わかりました。それを加えることにします。

○岡田委員 セットで入れたいと思います。

○本城委員 それを提出してみたいと思います。

○岡田委員 実は、ここに今日書かれているところもその根拠データとセットに必ずしもなっていない部分もありますので、それは後日整合性を持たせていただきたいというふうに思います。

○本城委員 国交省のデータと思うんですけれども。

○岡田委員 はい、それは何でも、ありがとうございます、ぜひ。

○本城委員 それがあればよろしい、それを提出すればよろしいですね。はい、わかりました。

○須藤委員長 どうも本城先生、ありがとうございました。その根拠になる資料なりデータなり論文なりを合わせて、ほかのところもそうですけれども、その上でここに記載をするという。もともとそういうお約束で進めたことでございますから。ディスカッションになったときにはそういうことも考えるんじゃないかという推論はあってもいいと思うんだけれども、この時点ではそういう根拠があってここに記載されると、そういう約束ですので、お願いいたします。

○岡田委員 すみません、ちょっと追加でよろしいでしょうか。さっきちょっとご報告するのを忘れたんですが。覚えておられると思いますが、前回の評価委員会でA3の大きい資料についてもご説明させていただきました。その結果として、委員の先生方とか関係省庁からご意見をいただいております。それについても本来は今日出すべきかもしれませんが、毎回出すというよりも、適宜追加修正をさせていただいております。それからあと、荒牧先生の方から小委員会での作業結果の反映というのもございます。ですから、その辺を踏まえた上でもう一度ご確認いただくために再度提出させていただくというプロセスをとりたいと思います。
 そういう意味で、今、本城先生にお願いしたような資料もセットで入れていくというふうにさせていただければと思います。すみません。

○須藤委員長 それでは、岡田先生、これからも作業がずっと続くわけでございますけれども、いつかの時点で追加して修正したものをご提出いただければ大変ありがたく思います。
 それでは、これ今後これらの論点1つ1つについて個別の議論を行っていくということにさせていただきます。必要に応じて先ほどのようなワーキンググループという名前がいいかどうかはともかくとして、数人の先生であらかじめ議論してからここでさらにそれに基づいてご説明いただくということにさせていただきます。
 それぞれの論点に詳しい先生にご説明をいただくというのが当然でございますので、これから先生方のご専門に対応してご協力をお願いしたいと思います。場合によってはお1人に2つぐらいお願いすることももしかしたらあるかもしれません。どうぞお許しいただきたいと思います。
 また、必要に応じまして、主務省、関係県から当該論点に関する調査研究の報告やデータの提供をお願いすることもあろうかと思いますので、この辺もよろしくご配慮いただきたいと思います。
 ということで、次の「有明海・八代海における赤潮の発生について」ということの議論に移らせていただきます。本日は最初の論点として、赤潮を取り上げまして、本城先生に有明海・八代海における赤潮の発生についてということでご説明いただき、その後皆さんに議論をしていただきたいと思います。
 本城先生には最初にこれをお引き受けいただくのでかなりご無理もお願いをいたしました。あまりお時間がない中でお忙しい中準備をいただきまして、大変感謝しているところでございます。
 それでは、本城先生、よろしくお願い申し上げます。

○本城委員 九州大学の本城でございます。トップバッターとして私が赤潮の話をすることになりました。これまでたくさんの赤潮が有明海では発生してきましたし、その被害に関してもかなり報告されてきているわけですが、前回の委員会で伊藤委員が赤潮のところで書いておられますように、赤潮を種類別に解釈しなければならないということは私も前々から発言していたところでございます。
 有明海で発生する赤潮生物たちの種類によってかなり生理・生態的性質が違います。また、恐らく少し大げさになるかもしれませんが、発生に関係する原因もかなり違うというふうにも思っておりますので、そのあたりを報告していきたいと思います。
 そして、岡田委員に、今、全体を整理していただいているわけですけれども、赤潮のところを少し私なりにこういうふうに整理したらどうだろうか、それから原因は何だろうかというのを私なりにまとめて話をさせていただきたいと思います。
 資料2で先ほど話がありましたが、有明海の赤潮の発生で、原因・要因として指摘されている事項に1つ、貧酸素水塊というのをいずれ入れていただこうかなと思っておりますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
 最初に出させていただきましたこのOHPは、1980年における日本水産学会春季大会の講演要旨で、九州大学の石尾真弥先生が瀬戸内海はシャットネラ・マリーナなどの鞭毛藻赤潮が毎夏発生し、その原因は水域の富栄養化のためである。しかし、北部有明海は冬季ノリの養殖のために多量の窒素肥料が施肥されて富栄養化しているのに赤潮の著しい発生を見ないというふうに書いておられますし、その下の同じ年の要旨でも、有明海北部は富栄養化水域であるにもかかわらず、顕著な赤潮の発生を見ないというふうに石尾先生はお書きになっておられます。
 次のOHPは第三者委員会でまとめられた資料ですけれども、有明海におけるギムノディニウム及びシャットネラ赤潮の発生状況ということで、4県の発生件数を示したものであります。そして、黒棒になっているところがシャットネラで、明るいところがギムノディニウム・サンギニア、今のアカシオ・サンギニアという生物であります。
 この図から被害発生件数が右肩上がりであるということ、シャットネラがこの1989年に初めてこの有明海に発生したことをこの図は示しております。シャットネラの赤潮発生は1989年が最初になっています。
 では、有明海のどんなところで発生しているかといいますと、シャットネラ赤潮はまずこの部分、諫早湾のところですね、それから奥部の西部海域に発生します。次に、八代海でも発生しますけれども、コックロデニウム・ポリクリコイデスはここまでが生息範囲です。たまに奥部へ入るときもありますけれども、大体こういうところから以南です。こういう海域で赤潮を既に起こしました。
 先ほど言いました、アカシオ・サンギニアはこの岸に沿って発生するようになってきています。そして、この規模が、大きくなってきていてノリへの影響が心配されているところであります。
 今、大方の発生水域と有害な赤潮と赤潮生物の発生域の話をしたわけですが、それでは、魚類、貝類、ノリというものに影響を与える生物はどんなものがいるかというと、鞭毛藻類ではラフィド藻に分類されているシャットネラ属です。これは魚類にも貝類にも影響を与えます。同じ斃死機構で被害を与えることが論文で発表されております。ヘテロシグマもまさしく同じです。コックロデニウムは今のところ魚類に対してのみの報告があります。ギムノディニウム・ミキモトイ、今はカレイニア・ミキモトイというふうに呼ぶようになりましたが、これは両方に被害を与えるということです。
 一方、冬に被害を与えるのは珪藻類が主体になってまいります。これが一番深刻な影響を与えましたリゾソレニア・インブリカータ、それからリゾソレニア・スティルフォルミス、あるいはセティゲラというようなものが原因種になってきます。鞭毛藻類ではラフィド藻でフィブロキャプサ・ジャポニカ、アカシオ・サンギニア、この種はどのくらいの影響を与えているかは今からの研究ですが、フィブロキャプサ・ジャポニカは佐賀県の研究でノリに被害を与えているというものであります。
 ですから、夏に発生し、これらに被害を与える生物たち。冬に発生してノリに影響を与える生物たちというふうにこうして大きく分けることができます。
 まず、私は小型の珪藻類、スケレトネマやキートセロスというものについて話をしたいと思います。この小型の珪藻類は有明海での基礎生産者として最も大事な生物たちであります。ですから、これらの生物たちが有明海の動物たちを支えている基になっているということで、彼等が発生しないと基から有明海の食物連鎖は大きく崩れてしまうということで、最も大事な生物と私は見ます。
 そして、その生物たちの多くは、漁師さんたちが言いますように、雨が降って次に日照りが続くと赤潮が出るというその言葉に全く相当して発生するものであります。赤潮になってまたすぐに沈んでしまうという非常に回転の早い生物であります。
 この赤潮は1週間ほど続いてから消滅していきますが、その間にやはり栄養塩が減っていきます。そうすると、ノリに悪影響が出てくることになります。しかし、それはやはり仕方のないものだろうと思います。また、これがないことには、この有明海というものの生産、宝の海ができてこないことになります。
 先ほども言いましたけれども、この生物の特徴は、回転が早いこと。そして、河川から栄養が入ってきた後、強い照度を与える晴天が続くときに、泥の中で眠っている休眠期細胞が光を得て芽生えてきて、そして増殖促進され、繁茂して赤潮になり、一部ノリの被害を与えるということになります。ですから、底で眠っているものを起こさせるという出来事、そして上に上がってきたときに栄養が十分存在している出来事が必要です。しかも、ある程度、塩分が低いところが彼らは好きであるというのが特徴です。
 一度赤潮になって環境が悪化しますと、休眠期細胞のステージに入るわけですけれども、そのときにキートセロスだと、発芽するために泥の中で3日間はいないといけないとか、ある種は28日間いないといけないとか、1週間ぐらいでいいというような生物たちが種類によって泥の中で眠ることになります。その後、その成熟を迎えたものが、栄養塩が入ってきて、塩分がある程度減少し、高い照度があった場合に一定以上の照度を得て発芽してまた赤潮になるということで、短い回転をどんどん繰り返している生物たちであります。ですから、有明海の透明度が上昇しているということは、光が通りやすくなっているということであり、発芽のチャンスを与えるということに関係していると思います。
 次に、リゾソレニア・インブリカータを例にとります。これが大きな問題を投げかけた生物であります。こういう万年筆のペン先のようなとげをもったかなり大きな生物です。そして、多くは2細胞がつながって海の中に浮いています。あまり色素を持っていませんから、これが増えるとキラキラと石綿を海にまいたような赤潮になってキラキラ光るのが特徴です。
 本種の分類はなかなか難しいものでして、最も大きな決め手は、殻板の上に描かれている縞模様です。この模様がインブリカータであるかスティルフォルミスであるかセティゲラであるかを決めます。もう1つはペン先の格好ですね、長いかつけ根のところの構造がどうかというのが決め手です。最も難しいのが電子顕微鏡で見ないといけないこの縞模様であります。そして、これが大きな決め手になります。
 2000年12月に発生しました赤潮は、リゾソレニア・インブリカータです。下側が12年度の分です。12年度の栄養塩が多い10月からすでに本種は見つかっているんですけれども、この12月1日からグンと増殖して密度が増加した。その結果、栄養塩が下がって、長期的に低い栄養塩が続いたのでノリの色落ち被害が発生した。ノリの最も品質の高いものが獲れるこの12月の時期にノリの色落ちを起こしたということで商品化にならなかったことから大きな問題になってきたということです。
 秋から冬にかけて発生することが多いこの生物は、実は冬が好きなわけではないんです。室内で培養してどこが好きかというのを調べると、25℃が一番好きです。そして、特徴は30から35という塩分の高いところが好きな生物であるということであります。
 彼らは、それでは、なぜ夏の時期に生息できないのかということになりますけれども。恐らくですが、熊本県が調査した塩分、こういう点で調査したデータを広島大学の山本民次先生が整理されたものを持ってまいりました。この青で書いたところはすごく塩分が湾央部でも低い。ここでも低い、ここでも低いというふうに、こういうところの塩分が低い。これは、菊池川からの影響もあるでしょうが、同じように雨が降っているならば筑後川も同じように大量の河川水を与えていると思います。そうすれば、夏場の有明海は塩分が低いことになります。だから、侵入してこようと思っても、それが拒まれている。なぜならば、このインブリカータは泥の中に小型の珪藻のような休眠期細胞を持たないことが瀬戸内海区水産研究所の研究でわかっています。ですから、どこにいるかというと、湾口部から外の外洋域に生息している生物です。本種の侵入を拒む塩分というバリアがあるから、自分の好きな水温の時期に入って来れないということの仮説ができあがってくるわけであります。
 実際に赤潮が発生したときの塩分を見てみます。2000年の、ここが11月で、12月になります。12月の初期からこの赤い線がグーンと上がってきています。この時期は塩分が非常に高い。これは比重で示してありますが、30から35の間にある塩分がここでずっと保たれています。しかし、この前にすごい集中豪雨が発生しています。その集中豪雨が1週間ほどするともとに戻って、それからずっと高い塩分が持続しています。
 ここで言っておきたいのは、11月中旬から下旬のこの10日ぐらいの時期に、過去最低の日照という時期があります。彼らはやはり室内実験で速く増殖するのに高照度を必要とすることがわかっています。100マイクロモル以上の照度が最高増殖のために必要ということがわかっています。やはり照度が増してくる、すなわち、高い日照はこの時期から始まっています。点線のところから、こちら側から実は増え始めているはずなんですが、何故か少し遅れてます。とは言っても、やはりこの高い日照が本種の増殖に効いているように思います。すぐに塩分が回復しても増えなかったのは、過去最低の日照が増殖のラグに関係していると思います。
 じゃあ、小型の珪藻が同時に増えてもいいんですね。でも、なぜ増えなかったか。日照が低ければそれはできない。さらに、塩分はすぐに高くなってしまってます。小型の珪藻は塩分が15プロミルから20プロミルが非常に好きです。となると、もうここでは自分の好きな塩分にはなっていません。このような条件が小型と大型珪藻の発生を分けた原因になっているのではないかなと思います。
 以上を少しまとめてみます。水温は2000年10月から11月の初旬は20℃、中旬が20℃、11月の下旬は17℃と続いています。。そして、11月の中旬に雨が降って低塩分になっています。本種は、そのときに恐らく湾口部に生息していたでしょう。そして、17℃になるときに最低光強度、高塩分にはなっていて、栄養塩があっても増殖できない。12月初旬になってくると、13~15℃になってくる。この時期ですけれども、ほかの小型珪藻が増えきれなかったということ、そのため自分一人で増えたというところには、高塩分というのが効いたと思います。そして、急速に栄養塩をとってしまいましたので、低栄養塩になった。終息は1月、2月からの小雨と
低い光強度のためで、それが衰退に追いやったということになります。
 このリゾソレニア・インブリカータというのは分類がなかなか難しいということをお話ししました。それで、あの縞模様を見ないとわからないわけですね。それでは、過去にこのインブリカータは生息していたかということになります。福岡県水産試験場に1967年からの珪藻類の標本が残っておりました。これを福岡県が調べています。1967年から1991年までのサンプルの中に三角印赤で示したインブリカータが過去からずっとこの標本の中に混じっていたということであります。本種は昔からいたということです。それから、リゾソレニアのほかの大型の種類もいたということを示しています。
 これは縦軸が対数ですからそこを気をつけてください。これはリットル当たりですから、高いときで1リットル中に100細胞ぐらいはいた、そういう濃度で過去からいたということが標本を調べることによってわかっています。
 福岡県有明海水産試験場事業報告が昭和36年に出されています。この中に、「有明海における浮遊性珪藻の異常発生とノリの不作について」という書き出しの報告書があります。この報告の総括の中に、昭和33年に発生した大型のリゾソレニア属は暖海性種である。そして、それをスティルフォルミスであると分類がされています。これがインブリカータです。ここが大分違います。ですから、この時代の標本はありませんので過去にはなかなか戻れないんですが、両種は非常によく似ているんですね。顕微鏡で見たところ。
 そのスティルフォルミスが暖海性種で、外洋から侵入してきたとこの報告書に書いてあります。そして、湾口から押し寄せてきて、そして赤潮を形成したと。その赤潮を形成した時期が、ここに書いてあります。これをちょっと読みましょうか。
 「昭和33年、有明海湾奥部で起こったノリの不作は、暖海外洋性の浮遊性珪藻リゾソレニア・スティルフォルミスが侵入し、これが異常発生した。そして、栄養を取ったためにノリが生理的な障害を受けた。この異常発生を促した原因としては、海況、気象の諸条件が考えられるが、特に年間を通じての高水温、高比重がこの生物の侵入に好条件を与えたと思われる。それから、被害を与えた。」
というふうに書いてあります。ですから、やはりこのときにも外洋から入ってきたということが強く強調されています。そして、高塩分、高照度というのがここに書かれています。
 この事件は10月から11月にかけて起こっていまして、インブリカータが出たときよりも1カ月ほど前に相当します。恐らく水温がもう全然今の時期と違う時でしたから、早い時期からノリの種苗の生産ができて、10月ぐらいから植えて、そして畑からノリをとっていたようです。このように水温の変化が大きく関係しているように思います。
 もう一度過去においてどういうリゾソレニア属が有明海に発生し、被害を与えてきたかということを整理してみます。先ほどの1958年のリゾソレニア・スティルフォルミス、ここに被害度が書いてあります。それから1965年のリゾソレニア、種類はわかりませんが、ここでも発生して、被害を与えています。1980年でもリゾソレニアが出ています。そして、1996年はリゾソレニア・セティゲラが出て、相当大きい被害を与えています。さらに、2000年のリゾソレニア・インブリカータの被害につながっています。この表は西海区水研のまとめたものを私がもう一回アレンジしたものですけれども。
 有明海で大型のリゾソレニアの赤潮が発生するというのは、2000年が特別なものではなくて、過去から発生していることになります。高照度、高塩分程度の環境条件しかわかりませんし、外から侵入してきたということしかわかりませんが、発生条件が整う時期が何十年かに一回かはあり、それに遭遇したのではなかろうかというふうに思います。
 有明海の流れの弱まりというものがもしあるとするならば、それはリゾソレニア・インブリカータの増殖を助長するものにはなっていると思いますけれども、根本的に大型珪藻の赤潮は天災系のものではないかなというのが私の意見であります。
 次に、シャットネラ属についての赤潮の話をいたします。今の小型珪藻類が年がら年中発生するもの、リゾソレニア・インブリカータは秋から冬にかけて出てくるもの、今度私が話をします生物が最も活躍するのは夏であります。夏の生物。そして、こういう形をしているものであります。かなり大きいです。これはシャットネラ・アンティーカという種類ですけれども、長くなると80ミクロンぐらいになりますから、試験管の中に入れれば目でもおおよそわかってきます。
 瀬戸内海の方でものすごい被害を与えましたので、そのデータを見てみましょう。上の段が瀬戸内海海域でのデータで縦軸が出現率で、横軸が年度であります。この黒四角で線が太いのがシャットネラ属であります。1985年から80年代に出現率が最も高く、だんだん減ってきていて、今はまず発生することがなくなっています。そして、最近、シャットネラ属が発生したといっても、この種類ではない別の種類ということになってきています。
 瀬戸内海における赤潮の発生件数というのは、この縦軸に書いてありまして、横軸が年数です。1970年から2001年までの結果です。本当に赤潮の監視体制が整ったのは70年代の中頃ですから、このあたりは多少データが不安定なところもあるかもしれませんが、ここら辺から先は大体正しいものであります。この時期に299件あったものが、最近は100件程度まで減少しています。次に栄養塩を見てみましょう。上側は窒素です。備讃瀬戸と播磨灘北部の窒素ですけれども、窒素は3分の1まで減ってきていますし、リンも多少ここのところで高いところはありますが、おおよそこことここでは2分の1から3分の1程度減ってきています。
 先ほどのシャットネラの変化と比べてみると、こういう栄養塩の減少がどうも重なっているように思いますし、富栄養化の進行がシャットネラの赤潮発生と大きく関係しているというふうに思います。
 もう1つ、彼らは非常に泥と縁の深い種類であります。現在、京都大学の今井一郎助教授のこれは成果なんですが、シャットネラのシストはあんな形、泳いでいるときはあんな形ですが、冬の間はこういう半円球のシストで、ものにくっついて底泥で冬を過ごしています。そして、これは発芽口ですが、ここから飛び出て水の中に出てくる。しかも水温がある程度、16℃とか20℃になってくると喜んで発芽してくるという種類です。しかし、冬の水温が冷たくないと成熟度合いが悪くなります。9℃以下だと100%近く発芽成熟をしますけれども、例えば11℃とか12℃だったら数十%程度の成熟になり、効率が悪くなってくる生物です。
 この生物が最近はこの有明海に定着してきているわけで、半円球のシストが2001年6月に、これは瀬戸内海区水研のデータですが、こういうところ、それからこういうところに沈殿している。6月にもこういう状態である。恐らくこの時期にはもうかなり発芽は始まっていると思いますが、泥の中に存在している。
 これは2002年のものです。同じ6月でも少し減ってはいますが、やはり高いのは諫早湾の部分と湾奥部西側域にある。
 では、本種はどこから発生するでしょう。これは佐賀県がずっと調べておられる中から抜き出させてもらいました。1994年、95年、96年、97年、98年に、シャットネラ細胞が初認された水域と日付です。佐賀県は諫早湾を調査しておりませんので、諫早湾のデータはありませんけれども、初認された水域は湾奥部西側域が特に強調されております。
 これまでの沢山の研究成果をえいやと整理して模式図にしたものがここにあります。シャットネラは冬は半円球の細胞で泥の中に眠っています。そこから発芽してきますが、発芽した細胞は小型細胞です。DNAが半分です。そして、これが途中から突然と複相化して、2倍のDNAの細胞になります。2倍量をもつ細胞が海の中で春から夏にかけて泳いでいるわけです。ここで、瀬戸内海の場合には台風とか強風という攪拌が必要になります。そして泥からの栄養供給を待っているように思われます。
 この栄養物質が水中に加わって増殖が刺激されて、赤潮になって魚を殺して、またもとに戻っていく。ここで問題は、発生時期に珪藻類が貧弱であるかどうかなんです。攪拌のときに、小型珪藻も底で休んでいます。日照があればきっと彼らも同時に増えていいはずなんですが。それが繁茂するとシャットネラは赤潮になりきれません。増殖に負けていきます。ですから、発生しない年と発生する年というのは、小型珪藻が繁茂するかしないかに大きく左右されます。とにかく、珪藻類が貧弱であるということは彼らが赤潮として成功する上で大きな出来事であります。
 もう1つ、化学的要因として栄養供給が強調されます。シャットネラは1972年に大きな被害を香川県で与えましたから、日本で赤潮の研究が最も進んだ生物であります。研究の初期の頃に、岩崎英雄先生が室内でこの生物の栄養の特徴を調べ、論文に書いておられます。その当時は、まだシャットネラと呼ばずに、ホルネリアと呼ばれていました。この生物の増殖促進物質は何かというと、アイアンとマンガニーズと書いてあります。これらの物質を強く要求すると。
 私もこの生物を随分扱ってきました。そして、水産庁の報告書に書かせていただいております。こちらの方に鉄の濃度を示し、NとPを添加してEDTAで鉄を溶存状態にしました。そして、こちらは増殖の度合いです。10μgFe/lという濃度では100細胞を維持するのがやっとですが、この◎を見てください。EDTAとのモル濃度が適切なとき、すなわち鉄がすごく利用しやすい状態の結果です。鉄がEDTAで溶かされて、増加するにつれて増殖が促進されるということがわかると思います。この白丸もそういうことになります。これを合成していくとこういうふうになります。溶けた鉄を彼らは強く要求するということでございます。
 では、溶けた鉄だけ利用するかというと、溶けた鉄だけではありません。これは溶けた鉄の増殖過程を示しています。こちらが日にち、そして縦軸が増殖を示しています。ここで植えつけて、溶けた鉄ではこういう増殖をします。溶けてない鉄だけ、すなわちEDTAを入れないとこういうふうな増殖。やや増殖が遅くなりますけれども、鉄が溶けていなくても十分に増殖します。
 これが非常に大事だと思っているんですが、EDTAと一緒に入れないで、鉄だけを取り込めるということです。海水培地はpHが8.2ぐらいである。そうすると、酸素も含まれていますから、一気に鉄はコロイド状態へと突き進んでいき、時間がたてばたつほどに粒子状になって凝集し、沈殿するような格好になります。
 その一歩手前のステップがどんどんここでは起こっているわけですね。この溶けていない、真に溶けていない鉄でもこのシャットネラはこの物質を細胞的にとることができる。他の窒素やリンがあれば鉄を利用して増殖することができるということです。
 それでは、海が撹拌される時を想定して、泥と海水を混ぜて、その上澄み液をとって、シャットネラを培養してみたらどうだろうかという、バクテリアも出てまいりますので少し荒っぽい実験ですが。これが日数でこれが細胞数です。○・・・○が鉄を入れたものです。●・・・●が鉄を入れなかったものなんですが。このあたりの数字は瀬戸内海の泥の番号です。Aというもの、これは広島湾、阿多田島の泥で、それ以外は全部瀬戸内海の泥です。この白丸に限りなく近い効果でNo.1の泥と海水を混ぜただけでシャットネラは増えるということがわかります。ですから、海水が混合された場合に、増殖が促進される可能性があるということです。
 有明海での泥の結果を持ってまいりました。数点の実験に限られていますが、そのうちの2点だけの泥で増殖が観測されました。これは、福岡県有明海両開港の泥です。これがコントロールです。このようにぐんぐん増殖しています。この両開港の泥はシャットネラの増殖を促進させる物質を持っていることになります。
 泥が攪拌される場合の話しをしましたが、あるいは撹拌されなくても、貧酸素があればそれと同じ条件ができているということを少し話をします。
 横軸はDOの量です。こちらが細胞数なんですが、底層水のDOが低ければ低いほど、細胞、ヘテロシグマは増殖します。また、DOが低ければ低いほど、pHが下がります。そして、7.5から7.0の間までpHは下がります。ヘテロシグマもシャットネラと同様の鉄を要求する良く似た栄養要求をする生物です。
 これは博多湾でのデータなんですけれども、この時期は溶存酸素がグーッとこうして下がってきます。深さが6メートル弱ですけれども、溶存酸素がグーッと下がってきています。そのときに、鉄はこういうふうに増加していきます。リンもこういうふうに増えています。それから、これはアミノ酸です。アミノ酸がこういう深いところでグッと高くなってきます。
 私がこの海水と泥とを混ぜた上澄液にシャットネラやヘテロシグマというラフィド藻を増殖促進させるその物質は何かというのを解明するために画分していくと、金属類を含む画分と一級アミノ酸がくる画分を両方混ぜるとすごく増えるということがわかりました。鉄だけでも増えますけれども、一級アミノ酸が加わるとものすごく増殖が良い。アミノ酸がもしキーレートの力を持っているならば、これがコロイドにならない働きをしているのではないかとも思われます。そして、鉄は酸素が低くなればなるほどに溶けた状態で存在しているということになります。
 溶けていても、少しは酸素がありますから、キーレートの力で頑張っていてもコロイドになると思います。そのコロイドになったものでも、シャットネラは細胞の表面にグライコカリックスという多糖・タンパク質の粘液物質を持っています。これはものすごくコロイド鉄と親和性を持ったものです。これは細胞の組織の1つですから、ここだけは酵素は飛び出してくるでしょう。まだ証明されていませんが、この酵素はきっと鉄コロイドの粒子がここにくっついたときに、それを溶かすであろうと想像されます。
 香川大学の岡市先生等がカリックスの中へと酵素を出して、そして鉄を取り込むということを本に書いておられます。そういうことから、貧酸素水があれば、弱い風でも鉄などの物質が海水中へと容易に供給されるようになると思います。泥はたくさんの栄養物を持っているし、特に鉄、マンガンや有機物、キーレートをするような有機物を持っているでしょう。貧酸素水塊が形成され、泥が還元化されていると、まだ証明されていませんが、小型珪藻類の発芽を抑えるような何かスイッチが入るようになるかもしれません。そこで珪藻類貧弱という状況がつくり上げられるのではなかろうか。そして、シャットネラが自分たちだけでもって赤潮へと向かうことができるのではないかという仮説をたてて研究をしているところであります。
 私はシャットネラの赤潮の発生件数を軽減していくためには、貧酸素水塊の形成を抑えていくことをまず考えないといけないんじゃないかと思います。しかも、このシャットネラがアサリ、あるいはいろいろな貝類、魚類に大きな被害を与える生物ですから、これをまず取り除くことが、有明海から取り除くことが大切でしょう。人間が貧酸素水塊を形成させている可能性がありますので、何等かの対策を人間が企てると、貧酸素化が解消される方向に向うかもしれません。その対策というのは私にはまだわかりません。この生物をなくすこと、これは有明海の漁業被害あるいは健全化をもっていくためには大切ではなかろうかと思います。
 底層の酸素の変化を知るために、佐賀県の浅海定線調査のデータを使わせてもらいました。佐賀県はこのあたりをずっとこうして調べておられます。これは7月の溶存酸素のデータの変化ですね。7月の底層水の溶存酸素の変化です。これは、St.1というところです。St.1、それはこの水域です。St.1の変化は、かなり変動しますが、えいやと線を引くと右肩下がりです。ですから、これは貧酸素は昔からこういうふうに形成されていますけれども、その度合いがやはり最近、強くなってきていることを示します。酸素の低い水塊が形成されればされるほど鉄の溶け方と形状が違うということになりますので、そのあたりはこの右肩下がりの状況はかなりシャットネラ赤潮発生に関係する重要なものではなかろうかと思います。
 それから、St.5もものすごく散らばっていますけれども、えいやで右肩下がりです。
 St.6はここです。大分中央部に位置します。St.6も下がっていますね。この度合いがやはり関係すると思いますし、St.7も同様です。
 ですから、貧酸素は昔から形成されていますが、貧酸素化が進行しているということを示しています。なぜそのように最近なってきたのか。ただし、これは6月と7月の現象として現われているのであって、8月、9月のデータでは現われていません。何がそうさせているのか。8月のいつごろ調査されているのか。最近になると、逆に8月は上向きになってまいります。7月はこのとおりです。このあたりがいろいろと論議をしていかなければいけないし、研究しないといけない部分であります。
 次に、諫早湾の泥をみてみましょう。横軸が窒素です。縦軸がリンですが、リンは普通目盛りで、窒素は対数でとっております。ですから、セミログです。富栄養化が進めば、泥の窒素とリンの進行は、グッと上がっていきます。しかし、砂地になるとこちらの方に分布します。これは1つの富栄養化の指標になるかと思います。これが東京湾、羽田です。
 これは農村振興局が調べられたデータをお借りして、そしてここにプロットさせていただきましたが、諫早湾奥は、この赤いところの範囲にあります。それから、採砂場所はここにあります。それから、もう1つの採砂場所はこの黄色のところにあります。ですから、こちらの方はかなりきれいであることを示し、諫早湾奥の泥は相当に悪い。
 シャットネラは一番最初に言いましたけれども、平成元年、この時期に初めて赤潮を形成しています。それから、頻度高く発生するようになってきています。諫早湾で初めて発生というのがこの印です。ヘテロシグマはここです。こういうデータが長崎県の水産試験場の資料にあります。しっかりした有明海調査体制が整った年というふうに長崎県から聞いております。
 平成元年になぜ発生したか。起工式が行われたのはその次の年でありますが。実は、いろいろなところで本を読んでいると、起工式前から工事が行われたことが判ります。諫早湾において89年6月28日から7月18日に、そのシャットネラ赤潮が、アカシオ・サンギニアと一緒に複合赤潮を記録したのが最初です。その年の7月、8月にも発生していますし、最後には8月に佐賀県で発生している。この年は3回赤潮が発生しております。89年にはガタを流出させるほどの事前工事が始まっている。人為的泥の攪拌が発生に関係した可能性が高い。これは有明漁民アンケート報告書の文章で、試験堤をつくる目的で本格的着工前の89年から工事が始まって、大型船が来たというふうに書いてある。
 また、もう1つ、「よみがえれ宝の海」には、杭打ちで押し流されて海底の還元したガタが大量に周辺漁場に流れ出した。そういうふうに書いてあります。
 ですから、起工式の前からこういう泥をかき回すようなことが、もし夏に行われていたとするならば、発生のきっかけになるかと思います。但し、その前からシャットネラのシストは沈積していたということになりますけれども。工事による攪拌は1989年の最初の赤潮につながったのではなかろうかとも思います。また今後その辺を確認していく必要があると思います。
 すみません、あと何分で終わればよろしいか教えてください。

○須藤委員長 そろそろです。

○本城委員 もうそろそろですか。

○須藤委員長 はい。

○本城委員 では、ここら辺で終わりましょうか。
 あと、コックロデニウムの話をしなければいけません。八代海のコックロデニウムは有機リンを要求します。そして、その有機リンは大半が、魚類養殖から負荷されているようにも思います。コックロデニウムの赤潮を軽減していくためには、魚類養殖の給餌の形態を改善していって、そして有機リンの負荷というか、あるいは栄養物質の負荷というものをどんどん減らしていく必要があるかと思います。
 シャットネラの赤潮初期発生の場所は、コックロデニウムが御所浦から津奈木のところになっていますが、その少し北側からです。それは、球磨川の河口から少し下側のところです。そうして、塩分の差が少し異なっていますので、そのあたりのところを考えながら、八代海のシャットネラの赤潮の発生機構を考えないといけないと思います。
 そして、私が有明海で説明したようなことが八代海のシャットネラ赤潮にも当てはまるのかどうか。八代海でも貧酸素水塊は形成されるのかどうか、貧酸素水塊中の鉄量も含めて研究していく必要があるかと思います。
 有明海で貧酸素水塊が形成されないように、諫早湾でも大浦、鹿島市沖でもそれが形成されないようにしていかねばならないのではないか。結果として、シャットネラの赤潮の被害を軽減していく必要があるというふうに思います。
 どうもありがとうございました。

○須藤委員長 どうも本城先生、ありがとうございました。前回の評価委員会では伊藤委員からも種類に分けて論議すべきであるということを受けていただいて、幾つかのタイプに赤潮を分けて、しかもその生態やら発生原因やら対策まで含めまして、総合的に、本当にわかりやすくご説明をいただきました。本当に先生に改めて感謝を申し上げるわけでございます。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、どうぞ、遠慮なくおっしゃってください。今日ここは議論の場でございますので、どうぞお願いいたします。
 小松先生からどうぞ。

○小松委員 私、赤潮に関しては素人なので素人の質問になるんですが、2、3教えていただきたいのと、それからお願いが1つあります。
 まず、リゾソレニアの赤潮が発生した条件というのが高塩分、高照度、それから外からの侵入ということだったんですが、2000年の赤潮が長期化した理由というのは何だったんでしょうか。

○本城委員 恐らく高照度と高塩分がずっと続いたからです。長い期間続いて、それを衰えさせたのは小雨が始まったからです。その小雨とともに照度が低下したんです。それと合致してます。

○小松委員 次なんですが、こういう条件がそろったときに発生しているとして、今までもリゾソレニアに関しては過去に発生しているということで、その発生には天災的な部分というのがあるということでしたが、例えば潮流が弱くなってきたというのは原因の1つと考えていいのでしょうか……

○本城委員 それも助長しているとは思いますけれども。

○小松委員 ええ。経年的に見ると、やはり赤潮が大規模化、長期化する傾向がでてきています。それはやはりそういう潮流とかほかの面の変化が、赤潮の大規模化、長期化の理由としてその辺が左右しているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○本城委員 小型珪藻も含めて、珪藻類の発生件数も右肩上がりになっています。それは、恐らくその1つの原因になっていると思います。
 ただし、大型珪藻の赤潮に関しては小型珪藻と分けて考えないといけない要因が別にあるということです。潮流の低下は発生を助長する方向に向かわせていますが。

○小松委員 最後に1つ。シャットネラの話で、やはり底泥を攪拌したのが大きな引き金になっているのではないかというお話だったんですが、我々貧酸素水塊を解消しようとすると、やはり混合力を上げようとか、攪拌しようというふうなことをすぐ力学的に考えるんですけれども、そういうやり方は、そういう意味では若干危険を伴うというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○本城委員 ええ、季節によっては大いに発生を覚悟しないといけません。季節を考えて、海水に栄養物質を出さないようにして泥を取り上げるとか、そういうような処置が必要かもしれません。そして、冬だったら、ノリのことを考えないといけないと思います。冬をねらって何か処理をしていく手があるかとは思います。

○小松委員 最後に1つお願いなんですが、我々門外漢にとっては今日の先生の講義というか発表は非常に貴重なんですね。後で議事録等で一生懸命勉強させていただきたいと思いますので、今日使われたOHPをぜひ、議事録と照合して勉強したいので、全部ご提供願えたらと思うんですが如何でしょうか。よろしくお願いします。

○本城委員 はい。

○須藤委員長 本城先生、お貸しいただけるんですか、今の議論、かなりの部分ここに入っているのは私も承知していた……

○本城委員 ええ、もう既に報告したものが多いですね。あと、水産庁の報告書として随分昔のものが大分混じっておりますので、それは水産庁の方は構わないと思いますし。

○須藤委員長 公表されていることですものね。

○本城委員 ええ。

○須藤委員長 先生がアレンジしているものもありましたけれども、それでよろしいですか。

○本城委員 はい。

○須藤委員長 それでは、お貸しくださるということで。
 では、事務局、小松先生のご要望もあったので。

○本城委員 お願いします。大分枚数が多くなるかもしれません。

○須藤委員長 たくさんの枚数ですけれども、勉強の題材ということで、資料として。では、お預かりさせていただくということで。では、先生の差し支えのない範囲で、速やかに開示をすると思いますので、お願いいたします。

○本城委員 はい。これ全部コピーしなければなりませんが。

○須藤委員長 それ全部ですよね。

○本城委員 では、環境省に置いていきますので後で送ってください。

○須藤委員長 そうですね、それがよろしいんじゃないですか。事務局で作業していただきましょう。これ個別の話ではございませんので、委員会の仕事としてやらせていただきたいと。
 どうも先生ありがとうございました。
 では、ほかの先生、どうぞ、お願いいたします。どうぞ、森下先生、お願いします。

○森下委員 少し質問させてください。フィールドで赤潮が発生しますと、どれくらいの層に出るんですか。満遍なく出るわけじゃないですね、やはりいろいろなのですね。海ではどのあたりぐらいまで赤潮の影響が出るんでしょうか。

○本城委員 生物によって違うんですね。今、私が説明しました最も怖いシャットネラは、やはり表層増殖性であります。水が攪拌している時はある程度分散しております。ですから、表面から数メートルの水柱に生息していることが多いし、ときには薄い層で表面に存在しているときもあります。それから、夜になるとそれは下っていきます、日周鉛直移動をします。そして、栄養を取ってまた上がります。貧酸素水塊があると増殖するうえでは助かりますね、彼らにとっては。それから、ギムノディニウム・ミキモトイというのは中層増殖性でありまして、最初のころは10メートルとか5メートルで増殖を開始して、密度が濃くなると表面に上がってくるということです。
 そういうふうにして生物によって違います。でも、ここで説明したものはほとんどが表層増殖性であります。

○森下委員 それは1日に移動するわけですね。

○本城委員 鞭毛藻類はします。

○森下委員 そのときの例えば酸素の放出量みたいなものはやはり種類によって違うんですか。

○本城委員 1個の細胞が出す量は違います。大きさが全然違いますので。

○森下委員 それで、大型珪藻と小型珪藻のお話をされたんですけれども。珪藻がずっと変化をしていくというのはよくわかるんですが、それではほかの植物は変化をしないんですか。プランクトンがずっと増える傾向にあるというふうにお話になったんですが、それは珪藻だけについてなんですか、それともほかの生物、緑藻だとかラン藻についてもそういうことがあるんですか。

○本城委員 緑藻、ラン藻は私は知りません。渦鞭毛藻、ラフィド藻、それから珪藻ですね、これはやはり右肩上がりですね。有明海では。

○森下委員 そうですね。淡水の場合はほかのものがあってとてもそれがややこしいんだけれども、海は珪藻だけやればというふうに言われているだけあって。

○本城委員 大体そうですね。

○須藤委員長 あまりいないですよね、現実にね。

○本城委員 ええ、たまに諫早湾沖でちょっと違う種類が出たことがあるんですけれども。

○森下委員 淡水の影響が出てくるところにはかなり緑藻が出てくるので、そういうものも少しずつは減っているのか増えているのかなというのが……

○本城委員 その研究はないと思いますね。

○森下委員 ありがとうございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの先生、いかがでございましょうか。どうぞ、山田先生。

○山田委員 大変興味深いご発表どうもありがとうございました。非常に勉強させていただきました。2つほどお聞きしたいことがございまして。
 1つは、小型珪藻類と大型珪藻類です。小型珪藻類は、ここの資料4では夏季には有害藻として残っていないんですけれども、恐らく赤潮はかなりスケレトネマが夏につくっている……

○本城委員 赤潮を形成しています。

○山田委員 これはえさとして寄与しているからということで書かれていないと思うんですが。

○本城委員 そうです、ノリがないから。

○山田委員 冬になると分裂速度が大分落ちてくるということで、冬のリゾソレニアの分裂速度とそれからスケレトネマの分裂速度はどのくらいの違いになるんでしょうか。

○本城委員 冬の水温で、データは持ってきておりませんが、わかっていますね。インブリカータの場合は0.3とか0.4ですよね。15℃、20℃では。それから、集積もあるかもしれないけれども、私が現場のデータを整理してみると、2.92になるんですね。集積も加わっているかもしれませんが。この速度はインブリカータの冬の値です。
 佐々木・鬼頭の室内研究によれば、最高が1付近ですね。最高に増殖して。それから、山口他は0.6ですね。ですから、最高でもその程度の速度です、室内では。

○山田委員 想像したとしたら、その集積とかが効いているかもしれない。

○本城委員 はい、それもあると思います。

○山田委員 それとあともう1つは、実際に小型珪藻にしても、それから鞭毛藻にしても、赤潮の形成頻度が増しているということなんですね。そして、そういうふうにして大きく赤潮ということでとらえてみますと、やはり今日は個別の種類がなぜ繁殖するかということで非常に科学的な面、物理的な面でおもしろく勉強させてもらいました。
 もっとマクロ的にとらえて、何で赤潮が長期間多頻度化していくかということを考えてみますと、やはりそこは植物プランクトンの分裂速度と水塊の安定性といいますか、そこら辺も寄与しているのではないかと思われます。
 そこで、やはり分裂速度と水の安定性というところですね、そこら辺でのご研究もこれからお願いしたいと思います。

○本城委員 まさしくそのとおりだと思いますね。流れは大きく寄与していると思います。生物の増殖を助長する。特に小型珪藻には効いていると思いますけれどもね。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 では、ほかにどうぞ。まだご質問あれば伺いますが。
 それでは、先生に本当にご親切に、またわかりやすくご説明いただきましたので、先ほどの資料をまたお借りして、先生方、議事録を見ながら、小松先生が、今、勉強してくださるとおっしゃったんだけれども、我々も皆さんみんなそれに合わせて勉強させていただくということにさせていただきます。

○本城委員 それで、原因・要因のところに貧酸素水塊という言葉を入れていただければと思います。

○須藤委員長 貧酸素水塊ですね。わかりました。どうもありがとうございます。
 それでは、今後は、先ほどの資料3の別紙にあります個別の論点ごとに議論を深めていきたいと考えております。ただし、先ほど事務局から全体的なスケジュールの説明がありましたが、中間報告や最終報告に向けてそれほど余裕があるわけではございません。先ほどお話ししたとおりであります。したがって、一度の評価委員会で1課題というわけにはいきませんので、複数の論点について議論をしていただくことになろうかと思われます。
 次回の論点につきましては、事務局と調整の上で決めていきたいと思っておりますが、先ほどお願いしましたように、それぞれの論点に詳しい先生方からご説明をいただくことと考えておりますので、ここで改めてお願いすることといたしますが、先生のご都合やら準備の都合もございますでしょうが、事務局と私がその調整に当たりまして、岡田先生も当然入っていただきますが。それで、多少先ほどの書いた順ということではございませんで、準備ができ次第、あるいはワーキングなんかの場合は少し早めに進めた方がよろしいと思いますので、ちょっとここの場ですぐというわけにはいきませんのですが、とにかく先生方にお願いするということでご協力をお願いしたいと思います。
 次が、有明海・八代海に関する情報項目一覧表の整理についてということでございまして、次の議題になるわけでございます。これは前回の評価委員会で私から細川委員へ作業をお願いした案件でございます。本日は細川委員がご欠席でございますので、事務局からこの作業の状況について報告をしていただきたいと思います。
 それでは、事務局、どうぞお願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長補佐 はい。それでは、ご説明いたします。特に資料は本日用意しておりません。作業の進捗状況についてご報告させていただきます。
 今、須藤委員長からもありましたように、8月23日に開催されました前回第11回の評価委員会で、須藤委員長から細川委員に対して有明海・八代海に関する情報についてデータを収集すべき項目をまとめていただきたいというご依頼がありました。その後、本日ご欠席ですが、細川先生にご苦労いただきまして、有明海・八代海、それから特別措置法に定められております指定地域について、自然条件、社会条件等を把握するためにデータの収集・整理が必要な項目というものを事務局あてにご提示いただいたところです。
 この項目につきましては、10月18日付の事務局からの事務連絡で各委員にはお示しいたしました。そして、追加すべき項目がないかどうか確認をいただきまして、数名の委員からはご意見をいただいたところです。
 現在、霞が関でデータの収集ができない項目、例えば漁業権の設定状況ですとか、覆砂の状況などについて九州の関係各県にデータの有無を照会して、先日データがあるかないかの回答を得たところです。その結果、どうしてもデータが得られない項目というのもありました。そこで、来週ですが、改めて細川委員とご相談させていただいて、項目の絞込みを行いたいというふうに考えております。
 一方で、収集可能な項目に関しては既にデータの入力を開始しておりまして、これについてもアウトプットのイメージなどを細川委員と相談しつつ作業を行った上で、しかるべき機会に評価委員会へ資料を提出し委員の皆様方にお示ししたいというふうに考えております。
 以上、情報項目一覧表についての作業の進捗状況をご報告いたしました。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。細川委員には早速やっていただきまして、私が拝見させていただいてもほとんどもう抜けがないほどきちっとやっていただいたんですが、今、和田補佐からお話ございましたように、資料として集められない、あるいはなかなかデータがないのではないかというようなものもございまして、現実問題としてまとめられる資料というふうにしないといけませんので、細川委員と今後十分相談した上でご協力をいただきながら作業を進めていきたいと、こういうふうに考えておりまして、資料がもう少しまとまった段階で評価委員会に細川委員からご説明いただきたいと、考えているわけでございます。
 質問何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次に移らせていただきます。それでは、次の議題に移ります。次の議題は、小委員会におけるこれまでの作業の成果について小委員会の委員長の荒牧委員から報告をいただきます。
 それでは、荒牧先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○荒牧委員 はい。それでは、小委員会の報告をさせていただきます。
 小委員会では文献の概要リストをつくるのと同時に、その成果物として文献シートを策定しております。前年度は干潟と環境との関係、潮流と潮汐と環境との関係、それから赤潮と貧酸素水塊の発生機構に関すること、水産資源と環境との関係をもう既に報告をいたしましたけれども、その残りの部分が4つあって、今年度は流入水の汚濁負荷量と環境との関係、それから、流入河川の流況と環境との関係、土砂採取と環境との関係、その他という形で文献を収集して、小委員会のメンバーの方々に読んでいただいて評価をいただくという作業を行いました。
 その成果物が、まず、資料5-1をご覧いただきたいと思います。資料5-1はそこに書いてありますように、掲載項目が[3]、[4]、[5]、[8]の項目です。みなさんにお願いした文献数を申し上げますと、[3]流入水の汚濁負荷量と環境との関係は18文献です。それから、[4]流入河川の流況と環境との関係が4文献、それから、[5]土砂採取と環境との関係が2文献、[8]その他62文献というのがあります。それは、15年度までに発表された研究報告ですので、それ以降については掲載されておりません。
 それで、各分類項目ごとに専門の先生方に文献と概要リストをお送りいたしまして、委員からコメントと評価をいただきました。評価は1、2、3、4という形で以前と同じです。1、2についてはこの本委員会に上げてみなさん方の議論にご利用いただけるというふうに小委員会の委員が判断したものです。
 それから、その対象として20文献が挙がりましたので、その文献のシートを作成しました。対象が20文献で、[3]の流入水と汚濁負荷量と環境の関係が18文献中4件。それから、[4]の流入河川の流況と環境との関係については該当するものがないという判断であります。それから、[5]の土砂採取と環境との関係についてもこの有明海の異変と再生に関係するようなものは見つからなかったということです。[8]のその他、62文献のうちの16文献を参考に供したいということで、その1と2に該当したもの20文献を、資料5-2にありますように、いわゆる文献シートとして作成いたしました。これらの文献シートは、昨年度分類し、お示ししました76文献と一括して平成15年度版として一冊にまとめたいというふうに思います。
 それから、この小委員会で作業した成果の評価委員会への反映について、私の方からお願いがありますが、判断基準の1と判断されたものは、ぜひこの本委員会で参考にしてほしいということで小委員会の委員が判断したものであります。ですから、この評価委員会で作成中のいわゆる資料番号2-1に掲載するのが、明確である事項といいますか、論文のリストの中にぜひ反映させていただければというふうに思います。今、作業中の岡田先生にもぜひそのこと、1、2については確認をいただければありがたいなというふうに思います。小委員会の委員の皆さん方には、この1、2については本委員会でつくっておりますリストの中に反映させるというふうに申し上げて作業していただいておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上が私からの報告なんですが、委員会の席上、相当激論があったということを紹介しておきたいと思います。1つは、この作業のやり方、どういうふうなものを本委員会へ上げるかという問題が1つであります。すなわち、それぞれ専門の方々にいわゆる学術的な論文を評価していただくことになる。ただ、我々がお願いしましたのは、この本委員会に参考になるものは上げてほしいというふうに申し上げたわけですが、専門の先生方はどうしてもそれぞれの中身というか、それの評価みたいなものも当然専門家ですからおやりになります。これは枠組みとしてはおもしろい仮説あるいは論証になっているけれども、まだ十分な証明がなされていないのではないかというふうに判断された論文もあります。そこのところが非常に問題になって、それぞれの方々が専門家ですから、これを1にするか、あるいは逆に言うと4にするかという極端な例まで判断を迫られました。
 そこのところは結果としては、一応そういう確かに1つの仮説あるいは非常に重要な可能性を含んでいるけれども、必ずしもまだ十分な証明が行われていないというものは上げることに結論としてはしてあります。
 ですから、そのことについては資料5-1の文献概要リスト一覧を見ていただきますと、シート作成のところに○がついている部分とついていないのがありますが、シート作成○とつけたのは1か2なんですけれども、そこに備考の欄があります。備考の欄のところにその評価をなさった方々がどういうふうに自分は判断したのかということを記入しておられます。そこにある意味でいうと、自分とは少し意見が違うけれども、参考になると思うので、ぜひ議論の中で参考にしてほしいというようなニュアンスのことも書かれておられます。ですから、この文献リストを読むときに小委員会の委員のいわば姿勢というものを見ていただくには、備考の欄も含めて考えてください。
 シート作成に当たらないとされた文献については、この備考の欄が外してあります。それはもちろんもともとは記載があるんですけれども、それは何も論文の評価をすることではないという意味で、文献シートに挙げたものだけに備考の欄をつけた。そういうふうにいたしておりますので、そこの欄の中にこの評価をしていただいた小委員会の委員の方々のいわば評価内容といいますか、意見が組み込まれているというふうにご理解ください。ですから、相当我々としても議論をいたしましたけれども、そういう形で本委員会に上げるということにしましたので、文献リストの中に示されている概要だけでなくて、そこの中の備考の欄も参考にしていただけると委員の方々がどういう点で悩み、あるいは参考にしてほしいというふうに思われたかという意見がご理解いただけると思いますので、ぜひそういう形でご参照ください。
 非常にたくさんの論文を読むという作業はちょっと酷な作業だったような気が確かにいたしますけれども、本委員会の方に全てを上げて負荷をかけるというようなことよりも、小委員会の委員の方々の目を一回通したものを上げていくという形の方が有効であろうという初期の目的で進めましたので、そういうふうにご理解いただければと思います。
 以上が私の報告です。

○須藤委員長 どうも、荒牧先生、ありがとうございました。
 今、荒牧先生がおっしゃったとおりでございまして、私も実は小委員会の方のメンバーとして出させてはいただいておるんですが、今のようなことでかなりの激論がございました。特に論文によっては1人の先生が1という評価をする。もう1人の先生は4と評価をします。ということで、じゃあ、どっちにしましょうかということになって、どうも本当の推論だけなんだから4になるべきなのかなというようなことがあったこともございますが、それですとここでの議論から消えてしまいます。それなので、やはり項目としては上げていただいた方がよろしいのではないかと荒牧先生にお願いをいたしまして、全員が4だったらよろしいんですけれども。そういうことで、そういう推論のようなものでももし、まあ、そういうことが言えるかもしれないなと思うようなものは上げていただいたということで、できるだけ小委員会に非常に負担をかけた作業が、ここの場で参考になるためには、先ほど岡田先生がいろいろつくっていただいている資料の中にここで○印になっているものは記載していただくということを私からもお約束をいたしました。
 小委員会の皆さんは、ここの評価委員会の論議は、議事録を読むことは可能ですけれども、実際の雰囲気もご存じございませんので、荒牧先生からるるご説明をいただいておりまして、今のところはすごく協力をいただいているので、私からもお願いをしてきたということでございます。
 本当に荒牧先生にはお力添えいただいて感謝申し上げておりますが、ただいまのご説明につきまして、ご質問ございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、荒牧委員長を初めといたします小委員会の委員の皆様には今年度も大変な作業をお願いするということになりますが、引き続きご協力のほどよろしくお願いをしたいと思います。
 また、小委員会の作業の成果につきましては、適宜評価委員会の資料等に反映させていただくということになっておりますので、これについてもまたこの委員の先生方のご配慮をお願いしたいと思います。
 次の議題に移らせていただきます。次の議題はその他でございますが、本日はその他といたしまして2点ございます。
 1点目は、貧酸素水塊広域連続観測調査の結果について報告をしていただきます。本調査は、有明海の貧酸素水塊について農村振興局と水産庁と環境省が共同で実施したもので、調査の概要と計画については、以前の評価委員会で説明を受けたものであります。調査結果全体についてのとりまとめは今後年度末に向けて行われていくものでありますが、本日は途中経過として貧酸素水塊の発生状況を中心に報告をしていただきます。
 それでは、環境省、水産庁、農村振興局の順にご説明ください。
 どうぞ、順番にお願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長補佐 まず、環境省の方から、本調査の目的と調査内容について簡単に大まかなことをご説明いたします。
 ご存じのとおり、この委員会でも散々議論されてきておりますけれども、貧酸素水塊は赤潮の発生とか二枚貝の大量斃死の原因として問題視されてきています。ところが、有明海のどこでどのように発生するかといった詳しい状況はこれまで十分に明らかにされてきていなかったというのが現状でした。そこで、本年度から農林水産省の農村振興局、それから水産庁及び環境省が共同して広域的連続的に観測を行って得たデータを共有して、それらを合わせて解析することによってどのように発生して移動しているのか。それから、その発生機構がどのようになっているのかというようなことを明らかにしていくための調査を始めたところです。
 調査の内容としましては、実施機関は、今、述べました3機関で行っております。実際に調査を担当している機関は農村振興局の方は諫早湾干拓事務所、それから水産庁と環境省の調査に関しては独立行政法人の水産総合研究センターの西海区水産研究所にお願いしたところです。それぞれから個別の調査結果についてはご説明いただきたいというふうに思っております。
 それから、調査地点は資料6の2ページ目をご覧ください。各機関ごとの調査地点別に色分けをして、全部で39地点ございます。それから、調査方法と調査項目ですが、3ページ目の表1というのをご覧ください。調査期間は原則としまして貧酸素水塊が発生する夏場の6月から9月ぐらいになっております。30分もしくは60分ごとの連続観測を行った地点と週1回の一斉観測を行った地点があります。それぞれの機関がどういった項目についてどういった場所でどういった期間を行ったかというのを簡単に1枚にとりまとめたのが表1であります。
 あとはそれぞれの機関が行った今年の調査の結果について、調査担当機関からご説明をいただきたいと思います。

○須藤委員長 それでは、どうぞお願いします。

○(独)水産総合研究センター西海区水産研究所海区水産業研究部科長 水産総合研究センター西海区水産研究所の木元です。有明海貧酸素水塊広域連続観測調査につきましてご報告いたします。
 有明海では湾奥部に干潟がございまして、またその沖には河川からつながります海底水道がございます。これまでの調査の中で、貧酸素水塊が干潟の縁辺部で発生し、それが潮汐に伴いまして南北に移動するということがわかってきていることから、この地形に配慮して観測点を配置しました。
 干潟部を中心に5点の観測点を、その沖に海底水道に沿って観測点を配置し、さらに諫早湾と沖合のタイラギ漁場にも観測点を配置しました。このように底層を連続観測するために計22点の観測点を配置してございます。
 諫早湾での観測におきましては、農村振興局が観測櫓を用いまして、表層から海底までの0.5メートルごとの観測を1時間ごとに実施しております。
 これは湾奥のP6で環境省の分として設置したものですけれども、表層に通信用のブイを置き、海底で30分ごとにとったデータを送信して取得しております。あと、1メートル、4メートル、8メートル層について連続的に記録をとっておりまして、1週間に一度機械を交換してデータを回収しております。
 水産庁と環境省の6点の観測データにつきましては、インターネット通信でメールを経由して、私ども西海区水産研究所で受信してデータを整理しております。
 16年度につきましては、ファックスを用い、関係機関へ情報を提供したところです。
 17年度につきましては、ホームページ上でリアルタイムデータを公表するということで準備を進めています。
 今年の16年度の貧酸素の状況、観測結果についてご報告いたしますが、初めに、今年の気象の状況についてご説明いたします。16年度は台風が九州にたびたび接近しまして、上陸したものもございます。特に台風7号、10号、15号、16号、18号につきましては佐賀市で風速10メートルを超える強い風が吹いております。
 表層から海底までの4層で観測しました有明海奥部の観測点のデータを紹介いたします。6月から9月までの4カ月間の観測の溶存酸素の飽和度DO%をここに示してございます。各層でのデータで、小潮の時期と、それにつながる後の時期に溶存酸素の低下が見られております。特にこの7月の中旬、下旬、8月の中旬、下旬の4回につきましては、溶存酸素飽和度が40%を下回る貧酸素が発生しております。
 この8月のときのデータについて、次にほかの環境要素とともにお示しいたします。水温、塩分、クロロフィル、DO%を示してございます。8月の上旬に台風10号、11号が連続して影響を及ぼしまして、成層が崩れておりますが、その後、小潮を経て成層が再び形成されております。8月5日以降に表層でのクロロフィルの増大が見られております。この時期はこの海域で大規模な赤潮が発生していることが報告されております。
 その結果として、台風が過ぎた後から、この点では底層で溶存酸素が徐々に低下しておりまして、小潮の時期には40%を割っておりますが、その後潮が大きくなる時期にもまだ底層の溶存酸素が低下しております。その後、台風15号が8月18日に接近して、それによる大きな擾乱によって成層が崩れ、溶存酸素が戻りました。
 P6観測点と、より浅い場所の水深5メートルの点、さらに浅い水深1メートルの点、及び海底水路につながる水深20メートルの4つの地点でのデータを比較してお示しいたします。
 8月の中旬の溶存酸素の減少の状況ですけれども、水深5メートル程度のB'という地点での溶存酸素がまず最初に低下してます。その後に引き続きまして、T1で溶存酸素が低下します。干潮時には干潟部の溶存酸素をたくさん含んだ海水が押し寄せるために溶存酸素が高く、逆に満潮時には沖の溶存酸素の低い水が来るという大きな変動を、この干潟のところではこの時期に繰り返してます。
 その後、小潮が過ぎて、だんだん潮が大きくなり、B'の点につきましては溶存酸素は徐々に上がっていきますが、より浅い水深1メートル程度のところでは溶存酸素が上がらずに、特に満潮時にはかなり厳しい貧酸素状態がそのまま続いております。
 このような浅いところでの溶存酸素は潮汐と関わって大きく変動しますが、それより深い水深10メートルのP6、またそれよりもさらに深い水深20メートルのP1では、小潮の時期以降にも徐々に溶存酸素が下がり、さらに大潮の時期になっても溶存酸素が下がる変動をしております。
 今回、22点で底層のデータが得られておりますので、それをもとに底層の分布図を描いております。青い色で示したものが40%以下の溶存酸素で、いわゆる貧酸素に当たるものです。真ん中には、大きな図として溶存酸素の飽和度を示してございます。こちらに溶存酸素、塩分、水温を示してございます。
 8月7日は大潮の後の中潮に当たり、まだ潮汐が大きいですけれども、その以前に台風の影響がございまして、海域全体が溶存酸素が高い状態になっております。
 小潮の8日になりまして、有明海の奥部と諫早湾の中で溶存酸素が少し下がり、50%を割るような地点が現れてまいります。
 9日になりますと、有明海の奥部のB'の点と諫早湾の北側の水域で溶存酸素が低下しております。佐賀県太良町の沖でも貧酸素になっております。
 10日は、さらに潮が小潮で小さくなりますが、このころになりますと有明海奥部と諫早湾の中で溶存酸素飽和度が30%を下回る貧酸素となっております。
 11日は潮位差が最も小さい長潮に当たります。有明海奥部では20%を下回る貧酸素となっておりますし、諫早湾の中では10%以下、また小長井沖では無酸素の状態が観測されております。ただ、干潮時になりますと干潟部で有明海奥部で溶存酸素が一時的に上昇はしています。
 8月12日は中潮になりまして、これから徐々に潮が大きくなりますが、潮位差の小さいこのような時間帯には再び貧酸素状態になっております。しかし、干潮時になると、溶存酸素が高くなるという変動をしますが、またそれでも潮位差の小さい時間帯になりますと、有明海奥部と諫早湾の中では貧酸素になっております。
 8月13日は有明海奥部と諫早湾の北側の広い水域で40%以下の貧酸素となっております。
 8月14日は諫早湾奥部と有明海奥部で著しい貧酸素になっております。潮汐がだんだん強まりまして、このころからその沖合の方での溶存酸素が低下してまいります。
 8月15日は大潮の時期に当たり、さらに潮汐が大きくなってまいりますが、諫早湾内と太良沖では貧酸素が続いております。また、その一方、沖の方で溶存酸素が低下しております。干潮時には浅いところで溶存酸素が上昇しております。
 この沖合では溶存酸素の飽和度がさらに低下しまして、30%以下となっております。
 このように、底層の溶存酸素の平面的な分布から有明海奥部と諫早湾の中で別々に貧酸素が発生しているということがこの調査からわかりました。
 以上です。

○須藤委員長 それでは、続けてどうぞお願いします。

○農村振興局農村環境保全室長 農村振興局の方から貧酸素水塊、主に西海区水研の方からは主に平面的な分布状況をお話しされていましたけれども、うちからは主に鉛直方向ということで、特に諫早湾内でかなり密度の濃い観測をやっていますので、諫早湾内におけるそういう鉛直方向の水質分布、それから一斉観測を中心に有明海の湾奥における水質の鉛直分布と、2つのテーマでご説明します。
 観測地点としましては、有明海湾奥と諫早湾内ですが、先ほど西海区のパワーポイントにもありましたが、赤い色の地点では自動昇降式の観測をやっています。あと、それを補足する形で青い四角が一斉観測ということで、この夏7月から9月までに10回ほど一斉で鉛直方向の水質データをとっております。あと、DとFについては底層と表層での連続観測、あと12時間あるいは24時間の連続観測を行っております。
 これが農村振興局関係の調査の一覧表です。これはお手元のデータと同じですのでご覧ください。
 先ほどもありましたけれども、自動昇降式の6地点ですね、一応こういう形で50センチごとに毎正時、1時間ごとにずっと観測データをとっています。これは通年観測ですから現在も観測を続けております。
 まず、諫早湾内での貧酸素の発生状況を鉛直方向に見てみようということで、7月25日から8月1日まで8日間のデータを横軸を時間軸として示しています。この鉛直方向の水質を湾内の3地点、一番上が湾奥S1という北部排水門の近く、中央がB3という諫早湾の中央部、それから一番下がB4という湾口の北側で見ますと、7月の大体26日ぐらい以降ですかね、湾の中央部で貧酸素が見られます。湾口付近でもやはり貧酸素化、この少し青が薄い部分が40%以下で、特にひどい20%以下のところは、濃い青のところです。
 下に潮汐が書いてありますけれども、先ほどの報告にもありましたように、小潮時を中心に貧酸素化しますが、小潮を過ぎてからもしばらくは続くということですね。今年は非常に台風が多くて、このときは7月31日に台風10号が来て、強い北風が吹いております。ここで貧酸素はほとんど解消されたという状況であります。
 次に、これは8月13日から20日までの酸素飽和度の鉛直分布です。先ほどと同じ図です。ここでは湾奥でも貧酸素が見られております。大体8月13日から15日ぐらいですね。ただ、このとき表層は基本的にどこも酸素に関しては過飽和の状態です。湾の中央部では大体こういう形。それから、湾口にいくとこういう形で。いずれにしても貧酸素は見られます。ここも台風15号によって8月18日から19日にかけて非常に強い風が吹いておりまして、ここで表層から底層までほとんどリセットされたということになります。
 そこで、塩分成層とか密度成層とか、成層が貧酸素の場合問題になるわけですけれども、成層の形成状況を見てみます。これは8月5日から20日までの諫早湾の中央部での表層と底層の水温と塩分、それから水温、塩分両方使って計算した密度を示しています。あと、この緑色で示しているのが酸素飽和度です。あと、風と潮汐を入れてあります。
 成層構造というのは常にこの時期はつくられていますが、時期によって若干変化します。ここで特に温度に差が出ているというような状況になります。
 あと、小潮期がここですので、小潮期に向かって酸素飽和度はずっと低下していく状況。それから、先ほどの台風の15号の影響で成層が完全に破壊されると、それと同時に、酸素飽和度も急上昇するという関係が見られます。
 これは調整池からの排水の状況と、それ以外の湾内での表層の塩分低下の状況を見た図ですが、7月8日から20日までのデータです。これだと、7月の8日から10日まで雨がかなり降っておりまして、この雨に伴いまして、調整池から排水を行ったということです。このブルーの線ですが、これは南部排水門からの排水をこのとき行っております。この南部排水門の直近にあるS6という自動昇降機で観測をしております。排水を行うと同時に表層に塩分低下が見られるという状況です。非常によく対応しています。それで、排水が終わるとすぐにポッと戻るというような状況です。そのような状況は、湾奥部とか湾口北部にはあらわれていません。
 一方、7月11日から12日にも、少し塩分の低下量は少ないんですが、長時間続くタイプの塩分低下が表層で見られています。これはよく見ると、7月11日にまず最初にB4、湾口で始まって、それから湾の中央のB3にいって、湾奥には12日になって入ってくるという状況です。こういう塩分低下、表層の塩分低下は諫早湾の外側からくる淡水の影響ではないかと思われます。
 あと、一斉観測ですが、10回ほど行っております。この青い四角のポイントです。これと自動昇降機のデータと合わせまして、10回のうち何地点で酸素飽和度40%以下が観測されたのかをちょっと集計してみますと、有明海の湾奥の12地点では10回のうち6回観測されています。この12地点で6回観測されております。それから、諫早湾内では13地点で3回観測されております。
 これから少し一斉観測の結果を見るんですが、特に貧酸素が複数回両海域で観測されたこの3回目と5回目について見ていきます。
 これは第3回目の7月29日の酸素飽和度の断面図です。表層の赤い部分は、飽和度が100%を超えているということを示しております。底層の青い部分、薄い青は50%以下、ちょっと濃い青は40%以下、いわゆる貧酸素ですね。それから、もう少し濃い青がある、これは20%以下でかなり強い貧酸素になるわけです。
 それは大体佐賀のA測点、一番干潟に近いところですね、それから諫早湾の中央部B3というところ、こういうところが低くなっています。あと、ほかの測線でもこういうふうに貧酸素が、AAからCC、下の断面ではほぼ断面沿いにつながっています。あと、このDとかFとか深い場所では下の方が酸素飽和度が高くて、中層に酸素飽和度の低い水塊がくるという状況が見られます。
 これはそのときの塩分の分布です。表層を低塩分水がずっとそれぞれの地域を覆っています。この有明海の湾奥の方が比較的表層の塩分が低くて、諫早湾はそれほど低くなっていないという状況で、先ほどの貧酸素の程度とはあまり一致していないという状況です。
 これは水温ですね。水温も、湾奥の方が非常に高く、あと、諫早湾内の潮受堤防の近くで高い水温になっているということで、全体的に表層の温度が高いという状況です。
 次は、第5回目の一斉観測、8月12日のデータです。このときも表層は大分過飽和ということで赤くなっております。あと、底層から中層にかけて貧酸素が見られました。先ほどの7月29日と比較するとこの青い断面では有明海湾奥と諫早湾付近に分かれて貧酸素があるという状況です。あと、この水深が比較的深いところでは底層の方はかえって飽和度は高いという状況が見られます。
 このときの塩分です。塩分につきましては、先ほどよりもずっと表層の塩分濃度が上がっていますが、表層に塩分の低いゾーンが数メートル乗っているという状況が見られます。
 それから、これは水温ですね。このときは表層の水温は非常に高くなっておりまして、特にこの青い断面の方では表層から数メートル、30℃を超して、場所によっては31℃を超すような高い水温が見られております。
 あと、これが佐賀沖のD地点とF地点で24時間の連続観測で鉛直方向にデータをとった結果です。上が酸素飽和度です。表層はもう既に酸素過飽和になっています。特に昼の干潮時に過飽和の状態が激しくなるという状況です。下は水温ですが、やはりここも昼の干潮時に非常に高水温のものがあります。
 これが塩分です。これも低塩分水が、大体この過飽和ゾーンと同じような形で上にきています。
 これがクロロフィルaですね。クロロフィルの換算値です。これもやはりこの上の過飽和ゾーンのこの下の少し深いところ、表層までいかないんですけれども、これが非常に高い、やはり昼の干潮時にクロロフィルが高くなるという状況が見られます。
 これはもう少し深いところですね。ここは水深が22~23メートルの場所ですが、ここで表層は過飽和のゾーンがずっとありまして、その下に貧酸素がくるんですが、この深い方はそう貧酸素の程度は激しくなくて、中層に激しい貧酸素のゾーンが出てくるという状況です。
 これは水温です。この水温は過飽和のゾーンよりやや厚い感じに見えますけれども、表層に高水温のものが乗っています。
 それから、これが塩分ですね。表層に低塩分水、大体この過飽和の部分と一致するような部分が低塩分になっているという状況であります。
 これがクロロフィルです。クロロフィルのゾーンは上の過飽和のゾーンよりも少し厚い感じですが、先ほどのD地点よりはクロロフィルの濃度は低くなっています。
 以上です。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。今、3省庁からご説明をいただきました。貧酸素水塊の状況をそれぞれの調査地点でのご報告でございます。
 何かご質問ございますでしょうか。よろしいですか。かなり広範囲に貧酸素水塊ができているというのはよくおわかりいただけたと思いますが、よろしいですか。特にございませんか。
 それでは、あまり時間もございませんので、その他の2点目にまいります。現場のトピックスの紹介ということで、福岡県と佐賀県からタイラギの休業に関してご紹介いただき、その後長崎県からアサリに関する情報の提供をいただきます。
 それでは、福岡県からどうぞお願いいたします。どうぞ。福岡県、佐賀県、長崎県という、そういう順でまいります。

○福岡県水産林務部漁政課主任技師 福岡県漁政課の杉野と申します。特に資料等提出しておりませんので、口頭で説明させていただきます。有明海でのタイラギの休業についてということでご報告したいと思います。
 福岡県有明海域における潜水器漁業の許可につきましては、漁期前に海域内の潜水器漁業者と有明海研究所の方で共同調査を行い、資源調査を行いまして、その結果を踏まえた上で、海区漁業調整委員会の意見を聞いて、当該年の許可の是非について決定する手順になっております。
 結論から申しますと、今漁期については潜水器漁業の許可要望を出さないということで決定しております。資源量が非常に少なかったということで、佐賀県の方でも資源量が非常に少なかったということで、両県の潜水器漁業者で組織する福岡・佐賀両県有明海潜水器漁業者協議会が今期のタイラギ漁業の休業を決定しております。
 協議会の方で許可申請しないことを決定しましたのは、平成13年、平成14年に続いて2年ぶりの3度目となっております。
 福岡県からは以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、佐賀県からどうぞ。

○佐賀県農林水産商工本部水産課主幹 佐賀県の水産課でございます。資料が3ページございます。右肩に「佐賀県」と書いてある資料でございます。私、佐賀県の漁業調整担当をいたしております吉本といいます。
 漁業調整というのは漁業の許認可をしているところでございます。今、福岡の方から話がございましたけれども、今年は許可をしないということで両県一致して決めたというのが結論でございます。
 タイラギ潜水器漁業について許可をしないということでございまして、単年度許可でございまして、毎年その年の資源の状況、それから漁業者の要望等聞きまして、それらを勘案して許可をしているということでございます。今年の場合には漁獲の対象になるようなタイラギがいないのと、漁業者の中でも許可は必要ないという意志の統一ができたということで、両県で許可をしないという統一した方針を決めて組合に通知したところでございます。
 許可をしないというその根拠が資料の1ページ目でございまして、これは佐賀県の有明水産振興センターで調査いたしました結果、生息状況の結果でございます。下に書いてありますように、10月4日から8日、22日、いずれも小潮時を選んでの調査でございまして、55点全部でございます。1地点について100メートルのロープを海底に敷設いたしまして、1メートルの幅で潜水士が、プロでございますけれども、潜ってタイラギをとっていくという調査でございます。1点100平方メートルの調査でございまして、55点のうち黒丸のところしか生息がなかったという結果でございます。
 一番左の小さい黒丸が100平方メートルに1個でございます。真ん中の大きな●が100平方メートルに169個でございます。右側の中くらいの黒丸が100平方メートルに12個でございました。
 操業区域の関係で100平方メートル1個のところしか潜水器漁業の対象になりませんので、今年は許可をしないということを決めたわけでございます。
 次に、2ページ目でございます。裏側でございますけれども、最近の許可の状況でございます。先ほど福岡県も言われましたように、13、14年度、12月から翌年度でございます、漁期年度でございますが、今年と、ここ何年かで3回、禁漁、許可をしないということを県が決めたということでございます。最近の許可隻数というのは去年3年ぶりに許可したわけでございますけれども、90隻と、最近では平成7年、平成8年度漁期は非常に比較的とれておりまして、この年で170隻、150隻という程度の許可でございます。
 資料の見方でございますけれども、組合名がずっと書いてございまして、大浦というところが主体でございます。長崎県との県境のところ、一番西側の南側でございます。
 ということでございまして。資料の見方ですが、県内許可と書いてあるのは佐賀県の許可でございます。佐賀県の漁民に対する佐賀県知事の許可ということでございます。出漁許可というのは、福岡県に入漁している佐賀県漁民に対する福岡県知事の許可ということでございます。福岡県からの入漁というのは福岡県の漁民に対する佐賀県知事の許可、佐賀に入ってくる分の許可ということでございます。
 許可の一覧が書いてございまして、生息状況調査と55点調査等を参考にして、漁期の前に試験場の方で殻つき重量で何トンぐらい今年は生息があるかという予測をするわけでございまして、これをもとにして許可をするかどうかと、操業漁期をいつにするかを決めているわけでございます。
 一番下にあるのは大浦漁協の貝柱の水揚げ量でございます。約1割、7、8%の貝柱歩留りがございますので、12、13倍ぐらいすると殻つき重量になるということでございます。実際の水揚げでございます。
 3ページ目でございますけれども、最近の操業開始を棒グラフにしているわけでございまして、この棒の長さが操業期間の長さでございます。Y軸の一番下が11月16日でございまして、一番上が4月30日でございます。大体許可上操業期間の解禁日というのは12月中旬前後というところでございます。
 試験場の生息状況調査の結果がいい場合は操業期間が早くなると、平成7年、平成8年というところでございまして、最近の傾向としては4月30日いっぱいまで許可をするのではなくて、3月いっぱい、2月いっぱいまででとめて、母集団を残すようにしているという傾向でございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、次は長崎県、どうぞお願いします。

○長崎県総合水産試験場次長 長崎県の水産試験場の原と申します。本年の8月に発生いたしました諫早湾小長井町の養殖アサリの斃死状況についてご説明いたします。
 前回のときに、速報というような形で水産庁の方からご説明があったと思っておりますが、最終的な結果というような形で、その後の私どもは観測結果等と見比べたものをお話ししたいと思います。
 すみません、資料を用意しておりませんので、お手元に先ほど環境省の方がお使いになった地図があるかと思います。この地図の潮受堤防の一番北側にS1という点がございます。このS1のSの字のあたりから海岸沿いに佐賀県の県境のところまで、竹崎島というのがありますけれども、その手前のくぼんだところに県境の線が入っておりますけれども、ここまでのこの沿岸一体ずっとアサリの養殖漁場を設定いたしております。
 前回のときもちょっと話があったと思いますけれども、県境に一番近い部分が釜地区と申します。それから、真ん中あたりのS12と書いてあるところのSのあたりですね、このちょっとくぼんだところありますが、ここは小長井の漁港でございますけれども、この部分と、それからS1のSの字のちょっと北側あたりの海岸、このあたり、この3ヶ所がほぼ100%の斃死でございました。
 実は、8月16日にこの海岸線一帯16ヶ所にわたって枠取り調査をいたしましたけれども、この釜地区、小長井港地区、それと尾ノ上地区という一番潮受堤防に近い部分、ここのところが100%、それ以外のところは、場所によっては斃死ゼロという部分もございましたし、60%とか70%とか、あるいは30%とか全くバラバラでした。
 先ほど話がございましたけれども、8月の初めから8月10日過ぎぐらいまで貧酸素であるとか赤潮であるとかの報告がございましたけれども、私どもも結果的には今回のアサリの被害につきましては、例年にない長期間の高水温が続いたということ。それから、シャットネラの赤潮が長期間にわたっていたということ。貧酸素の現象がそれに重なって出た。こういうことで、先ほど申しましたような状況に陥ったものというふうに思っております。
 高水温に関しましては、私ども釜地区に水産試験場の観測場所を設けているんですけれども、7月11日に梅雨が明けまして、その後8月15日までの間で水温が30℃以上になった日が28日間あったという結果が出ております。それから、シャットネラ赤潮につきましても、8月5日ぐらいからこの小長井地先でシャットネラ・アンティーカとシャットネラ・マリーナが合わせて、少ないときで3,000細胞が、ミリリッター当たりですね。多いときは7,000細胞ぐらいの濃度で、両方合わせて発生しております。これが8月5日ぐらいから始まりまして、最終的には8月20日過ぎぐらいにやっと終息をしております。8月23日以降で観測できておりませんので、20日ぐらいに終息したものと思っております。こういう長期間にわたってシャットネラにさらされたということ。
 それから、貧酸素につきましても、10%以下の貧酸素が8月11日から14日の間続いておりますし、40%以下になった時間を調べましても、観測結果では209時間という時間が出ております。こういう形で3つの現象が重なったところで、養殖アサリの斃死につながったものと思っております。
 結果的に、先ほど私どもの枠取り調査等の斃死率を参考に漁協の方でそれぞれの養殖業者の方からの申告という形で被害量をまとめておりますが、被害量、これはもう製品に近いものから来年の種になるようなものを含めてですけれども、漁協の報告ですが、937トン、金額にして2億5,000万という報告があったようです。
 以上です。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。
 それでは、今、3県からご説明をいただいたわけでございますが、何かご質問ございますでしょうか。
 はい、どうぞ、小松先生。

○小松委員 佐賀県のご報告で、タイラギの成貝の生息状況、55点で調査されているんですが。成貝はなかったということなんですけれども、これは稚貝のときに死んでしまっているというような状況だったのかどうか、いかがでしょうか。

○須藤委員長 どうぞ。

○佐賀県農林水産商工本部水産課主幹 私がお答えするよりは本当は伊藤委員の方にお任せした方がいいと思うんですけれども。センターの報告では、漁獲の対象になる成貝というのは、今年なるのが去年の夏生まれたもので、7月ですね。一昨年の夏に生まれた2年プラスアルファーの分、その分について、2年プラスアルファーになる分ですね、15年のときにとった分についてはほとんどとってしまったと。去年解禁をしてとったというふうな結論で、残った分についても立ち枯れ斃死とナルトビエイの食害があったと。去年生まれて今年1歳プラスアルファーで対象に加わる分については、同じようにナルトビエイの食害等ありましたのと、いわゆる立ち枯れ斃死があって、数がこれだけ減ったというようなことでございます。
 今年の夏生まれて来年の漁期に対象になる分については、まだちょっと発現率というか、その調査の精度は十分ではございませんので、一冬越してみないとはっきりしたところはわからないと。今のところ例年に比べて少ないかもしれないというような結果がございます。

○須藤委員長 ありがとうございました。伊藤委員、何かコメントなり。お差し支えなければ。よろしいですか、今のお答えで。
 ということで、小松委員、よろしいですか。
 それでは、ほかにご質問ございますか。よろしいですか。
 滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 1つだけ教えていただきたいんですけれども、今、底生生物ですね、アサリ、タイラギ等調査されて、もちろんそれはそれで結構なんですが。そのときに、何度も申し上げているんですが、底質との関連の中でそういうデータも一緒にとられているのかということが非常に気になっていて、どこでどういうふうに調べられているのかなという。

○須藤委員長 生息状況の調査と合わせてそういうのをやられているかどうかというのを伺えばよろしいですね。
 それでは、福岡県、佐賀県、長崎県、今のようなデータ、滝川先生がおっしゃっているような底質の状況の調査を一緒にやられているかどうか。お願いいたします。

○福岡県水産林務部漁政課主任技師 すみません。ちょっと私そこは確認してきていないので。

○須藤委員長 そうですか。それでは後でまたご連絡、事務局の方にお願いできますか。
 それでは、続いて、佐賀県、今のお答えでは、伊藤先生というよりも担当者ですから、合わせて底質の性状等の調査されているかということを。

○佐賀県農林水産商工本部水産課主幹 私も長く漁業調整におりますので、有明のセンターに14年おりましたが、今の現状というのははっきりわかりません。私がいたころにはマクロベントスと底質のCOD、硫化水素、その辺のところはたしか月1回ぐらいの調査というのはあったと思います。今でも……。

○須藤委員長 では、これは伊藤先生にお願いします。
 ありがとうございました。

○伊藤委員 基本的には、今のとおりであります。

○須藤委員長 行政のお答えでよろしいですか。

○伊藤委員 それとあと、タイラギの生息域と底質との関係につきましては、毎年はやっておりません。ただノリ不作がちょうど2000年度に出ましたが、そのノリ問題が発生する直前、この調査を2000年9月から10月にやっておりますが、そのときに55プラス何点かで底質調査をやっております。その結果については、今年の1月の本委員会で私が説明したと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 長崎県、どうですか。今の続きの部分で、底質の調査をやっておられますか。

○長崎県総合水産試験場次長 アサリ漁場につきましては、養殖業者の漁場のすぐ沖側に私ども実験漁場を設けさせてもらっておりまして、そちらの方で底質等の追跡はいたしております。

○須藤委員長 すべてではないわけですね。

○長崎県総合水産試験場次長 はい。養殖漁場のすべてをやっているわけではございません。
 それから、先ほどの斃死の状況の枠取りの調査のときには、同時進行的にやっております。私どもの実験漁場の方だけやってございます。今のところはですね。

○須藤委員長 どうもご説明ありがとうございました。ほかよろしゅうございますか。
 それでは、大体予定した時間も近づいてまいりました。まだもしかしたらご質問もあるかと思いますし、先ほどの本城先生のところなんかもう少しお伺いしたい方もいらっしゃるかもしれませんが、一応制限された時間内で実施、進行しておりますので、本日予定されている議題は以上でございます。
 あとは、事務局の方から何かございましたらお願いいたします。事務局、どうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長 どうもありがとうございました。先ほど最初の議題のところで委員長からもご説明いただきましたけれども、今後次回以降の評価委員会に関しましては、それぞれの論点についてご議論いただくということを予定しておりまして、各委員の先生方に、場合によってまたいろいろ準備をいただいて、この場でご説明をいただくということもお願いをしたいと思っております。その辺については改めてご相談をさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

○須藤委員長 今の進行についてよろしゅうございますか。
 それでは、これで予定されたすべての議題は終了いたしました。
 これにて第12回有明海・八代海総合調査評価委員会を閉会いたします。
 議事進行に関わるみなさまのご協力に心からお礼申し上げます。時間もぴったりでございまして、ありがとうございました。お疲れさまでございました。

午後5時26分閉会