第20回環境省独立行政法人評価委員会 国立環境研究所部会会議録

日時

平成22年7月9日(金)10:02~12:08

場所

中央合同庁舎第7号館共用会議室1(903)

議題

(1)
平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価等について
(2)
その他

配付資料

資料1指摘事項等への対応状況
資料2平成21年度業務実績報告書
資料2-2平成21年度業務実績報告書 資料編
資料2-3平成21年度財務諸表
資料2-4平成21年度事業報告書
資料2-5平成21年度決算報告書
資料2-6監査報告書
別紙平成20年度業務実績評価書で指摘した事項への対応状況等
資料3総合評価にあたって用いる評価比率について(案)
資料4年度業務実績評価シート
資料5今後の予定
参考資料1研究開発を担う法人の機能強化検討チーム中間報告について
参考資料2退職金業績勘案率について
参考資料3独立行政法人国立環境研究所の業務実績評価に係る基本方針
参考資料4独立行政法人評価委員会関係基礎資料
参考資料5平成20年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書
参考資料6平成20年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果等についての意見について
参考資料7国立環境研究所の最近の環境政策立案への主な貢献事例
参考資料8平成21年度国立環境研究所年度計画
参考資料9国立環境研究所年報 平成21年度
参考資料10国立環境研究所研究計画 平成22年度
参考資料11国立環境研究所パンフレット

出席者

委員 磯部 力委員、沖 陽子委員、小池勲夫委員、
佐和隆光委員、高月 紘委員、高木勇三委員、
西間三馨委員、松尾友矩委員、三橋規宏委員
環境省 大臣官房 三好審議官
総合環境政策局 秦環境研究技術室長
川上総務課長
国立環境研究所 大垣理事長
安岡理事
鏑木理事
笠井総務部長
齊藤企画部長

議事

【秦環境研究技術室長】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会第20回国立環境研究所部会を開催いたします。
 まず、大臣官房審議官の三好よりごあいさつを申し上げます。

【三好大臣官房審議官】 審議官の三好でございます。遅参いたしまして、まことに申し訳ございません。ご多忙の中、本日はご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。
 第20回の国立環境研究所部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。せっかくの機会でございますので、昨今の独立行政法人を取り巻く環境の動きについて、一言申し上げたいと思います。先生方ご案内のとおりでございますけれども、5月に行政刷新会議に係ります事業仕分けが実施されたところでございます。国立環境研究所につきましては、幸いというのか何というのかわかりませんけれども、この事業仕分けの直接の対象とはならなかったわけでございますけれども、今後、独立行政法人、そのとき指摘された事項を含めて、横展開といいますか、統一の基準でいろいろなことを見直していこうという動きになってきております。もちろん国立環境研究所が関わらないテーマの場合は対象にならないわけでございますけれども、個別のテーマによりましては、この研究所の方も対象になってくる可能性があるということで、引き続き私どもとしては研究所と連携を保ちながら的確に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 他方で、研究独法固有の動き、分野での動きでございますけれども、研究開発法人の機能強化が重要であるという認識のもとに、内閣府と文部科学省を中心に、昨年の12月から研究開発を担う法人の機能強化チームが設置されております。これまでも5回ほど会合が開催されてきておりまして、4月に国立研究開発機関というような、国家を代表にするにふさわしい名称や機能を付与するということが必要というような内容の中間報告が取りまとめられたところでございます。これも中間報告の段階でございますが、今後さらに具体的な検討が進められるというふうに考えているところでございます。
 そういうことでございますので、本日の中心は21年度の業務報告書などに基づきましてご説明をさせていただいて、評価をお願いするということでございますけれども、あわせて今申し上げましたような、もろもろの状況につきましてもご説明をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。この場におきましては、国環研の業務運営や実績の評価などにつきまして、多くのご意見をいただくとともに、活発なご審議をお願いしたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 簡単ではございますけれども、一言ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

【秦環境研究技術室長】 本日は、定員10名のうち、9名の方にご出席をいただいております。評価委員会令第6条第1項の規定によりまして、定足数であります過半数を満たしているということをご報告申し上げます。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元にかなり大部の資料が用意してございます。
 まず、資料の1でございますけれども、これまでさまざまな指摘事項を受けておりますが、それの対応状況というのを資料1にまとめてございます。それから、資料2というのがたくさんございますけれども、業務実績報告書、その資料編、財務諸表、事業報告書、決算報告書、監査報告書となってございます。それから、資料2の別紙といたしまして、昨年度の実績評価書でご指摘いただいた事項への対応状況という二枚ものの紙をおつけしておるかと思います。それから、資料3でございますけれども、評価比率でございます。それから、資料4が実績評価シート、こちらの方に評価及びコメントをご記入いただこうということでございます。それから、資料5が一枚ものでございますけれども、今後の予定というものでございます。
 以下、参考資料となります。参考資料1が、今、審議官のごあいさつの中でも申し上げました機能強化検討チームの中間報告についての資料でございます。それから、参考資料2が業績勘案率についての資料でございます。それから、参考資料3でございますけれども、業務実績評価に係る基本方針でございます。それから、参考資料4の方はファイルにとじておりますけれども、関連の法規類でございます。それから、参考資料5が昨年度の実績評価書でございます。参考資料6が総務省の政独委の評価結果でございます。それから、参考資料7でございますけれども、国環研の最近の環境政策立案に対する主な貢献事例という、一枚ものの紙でございます。それから、参考資料8が21年度の国環研の年度計画。参考資料9は、大変分厚い冊子になりますが、年報でございます。参考資料10は22年度の研究計画。参考資料11として、国環研のパンフをおつけいたしております。
 資料は以上でございますけれども、漏れ等ございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、続きまして、本日ご出席の委員の皆様方をご紹介させていただきます。名簿に従い、順次、紹介させていただきます。
 磯部委員でございます。
 沖委員でございます。
 小池委員でございます。
 佐和委員でございます。
 高月部会長でございます。
 高木委員でございます。
 西間委員でございます。
 松尾委員でございます。
 三橋委員でございます。
 続きまして、国立環境研究所の出席者をご紹介させていただきます。
 大垣理事長でございます。
 安岡理事でございます。
 鏑木理事でございます。
 笠井総務部長でございます。
 齊藤企画部長でございます。
 引き続きまして、環境省の出席者をご紹介させていただきます。
 ただいまごあいさつ申し上げた、三好審議官でございます。
 総合環境政策局総務課長の川上でございます。
 私、環境研究技術室長の秦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。これ以降の議事進行につきましては、高月部会長によろしくお願いいたします。

【高月部会長】 高月です。ひとつよろしくお願いします。もう20回目ということで、若干マンネリになってきているかもしれませんけども、緊張感を持って、ひとつ、委員の先生方、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきまして、最初の議題は、平成21年度独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価についてでございます。まずは事務局から、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【秦環境研究技術室長】 はい。それでは、資料1でございますけれども、こちら、これまでさまざまなところからいろいろな指摘を受けております。それに対して、国立環境研究所としてどのように対処しているかという事実関係を整理したという紙でございます。
 資料1の冒頭のところに「1.」「2.」「3.」と書いてございますけど、まず最初に、整理合理化計画につきまして、どのような履行状況にあるかと。それから、2.が総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘事項でございます。2の(1)が、昨年度、先生方に評価をしていただきました当部会での評価の結果につきまして、政独委としての指摘事項が整理されたものでございます。それから、(2)(3)は、例年出ておりますけれども、評価の視点、それから、それを補完する具体的取組についてという、全独法共通の指摘でございます。それから、3.でございますけれども、こちらは昨年度の評価の視点に法人の内部統制という視点が入りましたけれども、その内部統制を具体化するものといたしまして、独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会というのが総務省に設けられまして、その研究会のまとめとして、独立行政法人における内部統制に対する監査及び評価の視点というのが今年の3月にまとまってございます。
 これらもあわせて、これも全独法に共通のものでございますけれども、こういった、さまざまな指摘事項を資料1という中にまとめまして、それに対してどのような対応をとってきたかというものを整理いたしております。したがいまして、こういったさまざまな指摘事項も踏まえまして、委員の皆様方には、ぜひ、ご評価を賜りたいと考えております。特に、2.(1)の昨年度の当委員会での評価に対する総務省政独委の意見等につきまして、これは個別に指摘を受けているということもございますので、ぜひこのあたりは重点的に勘案をいただければというふうに思っております。
 具体的には3ページ目以降になるのでございますけれども、総務省の政独委から受けている指摘というのは、基本的にお金の使い道に関する部分でございまして、例えば随意契約見直し計画の実施状況はどうなのかとか、あるいは一括再委託の禁止措置についてどうなのかと。あるいは一般競争入札をするといっても一者応札が多いんじゃないかと。そういった、お金の使い道に関するさまざまな指摘をいただいております。これに対してどのような措置を講じているのかというのを右の欄に記載をさせていただいておりますので、こういった対応状況等も勘案しつつ、ご評価をちょうだいできればというふうに思っております。
 それから、資料がちょっと飛んで恐縮なんでございますけれども、今ご紹介したような総務省政独委の指摘内容につきましては、資料の4でございますけれども、毎年度、先生方にご記入をいただきます評価シートにおきまして、そのシートの右から三つ目の欄に「評価項目及び評価の方法、視点等」といった、評価に当たっての注意事項みたいなものを記載した欄を設けております。
 この資料4の16ページをお開きいただければと思います。ここは財務の効率化というコーナーでございますけれども、右から三つ目の欄の「評価項目及び評価の方法、視点等」というところに、平成21年の政独委指摘事項といたしまして、どのような指摘を受けているかというのを簡単に要約させていただきました。したがって、こういった指摘事項を視点として踏まえまして、その右の欄の「評価」ですとか、あるいはその「評価理由、根拠等」もご記載いただければ、こういう視点でしっかり評価をしていただいているということがよく伝わってよいのではないかということで、評価シートの方にも総務省政独委の指摘事項を反映させていただいたというところでございます。ぜひ、この点を踏まえて、ご評価をいただければありがたいというふうに思います。
 それから、続きまして資料2の後ろの方に別紙ということで、2枚ほどの紙をつけさせていただいております。こちらは、まさに昨年度の当委員会におきましてご指摘のあった事項につきまして、国環研側がどのように対処をしたかということを、対応状況を記載させていただいておりますので――資料2の束の一番最後に別紙ということで、「平成20年度業務実績評価書で指摘した事項への対応状況等」というのが。

【三好大臣官房審議官】 枝番の2のシリーズがありまして、その最後でございます。

【秦環境研究技術室長】 ちょっとわかりにくくて。2-6の後ろについておる資料でございます。こういう紙でございます。すみません、わかりにくくて申し訳ございませんでした。2-6という一枚ぺらの後ろに2枚の縦長の紙がついておるかと思います。「平成20年度業務実績評価書で指摘した事項への対応状況等」、これは昨年度の当委員会におきまして、ご指摘をいただいた内容につきまして、国立環境研究所としてどのような対応をしたかということを右の欄の方に記載させていただいております。基本的には、後でご説明いたします業務実績報告書の中に反映するような格好にいたしておりますので、こういったことでまとめもしておりますので、評価の際に、こういった点も踏まえつつご記入をいただければありがたいなというふうに思います。
 簡単ではございますが、説明は以上とさせていただきます。
 引き続きまして、国立環境研究所より業務実績等につきましてご説明を申し上げます。

【大垣国環研理事長】 スライドを使わせていただきますので、ちょっと、場所を移動させていただきます。

(大垣国環研理事長、スクリーン前に移動)

【大垣国環研理事長】 大垣でございます。部会の委員の先生方には、日ごろからご指導いただき、ありがとうございます。最初に御礼を申し上げます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方は、このような資料がパワーポイントで、わきでお配りしていると思いますが、それを利用させていただいて、私の方からはごく簡単に三、四分で概要、その後、安岡理事より全体の詳細を説明させていただきます。
 まず、国立環境研究所の現在の状況、念のためこの年表になっておりますが、1974年に国立公害研究所として発足いたしまして、この評価を受ける平成21年度というのは、ちょうど35年たった年になります。本年が36年目に当たります。歴史的にはこのような流れになっておりますが、2001年、独法になってから現在に至っているというところでございまして、2006年から第2期中期計画に入っておりまして、2009年が4年目で、本年度、最終年度を動いているというところでございます。
 次、お願いします。
 組織は、ここにありますように、もう、よくご存じの件でございますが、重点化という概念で、この薄いグリーンの四つのセンターとグループを中心に、そのほか基礎的・先導的研究グループとして、研究業務を七つの領域、それから、環境情報に関するセンターを一つ、こういう組織体制で動いているものでございます。
 次、お願いします。
 予算額の推移ですが、詳細は後ほど申し上げますが、大ざっぱな中期計画中の動きがこのようなグラフで表現できまして、運営費交付金はご存じのように1%削減に向かって動いているということでございます。
 次、お願いします。
 職員数の推移でございますが、一番下の菱形のグラフのところが常勤職員数でございまして、現在239人でありますが、定員数が予算の削減で徐々に減ってきているということでございます。かわりに業務がどんどん、研究業務、社会的需要が大きいために、契約職員・契約研究者等がかなりの勢いで増えているというのが現状でございます。あわせて、現在約900名の規模であるということでございます。
 次、お願いします。
 これは平成18年に制定いたしました憲章でございまして、所内のほうぼうに掲げているところでございますが、この憲章に関して、ちょっと私見を最後に述べさせていただきますと、この憲章の上の段の2行目です。「環境をまもりはぐくむための研究によって広く社会に貢献します」ということが憲章に書いてございますが、現在、研究と社会の部分が大きく変わってきているのではないかという気がしております。
 まず、研究の対象がグローバル化、世界化していることは、もう言うまでもないことでございまして、環境関係は特に地球規模の気候変動の問題がございますし、小さい規模では越境大気汚染の問題、それから、化学物質の移動の問題、濃縮の問題、それから海洋の汚染の問題、廃棄物の移動、それから、今年一番話題になっております生物多様性の問題等、すべてが地球全体で議論しないといけないという時代になっているかと思います。
 それから、社会の方でありますが、私が思うに、社会と科学の関係が非常に大きく変わってきているのではないか。IPCCの評価の仕方の議論等が直接は出てきておりますが、そのほか、知識のための科学というものから社会のための科学、あるいは政策のための科学というのがはっきり科学の分野で議論され始めておりまして、環境は社会あるいは政策に非常に近いところのテーマであり、かつ非常に自然科学から社会科学、人文科学も全部含んだ複雑な対象でありますので、その辺をこの環境研としてどうしていくかということは、先ほど三好審議官から新しい制度設計の、政府の方がしているということもございますが、そのような大きな流れの中で研究所を運営していかなければいけないと現在思っております。
 本日ご評価いただくのは21年度で、第2期の4年目でございまして、現在、最終年度の運営をしているところでございますが、次期中期計画が来年から始まりますので、今のような大きな流れを受けた中で、新しい体制をつくろうと努力しているところでございます。
 以上でございます。
 それでは、安岡の方より。

【安岡国環研理事】 それでは引き続きまして、私の方から研究の内容についての概要を申し上げたいと、ご説明させていただきたいというふうに思います。業務実績報告書の目次を見ていただきますと、第1というところがございまして、私がお話しするのは研究に関する業務、それから、3番目の成果の発信についてということで、この部分についてスライドでご説明したいと思います。
 次、お願いします。
 まず、研究の概要をご紹介した上で、研究業務報告ということで、この評価に関する部分についてご紹介したいと思います。
 これは、今、大垣の方から説明いたしましたように、我々は集中と選択というようなこともあって重点化を行いました。地球温暖化、循環型社会、環境リスク、アジア自然共生、それを三つのセンターと一つのグループが担っております。さらに継続的・長期的な研究が必要ということで、六つの研究領域と一つのラボラトリーを持って、研究を進めています。
 次、お願いします。
 人員でございますが、研究員が202名、このうち47名が任期付になります。行政系が54名、ポスドクがほぼ研究員と同じ数、ございます。それ以外に、シニアスタッフ、高度技能専門員等がございまして908名、さらに外部の客員研究員、共同研究員を含めますと1,200名になります。
 これは研究費ですが、人件費は除いておりますけれども、大体75億ございます。そのうち41億が環境省からいただいております運営費交付金というものでございまして、ここで重点研究プログラム、それから基盤的な調査・研究、知的研究基盤の整備等を行っております。35億は外部資金、この中もかなり環境省から地球環境研究総合推進費というようなものでいただいておるものが多いんですけれども、外からともかく35億の資金をいただいております。総計で76億の予算でございます。評価をしていただきますのは、この重点研究プログラム、それから基盤的な調査・研究、知的研究基盤の整備、特別研究、予算がやや大き目のものについて評価をいただくということで、やや研究費の小さいものについては評価の対象から外しております。
 次、お願いします。
 研究のトピックです。これはたくさんの研究を行っておりますけれども、去年何をやったかということを幾つかかいつまんでご紹介しますと、これは昨年の1月、ですから年度で言いますと前の年になりますが、環境省、宇宙開発研究機構、国立環境研究所が合同でGOSAT(いぶき)というものを打ち上げまして、1月23日に成功裏に打ち上がりました。昨年度、平成21年度、グループが総力を挙げて、このデータの解析を行いまして、今年の2月18日から世界に向けてデータの公表を行ったと。これはCO2の分布、メタンの分布を月単位で表示したものですが、これは昨年の11月の全球のCO2の分布になります。これが12月。1月。これは3カ月だけのデータをお見せしておりますけれども、二酸化炭素、メタンに関しまして、さまざまな形でこういう分布図を出しまして世界に公表していると。世界の研究者がこれを使って共同研究を実施すると、国際的な活動になっております。
 これは、またちょっと視点の変わったところでございまして、私どもがAIM――Asian-Pacific Integrated Modelというのを開発しております。もう20年近くになりますが、そのモデルが、内閣官房が出しました温室効果ガスの削減目標、昨年6月には中期目標というのが出ましたけれども、9月には25%削減という形で公表されました。その部分がここになります。25%削減も、真水としてというんでしょうか、ほかで国際的な枠組みとか、吸収源を含まずに25%削減するとすれば、非常に厳しい削減をしなければならないというようなこと、さらに国際的な枠組みとか吸収源を10%使えるということであれば、この辺で済むと。いずれにしても非常に厳しいという結果が出ましたけれども、これが使われまして、内閣の方から発表されたと。それに対して科学的なデータを提出したという例でございます。
 次、お願いします。
 ここからは、研究の評価に関する部分で報告をしたいというふうに思います。
 次、お願いします。
 私どもの研究の評価、どういう仕組みになっているかと申しますと、今日独法評価委員会、この委員会で評価をいただくわけですが、研究に関しましては、その一歩手前に外部研究評価委員会というのを設けております。4月に私どもの研究について評価をいただきました。その評価結果が業務実績報告書としてまとめられておりまして、お手元のところに届いております。外部研究評価委員会の一歩手前で、さらに所内に研究評価委員会、これは私が委員長を務めておりますが、評価委員会ではさまざまな評価を行います。3段階で研究の内容については評価をするという体制になっております。今日は最後の評価をいただくということになります。
 次、お願いします。
 その評価の対象になるものですが、私どもが重点化してプログラムをつくっております。冒頭で申し上げましたが、地球温暖化研究プログラム、循環型社会研究プログラム、環境リスク研究プログラム、アジア自然共生研究プログラム、これについては、それぞれのサブプログラムといいますか、中核研究プロジェクトというふうに呼んでおりますが、それについて全部評価をいただきました。さらに基盤的な調査研究ということで、基盤ユニット、さらには地球環境研究センター、循環型社会のセンターでやっている研究等について評価をいただき、さらに知的研究基盤の整備という項目で評価をいただいています。これは、私どもがかなり力を入れてやっております地球環境のモニタリングですとか、それから、さまざまな資料、これも世界に提供しているわけですが、そういうものの整備状況について評価をいただいています。特別研究につきましても、これはボトムアップ的に所内で出している研究でございますが、額が少し大き目であるということで、すべて評価をいただくことになっております。昨年度については事後評価1件ということで、その内容については後ほど紹介したいと思います。
 次、お願いします。
 ここからは、これはお手元の資料、業務実績報告書の方に点数が載っておりますが、例えば重点研究プログラムでいいますと、四つの重点研究プログラムともに5点満点で4.5近い評価をいただきました。かなり高い評価をいただいたというふうに思っております。一番高かった環境リスクについてのことを少し詳しくご説明させていただきますが、4.4と4.5ですから、ほとんど同じということになりますが、一応0.1の差がありますので、これに焦点を合わせて説明をさせていただきます。
 これは2年前の中間評価で一番低い点をいただいたものでございます。ここでももちろんそうなんですが、一番低い点をいただきまして、特に中核研究プロジェクトの1、2あたりが低い点数をいただきました。この研究プログラムは、主として化学物質に焦点を合わせておりますが、そういうものが発生から、例えば人間とか生態系にどういうふうに広がっていくかという曝露までのことを担当するプロジェクト、それが人間に入ったときにどういう影響を与えるかということで、中核プロジェクトの2及び3があります。これは主として化学物質、ナノ粒子等の非常に微量物質についてのリスク評価です。さらに、こちらは生態系の評価ということで、四つの中核プロジェクトで構成されておりますが、この中核1、中核2がやや低い点数をいただいたということでございまして、これを中間評価の後に再構成いたします。
 次、お願いします。
 中核の1及び2は、課題の数も減らしましたし、焦点を絞って研究をして評価をいただいたということになります。その結果として、4.5という点数をいただいたと。内容についてはもう省略させていただきますが、この評価が我々の研究の推進に非常に力があったということの例として紹介させていただきます。
 次、お願いします。
 それ以外にも知的基盤整備ということで、バンキングそれから保存というようなことをやっております。これも4.5という高い評価をいただきました。それから、一番高い評価をいただきましたのが地球環境モニタリング等で、これが4.8という、5点満点の4.8ですから、かなり高い点数ではないかと思います。あと、特別研究についてはやや低い評価をいただいています。これが4.8で一番高いものですけど、これについてもちょっと紹介させていただきます。
 次、お願いします。
 私ども、筑波にあります研究所のメーンキャンパス以外に、北海道から沖縄まで幾つかの施設を持っております。ここで主として地球環境に関するモニタリングを実施しております。
 次、お願いします。
 例えば、これは落石と波照間という場所で長期的に観測をしているCO2の変動でございますが、こういう傾向が出ているということをここでお示ししました。このグラフで言いますと、緑色は昨年の結果、今年の結果を載せてございますが、明らかに増えているということがわかります。それがここの部分に相当いたします。こういうデータが蓄積されておりまして、これらのデータは国際的なネットワークを通じまして、世界にも公表されているということになります。
 次、お願いします。
 これは外部評価の中で基盤的な調査・研究と言われるものについてでございますが、いずれも4.0を超えておりまして、高いものは4.5という評価をいただきました。これについては、内容は省略させていただきますが、いずれにしてもよい評価をいただいたのではないかというふうに思います。
 次、お願いします。
 これは最後になりますが、研究成果の発表等についてご紹介したいと思います。これは、この評価委員会でも何度かご指摘をいただいた点でございます。
 次、お願いします。
 これは誌上発表の論文数になります。全体の発表数がこれになりますが、そのうち査読つきの論文の数がここに推移として上げられております。全体に増加傾向にありまして、一時期ここでちょっと減りまして、2年前にちょっと減りまして、ご指摘をいただきました。この減った内容についてはアセスメントをすべしということでご評価をいただきまして、評価をした結果が直接あらわれたわけじゃありませんが、ぽこっとここで、昨年度は論文数が増えたということでございます。
 次、お願いします。
 これは予算、外部研究資金の推移でございまして、やはり少し落ちぎみだったんですが、ここに来て少し増加傾向にあります。主として、地球環境研究総合推進費というものが増えたこと、それから、環境技術開発等推進事業費が増えたと。環境省からいただいているお金になりますが、これが増えたということで増加傾向が見えております。
 次、お願いします。
 これは先ほどもご紹介がありました資料2の別紙に、昨年、評価委員の先生方からの評価をいただきました。その中で、研究に対応するものについて、私どもの方でどういう措置をとったかということで、対応ということでここに書かせていただいておりますが、それをかいつまんでスライドでご紹介したいと思います。
 一番初めにいただきましたご指摘は、海外研究機関といろいろやっているけれども、本当に現地でそれが歓迎されているのかどうか、評価されているのかどうかをちゃんとアセスしなさいということでご意見をいただきました。
 次、お願いします。
 これは一例でございます。例えばAIMという先ほどもご紹介しました温室効果ガスをどうやって削減していったらいいのかということについてのアクティビティーの一つですが、アジアの各国と協力をしてやっております。アジアの国々からの研修生を受け入れて、私どものつくったシステムを向こうの研究者の方に使っていただいて、現地のデータは向こうの人たちに集めていただいて、つくるというような仕組みになっておりまして、それなりに評価をいただいているというふうに思います。つい先月ですか、中国科学院の副委員長も来られまして、ぜひこれについて一緒にやりたいと、中国が一緒にやりたいということで、要請がございました。
 次、お願いします。
 これは地球環境モニタリングに関するものでございまして、2番目の指摘になりますが、モニタリングというのは非常に長期継続でやらなければいけないことは確かだけれども、やっぱりどこかで切らなければ次の新しいものもできない。したがって、その、常に評価をして、やめるものはやめ、新しいものを加えるという努力が必要だろうということでご指摘いただきまして、このような形で評価をしております。あるものにつきましては、もう中止をする。例えば、ここにはオゾンライダーは今期で停止というのがございますけれども、こういう評価を常時行っております。ここは新しく、一番下の温暖化影響モニタリング、これは新たに開始したものでございます。
 次、お願いします。
 これは3番目のご指摘でして、知的基盤の整備ということを行ったら、それをもうちょっと活用する方策を考えたらどうだということで、ただ保存するだけではなくて、その遺伝子を解析して世界に公表するというようなことを、付加価値をつけるというふうなことを、研究を通じてやっております。これも非常に評判のいい結果が得られております。
 次、お願いします。
 これも最後のご指摘になりますが、外部評価で受けたものについては、できるだけ公表するようにということで、発表時、審査をいただいたときの質疑も含めて、ホームページを通じて皆さんに公表するというふうにシステムを変えさせていただきました。皆さんのご意見も全部ここで公表するということになっております。
 次、お願いします。
 これは最後になります。業務実績報告書の方にも書かせていただきましたが、先ほど理事長の大垣の方から説明がありましたように、私ども今年が今期の最終年度になります。次期中期に向けてどういうふうに体制をとっていくべきかということを、かなり早目にスタートいたしました。例えばもう今から3年ほど前に室長クラスの人間を集めまして、長期研究戦略検討タスクフォースと、これは中期を超えた15年ないし20年ぐらいで環境研究はどうしたらいいかということを検討いたしました。さらに、そういうことを踏まえまして、昨年度からユニット長クラスが集まりまして、次期中期計画に関する懇談会ということで、来年4月からの体制について検討を始めているところでございます。
 以上、簡単でございますが、研究の概要を紹介させていただきました。ありがとうございました。

【高月部会長】 はい。ご苦労さまでした。
 ここで、各委員の方々から、今、研究所の方からご報告をいただいた件に関しまして、質問あるいはコメントございましたらお願いしたいと思いますが、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。
 どうぞ。

【松尾委員】 いいですか。いろいろというかご紹介いただいたんですが、三つぐらい、ひとつ質問というか意見を申し上げたいんですが、14ページのこの研究の評価の役割の図がありますね。内部でやる外部研究評価、それから、この独法評価の委員会というのがあるんですが、この役割分担ですが、この前も申し上げたような気がしているんですけども、我々この評価委員会は研究所の研究の中身にどこまで関わりながら評価をしてもいいのか、しなくていいのかというのがいつも気になって、これだけ分厚い報告書をもらうわけだけども、一々全部、目を通しなさいという趣旨でもないとは思いながら、この辺の、だれが最も細かく見ていて、それをどういうふうに評価しながらやるのかというので、逆に言うと、高月先生にもご相談したいけども、我々はどこを見ればいいのか。ちゃんとシステムが動いていますねということを見ていればいいのか、その辺がちょっと。個人的に関心のあるテーマがあるとついつい見て、それはもうちょっと他のやり方があるんじゃないと、こういうことになりがちなわけですけどね。しかし、それが我々この委員会の役割でもないんじゃないかというふうには思うんですね。ちょっとそちら側に聞くことじゃないのかもしれないけども、本省のほうの方がどの辺でそういうふうに分けようとされているかということを、もうちょっと明示的にしてもらえると、我々のその見方ももう少し整理されるかもしれないというのが、ちょっと思ったことですね。
 それからもう一つは、次の、改善をしたから評価点が上がったというのが。環境リスクのね。これが本当に合理化されて、よくなったテーマなのか。ちょっと私は、どうも、何か点数が上がればいいというものなのか、中身がどうなのかということを、また改めて聞きたくなっちゃうんですよね。それは平成19年度までの構成というところを見ると、例えば、脳形成とか免疫感染とか内分泌とか、かなり具体的なターゲットが書いてあるわけですね。それを逆に、非常に抽象的なというか、総括的に目的を整理したらば評価点が上がったというのは、何か、ちょっと、研究を実際やっておられる方の立場というか中身から見ると、必ずしもそれでいいのかという気がしてきちゃうんですよね。ですから、評価点が上がるということと、上がるように組織というかテーマを絞ったり何かされると思うんですが、それ自体の合理性というのかしら、何かそういうことをもうちょっと、中で、じゃあどこがそれを責任を持ってやられたから、そういう成果になったのかと。その絞ったことの適否みたいなものはどこかで議論されたんだろうかというようなことがちょっと気になってくるところがあるんですが、何か評価点が上がれば、それでいいという話じゃないんじゃないか。どこかで落とされちゃって、重要なテーマがもしかしたら抜けちゃっていて、それが後になってきいてくるということはないんでしょうかという、そういう心配というか問題点ですね。
 同じような意味で、外部評価の結果が4点以上で皆さんいいということで、何かハッピーな話だったと思うんですが、本当に何か問題ないんでしょうかというか、そこで、逆に言うと、こういう成果が上がっているけれども、こういう問題点もまだ残っているというか、これをもっとやればもっとよくなるはずだという、何かその辺の内部での評価がきちんとされていて、うまくいったということと同時に課題が何かということもあわせて示していってもらうことの方が次へつながっていくように思うんですけども。この分厚い評価書を見ると書いてあるのかもしれないけども、何かその辺の構造がどうなっているのかをちょっとお聞きしたいと。
 それから、もう一つですが、外部資金の問題ですけど、消えちゃっているのがありますよね、農林水産政策推進実用何とかとか海洋何とかですか。国立機関再委託費か。何か、ちょっとこの色を見ていると、途中で、平成20年でなくなっちゃうというのがありますね。これは、やっぱり、相手方のそういう予算の構造の変化によるのか、環境研の方の内部の何か受け皿の問題でこういうお金が入らなくなっているのかね。あるいはこの数字、少なくなったから色が出せなくなっているのか、よくわかりませんが、何かそういう世の中の構造的な研究費の枠組みみたいなのが変わってきて、こんなふうになってきているのか。であるとすれば、それにどう対応しようとしているのかという辺も、ちょっと課題なのかなというふうに思ったところであります。
 幾つも申し上げたけども、よろしく。

【高月部会長】 はい。幾つかご指摘いただきました。
 まずは、少し環境研の方から、はい、どうぞ。

【大垣国環研理事長】 環境省の方からのご見解が必要かと思いますが、先に一番最初のご質問の研究の中身に関する評価がどこで分担されて、どこがきちんと調べてやっているかという意味で申し上げますと、私の方の法人の立場でいいますと、外部研究評価委員会が、非常に、それぞれの分野ごとの専門家にお願いをして、分科会もつくって評価いただいて、大変詳しいディスカッションをしていただいておりますので、そこで行われているものと理解しています。ですから、研究の内容に関しましては外部研究評価委員会がして、研究業務全体を、その結果を含めてこちらでご評価いただくものと理解しておりますが、よろしいですか。

【秦環境研究技術室長】 研究の中身、どこまで踏み込んで評価すべきかというお問い合わせでございます。基本的には、個々の研究にまで踏み込んで評価をしていただくということではなくて、やっぱりそういう評価の体制ですとか、あるいは、先ほどもご指摘があったように外部評価はよくなったと言うけれども、ほかには課題はないのかといったような、そういう、うまく体制として回っているのかという点を主に見ていただくというのが評価委員会の大きな役割なのではないかというふうに思っております。もちろん、評価そのものが、例えば外部評価の評点そのものがいいか悪いかというのは一つの大きな参考にはなろうかと思うんでございますけれども、個々の研究の成果をここでご判断いただくということではないのだろうというふうに思っております。

【大垣国環研理事長】 後の部分に関しましては、安岡の方から。

【安岡国環研理事】 はい。それでは、2番目から4番目までのご質問について、お答えさせていただきます。
 まず、一番簡単な方から。私のスライドの25ページにあります競争的外部資金、上から二つ目と三つ目が切れているけれども、なくなっているけれどもというご指摘だったと思いますが、これは例えば農水省が用意しております競争的資金に我々の研究者が応募して、それが年次が来て切れた。その後、応募しなかったためになくなってしまったというようなものでございます。したがいまして、自動的に切られたとか、そういうことではありませんで、公募をしたものが終了して、そのものがなくなったということです。
 それから、2番目、3番目につきましてですが、どうしても私どもこういう席になりますと、よくよく頑張ったよ、どうぞいい評点をお願いしますという姿勢が出てしまうので大変申し訳ないんですが、反省させていただきますが、例えば環境リスクにつきましては、いろいろ、中間評価の段階で、外部評価委員会の先生方からも厳しいご指摘がありました。例えば、それぞれのプロジェクトがつながっていないんではないか、それから、それぞれのプロジェクトの中もばらばらなんではないかと。これはもう、リスクに限らず、いろんな評価をいただいています。我々自身はそれなりの論理性を持ってつくったつもりではありますけれども、どうしてもひとりよがりになる、それから、思ったとおりの成果が出ていないと、そういうご指摘をいただいたということでございまして、そこは素直に考え直してみようと、特に中間評価をいただいた後ですから考え直してみようということで、環境リスクのメンバーは相当気合いを入れて、直しました。一部の研究者は、それによってこのプロジェクトからは外れたというのもありますけれども、研究の継続そのものはできるような形で続けております。だれかが全く研究ができなかったというようなことはないというふうに私は理解しております。そのリストラクチャリングがあったから急に評点が上がったのかどうかというのは、そこはなかなか難しいんですけれども、結果としてよくなったのかなと。そういう意味で、一番初めのご指摘にもありますけれども、外部評価というのは、やっぱり、ここでいただく評価も含めて、我々の仕組みを変えていく上では役に立っているんではないかなというふうに思います。
 3番目のご指摘は、点数に一喜一憂するよりも問題点をきちっと挙げることが重要だろうというご指摘だと思いますが、それはまた、別途やらせていただいております。かなり厳しく内部でも、それぞれのプロジェクトについて、我々自身も見させていただいていますし、プログラムメンバー、プロジェクトのメンバーが問題を挙げた上で、それを改善する努力をしていますというのが、やや公式的な発言になりますが。

【齊藤国環研企画部長】 すみません。今の点につきまして、先ほど松尾委員の方から分厚いのに書いてあるのかどうかと。書いてございます。一例を挙げさせていただきますと、この分厚い2-2の資料の23ページをまずお開きいただきますと、この分厚い資料2-2です。業務実績報告書、資料編という分厚い方でございます。これの例えば一例ですが、23ページを開きますと、資料11ということで、これは地球温暖化研究プログラムがございますが、ここから、るるプログラム全体並びに中核プロジェクトの研究予算・成果等がずっと並んでおります。これは非常に大きなプログラムでございますが、大分飛びまして、資料の39ページの方に飛んでいただきますと、そこに評価の結果の先ほど来の評点が一番上にございまして、次に外部研究評価委員会の見解というのを載せてございます。そこで、現状評価でいただいたご意見並びに今後への期待・要望ということを記述しております。さらにその下に、これらのご意見・ご要望について今後どういうふうに取り組んでいくかということをそれぞれ担当の研究者によって、検討の上、記載をさせていただいていると。こういうことが各プログラムなり基盤領域の評価にそれぞれ続いて記載をしております。ぜひ、ご参考にしていただければと思います。

【高月部会長】 はい。とりあえずよろしいでしょうか。松尾委員、ひとまず、区切ります。
 では、佐和委員、どうぞ。

【佐和委員】 まず、資料1の指摘事項等への対応状況ということについて、ここの環境省からのご説明について質問を申し上げたいんですが、ここの3.のところに内部統制という、何かえらい恐ろしい言葉が出てきますね。これはガバナンスというような意味で使っているんでしょうか。それとももっと別の意味で使っているんでしょうかということが質問の1ですね。
 それから、理事長のご説明の資料の5ページ目に職員数の推移というのがございますが、常勤職員は微減、契約職員と――その契約職員の中には研究及びアシスタントというふうに書かれておりまして、これが17年から21年にかけて、500人から658人というふうに増えていると。これは、要するに世の中一般に、今は正規社員と非正規社員の問題ということで、こういうふうな傾向というのが今後どんどん強まるとすれば、それは研究に対してネガティブな影響というのが予想されると思うんですが、その辺について何か今後の、第2期と言うべきなんでしょうか、今2期が終わるんですね。3期目からのこういう人事の方針について、このまま続けていいのかどうかということについてのご意向をお伺いしたい。
 それから次に、安岡理事の報告の24ページですけれども、誌上発表件数というのがこういう動きを示していると。これは、実は国立大学についても同じようなこういうグラフがあるんですね、国立大学全体、法人全体で。これは法人化された後、明らかに目に見えて減っているんですね。それを国大協とか文部科学省が堂々と見せて――それを見せるということは、もっと予算を増やせ、減らしてもらっちゃ困るということを言いたいがために見せているんだと思うんですが、それがちょっと驚くべき減り方なんですね。それは一つ一つはそういうことで、法人化されて、恐らく想像するに国環研の場合は何といっても研究だけとは限りませんが、研究中心ですからあまり雑務が増えない。しかし、国立大学法人の場合は教育と研究という両面があるということで、もう、とにかく教員が多忙を極めると。それだけ研究論文数が減るということが一つ。それからもう一つは、中国の躍進ぶりがすごくて、そのために、結局、コンペティションの結果、いわば日本が徐々に徐々に排除されていっているという面もあると思うんですね。ちなみに、私、ごく最近見たデータですけれども、中国はEU15カ国というのはもう追い抜いているんですね。EU27カ国で東欧が入ったのにもう肉薄していて、そのやや上にアメリカがいるということで、数年後には中国がアメリカを追い抜くだろうと。日本はGDPを追い抜かれたとかいって、ぶつぶつ、わいわい言っていますけど、それどころの話じゃないわけですよね。そんなような状況で、ですから、そういう意味で国環研の場合は、法人化されたことによって研究論文が激減とまでは言いませんが、減ったら減ったで、国立大学法人とはやっぱり違う、大変恵まれた環境にあるんだなという印象を受けました。
 それから、その次の競争的外部資金という、25ページなんですが、これ、各項目を拝見すると、全部、国のお金で本当に競争的なのかなという感じはするんですよね。恐らく科学技術振興調整費ですか、これぐらいじゃないかなと思うんです。本当の意味での競争的な資金というのは。私は、やっぱりそういうことからすると、その科学技術振興調整費も国のお金ですから、これを見ると競争的外部資金の大部分が国のお金であるということで、どこまで競争的なのかというのは、あまり実情を教えてくださいとは言いませんけども、その辺についてコメントいただければと思います。
 以上です。

【三橋委員】 ちょっと関連して。一つは、予算額がこういう時代ですから減っている。その減った予算の中でうまく効率的にやっていますよということで、よしとしていいのかという感じもありますね。先ほどの競争的外部資金の問題について言えば、もう既にやっているのかどうかわかりませんけど、多くの私立大学なんかの場合には、それをとるための特別チームをつくって、競争的外部資金獲得の働きかけチームを内外に幅広くアンテナを張ってやっているわけです。そういう努力が必要ではないかと思いす。国立環境研の場合は、外部資金のほとんどは、国のお金に依存しているわけですけれど、民間資金を獲得するということになれば、、いろいろ幅広いアンテナを張って、そのための算段、戦略をつくらなければいかんわけです。そういう体制を整えるためには、外部から専門のスペシャリストを雇わなくちゃいかんということになるわけですよね。予算が縮小する、それの枠の中でうまくやっていますよ、効率的に運用していますよ、ということではなくて、こういう部分の資金が確保できれば、こういうような形でもっと外部資金が積極的に確保できるといった視点も必要ではないかと思うということが第1点。
 第2点は、最近いろいろな企業でグローバル化が急速に進んでおり、役員会の公用語として英語を使う動きがでています。そういう点で言えば、今は日本人中心の国立環境研ですが、将来はもっといろいろ外国の研究者を採用し、国環研の10年後の公用語は英語にするといったように、グローバル化した国環研の将来の姿をスケッチすることも、国立環境研の目指すべき方向を示す上で重要だと思いますが、いかがでしょうか。

【高月部会長】 はい。今、佐和委員、三橋委員からありましたけど、あと、手短にお願いします。

【小池委員】 ちょっと関連で。先ほど外部評価の委員会の話が出ましたけれども、あと今のお話とも関連するんですけれども、やはり最近、評価を、国内だけではなくて、国際的にやるという方向になっていますね。それで、これ、なかなか、いろんな研究の成果とか報告書を英語にするのはなかなか大変だとは思うんですけれども、一部そういう形で、例えば地球環境の方とか、ある程度国際的に評価されなければいけないようなところに関しては、そういう形の評価もやられることを試みられたらどうかと思うんですね。やはり、日本の中というのを、研究者の社会は狭いですから、どちらかというと、皆さん好意的なんですね。私がやっていても皆さんお互いさまという感じになってしまうので、やりながらあまりいいことではないなとは思うんですけれども、ですから、そういう点を一つ取り入れられたらどうかと思います。
 それから、あと、先ほど誌上の発表論文数が増えているんですけど、これは恐らくポスドクとかの若い人をとって、それでかなり競争的な環境でやっているせいだと思うんですね。ですから、先ほどそのお話が出ました第3期に、私もその前から、常勤と非常勤のアンバランスがだんだん環境研においても大きくなっているというのは、あまりいいことではないなというふうに思っていますので、それと成果との関係になると思いますが、やはりここはきちんと考えていただかなければいけないなというふうに思います。

【高月部会長】 はい、ありがとうございます。ちょっと時間の関係もありますので、今とりあえず3人の委員の方のご質問、コメントに、手短にお願いいたしたいと思います。

【秦環境研究技術室長】 それでは、佐和委員からご質問のありました内部統制でございます。確かに内部統制という言葉を聞くと非常に恐ろしい印象を受けるんですけれども、総務省の研究会の報告書によれば、法人の長によるマネジメントの強化といったような表現で使われておりまして、独法のミッションを有効かつ効率的に果たすために法人の長が組織内に整備・運用する仕組みというふうに定義をされております。したがって、例えばコンプライアンスとかコーポレートガバナンスといったような縦軸ではなくて、そういったものを幅広く含めた、横ぐしの横断的な取り組みというのがイメージされているようでございます。

【佐和委員】 そういう意味では、ガバナンスという言葉が一番いいんじゃないですか。

【秦環境研究技術室長】 ええ。という意味では、ガバナンスという言葉に結局落ちついてくるのかもしれません。一応、報告書では、法人の長によるマネジメントという表現が使われてあります。

【高月部会長】 はい。ありがとうございました。
 どうぞ。

【大垣国環研理事長】 私の方から、3点お答えします。
 一つは、職員数の推移の私のスライドに関する佐和委員からのご質問で、そのとおりでありまして、契約職員、特に研究者の任期付のあるいはポスドクの動きは、実は大きな頭痛というか課題でございまして、基本的には常勤研究者を増やしたいというのが本音でございます。ただ、人件費の予算の制限がありますので、常勤を直接増やすことができないという状況になっています。結局、先ほど競争資金のお話もありましたが、運営費交付金の一部も使って、契約型の職員を、あるいは補助者を使っているというような現状でございまして、基本的には、これを直す方向で行きたいところでございますが、定員の枠等が限界がありますので、所内の運用で、できるだけ短い任期の弊害が出ないようにしようと今現在もしておりますが、しているということが現状でございます。
 それからもう一点、研究誌上発表件数が我々のところは増えておりまして、国立大学は減っているというご指摘がございました。一つは、ちょっとこことは関係ございませんが、学術会議で出している理学部工学系の博士課程の絶対数が大幅に今減っておりまして、大学の業務が忙しいということのほかに、博士の学生が減っているということはかなり大きくきいているのではないかと思います。人数当たりのプロダクティビティーという意味でデータを一つ整理して、改めて解析しなきゃいけないのではないかと思っています。
 それから、国際化の話でございますが、お二人の委員からいただきました。これは、現在、私どもの理解は、個別の研究分野ではもう完全に、論文は全部英語ですし、国際化が進んでおりますが、この評価という観点からは、研究所としてしないといけないと思っておりまして、現在、次期に向けて検討中でございます。

【安岡国環研理事】 それでは、佐和委員の4番目のご質問、外部資金について、本当に競争的資金なのだろうかというご指摘がございましたけども、一応こちらの方からプロポーザルを出して、ほかの大学の研究者の方々と競争しているという意味では競争的資金ではあるんですが、確かに環境省のお金が多いということは、外から見たときに、やっぱり本当にそうなのかというご指摘はあるかもしれないというふうに思います。ただ、ここには載っておりませんが、文科省の科研費についても件数はそれなりにとれておりまして、これは論文数にも関係しますが、ポスドクの数が増えているからではないかと、そこが頑張ってやっているのではないかというのはそのとおりでございますが、少なくとも外部資金ということでは外部資金でございますというお答えになると思います。

【佐和委員】 ちなみに、よく言われる採択率というのは幾らぐらい。科研費は科研費ですね。科研費の採択率。

【安岡国環研理事】 科研費の採択率は、うちでは20%ぐらいだったと思いますね。30%は行っていなかったと思いますね。弱ですよね、はい。20%台だったと思います。

【佐和委員】 たしか、私の記憶だと、平均が22%で。

【安岡国環研理事】 ええ。それよりも高いと思います、科研費につきましては。

【大垣国環研理事長】 その件に関しましては、科学技術白書に、たしか研究機関、国立大学の比較の表が、グラフが出ておりまして、ここではお示ししておりませんが、国環研はやや上位の方にあるかと理解しております。

【安岡国環研理事】 それから、外部資金の獲得については、やっぱりアンテナを張って、そして、とる努力が必要だろうというご指摘がございましたけれども、全くそのとおりだと思っております。私どもの研究者は研究だけやっていて、それほど忙しくないのではないかというお話もありましたが、実はそんなことはございませんで、もう研究費をとるために、しかもその成果を出すために物すごい努力をしておりますが、一方で、例えば研究費をとるためにプロポーザルを企画の部屋で全部チェックするとか、私もヒアリングに出ます。提案書を読んで、そして、本人たちのヒアリングを受けて提案書を書き直させるということまでやっておりまして、外部資金をとるためにそれなりの努力はしています。ただ、アンテナを張るための、やや、仕組みをもう少し考えた方がいいなというご指摘は全くそのとおりだろうというふうに思っております。

【大垣国環研理事長】 1点だけ加えますと、内部の若手の奨励研究資金みたいな、内部の競争資金がございます。これは内部でございますが。それが実はプレゼンテーションと申請の準備をしないといけませんので、それが若手の内部でのトレーニングになりまして、それが外部への申請にも幾らか有効に働くのではないかと思っています。

【安岡国環研理事】 それと、最後に小池委員からのご質問で、誌上発表が増えているのはポスドクによるものではないかというのは、これは確かにそういう面があると思います。ポスドクの問題は、先ほど理事長の大垣の方から答えました件とかなりオーバーラップしているところはありますが、私どもも非常に頭の痛い問題でございまして、やらなければいけないことは増えているけれども、定員は減っているという状況のもとで、今度どうしていったらいいかというのは非常に大きな問題だというふうに理解しています。

【小池委員】 やはり、その定員の問題なんですけれども、いわゆる任期をまたがってというかな、ちゃんとやっていればずっと更新されるということになれば、あまり任期にこだわることはないわけですね。それで、多分、政府の方針で常勤職員に関しては、もう、ともかく減らせということが変わらない限りは、そういう形で、ともかく長期的にそこで研究することはできるんだという体制を中でやはりつくるしかないと思うんですね、今の制度が続く限りは。ですから、早くそういう方向で努力されて移られないと、なかなかこの問題というのは解決しないのではないかというふうに思います。

【高月部会長】 はい。ありがとうございました。ちょっと、いろいろご質問あるかと思いますけど、一区切りさせていただいて――理事長、最後に。はい。

【大垣国環研理事長】 すみません。今の件で、実は政府で研究開発法人等の動きがありまして、そこに対して任期付研究員の問題点を私どもの研究所としても申し上げております。一つ最大の、実はあまり表に出ない現場での問題を申し上げますと、任期付ですと5年間のあるプロジェクト、あるいはあるミッションに基づいて採用した形で、本人も5年という意識がありますし、採用、指導する側も5年ですが、その間に、向き、不向きを見て、研究テーマを変えるとか、通常のパーマネントの職員であったら人事異動あるいはいろんな指導の仕方があるんですが、任期付という枠の中で本人もそこで固定しますし、こちらの雇う側も固定して議論してしまうという問題があるんです。これは人材育成上、非常に問題があると思いまして、基本的には、できるだけ、かつての流動化を目的にした任期付というのは弊害の方が大きいのではないかと、私個人は思っております。

【高月部会長】 はい。ありがとうございます。まだまだたくさん評価をしないといけない項目もありますので、とりあえず、研究所の活動についてのご意見はこれぐらいにさせていただきまして、引き続きまして鏑木理事の方から。

【鏑木国環研理事】 鏑木でございます。私の方からは、組織の運営に関するようなことにつきましてご報告をさせていただきます。失礼しまして、座らせていただきます。
 私は、お手元の業務実績報告書と、それから別冊でついております業務実績報告書の資料編、これを使いましてご説明をさせていただきます。
 まず、資料2でございます。資料2の平成21年度業務実績報告書、これの13ページでございまして、その2番の環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、これにつきまして、まずお話をさせていただきたいと思います。これにつきましては、20ページまでこの2番がございまして、(1)が環境に関する総合的な情報の提供ということでありまして、(2)が16ページで環境研究・環境技術に関する情報の提供、それから、18ページが環境の状況等に関する情報の提供ということで、分けてございます。
 これで、まず13ページでありますが、四角の中が今の年度計画なのでございますけれども、環境に関する総合的な情報の提供のために、環境情報のポータルサイト(総合案内所)、これをつくって運営するということにつきましての数値目標をつくっております。これは、「これにより」という段落のところなのでございますが、21年度におけるこのポータルサイトの利用件数が20年度に比べて1割以上の増加となることを目指すということでございました。これにつきましては、13ページの業務の実績の1番の2番目の段落でございますが、21年度にさらにコンテンツを増やしまして、例えばシンポジウムやセミナー等のイベント情報などの人目を引くような情報も増やしまして、14ページにありますようなポータルサイトのデザインも工夫いたしまして、15ページにございますが自己評価と今後の対応、ここに書きましたように、20年度に比べまして2.1倍の利用件数、これを21年度に確保いたしました。91万件でございました。その下に「今後は」ということでございますけれども、新たに公開を予定している「環境展望台」の普及に努めるというようなことを書いてございます。これは、本日お配りしております資料の中に、緑色の「環境展望台」というパンフレットがございます。実は、これ、今週7月6日から公開をしたばかりのものでございまして、このような「環境展望台」というサイトをつくりまして、普及を開始しているということでございます。ここに今までの環境研究技術ポータルサイトに入っておりましたような情報、さらに後ほどお話をいたします16ページ以降の情報、これもあわせて、ワンストップで「環境展望台」に入っていただけますと、いろんな情報にアクセスしていただけるというふうな形にさせていただいて、7月6日からスタートをさせていただいております。
 続きまして、報告書の16ページでございますが、環境研究・環境技術に関する情報の提供でございます。こちらの数値目標も、20年度に比べまして1割以上の利用件数の増加を目指すということでございました。17ページの自己評価と今後の対応のところでございますが、21年度の利用件数は71万件でございまして、20年度の2.3倍で目標を達成してございます。このコンテンツも「環境展望台」の方に統合いたしまして、その主要コンテンツとさせていただいているということでございます。国内外の環境研究とか技術のニュース、環境技術ライブラリ、環境技術解説というようなものを載せております。
 それから、18ページに参りまして、これは環境の状況等に関する情報の提供ということでありまして、四角の中の1行目にありますように、我が国の大気汚染、水質汚濁等の環境の状況に関する基本的なデータ、これにつきましてのデータベース化を進めまして、地図やグラフの形でわかりやすく表示するというGIS(環境GIS)ということで運用してまいったわけでございます。18ページの業務の実績の<2>の1番でございますけど、「環境GIS」の既存コンテンツの運用をするとともに、新しいコンテンツとして21年度には「自動車CO2排出量マップ」というのを公開したということであります。このようなこともありまして、利用件数が増加しているということでございます。
 20ページでありますが、<3>番で自己評価と今後の対応ということで、その3行目でございますが、20年度の394万件に比べまして、21年度の利用件数は451万件、これも20年度と比較して1割増加(1.1倍)となりまして、目標を達成してございます。
 21ページからは、先ほど安岡の方からご説明をさせていただいた内容になるわけでございますけれども、研究活動・研究成果の発信ということで、私の方からは、ここに入っております報告書に書いてございます図表ですが、27ページをご覧いただきますと、環境儀シリーズという、こういう冊子をつくりまして、研究の業務の実績を外に向けて発信しておりますですとか、その環境儀シリーズの写真の下に国立環境研究所ニュースというのがございますが、このようなものをやっておりますとか、そのような写真を中心にご説明をさせていただきまして、あわせて32ページでございますが、シンポジウムとか夏の大公開というのをやっておりますというようなことのご紹介、これをご報告させていただきまして、続きまして39ページに参ります。
 大きな2番目の項目でございますが、第2ということで、39ページの一番上の四角の中でありますが、業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置ということでございます。これは先ほど来、私どもの理事長と安岡理事から説明をさせていただきまして、ご質疑をいただいた内容とも関係いたしますんですけれども、まずは戦略的かつ機動的な組織の編成をどうするかということの中でございまして、特に申し上げたいことは39ページの研究組織の編成、これは四つの重点プログラムに研究者を重点的に配置するようなことをしておりますけれども、その下のコンプライアンスという39ページの下から4行目でございまして、コンプライアンス関係でも不正行為防止のための規程を定めてイントラネットに周知したり、それから新規採用者のオリエンテーションなどにおいて周知徹底を図っているというようなことでございます。一方で、先ほどご質疑がございました中に、その研究を進めている人を実際支える体制も必要であって、そこがしっかりしていないといけないというような趣旨のことがあったかと思います。私どももそれを感じておりまして、実はこの資料の43ページになりますが、43ページの一番上にあります表で管理部門、管理部門と私どもは企画部、総務部、監査室とあるんですけれど、その一番上の企画部、これを20年度に8人から11人に増やさせていただきまして、その研究を支える体制を強化すると。この研究を支える体制は何をしているのかと申しますと、例えば42ページになりますが、42ページで2の(2)、また企画部にNIESフェローを1人、点々といろいろ並んでおりますが、このNIESフェロー1人を配置して事務処理能力の向上を図った。これは何しているかといいますと、外部競争資金につきまして、それの所内の事前ヒアリング、先ほど安岡からご説明させていただきましたような、それをサポートするといいますか、外部競争資金に対する提案のプレゼンの事前の練習をすることをフェローに指導していただいたりとかというようなことをしまして、外部資金を獲得することにつきましての支援を管理部門としてもやっていこうというような体制をとっております。それと、この8人を11人にしましたのは、次期中期の準備のためにその体制も整備していくというようなこともございます。
 それから、40ページに戻りまして、先ほどの組織の話といたしましては、大きな<4>番で自己評価と今後の対応というところにございますが、第2期中期計画の期間中でございますので、基本的には研究に関する組織・体制は前年同で維持しておりまして、イントラネットとか研修等によりまして、コンプライアンスなどの関連規程については整備したものを周知徹底しているということでございます。
 それから、41ページでございますが、これは人材につきまして、重点プログラムを中心に配置しておりますということを表をもって示しているんでございますけれど、先ほどのご質疑の中で出てまいりました42ページの二つの表、上が常勤職員の人数でございます。常勤職員の人数、上の表でご覧いただきますと、21年度は185人、それに対しまして17年度は203人でございました。203人が5年間で185人に減っております。一方で、その下の表、研究系の契約職員の人数でございますが、17年度は研究系契約職員154人でありましたものが、21年度は199人になってございます。19年度のところをご覧いただきますと、この年度末人数で研究系の常勤職員は194人であったわけですが、研究系の契約職員が19年度には200人で、契約系の方が常勤職員よりも増えてしまったという逆転現象が生じたりしております。そのようなことで、常勤の研究系職員のその意味での負荷、つまりは契約系の研究職員を管理しなければならないというような負荷も増えているというのが実態でございます。さはさりながら、これは先ほど環境省の方で配っていただきました参考資料1、研究開発を担う法人の機能強化検討チームの中間報告というものの中でも、それの10ページに書かれてございますように、10ページの真ん中あたりなんですが、「中期目標等」というところの上の5行でありますけど、「全ての独立行政法人の人件費の総額について、18年度以降の5年間で………その100分の5に相当する額以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組むことが法律上規定されている」ということでございまして、私どもだけでは何とも使用が難しいというようなことがございます。ただ、こういうようなことでありますので、先ほど理事長からご説明をさせていただきましたように、何とか管理をしっかりやっていくというようなことで進めていくとともに、管理部門からのサポートもしっかりやっていこうというようなことで、全体として取り組んでいるというような形でございます。
 急ぎまして、すみません、44ページに参りまして、財務の効率化でございます。財務の効率化につきましては、これは細かい数字が並んでおりますところにつきましては、後ほど総務部長の方からご説明をさせていただく内容に含ませていただきまして、後ろの方に参りまして、46ページの方に契約のところがございます。これは秦室長からお話のございました資料1、指摘事項への対応状況の中で大きく取り上げられておりました随意契約の見直しの関係でございますので、若干申し上げさせていただきたいと思いますが、46ページでありまして、5の契約、(1)契約実績の状況でございますが、19年12月に「随意契約見直し計画」というのを策定いたしまして、現在、それに基づきまして、原則として一般競争入札に移行していこうということで努力をしているという最中でございます。もう、かなりそれが進んでいるということでございます。ただ、私どもの契約に関しましては、一つ、48ページに参りまして、財団法人地球・人間環境フォーラムというところが関連法人としてあって、そこについての契約についても、先ほどのご指摘、資料1で触れられているところでございます。ただ、ここの関係につきましても、ほかと差別するということは全くなく、むしろその透明性を増やしましょうということでやってきておりまして、一般競争入札に移行するということを基本にやってきております。ただ、一者応札になっちゃっているというようなところがあるものでございますので、そこで公示期間を増やすとか、それから、仕様書を明確化するとかということの努力をしているということでございます。その結果、48ページの下にございますように、一般競争入札の割合が非常に増えてきているということでもございまして、今、そういうことで継続して、ほかと区別はもちろんしていない、差別もしていないというようなことでやってございます。
 それから、急ぎますが、すみません、50ページに参りまして、効率的な施設運用ということであります。私どもの持っております大型研究施設の運用それから管理ということについて、ここで述べさせていただいております。今何をしておりますかといいますと、50ページの2番の研究施設の保守管理のところでありますが、21年度におきましては、20年度に引き続き計画的に耐震の改修とか、アスベストの除去とかというようなことに努めております。それから、51ページの奥日光フィールド研究ステーションの話でございますが、これも独立行政法人整理合理化計画に基づいて、その研究拠点としての利用を20年度末までに廃止すると。22年度予算において、観測タワーとか取水施設等の撤去のための費用を計上したということでありますが、これによりまして、資料49にございます独立行政法人国立環境研究所大型実験施設等見直し計画、ここに書かれました具体的な内容につきましては、すべて完了という話になってまいります。
 それから、52ページでございますが、情報技術等を活用した業務の効率化、これも所内ネットワークシステムの管理・運用、それと電子ジャーナルシステムの利用の促進ということにつきまして進めているということでございます。さらに、ここのポイントは、52ページの<2>の業務の実績の2番で、「独立行政法人国立環境研究所情報セキュリティポリシー」というものをつくったわけでございますけれども、さらにこれを外部のいろんな新しい変化なども見て、今、強化したり、改定したりして、新しい基準にどんどんどんどんグレードアップすると、アップ・ツー・デートしていくということで、今、第4版を出して、これは今年度になってからですが手順書を定めたというようなことにしておりまして、進めております。
 54ページでございますが、環境配慮でございます。環境配慮につきましては、省エネルギーとか、それから上水の使用量とか、廃棄物・リサイクルの目標とか、数値目標をつくりまして、それを達成するべく、いろいろな手だてを講じているということなのでございますが、54ページの四角の中、いろんなことがたくさん書いてございますけれど、結論を申しますと、59ページの自己評価と今後の対応というところでありますが、まずは省エネルギー等の取り組み、これにつきましては初期の目標を達成しておると。次に、廃棄物・リサイクルの取り組み、これも初期の目標、数値目標を達成しておるということでございます。それから、化学物質に関すること、アスベストに関することにつきましても、化学物質の適正管理のためのリスク管理に関する基本方針というのを定めたり、それから、PRTR法対応をしたり、アスベストの対策を進めたりというようなことをしておりまして、そのようなことは58ページの7の(1)の2行目にあります「環境報告書2009」、今は(2)の21年度に実施した取り組みについては「環境報告書2010」ということになりますが、こういう環境報告書にまとめて公表するというようなことをしております。
 それから、60ページに参りますが、業務運営の進行管理ということで、これはお手元に今日は大部の重たい資料で申し訳ないんですが、21年度の研究計画を作成したりしておりまして、それから、重点研究プログラムとか基盤的な調査・研究活動とか知的研究基盤、そういったものについて、60ページでございますが、作成いたしました研究計画につきましては、関係者に配付するとともにホームページで公表しているというようなことでございます。
 62ページでございますけれども、自己評価と今後の対応ということで、今、第2期の中期目標の期間に開始した研究内容の年度評価なども行いまして、進行管理を行いましたということが62ページの下から4行目ぐらいに書いてございます。
 それと、62ページの上の方でございますが、監事監査等への対応ということでございまして、監事監査と内部監査と二つやっております。監事監査につきましては、資料の2-6で、また別紙がございますけれども、適正に実施されているという旨の監査報告通知を受けております。それから、内部監査でございますが、内部監査では20年度事業について、科研費とか廃棄物処理等科学研究費補助金関係などで監査が行われまして、旅費等の支払いに日数を要しているということについての指摘を受けましたので、改善をしたりというようなことをやってございます。個別の対応をしてございます。
 64ページとか65ページ、66ページに書いておりますことは、これまでに述べてまいりましたこととダブりますので、省略をさせていただきます。
 以上でございます。

【高月部会長】 はい、ご苦労さまです。
 ちょっと説明が長くなりますが、引き続きまして財務諸表の関係を柴垣部長から説明いただきます。できるだけ手短にお願いします。

【笠井国環研総務部長】 7月1日に総務部長に就任いたしました、笠井でございます。よろしくお願いいたします。では、座らせていただきまして。

【高月部会長】 すみません。

【笠井国環研総務部長】 資料の方は、2-3、2-4、2-5、それと2-6の監査報告書ということで配られておりますけれど、ちょっと遅れてお手元に配付させていただきましたコピーの資料が3年間の推移表という形になっておりますので、これに基づいて説明をさせていただきたいと思います。これには米印でポイントとなる点も明らかにしておりまして、最後の6ページのところでその説明をしております。
 最初に、1ページ目の貸借対照表の資産合計のところでございますが、これは期末日であります22年3月31日における資産を記載したものでありますが、資産は3月31日現在で415億円となっております。その年に調達した資産よりも減価償却費が多かったというようなことで、ここ数年は年々減っていく傾向にありましたけれど、21年度は国の補正予算において交付されました「いぶき」の施設整備補助金の影響もありまして、前年度に比べると5億円ほど増えております。
 この補助金の影響があったので、上の方の備考の※1ですが、未収金につきましては、前年度に比べまして8.6億円増と。ちょっと負債の部の下の方にいきまして、※4の未払金につきましては7.8億円の増ということになっております。さらに、その下の※5のところでございますが、資産見返補助金等ということで、この損益計算書の資産見返補助金等戻入につきましても、昨年度まではなかった項目なんですけれど、この「いぶき」の施設整備費の補助金により、こちらの負債の方にも計上したというものでございます。
 その負債の項目の中で一番上の※2でございますが、この運営費交付金債務が昨年度の13億円から15億円に少し増えております。これは繰越事業の関係が、昨年度は6.1億円だったんですけれど、本年21年度は11.1億円だったということでございます。それから、21年度に契約をして支出が22年度にずれ込む、いわゆる複数年度といいますか、年度をまたがった契約が2.3億円というようなことで、ここに出ております。
 次に、※3の預り寄附金ですが、前年度に比べて3,700万円の増と。寄附金収入自体は前年度に比べて3,300万円の増でありまして、件数も11件が14件に増えております。
 最後に、純資産でございますが、今年度は一番下の資本合計というところですが、311億円で、前年度に比べて減価償却費の影響もあって、7.6億円の減ということになっております。
 続いて、独立行政法人の運営状況を明らかにするために、1事業年度に属するすべての費用と、これに対応するすべての収益を記載している損益計算書でありますが、※6の職員の給与賞与の手当の関係でございますが、これは研究所は人事院勧告と国の給与法に準拠した給与規定で支払いを行っております。その影響で、前年度に比べまして1.2億円の減となっております。
 ※7はその他給与賞与で、これは契約職員の給与賞与でありますが、研究業務費と一般管理費両方に計上されておりまして、合計すると7,500万円の増ということになっております。先ほどからも話が出ておりますが、契約職員の増による影響でございます。
 ※8の退職手当でございますが、これは1.9億円の減になっておりますが、前期は退職者が18人だったのが、今期は8人減ったということで減っております。
 次は※9になりまして、経常経費の合計でありますが、前期に比べますと1.7億円減っております。主に受託収入などが減ったことが要因でありまして、これについては※10を付しておりますが、前年度に比べて2.6億円の減でございます。競争的な外部資金は増加したものの、政府の業務委託は減であります。というのは、この左ちょっと上のところを見ていただければわかると思いますが、民間等の受託研究収入は増えていると。しかし、政府受託研究収入が減っているというようなことで、こんな結果になっております。
 最後に、※11のところで、当期総利益ということで出てくる項目なんですが、昨年度は900万円の損失計上でありましたけれど、今期は2,100万円の利益ということで出てきた形になっておりますが、これは自己財源で取得した固定資産の減価償却費が減ったことや、ファイナンスリースの支払い利息が減ったというようなことで出てきたものでございます。
 次が、キャッシュ・フロー計算書、行政サービス実施コスト計算書ということになっております。
 以上でございます。

【高月部会長】 はい、ありがとうございました。研究所の内容から、今度は研究所の運用の方のいろいろなご説明をいただきました。また、各委員からご指摘があれば受けたいと思います。いかがでしょうか。
 ここ、財務諸表の辺はいつも高木委員にお願いしておりますけども、また、ひとつよろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか、運用システム……

【松尾委員】 ちょっと、その前に。

【高月部会長】 その前。はい、どうぞ。

【松尾委員】 財務諸表に行く前のお話で、この実績報告書の方の47ページの辺に、いわゆる契約の問題が、措置はこういうふうにしましたというようなことが書いてあるわけでありますが、この政独委の方からの指摘で評価の方法自体が指摘されていまして、要するに規定がどういうふうになっているかをちゃんと見ないで、その評価をしているんじゃないかというような、我々に対する指摘もこの中で随分あるんですよね。そういう意味では規定を今まで一度も見せてもらったことがないように思っているんですが、見ていないから、それに関わってこの契約がどうだったかということを指摘できていないわけで、そのことが書いていないということが指摘されちゃっているというような感じになっているんですよね。この文書は私あてに政独委から来ているから、やっぱり今度の評価委員会の記述としては、そういうことをきちっと答えていかないといけないんだろうと思うんですよね。そのときに、今日今ここで説明されたもので十分なのかどうかというのが、ちょっと私としては気になってきて、例えば47ページのところでは、措置済みである、契約の適正化については事務連絡のとおり措置済みであるとか、次のところでは合理化等に対処しているところである、見直しに努めていると、こういうふうになっているんだけど、恐らくこういうことをやっているということを我々が書いたのでは政独委はまた満足しなくて、本当に規定がどういうふうに変わったんですかとか、それが現実にどうやってこういう措置済みだという話になっているんですかというようなことまで言わされる、そこを見ろというふうに言っていると思うんですよね。その辺のちょっと関係が、実は最初の説明にあった資料1の中でも指摘事項への対応という中、あるいは、今回の評価の項目の後ろから2段目にそういうものを追加しましたと言われているんだけども、そういう意味で規定がどう変わって、あるいはそれがどうなってという、何かもう一つ踏み込んで評価をさせてもらえないと、政独委の言っている指摘に答えられないんじゃないかというふうに思うんですが、ちょっとその辺の構造が、役所の方も含めてなんですが、我々がうまく対応できるようにしてもらえるとありがたいというのが、まず第1点ですね。ですから、ここに書いてあることも、さっきの計画がうまくいったとか、評価が上がったというのと同じような意味で、ここに書いてある対処方針とかなんとかという辺が、本当にそれでうまくいっているんですというか、何かそういう資料がもらえるといいんじゃないかというふうに思うところがあります。
 それからもう一つ、50ページのところで、研究施設の保守管理というテーマなんですが、この中には、ここであえて申し上げると、国立公園の中の国立公園法に違反するような、施設の改変とかがあったというようなことが指摘されていると思うんですね。そうすると、そういう事柄は、ここの施設保守管理の中でどういうふうに、どこの部署がそれを管理しているのか。要するに、そういうことが起きないように今後していかなくちゃいけないわけですよね。そういう意味では、新しい施設の増築とか改築のときには、必ずそういう周辺の問題を考えた上でやらなくちゃいけないという話になっていると思うんですが、そこは扱う部署がしっかりしていないと、またまた現場でこれが必要だというのでやっちゃって、結果として国立公園法に違反していますよという話になる。これは非常に、ちょっとまずい構造だというふうに思えるので、その辺の施設の保守管理が、どういう規定があって、どういうふうになっているかわかりませんけども、それは国立公園の方でアンテナを取りかえるとかなんとかというときに一々申請しなきゃいけないのかどうかね。何かちょっとその辺も構造的にそういう問題が起きないような仕掛けをつくっていただく必要があるんじゃないかというようなことを思うものですから、我々の今後の評価の仕事のレベルがどこまでいかなきゃいけないかということと、ちょっとそこだけ感想ですが。特に答えはいいけども――答えはいいということではないけど、もしあれば、時間がもったいなければ、皆さんの質問を全部受けてから最後にまとめて答えてもらってもいいし。

【高月部会長】 はい。それでは、ちょっとまとめて、もしほかの委員さん、ご質問あれば。それじゃ、どうぞよろしく。

【沖委員】 今まで聞かせていただきまして、ほかの委員の先生方はかなり厳しいご意見ですが、私は昨年度と比較いたしまして非常に頑張っていらっしゃると受けとめさせていただいております。というのは、我々大学の方も同じようなことをいたしております。ただ、教員たちの意識改革があまりないものですから、なかなか、0.1ポイント上げるだけでも大変な努力が要るということをよく感じております。そういう意味では、かなり努力なさっていらっしゃるんじゃないかというのが私の感想でございます。今、近々にご説明いただきました中で、やはりこの情報発信というところ、かなりポイントが上がっているということは、皆様方が注目をされ、かつその研究がどのようなもので、自分の身近な環境にどう影響しているかという読者層の意識というものを考えながら動いていらっしゃるのではないかと思えました。その中で、ここの実績書の中に、42ページでしょうか、管理部門における人材活用ということで、この企画部のところですね。これを8名から11名に増加されたと。そこの職員のキャリアというのをどういうふうになさったのかというのが私としては興味があります。企画部の方はかなりの環境に対する高度な専門知識等々がおありでないと、なかなか実務を進めにくいと思っております。この42ページの2番、(2)のところに少しご説明はございましたが、これからの次期計画も踏まえて、どのようにおやりになっていらっしゃるか、ちょっとお教えいただければありがたいと思います。

【高月部会長】 はい。ありがとうございます。若干追加的な資料が必要なものもありますけど、この時点でご説明いただけることがあればお願いしたいと思います。

【鏑木国環研理事】 まず、契約の関係でございます。確かにこれ、資料が、そういう観点での、例えば契約書のひな形とか、そういうようなものがついていないということにつきましては、まずおわびを申し上げなければならないかと思います。そのようなもの、あるいは規定につきまして細かいものがございますので、これはまた、環境省と部会長とご相談させていただきまして、先生方のお手元に、あまり全部をお届けしてもしょうがないかもしれませんので、そこはご相談しながら対応させていただきたいというふうに思っております。
 ここに書いてございますようなとおりでございまして、要約すれば、やりましたというような話しかないし、書いていないんでございますけれども、これは全くそのとおりで、契約の適正化につきましても事務連絡をいただきましたり、あるいは見直し計画をつくっておりますから、それに基づいて対応したりというようなことでやっているということでございます。
 それから、国立公園内の作業につきましての違反が過去にございましたというのはそのとおりでございまして、ただ、21年度の話というわけではなくて、もう少し前の方の話なんでございますけど、その後、コンプライアンスということで、私ども自身が、まずは関係する部署が総務とか、総務の中でも総務課とか会計課とかあるんですけれど、管理部門がまずはしっかりしていなければなりませんということで、管理部門の中での研修とか、それから規定の勉強とか、それから、総務部と企画部との間の調整会、連絡会というようなところで、その意識を啓発したりなんかしておりまして、最終的には私どもの理事室、最後は理事長に決裁が上がってくるわけでございますけれども、そこでもそういう意識で見させていただいているところでございます。

【齊藤国環研企画部長】 先ほど企画部の職員の充実について、ご指摘、ご意見がございました。安岡理事からの説明にもありましたとおり、現在、次期中期計画に向けての検討ということで、その担当専任ということで、室長クラスの研究者に企画部の次長クラスということで入っていただいてやっていると。もちろん、その分、本職の研究の部分はかなりエフォートを下げていただくという研究上のデメリットはあるんですが、研究所全体としては、やはり今後を考えると、一時的でありますが、ご苦労をかけることはいたし方ないという判断をしております。
 それから、研究の企画・運営あるいは評価についての切り回し等については、若手も含めまして、やはり研究者兼務という形で1年間に年次を限って来ていただくという方もおりますし、一部、知的財産等に詳しい方を、研究を離れて、もう企画専任ということで、これはぎりぎり今年3月の話でございますが、企画に来ていただいた。そういったことでいろいろ個々の事情も勘案しながら、研究所全体としていいだろうという判断のもとに人の配置を行っております。

【沖委員】 すみません。今のお話でよくわかりましたが、我々も同じようなことで、どうしても専任ということができなくて、兼務等々で、かなりの管理職の方々が出ていかれてということですが、一時的にはこれでいいかと思いますが、長期展望でこれはなかなか大変なことになるという感じがしています。その辺のところのご見解はいかがでしょうか。

【安岡国環研理事】 先ほど齊藤部長の方からご説明しましたように、研究者が今のところは短期的に出向すると、何かのイベントごとに出向するというようなことで対応しています。それが本人のキャリアに、ちゃんといい方向に働くようにしたいというふうには思っておりますが、それを仕組みとしてつくるというのはなかなか難しい。例えば、具体的に給与を上げるとか、等級を上げるとかというのは非常に難しいこともありまして、できるだけ別の形で、本人の経験になるという意味で、経験を積める、外に目を開けるというようなことで、プラスになるというふうに考えてもらうようにしたいというふうに思っています。なかなか、研究者の方が企画とか、そういうところへ出向するということに関して、すべてがすべていい方向に動くとは必ずしも限りません。それは正直なところ、そういうことになっています。

【高月部会長】 はい。若干苦しいあれでしたけど、ありがとうございました。
 それでは、ちょっと高木さん、すみませんが財務諸表の辺、ちょっとお願いしたい。

【高木委員】 財務諸表は、特段コメントはないんですけれども。

【高月部会長】 はい。よろしいですか、特に。

【高木委員】 違うところでちょっと質問を。すみません、質問は62ページのところなんですけれども、懲戒処分が8として書かれていますけれども、ちょっとこの内容を簡単にご説明していただいた方がよろしいんではないかなというのが一つです。
 それから、佐和先生、お帰りになられてしまうんですが、先ほど佐和先生の方から内部統制のお話がありましたんですけど、ガバナンスとはちょっと違う意味合いで内部統制というのは使われているというふうなことはちょっとお伝えしておきたいと思います。
 それから、先ほど松尾先生の方から契約のお話がありましたんですけども、この春に契約監視委員会が組成されて、そこのところでの、随契についての、あるいは一者入札についてのチェックが行われたはずだと思うんですけども、契約監視委員会の諸表の事項からいけば、この政独委の方の話の何点かは、そちらの方である意味で担っているということは言えるかなというふうに思うんですね。それで、契約監視委員会とこの独法評価委員会との関係構成というのは全く整理されていないというふうに言えますので、我々が契約監視委員会の行ったことについて依拠できるかどうかということは不明ですけれども、少なくとも参考にはできるというふうに思いますので、そちらの資料のところも開陳いただいた方が効率的ではないかなというように思いますので、提案しておきます。
 それからあと、契約に関してなんですけども、今回、関係法人というようなことで財団法人との取引が書かれていますけども、よくよくこの財団法人との取引について吟味していきますと、もともと国環研の中にあった組織がスピンオフしたような形でこの財団法人の中に入っているというようなことで、この定員削減の一環の中でそういうような状況になったというようなことが言えますので、これは一般競争入札という形をとろうとも、恐らくこの財団に業務が回らないと非常に好ましくないという状況が生まれるようだということは、一応申し上げておきたいかなと。あとは、ほかの委員の方のところでのご判断にも諮りたい、指摘されたいというふうに思いますんですが、以上でございます。

【高月部会長】 ありがとうございました。幾つかまた、若干、宿題のようなこともありますけれども、特になければ、また個別にあれしていただいても結構ですけれども、今、先ほど、そこはほかでもいろいろな評価の仕方があるということでしたので、その辺の整合性の辺も含めて。

【大垣国環研理事長】 それぞれのところをちょっと説明いたします。

【安岡国環研理事】 では、懲戒に関しましては、研究者が関与しましたので、私の方から答えさせていただきます。
 ここに2件ございまして、1件は業者の方から借りたものが、やや長期的に自分の家に置いてあったということで、もちろんすぐ返して問題はなかったんですが、やはり関係のあったところから借りていたものが家にあったということ自身がやっぱり問題だろうということで、倫理規程違反ということにいたしました。
 もう一件は、出張のときに、その申請がちょっと書類と異なっていたということがあって、それが実際には個人の懐には全く入らなかったんですが、ややそれを疑わせるようなことがあったという、出張に関することで複数回それがあったものですから、懲戒処分を出させていただいたということでございます。研究に関する出張になります。

【高月部会長】 はい。
 あと、よろしいでしょうか。

【鏑木国環研理事】 契約監視委員会につきましては、確かにこの資料の中でこういうことでございましたということを、もう少し明らかにというか、つけていきたいと思います。次回、ちゃんとやらせていただきたいと思います。

【高月部会長】 はい。よろしいでしょうか。そういう意味で若干追加的な資料がこれから、また委員の先生方に後日配られると思いますが、それ、またあわせて評価のときに見ていただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、ちょっと時間が押してきましたので、最後に例年夏休みの宿題になります評価のシートに関して、関連も含めて、ちょっとご説明いただきたいと思います。

【秦環境研究技術室長】 はい。評価比率につきまして資料3でございます。縦長の2枚ものの資料でございます。
 資料3、総合評価にあたって用いる評価比率について、これにつきまして、昨年、評価比率をお決めいただきました。考え方といたしましては、やはり国立環境研究所、研究メーンの独法であるということから、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項という部分についての配分というのを70%ということで、大きく振り分けて、ほかの部分を30%という形で各業務に振り分けて評価をするということでお決めいただきました。昨年決めたばかりでございますし、今年度もこういった形でやらせていただいてはどうかなということで案を提出させていただいております。よろしくご審議をお願いいたします。

【高月部会長】 はい。ありがとうございます。今、評価の比率につきまして、今年度の評価に当たっても同様な比率でどうかという原案が示されましたけど、いかがでしょうか。昨年、大分議論させていただいて決めた経緯がありますけれども、もしよければこれで進めさせていただくということで、よろしいでしょうか。

(了承)

【高月部会長】 はい。特にご異論ないようでございますので、評価比率については昨年度と同様な形でやらせていただくということで進めたいと思います。
 では、ほか、もしあれば、お願いします。

【秦環境研究技術室長】 はい。時間が押しておりますので、ごく簡単にご紹介したいと思いますけれども、参考資料1、先ほど来、正規職員をなかなか雇えないと、減らさなきゃいけないといったようなご議論ございましたけれども、文部科学省の鈴木副大臣が中心になりまして、各省の副大臣、政務官クラスで研究開発を担う法人の機能検討強化チームというのがつくられまして、政治主導で、やはり独法制度の中でも、研究独法というのは、ちょっとほかの独法とは性質が違うんじゃないのかという視点に立ちまして、議論を重ねてまいったところでございます。その中間報告というのが今年の4月に出ておりまして、一言でいいますと、通常の独法から独立させて国立研究開発機関という別の制度をつくってはどうだろうかという提案となっております。参考資料1の概略資料というのを一番上につけてございますけれども、特に2.基本的な在り方に五つほど丸がございまして、最後の丸、成果を最大かするための柔軟かつ弾力的な資源配分というところですとか、あるいは3.業務遂行等の在り方の(2)マネジメントの改革のところで、二つ目のポツの国際的な水準を踏まえた給与人事システムといったようなところで、これまで独法はすべて5年間で人件費5%削減といったような非常に厳しいたががかかっておりましたけれども、こういうものについても少し再考の余地があるんじゃないんだろうかといったような方向で議論が行われております。これは中間報告ということで、引き続き議論が行われる見込みでございます。もちろん、現在の政権の中には事業仕分け等で非常に研究開発法人に対して厳しい向きもある一方で、こういった動きもあるということでご紹介をさせていただきました。
 それから、参考資料2でございます。こちらは理事長の業績勘案率の件でございまして、一度1.0という形で総務省の政独委に提出したのですが、差し戻されたと。先ほどもご議論ございましたが、自然公園法違反というのが繰り返されたというようなことがございました。それで、最終的には0.9という形で意見がないというものは返ってきております。
 これにつきまして、若干、先方の政独委の考え方について、後ろの方に資料をつけさせていただいておりますが、この参考資料2の一番最後のところにフローチャートがございます。そのフローチャートの真ん中のところに、役員の職責に係る事項に関し、減算要因がないと認められるかと。ここのところがひっかかったわけでございます。減算要因というのは何かといいますと、その右側の点線の枠の※8というところですけれども、業績の著しい悪化、業務の不適切処理、職員の不祥事、ひいてはそれらによる法人の信用失墜と、こういった要因があれば減算すべきだと考えますよというのが先方の政独委の考え方ということでございますので、改めてこういった点をご紹介させていただきました。
 また、先ほど不祥事があったというようなことも業務実績報告書の中に書かせていただいておりますけれども、聞いたところ、再発防止策もきちんと取り組んでいるということでございましたので、そういった点も含めまして今後の業績の勘案につきまして、総務省ではこういった対応をしているということを改めてご紹介をさせていただいた次第でございます。
 すみません、あと、失礼いたしました、今後のスケジュールでございます。資料5という1枚の紙があろうかと思います。今日、幾つか追加資料の話もございました。それは早急に手配をいたしまして、お配りをいたします。追加質問等のご提出を7月23日までにお願いいたしたいと思います。そして、評価シートにつきまして、8月2日までにお手数ですが、資料4でございますがご記入をいただきまして、当方の方にお送りいただければと思います。それらを踏まえまして評価報告書の素案を取りまとめまして、委員の皆様にご送付をさせていただき、その素案についてのご意見を8月13日までにちょうだいできればと思います。そういった意見を踏まえ、部会長案のをつくらせていただきますので、これをベースに、24日にまたこの部会を開かせていただきまして、ご審議をいただければというふうに思います。総務省への提出期限が8月末ということになっておりますので、それまでに報告書案を取りまとめたいと思っております。よろしくご協力のほど、お願いを申し上げます。
 以上でございます。

【高月部会長】 はい。ありがとうございました。今、最後の方にまとめて説明がございました。何かこれに関して、ご発言ございますでしょうか。もう大分、メールでも松尾委員、やりとりされて、結果が出てきてしまったわけですけれども、また、引き続きご検討いただくことにして、このスケジュール表、資料5にありましたようなことで、資料4のシートというのを、例年、夏に書いていただいておりますけれども、この書き方等につきましては、もう毎年やっておられますので、特にご説明はいたしませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 ほか、全体を通じて、何か、よろしいでしょうか。
 事務局サイド、よろしいでしょうか。何かあれば。どうぞ。

【秦環境研究技術室長】 本日お配りいたしています資料につきまして、大変大部なものになりますので、後ほど郵送させていただきます。なので、そのまま置いて帰っていただいて構いません。
 次回の部会、先ほど申し上げましたように、24日の午後を予定しております。詳細につきましては、また追ってご案内をさせていただきたいと思います。ご多用中、恐縮ですが、どうぞよろしくご出席のほど、お願いを申し上げます。
 以上でございます。

【高月部会長】 はい。ありがとうございます。それでは、各委員のお手元にある分厚い資料はまた送っていただくということですので、メモ等がついているかと思いますが、自分のところに置いておいていただけましたら、届くということにさせていただきます。
 それでは、長時間にわたりましてご審議いただきまして、ありがとうございました。これで一応、部会の方を閉じさせていただきます。ありがとうございました。