第24回環境省独立行政法人評価委員会 国立環境研究所部会会議録

日時

平成23年3月11日(金)10:00~11:46

場所

第5合同庁舎22階 環境省第1会議室

議題

(1)
第3期中期計画について
(2)
不要財産の譲渡収入による国庫納付について
(3)
その他

配付資料

資料1 独立行政法人国立環境研究所の達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)
資料2 独立行政法人国立環境研究所の第3期中期目標と現行中期目標との対比表
資料3 独立行政法人国立環境研究所の中期目標を達成するための計画(中期計画)(案)
資料4 独立行政法人国立環境研究所の第3期中期計画案を現行中期計画との対比表
資料5 政独委・WG(2/21)メモ
資料6 不要財産の譲渡収入による国庫納付の認可について
資料7 環境省 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)

出席者

委員 磯部 力委員、沖 陽子委員、小池勲夫委員、
佐和隆光委員、高月 紘委員、髙木勇三委員、
西間三馨委員、三橋規宏委員
環境省 大臣官房 加藤審議官
総合環境政策局 白石総政局長
長坂環境研究技術室長
国立環境研究所 大垣理事長
安岡理事
鏑木理事
齊藤企画部長
笠井総務部長
環境保健部 戸田環境リスク評価室長

議事

【長坂環境研究技術室長】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会第24回国立環境研究所部会を開催させていただきます。
 本日、委員10名のうち、8名の先生からご出席ということを承ってございまして、ただいま佐和委員が少し遅れてございますが、7名ご出席ということで、環境省独立行政法人評価委員会令第6条第1項の規定によりまして、定足数を満たしておりますことをご報告申し上げます。
 また、本日の会議は公開で開催させていただいておりますことを申し添えます。
 それでは、まず配付資料の確認をさせていただきたいと思います。失礼して、座って確認させていただきます。
 まず、議事次第がございまして、その次に、縦の右上に資料1と書いてある資料、それから、横長の資料2、そして、また縦の資料になりまして資料の3、次にまた横長の資料で資料の4、そして1枚紙で資料の5、そして資料の6、最後に席上、カラーで配付してございますが、横長の資料の7、以上でございます。不足ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
 次に、本日、ご出席の委員の方々のご紹介をさせていただきたいと思います。右手のほうからご紹介させていただきます。
 磯部委員でございます。
 沖委員でございます。
 小池委員でございます。
 高月部会長でございます。
 高木委員でございます。
 西間委員でございます。
 三橋委員でございます。
 続きまして、国立環境研究所の出席者をご紹介させていただきます。
 齊藤企画部長でございます。
 鏑木理事でございます。
 安岡理事でございます。
 大垣理事長でございます。
 引き続きまして、環境省の出席者をご紹介させていただきます。
 白石総政局長でございます。
 加藤審議官でございます。
 それから、環境保健部より、戸田リスク評価室長です。
 最後になりますが、私、今、司会をしております環境研究技術室長の長坂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、部会長のほうにお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【高月部会長】 それでは改めまして、おはようございます。
 今日は取りまとめの委員会ということで、早速審議に入らせていただきたいと思いますが、最初の議題が、前回の部会に引き続きまして、ご検討いただくことになります第3期の中期計画についてですけれども、実は1月27日にこの国環研の部会におきまして、西間委員より国環研のコアセンターとして実施している、いわゆるエコチル調査についてと部会において質問をいただきたいとのご要望がございました。本日は、エコチル調査を担当しておられます環境保健部の戸田環境リスク評価室長にお越しいただいておりますので、まず、このエコチル調査について、戸田室長よりご説明いただきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。

【戸田環境リスク評価室長】 環境保健部環境リスク評価室長の戸田でございます。本日は、このようなご説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。実は本日、エコチル調査の関係で重要な会議がございまして、国立環境研究所のコアセンターの佐藤センター長始め、主要メンバーはそちらのほうに行っておられますので、私がかわってご説明をさせていただく次第でございます。失礼でございますが、着席でご説明させていただきます。
 それでは、資料は資料7という、最後にございますカラーのパワーポイント資料でございます。これに沿いまして、10分ほどでエコチル調査の概要につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
 資料7、1枚おめくりいただきまして、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)とは」というふうに書いてございます。概要はここに書いてあるとおりでございまして、調査方法・規模のところにございますが、全国で10万組の親子を対象とした出生コーホート調査ということであります。調査目的として、子どもの健康に与える環境要因を解明すると。それに当たって、中心仮説として「胎児期から小児期にかけての化学物質暴露が、子どもの健康に大きな影響を与えているのではないか?」という、この中心仮説を検証するための出生コーホート調査ということで、調査期間として平成23年1月、本年1月より3年間で参加者募集をし、13年間追跡調査を行うということで、予算としまして、本年度、当初予算として31億円、来年度の、これはすみません、要求と書いてございますけれども、来年度予算案に計上されている額として46億円ということでございます。
 次のページ、これは申すまでもないことでございますが、その調査の趣旨といいますか目的ということで、子どもの脆弱性を考慮に入れたリスク評価・リスク管理が必要であると。「子どもは小さな大人ではない」ということを書いてございます。
 4ページでございますが、子どもたちの健康異常ということで、現在、指摘されております幾つかの例のうち、二つほど書いてございますけれども、先天奇形、例えばダウン症でありますとか、二分脊椎症、こういったものが増加傾向にあると。もちろんダウン症というのは染色体異常でございますので、直接の原因はそうなんですけれども、染色体異常が起こりやすくなっているというのは何か原因があるのではないかと。もちろんこれもまた高齢出産ということが大きな要因であるということで、これもその論をまたないわけでございますけれども、ほかに環境要因というものがあるのではないかということであります。免疫系疾患(小児ぜん息)の増加ということにつきましても、環境は、特に一般環境のほうはよくなってきているのに、ぜん息は増加をしてきているということであります。そのほか、例えば神経発達の問題でありますとか、そういったものにつきましても、さまざまな健康異常が増えているというふうなデータがございます。
 5ページに行きまして、これにはもちろんたくさんの要因があるということで、環境要因のほかに遺伝要因、社会要因、また、生活習慣要因というものがあるということであります。こういった要因が絡み合って、例えば身体発育、先天奇形、性分化の異常、精神発達障害、免疫系の異常、代謝・内分泌系の異常と、こういったアウトカム・エンドポイントとしてあらわれているということであります。このエコチル調査の中心仮説としては、一番上の環境要因がどういうふうに影響を与えているかということを解明する調査でございますので、下の紫で書いてある遺伝要因、社会要因、生活習慣要因、これは一応、交絡要因ということでとらえるということでありますけれども、このデータを使って、例えば社会要因のほうをさらに詳しく調べるというような使い方も可能であろうというふうに考えております。
 6ページに、このエコチル調査に至る経緯につきまして書いてございます。平成18年のところを見ていただきますと、「小児の環境保健に関する懇談会」というのがございました。これは現在、コアセンターのセンター長をしていただいております東北大学の佐藤洋先生が座長としておまとめいただいたものでありまして、この平成18年の懇談会におきまして、これまで例えば平成9年の先進8カ国環境大臣会合において「マイアミ宣言」というものが採択されました。こういった動き、また、各国における小児環境保健の取り組みなどをレビューしまして、さまざまな重点プロジェクト研究の推進というものが提言されました。幾つかご紹介しますと、例えば小児の環境中の化学物質等に関するばく露評価のためのデータ整備でありますとか、または小児の感受性に着目した環境中の化学物質等の健康影響評価手法の開発というふうなことも掲げられたものであります。これまで環境省の、例えば環境基準を設定するに当たりましても、例えば鉛の環境基準というのは、これは神経発達をエンドポイントとした数値が環境基準になっているということでございますし、また、ダイオキシンの環境基準におきましては、マウシング行動といいますか、土壌の摂取量は小児のほうが多いというふうなことで、そういった個別の問題ごとには、小児の健康という点は環境基準の設定等に考慮に入れてきたわけでございますけれども、その体系的な調査研究が必要であるというふうなことが提言されたわけでございます。その中の一つとして、小児を取り巻く環境と健康の関連性に関する疫学調査の推進というものが重点プロジェクト研究のテーマとして提言をされたということでございます。これを受けまして、平成19年に疫学調査を開始しようではないかということで、検討会を設置しまして、以来、パイロット調査を行うなど、その検討を重ねてきたということで、平成21年に今年度の予算要求を行ったということでエコチル調査開始の予算要求、平成22年度ということで一番下に書いてございます。この予算要求を行うときに、どういう形で要求を行おうかと。環境省の直轄の事業として、例えば毎年入札にかけてというふうなことも考えられなくはなかったわけですけれども、やはりこういった長期の調査研究というのは、しっかりとした科学的バックグラウンドのある機関に担っていただく必要があろうということで、これはこれまでさまざまな疫学研究を実施していただいております国立環境研究所に一貫してやっていただくというふうなやり方がいいんじゃないかということで、さらに長期的な調査研究ということで、中期計画の期間中は、ある程度フレキシブルに、例えば調査対象者の募集において、ある年度のリクルート数が少なかったら、その分の不用額を返還しなきゃいけないと、そういう硬直的な予算運用でなくて、少なくとも中期計画の期間中はその予算をプールして使うことができるような、そういう運営交付金ということで予算要求をさせていただいたということでございます。その辺の調査体制については、ちょっと後ほどのスライドでそのご説明をしたいと思います。
 その内容でございます。次の、ページ数は書いてございませんが、6ページの次、7ページでありますが、調査研究の内容ということで、実際の内容を矢印表で書いております。まず、10万人の参加登録、10万人の妊婦を3年間で集めるということで、妊娠初期の段階でインフォームドコンセントをまずいただくということであります。妊娠初期・妊娠中期の段階で、質問票調査、これはそれぞれ行います。妊婦血液、尿の採取ということも行うと。環境試料の採取ということで、これは一部の方、結構、環境試料の採取というのは、そのお家に出かけていって掃除機を担いでハウスダストをとらせていただくというようなことですので、これはなかなか10万組すべてということになると膨大な予算がかかりますので、この辺は詳細な調査でということで行いたいということであります。出産時には出生児の健康状態を確認し、その臍帯血、へその緒の血を採取し、また、母親・父親の血液等々、こういった生体試料を採取するということであります。ここから緑の矢印が、どちらかというと暴露データということでありまして、暴露の状況が、これで化学物質を測定することによってわかると。赤い矢印、これはアウトカムのデータということで、どういった健康異常が生じているかということがわかると。厳密には質問票調査で食事について聞きますので、そちらから、赤いところから暴露に行くこともあるんですけども、ちょっとこれは単純な図にするために緑と赤で分けておりますけれども、こういう形で暴露とアウトカムの相関を見るというのが趣旨でございます。
 8ページに行っていただきまして、調査対象者のリクルートの仕方ですけれども、3年間に10万人ということでありまして、日本全国から幅広く集めると。都市部・農村部に偏るということではなくて、幅広く集めると。これは、やはりさまざまなバックグラウンドを持つ地域でデータを集めることによって、その解析のパワーが増すということでありまして、15カ所のユニットセンターでリクルートしていただくということであります。4.でポピュレーションベースということが書いてあります。調査地区内のほぼすべての妊婦にご参加いただくということを、まずは理想とするということであります。そうはいっても、これまでの経験の中で、すべてが参加することは無理でありますので、カバー率50%以上を目標とするということで、バイアスがかからないようなリクルートの仕方を心がけるということであります。具体的にどうするかといいますと、ある地域を限りまして、その地域における分娩数の70%以上を押さえるように協力医療機関を選定しまして、その声をかけた方々の70%以上のご参加を目標とするということであります。
 ちょっと時間が押してきましたので、9ページの質問票の主な内容というのを飛ばしまして、10ページに行きます。このエコチル調査、三つのレイヤーからなっておりまして、その全体調査、10万人を対象に実施する調査。詳細調査、先ほど申し上げました家に出かけていって掃除機でダストを吸うといったような、こういう詳細なものについては、例えば5,000人とか1万人とか、そういった方々をピックアップして行うと。さらに追加調査ということで、後ほど出てきますけれども、各ユニット、例えば北海道であれば北海道大学といった各大学の独自の予算で行っていただく調査ということで、例えば先ほど申し上げました環境要因ということであれば、環境省の全体調査で行うわけですけれども、さらに遺伝要因について突き詰めていきたいというふうなことがあれば、それは追加調査としてやっていただくというようなことであります。大学独自の予算、または厚労科研費とか、さまざまなソースで実施していただくということであります。
 11ページが調査研究の実施体制ということでありまして、これは予算の流れも大体並行しております。環境省からコアセンターに、「から」といいますかコアセンター、国立環境研究所の運営交付金として45億円ほどということで、今年度については30億円ですけれども、ここからメディカルサポートセンターとして、医学的なサポートを行っていただくセンターとして国立成育医療研究センターにご協力いただくと。ユニットセンターのほうに、これは委託という形で現場での調査研究を行っていただくということで、ユニットセンターから例えば協力医療機関、地域の産院でありますとか公立の病院と、さまざまな医療機関がありますけれども、こういったところにご協力をいただくということで、実施をしておるということであります。本日、このユニットセンター長を集めた会議をやっておりまして、その関係でコアセンターの方々は出払っておりまして、私もこのご説明が終わったら駆けつけようというふうに考えております。
 以上が概略の説明でございます。12ページ、13ページ、14ページは詳細なデータですので、この辺は割愛をさせていただきます。
 15ページに科学的成果ということで、直接的成果として、子どもの健康に与える環境要因を解明すると同時に、間接的な成果として、さまざまな子どもの健康研究の共通基盤を提供すると。また、その生体試料バンクとしての機能を提供するというようなことがあるかというふうに考えております。
 16ページに、最近の進捗が書いてありますけれども、その主な進捗を17ページ以降に書いております。エコチル調査参加者の募集登録開始ということで、本年の1月24日以降に、その準備の整った医療機関から登録を開始しているということであります。
 また、最後、18ページにございますけれども、国際的な連携ということが必要でございます。米国でも10万人規模の出生コーホート調査を推進中ということがございます。また、北欧におきましては、既に10万人規模のコーホートを立ち上げて運用している国がノルウェー、デンマークとありますけど、さまざまあると。こういった国際連携を図っていくということで、先月、その国際会議を開催したというふうなことでご紹介をしております。
 ちょっと時間を超過してしまいましたけれども、私の説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【高月部会長】 戸田室長、ありがとうございました。せっかくの機会ですので、何かご質問等がございましたら、西間先生、はい。

【西間委員】 西間です。この話のきっかけになったのでお話をしたいと思いますけれども、この11ページの表にありますように、国立環境研究所がコアセンターになるということですから、国立環境研究所の責任というのは非常に重たいものがあると思います。これで13年後もしくは15年後にこの結果が出たときに、当然、大きな評価の対象になります。これだけの大きなお金を使っていますから国立環境研究所自体の業績として我々、(もちろん我々はいませんけども、)チェックする立場になるときに、コーホート調査というのは日本で最も遅れていた分野の一つですから、非常に期待が大きく、しっかり見るということがあります。したがって、幾つかの大きな危惧があるわけで、その危惧については、やはりきちんと最初に把握しておいて、国環研としてはしっかりやっていただきたいということで言ったわけです。まとめますと、一つは10万人というグループの10万組というものをリクルートする作業の大変さがありますから、これが遅滞したときにどのようにそれを促進するシステムを作っているのか、てこ入れをどうするかということとか、それから、実際そこでノミネートされた対象のフォローアップ。これは特に日本は転居が激しいですから、ずっと追いかけるのが非常に難しいんですね。したがいまして、その困難性を克服するためには、専従の人をかなりつけて追っかけていかないとだめであろうと。そして、その対象家族の生活をサポートしていくぐらいのものでないと難しいのではないかということです。それから、かなり貴重なサンプルがとれるわけでありますけれども、それは当然、あちこちの研究者が欲しがるということがありますから、それをどういう公平、厳格な審査のもとにやっていくのかと。その審査のことと、さらに、こういう疫学調査で大事なのは、途中で介入試験をやることができるわけです。何かの環境負荷をかけるということができるんだけど、そういうインターベンションをやるプロジェクトを申し込まれたときに、どれだけそれを公平性・透明性をもって、このプロジェクトの中に乗せるかということとか。そして、必ずしも研究者に、よく知られていないので、その広報を十分にやるということ。そして、かつ今度のは諸外国とのコンペみたいな側面があります。あちこちの国でやっているデータとの比較、それからやり方、そういうことがありますので相当しっかりと、まさに国威をかけてやらなきゃならないようなプロジェクトではないかと、そういうふうに私は見ております。その結果は、僕がもう見たときにはぼけていると思いますからわかりません。ですから、ぜひとも15年後にすばらしいデータが出るべく、今、しっかりと国環研のほうで体制を整えて進めていってもらいたいと、こういうふうな思いでこの前は言ったわけです。

【高月部会長】 西間先生のほうから貴重なアドバイスをいただきましたが、1個ちょっとどうされますかというようなことも内容的にありましたが、何か戸田さんのほうであればお答えください。

【戸田環境リスク評価室長】 ありがとうございます。本来、コアセンターのほうからお答えすべき話かと思いますけど、私のほうでわかる限りでご説明したいと思います。その10万組のリクルートの大変さということで、現在でも、現にユニットセンターの中には、かなりの効率でリクルートできているところと、いや、なかなか進まないんですよというところがあります。その辺はちゃんと研修を徹底するとかということで、今のうちにちゃんとしっかりできるようにてこ入れしていきたいというふうに思っております。その専従の人をつけなければいけない、リサーチコーディネーターということで、現在はリクルートに専念していただいておりますけれども、そのフォローアップが大変だということは国際会議におきましても、既にデンマークやノルウェーで対象者が小学校に入っているようなところの苦労もいろいろお聞きしながら、しっかりとやっていただきたいということで、こういう専従の人をつける必要から、これだけの高額の予算になってしまうということかなというふうに思っております。そのサンプルの使用ということにつきましても、例えば国際小児がんコーホートコンソーシアム、I4Cというのがありますけれども、こういったところで連携するに当たっても、やはりこっち側が黙っていると、何でもやらせろ、やらせろというふうに来ますので、その辺はしっかりと、むしろ我々が世界のプログラムを利用するんだというふうな意気込みで調整に当たっていかなければいけないなというふうに思っているところであります。
 介入試験については、ちょっと私としてはあまりやることはないんじゃないかと思いますが、これは今後、そういった話が出てきたときには、コアセンターの運営委員会によってしっかりとサイエンティフィックな審査をしていただきたいというふうに考えております。まさに国威をかけてやっていきたいということでございます。

【高月部会長】 ほか、何か。どうぞ。

【小池委員】 二つほど、ちょっとお伺いしたいんですけど、一つは、ユニットセンターの構成が幾つかの大学が合わさってやるような形になっているところが幾つかありますけれども、これはどこかの一つの大学が中心になってやるのか、それとも別の、どういう格好でやるのかというのが一つですね。
 それから、もう一つは、追加調査でそれぞれのやりたいところがいろいろな競争的資金を使ってやってくださいということですけれども、これは環境省として、何かこれに関しての特定したような競争的資金とか、そういうのをつくるおつもりはあるのか、それとももう従来あるいろいろな競争的資金にやってくださいということなのか、その辺はどうなんでしょうか。

【戸田環境リスク評価室長】 ユニットセンターが複数あるところにつきましては、これはユニットセンターとしては中心になるところは一つということでお願いをしておりまして、北海道では北海道大学、甲信では山梨大学、京都では京都大学、大阪では大阪大学、福岡では産業医大、南九州・沖縄では熊本大学が中心になっていただいております。ただし、その他、信州大学、九州大学、こういったところはかなりユニットセンターに準じた関与をしていただいているというところもございますし、また、北海道におきましては北海道大学でかなり全体的な調整をするというふうな体制にあるということで、この辺は、各ユニットにおいて温度差がありますけれども、その辺のガバナンスはしっかりと、そのユニットの責任者というのはユニットセンター長一人がいるという体制をしております。
 追加調査につきましては、環境省においては、環境研究総合推進費におきましてエコチル調査というものも一応、別に枠を設けているわけではございませんけれども、募集要領に言及をいたしまして、こちらに応募いただいてもいいですよという形にしております。現に今回、3件、採択をさせていただいたところでございます。

【三橋委員】 これだけの大規模な調査をするというのは、先ほど北欧諸国ではもう既にやっているというお話ですけれども、例えば日本の近くの中国とか、今、経済的にはアジアが経済成長のセンターになりつつあるというようなところで、恐らく日本のこういう研究というのは、彼らの国にとっても大変参考になると思うのですが、アジアの国でこういう研究をやっているようなところはあるのですか。もしなければ、そういう国は恐らくこういうデータに対して大変な関心を持つと思うのですが、その辺の何か、協力関係とか情報の提供とかはどういうふうに考えているのでしょうか。

【戸田環境リスク評価室長】 ありがとうございます。まず、こういった大規模なコーホート調査というのはなかなか、ある程度、国力がないとできないというところがございます。韓国はもっと小規模な、ちょっと人数は忘れましたけど、数千人ぐらいのコーホートを、韓国の環境部が中心になってやっておりまして、この研究者とは先日の国際会議にも招聘して、情報交換を進めていこうということでやっております。中国につきましては、国際小児がんコーホートコンソーシアムに一応10万人なり、また、今後30万人規模のデータで参加するというふうに言われておりますけれども、これはどちらというと疾病の登録制度をもって参加しているということで、こういったコーホートにつきましては、まだ始まっていない状況かというふうに考えておりますが、実はアメリカのCDCが中心になって、中国と協力してやろうというふうなプロジェクトもあるというふうに聞いておりまして、この辺の研究者とも連携を深めていきたいということで、先月の国際シンポジウムの、声をかけたんですけど、どうしても来られなかったということであります。こういった連携は深めていきたいというふうに考えております。

【大垣国環研理事長】 国立環境研究所としましても、これは大変緊張感を持って運営しておりまして、現在、運営・管理・支援の体制はでき上がっております。コアセンター長を務めておられる東北大学の佐藤教授には、1年前から環境研究所全体の参与にもご就任いただき、連携を強めて、今、運営しているところでございます。

【安岡国環研理事】 ややテクニカルな話を私のほうから紹介させていただきます。このプロジェクトが始まるということがほぼ決まりました時点、今からもう約2年前に環境研の中に準備室を設けまして、委員会でさまざまな機関の方をお呼びして、このようなコーホート調査のやり方等について、いろいろ情報収集を行いました。私どもは、サンプルをためるという非常に重要な役割を持っておりまして、そのサンプリングの仕方、それから、サンプルの保存の仕方、制度管理等については、かなり議論いたしました。ただ、12ページにあります、環境省に置いていただいています調査企画評価委員会ですとか運営委員会等で、かなり突っ込んだ議論をされておりますので、そこと連携をとりながら環境研としては進めていきたいと。先ほど西間委員からお話がありましたように、非常に大きなプロジェクトでもありますし、15年後に何もないということは許されませんので、ここはかなり気合いを入れてやりたいというふうに思っております。

【高月部会長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。日本にとって初めて大規模なコーホート調査ということで、それらの期待感が非常にあろうかと思いますので、ぜひ頑張ってやっていただきたいということで、とりあえずエコチル調査についてのご説明あるいはご質疑というのは一区切りさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 それでは、室長さん、ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 それでは、今日のメーンの問題に入っていきたいと思いますが、まず、その前に中期計画にご審議いただきました、その前提にあります中期目標につきまして、前回まで、2回にわたって当部会でご意見いただいたわけですけれども、さらに各関係省庁に調整をして、中期目標を作成している段階ですけれども、これにつきまして、まず、事務局側から説明いただきたいと思います。お願いします。

【長坂環境研究技術室長】 それでは、第3期中期目標について、ご説明をさせていただきます。資料の1が第3期中期目標本体でございまして、資料の2は第2期との対比表になってございます。資料の1を使いまして、前回お示ししたものがから主な変更部分についてご説明をさせていただきたいと思います。
 資料1のまず前文のところでございます。2段落目のところに「環境問題が一層多様化・複雑化する中で」という文章がございまして、この部分について、松尾委員あるいは佐和委員から表現が適切でない部分がある、あるいはちょっとわかりづらいというご指摘を受けてございましたので、ちょっと修正をいたしましたので、一通り読んでみますと、「環境問題が一層多様化・複雑化する中で、平成22年6月の中央環境審議会において、「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(以下「推進戦略」という。)がまとめられた。その中で、(1)脱温暖化社会、(2)循環型社会、(3)自然共生型社会、及び(4)安全が確保される社会の実現、さらに、いずれにも共通な領域、横断的領域、社会実装のための研究推進が重要とされた」と、こういう書きぶりで少しわかりやすくさせていただいたと思ってございます。
 その次に、引き続いて「第3期中期目標期間においては」の次でございますが、「第2期中期目標期間に引き続き業務の効率化を進めるとともに」という、この一つの文言を挿入させていただいております。こちらは財務省さんからの指摘で一つ入れた文言でございます。
 それから、前文の一番最後の部分につきまして、「ますます発展していくことを期待する」という部分が、沖委員より少し弱いのではないかというご指摘をいただきまして、そこの部分、「一層の発展を期待する」ということで、気持ち強めたつもりでございます。
 それから、次の修正点でございますが、2ページ目に参りまして、2ページ目の下のほうでございますが、下から5行目でございます。「なお、温室効果ガスの影響評価、温室効果ガス削減効果等の地球温暖化対策に向けた研究については、今後とも他の研究機関の研究課題との重複の排除を図りつつ、連携を強化するものとする」、このくだりが挿入されてございます。こちらにつきましては、総務省からいただきました勧告の方向性で指摘されていた部分につきまして、より明示的に入れたものでございます。
 次の部分でございますが、3ページに参りまして、[1]環境研究の柱となる研究分野の柱書きの部分を表現を少しかえて、簡潔な文章にかえてございます。「環境研究の柱となる8の研究分野を以下のとおり設定する。これら研究分野において、基礎研究から課題対応型研究まで一体的に推進するとともに、分野間の連携も図りつつ実施し、目標の達成を図る」としてございます。
 それから、それ以下、ア.地球環境研究分野からク.環境計測研究分野まで、内容的には変わってございませんが、少し簡潔な文章表現にかえてございます。全体的に短くなっているという印象を受けられるかと思います。
 そして、4ページに参りまして、4ページの[2]のちょっと上の部分でございます。まず、今、[2]とされている部分、環境研究の基盤整備となっておりますが、前回お示しさせていただいたものにはここの部分、[2]は課題対応型の研究プログラムでございました。ここにつきましては、この課題対応型研究プログラムの詳細につきましては、計画のほうに落とし込むという整理をさせていただきまして、[2]全体が削除されて、前回、[3]でお示ししていた環境研究の基盤整備が[2]となっています。
 そして、[1]の一番最後に2行ばかりあるその文をつけ加えさせていただいております。読ませていただきますと、「また、上記の分野の中で、緊急かつ重点的な研究課題や次世代の環境問題に先導的に取り組む研究課題を設定し、課題対応型の研究を進める必要がある」と、この2行において、これまでの課題対応型の研究プログラムというものをするということをここで書かせていただいておりまして、具体的には計画のほうでということにさせていただきました。
 次の修正点は、4ページの一番最後の部分でございます。最後の段落の2行目からでございますが、「その際、長期モニタリング事業及び環境試料等の収集・保存については、平成22年12月22日付「『独立行政法人国立環境研究所の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性』における指摘事項を踏まえた見直し」で示したところにより、必要な見直しを行ったうえで、効果的、効率的に実施するものとする」と、こちらがつけ加えられたものでございます。こちらは、先ほどと同じように、総務省の勧告の方向性で指摘されたものにつきまして、この環境研究基盤整備の中で明示したというものでございます。
 少し飛びまして、次の修正部分は6ページでございます。6ページの半分から下の部分、(2)研究成果の活用促進の部分でございます。ここの2行目に「アジア地域等での環境産業育成を図る政策展開との連携等を通じ」という一文を加えさせていただいております。こちらの文につきましては、1月の国環研部会において、高木委員よりご指摘をいただきましたパッケージ型インフラ等について、国環研の参画を進めるべきではないかというご指摘について、ここで読み込めるようにしたという修正でございます。
 次でございますが、7ページでございます。1の研究所の運営・支援体制の整備という部分でございますが、こちらにつきましては、書きぶりが体制を整備するという書きぶりになってございまして、全部それに統一したほうがいいというご意見も逆にいただいてはおったんですが、こちらは環境省から国環研に指示をする目標でございますので、その体制の整備ということではなくて、体制の確立を図るという形で文章を全部整理させていただきました。一通り読み上げてみます。「独立行政法人化の要請である効率化と環境研究等の充実・強化の両立を図るため、次の諸点に留意しつつ、適切な体制の確立を図る。(1)研究活動については、その内容について評価を行い、それを反映して研究プログラムを構成する研究プロジェクトを見直すなど、柔軟に運営する。(2)国内外の関係機関との連携を強化する。(3)コンプライアンス徹底、広報・アウトリーチ活動を強化する」という、ここの部分について、文章を少し整理させていただきました。その後の「なお、体制については、理事長の指揮のもと」という部分についてはそのままでございます。
 そして、大きく変更されてございますのが、同じページの3.財務の効率化でございます。そこの部分について、(1)につきましては、全面的に書き直しをしてございます。まず、一番最初の段落ですが、「毎年度業務経費については1%以上、一般管理費については3%以上の削減を目指す」という部分、ここは第2期と同じ目標にさせていただきました。その後、「なお、一般管理費については、経費削減の余地がないか自己評価を厳格に行った上で、適切な見直しを行うものとする」という部分をつけ加えさせております。その後、給与水準に関する記述、また、その後の総人件費に関する記述、ここの記述につきましては、財務省と調整をいたしまして、全独立行政法人で共通の表現を使うということで挿入させていただいた文章でございます。
 それから、次の部分ですが、(3)の一番下、7ページの一番下の行でございますが、「また、研究・開発事業等に係る調達については、他の独立行政法人の事例等をも参考に、透明性が高く効果的な契約の在り方を追求する」という部分、それから、もう一つ、4の(1)もそうですが、3行目から、「なお、生態系研究フィールド<2>については、当該フィールドで現在実施している研究が平成27年度を目途に終了することから、当該フィールドにおける機能を国環研本構の敷地内を含む他の場所に確保し、当該フィールドについては、現在実施している研究が終了した後、速やかに、国庫納付する」、この2点につきましては、総務省の勧告の方向性の記述をそのまま使わせていただいて、挿入した内容でございます。
 次の修正点が最後になりますが、9ページの一番最後、人事に関する計画の部分です。こちらの部分につきましては、佐和委員外数名の方からわかりづらいというご意見、あるいはその人件費削減による問題というものの書き方をはっきりさせたほうがよいというご指摘を受けまして、次のように修正をいたしました。「人件費の削減に伴い、ポストドクターなどの契約研究職員が研究所の研究能力に占める比率が高まってきた。このため、将来に向けての研究所の活力を維持するため、研究職員の能力開発を適正に行う体制を確保するとともに、若手研究者、女性研究者、外国人研究者等の研究参画意欲の一層の促進を図る」ということの文章とさせていただいております。
 以上で、修正点のご説明でございまして、一番最初に戻っていただきますと、一番上のタイトル「独立行政法人国立環境研究所の達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)」、これが正式な名称でございますが、その次に書かせていただいております「独立行政法人通則法第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人国立環境研究所の達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を次のとおりに定める」ということで、平成23年3月1日、環境大臣、松本龍ということで、この中期目標につきましては、高月部会長に先ほどの修正部分等を含め、最終確認をいただいた後に、環境大臣名で3月1日に国立環境研究所に対して指示を行わせていただいたということで、ご報告をさせていただきます。
 以上で説明を終わります。

【高月部会長】 ありがとうございます。この部分は、前回、前々回と続き議論していただきましたので、先ほど事務局から説明がありました修正を加えた上で、もう既に3月1日に報告させていただいたということで、報告事項でございます。委員の先生方には、今、ここでまた修正という話はちょっとできませんので、ひとつご容赦のほどをよろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、今日の本当のメーンであります、目標を踏まえての中期計画のほうの議論に入りたいと思います。ここも最初に事務局から説明をいただきたいと思いますが、ここはどういたしましょう。先に国環研のほうから説明いただいて、それからスタートしましょうか。中期計画のほうですので。

【大垣国環研理事長】 中期計画に関しましては、ただいまの中期目標を受けまして、前回ご説明したものをまた改定しておりますので、その詳細については担当の鏑木理事より説明をいたします。

【鏑木国環研理事】 それでは、恐れ入ります、説明をさせていただきます。座ったままで失礼をいたします。
 この中期計画につきましては、資料の3と4がございまして、4が新旧対照になってございますけれど、資料の3をもとにご説明をさせていただきたいと思います。
 資料3の1ページ目でございますが、「まえがき」の三つ目の段落、「こうした」というところでございます。これは前回もご説明をさせていただいたとおりでございますが、中央環境審議会の答申であります環境研究技術開発の推進戦略についての中にキーワードとして入っております脱温暖化社会とか循環型社会、自然共生型社会、安全が確保された社会の構築への貢献ということで、中長期的視点に立ってやっていくということで、私どものキーワードとしては、その次の段落の1行目でありますが、「環境政策への貢献を担う国内外の環境研究の中核的研究機関として」ということでございます。ただ、今回、中期目標をいろいろご指示をいただいている中で、特に業務の効率化ということについて、強いご指示をいただいたというふうに理解しておりまして、その2行目のところでございますが、「第3期中期目標期間においては、引き続き業務の効率化を進める」という、この業務の効率化のところでございます。今回、いただきました中期目標を、その前にありました中期目標の案と比較してみますと、先ほどの室長のご説明にございましたように、具体的な内容といたしましては、9ページの財務の効率化でございますが、財務の効率化のところで、毎年度、業務経費については1%以上、一般管理費については3%以上の削減を目指すとか、それから、給与水準についても、国家公務員の給与水準を十分考慮して、私どもでその取り組みを進めていくというようなことですとか、総人件費につきましても、平成18年度から5年間で5%以上基本とする削減等の人件費に係る取り組みを23年度も引き続き着実に実施するとか、そういう具体的な数字を入れた目標をいただいておりまして、それにあわせて計画のほうも同じ表現にさせていただいております。そのほか、こういう効率化に関しましては、例えば同じ9ページの上のほうにおきましても、研究所の運営・支援体制の整備というところがございますが、ここで研究活動についても、その内容について評価を行いまして、それを反映して研究プログラムを構成する研究プロジェクトを見直すという、不断の見直しを進めていくという思想と、体制につきましても、この同じ1番のなお書きのところでありますが、理事長の指揮のもとで、体制について絶えず検討して、必要に応じて見直しを行うというようなこととか、効率的に業務を進めていくという視点での記述をさせていただいております。
 施設につきましても10ページでございますが、私どもの施設、非常に古うございまして、幾つもの建物を持っているというような非効率的な面も若干ございます。そういうことも含めまして、これから効率的な施設運用につきましての取り組みを強化していく必要があろうかというふうに思っておりまして、(1)のところの研究施設の現状や利用状況を把握して、施設の利用度のほか、本来業務に支障のない範囲での有効利用可能性の多寡とか効率的な処分、経済合理性といった観点に沿って、保有資産の保有の必要性について、継続的に自主的な見直しを行うという、総務省からいただいた勧告の見直しの方向ということでありますが、こういうことを受けての取り組みをしていかなければならないというふうに思っております。そんなことで、この計画におきましては、そういう取り組みを進めていくぞという内容が結構あちこちに散りばめられております。ただ、私どもの本質は、やはり研究でございますので、研究をしっかりと進めていくための体制が必要ということでありまして、キーワードといたしましては、1ページの一番下にございますが、これは先ほども申しましたけども、「国内外の環境研究の中核的機関」というキーワードですとか、あるいは政策貢献型機関としての役割を果たしていくんだぞというようなことですとかございまして、まずは中長期的な取り組みをしていくような体制をとっていかなければならないということで、2ページ目の[1]、[2]とかいうのが書いてあります一つ上のところでありますけれども、「幅広い環境研究の分野について重点化を図りつつ、総合的に最高水準の成果を出していくことを目指す」という思想を書かせていただいたり、「環境研究の体系的推進として、中長期的視点に立って将来の環境研究の課題を見通し、新たな環境研究の体系をその柱となる研究分野で構成し、基礎研究から課題対応型研究まで一体的に、分野間連携を図りつつ推進する」という、この大きな考え方、柱は、今までお示ししておりました計画の素案からずっと維持しているということでございます。
 一方で、その課題対応型の研究を推進するとか、中核的研究機関というのがちゃんと進められますように、[3]でございますけれども、そういう体制を整備していくというようなことでございまして、ほかの研究機関とか大学とかと協力をしながら、あるいは連携をしながら進めていけるようにしていくということにしております。
 それから、環境政策立案等への貢献につきましても、私ども、研究とともに大きな事業として地球環境モニタリングというような非常に長期継続的にやらなければならない事業を進めているんでございますけど、それは3ページのところに書いてございまして、5行目ぐらいのあたりでしょうか。地球環境モニタリングの推進等により、温室効果ガス排出量の中長期的な削減目標の達成のためのお仕事をしていくとか、また、科学的知見やデータの提供等を行っていくとか、あるいは先ほど冒頭に話題になりましたエコチル調査をやっていくとか、化学物質のリスク評価等の政策支援とか、こういった分野のことを的確に実施するのと、それから昨年、COP10がございましたが、生物多様性保全に関しまして、広域的な生物多様性の状況の観測等の手法開発とか、生物多様性条約の愛知目標の達成状況評価のためのデータの収集・提供等とか、新しい課題にも取り組んでいくというようなことを書かせていただいております。
 そんなことで、非常に効率的に進めていくという観点からは、(2)の研究の構成の[1]でありますが、環境研究の柱となる研究分野について、八つの研究分野を設定をしていくと。これは前回もお示しをしたとおりでございますが、それを進めていくということで、計画を維持してございます。
 そんなことで、非常に効率的に進めなければならないという数値的な目標をちょうだいいたしましたけれども、研究の本質なところ、事業の本質的なところは、前回ご説明したとおりの計画になってございますということで、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。

【高月部会長】 ありがとうございます。
 では、引き続きまして、環境省の方から少し補足をお願いします。

【長坂環境研究技術室長】 私の方から、簡単な補足説明をさせていただきます。
 資料5というものが、1枚紙がついてございます。こちらは、この中期計画に対しまして、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会のワーキンググループでの審議というものがありまして、そこでの審議のメモという形で、総務省からいただいたものでございます。
 そのメモの全体を読み上げることはいたしませんが、一番上に書いてあるとおり、掲げられた目標の水準がインジケーターとして妥当性があるとは考えにくいと。研究法人なので、評価指標が難しい面もあるが云々と書いてございまして、全体的に、達成目標、水準が具体的になっていない部分が多いというご指摘が大分されてございます。
 そして、二つ目の丸で、中期計画の別表1及び別表2というところで、これは別表1が分野別の研究分野の詳細の説明、別表2がプログラムの詳細の説明になってございますが、これは全部「達成目標」という書き方をしてございました。ただ、実際、「達成目標」と言うには、やや抽象的な書きぶりが多かったということもございまして、そこについて、るるいろいろな言葉で、そもそも「達成目標」という言葉を使うべきではないのではないかということがいっぱい、ここ全体で書いてございました。
 これを踏まえまして、この中期計画におきましては、「達成目標」という言葉を使わずに、「推進方向」という言葉で統一をして、この別表1と別表2、先ほどご説明いただきました資料3の方の別表1と別表2が全部「達成目標」となっていたのは、「推進方向」という形でつくらせていただいております。
 私からの補足は、以上でございます。

【高月部会長】 ということで、中期計画の方の全体図、それから総務省の方からの指摘も踏まえての補足、説明いただきましたけども、ここで各委員さんから、この計画につきまして、またご指摘等いただければ幸いと思います。何かございましたらお願いをしたいと思います。
 はい、どうぞ。

【西間委員】 資料5の補足説明のところですが、下段の方に「以上を踏まえた上で、環境省独立行政法人評価委員会として、厳格な独法評価を行えるのかどうかの疑問がある」というのは、これは、この計画がはっきりしていないから、委員会として評価がしにくいのではないかという意味でしょうか。それとも、この評価委員会自体が能力が足りないんじゃないかという、これはどちらを言いたいのでしょうか、この文章は。ちょっとカチンとくるのですが……。両方ですか。

【長坂環境研究技術室長】 その辺については、真意を確かめたわけではございませんので、この文章をそのままとらえるしかないのかなと思っておりますが、この指摘でやはりメーンなのは、この計画が、いわゆる数値目標が少ないとか、そういった部分で、評価がしづらいという部分をご指摘いただいているのかなと考えてございます。
 ただ、これまで第2期の中期目標・計画においても、やはり研究所という性格からして、同じような書きぶりにおきまして、この独立行政法人評価委員会で評価をいただいておりまして、その評価について、特段、その評価がおかしいと言われたことはございませんので、やはり計画自体がもうちょっと評価しやすいものにできないのかというご指摘だとは思ってございます。

【高木委員】 私も、この資料5のところで確認、質問をさせていただきたいと思うのですが、まず最初の丸のところ、インジケーターとしての具体性ということかと思うのですが、これはほかの研究所と照らしてというところですけども、具体的にどうなのか確認させていただけるという機会はもうないのですか。研究所によっての性格の相違というものも踏まえた上でどうなのかという検討が本来かと思うのですが、そういった上でのコメントなのかどうかというのは、少なくとも一つ確認させていただきたいと。最初の丸ですね。
 それから、2番目の丸のところ、先ほど西間先生の方からご指摘あった厳格というふうなところなんですけども、これ、評価委員会というのは、厳格にやらなきゃいけなかったんでしたっけ。ちょっとその点、確認させいただきたいと思うのですが。少なくとも、通則にはそういったことが書かれていなかったと思うのですが、運用上、そういうふうにしなければいけないという決まりというのがいつできたのかなと、ちょっと、私、あまり政独委のコメントというのは読みたくないので、きちんと読んでいないものですから、確認させていただければというようなことなんですが。
 それから、ちょっと、達成「目標」を「方向」に変えられたということで、これでいってしまうのだと思うのですが、ただ、この意見、半分は理解するのですけども、半分は疑問というところなんですけども、独法の評価、あるいは、いわゆる政策評価は10年前から始まって、そこのところで、当初のイメージは、「目標」というのは具体的なインジケーターという感もあったんですけども、しかしながら、いきなり具体的なインジケーターを示すというわけにもいかないだろうというところで、定量的な目標と定性的な目標という位置づけをしまして、その定性的な目標というふうなところで掲げてそのまま進んできたというのが、この10年間ということなんですけども。したがって、いわゆる政策評価法のところでの評価においても、「目標」という言葉が定性的な内容についても使われているのですね。これを発言された方は、主査も含めて、そこのところをご存じない、ご理解されていないんだろうというふうに思うのですが。政独委の中というのは、私もついこの間まで属していたので、よくわかっているので申し上げますと、独法評価の部会といわゆる政策評価法の部会と完全に分かれていまして、委員だけで5~6人いて、それが半分ずつそれぞれの部会に分かれて運営をされているというところなんですけども、要はそれぞれの部会のところに属されている方というのは、ほとんどほかの部会の進み方というのがわかっていないのですね。それで、政独委の中の独法評価部会の方の方々というのは、いわゆる政策評価法のところというのはほとんどわかっていないというようなことなんですけども、しかしながら、同じ政独委というような単位というふうなところから、こういうふうな発言が軽々に出てきたのかどうかと。では、政策評価法の方の取り扱いも全部見直すのかどうかという疑問が、この二つ目の丸のところに感じます。
 それから、三つ目のこの主査コメントというのが、これまた私よく理解できないのですけども、いわゆる定性的な目標を設定している場合には、それが達成したか否かを評価するというのは、なかなか明瞭な形ででき得ない場合が多くて、したがって、達成不可能というようなことというのは、あまり言いにくいというふうに言えるのですけども、ここでは達成不可能ではないかというような観点から、この主査がコメントをしている。要は上の二つの言い方と、この主査の言い方というのは、ちょっと質的に違う内容を言っているのではないかなというふうに、矛盾するような内容というふうに感じるのですけども。
 以上のところが、私の疑問ということですが。

【高月部会長】 何かあれば、ちょっと。

【長坂環境研究技術室長】 政独委さんの中の議論につきましては、私の方からなかなかコメントはしづらいんですが、最初の部分から、私からコメントをさせていただきますと、まず、他の研究法人の指標等を確認させる側というお話につきましては、国環研部会としては、本日が、とりあえず中期目標確定の前では今回でございまして、今後、そういうことが可能であれば、そういった比較もお出しできるようなことを考えてはいきたいとは思いますが、ただ、研究法人にもいろいろ性格があると思います。国立環境研究所の研究内容からすれば、こういう、できる範囲で定量的なものはお出ししておりますが、研究に直接かかわる部分については、ほとんど定性的に言わざるを得ないという部分につきましては、やはり変えようがないのかなということで理解をしてございます。
 それから、2点目でございますが、厳格に評価をやらなければいけないのかという部分について、厳格といいますと、本当に厳しくということになろうかと思いますが、やや、これ、このメモ全体が非常に主観的な書きぶりをされておりまして、だからメモという形でいただいたのではないかなと思ってございます。このメモの取り扱いにつきましても、環境省さんにお任せしますと言われて、いただいてはおりますけれども、ただ、正直申し上げまして、後であのメモの取り扱いはどうなったんですかと聞かれることは当然でございまして、こういったメモをいただいたということは、やはりこの部会の席でちゃんとご紹介をして、それについて、内容が、指摘が正しいのか、正しくないのかも含めて、委員の先生にご判断をいただければと思って、ここに出したということでございまして、そういう意味では、厳格なというのは、非常に主観的な言い方なので、これが本当にそんな必要があるのかどうかについては、私としても、よくわかりませんというか、申し上げられないという部分がございます。
 それから、3番目に、定量的な目標と定性的な目標というのがあって、定性的な目標というもの自体も、それは当然認められているはずであるという部分については、少なくとも評価のやり方を変えるという話にはなっていないと理解してございますので、あとは、なぜこういう言われ方をされているのかについては、ちょっと、私の方からはコメントできないという状態です。

【三橋委員】 この政独委のメモというのは、この政独委の人が書いたメモなのですか。

【長坂環境研究技術室長】 事務局が書いたものだと思います。政独委のワーキンググループが行われたのを聞いて、総務省の事務方が書いたメモと理解してございます。今、私がコメントできる範囲では以上でございます。

【高月部会長】 どうぞ、はい。

【磯部委員】 この資料5について、あれこれ今また議論するのがどれぐらい生産的か、ちょっとためらっていたんですけれど、しかし、先ほどこの部会にメモの取り扱いはどうなったのか聞かれて紹介したということは言わざるを得ないということでしょうから、そうだとすると、どういう反応があったかということに関して、やはり発言はしておきたいと思いますので。
 言いたいことは、先ほど高木委員さんが全部、これまでの経緯から、もともとの趣旨から、言うべきことをすべて言われた感じがありまして、私も、それは全く同感でありますし、私も、法律学、行政学をやっている人間として、この橋本内閣行政改革から独立行政法人制度というものが導入され、しかし、その法人化の最初のところが、こういう中期目標・中期計画という制度の仕組みをつくって、言葉を統一せざるを得なかった、制度設計として、それはそうですが、中身がそんなにすべて数値化されて、達成目標で厳格に全部やれるんだというような前提には到底ないわけだったわけで、それはいろんな性質のものがあるわけで、研究型の独法だって、さまざまなものがあるだろうし、そのすべてに数値化して、それじゃなきゃ目標と言えないなんていう、一種の議論の矮小化ですよね。それはやっぱり制度の発足の趣旨からしたら、相当ゆがんできちゃっているのではないのかなと思います。だからといって、そうなってきてしまっているものをどれだけ押し返せるのかわからないんですが、先ほど高木委員が言われたように、定性的にしか表現できないものはもちろんいっぱいあるわけで、下手に矮小的な数値目標化することの危険性も十分我々は認識しておく必要があろうかと思います。
 そういう意味で、「達成目標」という、誤解を受けやすい、あるいはいちゃもんがつきやすい言葉を避けるという選択は、それなりにワイズなものなのかもしれないんですが、何か「推進方向」に変わったからどうなるのというと、そこは心配ですね。基本的に、我々がやってきたことが本質的に違うとか、何か能力がないとかという話だとしたら、メモの取り扱いとして、大いに不快感の表明をする委員があったと記録にとどめておいていただきたいなと思います。

【高月部会長】 恐らく佐和委員も何かコメントがあると思います。

【佐和委員】 これは、この計画のいわゆる別表と言われたところを見ると、「貢献する」というのが圧倒的に多いんですね。「貢献する」というのは、これはやっぱり目標の達成度というものをやっぱり評価しにくいということで、例えば何とかを実施するとかというようなことだと、実施したか、しないかと。つまり、最後の締めくくりが「貢献する」が圧倒的に多い。24ページの環境健康研究分野で、[1]、[2]というので、「貢献する」、「貢献する」と来て、さっき最初にご説明のあった環境汚染物質、環境因子が健康影響に関するところについてのみ「開発する」というような表現になっているわけですね。その辺が、「開発する」といったら、開発できたか、できなかったかということで、計画が達成されたかどうかということは評価できるけども、やっぱり基本、「貢献する」というのが圧倒的に多いというのが恐らく目立って、これの貢献の度合いはどうやって評価するんだというような議論になったのではないかというふうに推察いたします。

【小池委員】 私も佐和委員の意見と似たような話なんですけれども、やはり、これ、書きぶりが、「構築する」とか、「開発する」の場合は、5年間でやらなきゃいけないんだけど、「貢献する」とか「進める」とかというのは、どこまで進めると書いていないので、なかなか評価が難しいんですね。
 それで、これは国立大学の評価も似たようなことをやっていまして、それで、そのときに書きぶりを、どこまでをやるんだということがその中で見えるような書きぶりにしてくれと。だから、単に「進める」とか、「進展させる」とかというのは、なるべく使わないでくださいというような言われ方をします。
 ですから、私は、これは「目標」でもいいと思うんですね。それを「推進方策」に変えたからといって、何かこそくな、ただ名前だけを変えて、実際はあまり変わっていないような気がするのですけれども。やはり5年間でここまでやりますということが、ある程度前に書いている文章と具体的な整合性がないといけないということが多分あるのじゃないかなと。そうすると、あまり細かく書いてしまうと、これは自分で自分の首を絞めることになりますから、そこで書くことが少し調整されるようなことはあると思うんですけれども。その辺を考えられた方がいいのではないかと思います。

【高月部会長】 では、国環研の方から何かお話があればいただきたいと思います。

【安岡国環研理事】 例えば20ページにございます、地球環境研究分野という一番頭の文章を例にとってご説明したいと思いますが、アの地球環境研究分野というところで、第2パラグラフで「そこで」というふうにありまして、そこでの一番初めの文章は、「実施する」というふうに結んでおります。それから、さらに研究を「推進する」と結んでおります。「また」のところの文章は、例えば引き続きデータの処理・検証・提供を「行う」、基盤的な研究を「行う」というふうになっております。その前の目標という部分になりますと、[1]で、例えば長期的な変動機構を「明らかにする」というふうに結んでおります。
 例えば、先ほどご指摘のありました「貢献する」という3番目の丸ところを見ていただきますと、ここは地球規模の影響リスクの評価を行うことにより、「政策に貢献する」というふうに結んでおります。これは、政策に対しての部分は、私どもが直接的にやることがなかなか難しいので、「貢献する」というような表現にどうしてもなると。ここの部分の本意は、影響リスクの評価を行うというところがポイントになると。政策貢献を言われておりますので、どうしてもそこの部分について結ばざるを得ない部分があるのですが、そこの部分に関してのみ、「政策に対して貢献する」とか、[4]に関しても、「緩和対策の推進に貢献する」というふうな書き方になっております。そこも、「何々することにより」という部分は、「研究として総合的に評価する」というふうに、[4]の部分ですけども、一応、文章としては、研究としてやることと、その結果として、政策なり対策に貢献する部分という部分を分けた表現にはしております。ちょっと言いわけがましくなりましたけれども。

【小池委員】 今の点でも、例えば[3]、[3]に関しても、これはきっと気候変動に対する科学的知見というのは、これは何か国語的におかしいので、「気候変動政策立案に資する科学的知見を提供する」というふうにしたらどうなんですかね。それは間違いなくできることだと思うんですよね。

【高月部会長】 はい、どうぞ。

【沖委員】 今、いろいろとお話を伺っておりまして、私も今組織目標をつくっておりますので、同じように末尾をどう使うかということで悩んでいるところでございまして、その「貢献」というところなんですが、我々も、我々の出した研究の成果がどの程度どういうふうに使われるのか、利用されるのかというところを考えながら、やはりやっているわけです。そのときに、すぐに書きたくなるのが「貢献」という言葉なんですね。ですから、ここの政独委のところの中期計画の別表云々で[1]で、設定の理由というふうなところに書いてありますけれども、何もここまで詳しく書くことはないんですけれども、どういう点において、どういう手法において貢献できるかということさえ、評価委員の方がきっちりとわかっておれば、それなりの私は評価ができる。また、評価ができなければ、評価委員の、こちらの資質が今度は問われるというふうに、私はそう理解しておりましたが、いかがでございましょうか。

【高月部会長】 ほかによろしいでしょうか。
 というようなことで、ある程度、「行う」とか「実施する」という辺を少し強調するような表現にしていただいた方が、より明確になって、「貢献する」は後でその結果がそうなるという形ですので、ちょっとその辺……。
 はい、どうぞ。

【磯部委員】 この文章表現、まだいじる余地はあるのですか。
 さっきの[3]ですけれど、日本語として、何々に貢献するためにこれこれを行うという逆転がもし可能ならば、ニュアンスが相当違っちゃうんだったら、そこは無理にとは申しませんけれど、ほとんど意味が変わらずに変えられるなら、それは考慮の余地はあるかなと思います。思いつきで恐縮ですけど。

【三橋委員】 この言葉の使い方を聞いていますと、私は、新聞社に入ったときに「行う」という言葉は絶対使うなと言われたことを思い出します。「行う」という言葉にかわる何か別の表現をしろと、「進める」とか「実施する」とか、いろいろ別の表現がある。ちょっと、そのたぐいの議論に近いような感じを持ったんですけれども。
 一つの文章の中では、同じ意味でも、別な言葉で表現する方法があります。だから、「貢献」という言葉も、文脈に合うような、別の表現の仕方を工夫すると、文章に厚みがでてきます。できるだけわかりやすく読ませようという姿勢で、様々な言葉を選ぶ努力は必要でしょうね。むしろ文章作法、まとめ方として。だから、私などは、それほど深刻な問題じゃないかなというふうには思います。

【高月部会長】 このメモは、ほかのところでもやっぱり配られて、議論されている雰囲気ですか。どうなのでしょうか。これはこの部会だけに出てきたものか、ほかでもやっぱり。

【長坂環境研究技術室長】 他の独法さんにメモ自身は、見せていただいておりませんけども、ちゃんと今回やっている独法に対しては、すべてこういったメモが出されていて、扱いは各省にお任せをされているということでありますが、例えば経産省さんは出すようですよとか、そのような情報は聞いております。

【高月部会長】 はい、どうぞ。

【高木委員】 今の点に関してですけれども、政独委による独法評価分科会として正式に出たコメントとは私は受けとめていないんですが、そのようには受けとめなかったのか。どっちの受けとめが正しいんですかね。私は、これ、3人チームでやって、1人、主査が取りまとめというようなことですけども、その3人チームのコメントがあまりまとめられない形で、こういうふうな形で出てきているのではないかと。そういった意味では、きちんとしたコメントなのか疑問があるのですが。

【長坂環境研究技術室長】 我々の認識としては、やはりメモとしていただいておりますので、メモという扱いでいいのではないかと思っております。ですから、参考にして、指摘を踏まえて対処する部分はしますし、メモですので、それはという部分は、それはというふうに思えばいいのかと思っております。

【高月部会長】 よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【佐和委員】 別の点なんですけども、計画の3ページの上から6行目からの文章なんですけれども、ちょっと、僕、これは意味がよくわからないですね。地球環境モニタリングの推進というのは、研究の一つの看板になっているわけですね。それ等により、「温室効果ガス排出量の中長期的な削減目標の達成のための地球温暖化対策に関する計画の策定などの環境政策の展開に資する科学的知見やデータの提供等を行う」と書いていますけども、そのモニタリングが政策の決定に影響するのですか。
 つまり、大気中の濃度がこんなものだ、こういう数字である、380だ、90だというようなことで十分であって、それ以上の精緻なデータというのが、例えば、むしろモニタリングの推進によって、温室効果排出量の中長期的な削減目標の達成じゃなくて、目標を策定すると。例えばどの程度まで削減しなくちゃいけないのかとか、あるいは大気中の濃度をこれだけ上げないためにはどうするとか、そういうふうなところで大変有用だとは思うんですけれども、何か政策立案には、380、90という数字で十分なような気がするのですけれども。

【大垣国環研理事長】 それこそ先ほどの三橋委員から指摘されそうですが、文章が、形容詞がずっと長くて、その後ろにあります「計画の策定」というところにつながっているという理解にいたしますと、今、佐和先生がおっしゃった解釈で、このモニタリングの成果を使うというふうに書いているつもりではないと思いますが。

【安岡国環研理事】 すみません、ここの部分の文章、後ほど訂正させていただきますが、「地球環境モニタリングの推進等により」、1行飛んで「科学的知見やデータの提供を行う」という、ここに結びが入っていると私は理解しております。「科学的知見やデータの提供を行う」のは何のためかというと、そこの1行に長いことが書いてあるということで、少し文言は修正させていただきますが、結び方はそういう趣旨だろうというふうに私は思いました。大変申し訳ございません。

【佐和委員】 私が言っているのは、そういう計画とか政策の策定に当たって、そんな細かなデータというのが必要なんでしょうかということなんですね。だから、ここまで無理して政策研究ということを誇張する必要はないのではないかなという気もするのですけれども。

【安岡国環研理事】 確かにそのとおりではあるのですが、例えば25%削減というようなことを考えたときに、それなりの精度でやっぱりデータを出していく必要があるだろうと。ここの趣旨は、地球環境モニタリングという、はかるということを通じて、きちっと削減目標に向かっているのかというようなデータを出したいという趣旨でありますので、それが通じるように、少し文言は修正させていただきたいと思います。

【大垣国環研理事長】 同じことなんですが、基本的には、炭酸ガスが減少したか、減少しないかとか、そういう正確な、科学的なデータがないと、政策は正しくは立案できない。要するに根拠に基づいた政策をするためには、きちんとした、細かいかどうかは別にして、科学的な知見が必要であると。そういう意味です。

【高月部会長】 そういう意味で、たくさん修飾言葉がついているので、わかりにくくなっているので、先ほど申し上げたように、やることについての内容について一区切りさせていただいて、また貢献するなら貢献するというようなことにやっていかないと、どうしても、人は文章を読みますと一番最後のところへ持っていきたいですので、その辺、ちょっとご注意いただいて、修正をお願いしたいと思います。
 それから、環境目標、環境政策方向といいますか、推進方向というふうに変えるというような辺は、何かご発言ございますでしょうか。

【小池委員】 私は、それは結構です。

【高月部会長】 そうですか。何かそれ以外のことでも、もちろん結構です。

【小池委員】 先ほど財務の話が出ましたけれども、これは国の方で言われているので仕方がないことなのかもしれないんですが、一般管理費について3%以上の削減をすると言われていますね。それで、これはもう大分前からやっていて、本当にこれをやっていたらもうすごく減っているはずで、何となく形式化しているような気がするのですが、そうではないのですか。私は、これはやはり、少し、独法とすると、どこまで減らせば気が済むのかということを少し言わないと、これは非常に厳しいと思うんですね。その辺はどういうふうにお考えですか。

【鏑木国環研理事】 正直申しまして、非常に厳しい状況にございます。私ども、今まで5年間でずっとこのパーセントを、毎年度減らすという目標を、達成を、毎年度、毎年度、業務実績報告ということで、これだけ減らしましたというようなことをご報告をさせていただいてきております。一方で、エコチルとか、新しい業務が始まりますものですから、その分、見かけはまたぽこっと高くなっているように見えますけれど、これはそれだけのことでして、実際は非常に厳しい運営になってきてございます。
 したがいまして、今回の計画、それから目標の立案に際しても、環境省のほうでも、この1%、3%という数字を書かずに、もう難しいですよということを財務省に言ってくださったのでありますが、先方は先方で「一律だ」とかいう、そういうお話で、非常に厳しい状況が維持されちゃったということでございます。

【佐和委員】 ちょっと伺いたいんですけども、既にもう何回かご説明を受けたかもしれませんけども、来年度のこの国環研の予算、運営費交付金というのは、今年度比、どういったことで落ち着いたんでしょうか。

【高月部会長】 それは、先生がおっしゃる先ほどのエコチルはちょっと外してということですか、それも含めて。そこはごついので。

【白石総政局長】 エコチルは22年度も入っていますので、オクシャタイとしては除かなくてもいいものです。

【笠井部長】 いろんな資料があるので、ちょっと。22年度が121億2,761万4,000円。23年度が135億2,293万1,000円。エコチル分が、22年度が30億4,460万ですね。23年度が45億ぐらいなんですね。

【白石総政局長】 予算をつけた環境省から説明いたしますと、交付金自体は、今申し上げたように十数億の増でございます。そのうちの内訳としてのエコチルの部分につきましては、22年度の当初では30億、来年度の当初が45億でございます。大体、エコチルで増えた分が増えていて、あとは大体とんとんでございます。

【鏑木国環研理事】 失礼します。1%、3%という数字の入っている減目標が書かれておるものですから、財務省が毎年度、毎年度、査定をする際に、運営費交付金については、それをちゃんと計算をして、これだけのお金でやってくださいというお金を下さるという、そういうことになりますので、もう自動的に落ちていっているという、そんな感じでございます。

【佐和委員】 いわゆる国立大学法人が、第1中期で毎年1%ずつ減だったわけですね。それが0.5%になったんですね。マイナス0.5。それで、それでもマイナスなんだけれども、何か特別教育研究経費のようなところを増やすというようなことで、そこの増分というのと相殺して、結局横ばいということだったんですが、独立行政法人の研究所に対しても、同じように措置というのは講じられていないんですか。

【白石総政局長】 大学が大学としてみんなで声を上げて、そういうふうにされたんですけども、独法は、今はまだ各組織が個別対応していますので、そういうことがなくて、1%削減は閣議で決まったことなので、これから先もずっとやるのだぞ。どこもみんな同じで、そういうふうに中期計画はつくらなければだめだというのが財務省の協議の結果でございます。

【高月部会長】 何か研究所だけで事業を組んでというわけにはいけないのですが。

【白石総政局長】 私が志操したとなると、ちょっとまたあれがあるのですけども、自然にそういう動きが出てこざるを得ないほど、どこもこの部分については苦しんでおるとは思っております。

【長坂環境研究技術室長】 今の部分のちょっと補足をいたしますと、そういう動き自体はございまして、研究開発法人を別にしようという考え方はございます。現に、昨年の11月まで、政治的主導でそういう強い動きがありまして、今年度の通常国会にも出そうという機運まであったんですが、一度、それはなくなりまして、なくなったというか、体制がちょっと変わりまして、現状を簡単にご報告しますと、文部科学省主導でそういった動きがあったんですが、一旦、体制が変わって、今、内閣府が主導で、もう一度考え直すということになってございます。
 基本的には、独法改革自体が、また新たな状況になっていまして、新しい独法のあり方というのがまたこれから打ち出される予定でございますが、その際に、今、研究開発法人が、ほかの独法とただ単純にもうどんどん効率化を進めて縮減していけばいいんだという扱いの枠に今入っているわけですが、やはり研究開発法人というのは違うものだろうという考え方で、別に切り分けるべきではないかという考え方は存在してございまして、これからの議論ではございますが、そういう芽があるという事実はございます。中身は、ただ、どうなるかはまだ全然わかりません。

【白石総政局長】 変な例えですが、クモの糸が垂れてきて、研究開発法人だけじゃなくてという人たちもいたりして、いろんな議論があります。

【高月部会長】 さまざまなご意見をいただいていますけども、この際、国環研の将来を見据えて、何かコメント等ございましたら、お伺いをしますけども。
 この計画自体は、こういう形でちょっと整理をして、若干文言の修正等はありますし、また、このメモは、メモではありますけども、全く何も無視してというわけにもいきませんので、ちょっとそれに対する反応はしたという程度にとどめさせていただくということで、計画、大筋はよろしゅうございますでしょうか。特に大きく変更がなければ、これで進めさせていただきまして、若干の修正等につきましては、ちょっと部会長預かりで整理させていただいて、また各委員さんにももちろん紹介させていただいて、最終案を取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【高月部会長】 特にご異論ないようですので。
 あと少し議事がありますけども、この辺、ちょっと説明をお願いできますでしょうか。

【長坂環境研究技術室長】 ただいま部会長にまとめていただきましたが、この中期計画につきましては、本日のご意見を踏まえての修正をさせていただきたいと思います。また、並行して、財務省、総務省等の関係省とも相談を進めている段階でございますので、さらに多少の修正はあるかもしれませんけども、適宜、部会長と相談させていただいた上で修正いたしまして、最終的には、環境大臣としての認可ということをさせていただく予定でございます。

【高月部会長】 それでは、もう一つの議題を出していただきますが。

【長坂環境研究技術室長】 本日、もう一点議題がございまして、不要財産の譲渡収入による国庫納付についてでございます。
 こちらについて、資料6をご覧いただければと思います。資料6、こちらは、国立環境研究所から2月28日付で申請が出てございます、不要財産の譲渡収入による国庫納付の認可についてというものでございます。
 この内容でございますが、一に書いてあります小型電気自動車につきまして、これは不要だということで、これを使った研究というのは既に終了しておるということで、不要ということで既に売却してございます。平成21年の2月17日に譲渡してございまして、それによって得られた収入の額、四がございますが、35万円ということでございます。
 1枚めくっていただきますと、カラーの写真が、電気自動車の写真がございますが、こちらの方を売却をして収入を得たという状況でございますが、こちらについて、この不要財産の譲渡収入を国庫納付してよろしいかという申請が来ているというものでございます。
 ちなみに、こちらは、1ページ目の裏面に、独立行政法人通則法が参考に書いてございますが、こちらで規定されているものでございます。昨年改正されて、こういった不要財産については、国庫へ納付、あるいは売却をした収入については、それを納付するということになってございまして、附則が一番下にございますが、施行日前に独立行政法人が行った財産の譲渡であっても、主務大臣が定めるものについては、政府出資等に係る不要財産の譲渡とみなして規定を適用するとされておりまして、この規定を適用して、もう既に譲渡が済んでいるものでございますが、この収入の額35万円を国庫に納付してよろしいかという申請でございます。
 以上でございます。

【高月部会長】 一応、この件も、この部会の所掌範囲ということでいいんでしょうか。

【長坂環境研究技術室長】 前々回の部会において、部会の所掌範囲ということでおろさせていただいています。

【高月部会長】はい、わかりました。
 特に何かご議論はございますでしょうか。

【高木委員】 もうここまで話が進んでいれば、認めるも認めないもないと思うのですが。
 ちょっと確認の意味で教えていただければと思うのですが、内部でこの小型電気自動車を使うという提案の仕方というのはなかったのですか。環境にいい電気自動車というようなことで、国環研にはうってつけのような気もしますのですが。

【安岡国環研理事】 この写真に載っておりますように、これはちょうど車がシャーシダイナモというところに乗っかっております。ガソリン自動車、電気自動車、さらにはハイブリッド自動車、これらを、私どもが持っております自動車の評価施設がございまして、このシャーシダイナモに載せて使った車でございます。ですから、相当の走行テストをしまして、いろんなモードでテストをして、効率を調べました。かなりもうぼろぼろになっているということもあって、実験終了につき売却をしたいということで手続をとったものです。ですから、通常的な用途に使っているわけではないので、完全に実験の施設として購入いたしました。

【高月部会長】 そういうことですので、もうお役目御免ということで、こういう手続で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 今日は、ちょっと時間が早く進んでおりましたけども、これで一応シナリオどおりでございますので、最後になりますけども、局長さん、それから理事長さんから、最後のごあいさつを賜りまして終わりたいと思います。
 それでは、局長さんの方から先にお願いできますか。

【白石総政局長】 どうも大変お忙しいところお集まりいただきまして、活発なご議論、どうもありがとうございました。
 中期目標、それから中期計画の策定、皆様方のご意見を踏まえまして、きちんとした文章を、計画の方は若干の文言修正をさせていただきますけれども、それに則りまして、来年度以降、環境省としても、それから国環研としても、頑張っていかなきゃいけないというふうに思っております。一つつけ加えますと、この政独委のメモにつきましても、政独委の担当の方に、メモはつくりませんけども、雰囲気はお伝えしておこうと思っております。
 ありがとうございました。

【高木委員】 名前も出していただいても結構です。

【高月部会長】 ありがとうございました。
 それでは、理事長さんから。

【大垣国環研理事長】 本当に、長時間、熱心なご審議をどうもありがとうございました。
 多分、言葉の問題等でわかりにくさがあったのではないかとおもいますが、委員の方々からご指摘いただいたことは、本質的な部分に関わる点がありますので、それを十分生かして、研究所の運営を進めていきたいと思います。
 どうぞ今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

【高月部会長】 ありがとうございました。
 今期に、この中期目標・中期計画をやらないといけないということで、かなり頻繁に集まっていただきまして、本当にありがとうございました。
 一応、ここで一区切りということで、終わらせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。