第9回有明海・八代海総合調査評価委員会 会議録

日時

平成16年5月19日(水) 10:30~16:00

場所

東条インペリアルパレス「吹上の間」

出席者

委員 相生啓子委員、伊藤史郎委員、岡田光正委員、楠田哲也委員、須藤隆一委員、清野聡子委員、滝川清委員、原武史委員、福岡捷二委員、細川恭史委員、本城凡夫委員、山口敦子委員
臨時委員 荒牧軍治委員
主務省・関係県発表者   農林水産省農村振興局計画部資源課課長、資源課農村環境保全室室長、環境省環境管理局水環境部閉鎖性海域対策室長、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所所長、西海区水産研究所有明海・八代海漁場環境研究センター長事務取扱、社団法人日本水産資源保護協会技術専門員、水産庁増殖推進部漁場資源課課長、福岡県水産林務部漁政課主任技師、佐賀県有明水産振興センター副所長、長崎県総合水産試験場漁業資源部海岸資源科科長、長崎県総合水産試験場環境増殖技術開発センター漁場環境科科長、熊本県水産研究センター浅海干潟研究部長
事務局 環境省環境管理局長、水環境部長、水環境部閉鎖性海域対策室長

午前10時35分

○環境省閉鎖性海域対策室長 おはようございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第9回有明海・八代海総合調査評価委員会を開会いたします。
 本日は、委員20名中13名の委員の先生方にご出席をいただいておりますので、定足数を満たしております。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の後ろに「配付資料一覧」という紙がございますので、これをごらんいただきたいと思います。まず、資料の1が委員名簿でございます。それから、資料の2、3、4、5と、この4つに関しましては、農林水産省から提出されている資料でございます。また、資料6-1と6-2が環境省から提出している資料でございます。また、資料7が福岡県、資料8が佐賀県、資料9と10が長崎県、資料11が熊本県からそれぞれ提出されている資料でございます。また、参考資料といたしまして、一番後ろの方に「有明海の漁業関係者の皆様へ」ということで、これも農林水産省から提出されている資料でございます。また、これは委員の先生方だけでございますが、「三番瀬の変遷」という冊子がお手元にあるかと思います。これは清野先生からご提供された資料でございます。本日の配付資料は以上でございます。
 それでは、須藤先生、よろしくお願いいたします。

○須藤委員長 かしこまりました。
 皆さん、どうもおはようございます。早朝からご多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の評価委員会は、前回に引き続きまして、有明海及び八代海に関連いたしまして、これまで行ってきました調査研究等の概要を主務省、関係県からご報告をいただくというのが主たる議題でございます。
 まず、最初にご説明いただく案件があります。本委員会におきまして、これまでに諫早湾干拓事業開門総合調査の結果及び中・長期開門調査検討会議の報告を農水省からご説明をいただき、それについて各委員からさまざまな意見が述べられてきたという経緯があります。その際、私からも農水省に対しまして、評価委員会での議論を踏まえて、有明海の環境改善のための調査を十分検討した上で進めていただきたいということをお願いしたところでございます。しかし、先般5月11日におきまして、農林水産省において中・長期開門調査を見送るという判断がなされました。本来でございますと、今日、ほかの案件を主として議論するということが既に決まっておったわけでございますが、この問題、極めて重要と思いましたので、私からも事務局に対しましてこれを議題に入れるようにというお願いをいたしました。そういう経緯がございましたので、ここに議題として取り上げさせていただくというわけでございます。
 その内容につきましては、私も事務局からあらかじめお伺いをしているところでございますが、私どもがお願いしました件について、余り踏み込んでいないのではないかという懸念を持ちました。その前に、この中・長期開門調査というのは、ご承知のとおりこの委員会ではなくて第三者委員会での提案でございます。かなり踏み込んで議論をした結果を踏まえているわけでございますので、また、この委員会におきましても、時々でございますが、諫早湾の潮流が、水門を築造してから減速が起こったというようなことも報告されているわけでございます。そういうことがございましたので、こういうような意見がどのように反映されたのか、また、農水省におきまして、有明海の再生を図るために、開門調査をやらないのであるならば今後どういう調査をやるのかということについてもお考えをお伺いしたいということでございます。
 本件は、評価委員会の審議におきまして非常に重要な議題と考えておりますので、長い時間をとるわけにはいきませんけれども、本日、まず冒頭に時間を割いて農水省からご説明をいただいて、先生方からご質問なりご意見なりを賜りたいということでございます。
 それでは、農水省、どうぞよろしくお願いいたします。

○農村振興局資源課長 農林水産省の澤田でございます。
 冒頭貴重なお時間をいただきまして大変ありがとうございます。
 資料、先ほどご紹介がありましたけれども、一番下にございました「有明海の漁業関係者の皆様へ」というのを、横判縦書きでございますが、お手元にお出しいただきたいと思います。去る5月11日に農林水産大臣から中・長期開門調査の取り扱いについての判断ということが示されました。これについて簡潔にご報告させていただきます。
 この資料は、3種類の資料が今回まとめてとじられておりますが、最初の3枚が大臣からのメッセージでございます。次に、補足説明-1というものが、「中・長期開門調査を実施することによる海域への影響と有明海の再生への取組について」というのが11枚ございます。その下に補足説明-2というのが、これは具体的な「有明海の再生への道筋を明らかにするための取組」というのが9枚ございます。
 最初の大臣メッセージをもとに要点をご説明したいと思います。まず、1枚目をかいつまんで申し上げますと、有明海の漁業者の皆様の不安を解消することが喫緊の課題と考えているということ。それと、ノリ不作等第三者委員会の見解を踏まえて、短期開門とそれを補足する調査を行い、有明海の海域環境変化の仕組みの解明を進めてきたということ。それと、特措法に基づき、関係省庁と連携して取り組みを行ってきたということ。それと、中・長期開門調査については、その実施の可能性を探るため、検討会議を設置して論点整理を行っていただき、これを踏まえて検討してきたということが書いてございます。  2枚目でございますけれども、2枚目にその結果の重要な点ということで3点整理して述べてございます。1点目でございますけれども、中・長期開門調査を行うことによって、漁業環境に悪影響を及ぼす可能性でございます。これは、補足説明-1というところに説明してありますが、7キロの潮受堤防の両端にあります200メートルと50メートルの排水門を常時開放するということになりますと、その狭い場所で大変に速い流れが生じるということで、水門周辺の底泥を洗掘して、これが諫早湾内はもちろん、湾外の有明海に拡散していくということが予想されるということでございます。そして、調査によって新たな被害を生じるというような事態を招くということは、行政的に見過ごすことはできないという点をまず言ってございます。
 それと、2点目でございますが、被害が生ずることがないように、対策を講じた上で調査を実施すると、それで結論を出していくということでございますと、環境影響評価から始めますので、少なくとも10年は必要になると。なおかつ、それでも予期しえない被害のおそれは否定できないということでございます。
 3点目でございますが、このような対策を講じたとしましても、中・長期開門調査で得られる成果については、必ずしも明らかではないという点でございます。このことにつきましては、補足説明-1の9ページというのをちょっとごらんいただきたいんですが、ちょうどこのとじたものの中ほどに、今度は縦紙でございますけれども、9ページというのをお開きいただきたいんでございますが、付の2というところに「中・長期開門調査によって得られる成果の検討結果」というのがございます。上の方の大きな囲みに書いてございますけれども、中・長期開門調査のねらいというのは2つあるのではないかというふうに私ども考えております。1点は、有明海の環境変化を引き起こしたとの指摘の適否の検証という点。それからもう一つは、有明海の再生への方途を明らかにするための調査というものでございます。
 まず1点目でございますが、これはノリ不作等第三者委員会の見解で示された6項目の指摘の適否を検証するための調査として行った場合でございます。これにつきましては、中・長期開門調査検討会議の専門委員会、ここには各分野のご専門の委員を初めとしまして、4県の水産センターの所長や水試の場長も加わっていただいて、ここでご議論いただいたわけです。この報告書については、去る1月26日の評価委員会でご説明しました中・長期開門調査検討会議報告書におさめられております。ここに書いてありますのは、そこからの抜粋でございます。
 ちょっと長くなりますので、例示的に読ませていただきますが、まず[1]の例えば潮位・潮流、これに関して申し上げますと、長期間、大きな開門を行っての開門調査により、諫早湾内の流動や入退潮量の著しい低下等の現象について知見が得られるとの意見があるというのがあります。一方、仮に全面開門して海水導入を行ったとしても、地形条件等、潮受堤防建設前とは異なるため、実測データが直接的に潮受堤防の有明海の環境への影響を示すものとはならず、さらに、実際の海域における流動場は地象・気象・海象の多様な要因のもとで時々刻々変動するため、開門による海域へのインパクトのみを観測によって抽出することはほとんど不可能に近く、シミュレーションによる検討の方が優れているとの意見があるというようなまとめになっております。
 [2]もちょっと読ませていただきますと、水質・干潟でございますが、海水導入によって新たな干潟の形成とその浄化機能を観測できるとの意見や、諫早湾特有の水質、底質、生物量等の環境特性を探るため、継続的に実測値を得ることが重要であるとの意見があると。一方、かつての諫早干潟の浄化機能の評価・推定は、潮受堤防建設以前の状態が再現されない状態では評価は困難とする意見や、安定した海域の干潟生態系に移行するまでには長期間を要するといった意見がございました。
 というようなことで、⑥までまとめていただいたものでございます。そういうことでございまして、期待される成果はいろいろ意見が分かれておりまして、必ずしも明らかではないという状況でございます。
 それと、10ページの下をちょっとごらんいただきたいんですが、先ほど言いました調査の目的といいますか、ねらいのもう一つでございますが、10ページの下の方に有明海再生への方途を明らかにする調査ということでどうかということを検討したところが整理してございます。例えば[1]でございますと、潮位・潮流などの流動の変化については、現況が潮受堤防の設置前の状況とは異なり、また、場所によっては流れが変わるため、漁業環境が現在より改善するかどうかわかりませんというようなことで、あと、⑥まで整理してございます。これについても、やはり期待される成果は必ずしも明らかではないというようなことでございます。
 恐縮でございますが、また最初の方の2ページ目に戻っていただきますが、こうしたことを総合的に検討しまして、中・長期開門調査を実施するのではなく、これに代わる方策として有明海の再生に向けた方途を見出し、一日も早く対策につなげていくというために、次のような調査などを進めていくという判断をいたしました。ここにある[1]でございますが、まず、海域での調査でございます。漁業者の実感を受けとめつつ、新たに潮流、水質、赤潮、貧酸素現象の一斉観測、このほか、ここには書いてございませんが、補足資料-2に記載されているんですが、このほか、連続観測施設の新設などによる水質、貧酸素現象などの観測体制の強化、底生生物、底質など、干潟の水質浄化機能に関する現地調査などに取り組むというようなことで考えてございます。
 次に[2]ですが、[1]の成果も生かして、適切な場所を選定しつつ、海底耕耘や作澪、湧昇流施設の設置などの対策の実証を行っていくというものでございます。
 次に[3]でございますが、調整池の排水の抜本的な改善を図るということでございまして、水質浄化装置や環境保全型農業や生活排水対策などでございます。これは、昨日福岡で水質委員会を開きまして、早速専門家による検討を開始したというところでございます。これらの調査や対策は、本年度からできるものは来月にも開始するという考えでおりまして、これから行う17年度概算要求、予算の要求でございますが、その中において内容の充実を図っていくという考えでございます。
 また、[1]と[2]は、漁業者の参加と協力を得て行うということが重要だというふうに考えておりまして、漁業者と行政による話し合いの場を早急に設置するということにいたしております。
 以上がご報告なんですが、今申し上げた調査や現地実証は、その内容や実施状況、その成果について、先ほど委員長からございましたけれども、適宜評価委員会にご報告させていただいて、専門的見地からのご意見をいただくということを通じて、有明海の再生に役立ててまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 以上、説明させていただきました。

○須藤委員長 どうも、簡潔にご説明いただきましてありがとうございました。
 それでは、委員の先生からご質問なりコメントをお伺いいたします。どうぞ。どこからでも結構でございます。
 はい、では、清野先生。

○清野委員 ちょっと基本的なことで伺いたいんですが、この農水大臣のご判断は、事業者としてのご判断なんでしょうか。それとも、漁業とか漁場だとか、漁業の未来ということの、そういう意味でのご判断ですか。
 それからもう一つは、海域の環境に関しては、ほかの主務大臣と多分協議していただくべき枠組みにあると思うんですけれども、そういう中では、この農水大臣のご判断がもうちょっと海の公益性みたいなものに絡めて何か議論があったんでしょうか。

○須藤委員長 はい、ではどうぞ、澤田課長、お願いします。

○農村振興局資源課長 それでは、1点目でございますけれども、農林水産大臣の判断の意味というか位置づけというかあれなんですが、農林水産省ということで干拓事業の実施主体でございますと同時に、水産行政も掌握しているということの大臣でございまして、環境行政にも配慮して、そういう意味で判断したという位置づけでございます。
 それとあと2点目ですけれども、他の主務大臣といいますか、ほかとの連携ということでございます。今回こういうことで考えているんですが、これから関係の省庁といろいろお話をしながら、連携しながらやっていくようにということで、それは当然やってまいります。

○須藤委員長 はい、どうぞ、続けてください。

○清野委員 これからということですか。これは農水省としてのご判断を公表されたのであって、関係するところとこのご判断についてどういうふうに──連携というよりも、やはりもうちょっと別の立場からの海の見方というのがあるので、それはこれからということですね。

○農村振興局資源課長 とりあえず、農水省として事業を所管していると、水産も所管しているという立場で基本的に大事な調査と、あるいは実証ということを考えて打ち出したということでございまして、一部環境省との関係の連携とかというのは既に始まっていますけれども、これからほかの省庁とも連携しながら、お互い考えているところを、例えば調査であれば重複のないように、データを共有し合うとか、そういうことも含めて考えていきたいというふうに思っています。

○清野委員 それから、この評価委員会にご報告いただいて意見をというふうに最後に言ってくださったんですけれども、この委員会とか学会を含めて、申しわけないんですが、随分議論があったと思うんですが、それがほとんど聞いていただいた形跡が明らかにわからないということとか、それから、諮問された先の、いわば自前の委員会についての意見は尊重されていますが、沿岸研究者のマジョリティーに当たるような意見というのはほとんど反映されているように思いません。それは先ほど委員長さんもおっしゃってくださったように、多くの沿岸の研究者が、ほぼマジョリティーの意見として調査ということであればこういうことが必要だということを申し上げています。それが、今後も含めて農水省さんがどこまで理解をし、意見を反映させるというようなプロセスがきちんと踏めるのかが、もう現時点でなかなか疑問が多いんですね。そのあたりについてはどういうふうにお考えでしょうか。
 また、こういう議論のときには、この開門調査を検討された委員長の方とか専門の方が専門家としてかなり責任を持って、行政ではなくて専門家としてこういうふうに思ってほかの人とは自分たちは意見が違うかもしれないけれどもというふうに主張していただいたとしてもいいと思うんですよ。だから、そのあたり、意見の取り入れ方とかそういうプロセスについてご説明いただけたらと思うんですけれども。

○須藤委員長 お願いいたします。

○農村振興局資源課長 これまで私ども、開門総合調査ということでやってきた成果をご報告させていただいて、たくさん意見をいただいたと。例えば清野先生とか小松先生とか、シミュレーションについての問題があるのではないかと。要するに、シミュレーションについて完璧と言えないのではないかというようなご指摘もいただいたわけですけれども、この問題に関しては、例えば今回の調査、これまでは諫早湾を中心とした影響ということで見ていたのでございまして、有明海全体についてそれほど充実した調査をやってきていないと、私どもとしてですね──ということもございますので、そこら辺は、今後さっき申し上げたような観測体制を強化して、データの蓄積を図って、シミュレーションモデルの精緻化を図っていくというようなことでやっていければというふうに思っております。
 それで、先ほど冒頭ちょっと、最後の方で申し上げたんですけれども、この調査の内容とか、まだこれから固めていくところがございますので、それとあと、実施の状況とか成果について逐次ご報告させていただいて、専門的見地でご意見をいただければというふうに思っております。

○須藤委員長 私も今の清野先生のご質問に対して、農林水産省が適切にそれのお答えをしていないように受け取れるので、それは別に今日すべてお答えしていただきたいと私は申し上げません。というのは、先ほど申し上げましたように、大臣の判断から1週間でここで報告しなさいというふうにしたので、不十分なことは承知しております。ですから、例えば今日宿題になったことについては次回以降にお願いするというようなことにしますので。ほかの先生どうぞ。
 では、本城先生、それから原先生といきましょう。

○本城委員 防潮堤ができて、それから、水門から排水されるようになってきて大分時間がたってきているわけですが、その間にかなりの調査を農水省はやってまいりました。それをまとめて、どこが悪くなっていてどこが良くなっているのかというような、そういう科学的な説明をしていただければありがたいんですけれども。

○須藤委員長 今の本城先生のご質問も、もしかしたらすぐにはお答えできないかもしれないけれども、どうですか、澤田課長。では富田さんどうぞ。

○農村振興局農村環境保全室長 干拓事業の方で環境モニタリングをやっていまして、経年的にさまざまなデータ、生物関係、底質、水質、やっています。1つ大きな話としては、やはり湾内の流動がかなり減っている、これはだれもが認める話で、そういう関係で、やはり湾内の底質に関しては若干変化は出ているという状況はあるかと思います。それ以外の水質関係に関しては、特に経年的な悪化というものは認められておりません。生物関係についても、底生生物を採って、これは年に4回の調査ですけれども、継続的に続けまして、菊池先生なんかにも内容を検討していただいた結果では、多様度指数とかを見ても特には悪化している傾向は見られませんねというご意見をいただいております。

○須藤委員長 本城先生、どうぞ。

○本城委員 その悪くなった部分が、今言われた流れとか、あるいは恐らく底質にも悪くなったという問題があるとは思うんですが、それが有明海の外側へどのように悪影響を及ぼしているのか、そういうデータはまだ得られていないんですか。

○農村振興局農村環境保全室長 現時点の環境モニタリングの調査範囲とも関係すると思いますけれども、湾口から若干湾外まで、恐らく影響としては水質を通じていくのではないかと思うんですが、今のところそういう水質というものについての現地の変化というものですか、そういうものは見られていないという状況です。

○須藤委員長 はい、どうぞ。

○本城委員 そういうふうに悪くなっていれば、悪くなっている部分があるとするならば、それがやはり、長い将来において有明海全体にどのように影響を及ぼしていくのかと、それを予測するような研究に力を入れて、方策を考える必要があると思うんですね。そして、私はかなり干拓事業によって悪くなってきていると思うんですよ、諫早湾は。1つの臓器部分が悪くなってくると有明海全体も悪くなってくると思うんですが、残念ながらそれが科学的に説明できないんですね。そこがもどかしいわけです。それをどのようにするのか、そこら辺に意見の分かれるところがすごくあると思うんですね。それを我々はどう判断するかということなんです。私は相当悪くなっていると思うんですけれども。

○須藤委員長 ありがとうございます。これはコメントとしてそういうことを農水省にお願いしたということにしておきます。
 では、原先生、どうぞ。

○原委員 それでは、できるだけ短時間に終わらせたいと思います。
 第三者委員会の委員の一人と、こういう立場でちょっと申し上げておきたいと思います。といいますのは、あのときでも、委員の過半の先生方の賛成ということでこの中・長期開門調査の必要性と、こういうことがうたわれたわけでございます。最終的な判断は行政にお任せしましょうと、こういうことで意見がまとめられたんですけれども、今日のこの大臣の談話、また、そのご説明を伺った範囲では、どうも行政判断はわかったけれども、科学的にそれがどのように行政に反映したのかと。要するに、科学が反映する行政というものを否定するのかと、こういう点で私は若干の疑問がある。その点ははっきりさせていただきたいというのが第1点でございます。
 それから、第2点でございますけれども、先ほどのご説明にありました9ページ、10ページの開門に関する委員会の結論の書き方といいましょうか、利用の仕方でございますけれども、私はこの委員ではございませんから、この書き方を見ますと、委員の意見が大きく割れていると、こういうふうに思われます。というのは、こういう意見もあるけれども、一方ではそうではないという意見もあると。それで、私たちはこっちをとったんだよと、こういう判断が行政として許されるのか。許されるとすれば、それはどのような根拠なのかと、こういうことを2点目に伺いたいと思います。
 それから、3点目でございますけれども、私は有明海の再生、こういうのは原因の究明なくしてできないと、こういうふうに私は思います。この委員会でも、恐らくほとんどの先生はそのように思われると思います。確かに諫早湾、あるいは有明海が悪くなったと、環境が悪くなって漁業生産が減ったと。こういうことの原因は、国営の干拓事業だけだと、こういうことを言っている人はだれもいないわけでございます。しかしながら、これがかなり大規模な事業であったということと、昔から賛否両論があって、いろいろな意見が闘わされていたと、こういうことから注目をされているわけでございますけれども、やはりこの最後の行政の判断で開門調査をやらないで再生が図れると、こういうふうに出した結論に至った経緯、それの科学的な側面をご説明いただきたい。
 以上の3点でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。適切に問題点をおっしゃっていただいたと思うんですが、今の段階でお答えいただける部分がありますか。それとも宿題にしますか。

○農村振興局資源課長 とりあえず、先ほど申し上げた範囲でお答えしたいと思うんですけれども、この大臣判断というのは、先ほど申し上げました3つの点ですね、総合的に検討して判断したという点でございます。1つは、中・長期開門ということで、常時開門すれば被害が出る可能性があると。可能性のあることを行政としてやるわけにはいかないというような話と、対策を講じたとしても長期間かかると。それとあとは、さっき言いましたように、成果について必ずしも明らかではないということで、今、科学的にどうかとおっしゃった点でございますけれども、これはノリの第三者委員会のときにも開門調査で原因がわからないだろうというご指摘があったということもございますし、ここはやはり私どもがお願いした専門委員会でかなり時間をかけて熱心にご議論いただいた点なので、やはり両論というか、いろいろな意見が出まして、なかなかこれをやれば絶対わかるという、やれば何かわかるのではないかみたいな話もあったわけですけれども、これをやればこれがわかるというようなことではなく、むしろ別の方法の方がよいのではないかという意見も多々聞かれまして、先ほど言いましたけれども3つの点、それを総合的に考えたという点です。
 それと、2点目は文書の利用の仕方でございますけれども、そういう趣旨で述べられた結果を出させていただいたんですが、フルバージョンは1月にお配りしたところに書いてございますので、趣旨はまたそこで確認していただければというふうに思います。
 それとあと、原因の究明の話でございますけれども、今回、そういう総合的に判断した中で、やはり漁民の声というのは非常に私どもに強く届いてございまして、有明海が非常に衰えて、そこを何とか再生させたいという強い願いがございます。ここは大臣からも強く指摘されたところでございますけれども、私どもがそれに代わる調査という言い方もおかしいんですけれども、対策に結びつきやすい調査を諫早湾の周辺、諫早湾内とかその周辺だけでなく、有明海全般でこれまで十分とれていないデータをこの際とって、皆さんで検証いただくと。これまでやった調査も、先ほど清野委員からも指摘がありましたけれども、いろいろ指摘があります。それとあと、漁業者からも実感と違うというような強い指摘がございまして、そこで私ども、ここは強く考えたんですけれども、漁業者に参加していただくと。皆さんがおっしゃっている場所でやってみようというようなことを通じて、対策も一緒に考えていければなという、そういう気持ちなんですね。これが有明特措法の趣旨にもつながるとは思うんですが、そういった結果をこの場でも報告させていただいて、そういう道筋になれればという気持ちでございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 まだもう一つありますか。もう一回、反論ですね。

○原委員 いやいや、反論する気はございませんけれども、しないというのは認めたということではないので、あれでは答えになっていないから反論のしようもない。

○須藤委員長 そうなんです。それを私も申し上げようと思っていました。

○原委員 それだけは申し上げておきたいと思います。あれは答えではない。

○須藤委員長 そうです。それは先ほどの本城先生のもそうですしね、それは私も委員長としてもそう感じて、まとめのところではそう申し上げます。

○原委員 もう一つ、今漁業者のためにとかいろいろなことを言っておりますけれども、漁民の感じというのは、私も40年余水産関係で飯を食わせていただきましたけれども、漁業者の感覚というのは、研究者の感覚よりある一面で非常に優れていると。これは毎日海へ出ているからでございまして、その人たちの感覚、こういうものをやはりこの際無視すべきではないということを申し上げたいと思います。
 また、もう一つは、漁業者は、やはりこの諫早の問題が起こっていろいろ彼らも行動してきましたけれども、自分らが実感できる対策が打たれていないと、こういうふうに思っていると私は思いますので、どういうふうになるかわかりませんけれども、やはり答えはちゃんと答えるべきだと、こういうふうに私は思います。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 もう一つぐらいどうですか。
 では、楠田先生。

○楠田委員 楠田でございます。
 今までいろいろご議論をいただいているんですが、この大臣が出されている説明の中で、例えば将来への展開、開門をしないということに決められたわけですが、将来への展開を考えますと、「調整池の水質対策を進めていく」という文言が文章の中にあるんですが、調整池を使って有明海の水質対策に寄与できる方策の調査というのはあり得ないものでしょうか。

○須藤委員長 それでは、これもご質問なので、それはどうぞ。調整池の方ですよ、調整池の浄化によって……はい。

○農村振興局農村環境保全室長 我々のいろいろ調査している中で、調整池の流域とか負荷というのは限られた、2%というオーダーでして、有明海全体として見るとかなりインパクトがもともと小さいものです。ただ、調整池をつくることによって淡水の排水方式とかいろいろ変わっています。昔と比べるとですね。要するに、パルス状になっている。干潮時に一気にある程度出ていくというような、そういう形がありますので、今後その調整池の排水の方法をもう少し、特に諫早湾だと思いますけれども、諫早湾の環境に与える影響をより緩和する方向ですか、そういうような検討はぜひ行っていきたいなと。  あと、先ほど本城先生からも言われたんですが、諫早湾の調整池の排水門から出ている排水につきましても、今後もう少し詳しく調べて、出ていった淡水排水がどういう形で湾内、さらには湾の外ですね、島原沖等に移動していくのか、その過程で濁りとかCODとか、そういう栄養塩とか水質がどういうふうに変化していくのか、そういうことをもっと詳しく調べていきたいというふうに考えております。

○須藤委員長 調整池の負荷量を例えば全体の10%や20%に低減することは、容積が小さいし、やり方によってはできますよね。やり方によってはですよ。ですから、そういうことによって調整池の負荷量を低減させるということはできるんでしょうね。

○楠田委員 ですから、調整池を、ちょっと誤解を招く表現ですが、沈殿池に使ってしまう。それから、ゲートの操作を、負荷を最小にするような操作方式と治水を組み合わせたものにするというふうなこともあり得るのではないかと。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 まだいろいろご意見があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、ほかの議題の中にこれを入れさせていただいたので、これをずっと続けるわけにはいきません。しかしながら、今までのご質問とお答えを伺っていますと、先ほどいただいた「有明海の漁業関係者の皆様へ」ということの中には、第三者委員会での議論、それから私どもがここでその関係で触れてきたお願いについて、反映をしているとはなかなか言いがたいものがあるし、今の質疑応答の中でも、科学的根拠という部分とか、その経緯、どういうことでこういう結論になったのか、あるいは再生方策をやっていく上でどこにそれが反映されているのかということについての説明は私は不十分だろうと、こういうふうに思います。  そういうことがございましたので、もちろんこういうことについてのご説明には時間を要すことは承知をいたしております。でございますので、次回、あるいは次々回というようなところで、なるべく可及的速やかに本日の議論をそれこそ反映していただいて、またこれの繰り返しにならないようなご説明をいただかないと、今度は委員の先生方も多分納得をしてくださらないだろうというふうに思いますので、わからないところはわからないで私はよろしいと思います。が、今後何をするというような調査計画、もし具体的な調査計画なり再生計画が決まったのであるならば、それを本委員会でご説明をいただきたい。こういうふうに農水省に改めて、今日は澤田課長がいらっしゃっていますので、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 ということで、私どもとしても、有明海の再生に向けた検討課題の整理を始めるという段階に来ております。こういうご説明をいただいていると、何か評価委員会はお勉強会ではないかという批判をいただいている向きもあるんですが、たくさんの事業が進んでいるし、たくさんの機関が関与しているので、私どもも何か1つだけ取り上げるというわけにはまいらないし、一通り伺った上でその論理を構築して再生方策に向けて判断をしていきたいと考えていることでございますので、ぜひ農水省さんには絶大なるご協力をさらにお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進みます。
 これから関係機関に報告をいただくわけですが、その前にもう一つございます。前回の評価委員会のときに、山田委員から今年度環境省が行う貧酸素水塊の発生機構解明調査に関してご意見が出されていたと記憶しております。その件について環境省からご説明ください。坂川室長ですか、はい、どうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長 前回の委員会で貧酸素水塊の連続観測調査についてご説明をさせていただきまして、その中で環境省が行うポイントについて、水深方向に4層で連続観測を行うということをご説明いたしましたが、山田委員からもっと細かくやるべきではないかと。連続が難しいのであれば1週間置きでも結構なので、50センチ置きぐらいにやってはどうかと、こういうご意見が出されました。その後、山田委員とご相談をさせていただきまして、1週間置きということではありますが、50センチ置きにデータをとって補足をしていくということにさせていただきまして、山田委員にはもう既にご説明済みではありますが、この委員会でもご報告をさせていただきます。

○須藤委員長 ということで、調査は山田委員のご指摘を踏まえてやってくださると、こういうことでございますね。ありがとうございました。
 それでは、これはご質問をいただくというほどのものでもございませんでしょうから、次に移らせていただきます。
 これからは、有明海及び八代海に関連いたしまして、これまで行ってきた調査研究等の概要の報告をお願いいたしまして、水産庁、環境省及び有明海関係4県から、合計10課題ございます。これについて報告をいただきます。これから行われる調査は別にいたしまして、今まで行われた調査については本日の評価委員会においておおむね報告が終了すると、こういう判断をさせていただきます。一部まだ取りまとめ中のものもあると聞いておりますが、それらについては次回以降に適宜報告をお願いしたいと思います。
 関係機関からの報告に次いで、前回の評価委員会で私から岡田委員に作業への着手をお願いいたしました。それは何かと言えば、再生方策をどういうふうな論理で進めるのかというまとめでございます。そういうことのお願いをいたしました。これまでの評価委員会での検討の結果、今後の課題の整理について岡田委員が今作業をしている最中でございますので、途中ではございますが報告をいただくということで、改めてまたここで先生方のご意見も承りたい、こう願っております。
 それでは、最初に水産庁から行政対応特別研究、有明海の海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明について報告をいただくんですが、先ほど言いましたが10課題もありまして、ここで少し時間が延びてしまうと、またこの前のように1時間も延びてしまうということが起こりかねないので、今日は4時に私は終了を考えております。それなので、質問時間まで入れてそれぞれの研究機関に時間配分をしてございます。あらかじめ事務局にお願いしています。それで、目標は5分余らせるぐらいの気持ちでご説明をいただきたいと思いますし、質問もどうぞ要領よくお願いしたいということにさせていただきます。
 それでは、水産庁、お願いいたします。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 私、長崎市にあります独立行政法人水産総合研究センターの西海区水産研究所の小林でございます。
 本日は、平成12年度漁期に発生いたしました有明海におけるノリの色落ちによる不作の要因、これを把握するために、平成13年度から15年度、今年の3月まででございますけれども、この3年間取り組んでまいりました行政対応特別研究、有明海の海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明、これにつきましてその成果の概要を報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、早速スライドを使ってご報告いたしたいと思いますが、本日は限られた時間内ですべてのご報告をするということができませんので、お手元に資料の2が届いていると思いますが、それに基づきましてご報告をさせていただきます。資料の中にはアンダーラインを引いてあるところがございますが、それにつきましては後ろの方に用語集をつけてございますので、そちらのところも参考にしていただければと思います。
 この調査の目的でございますけれども、平成12年漁期のノリ養殖は、秋季の大量の降雨による塩分の低下、それから高水温の持続、日照時間の大幅な増加等によりまして、これまでに見ない珪藻類の早期の異常発生が起こり、養殖ノリの色落ちが発生いたしました。沿岸4県のノリ養殖業者に非常に大きな影響が出たわけですが、この要因を解明いたしまして、安定した生産を可能とする対策の確立が行政的にも緊急の課題ということでございまして、これを受けまして、ここに示しております研究機関が参画をいたしましてこの問題に取り組んでまいりました。
 有明海の漁場環境がどのように変動してきたのか、その過程を把握することと、あわせまして、ノリ養殖の生産量や二枚貝等の魚介類の漁獲量の変動、それと環境変動との関係を室内実験、あるいはフィールドでの調査によりまして明らかにしようというものであります。これらの調査研究によりまして、有明海のノリ養殖、あるいは二枚貝の生産阻害要因を明らかにいたしまして、それらの除去、あるいは軽減に資する対策技術を開発するということに取り組んでまいりました。
 調査は大きく3つの柱からなっております。1つは、漁場の海洋環境の変動の把握でございます。流れ、それから基礎生産、赤潮、貧酸素水塊、それから底質、浮泥、さらにはベントスについて明らかにしてまいりました。また、ノリ問題につきましては、ノリの生産条件、それから、ノリの生産を安定させるための技術開発にどのようなものが現状においてできるのかということについて検討いたしました。3つ目の二枚貝の問題につきましては、タイラギとアサリにつきまして、これらの生産に及ぼす阻害要因について明らかにするということに取り組んでまいりました。
 これは有明海の地図でございますけれども、この後の報告の中で何カ所か地名が出てまいります。有明海の南の方からいきますと、湾の入り口、口之津というのがございますが、さらに北の方にまいりまして緑川というのが熊本県にございます。ここではアサリの問題につきまして話が出てまいります。さらに北の方に行きまして、有明海の奥部といいますのがこの竹崎から大牟田、このあたりの北側の部分を言いまして、有明海のさらに東側といいますと福岡県側、西側といいますと佐賀県海域になるかと思います。ここに大浦というのがありますが、貧酸素水塊調査時に潮位を観測したところです。あと、ここに峯の州というのがございますが、ここは筑後川の沖にある浅瀬のところです。この色が、ちょっと見にくいかもしれませんが、この青いのが水深20メートルの線でありまして、沿岸にあります色が濃くなっているところが干潟域になるところでございます。
 それでは、環境問題の方から順番にご説明をしたいと思います。まず、流動の変化についてでございますけれども、30年間の検潮所でのデータを解析いたしました。それから言えましたのは、年平均の潮位及び年平均の干潮位、これが特に1995年以降上昇しているということでございます。また、あわせまして年平均の潮差、高いところと低いところの差が減少しているということが明らかになってまいりました。
 また、2番目には、有明海の流速についてでございますけれども、平成13年の2月、ちょうどノリの色落ちの起きた年の冬の時期でございますが、そのときに観測を行いました。そうしますと、25年前に調査をしておりますが、その調査と比較いたしますと、約12%低いという値が示されております。これにつきましては、もう既に第三者委員会におきまして報告をしてまいりました。これにつきましては、研究者、あるいはほかの機関でも調査をしております。若干異なる値が出てきておりますので、さらなる調査というものがこれについては必要であろうというふうに考えております。
 また、3つ目といたしまして、夏季の流速の連続観測、これを行っておりますが、諫早湾の湾口部では、大潮のときには上層では西の方に向かう流れ、要するに湾の奥に向かう流れが、下層では北東の方に流れる、湾から竹崎の方向に向かう流れが見つかりました。小潮時にはまた逆であることが観測されております。これまで有明海におきましては、反時計回りの流れがみられたわけですけれども、今回、この北向きの流れというものが観測されました。これによりまして、有機物等の湾外への、有明海外へ物質を排出する機能、これが弱められている可能性があるというふうに思います。
 続いて、水質と浄化機能の関係についてでございますが、浅海定線調査、これは昭和45年から行っております。その長期的なデータを解析いたしまして、有機物の負荷量、あるいはCODを指標とした有機物の負荷量、さらに透明度等について経年的に調べましたところ、この有機物負荷量、透明度において増大していることがわかりました。
 図が小さくて大変申しわけございませんが、Aというのは水温を示しております。それからGが透明度、それからIが先ほど申しましたCODを示しております。実線が有明海の中の値を示しています。水温が若干この30年の間に上昇傾向が見られます。それから、COD、これもわずかではありますが高くなっている傾向が見られております。あと、Fでございますが、これはプランクトンの沈殿量、これは明らかに減少する傾向が見られるということがわかってまいりました。
 アサリによる浄化機能についても検討いたしました。アサリは大型の個体、3センチか4センチぐらいの大きな個体一個で、大体1日当たり20リットルの水をろ過いたします。もし有明海に1万トンアサリがいたとすれば、東京ドーム19杯分ぐらいの水を1日でろ過していく、そういう機能があったということでございます。アサリの生産量が、これを見ますと漁獲量で示しておりますが、1970年の中ごろから急速に伸びてまいりました。その当時は7万トンから8万トンのレベルに達していました。福岡県におきましても83年には漁獲が増えました。その後、急速に減少いたしまして、近年では1万トンを切っているという状況にありまして、アサリによる海水のろ過量も落ちてきているということが水質の変化とのかかわりに出てくるだろうと思っております。
 また、これが示しておりますのは、横軸にクロロフィルの濃度、縦軸にアサリの現存量を示しております。クロロフィルが10ないしは11mg/?の濃度がありますと、大体蓄積する量と代謝として排出する量とのバランスがとれるということを示しておりまして、クロロフィルが多いほど栄養として取り込んでいく能力がある、すなわち懸濁物を除去する能力になる。一方、低くなりますと、それを代謝として排出するということで、海の中にそれがたまっていくという状況を示しております。それで、有明海においてはどのぐらいのクロロフィルの濃度が観測されているかということでございますが、この40近いところから2、3というところまで見られております。平均いたしますと、大体今現在は10前後、あるいはそれよりちょっと低いというような状況に有明海のクロロフィル濃度が観測されております。
 続きまして、貧酸素水塊についてでございますが、有明海の奥部を中心に連続的な観測網を作りまして、連続的に動きを把握いたしました。また、これによりまして貧酸素水塊が発生する場所ですが、この調査の範囲内ではありますけれども、有明海の北西部の干潟周辺、あと諫早湾、それから東部にありますくぼ地、その周辺であろうということがわかってまいりました。また、発生時期は夏季の小潮時に発生いたしまして、それが潮汐の移動によりまして有明海中部まで移動してくるというのが観測されました。ちょっと動きを見たいと思います。これは有明海での観測点と、それからその当時の酸素濃度を示したものでありますが、緑色の部分と青いところがありますが、貧酸素というのは水色が濃い青、この部分が貧酸素水塊で、私どもが定義いたしますのは、飽和度にいたしまして40%以下というものを示しております。これが8月19日の中潮のときに当たります。
 こちらに示しますのは大浦というところで観測した潮位であります。この潮位の変化に伴って変わってまいります。それに伴ってここでの貧酸素がどのような動きをするのかというのをお見せしたいと思います。これは1時間置きに示したものでございます。現在中潮で、さらに潮位が低くなって、これからだんだん潮位が上がってくるときを示しております。これは観測地点が海底から約0.5メートルのところで調べております。ですから、今現在浅いこちらのところでは高い値が出てまいりまして、これはごく表層の水が移動してきていますので、それが測られています。満潮に近く、潮が上がったときには底の方の酸素濃度が分かります。現在は潮位が高くなっていますので、かなり底に近いところの酸素飽和度が見えます。現在、これが小潮回りになってまいりまして、沖合いでの貧酸素水塊の発生が顕著になってくるというのが見えます。この奥に見えますのが有明海の奥の方の干潟域、このあたりで貧酸素水塊が見られるのがわかります。これが潮の動きによりまして次第に沖側の方にも移動してくるというのがわかります。もう少しございますが、ここでとめておきます。
 先ほどの貧酸素水塊に戻りますが、発生時期は夏季の小潮時、特に潮汐によりまして有明海の中央部まで移動するということがわかってまいりました。
 次は、貧酸素水塊の発生についてです。表層では空気中からの酸素の溶け込み、それから植物プランクトンの光合成によって酸素が供給されてまいります。この表層水と底層水の混合によって表層の溶存酸素が海底まで届き供給されます。しかしながら夏になりますと、密度成層が形成されまして、表層から底層への酸素供給量が低下してまいります。さらに、夏季には水温が上昇いたしまして、海底に堆積いたしました有機物、それとか底層の海水中の有機物、有機性の懸濁物、それらが分解することによりまして酸素消費量が増大します。そのようなことによりまして、底層での酸素収支が負となりまして貧酸素水塊が発生するというふうに思われております。
 続きまして、底質、浮泥の問題でございます。有明海中央部から諫早湾にかけまして水域の有機物含量、安定同位体比、それから流動組成、泥分率等を測定いたしました。その結果、有機物含量が高い海域、これは有明海奥の西部、あるいは諫早湾周辺というところが比較的高いところでございますが、貧酸素水塊が発生しているところに観察されております。また、有明海西部と諫早湾では、海水起源の有機物、これだけではなくて、陸上由来の粒子、あるいは淡水の植物プランクトン由来の有機物の割合が高いことがわかってまいりました。
 また、有明海にたまる泥等の堆積速度でございますけれども、1980年前後から速くなっているのが観測されております。これは、有明海の奥のステーションB-5、ここでの堆積速度を測りました。AR-15というのがここで、AR-11、それからAR-5、諫早湾の入り口のところでございます。AR-5を見ますと、これが堆積していく速さでございますが、ここのところに変局点がありまして、急に早くなってきております。AR-15でも見られます。そのように見ますと、ここの海域におきましては、1980年前後を境にして堆積物が増えてきている、たまる速さが早くなってきているというのが見られます。ただ、このB-5におきましては、その時期がもっと遅いということがわかってまいりました。
 また、4番目にありますが、有明海を特徴づける浮泥の件でございます。潮流の減少によりまして浮泥の巻き上がりが減少しております。小潮時には干潟の前面において沈降するということが見られます。また、これによりまして透明度が増加して、植物プランクトンが発生しやすくなり、貧酸素水塊発生に影響を与えているというふうに考えられております。
 続きまして、基礎生産でございますが、有明海全域で詳細な調査を数年にわたって実施いたしまして、海洋における物質循環の研究の基礎となる栄養塩、基礎生産力を把握いたしました。その結果、年間の一次生産量、これが1年当たり1平方メートル当たり何グラムの炭素を生産するかということですが、有明海におきましては753gC/㎡/yということになりました。瀬戸内海の3倍、東シナ海の陸棚域の2倍以上ということでございまして、有明海が非常に漁場として適切な高い生産力を持っている海域であるということがわかってまいりました。
 また、この一次生産量については、夏季に高くて秋季に低い結果が得られました。クロロフィルの生産量からそういうことがわかり、透明度が低い有明海奥部で生産量が特に高いという傾向が見られました。  有明海では、河川から流入する豊富な粘土粒子、それから栄養物質によって大量の浮泥というものができるわけです。その大量の浮泥や沈殿物が生産されまして、大きな潮汐により沈降と再懸濁、これを繰り返しているわけです。それによって植物プランクトンに対して栄養塩を供給し続けるシステムができているわけで、これが高い一次生産をもたらしていると考えられております。
 続きまして、底生生物、ベントスについてでございますが、主要な底生生物の分布量を把握いたしました。分布密度を見ますと、1997年以降減少傾向にありまして、6月に最高で、10月に最低を示しました。砂底域に多くて泥底域には低いということがわかりました。また、現存量について見ますと、このように図に示していますが、6月に全体の量が多くて、秋には少なくなる。これを種類別に見ますと、特に甲殻類が6月に多く、秋には少なくなる。また、多毛類は5月ぐらいから順次少なくなってくるんですが、比較的安定した傾向を示しています。また、貝類は春先から秋にかけて少なく、11月から急速に増えるという結果が得られております。
 続きまして、赤潮の問題でございますけれども、平成12年漁期に発生しました赤潮によるノリの色落ち現象、この主な要因になりましたのはリゾソレニア・インブリカータという種でございます。これにつきまして、生理的な条件と生物的な特性等について飼育実験等を行いまして、増殖力、水温、塩分、光環境に対する適用能力等について把握をしたところであります。これが飼育されておりましたリゾソレニア・インブリカータでございます。これを飼育いたしますと、最も高い増殖率を示しますのは、水温にいたしますと25度、塩分にしますと30から35ということで、むしろ内湾域というよりも外海域に適応した種であるということがわかってまいりました。
 また、2番目といたしまして、主要有害赤潮種としてスケルトネーマ、タラシオシーラ、キートセロスというのがございます。有明海の中でのこれらの分布状況を調べました。特に休眠期細胞というのは、条件が悪くなりますと海底にシストをつくって沈降するわけですが、それについて調べましたところ、これがそうでございます。これは3種類を合計したものでございますが、1立方センチメートルの中にどれぐらいのシストが入っているかということでございますけれども、これが100万くらい、これが50万ということでございます。有明海の全体にわたりまして珪藻類のシストが大量に分布しているということがわかってまいりました。
 これらがいつ赤潮を起こすかということでございますけれども、擾乱が起こりまして、シストが表層に上がってきますとすぐに発芽して栄養細胞になり、そして赤潮を発生していくということになります。そして栄養塩を使い、条件が悪くなってきますとシストをつくって海底に戻る。こういう循環を繰り返しているということがわかってまいりました。
 また、有明海における原因珪藻別の赤潮の継続日数について、これまでの資料をもとに調べてみました。シストをつくりますスケルトネーマとかキートセロスを主体にした赤潮ですと、最長で37日、短いので1日、平均して17日ぐらい続くことがわかってまいりました。また、リゾソレニア、それからユーカンピア、これらは有明海の中でシストが見つかりません。恐らく外洋から入ってくると考えられております。それらを主体にした赤潮ですと、長く続きますと84日、短くても17日、平均で50日ということでした。内海に分布するシストを形成する種よりも、外洋から入ってくる種が赤潮の継続する期間が長いということがわかってまいりました。また、これがまざった場合にはさらに長くなるということもわかってまいりました。
 次に、ノリの問題でございますけれども、ノリにつきましては、生産量が昭和30年以降急速に増えてまいりまして、平成7年、44億枚まで増加しています。この間、昭和42年、そして平成8年にも不作が見られております。ノリの養殖生産の不安定、あるいは阻害の要因として、病気と赤潮の発生が大きな問題となっております。特に色落ちにつきましては、赤潮プランクトンの増殖に伴います栄養塩の不足が大きな要因だろうというふうに考えられております。また、ノリ養殖時期の赤潮としては、珪藻類が最も大きな要因でございます。これには先ほども説明いたしました休眠期細胞を形成する種、あるいは休眠期細胞を形成しないリゾソレニアのような種とがございますが、前者の場合は比較的短期間であり、後者の場合は長いということがわかりました。赤潮を形成する種と継続日数がこのノリの色落ちとかかわりがあると考えています。
 これに対しましてノリ生産でどのような技術開発ができるかということでございますけれども、ノリの生産には、基本的には栄養塩の量とノリの葉に接触する流れの量が重要であろうと思っております。そういう意味で、ノリ網設置技術の検討におきましては、通常にノリ網を設置した場合、それから、ノリ網の小間といいますけれども、小間の設置比率を3分の1にした場合、それから、3分の1にさらに流れとの方向を平行にした場合、以上の3つの方法で柳川沖の漁場におきまして実験を行った結果でございます。L値というのがございますが、L値というのはノリの色落ちの度合いを示す値でありまして、値が小さいほど色落ちが進んでいない、大きいほど色落ちが進むということを示しております。ここにあります結果で申しますと、Aは通常、それからBは小間の数を3分の1にしたところ、さらにCは3分の1プラス流れに平行にしたものです。設置2週間後、通常区は平行区よりもL値が高く色落ちが進んでいますが、さらに2週間おいても同じような結果が見られました。ノリの色落ちと網の設置の関係につきましては、設置の比率および方向を変更することで色落ちの進行をわずかでありますけれども、軽減させることができることがわかってまいりました。
 また、これはノリと赤潮との関係でございますけれども、珪藻赤潮と一緒にノリを育てた場合どのようになるのかを調べた調査でございます。これによりますと、ノリの葉の成長が珪藻と混合することによって影響を受けるということがわかってまいりました。これはノリだけで培養した場合ですが、珪藻をまぜるとこのように成長率が落ち、影響を受けることが明らかになりました。
 続きまして、二枚貝の問題についてでございます。タイラギについては、1992年の減少要因と2000年以降の減少要因は違うと考えられております。これがタイラギの漁獲量の推移でございますが、タイラギは6年ないし8年で好漁年が発生、こういう特性を持っていると思われますが、1980年以降ずっと低く、明瞭な豊漁年が確認されておりません。それから、漁場におけるタイラギの生息密度ですけれども、これは先ほど説明した峯の州というところと大牟田沖の値です。74年以降、生息密度が極端に低くなってきています。さらに、これはタイラギの大きさ、殻長の推移でございますが、これを見ましても長期的に見て小さくなっており、32年間で3ないし4センチ小型化しました。このように、漁獲量が減り、密度が減り、大きさが小さくなるということは、漁場での資源状態が非常に悪化していることを示しております。
 これは、漁場で立ち枯れをしたタイラギを示したものでございます。また、これは年度別のタイラギの斃死状況でございます。先ほど申しましたように、縦軸には月を、横には12年から15年の年を、さらに県別に示しております。5月、6月、7月の夏場の斃死というのは、食害の可能性が大きいと思います。中でもナルトビエイの影響が考えられます。後ほどこれについては、長崎県の方から移植試験についての関係で報告があるかと思います。また、夏場の斃死要因につきましては、貧酸素による要因が考えられるかと思われます。
 これは、タイラギについて健常貝と衰弱した貝の外套膜の血管の内壁について見たものです。健常貝でありますと内壁が平滑でありますが、異常貝になりますと弱ってきてひだが出てきて、中に粒子等が見えます。この粒子がどうも病気の原因になっているようだということで、現在検討中でございます。
 これは、干潟におけるタイラギの生息密度と底質の関係でございまして、泥場のところにはタイラギの生息密度が低く、砂地のところには高いことを示しております。5円玉の上に乗っ、かっているのがタイラギの稚貝でございまして、このような砂地のところにはかなりの数の稚貝が分布しますが、これがシルトのところではほとんど見られないという状況になっております。
 続いて、アサリの問題でございますけれども、アサリにつきましても漁獲量の減少が続いております。近年では、1万トンを切った状態になっている状況です。生理的な変化について年変化を示しますと、アサリは青でサルボウは赤で示しています。年間の肥満度の変化を見ますとこのような変化が見られ、特に夏場において生理的に弱くなっていると考えられます。そこに貧酸素がくると、アサリについても貧酸素の影響が考えられるということでございます。
 また、稚貝の着底する底質の安定性の重要性を確認しました。これは漁場の造成、保全の技術への寄与にかかわってくると思います。後ほど熊本県さんの方からもご報告があると思いますが、緑川沖の漁場について見ますと、1年間のうち2回ほど産卵期がございますが、特に秋の産卵期が平成14年では多かったのが平成15年では少なかった。これが今年の漁獲量がよかったけれども来年はどうなるか少し心配な面がある、ということを示しています。
 また、この図はアサリの着底稚貝の量を示してございますけれども、1ミリメートル未満ですと覆砂した漁場には大量に、1平方メートル当たり12万個という大量の稚貝が見られましたが、それが時間とともに減ってまいります。5ミリメートル以上になりますと、1,200ですから、約100分の1まで落ちますけれども、それでも覆砂漁場にはそれなりにかなりの稚貝の着底が見られます。この覆砂漁場の利用の仕方がこれからの重要な課題になってくるだろうと思っております。
 これは、アサリの低酸素に対する耐性を調べたものでございます。この赤丸はとってすぐに実験したもので、横に肥満度がどのように変化するか、それから、縦軸は生残時間を示したものです。青丸は2週間ほど低酸素の中で飼育して、さらに餌もやらなかった状態を続けたものです。そうしますと、餌も与えないし低酸素でならしたものほど生残時間が長く300時間を超えることがわかりまして、2週間程度の貧酸素の中であればアサリは生き延びられることがある程度推測されるということでございます。
 これは、現在の二枚貝の阻害要因と環境条件について記したものでございまして、緑色のところが現状、それから、黄色のところは今このような問題があるということで、これらのところをどのような形で断ち切るかによって、あるいは改善するかによって、二枚貝の資源の回復が見られるということを示したものでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもご発表ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方からご質問、コメント。では、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 幾つか教えていただきたいんですが、最初に、有明海の流動変化という1番目の項目のところですが、2番目のポツのところで、25年前の同時期の推定値と比較して、有明海全体の流れは12%低い値を示したというご説明をいただいて、これは第三者委員会のときに私も覚えがあるんですけれども、有明全体というのは、どこを測ってどういうふうにそういう12%という数値をされたのか、あるいは、その12%減っているという、25年前との違いの原因がどこにあるのか。それと、今後さらなる調査が必要というふうに書かれているんですけれども、どういうことがまずいから再調査が必要というふうに書かれているのか、そこのところをもう少しクリアにしていただきたいというのが1点。
 それと2番目は、貧酸素水塊についての絵を見せていただいたんですが、湾奥部、北西部、それと諫早、それともう一つ、荒尾前面のところでも夏季に貧酸素水塊が発生していると。夏の間は非常に貧酸素水塊が発生しやすいというのは、私も30年間のデータを調べさせていただいた結果わかっているんですが、冬場においても貧酸素水塊が発生しやすいところがあるというふうなデータが得られていまして、それは荒尾沖ぐらいのところはかなり有明全体の中でも低いというふうな結果があるんですが、そういったものについての、夏だけではなくて、冬場も通して、海域全体を通しての調査というのが行われているのかという点。
 それと最後ですが、底質及び浮泥という項目のところで、透明度が増加するという理由でここに書かれているのが、「潮流の減少によって浮泥の巻き上がりが減少し」という理由で、潮流が減少したから透明度が上がったというふうな理由づけをされていますが、本当にそれだけなのか。要するに、浮泥というのは河川からの土砂供給の話もありますし、潮流がどれぐらい減少したら巻き上がりが減少するのか、あるいは、小潮のときには逆にそれが沈降する、大潮と小潮でどれぐらいの潮流の変化があるから要するに巻き上げ係数みたいなものが落ちてきているのか、それをどういうふうに調べられた結果こういうふうにご発表になったのかということをちょっとご説明いただきたい。

○須藤委員長 お答えをいただきたいんですが、詳細な部分は多分、今の回答は結構時間を要すと思いますよね。なので概要だけちょっとお答えいただいておいて、あとは回答書で環境省の方にお渡しいただけませんでしょうか。それで次回の資料で、もちろん滝川先生には最初にすぐにお渡ししますが、ちょっと文書にしていただかないと、今の回答、多分ここでまた始められると5分、10分になってしまいますので、要領よく、ちょっとコメントだけでもお願いします。
○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 それでは、最初の潮流の低下の件につきまして、これはこの海域の、島原以北でありますが、この海域において調査を行いまして、46点の調査点を設けております。そこで調査を行っております。ただ、調査の方法がひも流し法という方法で行っておりますので、比較した値の調査方法と若干違っております。いろいろの補正を加えた上での値でございますので、そういう意味で問題はまだ幾らかあるだろうというふうに思っております。このほかにもほかの海域で調査を行った機関がありますので、それらの値と違いがあり、それの理由をもっとはっきりさせたいと思っておりますので、さらなる調査というのはそういう分析も含めて行いたいということでございます。

○滝川委員 申し上げたいのは、その12%低い値を示したというのを数値としてきちっとここで出すことに問題があるのではないですかということを第三者委員会のときに私は申し上げたかと思うんですが、あえてそういうふうに固執される理由がどこに根拠としてあるのかなということです。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 特に固執というよりは、結果としてそうなったということをご報告したのでありまして、これはあくまでも以前に得られた推定値と私どもがやった結果の値の違いということで示しております。
 それから、2番目の貧酸素水塊について、特に冬場については、残念ながら私どもまだ調査しておりません。これから実施も含めて検討したいと思っております。
 また、浮泥の問題につきましては、ご指摘のとおりでございまして、河川からの流入量がほとんど変わっていないにもかかわらず浮泥が少なくなってきたということについては、やはり潮汐の差が少なくなったということで流れが弱くなって浮泥が沈降しやすくなった。それから、干潟の面積が減って、擾乱によって巻き上がりが減ってきたということがその透明度の増加につながっていると考えております。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 予定した時間が来ているんですが、コメントおよび質問だけ伺って、回答は後でしていただくようにしますので、伊藤先生、どうぞ。

○伊藤委員 2点ありますけれども、タイラギについて、斃死の図を掲げておりましたけれども、そのタイラギの斃死ですね、平成12年以降の斃死のフローを取りまとめたものを私どもの資料として出されておりましたけれども、それにつきまして、私自身が昨年の12月4県の資料をもとにつくりましたが、それについては少し、一部訂正箇所もありますし、それの訂正版を第7回の評価委員会で私はしゃべっておりますので、その図につきましては、少し事実と違っておりますので、はい。

○須藤委員長 ありがとうございます。

○伊藤委員 それともう一点だけ。タイラギの減少要因として、1つは細粒化ということのご指摘、もう一つは漁獲圧が大きいということでしたけれども、その中で、ちょっと間違っているかもしれませんが、1980年以降ですか、明瞭な漁獲量のピークが見られないということでしたが、もう少し県別で見ていただきますとわかると思いますが、例えば佐賀県ですと大浦漁港の漁獲統計がそろっておりますので、それからしますと明瞭なというか、当然1970年代、60年代と漁獲のピークは違いますけれども、明らかな増減のピークといいますか、それが見られておりますので。

○須藤委員長 それもコメントとして承ってよろしいですね。
 では、細川先生。あとはちょっと質問でいきます。やはりこれは受けておいた方がよろしいので……

○細川委員 質問ではありません。

○須藤委員長 コメントですか。はい、どうぞ、おっしゃってください。

○細川委員 いろいろ私も聞きたいことがあります。しかし、例えば測定条件とか聞けばすぐわかるということもありますし、それから、結論をどうも急ぎ過ぎているのではないかという気もするので、そういうことも含めて議論したりチェックしして見るためには、調べていただいた成果を公表するなり委員の皆さんに配るなりしていただいたらありがたい。これはコメントです。

○須藤委員長 ありがとうございます。それは多分必要だと思います。まずはよろしいですか。その資料はくださいますね。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 配付いたします。

○須藤委員長 その上でまたご質問があればということにいたしましょう。今、細川先生はもっと細かいところをごらんになった上でコメントがあるというふうなこともおっしゃっておられたので、それはそれでよろしいですね。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 そういう機会があればお答えしたいと思います。

○須藤委員長 その報告書はいつ配付いただけますか。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 現在印刷中でございます。

○須藤委員長 では、すぐですね。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 間もなくかと思いますが。

○須藤委員長 次回までに間に合いますね。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 ちょっとそれは確かではございませんが、わかり次第ご連絡申し上げます。

○須藤委員長 わかりました。
 ほかどうですか、コメントでも、今伺っておいて。はい、本城先生。まずはコメント、質問だけ伺っておきます。

○本城委員 教えてください。クロロフィル濃度が10月から11月に高くて、1月から7月に低いということですね。一方、一次生産量は夏に高くて秋から春に低いという矛盾があるように思います。後で結構でございますけれども説明してください。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所長 後ほどご説明させていただきたいと思います。

○須藤委員長 ほかにご質問いいですか。では、清野先生。ここら辺でとどめておきます。かなり時間を経過していますので。はい、どうぞ。

○清野委員 漁業者の方の実感とのすり合わせのことがありますので、かなりいろいろな成果が出てきたので、地先ごとにある程度わかってきたところについて整理していただく方向で今後お願いしたいと思います。特に小長井と竹崎については、いろいろな状況がわかってきたようにこの資料から拝見しましたので、そういう取りまとめ方法を今度地先ごとにお願いしたいと思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 まだいっぱいご質問があるかもしれませんが、報告書を印刷している最中だそうでございますので、再度ご質問等をいただく機会は持ちたいし、また、文書等での交換で、その文書だけはここの会議資料に載せるとか、そんな手続もとっていきたいと思いますので。どうもありがとうございました。
 それでは、もう一つだけやらせていただきます。午前中最後の報告になりますが、水産庁から有明海等環境情報・研究ネットワークについてご報告いただきます。

○(社)日本水産資源保護協会 日本水産資源保護協会の中根と申します。
 私の方からは、調査結果ということではなくて、有明海・八代海で現在、あるいは過去から継続的に行われているデータを収集、一元管理しまして、インターネットを通じて研究者の方々と一般の国民の方々に情報を提供させていただくというような仕事です。最初に、ちょっと考え方だけをお話しさせていただいて、実は5月13日から本格運用という形でインターネット上のホームページで公開しておりますので、それについて若干今日見ていただいて、あと、実際にそちらを帰って見ていただいて、ご意見、要望等、私どもにお知らせしていただければと思います。
 目的等は資料に書いてありますので、読んでいただければと思うんですが、2番目の事業内容ですけれども、この事業は、先ほど申し上げましたように、有明海・八代海で国とか県とか、あるいは各関係省庁さんの方で調査研究されている成果を収集・整理しまして、その際に、漁場環境、環境に精通した有識者、あるいは地元の県の方々、あるいは大学、国の研究者の方々にご意見を伺いながらデータベース化し、データを整理しつつ情報提供を図ろうというものです。
 最初に基本的な考えといいますか、このデータベースの特徴づけみたいなものを若干お話しさせていただきたいと思うんですけれども、情報の種類として、私たちは環境データ情報といいまして、これは一般自然環境の水質とかプランクトン等々のデータがあると思うんですが、それと研究関連情報、これについては研究者の方の名簿といいますか専門分野を含め、あと、生物情報、文献情報、この2種類を環境データ情報と研究関連情報という形で情報を区分しております。それから、もう一つポイントですけれども、数値情報と加工情報と書いてありますが、実はインターネット上で例えば水平分布図とか経時変化図でいろいろな、例えば水質の変化を見せるだけではなくてその数値そのものを、後ほどちょっと簡単に説明させていただきますけれども、登録会員の方には数値情報をダウンロードしてご利用いただきたいという考え方で進めております。
 それから、ここに有明海に特化した生物情報ということで、漁業生物だけではなくて固有種とか希少種等につきまして、その生物に関する種々の情報をこのネット上で公開しております。
 それから、自動観測ブイ情報ということで、実は有明海・八代海に40基ほど自動観測ブイが設置されているんですけれども、これは水産庁の事業で私どもの協会の方で委託を受けましたけれども、有明海地先の方で自動観測ブイを5基入れております。それとあと、福岡県有明漁連さんの6基を含めて11基で、福岡県地先の漁場がリアルタイムで見ることができるようになっておりますので、それについての情報提供もこの中でしていこうと考えております。
 関係機関のデータベースということで環境省さん、国土交通省さんの方でデータベースがありますので、それに関しましてはリンクで利用していただくという考え方でおります。
 管理と利用ということにつきましては、ここで利用規程と管理規程を定めております。特に利用規程の中では、実際に数値データをダウンロードしていただくということで、実際にデータをとられた方に対して、例えば公表されるときに承認いただくとか、その成果に関して協会の方に一部提出いただくとか、そういうようなことを取り決めて運用しております。
 最後に会員ということですけれども、一般会員、登録会員という2種類といいますか、2つの区分を考えておりますけれども、実際に何が違うかといいますと、登録会員の方は数値データをダウンロードできるという点が大きく違うところです。
 今のような考え方で、ネットワーク構想ということで、これは資料の一番最後のページにカラーで入れてありますけれども、こういうような登録会員、一般会員でそれぞれホームページの入り口がありまして、加工情報、数値データ等とありますけれども、情報提供していくというような考え方でホームページを今作成しております。
 これが、資料にも書いてございますように、本格運用を開始したホームページのトップページになります。それで、入り口のところに一般会員と登録会員のページというのがありますけれども、あと、その下に利用規程、管理規程がございますのでぜひ読んでいただければと思います。先ほど申しましたように、数値情報等々を使われまして成果を出される方は、ここに書いてありますけれども、まず出典を明記することとか、あと、成果物を一部提出してくださいとか、そういうような形で規定しております。
 今、実際に登録会員のページに入りますけれども、登録会員につきましてはIDとパスワードとを送信していただきますとこのようなページに入ります。ID、パスワードに関しましては、所定の手続を踏んでいただければすぐ発行するようにしております。
 ここで環境データということで水質、プランクトン、赤潮、貧酸素、いろいろあるんですが、すべて見ていただくと時間がないので、まず1点、やはりこのデータベースのポイントとしては、過去から現在まで、水質とか漁獲量とかがどう変化してきたかというのを見てみたいという、そういう作図をしたりしております。それで、実際に有明海と八代海で、これは4月の水温ですけれども、実際には浅海定線データを使っていますが、調査日が異なったりしていますので、このコンタ図といいますか、カラーコンタ図が本当に正確かというのはまだ議論が残るところではあると思うんですが、このように有明海と八代海を同時に見てみたいということがあります。それで、これは30年以上のデータがそろっていますので、すべての月に関してこのような分布図を作成するのはとても膨大な量になりますので、とりあえず画面上では10年ごとに所定の月の分布図を表示したりしております。
 それから、今流れのお話がありましたけれども、1977年に西海区水研さん、あと、関連の各県さんの方で多船調査といいますか、流向流速の調査がされております。そのデータを掘り起こしてこのような形で表示し、あと、もうちょっと時間がかかりますけれども、数値情報も提供していきたいと思っております。
 それから、今見ていただきますけれども、これが福岡県地先の方で入れているブイのページになります。ここではノリの漁期に合わせておりますので、例年9月から翌年の4月上旬まで、大体半年ぐらい入れているんですが、今年が2年目で、200日間運営しまして、大体7,300件のアクセスがありました。このホームページでは、パソコンだけではなくて携帯電話でも見られるようになっております。実際にその利用率を調べましたところ、やはり携帯電話の方がパソコンより上回っていたと。やはり漁業者の方はパソコンではなくて携帯電話で情報が見られるということを望んでいるとお伺いしていますので、今年で2年目なんですけれども、かなりいろいろ利用していただけているのではないかと思っております。
 こういう形で実際に過去のデータを掘り起こすのと、あと、実際に今リアルタイムで有明海で起こっていることを見られるようにしたいということ、さらに、今ちょっとチャレンジ的ですけれども、こういう形で漁場環境予報というものを出しております。これは過去のデータ等々を使いまして、ノリ漁期、養殖管理に水温というのは非常に重要な環境要因、決定要因になりますので、それについては、例えば1週間先どのように変化していくだろうか、こういうような予報も1つ入れております。
 見ていただきたいことはいっぱいあるんですけれども、ちょっと時間がないので、あと1つだけ、生物情報ということで、先ほど申し上げましたように、有明海に固有の種類とか希少種につきまして、このような形で整理しております。一番の特産種といいますか、ムツゴロウですけれども、こういう形でムツゴロウに関して名前とか分布とか生息場所、生活史、こういうことを写真を交えながら紹介していくページをつくっております。
 あと、今は研究関連情報ということで、研究者の方の登録をしていただいて専門分野の研究者の方を探していただくとか、そういうような情報ページもつくっております。
 この事業は、平成14年に開始され、15年から名称を変更して実施しておりますけれども、一応17年まで継続する計画でおります。今後の予定としまして、今現実的に八代海の方のデータが不足しておりますので、そちらの方のデータも整備していきたいということと、当然情報の更新も図りたいということですけれども、そういう面でデータベースを充実させていきたい。また、操作性をよりよくしていきたいというような、情報ネットのソフトウェア上のことですけれども、そういうものも改良を加えながら普及啓蒙といいますか、皆さんにご利用いただけるように努力してまいりたいと思います。
 ぜひ一度見ていただいて、ご意見、ご要望があると思いますので、お知らせいただければと思います。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方からご質問なりコメントなりをお願いいたします。
 清野先生、どうぞ。

○清野委員 これからの整備になるかもしれないんですが、漁業者の方が地先の情報を送信すると、全国の人が見せていただくということが可能になるわけですね。

○日本水産資源保護協会 実際に漁業者の方も毎日海に出ておられますので、やはり赤潮の発生とか、これは先ほど漁業者参加型という中で、地先情報として実際に漁業者の方からファックスでいただいた経緯があります。ただ、やはり漁業者の方は携帯がいいということで、そういう携帯を端末とした情報の発信、双方向のやりとりというようなことも今年やっていきたいと思っております。

○清野委員 ぜひお願いしたいと思います。ありがとうございます。

○須藤委員長 では、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 私もぜひ登録会員にならなければと思ってますが、まだ手続をやっていないのです。非常に興味を持って拝見させていただいておりますし、データも活用させていただきたいと思っているんですけれども、今の清野先生のお話と同じなんですが、逆に我々が持っているデータを、こんないいものがあるよみたいなのをどこに申し上げればそういうのができるのか、あるいは研究者のいろいろな研究会の資料みたいなのを掲載されているんですけれども、それの収集方法といいますか、そういったこともちょっと教えていただけたらと思うんですけれども。要するに、データをご提示申し上げたいんですが。

○須藤委員長 そういうことが可能なんですかと今提案をされているんで、滝川先生が。それでいいんですか。
 では、原先生。

○原委員 うちの協会で受けている関係で、私の方から申し上げます。データを寄託いただくというのは大いに結構でございまして、名前を挙げれば、磯部先生は「もうとてもケアし切れないからお前のところで面倒見てね」と、こういうことでございまして、今先生のところでデータの最終チェックをいただいております。ですから、データとしてこういうものがあるよということを水産庁か私どもにお知らせをいただきますと、これを取り込むと、こういうことで公開の手続をとっていきたいと、こういうふうに思いまして、双方参加型、改良型で進めたいと思いますので、よろしくお願いします。

○須藤委員長 相互参加型、改良型だそうでございますので、委員の先生方、どうぞご活用のほどお願いいたします。
 ほか、よろしいですか。
 それでは、一応ただいまのところでお昼休みにさせていただきます。皆さんにご協力いただきましたので、予定した時間、おおむね予定通りでございますので、短時間で恐縮でございますが、13時15分まで昼食時間にさせていただきます。13時15分ちょうどに再開いたしますので、それまでにはどうぞご着席をお願いいたします。どうもありがとうございました。

〔暫時休憩〕

○須藤委員長 どうもお待たせをいたしました。それでは、再開をさせていただきます。
 午前中に引き続きまして、これまで行ってきた調査研究等の概要を報告いただきます。
 それでは、水産庁から平成15年に有明海で発生した粘質状浮遊物について報告をいただきます。お願いいたします。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究部長 私は、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所の有明海・八代海漁場環境研究センター長事務取扱を担当しております山崎と申します。今日の報告、お手元の資料と同じものをスクリーンにお見せして報告させていただきます。
 今年の2月に、有明海・八代海に面します5県の試験研究機関、それから西海区水産研究所で有明海・八代海にかかわりますいろいろな問題を連携を強めて取り組みましょうということで、特別研究部会というのを立ち上げました。そこの事務局を有明海・八代海漁場環境研究センターが担っておりますので、今日の報告は私がさせていただきます。
 昨年5月頃にこの物質が出現しました時には、まだそういう組織はできておりませんで、それぞれの機関にご協力をいただいて、その時点では、熊本県の水産研究センターが事務局を担当されて、今日報告させていただく内容も主にそちらにまとめていただいたということで、ここに示した6つの機関で協力をして、昨年この粘質状浮遊物の調査を行いました。
 昨年5月6日に、島原半島の漁業者の方から変なものが浮いている、あるいは、刺し網や底引き網などにべとべとしたものがくっついて魚が採れない、あるいは、網を引くのに大変だということで、水試の方にそういう情報がもたらされました。それからいろいろ調査を始めたということで、その時出現したもの、当時の写真、余りいいのがなくて恐縮ですけれども、海表面に浮いているもの、こういうふうな感じです。それから、網にまとわりついたもの、こういうものを採取しましたが、いろいろなものが、夾雑物が入っていて、かなりごちゃっとしたようなものが得られました。この時点で粘質状浮遊物というふうな言い方をするようになっています。
 それから、佐賀県では、カキの養殖筏のところにカキの稚貝をとる恐らく貝殻だと思いますけれども、こういうところにべたっとくっついて、仕事にならないというふうな状況でした。それぞれの県で聞き取りですとか、実際に船を出してどんなところに浮いているかというふうなことを調査しました。
 これは、佐賀県からいただいたデータですけれども、ここが諫早湾ですね、かなり有明海の湾奥、福岡、佐賀の海域で濃密な部分、それから、そういう粘質状浮遊物が目視できるような部分、かなり湾奥全体に広がっている状況がお分かりいただけるかと思います。
 それから、これは熊本県にまとめていただいたものですけれども、これは最初に確認をした日を入れてあります。それから、過去に確認されたかどうかというふうな聞き取りを行った結果も入っています。3月にこういうところで見たという報告がありました。それから、この二重丸のところが過去にもあった地点を示しています。それから、湾の北の方ですと4月の上旬、それから4月の末あたりには湾口部のあたりにも初見されたという、主に漁業者の方からの聞き取りだと思います。湾全体にあります。1枚前にお見せをしました佐賀県のデータは、大体このあたりが中心になっています。
 それから、長崎県の資料はお手元に準備しておりませんけれども、この島原半島の沿岸に沿ってかなり見られたという報告を受けておりました。大体有明海全体に広がっているというのが見て取れるかと思います。
 一体これは何なんだろうかということで、まず、そのときの外観の特徴などを整理しました。発見時の状況ということでは、船の上から目視ができるということで、浮いているのは大きいものですと畳1畳ぐらいの塊のような場合もありますし、小さなものは筋状の状態で、手のひらに乗るような小さなものまであります。それから、刺し網ですとか底引き網の情報もありました。漁業にも影響があったということです。
 実際にどんなものだろうかということで手にとっていろいろ見た感じですね、やはり夾雑物がたくさんあり、色は褐色のものから灰黒色までいろいろでした。臭いはほとんどないということで、手にとってみてもそんなに人間の鼻で感じられるような臭いはありませんでした。それから、粘性があるということで、糊のようにべたべたとくっつくというのではなくて、触った感じさらっとはしているんですけれども、いろいろなものが巻き込まれるという点で粘性がある。それから、先ほど写真でお見せしましたように、網に絡まりやすいということで、あと、中層なんかでも浮いているのが船の上から見られたりするんですけれども、ふわふわ漂っている状態です。これを採取して持って帰りますと、最初のうちは浮いているんですけれども、少しずつ沈んでいきます。それから、常温では分解がゆっくり進んで、1週間もすると透明な部分というのは手ですくえなくなるような、そういうふうなものでした。
 光学顕微鏡ですとか電子顕微鏡で観察をしたんですけれども、粘質状物質そのものは、顕微鏡下ではどういうものかという特定ができませんでした。いろいろなものがついています。構造としては、生物細胞のようなものは見当たりませんでした。それから、周りに植物プランクトン、珪藻ですとかそのほかのプランクトン、それから動物プランクトン、いろいろなものが付着をしていて、3番目に書いてありますが、中には生きているものも多数あります。泥も当然ついていたということで、電子顕微鏡でも植物プランクトンの種まで特定できるようなものが確認をされております。
 少しわかりやすい図ということで、もう一つ写真を準備しました。一応これはくっついて海面上に漂っている部分なんですが、こういう糸を引いたような形で、べとっとしたというんでしょうか、こういう特徴が見られます。糸状の段階ですと余り夾雑物がないんですけれども、いろいろなものを巻き込んでこういうふうな形で広がっていっているというふうな状況でした。
 では、これは一体何だろうかということで、酸で処理をしたりアルカリで処理をしたり、あるいは遠心分離機にかけて上澄みをとったり、エタノールで処理をしたり、いろいろな前処理をして一般成分、それから定性分析、その他色素などの分析をしました。一般成分ということでは、水分が95%以上、大半ですね。その中で糖質とかたんぱく、灰分が検出をされたということで、有機物主体だというふうなことが分かりました。
 それから、酸やアルカリで処理をした時に、酸には少し溶けるけれどもアルカリにはほとんど溶けないというふうな、有機物であるにもかかわらずちょっと特異な症状が見られたということがありました。それから、植物由来の粘質と成分を比較したんですけれども、ちょっとそれとは違うなという結果も得られています。それから、抽出物の中から得られた糖類は、生物由来のものだろうというふうなことが確認ができたんですけれども、これは夾雑物の中にプランクトンがまじっていますので、何かという特定をするというところまでは至りませんでした。
 それから、色素についても、植物由来のカロチノイドなどが確認はできたんですけれども、これも夾雑物に含まれていた植物プランクトン由来のものではないかというふうな、その可能性が大きいという分析結果でした。
 さらに、その原因を特定できるようなものということで、何か推定できないかということで、一例としてタマシキゴカイと思われる卵嚢塊といいますか、カエルの卵を覆っているゼリー状の物質のようなものですけれども、これを同じように処理しましたら、酸には少し溶けるけれどもアルカリには溶けにくいというちょっと特異な結果が得られました。それから、ほかに干潟で採取をしました、恐らく巻貝のものだと思われますけれども、卵嚢塊も同じように酸には少し溶けるけれどもアルカリにはほとんど溶けないという性状、どうもこのあたりなのかなという、こういうほかの物質を分析してみて似たような結果が得られました。
 それから、オオマリコケムシという群体塊も手に入りましたので、分析をしてみました。これはアルカリで処理をすると白濁するということで、ちょっと違うという結果も得られました。
 さらに、ここにはお示ししてありませんけれども、蛍光X線解析ですとかX線解析によって、どういう元素、あるいは鉱物が入っているかということも分析をしてみましたが、特に海水中に溶けている成分との比較で特異な状況はありませんでした。
 昨年は、5月の初めに初見されてから、5月20日ぐらいにはもう海面にそういうものが見られないということで、その間に得られた物質を分析した限りでの特定ということで、今お示しをしましたような調査・分析項目に基づいて、特徴的な、特に決め手となりそうなところということでは、アルカリ溶液に溶けない特異な性状を発見したということで、それが底生動物、ゴカイですとか貝類等の卵嚢塊にも同様な性状があったので、この時点での結論ということでは、貝類や底生生物の生殖活動等に伴って海水中に放出された粘質物が、変質しながら海底上や海水中を浮遊する間に、底泥や動植物プランクトン等が付着したものと推定しました。
 昨年の調査結果からはここまでしか分かっておりません。今年も5月に入ってから出現の報告がありまして、現在できるだけ夾雑物のないサンプルを得たり、それから、ベントス由来ということで底質の調査なども行っております。
 今日の報告は以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明に対しましてご質問なりコメントなり、今年ももう既にこの粘質物質は出ているんだそうでありますので、何かご質問なりコメントございますでしょうか。
 生物由来であるということはまずは間違いないんですよね。それは間違いないですね。
 よろしいですかね。どうぞ、はい。

○清野委員 生物由来の物質が変質しながらということなんですが、何との関係でどういう状況になると変質するのかというところまでは、幾つか候補はあるんでしょうか。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究部長 まだそこまでは絞り込めていないんですけれども。今のところ、やはりバクテリアなんかの分解が進むという可能性を考えてはいるんですけれども、特定はできておりません。

○須藤委員長 ほかの海域なんかでお調べになって、類似の現象というのはありましたか。まだそこまで調べていないですか。ほかの海域というのは、有明ではなくて、例えば八代でもいいし瀬戸内海でもいいし東京湾でもいいんですけれども。こういう情報はないですか。

○独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所研究部長 ほかでこういう大量にというふうなことは聞いておらないですけれども。

○須藤委員長 そうですか。湖沼では私も一、二例伺ったことはあるんですが、それもやはり結果としてある時期だけ出て、なくなってしまうので原因がわからなかったということに、とどまっていることがありました。
 よろしいですかね、そうしましたら。
 では、今年度もお調べくださるようなので、引き続きどうぞお願いをしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いては環境省の方から有明海における公共用水域水質測定結果及び有明海水環境調査結果についてご報告いただきます。では、坂川室長、お願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 それでは、資料6-1と6-2なんですが、先に6-2の方からご説明をさせていただきます。
 有明海で平成12年度にノリの不作が非常に大きな問題になりましたので、それをきっかけといたしまして、環境省におきましても有明海の水質、底質などの調査を開始いたしました。また、昨年度からは八代海も対象海域に追加したところでございますが、本日は、これらの調査結果の中から、有明海の底層環境を中心にご報告をさせていただきます。
 まず最初に、水塊構造と底層の溶存酸素に関する調査の結果です。これらについては季節ごとに実施をしておりまして、本日は夏季の調査の結果を載せておりますけれども、いずれも昨年度までは夏場1日だけの調査でございまして、貧酸素水塊の場合は毎日、毎日状況が変わるということから、今年度からは農林水産省さんと協力をして連続測定を行うということにしております。そういう意味で、底層の環境、溶存酸素については、今年度さらに詳しいことがわかると思いますので、本日はそこは説明を省略させていただきます。
 そこで、7ページをごらんいただきたいと思います。有明海の底質を測定いたしまして、中央粒径を求めております。これに関して、平成13年の冬から調査を実施してきておりまして、8ページにございますような地点で何度か底質を調査してきております。それで、Mdφという中央粒径値を計算いたしまして、その変化を示しているわけでありますが、おおむね比較的安定していると。いつ測っても大体同じような数字であるというような傾向でございます。
 そして、これらを地点ごとに平均いたしまして、地図上に落としたものが9ページの図の4ということになります。Mdφは数字が大きいほど中央粒径値が細かいという、そういう性格の数字でございますが、ここでは4を1つの目安といたしまして、4を超えるところ、超えないところがわかるような形で線を引いております。これをごらんいただきますと、中央粒径値が4を超えるようなところは、湾の奥の佐賀県の沖合い、また、諫早湾のあたり、それから、福岡県沖の筑後川の沖あたり、また、熊本県の方では、菊池川、白川の沖と、このあたりが4を超えていて、比較的粒径が細かいと、そういう底質になっているわけでございます。
 これが現状ということになりますが、これを過去と比べるとどうなのかというのが1つの関心事でございまして、10ページをお開きいただきますと、10ページの下の方に2つの図があります。左側が昭和42年の調査の結果、また、右側が昭和51年の調査の結果というものでございまして、これらはやはり同様に中央粒径値、Mdφを地図上に落としているものでございます。ただ、必ずしも数字がはっきりわからないところがございまして、4を超えているというところはわかっても、それが5なのか6なのかとか、そういう細かいところまではわかりませんので、いろいろ制約もあるわけでございますけれども、こういうような図と先ほどの9ページの図を見比べてみますと、やはり佐賀県沖でありますとか、また、諫早湾のあたり、こういったところは42年、51年もやはり4を超えているという、粒径が細かいということであったということであります。
 また、今回環境省の調査で4を超える地点がありました筑後川沖のところは、42年、51年ではそういう数字は見られていないと。また、熊本県の沖合いにつきましては、昭和42年にはかなり沖の方で4を超えるところがかなりありますけれども、51年の方は、調査地点数が余りこの辺はないということがあるかもしれませんが、4を超えている地点はなかったということでありまして、一部そういう意味で底質が細かくなっているという傾向がある可能性はあるというふうに考えております。
 それから、11ページがマクロベントスについてでございます。先ほどの底質調査地点でベントスを調べておりまして、その個体数を示した図が13ページの図の7でございます。ちょっと大きなページになっておりますけれども。ここに幾つか図が載っておりますけれども、それぞれの調査の回ごとに結果をあわらしたものでございまして、この丸の大きさが生物の数、マクロベントスの個体数をあらわしております。また、色の違いは、青が軟体動物、赤が環形動物、黄色が節足動物、白がその他ということで、大まかな分類を行っております。それと、一番右側のラインが2月または1月、いわゆる冬の調査でありまして、1つ左側、右側から2番目の列が11月、その左側が8月、そして一番左側が5月ということで並べております。これをごらんいただきますと、それぞれの調査ごとにかなり結果が違っていると、変動がかなりあるということが言えるかと思いますが、一般的な傾向といたしましては、湾の中央部のあたりで比較的その他の円が大きくなっている、つまり、個体数が多くなっているという傾向があるようでございます。
 また、これらを過去の調査と比較してみようということで、左上に少し黒い線で枠が囲まれた図がございますが、これは昭和47年に菊池先生が行った調査をもとに図にあらわしてみたものでございます。ただ、若干調査方法が異なっておりまして、一番下に注意書きで書いておりますが、この47年の調査のときには、1ミリメッシュでベントスを採取したということでございます。環境省の調査は0.5ミリメッシュということで、ちょっとメッシュの切り方が違っておりますので、その点は注意が必要かと思っております。そういうことでありますので、もし全く同じ状況でありますと、0.5ミリメッシュの環境省の調査の方が個体数が多くなるという、そういう傾向があるかと思いますが、この図を見てみますと、必ずしも環境省の調査の方が個体数が多いわけではなくて、むしろ若干減っている地点もあるようであるということから、このマクロベントスについても47年と比べると決して増えてはいなくて、どちらかというと少ないという傾向があるのではないかというふうに受けとめることができるかと思います。
 それと、次に14ページの図は、こういったベントスの中で、泥分の多い海底に生息すると言われておりますシズクガイについて、どのぐらいいたのかということで赤い丸で示しております。これをごらんいただきますと、やはり底質が細かいところ、先ほどの底質でMdφが4を超えていたような海域、そういうところで比較的シズクガイの数が多くなっていると、こういう傾向があるようでございます。
 それから、17ページがベントスの多様度指数を調べたものでございますけれども、これについてもそれぞれの調査の回ごとにかなり変動しておりますが、一般的な傾向といたしましては、少し色がついているところが多様度指数が2以下のところ、それから、緑色のアンダーラインが引いてあるところが多様度指数3以上のところでございまして、湾の奥部の方でありますとか、また、諫早湾のあたり、そういったところで多様度指数が低いという、そういう場合が多くなっております。
 このような調査を実施してきておりまして、今年度も引き続き調査を実施しております。また、八代海についても昨年度から調査を行っておりますので、その結果につきましてもまた必要に応じてご報告させていただきたいと思います。
 次に、資料6-1でございます。これは、有明海の関係県が中心となって行っております公共用水域の水質測定結果を用いまして、有明海における主な水質の経年変化を調べたものでございます。
 4ページの図をごらんいただきたいと思いますが、これが公共用水域水質測定結果の調査地点でございます。本日ここでお示ししておりますのは、図の中でオレンジ色の丸で囲ったもの、その地点について経年変化を見てみたものでございます。そして、5ページ以降に図が書いてございますけれども、こういうような形で、5ページは透明度についてでありますが、地点ごとに経年変化がどうなっているのか、それぞれの値は年間の平均でございますけれども、こういうようなやり方で回帰式をつくって傾きを求めております。  その結果が2ページの下の表でございます。基本的に1980年前後からのデータを使っております。ただ、古いころのデータがなくて、1990年前後からしかないものもありましたので、そういうものは3ページの上の表の方に分けて記しております。それで、2ページの方でございますが、ここに傾きがプラスだったのかマイナスだったのかということ、それからそのプラス、マイナスが有意水準5%で検定した場合に有意だったかどうかということがわかるようにしてありまして、ちょっと赤っぽい色がついているのがプラスで有意になったところ、青い色がついているのがマイナスで有意だったところと、こういうことでございます。
 これを見ますと、特徴的なのは、SSについては、データがあるところについてはいずれもマイナスであったということでありまして、有明海の場合SSが下がってきているということが言われておりますが、このデータからもそれが裏づけられたという形になっております。そのほか、塩分についてプラスの傾向があるようであると。それから、水温について有意だったところはプラスであったということでございます。また、DOは、これは表層のDOでございますが、プラスとマイナスのところがあり、また、CODについても、1980年前後から以降ということになりますと、プラスのところとマイナスのところとそれぞれありまして、これも場所によって違っている。T-Nについてはマイナスになっていると。T-Pについてはマイナスとプラスのところがあるというような形でございまして、SS、塩分、窒素などに関しまして、かなりはっきりした傾向が出ているようであります。
 それから、あと、21ページから季節変化を見てみるとどうかということで、5年ごとに、例えば4月なら4月の平均値を出すということで、それぞれ季節ごとの変化を見てみたものでありますけれども、それぞれの項目でなかなかはっきりした傾向が見られないわけでありますが、1つあるとすれば、表層のDOについては、これは21ページだけではなくてほかの地点も似ているんでありますが、7月、8月、9月といった夏場にちょっと低くなっておりまして、冬場に高くなっていると、そういう傾向がうかがわれます。こういうようなことはほかの海域でどうなのかということもちょっと調べてみましたところ、東京湾のようなところでは、夏場もかなり高いと。恐らく植物プランクトンの光合成の影響もあるかと思いますけれども、夏場かなり高いという海域もほかではありますが、有明海の場合はそうではなくて、むしろ夏場は低いというような傾向がうかがわれたところでございます。
 以上でご説明を終わります。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、先生方からご意見なりご質問をいただきます。どうぞ。
 よろしいですか。では、細川先生、どうぞ。

○細川委員 中身の話ではないですけれども、先ほど資料2で水産総合研究センターの方から行政特研の成果のご説明があって、例えば水質の環境でいうと浅海定線調査の解析をなさっていました。こちらの方は公共用水域の水質測定をなさっていまして、それぞれ自分たちがやった調査について自分たちで取りまとめてご報告いただいたということでは理解できるのですけれども、これ、2つを見比べてというような比較議論の場というのは今まであるんでしょうか。

○須藤委員長 それは、どうぞ、お願いします。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今までまだそこまで進んでおりませんので、これからそういったことを行っていきたいと思っております。

○須藤委員長 本来ですと1つの環境を別々の目標で測ってはいるんだけれども、それを一体としてどう環境変化があったかというのを評価しなければいけないですよね。そういうことでおっしゃっていられるわけですね。そうですよね。清野先生からもそういうお話をいただいているんですが、それはどの場でやらなければいけないかというのは、これからの議論にしなければいけないなと思っているんですが。重要なご指摘なので、これをどういうふうに、本当にいろいろな機関でやった調査の結論が違っていたかどうか、私も今十分に先ほどのと今のと、似ている部分もあるとは思うんですけれども、それを今後どうやったらいいか、細川先生、どう思われますか、それを一体にしていくためには。

○細川委員 ご質問の内容は、組とだと織や体制とか、あるいは方法についてどう考えたらいいかと言うことだと思います。いろいろなレベルのいろいろなやり方があると思います。それぞれがそれぞれの目的を持ってお調べになっているというところについては、貴重なデータだと思っています。最初のステップは、それをオープンにするということだと思います。自分が調べたところを自分で抱え込まないでみんなに見てもらうというのが最初のステップだと思います。それは、今日のご説明でかなりお互いが見せ合うというところはできたなと思っています。
 次のステップは、それぞれの研究者の方が相手の、あるいはほかの機関の研究を見て、自分たちが調べてわからなかったところがわかったとか、疑問に思っていたところが2つあわせてみたらこんなふうになったというのがわかるというようなところ、そういう場があるといいなとは思います。そういう議論の場、あるいはその議論の場でまとまったことをどこかで、学会でもいいですしこういうような委員会でもいいんですけれども、お話ししていただくと、すごく立体的ないろいろなことがわかるようになるのではないかという気がします。そのやり方は、例えば何かシンポジウムを企画するとか勉強会を企画するとか、いろいろなやり方はあるとは思います。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。私の方から逆に質問してしまって申しわけございません。細川先生の1番目の話は、お互いに公開したところはいいと思うんですが、次にどういうふうにそれを活用していくか、あるいは一体感を持たせるかというところについては、ちょっと時間をいただいて、これは事務局とも、それぞれの環境省、水産庁とちょっと相談をさせていただきながら今の仕組みを考えていかないと、あっちはこう言っています、こっちはこう言っていますで、それでいい場合もあるし一体にしなければいけない場合と両方ありますので、ちょっとそういう仕組みは別途考えさせていただくということでよろしいですか。事務局と相談させていただきますので、よろしいですね。  ほか、いかがでしょうか。では、はい、どうぞ清野先生。

○清野委員 ベントス調査の結果なんですけれども、これはマクロベントスで門レベルで整理されていますよね。元データとしてはもうちょっと細かい生物種とか優先種というデータがおありになると思うので、差し支えなかったら生物系の先生にはこの結果を出していただくと、種を見て判断できるところがあると思いますので、お願いしたいと思います。

○環境省閉鎖性海域対策室長 わかりました。

○須藤委員長 それはよろしいですね。

○環境省閉鎖性海域対策室長 今の件は早速用意させていただきます。

○須藤委員長 ほか、よろしいですか。
 それでは、多少今の件についても宿題というか、これからの進め方というところで事務局の方にお願いをしなくてはいけない点を残しておりますが、それは今後検討させていただくということにさせていただきます。
 それでは、続きまして水産庁から有明海における資源生物生産と環境に関する調査ということでご報告をいただきます。

○水産庁漁場資源課長 水産庁漁場資源課長の小松でございます。
 水産庁が独立行政法人水産総合研究センターに委託しております調査の結果につきましてご説明を申し上げたいと思います。
 調査の目的は、資料の5にも書いてございますけれども、タイラギなどの資源変動に対する海洋の環境や生態学的環境、人為的影響など、さまざまな要因を総合的に検討して、生産力に及ぼす影響を分析するということでありますけれども、過去に幾つかの調査研究がなされております。多大な量ではありませんけれども、佐賀県を中心に行われていまして、その中で若干弱いところ、欠けているところが、浮遊幼生と、それから貝が着底いたしますけれども、着底直後の研究が不足しておりますので、今回のこの調査ではそこに重点を置きました。定点はここにあるとおりでございまして、Sが佐賀県の沖、Fが福岡県の沖、Nが長崎県の沖等々でございまして、SEが西海区水研が行った部分、それからあと熊本がKMでございます。
 それで、これが8月の上と書いてありますが、上というのは8月上旬ではございませんで、8月のものが上図、上の方にあるという意味でございまして、9月が下の方にあるということでございます。これはタイラギの稚貝の分布で、個体数が50センチ×50センチの四角いところにどれだけ入っているかということを丸で示したものでございまして、有明海の真ん中からどちらかというと福岡、熊本寄りの方にあるということでございます。  次のものが今のものを合体したものでございまして、ちょっと見にくいんですけれども、8月と9月を両方入れますと、緑に注目していただければ、緑の明るい方ですが、これは9月までにこういう海域で生き残るという可能性が高いというところを示していると読み取ることができます。
 それから、これも8月(上)、上の方ですね、上の方と9月の下の方のタイラギの稚貝のサイズ別の分布域でございまして、大体同じような傾向を示しておりますけれども、佐賀の干潟、ちょっと沖合の浅瀬の部分のところが少し減っているということがわかるかと思います。
 それから、出現の個体数を見てみたものでございますけれども、8月がちょっと深緑のところでございまして、薄い緑が9月でございます。一番多かったのが3ミリメートルの52個体でございますが、大体1カ月で30ミリぐらい成長いたしますので、多分その52個体が、これだと26ミリぐらいですか、この辺に移行しているのではなかろうかというふうに考えられます。
 それから、次が8月の浮遊幼生の茶色と8月の着底稚貝、これが緑でございますが、これらの分布域を示しておりますが、ここでおわかりいただけますように、タイラギが産卵しまして初期の浮遊幼生は、諫早湾の湾口近くにたくさん出現いたしますけれども、それが着底するのは福岡の沖だとか湾奥の北の方、佐賀沖ということになっているのが読み取れます。それで、8月から9月に移行しますと、先ほど佐賀沖にあった大きな緑の丸が2つとも消滅しておりまして、残るのはどちらかというと有明海の福岡寄り、東半分ということでございます。
 それから、参考までに次のページでありますが、これは81年と82年に佐賀県がタイラギの漁場形成条件、特に付着基質に関する研究と、これは56年度の指定調査研究でありますが、佐賀県の有明水試が行っていました結果によりますと、このような分布になっております。佐賀県は竹崎と三池を結ぶ線の北でしか調査しておりませんので単純な比較はできませんけれども、どちらかというと着底稚貝が中央から佐賀寄りにあったわけでございますけれども、その点が現在とちょっと違っているところかなというふうに考えられます。
 それで、これから違った原因、何が考えられるのかということを見ていきたいと思いますが、次のページでありますが、これは底質の中央粒径値、Mdφを見てみたものでございまして、0から8までということで、赤い方が8でどちらかというときめが細か過ぎて、若干ヘドロの様相も呈するんだろうと思いますけれども、有明海の真ん中あたりの方がゼロに近くて、砂泥質になっております。佐賀県の方が泥の状態が小さ過ぎるという状態が見て取れると思います。
 次が、いろいろな要因を横軸にとりまして、縦軸にどれだけの個体が観測されたかというところを見ておりますが、中央粒径で見てみますと、ちょうど中間ぐらいのところが生残にはよい条件だと。ただし、6とか7でも若干見られないことはないということが言えると思います。この中央粒径だけではなくて、砂の含有量のパーセンテージを見てみますと、ほぼ大体同じような傾向が見られるということでございます。
 次のページですが、次は底質の硫化物、それから下の方が強熱減量、いわゆる有機化合物との量との関係で見ましたけれども、やはり底質の硫化物が少なければ少ないほど稚貝の着底には好ましいと。それから、強熱減量の方でございますが、ちょうど中間のあたりに分布のピークがございまして、やはりほどほどの栄養というんですか、バランスのとれた栄養が必要だと。あり過ぎてもだめ、なくてもだめというところが上の図との違いではないかと思います。
 ところで、ここで色をちょっと違えてみましたが、S2とS7というものがどこの地点かというところを見てみたんですが、佐賀県沖の上の方で見ていただければ、ちょっと見にくいんですが、S2がこれですね、S7がこれで、この辺がちょっと干潟が出ているところでございまして、ここでは、この図から見ておわかりいただけるのは、着底はしますと。着底はするんですが、ここは9月には死んでしまうというところでございまして、この色を違えたところは。したがいまして、その後の生残がここの地域ではうまくいかないと。これはいろいろあるでしょうけれども、1つはさっき真ん中辺で見た底質だとかにも関係するのではなかろうかというふうに考えられます。
 以上のようなことをまとめて見ますと、幼生の分布密度は、諫早湾の湾口のあたりからその沖合いにかけて高いと。成貝が分布する大牟田市沖合い周辺や干潟域ではあまり見られませんでした。それから、その他の二枚貝については今日発表しませんでしたけれども、配付したものに若干言及されていますけれども、幼生の発生はむしろもっと南の方に、諫早湾より南の方にありますが、どうもタイラギとはパターンは違っております。
 それから、8月5日と8月20日に孵化後の調査をやっておりますけれども、8月5日の方は孵化後1、2週間、それから、8月20日は孵化後約4週間と推定される幼生が多く採取されております。
 それから、4番目でございますが、稚貝の分布密度は、大牟田市沖合い周辺を中心に東側の海域が高いと。諫早湾口にいる浮遊幼生とは、分布パターンが異なったと思われます。
 それから、次に貧酸素水塊の調査でございます。先ほど西海区水研の小林所長が発表されましたので、余り詳しくは言及しませんが、ちょっと特記事項だけを見てみますと、ここの地点のT1とP6とP1の関係を見てみたいんですが、ここにありますように、貧酸素水塊が浅場で小潮のときに発生いたしますと、次に数日遅れてP6に来て、次がP1のところに来ると。したがって、発生したものがだんだん中央の方に流れてくるのではなかろうかということがわかります。あと、ここで見れば、この辺に貧酸素水塊があり、ここにも若干あるというふうにも見れなくはないんですが、数字がちょっとかけ離れているということも言えると思います。
 それから、今後貧酸素水塊の漁業被害防止対策としまして、ここに掲げている3つのことをやっていきたいと思っていますが、観測システムを開発していって、沖合いのブイ等で自動的に観察できるようにしたいと。この知見等が集積されれば、できれば、早くて次年度からはこの水塊の発生予察技術も開発できないのかなと思っております。
 それから、3番目といたしまして、何か今度は積極的な貧酸素水塊防除新技術の開発実用化、例えば海水噴射装置により酸素を送り込むということができるかどうかと、こういうこともやってみたいと思っています。
 それから、次年度におきましても、引き続きこういう定点を設けまして、水産庁も2,600万ほどお金を出しますけれども、貧酸素水塊の広域連続観測というものを行っていきたいと考えておりますし、それから、16年度のタイラギ関係の調査では、今年度は48地点の2回でございましたけれども、56点の4回、これは浮遊幼生調査でありますが、それから、着底稚貝調査につきましては54点の2回ということで、今年は1回、45点でございましたが、増やして実施したいと。
 それから、タイラギの貝の識別の精度を上げるために、モノクローナル分析法とDNA分析法、PCR等々を使って分析する方法とを組み合わせて、将来はタイラギという分類だけではなくて、もっときめ細かい、精度の高い、リシケタイラギだとかいろいろあるみたいでございますので、そういうきめの細かい分析がもっと精度が高くできるような研究にも取り組んでおるところでございます。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもご発表ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご発表に対しましてご質問、ご意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。では、はい、清野先生。

○清野委員 大変具体的な生物の生活史まで含めたスコープナルデータをいただいて、ありがとうございました。これに関して、またデータ整理の方法で、各地先で、特に潜水漁業者の方々がタイラギの成育の状況とかで見ておられる現象と、こういった貧酸素だとか底質の悪化とどういうふうに関係するのかという作業仮説をまずつくっていただいて、ヒアリングの結果だとか今まで研究所の方がおっしゃられたことから作業仮説をつくっていただいて、それに沿った整理法をしていただいて、機会があったらご報告いただければというふうに思っています。そうすると、幼生が発生するけれども着底しないとか、あと、地先ごとにどういう条件が考えられるとか、もうちょっとフォーカスが絞られてきて核心に迫りつつあるのかなという気がしますので、お願いしたいと思います。

○須藤委員長 今のご質問に対していかがですか。

○水産庁漁場資源課長 この調査の中でやるかどうかは別にしまして、これを例えば補完するもの、独立するもの、いろいろなことが考えられると思うんですね。それも今年度すぐできるかどうか、来年度に向けて、今年度はこれで一応改善の、定点調査なんかも増やしますからあれしますけれども、今の点も十分に踏まえまして、何がいい調査かという観点から実施したいと思います。

○須藤委員長 どうぞそれはよろしくお願いします。
 ほか、よろしいですか。では、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 ご説明いただいたタイラギの状況というのが分析されているときのご説明では、底質との関係で主に今ご紹介いただいたような気がいたしまして、貧酸素水塊を測られていて、それとの関係がどうなっているんだというのが非常に興味があるところなんですけれども、そういった観点での整理をしていただけるというふうに私は思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○須藤委員長 それはよろしいですね。お願いいたします。

○水産庁漁場資源課長 貧酸素水塊の方は、どちらかというと今までの先入観ではタイラギが大きくなってからと、こう思っていたんですけれども、むしろ発生初期にきいてくるのはここで示したような底質だとか硫化物だとかと思っていましたけれども、今先生のご指摘も踏まえて、分析をさらに加えたいと思います。

○須藤委員長 それでは、どうぞ十分検討していただきたいと思います。
 それでは、ありがとうございました。次に移らせていただきます。
 次は、有明海沿岸各県からの報告になります。
 まずは福岡県から、福岡県有明地先底泥中における珪藻休眠期細胞の分布と消長について報告をお願いいたします。

○福岡県 福岡県水産林務部漁政課の尾田と申します。昨年まで有明海研究所の方におりまして転勤したんですが、兼務辞令もいただいていますので、今回発表させていただきます。連携機関としては、独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所ということです。
 最初に、もうご存じだとは思いますが、ノリの色落ちというのは海水中の栄養塩ですね、主に、DINというふうに位置づけているんですけれども、これの減少または枯渇によって発生するということです。その原因として、藻類の赤潮発生に伴う栄養塩類の枯渇、主に珪藻ですね、ユーカンピア、リゾソレニア、キートセロス、あと、渦鞭毛藻、昨年、一昨年、ちょっと出ましたギムノディニウム・サングイナムという種類が主なものとして、ほかにもあるんですが、こういったものが──いずれにしてもどういう種類が出たとしても、栄養塩が低下するような藻類の赤潮であれば色落ちは発生しやすいということです。あと、今回の発表とは少し関係ないんですが、栄養塩負荷量の著しい不足、これも最近ちょっと懸念されているところですが、今回はプランクトンの関係についてお話しします。
 珪藻プランクトンの中には、休眠期細胞という種ですね、それをつくる種類とつくらない種類──ここでちょっと「未形成種」というふうに書いておるんですが、ちょっと瀬戸内水研の板倉さんの方からも指摘がありまして、これは「非形成種」の方が妥当ではないかということなので、そちらに訂正願います。ここですね。これら2種類が存在しておりまして、ノリの色落ちの対策を行う場合には、原因プランクトンの種別の生理生態を知る必要がある。というのも、研究所の方にはやはり漁業者の対応が優先されますので、例えば最近プランクトンの種類を覚えようというか、どういったものがどういう性質をもっているかというのが、その後の養殖管理を行う上で非常に興味を持っております。そういうことで、今以上にそれぞれの生理生態を知る必要があるということです。
 これまで福岡県について休眠期細胞の知見がなかったということで、今回の目的としてこういった休眠期細胞の水平分布と季節変動を調査しました。これに、先ほども言いましたけれども、赤潮発生予察の精度向上と、あと、過去の赤潮発生との関係の検討ですね。ちょっと順番がこれは逆の方がいいですね。
 説明ばかりで申しわけないんですが、休眠期細胞というのはどういうふうにしてつくられるかといいますと、これを海の中と仮定します。そうすると、これが栄養細胞、通常増殖して赤潮として認識されているものですね。生理活性があるものです。それが曇り、しけ、栄養塩不足などによって細胞の中身が萎縮するような状態になります。そして、比重が高くなって海底に沈降して泥の中にもぐってしまうと。これを休眠期細胞といいます。曇り、しけ、栄養塩不足については、室内試験から言えば光の不足が一番大きいような気がしますが、現場と室内試験というのは大きく異なる場合が多いので、その辺についてはもうちょっと検討が要るのかなという気もします。
 休眠期細胞形成種というのは、福岡県の場合には主にこういった時期に発生します。黒がスケルトネーマ・コスタタム、青がタラシオシーラ属、赤がキートセロス、あと、緑がアステリオネラという、今回の調査で出てきたのはこの4種類だったんですが、いつ赤潮が発生するかという時期ですね。
 発生件数については、スケルトネーマが一番多いと。その次がキートセロス、次がタラシオシーラ、次はアステリオネラと。ノリ漁期というのがここの10月から3月に当たります。こういったふうにノリ漁期に赤潮が発生するということで、被害件数についてもキートセロスが一番多いと。次にアステリオネラ、その次にスケルトネーマというふうな順になっています。
 発生日数についても、キートセロスが一番多くて、次にアステリオネラとなっております。休眠期細胞を形成しない種類、リゾソレニア、ユーカンピアなんかもいるんですが、それに比べると発生期間も短く、栄養塩の消費も少ないので、それに比べるとノリに対しては被害は小さいというふうになります。
 水平分布調査については、平成13年に13点で1回行っています。ちょっと時間の都合もありますので、ここは軽くして、これが水平分布調査結果となります。特に種類によってどこがどうというふうな、1回の調査なのでどこがどうかというのは言えないんですが、全体的に言えることとして、この峯の州ですね、先ほどの発表の方でも出てきました洲の上でやはり少ないといったのが特徴として認められました。
 次に、引き続き季節変動調査の結果です。これは2001年度と2002年度に13回から14回、2点から3点行っています。採泥はエクマンバージで行っています。2001年度の3定点というのはここにある3つの点で、2002年度の2定点というのはステーション2とステーション3です。ステーションの1は干出域です。ステーション2については干出しない場所、ステーション3については水深20メートルぐらいの深い場所というふうにして決めています。
 これが2001年度の結果です。スケルトネーマが最も高密度で出現して、5月から11月は沿岸域で高密度、沿岸域のステーション1、2で変動幅が大きいと。これはタラシオシーラです。2番目に高密度で、5月から8月にかけて高密度、あと、3月まで減少と。沿岸域、ステーション2で最も高密度。干出しない場所ですね。
 これがキートセロスです。この年、キートセロスの赤潮が発生しておりますので、赤潮の発生のところにもラインを入れております。5月から7月にかけて低い密度で発生しておりまして、9月から3月に高密度、沖合域で最も高密度という結果になりました。変動幅は浅海域で大きく、沖合域で小さいと。浅海域で大きいというのは、環境変動が激しいことがやはり大きな原因ではないかと思います。キートセロスについては、比較的沖合いで発生しやすいので、そういった関係から沖合いの方が多いのではないかというふうに推測しております。
 最後にアステリオネラというものです。これは、赤潮発生後に確認しています。4月から11月までほとんど認められなかったんですが、赤潮が発生してから恐らく栄養細胞が泥の中に供給されたのでこのような傾向になったものだと思います。
 2002年度についてもあるんですが、ちょっと時間の都合もありますので、資料の方で確認していただければと思います。
 あと、底泥の粒度、Mdφと休眠期細胞の密度との関係を見てみました。そうすると、t検定で5%の有意水準で有意と認められたのは、Mdφの合計だけでした。粒度が細かいほど珪藻の休眠期細胞の総数としては多くなるというふうな結果になりました。13定点で行った水平分布調査のみの結果なんですが、そういうふうな結果となりました。
 あと、季節変動調査についても、Mdφを分析して比較しました。5%有意水準で有意と認められたのはキートセロスでした。これは粒度が荒くなるほど多いという傾向が認められています。これはどういうことかというと、キートセロスについては沖合いで発生しやすいと。あと、沖合の方が粒度が粗いということから、やはりそういう関係でこういった結果となったのではないかというふうに推測しております。
 これは先ほど説明したのと同じなので割愛させていただきます。こういったふうに、ユーカンピアとリゾソレニアに比べると、休眠期細胞を形成する種類というのは、発生期間もノリに対する被害も大きいということです。
 調査結果のまとめとしては、出現種類はスケルトネーマとタラシオシーラ、あとキートセロス、アステリオネラ、最後にアステリオネラ・カリアナと書いています。これはほとんど認められていませんので、今回はちょっと出ていないですね。あとは、高密度出現順位としてはスケルトネーマ、タラシオシーラ、キートセロス。ユーカンピアとリゾソレニアの出現は未確認と。水平分布調査結果からいいますと、Mdφ値と休眠期細胞出現密度との間に有意な正の相関があった。峯の州やその周辺で出現が少ないということ。季節変動調査結果及び過去の赤潮発生状況との関係を見たところ、休眠期細胞の高密度出現期と赤潮発生時期が類似するというような、平成13年ですね、2001年度の調査結果からそういう傾向が認められております。あと、Mdφ値とキートセロスとの間に有意な負の相関が認められているということです。
 考察としましては、休眠期細胞の分布というのは峯の州で少ないと。貝類なんかは付着器で付着しますので、洲の上でよく着底して、たくさんいるんですが、この場合は峯の州で少ないという結果が出ております。キートセロスについては、粒度との間に有意な負の相関です。
 こういったことから考えますと、今回の結果から見ますと、珪藻プランクトンの種類別の生態の違いですね、それと、潮流とか海底地形ですね、そういった物理的な影響に強く支配されて水平分布が決定されているのではないかというふうに思いました。あと、着底後の粒度と生残との関係等については、今後の研究が待たれるということになります。  あと、赤潮の発生予察というふうに少し言ったんですが、それについては今回アステリオネラについて少し予察できるかなというふうなことを考えました。一度赤潮を形成すると、増殖した栄養細胞が底泥中に多量に供給されるので、それを見ると次も秋に一度発生して、冬にもこれが発生するのではないかというふうな、そういった読みもできるのではないかというふうに示唆しております。といっても、いろいろ赤潮というのは種類があって、まだ1つ1つ潰していかないとなかなか満足するようなことは得られないとは思います。
 以上で終わります。

○須藤委員長 どうもご発表ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご発表に対しましてご質問なりご意見なりをお願いいたします。
 よろしいでしょうか。では、本城先生、どうぞ。

○本城委員 発芽をMPN法で調べてありますけれども、それはすべてが休眠期細胞として供給されたというふうに考えていいのか。あるいは、上の方から落ちてきた時に、まだ栄養細胞の形で泥の上に集積している場合、浅い場合にはそれもプラスして発芽してきているとするならば、それは相当に過大評価している気がいたしますが、そこのあたりのご意見を聞かせていただきたいということです。それから、アステリオネラの予察ができそうだというようなことですけれども、今の発表だと昨年発生していた分の休眠胞子は、春から夏にかけて全くいない状態になり、また水中で発生して休眠胞子が多くなる、そういうようなことの繰り返しをしていることになると思うんですが。そうであるならば、なぜ春と夏に全くいなくなっていて、また発生して休眠胞子がたまるのか。種の供給はどのようになっているか不思議です。春から夏にかけて全くいませんでしたね、休眠胞子は。その供給はどういうふうに考えればよろしいのでしょうか。
 2点、お願いします。

○須藤委員長 はい、どうぞ。

○福岡県 アステリオネラの方からでよろしいですか。

○須藤委員長 2番目ですね。

○福岡県 アステリオネラの場合は、まだちょっと私もそれがどうしてかなというふうに考えておりまして、保存中の温度ですね、それとどういう関係があるのかなというふうなことは見ようとは思っていました。予備試験的に行ったんですけれども、なかなか試験がうまくいかなくて、アステリオネラについては温度との関係、それについてが大きいのではないかなとは今思っております。
 あと、過大評価されているのではないかということですかね、もう一つが。それについては、確かにそういう可能性もあると思います。ここで考えたのが、一応沈降した時点で休眠期細胞になっているという仮定のもとで行いました。でも、沈降したものはその時点では浮き上がらないという、そこを無視してそういうふうにやっていました。試験に用いるまでは、冷暗所で10日間以上置いておいたやつを試験に用いています。

○本城委員 コメントです。どういう時に休眠期胞子は発芽するのかというところが大事になってくるし、浅いところに沈んでいる休眠期胞子が供給されてその水域で赤潮になっているのか、深いところの胞子も同時に水の中へと供給されて赤潮への加勢をしているのか。そういう研究をされるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

○福岡県 大潮の後とかはやはり栄養細胞が比較的多いんですけれども、その時点での海水の環境が整っているかどうかというのもあると思います。赤潮まではいかないんですが、大潮の後に小潮になると栄養細胞というのは少し増えています。だから、岸だけのものではなくて、やはりかき回される面積が広いほど発生しやすいのではないかというふうには思っています。

○須藤委員長 どうぞ研究を進める中で、本城先生はご専門家ですので、ご指導いただいてください。
 はい、では清野先生。

○清野委員 私は、海底地形と生物の関係を調べていて、今回の発表、多分ものすごい大きい可能性を示唆してくださったように思います。というのは、結局、海底地形との関係で休眠細胞がたまりやすくなるとかたまらなくなるといったときに、潮位差が変わったりだとか、あと、海底を動かす物理量が変わると、洲のでき方が変わったりだとかするんですね。それが貝類の分布に反映するというようなことは、経験的に貝類の漁業者の方とかは知っていて、その現象と結構今回のは私は似ている気がするんです。ですから、稚貝を、小さい貝がそういう形で吹き寄せられるという言い方をされたりとか、あるいは潮位差がなくなると洲が消えるとか、そういう現象とこういうものが堆積しやすくなるというところが、海底面の動かされ方ということでやってみると、どのくらいどの種類のものがたまりやすくなるかというような粗々の推定ができるような気がします。ですから、この峯の州は、福岡の漁業者の方、結構細かく観察されていると思うので、いつぐらいからどういうふうな高さとか大きさとか場所が変わったかというのをかなり細かく空中写真と現地ヒアリングを対照させながら見ていただいて、それと今回の堆積のしやすさを見ていただくということ。それから、いろいろコアサンプルをとると、堆積物中に残っている場合もあるので、そういう消長も含めてやっていただくと、結構このデータはおもしろいかなという気がしました。ぜひ今後とも頑張ってください。

○福岡県 転勤してしまったんですが、まだ引き継ぎをしていないので。

○清野委員 後任者の方にお願いしてください。

○福岡県 引き継ぎを今お願いしていますので、はい。

○清野委員 多分物理系の先生からもいろいろご示唆をいただけるかと思います。

○須藤委員長 どうぞ今のコメント大事なので、後任者の方にお願いします。
 では、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 教えていただきたいんですけれども、今物理的な環境の変化、特に潮流、海底地形の影響が非常に大きいというのは非常に興味深く聞かせていただいたんですが、ちょっと教えていただきたいのが、それ以外の要件、先ほど曇りみたいな、要するに日射量、日光量等が変われば沈降したとかいうお話があったんですが、今、このご検討の中でこの測られたときの日射量とか気象要件ですね、そういったもの、あるいは水温等の変化、あるいは河川からの栄養塩の供給というのが、この実際観測されたデータの中でどの程度影響を与えているのかという切り口からの検討というのは必要ないんですか。というか、教えていただきたいんですけれども。

○福岡県 必要だとは思っております。今後やりたいと言ってしまうと、結果がどうなったかってすぐ、後任の方の都合もありますので、ちょっと言いにくいところもあるんですが、個人的なというか、長年やってきた中での意見としては、やはり光環境ですね、光で発芽するので、光で発芽するというのを確かめられたのは瀬戸内水研の板倉さんなんですけれども、やはり光環境が重要だと思っています。だから、水中の照度とかそういったのを測りたいなとは。

○滝川委員 ぜひそういったところをご検討いただきたい。というのは、潮流の影響、地形の影響、多々あるでしょうし、ほかの要因がどのぐらいの重みを持っているのかというんですか、そういったものの総合的な評価が必要になってくるのかなという気がします。

○福岡県 そうですね、物理的なこともかなり必要だと思っております。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。今、両先生から特に物理的環境についての重要性のご指摘がありましたので、担当者がおかわりになるそうですけれども、ぜひ引き続き研究をしていただくことをお願いしておきます。ありがとうございました。
 それでは、次は佐賀県からタイラギ浮遊幼生の飼育と着底について報告をお願いいたします。

○佐賀県 佐賀県有明水産振興センターの後藤と申します。
 佐賀県有明水産振興センターでは、最近激減しておりますタイラギ資源の復活に資するために、種苗生産の開発、それから、初期着底稚貝の生態の解明を進めております。昨年度幾らかの知見が得られましたので、本日はタイラギ浮遊幼生の飼育と着底ということで報告をさせていただきます。
 まず、幼生の飼育ですけれども、2003年の9月25日、水温変化を与えることによりまして得られました卵を受精させまして、嚢胚期幼生30個体ずつを1リットルのビーカー3個に分けて、これに41日目までパブロバ・ルセリ、それから42日目以降はキートセロス・グラシリスを1ccあたり0.5万細胞与えて飼育をいたしました。そのときの飼育条件といたしましては、水温28度、照度は暗条件として飼育をいたしております。それから、飼育に当たりましては、1日置きに新しい海水とえさを入れましたビーカーに、ピペットで幼生を移す形で飼育を行っております。
 着底誘起ですけれども、これはガラスシャーレに干潟の泥を塗布いたしました泥区、それから、細砂と干潟泥の混合物を塗布いたしました砂泥区、それから、何も塗布いたしておりません海水区、この3区を設けまして、これに幼生をそれぞれ収容することによって着底誘起を行っております。このときの水温が28度、照度は暗条件としております。幼生を収容した後も毎日えさを投与いたしまして、海水を1日置きに交換いたしております。
 これは幼生の成長例です。縦軸に殻長、それから横軸に飼育日数をとっております。受精1日後にD型幼生となりまして、2日目から摂餌が確認されております。その後徐々に成長いたしまして、20日目から成長のスピードが急に上がりまして、33日目で650ミクロンにこの殻長がなっております。その後は成長の停滞が見られております。こういう形は、ここで成長が停滞する形はアゲマキ、それからウミタケでも同じような形が見られております。
 これが1日目のD型幼生です。これが3日目の幼生ですけれども、えさをとって胃のところが薄茶色に透けて見えております。これが19日目、275ミクロンに成長した幼生で、殻長部がこういうふうに膨らんでいます。これが22日目、415ミクロンの幼生で、タイラギ特有の三角形の形をしております。これが浮遊器官であります面盤を上から見たところです。これが33日目、650ミクロンに成長した幼生です。軟体部が大きく膨らんで、外套膜、それから閉殻筋がはっきりとしてきております。これが46日目の幼生で、足が形成されて、こういうふうに足を出した形で泳いでおります。
 33日目から成長が停滞しましたことから、34日目に先ほど説明いたしました3つの区で着底の誘起の試験をしております。34日目にそれぞれのビーカーに5個体ずつ幼生を収容いたしまして、8日間観察をいたしましたけれども、いずれも稚貝に変態する個体は見られませんで、すべて斃死をいたしております。それから、先ほど説明いたしましたように、えさをパブロバからキートセロスに変えて4日目、このときに足を出す幼生が3個体見られましたので、それぞれ1個体ずつ泥区、砂泥区、海水区に収容いたしましたところ、2日目までにすべて着底稚貝へと変わりました。それから、50日目に、46日目の試験で生き残った個体が見られ、着底後生残して成長が見られたのが砂泥区だけでしたので、この砂泥区に17個体を収容して、2週間、14日間観察をいたしましたら、このうちの7個体が稚貝へと変わりました。
 全部で10個体の着底稚貝を得ることができましたので、それを取り出して幼殻、この長さですけれども、これを測定いたしましたところ、最大で695ミクロン、一番小さいもので570ミクロンでした。平均で642ミクロンの幼殻のサイズでした。それで、成熟幼生から着底稚貝に移るときの幼殻の大きさは、大体600ミクロンから700ミクロンの間にあるものと思われました。
 これは着底直後の幼生の写真です。前背縁部を下にして砂の中に潜砂しております。これは90分後の着底稚貝ですけれども、幼殻の周りに新生殻の形成が見られております。これは、着底6時間後の稚貝です。この着底6時間後に既に足糸を出しまして、砂粒を絡みつけているのが見られております。これは着底して1日後の稚貝です。前背縁部で接合いたしまして、後背縁側の方に新生殻を伸ばしてきております。エラもかなり大きくなってきております。このときの大きさが1,250ミクロンで、新生殻の倍の大きさに成長しております。このことから、着底した後、タイラギは急激に成長するものと思われます。これも同じく着底1日後の潜砂した稚貝を上から見た写真ですけれども、外套膜で出水孔、入水孔を形成して、既に海水の出し入れをしておりました。これが4ミリの着底稚貝を取り出した写真です。
 先ほどお見せした写真は砂泥区に着底した幼生の写真でしたけれども、これは泥区に着底した稚貝です。泥区に着底した稚貝も足糸をこのように出すんですけれども、これを固定する基質がないためか、泥の上を匍匐移動いたしまして、最後はこのように衰弱して斃死をいたしております。
 以上の知見をまとめますと、まず、浮遊幼生ですけれども、D型幼生は殻長90ミクロン、最大殻長が700ミクロンぐらいまで成長いたします。着底サイズは、殻長が大体600から700ミクロンぐらいだと考えられました。
 それから、着底稚貝の特徴ですけれども、新生殻の成長方向は後背縁側に伸長して成長いたしました。それで、着底後は非常に早い成長速度を示しまして、着底してすぐ足糸を出して砂粒を絡みつけて固着をいたしております。それから、外套膜を使いまして、着底後すぐに成貝と同じように呼吸をしているのが確認されました。また、着底サイズの600ミクロンに達した30日、これについては、着底の刺激を与えましたけれどもすぐには稚貝になっておりませんで、最初に稚貝になったのが47日目になっております。このことから、着底サイズ600ミクロンに達した後も、幾らかの期間が必要ではないか。それから、餌料をパブロバからキートセロス・グラシリスに変更して、そのあと、足を出した幼生の形が変わっておりますので、成熟幼生が着底するには、何らかの餌料の条件も利いているのではないかということが考えられました。
 それから、着底基質ですけれども、46日目の試験ですべての試験区で稚貝になっておりますことから、最初の着底基質については、基質の選択性はないものと考えられました。
 それから、生息場の基質ですけれども、これは泥区、それから海水区では稚貝になった後しばらくして斃死をしましたことから、それが生残、成長していくためには、砂粒等足糸を絡めるものが必要ではないかということが考えられております。
 以上の結果から、先ほど水産庁さんの方から浮遊幼生、それから着底初期稚貝の分布の説明がありましたけれども、それと今回の結果をあわせて考察することにより、タイラギの適正場所の解析ができるのではないかと考えております。
 それから、佐賀県の西部海域では、底質の細粒化によりまして漁場が喪失しておりますけれども、そういうところで漁場造成を行う上で今回得られました知見が多いに役に立つのではないかと期待をしております。
 以上でございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。では、清野先生、どうぞ。

○清野委員 かなり写真を見せていただいて具体的なイメージがわいてきて、大変おもしろくうかがいました。それで、着底稚貝は水管を伸ばしたりせずに外套膜に2つ穴があいている状態で、かなり長い期間いないと生育できないということでよろしいですか。結局、水管があったりとか、自分でどのくらいあのサイズの生物がポンプ的にベンチレーションできるかって結構重要な問題なんですけれども。

○佐賀県 タイラギの場合、成貝も全く同じような形で呼吸をやっておりまして、先ほど申しましたように、着底1日後で全く同じ形式で呼吸をしております。だから、途中の観察はしておりませんけれども、そのまま成貝まで同じような形で呼吸運動をするものと考えております。

○清野委員 生物が呼吸をするときに、流体の関係でいうと、レイノルズ数ということでいうと、小さい生物が非常に弱い力で水を回していくときに、そこに細粒分が多かったり、あるいは泥質化すると、相当呼吸が苦しくなるはずなんですよね。だから、それをこれだけある程度技術開発されたので、今後は例えばビデオとかで泥分があるときとないときとか、あるいは、例えば粒径の違いで見ながら、差異を見ながら、どういうふうに稚貝が呼吸しているかとかいうのを映像にしていただくと、多分流体の先生とか、レイノルズ数の違いによって生物の現象が違ってくるので、ぴんとくるような現象がわかってくるような気がしました。

○佐賀県 わかりました。うちの方、最初基質のみで、泥がいけないということで考えていたんですが、今度呼吸のそういう視点も入れまして、観点も入れまして検討してみたいと思います。ありがとうございました。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、細川先生、どうぞ。

○細川委員 640ミクロンで着底しますよね。そのぐらいの大きさの幼生の沈降速度を測ってみたことはありますか。ビーカーの中にぽんと入れて何秒で下まで落っこちるかというような速さですね。

○佐賀県 ちょっと私が直接やっていないので、ちょうど今日、一緒にやった伊藤委員が来ておりますが。

○細川委員 先ほどの物理環境との関係で、波で泥が揺れたときに泥流や貝がどこまで頑張れるかというようなところでは、沈降速度というのはいいパラメータになりそうな気がします。どういうふうに測定するのがよいかというのがよくわかりませんけれども、そういうものが測れたらいい情報になるかもしれません。

○佐賀県 わかりました。今回は測ってはおりませんので、今度そういう観点も入れて検討させていただきます。

○須藤委員長 続けてどうぞ研究いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 それでは、次は長崎県から諫早湾におけるタイラギ移植試験及びシャットネラ赤潮予察調査事業について報告をお願いいたします。

○長崎県 長崎県総合水産試験場の山本です。
 本日は、うちの試験場で諫早湾で行っておりますタイラギ移植試験結果についてご報告いたします。
 なお、この調査は国の行政対応特別研究の委託を受けて実施しております。
 まず、本調査の目的ですけれども、後ほどご説明しますけれども、諫早湾はかつてはタイラギの好漁場でした。それが急激に激減いたしまして、平成5年以降休漁状態が続いております。これらは、底質環境の悪化とか有害赤潮の頻発、こういった漁場環境の変化に起因するものではないかということで、タイラギの生産阻害の要因の解明ということで行いました。
 まず、諫早湾におけるかつてのタイラギ漁場、漁業について簡単にご説明します。諫早湾では、かつては潜水器漁業と貝桁網漁業、このような漁業が営まれておりまして、湾口部では主に潜水器、湾奥部の方では貝桁の漁場がありました。
 これが長崎県のタイラギの漁獲量の推移ですけれども、漁場は主に諫早湾です。年変動が大きいんですけれども、多いときには5,000トンを超えるような漁獲量が上がっております。しかし、91年ころから急激に減少しまして、93年ごろからほとんど漁がなくて、潜水器も休漁状態が続いております。
 こういった中で、これがかつてのタイラギの主漁場なんですけれども、そのタイラギがいなくなった原因が、1つは、海底が細粒化して泥質になってしまったということが一因ではないかという考えから、こういったところに覆砂漁場を形成いたしました。そうしますと、今まで泥質のところには稚貝が出現しなかったんですけれども、こういった覆砂したところには多かれ少なかれ当歳貝が立つようになりました。しかし、翌年の4月から9月にかけて減耗してなくなるという状況が続いております。これは99年級群と2000年級群を示したものですけれども、両年ともに夏場になくなっております。
 このタイラギの減耗の原因の1つとして貧酸素が最も疑われましたので、2001年に関しましては貧酸素の連続観測と、あと、タイラギの分布量の変化についても検討してみました。この図が貧酸素の連続観測結果ですけれども、一応40%より下を貧酸素状態ということでここでは定義いたします。この年は6月下旬から徐々に酸素量が減少しまして、7月上旬から8月中旬まで連続して貧酸素状態となりました。分布状況なんですけれども、ちょっとでこぼこがあるんですけれども、8月下旬ぐらいまではそう変化がないような感じだったんですけれども、9月初めになるといなくなったという現象が見られました。これが貧酸素に遅れていなくなったものですから、食害の影響の可能性も考えられました。そういうことから、2002年、2003年と移植試験を実施しております。
 調査方法ですけれども、まず、沖合域と浅海の覆砂域にタイラギを移植して生残状況を調べる調査と、あと、この対照として干潟域に生息しているタイラギの生息状況調査、それと、自記式水質計を用いた漁場環境のモニタリング調査を実施しております。
 まず、タイラギの移植試験の方法ですけれども、この沖合いにほとんど稚貝が見られませんでしたが、幸いにこの干潟域には稚貝の分布が見られましたので、こういったものを利用して行いました。2002年と2003年は一歳貝、2002年には二歳貝も使って行っております。これが干潟における分布状況ですけれども、この場合は大体平方メートル当たり100個前後いるような状況です。試験期間は6月から9月です。そして、移植場所は、沖合域がステーション1、2、こういったところは大体海底は砂泥質で、水深5、6メートル。あと、浅海覆砂域についてはステーション3ですね。ここら辺は水深が大体0.3メートルで、年間で一番潮の引く日に干出する程度の深さです。この3点で同時に連続観測機器を使いまして水温、DO、塩分等を測っております。
 先ほどのステーション3の覆砂域ですけれども、これにつきましては、食害を防護するために周りを網で囲っております。これが移植方法ですけれども、一応移植するとき、食害の防護区と非防護区を設けています。非防護区は何もせずにただタイラギを海底に植えつけただけですね。あと、防護区としては、棒区、かご区、カップかご区という3区を設けました。棒区は、こういったふうに植えつけたところに25センチ間隔ぐらいで塩ビパイプを立てて防護する方法。あと、かご区はこういったかごを全面にかぶせて保護する方法。カップかご区は、こういったカップに砂を入れてこの中にタイラギを1匹ずつ入れていって、かごにいれて海底に設置する方法です。こういった方法をとっております。
 これは干潟域、主にアサリ漁場なんですけれども、タイラギ生息状況調査の方法です。干潟域でタイラギが多く分布するところということで、湾口部と湾奥部に1カ所ずつ設けまして、各1カ所にこういった形で50センチ四方に棒を立てまして、こういったものを5カ所ずつ設けまして、この中の生息状況について観察いたしました。なお、2003年につきましては、沖合いに若干生息が見られていましたので、そういったものを干潟にも移植しております。
 それでは、結果に入ります。これはステーション1、先ほどの図の中のステーション1を代表として示しておりますけれども、赤が非防護区、青の四角が棒区、三角の緑がかご区、ひし形の茶色がカップかご区です。
 まず、2002年ですけれども、まず、非防護区は、移植直後急激な減耗を示しまして、大体1週間ぐらいでほとんどいなくなるような状況です。2回ともそういった状況でした。
 続きまして棒区ですけれども、非防護区ほどではないんですが、やはり急激に減耗するという状況が見られております。ここら辺につきましては、後ほど詳しく説明しますけれども、食害による減耗ではないかと考えられます。
 一方、かご区とかカップかご区ですね、ここら辺も幾らかの減耗は見られるんですけれども、やや緩やかです。しかし、こういった感じで一時期急激に減耗する時期が見られております。この時期は後で説明しますけれども、貧酸素が発生している時期です。
 2003年ですけれども、また同じようになんですけれども、非防護区とカップかご区ではやはり急激な減耗が見られておりますけれども、2002年に比べたらその減耗は緩やかで、1カ月後でもまだかなり生き残っているという状況でした。あと、カップかご区とかご区につきましては同じ状況なんですけれども、やはり昨年とはちょっとずれまして、8月中旬ぐらいから9月上旬にかけて急激に減耗しております。この時期はやはり貧酸素が発生している時期でした。
 これは、今のかご区とカップかご区を示したものです。これが2002年、2003年の溶存酸素の連続観測結果です。赤が2002年、青が2003年です。2002年につきましては、何回か貧酸素が確認されたんですけれども、特に7月の下旬から8月の上旬にかけて強い連続した貧酸素が発生しております。2003年につきましては、ここら辺でも若干見られているんですけれども、特に8月下旬から9月上旬にかけて連続した貧酸素が確認されております。
 この時期をこの図に一緒に重ね合わせてみますと、こういった形で貧酸素の発生時期に急激に減耗しておりまして、貧酸素と連動した斃死ということで見て取れるかと思います。ただし、こういった形で貧酸素が発生する以前にも、このような形で減耗が見られております。当然この斃死には貧酸素だけでは十分に説明ができません。あと、高水温とかタイラギの産卵とかいう、そういった生理活性、そういったものも関連しているとは思うんですけれども、ちょっと今のところはっきりしておりません。
 これが食害についてですけれども、一応今食害種と考えているのはナルトビエイ、イシガニ、テングニシですね。この3種です。ナルトビエイにつきましては、実際に食べているというところを現認はしておりませんけれども、潜水調査で摂食痕とか海底に窪みが見られるという状況も観察されていますし、あと、ここに委員として出席されている長崎大学の山口先生の胃内容物の報告なんかでも、ナルトビエイが食べているという報告がございますので、食害種としては間違いないと考えております。あと、イシガニとテングニシにつきましては、現場で潜水で蝟集しているのを確認しております。また、こういった形でばらばらになった貝殻が散在しておりまして、こういったものはこういったカニ類による食害の跡だと考えております。
 それで、先ほどの図で見ましたように、非防護区の急激な減耗ですね、こういったものは多分このナルトビエイによる食害ではないかと考えております。あと、棒区とか非防護区の少し緩やかな減耗、こういったものについてはイシガニとかテングニシとか、こういったものの食害ではないかと考えております。
 あと、先ほども言いましたけれども、2002年と2003年で食害の程度がかなり異なっておりました。それはやはり、漁師さんたちからの聞き取りによりますと、こういった食害種が2003年は前年に比べてかなり少なかったということなので、こういった食害というのは、食害生物の分布量によってかなり大きく変動するのではないかと考えております。
 それで、今沖合域の話をしたんですけれども、タイラギの減耗要因を少し整理いたしますと、原因としては食害と環境という2つがあり、6、7月は主に食害、7、8から9月前半は環境による斃死という、こういった両方の要因が複合して、諫早湾では今のところタイラギが回復できないという原因になっているのではないかと考えております。
 一方、覆砂漁場ですけれども、これが2002年、2003年ですけれども、若干の減耗は見られますけれども、先ほど見ました沖合域のような減耗は見られておりません。大体8割方は生き残っているという状況です。この海域につきましても、貧酸素は発生しております。これが2003年の状況ですけれども、こういった形でやはり同じ時期に貧酸素が発生しております。しかし、沖合いと違うのは、こういった形で日間の変動が非常に大きいということで、そこら辺が特徴的です。貧酸素の時期を重ねてみますと、若干減耗は見られますけれども、そう沖合いのように大きく影響していないように思われます。
 これがアサリ漁場における分布量の推移ですけれども、これが2001年から2002年度の状況です。こっちが2003年ですけれども、こういった形で若干の減耗は見られますけれども、大きな減耗は見られておりません。こういった形で、これは沖から移植したやつですけれども、移植直後に若干の減耗は見られますけれども、その後ほとんど減耗が見られていないという状況です。やはり干潟域でも貧酸素は発生しております。これ、先ほどの覆砂漁場の分ですけれども、干潟域でもこのような形で同じような発生をしております。この時期を重ね合わせますと、やはり大きな減耗はありません。
 以上、取りまとめますと、タイラギの減耗要因としては、沖合域では貧酸素水塊の発生と連動した斃死が確認できました。ということで、貧酸素が1つの漁場環境面での減耗要因ではないかと考えられます。しかし、先ほど説明しましたように、貧酸素だけでは説明できないという状況があります。そういったことで、今後貧酸素に連動した斃死機構の解明とか、あと、貧酸素発生時のその他の水質変化の把握、こういった課題が残っております。あと、カニやナルトビエイなどによる食害がタイラギの減耗要因の1つとして確認されたということです。あと、こういった調査を通じまして、覆砂域は稚貝が出現するが、泥質では出現しないということがわかっております。
 あと、説明を忘れましたけれども、この干潟域につきましても、浅海覆砂域のような形で全面を食害防護網で囲っております。こういった形で食害を防護した干潟とか浅海域では、減耗は非常に少ないということがわかっております。
 ということで、今後の課題として、こういった課題を含めて貧酸素の発生原因を解明して、漁場環境の改善方策の検討、あと、こういった干潟域は減耗が少ないということなので、こういったところへの移植によるタイラギ資源の増殖の検討とか、こういうのが課題として残っております。
 先ほど水産庁の方から報告がありましたように、諫早湾の湾口域というのは、タイラギの幼生が非常に多く分布しております。ああいったものをうまく天然採苗にする方法があれば、こういった形のものも可能ではないかなと考えております。
 以上です。

○須藤委員長 どうもご発表ありがとうございました。
 それでは、山口先生、何かありますか、今食害の話も大分したんですが。何かコメントをいただけますか。

○山口委員 コメントですか。

○須藤委員長 コメントで結構ですよ。質問があれば質問でも結構ですよ。

○山口委員 長崎県の方でされていたタイラギの生残率の推移というグラフが幾つかあったんですけれども長崎県では全体の死亡に対しての食害による死亡がどのぐらいかというのは推定されているんですか。

○長崎県 今のところまだしていません。一応ああいった形で時期的な推定はやっているんですけれども、どこからどこまでが食害によるものなのか、環境要因によるものかというのをはっきり区分できない状況なので、そこら辺はまだ今後の課題になるかと思います。

○山口委員 あと、ナルトビエイとほかにイシガニとかテングニシとかというのが出ているんですけれども、それの影響の大きさというのはそれぞれどのぐらいかというのはわかるんですか。

○長崎県 申しわけございません、そこら辺も本当は調べなければならない課題なんですけれども、まだ検討しておりません。

○山口委員 ありがとうございます。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。今ご質問があったんですけれども、それはその次の継続調査の中で可能であれば調べてください。

○長崎県 わかりました。どうもありがとうございます。

○須藤委員長 どうぞ、清野先生。

○清野委員 長崎県さんの調査の中で、底質の粒度分析はされていますか。例えばシルト粘土分ということでデータは出ますか。

○長崎県 若干ですけれども、細かくはやっていないんですけれども、ステーション、ステーションではやっています。先ほど見せましたステーション1ですね、やはりステーション1が泥分は一番多い感じですね。

○清野委員 そうしましたら、今後長崎県さんだけではなくてほかのところも含めて、中央粒径だけではなくて粘土シルト分というのも同時に示していただくと、かなり底質環境とか先ほどから課題になっているものの動かされやすさというのがわかってくると思うんです。
 それと、潜水漁業を諫早湾でされていた方のヒアリングの中で、タイラギが生息していた場所が昔は海底にディップルマークという、でこぼこの砂連があったんだけれども、それがなくなっていったというお話を伺ったことがあるんですね。現在もやはり海底の状況というのは、昔は要するに砂が動かされてできる地形があったんだけれども、それがなくなっていったというのが続いているんでしょうか。ヒアリングか何かされたことはありませんか。

○長崎県 湾口部付近、全点40点ぐらい、毎年1回潜水調査を行っているんですけれども、今のところ泥分のところがほとんどなんですよ。今日、お話ししたこのステーション1とか2というのは、稀な地点ですね。どっちかというと砂が多くて稀な地点ということで、ほとんどが泥分、そういった波打った状況というのはないと思います。

○清野委員 多分もともとの潜水漁場が、諫早湾の干潟がちょっと海底にスロープになっていく干潟の前部と言われるところで、かなり砂がさらさらして水通しもいいような場所だったと思うんですね。ほかの漁場でもそういうところというのはタイラギも住みやすいような、水通しがいいんですが、一方で砂利採取とかそういうときにも非常にいい材料があるので、諫早の堤防をつくられるときもそこからとっていらっしゃいますけれども、そういうわけで、人間として利用しやすい砂とタイラギが住みやすいものというのは完全に合致してしまうんですね。ですから、今後特に潜水漁業をされていた方に変化がいつごろからどうあったかということを、海底地形の目印を皆さん持っていらしたので、そのあたりも含めて聞いていただけるといろいろなことがわかるかと思います。

○長崎県 わかりました。どうもありがとうございました。

○須藤委員長 今のは、どうぞ継続してやってください。それから、ほかの県の方も、今の清野先生のコメントを反映させて、調べられるところは調べてください。
 それでは、滝川先生、どうぞ。

○滝川委員 すみません、1点だけ教えていただきたいんですけれども、DOを測られているのは何のDOを測られているんですか。要するに、海水なのか底泥中の間隔水なのか。

○長崎県 海水です。海底から得た。

○滝川委員 ということは、干潟域のDOの変化というのはどういう意味でしょうか。

○長崎県 年間のうちに干出するのは、冬場の一番水温の低い時期だけなんですよ。

○滝川委員 干潟域とおっしゃっているのは、ふだん干潟域になるのではなくて、秋の大潮とか、そういう非常に大きいときに干出する干潟という、そういう意味ですか。
○長崎県 干潟域とは、一般にいう干潟域で、DOを測定した海域が、年間のうちに干出するのが冬場の一番水温の低い時期だけの場所です。

○須藤委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。少し時間が遅れておりますけれども、ここで10分間休憩をとらせていただきます。10分間お休みください。

〔暫時休憩〕

○須藤委員長 それでは、再開させていただきます。
 長崎県の方に、先ほどタイラギの移植試験についてはご説明いただいたんですが、もう一つテーマがございまして、シャットネラ赤潮予察調査事業でございます。これの報告をお願いいたします。

○長崎県 長崎県総合水産試験場の平野と申します。
 今までのご報告の中で、ノリの漁期に当たります秋から冬にかけての珪藻赤潮の問題というのが非常にクローズアップされて、今幾つかご報告もあったと思うんですけれども、実は夏場にも赤潮が出ておりまして、それで、有害な特に毒性の強いプランクトンの赤潮も出ておりまして、それの赤潮予察調査事業というのを県単独でやりまして、その5カ年間の結果についてのご報告をさせていただきます。
 実はこの事業というのが、平成11年から、1999年から昨年までの5ヵ年やっておるんですけれども、それ以前に、これはちょっと地図が切れているところがありますけれども、長崎県の橘湾というところの小浜地区や南串山地区、また、ここの口之津町というところがあります。こういったところでシャットネラ・アンティーカによりますブリの大量斃死が起こりまして、ひどいときには数億円の被害を出しまして、何とかこういう有明海や橘湾で赤潮の発生の予察ができないかということになりまして事業を始めました。それで、今日の報告は有明海・八代海というようなことですので、そのうちの有明海の分についてのみを報告させていただきたいと思います。
 調査定点は、ここに表しておりますように、諫早湾の中に3カ所、島原沖の有明海の中央部に3カ所、有明海の湾口部に3カ所というようなことで、長崎県ですので、有明海の中でも長崎県側の海域で調査を行っております。調査項目は、このシャットネラ・アンティーカというのが夏だけに出ますので、夏場に4回、水温、塩分等につきましては、この9点すべてで、鉛直的には4層で測定しておりますし、栄養塩やクロロフィルにつきましては、それぞれ代表点として43、39、35というようなところの4層につきまして測定しております。また、有害種のプランクトンの査定につきましては、この9カ所すべてにつきまして3層でカウントしております。
 それで、平成15年度、昨年度のシャットネラ・アンティーカの遊泳細胞の出現状況をお示ししますけれども、6月23日、7月7日の段階では、有明海の私どもの定点では見られておりませんが、7月22日に9定点中の1カ所から出現しておりまして、その後、ちょっと離れてはいるんですけれども、9月4日には赤潮化しました。
 それで、これがGISで表したものなんですけれども、7月22日に遊泳細胞が見られた点というのがここの諫早湾の湾口部になるんですけれども、ここの地点で2.33cells/mLが見られました。それで、その後9月4日には赤潮化しておりまして、この地点での細胞数というのが102cells/mL、島原沖での細胞数というのが420cells/mLというようなことで、9月2日から9月16日で赤潮化しておりまして、このときの最高細胞値というのが7,000cells/mLなんですけれども、実はシャットネラだけではありませんで、スケレトネーマ・コスタツムやクリプト藻との混合赤潮として発生しております。なお、この赤潮は、ほぼ時期を同じくしまして、この佐賀県側、熊本県側もほぼ同じような規模で発生しております。
 それで、5カ年間の調査の実施状況なんですけれども、夏場に4回ということで、それぞれ6月から9月の間に、こういった黒丸をつけた時期にそれぞれ観測をしているんですけれども、このうち、赤潮化しましたのが平成11年、12年、昨年の15年というような時期でございまして、それで、もうまとめになるんですけれども、これまでの5カ年間でシャットネラ赤潮が出現したのは、先ほど表であらわしたように平成11、12、15年の計3回でありました。今のところこの5カ年間のデータについて、3回分の考察を行ったんですけれども、シャットネラ赤潮の予察につながる環境との因果関係というのはつかめておりません。また、これにつきましては、先ほども言いましたように、赤潮化するというのが私どもの長崎県だけの海域ではなくて、佐賀県さんや熊本県さんがほぼ同時並行的に赤潮化する中で、私どもの定点というのが長崎県側に限ったというようなことも一因ではあるかと思っております。
 それで、今後、今年度からになるんですけれども、ほぼ同じ定点で、今後は予察ということではなくて、モニタリングを中心にこの事業を継続していくことを考えております。
 以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 何かご質問なりご意見なりございますか。
 よろしいですか。では、どうぞ、本城先生。

○本城委員 これでは予察はむずかしいでしょう。予察をしようとすれば、佐賀県や熊本県と一緒にやっていったらいいのではないかというように言われたと思いますが、私はまさしくそうだと思います。ですから、ここで解釈された部分はほんの一部ですから、やはりほかの県とも話をされるとよいと思います。予算区分が違うんですか。

○長崎県 これはですね、県単独の調査事業です。

○本城委員 県単ですか。ほかも県単ですかね。

○長崎県 ほかの県は同じような形でやっているかどうか分かりません。

○本城委員 やはり一体化して仲良くまとめていく必要があると思いますね。そうしないと、長崎県だけで限られた定点で予察をしていくのはとても無理だと僕は思います。

○長崎県 今後相談していきたいとは思います。

○須藤委員長 そうですね。それから、事務局の方もそういうような意味での示唆というか、関係機関との連絡のときにそれはお願いいたします。
 では、ありがとうございました。
 それでは、県のご説明の最後になると思いますが、熊本県からアサリの資源管理に関する研究のご報告をお願いいたします。

○熊本県 熊本県水産研究センターの平山です。
 私どもの方からは、アサリに関する発表ということで、資源管理に関する研究と銘打っておりますけれども、中身につきましては、最近熊本県の海域、干潟域でアサリがとれるようになったと。そんな中で、どうも地先の漁業者が単年度でとり尽くしで終わっているおそれが多いということで、これはまず各浜に、皆さん方にご説明して理解していただいて、資源を永続的に利用するということをやっていく必要があるなということで、お手元に配付しております資料は、私どもの担当者が各浜にまいりまして、アサリの資源管理のお話をするときに使っている資料です。今からお見せいたしますものは、その中から抜粋しております。ですから、大分はしょられた部分がございますけれども、報告させていただきます。
 今出ておりますのが平成15年の緑川河口域のアサリの漁獲風景です。ここは干出域でございまして、アサリの取り方として腰巻き鋤簾という漁具を使いますので、こういう潮があるうちに沖に出てアサリを採捕すると。潮が完全に干上がった状態のころには、人によってはもう水揚げのために帰る、あるいは、次のさらに深いところの漁場に向かうというとり方をいたしております。
 熊本県のアサリの漁場というのが、大きく有明海におきましては4つに分かれまして、1番奥部の荒尾の地先、それと1級河川であります菊池川河口域の漁場、それと、熊本市の河口域になります白川の漁場、それと緑川河口域の漁場と4つに大別されますけれども、その中で過去の漁獲を支えてきた一番大きな漁場というのが緑川河口域になります。ですから私どもの研究の中心というのは緑川河口域で実施してきたと。
 これが熊本県のアサリの漁獲量の推移でございますけれども、昭和52年ですか、6万5,000トンの漁獲というのが過去の最大の漁獲でございます。これは、どちらかといえば瞬間的にこの漁獲に達しただけでございまして、私どもとしてこの漁獲を目指して資源管理を推進しているということではございません。もっと安定的にとられるような、どちらかといえば2万トン前後で推移できればいいのではないかという思いでございます。
 平成7、8年ぐらいになりますと、有明海の漁場は、ほとんどアサリがいないという状況でございました。それが、平成10年ごろになりまして少しずつアサリの資源が見えてきたと。ただ、残念ながらやはり単年度とり尽くし型の漁業に陥っておりまして、なおかつ、私どもの方で毎年定期的な調査を実施しておりますと、資源状態が少しずついい方向に向かいつつあると。平成15年、これは推定値でございますけれども、聞き取りの推定になりますけれども、8,300トン程度の漁獲があったのではないかと。このまま毎年とり尽くしの漁業をやってはいけないということで、各浜にご説明にお伺いしたところです。
 私どもが中心になりまして、緑川河口域の約80点ほど、一斉調査と銘打ちまして、年に2回、大体6月と9月にアサリの資源状態を調査いたしております。一番資源状態の悪かった平成7年というのは、どの定点におきましてもゼロと。これは平方メートル当たりのアサリの個数になります。大体25㎝コードラートの2回どりで1ミリ目でふるいますので、殻長の2ミリ程度のアサリからすべて検出いたします。それで、平成7年当時ですとゼロと。ほとんどゼロと。最も多いところで544個/㎡ですか。それが平成14年の6月に調査いたしますと、3けた、4けたというアサリの検出ができております。最も多いところは、9,544個/㎡というように、非常にアサリの検出が多くなったと。それがそのまま無事漁獲加入して、去年のこういう風景になったということでございます。
 では、なぜ増えたんだということを考える中で、各漁業者の方から積極的に実施した増殖施策、あるいは、行政としてお手伝いをしたハード的な施策、それと、生物側、アサリ自体の幼生の発生状況というのが少し変わってきたようだという部分がわかってまいりました。
 これはアサリの浮遊幼生調査の経年的な変化になります。先ほどお話しておりました平成7、8年というのは、幼生の発生がほとんど見れませんでした。それが平成9年ぐらいから少しずつアサリの幼生の発生というものが見えてまいるようになりました。皆さん方もご存知かと思いますけれども、アサリの幼生の発生というのは、中心となる春の発生、それと秋の発生という2つのピークを持っておるようです。もちろんその間ゼロになるというわけではないんですけれども、最も大きな資源加入というのは春と秋に起こっていると。調査で見えてきた当初というのは、比較的春の発生のピーク数量が多かったんですけれども、アサリの漁獲加入が見られるようになってきた近年というのは、この赤い矢印で示しました秋の発生というのが少し目立ってきたのかなと。どうも今の漁獲資源というのは、秋加入の幼生を漁獲されているのではなかろうかということで、幼生の発生というのが春中心だった資源加入が、どうも秋の加入が成功しているようだということがわかりました。
 では、このままアサリをとって次の年はどうなるんだというお話をするときに、これが去年のアサリの分布状況ですけれども、平成15年に8,000トンの漁獲を支えた資源の加入というのが、平成15年の6月の調査ではどうも危なそうだと。多いところでも3,000個/㎡程度。その前年に比べますとかなり低くなってしまうと。ですから、今いる資源をとってしまいますと、また同じことの繰り返しですよというお話を現地に持ってまいりました。これが9月になります。9月になりますと、当然ながら成長と生残の中で、やはり平成14年と比べてこういう赤で示したような1,000個/㎡を超えるようなところというのが見えないと。ということは、今いるアサリをとってしまうともう次の世代はいないということで、各浜々に資源管理の必要性というものをお話に行ったわけです。
 そのときに使った資料というのがこれでして、第2回目、9月にやる一斉調査の結果というのが次の年のアサリの漁獲とどうも関係がありそうだと。9月の調査時点でアサリがいっぱい残っていると、そのまま漁獲加入にいきそうだと。それをとりあえず、相関係数の問題ももちろんございますし、ポイント数も少ないんですけれども、えいやでやってみますと、平成16年度の漁獲というのは1,000トンに満たないのかなというお話ができまして、皆さん方に今のままとってしまうと来年度は1,000トンいかないよと、どうやって税金払うんですかというお話をいたしております。
 これは昭和53年の最も漁獲のよかったときのアサリ漁場の風景です。船いっぱい入っているのは、別にこれは砂でも何でもなくてアサリです。こういうとり方をしていると、安定的にアサリ資源を利用することなんかできませんよと。もっと管理を徹底しましょうと。
 現在熊本県のアサリのとり方というのが、大体殻幅で制限されておりまして、12ミリをとっていると。12ミリというのは殻長で28ミリ程度、28ミリから30ミリということで、ちょっと小さいのではないですかと。もっと大きくしてもっと産卵加入させてとりましょうということで、まずは目標として1ミリ上げましょうと。もう一段、15ミリまで頑張ってみませんかと。それと、各浜々でばらばらな1ネットの数量というのをちゃんと統一して、熊本県のアサリというのはどこからとっても1ネット当たり決まった量が入っていますよという規格統一をしましょうと。それと、もちろん休漁日も設定して、とりっ放しはやめましょうと。それと、やはり母貝がいないところにアサリは立たないでしょうと。保護区というのを設定しましょうと。
 では、なぜ12ミリから15ミリかというときに使うのがこの資料でして、これは緑川河口域の月ごとのアサリの殻長のモードを落としたものです。12ミリのアサリをとり尽して終わっていたというのを15ミリまですると、産卵数が倍になるではないですかと。なおかつ、12ミリでの産卵とその後の秋の産卵まで確保できると。数も増えるし回数も増えるということで、管理を進めましょうというお話を今進めているところです。
 本年もアサリの管理を進めるための有明海、あるいは八代海まで含めた漁業者を中心にした協議会をつくりまして、みんなで取り決めて管理を進めましょうというお話を今進めているところです。
 以上です。

○須藤委員長 どうもご発表ありがとうございました。
 それでは、ご質問なりご意見なり、お願いいたします。清野先生、どうぞ。

○清野委員 多分膨大なデータの一部なんだと思うんですけれども、アサリの肥満度とかGSIみたいな、生物的にいつぐらいにどういう成熟の状況にあるとかいうような情報をお持ちでしたら教えていただきたいと思うんですが。

○熊本県 今ということでしょうか。

○清野委員 いえ、後で結構ですけれども。かなりこういう形で漁業者の方に協力していただけると未来があるのかなと思いますので、大変おもしろく伺いました。

○須藤委員長 今のデータ等については、後ほどまた事務局の方に提出してください。また次回の資料にも入れさせていただきます。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、大分時間も押し迫ってまいりましたが、2番目の議題に入ります。
 これまでの検討の成果、今後の課題等の整理についてということでございます。本日の報告をもちまして、これまでに国及び関係県が行ってきた調査研究等の報告はおおむね終了したわけでございます。さまざまな調査等が行われていることが改めて明らかになったと思われます。これらを踏まえて今後の作業を進めていくことになるわけでございますが、そこで、次の議題に進むということでございまして2番目の議題を用意させていただきました。
 前回の評価委員会でこれまでの検討の成果、今後の課題等の整理について、私の方から岡田先生に作業への着手をお願いしたところでございまして、何かたたき台をつくってくださいということをお願いいたしました。岡田先生からは、まだ作業中というふうに伺っておりますが、現在の状況について報告をいただいた上で、先生方から改めてまたご意見を伺いたいと考えております。
 では、岡田先生、どうぞお願いいたします。

○岡田委員 広島大学の岡田でございます。
 前回、須藤委員長から大役を仰せつかりまして、その後いろいろな形でデータを収集すべく努力をしてまいりました。まず、この仕事というのが非常にたくさんの要素が関連し、改めて非常に難しい問題であるということを再認識させていただきました。見方によればデータは多過ぎるというふうに見ることもできますが、見方によれば必要なデータはないというふうにもとれますので、今まで得られた情報をいかにマッピングするか、整理するかということを試みました。
 その作業の最初に、まず、有明海と八代海の現在の問題は何なのかと。逆に言いますと、前回の委員会の最後で森下委員からご注意いただいたのは覚えておるんですが、あるべき姿、すなわち、目標なるものとの差がすなわち問題ですから、それを正しく理解する必要があるというふうに考えました。例えば、ノリの不作の問題、それから、今日もたくさん出てまいりました貝類の漁獲量の長期的な減少、それから、赤潮による養殖被害というようなものもございます。さらに、それだけではなくて水環境ということを見ていきますと、赤潮の増加とか貧酸素水塊の発生というような問題がたくさん挙げられております。その中でも、私自身としては生物なるものが最も重要だろうと思っていますが、ただ単にその生物も先ほど申し上げましたノリ、貝類だけではなくて、当然ベントスみたいなもの、それから、絶滅危惧種のようなさまざまな生物の種という問題も考えなければいけないということになるかと思います。
 そういたしますと、まずその問題認識というのが、今ぱらぱらと申し上げただけで10個ぐらいになりまして、もちろんそれが相互に関連していて、必ずしも独立でない事象もあるかもしれませんが、まず、その問題をきちっと定義することが必要だろうと思って、そういう作業を進めております。
 それから、その問題が認識されたとしたら、今度は原因として、さまざまな研究機関、先生方から指摘されていることを整理しようかというふうに考えております。ただ、問題と原因の因果関係がきちっと定量的に証明されている場合と、さまざまなデータに基づいて多分そうではないかといっていることはやはり分けて考えないと。多くの方がこう言っているからそうだというのはサイエンスになり得ませんので、きちっとそれを証明できているかどうかという判断も必要だと思います。
 今度は、原因があるといったとしても、その原因が非常に小さな要因だったら大勢に影響はないわけで、その原因の定量化みたいなものもきちっとやっていかなければいけないというふうに考えました。ただ、そこで問題は、同じ貧酸素水塊といっても、有明海一様ではないと。アサリがとれる、とれないという話も、県によってというか、海域、地域によって全部違うので、そうすると、問題の認識の仕方も、アサリといったときに、熊本と佐賀と全部違うように考えていくとなると、地域となると×10で、例えば5ですと50というふうな形になりますので、どうやって整理しようかということは若干今悩んでおります。
 そういうことを踏まえまして、1つの原因が出てきたとしても、その原因が起こったそのもとは何かというふうに当然戻っていかなければいけないと。例えば貧酸素水塊の原因として潮流が変わった。潮流が変わったのは外洋の潮汐の影響で、それから、場合によっては干拓も影響があるかもしれないというふうに、順番にその因果関係がつながっていきます。その因果関係も基本的には定量的にやらないと、ただ何となく関係があるというだけですとなかなか難しいだろうということで。何となく言いわけばかり言っているみたいで恐縮ですが、逆に言いますとそういう問題点を認識・整理しつつございます。
 例えば、アサリというようなものを1つの例として、実は清野先生にはかなりご協力というか、ご指導いただきながらやっているんですが、整理してみました。そうすると、まだ全部まとまっておりませんが、アサリが減少した原因として、例えば干潟が減っているという言い方をする向きもあります。ただ、アサリの減少量に比べれば干潟の減少割合は極めて少ないから大したことではないなというふうに。これは平均でして、部分的には違うかもしれません。平均としてはそういう言い方もできるかもしれません。ただ、それも1個ずつ検証する必要があります。これは今は面積ですが、しかしながら今度は干潟の質、例えば干潟の砂の質が変わったとすれば、面積として存在してもこれはまた別の問題が起きるというふうに、できる限り1個1個の状況をきちっと整理していこうと。底質の細粒化というようなこともございますが、例えば干潟の質の問題ですね、干潟もしくは海の底の細粒化ということも、先ほどMdφでやっている場合のデータと、それからシルト粘土含有量でやっている場合、それによってまた評価の仕方も違うというようなことも考えながらやらなければいけないということで、実はそういうことをやりますと、やはりまた作業が大変時間がかかるだろうというふうに思っております。
 そういうことでやっておりますが、今日いろいろご発表を聞いていますと、かなりいろいろなデータがまたさらに追加されてきているということを非常に感じました。そういう意味では、今日お聞きしたようなデータもさらに追加しながら整理していくということを進めまして、次回の委員会では議論をさせていくためのたたき台になる資料というものがお約束になっておりますので、準備できるように努力をさせていただきたいと思います。
 以上が簡単ですが現在の検討状況でございます。

○須藤委員長 どうも岡田先生ありがとうございました。非常に難題なことをお願いしたんですが、しかし、そろそろそこら辺を始めなければいけませんので、今のようなところでぜひ進めていただきたいと思いますが、こういうことについて比較的全体的なことのとらえ方にお詳しい福岡先生、どうでしょう、何かこれにコメント、これでよろしいか、あるいはもう少し何か考え方があるかというようなことがあれば、どうぞおっしゃってください。

○福岡委員 福岡です。
 今お話を聞いていて、岡田先生の言われた方向でお願いしたいというのがまず1点目です。付け加えることがあるとすれば今日のお話を聞いて、環境省や農林水産省が今日出された資料を1回まとめてみて、何が言えて何が足りないのか、私は足りない部分があると思いますが、──今日議論が出た中の、本城先生、清野先生等が言われた相互の関連生が足りないではないかとか、何が一番本当は知りたいのに、そういうことを考えてやっているのかとか等について、具体的に整理し、つなげてみることが必要ではないかと思います。もちろん場所が違ったり時間が違ったり測定方法が違ったりというのはいろいろありますが、こういう点はつながるんだけれどもここが非常に足りない等、こういった点をもっと考えれば相当、説得力のある回答が出てくると感じました。
 それからもう一つは、今の岡田先生のお話は、海域の話が中心になっておりました。今日は農林水産省から農業とのかかわりで重要な負荷対策の提案がありました。このような対策を長期的に位置づけて、今後の有明海のあるべき姿のためにどのように実行すべきなのかをしっかり位置づけ、やっていただければいいと思いました。よろしくお願いします。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。
 では、荒牧先生いかがでございましょう。荒牧先生はこういう全体的なことを掌握するのにお慣れになっていて、今のお2人の先生に賛成でしたらそれでよろしいんですが、もしつけ加えていただくことがございましたら。

○荒牧委員 特につけ加えることはありません。先ほど岡田先生が言われたことと今福岡先生が言われたことで十分尽きていると思います。私たち、現場にいて、それから小委員会で出てきた貴重なさまざまな資料がありますね。それをどう活かすかということもぜひ先生方にお考えいただいて、過去の視点というのは必ずしも統一的にやられたわけではなくて、それぞれの機関や先生方が独自の視点でつくられたものがいっぱいあって、それはずっと昔のやつから現代に至るところまであります。それをどうまとめるかというのは、私たちは作業としてやっておりません。すなわち、評価の中にこの議論に対して有効であると思うかどうかということを視点にしましたので、必ずしも統合的というか総合的であるデータであるかどうかというふうには判断しませんでしたので、あのデータも総合化の中に活かしていただいて、その議論につけ加えていただければいいと思います。
 我々がやったことの中で漏らしたものというのは、多分、今日発表されたようなそれぞれの研究機関がおやりになったこと、公的な機関がおやりになったことを我々は漏らしておりますので、今日、発表を聞いてそういう全体を総合化する役割が、もし例えば小委員会の中で今年の役割の中にもしあるのであれば、この前はちょっと違う視点でやりましたので、せっかく小委員の先生方もおられますので、岡田先生や皆さんたちが出された視点をもう一回皆さんにフィードバックをかけて、その上でこれまでの視点、新しい資料をどう見るかということもそれぞれの委員の先生方にお聞きしてみたいと、そういうふうに思いますので、次回の先生方のまとめをもう一度小委員会にフィードバックさせていただいて、その全体の資料を見直すという作業をやってみたらいいのではないかというふうに考えています。

○須藤委員長 どうも荒牧先生、ありがとうございました。荒牧先生には小委員会の委員長をお願いして、さらに本年度も追加的に進めていただくことになっておりますので、今先生がおっしゃったようなプロセスで、岡田先生の方でそれを中心に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、ほかにどうぞ、ここは多分ご意見はあろうかと思いますけれども、あと1、2伺っておきます。多分今の岡田先生、それから福岡先生、荒牧先生のご意見におおむね賛成してくださるんでしょうし、まだ岡田先生に、口頭ではおっしゃっていたけれども、枠組みを出していただいていませんので、次回それを中心に審議するということになると思います。よろしいですか。
 それでは、大変今私が勝手に指名してしまいましたが、岡田先生のご意見に対してお2人の先生から貴重なコメントをいただきました。さまざまな問題が複雑に絡み合っているこの問題について、課題を整理しろということは大変簡単なことではないことを承知した上でお願いをしたわけでございます。今後作業を進めていくに当たりましては、各委員の皆様方にそれぞれの専門分野に関してお手伝いをいただくということに当然なると思いますので、事務局を通してご協力をお願いすると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、委員の皆様のお手元に「三番瀬の変遷」という冊子が配られているかと思いますが、これは今後の課題を整理するに当たりまして大変参考になると私も考えておりましたので、本冊子の編集にかかわった清野先生から簡単にご説明を、あるいはご紹介をいただけますでしょうか。お願いします。

○清野委員 お時間をいただきまして恐縮です。日本の沿岸再生の計画で、県のレベルでやってみたものなんですけれども、それをご参考までに配らせていただきました。それは、この有明海・八代海に関しても、どういう形で再生の目標を立てたり、それを図にしたり表にしたりしたらいいかという中で、何らかの先行事例としてご参考になればということでお渡しさせていただきました。
 実は、三番瀬のような小さいエリアでも、やはり行政をまたがったり、それから分野をまたがったりで、なかなかどういうふうに多分野の情報を集約するかが見えませんでした。それで、まず地先のレベルで、今県の中にあるとか周辺にある、あるいは関連した委員会で検討した結果の代表的な図面だとか表を入れた冊子をつくらせていただきました。今後、漁業のことでいろいろヒアリングの話もありましたけれども、そこの地域、地域の特性がわからないと、どうしても大まかな処方を出したときに、それをどういうふうに受けて現実に反映させていただけるかというのが、なかなか私たちは不安なものですから、ちょっと自治体の方とかもいらっしゃると思いますけれども、地先のデータをまとめるときのやり方の1つとして見ていただいて、また、こうしたらどうかとか有明海・八代海ではこうできるのではないかということがありましたら教えていただけたらというふうに思います。
 以上です。

○須藤委員長 どうも先生、ありがとうございました。今後の我々の整理の段階で十分に参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 本来ですと、これについてもご質問をいただくはずになっておりますが、それはちょっと時間が参っておりますので省略をさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の最後の議題、その他でございますが、事務局からどうぞ。

○環境省閉鎖性海域対策室長 次回の評価委員会の日程のご連絡をしたいと思います。
 既に委員の先生方の日程調整をさせていただいておりまして、6月23日ということでご連絡をさし上げております。6月23日は午後に開催をいたします。本日は午前、午後と行いましたが、次回は午後ということで考えております。また、詳しい時間、それから場所等につきましては、後日ご連絡をさし上げますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 事務局からは以上です。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 全体を通して、ここで何かどうしてもという方がいらっしゃれば承りますが、よろしいですか。
 時間が参っておりますので、次は6月23日にやらせていただくということで、岡田先生には次回は少し資料を出していただいて、それを中心に議論させていただくということになろうかと思います。
 今日は長時間、午前、午後にわたりまして第9回有明海・八代海総合調査評価委員会を開かせていただきましたが、これをもって閉会とさせていただきます。議事進行に、5分ぐらい超過いたしましたが、ご協力をいただきましたことをお礼申し上げます。どうもお疲れさまでございました。

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