有明海・八代海等総合調査評価委員会について

1.経緯・法的根拠等

 平成12年度の有明海のノリ不作を契機として、国民的資産である有明海及び八代海を豊かな海として再生させることを目的とした「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律」が議員立法により制定され、平成14年11月に施行された。その後、平成23年8月には「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」(以下「特別措置法」という。)として改正施行され、有明海及び八代海に隣接する海域として、橘湾及び熊本県天草市牛深町周辺の海面が改正特別措置法に基づく対象海域に追加された。
 特別措置法では、環境省に「有明海・八代海等総合調査評価委員会」(以下「評価委員会」という。)を置くこととされている(特別措置法第24条)。評価委員会では、これまで、次のとおり、報告書を2回取りまとめ、主務大臣等に提出している。
  ・平成18年12月「有明海・八代海総合調査評価委員会報告書」
  ・平成29年3月「有明海・八代海等総合調査評価委員会報告」
   (以下「平成28年度委員会報告」という。)
 平成28年度委員会報告では、再生に向けた取組の当面の目標時期は概ね10年後(令和8年度)としていたが、平成30年3月の委員会において、平成28年度委員会報告から概ね5年(令和3年度)を目途に、再生方策や調査・研究開発の実施状況及びその成果等について中間取りまとめを行うこととした。これを踏まえ、委員会を7回開催し、令和4年3月31日に中間取りまとめとして取りまとめた。中間取りまとめでは、関係省庁等による再生方策等の実施状況等を整理しており、新たな課題として近年の豪雨の増加や、気温・水温の上昇など気候変動の影響等が示唆された。

 

2.委員会の所掌事務

 特別措置法において委員会は、
(1)国及び関係県が行う総合的な調査の結果に基づいて有明海及び八代海等の再生に係る評価を行うこと、
(2)この評価を行うことに関し、主務大臣等に意見を述べること、
を所掌事務としている(特別措置法第25条第1項)。

 また、上記(1)、(2)を遂行するために必要があると認める場合、関係行政機関の長に対して資料の提出、意見の表明、説明等必要な協力を求めることができる(特別措置法第25条第2項)。

 併せて、委員会は、毎年、その所掌事務の遂行の状況を分かりやすい形で公表するものとするとされている(特別措置法第25条第3項)。

 なお、上記(1)の「国及び関係県が行う総合的な調査」の内容として、次の一~九が規定されている(特別措置法第18条第1項)。
一 干潟と有明海及び八代海等の海域の環境との関係に関する調査
二 潮流、潮汐等と有明海及び八代海等の海域の環境との関係に関する調査
三 有明海及び八代海等の海域に流入する水の汚濁負荷量と当該海域の環境との関係に関する調査
四 有明海及び八代海等の海域に流入する河川の流況と当該海域の環境との関係に関する調査
五 有明海及び八代海等の海域に流入する河川の流域における森林と当該海域の環境との関係に関する調査
六 土砂の採取と有明海及び八代海等の海域の環境との関係に関する調査
七 有明海及び八代海等における赤潮、貧酸素水塊等の発生機構に関する調査
八 有明海及び八代海等の海域の環境と当該海域における水産資源との関係に関する調査
九 一~八のほか、有明海及び八代海等の海域の環境並びに当該海域における水産資源に関する調査

※ 「有明海及び八代海等」とは、特別措置法第2条第1~3項に規定する海面
 (指定地域図 [PDF 313KB]の海面部分)

3.構成等

(1)委員は、「環境の保全及び改善又は水産資源の回復等に関し十分な知識と経験を有する者」のうちから、環境大臣が、主務大臣と協議の上で任命することとされている(特別措置法第26条)。

(2)委員会は、委員20人以内で組織することとされている(「有明海・八代海等総合調査評価委員会令」(以下「委員会令」という。)第1条第1項)。

(3)委員の任期は2年で、再任を妨げないこととされている(委員会令第4条)。

(4)委員会は、必要に応じて臨時委員、専門委員を置くことができるとされている(委員会令第1条第2~3項)。

(参考)参照条文 [PDF 99KB]