第21回環境省独立行政法人評価委員会 国立環境研究所部会会議録

日時

平成22年8月24日(火)15:01~16:39

場所

経済産業省別館11階1111号会議室

議題

(1)
平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価等について
(2)
独立行政法人国立環境研究所の財務諸表の承認について
(3)
中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての当初案について
(4)
その他

配付資料

資料1平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績に係る各委員の評価結果一覧
資料2平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価書(案)
資料3総合評価に係る評価比率について
資料4平成21年度財務諸表
資料5総務省事務連絡「中期目標期間終了における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての当初案整理表」等について(作業依頼)
資料6「見直し当初案」
資料75年前の「見直し当初案」
資料85年前の「独立行政法人国立環境研究所の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」
資料95年前の「独立行政法人国立環境研究所の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」における指摘事項を踏まえた見直し案
資料10国立環境研究所第3期中期目標・中期計画策定までのスケジュール
参考資料1独立行政法人国立環境研究所の業務実績評価に係る基本方針
参考資料2環境報告書2010
参考資料3独立行政法人評価委員会関係基礎資料
参考資料4閣議決定「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」(平成15年8月1日)
参考資料5政独委決定「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針」(平成15年7月1日)
参考資料6行政刷新担当大臣発「独立行政法人・政府系公益法人等の抜本改革に向けた当面の進め方」(平成22年6月18日)
参考資料7行政刷新会議発「独立行政法人が行う事業の横断的見直しについて」 (平成22年5月18日)
参考資料8最近の勧告の方向性の例「独立行政法人の事務・業務の見直し結果(概要)」(平成21年12月9日)
参考資料9見直し当初案の記載要領

出席者

委員 磯部 力委員 熊谷洋一委員 小池勲夫委員、
佐和隆光委員 高月 紘委員 高木勇三委員 西間三馨委員
松尾友矩委員、三橋規宏委員
環境省 大臣官房 加藤審議官
総合環境政策局 秦環境研究技術室長
川上総務課長
国立環境研究所 大垣理事長
安岡理事
鏑木理事
笠井総務部長
齊藤企画部長

議事

【秦環境研究技術室長】 それでは、若干定刻を過ぎておりますけれども、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会第21回国立環境研究所部会を開催いたしたいと思います。
 本日は、委員10名のうち、現時点で7名の先生方にご出席をいただいております。評価委員会令6条第1項の規定により、過半数ということで定足数を満たしておりますことをご報告申し上げます。
 また、本日の会議につきましては、公開ということで進めさせていただくということを申し添えておきます。
 まず、議事に入ります前に、8月の環境省の人事異動で審議官が交代をいたしております。森審議官の後任で加藤審議官でございます。
 それでは、引き続きまして、ごあいさつをよろしくお願いしたいと思います。

【加藤審議官】 8月10日付で国交省から、こちらの環境省の官房審議官に参りました加藤でございます。わからぬこと、至らぬことがいっぱいでございますが、どうか今後ともご指導方よろしくお願い申し上げます。本日はご多忙の中、また大変暑い中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日、国立環境研究所につきましては、第2期中期計画の4年目が終了ということで、今日は21年度の業務実績の評価についてご議論をいただく運びとなりました。これまで先生方から貴重なご意見をいただき、業務の改善を進めてまいりました。これまでのご指導に感謝申し上げますとともに、本日のご評価をよろしくお願い申し上げます。
 また、今年度は、たまたま第2期中期目標・中期計画期間の最終年度であります。したがいまして、第3期に向けて組織・業務をどう見直していくのか、検討にも着手しなければいけないということでございます。ということで、本日は、その第一段階の見直しの当初案につきましてご議論をしていただくこととなってございます。本日、先生方にはいろいろご審議を賜れば幸いでございます。
 それから、今後とも次期中期目標・中期計画の策定に向け、これからも引き続きご指導を賜りますようにお願い申し上げます。
 以上、甚だ簡単ではございますけれども、開会に当たり、ごあいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございます。

【秦環境研究技術室長】 それでは続きまして、配付資料のご確認をさせていただきたいと思います。皆様のお手元に、本資料と参考資料という形で配付をさせていただいております。
 まず、本資料でございますけれども、1枚めくっていただきまして、議題と資料一覧を載せたペーパーをご用意いたしております。これに沿いまして、ご確認させていただきたいと思います。
 まず、資料1でございますけれども、各委員の皆様方に評価をしていただきました評価結果の一覧をご用意いたしております。続きまして資料の2、これらをまとめた全体としての評価書の案でございます。それから資料の3でございます、これは1枚ぺらでございますけれども、前回お決めいただきました評価比率でございます。それから、資料の4が薄い冊子となっておりますけれども、財務諸表でございます。それから、資料5以降が追加した議題でございますけれども、資料5が総務省からの作業依頼に関した1枚紙でございます。資料6が、今日ご議論いただきたいと思っております独法の見直し当初案の案文でございます。それから資料7でございますけれども、これは前回5年前に同様につくりました見直し案、前回の例ということでございます。資料8が、前回総務省の政独委からいただきました勧告の方向性、5年前の例でございます。資料9が、これも5年前の前回の例でございますけれども、先ほどの勧告の方向性を踏まえまして、最終的につくりました見直し案でございます。資料10が、次の中期目標・中期計画策定に向けたスケジュール案でございます。
 続きまして、参考資料にまいります。参考資料の1でございますけれども、業務実績評価に係る基本方針という2枚ものでございます。参考資料2は、国立環境研究所の環境報告書、このような冊子となっております。参考資料3は、毎回お配りしておるものでございますが、関連する法規類、紙ファイルにとじさせていただいております。参考資料4以降でございますけれども、次の中期目標・中期計画の見直しに向けた関連資料となっております。参考資料4が、組織・業務全般の見直しについてという閣議決定文書、参考資料5が、勧告の取組の方針という総務省政独委の決定文章でございます。それから、参考資料6と7でございます。これは最近の資料でございますけれども、行政刷新会議から独法関係で出されている抜本改革から見た当面の進め方、それから参考資料7が、横断的見直しについてというものでございます。参考資料8は、横長の少し厚い資料になっておりますけれども、最近の総務省の政独委の勧告の方向性の例ということで、特に政権交代後の事例ということで、産総研の例を挙げさせていただいております。参考資料9でございますけれども、今回ご議論いただきます見直しの方向性についての書き方といいますか、記入例、記入要領でございます。
 以上が資料となってございますけれども、もし配付漏れ等がございましたら、お申しつけいただければと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは、これ以降の議事進行につきまして、高月部会長によろしくお願いをいたします。

【高月部会長】 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 改めまして、大変お暑うございます。ご出席ありがとうございました。私もちょっと熱中症一歩手前ですので、ぼけるところがあるかもしれませんが、ご協力のほどひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それでは最初の議題でございます、平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価についてでございますけれども、前回の第20回の部会におきまして、国立環境研究所より業務の実績の報告がありまして、それを踏まえて、各委員の皆さんに評価をお願いして、部会長案で作成してまいりました。この評価書の部会長案につきまして、最初に事務局から説明をお願いして、議論に入っていきたいと思います。
 それでは、事務局お願いいたします。

【秦環境研究技術室長】 ご説明に先立ちまして、例年行っていることでございますけれども、平成19年12月に閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画におきまして、独法の評価の際に、業務マネジメント等に係る国民の意見募集を行うということにされておりまして、これを踏まえて、平成22年7月13日から22日までの間、意見募集を行いましたけれども、意見等はございませんでしたということをまずご報告申し上げます。
 それでは引き続きまして、これまでに先生方にご評価をいただきました結果及びそのまとめ等につきまして、ご説明を申し上げたいと思います。資料の1に、先生方からご提出いただきました評価をもとに、そのまとめを行っております。これに沿いまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項というところでございますけれども…。

【高月部会長】 ちょっと待ってください。評価をする前に、関係の方々は、いいのですか。

【秦環境研究技術室長】 とりあえず、私からご説明をさせていただきまして、その後ご質問・ご意見がありましたら、ご質問・ご意見等をいただきまして、その後、具体的な審議という格好で進めさせていただければと思います。

【高月部会長】 わかりました。ではお願いします。

【秦環境研究技術室長】 まず、環境研究の戦略的な推進というところでございますが、こちらは、委員皆さん全員Aということで、評価もAといたしております。まとめでございますけれども、他機関との共同研究が大幅増になっていると、それから海外の研究機関との連携も進展しているといったことから、着実な連携・協力が進められて、戦略的な推進が図られていると。今後については、相手機関や人材の質の確保、長期的な研究体制の確保等、次期中期計画に向けて検討すべきであるという形でまとめさせていただいております。
 それから2ページ目にまいりまして、重点研究プログラムのところでございます。これにつきましても、Sが一つ、Aが9という評価となってございます。全体はAということにいたしております。この4つの研究プログラムにつきましては、外部評価においても高い評価を受けていると。あわせて、評価結果を受けて研究テーマの見直しを適宜行っていると、そういった改善も図られており、着実に進捗していると。今後は、各プロジェクト間の連携、政策貢献に至るまでの一貫した研究体制の更なる構築など、個々のプロジェクトの推進のみならず、より有機的な連携が求められるというまとめを行っております。
 3ページ目にまいりまして、基盤的な調査・研究活動。こちらもAが10ということで、全体の評価もAといたしております。8分野の基盤的調査研究において、外部評価を積極的に活用して高い評価を得ており、着実に進展していると。基盤的研究の段階から、政策貢献に向けた研究へのステップを常に意識し、次なる重点プログラムにつなげていくことが必要であるというまとめをいたしております。
 続きまして、知的研究基盤の整備でございます。こちらもSが2、Aが8ということで、全体はA評価といたしております。これにつきましても、地球環境モニタリング、標準試料作成など、外部評価においても高い評価を得ており、着実な基盤整備が図られていると。こうした業務は国立環境研究所にしかできないものであり、我が国全体の中での役割についてしっかり議論していくべきというまとめをいたしております。
 続きまして、研究成果の評価・反映でございます。こちらについては、Sが一つ、Aが8個、Bが一つとなっておりまして、総体として評価Aといたしております。優れた専門家で構成される外部評価委員会が適切に機能し、結果も公表されるなど、充実した評価がなされていると。今後更なる改善に向けて、評価基準の明確化、評価委員への外国人の登用について検討することが望まれる。評価結果の反映については、対処方針が取りまとめられるなど、適切に行われているとまとめております。
 5ページ目にまいります。環境に関する総合的な情報の提供。こちらはS評価が四つ、A評価が六つということで、全体の評価をAといたしております。新しいコンテツの積極的開発等が奏功し、環境技術ポータルサイトの利用件数が2.1倍増という成果を得たことは高く評価できると。今後については、要因分析を行い、今後の対応につなげていくとともに、環境に関心のある関係者に対し、新規情報をリアルタイムで配信するなど、いっそう国民に情報提供していく方法を検討すべきであると、まとめさせていただきました。
 続きまして、環境研究・環境技術に関する情報の提供でございます。こちらはSが五つ、Aが五つということで、五つ、五つということではあるのですが、評価についてはSといたしております。ポータルサイトの使いやすさの向上や、コンテンツの充実によるのではないかと推測されるが、研究・技術開発の情報に関するHPの利用件数が2.3倍に増大するという大きな成果を上げており、情報の整備・発信に努めている。
 なお書きですけれども、今の(1)と(2)につきましては、区別せずに評価するのが適当であり、次期中期計画において反映すべきであるとまとめております。
 続きまして、環境の状況等に関する情報の提供、これについてはAが10ということで、評価はA。自動車CO2排出マップ等新規コンテツの追加、認知度向上に努めるなどにより、目標として掲げた利用件数の1割増を達成し、着実な進展が図られたとまとめております。
 続きまして1-3でございますけれども、研究成果の提供等というところで、S評価2、A評価8となっております。プレスリリース、研究論文の発表数等の実績が大幅に増大していると。研究成果の発信に優れた成果を上げたものと評価できる。国環研のホームページのアクセス数については頭打ち状態であり、ポータルサイトの見やすさを追求するなど、改善が望まれる。
 なお、目標として研究論文の発表数を掲げているが、その「質」の評価も重要となってくることに留意すべき。また、研究成果の提供においては、発表論文の項が重要であることから、実績報告書の書式はこれを冒頭に持ってくるよう改めるべきであると、まとめております。
 続きまして、研究成果の活用促進でございますけれども、A評価が7、B評価が3と、全体としての評価はAといたしております。産学官交流など他機関との連携が適切に推進され、特許等の取得・活用のための支援の取り組みも進展しており、概ね適切な成果を上げているとまとめております。
 それから、1-3(3)社会貢献の推進でございます。こちらはSが1、Aが8、Bが1となってございます。全体としての評価はA。公開シンポジウムや研究所の一般公開など、国民への普及・啓発活動に努力しており、適切な取り組みがなされている。客層の分析等を通じて今後の活動にフィードバックするとともに、アンケート結果等について実績報告書に記載すべきであるとしております。
 続きまして、環境政策立案への貢献と、こちらについてはAが9、Bが一つということで、9ページでございますが、全体の評価はAとさせていただいております。各種審議会、その他の検討会等へ積極的な参画が進められているとともに、第20回国立環境研究所部会の参考資料7に見られるような環境政策への寄与について成果を上げている。ただ、こうした記述は実績報告書に記載すべき。また、政策貢献については、研究者個人だけでなく、組織的に対処することが重要であり、こうした体制づくりも検討すべきであると。
 なお、評価に当たっては、研究成果がどう国の政策に活かされるかという観点から行える方法を検討すべきであると、まとめております。
 続きまして、<2>に移りますけれども、業務運営の効率化に関する事項でございます。まず、戦略的かつ機動的な組織の編成ということでございますが、A評価が7、B評価が3となっておりまして、全体として評価はA。組織内の周知徹底も含め、コンプライアンスを図るための体制の維持・充実が図られており、概ね適切な取り組みがなされている。契約研究員等の人員数が常勤研究員数を超えるなど、人事管理の面で難しい局面を迎えており、いっそうのコンプライアンス強化が必要であるとまとめております。
 続きまして、人材の効率的な活用でございますけれども、A評価が8、B評価が2となっておりまして、全体としては評価Aとしております。人件費削減の制約がある中で、時代の要請に応えようと様々な工夫を凝らしており、人材の効率的な活用が図られている。一方で、契約研究員、高度技能専門員等の増加に伴い、研究レベルの維持、複雑な人事管理等の問題が生じてくる可能性がある。一研究所では対処しがたい問題でもあり、そろそろこうした厳しい現状について社会に働きかけていくことも考えていく必要があると、まとめております。
 続きまして、財務の効率化でございます。こちらは、A評価が3、B評価が7ということで、全体の評価はBといたしております。今回ご評価をいただいた中では、唯一のBとなっております。人件費の削減については計画どおり進捗しているが、業務費については目標をわずかに達成していない。また、自己収入についても競争的資金の獲得は増えたものの、全体として目標額に到達していない。契約の見直しについては、規程の見直し等様々な努力を続け、一般競争入札の比率が増えるなど一定の成果を上げているが、研究機関の特性を考えるとやむを得ない部分があるとはいえ、一者応札率が高止まりである状況も見られ、更なる透明性・競争性の確保のための工夫が求められるというまとめをいたしております。
 続きまして、効率的な施設運用でございますが、Aが9、Bが1、総体でAと。大型研究施設の計画的な改修等が図られ、適正に運用されている。国環研は設立以来、相当経過しており、老朽化が進んでいる施設について、その管理をどう行っていくか、検討が必要であるとまとめております。
 続きまして、情報技術等を活用した業務の効率化でございますが、これはA評価が8、B評価が2となっておりまして、全体でA。所内ネットワークシステムの安定的かつ適切な稼働、コンピューターシステム最適化計画の実施等により、業務効率化の進展が図られている。業務実績報告書の記述については、システム最適化計画のスケジュールと比較して記述すべきであるとまとめております。
 続きまして、業務における環境配慮でございますが、こちらはS評価が2、A評価が8と、全体として評価A。CO2削減、省エネ、廃棄物削減等に着実に取り組み、削減目標値を大幅に上回る成果を持続的に上げていることは非常に高く評価できる。こうした成果について、外部に発信していくべきであるとまとめております。
 続きまして、業務運営の進行管理でございますけれども、A評価が8、B評価が2、全体として評価はA。外部評価も含めた研究評価の実施等、進行管理は概ね適切に行われていると評価できるが、一部に倫理規定違反等が発生しており、再発防止を含めたいっそうの対応強化が必要とまとめております。
 それから<3>、<4>でございますけれども、<4>、その他業務運営に関する重要事項。施設・設備の整理及び維持管理でございます。A評価が8、B評価が2で、総体として評価はA。計画的な施設・設備の整備・改修や維持管理が行われており、適切な対応がなされているとまとめております。
 最後、人事に関する計画でございますが、A評価が9、B評価が1でございまして、全体として評価はA。中期計画に基づき、人件費の削減、適切な人材運用が図られている。しかしながら、人件費一律削減に伴い契約職員等の増大に頼らざるを得ない現状は問題であり、この点は社会に訴えていくべき時期に来ているのではないかと、まとめております。
 こうしたまとめをもとに、次の資料2でございますけれども、全体の評価書をまとめさせていただいております。評価書は2部構成になっておりまして、3ページ目までが概評の部分でございます。それから、4ページ目以降の事項別評価につきましては、今、私が口頭でご説明をいたしました評価書の評価のまとめの欄と同じ文言を記述いたしております。
 1ページ目に戻りまして、概評でございますけれども、基本的に昨年度の評価書と同様のトーンで全体を書かせていただいております。1ページ目の2パラのところでございますけれども、全体的にいえば、中期計画に定めた諸計画を滞りなく適切に進めていると結んでおります。
 それから、次のパラの下から3行目あたりにございますけれども、業務の運営という側面で見ても、研究所としてかなり秀逸と言えるレベルでの運営がなされているが、今後、他の公的研究機関における業務運営も参考にしつつ、一層のレベルアップがなされることが望まれる、といたしております。
 2ページ目以降に個別分野の簡単なまとめを行っておりますけれども、まず、環境研究のところでございますけれども、下から2行目、外部評価においても高い評価を得ているという記載をいたしております。
 それから、環境情報の収集・整理・提供においても、目に見える成果を上げているとしておりますけれども、引き続き、環境情報のユーザーや利用方法の把握に努め、正確かつ適切な環境情報をできるだけ広い範囲で利用できるよう工夫することが望まれると、まとめております。
 それから、研究成果の積極的な発信と社会貢献でございますけれども、全般的に適切に取り組まれていると。それから、我が国の環境政策の寄与についても、大きく貢献していると結んでおります。
 業務運営につきましては、全体的には改善が図られているとしつつも、2パラでございますけれども、一方で、人材活用や契約関係の面では課題もあり、一研究機関のみでは解決が難しいものもあることから、社会への働きかけ等も含めた対応が必要であると結んでおります。
 全体の結論といたしまして、平成21年度の業務については、評価比率を用いて項目ごとの評点を合算したところ3.92であり、総合評価は[A]となると。
 この評価比率につきましては、その次の資料3、前回お決めいただきましたこの評価比率に基づきまして、各項目の点数を評価比率で配分して、集計をして、合算いたしましたところ3.92ということでございまして、3.5から4.5の間ということで、総合評価についてはAという形でまとめさせていただいております。
 それから、20年度の業務実績評価でご指摘いただいた事項についても、前回の7月9日の部会でご説明させていただいたわけでございますけれども、可能な範囲で適切に措置されていると評価できるということでまとめさせていただきました。
 4ページ目以降は、先ほどご説明したことの繰り返しになりますので、省略をさせていただきます。
 以上、評価書につきましてご説明をさせていただきました。

【高月部会長】 はい、ありがとうございました。
 これからこの原案につきまして、この部会で最終的な取りまとめをしたいと思います。いつもですと、この最終的な結論を出す前に国環研の方々に一度退席していただいて、それから審議をさせていただくということになりますが、その前に、ここで国環研の方々に質問が、今さらながらと思いますけれども、何かあればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(なし)

【高月部会長】 それではないようですので、国環研の方々には恐縮ですが、一たんご退席お願いしたいと思います。

(国立環境研究所員退席)

【高月部会長】それでは、今、事務局から案を説明いただきましたけれども、改めまして、今日の会で、こういう案で進ませていただいてよいか、その辺をまた少しご議論を賜りたいと思います。二つに分けまして、最初の方の国民に対する提供するサービス、あるいはその他の業務の質に関する事項、それからあと業務運営、効率化に関する事項と、ちょっと切り分けて議論をしていただきたいと思います。最初の、いわゆる国民に対する提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項に関しまして、今、取りまとめたような評価書案で何かご指摘等がございましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【佐和臨時委員】 この項目で言うと、どの範囲ですか。

【高月部会長】 業務の効率化の手前ですので…。

【秦環境研究技術室長】 資料1でいいますと、9ページの<1>の部分でございます。9ページの頭のところまででございます。

【高月部会長】 業務運営の効率化に関する事項というのが9ページの頭にあるかと思いますが、ここまでで、もし何かあればということなんですけれども。
 特に、少しご意見が分かれました環境に関する総合的な情報の提供のところで、Sが4、Aが6、あるいはSが5、Aが5ということで、片一方はAで、片一方はSという、ちょっと案を出させていただいたのですが、これでよろしいかどうかの辺も含めてご議論をいただければと思いますが。一応こちらサイドとしては、めり張りがついた方がいいかなと思って、5・5だったのですけれども、結論はSということにさせていただきました。
 あとは、ほとんどAが圧倒的に優勢でしたので、そのままAということにさせていただきましたけれども、ちょっと意見が分かれたのが、そのあたりだったかと思います。あるいは、中には若干厳し目のBをつけておられる委員の方もおられましたので、もしその辺で何かまだ至らない点のところがありましたら、ご指摘いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【磯部委員】 今の点、つまらんことですけれども、<2>の(1)と(2)でAとSに分かれて、それはそれでよろしいかなと思っているんですが。それに、今度からは(1)と(2)は区分せずに評価するほうがいいと。これはこういうご意見があったということで、よかったのでしょうか。

【高月部会長】 そうですね。

【磯部委員】 仮にそうなると、今度からは、このように分かれたときにはSになるんですか、Aになるんですか。こっちで区別して評価しておきながら、今度から一緒にせよというのも、何かちょっと…。

【高月部会長】 ですから、評価の段階で既に一緒にするかもしれませんね、次回のときに。

【磯部委員】 いや、両方全く同じなんだから一本にせよというのならわかるのですけれども。今回別々に評価しておきながら、次回から一本にせよというのは、何か理屈が通らないような気もするんですけれども、そんなことはないですか。

【高月部会長】 恐らく各先生方、切り分けて評価しづらかったのではないかと、そういう意見の反映だったかと思います。

【磯部委員】 わかりました。

【高月部会長】 事務局サイドで何かありますか。

【秦環境研究技術室長】 先生に言っていただいたとおりだと思います。

【高月部会長】 特に強いご意見もなさそうなので、もう一つの業務運営の効率化に関する事項のくだりですが、以下効率的な運用とかいろいろございますが、そこでは唯一Bという項目ができましたけれども、この辺の評価はやむを得ないかなという気がいたしますけれども、何かそこら辺で、もしご意見がございましたら言っていただきたいと思いますが。

【小池臨時委員】 これはしようがないですね。数値を出しているから、しようがないです。ここは、私はそれでいいと思うんですけれども、いわゆる数値目標で何倍にするとかと言っているときに、それをどの程度超えたときにSにするという判断が、なかなか難しいんですよね。目標値から3倍になったらば、すごいからSでもいいんじゃないかとか、となるんですけれども。そういうので、一般的な何かガイドラインみたいなものはあるんでしょうか。

【秦環境研究技術室長】 私の知る限りでは、そういったものは承知しておりません。恐らく難易度が項目によっていろいろ違うかと思いますので、なかなか一概には決めがたいという性質のものではないかと思料いたします。

【高月部会長】 目標値あたりで、数値目標が上っているものは比較的評価もしやすいんですけれども、そうでもないものも含めて評価していくので、時々業務実績報告書の中に、実際にどれぐらいに数値的に上昇したのか、具体的な数値が読みづらいものもございましたので、その辺は今後改良していただきたいと、お願いしたいなと思います。具体的に、前期の目標値の最終年度に対して、今回は何倍になっているというくだりがあるんですけれども、前が幾らであったかの数値がわからないままに評価するというのもおかしいところがありますので、そういうところはちょっと、具体的な数値がある場合にはそれを出していただくということは、お願いしたいと思います。
 ほかは、いかがでしょうか。外部の関係も含めて、特に評価を大きく変えるようなご発言はございませんでしょうか。
 何度もメールでやりとりしていただいて、途中経過なんかも見ていただいていますので、それほど大きな疑義等はないかというふうに判断させていただきますので、もしも何かございましたら改めていただくとしまして、今日は特に修正がないということであれば、若干ご意見をいただきましたことも含めて修正させていただいて、報告をさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【高月部会長】 それでは、ちょっと部会長預かりで、あと事務局サイドで若干の修正はするとは思いますけれども、大筋この線で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 今日は、本来ならこれでおしまいなんですけれども、まだちょっと控えておりますので、まず前半の評価につきましては、これぐらいで議論をとめさせていただいて、一度また国環研の方々に入っていただいて、最終的な結論を報告させていただきたいと思います。
 ちょっとお待ちください。

(国立環境研究所員入室)

【高月部会長】 なお、この結果につきましては、独法法の通則32条3項に基づきまして、国立環境研究所及び総務省における環境政策評価委員会に通知するとされていますので、事務局を通じて手続を行わせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 それでは、先ほど別室に行っていただきましたけれども、こちらサイドで先ほど説明いただきましたものにつきまして、若干修正がありましたけれども、おおむねそれでいいだろうということになりました。
 したがいまして、平成21年度の独立行政法人国立環境研究所の業務につきましては、第2期中期目標の達成に向けて適正に成果が上っていると判断し、総合評価はAということにしたいと思います。ただし、国立環境研究所には、非常に国民の期待が大きいものがありますので、これから研究業務、情報の業務、そして業務の運営にわたりまして、一層のレベルアップをお願いしたいというところでございます。ぜひ積極的な検討、対応がなされるようにお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 理事長から何かございましたら、お願いしたいと思います。

【大垣国立環境研究所理事長】 評価ありがとうございます。第2期中期目標の達成に向けて、研究所を挙げて努力をしているところでございますが、適切に成果を上げているとの総合評価Aをいただきまして、どうも本当にありがとうございました。
 部会長の高月先生からご指摘をいただいたとおり、研究所への社会の大変高い期待を肌身に感じているところでございます。特に環境に関する国際的取り決めに関しまして、気候変動に関する案件とか、今年の生物多様性に関する案件などに関しましては、昨年度から今年度と、大変その分野での研究業務、情報業務が活発化しております。その中で所員全部が頑張っているところでございます。
 評価書でいただいた様々なご指摘の点に関しましては、より一層の質の向上を図るべく努力してまいりたいと思っております。次期中期計画の準備も含めまして、限られた人件費、あるいは資源、あるいは国立環境研究所は36年たっておりまして、諸施設がやや古くなっているということもございますが、そういう中で業務運営をより全所員ともども充実させてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくご指導のほどお願いいたします。どうもありがとうございました。

【高月部会長】 ありがとうございました。
 それでは、次の議題であります、平成21年度独立行政法人国立環境研究所財務諸表についての承認についてでございますけれども、これは主務大臣が承認するに当たり、あらかじめ部会の意見を聞いておかなければならないとされております。前回の部会において、国立環境研究所の笠井総務部長より説明をいただきました。財務諸表について、特に部会として意見がなしということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【高月部会長】 特にないようでございますので、特になしということで、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題の3でございます。独立行政法人国立環境研究所の中期目標期間の終了時における組織・業務全般の見直しについての当初案について、議論に入りたいと思います。
 それでは、本日準備されました資料に基づきまして、事務局からまず説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【秦環境研究技術室長】 こちらの業務は、新たに今回ご議論をいただきたいということで、追加をさせていただいた部分になります。この見直しについての当初案でございますけれども、ある意味ルーチン・ワークではあるのですが、何せ5年に1回のルーチン・ワークでございまして、ちょっと解説を加えたいと思います。
 まず、資料が前後して恐縮なのですが、資料10にスケジュール案というものを準備させていただいておりますので、こちらにつきまして、ざっと大まかな流れをご説明させていただきたいと思います。ご承知のとおり、国立環境研究所の第2期中期計画は今年度までとなっておりまして、来年度からは第3期の中期目標・中期計画期間に入っていくことになっております。今年度は最終年度を迎えるということで、次期中期目標・中期計画に向けていろんな作業、手続をして、次なる中期計画をつくっていくという流れとなっております。

【佐和臨時委員】 お話を伺う前に質問なのですが、独立行政法人の場合は、中期というのは5年ですか。

【秦環境研究技術室長】 必ずしも、どの法人も5年と決まっているわけではなくて、法人の性格によって3年のところもあると聞いています。

【佐和臨時委員】 研究所的なところは大体。

【秦環境研究技術室長】 おおむね5年だと思います、研究所は。

【佐和臨時委員】 それで、さっきおっしゃいましたが、今年度が第2中期の最終年度ということですね。

【秦環境研究技術室長】 そうでございます。
 資料10の8月という欄に、今、行おうとしている作業でございますけれども、中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての当初案というものをつくるということになっております。これが次期中期目標・中期計画に向けた最初の第一歩ということになります。この見直しの当初案を総務省に、今月末までに提出をするということになっております。右側の欄に移行しますけれども、10月のところに書いてあります、主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性と。総務省の政独委が、国環研については、こういう方向性で次の中期目標・中期計画に取り組むべきではないかという考え方を検討して、示してくるという格好になります。それを11月の欄に記載しておりますけれども、私どもはこの勧告の方向性というのを受け取りまして、それを踏まえた修正見直し案、独法通則法の用語で言えば、所要の措置ということになるんですけれども、こちらをつくることになります。そして、この所要の措置を検討するに当たっては、独法評価委員会の意見を聞かなければならないということになっておりまして、12月の冒頭に、独立行政法人評価委員会を開催すると。この見直し案について諮問・答申すると、そういう流れになります。こちらは部会ではなくて、親委員会にお諮りをすることになります。
 これで所要の措置の答申をいただきまして、これを行革本部に説明することになっております。この行革本部の了承をもって、大まかな見直しの方向性が決まり、それをベースに、次なる中期目標・中期計画を審議していくという流れとなっております。
 1月以降、こちらの部会を開催させていただきまして、中期目標案、それから中期計画案、これらをそれぞれ審議いただきまして、取りまとめをいただき、年度内に中期計画の認可を主務大臣、環境大臣がするということをもって中期目標・中期計画が決定をし、次年度以降の5カ年の業務を進めていくと。大まかにそういう流れとなっております。その第一歩が、本日これからご検討いただきます見直しについての当初案ということになります。
 以上が、大まかな流れなのでございますけれども、そもそもこの見直しの当初案というのはどういう性質のものかということにつきましては、カラーの冊子の次についております参考資料4、文字ばかりの閣議決定文書でございます。平成15年に閣議決定をされた文書でございまして、直接的に関係する部分が、1枚めくっていただきまして、2ページに2.概算要求及び概算決定に向けた取組というところでございますが、「主務大臣は、1.の勧告方針に即して審議会が勧告又は勧告の方向性等の指摘を行うこととなることを踏まえ」、ここで言っている審議会とは総務省の政独委のことです、「基準2及び3に掲げる具体的措置を盛り込んだ独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての当初案を作成し」ということになっています。
 ここで基準2・3と書いてありますのが、3ページ目以降になります。別紙といたしまして、中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る基準となっておりまして、基準2というのが3ページの下の方にございますけれども、事務及び事業の改廃に係る具体的措置と。基準3は、4ページに3として書いてございます。独立行政法人の組織形態に関する見直しに係る具体的措置ということになっております。この基準2及び3について見直しの当初案を作成しなさいということになっておりますが、基準2というのは何を言っているかというと、事務及び事業の廃止をすべきではないか、あるいは民間や地方公共団体に移管すべきではないか、法律で制度的独占をされているのならそれを廃止すべきなのではないかといったような、非常に大きな視点での措置が並んでいると。
 それから基準3の部分でございますが、これは大きく(1)(2)(3)とございますけれども、まず(1)は、有り体に言いますと、もう業務がじり貧になったような法人は廃止しなさいと。(2)は、民間でやっていけるような法人は民営化しなさい。(3)については、要するに公務員型の独法については、非公務員化しなさい。そういったような措置について検討せよということになっております。したがいまして、まさに入り口の部分ですね、独法の存続を前提として次期中期目標・中期計画をどうするのということではなくて、そもそもこの独法は要るの、要らないのと。要るなら民営化すべきではないの、あるいはほかの法人とまとめてやるべきなんじゃないのと、そういった非常に大まかな入り口の部分での整理をしなさいということになっております。
 そして、この具体的なフォーマットを決めているのが、あちこち前後して大変恐縮なのですが、本資料の資料5の1枚ペラでございますけれども、総務省の方から事務連絡という形で、今年7月に、各省に見直しについての当初案整理表等についてということで作業依頼が来ておりますけれども、具体的なフォーマット、今申し上げました基準2及び3、本資料の資料5です。総務省から依頼文書が来ておりまして、具体的なフォーマットが示されております。このフォーマットに即して、基準2及び3についてまとめましたのが、資料6という横長のペーパーになります。
 資料6につきまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。資料6の一番表についておりますのは、以降の資料のまとめでございますが、ちょっと省略をさせていただきまして、1枚めくっていただきますと、中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務の見直しの当初案整理表というものがございます。このページ以降から説明をさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目でございますけれども、こちらは、基本的に事実関係を記載せよという部分でございますけれども、下から三つ目の欄に、利益剰余金の推移ということで、若干文章も書かせていただいておりますけれども、昨今、独法において溜まり金を吐き出せといったような議論が盛んになされております。もちろん国立環境研究所は基金等を持っているわけではないんでございますけれども、若干利益剰余金、取得した機材等の残存価値の部分ですとか、あるいは特許の譲渡料とか、そういったもので若干の利益剰余金が発生しておりますので、そちらの事実関係を記載させていただいているところでございます。
 それから1枚めくっていただきまして、2ページでございますけれども、見直しに伴う行政サービス実施コストの改善内容及び改善見込み額ということで、こちらは人件費1%削減、約2,500万円と書かせていただいておりますけれども、行革推進法におきまして、平成18年から22年までの5年間で、独法については人件費を5%減らしなさいということになっております。それだけですと、22年度、要するに今年度いっぱいで人件費削減のたがが外れるということになるんですが、実は骨太の方針2006、平成18年の閣議決定におきまして、この取組は23年度まで延長するということになっておりまして、次期中期計画の最初の年度につきましては、要するに来年度につきましては、どの独法も人件費を1%減らすということが閣議で決まっておりますものですから、それに即して、23年度分についてのみでございますが、人件費の1%削減というのを書かせていただいております。
 それから、中期目標の達成状況が、その下の欄にございますけれども、こちらは今まさにご議論をいただきました21年度の実績の評価につきまして、簡単にまとめをさせていただいております。総合評価はAであったが、財務の効率化のみB評価であったということで、主な数値目標の達成状況について、自己収入について達成できなかったといったところも含めて、幾つか例を挙げて記載をさせていただいております。
 それから、3ページ目以降が、事務及び事業の見直しに係る当初案でございまして、こちらの表の上のほうは事実関係のみでございますけれども、一番下の欄、事務及び事業の見直しに係る具体的措置(又は見直しの方向性)という欄以降でございますけれども、要は国環研はもう要らないんじゃないかといったことに対しては、どう答えるのかといったようなことを書いております。
 読み上げますと、国立環境研究所は、我が国の環境行政の科学的、技術的基盤を提供する機関として、国際的にも環境分野における中核的な基幹として、その重要な役割を果たしてきていると。環境問題が、いっそう、複雑化、多様化する中、国立環境研究所の使命はより一層その重要性が増してきているといえることから、事務及び事業について廃止する要素は見あたらないというまとめをいたしております。
 今後の方向性のところでございますが、本年6月に中環審におきまして環境研究・環境技術開発の推進戦略というものをまとめております。従前より、環境省としては、脱温暖化社会、循環型社会、自然共生型社会、安全が確保される社会という四つの社会を同時推進していこうという方向性でやっておりますけれども、研究・技術開発に関しましては、この四つの領域のいずれにも共通な部分、それから、例えば脱温暖化と循環型の両方に資するような横断的領域の部分、それから(3)として社会実装と書いてございますけれども、研究のための研究ではなくて、その研究が実際に世の中に役立っていくと、社会に組み込まれて社会を変えていくと、社会実装という表現を用いておりますけれども、そういったことを重視して研究を推進していくべきではないかといった答申をいただいておりますので、(1)から(3)の実現に向けて、我が国の環境行政の科学的・技術的基盤を提供する機関として、国際的にも環境分野における中核的な機関として、その重要な役割を果たしていくべく、その目標・体制等について検討中であると。検討の終期を示せとかいてあります。22年度中ということで記載をさせていただきました。
 それから、次のページ、「また」以下でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、人件費の削減については23年度まで継続するということで記載をしております。
 4ページ目の備考の欄でございますけれども、こちらについては、存続するとしたら、廃止した場合、あるいは民営化した場合等に、どんな問題が起きるのかというのを書けという欄でございます。国環研のそもそもの性質といたしまして、様々な環境問題全般にわたりまして学際的かつ統合的に取り組む唯一の研究所であるという、そもそも論を書いた上で、廃止についてということで、国立環境研究所は、国際社会への貢献等も含め、環境政策の推進を科学的側面から支援するため、広範な調査研究に取り組んでおり、その成果は各種基準の設定等行政施策に反映され、これを通じて環境の保全が図られることにより、国民生活に寄与している。このため、国立環境研究所を廃止することは、環境面における将来の国民生活を脅かすことになりかねないと、記載をいたしました。
 それから、民営化についてでございますけれども、国立環境研究所は、我が国の中核的な環境研究機関として、公正・中立な立場を保持しつつ広範な環境研究を総合的に推進している。また、国際的な共同研究を進める上でも、公平・中立という研究機関のステイタスが不可欠である。このため、環境政策を支える研究を行う高度な専門家集団及び必要な施設等を継続的に維持することが不可欠である。その役割を民間に移すことは、継続的な機能の維持が図られる保証がないばかりか、公平・中立な視点を失い、国際的な協力関係を失うことになりかねない。
 それから、他法人への移管・一体的実施、他の事務及び事業との統合についてでございますけれども、国立環境研究所は、全国的、国際的な視点に立って、国内外の研究機関ともネットワークを構築しつつ、環境行政に科学的・技術的基盤を提供する研究を行うことにより政策貢献を行う中核的・総合的な唯一の研究機関であることから、他の主体による実施は困難である。仮に他の主体への移管、統合等が行われた場合、環境行政とのリンクが不明確となり、環境政策への貢献が困難になるとまとめております。
 5ページ目、その下の欄でございますけれども、行政サービス実施コストに与える影響、(改善に資する事項)でございますけれども、これは先ほど来説明しております、人件費の減について言及をいたしました。
 それから、6ページ目でございますけれども、今までは業務関連の見直しでございますけれども、組織の見直しについての当初案でございます。
 まず、見直し項目といたしまして、支部・事務所等の見直しでございますけれども、もともと国環研は支部は持っておりません。それから、東京事務所というのを以前は持っておったのですが、整理合理化計画に基づきまして、平成20年に東京事務所を廃止しておりまして、もはや該当するものはないであろうということで整理をいたしております。
 それから、その右隣の欄でございますが、事務事業実施主体の見直しでございますけれども、民間等で実施すべきではないかと。これは先ほどの繰り返しになりますので、省略をさせていただきます。
 それから一番右の欄でございますが、重複排除・事業主体の一元化等ということでございますけれども、基本的に国環研のそもそもの性質からいたしまして、環境問題に総合的に取り組んでいくという観点で研究を進めておりますので、そういう観点から行きますと、他の研究機関で実施している研究との重複はないものと理解をしていると。一方で、他の研究機関と共同でやらないとなかなか成果が得られないといったものも多数ございます。例えばGOSAT、地球観測衛星を打ち上げて、温暖化ガス濃度等の全域的把握を行っているわけですけれども、こういったことについては、もちろん衛星打ち上げのノウハウが国環研にあるわけではないので、JAXAさんと連携をして、共同でやっているといったような、そういったことを記載いたしております。
 それから、7ページ目でございますが、非公務員化についてですけれども、これについては、前回の見直しのときに非公務員化を行いますということにしておりまして、早速平成18年度より法律も変えまして、非公務員化をしております。
 続きまして、8ページ目以降でございますけれども、運営の効率化及び自律化の見直しに関する当初案ということですが、まず最初の欄、保有資産の見直しでございますけれども、国環研は、基金ですとか、あるいは職員宿舎等の必要性の低い資産は保有しておりませんということで、特に見直すべきものはないとしております。
 それから、この委員会においてもたびたび指摘を受けておりますけれども、随意契約の見直し等取引関係の見直しでございます。こちらについては、随意契約見直し計画に基づきまして、随意契約については、真にやむを得ない場合を除き競争性のある契約に移行することといたしております。また、次の中期目標期間においても、昨年の「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」の閣議決定に基づきまして設置をいたしました契約監視委員会によります定期的な点検見直し等に対応して、随意契約等に係る改善を図っていくということで記載をいたしております。
 それから一番右の欄、自己収入の拡大でございます。こちらもたびたびご指摘をいただいておりますけれども、競争的な外部資金のほか、民間等からの受託や寄付金を含め、自己収入の獲得に努めていくという方向性を記載いたしております。
 続きまして、9ページでございますけれども、管理運営の適正化(人事管理・人件費を含む)、これは先ほど来何度も出ております。人件費を1%削減しますと。それから、真ん中の欄でございますが、事業の審査、評価の見直しということについてですが、これも逐次改善を図ってきておりますけれども、研究事業については、内部評価だけでなく、外部の専門家を委員とする外部研究評価委員会において、毎年度、審査・評価を行い、事業の見直しに反映しているということを記載いたしております。
 それから一番右の欄、業務のアウトソーシングについてですけれども、こちらも以前から独法の整理合理化計画に基づきまして改善を図ってきておるところでございまして、車両運転業務や整備業務につきましてアウトソーシングを終えておりまして、できるものは既に実施をしましたということを記載いたしております。
 それから、一番最後のページについておりますのが、前回の勧告の方向性における主な指摘事項の措置状況でございます。ちなみに、前回どんな指摘を受けていたかにつきましては、資料の8でございますけれども、5年前に国環研が受けた勧告の方向性というのが三つありまして、第1が、研究の選択と集中、第2が、それも絡めた業務運営の改善、それから裏面にまいりまして、第3が非公務員化ということでございます。これらについてどう対処したんですかということで、資料6の一番最後のページに戻らせていただきますけれども、まず非公務員化については、先ほどご紹介したとおり、平成18年度より措置をしておりますと。それから、関係機関との連携の在り方も視野に入れた業務見直しを前提とする研究の選択と集中ということにつきましては、これも現在の中期計画で進めておりますけれども、4つの重点プログラムというものを設定いたしまして、それに沿った形で研究の選択・集中を図って、重点的な資源配分をしていると、既に対応しているということを書かせていただいております。
 以上のようなものをまとめまして、今月末までに総務省に提出をさせていただこうかと思っております。この内容についてご議論をいただければと思います。
 説明は、以上でございます。

【高月部会長】 ありがとうございました。
 というわけで、事務局で見直しの原案的な案を説明していただきましたけれども、ここで各委員さんから、これでいいのかどうか、ご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

【小池臨時委員】 今、研究独法の話が進んでいますけれども、それとこれとの関係はどういうふうになるんでしょうか。幾つか関連する記載が書かれていますけれども、これを書いて、後で困ることがあるかどうかということ。

【秦環境研究技術室長】 文科省で中心的にやっております、前回ご紹介させていただきましたけれども、研究独法の機能強化チームというのがございまして、これと総務省の政独委の関係は直接的にどうなのか、なかなか我々も図りかねるところはあるのですけれども。総務省の政独委も、あちらの機能強化チームの動きはかなり気にしている様子でございます。研究独法についての苦しい状況、特に人件費の削減の部分は非常に苦しいのではないかというのは、総務省の政独委もある程度理解をしておるようでございまして、そういった意味で、やはり外にどんどん発信をしていかないといけないのではないかといったような考えをお持ちの委員もいらっしゃるような雰囲気でございます。ですので、必ずしも相反するということではないのではないかと思っているのですが、全体がどういう関係で今後どうなっていくのかというのは、わかりかねるところがございます。

【小池臨時委員】 お互いにきちんと情報交換をやってくれていればいいんだけれども、それがかなり特筆的に動かれてしまうと非常にややこしいことになるので、でも、それはこちらから注文を出すわけにはいかないんですか。

【秦環境研究技術室長】 我々がコントロールできるような物事ではございませんし、もっと言いますと、行政刷新会議の動きがどうなっていくのかというところがございます。ただ、文科省の機能強化チームは、鈴木副大臣が中心に政治主導でやっているという部分という面もあるものですから、行政刷新会議の関係者にもインプットはしているようではございます。

【佐和臨時委員】 詳しいことはよく知らないんですけれども、各府省に対して概算要求の8%~10%削減というお達しがあって、現在、それぞれ概算要求の大詰めの時期だと思うんですけれども。当初、国大協などは8%削減になるから大騒ぎをしていたんですね。各国立大学に対して、地元出身の議員に三顧の礼を尽くせというお達しが来て、そういう状況だったんですけれども、結果的には、国立大学の大学法人の予算は現状維持というか、減らさないということで、正面突破をすることになったわけですね。だから、それは当然でして、仮に8%削減なんかしたら、大量の首切りをやらないといけないわけですね。それに対して、例えば、独立行政法人国立環境研究所の予算は、概算要求で環境省はどういうふうな要求をなさるのか。それが1点ですね。
 それから、いつのころからか、すべてこういう評価は総務省が統括すると、そしていろんな勧告をするという形になっていますね。そうすると、環境省がどういう概算要求をなさるのかということと、それに加えて、財務省は一体何を参考にして判断材料にするのかということをお伺いしたいです。

【秦環境研究技術室長】 予算関係につきましては、今まさに省内においても、全体のパイを10%減らせということになっていますので、ぎりぎりの調整をしておりまして、政務三役のところでも減額の議論が、1兆円の特別枠の部分を含めて行われておるかと思います。ちょっと我々のレベルでどうのこうのお答えできるような状況に、今到底ないということをご理解いただきたいと思いますけれども。私ども原課といたしましては、やはりいきなり何%も減らされるというのは、それは正直もたないなと思っていまして、そういう思いは伝えてはおりますけれども。どういう格好でどうなっていくかというのは、まさに今ぎりぎりの調整中というところで、すみません、お答えになっていないですが、ご理解をいただきたいと思います。
 それから、我々が予算要求した後に、最終的に財務省の査定に入っていくわけでございますけれども、これについても、例年12月ごろでございますが、どうなっていくのかというのは何とも言いようがございません。年によって違いますので、どの部分を削って、どの部分を増やすのかというめり張りをどうするのかというのは…。

【佐和臨時委員】 この資料6の1枚目をめくったところに、18年度から22年度までの予算というのがあって、これは単位は百万で、18年度で108億ですか。

【秦環境研究技術室長】 18年度は141億。

【佐和臨時委員】 一般会計で…。

【秦環境研究技術室長】 ああ、一般会計で100億。

【佐和臨時委員】 例えば22年度の実績ですけれども、これは128億ですね。

【秦環境研究技術室長】 はい、そうです。

【佐和臨時委員】 ところが、23年度について、要求として148億になっていますね。これは、だれの要求なんですか。

【秦環境研究技術室長】 これは、国立環境研究所といいますか、あるいは環境研究技術室といいますか、原課室としての要求でございます。これがどうなっていくのかというのは、先ほど申し上げましたように、省内でいろんな調整をやっていますので、まだわからないということです。

【佐和臨時委員】 ただ、これは、大変大学の人間から見てうらやましく思うのは、特に21年度から22年度にかけて大幅に増えていますね、運営費交付金が。

【秦環境研究技術室長】 これは、実は22年度から子供と化学物質の関係をコホート調査しましょうという、エコチル調査を追加したのです、30億。それで増えているのです。

【佐和臨時委員】 国立大学のように、毎年1%ずつ機械的に削減するという、そういう機械的なことはやっていないということで、むしろ内容をいわば積み上げるような形で出てきた数字だということですね。

【秦環境研究技術室長】 基本的には同じように、業務費については1%減です。人件費も1%減です。それプラスその外枠としてGOSAT、衛星関係の経費だとか、それから22年度は30億ほど増えていますけれども、これはエコチル調査というのを追加したんですね。それから、23年度の要求額が140億と、また20億増えているんですけれども、これは、エコチル調査を30億から50億にしたいということなんです。だから、ベースが上るわけじゃないんです。ベースは国立大学と同じように、基本的に1%減がかかっています。という苦しい状況はみんな一緒ということで、ご理解いただきたいと思います。

【佐和臨時委員】 関連して、もう一言だけ。いわゆる繰越金といいますか、剰余金ですね、それは中期が終わったときに、丸ごと召し上げるわけですか。

【秦環境研究技術室長】 これにつきましては、すみません、ちょっと説明を省略してしまったんですけれども、今ごらんいただいている、1ページの利益剰余金の見直し案という欄でございますけれども、平成22年度の決算処理を行った後、なお、積立金があるときは、次期中期目標期間繰越積立金として環境大臣の承認が行われる金額を控除した残余の金額を国庫に返納するということになっておりまして、中期計画期間ごとに精算をして、余り金は返しますよと、そういう整理になっております。

【松尾委員】 私は、この見直し案のちゃんと求められているものが、この中にきちんと入っているかどうかということが、ちょっと気になるというか、そういう角度でちょっとお話を聞きたいんですが。
 まず、民営化できないかとか、運営の効率化ができないかとか、研究の選択と集中がちゃんとできているのかとか、地方公共団体に移せるのか、移せないのかということで、それでは民営、民間にはできませんと、この最後の結論でおおよそいいんだろうと思うんだけれども、本当にそれでいいんですかというか、そうなんですか。中身は全部そうなんですかという話にもなってくるだろうし。地方公共団体になぜできないんですかという辺の答えは、さっきの話で大体大丈夫だと思うんですが、要するに、政治家の立場からのいわゆる仕分けというのが入ってきたときに、何となく仲間内の仕分けというか、議論だから、そういう外からの全く違う角度で議論されたときにどう耐えられるか、非常に気にしておかなければいけない部分だと思うし、我々もそういう立場で少しこれを見ておかないとまずいんじゃないかということで、私は今議論を吹っかけているところがあるんですが。
 そういう意味で、選択と集中というのがどういうようにこの中で明示されていて、従来やってきたのだけれども、選択すると外されるものがあるかもしれない。それはどうやっていくのかということですよね。今までのままを残そうとすれば、当然選択はできなくなるかもしれないし、集中はできなくなるかもしれない。これは研究する立場からいうと、妙な選択と集中をやられると困るわけね。いわゆる基礎研究というのは、そういうものではないという言い方もあると思うんですよ。ですから、その辺のある種の理論武装をちゃんとしながら、これを書いていかないとまずい。これはまさに一般論なんですけれども、研究機関、国の研究機関とは本来こうあるべきなんだ、そこで若い人材も育てなければいけないし、そういういろんな機能を持っていて、それで行くんだというような、ある種の、正論というか、そもそもそういうものなんだというような議論を仕掛けるものを持っていないと、向こうの論理に乗せられるとうまくないんじゃないかなというのが、まず第1点の感想ですね。
 あえて私が申し上げたいのは、研究情報の広報普及という活動で、今回もホームページのアクセスが2.何倍になったというのが出てくるわけですね。それはそれで非常に結構だと思うんだけれども、そこの4ページのところに、幾つもパンフレットの発行がありますよね、それが本当に環境研の活動にとって必要なのか。どの要素が本来必要であるのか、もう一遍見直してもらわないと、これは何なんですか、それはどこへ配っていて、どれだけの人に反応があるんですかというような話になってくることが考えられると思うんです。私は、国民に対して環境の情報を伝えるということが大事だと思うんだけれども、それは環境研の仕事なのか。もう少し別のファンクションを持つところが、環境研の研究データをきちんと理解するところが、専門にやってもいいかもしれない。環境研自身が持たなければいけないのかどうかというのは、ちょっと考えておく必要もあるんじゃないかという気がするんですよね。
 私のところも全部送ってきてもらっていると思うんだけれども、なかなか十分には利用していない。運転免許のときにパンフレットを配り過ぎて、あれ何回見るんだとかという話がありましたが、そんなようなレベルで議論をされると困るので、なぜこれが国民にとって必要で、どうやってやるのがいいのかという議論もしながら、これが大事だということを言っていかないと、ある種の議論に負けてしまう可能性もなくはない。そういう意味で、基本的にこれでいいと思うけれども、ひとつその辺の理論武装というか、何か考えておく部分をどう意識化するかというのは、非常に問題だというふうに思うんですけれどもね。

【高月部会長】 ありがとうございます。

【高木臨時委員】 今の松尾先生のお話にもちょっと関連するかなということで、申し上げるんですけれども。私はこの中で全くアカデミックでない唯一の人間で、その人間が研究のことに言及するのも変な話に思われるかもしれないんですけれども、国環研の今回の実績報告書、研究の部分を読んでまして感じたのは、国益とかそういう観点もあるんですけれども、さらに世界の中での研究所といいますか、無形資産としての国環研という位置づけにもなってきているのではないかなということを感じまして、廃止ですとか、民営化について研究するに当たっても、そのような観点を踏まえるのもいかがかなと思うので、一言だけ申し上げておきたいと思います。

【高月部会長】 ありがとうございます。先ほどの松尾委員からの件に関しまして、何か国環研からあれば。

【大垣国立環境研究所理事長】 ありがとうございます。発言をさせていただきます。
 一つ、松尾先生の前のエコチルのことに関しまして、後ほど安岡理事から、内容をちょっとご説明申し上げます。
 それから、松尾委員からのご指摘は、まさに今、次期中期に向けて、この文章とも関係しますが、現場で考えていることはご指摘のとおりでありまして、重点化というときに、何のための何を重点化するかということがある。先ほどご指摘のように、長期的な視点、人材養成という意味で、ある分野を重点化する。それから、中期計画のような5年という短いところで国民への成果を出すという重点化と、大ざっぱに言うと2種類あるのではないか。その両方を求められているのが研究所ではないかと思いまして、その両方をこなせるように組織体制をつくりたいと思って、現在検討を進めているところでございます。もちろん資源が限られていますので、おのずからそういう体制をつくれば、その中で重点化というか、選択をせざるを得ない。ただし、短期的な世界の課題、日本の課題を解決するだけのための組織ではないと認識しておりまして、長期的な課題の重点化もあり得る。そういうふうに感じていまして、それを、ここの表現はこれでいいと思うのですが、実務のほうでは捉えてやりたいと。
 それから、国民への発信等でありますが、これは業務として実は法律で書かれておりますので、やらなければいけないんですが、そのやる程度と効率の問題はご指摘のとおりでありまして、努力していきたいと思います。現場でいいますと、努力した結果が現在の状況でありまして、より効率化、あるいはより効果的な発信方法を考えないといけないと思っております。
 それから、高木委員から、世界の中の国立環境研究所というのは、ありがたいご指摘でありまして、特にアジアの中での環境研究の拠点として位置ができつつありますので、大げさなことを言うと、国益あるいは安全保障上絶対なくてはならない機関であると思っております。

【安岡国立環境研究所理事】 先ほどご質問がありましたエコチルは、今年度から30億、来年度は可能であれば20億さらに追加、2年間で50億という、総額で150億ぐらいのところですから、2年間で50億、30%以上上がるというのは、今では考えにくいような話なのですが、ただ、一方で環境化学物質が子供たちに影響を与えて、次世代にそれが残るようなことがあってはいけないという非常に強い思いが政府、それから我々の中にもありまして、今度の大型予算という形でつけていただいたと。これは、私どもだけがやるわけではございませんで、全国の15の大学病院を中心としたところで、総人数10万人の子供といいますか、生まれる前から、母体からどういう環境からの影響を受けているかを調べる。成長して、15歳になるまでを全部フォローする。今までの日本ではなかったような研究になります。10万人を15年間見るということですので、その15大学に相当長期的に大きなお金を使っていただかなければいけない。それをうちが世話をするということで、コアセンターという名前でうちがやっております。もちろん医学的な側面を支援しなければいけないということで、成育医療センターと、15の大学病院等と一緒になってやるという、そのための30億、さらに来年から20億ついて50億、こういうプロジェクトです。
 先ほど松尾先生からもご意見がありました、我々も、民営化しては絶対できない一つの研究ではないか、国としてやらなければいけない研究ではないかという気がしています。全力を挙げてやりたいというふうに思っています。

【高月部会長】 ありがとうございました。というようなお話をいただきました。いかがでしょうか。
 特にないようでしたら、時間もオーバーしてしまったんですけれども、非常に根本的なご指摘をいただきましたのでその辺も含めまして、事務局サイドでもう一度この辺の文案を整理させていただいて、とりあえず出さなければいけませんので、締め切りが迫っておりますので、そのように形を整えたいというふうに思っております。ありがとうございました。
 それでは、これで一区切りさせていただきますが、あと事務局サイドで連絡事項等がございましたら、お願いしたいと思います。

【秦環境研究技術室長】 先ほどスケジュールのところでご紹介いたしましたけれども、今年は5年に1回の当たり年でございますので、今後もいろいろ作業がございます。部会も何度か開催をさせていただくことになろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【松尾委員】 分科会というのは、これは政独委の分科会が8月30日にあると。

【秦環境研究技術室長】 右側の欄は、政独委のことでございます。

【高月部会長】 よろしいでしょうか。

【松尾委員】 わかりました。

【高月部会長】 それでは、委員の先生方、大変恐縮ですが、また1月、2月、3月にかなりシビアなスケジュールが待っておりますが、またひとつご協力のほどよろしくお願いして、今日の部会は閉じさせていただきたいと思います。ありがとうございました。